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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165054
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20241121BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H05K9/00 F
H05K1/02 N
H05K1/02 J
H05K9/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080880
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 正史
(72)【発明者】
【氏名】鵜生 高徳
【テーマコード(参考)】
5E321
5E338
【Fターム(参考)】
5E321AA02
5E321AA03
5E321AA05
5E321AA11
5E321AA14
5E321AA17
5E321CC22
5E321GG01
5E321GG05
5E321GG09
5E338AA03
5E338BB13
5E338BB71
5E338CC01
5E338CC06
5E338CD02
5E338CD12
5E338CD23
5E338EE13
(57)【要約】
【課題】体格の増大や通信品質の劣化を抑制しつつコモンモードノイズを低減できる電子装置を提供すること。
【解決手段】電子装置10は、プリント基板20と、ガードパネル30を備える。プリント基板20は、基準電位を提供するグランド層221と、グランド層221よりも上面20aに近い位置に配置され、基板端部に沿って延びる信号配線222を有する。ガードパネル30は、金属材料を用いて形成され、プリント基板20に対して局所的に配置されている。ガードパネル30は、グランド層221に電気的に接続された状態で、信号配線222の近傍に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電位を提供するグランド層(221)と、前記グランド層よりも基板上面(20a)に近い位置に配置され、基板端部に沿って延びる信号配線(222)と、を有するプリント基板(20)と、
金属材料を用いて形成され、前記プリント基板に対して局所的に配置されたガードパネル(30)と、
を備え、
前記ガードパネルは、前記グランド層に電気的に接続された状態で、前記信号配線の近傍に配置されている、電子装置。
【請求項2】
前記ガードパネルは、前記基板端部側の基板側面(20c)に対向配置されている、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記ガードパネルは、前記プリント基板の板厚方向の平面視において前記信号配線と重なるように、前記基板上面に対向配置されている、請求項1または請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記グランド層は、前記信号配線よりも基板下面(20b)に近い位置に配置されており、
前記ガードパネルは、前記プリント基板の板厚方向の平面視において前記信号配線と重なるように、前記基板下面に対向配置されている、請求項1または請求項2に記載の電子装置。
【請求項5】
前記ガードパネルと前記グランド層とを電気的に接続する接続部材(40)をさらに備える、請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記接続部材は、前記プリント基板に設けられたスルーホール(23)を挿通している、請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記接続部材は、複数の部材により構成され、菊座金(44)またはメッシュ型のガスケットを含む、請求項5または請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記プリント基板は、前記基板上面に配置され、前記グランド層に電気的に接続されたグランドランド(223)を有し、
前記ガードパネルは、前記接続部材を介して前記グランドランドに電気的に接続されている、請求項5または請求項6に記載の電子装置。
【請求項9】
前記接続部材は、前記プリント基板および前記ガードパネルを移動体のシャーシ(90)に固定するものであり、
前記プリント基板は、前記グランドランドである第1グランドランドとは別に設けられ、前記グランド層に電気的に接続された第2グランドランド(224)を有し、
前記ガードパネルは、前記第2グランドランドに電気的に接続されている、請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記プリント基板に対する前記ガードパネルの位置を調整する位置調整機構(311L,331L,40)を備える、請求項1または請求項5に記載の電子装置。
【請求項11】
浮遊金属体(61)を有し、前記プリント基板に実装された電子部品(60)を備え、
