(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165055
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】基板搬送ロボット、基板搬送システム、及び基板搬送方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241121BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J15/06 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080882
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】長渕 皓二
(72)【発明者】
【氏名】垂野 真
(72)【発明者】
【氏名】實政 泰樹
(72)【発明者】
【氏名】南 孝
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707FS01
3C707FT01
3C707FT06
3C707FT10
3C707FT13
3C707FU01
5F131AA02
5F131CA49
5F131DA23
5F131DA32
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB22
5F131DB52
5F131DB76
5F131DB82
5F131DD43
5F131DD76
5F131DD83
5F131KA12
5F131KA47
5F131KA52
5F131KA72
5F131KA73
5F131KB32
5F131KB58
(57)【要約】
【課題】搬送作業の安定化を図る。
【解決手段】本開示の一側面に係る基板搬送ロボットは、基板を支持するハンドと、ハンドを動作させるアームと、を備える。ハンドは、基板の裏面を吸着により保持し、上端の高さ位置が低くなるように伸縮可能な吸着部と、基板を支持した吸着部が収縮した状態で、裏面を摩擦により保持する摩擦保持部と、吸着部及び摩擦保持部が裏面を保持した状態で、裏面を非接触状態で保持する非接触保持部と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するハンドと、
前記ハンドを動作させるアームと、を備え、
前記ハンドは、
前記基板の裏面を吸着により保持し、上端の高さ位置が低くなるように伸縮可能な吸着部と、
前記基板を支持した前記吸着部が収縮した状態で、前記裏面を摩擦により保持する摩擦保持部と、
前記吸着部及び前記摩擦保持部が前記裏面を保持した状態で、前記裏面を非接触状態で保持する非接触保持部と、を有する、基板搬送ロボット。
【請求項2】
前記ハンドが前記基板を支持していない状態において、前記吸着部の上端の高さ位置は、前記摩擦保持部の上端の高さ位置よりも高く、
前記吸着部が前記裏面を吸着しつつ収縮した状態において、前記摩擦保持部の上端に前記裏面が接触している、請求項1に記載の基板搬送ロボット。
【請求項3】
前記吸着部は、第1高さ位置から第2高さ位置まで収縮することが可能であり、
前記摩擦保持部の上端は、前記第1高さ位置と前記第2高さ位置との間に位置する、請求項2に記載の基板搬送ロボット。
【請求項4】
前記非接触保持部は、前記ハンドの所定位置に固定されており、
前記基板が前記ハンドに支持される際に前記裏面が前記非接触保持部に近づくように、前記吸着部が収縮し、
前記吸着部が収縮し、前記摩擦保持部の上端に前記裏面が接触した状態で、前記非接触保持部の上端と前記裏面との間には隙間が形成される、請求項1に記載の基板搬送ロボット。
【請求項5】
前記ハンドは、前記吸着部を含む1以上の吸着部と、前記摩擦保持部を含む1以上の摩擦保持部と、を有し、
前記1以上の吸着部のいずれか1つ、又は、前記1以上の摩擦保持部のいずれか1つが、前記裏面の第1領域を保持し、
前記1以上の吸着部のいずれか1つ、又は、前記1以上の摩擦保持部のいずれか1つが、前記裏面の前記第1領域と所定方向に沿って並ぶ第2領域を保持し、
前記非接触保持部は、前記所定方向において、前記第1領域と前記第2領域との間を保持する、請求項1に記載の基板搬送ロボット。
【請求項6】
前記ハンドは、前記非接触保持部に対応する第2非接触保持部を更に有し、
前記第1領域は、前記裏面の前記所定方向における第1端部に位置し、
前記第2領域は、前記裏面の前記第1端部とは反対側の第2端部に位置し、
前記1以上の吸着部のいずれか1つ、又は、前記1以上の摩擦保持部のいずれか1つが、前記所定方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する第3領域を保持し、
前記非接触保持部は、前記所定方向において、前記第1領域と前記第3領域との間を保持し、
前記第2非接触保持部は、前記所定方向において、前記第3領域と前記第2領域との間を保持する、請求項5に記載の基板搬送ロボット。
【請求項7】
前記1以上の吸着部のうちの第1吸着部が、前記第1端部に位置する前記第1領域を吸着により保持し、
前記1以上の吸着部のうちの第2吸着部が、前記第2端部に位置する前記第2領域を吸着により保持する、請求項6に記載の基板搬送ロボット。
【請求項8】
前記摩擦保持部は、前記吸着部が収縮した際に前記裏面に接触する平坦な保持面を含み、
前記摩擦保持部は、前記保持面が前記吸着部を囲むように設けられている、請求項1に記載の基板搬送ロボット。
【請求項9】
前記ハンドは、フォーク部を有し、
前記フォーク部は、所定方向に延びるように形成されており、
前記所定方向に直交する幅方向において、前記フォーク部の幅は、前記基板の幅よりも小さく、
前記フォーク部は、前記吸着部、前記摩擦保持部、及び前記非接触保持部を含み、
前記幅方向において、前記摩擦保持部の最大幅が、前記フォーク部の本体部分の最大幅よりも大きい、請求項1に記載の基板搬送ロボット。
【請求項10】
前記ハンドは、前記幅方向において、前記フォーク部との間に間隔を空けて並ぶ第2フォーク部を更に有し、
前記摩擦保持部の一部が、前記フォーク部の前記本体部分と前記第2フォーク部との間のスペースにおいて、前記本体部分から突出している、請求項9に記載の基板搬送ロボット。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の基板搬送ロボットと、
前記吸着部に接続された吸引路の圧力を検出する圧力センサと、
前記ハンドに前記基板を支持させて、前記基板を搬送するように前記基板搬送ロボットを制御する搬送制御部と、
前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記基板を搬送する際の搬送条件を設定する搬送条件設定部と、を備える、基板搬送システム。
【請求項12】
前記搬送条件設定部は、前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記搬送条件として、前記基板を搬送する際の搬送速度を設定する、請求項11に記載の基板搬送システム。
【請求項13】
前記搬送条件設定部は、
前記吸引路の圧力が所定レベルよりも大きい場合には、前記搬送速度を基準値に設定し、
前記吸引路の圧力が前記所定レベルよりも小さい場合には、前記搬送速度を前記基準値よりも小さい値に設定する、請求項12に記載の基板搬送システム。
【請求項14】
複数のワーク種別から、前記基板の種別を特定する種別特定部を更に備え、
前記搬送条件設定部は、前記種別特定部による特定結果に更に基づいて、前記搬送速度を設定する、請求項12に記載の基板搬送システム。
【請求項15】
前記複数のワーク種別は、第1種のワークと、前記第1種のワークに比較して厚み又は質量が大きい第2種のワークと、を含み、
前記搬送条件設定部は、
前記吸引路の圧力が所定レベルよりも大きい場合には、前記種別特定部の特定結果によらず、前記搬送速度を基準値に設定し、
前記吸引路の圧力が前記所定レベルよりも小さく、且つ、前記基板の種別が前記第1種のワークであると特定された場合には、前記搬送速度を前記基準値以下の第1の値に設定し、
前記吸引路の圧力が前記所定レベルよりも小さく、且つ、前記基板の種別が前記第2種のワークであると特定された場合には、前記搬送速度を前記第1の値よりも小さい第2の値に設定する、請求項14に記載の基板搬送システム。
【請求項16】
前記基板の厚みを示す情報を取得する厚み情報取得部を更に備え、
前記搬送条件設定部は、前記厚み情報取得部による取得結果に更に基づいて、前記搬送速度を設定する、請求項12に記載の基板搬送システム。
【請求項17】
前記搬送条件設定部は、
前記吸引路の圧力が第1所定レベルよりも大きい場合には、前記厚み情報取得部による取得結果によらず、前記搬送速度を基準値に設定し、
前記吸引路の圧力が前記第1所定レベルよりも小さく、且つ、前記基板の厚みが第2所定レベルよりも小さい場合には、前記搬送速度を前記基準値以下の第1の値に設定し、
前記吸引路の圧力が前記第1所定レベルよりも小さく、且つ、前記基板の厚みが前記第2所定レベルよりも大きい場合には、前記搬送速度を前記第1の値よりも小さい第2の値に設定する、請求項16に記載の基板搬送システム。
【請求項18】
前記基板を含む複数の基板を、上下方向に並んだ状態で収容するカセットと、
前記ハンドに設けられ、前記カセットに収容された状態の前記複数の基板それぞれを検出可能な反射型センサと、を更に備え、
前記厚み情報取得部は、前記ハンドを上下方向に動作させた際の前記反射型センサによる検出結果に基づいて、前記基板の厚みを示す情報を取得する、請求項16に記載の基板搬送システム。
【請求項19】
前記ハンド上の前記基板を検出する在荷センサを更に備え、
前記搬送制御部は、
前記在荷センサにより前記基板が検出された場合には、前記基板搬送ロボットに前記基板を搬送させ、
前記在荷センサにより前記基板が検出されない場合には、前記基板搬送ロボットによる前記基板の搬送動作を停止する、請求項11に記載の基板搬送システム。
【請求項20】
前記ハンド上の前記基板を検出する在荷センサと、
前記圧力センサの検出結果及び前記在荷センサの検出結果に基づいて、前記吸着部、前記摩擦保持部、及び前記非接触保持部それぞれの保持状態を判定する状態判定部と、を更に備える、請求項11に記載の基板搬送システム。
【請求項21】
ハンドを有し、前記ハンドにより基板を支持して搬送する基板搬送ロボットと、
前記基板搬送ロボットによる搬送前又は搬送後の前記基板が配置されるカセットと、
前記カセットと、前記カセットから離れた所定位置との間で、前記基板を搬送するように前記基板搬送ロボットを制御する搬送制御部と、を備え、
前記ハンドは、
前記基板の裏面を吸着により保持し、上端の高さ位置が低くなるように伸縮可能な吸着部と、
前記基板を支持した前記吸着部が収縮した状態で、前記裏面を摩擦により保持する摩擦保持部と、
前記吸着部及び前記摩擦保持部が前記裏面を保持した状態で、前記裏面を非接触状態で保持する非接触保持部と、を含む、基板搬送システム。
【請求項22】
基板を支持するハンドを有する基板搬送ロボットにより、前記基板を搬送する基板搬送方法であって、
前記ハンドは、
前記基板の裏面を吸着により保持し、上端の高さ位置が低くなるように伸縮可能な吸着部と、
前記基板を支持した前記吸着部が収縮した状態で、前記裏面を摩擦により保持する摩擦保持部と、
前記吸着部及び前記摩擦保持部が前記裏面を保持した状態で、前記裏面を非接触状態で保持する非接触保持部と、を含み、
