(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016506
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240131BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240131BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
G06F3/12 334
G06F3/12 305
G06F3/12 357
G06F3/12 355
G06F3/12 354
G06F3/12 374
G06F3/12 329
G06F3/12 378
B41J29/38 204
B41J29/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118673
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西崎 孝志
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061AS06
2C061AS08
2C061HJ07
2C061HK07
2C061HN15
2C061HV12
2C061HV32
(57)【要約】
【課題】用紙の情報を指定可能なプリンタに外部デバイスから印刷ジョブを投入する場合に、外部デバイスのユーザがそのプリンタを利用し易い技術を提供すること。
【解決手段】
プリンタドライバ23によれば、PC1は、編集アプリ22から印刷指示があり、画像データと、用紙の情報を含む印刷設定と、が渡された場合に、ラベルプリンタ3に指定されている用紙の情報をラベルプリンタ3から取得し、取得された用紙の情報と編集アプリ22から渡された用紙の情報と、が整合するか否かを判定する。そして、PC1は、整合すると判定された場合に、編集アプリ22から渡された画像データに基づく印刷を行わせる印刷コマンドをラベルプリンタ3に送信する一方、整合しないと判定された場合に、印刷指示に含まれる用紙の情報に対応する用紙のセットと、その用紙の情報の指定と、を通知させる通知コマンドをラベルプリンタ3に送信する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の情報を指定可能なプリンタの制御に用いるプログラムであって、
前記プログラムは、情報処理装置のコンピュータに、
前記情報処理装置にインストールされたアプリケーションプログラムから、前記プリンタに印刷を実行させる印刷指示があり、印刷対象の画像データと、用紙の情報を含む印刷設定と、が渡された場合に、
前記プリンタに指定されている用紙の情報である第1用紙情報を、前記プリンタから取得する取得処理と、
前記取得処理にて取得された前記第1用紙情報と、前記アプリケーションプログラムから渡された前記印刷設定に含まれる用紙の情報である第2用紙情報と、が整合するか否かを判定する判定処理と、
を実行させ、
さらに前記情報処理装置の前記コンピュータに、
前記判定処理にて前記第1用紙情報と前記第2用紙情報とが整合すると判定された場合に、
前記アプリケーションプログラムから渡された前記画像データに基づく印刷を行わせる印刷コマンドを、前記プリンタに送信する印刷送信処理を実行させ、
前記判定処理にて前記第1用紙情報と前記第2用紙情報とが整合しないと判定された場合に、
前記第2用紙情報に対応する用紙のセットと、前記第2用紙情報に対応する用紙の情報の指定と、を通知させる通知コマンドを、前記プリンタに送信する通知送信処理を実行させる、
ように構成されるプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載するプログラムにおいて、
前記用紙の情報には、複数の項目があり、前記情報処理装置には、前記複数の項目が関連付けられたプリセットデータが記憶されている場合があり、前記アプリケーションプログラムから渡される前記印刷設定には、前記プリセットデータを含めることが可能であり、前記プリンタには、複数の前記プリセットデータを登録可能であり、前記プリンタは、登録されている前記プリセットデータの1つを、前記用紙の情報として指定することが可能であり、
前記通知送信処理では、前記アプリケーションプログラムから前記第2用紙情報として前記プリセットデータが渡された場合、渡された前記プリセットデータを識別する識別情報を、前記通知コマンドに関連付けて前記プリンタに送信する、
ように構成されるプログラム。
【請求項3】
請求項1に記載するプログラムにおいて、
前記情報処理装置の前記コンピュータに、
前記判定処理にて前記第1用紙情報と前記第2用紙情報とが整合しないと判定された場合に、
前記第2用紙情報に適した用紙のセットと、前記第2用紙情報に適した用紙の情報の指定と、を示すメッセージを作成する作成処理を実行させ、
前記通知送信処理では、前記作成処理にて作成された前記メッセージを、前記通知コマンドに関連付けて前記プリンタに送信する、
ように構成されるプログラム。
【請求項4】
請求項1に記載するプログラムにおいて、
前記情報処理装置の前記コンピュータに、
前記判定処理にて前記第1用紙情報と前記第2用紙情報とが整合しないと判定された場合に、
前記アプリケーションプログラムから渡された前記画像データを破棄する破棄処理を実行させる、
ように構成されるプログラム。
【請求項5】
請求項1に記載するプログラムにおいて、
前記情報処理装置の前記コンピュータに、
前記判定処理にて前記第1用紙情報と前記第2用紙情報とが整合しないと判定された場合に、
プリンタ本体に指定されている用紙の情報と整合しないことを、前記情報処理装置に報知させるエラー報知処理を実行させる、
ように構成されるプログラム。
【請求項6】
請求項1に記載するプログラムにおいて、
前記情報処理装置の前記コンピュータに、
前記判定処理にて前記第1用紙情報と前記第2用紙情報とが整合しないと判定された場合に、
前記通知送信処理の実行後、前記第1用紙情報を前記プリンタから取得する再取得処理と、前記再取得処理にて取得された前記第1用紙情報と、前記第2用紙情報とが整合するか否かを判定する再判定処理と、を定期的に実行させ、
さらに前記情報処理装置の前記コンピュータに、
前記再判定処理にて前記第1用紙情報と前記第2用紙情報とが整合すると判定された場合に、
前記再取得処理および前記再判定処理の定期的な実行を終了させ、
プリンタ本体の用紙が交換されたことを前記情報処理装置に報知させる交換報知処理を実行させる、
ように構成されるプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載するプログラムにおいて、
前記情報処理装置の前記コンピュータに、
前記再判定処理にて前記第1用紙情報と前記第2用紙情報とが整合しないと判定された場合に、
