(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165049
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】光束制御部材、発光装置、照射装置および殺菌装置
(51)【国際特許分類】
G02B 3/00 20060101AFI20241121BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20241121BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241121BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20241121BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20241121BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20241121BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20241121BHJP
G02F 1/13357 20060101ALN20241121BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241121BHJP
【FI】
G02B3/00 Z
F21V5/04 650
F21V5/04 500
F21S2/00 480
F21V5/00 510
H01L33/58
H01L33/00 L
A61L2/10
G02F1/13357
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080870
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 昌代
【テーマコード(参考)】
2H391
3K244
4C058
5F142
【Fターム(参考)】
2H391AB02
2H391AB04
2H391AB08
2H391AB33
2H391AC03
2H391AC07
2H391AC32
3K244AA01
3K244BA08
3K244BA26
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244FA03
4C058AA01
4C058BB06
4C058KK02
4C058KK21
5F142AA12
5F142DB60
5F142GA11
5F142GA21
5F142GA31
(57)【要約】
【課題】被照射面を近距離から照らした場合であっても、被照射面を均一に照らすことができるとともに、被照射面以外の領域に光が到達することを抑制できる光束制御部材を提供すること。
【解決手段】光束制御部材は、入射面と、2つの全反射面と、2つの第1出射面と、第2出射面とを有する。2つの全反射面は、それぞれ仮想半直線を回転軸として回転させたときの面の一部である。2つの仮想半直線のそれぞれは、第1出射面と交わる。光束制御部材を平面視したときに、2つの仮想半直線の一端は第2軸上の同一の点にあり、かつ2つの仮想半直線がなす角度は180°未満である。2つの仮想半直線のなす角度は、第1軸を境に第2出射面の面積の大きい側に形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子の光軸に交わるように前記発光素子の上に配置されたときに、前記発光素子から出射された光を拡げるように制御するための光束制御部材であって、
裏側に開口した凹部の内面であって、前記発光素子から出射された光を入射させるための入射面と、
表側に配置され、前記入射面で入射した光のうち、一部の光を異なる方向へ前記光軸から離れるように反射させるための2つの全反射面と、
前記全反射面で反射した光を前記光軸に垂直な第1軸に沿う2方向に向けて外部に出射させるための2つの第1出射面と、
2つの前記全反射面の間であって、前記光軸および前記第1軸に垂直な第2軸上の一部分に配置され、前記入射面で入射した光のうち、他の一部の光を拡げつつ外部に出射させるための第2出射面と、
を有し、
2つの前記全反射面は、それぞれ仮想半直線を回転軸として回転させたときの面の一部であり、
2つの前記仮想半直線のそれぞれは、前記第1出射面と交わり、
前記光束制御部材を平面視したときに、2つの前記仮想半直線の一端は前記第2軸上の同一の点にあり、かつ2つの前記仮想半直線がなす角は180°未満であり、
前記光束制御部材を平面視したときに、2つの前記仮想半直線のなす前記角度は、前記第1軸を境に前記第2出射面の面積の大きい側に形成されている、
光束制御部材。
【請求項2】
前記入射面は、
前記発光素子と対向するように、前記第1軸に沿って配置された第1入射面と、
前記第1軸と交差する第2入射面と、
前記第1入射面および前記凹部の開口縁を繋ぎ、前記第2出射面に対応する位置であって、前記第2軸に沿う方向において前記光軸に対する前記一方の側に配置された第3入射面と、を有し、
前記第1入射面は、前記発光素子から出射された光を前記全反射面または前記第1出射面に向けて入射させ、
前記第2入射面は、前記発光素子から出射された光を前記第1出射面に向けて入射させ、
前記第3入射面は、前記発光素子から出射された光を前記第2出射面に向けて入射させる、
請求項1に記載の光束制御部材。
【請求項3】
前記光束制御部材を平面視したときに、2つの前記仮想半直線は、前記第2軸を対称軸として線対称である、請求項1に記載の光束制御部材。
【請求項4】
発光素子と、
請求項1に記載の光束制御部材とを含む発光装置であって、
3軸が互いに直交するXYZ座標系において、
前記発光素子の光軸がZ軸と一致し、かつ前記発光素子の発光面の中心が前記XYZ座標系の原点に位置するように前記発光素子を配置し、
前記第1軸がX軸と一致し、かつ前記X軸を境に前記第2出射面の面積の大きい側がY軸のプラス側に位置するように前記光束制御部材を配置したとき、
2つの前記仮想半直線は、それぞれ、以下の条件(1)または条件(2)を満たす座標(XA,YA,ZA)および(XB,YB,ZB)を通る、
発光装置。
(条件1) XA>0、YA>0、ZA>0、かつ XB<0、YB>0、ZB>0
(条件2) XA>0、YA>0、ZA<0、かつ XB<0、YB>0、ZB<0
【請求項5】
発光素子および前記発光素子から出射された光を拡げるための光束制御部材を含む発光装置と、