前記ガードパネルは、前記浮遊金属体に電気的に接続されている、請求項1または請求項5に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電子装置を開示している。先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-304080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば移動体に搭載される電子装置、電子装置が備えるプリント基板には、体格の小型化が要求されている。小型化のために信号配線を基板端部に沿って配置すると、グランド層によるノイズ抑制効果が低くなり、コモンモードノイズを生じてしまう。代替技術として、金属筐体によるシールド技術や、特許文献1に開示の電磁波吸収樹脂によるシールド技術がある。しかしながら、金属筐体によるシールド技術の場合、体格が増大する。また、電磁波吸収樹脂によるシールド技術の場合、配線インピーダンスが変化し、通信品質が劣化する虞がある。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、電子装置にはさらなる改良が求められている。
【0005】
本開示の目的のひとつは、体格の増大や通信品質の劣化を抑制しつつコモンモードノイズを低減できる電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示のひとつである電子装置は、
基準電位を提供するグランド層(221)と、グランド層よりも基板上面(20a)に近い位置に配置され、基板端部に沿って延びる信号配線(222)と、を有するプリント基板(20)と、
金属材料を用いて形成され、プリント基板に対して局所的に配置されたガードパネル(30)と、
を備え、
ガードパネルは、グランド層に電気的に接続された状態で、信号配線の近傍に配置されている。
【0007】
開示の電子装置によれば、グランド層に電気的に接続されたガードパネルにより、コモンモードノイズのリターン経路が形成される。よって、コモンモードノイズを低減することができる。プリント基板に対してガードパネルを局所的に配置するため、体格の増大や通信品質の劣化を抑制しつつ、コモンモードノイズを低減することができる。
【0008】
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る電子装置を示す平面図である。
図2】ガードパネルの一例を示す断面図である。
図3】ガードパネルとプリント基板との接続構造を示す斜視図である。
図4】ガードパネル周辺を拡大した断面図である。
図5】変形例を示す断面図である。
図6】参考例の電磁界シミュレーション結果を示す図である。
図7】電磁界シミュレーション結果を示す図である。
図8】ガードパネルの別例を示す断面図である。
図9】ガードパネルの別例を示す断面図である。
図10】ガードパネルの別例を示す断面図である。
図11】ガードパネルの配置とノイズ放射量との関係を示す図である。
図12】第2実施形態に係る電子装置において、ガードパネルの周辺を示す断面図である。
図13】第3実施形態に係る電子装置において、ガードパネルと接続部材を示す斜視図である。
図14】ガードパネルと基板下面に設けたグランドランドとの接続構造を示す断面図である。
図15】ガードパネルと電子部品の浮遊金属体との接続構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて複数の実施形態を説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0011】
なお、Aおよび/またはBとの記載は、AおよびBの少なくともひとつを意味する。つまり、Aのみ、Bのみ、AとBの両方、を含み得る。
【0012】
(第1実施形態)
先ず、電子装置の概略構成について説明する。
【0013】
<電子装置>
図1は、電子装置を示す平面図である。図1では便宜上、プリント基板の配線の一部を実線で示し、他の一部を省略している。また、プリント基板に実装された電子部品を省略している。図2は、図1のII-II線に沿う断面図である。図2は、ガードパネルの一例を示している。図3は、ガードパネルとプリント基板との接続構造を示す分解斜視図である。図3では、便宜上、信号配線を省略して示している。図4は、図2においてガードパネル周辺を拡大した図である。図4に示す破線矢印は、信号配線から放射されるノイズ(電磁波)を示している。
【0014】
以下では、プリント基板の板厚方向をZ方向と示す。また、Z方向に直交する一方向をX方向と示し、Z方向およびX方向の両方向に直交する方向をY方向と示す。特に断わりのない限り、Z方向から平面視した形状、換言すればX方向およびY方向により規定されるXY面に沿う形状を平面形状とする。Z方向からの平面視を、単に平面視と示すことがある。また、プリント基板20が表面に備えるソルダレジストを省略して示している。
【0015】
図1図4に示すように、電子装置10は、プリント基板20と、ガードパネル30を備えている。電子装置10は、移動体のシャーシ90に固定されてもよい。シャーシ90は、フレームなどと称されることがある。シャーシ90は、移動体における基準電位であるシャーシグランド(フレームグランド)を提供する。
【0016】
プリント基板20は、基板、配線基板などと称されることがある。プリント基板20は、上面20aと、上面20aとはZ方向において反対の面である下面20bを有している。プリント基板20は、上面20aと下面20bとに連なる側面を有している。プリント基板20の平面形状は、特に限定されるものではない。一例として本実施形態のプリント基板20は、平面略矩形状である。プリント基板20は、4つの側面のひとつとして側面20cを有している。上面20aが基板上面に相当し、下面20bが基板下面に相当する。側面20cが、基板側面に相当する。
【0017】
プリント基板20は、樹脂などの電気絶縁材料を含む基材21に、導体が配置されてなる。導体の少なくとも一部は、プリント基板20に実装された図示しない電子部品とともに、回路を構成する。このため、電子部品が実装されたプリント基板20は、回路基板と称されることがある。
【0018】