前記吸着部、前記摩擦保持部、及び前記非接触保持部のそれぞれが前記裏面を保持した状態で前記基板を搬送するように、前記基板搬送ロボットを制御することを含む、基板搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板搬送ロボット、基板搬送システム、及び基板搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板の搬送時に、基板が矯正された状態でアーム上に載置されていることを検知することができる基板搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、搬送作業の安定化に有用な基板搬送ロボット、基板搬送システム、及び基板搬送方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る基板搬送ロボットは、基板を支持するハンドと、ハンドを動作させるアームと、を備える。ハンドは、基板の裏面を吸着により保持し、上端の高さ位置が低くなるように伸縮可能な吸着部と、基板を支持した吸着部が収縮した状態で、裏面を摩擦により保持する摩擦保持部と、吸着部及び摩擦保持部が裏面を保持した状態で、裏面を非接触状態で保持する非接触保持部と、を有する。
【0006】
本開示の一側面に係る基板搬送システムは、ハンドを有し、ハンドにより基板を支持して搬送する基板搬送ロボットと、基板搬送ロボットによる搬送前又は搬送後の基板が配置されるカセットと、カセットと、カセットから離れた所定位置との間で、基板を搬送するように基板搬送ロボットを制御する搬送制御部と、を備える。ハンドは、基板の裏面を吸着により保持し、上端の高さ位置が低くなるように伸縮可能な吸着部と、基板を支持した吸着部が収縮した状態で、裏面を摩擦により保持する摩擦保持部と、吸着部及び摩擦保持部が裏面を保持した状態で、裏面を非接触状態で保持する非接触保持部と、を含む。
【0007】
本開示の一側面に係る基板搬送方法は、基板を支持するハンドを有する基板搬送ロボットにより、基板を搬送する方法である。ハンドは、基板の裏面を吸着により保持し、上端の高さ位置が低くなるように伸縮可能な吸着部と、基板を支持した吸着部が収縮した状態で、裏面を摩擦により保持する摩擦保持部と、吸着部及び摩擦保持部が裏面を保持した状態で、裏面を非接触状態で保持する非接触保持部と、を含む。上記基板搬送方法は、吸着部、摩擦保持部、及び非接触保持部のそれぞれが裏面を保持した状態で基板を搬送するように、基板搬送ロボットを制御することを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、搬送作業の安定化に有用な基板搬送ロボット、基板搬送システム、及び基板搬送方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、基板搬送システムの一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、カセットに配置された基板の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4(a)は、吸着部と摩擦保持部との関係を例示する模式図である。
図4(b)は、吸着部に接続された吸引路の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5(a)は、ワークを支持していない状態の吸着部の一例を模式的に示す断面図である。
図5(b)は、ワークを支持した状態の吸着部の一例を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6(a)は、摩擦保持部と非接触保持部との関係を例示する模式図である。
図6(b)は、非接触保持部に接続された送気路の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、ロボットコントローラの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、ロボットコントローラのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、ロボットコントローラが実行する一連の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、ロボットコントローラが実行する一連の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11(a)及び
図11(b)は、ハンドが配置された状態の一例を示す模式図である。
【
図12】
図12は、ロボットコントローラが実行する一連の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、ロボットコントローラが実行する一連の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、スキャン動作時の様子を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
[基板搬送システム]
図1には、一実施形態に係る基板搬送システムが模式的に示されている。
図1に示される基板搬送システム1は、処理対象の基板Wを搬送するシステムである。基板搬送システム1は、例えば、基板処理装置において基板Wを搬送する。基板Wの例としては、ガラスエポキシ等の樹脂材料又はガラスにより形成された矩形状のパネルが挙げられるが、これに限られない。基板Wは半導体基板であってもよい。
【0012】
基板搬送システム1は、サイズ及び質量の少なくとも一方が異なる複数種の基板Wを搬送してもよい。複数種の基板Wを含む複数の基板Wが搬送される場合、基板搬送システム1は、基板Wを個別に搬送する。基板搬送システム1により搬送される複数種の基板Wの間では、厚みが異なり、厚み方向から見た大きさが略一致してもよい。以下では、基板搬送システム1による処理対象のワークが、矩形状の基板Wである場合を例に用いて、本開示の内容を説明する。
【0013】
基板搬送システム1は、例えば、カセット190と、基板搬送ロボット2と、ロボットコントローラ100と、を備える。
【0014】
(カセット)
カセット190には、基板搬送ロボット2による搬送前又は搬送後の基板Wが配置される。
図2に示されるように、カセット190は、例えば、複数の基板Wを、上下方向に並んだ状態で収容する。カセット190は、多段の基板支持部192を有する。多段の基板支持部192のそれぞれは、基板Wが水平となるように当該基板Wを支持する。基板支持部192は、基板Wの一方の主面を支持する。本開示では、基板Wの一対の主面のうちの、基板支持部192等によって支持される主面(下面)を「裏面Wb」と称し、裏面Wbと反対側の主面(上面)を「表面Wa」と称する。
【0015】
多段の基板支持部192によって、カセット190内が多段のスロット193に区画されている。1つのスロット193は、上下方向(図のZ軸方向)において隣り合う一対の基板支持部192、又は、基板支持部192とカセット190の筐体の一部とによって形成される。カセット190は、開口191を有する。開口191は、水平な一方向に沿って基板Wが搬入及び搬出可能となるように形成されている。
【0016】
多段の基板支持部192のそれぞれは、複数本のロッドを含んでもよく、例えば、ロッド194と、ロッド195と、ロッド196とを含む。ロッド194、ロッド195、及びロッド196は、互いに平行であり、同一の高さに配置されている。ロッド194、ロッド195、及びロッド196のそれぞれは、水平な一方向に沿って延びている。なお、カセット190は、基板搬送ロボット2による搬送前又は搬送後の基板Wが配置可能であれば、どのように構成されていてもよい。
【0017】
(基板搬送ロボット)
図1に戻り、基板搬送ロボット2は、ハンドにより基板Wを支持して、その基板Wを搬送するロボットである。基板搬送ロボット2は、例えば、カセット190と、カセット190とは離れた所定位置との間で基板Wを搬送する。基板搬送ロボット2は、カセット190から基板Wを受け取って搬送してもよく、基板Wを搬送してカセット190に引き渡してもよい。基板搬送ロボット2は、例えば、ハンド10と、多関節アーム20(アーム)と、を有する。
【0018】
ハンド10は、基板Wを支持する。ハンド10は、基板Wが水平な状態で、その基板Wの裏面Wbを支持する。ハンド10は、例えば、上方から見てフォーク状に形成されており、基部11と、第1フォーク部12と、第2フォーク部13と、を有する。基部11は、水平な方向に沿って広がっており、第1フォーク部12の一端及び第2フォーク部13の一端が接続されている。基部11は、フォークソケットとも称され、第1フォーク部12及び第2フォーク部13のそれぞれは、フォークティンとも称される。
【0019】
第1フォーク部12及び第2フォーク部13のそれぞれは、基部11から離れるように、水平な一方向に延びている。第1フォーク部12及び第2フォーク部13は、上方から見て、互いに平行に配置されている。基板Wは、第1フォーク部12及び第2フォーク部13によって保持される。第1フォーク部12及び第2フォーク部13は、例えば、吸着、摩擦、及び、非接触での吸引の3つの異なる保持形式によって、基板Wの裏面Wbを保持する。ハンド10による基板Wの保持の詳細については後述する。
【0020】
多関節アーム20は、ハンド10を動作させる。多関節アーム20は、カセット190と、カセット190とは離れた所定位置との間で、基板Wを搬送するようにハンド10を移動させる。多関節アーム20は、上記所定位置からカセット190まで基板Wを搬送して、カセット190に基板Wを引き渡すようにハンド10を移動させてもよい。多関節アーム20は、カセット190から基板Wを受け取って、カセット190から上記所定位置まで基板Wを搬送するようにハンド10を移動させてもよい。
【0021】
多関節アーム20は、水平面におけるハンド10の位置と、上下方向に沿った軸線まわりのハンド10の姿勢とを、1以上の関節の回転により変更し得るように構成されている。多関節アーム20は、例えば、基部21と、第1アーム22と、第2アーム23と、アクチュエータ51と、アクチュエータ52と、アクチュエータ53と、を含む。
【0022】
基部21は、カセット190の周囲に固定されていてもよく、基部21の水平方向における位置を変化させるように移動させる可動部に設置されていてもよい。第1アーム22は、鉛直な軸線31まわりに回転可能となるように基部21に接続されており、軸線31から遠ざかる方向に延びている。第2アーム23は、鉛直な軸線32まわりに回転可能となるように第2アーム23の端部に接続されており、軸線32から遠ざかる方向に延びている。
【0023】
第2アーム23の端部には、ハンド10の基部11が接続されている。基部11は、例えば、鉛直な軸線33まわりに回転可能となるように第2アーム23の端部に接続されている。以上の例において、多関節アーム20は、基部21と第1アーム22とを接続する関節41と、第1アーム22と第2アーム23とを接続する関節42と、第2アーム23と基部11とを接続する関節43と、の3つの関節を有する。
【0024】
アクチュエータ51、アクチュエータ52、及びアクチュエータ53は、関節41、関節42、及び関節43をそれぞれ駆動する。例えば、アクチュエータ51は、軸線31まわりに第1アーム22を回転させ、アクチュエータ52は、軸線32まわりに第2アーム23を回転させ、アクチュエータ53は、軸線33まわりに基部11(ハンド10)を回転させる。多関節アーム20は、アクチュエータ54を更に含んでもよい。アクチュエータ54は、軸線31に沿って第1アーム22を昇降させる。アクチュエータ51,52,53,54は、例えば電動式であるが、これに限られない。
【0025】
図1において、アクチュエータ51,52,53,54のそれぞれが、駆動対象と同じ位置に示されているが、アクチュエータ51,52,53,54の少なくともいずれかは、駆動対象から離れた位置に配置され、リンク、タイミングベルト、又はギヤ等の動力伝達機構を介して駆動対象に接続されていてもよい。
【0026】
基板搬送ロボット2における多関節アーム20等のアームの構成は、水平方向におけるハンド10の位置を変更し得る限りにおいて、変更可能である。多関節アーム20は、4以上の関節を有していてもよい。関節41、関節42、及び関節43のいずれか2以上が、リンク等を介して共通のアクチュエータにより駆動されてもよい。
【0027】
<ハンドによる基板の保持>
続いて、
図3~