長軸および短軸を含み、前記発光装置から出射された光が照射される被照射面と、
を有し、
3軸が互いに直交するXYZ座標系において、
前記発光素子の光軸がZ軸と一致し、かつ前記発光素子の発光面の中心が前記XYZ座標系の原点に位置するように前記発光素子を配置し、
Z軸のプラス側でZ軸と交わり、かつ前記X軸と前記長軸とが平行となるように、前記発光装置から出射された光を受ける向きで前記被照射面を配置したとき、
前記光束制御部材は、前記Y軸および前記Z軸を含むYZ断面に対して対称であり、
前記発光装置から以下の条件を満たす各点(Xn,Yn,Zn;n=1、2または3)へ向かう3方向にピークを有する輝度分布を有する、
照射装置。
(方向1) X1>0、Y1>0、Z1>0かつX1>Y1、X1>Z1の方向
(方向2) X2<0、Y2>0、Z2>0かつ|X2|>Y2、|X2|>Z2の方向
(方向3) X3≒0、Y3>0かつZ3>0の方向
【請求項6】
前記発光素子および前記被照射面の最短距離は、前記短軸よりも短い、請求項5に記載の照射装置。
【請求項7】
前記被照射面の短軸における中心位置は、前記Y軸のプラス側に配置されている、請求項5に記載の照射装置。
【請求項8】
前記長軸の長さおよび前記短軸の長さの比は、4:1~8:1であり、
前記X軸および前記Z軸を含むXZ断面において、前記光軸と、前記原点および前記被照射面の端部を結ぶ直線とがなす角度は、80°以上であり、90°未満である、
請求項5に記載の照射装置。
【請求項9】
前記光束制御部材は、
裏側に開口した凹部の内面であって、前記発光素子から出射された光を入射させるための入射面と、
表側に配置され、前記入射面で入射した光のうち、一部の光を異なる方向へ前記光軸から離れるように反射させるための2つの全反射面と、
前記全反射面で反射した光を前記光軸に垂直な第1軸に沿う2方向に向けて外部に出射させるための2つの第1出射面と、
2つの前記全反射面の間であって、前記光軸および前記第1軸に垂直な第2軸上の一部分に配置され、前記入射面で入射した光のうち、他の一部の光を拡げつつ外部に出射させるための第2出射面と、
を有し、
2つの前記全反射面は、それぞれ仮想半直線を回転軸として回転させたときの面の一部であり、
2つの前記仮想半直線のそれぞれは、前記第1出射面と交わり、
前記光束制御部材を平面視したときに、2つの前記仮想半直線の一端は前記第2軸上の同一の点にあり、かつ2つの前記仮想半直線がなす角は180°未満であり、
前記光束制御部材を平面視したときに、2つの前記仮想半直線のなす前記角度は、前記第1軸を境に前記第2出射面の面積の大きい側に形成されている、
請求項5に記載の照射装置。
【請求項10】
前記発光素子から出射される光は、紫外線である、請求項5に記載の照射装置。
【請求項11】
請求項10に記載の照射装置を含む殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光束制御部材、発光装置、照射装置および殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの透過型画像表示装置では、バックライトとして直下型の面光源装置を使用することがある。近年、光源として複数の発光素子を有する、直下型の面光源装置が使用されるようになってきている。
【0003】
例えば、直下型の面光源装置は、基板と、複数の発光素子と、複数の光束制御部材(レンズ)と、光拡散部材とを有する。発光素子は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。複数の発光素子は、基板上にマトリックス状に配置されている。各発光素子の上には、各発光素子から出射された光を基板の面方向に拡げる光束制御部材が配置されている。光束制御部材から出射された光は、光拡散部材により拡散され、被照射部材(例えば、液晶パネル)を面状に照らす(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1には、ハウジングと、ハウジング内で高さ方向へ緩やかな曲線に沿って上向き傾斜を有する反射板と、発光ダイオードチップとをそれぞれ含む複数の発光ダイオードレンズ(光束制御部材)を有するバックライトモジュールが記載されている。発光ダイオードレンズは、細長い底面と、底面から上向きに延長された一対の略半円形状の反射面と、底面および反射面を繋ぐように配置された出射面を有する。この発光ダイオードレンズは、側方に光が出射されるように配置されている。発光ダイオードレンズから出射された光は、反射板でハウジングの上側に配置されたLCDパネルに向けて反射される。このとき、反射板は緩やかに傾斜しているため、発光ダイオードレンズから出射された光は、LCDパネルを均一に照らす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1に記載されたような発光ダイオードチップおよび発光ダイオードレンズを用いて、細長い被照射面を照らすことが考えられる。この場合、発光ダイオードレンズは、その長軸を被照射面の長軸に沿うように配置される。しかしながら、特許文献1に記載されたような発光ダイオードレンズを用いて、細長い被照射面に光を照射する場合、被照射面以外の領域にまで光が到達してしまうことが考えられる。また、被照射面および発光ダイオードレンズの設置場所が限られたスペースしかない場合には、被照射面および発光ダイオードレンズが近距離となるように配置されるため、被照射面を均一に照らすことができないと考えられる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、被照射面を近距離から照らした場合であっても、被照射面を均一に照らすことができるとともに、被照射面以外の領域に光が到達することを抑制できる光束制御部材および照射装置を提供することである。また、本発明の別の目的は、当該光束制御部材を含む発光装置および当該照射装置を含む殺菌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]発光素子の光軸に交わるように前記発光素子の上に配置されたときに、前記発光素子から出射された光を拡げるように制御するための光束制御部材であって、裏側に開口した凹部の内面であって、前記発光素子から出射された光を入射させるための入射面と、表側に配置され、前記入射面で入射した光のうち、一部の光を異なる方向へ前記光軸から離れるように反射させるための2つの全反射面と、前記全反射面で反射した光を前記光軸に垂直な第1軸に沿う2方向に向けて外部に出射させるための2つの第1出射面と、2つの前記全反射面の間であって、前記光軸および前記第1軸に垂直な第2軸上の一部分に配置され、前記入射面で入射した光のうち、他の一部の光を拡げつつ外部に出射させるための第2出射面と、を有し、2つの前記全反射面は、それぞれ仮想半直線を回転軸として回転させたときの面の一部であり、2つの前記仮想半直線のそれぞれは、前記第1出射面と交わり、前記光束制御部材を平面視したときに、2つの前記仮想半直線の一端は前記第2軸上の同一の点にあり、かつ2つの前記仮想半直線がなす角は180°未満であり、前記光束制御部材を平面視したときに、2つの前記仮想半直線のなす前記角度は、前記第1軸を境に前記第2出射面の面積の大きい側に形成されている、光束制御部材。
