(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165051
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】X線検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 23/04 20180101AFI20241121BHJP
G01N 23/046 20180101ALI20241121BHJP
G21F 3/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G01N23/04
G01N23/046
G21F3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080875
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521277589
【氏名又は名称】TMS株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000241902
【氏名又は名称】北海道瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】水谷 博成
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 登
(72)【発明者】
【氏名】宗 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕信
(72)【発明者】
【氏名】清水 忠夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 亘
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 邦彦
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA03
2G001DA09
2G001GA13
2G001HA13
2G001HA14
2G001JA08
2G001KA03
2G001LA02
2G001LA03
2G001MA06
2G001PA16
2G001QA01
2G001QA10
2G001SA02
2G001SA14
(57)【要約】
【課題】本開示は、周辺におけるX線線量を低減するX線検査装置を提供する。
【解決手段】X線照射部と、X線検出部と、検査対象を両側から挟んで取り付けられ、前記X線照射部及び前記X線検出部を覆って設けられる筐体と、を備え、前記筐体は、前記X線照射部から照射されるX線を遮蔽するX線検査装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線照射部と、
X線検出部と、
検査対象を両側から挟んで取り付けられ、前記X線照射部及び前記X線検出部を覆って設けられる筐体と、
を備え、
前記筐体は、前記X線照射部から照射されるX線を遮蔽する、
X線検査装置。
【請求項2】
前記筐体は、
前記X線照射部が取り付けられる第1筐体と、
前記X線検出部が取り付けられる第2筐体と、
を備える、
請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記第1筐体は、前記第2筐体に蝶番により連結される、
請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記検査対象が貫通する開口を備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記開口に、複数のローラを備える、
請求項4に記載のX線検査装置。
【請求項6】
前記X線照射部は、コリメータを備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のX線検査装置。
【請求項7】
前記X線検出部における近傍に、反射防止シールドを備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のX線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、放射線源と、放射線を検出する撮像パネルと、撮像パネルに対し放射線源とは逆側に重ねて配置して撮像パネルから出射される放射線を遮蔽するための遮蔽板とを備える非破壊検査装置が開示されている。特許文献1には、撮像パネル及び遮蔽板が、湾曲可能なフレキシブル性を有することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既設の配管等を、設置された現場において、X線検査装置で測定することが求められている。現場でX線検査装置を用いる場合、X線検査装置の周辺におけるX線線量を低減することが求められている。