警告音を出力させる警告コマンドを、前記プリンタに送信する警告送信処理を実行させる、
ように構成されるプログラム。
【請求項8】
請求項6に記載するプログラムにおいて、
前記情報処理装置の前記コンピュータに、
前記再判定処理にて前記第1用紙情報と前記第2用紙情報とが整合すると判定された場合に、
前記再取得処理および前記再判定処理の定期的な実行を終了させ、
前記交換報知処理と、
前記アプリケーションプログラムから渡された前記画像データに基づく印刷を行わせる前記印刷コマンドを、前記プリンタに送信する自動送信処理と、
を実行させる、
ように構成されるプログラム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1つに記載するプログラムにおいて、
前記プリンタは、ラベルプリンタであり、
前記用紙の情報には、ラベルの特性に関する情報が含まれ、
前記判定処理では、
前記第1用紙情報に含まれるラベルの特性に関する情報と、前記第2用紙情報に含まれるラベルの特性に関する情報と、が整合するか否かを判定する、
ように構成されるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、用紙の情報を指定可能なプリンタの制御に用いるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙の情報を指定可能なプリンタが知られている。例えば特許文献1には、給紙装置から給紙された用紙のサイズを検出し、検出された用紙サイズと、投入された印刷ジョブに指定される用紙サイズとが一致すれば、その一致した用紙サイズを給紙装置の用紙サイズに設定し、一致しなければ、給紙装置の用紙サイズを「不明」に設定する構成が開示されている。さらに特許文献1には、用紙サイズが一致しない場合に、エラーを報知する構成も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
用紙の情報を指定可能なプリンタを外部デバイスから利用する場合にも、外部デバイスにおいて、印刷ジョブに指定される用紙の情報、すなわち外部デバイスにて指定された用紙の情報と、プリンタ本体に指定された用紙の情報と、が整合するか否かを判断し、整合することを条件として印刷ジョブをプリンタに渡すことで、プリンタ本体では、指定された用紙の情報に基づく印刷が担保された状態にできる。この状態では、外部デバイスのユーザがプリンタ本体に指定された用紙の情報に対応する用紙以外の用紙への印刷を所望する場合、所望の用紙をセットしてプリンタ本体の用紙の情報を指定し直すことで、その用紙への印刷が可能になる。しかしながら、例えば遠隔地にある外部デバイスのユーザにとってプリンタまでの移動は手間である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題の解決を目的としてなされたプログラムは、用紙の情報を指定可能なプリンタの制御に用いるプログラムであって、前記プログラムは、情報処理装置のコンピュータに、前記情報処理装置にインストールされたアプリケーションプログラムから、前記プリンタに印刷を実行させる印刷指示があり、印刷対象の画像データと、用紙の情報を含む印刷設定と、が渡された場合に、前記プリンタに指定されている用紙の情報である第1用紙情報を、前記プリンタから取得する取得処理と、前記取得処理にて取得された前記第1用紙情報と、前記アプリケーションプログラムから渡された前記印刷設定に含まれる用紙の情報である第2用紙情報と、が整合するか否かを判定する判定処理と、を実行させ、さらに前記情報処理装置の前記コンピュータに、前記判定処理にて前記第1用紙情報と前記第2用紙情報とが整合すると判定された場合に、前記アプリケーションプログラムから渡された前記画像データに基づく印刷を行わせる印刷コマンドを、前記プリンタに送信する印刷送信処理を実行させ、前記判定処理にて前記第1用紙情報と前記第2用紙情報とが整合しないと判定された場合に、前記第2用紙情報に対応する用紙のセットと、前記第2用紙情報に対応する用紙の情報の指定と、を通知させる通知コマンドを、前記プリンタに送信する通知送信処理を実行させる、ように構成される。
【0006】
本明細書に開示されるプログラムによれば、情報処理装置は、印刷指示があった際、プリンタ本体に指定されている第1用紙情報と、アプリケーションプログラムから渡された印刷指示に含まれる第2用紙情報と、が整合すると判定された場合に、印刷コマンドをプリンタに送信する。一方で、情報処理装置は、第1用紙情報と第2用紙情報とが整合しない場合に、第2用紙情報に対応する用紙をセットして第2用紙情報に対応する用紙の情報を指定するように、プリンタに通知させる。この通知により、プリンタの周辺にいるユーザによって、用紙が交換され、用紙の情報がプリンタに再指定されることが期待できる。従って、情報処理装置のユーザが所望する用紙の情報がプリンタ本体に指定されていない場合に、そのユーザがプリンタまで移動しなくても、所望する用紙に印刷が行われる可能性が高まる。
【0007】
上記プログラムが組み込まれる情報処理装置、上記プログラムの機能を実現するための制御方法、上記プログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0008】
本明細書に開示される技術によれば、用紙の情報を指定可能なプリンタに外部デバイスから印刷ジョブを投入する場合に、外部デバイスのユーザがそのプリンタを利用し易い技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態にかかる印刷システムの概略構成図である。
【
図4】印刷システムでの印刷手順を示すシーケンス図である。
【
図6】整合判定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】自動的に決定される判定項目の例を示す説明図である。
【
図8】不整合処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、プログラムを具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本明細書では、ラベルプリンタに接続可能なパーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)にて実行されるプログラムを開示する。
【0011】
本形態の印刷システム100は、
図1に示すように、PC1と、ラベルプリンタ3と、を備えている。PC1は、情報処理装置の一例である。ラベルプリンタ3は、プリンタの一例である。
【0012】
PC1は、