[2]前記入射面は、前記発光素子と対向するように、前記第1軸に沿って配置された第1入射面と、前記第1軸と交差する第2入射面と、前記第1入射面および前記凹部の開口縁を繋ぎ、前記第2出射面に対応する位置であって、前記第2軸に沿う方向において前記光軸に対する前記一方の側に配置された第3入射面と、を有し、前記第1入射面は、前記発光素子から出射された光を前記全反射面または前記第1出射面に向けて入射させ、前記第2入射面は、前記発光素子から出射された光を前記第1出射面に向けて入射させ、前記第3入射面は、前記発光素子から出射された光を前記第2出射面に向けて入射させる、[1]に記載の光束制御部材。
[3]前記光束制御部材を平面視したときに、2つの前記仮想半直線は、前記第2軸を対称軸として線対称である、[1]または[2]に記載の光束制御部材。
[4]発光素子と、[1]~[3]のいずれか一項に記載の光束制御部材とを含む発光装置であって、3軸が互いに直交するXYZ座標系において、前記発光素子の光軸がZ軸と一致し、かつ前記発光素子の発光面の中心が前記XYZ座標系の原点に位置するように前記発光素子を配置し、前記第1軸がX軸と一致し、かつ前記X軸を境に前記第2出射面の面積の大きい側がY軸のプラス側に位置するように前記光束制御部材を配置したとき、2つの前記仮想半直線は、それぞれ、以下の条件(1)または条件(2)を満たす座標(XA,YA,ZA)および(XB,YB,ZB)を通る、発光装置。
(条件1) XA>0、YA>0、ZA>0、かつ XB<0、YB>0、ZB>0
(条件2) XA>0、YA>0、ZA<0、かつ XB<0、YB>0、ZB<0
[5]発光素子および前記発光素子から出射された光を拡げるための光束制御部材を含む発光装置と、長軸および短軸を含み、前記発光装置から出射された光が照射される被照射面と、を有し、3軸が互いに直交するXYZ座標系において、前記発光素子の光軸がZ軸と一致し、かつ前記発光素子の発光面の中心が前記XYZ座標系の原点に位置するように前記発光素子を配置し、Z軸のプラス側でZ軸と交わり、かつ前記X軸と前記長軸とが平行となるように、前記発光装置から出射された光を受ける向きで前記被照射面を配置したとき、前記光束制御部材は、前記Y軸および前記Z軸を含むYZ断面に対して対称であり、前記発光装置から以下の条件を満たす各点(Xn,Yn,Zn;n=1、2または3)へ向かう3方向にピークを有する輝度分布を有する、照射装置。
(方向1) X1>0、Y1>0、Z1>0かつX1>Y1、X1>Z1の方向
(方向2) X2<0、Y2>0、Z2>0かつ|X2|>Y2、|X2|>Z2の方向
(方向3) X3≒0、Y3>0かつZ3>0の方向
[6]前記発光素子および前記被照射面の最短距離は、前記短軸よりも短い、[5]に記載の照射装置。
[7]前記被照射面の短軸における中心位置は、前記Y軸のプラス側に配置されている、[5]に記載の照射装置。
[8]前記長軸の長さおよび前記短軸の長さの比は、4:1~8:1であり、前記X軸および前記Z軸を含むXZ断面において、前記光軸と、前記原点および前記被照射面の端部を結ぶ直線とがなす角度は、80°以上であり、90°未満である、[5]~[7]のいずれか一項に記載の照射装置。
[9]前記光束制御部材は、裏側に開口した凹部の内面であって、前記発光素子から出射された光を入射させるための入射面と、表側に配置され、前記入射面で入射した光のうち、一部の光を異なる方向へ前記光軸から離れるように反射させるための2つの全反射面と、前記全反射面で反射した光を前記光軸に垂直な第1軸に沿う2方向に向けて外部に出射させるための2つの第1出射面と、2つの前記全反射面の間であって、前記光軸および前記第1軸に垂直な第2軸上の一部分に配置され、前記入射面で入射した光のうち、他の一部の光を拡げつつ外部に出射させるための第2出射面と、を有し、2つの前記全反射面は、それぞれ仮想半直線を回転軸として回転させたときの面の一部であり、2つの前記仮想半直線のそれぞれは、前記第1出射面と交わり、前記光束制御部材を平面視したときに、2つの前記仮想半直線の一端は前記第2軸上の同一の点にあり、かつ2つの前記仮想半直線がなす角は180°未満であり、前記光束制御部材を平面視したときに、2つの前記仮想半直線のなす前記角度は、前記第1軸を境に前記第2出射面の面積の大きい側に形成されている、[5]~[8]のいずれか一項に記載の照射装置。
[10]前記発光素子から出射される光は、紫外線である、[5]~[9]のいずれか一項に記載の照射装置。
[11][5]~[10]のいずれか一項に記載の照射装置を含む殺菌装置。
【0009】
本発明の殺菌装置は、本発明の照射装置を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被照射面を近距離から照らした場合であっても、被照射面を均一に照らすことができるとともに、被照射面以外の領域に光が到達することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1A、Cは、実施の形態1の照射装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2A~Dは、実施の形態1の光束制御部材の構成を示す図である。
【
図3】
図3A~Dは、実施の形態1の光束制御部材の断面図である。
【
図4】
図4A~Cは、仮想半直線を説明するための図である。
【
図6】
図6A~Eは、被照射面における照度分布である。
【
図7】
図7A、Bは、発光装置から出射される光の光度分布を説明するための図である。
【
図8】
図8A、Bは、発光装置から出射される光の光度分布を説明するための図である。
【
図9】
図9A、Bは、発光装置から出射される光の光度分布を説明するための図である。
【
図10】
図10A~Cは、発光装置から出射される光の光度分布を説明するための図である。
【
図11】