図6を参照しながら、ハンド10による基板Wの保持の詳細について説明する。以下の説明において、第1フォーク部12及び第2フォーク部13のそれぞれが延びる方向を「方向D1」とし、第1フォーク部12及び第2フォーク部13が並ぶ方向であって、方向D1及びZ軸方向(上下方向)に直交する方向を「方向D2」とする。また、基板Wについては、ハンド10に支持されている状態を基準にして説明する。ハンド10は、上方から見て、矩形状に形成された基板Wの一対の縁が方向D1(所定方向)に沿い、基板Wの他の一対の縁が方向D2に沿うように、その基板Wを支持してもよい。
【0028】
第1フォーク部12及び第2フォーク部13は、基板Wの裏面Wbを保持するように構成されている。第2フォーク部13は、方向D2(幅方向)において、第1フォーク部12(フォーク部)との間に間隔を空けて並ぶ。基板Wの裏面Wbには、基板Wの搬送中において接触が許容されている領域(以下、「接触可能領域」という。)と、基板Wの搬送中において接触が許容されていない領域(以下、「接触不可領域」という。)とが設定されている。接触可能領域と接触不可領域とは、基板Wの種類等に応じて、どのように設定されてもよい。第1フォーク部12及び第2フォーク部13には、搬送対象の基板Wにおける接触可能領域及び接触不可領域に応じて、少なくとも3種類の保持部が設けられる。
【0029】
一例では、基板Wの裏面Wbには、接触可能領域として、領域PA1、領域PA2、及び領域PA3とが設定され、接触不可領域として、4つの領域IAが設定されている。領域PA1は、裏面Wbの周縁部に位置し、枠状を呈する。裏面Wbの周縁部とは、裏面Wbの周縁(外縁)と、その周縁の近傍部分とで形成される枠状の領域を意味する。枠状に形成されている領域PA1の幅(所定幅)は、方向D1又は方向D2での基板Wの長さの半分、又は1/4の長さよりも小さい。
【0030】
領域PA2は、領域PA1の内側(領域PA1の内縁よりも内側)において、方向D2に沿って延びるように形成された領域である。領域PA2は、方向D1において、基板Wの裏面Wbの中央に位置していてもよい。領域PA2の方向D2における一端は、領域PA1の方向D1に延びる一方の部分に接続され、領域PA2の方向D2における他端は、領域PA1の方向D1に延びる他方の部分に接続されている。
【0031】
領域PA3は、領域PA1の内側において、方向D1に沿って延びるように形成された領域である。領域PA3は、方向D2において、基板Wの裏面Wbの中央に位置していてもよい。領域PA3の方向D1における一端は、領域PA1の方向D2に延びる一方の部分に接続され、領域PA3の方向D1における他端は、領域PA1の方向D2に延びる他方の部分に接続されている。領域PA2と領域PA3とは、裏面Wbにおける中心を含む中心部において、交差してもよい。
【0032】
4つの領域IAは、裏面Wbのうちの、領域PA1、領域PA2及び領域PA3からなる接触可能領域以外の領域である。4つの領域IAは、方向D1及び方向D2を含む平面において、2行2列で行列状に並んでいる。方向D2に並ぶ1組の領域IAと他の1組の領域IAとの間に領域PA2が位置し、方向D1に並ぶ1組の領域IAと他の1組の領域IAとの間に領域PA3が位置する。4つの領域IAの面積は、互いに略一致していてもよい。
【0033】
裏面Wbの中心を通り、方向D1に沿う仮想ラインに関して、領域PA1、領域PA2、領域PA3、及び4つの領域IAは、線対称であってもよい。裏面Wbの中心を通り、方向D2に沿う仮想ラインに関して、領域PA1、領域PA2、領域PA3、及び4つの領域IAは、線対称であってもよい。第1フォーク部12が、方向D2において、領域PA3よりも一方側に位置する領域を保持し、第2フォーク部13が、方向D2において、領域PA3よりも他方側に位置する領域を保持してもよい。方向D2において、第1フォーク部12の幅(最大幅)は、基板Wの幅よりも小さく、第2フォーク部13の幅(最大幅)は、基板Wの幅よりも小さい。
【0034】
裏面Wbのうちの第1フォーク部12が保持する部分に着目した場合、領域PA1の方向D2に延びる一方の部分、領域IA、領域PA2、領域IA、及び、領域PA1の方向D2に延びる他方の部分が、この順に並んでいる。第2フォーク部13が保持する部分に着目した場合も、各領域の並び順は同様である。領域PA1の方向D2に延びる一方の部分は、裏面Wbの方向D1における一端部に相当し、領域PA1の方向D2に延びる他方の部分は、裏面Wbの方向D1における他端部に相当する。
【0035】
第1フォーク部12は、1以上の吸着部60と、1以上の摩擦保持部70と、1以上の非接触保持部80とを含む。1以上の吸着部60、1以上の摩擦保持部70、及び1以上の非接触保持部80は、第1フォーク部12の本体部分18に設けられている。本体部分18は、板状に形成されている。本体部分18は、上方から見て、方向D1に延びるように矩形状に形成されていてもよく、本体部分18の方向D2における幅は、略一定であってもよい。1以上の吸着部60、1以上の摩擦保持部70、及び1以上の非接触保持部80のいずれかは、固定用の部材を介して、本体部分18の上面に固定(接続)されていてもよい。
【0036】
<吸着部>
1以上の吸着部60は、基板Wの裏面Wbを吸着により保持する。第1フォーク部12には、例えば、複数の吸着部60が設けられる。複数の吸着部60が設けられる場合において、複数の吸着部60は、互いに同様に構成されてもよい。吸着部60は、その一部が裏面Wbに接触した状態で、裏面Wbの一部の領域を吸着する。複数の吸着部60の全ては、接触可能領域の一部である領域PA1を吸着により保持してもよい。
図3に示される例においては、1以上の吸着部60として、6個の吸着部60が設けられている。
【0037】
一例では、6個の吸着部60のうちの3個の吸着部60が、方向D1における裏面Wbの一端部を吸着により保持し、残りの3個の吸着部60が、方向D1における裏面Wbの他端部を吸着により保持する。
図3においては、裏面Wbの方向D1での両端部のうちの基部11から遠い端部を保持する吸着部60が「60A」で示されおり、上記両端部のうちの基部11に近い端部を保持する吸着部60が「60B」で示されている。すなわち、吸着部60A(第1吸着部)が、裏面Wbの方向D1における一端部(第1端部)を吸着により保持し、吸着部60B(第2吸着部)が、裏面Wbの方向D1における他端部(第2端部)を吸着により保持する。
【0038】
裏面Wbの上記一端部(先端側の端部)を吸着により保持する3個の吸着部60Aは、方向D2に並んで配置されている。裏面Wbの上記他端部(基端側の端部)を吸着により保持する3個の吸着部60Bは、方向D2に並んで配置されている。方向D2において、各吸着部60Aは、対応する吸着部60Bと同じ位置に配置されてもよい。方向D2において、3個の吸着部60A及び3個の吸着部60Bは、本体部分18の両端のうちの第2フォーク部13から遠い一端寄り(外側寄り)に配置されてもよい。
【0039】
図4(a)には、ハンド10が基板Wを支持していない状態での吸着部60と摩擦保持部70との関係が示されている。吸着部60は、上端の高さ位置が低くなるように伸縮可能である。本開示において、ある部位の「高さ位置」とは、その部位の上下方向における高さ位置を意味し、ある部材の上端は、その部材の最上位置(最も上方に位置する箇所)を意味する。吸着部60は、高さ位置H1(第1高さ位置)から高さ位置H2(第2高さ位置)まで収縮することが可能である。高さ位置H1は、吸着部60に対して外力が作用しておらず、収縮していない状態の吸着部60の上端の高さ位置である。高さ位置H1は、ハンド10が基板Wを支持していない状態での吸着部60の上端の高さ位置ということもできる。
【0040】
高さ位置H2は、収縮できる最大量まで吸着部60に対して外力が作用し、収縮した状態の吸着部60の上端の高さ位置である。すなわち、高さ位置H1と高さ位置H2との差は、最大の収縮量(引き込み量)を意味する。高さ位置H2まで収縮することが可能とは、ハンド10が基板Wを支持した状態で収縮可能であることを意味せず、吸着部60自体が有する性能を意味する。そのため、ハンド10が基板Wを支持した状態において、他の部材の存在によって、吸着部60の上端が高さ位置H2まで収縮するとは限らない。
【0041】
基板搬送ロボット2は、
図4(b)に示されるように、吸引路62と、開閉バルブ64とを有する。吸引路62は、複数の吸着部60それぞれと、基板搬送システム1に備えられる吸引ポンプ(真空ポンプ)と、を接続する流路である。吸引路62の少なくとも一部は、第1フォーク部12の本体部分18の内部に設けられてもよい。開閉バルブ64は、吸引路62の開閉状態を切り替える。開閉バルブ64が開状態である場合に、複数の吸着部60のそれぞれと、吸引ポンプとが接続され、複数の吸着部60のそれぞれが裏面Wbを吸着可能な状態となる。開閉バルブ64が閉状態である場合、複数の吸着部60のそれぞれと、吸引ポンプとの間が切断され、複数の吸着部60のそれぞれが裏面Wbを吸着しない状態となる。
【0042】
吸着部60は、円筒状に形成されてもよく、その内部に、上端が開放された内部空間を有する(
図5(a)も参照)。1つの吸着部60に着目した場合、その吸着部60と吸引ポンプとが接続され、吸着部60の上端に形成された開口が、基板Wの裏面Wbによって塞がれることで、吸着部60の内部空間が実質的な真空状態(負圧状態)となる。これにより、吸着部60が裏面Wbの対応する領域を吸着により保持する。
【0043】
図5(a)及び
図5(b)には、吸着部60の中心軸を含み、方向D1に沿う平面に沿って切断した断面図が模式的に示されている。
図5(a)には、ハンド10が基板Wを支持していない状態での断面図が示されており、
図5(b)には、ハンド10が基板Wを支持し、吸着部60が収縮した状態での断面図が示されている。
図5(a)及び
図5(b)に示されるように、吸着部60の少なくとも一部が、ベローズ形状(蛇腹形状)であってもよい。吸着部60は、伸縮可能であれば、どのような材料によって形成されてもよいが、例えば、フッ素ゴム等のゴムによって形成されている。
【0044】
<摩擦保持部>
1以上の摩擦保持部70は、基板Wの裏面Wbを摩擦により保持する。
図3に示されるように、第1フォーク部12には、例えば、複数の摩擦保持部70が設けられている。複数の摩擦保持部70のそれぞれには、基板Wを支持した吸着部60(複数の吸着部60のそれぞれ)が収縮した際に裏面Wbが接触してもよい。吸着部60が裏面Wbを吸着しつつ収縮した状態において、複数の摩擦保持部70のそれぞれの上端に裏面Wbが接触していてもよい。複数の摩擦保持部70が設けられる場合、複数の摩擦保持部70の間で、その上端の高さ位置が互いに略一致している。
【0045】
摩擦保持部70は、その一部が裏面Wbに接触した状態で、裏面Wbの一部の領域を摩擦により保持する。摩擦保持部70は、裏面Wbが接触した際に、裏面Wbに沿った方向への基板Wの移動を摩擦により規制することが可能であれば、どのような材料で形成されてもよいが、例えば、ゴムによって形成される。摩擦保持部70は、基板Wの裏面Wbに接触する平坦な保持面72を含んでもよい(
図4を参照)。摩擦保持部70の保持面72は、摩擦保持部70の上面であり、水平方向に広がっている。
【0046】
摩擦保持部70は、方向D2に沿って延びるように形成されていてもよい。平面視において、摩擦保持部70(摩擦保持部70の保持面72)の形状は、方向D2に沿って延びる長方形であってもよい。1つの摩擦保持部70に着目した場合、方向D2において、摩擦保持部70の最大幅が、第1フォーク部12の本体部分18の最大幅よりも大きくてもよい。上方から見て、摩擦保持部70の一部が、本体部分18と第2フォーク部13との間のスペースにおいて、本体部分18から突出していてもよい。摩擦保持部70は、上記スペースとは反対側である本体部分18の外側において、本体部分18から突出していなくてもよい。
【0047】