図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含むコントローラ10を備えている。CPU11は、コンピュータの一例である。また、PC1は、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)13と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)14と、を備え、これらがコントローラ10に電気的に接続されている。なお、
図1中のコントローラ10は、PC1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にPC1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0013】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ12には、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。メモリ12は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。CPU11が備えるバッファも、メモリの一例である。なお、メモリ12の一例は、PC1に内蔵されるROM、RAM、HDD等に限らず、CPU11が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体、例えば、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体であっても良い。
【0014】
ユーザIF13は、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。なお、ユーザIF13は、情報を表示可能なディスプレイと、入力受付機能を有するマウスやキーボード等と、の組み合わせであっても良いし、表示機能と入力受付機能とを備えるタッチパネルを含んでも良い。
【0015】
通信IF14は、ラベルプリンタ3等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF14の通信規格は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、USBなどである。PC1は、複数の通信規格に対応する複数の通信IF14を備えていてもよい。
【0016】
PC1のメモリ12には、オペレーティングシステム(以下、「OS」とする)21と、編集アプリケーションプログラム(以下、「編集アプリ」とする)22と、プリンタドライバ23と、用紙情報データベース(以下、「用紙情報DB」とする)25と、登録ツール26と、が記憶されている。編集アプリ22は、情報処理装置にインストールされたアプリケーションプログラムの一例であり、プリンタドライバ23は、プログラムの一例である。OS21は、例えば、Windows(登録商標)、macOS(登録商標)、Linux(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)である。
【0017】
編集アプリ22は、例えば、印刷対象となる画像や文書の作成や編集、印刷、保存等の指示を受け付けるプログラムである。編集アプリ22は、例えば、マイクロソフト(登録商標)製のワードやパワーポイントなどであっても良いし、ラベルプリンタ3のベンダから提供されるアプリであっても良い。本形態の編集アプリ22は、ユーザIF13を介して、ラベルの印刷に関するユーザの指示、例えば、印刷対象の画像データの指定、印刷設定の編集指示、印刷実行の指示、を受け付け可能である。
【0018】
プリンタドライバ23は、ラベルプリンタ3に対応するプログラムであり、ラベルプリンタ3と通信を行って、ラベルプリンタ3を制御する機能を有する。プリンタドライバ23は、例えば、編集アプリ22等にてラベルプリンタ3での印刷実行の指示を受け付けた場合に、印刷対象として指定されている画像データに基づいて印刷データを生成する。編集アプリ22等からプリンタドライバ23に渡される印刷指示には、画像データと印刷設定とが含まれ、印刷設定には、印刷対象の用紙の情報が含まれる。
【0019】
用紙情報DB25は、ラベルプリンタ3にて印刷媒体として使用される各種の用紙についての用紙の情報を、記憶するデータベースである。ラベルプリンタ3にて使用される印刷媒体はラベルであり、用紙の情報には、ラベルのサイズや形状などのラベルの特性に関する情報が含まれる。用紙の情報には複数の項目が含まれ、これらの項目の情報が1つのプリセットデータとして用紙情報DB25に記憶される。
【0020】
登録ツール26は、ユーザによるプリセットデータの登録指示を受け付け、受け付けたプリセットデータを用紙情報DB25に記憶するプログラムである。登録ツール26は、例えば、
図2に示すような登録画面250をユーザIF13に表示させ、ユーザの入力を受け付ける。登録画面250には、例えば、用紙名欄251と、用紙種選択欄252と、用紙サイズ選択欄253と、が含まれる。用紙名欄251は、用紙名の入力を受け付ける欄である。
【0021】
用紙種選択欄252は、用紙種類の選択を受け付ける欄である。用紙種類は、剥離紙の形状を示す剥離紙情報と、ラベル紙の形状を示す形状情報と、を組み合わせた情報である。本形態のラベルプリンタ3は、ロール状に巻かれたラベル紙であるロール紙を収容可能であり、ロール紙が収容されている場合には、そのロール紙を印刷媒体として利用する。また、ラベルプリンタ3は、折り畳んだ状態のラベル紙であるファンフォールド紙を印刷媒体として利用できる。ロール紙とファンフォールド紙とは、いずれも、連続した帯状の剥離紙上にラベル紙が重ね合わされた状態の印刷媒体である。剥離紙情報は、ロール紙であるかファンフォールド紙であるかを示す情報である。形状情報は、例えば、連続した長尺状の無定長ラベルと、あらかじめ所定の形状にカットされたダイカットラベルと、あらかじめ所定の間隔で所定のマークが付与されているマークラベルと、のいずれかを示す情報である。なお、剥離紙情報と形状情報とは、個別に設定可能な情報であっても良い。
【0022】
用紙サイズ選択欄253は、作成するラベルのサイズを示す情報であり、幅と長さとの項目を含む。幅は、ラベルプリンタ3における用紙の搬送方向に直交する方向のラベルのサイズであり、長さは、用紙の搬送方向のラベルのサイズである。なお、幅は、ラベルの形状にかかわらず、ラベル自体の幅を示す情報である一方、長さは、無定長ラベルであれば自由に選択可能であり、ダイカットラベルやマークラベルであれば、ラベルの形状に応じて決定される。
【0023】
用紙種選択欄252にてダイカットラベルが選択された場合、例えば、
図2に示すように、用紙サイズ選択欄253には、剥離紙上でのラベル同士の間隔を示す項目であるラベル間の距離の選択欄が追加で表示され、ユーザの入力を受け付ける。また、用紙種選択欄252にてマークラベルが選択された場合、用紙サイズ選択欄253には、マーク自体の幅を示す項目であるマーク幅と、用紙の先端からマークまでの距離を示す項目であるオフセットと、の選択欄が追加で表示され、ユーザの入力を受け付ける。