図11A~Dは、実施の形態2の光束制御部材の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る一実施の形態に係る照射装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[実施の形態1]
(照射装置の構成)
図1Aは、実施の形態1の照射装置100の底面図であり、
図1Bは、正面図であり、
図1Cは、左側面図である。
【0014】
図1A~Cに示されるように、照射装置100は、発光素子111および光束制御部材112を含む発光装置110と、被照射面120とを有する。照射装置100は、発光装置110から出射される光が紫外線の場合には、殺菌装置(1000)として機能することができる。
【0015】
発光装置110は、被照射面120に対して所定の位置に配置されており、被照射面120に向けて光を照射する。本実施の形態では、発光装置110は、図外のホルダーに固定されている。発光装置110は、発光素子111と、光束制御部材112とを有する。発光装置110の数は、特に限定されない。発光装置110の数は、1つでもよいし、複数でもよい。本実施の形態では、発光装置110の数は、1つである。また、本実施の形態では、発光素子111の光軸OAと、光束制御部材112の中心軸CAとは、一致している。なお、発光素子111の光軸OAとは、発光素子111からの立体的な出射光束のうち、中心の光線を意味する。また、光束制御部材112の中心軸CAとは、第3軸D3に平行であって、入射面113における第1軸A1の中心を通り、かつ入射面113における第2軸A2の中心を通る(
図2D参照)。発光装置110と、被照射面120との位置関係については、後述する。
【0016】
発光素子111は、所定の波長の光を出射する。発光素子111の種類は、所定の光を出射できれば特に限定されない。発光素子111から出射される光は、可視光線でもよいし、紫外線でもよい。発光素子111の例には、発光ダイオード(LED)、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、レーザーダイオード(LD)が含まれる。発光素子111から紫外線が出射される場合、紫外線の中心波長またはピーク波長は、200nm以上350nm以下が好ましい。発光素子111から出射される紫外線の中心波長またはピーク波長は、殺菌効率の観点から、250nm以上290nm以下がより好ましい。すなわち、紫外線は、紫外線C波(UVC)がより好ましい。
【0017】
(光束制御部材の構成)
図2Aは、光束制御部材112の平面図であり、
図2Bは、正面図であり、
図2Cは背面図であり、
図2Dは底面図である。
図3Aは、光束制御部材112の右側面図であり、
図3Bは、
図2Aに示されるA-A線の断面図であり、
図3Cは、
図2Aに示されるB-B線の断面図であり、
図3Dは、
図2Aに示されるC-C線の断面図である。
図4Aは、仮想半直線LSを説明するための光束制御部材112の平面図であり、
図4Bは、仮想半直線LSを説明するための光束制御部材112の底面図であり、
図4Cは、仮想半直線LSを説明するための光束制御部材112の右側面図である。以下の説明では、発光素子111の光軸OAに垂直な第1軸A1に沿う2方向をX方向D1とし、発光装置110を平面視したときに、第1軸A1に垂直な第2軸A2に沿う2方向をY方向D2とし、第1軸A1および第2軸A2に垂直な第3軸A3に沿う2方向をZ方向D3とする。また、3軸が互いに直交するXYZ座標系において、X方向D1はX軸に平行であり、Y方向D2はY軸に平行であり、Z方向はZ軸に平行である。なお、本実施の形態では、第1軸A1はX軸と一致しており、第2軸A2はY軸と一致しており、第3軸A3は光軸OAおよびZ軸と一致している。
【0018】
光束制御部材112は、発光素子111の光軸OAに交わるように発光素子111の上に配置されたときに、発光素子111から出射された光を拡げるように制御する部材である。
図2A~Dおよび
図3A~Dに示されるように、光束制御部材112は、入射面113と、2つの全反射面114と、2つの第1出射面115と、第2出射面116とを有する。本実施の形態では、光束制御部材112は、光軸OA(Z軸)および第2軸A2(Y軸)を含む平面(YZ平面)を境に面対称の形状である。
【0019】
入射面113は、裏側に開口した凹部の内面であって、発光素子111から出射された光を光束制御部材112の内部に入射させる。入射面113の構成は、特に限定されない。本実施の形態では、入射面113は、第1入射面117と、第2入射面118と、第3入射面119とを有する。
【0020】
第1入射面117は、発光素子111と対向するように、第1軸A1に沿って配置されている。本明細書において、第1軸A1に沿う方向とは、第1軸A1と平行でもよいし、第1軸A1に対して±20°の範囲で傾斜していることを含むものとする。本実施の形態では、第1入射面117は、光軸OAおよび第1軸A1(X軸)を含む平面(XZ平面)で切断した断面において、2つの直線で構成されている(
図3C参照)。具体的には、X方向D1において、光軸OAに近づくにつれて、表側に近づくように構成されている。また、第1入射面117は、光軸OA(Z軸)および第2軸A2(Y軸)を含む平面(YZ平面)で切断したときに、曲線状に形成されている(
図3D参照)。第1入射面117は、発光素子111から出射された光を全反射面114または第1出射面115に向けて入射させる。
【0021】
第2入射面118は、第1入射面117および凹部121の開口縁を繋ぎ、光軸OAに沿って配置されている。ここで、光軸OAに沿う方向とは、光軸OAと平行でもよいし、光軸OAに対して±5°の範囲で傾斜していることを含むものとする。具体的には、本実施の形態では、第2入射面118は、凹部121の底面から凹部121の開口縁に向かうにつれて、光軸OA(第3軸D3)に近づくように傾斜している(
図3C参照)。第2入射面118は、発光素子111から出射された光を第1出射面115に向けて入射させる。
【0022】
第3入射面119は、第1入射面117および凹部121の開口縁を繋ぎ、第2出射面116に対応する位置であって、第2軸A2に沿う方向(Y方向D2)において光軸OAに対する一方の側に配置されている。第3入射面119は、光軸OA(Z軸)および第1軸A1(X軸)を含む平面(XZ平面)で切断した断面において、曲線状に形成されている。また、第3入射面119は、光軸OA(Z軸)および第2軸A2を含む平面(YZ平面)で切断した断面において、曲線状に形成されている。具体的には、第3入射面119は、略半球状に形成されている(