導体は、Cuなどの導電性が良好な金属材料を用いて形成されている。導体は、配線22を含む。配線22は、配線パターン、配線層などと称されることがある。配線22は、たとえば金属箔をパターニングして形成されてもよいし、印刷により形成されてもよい。導体は、配線22に加えて、スルーホールランドを含んでもよいし、ビア導体を含んでもよい。スルーホールランドは、プリント基板20をZ方向に貫通するスルーホールの壁面に形成されている。スルーホールランドは、スルーホールの壁面とともに開口周辺に形成されてもよい。ビア導体は、基材21を構成する絶縁層に形成された貫通孔(ビア)に、めっきなどの導体が配置されてなる。ビア導体は、たとえば異なる層に配置された配線間を電気的に接続する。
【0019】
プリント基板20は、多層基板である。配線22は、基材21に対して多層に配置されている。配線22は、基材21に対して上面20a側の表層に配置された配線を含んでもよいし、下面20b側の表層に配置された配線を含んでもよい。基材21の内部に配置された配線を含んでもよい。配線22は、グランド層221と、グランド層221とは異なる層に配置された信号配線222を含んでいる。
【0020】
グランド層221は、プリント基板20において基準電位を提供する。グランド層221は、基準電位を提供するために、他の配線22よりも面積の大きい配線である。グランド層221は、ベタグランドなどと称されることがある。グランド層221は、信号配線222とは異なる層であって一層のみに配置されてもよいし、信号配線222とは異なる層であって複数層に配置されてもよい。一例として本実施形態では、プリント基板20の下面20bに、グランド層221が設けられている。
【0021】
下面20bのグランド層221は、側面20c側の基板端部にも配置されている。Z方向において、グランド層221は、信号配線222のX方向に延びる部分に対向配置されている。グランド層221は、平面視において信号配線222の少なくとも一部、好ましくはその全長部分と重なるように配置されている。グランド層221は、イメージ電流によるシールド効果を発揮する。プリント基板20は、信号配線222とは異なる層に配置されるグランド層221に加えて、信号配線222と同じ層(共通の層)に配置されるグランド層221を備えてもよい。
【0022】
プリント基板20は、グランド層221に加えて、グランドランド223をさらに有してもよい。グランドランド223は、グランド層221に電気的に接続されている。つまり、グランド電位を提供するランドである。グランドランド223は、ビア導体を介してグランド層221に接続されてもよいし、図4に示すようにスルーホールランドを介してグランド層221に接続されてもよい。図4では、グランドランド223は、スルーホールランドの一部分である。グランドランド223は、スルーホールランドの他の部分、たとえばスルーホール23の壁面に設けられた部分を介して、グランド層221に接続されている。
【0023】
信号配線222は、基板端部に沿って延びる部分を含んでいる。一例として本実施形態の信号配線222は、Y方向における端部のひとつに沿ってX方向に延びる部分を有している。信号配線222の一部分は、図示するように側面20c側の基板端部に沿ってX方向に延びている。体格の小型化のため、信号配線222の一部分は、基板端部に設けられている。なお、基板端部とは、平面視において配線の配置領域の端部である。平面視において、信号配線222の側面20c側の端部は、グランド層221の側面20c側の端部とほぼ一致している。
【0024】
信号配線222は、上記したようにグランド層221とは異なる層に配置されている。信号配線222は、基材21の表層に配置されてもよいし、基材21の内部に配置されてもよい。信号配線222は、グランド層221よりも上面20aに近い位置に配置されている。一例として本実施形態の信号配線222は、基材21に対して上面20a側の表層に配置されている。信号配線222は、信号配線222とは異なる層であって、信号配線222に対してもっと近い位置に配置されたグランド層221との間に所定の距離hを有して配置されている。一例として本実施形態の距離hは、下面20bに配置されたグランド層221と上面20aに配置された信号配線222との間の距離(対向距離)である。グランド層221が基材21の内部に配置されている場合、距離hは、内部に配置され、信号配線222に対してもっとも近いグランド層221と信号配線222との距離である。
【0025】
信号配線222は、コモンモードノイズを生じ得る配線である。信号配線222は、たとえばプリント基板20に実装された図示しない電子部品のスイッチング動作にともなって、高周波のコモンモードノイズを生じ得る。信号配線222は、たとえばCAN、LVDS、GVIF、Ethernetなどの高速通信に用いられる通信線である。CAN、GVIF、Ethernetは登録商標である。CANは、Controller Area Networkの略称である。LVDSは、Low Voltage Differential Signalingの略称である。GVIFは、Gigabit Video InterFaceの略称である。
【0026】
ガードパネル30は、アルミニウム、銅、鉄などの金属材料を用いて形成されている。ガードパネル30は、いわゆる金属筐体とは異なり、プリント基板20に対して局所的に配置されている。ガードパネル30は、グランド層221に電気的に接続されている。ガードパネル30は、グランド層221と同電位である。ガードパネル30は、コモンモードノイズのリターン経路を提供する。
【0027】