図3に示される例においては、第1フォーク部12の本体部分18に、3個の摩擦保持部70が設けられている。一例では、3個の摩擦保持部70のうちの1つの摩擦保持部70が、裏面Wbの方向D1における一端部を摩擦により保持し、1つの摩擦保持部70が、裏面Wbの方向D1における他端部を摩擦により保持する。3個の摩擦保持部70のうちの残りの1つの摩擦保持部70が、方向D2に沿って延びる領域PA2における一部を摩擦により保持する。
【0048】
図3においては、裏面Wbの方向D1での両端部のうちの基部11から遠い端部を保持する摩擦保持部70が「70A」で示されており、上記両端部のうちの基部11に近い端部を保持する摩擦保持部70が「70B」で示されている。領域PA2における一部を保持する摩擦保持部70が「70C」で示されている。摩擦保持部70A、摩擦保持部70C、及び摩擦保持部70Bは、方向D1において、この順に並んでいる。摩擦保持部70A、摩擦保持部70B、及び摩擦保持部70Cの間で、方向D2における幅が互いに略一致してもよく、方向D2における位置が同じであってもよい。
【0049】
摩擦保持部70Aは、その保持面72が各吸着部60Aを囲むように設けられている。例えば、上方から見て、摩擦保持部70Aには各吸着部60Aを設けるための円形の孔が形成されており、各吸着部60Aの外縁と、摩擦保持部70A(上記穴の内縁)との間には環状の隙間が形成されている(
図3の拡大図を参照)。上方から見て、摩擦保持部70Aの保持面72の面積は、吸着部60Aの外縁で囲まれた領域の面積よりも大きくてもよい。摩擦保持部70Bと吸着部60Bとの関係も、摩擦保持部70Aと吸着部60Aとの関係と同様であってもよい。なお、
図3の拡大図では、分かりやすさのために、摩擦保持部70Aと吸着部60Aとにハッチングが付されている。
【0050】
図4(a)に示されるように、ハンド10が基板Wを支持していない状態において、吸着部60の上端の高さ位置H1は、摩擦保持部70の上端の高さ位置H3よりも高い。高さ位置H3は、摩擦保持部70の保持面72の高さ位置で定義されてもよい。摩擦保持部70の上端(保持面72)は、高さ位置H1と高さ位置H2との間に位置してもよい。この場合、高さ位置H1と高さ位置H2との差分x1(最大収縮量)は、高さ位置H1と高さ位置H3との差分x2よりも大きい。吸着部60が裏面Wbを吸着しつつ収縮した状態において(
図5(b)を参照)、裏面Wbが摩擦保持部70の保持面72に接触するので、吸着部60は、高さ位置H2よりも上方の高さ位置まで収縮する。なお、差分x2の大きさ、吸着部60の材質、及び基板Wの種類によっては、吸着部60が収縮していない状態においても、基板Wの撓み等に起因して、裏面Wbが保持面72に接触し得る。この場合であっても、吸着部60が裏面Wbを吸着しつつ収縮した状態において、裏面Wbが摩擦保持部70の保持面72に接触することに変わりがない。
【0051】
<非接触保持部>
1以上の非接触保持部80は、吸着部60及び摩擦保持部70が裏面Wbを保持した状態で、裏面Wbを非接触状態で保持する。
図3に示されるように、第1フォーク部12には、例えば、複数の非接触保持部80が設けられている。複数の非接触保持部80が設けられる場合、複数の非接触保持部80は、互いに同様に構成されてもよい。非接触保持部80は、例えば、裏面Wbを吸引により非接触で保持するように、基板Wの裏面Wbとの間においてエアを噴射する。非接触保持部80は、裏面Wbに対して下向きの力が作用するように、裏面Wbを吸引してもよい。
【0052】
非接触保持部80の上端には、エアを噴射することが可能な噴射口が形成されてもよく、非接触保持部80は、裏面Wbとの間に旋回流が形成されるように、その噴射口からエアを噴射してもよい。旋回流が形成されることで、噴射口の近傍に負圧が発生し、その負圧によって、裏面Wbが吸引される。非接触保持部80は、旋回流に代えて、噴射口から放射方向にエアを噴射してもよい。放射方向にエアを噴射することで、ベルヌーイ効果により負圧が発生し、その負圧によって、裏面Wbが吸引される。
【0053】
非接触保持部80は、ハンド10の所定位置に固定されてもよい。非接触保持部80は、例えば、第1フォーク部12の本体部分18に固定されており、本体部分18との間の相対位置は変化しない。基板Wがハンド10に支持される際に裏面Wbが非接触保持部80に近づくように、吸着部60は収縮してもよい。吸着部60が収縮し、摩擦保持部70の上端に裏面Wbが接触した状態で、
図6(a)に示されるように、非接触保持部80の上端と裏面Wbとの間には隙間gが形成される。非接触保持部80は固定されているので、複数の基板Wそれぞれを支持した際に、隙間gは略一定となる。
【0054】
基板搬送ロボット2は、
図6(b)に示されるように、送気路82と、開閉バルブ84とを有する。送気路82は、複数の非接触保持部80のそれぞれと、基板搬送システム1に備えられる送気ポンプと、を接続する流路である。上記送気ポンプは、送気路82を介して、例えば、圧縮された空気を各非接触保持部80に送出する。送気路82の少なくとも一部は、第1フォーク部12の本体部分18の内部に設けられてもよい。
【0055】
開閉バルブ84は、送気路82の開閉状態を切り替える。開閉バルブ84が開状態である場合に、複数の非接触保持部80のそれぞれと、送気ポンプとが接続され、各非接触保持部80が裏面Wbを非接触で吸引可能な状態となる。開閉バルブ84が閉状態である場合に、複数の非接触保持部80のそれぞれと、送気ポンプとの間が遮断され、各非接触保持部80が、裏面Wbを吸引しない状態となる。
【0056】
図3に戻り、少なくとも一部の非接触保持部80は、方向D1において、いずれかの吸着部60が保持する裏面Wbの領域(第1領域)と、いずれかの吸着部60が保持する裏面Wbの領域(第2領域)との間を保持してもよい。少なくとも一部の非接触保持部80は、方向D1において、いずれかの摩擦保持部70が保持する裏面Wbの領域(第1領域)と、いずれかの摩擦保持部70が保持する裏面Wbの領域との間を保持してもよい。少なくとも一部の非接触保持部80は、方向D1において、いずれかの吸着部60が保持する裏面Wbの領域(第1領域、又は第2領域)と、いずれかの摩擦保持部70が保持する裏面Wbの領域(第2領域、又は第1領域)との間を保持してもよい。各保持部が保持する裏面Wbの領域(一部の領域)は、上方から見て、各保持部と裏面Wbとが重なる領域である。
【0057】
図3に示される例においては、第1フォーク部12の本体部分18に、4個の非接触保持部80が設けられている。一例では、4個の非接触保持部80のうちの2個の非接触保持部80が、方向D1に並ぶ一対の領域IAのうちの基部11から遠い領域IAを非接触状態で保持する。残りの2個の非接触保持部80が、上記一対の領域IAのうちの基部11に近い領域IAを非接触状態で保持する。
【0058】
図3においては、基部11から遠い領域IAを保持する2個の非接触保持部80が「80A」で示され、基部11に近い領域IAを保持する2個の非接触保持部80が「80B」で示されている。2個の非接触保持部80A、及び2個の非接触保持部80Bは、方向D1に沿って並んで配置されていてもよく、方向D2において、同じ位置に配置されてもよい。
【0059】
非接触保持部80Aは、方向D1において、吸着部60Aが保持する裏面Wbの領域(第1領域)と、摩擦保持部70Cが保持する裏面Wbの領域(第3領域)との間を保持する。非接触保持部80Aは、方向D1において、摩擦保持部70Aが保持する裏面Wbの領域(第1領域)と、摩擦保持部70Cが保持する裏面Wbの領域(第3領域)との間を保持する。
【0060】
非接触保持部80B(第2非接触保持部)は、方向D1において、摩擦保持部70Cが保持する裏面Wbの領域(第3領域)と、吸着部60Bが保持する裏面Wbの領域(第2領域)との間を保持する。非接触保持部80Bは、方向D1において、摩擦保持部70Cが保持する裏面Wbの領域(第3領域)と、摩擦保持部70Bが保持する裏面Wbの領域(第2領域)との間を保持する。
【0061】
図3に示される吸着部60、摩擦保持部70、及び非接触保持部80の3種類の保持部の配置(レイアウト)、及び各保持部の個数は、一例であり、適宜変更可能である。摩擦保持部70Cに代えて、又は、加えて、領域PA2の一部(第3領域)が吸着部60によって保持されてもよい。裏面Wbの方向D1における端部において、摩擦保持部70が配置されずに、1以上の吸着部60が当該端部を保持してもよく、吸着部60が配置されずに、1以上の摩擦保持部70が当該端部を保持してもよい。
【0062】
裏面Wbの方向D1における両端部それぞれが、吸着部60及び摩擦保持部70のいずれか一方、又は、吸着部60及び摩擦保持部70の両方によって保持され、その両端部の間が、吸着部60及び摩擦保持部70によって保持されずに、1以上の非接触保持部80によって保持されてもよい。裏面Wbの方向D1における両端部に代えて、その両端部のそれぞれの内側に位置する部分が、吸着部60及び摩擦保持部70のいずれか一方、又は、吸着部60及び摩擦保持部70の両方によって保持されてもよい。
【0063】
第2フォーク部13は、第1フォーク部12と同様に、1以上の吸着部60と、1以上の摩擦保持部70と、1以上の非接触保持部80とを含む。第2フォーク部13における上記3種類の保持部の配置(レイアウト)は、第1フォーク部12と第2フォーク部13との間の中央を通り、方向D1に延びる仮想ラインに関して、第1フォーク部12における配置と線対称であってもよい。
【0064】
第2フォーク部13においても、複数の吸着部60のそれぞれに吸引路62を介して真空ポンプが接続されてもよく、複数の非接触保持部80のそれぞれに送気路82を介して送気ポンプが接続されてもよい。この場合、開閉バルブ64が開状態となることで、第1フォーク部12の複数の吸着部60と、第2フォーク部13の複数の吸着部60とが、裏面Wbを吸着可能な状態となる。開閉バルブ84が開状態となることで、第1フォーク部12の複数の非接触保持部80と、第2フォーク部13の複数の非接触保持部80とが、裏面Wbを非接触で吸引可能な状態となる。流路を共用することに代えて、第1フォーク部12と第2フォーク部13との間において、吸引路62及び開閉バルブ64が個別に設けられてもよく、送気路82及び開閉バルブ84が個別に設けられてもよい。
【0065】
<圧力センサ>
基板搬送ロボット2は、
図4(b)に示されるように、圧力センサ92を有する。圧力センサ92は、吸着部60に接続された吸引路62の圧力を検出するセンサである。圧力センサ92は、吸引路62の圧力が所定レベル以上になった場合に信号を出力するセンサであってもよく、吸引路62の圧力値に応じた電気信号を出力するセンサであってもよい。吸引路62が複数の吸着部60に接続される場合、圧力センサ92は、吸引路62のうちの各吸引路62に分岐した部分以外の流路(共通の流路)に配置されてもよい。
【0066】
仮に1つの吸着部60において、その上端の開口が裏面Wbによって塞がれていない場合には、開閉バルブ64が開状態でも、吸引路62の圧力が上昇しない。そのため、圧力センサ92による検出結果によって、吸着部60の裏面Wbに対する作用状態を把握することが可能である。第1フォーク部12及び第2フォーク部13の間で、吸引路62及び開閉バルブ64が個別に設けられる場合には、圧力センサ92も個別に設けられる。圧力センサ92は、吸引路62の圧力の検出結果を示す信号をロボットコントローラ100に出力する。
【0067】
<在荷センサ>
基板搬送ロボット2は、
図3に示されるように、在荷センサ94を有する。在荷センサ94は、ハンド10上の基板Wを検出するセンサである。在荷センサ94は、例えば、ハンド10上に基板Wが存在する場合と、ハンド10上に基板Wが存在しない場合とで、互いに異なる信号を生成して、ロボットコントローラ100に出力する。在荷センサ94は、基板Wを検出可能であれば、どのような種類のセンサであってもよいが、例えば、光電センサである。第1フォーク部12の本体部分18及び第2フォーク部13の本体部分19のそれぞれに、在荷センサ94が設けられてもよい。
【0068】
(ロボットコントローラ)
ロボットコントローラ100は、基板搬送ロボット2を制御するコンピュータである。