図2D、
図3D参照)。第3入射面119は、発光素子111から出射された光を第2出射面116に向けて入射させる。
【0023】
2つの全反射面114は、表側に配置され、入射面113で入射した光のうち、一部の光を異なる方向へ光軸OAから離れるように反射させる。本実施の形態では、2つの全反射面114は、表側に配置され、入射面113で入射した光を光軸OAに垂直な第1軸A1に沿う2方向(X方向D1)に向けて、光軸OAから離れるように反射させる。すなわち、2つの全反射面114は、到達した光を2つの第1出射面115に向けてそれぞれ反射させる。
【0024】
全反射面114は、第1軸A1(X軸)および第3軸A3(Z軸)を含む平面(XZ平面)で切断した断面において、中心軸CAを中心として、中心から両端部に向かうにつれて、裏面122からの高さが高くなるように形成されている。より具体的には、全反射面114は、第1軸A1(X軸)および第3軸A3(Z軸)を含む平面(XZ平面)で切断した断面において、中心から端部に向かうにつれて、接線の傾きが徐々に小さくなるようにそれぞれ形成されている。なお、全反射面114は、第3軸(Z軸)に沿う方向の光が全反射するように設計されていることが好ましい。
【0025】
図4A~Cに示されているように、2つの全反射面114は、それぞれ仮想半直線LSを回転軸として曲線を回転させたときの面の一部である。すなわち、本実施の形態では、仮想半直線LSは、2つである。光束制御部材112を平面視したときに、2つの仮想半直線LSの一端は第2軸A2上の同一の点にあり、かつ2つの仮想半直線LSがなす角度は180°未満である。2つの仮想半直線LSのそれぞれは、第1出射面115と交わる。具体的には、
図4A、Bの左側の仮想半直線は
図4A、Bの左側の第1出射面115と交わり、
図4A、Bの右側の仮想半直線は
図4A、Bの右側の第1出射面115と交わる。すなわち、2つの仮想半直線のぞれぞれは、対応する第2軸A2(Y軸)を境に対応する第1出射面115と交わる。
【0026】
第2軸A2上における仮想半直線LSの一端の位置は、特に限定されない。第2軸A2上における仮想半直線LSの一端の位置は第2軸A2(Y軸)のプラス側に配置されていてもよいし、マイナス側に配置されていてもよいし、原点に配置していてもよい。本実施の形態では、第2軸A2上における仮想半直線LSの一端の位置は、XYZ座標系における原点と同じ位置である。
【0027】
2つの線分LSのなす角度θ1は、第2出射面116の面積の大きい側に形成されている。ここで、第2出射面116の面積の大きい側とは、光束制御部材112を平面視したときに、第1軸A1(X軸)を境に第2出射面116の面積の大きい側を意味する。本実施の形態では、第2出射面116は、第1軸A1(X軸)を境に第2軸A2の一方の側(Y軸のプラス側)のみに配置されている。よって、本実施の形態では、第2出射面116の面積の大きい側は、第1軸A1(X軸)を境に第2軸の一方の側(Y軸のプラス側)を意味する。
【0028】
2つの仮想半直線LSは、光束制御部材112を平面視したときに、第2軸A2を対称軸として線対称である。すなわち、光軸OAおよび一方の仮想半直線LSがなす角度と、光軸OAおよび他方の仮想半直線LSがなす角度とは、同じ角度である。
【0029】
また、仮想半直線LSは、以下に示す点を通ると言い換えることができる。
図4A~Cに示されるように、3軸が互いに直交するXYZ座標系において、発光素子111の光軸OAがZ軸と一致し、かつ発光素子111の発光面の中心がXYZ座標系の原点に位置するように発光素子111を配置する。第1軸A1がX軸と一致し、かつ第2出射面116の面積の大きい側がY軸のプラス側に位置するように光束制御部材112を配置したとき、2つの仮想半直線LSは、それぞれ、以下の条件(1)または条件(2)を満たす座標(XA、YA、ZA)および(XB、YB、ZB)を通る。
(条件1) XA>0、YA>0、ZA>0、かつ XB<0、YB>0、ZB>0
(条件2) XA>0、YA>0、ZA<0、かつ XB<0、YB>0、ZB<0
本実施の形態では、仮想半直線LSは、条件(2)を満たす。
【0030】
2つの第1出射面115は、全反射面114で反射した光のうち、少なくとも一部の光(主要光)を光軸OAに垂直な第1軸A1(X軸)に沿う2方向(X方向D1)に向けて外部に出射させる。2つの第1出射面115は、2つの全反射面114を挟むように配置され、全反射面114で反射した光を外部に出射させる。第1出射面115の構成は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。第1出射面115は、1つの面で構成されていてもよいし、複数の面で構成されていてもよい。本実施の形態では、第1出射面115は、1つの曲面で構成されている。具体的には、第1出射面115は、円形状でもよい。本実施の形態では、第1出射面115は、円錐の側面様に形成されている。また、第1出射面115は、円錐の中心軸が第1軸A1に対して傾斜しているように配置されている。なお、円錐の中心軸は、仮想半直線LSと一致していてもよい。第1軸A1に対する円錐の中心軸の傾斜角度は、第1出射面115から出射される光を被照射面120の長軸方向に効率良く光を照射できれば特に限定されない。これにより、発光素子111から出射された光の一部は、発光素子111および被照射面120が近い場合でも、被照射面120の長軸方向に適切に光を照射できる。ここで、主要光とは、全反射面114で反射した光を100%としたときに、90%以上の光を意味する。なお、第1出射面115は、全反射面114で反射した光の全てを出射させることが好ましい。
【0031】
第2出射面116は、2つの全反射面114の間であって、光軸OAおよび第1軸A1に垂直な第2軸A2上の一部分に配置され、入射面113で入射した光のうち、他の一部の光を拡げつつ外部に出射させる。本実施の形態では、第2出射面116は、YZ断面およびXZ断面において、出射される光を拡げる。第2出射面116の構成は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。第2出射面116は、1つの面で構成されていてもよいし、複数の面で構成されていてもよい。本実施の形態では、第2出射面116は、1つの曲面で構成されている。第2出射面116は、光軸OA(Z軸)および第2軸D2(Y軸)を含む平面(YZ平面)で切断した断面において、曲線状に形成されている。全反射面114に対する第2出射面116の大きさは、被照射面120に応じて適宜設定される。本実施の形態では、第2出射面116は、切り欠き部131を有する。切り欠き部131は、光束制御部材112の表側に配置されている。切り欠き部131は、全反射面114に到達する光の光量と、第2出射面116に到達する光の光量とを調整する。切り欠き部131の大きさは、上記の機能に基づいて適宜設定される。
