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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165061
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】アンカープレート及びアンカー装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/18 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B60R22/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080890
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ティアンゴ パウロ アガピト
(72)【発明者】
【氏名】森崎 研太
(72)【発明者】
【氏名】南 壽英
(72)【発明者】
【氏名】湯木 翔太
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018BA05
3D018CB04
3D018CC03
(57)【要約】
【課題】シートベルトウェビングの使用期間に影響を及ぼすことを抑制できるアンカープレートを提供する。
【解決手段】アンカープレート3は、プレート本体10と、プレート本体10の上面10fに重なる樹脂製プレート30と、を含むベースプレートと、ベースプレートに取り付けられるバネ板20と、を備える。プレート本体10は平板状に形成され、シートベルトウェビング103を挿通する開口の大幅部15aを有する。樹脂製プレート30は、大幅部15aの縁部を覆い、かつシートベルトウェビング103を挿通するウェビング挿通部35wと、ウェビング挿通部35wの縁部のうち少なくともシートベルトウェビング103の幅方向に沿った部分に設けられ、プレート本体10の主面から離れる方向に突出し、かつ、表面がシートベルトウェビング103の延在方向に沿って曲面状に形成される凸状部39と、を有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体又はシートに取り付けられる係止体に連結固定されるアンカープレートであって、
前記係止体が基端側に挿入されると共にシートベルトウェビングが先端側に挿通される開口を有するベースプレートと、
該ベースプレートに取り付けられるバネ板と、
を備え、
前記ベースプレートは、第1プレートと、該第1プレートの一方の面に重なる樹脂製の第2プレートとを有し、
前記第1プレートは平板状に形成され、前記シートベルトウェビングを挿通する第一挿通孔を有し、
前記第2プレートは、
前記第一挿通孔の縁部を覆い、かつ前記シートベルトウェビングを挿通する第二挿通孔と、
前記第二挿通孔の縁部のうち少なくとも前記シートベルトウェビングの幅方向に沿った部分に設けられ、前記第1プレートの主面から離れる方向に突出し、かつ、表面が前記シートベルトウェビングの延在方向に沿って曲面状に形成される凸状部と、を有する、
アンカープレート。
【請求項2】
前記凸状部は、前記第1プレートの一対の主面の一方側に設けられる、
請求項1に記載のアンカープレート。
【請求項3】
前記凸状部は、前記第1プレートの一対の主面の両側に設けられる、
請求項1に記載のアンカープレート。
【請求項4】
前記凸状部は、前記第1プレートの一対の主面のうち、少なくとも前記シートベルトウェビングからの引張力を大きく受ける側に設けられる、
請求項1に記載のアンカープレート。
【請求項5】
前記凸状部は、当該アンカープレートが傾斜して設置されたときに、前記第1プレートの一対の主面のうち少なくとも上方を向く側に設けられる、
請求項1に記載のアンカープレート。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のアンカープレートと、
車体又はシートに取り付けられ、前記アンカープレートを連結固定する係止体と、