【0005】
本開示は、周辺におけるX線線量を低減するX線検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様によれば、X線照射部と、X線検出部と、検査対象を両側から挟んで取り付けられ、前記X線照射部及び前記X線検出部を覆って設けられる筐体と、を備え、前記筐体は、前記X線照射部から照射されるX線を遮蔽するX線検査装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のX線検査装置によれば、周辺におけるX線線量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るX線検査装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るX線検査装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るX線検査装置の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るX線検査装置における上筐体の斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係るX線検査装置における上筐体の底面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るX線検査装置における下筐体の斜視図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係るX線検査装置の設置について説明する図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係るX線検査装置の設置について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0010】
なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0011】
平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右及び前後等の方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、それぞれ略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0012】
例えば、略平行は、2つの線あるいは2つの面が互いに完全に平行でなくても、製造上許容される範囲内であれば互いに平行として扱うことができることを意味する。他の略直角、略直交、略水平及び略垂直のそれぞれについても、略平行と同様に、2つの線又は2つの面の相互の位置関係が製造上許容される範囲内であればそれぞれに該当することが意図される。
【0013】
≪本実施形態に係るX線検査装置≫
本実施形態に係るX線検査装置について説明する。本実施形態に係るX線検査装置は、X線照射部と、X線検出部と、検査対象を両側から挟んで取り付けられ、X線照射部及びX線検出部を覆って設けられる筐体と、を備える。本実施形態に係るX線検査装置における筐体は、X線照射部から照射されるX線を遮蔽する。
【0014】
本実施形態に係るX線検査装置は、例えば、既設の配管等の現場に設置されている検査対象を検査するのに用いられる。本実施形態に係るX線検査装置の検査対象は、例えば、配管、煙突、電柱等である。本実施形態に係るX線検査装置の検査対象が配管の場合、例えば、配管の肉厚、溶接部分の欠陥等を、配管が設定されている現場において検査できる。また、本実施形態に係るX線検査装置の検査対象が煙突又は電柱の場合、例えば、煙突又は電柱の内部の鉄筋の状態を、煙突又は電柱が設定されている現場において検査できる。なお、本実施形態に係るX線検査装置の検査対象は上記の例に限らず、筐体により覆うことができる対象であれば検査できる。
【0015】
図1及び
図2のそれぞれは、本実施形態に係るX線検査装置の一例であるX線検査装置1の斜視図である。なお、
図2は、
図1とは異なる方向から見た斜視図である。
図3は、本実施形態に係るX線検査装置の一例であるX線検査装置1の分解斜視図である。
【0016】
X線検査装置1は、筐体30の内部を貫通する検査対象について、X線透過画像を生成する。X線検査装置1は、X線照射部10と、X線検出部20と、筐体30と、を備える。筐体30は、上筐体31と、下筐体32と、を備える。上筐体31は、X線照射部10を保持する。下筐体32は、X線検出部20を保持する。上筐体31は、下筐体32に蝶番33及び蝶番34により連結される。