【0024】
用紙の情報には、用紙種類や用紙サイズ以外にも、例えば、余白の情報、各種の補正値の情報、センサの設定情報、ロール紙の場合にはロールの形状を示す情報、がさらに含まれていても良い。ラベル紙には様々な紙質や紙厚のものがあり、登録ツール26は、用紙の紙質に応じた良好な印刷物が得られるための補正値の情報を受け付け可能であっても良い。また、ラベルプリンタ3は、ダイカットラベルやマークラベルを適切に搬送するために複数のセンサを備えており、登録ツール26は、各センサの設定に関する情報を受け付け可能であっても良い。登録ツール26は、補正値やセンサの情報を受け付けた場合、受け付けた情報を当該用紙の情報に組み込むことができる。
【0025】
紙質に関する補正値としては、例えば、搬送誤差を補正するための搬送調節量、インクの滲みやすさを補正するためのドット削り量、ラベル紙に吐出したインクの乾きやすさに基づく印刷保証速度、適切な印刷濃度が得られるための印刷濃度調整値、が含まれる。センサの設定に関する情報としては、例えば、使用するセンサの選択、各センサの検出レベルに関する補正値、が含まれる。
【0026】
なお、登録ツール26は、複数の項目の補正値の情報を組み合わせた補正値セットを、紙質の情報に関連付けて有していても良い。この場合、登録ツール26は、例えば、
図2に示すように、紙質の選択を受け付け、選択された紙質に対応する補正値セットを当該用紙の情報に組み込むとしても良い。
【0027】
登録ツール26は、登録画面250中のOKボタンへの操作等により登録指示を受け付けた場合、表示中の用紙の情報を用紙情報DB25に記憶する。例えば、
図2に示す「用紙A」の情報の登録指示を受け付けることで、
図3に示すように用紙情報DB25に「用紙A」の用紙名に関連付けられた用紙の情報が、1つのプリセットデータとして記憶される。
【0028】
用紙情報DB25に記憶される各プリセットデータは、例えば、
図3に示すように、用紙名と、用紙種類と、幅と、長さと、を含む複数の項目の情報を含む。用紙名は、用紙情報DB25に記憶される各プリセットデータを識別する識別情報の一例である。
【0029】
本形態のラベルプリンタ3は、少なくとも印刷機能と通信機能とを有し、例えば、インクジェット方式でのモノクロ印刷によって、ラベル紙への印刷が可能なプリンタである。ラベルプリンタ3は、
図1に示したように、用紙情報テーブル31と、操作パネル32と、指定用紙情報33と、を備えている。操作パネル32は、例えば、タッチパネルを含み、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。
【0030】
用紙情報テーブル31は、ラベルプリンタ3にて印刷媒体として利用可能な用紙の情報を記憶するテーブルである。例えば、PC1は、用紙情報DB25に登録されているプリセットデータをラベルプリンタ3に送信して、用紙情報テーブル31への記憶を指示することができる。これにより、ラベルプリンタ3は、用紙情報DB25と共通のプリセットデータを用紙情報テーブル31に登録可能である。なお、ラベルプリンタ3は、操作パネル32を介して用紙の情報の入力を受け付け、用紙情報テーブル31に記憶できても良い。また、用紙情報テーブル31に記憶される用紙の情報は、用紙情報DB25のプリセットデータと同じ内容の情報であっても良いし、用紙情報DB25のプリセットデータの一部の情報であっても良い。
【0031】
指定用紙情報33は、ラベルプリンタ3に指定されている1種類の用紙の情報であり、プリンタ本体に指定されている用紙の情報の一例である。本形態のラベルプリンタ3は、例えば、用紙がセットされてカバーが閉止された場合に、操作パネル32を介して、セットされた用紙の情報に関するユーザの指定を受け付ける。ユーザは、例えば、用紙情報テーブル31に記憶されている複数の用紙の情報のうち、セットした用紙を示す用紙名を選択して指定することができる。ラベルプリンタ3は、ユーザによって指定された用紙の情報を指定用紙情報33として記憶する。なお、ラベルプリンタ3は、カバーが閉止された場合以外にも、任意のタイミングでのユーザの指示によって、用紙の指定を受け付け可能である。
【0032】
ラベルプリンタ3は、複数のセンサを備えており、新たな用紙がセットされた場合、セットされた用紙をセンサの位置まで搬送して検出することで、セットされた用紙の情報の一部を特定できる。本形態のラベルプリンタ3は、操作パネル32を介して受け付けた用紙の情報と、センサの検出値に基づく用紙の情報と、を比較し、それらが不一致であると判断した場合にはエラーを報知して、受け付けた情報を指定用紙情報33に記憶しない。つまり、指定用紙情報33は、少なくとも、センサによる検出結果と矛盾しないとラベルプリンタ3にて判断された用紙の情報である。
【0033】
続いて、印刷システム100での印刷手順について、
図4のシーケンス図を参照して説明する。なお、以下に説明する各プログラムの手順や処理ステップは、基本的に、各プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「決定」、「取得」、「受付」等の処理は、CPU11の処理を表している。CPU11による処理は、OSのAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OSの記載を省略して各プログラムの動作を説明する。また、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。
【0034】
本形態の印刷システム100では、ユーザは、ラベルの作成を行う場合、PC1にて編集アプリ22を利用する。つまり、ユーザの操作によって、編集アプリ22が起動される(A01)。編集アプリ22は、印刷対象の画像を編集するための編集画面を、ユーザIF13に表示させ(A02)、ユーザによる各種の指示を受け付ける。ユーザは、例えば、編集画面にて印刷対象の画像の編集を行うことができる(A03)。
【0035】
編集アプリ22は、A02にて表示させた編集画面にて、印刷設定の指示や印刷実行の指示を受け付け可能である。編集アプリ22は、ユーザによる印刷設定の指示を受け付ける(A11)と、プリンタドライバ23を起動する(A12)。プリンタドライバ23は、印刷設定画面をユーザIF13に表示させ(A13)、ユーザによる設定指示を受け付ける。プリンタドライバ23は、表示させた印刷設定画面にて、印刷用紙の指定を含む印刷設定の指示を受け付け可能である。
【0036】
例えば、
図5に示すように、印刷設定画面50には、用紙名選択欄51と、幅選択欄52と、長さ選択欄53と、ラベル間の距離の選択欄54と、部数選択欄55と、用紙不一致チェック項目欄56と、が含まれる。プリンタドライバ23は、例えば、用紙名選択欄51にて用紙名の選択指示を受け付けると、用紙情報DB25を読み出して、登録済みの各プリセットデータの用紙名のリストを取得して、ユーザIF13に取得したリストを表示する。