を具備するアンカー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンカープレート及びアンカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートベルトウェビングを自動車車体に連結するアンカー装置が特許文献1に記載されている。このアンカー装置は、アンカープレートと、該アンカープレートに設けられた開口と、該プレート本体にリベットで留め付けられたバネ板よりなるストッパ等を有する。車体に固定されたボルトの頭部が該開口に挿入され、該ボルトのフランジと頭部との間で該開口の縁部が挟持される。ストッパに設けられた係止片がボルト頭部に係合することにより、該ボルト頭部の退動が阻止され、ボルト頭部及びフランジによる該縁部の挟持状態が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-202561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1などに記載の従来のアンカー装置では、アンカープレートに設けられた開口にシートベルトウェビングが挿通されて固定されるが、アンカープレートが平板状であるため、シートベルトウェビングと開口との接触面積が小さい。このため、例えば乗員がシートベルトウェビングを装着する際などに、乗員がシートベルトウェビングを引っ張る動作などによって、シートベルトウェビングを介して外力が付加されるときに、シートベルトウェビングの接触部分にかかる荷重が増えやすい。これにより、シートベルトウェビングが摩耗する虞があり、使用期間に影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
本開示は、シートベルトウェビングの使用期間に影響を及ぼすことを抑制できるアンカープレート及びアンカー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の一観点に係るアンカープレートは、車体又はシートに取り付けられる係止体に連結固定されるアンカープレートであって、前記係止体が基端側に挿入されると共にシートベルトウェビングが先端側に挿通される開口を有するベースプレートと、該ベースプレートに取り付けられるバネ板と、を備え、前記ベースプレートは、第1プレートと、該第1プレートの一方の面に重なる樹脂製の第2プレートとを有し、前記第1プレートは平板状に形成され、前記シートベルトウェビングを挿通する第一挿通孔を有し、前記第2プレートは、前記第一挿通孔の縁部を覆い、かつ前記シートベルトウェビングを挿通する第二挿通孔と、前記第二挿通孔の縁部のうち少なくとも前記シートベルトウェビングの幅方向に沿った部分に設けられ、前記第1プレートの主面から離れる方向に突出し、かつ、表面が前記シートベルトウェビングの延在方向に沿って曲面状に形成される凸状部と、を有する。
【0007】
同様に、本発明の実施形態の一観点に係るアンカー装置は、上述のアンカープレートと、車体又はシートに取り付けられ、前記アンカープレートを連結固定する係止体と、を具備する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、シートベルトウェビングの使用期間に影響を及ぼすことを抑制できるアンカープレート及びアンカー装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るアンカー装置の斜視図
図2】アンカープレートとボルトとの係合途中におけるアンカー装置の斜視図
図3】アンカープレートとボルトとが係合したアンカー装置の斜視図
図4】アンカープレートの分解斜視図
図5】樹脂製プレートの平面図
図6】バネ板の平面図
図7図1中のアンカープレートの縦断面図
図8】アンカープレートとボルトとの係合途中におけるアンカー装置の縦断面図
図9】アンカープレートとボルトとが係合したアンカー装置の縦断面図
図10】アンカー装置が車体に設置されている状態の一例を示す模式図
図11】第1変形例に係る凸状部を示す図
図12】第2変形例に係る凸状部を示す図
図13】第3変形例に係る凸状部を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向である。X方向は、アンカープレート3の長手方向であり、アンカープレート3がボルト2に係合する際の摺動方向である。Y方向はアンカープレート3の短手方向である。Z方向は、アンカープレート3とボルト2との対向方向であり、アンカープレート3がボルト2に係合した状態におけるボルト2の軸線方向である。なお、以下の説明ではZ正方向側を「上側」、Z負方向側を「下側」とも表現する場合ある。
【0012】
図1は、実施形態に係るアンカー装置1の斜視図である。図2は、アンカープレート3とボルト2との係合途中におけるアンカー装置1の斜視図である。図3は、アンカープレート3とボルト2とが係合した状態のアンカー装置1の斜視図である。図4は、アンカープレート3の分解斜視図である。図5は、樹脂製プレート30の平面図である。図6は、バネ板20の平面図である。図7は、図1中のアンカープレート3の縦断面図である。