ガードパネル30は、信号配線222の基板端部に沿って延びる部分の近傍に配置されている。ガードパネル30は、プリント基板20に構成される回路の動作に影響を及ぼさない範囲で、プリント基板20(信号配線222)からの放射ノイズを抑制するのに十分近い位置に配置されている。
【0028】
ガードパネル30は、側面20cに対向配置され、Y方向において信号配線222の近傍に配置されてもよい。ガードパネル30は、上面20aに対向配置され、Z方向において信号配線222の近傍に配置されてもよい。ガードパネル30は、下面20bに対向配置され、Z方向において信号配線222の近傍に配置されてもよい。ガードパネル30は、信号配線222の基板端部に沿って延びる部分の少なくとも一部に対向配置されるとよい。対向面積が大きいほどノイズ抑制の効果が高まる。
【0029】
一例として図4に示すガードパネル30は、YZ平面において略L字状をなしている。ガードパネル30は、下面対向部31と、側面対向部32を有している。ガードパネル30は、たとえば金属板をプレス加工したものでもよいし、複数の金属板を溶接等によって接合したものでもよい。
【0030】
下面対向部31は、下面20bに対向配置されている。下面対向部31は、下面20bとの間に所定のギャップを有してもよい。下面20bにグランド層221が配置されている場合、下面対向部31は、下面20bとの間に所定のギャップを有してもよいし、グランド層221に接触してもよい。図4に示す下面対向部31は、下面20bに配置されたグランド層221との間に所定のギャップを有している。一例として本実施形態では、ガードパネル30の下面対向部31に、接続部材40を取り付けるための貫通孔311が設けられている。
【0031】
側面対向部32は、側面20cに対向配置されている。側面対向部32は、信号配線222のX方向に延びる部分との間に、所定のギャップを有している。対向方向(Y方向)におけるギャップの長さghは、0.05h~5hの範囲内で設定するとよい。ギャップ長さghを5hより長くしてもシールド効果は少なからず得られるが、体格およびシールド効果を考慮すると上記した範囲で設定するとよい。より好ましくは、0.05h~3hの範囲内で設定するとよい。
【0032】
ガードパネル30は、プリント基板20に対して直接的に固定されてもよいし、固定部材を介して固定されてもよい。ガードパネル30は、グランド層221に直接的に接続されてもよいし、接続部材40を介してグランド層221に電気的に接続されてもよい。つまり電子装置10は、接続部材40をさらに備えてもよい。接続部材40は、固定部材を兼ねてもよいし、固定部材とは別に設けてもよい。接続部材40は、電子装置10をシャーシ90に固定する機能を有してもよい。
【0033】
一例として本実施形態の電子装置10は、接続部材40を備えている。接続部材40は、ガードパネル30とグランド層221とを電気的に接続する。接続部材40は、ガードパネル30をプリント基板20に固定する。接続部材40は、電子装置10をシャーシ90に固定する。接続部材40として、プリント基板20をシャーシ90に固定する固定部材を利用している。図1に示すように、接続部材40は、平面略矩形状をなすプリント基板20に対して四隅のそれぞれに設けられている。2つの接続部材40は、ガードパネル30をシャーシ90に固定する。4つの接続部材40は、プリント基板20をシャーシ90に固定する。
【0034】
接続部材40は、複数の部材により構成される。接続部材40は、第1部材41、第2部材42、および第3部材43を備えている。接続部材40の少なくとも一部は、金属などの導電性の良好な材料を用いて形成されている。図4に示す例では、第1部材41、第2部材42、および第3部材43が金属材料を用いて形成されている。
【0035】
第1部材41は、本体部411、フランジ412、延設部413、および孔部414を有している。本体部411は、Z方向に延びている。本体部411は、たとえば柱状をなしている。本体部411は、プリント基板20のスルーホール23内に配置されている。フランジ412は、Z方向において本体部411の下面20b側の端部に連なり、本体部411から拡径方向に延びている。延設部413は、本体部411の下面20b側の端部に連なり、Z方向に延びている。延設部413は、本体部411よりも小径である。孔部414は、本体部411の上面20a側の端部から所定の深さを有して設けられている。
【0036】
第2部材42は、頭部421と、延設部422を有している。第2部材42は、ねじと称されることがある。頭部421は、平面視においてスルーホール23を内包する大きさを有している。延設部422は、頭部421の座面からZ方向に延びている。延設部422は、第1部材41の孔部414に挿入され、締結されている。このように第1部材41と第2部材42とが接続された状態で、頭部421は、フランジ412との間にプリント基板20を挟持している。
【0037】
第3部材43は、本体部431、フランジ432、および孔部433を有している。本体部431は、Z方向に延びている。本体部431は、たとえば柱状をなしている。Z方向において、本体部431の端部のひとつは、シャーシ90に固定されている。フランジ432は、本体部431の端部の他のひとつに連なり、本体部431から拡径方向に延びている。孔部433は、本体部411のプリント基板20側の端部から所定の深さを有して設けられている。孔部433に、延設部413が挿入されている。このように第1部材41と第3部材43が接続された状態で、フランジ432は、フランジ412との間に下面対向部31を挟持している。
【0038】