【0032】
被照射面120は、発光装置110によって光を照射される。被照射面120の大きさは、特に限定されない。被照射面120の大きさは適宜設定される。被照射面120の形状も特に限定されない。本実施の形態では、被照射面120は、長軸L1および短軸L2を有する。ここで「長軸L1」とは被照射面120を平面視したときに最も長い線分を意味する。また「短軸L2」とは被照射面120を平面視したときに最も短い線分を意味する。被照射面120は、平面でもよいし、曲面でもよい。長軸の長さおよび短軸L2の長さの比は、4:1~8:1であることが好ましい。
【0033】
ここで、
図1を参照して、被照射面120と、発光装置110との位置関係について説明する。
図1A~Cに示されるように、照射装置100は、3軸(X軸、Y軸およびZ軸)が互いに直交するXYZ座標系において、以下のように配置される。
【0034】
図1A~Cに示されるように、発光素子111は、発光素子111の光軸OAがZ軸と一致し、かつ発光素子111の発光面の中心がXYZ座標系の原点に位置するように配置される。光束制御部材112は、第2軸A2(Y軸)および第3軸A3(Z軸)を含む平面(YZ平面)に対して対称となるように、第1軸A1がX軸と平行となるように、かつ第2出射面116の面積の大きい側がY軸のプラス側に位置するように配置される。被照射面100は、その短軸における中心位置がZ軸のプラス側でZ軸と交わり、かつX軸と長軸L1とが平行となるように、発光装置110から出射された光を受ける向きで配置される。
【0035】
発光素子111および被照射面120の最短距離D1は、短軸L2よりも短いことが好ましい。第1軸A1(X軸)および第3軸A3(Z軸)を含む平面(XZ断面)で切断した断面において、光軸OAと、XYZ座標系の原点および被照射面120の端部を結ぶ直線とがなす角度θ2は、80°以上であり、90°未満であることが好ましい。このように、発光素子111と、被照射面120とは、近くに配置されている。
【0036】
(光路図および照度分布)
ここで、発光装置110における光路図と照射装置100の被照射面120における照度分布とについて説明する。ここでは、被照射面120の長軸L1の長さと、短軸L2の長さと、発光素子111の発光面および被照射面120の距離D1との比は、43.3:6.6:1とした。また、短軸L2の長さと、短軸L2の中心および発光素子111の光軸OAの長さとの比は、20:7とした。
【0037】
図5Aは、第1軸A1(X軸)および第3軸A3(Z軸)を含む平面(XZ平面)で切断した断面において、第1入射面117および第2入射面118で入射した光の光路図であり、
図5Bは、第2軸A2(Y軸)および第3軸A3(Z軸)を含む平面(YZ平面)で切断した断面において、第3入射面119で入射した光の光路図である。なお、
図5Aでは、XZ平面で切断した断面において、光軸OAに対して左側半分に向かって出射した光のみを図示しており、
図5Bでは、YZ平面で切断した断面において、光軸OAに対して右側半分に向かって出射した光のみを図示している。
【0038】
図6A~Eは、被照射面120における光の照度分布である。
図6Aは、第1入射面117または第2入射面118で入射し、第1出射面115で出射した光の照度分布であり、
図6Bは、第3入射面119で入射し、第1出射面115で出射した光の照度分布であり、
図6Cは、第1入射面117または第2入射面118で入射し、第2出射面116で出射した光の照度分布であり、
図6Dは、第3入射面119で入射し、第2出射面116で出射した光の照度分布であり、
図6Eは、第1入射面117または第2入射面118で入射し、第1出射面115および第2出射面116で出射した光の照度分布である。
図6A~Eの横軸は、長軸L1の中心からの距離であり、縦軸は、短軸L2の中心からの距離である。
【0039】
図5Aおよび
図6Aに示されるように、第1軸A1(X軸)および第3軸A3(Z軸)を含む平面(XZ平面)で切断した断面において、発光素子111の発光中心から出射された光のうち、発光素子111の光軸に対する角度(出射角度)が小さな光は、第1入射面117で光束制御部材112の内部に入射する。第1入射面117で入射した光のうち、光軸OAに対する角度が小さな光は、全反射面114に到達する。全反射面114に到達した光は、第1出射面115に向けて内部反射する。全反射面114で反射された光は、第1出射面115から外部に出射される。また、
図5Aに示されるように、第1入射面117で入射した光のうち、光軸OAに対する角度が大きな光は、全反射面114に到達することなく、第1出射面115から外部に出射される。
【0040】
図5Aおよび
図6Aに示されるように、第1軸A1(X軸)および第3軸A3(Z軸)を含む平面(XZ平面)で切断した断面において、発光素子111の発光中心から出射された光のうち、発光素子111の光軸に対する角度(出射角度)がさらに大きな光は、第2入射面118で光束制御部材112の内部に入射する。第2入射面118で入射した光は、第1出射面115から出射される。このとき、XZ平面で切断した断面において、第2出射面116の頂点よりも裏側(裏面122側)で出射された光は上側に向かって屈折する。一方、XZ平面で切断した断面において、第2出射面116の頂点よりも表側で出射された光はわずかに集光しながら進行する。
【0041】
図5Bおよび
図6Dに示されるように、YZ平面で切断した断面において、発光素子111の発光中心から出射された光のうち、一部の光は、第3入射面119で光束制御部材112の内部に入射する。第3入射面119で入射した光は、第2出射面116で拡げられるように出射する。具体的には、第3入射面119で入射した光は、Y方向D2のプラス側のみに拡げられる。被照射面120は、Y方向D2のマイナス側に配置されているため、第3入射面119で入射した光は、被照射面120のY方向D2を照射できる。また、XZ平面で切断した断面においては、X方向X1のプラス側およびマイナス側に拡げられる。なお、
図5Bにおいて、YZ平面で切断した断面において、発光素子111の発光面の中心から出射され、光軸OAに対して左半分に向かって出射した光は、全反射面114で全反射されるため図示していない。