【0037】
図5に示す印刷設定画面50は、用紙名選択欄51にて「用紙A」が選択された場合の各情報の例である。「用紙A」の情報は、
図2に示した登録画面250にて「用紙A」の情報として登録された用紙の情報であり、
図3に示した用紙情報DB25に「用紙A」の用紙名と関連付けて記憶されているプリセットデータである。プリンタドライバ23は、用紙名選択欄51にて選択された用紙名に関連付けられているプリセットデータを用紙情報DB25から読み出し、読み出した情報を初期値として印刷設定画面50を表示する。
【0038】
印刷設定画面50に表示される項目は、用紙の種類によって異なる。「用紙A」の用紙種類は、
図3や
図2に示したようにダイカットラベルであり、
図5に示す印刷設定画面50には「ラベル間の距離」の選択を受け付ける選択欄54が含まれている。なお、プリンタドライバ23は、印刷設定画面50にて新規用紙の登録指示を受け付け可能であっても良い。また、プリンタドライバ23は、用紙情報DB25から読み出した情報から変更された場合、用紙名をクリアしても良い。
【0039】
用紙不一致チェック項目欄56は、後述する整合判定処理にて判定対象とする項目の選択を受け付ける欄である。プリンタドライバ23は、A13では、判定対象として、例えば、用紙種と幅と長さとが選択されている状態の用紙不一致チェック項目欄56を含む印刷設定画面50を表示する。印刷設定画面50にて判定対象の項目の選択を受け付けることで、印刷ジョブごとに判定対象とするか否かを選択できる。
【0040】
ユーザは、表示中の印刷設定画面50にて用紙の情報や部数の情報、判定対象とする項目の情報を含む印刷設定を設定し、OKボタンへの操作によって印刷設定を決定する(A14)。プリンタドライバ23は、決定した印刷設定の情報を、編集アプリ22に渡す(A15)。編集アプリ22は、A02にて表示した編集画面に、受け取った印刷設定の情報を反映させて表示する。編集アプリ22は、例えば、印刷設定に含まれる用紙の情報に合わせて、印刷対象の画像の編集領域の形状を変更する。
【0041】
編集アプリ22は、表示中の編集画面にて、ユーザによる印刷実行の指示を受け付けると(A17)、印刷対象の画像データと印刷設定の情報とを含む印刷指示の情報をプリンタドライバ23に渡す(A18)。編集アプリ22から渡される印刷設定の情報は、用紙の情報を含む。A18にて受け取る情報に含まれる用紙の情報は、第2用紙情報の一例である。
【0042】
プリンタドライバ23は、印刷指示の情報を受け付けると、ラベルプリンタ3から用紙の情報を取得する(A21)。A21は、取得処理の一例である。具体的には、プリンタドライバ23は、ラベルプリンタ3にて指定されている指定用紙情報33を要求し、ラベルプリンタ3は、プリンタドライバ23の要求に応じて、指定用紙情報33を送信する。A21にて取得される用紙の情報は、第1用紙情報の一例である。なお、前述したように、指定用紙情報33は、センサによる用紙の検出結果と矛盾しない情報である。
【0043】
次に、プリンタドライバ23は、整合判定処理を実行する(A22)。整合判定処理は、A18にて編集アプリ22から受け取った印刷設定に含まれる用紙の情報と、A21にてラベルプリンタ3から受信した用紙の情報と、が整合するか否かを判定する処理である。整合判定処理は、プリンタドライバ23の記載に基づいて、PC1のCPU11にて実行される。整合判定処理の手順について、
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0044】
CPU11は、まず、印刷設定の用紙種類と、ラベルプリンタ3から取得した用紙種類と、が一致しているか否かを判断する(S101)。用紙種類は、剥離紙情報と形状情報とを組み合わせた情報であり、必須の判定項目である。用紙種類が一致していないと判断した場合(S101:NO)、CPU11は、不整合であると判定して(S102)、整合判定処理を終了する。プリンタドライバ23にて指定されている用紙種類の用紙が、ラベルプリンタ3にセットされていない場合、そのままの状態で印刷を実行すると適切な印刷結果とならない可能性が高い。
【0045】
なお、CPU11は、必須の判定項目として、用紙種類のみでなく、幅の整合も確認しても良い。例えば、印刷設定の用紙の幅が、ラベルプリンタ3から取得した用紙の幅よりも大きい場合、CPU11は、不整合であると判定しても良い。
【0046】
用紙種類が一致していると判断した場合(S101:YES)、CPU11は、整合の判定に用いる判定対象の項目を決定する(S111)。用紙の情報には、用紙種類の他にも複数の項目の情報が含まれ、それらの項目の中には、完全には整合していなくても印刷可能な項目もある。判定対象の項目を多くすると、詳細な判定が可能となる一方、ユーザにとっては違いを許容可能な項目についても判定され、その結果、不整合と判定されることになる。一方で、判定対象の項目を少なくすると、些細な違いは容認される一方、その用紙に最適な印刷とならない可能性がある。
【0047】
本形態のプリンタドライバ23は、前述した印刷設定画面50にて判定対象の項目の選択を受け付けるだけでなく、所定の条件を満たした場合、その条件に対応する所定の項目を、自動的に、判定対象の項目である判定項目とする。プリンタドライバ23は、例えば、
図7に示すように、判定項目を決定するための所定の条件を複数備えている。
【0048】
プリンタドライバ23は、例えば、編集アプリ22から受け取った印刷設定に含まれる印刷部数の情報が所定の部数閾値よりも大きい場合に、S111にて、判定対象とすることができる全ての項目を、自動的に判定対象とする。プリンタドライバ23は、例えば、部数の設定が100部以上である場合、印刷設定画面50にて判定対象の項目として選択されていなくても、全項目を判定項目とする。
【0049】
不適切な印刷設定で多部数の印刷が行われると、低品質の印刷物が大量に作成される可能性があり、損害が大きくなる可能性が高い。プリンタドライバ23は、部数が多い場合に、印刷設定画面50にて判定対象の項目として選択されていなくても、自動的に判定項目を多くするので、不適切な印刷が多数行われてしまう可能性を軽減できる。
【0050】
なお、プリンタドライバ23は、印刷設定の部数が多く、全項目を判定項目とした後に、ユーザによる判定項目の変更指示を受け付け可能であっても良い。プリンタドライバ23は、例えば、印刷指示を受け付けた後であって、印刷コマンドをラベルプリンタ3に送信する前に、判定対象とできる項目の一覧をユーザIF13に表示させ、ユーザによる選択を受け付けても良い。ただし、ユーザが誤った設定とした場合に不適切な印刷となるリスクも高まることから、部数の多い印刷指示を受け付けたことに応じて自動的に全項目を判定項目とすれば、そのリスクを軽減することができる。