【0017】
[X線照射部10]
X線照射部10は、X線を発生させ、発生したX線を検査対象に照射する。X線照射部10は、例えば、X線の発生源としてX線管を備える。X線照射部10に用いられるX線管は、いわゆる、マイクロフォーカスX線管である。すなわち、X線照射部10に用いられるX線管の焦点サイズは、例えば、数100マイクロメートル程度である。
【0018】
X線照射部10は、照射するX線の範囲を所望の範囲内に抑えるために、コリメータ11(
図5参照)を備える。X線照射部10は、照射口10a(
図5参照)の周囲に、コリメータ11を備える。コリメータ11は、X線照射部10から照射されるX線が、X線検出部20におけるX線受像面21の範囲内に収まるように、X線照射部10から照射されるX線の照射範囲を調整する。
【0019】
[X線検出部20]
X線検出部20は、X線照射部10から照射されるX線を検出する。X線検出部20は、X線照射部10から照射され、検査対象を透過したX線を検出する。なお、X線検出部20は、X線照射部10から照射され、直接、X線検出部20に到達するX線を検出してもよい。X線検出部20は、平面視略矩形をなすパネル状である。X線検出部20は、いわゆる、フラットパネル検出器(FPD(Flat Panel Detector))である。X線検出部20は、X線照射部10の側の面にX線受像面21を有する。
【0020】
X線検出部20は、X線受像面21から順に並んで、X線変換部と、受像部と、を備える。
【0021】
X線変換部は、X線受像面21から入射したX線を蛍光に変換する。X線変換部は、X線により励起されて蛍光を発するシンチレータを備える。シンチレータは、例えば、タリウム活性化ヨウ化セシウム又はナトリウム活性化ヨウ化セシウム等を含む。X線変換部で変換された蛍光は、受像部に入射する。
【0022】
受像部は、X線変換部で変換した蛍光を受光して電気信号に変換する。受像部は、例えば、縦方向に4000行及び横方向に4000列の整列された1600万個の画素を備える。各画素は、フォトダイオードと、当該フォトダイオードに接続して、当該フォトダイオードで変換した電気信号を読み出す薄膜トランジスタと、を備える。
【0023】
X線検査装置1は、X線検出部20における受像部で変換された電気信号を、例えば、コンピュータ等により、薄膜トランジスタを通して読み出す。X線検査装置1は、X線検出部20から電気信号を読み出すことにより、検査対象について二次元のX線透過画像を取得する。
【0024】
なお、本実施形態に係るX線検査装置におけるX線検出部は、X線検出部20の例に示すような平面視略矩形をなすパネル状に限らない。例えば、本実施形態に係るX線検査装置におけるX線検出部は、湾曲式のX線検出パネルでもよい。また、例えば、本実施形態に係るX線検査装置におけるX線検出部は、可撓性のX線検出シートでもよい。
【0025】
[筐体30]
筐体30は、検査対象を両側から検査対象を挟んで取り付けられる。筐体30は、X線照射部10が取り付けられる上筐体31と、X線検出部20が取り付けられる下筐体32と、を備える。上筐体31は、下筐体32に蝶番33及び蝶番34により連結される。上筐体31が下筐体32に蝶番33及び蝶番34により連結されることによって、上筐体31は、下筐体32に対して蝶番33及び蝶番34を中心に回ることができる。
【0026】
上筐体31は、蝶番33及び蝶番34が取り付けられる反対側に、フック37及びフック38を備える。下筐体32は、蝶番33及び蝶番34が取り付けられる反対側に、レバー35及びレバー36を備える。
【0027】
レバー35に設けられる止め部を、フック37に引っかけることにより、上筐体31と下筐体32とが止められる。また、レバー36に設けられる止め部を、フック38に引っかけることにより、上筐体31と下筐体32とが止められる。
【0028】
レバー35及びフック37は、いわゆる、スナップ錠を構成する。また、レバー36及びフック38は、いわゆる、スナップ錠を構成する。
【0029】
筐体30は、上筐体31及び下筐体32により、筒状の形状を有する。より具体的には、筐体30は、六角筒状の形状を有する。筐体30は、X軸方向における+X側に開口30h1を有する。また、筐体30は、X軸方向における-X側に開口30h2を有する。検査対象は、開口30h1及び開口30h2を貫通する。
【0030】
(上筐体31)
上筐体31について詳細を説明する。
図4は、本実施形態に係るX線検査装置の一例であるX線検査装置1における上筐体31の斜視図である。
図5は、本実施形態に係るX線検査装置の一例であるX線検査装置1における上筐体31の底面図である。なお、
図5は、X線照射部10を取り付けた状態を示している。