接続部材40は、座金(ワッシャ)を備えてもよい。フランジ412は、第2部材42との接続状態でプリント基板20の下面20b、つまりグランド層221に接触してもよい。フランジ412とグランド層221との間に座金を介してもよい。フランジ412は、第3部材43との接続状態で下面対向部31に接触してもよい。フランジ412と下面対向部31との間に座金を介してもよい。頭部421は、第1部材41との接続状態で、グランドランド223に接触してもよい。頭部421の座面とグランドランド223との間に座金を介してもよい。フランジ432は、第1部材41との接続状態で下面対向部31に接触してもよい。フランジ432と下面対向部31との間に座金を介してもよい。
【0039】
一例として本実施形態の接続部材40は、菊座金44を備えている。菊座金44は、菊座、歯付き座金などと称されることがある。菊座金44は、内側および/または外側に歯が設けられており、締め付けた際に歯が対象部材に食い込む。菊座金44に代えて、メッシュ型のガスケットを用いてもよい。菊座金44は、フランジ412と下面対向部31との間に介在している。別の菊座金44は、フランジ432と下面対向部31との間に介在している。
【0040】
上記した電子装置10において、ガードパネル30は、接続部材40を介してプリント基板20のグランド層221に電気的に接続されている。グランド層221およびガードパネル30は、接続部材40を介してシャーシ90に電気的に接続されている。
【0041】
図5は、変形例を示す断面図である。図5は、図4に対応している。図5に示すように、接続部材40は、上記した第3部材43に代えて、非導電性材料を用いて形成された第3部材43Aを含んでいる。第3部材43Aは、たとえば樹脂材料を用いて形成されている。その他の構成は、図4と同様である。図5に示す構成においても、ガードパネル30は、接続部材40を介してプリント基板20のグランド層221に電気的に接続されている。
【0042】
<電界分布>
図6および図7は、電磁界シミュレーションの結果を示している。図6は、ガードパネル30を備えない構成(参考例)における電界分布を示している。図7は、図1~4に示した構成(本例)における電界分布を示している。図6に示す参考例では、本実施形態の関連する要素の符号に対して末尾にrを付加している。参考例は、ガードパネル30を備えない点を除けば、本実施形態と同様の構成を有している。
【0043】
ガードパネル30を備えることで、ガードパネル30を備えない構成よりも信号配線222(ノイズ源)からプリント基板20の外部に放射されるノイズレベルを低減できることが明らかである。
【0044】
<ガードパネルの配置と効果>
図8図9、および図10のそれぞれは、ガードパネルの別例を示している。図8図9、および図10は、図4に対応している。各図において破線矢印は、信号配線222から放射されるノイズ(電磁波)を示している。
【0045】
ガードパネル30の配置(形態)は、図4に示した略L字状に限定されない。つまりガードパネル30は、下面対向部31と側面対向部32を有する構成に限定されない。図8に示すように、略I字状のガードパネル30を採用してもよい。このガードパネル30は、下面対向部31のみを有する。図示を省略するが、略T字状のガードパネル30を採用してもよい。この場合、ガードパネル30は、側面対向部32のみを有する。
【0046】
図9に示すように、略J字状のガードパネル30を採用してもよい。このガードパネル30は、下面対向部31および側面対向部32に加えて、上面対向部33を有する。上面対向部33は、側面対向部32の端部のひとつに連なり、Y方向であってプリント基板20側に延びている。上面対向部33も、プリント基板20に構成される回路の動作に影響を及ぼさない範囲で、信号配線222からの放射ノイズを抑制するのに十分近い位置に配置されている。上面対向部33は、信号配線222との間に所定のギャップを有して、信号配線222の上方に配置されている。図9では、第1部材41、第2部材42、およびガードパネル30により、リターン経路が構成される。J字状は、上面対向部33の長さによってはU字状と称されることもある。
【0047】
上面対向部33を有する構成は、図9に示す例に限定されない。図10に示すように、接続部材40も含めると略O字状をなすガードパネル30を採用してもよい。ガードパネル30は、略U字状をなしている。上面対向部33は、接続部材40を取り付けるための貫通孔331を有している。上面対向部33は、平面視においてスルーホール23と重なる位置に貫通孔331を有している。接続部材40は、上記した第1部材41、第2部材42、および第3部材43に加えて、第4部材45と第5部材46を有している。
【0048】
第4部材45は、本体部451、フランジ452、および孔部453を有している。本体部451は、Z方向に延びている。本体部451は、たとえば柱状をなしている。本体部451は、第2部材42上に配置されている。本体部451は、菊座金44を介して第2部材42上に配置されている。これに代えて、本体部451を第2部材42上に直接的に配置してもよい。フランジ412は、本体部451における第2部材42とは反対側の端部に連なり、本体部451から拡径方向に延びている。フランジ452は、上面対向部33の表面のうち、プリント基板20に対向する面とは反対の面上に配置されている。これに代えて、菊座金44を介してフランジ452を上面対向部33上に配置してもよい。孔部453は、本体部451のフランジ452側の端部から所定の深さを有して設けられている。
【0049】