図7には、ロボットコントローラ100の機能構成の一例が示されている。ロボットコントローラ100は、機能上の構成要素(以下、「機能ブロック」という。)として、種別特定部112と、搬送条件設定部114と、搬送制御部116と、を有する。
【0069】
種別特定部112は、複数のワーク種別から、処理対象(搬送対象)の基板Wの種別を特定する。種別特定部112は、例えば、上位コントローラ200からの情報により、処理対象の基板Wの種別を特定する。上位コントローラ200は、ロボットコントローラ100に対して、基板Wの搬送の実行等の指令を送信するコントローラである。複数のワーク種別は、第1種のワークと、第2種のワークとを含む。第2種のワークは、第1種のワークに比較して質量が大きい種類のワークである。
【0070】
質量が大きい基板Wでは、質量が小さい基板Wに比べて、搬送中の慣性が大きく、基板Wに作用している保持力が弱いと、ハンド10に対して基板Wがずれやすい傾向がある。一例では、基板搬送システム1の処理対象の複数種の基板Wが、第1種のワークと、第2種のワークとの2種類に分類される。第1種のワークには、質量が第1範囲である1種以上の基板Wが分類され、第2種のワークには、質量が上記第1範囲よりも大きい第2範囲である1種以上の基板Wが分類されてもよい。複数のワーク種別の間で、基板Wの厚みと質量とが相関関係(例えば比例関係)にある場合には、基板Wの厚みの大小関係で、基板Wの質量の大小関係を推定できる。このような場合には、第2種のワークは、第1種のワークに比較して厚みが大きい種類のワークであってもよい。
【0071】
搬送条件設定部114は、圧力センサ92の検出結果に基づいて、処理対象の基板Wを搬送する際の搬送条件を設定する。搬送条件設定部114により設定される搬送条件は、その条件を調節することで、搬送中の基板Wの慣性を低下させることが可能な条件である。搬送条件設定部114は、例えば、圧力センサ92の検出結果に基づいて、上記搬送条件として、基板Wを搬送する際の搬送速度を設定する。
【0072】
一例では、搬送条件設定部114は、吸引路62の圧力が所定レベルよりも大きい場合には、搬送速度を基準値に設定し、吸引路62の圧力が上記所定レベルよりも小さい場合には、搬送速度を基準値よりも小さい値に設定してもよい。搬送条件設定部114は、圧力センサ92からの、吸引路62の圧力が上記所定レベルを超えたことを示す信号の有無、又は、圧力センサ92の圧力の検出値と上記所定レベルとの比較結果に基づいて、吸引路62の圧力と上記所定レベルとの大小関係を判定してもよい。
【0073】
第1フォーク部12と第2フォーク部13との間で、個別に吸引路62が設けられる場合には、搬送条件設定部114は、いずれかのフォーク部の吸引路62において、圧力が所定レベルよりも小さい場合に、吸引路62の圧力が上記所定レベルよりも小さいと判定してもよい。ロボットコントローラ100には、搬送速度の基準値が予め記憶されていてもよい。搬送速度の基準値は、基板Wを搬送する区画ごとに異なる値を有してもよい。搬送速度を基準値よりも小さい値に設定する場合において、搬送条件設定部114は、区画ごとに、対応する基準値よりも小さい値に搬送速度を設定してもよい。
【0074】
搬送条件設定部114は、圧力センサ92による検出結果に加えて、種別特定部112による特定結果に基づいて、搬送速度を設定してもよい。一例では、搬送条件設定部114は、吸引路62の圧力が上記所定レベルよりも大きい場合には、種別特定部112の特定結果によらず、搬送速度を上記基準値に設定する。吸引路62の圧力が上記所定レベルよりも大きい場合には、各吸着部60が裏面Wbを問題なく吸着(保持)していると想定されるので、基準値に設定された搬送速度で、処理対象の基板Wを搬送することができる。
【0075】
一方、搬送条件設定部114は、吸引路62の圧力が上記所定レベルよりも小さい場合には、処理対象の基板Wの種別に応じて、搬送速度を設定する。種別特定部112は、吸引路62の圧力が上記所定レベルよりも小さく、且つ、処理対象の基板Wの種別が上記第1種のワークであると特定された場合には、搬送速度を上記基準値以下の第1の値に設定してもよい。上記第1の値は、上記基準値と同じであってもよい。種別特定部112は、吸引路62の圧力が上記所定レベルよりも小さく、且つ、基板Wの種別が上記第2種のワークであると特定された場合には、搬送速度を上記第1の値よりも小さい第2の値に設定してもよい。
【0076】
搬送制御部116は、ハンド10に処理対象の基板Wを支持させて、その基板Wを搬送するように基板搬送ロボット2を制御する。搬送制御部116は、例えば、カセット190と、カセット190から離れた所定位置(例えば、基板処理装置内の所定位置)との間で、処理対象の基板Wを搬送するように、基板搬送ロボット2を制御する。基板搬送ロボット2の動作は、カセット190のどのスロット193に処理対象の基板Wが配置されているか、又は、その基板Wを配置するかに応じて、予め定められていてもよい。搬送制御部116は、搬送条件設定部114によって設定された搬送条件(例えば、搬送速度)に従って、基板搬送ロボット2に含まれるアクチュエータ51,52,53,54を制御してもよい。
【0077】
搬送制御部116は、ハンド10が処理対象の基板Wの支持を開始した後に(ハンド10に基板Wが載った後に)、各吸着部60による基板Wの吸着、及び、各非接触保持部80による基板Wの吸引を開始させてもよい。搬送制御部116は、ハンド10が処理対象の基板Wの支持を開始した後に、例えば、各吸着部60に接続された吸引路62を開閉する開閉バルブ64を閉状態から開状態に切り替え、各非接触保持部80に接続された送気路82を開閉する開閉バルブ84を閉状態から開状態に切り替える。ハンド10が処理対象の基板Wの支持を開始した後に、吸着部60による吸着、及び非接触保持部80による吸引を基板Wに作用させることで、基板支持部192等の基板支持部に支持された状態で、基板Wの裏面Wbに吸引等の力が作用して、基板Wが撓んでしまう、又は変形してしまうのを回避できる。吸着部60による吸着、及び、各非接触保持部80による吸引の開始タイミングは、上述した例に限られない。例えば、基板支持部192に支持された基板Wの下方にハンド10を配置し、ハンド10を上昇させてハンド10に基板Wを引き渡す場合において、搬送制御部116は、ハンド10の上昇開始以降において、各吸着部60による基板Wの吸着、及び、各非接触保持部80による基板Wの吸引を開始させてもよい。
【0078】
搬送制御部116は、在荷センサ94により基板Wが検出された場合には、基板搬送ロボット2に基板Wを搬送させ、在荷センサ94により基板Wが検出されない場合には、基板搬送ロボット2による基板Wの搬送動作を停止してもよい。搬送制御部116は、例えば、処理対象の基板Wの支持を開始するための動作をハンド10に実行させた後に、在荷センサ94により基板Wが検出された場合には、ハンド10による基板Wの搬送動作を継続する。一方、搬送制御部116は、上記動作をハンド10に実行させた後に、何らかの原因により、在荷センサ94により基板Wが検出されない場合には、ハンド10による基板Wの搬送動作を停止(異常停止)する。
【0079】
図8には、ロボットコントローラ100のハードウェア構成の一例が示されている。ロボットコントローラ100は、回路150を有する。回路150は、プロセッサ151と、メモリ152と、ストレージ153と、ドライバ回路154と、通信ポート155と、を有する。ストレージ153は、フラッシュメモリ、又はハードディスク等の1以上の不揮発性メモリデバイスにより構成されている。ストレージ153は、吸着部60、摩擦保持部70、及び非接触保持部80のそれぞれが裏面Wbを保持した状態で基板Wを搬送するように、基板搬送ロボット2を制御すること、をロボットコントローラ100に実行させるプログラムを記憶している。例えばストレージ153は、上述した機能ブロックをロボットコントローラ100に構成させるためのプログラムを記憶している。
【0080】
メモリ152は、例えばランダムアクセスメモリ等の1以上の揮発性メモリデバイスにより構成されている。メモリ152は、ストレージ153からロードされたプログラムを一時的に記憶する。プロセッサ151は、CPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の1以上の演算デバイスにより構成されている。プロセッサ151は、メモリ152にロードされたプログラムを実行することで、上述した各機能ブロックをロボットコントローラ100に構成させる。プロセッサ151による演算結果は一時的にメモリ152に格納される。
【0081】
ドライバ回路154は、プロセッサ151からの要求に応じて基板搬送ロボット2のアクチュエータ51,52,53,54を動作させる。通信ポート155は、プロセッサ151からの要求に応じ、上位コントローラ200と通信する。入出力ポート156は、プロセッサ151からの要求に応じ、圧力センサ92及び在荷センサ94等のセンサとの間で情報の入出力を行う。
【0082】
[基板搬送方法]
続いて、基板搬送方法の一例として、基板搬送システム1において実行される搬送工程について説明する。この搬送工程(基板搬送方法)は、ハンド10を有する基板搬送ロボット2により、基板Wを搬送する工程であり、吸着部60、摩擦保持部70、及び非接触保持部80のそれぞれが裏面Wbを保持した状態で基板Wを搬送するように、基板搬送ロボット2を制御することを含む。
【0083】
図9には、搬送工程において、ロボットコントローラ100が実行する一連の処理が示されている。この一連の処理では、上位コントローラ200から搬送指令に応じて、処理対象の基板Wが、基板搬送ロボット2により、カセット190から所定位置まで搬送される。最初に、ロボットコントローラ100は、ステップS01を実行する。ステップS01では、例えば、ロボットコントローラ100が、上位コントローラ200からの搬送指令を受けるまで待機する。上位コントローラ200からの搬送指令には、処理対象の基板Wの種別、及び、カセット190において処理対象の基板Wが配置されたスロット193を示す情報が含まれてもよい。
【0084】
次に、ロボットコントローラ100は、ステップS02を実行する。ステップS02では、例えば、種別特定部112が、上位コントローラ200からの搬送指令に含まれる情報に基づいて、処理対象の基板Wの種別を特定する。一例では、種別特定部112は、処理対象の基板Wが、第1種のワークと、第1種のワークよりも質量(又は、厚み)が大きい第2種のワークとのどちらの種別かを特定する。
【0085】
次に、ロボットコントローラ100は、ステップS03を実行する。ステップS03では、例えば、搬送制御部116が、カセット190内の処理対象の基板Wをハンド10に受け取らせ、ハンド10に支持された当該基板Wを所定位置まで搬送するように、基板搬送ロボット2を制御する。
図10には、ステップS03において、ロボットコントローラ100が実行する一連の処理が示されている。
【0086】
ステップS03において、ロボットコントローラ100は、最初に、ステップS11を実行する。ステップS11では、例えば、搬送制御部116が、カセット190内において、
図11(a)に示されるように、処理対象の基板Wの鉛直下方に、ハンド10の第1フォーク部12及び第2フォーク部13が配置されるように、多関節アーム20を制御する。なお、
図11(a)では、カセット190の筐体の図示は省略されており、処理対象の基板Wを支持している1つの基板支持部192が描かれている。
【0087】
搬送制御部116は、
図11(b)に示されるように、カセット190内において、処理対象の基板Wが配置されているスロット193の1つの下のスロット193にハンド10を配置するように、多関節アーム20を制御してもよい。搬送制御部116は、上方から見て、1以上の吸着部60、1以上の摩擦保持部70、及び、1以上の非接触保持部80のそれぞれが、裏面Wbにおける保持予定の箇所(領域)に重なるように、多関節アーム20によりハンド10を移動させてもよい。
【0088】