【0031】
上筐体31は、X軸方向における+X側に端壁部31e1と、-X側に端壁部31e2と、を有する。端壁部31e2は、端壁部31e1からX軸方向に沿って-X側に離れて設けられる。端壁部31e1及び端壁部31e2のそれぞれは、Y軸方向及びZ軸方向のそれぞれに沿って延びる板状の部材である。言い換えると、端壁部31e1及び端壁部31e2のそれぞれは、XY平面に垂直であって、YZ平面に対して平行に延びる板状の部材である。
【0032】
端壁部31e1は、下筐体32と組み合わせられて開口30h1を形成する凹部31c1を有する。凹部31c1は、検査対象の外形に倣った形状を有する。例えば、円筒状の形状を有する配管を検査対象とする場合、凹部31c1は、X軸方向に沿って見た場合に円弧状の形状を有する。端壁部31e1は、凹部31c1に沿って複数のローラ39、具体的には、4個のローラ39、を備える。なお、ローラ39の個数は、上記の例に限らず適宜定めてよい。
【0033】
同様に、端壁部31e2は、下筐体32と組み合わせられて開口30h2を形成する凹部31c2を有する。凹部31c2は、検査対象の外形に倣った形状を有する。例えば、円筒状の形状を有する配管を検査対象とする場合、凹部31c2は、X軸方向に沿って見た場合に円弧状の形状を有する。端壁部31e2は、凹部31c2に沿って複数のローラ39、具体的には、4個のローラ39、を備える。なお、ローラ39の個数は、上記の例に限らず適宜定めてよい。
【0034】
また、上筐体31は、端壁部31e1と端壁部31e2とを繋ぐ側壁部31s1、側壁部31s2、側壁部31s3、側壁部31s4及び側壁部31s5を有する。側壁部31s1及び側壁部32s5のそれぞれは、X軸方向及びZ軸方向のそれぞれに沿って延びる板状の部材である。言い換えると、側壁部31s1及び側壁部31s5のそれぞれは、YZ平面に垂直であって、ZX平面に対して平行に延びる板状の部材である。側壁部31s2及び側壁部31s4のそれぞれは、X軸方向に沿って延びる板状の部材である。言い換えると、側壁部31s2及び側壁部31s4のそれぞれは、YZ平面に垂直な板状の部材である。側壁部31s2及び側壁部31s4のそれぞれは、XY平面又はZX平面に対して傾斜して設けられる。側壁部31s3は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに沿って延びる板状の部材である。言い換えると、側壁部31s3は、YZ平面に垂直であって、XY平面に対して平行に延びる板状の部材である。
【0035】
側壁部31s3は、側壁部31s3における内側(Z軸方向における-Z側)の表面に、X線照射部10を取り付けるための取付部31a1及び取付部31a2を備える。X線照射部10は、取付部31a1及び取付部31a2のそれぞれを介して、上筐体31に取り付けられる。
【0036】
端壁部31e1、端壁部31e2、側壁部31s1、側壁部31s2、側壁部31s3、側壁部31s4及び側壁部31s5のそれぞれは、X線を遮蔽する部材、例えば、鉛又はタングステン合金、により形成される。
【0037】
(下筐体32)
下筐体32について詳細を説明する。
図6は、本実施形態に係るX線検査装置の一例であるX線検査装置1における下筐体32の斜視図である。
【0038】
下筐体32は、X軸方向における+X側に端壁部32e1と、-X側に端壁部32e2と、を有する。端壁部32e2は、端壁部32e1からX軸方向に沿って-X側に離れて設けられる。端壁部32e1及び端壁部32e2のそれぞれは、Y軸方向及びZ軸方向のそれぞれに沿って延びる板状の部材である。言い換えると、端壁部32e1及び端壁部32e2のそれぞれは、XY平面に垂直であって、YZ平面に対して平行に延びる板状の部材である。
【0039】
端壁部32e1は、上筐体31と組み合わせられて開口30h1を形成する凹部32c1を有する。凹部32c1は、検査対象の外形に倣った形状を有する。例えば、円筒状の形状を有する配管を検査対象とする場合、凹部32c1は、X軸方向に沿って見た場合に円弧状の形状を有する。端壁部32e1は、凹部32c1に沿って複数のローラ39、具体的には、4個のローラ39、を備える。なお、ローラ39の個数は、上記の例に限らず適宜定めてよい。
【0040】
同様に、端壁部32e2は、下筐体32と組み合わせられて開口30h2を形成する凹部32c2を有する。凹部32c2は、検査対象の外形に倣った形状を有する。例えば、円筒状の形状を有する配管を検査対象とする場合、凹部32c2は、X軸方向に沿って見た場合に円弧状の形状を有する。端壁部32e2は、凹部32c2に沿って複数のローラ39、具体的には、4個のローラ39、を備える。なお、ローラ39の個数は、上記の例に限らず適宜定めてよい。