【0051】
また、プリンタドライバ23は、印刷設定画面50にて用紙種類として特定の用紙種が設定された場合、その用紙種に対応する項目を自動的に判定項目とする。プリンタドライバ23は、例えば、用紙種類としてダイカットラベルが選択された場合、ラベル間の距離を判定項目として自動的に決定する。また、プリンタドライバ23は、例えば、用紙種類としてマークラベルが選択された場合、オフセットとマーク幅とを判定項目として自動的に決定する。
【0052】
特定の用紙種のみに対応する対応項目については、その特定の用紙種が設定されている場合に判定対象とした方が好ましい。プリンタドライバ23は、印刷設定画面50にて判定対象の項目として選択されていなくても、選択された用紙種に対応する対応項目を自動的に判定項目に決定するので、ユーザが個別に指定する手間を省くことができる。
【0053】
また、プリンタドライバ23は、
図4のA21にてラベルプリンタ3から取得した用紙の情報が特定の用紙を示す情報である場合、S111にて、特定の用紙に対応する項目を、自動的に判定対象とする。例えば、ラベルプリンタ3に設定されている用紙の情報が、耐候性の大きい用紙や強接着性を有する用紙等、高価な用紙を示す情報である場合、プリンタドライバ23は、全項目を判定項目とする。
【0054】
また、例えば、ラベルプリンタ3に設定されている用紙の情報が、特殊な紙質を示す情報である場合、プリンタドライバ23は、紙質に関する補正値を判定項目とする。例えば、ラベルプリンタ3に設定されている用紙の情報が、その特殊な表面材質を有する用紙や表面加工が施されている用紙である場合、プリンタドライバ23は、紙質に関する補正値を判定項目とする。また、例えば、ラベルプリンタ3に設定されている用紙の情報が、紙厚が所定の範囲外である用紙を示す情報である場合、プリンタドライバ23は、センサに関する設定値を判定項目としても良い。
【0055】
ラベルプリンタ3に指定された用紙の情報が特定条件を満たす場合に、その特定条件に対応する項目について判定対象とすれば、良好な印刷となる可能性が高い。本形態のプリンタドライバ23は、そのような項目を自動的に判定対象に設定するので、無駄な印刷を回避できる可能性が高まる。なお、用紙に関する特定条件の情報、および、その用紙に対応する判定項目の情報は、プリンタドライバ23が有していても良いし、用紙情報DB25や用紙情報テーブル31に記憶されていても良いし、これらとは別に記憶されていても良いし、ラベルプリンタ3から取得した情報に基づいてサーバ等に問い合わせて取得しても良い。
【0056】
プリンタドライバ23は、
図7に示す全ての条件について、判定項目の自動的な設定を行っても良いし、どの条件を採用するかについて、ユーザの設定を受け付け可能であっても良い。
【0057】
整合判定処理の説明に戻る。S111にて判定項目を決定した後、CPU11は、判定対象の項目ごとに、印刷設定に含まれる用紙の情報とラベルプリンタ3から受信した用紙の情報との整合を判定する(S112)。S112は、判定処理の一例である。そして、CPU11は、これらの情報が整合すると判定した否かを判断する(S113)。整合の判定は、完全一致であっても良いし、許容範囲があっても良い。
【0058】
整合しないと判定した場合(S113:NO)、CPU11は、S102に進み、不整合と判定して、整合判定処理を終了する。つまり、CPU11は、判定項目が他に有っても、残りの項目についての判定を行わない。判定項目のうち1つでも不整合であれば、設定されている用紙への印刷を行うことは好ましくないことから、それ以上の判定の処理は、不要である。
【0059】
整合すると判定した場合(S113:YES)、CPU11は、判定項目が他にも有るか否かを判断する(S114)。有ると判断した場合(S114:YES)、CPU11は、S112に戻り、他の判定項目について整合を判定する。他に無いと判断した場合(S114:NO)、すなわち、決定した全ての判定項目について整合と判定した場合、CPU11は、この用紙の情報を整合と判定して(S115)、整合判定処理を終了する。
【0060】
図4の印刷手順の説明に戻る。プリンタドライバ23は、A22での整合判定処理にて整合と判定された場合(alt:[整合する])、A18にて編集アプリ22から受け取った画像データと印刷設定とに基づいて、印刷データを生成する(A31)。さらに、プリンタドライバ23は、生成した印刷データを印刷を指示する印刷コマンドとともに、ラベルプリンタ3に送信する(A32)。A32は、印刷送信処理の一例である。
【0061】
ラベルプリンタ3は、PC1から印刷コマンドを受信した場合、印刷データに基づいて、印刷を実行する(A33)。これにより、ラベルが作成される。少なくとも判定項目については、印刷設定の用紙情報とラベルプリンタ3に指定されている用紙の情報とが整合しているので、想定外の印刷品質のラベルが作成される可能性は小さい。
【0062】
一方、A22での整合判定処理にて不整合と判定された場合(alt:[整合しない])、プリンタドライバ23は、不整合処理を実行する(A35)。不整合処理は、印刷設定とラベルプリンタ3での設定とで用紙の情報が整合していない場合に、ラベルプリンタ3にセットされている用紙の交換を促すための処理である。不整合処理の手順について、
図8のフローチャートを参照して説明する。
【0063】
不整合処理では、CPU11は、ユーザIF13を介して、用紙の情報が不整合である旨の報知を行う(S201)。S201は、エラー報知処理の一例である。CPU11は、例えば、ラベルプリンタ3で指定されている用紙の用紙名、不整合であった項目名およびその項目の値、をユーザIF13に表示させても良い。ラベルプリンタ3で設定されている用紙の情報と印刷設定の用紙の情報とが整合しない場合に、PC1で報知することで、PC1のユーザがラベルプリンタ3での印刷ができないことを直ぐに把握できる。
【0064】
次に、CPU11は、ラベルプリンタ3に通知させるための通知メッセージを作成する(S202)。S202は、作成処理の一例である。CPU11は、ラベルプリンタ3の近くにいるユーザに通知するためのメッセージを、ラベルプリンタ3の操作パネル32にて表示可能な態様で作成する。ラベルプリンタ3に通知させる内容を、プリンタドライバ23で作成することで、ラベルプリンタ3に各種のメッセージを用意させる必要が無く、通知内容の自由度が高まる。プリンタドライバ23は、通知内容について、ユーザの指示を受け付け可能であっても良い。
【0065】
CPU11は、例えば、
図9に示すように、ラベルプリンタ3にセットされている用紙の交換を促すメッセージ61と、交換先の用紙を示す情報62と、交換後の用紙情報の設定指示63と、を含む通知メッセージ60を作成する。
【0066】