次に、ロボットコントローラ100は、ステップS12を実行する。ステップS12では、例えば、搬送制御部116が、ハンド10を上昇させるように多関節アーム20のアクチュエータ54を制御する。一例では、搬送制御部116は、ハンド10に基板Wが引き渡されるように予め設定された所定量だけ、アクチュエータ54によりハンド10を上昇させる。
【0089】
次に、ロボットコントローラ100は、ステップS13を実行する。ステップS13では、例えば、搬送制御部116が、吸着部60による吸着、及び非接触保持部80による吸引を開始するように、基板搬送ロボット2を制御する。搬送制御部116は、吸引路62に設けられた開閉バルブ64を閉状態から開状態に切り替え、送気路82に設けられた開閉バルブ84を閉状態から開状態に切り替えてもよい。一例では、ステップS12によりハンド10が基板Wを支持するのに伴い(基板Wの自重により)、又は、各吸着部60による吸着の開始に伴い、吸着部60が収縮し、その結果、処理対象の基板Wの裏面Wbが、摩擦保持部70の上端に位置する保持面72に接触する。何らかの要因によりトラブルが発生しなければ、ステップS13の実行後、吸着部60、摩擦保持部70、及び非接触保持部80のそれぞれが、基板Wの裏面Wbを保持した状態となる。
【0090】
次に、ロボットコントローラ100は、ステップS14を実行する。ステップS14では、例えば、搬送制御部116が、在荷センサ94による検出結果に基づいて、ハンド10に処理対象の基板Wが支持されているか否かを判断する。ステップS14において、ハンド10上に基板Wが支持されていると判断された場合(ステップS14:YES)、ロボットコントローラ100が実行する処理は、ステップS15に進む。
【0091】
ステップS15では、例えば、搬送条件設定部114が、搬送条件として搬送速度を設定する。ステップS15の詳細については、後述する。次に、ロボットコントローラ100は、ステップS16を実行する。ステップS16では、例えば、搬送制御部116が、ステップS15で設定された搬送速度に従って、処理対象の基板Wを搬送するように多関節アーム20を制御する。ステップS16の実行により、処理対象の基板Wが、カセット190から所定位置まで搬送され、1枚の基板Wについての搬送処理が終了する。
【0092】
一方、ステップS14において、ハンド10上に基板Wが支持されていないと判断された場合(ステップS14:NO)、ロボットコントローラ100が実行する処理は、ステップS17に進む。何らかの要因により、ハンド10による基板支持部192から処理対象の基板Wの受け取りが適切に実行されない場合に、在荷センサ94によりハンド10上に基板Wが検出されない場合がある。ステップS17では、例えば、ロボットコントローラ100が、処理対象の基板Wの搬送動作を異常停止する。ロボットコントローラ100は、異常停止を示す信号を上位コントローラ200に出力してもよく、異常停止をオペレータ等の作業員に報知してもよい。
【0093】
図12には、ステップS15において実行される一連の処理が示されている。ステップS15の搬送速度の設定では、ロボットコントローラ100が、最初にステップS31を実行する。ステップS31では、例えば、搬送条件設定部114が、圧力センサ92により検出された圧力値(吸引路62の圧力を示す値)が、所定レベルよりも大きいか否かを判定する。所定レベルは、そのレベルよりも大きければ、吸着部60による吸着が基板Wに作用していると判断できる値に予め設定されてもよい。
【0094】
ステップS31において、圧力センサ92により検出された圧力値が、上記所定レベルよりも大きいと判断された場合(ステップS31:YES)、ロボットコントローラ100が実行する処理は、ステップS32に進む。ステップS32では、例えば、搬送条件設定部114が、搬送速度を基準値に設定する。
【0095】
一方、ステップS31において、圧力センサ92により検出された圧力値が、上記所定レベル以下と判断された場合(ステップS31:NO)、ロボットコントローラ100が実行する処理は、ステップS33に進む。ステップS33では、例えば、搬送条件設定部114が、ステップS02において、処理対象の基板Wの種別に関して種別特定部112により特定された種別が、質量(又は、厚み)が小さい第1種のワークであるか否かを判断する。
【0096】
ステップS33において、処理対象の基板Wの種別が、第1種のワークであると判断された場合(ステップS33:YES)、ロボットコントローラ100が実行する処理は、ステップS34に進む。ステップS34では、例えば、搬送条件設定部114が、ステップS32と同様に、搬送速度を基準値(第1の値)に設定する。
【0097】
一方、ステップS33において、処理対象の基板Wの種別が、第1種のワークではないと判断された場合(ステップS33:NO)、ロボットコントローラ100が実行する処理は、ステップS35に進む。ステップS35では、例えば、搬送条件設定部114が、搬送速度を基準値よりも小さい値(第2の値)に設定する。以上により、吸引路62の圧力の検出結果、及び、処理対象の基板Wの種別の判別結果に応じて、搬送速度が設定される。
【0098】
ロボットコントローラ100は、上位コントローラ200から搬送指令に応じて、処理対象の基板Wの搬送動作を行うステップS01~S03の一連の処理を繰り返してもよい。
【0099】
[変形例]
図9、
図10、及び
図12のそれぞれに示される一連の処理は一例であり、適宜変更可能である。上記一連の処理において、ロボットコントローラ100は、1つのステップと次のステップとを並列に実行してもよく、上述した例とは異なる順序で各ステップを実行してもよい。ロボットコントローラ100は、いずれかのステップを省略してもよく、いずれかのステップにおいて上述の例とは異なる処理を実行してもよい。
【0100】
ステップS12の実行中において、ロボットコントローラ100は、ステップS13を実行してもよい。ロボットコントローラ100は、ステップS12の実行中において、基板支持部192からハンド10に基板Wが引き渡された後、ハンド10の上昇を停止する前に、ステップS13を実行してもよい。ステップS02は、ステップS15における一連の処理の中で実行されてもよい。搬送条件設定部114は、ステップS34において、搬送速度を基準値よりも小さい第1の値に設定し、ステップS35において、搬送速度を上記第1の値よりも小さい第2の値に設定してもよい。
【0101】
ロボットコントローラ100は、吸引路62の圧力が所定レベル以下である場合において、処理対象の基板Wの種別に代えて、処理対象の基板Wの厚みを示す情報に基づいて、搬送速度を設定してもよい。上述したように、基板Wの厚みにより基板Wの質量を推定できる場合があるので、基板Wの厚みを示す情報に基づき搬送速度を設定することで、搬送中に基板Wに作用する慣性を調整できる。
図3に示されるように、基板搬送ロボット2は、反射型センサ96を有してもよい。ハンド10の第1フォーク部12及び第2フォーク部13それぞれの先端部に、反射型センサ96が設けられてもよい。
【0102】
反射型センサ96は、カセット190に収容された状態の複数の基板Wそれぞれを検出可能なセンサである。反射型センサ96は、例えば、水平方向へレーザ光を出射し、物体から反射して戻ってくる反射光を受ける。レーザ光の出射方向に物体が存在するか否か、又は反射型センサ96から物体までの距離等によって、反射型センサ96に戻ってくる反射光が変化する。そのため、反射型センサ96が受けた反射光に基づいて、物体の存在及び位置を検出することができる。
【0103】
図7に示されるように、ロボットコントローラ100は、スキャン制御部122と、厚み情報取得部124と、を有してもよい。スキャン制御部122は、ハンド10を上下方向に動作させた際の反射型センサ96による検出結果を取得する。スキャン制御部122は、カセット190内の多段のスロット193に応じて、ハンド10を下から上、又は上から下に移動させながら、反射型センサ96により反射光の取得を繰り返し実行する。スキャン制御部122は、ハンド10上の反射型センサ96の高さ位置と、その高さ位置で得られた反射光とを対応付ける。これにより、カセット190内において、どのスロット193に基板Wが配置されているかをロボットコントローラ100が把握できる。
【0104】
厚み情報取得部124は、基板Wの厚みを取得する。厚み情報取得部124は、反射型センサ96による検出結果を用いて、基板Wの厚みを計測してもよい。一例では、厚み情報取得部124は、ハンド10を上下方向に動作させた際の反射型センサ96による検出結果に基づいて、基板Wの厚みを取得する。すなわち、厚み情報取得部124は、反射型センサ96を用いてカセット190内の複数の基板Wを検出するために得られた情報から、検出された複数の基板Wそれぞれの厚みを取得(計測)してもよい。
【0105】
搬送条件設定部114は、圧力センサ92による検出結果に加えて、厚み情報取得部124による取得結果に基づいて、処理対象の基板Wの搬送条件として、搬送速度を設定してもよい。一例では、搬送条件設定部114は、吸引路62の圧力が第1所定レベルよりも大きい場合には、厚み情報取得部124による取得結果によらず、搬送速度を基準値に設定する。第1所定レベルは、吸引路62の圧力に関する上記所定レベルと同じである。搬送条件設定部114は、吸引路62の圧力が上記第1所定レベルよりも小さい場合には、厚み情報取得部124により取得された基板Wの厚みを示す情報に応じて、搬送速度を設定する。
【0106】
一例では、搬送条件設定部114は、吸引路62の圧力が上記第1所定レベルよりも小さく、且つ、基板Wの厚みが第2所定レベルよりも小さい場合には、搬送速度を上記基準値以下の第1の値に設定する。上記第2所定レベルは、仮に吸着部60による吸着が基板Wに作用していない場合であっても、搬送速度を大きく下げることなく(例えば、基準値に設定しても)、ハンド10により保持して基板Wの搬送が可能な厚みに設定されている。上記第2所定レベルは、ロボットコントローラ100に予め記憶されていてもよい。搬送条件設定部114は、吸引路62の圧力が上記第1所定レベルよりも小さく、且つ、基板Wの厚みが上記第2所定レベルよりも大きい場合には、搬送速度を上記第1の値よりも小さい第2の値に設定する。
【0107】
図13には、基板Wの厚みを示す情報に基づき搬送速度が設定される場合に、ロボットコントローラ100が実行する一連の処理が示されている。ロボットコントローラ100は、最初に、ステップS51を実行する。ステップS51では、例えば、ロボットコントローラ100が、上位コントローラ200からの搬送指令を受けるのを待機する。上位コントローラ200からの搬送指令には、処理対象の基板Wの配置位置、並びに、処理対象の基板Wの数及び種別が含まれておらず、カセット190内の基板Wの搬送を開始させる指令が含まれてもよい。
【0108】
次に、ロボットコントローラ100は、ステップS52を実行する。ステップS52では、例えば、スキャン制御部122が、
図14に示されるように、反射型センサ96をカセット190に向けながら、上下方向に沿って移動させるように基板搬送ロボット2を制御する。スキャン制御部122は、カセット190における最上部のスロット193に、開口191の外から、当該開口191に直交する方向に沿って反射型センサ96を対向させた後、カセット190における最下部のスロット193に対向するまで反射型センサ96を下降させるように、多関節アーム20を制御してもよい。スキャン制御部122は、反射型センサ96を下降させながら得られた反射光に基づいて、多段のスロット193のそれぞれに基板Wが支持されているか否かを検出してもよい。
【0109】
次に、ロボットコントローラ100は、ステップS53を実行する。ステップS53では、例えば、厚み情報取得部124が、ステップS52で得られた反射型センサ96からの検出結果に基づいて、カセット190内に収容されている複数の基板Wそれぞれの厚みを計測する。なお、ステップS52では、基板Wの厚みが計測できる程度に、反射型センサ96が上下に移動しつつ、反射型センサ96からのレーザ光の出射が繰り返されてもよい。
【0110】
次に、ロボットコントローラ100は、ステップS54を実行する。ロボットコントローラ100は、一部の処理内容を除いて、