【0013】
本実施形態に係るアンカー装置1は、シートベルトウェビング103の一端のループ部103A(図10参照)を連結し、かつ、車体またはシートに固設されるボルト2に連結固定されることによって、シートベルトウェビング103を車体に連結する装置である。
【0014】
図1に示すように、アンカー装置1は、自動車の車体に取り付けられる係止体としてのボルト2と、該ボルト2に係止されるアンカープレート3とを有する。アンカープレート3にシートベルトウェビング103(図10参照)が通される。
【0015】
ボルト2は、ボルト軸部2aと、該ボルト軸部2aの先端のボルト頭部2bと、ボルト軸部2aの途中に設けられたフランジ2cと、ボルト頭部2bとフランジ2cとの間に形成された溝部2dとを有する。図示は省略するが、ボルト軸部2aのうちフランジ2cよりも後端側の外周面に雄ネジが設けられている。溝部2dはボルト頭部2bの周囲を周回している。符号2rはボルト頭部2bの裏面を示す。
【0016】
アンカープレート3は、プレート本体(第1プレート)10及び樹脂製プレート(第2プレート)30と、該プレート本体10に取り付けられたバネ板20とを有する。プレート本体10は、図4に示すように上面10fを有した金属板よりなる。プレート本体10は、先端10Tから基端(後端)10Eに向う前後方向の長さがそれと直交方向の幅よりも大きい。この実施の形態では、プレート本体10と樹脂製プレート30とによりベースプレートが構成されている。
【0017】
図4に示すように、プレート本体10に開口15が設けられている。開口15は、プレート本体10の長手方向に延在しており、先端10T側が大幅部15aであり、基端10E側が小幅部15bである。
【0018】
大幅部15aは、ボルト頭部2bが通過しうる幅となっている。大幅部15aと小幅部15bとが連なる部分は、小幅部15bに向って左右幅が徐々に小さくなっている。小幅部15bの幅はボルト頭部2b及びフランジ2cの直径よりも小さく、溝部2dにおけるボルト直径よりも若干大きい。
【0019】
プレート本体10は、開口15を囲む1対の長辺部11,12と、1対の短辺部13,14とを有している。長辺部11,12の長手方向の途中にリベット孔16,17が設けられている。
【0020】
図4図5図7に示すように、樹脂製プレート30は、プレート本体10の一方の面(上面10f)に重なるように配置される。樹脂製プレート30の外形はプレート本体10との外形と同一か又はそれよりもごくわずかに小さいものとなっている。
【0021】
樹脂製プレート30は、プレート本体10の長辺部11,12に重なる1対の長辺部31,32と、短辺部13,14に重なる1対の短辺部33,34と、これらの長辺部31、32及び短辺部33、34で囲まれた開口35と、長辺部31,32の長手方向の途中に設けられたリベット作業孔36,37を有する。
【0022】
図4図7に示すように、樹脂製プレート30の先端30T側の短辺部33にL字形断面形状のフック片部38が設けられている。このフック片部38と短辺部33との間に、プレート本体10の厚みと略同一の間隔があいている。
【0023】
長辺部31,32の基端30E側の下面は、基端30E側ほどプレート本体10の上面10fから離隔する傾斜面となっており、この傾斜面に沿って図4図6に示すバネ板20の脚部21,22が配置される。
【0024】
図4図5に示すように、長辺部31,32の長手方向の中間よりも先端の30T側において、開口35の内周縁から互いに接近方向に突出する接近部41,42が設けられている。接近部41,42同士の最狭幅部分同士の間の間隔はボルト頭部2bの直径よりも小さい。開口35は、接近部41,42よりも先端30T側がウェビング挿通部35w(第二挿通孔)となっている。
【0025】
接近部41,42よりも基端30E側において、開口35の内周縁から、張出片部51,52が設けられている。
【0026】
張出片部51,52は、開口35の長手方向に延在している。張出片部51,52同士の間隔は、小幅部15bの間隔と略同一であり、ボルト2の頭部2b及びフランジ2cの直径よりも小さく、ボルト溝部2d部分の直径よりもごくわずかに大きい。
【0027】
この張出片部51,52間が細穴部35bとなっている。張出片部51,52と接近部41,42との間が大穴部35aとなっている。
【0028】
張出片部51,52の上面(プレート本体10と反対側の面)のうち接近部41,42側には、接近部41,42に向って下り勾配となるスロープ部51a,52aが設けられている。図1に示すボルト頭部2bの裏面2rは、このスロープ部51a,52aに沿って移動して張出片部51,52の上面に乗り上げることが可能となっている。張出片部51,52は、プレート本体10の長辺部11,12の開口15の小幅部15bの縁部に重なる位置及び大きさに設けられている。なお、図7には張出片部51のみ図示しているが、張出片部52の位置関係も同様である。