CPU11は、交換先の用紙を示す情報62として、パッケージの色や柄、ロール紙のロール径や芯径、等の用紙の特徴を記載したメッセージを含む案内文をあらかじめ有していても良い。その場合、CPU11は、あらかじめ有しているメッセージを情報62として組み込んだ通知メッセージ60を作成する。また、CPU11は、案内文を有していない用紙についての通知メッセージを作成する場合、印刷設定に含まれる用紙の情報の一部を含む通知メッセージを作成する。CPU11は、用紙の情報のうち、例えば、用紙種類、幅や長さ等のラベル紙の外見から分かる情報を含むメッセージを作成すると良い。
【0067】
また、CPU11は、交換後の用紙情報の設定指示63として、例えば、用紙情報テーブル31に記憶されているプリセットデータのうち、印刷設定に含まれる用紙の情報に対応する、プリセットデータの用紙名を含むメッセージを作成する。プリセットデータの用紙名をラベルプリンタ3に送信して通知させることで、ラベルプリンタ3の近くにいるユーザは、用紙をセットした後、その用紙名を用いて容易に用紙情報を設定できる。
【0068】
CPU11は、S202にて作成した通知メッセージ60の情報と、通知メッセージ60を操作パネル32に表示させる指示と、を含む通知コマンドを、ラベルプリンタ3に送信する(S203)。S203は、通知送信処理の一例である。通知コマンドを受信したラベルプリンタ3は、操作パネル32に通知メッセージ60を表示させる。これにより、ラベルプリンタ3の近くにいるユーザに、適切な用紙への交換を促すことができる。
【0069】
なお、ラベルプリンタ3が音声出力の機能を有している場合、CPU11は、S203にて、ラベルプリンタ3に音声での通知を行わせるコマンドをも送信しても良い。その場合、CPU11は、S202にて音声情報をも作成し、S203では作成した音声情報を通知コマンドとともにラベルプリンタ3に送信する。
【0070】
また、ラベルプリンタ3が操作パネル32への表示用の各種の表示情報を有していても良い。その場合、プリンタドライバ23は、通知メッセージ60を作成して送信する代わりに、表示情報を特定する特定情報をラベルプリンタ3に送信し、ラベルプリンタ3は、記憶している表示情報のうち、受信した特定情報に対応する表示情報を読み出して、操作パネル32に表示するとしても良い。
【0071】
通知コマンドの送信を実行後、CPU11は、用紙の情報の整合判定を再度実行するリトライを行うか否かを判断する(S205)。リトライするか否かの情報は、例えば、ユーザの指示によってあらかじめプリンタドライバ23に設定されていても良い。また、CPU11は、例えば、S201の報知の際に、リトライするか否かの指示を受け付けるボタンを表示させ、ユーザの指示を受け付けても良い。
【0072】
リトライすると判断した場合(S205:YES)、CPU11は、リトライを実行するタイミングであるか否かを判断する(S211)。ラベルプリンタ3にセットされている用紙の交換には、ある程度の時間が必要であることから、CPU11は、例えば、所定の時間間隔を空けて、定期的に用紙の情報の整合を判定するリトライを実行する。リトライの時間間隔は、固定時間であっても良いし、例えば、交換対象となる用紙の情報ごとに異なる可変時間であっても良い。
【0073】
リトライのタイミングではないと判断した場合(S211:NO)、CPU11は、タイムアウトか否かを判断する(S212)。タイムアウト時間は、例えば、3分であり、固定時間であっても良いし、ユーザによる設定を受け付け可能な可変時間であっても良い。タイムアウトではないと判断した場合(S212:NO)、CPU11は、S211に戻り、リトライのタイミングであるか否かを判断する。
【0074】
リトライのタイミングであると判断した場合(S211:YES)、CPU11は、ラベルプリンタ3に設定されている用紙の情報を、ラベルプリンタ3から再度取得する(S213)。S213は、再取得処理の一例である。そして、新たに取得された用紙の情報と印刷設定の用紙の情報との整合を判定するために、CPU11は、
図6に示した整合判定処理を再度実行する(S214)。具体的には、CPU11は、判定対象の項目を決定して、項目ごとに整合を判定する。S214にて実行される整合判定処理のS112は、再判定処理の一例である。そして、CPU11は、整合と判定されたか否かを判断する(S215)。
【0075】
なお、プリンタドライバ23は、リトライ時に再度、ユーザによる判定項目の指定を受け付けても良いし、1回目の整合判定処理にて不整合と判定された場合に判定対象に決定した項目を記憶して、2回目からは、S111に代えて記憶されている判定項目を用いるとしても良い。つまり、リトライ時の判定項目は、初回の判定時と同じでも良いし、異なっていても良い。
【0076】
また、プリンタドライバ23は、S213にて取得した用紙の情報が、初回の取得処理(
図4のA21)にて取得された用紙の情報と同じであれば、S214をスキップして整合判定処理を行なわず、S215に進んで不整合と判定するとしても良い。
【0077】
再度の判定によっても不整合と判定された場合(S215:NO)、CPU11は、警告音を発生させる指示を含む警告コマンドを、ラベルプリンタ3に送信する(S217)。S217は、警告送信処理の一例である。そして、CPU11は、S211に戻り、リトライのタイミングを待って、再度、ラベルプリンタ3から用紙の情報を取得する。
【0078】
S203にて通知コマンドを送信した後、再度取得した用紙の情報によっても、印刷設定の用紙の情報と整合していない場合、プリンタドライバ23は、ラベルプリンタ3に警告音を出力させる。これにより、ラベルプリンタ3の近くにいるユーザが通知に気付き易くなり、用紙が交換される可能性が高まる。なお、プリンタドライバ23は、S213~S215を所定回繰り返した後も整合しないと判定された場合に、S217に進むとしても良い。また、プリンタドライバ23は、S217にて、警告音の出力に加えて、警告ランプを点灯あるいは点滅させても良い。
【0079】
一方、リトライによって整合と判定された場合(S215:YES)、CPU11は、ユーザIF13を介して、ラベルプリンタ3にて用紙が交換されたことを報知する(S221)。S221は、交換報知処理の一例である。用紙が交換されたことを報知することで、PC1のユーザは、所望の用紙への印刷が可能になったことを直ぐに把握できる。
【0080】
そして、CPU11は、
図4のA18にて編集アプリ22から受信した画像データと印刷設定とに基づいて、印刷データを生成する(S222)。さらに、CPU11は、生成した印刷データと、印刷の実行を指示する印刷コマンドと、をラベルプリンタ3に送信する(S223)。S223は、自動送信処理の一例である。これにより、ラベルプリンタ3は、受信した印刷データに基づいて、セットされている用紙に画像を印刷する。
【0081】