図10に示される一連の処理と同様に、ステップS54を実行してもよい。ステップS11でのハンド10の配置では、搬送制御部116が、ステップS52で得られた検出結果を用いて、例えば、カセット190内において最も上方に位置する基板Wを搬送対象として、その基板Wの下方に、多関節アーム20によりハンド10を配置する。
【0111】
ステップS15では、搬送条件設定部114は、
図12に示されるステップS31,S32,S34,S35と同様の処理を実行する。搬送条件設定部114は、ステップS33に代えて、処理対象の基板Wの厚みが上記第2所定レベルよりも小さいか否かを判定する。そして、処理対象の基板Wの厚みが上記第2所定レベルよりも小さいと判断された場合に、ロボットコントローラ100はステップS34を実行し、処理対象の基板Wの厚みが上記第2所定レベル以上であると判断された場合に、ロボットコントローラ100は、ステップS35を実行する。
【0112】
ステップS54の実行後、ロボットコントローラ100は、ステップS55を実行する。ステップS55では、例えば、ロボットコントローラ100が、カセット190内で検出された全ての基板Wの搬送が終了したか否かを判定する。ステップS55において、全ての基板Wの搬送が終了していないと判断された場合(ステップS55:NO)、ロボットコントローラ100が実行する処理は、ステップS54に戻る。そして、ロボットコントローラ100は、処理対象の基板Wを変えたうえで、ステップS54を実行する。一方、ステップS55において、全ての基板Wの搬送が終了したと判断された場合(ステップS55:YES)、ロボットコントローラ100が実行する一連の処理が終了する。
【0113】
厚み情報取得部124は、カセット190内の基板Wの存在有無を検出するためのスキャン動作を実行する際に反射型センサ96から得られた検出結果を用いずに、厚みの計測のために反射型センサ96を動作させて、処理対象の基板Wの厚みを計測してもよい。厚み情報取得部124は、反射型センサ96以外の検出部(例えば、カメラ)による検出結果から基板Wの厚みを計測してもよく、上位コントローラ200から、処理対象の基板Wの厚みを示す情報を取得してもよい。種別特定部112が、厚み情報取得部124により取得された厚みを示す情報を用いて、処理対象の基板Wの種別を特定してもよい。
【0114】
上述の種々の例では、ロボットコントローラ100は、圧力センサ92及び在荷センサ94による検出結果に基づいて、基板搬送ロボット2を制御したが、圧力センサ92及び在荷センサ94による検出結果に基づいて、ハンド10による基板Wの保持状態を判定してもよい。ロボットコントローラ100は、
図7に示されるように、状態判定部128を有してもよい。状態判定部128は、圧力センサ92の検出結果及び在荷センサ94の検出結果に基づいて、吸着部60、摩擦保持部70、及び非接触保持部80それぞれの保持状態を判定する。
【0115】
圧力センサ92が設けられる吸引路62の圧力が所定レベルよりも大きいか否かによって、吸着部60による吸着が基板Wの裏面Wbに作用(機能)しているか否かを判断できる。在荷センサ94によりハンド10上に基板Wがあることが検出された場合には、摩擦保持部70による摩擦保持、及び、非接触保持部80による吸引が、裏面Wbに作用していると推定できる。状態判定部128は、吸引路62の圧力が上記所定レベルよりも大きく、且つ、在荷センサ94により基板Wが検出された場合に、吸着部60、摩擦保持部70、及び非接触保持部80による保持が、裏面Wbに作用していると判定してもよい。
【0116】
状態判定部128は、吸引路62の圧力が上記所定レベルよりも小さく、且つ、在荷センサ94により基板Wが検出された場合に、吸着部60による吸着が裏面Wbに作用しておらず、摩擦保持部70及び非接触保持部80による保持が、裏面Wbに作用していると判定してもよい。状態判定部128は、在荷センサ94により基板Wが検出されない場合に、吸着部60、摩擦保持部70、及び非接触保持部80による保持が、裏面Wbに作用していないと判定してもよい。状態判定部128による判定結果を示す情報は、他の装置に出力されてもよく、作業員に報知されてもよく、ロボットコントローラ100に記録されてもよい。
【0117】
コンピュータ内で二つの数値の大小関係を比較する際には、「以上」及び「よりも大きい」という二つの基準のうちのどちらを用いてもよく、「以下」及び「未満」という二つの基準のうちのどちらを用いてもよい。このような基準の選択は、二つの数値の大小関係を比較する処理についての技術的意義を変更するものではない。以上に説明した種々の例のうちの1つの例において、他の例で説明した事項の少なくとも一部が組み合わされてもよい。
【0118】
[本開示のまとめ]
本開示は、以下の[1]~[22]の構成又は方法を含む。
【0119】
[1]基板(W)を支持するハンド(10)と、ハンド(10)を動作させるアーム(20)と、を備え、ハンド(10)は、基板(W)の裏面(Wb)を吸着により保持し、上端の高さ位置が低くなるように伸縮可能な吸着部(60)と、基板(W)を支持した吸着部(60)が収縮した状態で、裏面(Wb)を摩擦により保持する摩擦保持部(70)と、吸着部(60)及び摩擦保持部(70)が裏面(Wb)を保持した状態で、裏面(Wb)を非接触状態で保持する非接触保持部(80)と、を有する、基板搬送ロボット(2)。
基板(W)の裏面(Wb)には、接触が許容される接触可能領域と、接触が許容されない接触不可領域とが設定される場合がある。上記基板搬送ロボット(2)のハンド(10)では、裏面(Wb)に接触して裏面(Wb)を保持する2つの保持部と、非接触で裏面(Wb)を保持する1つの保持部とを含む3種類の保持部が設けられているので、接触可能領域及び接触不可領域が設定されても、裏面(Wb)を保持する力を高めることができる。そして、摩擦保持部(70)は吸着部(60)が収縮した状態で摩擦により裏面(Wb)を保持するので、裏面(Wb)が吸着部(60)に当たらずに摩擦保持部(70)だけに当たり、吸着部(60)と裏面(Wb)との間に隙間が生じてしまう可能性を低減できる。また、吸着部(60)の収縮により、非接触保持部(80)と裏面(Wb)との間の隙間が小さくなり、非接触保持部(80)による吸引等の裏面(Wb)への作用がより確実となる。以上より、ハンド(10)により安定して基板(W)を保持したうえで、その基板(W)を搬送できる。従って、上記基板搬送ロボット(2)は、搬送作業の安定化に有用である。
【0120】
[2]ハンド(10)が基板(W)を支持していない状態において、吸着部(60)の上端の高さ位置(H1)は、摩擦保持部(70)の上端の高さ位置(H3)よりも高く、 吸着部(60)が裏面(Wb)を吸着しつつ収縮した状態において、摩擦保持部(70)の上端に裏面(Wb)が接触している、上記[1]に記載の基板搬送ロボット(2)。
ハンド(10)が基板(W)を支持していない状態で、仮に、摩擦保持部(70)の上端の高さ位置が吸着部(60)の上端の高さ位置以上であると、摩擦保持部(70)に先に裏面(Wb)が当たり、吸着部(60)に裏面(Wb)が当たらず、隙間が生じる可能性がある。吸着部(60)と裏面(Wb)との間に隙間が生じると、吸着部(60)による裏面(Wb)に対する吸着が作用し難いが、上記構成では、このような可能性を低減できる。従って、搬送作業の安定化に有用である。
【0121】
[3]吸着部(60)は、第1高さ位置(H1)から第2高さ位置(H2)まで収縮することが可能であり、摩擦保持部(70)の上端は、第1高さ位置(H1)と第2高さ位置(H2)との間に位置する、上記[1]又は[2]に記載の基板搬送ロボット(2)。
この場合、基板(W)を支持した吸着部(60)が収縮した際に、より確実に、基板(W)の裏面(Wb)が摩擦保持部(70)に接触する。従って、ハンド(10)による基板(W)の保持の安定化に有用である。
【0122】
[4]非接触保持部(80)は、ハンド(10)の所定位置に固定されており、基板(W)がハンド(10)に支持される際に裏面(Wb)が非接触保持部(80)に近づくように、吸着部(60)が収縮し、吸着部(60)が収縮し、摩擦保持部(70)の上端に裏面(Wb)が接触した状態で、非接触保持部(80)の上端と裏面(Wb)との間には隙間(g)が形成される、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の基板搬送ロボット(2)。
この場合、非接触保持部(80)自体をハンド(10)において移動させなくても、吸着部(60)の収縮により、非接触保持部(80)による保持が効果的に作用する位置に基板(W)を配置できる。そのため、非接触保持部(80)の構成を簡素化できる。従って、ハンド(10)の簡素化に有用である。
【0123】
[5]ハンド(10)は、吸着部(60)を含む1以上の吸着部(60)と、摩擦保持部(70)を含む1以上の摩擦保持部(70)と、を有し、1以上の吸着部(60)のいずれか1つ、又は、1以上の摩擦保持部(70)のいずれか1つが、裏面(Wb)の第1領域を保持し、1以上の吸着部(60)のいずれか1つ、又は、1以上の摩擦保持部(70)のいずれか1つが、裏面(Wb)の上記第1領域と所定方向(D1)に沿って並ぶ第2領域を保持し、非接触保持部(80)は、所定方向(D1)において、上記第1領域と上記第2領域との間を保持する、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の基板搬送ロボット(2)。
この場合、裏面(Wb)のうちの、接触状態で保持される一対の領域の間が非接触保持部(80)により保持される。そのため、裏面(Wb)の中央部分に接触が許容されない接触不可領域が設定されても、安定して基板(W)を搬送することができる。
【0124】
[6]ハンド(10)は、非接触保持部(80A)に対応する第2非接触保持部(80B)を更に有し、上記第1領域は、裏面(Wb)の所定方向(D1)における第1端部に位置し、上記第2領域は、裏面(Wb)の上記第1端部とは反対側の第2端部に位置し、1以上の吸着部(60)のいずれか1つ、又は、1以上の摩擦保持部(70)のいずれか1つが、所定方向(D1)において上記第1領域と上記第2領域との間に位置する第3領域を保持し、非接触保持部(80A)は、所定方向(D1)において、上記第1領域と上記第3領域との間を保持し、第2非接触保持部(80B)は、所定方向(D1)において、上記第3領域と上記第2領域との間を保持する、上記[5]に記載の基板搬送ロボット(2)。
この場合、裏面(Wb)のうちの所定方向において並ぶ3つの領域それぞれが、接触状態で保持され、3つの領域のうちの隣り合う領域の間が、非接触状態で保持される。そのため、裏面(Wb)の中央部分の大部分が、接触が許容されない領域であっても、中央部分の一部が接触状態でも保持される。従って、基板(W)の保持の安定化に有用である。
【0125】
[7]1以上の吸着部(60)のうちの第1吸着部(60A)が、上記第1端部に位置する上記第1領域を吸着により保持し、1以上の吸着部(60)のうちの第2吸着部(60B)が、上記第2端部に位置する上記第2領域を吸着により保持する、上記[6]に記載の基板搬送ロボット(2)。
吸着部(60)による保持が裏面(Wb)に作用する程度は、摩擦保持部(70)及び非接触保持部(80)に比べて大きい傾向がある。上記構成では、裏面(Wb)の両端部それぞれが吸着により保持されるので、搬送中において、裏面(Wb)の端部を起点として基板(W)がハンド(10)から離れる可能性が低減される。従って、基板(W)の保持の安定化に有用である。
【0126】
[8]摩擦保持部(70)は、吸着部(60)が収縮した際に裏面(Wb)に接触する平坦な保持面(72)を含み、摩擦保持部(70)は、保持面(72)が吸着部(60)を囲むように設けられている、上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の基板搬送ロボット(2)。