【0041】
また、下筐体32は、端壁部32e1と端壁部32e2とを繋ぐ側壁部32s1、側壁部32s2、側壁部32s3、側壁部32s4及び側壁部32s5を有する。側壁部32s1及び側壁部32s5のそれぞれは、X軸方向及びZ軸方向のそれぞれに沿って延びる板状の部材である。言い換えると、側壁部32s1及び側壁部32s5のそれぞれは、YZ平面に垂直であって、ZX平面に対して平行に延びる板状の部材である。側壁部32s2及び側壁部32s4のそれぞれは、X軸方向に沿って延びる板状の部材である。言い換えると、側壁部32s2及び側壁部32s4のそれぞれは、YZ平面に垂直な板状の部材である。側壁部32s2及び側壁部32s4のそれぞれは、XY平面又はZX平面に対して傾斜して設けられる。側壁部32s3は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに沿って延びる板状の部材である。言い換えると、側壁部32s3は、YZ平面に垂直であって、XY平面に対して平行に延びる板状の部材である。
【0042】
下筐体32は、図示しないX線検出部20を取り付けるための取付部を備える。X線検出部20は、取付部を介して、下筐体32に取り付けられる。
【0043】
端壁部32e1、端壁部32e2、側壁部32s1、側壁部32s2、側壁部32s3、側壁部32s4及び側壁部32s5のそれぞれは、X線を遮蔽する部材、例えば、鉛又はタングステン合金、により形成される。
【0044】
また、下筐体32は、下筐体32における内面、具体的には、側壁部32s2、側壁部32s3及び側壁部32s4におけるZ軸方向の+Z側の面に、反射防止シールド32pを備える。言い換えると、下筐体32は、X線検出部20における近傍に反射防止シールド32pを備える。反射防止シールド32pは、X線照射部10から照射したX線が反射することを防止する。反射防止シールド32pを備えることにより、X線検査装置1は、X線照射部10から照射されたX線が下筐体32において反射して、反射したX線がX線検出部20によって検出されることを防止できる。下筐体32において反射したX線がX線検出部20によって検出されることを防止することにより、X線検査装置1は、検査対象を測定する際に、雑音を抑制して測定精度を向上できる。
【0045】
筐体30が開口30h1及び開口30h2のそれぞれにローラ39を備えることにより、例えば、外形が円柱状の検査対象(
図8参照)の場合、X線検査装置1は検査対象を中心に回転できる。X線検査装置1が検査対象を中心に回転することにより、X線検査装置1は、例えば、X線CT(Computed Tomography)により、検査対象の断層画像を算出する際に適用できる。
【0046】
なお、本実施形態に係るX線検査装置における筐体は、筐体30の例に限らない。例えば、筐体の材質は、鉛又はタングステン合金に限らない。例えば、本実施形態に係るX線検査装置における筐体は、金属、樹脂等により構成され、内面又は外面に、X線を遮蔽する部材、たとえば、鉛又はタングステン合金で形成した層を備えていてもよい。また、例えば、検査対象の外形が円柱状である場合、検査対象の外径に合わせるために、本実施形態に係るX線検査装置における筐体は、検査対象の外径に合わせたアダプタを備えてもよい。さらに、例えば、検査対象の外形が円柱状でない場合、検査対象の外形に合わせるために、本実施形態に係るX線検査装置における筐体は、検査対象の外形に合わせたアダプタを備えてもよい。また、本実施形態に係るX線検査装置における筐体の形状は、筐体30のように外形が六角柱状に限らず、円柱状、楕円柱状、多角柱状でもよい。
【0047】
なお、上筐体31は第1筐体の一例、下筐体32は第2筐体の一例、である。
【0048】
<本実施形態に係るX線検査装置の設置について>
本実施形態に係るX線検査装置の設置について説明する。
図7及び
図8のそれぞれは、本実施形態に係るX線検査装置の一例であるX線検査装置1の設置について説明する図である。
図7及び
図8のそれぞれにおいて、検査対象として配管Pを測定する例について説明する。
【0049】
X線検査装置1を設置する前において、筐体30における上筐体31は、下筐体32に対して、蝶番33及び蝶番34により開閉可能な状態であるとする。
【0050】
最初に、
図7に示すように、下筐体32を配管Pに接触させる。具体的には、下筐体32における凹部32c1及び凹部32c2のそれぞれが配管Pに合うように、下筐体32を配管Pに取り付ける。
【0051】
そして、
図7における矢印付き線Aに沿って、上筐体31を移動させる。上筐体31を矢印付き線Aに沿って移動させることにより、