第5部材46は、第2部材42と同様の構成を有している。第5部材46は、頭部461と、延設部462を有している。第5部材46は、ねじと称されることがある。頭部461は、平面視において孔部453、ひいては貫通孔331を内包する大きさを有している。延設部462は、頭部461の座面からZ方向に延びている。延設部462は、第4部材45の孔部453に挿入され、締結されている。頭部461は、菊座金44を介してフランジ452上に配置されている。これに代えて、頭部461をフランジ452上に直接的に配置してもよい。図10では、第1部材41、第2部材42、第4部材45、第5部材46、およびガードパネル30により、略O字状のリターン経路が構成される。
【0050】
図11は、電磁界シミュレーションの結果を示している。図11は、ガードパネル30の配置とプリント基板20から放射されるノイズ量との関係を示している。図中において、符号E1を付した実線は、図4に例示した構成(L字状)のシミュレーション結果を示している。符号E2を付した短破線は、図8に例示した構成(I字状)のシミュレーション結果を示している。符号E3を付した長破線は、図9に例示した構成(J字状)のシミュレーション結果を示している。符号E4を付した二点鎖線は、図10に例示した構成(O字状)のシミュレーション結果を示している。符号RE1を付した短一点鎖線は、図4に示す構成からガードパネルを排除した構成のシミュレーション結果を示している。符号RE2を付した長一点鎖線は、RE1の構成に対し、信号配線の位置を基板端部から中央側に変更した構成のシミュレーション結果を示している。つまりRE1,RE2は、参考例の結果を示している。
【0051】
なお、シミュレーションにおいては、距離hを1.6mm、長さghを1mm、長さgvを0.83mmとした。長さgvは、信号配線222と上面対向部33との対向距離である。
【0052】
ガードパネル30を設けなくても、信号配線の位置を中央側に変更すると、RE1よりもノイズ放射を低減することができる。しかしながら、信号配線に対してプリント基板20、ひいてはグランド層221をY方向に延ばす必要があるため、プリント基板20の体格が大きくなる。
【0053】
略I字状のガードパネル30を用いると、信号配線222から下方へ放射された電磁波(ノイズ)を下面対向部31にて受信し、プリント基板20に戻すことができる。ガードパネル30がコモンモードノイズのリターン経路として機能する。このため、E2は、RE1に較べて基板外部へのノイズ放射を抑制することができる。
【0054】
略L字状のガードパネル30を用いると、信号配線222から下方へ放射された電磁波(ノイズ)を下面対向部31にて受信し、水平方向へ放射された電磁波を側面対向部32にて受信し、プリント基板20に戻すことができる。ガードパネル30がコモンモードノイズのリターン経路として機能する。このため、E1は、RE1,RE2に較べて基板外部へのノイズ放射を抑制することができる。たとえばRE2に対して、6dB程度のノイズ低減を行うことができる。略I字状や略L字状のガードパネル30は、後付けも可能である。
【0055】
略J字状(U字状)のガードパネル30を用いると、信号配線222から下方へ放射された電磁波(ノイズ)を下面対向部31にて受信し、水平方向へ放射された電磁波を側面対向部32にて受信し、上方へ放射された電磁波を上面対向部33にて受信し、プリント基板20に戻すことができる。このため、E3は、E1よりもさらに基板外部へのノイズ放射を抑制することができる。略O字状についても略J字状と同様の効果を奏することができる。
【0056】
<第1実施形態のまとめ>
本実施形態の電子装置10によれば、基板端部に沿って延びるように信号配線222をパターニングしている。これにより、プリント基板20、ひいては電子装置10の体格を小型化することができる。また、グランド層221に電気的に接続されたガードパネル30により、コモンモードノイズのリターン経路が形成される。よって、コモンモードノイズを低減することができる。ガードパネル30をプリント基板20に対して局所的に配置するため、体格の増大や通信品質の劣化を抑制しつつ、コモンモードノイズを低減することができる。
【0057】
ガードパネル30を、基板端部側の側面20cに対向配置してもよい。これにより、基板外であって水平方向へ放射されたノイズをガードパネル30で受信し、プリント基板20(グランド層221)へリターンすることができる。特に下面対向部31と側面対向部32を有する略L字状のガードパネル30を採用すると、ガードパネル30を備えない構成に較べて、基板外部へのノイズ放射を抑制することができる。
【0058】
ガードパネル30を、平面視において信号配線222と重なるように、上面20aに対向配置してもよい。これにより、基板外であって上面20aの上方へ放射されたノイズをガードパネル30で受信し、プリント基板20(グランド層221)へリターンすることができる。特に下面対向部31、側面対向部32、および上面対向部33を有する略J字状(U字状)のガードパネル30や接続部材40を含めて略O字状をなすガードパネル30を採用すると、基板外部へのノイズ放射をより効果的に抑制することができる。たとえば、基板端部に高速通信用の信号配線222を配置しても、EMCを向上することができる。EMCは、Electromagnetic Compatibilityの略称である。
【0059】
ガードパネル30を、平面視において信号配線222と重なるように、下面20bに対向配置してもよい。これにより、基板外であって下面20b方向へ放射されたノイズをガードパネル30で受信し、プリント基板20(グランド層221)へリターンすることができる。略I字状のガードパネル30は、他の形状のガードパネル30に較べて構造が簡素である。よって、後付けも容易である。
【0060】