【0042】
また、
図6Bに示されるように、第3入射面119で入射した光のうち、一部の光は、第1出射面115で出射する。また、
図6Cに示されるように、第1入射面117または第2入射面118で入射した光のうち、一部の光は、第2出射面116で出射する。
【0043】
図6Eに示されるように、第1入射面117または第2入射面118で入射し、第1出射面115および第2出射面116で出射した光および第3入射面119で入射し第3入射面119で入射した光は、被照射面120全体を照らすことができる。
【0044】
(光度分布)
照射装置100における光度分布についてシミュレーションした。
図7Aは、光度の測定方向を示した照射装置100の模式図であり、
図7Bは、シミュレーション結果である。
図8Aは、光度の測定方向を示した照射装置100の模式図であり、
図8Bは、シミュレーション結果である。
図9Aは、光度の測定方向を示した照射装置100の模式図であり、
図9Bは、シミュレーション結果である。
図10A、Bは、光度の測定方向を示した照射装置100の模式図であり、
図10Cは、シミュレーション結果である。
【0045】
図7A、B、
図8A、B、
図9A、Bおよび
図10A~Cに示されるように、発光素子111から出射された光のうち、一部の光は、光束制御部材112を平面視したときに、±90°の方向に出射される。また、発光素子111から出射された光のうち、一部の光は、照射装置100を側面視したときに、-60°の方向に出射される。
【0046】
具体的には、3軸が互いに直交するXYZ座標系において、発光素子111の光軸OAがZ軸と一致し、かつ発光素子111の発光面の中心がXYZ座標系の原点に位置するように発光素子111を配置し、Z軸のプラス側でZ軸と交わり、かつX軸と長軸L1とが平行となるように、発光装置110から出射された光を受ける向きで被照射面120を配置したとき、発光装置110から以下の条件を満たす各点(Xn,Yn,Zn;n=1、2または3)へ向かう3方向にピークを有する輝度分布を有する。
(方向1) X1>0、Y1>0、Z1>0かつX1>Y1、X1>Z1の方向
(方向2) X2<0、Y2>0、Z2>0かつ|X2|>Y2、|X2|>Z2の方向
(方向3) X3≒0、Y3>0かつZ3>0の方向
ここで、X3≒0は、Y軸に沿って見た場合、Z軸に沿う方向を0°とした場合に、±5°の範囲を意味する。
【0047】
ここで、点(X1、Y1、Z1)および点(X1、Y1、Z1)は、
図7Bおよび
図8Bの±90°の方向に出射される光に相当する。また、点(X3、Y3、Z3)は、
図9Bの-60°の方向に出射される光に相当する。
【0048】
(効果)
以上のように、本実施の形態の照射装置100は、第1出射面115と、2つの第1出射面115の間に、第2軸A2に沿う方向の一方の側に配置された第2出射面116とが配置されているため、被照射面120を近距離から照らした場合であっても、被照射面120を均一に照らすことができるとともに、被照射面120以外の領域に光が到達することを抑制できる。
【0049】
[実施の形態2]
次に、実施の形態2に係る照射装置について説明する。本実施の形態に係る照射装置は、光束制御部材212の構成が実施の形態1の照射装置100と異なる。そこで、ここでは、主として光束制御部材212の構成について説明する。実施の形態1と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0050】
(照射装置および光束制御部材の構成)
本実施の形態に係る照射装置は、発光素子111および光束制御部材212を含む発光装置210と、被照射面120とを有する。
【0051】
【0052】
図11A~Dおよび
図12A~Dに示されるように、光束制御部材212は、入射面213と、2つの全反射面214と、2つの第1出射面115と、第2出射面216とを有する。なお、全反射面214および第1出射面115は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0053】
入射面213は、第1入射面217と、第2入射面218と、第3入射面119とを有する。本実施の形態では、第1入射面217は、光軸OA(Z軸)および第1軸A1(X軸)を含む平面(XZ平面)で切断した断面において、略直線状に形成されている。具体的には、第1入射面117は、X方向D1において光軸OAから離れるにつれて、全反射面114側に近づくように(Z方向D3のプラス側に向けて)傾斜している(
図12C参照)。
【0054】
第2入射面218は、光軸OA(Z軸)および第1軸A1(X軸)を含む平面(XZ平面)で切断した断面において、略直線状に形成されている。具体的には、第2入射面218は、X方向D1において光軸OAから離れるにつれて、裏面122に近づくように(Z方向D3のマイナス側に向けて)傾斜している(
図12C参照)。
【0055】
本実施の形態では、第2出射面216は、切り欠き部131を有していない。
【0056】
全反射面214は、第1軸A1(X軸)および第3軸A3(Z軸)を含む平面(XZ平面)で切断した断面において、中心軸CAを中心として、中心から両端部に向かうにつれて、裏面122からの高さが高くなるように形成されている。より具体的には、全反射面214は、第1軸A1(X軸)および第3軸A3(Z軸)を含む平面(XZ平面)で切断した断面において、中心から端部に向かうにつれて、接線の傾きが徐々に小さくなるようにそれぞれ形成されている。なお、全反射面214は、第3軸(Z軸)に沿う方向の光が全反射するように設計されていることが好ましい。
【0057】
図13A~Cに示されているように、2つの全反射面214は、それぞれ仮想半直線LSを回転軸として曲線を回転させたときの面の一部である。すなわち、本実施の形態では、仮想半直線LSは、2つである。光束制御部材112を平面視したときに、2つの仮想半直線LSの一端は第2軸A2上の同一の点にあり、かつ2つの仮想半直線LSがなす角度は180°未満である。
【0058】
第2軸A2上における仮想半直線LSの一端の位置は、特に限定されない。第2軸A2上における仮想半直線LSの一端の位置は第2軸A2(Y軸)のプラス側に配置されていてもよいし、マイナス側に配置されていてもよいし、原点に配置していてもよい。本実施の形態では、第2軸A2上における仮想半直線LSの一端の位置は、XYZ座標系における原点と同じ位置である。
【0059】