この場合、吸着部(60)が収縮可能な部材であっても、その吸着部(60)の周囲にある摩擦保持部(70)の保持面(72)で裏面(Wb)が保持される。そのため、吸着部(60)と裏面(Wb)とが接触した状態が、より容易に維持される。従って、基板(W)の保持の安定化に有用である。
【0127】
[9]ハンド(10)は、フォーク部(12)を有し、フォーク部(12)は、所定方向(D1)に延びるように形成されており、所定方向(D1)に直交する幅方向(D2)において、フォーク部(12)の幅は、基板(W)の幅よりも小さく、フォーク部(12)は、吸着部(60)、摩擦保持部(70)、及び非接触保持部(80)を含み、幅方向(D2)において、摩擦保持部(70)の最大幅が、フォーク部(12)の本体部分(18)の最大幅よりも大きい、上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の基板搬送ロボット(2)。
摩擦保持部(70)の幅が大きいほど、その摩擦保持部(70)により裏面(Wb)に作用する保持力は大きくなるが、摩擦保持部(70)の大きさに合わせて、フォーク部(12)の本体部分(18)を大きくすると、ハンド(10)が大型化する。これに対して、上記構成では、ハンドの簡素化(又は軽量化)と、摩擦による保持力の向上との両立を図ることができる。
【0128】
[10]ハンド(10)は、幅方向(D2)において、フォーク部(12)との間に間隔を空けて並ぶ第2フォーク部(13)を更に有し、摩擦保持部(70)の一部が、フォーク部(12)の本体部分(18)と第2フォーク部(13)との間のスペースにおいて、本体部分(18)から突出している、上記[9]に記載の基板搬送ロボット(2)。
本体部分(18)から、第2フォーク部(13)とは反対方向に突出すると、ハンド(10)全体での幅方向のサイズが大きくなる。これに対して、上記構成では、摩擦による保持力を向上させつつ、ハンドを簡素化できる。
【0129】
[11]上記[1]~[10]のいずれか1つに記載の基板搬送ロボット(2)と、吸着部(60)に接続された吸引路(62)の圧力を検出する圧力センサ(92)と、ハンド(10)に基板(W)を支持させて、基板(W)を搬送するように基板搬送ロボットを制御する搬送制御部(116)と、圧力センサ(92)の検出結果に基づいて、基板(W)を搬送する際の搬送条件を設定する搬送条件設定部(114)と、を備える、基板搬送システム(1)。
吸着部(60)による裏面(Wb)への吸着の作用状態が、ハンド(10)全体での基板(W)の保持状態に大きく寄与する。そして、吸引路(62)の圧力の検出結果によって、吸着部(60)による作用状態を判定できる。上記構成では、吸引路(62)の圧力の検出結果に基づき搬送条件が設定されるので、吸着部(60)による作用状態に合わせて搬送条件を設定できる。従って、基板(W)の搬送の安定化を図ることができる。
【0130】
[12]搬送条件設定部(114)は、圧力センサ(92)の検出結果に基づいて、上記搬送条件として、基板(W)を搬送する際の搬送速度を設定する、上記[11]に記載の基板搬送システム(1)。
上記構成では、吸着部(60)による作用状態に合わせて搬送速度を設定できる。従って、基板(W)の搬送の安定化を更に図ることができる。
【0131】
[13]搬送条件設定部(114)は、吸引路(62)の圧力が所定レベルよりも大きい場合には、上記搬送速度を基準値に設定し、吸引路(62)の圧力が上記所定レベルよりも小さい場合には、上記搬送速度を上記基準値よりも小さい値に設定する、上記[12]に記載の基板搬送システム(1)。
吸引路(62)の圧力が所定レベルよりも大きければ、吸着部(60)による作用状態が適切であると判定できる。一方、吸引路(62)の圧力が所定レベルよりも小さいと、吸着部(60)による作用状態が適切である状態と異なっていると判定できる。上記構成では、吸着部(60)による作用状態が適切である状態と異なっている場合に、基板(W)を搬送する際の搬送速度が小さくなる。そのため、ハンド(10)による保持力が小さくても、低速で基板(W)が搬送される。従って、搬送中にトラブルが発生する可能性を低減できる。
【0132】
[14]複数のワーク種別から、基板(W)の種別を特定する種別特定部(112)を更に備え、搬送条件設定部(114)は、種別特定部(112)による特定結果に更に基づいて、上記搬送速度を設定する、上記[12]に記載の基板搬送システム(1)。
吸着部(60)による作用状態が適切である状態と異なっていると判定されても、搬送対象の基板(W)の種別によっては、搬送速度を大きく変更しなくてもよい場合がある。そのため、上記構成では、基板(W)の搬送作業の安定化と、スループットとの両立を図ることができる。
【0133】
[15]上記複数のワーク種別は、第1種のワークと、上記第1種のワークに比較して厚み又は質量が大きい第2種のワークと、を含み、搬送条件設定部(114)は、吸引路(62)の圧力が所定レベルよりも大きい場合には、種別特定部(112)の特定結果によらず、上記搬送速度を基準値に設定し、吸引路(62)の圧力が上記所定レベルよりも小さく、且つ、基板(W)の種別が上記第1種のワークであると特定された場合には、上記搬送速度を上記基準値以下の第1の値に設定し、吸引路(62)の圧力が上記所定レベルよりも小さく、且つ、基板(W)の種別が上記第2種のワークであると特定された場合には、上記搬送速度を上記第1の値よりも小さい第2の値に設定する、上記[14]に記載の基板搬送システム(1)。
搬送対象の基板(W)の種別が、厚み又は質量が小さいものである場合には、吸着部(60)による作用状態が適切である状態と異なっていると判定されても、搬送速度を大きく低下させなくてもよい場合がある。そのため、上記構成では、基板(W)の搬送作業の安定化と、スループットとの両立を図ることができる。
【0134】
[16]基板(W)の厚みを示す情報を取得する厚み情報取得部(124)を更に備え、搬送条件設定部(114)は、厚み情報取得部(124)による取得結果に更に基づいて、上記搬送速度を設定する、上記[12]に記載の基板搬送システム(1)。
吸着部(60)による作用状態が適切である状態と異なっていると判定されても、搬送対象の基板(W)の厚みによっては、搬送速度を大きく変更しなくてもよい場合がある。そのため、上記構成では、基板(W)の搬送作業の安定化と、スループットとの両立を図ることができる。
【0135】
[17]搬送条件設定部(114)は、吸引路(62)の圧力が第1所定レベルよりも大きい場合には、厚み情報取得部(124)による取得結果によらず、上記搬送速度を基準値に設定し、吸引路(62)の圧力が上記第1所定レベルよりも小さく、且つ、基板(W)の厚みが第2所定レベルよりも小さい場合には、上記搬送速度を上記基準値以下の第1の値に設定し、吸引路(62)の圧力が上記第1所定レベルよりも小さく、且つ、基板(W)の厚みが上記第2所定レベルよりも大きい場合には、上記搬送速度を上記第1の値よりも小さい第2の値に設定する、上記[16]に記載の基板搬送システム(1)。
搬送対象の基板(W)の厚みが小さいものである場合には、吸着部(60)による作用状態が適切である状態と異なっていると判定されても、搬送速度を大きく低下させなくてもよい場合がある。そのため、上記構成では、基板(W)の搬送作業の安定化と、スループットとの両立を図ることができる。
【0136】
[18]基板(W)を含む複数の基板(W)を、上下方向に並んだ状態で収容するカセット(190)と、ハンド(10)に設けられ、カセット(190)に収容された状態の複数の基板(W)それぞれを検出可能な反射型センサ(96)と、を更に備え、厚み情報取得部(124)は、ハンド(10)を上下方向に動作させた際の反射型センサ(96)による検出結果に基づいて、基板(W)の厚みを示す情報を取得する、上記[16]又は[17]に記載の基板搬送システム(1)。
ハンド(10)を上下方向に動作させた際の反射型センサ(96)による検出結果から、カセット(190)内の複数の基板(W)の存在と位置とを検出するスキャン動作を行う場合がある。上記構成では、スキャン動作を行う際に得た情報から、厚みを示す情報も一緒に取得されるので、基板(W)を搬送する際の処理の効率化に有用する。
【0137】
[19]ハンド(10)上の基板(W)を検出する在荷センサ(94)を更に備え、搬送制御部(116)は、在荷センサ(94)により基板(W)が検出された場合には、基板搬送ロボット(2)に基板(W)を搬送させ、在荷センサ(94)により基板(W)が検出されない場合には、基板搬送ロボット(2)による基板(W)の搬送動作を停止する、上記[11]~[18]のいずれか1つに記載の基板搬送システム(1)。
ハンド(10)により基板(W)を支持させようとして動作させたときに、何らかの要因により、ハンド(10)に基板(W)が支持されないエラーが発生し得る。上記構成では、そのようなエラーが発生したときに、基板搬送システム(1)による搬送動作を停止させることができる。
【0138】
[20]ハンド(10)上の基板(W)を検出する在荷センサ(94)と、圧力センサ(92)の検出結果及び在荷センサ(94)の検出結果に基づいて、吸着部(60)、摩擦保持部(70)、及び非接触保持部(80)それぞれの保持状態を判定する状態判定部(128)と、を更に備える、上記[11]~[19]のいずれか1つに記載の基板搬送システム(1)。
この場合、ハンド(10)での3種類の保持部による基板(W)への作用状態を把握することができる。
【0139】
[21]ハンド(10)を有し、ハンド(10)により基板(W)を支持して搬送する基板搬送ロボット(2)と、基板搬送ロボット(2)による搬送前又は搬送後の基板(W)が配置されるカセット(190)と、カセット(190)と、カセット(190)から離れた所定位置との間で、基板(W)を搬送するように基板搬送ロボット(2)を制御する搬送制御部(116)と、を備え、ハンド(10)は、基板(W)の裏面(Wb)を吸着により保持し、上端の高さ位置が低くなるように伸縮可能な吸着部(60)と、基板(W)を支持した吸着部(60)が収縮した状態で、裏面(Wb)を摩擦により保持する摩擦保持部(70)と、吸着部(60)及び摩擦保持部(70)が裏面(Wb)を保持した状態で、裏面(Wb)を非接触状態で保持する非接触保持部(80)と、を含む、基板搬送システム(1)。
この基板搬送システム(1)は、吸着部(60)、摩擦保持部(70)、及び非接触保持部(80)を含むハンド(10)を有するので、上記[1]に記載の基板搬送ロボット(2)と同様に、搬送作業の安定化に有用である。
【0140】
[22]基板(W)を支持するハンド(10)を有する基板搬送ロボット(2)により、基板(W)を搬送する基板搬送方法であって、ハンド(10)は、基板(W)の裏面(Wb)を吸着により保持し、上端の高さ位置が低くなるように伸縮可能な吸着部(60)と、基板(W)を支持した吸着部(60)が収縮した状態で、裏面(Wb)を摩擦により保持する摩擦保持部(70)と、吸着部(60)及び摩擦保持部(70)が裏面(Wb)を保持した状態で、裏面(Wb)を非接触状態で保持する非接触保持部(80)と、を含み、吸着部(60)、摩擦保持部(70)、及び非接触保持部(80)のそれぞれが裏面(Wb)を保持した状態で基板(W)を搬送するように、基板搬送ロボット(2)を制御することを含む、基板搬送方法。
この基板搬送方法は、吸着部(60)、摩擦保持部(70)、及び非接触保持部(80)のそれぞれが裏面(Wb)を保持した状態で基板(W)を搬送するので、上記[1]に記載の基板搬送ロボット(2)と同様に、搬送作業の安定化に有用である。
【符号の説明】
【0141】
1…基板搬送システム、2…基板搬送ロボット、10…ハンド、12…第1フォーク部、18…本体部分、13…第2フォーク部、19…本体部分、20…多関節アーム、60,60A,60B…吸着部、62…吸引路、70,70A,70B,70C…摩擦保持部、80,80A,80B…非接触保持部、92…圧力センサ、94…在荷センサ、96…反射型センサ、100…ロボットコントローラ、112…種別特定部、114…搬送条件設定部、116…搬送制御部、124…厚み情報取得部、128…状態判定部、190…カセット、W…基板、Wb…裏面。