図8に示すように、配管Pを両側から挟んで、X線検査装置1を取り付ける。上筐体31及び下筐体32は、レバー35とフック37及びレバー36とフック38のそれぞれを締め付けることにより、X線検査装置1を配管Pに固定する。
【0052】
なお、X線検査装置1の設置は、上記の例に限らない。例えば、最初に、上筐体31を配管Pに接触させて、下筐体32を移動させてX線検査装置1を設置してもよい。
【0053】
図8に示すように、X線検査装置1は、検査対象である配管Pを両側から上筐体31及び下筐体32により挟んで取り付けることにより、X線検査装置1は、筐体30によりX線照射部10及びX線検出部20を覆って、検査対象である配管Pに取り付けられる。筐体30によりX線照射部10及びX線検出部20を覆って、X線検査装置1を検査対象である配管Pに取り付けることにより、X線検査装置1は、X線照射部10及びX線検出部20を外部から遮蔽できる。X線照射部10及びX線検出部20を外部から遮蔽することにより、X線検査装置1は外部に漏洩するX線の量を低減できる。
【0054】
なお、筐体30における開口30h1及び開口30h2の少なくともいずれかにおいて、筐体30と検査対象との間で隙間が大きい場合、例えば、X線を遮蔽する部材により、筐体30と検査対象との間の隙間を覆うようにしてもよい。
【0055】
X線検査装置を用いた非破壊検査において、現場に設置されている検査対象を検査することが求められている。従来フィルム式主体のX線検査に代わり、近年のデジタル検出器の普及によりデジタル式のX線検査が適用されるようになっている。可搬式X線検査装置において、小型軽量化が進んでいる。可搬式X線検査装置が小型軽量化されることにより、従来は検査が行えなかったプラント施設等の現場で、X線検査を行うことが考えられる。
【0056】
一方、X線検査を行うためには、管理区域の設定や、エックス線作業主任者の立ち合い等を必要とする。したがって、現場において、X線検査を行う場合には制約がある。X線検査における制約は、可搬式X線検査装置を用いた現場におけるX線検査の普及の妨げになる。
【0057】
本実施形態に係るX線検査装置は、X線を撮影する現場において、X線を遮蔽する遮蔽構造を一体化することにより、X線検査装置からのX線の漏洩を抑制できる。X線検査装置からのX線の漏洩を抑制することにより、本実施形態に係るX線検査装置は、X線検査を行う際に周辺線量を低減できる。また、本実施形態に係るX線検査装置は、周辺線量を低減することにより、本実施形態に係るX線検査装置を使用する際に、X線を使用する制限を解消できる。また、周辺線量を低減することにより、例えば、本実施形態に係るX線検査装置は、表示付認証機器として必要な基準を満たすようにできる。
【0058】
また、本実施形態に係るX線検査装置は、筐体を第1筐体及び第2筐体により構成することにより、検査対象を簡易に両側から挟んで取り付けできる。本実施形態に係るX線検査装置は、第1筐体と第2筐体とを蝶番により連結することにより、より簡易に検査対象に取り付けできる。
【0059】
さらに、本実施形態に係るX線検査装置は、検査対象が貫通する開口を備えることにより、検査対象を簡易に両側から挟んで取り付けできる。本実施形態に係るX線検査装置は、開口にローラを備えることにより、X線検査装置を検査対象に対して回転できる。
【0060】
また、本実施形態に係るX線検査装置は、X線照射部にコリメータを備えることにより、X線照射部から照射されるX線の範囲を適正な範囲に限定できる。本実施形態に係るX線検査装置は、X線照射部から照射されるX線の範囲を適正な範囲に限定することにより、X線の漏洩をより抑制できる。
【0061】
さらに、本実施形態に係るX線検査装置は、X線検出部における近傍に反射防止シールドを備えることにより、X線の反射による雑音を抑制できる。X線の反射による雑音を抑制することにより、本実施形態に係るX線検査装置は、X線検査の際に検査精度を向上できる。
【0062】
以上、X線検査装置を実施形態により説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本開示の範囲内で可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 X線検査装置
10 X線照射部
10a 照射口
11 コリメータ
20 X線検出部
21 X線受像面
30 筐体
30h1、30h2 開口
31 上筐体
31a1、31a2 取付部
31c1、31c2 凹部
31e1、31e2 端壁部
31s1、31s2、31s3、31s4、31s5 側壁部
32 下筐体
32c1、32c2 凹部
32e1、32e2 端壁部
32p 反射防止シールド
32s1、32s2、32s3、32s4、32s5 側壁部
33、34 蝶番
35、36 レバー
37、38 フック
39 ローラ