電子装置10は、ガードパネル30とグランド層221とを電気的に接続する接続部材40を備えてもよい。接続部材40を介したグランド層221への接続構造を採用することで、接続信頼性を向上することができる。たとえば、接続部材40が、プリント基板20に設けられたスルーホール23を挿通する構成を採用してもよい。接続部材40として、プリント基板20固定するための部材を利用することができる。つまり、構成を簡素化することができる。
【0061】
接続部材40が複数の部材により構成され、菊座金44またはメッシュ型のガスケットを含んでもよい。菊座金44やガスケットを用いることで、たとえば部材間、部材とプリント基板20、部材とガードパネル30との密着性が増し、リターン経路のインピーダンスを低くすることができる。リターン電流が流れやすくなるため、ノイズ放射を抑制する効果を高めることができる。
【0062】
ガードパネル30を、接続部材40を介して上面20aのグランドランド223に接続してもよい。これにより、ガードパネル30がグランド層221に接触できない場合でも、電気的な接続が可能となる。また、ガードパネルがグランド層221に接触する構成の場合、ガードパネル30の接地点を増やすことができる。
【0063】
<変形例>
接続部材40がフランジ412,432,452を有する例を示したが、これに限定されない。フランジ412,432,452の少なくともひとつを排除した構成としてもよい。たとえばフランジ412を排除し、ガードパネル30の下面対向部31をグランド層221に接触させてもよい。
【0064】
プリント基板20がスルーホール23の壁面にランド(スルーホールランド)を有する例を示したが、これに限定されない。上記したようにガードパネル30が下面20bに設けたグランド層221に直接的または間接的に接触する場合、グランドランド223を備えない構成としてもよい。上記したように接続部材40がグランドランドに接触する場合、基材21の内部にグランド層221を備えてもよい。
【0065】
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、プリント基板20に対するガードパネル30の位置が固定であった。これに代えて、ガードパネル30の位置をプリント基板20に対して調整可能な機構を備えてもよい。
【0066】
図12は、本実施形態に係る電子装置10において、ガードパネル30の周辺を拡大した断面図である。図12は、図10に対応している。下面対向部31は、Y方向を長手方向、X方向を短手方向とする貫通孔311Lを有している。上面対向部33は、Y方向を長手方向、X方向を短手方向とする貫通孔331Lを有している。貫通孔311L,331Lは、いわゆる長孔である。これにより、側面対向部32とプリント基板20(信号配線222)との位置関係を調整することができる。長孔に代えて、Y方向に並ぶ複数の貫通孔を採用してもよい。
【0067】
また、フランジ412の厚みを調整することで、下面対向部31や上面対向部33とプリント基板20(信号配線222)との位置関係を調整することができる。フランジ412の厚みとともに、第4部材45のZ方向の長さを調整してもよい。上記した構成において、貫通孔311L、331L、接続部材40が位置調整機構に相当する。
【0068】
<第2実施形態のまとめ>
本実施形態によれば、上記した位置調整機構により、Y方向および/またはZ方向において、プリント基板20に対するガードパネル30の位置を調整することができる。特に貫通孔311L,331Lや複数の貫通孔の場合、ガードパネル30をプリント基板20に取り付けた後でも、位置を調整することができる。
【0069】
位置調整機構は、図12に示した構成に限定されない。先行実施形態に示した種々のガードパネル30のいずれにも適用することができる。
【0070】
(第3実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、シャーシに固定する接続部材のみを備えていた。これに追加して、シャーシに固定しない接続部材を備えてもよい。
【0071】
図13および図14に示すように、本実施形態の電子装置10は、接続部材50を備えている。接続部材50は、金属などの導電性が良好な材料を用いて形成されている。図13は、本実施形態に係る電子装置10において、ガードパネル30と接続部材40,50を示す斜視図である。図13は、図3に対応している。図13は、図3に対して、プリント基板20および第2部材42を省略している。図14は、接続部材50を介したガードパネル30とグランドランド224との接続構造を示す断面図である。
【0072】
図14に示すように、プリント基板20の下面20bには、グランドランド224が設けられている。グランドランド224は、図示しないグランド層221に電気的に接続されている。接続部材50は、プリント基板20およびガードパネル30をシャーシ90に固定する接続部材40とは別に設けられている。接続部材50は、ガードパネル30を接続部材40とは異なる位置でプリント基板20のグランド電位の部分に電気的に接続する。接続部材50は、グランドランド224とガードパネル30との間に介在し、ガードパネル30をグランドランド224に電気的に接続する。グランドランド224を備える構成において、グランドランド223が第1グランドランドに相当し、グランドランド224が第2グランドランドに相当する。
【0073】
ガードパネル30の下面対向部31には、接続部材40用の貫通孔311とは別に、接続部材50用の貫通孔312が設けられている。貫通孔312の配置は、特に限定されない。貫通孔312は、図13に示すように2つの貫通孔311と並んで設けられてもよい。貫通孔312は、2つの貫通孔311の間の位置に設けられてもよい。
【0074】