2つの線分LSのなす角度θ1は、第2出射面216の面積の大きい側に形成されている。ここで、第2出射面216の面積の大きい側とは、光束制御部材112を平面視したときに、第1軸A1(X軸)を境に第2出射面216の面積の大きい側を意味する。本実施の形態では、第2出射面216は、第1軸A1(X軸)を境に第2軸A2の一方の側(Y軸のプラス側)のみに配置されている。よって、本実施の形態では、第2出射面216の面積の大きい側は、第1軸A1(X軸)を境に第2軸の一方の側(Y軸のプラス側)を意味する。
【0060】
2つの仮想半直線LSは、光束制御部材212を平面視したときに、第2軸A2を対称軸として線対称である。すなわち、光軸OAおよび一方の仮想半直線LSがなす角度と、光軸OAおよび他方の仮想半直線LSがなす角度とは、同じ角度である。
【0061】
また、仮想半直線LSは、以下に示す点を通ると言い換えることができる。
図13A~Cに示されるように、3軸が互いに直交するXYZ座標系において、発光素子111の光軸OAがZ軸と一致し、かつ発光素子111の発光面の中心がXYZ座標系の原点に位置するように発光素子111を配置する。第1軸A1がX軸と一致し、かつ第2出射面216の面積の大きい側がY軸のプラス側に位置するように光束制御部材212を配置したとき、2つの仮想半直線LSは、それぞれ、以下の条件(1)または条件(2)を満たす座標(XA、YA、ZA)および(XB、YB、ZB)を通る。
(条件1) XA>0、YA>0、ZA>0、かつ XB<0、YB>0、ZB>0
(条件2) XA>0、YA>0、ZA<0、かつ XB<0、YB>0、ZB<0
本実施の形態では、仮想半直線LSは、条件(1)を満たす。
【0062】
(光路図および照度分布)
ここで、発光装置210における光路図および照射装置の被照射面120における照度分布について説明する。ここでは、被照射面120の長軸L1の長さと、短軸L2の長さと、発光素子111の発光面および被照射面120の距離D1との比は、43.3:6.6:1とした。また、短軸L2の長さと、短軸L2の中心および発光素子111の光軸OAの長さとの比は、20:7とした。
【0063】
図14Aは、光軸OAおよび第1軸A1(X軸)を含む平面(XZ平面)で切断した断面において、第1入射面217および第2入射面118で入射した光の光路図であり、
図14Bは、光軸OAおよび第2軸A2(Y軸)を含む平面(YZ平面)で切断した断面において、第3入射面119で入射した光の光路図である。なお、
図14Aでは、XZ平面で切断した断面において、光軸OAに対して左側半分に向かって出射した光のみを図示しており、
図14Bでは、XZ平面で切断した断面において、光軸OAに対して右側半分に向かって出射した光のみを図示している。
【0064】
図15A~Eは、被照射面120における光の照度分布である。
図15Aは、第1入射面217および第2入射面118で入射し、第1出射面115で出射した光の照度分布であり、
図15Bは、第3入射面119で入射し、第1出射面115で出射した光の照度分布であり、
図15Cは、第1入射面217および第2入射面118で入射し、第2出射面216で出射した光の照度分布であり、
図15Dは、第3入射面119で入射し、第2出射面216で出射した光の照度分布であり、
図15Eは、第1入射面217および第2入射面118で入射し、第1出射面115および第2出射面216で出射した光の照度分布である。
図15A~Eの横軸は、長軸L1の中心からの距離であり、縦軸は、短軸L2の中心からの距離である。
【0065】
図14Aおよび
図15Aに示されるように、第1軸A1(X軸)および第3軸A3(Z軸)を含む平面(XZ平面)で切断した断面において、発光素子111の発光中心から出射された光のうち、発光素子111の光軸に対する角度(出射角度)が小さな光は、第1入射面217で光束制御部材112の内部に入射する。第1入射面217で入射した光のうち、光軸OAに対する角度が小さな光は、全反射面114に到達する。全反射面114に到達した光は、第1出射面115に向けて内部反射する。全反射面114で反射された光は、第1出射面115から外部に出射される。また、
図14Aに示されるように、第1入射面217で入射した光のうち、光軸OAに対する角度が大きな光は、全反射面114に到達することなく、第1出射面115から外部に出射される。
【0066】
図14Aおよび
図15Aに示されるように、XZ平面で切断した断面において、発光素子111の発光中心から出射された光のうち、発光素子111の光軸に対する角度(出射角度)がさらに大きな光は、第2入射面118で光束制御部材112の内部に入射する。第2入射面118で入射した光は、第1出射面115から出射される。このとき、XZ平面で切断した断面において、第2出射面216の頂点よりも裏側(裏面122側)で出射された光は上側に向かって屈折する。一方、XZ平面で切断した断面において、第2出射面216の頂点よりも表側で出射された光はほぼ屈折することなく進行する。
【0067】
図14Bおよび
図15Dに示されるように、YZ平面で切断した断面において、発光素子111の発光中心から出射された光のうち、一部の光は、第3入射面119で光束制御部材112の内部に入射する。第3入射面119で入射した光は、第2出射面216で拡げられるように出射する。なお、
図14Bにおいて、YZ平面で切断した断面において、発光素子111の発光中心から出射され、光軸OAに対して左半分に向かって出射した光は、全反射面114で全反射されるため図示していない。
【0068】
また、
図15Bに示されるように、第3入射面119で入射した光のうち、一部の光は、第1出射面115で出射する。また、
図15Cに示されるように、第1入射面217および第2入射面218で入射した光のうち、一部の光は、第2出射面216で出射する。
【0069】
図15Eに示されるように、第1入射面217および第2入射面218で入射し、第1出射面115および第2出射面216で出射した光は、被照射面120全体を照らすことができる。
【0070】
(効果)
以上のように、本実施の形態の照射装置100は、実施の形態1と同様の効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係る光束制御部材は、例えば、液晶表示装置のバックライトや看板、一般照明、殺菌装置などに適用できる。
【符号の説明】
【0072】
100 照射装置
111 発光素子
112、212 光束制御部材
113、213 入射面
114、214 全反射面
115 第1出射面
116、216 第2出射面
117、217 第1入射面
118、218 第2入射面
119 第3入射面
120 被照射面
121 凹部
122 裏面