本形態のプリンタドライバ23は、リトライする設定となっている場合、用紙の情報の不整合では画像データを破棄せず、その後、適切な用紙の情報がラベルプリンタ3に設定された場合に、自動的に印刷コマンドを送信する。このようにすれば、ユーザが再度同じ印刷指示を入力する手間を省くことができる。
【0082】
リトライしないと判断した場合(S205:NO)、または、タイムアウトであると判断した場合(S212:YES)、CPU11は、
図4のA18にて編集アプリ22から受信した画像データを破棄する(S231)。S231は、破棄処理の一例である。タイムアウトの場合、CPU11は、ユーザIF13を介して、その旨を報知しても良い。
【0083】
用紙の交換指示を通知したとしても、直ぐに交換されるとは限らない。また、画像データをメモリに保持し続けるとメモリの負荷が高まることから、プリンタドライバ23は、リトライしない場合やタイムアウトの場合、画像データをメモリから破棄して、処理を終了する。これにより、メモリの負荷が軽減される。
【0084】
S223またはS231の後、CPU11は、不整合処理を終了し、
図4の印刷手順に戻って、A35を終了する。これにより、プリンタドライバ23は、処理を終了する。A18にてプリンタドライバ23に渡された印刷指示の処理が終了したことで、編集アプリ22は、ユーザの指示を受け付け可能となる。
【0085】
以上、詳細に説明したように、本形態のプリンタドライバ23は、ラベルプリンタ3に印刷コマンドを送信可能なプログラムであり、印刷指示があった際、ラベルプリンタ3に指定されている用紙情報と整合しない用紙情報を含む印刷設定が編集アプリ22から渡された場合に、印刷設定の用紙情報に対応する用紙をセットしてその用紙情報に対応する用紙の情報を指定することをプリンタに通知させる。これにより、プリンタの周辺にいるユーザによって用紙の交換や用紙の情報の再指定が期待でき、PC1のユーザがラベルプリンタ3まで移動しなくても、所望する用紙に印刷が行われる可能性を高められる。
【0086】
なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、PC1に代えて、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータを用いることもできる。また、ラベルプリンタ3の印刷方式は、インクジェット方式に限らず、例えば、熱転写方式、電子写真方式、感熱方式でも良いし、カラー印刷が可能な装置であっても良い。また、印刷媒体の用紙は、ラベル紙に限らず、例えば、普通紙のロール紙やファンフォールド紙でも良いし、カット紙であっても良い。
【0087】
また、本形態では、用紙種類を必須項目とし、用紙種類が一致していない場合は、整合判定処理のS101にて不整合と判定するとしたが、これに限らない。つまり、用紙種類の情報についても、プリンタドライバ23は、判定対象の項目とするか否かの指定を受け付け可能であっても良い。その場合、ロール紙かファンフォールド紙かを示す剥離紙情報と、無定長ラベルかダイカットラベルかマークラベルかを示す形状情報と、を個別の項目として指定可能であっても良い。
【0088】
また、本形態のプリンタドライバ23は、整合判定処理のS113にて、判定対象の項目のうちの1項目でも不整合であった場合には、不整合と判定して残りの項目についての判定を行わないとしたが、全ての項目を判定しても良い。そして、プリンタドライバ23は、例えば、不整合と判定した項目の一覧を表示しても良いし、全ての項目について項目ごとの判定結果を表示しても良い。
【0089】
また、本形態では、プリンタドライバ23は、リトライする場合に画像データを保持し、リトライによってS215にて整合と判断された場合には、S222~S223を実行し自動的に印刷コマンドを再送するとしたが、再送はしなくても良い。プリンタドライバ23は、リトライするか否かに関わらず画像データを破棄しても良く、リトライによって整合と判定された場合には、用紙が交換されたことを報知するのみでも良い。
【0090】
また、本形態では、リトライするか否かを選択できるとしたが、できなくても良い。例えば、プリンタドライバ23は、用紙の情報が不整合であれば、不整合処理のS201~S203を実行した後、S231に進んで画像データを破棄し、処理を終了するとしても良い。あるいは、プリンタドライバ23は、用紙の情報が不整合であれば、リトライするように構成されていても良い。
【0091】
また、プリンタドライバ23は、例えば、
図10に示すように、印刷設定画面50にて、各項目を判定項目とするか否かの指定を受け付け可能であっても良い。また、例えば、プリンタドライバ23は、印刷設定画面50にて多数の部数の設定を受け付けた場合にも、設定可能な全項目を自動的に判定項目とするとしても良い。印刷設定画面50にてユーザによる項目の選択を受け付けるとすれば、ユーザは、印刷ジョブごとに必要な判定項目を指定できる。
【0092】
また、本形態では、判定項目を選択できるとしたが、判定項目はあらかじめ決定されていても良い。プリンタドライバ23は、例えば、判定可能な全ての項目を判定項目とするように構成されていても良い。
【0093】
また、各図に示した表示画面は、いずれも一例であり、図中の文言や各情報の配置、ボタンの形状等は、図示の例に限らない。印刷設定画面50は、用紙不一致チェック項目欄56を設ける代わりに、例えば、
図10に示すように、項目ごとに判定対象とするか否かを受け付けるチェックボックスが設けられていてもよい。また、プリンタドライバ23は、印刷設定画面50にて多数の部数の設定を受け付けた場合に、設定可能な全項目を自動的に判定項目とするとしても良い。
【0094】
また、例えば、PC1は、登録ツール26にて判定対象の項目とするか否かの指定を受け付け可能であっても良い。その場合、登録ツール26は、判定対象とする項目の情報を、プリセットデータに含めて記憶し、プリンタドライバ23は、読み出したプリセットデータに含まれる情報に基づいて、印刷設定画面50の用紙不一致チェック項目欄56を表示すると良い。
【0095】
また、本形態では、プリンタドライバ23の処理として説明したが、これに限らない。例えば、PC1は、OSがあらかじめ印刷用の汎用プログラムを備えており、プリンタドライバを利用しない、いわゆるドライバレスの構成であっても良い。そして、PC1には、OSの備える汎用プログラムとは別に、所定のプリンタ用のアプリケーションプログラムが組み込まれていても良い。その場合、PC1は、そのアプリケーションプログラムに基づいて用紙の情報の整合を判定しても良い。
【0096】
また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0097】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組合せで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 PC
3 ラベルプリンタ
11 CPU