接続部材50は、本体部51と、ねじ52を備えている。本体部51は、フランジ511と孔部512を有している。フランジ511は、本体部51における下面対向部31側の端部から拡径方向に延びている。フランジ511は、菊座金53を介して、下面対向部31の表面のうち、プリント基板20に対向する面上に配置されている。これに代えて、フランジ511を下面対向部31上に直接配置してもよい。孔部512は、本体部51のフランジ511側の端部から所定の深さを有して設けられている。
【0075】
ねじ52は、第5部材46同様、頭部521と、延設部522を有している。頭部521は、平面視において孔部512、ひいては貫通孔312を内包する大きさを有している。延設部522は、頭部521の座面からZ方向に延びている。延設部522は、孔部512に挿入され、締結されている。頭部521は、下面対向部31におけるプリント基板20との対向面とは反対の面上に配置されている。これに代えて、菊座金53を介して、下面対向部31上に配置されてもよい。
【0076】
<第3実施形態のまとめ>
本実施形態によれば、ガードパネル30は、接続部材40とは異なる位置で、プリント基板20のグランド電位部分に電気的に接続されている。ガードパネル30における接地点を増やすことで、共振周波数を使用周波数からずらし、共振するのを抑制することができる。
【0077】
なお、ガードパネル30を、グランドランド224に直接接続してもよい。これによっても、ガードパネル30における接地点を増やし、高周波における共振を抑制することができる。
【0078】
<変形例>
接続部材50は、図14に示す構成以外にも適用することができる。たとえば図15に示すように、プリント基板20に実装された電子部品60に対して接続部材50を適用してもよい。電子部品60は、プリント基板20の下面20bに配置されている。電子部品60は、グランド層221に電気的に接続されていない、つまりグランド電位に固定されていない浮遊電位の金属体61を有している。金属体61が、浮遊金属体に相当する。金属体61は、たとえばコイルや発振子などの金属ケースである。
【0079】
ガードパネル30の下面対向部31は、接続部材50を介して金属体61に電気的に接続されている。金属体61は、ガードパネル30を介してプリント基板20のグランド層221に電気的に接続されている。接地により、金属体61がアンテナとして機能し、ノイズを放射するのを抑制することができる。なお、ガードパネル30を金属体61に直接接触させてもよい。
【0080】
(他の実施形態)
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
【0081】
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
【0082】
ある要素または層が「上にある」、「連結されている」、「接続されている」または「結合されている」と言及されている場合、それは、他の要素、または他の層に対して、直接的に上に、連結され、接続され、または結合されていることがあり、さらに、介在要素または介在層が存在していることがある。対照的に、ある要素が別の要素または層に「直接的に上に」、「直接的に連結されている」、「直接的に接続されている」または「直接的に結合されている」と言及されている場合、介在要素または介在層は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同様のやり方で(例えば、「間に」対「直接的に間に」、「隣接する」対「直接的に隣接する」など)解釈されるべきである。この明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙されたひとつまたは複数の項目に関する任意の組み合わせ、およびすべての組み合わせを含む。
【0083】
空間的に相対的な用語「内」、「外」、「裏」、「下」、「低」、「上」、「高」などは、図示されているような、ひとつの要素または特徴の他の要素または特徴に対する関係を説明する記載を容易にするためにここでは利用されている。空間的に相対的な用語は、図面に描かれている向きに加えて、使用または操作中の装置の異なる向きを包含することを意図することができる。例えば、図中の装置をひっくり返すと、他の要素または特徴の「下」または「真下」として説明されている要素は、他の要素または特徴の「上」に向けられる。したがって、用語「下」は、上と下の両方の向きを包含することができる。この装置は、他の方向に向いていてもよく(90度または他の向きに回転されてもよい)、この明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【符号の説明】
【0084】
10…電子装置、20…プリント基板、20a…上面、20b…下面、20c…側面、21…基材、22…配線、221…グランド層、222…信号配線、223,224…グランドランド、23…スルーホール、30…ガードパネル、31…下面対向部、311,311L,312…貫通孔、32…側面対向部、33…上面対向部、331,331L…貫通孔、40…接続部材、41…第1部材、411…本体部、412…フランジ、413…延設部、414…孔部、42…第2部材、421…頭部、422…延設部、43,43A…第3部材、431…本体部、432…フランジ、433…孔部、44…菊座金、45…第4部材、451…本体部、452…フランジ、453…孔部、46…第5部材、461…頭部、462…延設部、50…接続部材、51…本体部、511…フランジ、512…孔部、52…ねじ、521…頭部、522…延設部、53…菊座金、60…電子部品、61…金属体、90…シャーシ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15