【0029】
また、図5図7に示すように、樹脂製プレート30は、基端30E側の短辺部34から開口35内へ張り出すように小片部53が設けられている。小片部53は後述の弾性片61,62間に位置する。また、小片部53は、図7に示すように、プレート本体10の開口15の基端10E側の縁部に重なる位置及び大きさに設けられている。
【0030】
図7に示すように、小片部53の上面と、張出片部51,52の上面(スロープ部51a,52aを除く)とは面一状となっている。これにより、後述のようにボルト2をアンカープレート3に係止させた際に、ボルト頭部2bの裏面2rが張出片部51,52及び小片部53上に乗り上げた状態となる。
【0031】
樹脂製プレート30の基端30E側の短辺部34の近傍に、ボルト頭部2bが当接する弾性片(樹脂製弾性片)61,62が設けられている。弾性片61,62は、長辺部31,32の基端30E近傍の内周縁から互いに接近方向に、かつ短辺部34に近づくように延出している。
【0032】
弾性片61,62は、開口15の幅方向中心を挟んで両側に対称に設けられている。弾性片61,62の延出方向先端部は、短辺部34から離隔している。
【0033】
長辺部31,32の基端30E側から、各長辺部31,32の延長方向に保持片部71,72が突設されている。
【0034】
図4図6に示すように、バネ板20は、先端20T側がプレート本体10の長辺部11,12に取り付けられる脚部21,22と、脚部21,22の基端20E側同士を繋ぐタイ部23と、タイ部23から接近部41,42付近まで延出したタング部25と、該タング部25から切り起しにより設けられたストッパ片26等を有する。
【0035】
脚部21,22は、先端20T側にリベット孔21a,22aが設けられている。リベット孔21a,22aとプレート本体10のリベット孔16,17とを同軸とし、リベット81,82を打つことによりバネ板20がプレート本体10に固定される。脚部21,22は、基端20E側ほどプレート本体10から離反している。
【0036】
脚部21,22の基端20E側は略U字形に湾曲したU字形状部21u,22uとなっている。
【0037】
バネ板20のタイ部23の両端は各U字形状部21u,22uの末端部21b,22bに連なっている。各末端部21b,22b及びタイ部23は、プレート本体10の上面に重なるように平面状となっている。
【0038】
タング部25の基端はタイ部23に連なるU字形湾曲部25rとなっている。
【0039】
タング部25は、湾曲部25rから、プレート本体10の上面10fと略平行に延在している。タング部25の延在方向先端部は樹脂製プレート30の大穴部35aにまで達している。
【0040】
タング部25の先端は、略U字形に曲成された曲成部25bとなっている。曲成部25bは、樹脂製プレート30の接近部41,42同士の間に配置される。
【0041】
図7に示すように、タング部25の板面と、プレート本体10の上面10fとは、ボルト頭部2bの厚み分だけ離隔している(図9も参照)。
【0042】
ストッパ片26は、タング部25から切り起しにより形成される。ストッパ片26は、タング部25の先端20T側に連なり、基端20E側に向って延出した舌片状である。ストッパ片26は、基端20E側ほどタング部25の板面からプレート本体10側へ接近するように傾斜している。
【0043】
このアンカープレート3を組み立てるには、まず、バネ板20と樹脂製プレート30とを組み付ける。この際、脚部21,22が長辺部31,32の基端30E側の下面に係合し、リベット孔21a,22aがリベット作業孔36,37と同軸状とされる。
【0044】
タイ部23は、短辺部34の下側に配置される。タング部25の湾曲部25rが短辺部34を取り巻く。タング部25は、細穴部35bの上側を通って大穴部35aまで延出し、曲成部25bが接近部41,42間に配置される。
【0045】
このようにバネ板20と樹脂製プレート30とを組み付けた後、図7に示すように、樹脂製プレート30のL形のフック片部38を、開口15を通してプレート本体10の短辺部13の下側に差し込む。これにより、フック片部38と短辺部33とでプレート本体10の短辺部13が挟持される。また、バネ板20の基端20E側及び樹脂製プレート30をプレート本体10の上面10fに重ねる。次いで、リベット81,82をリベット作業孔36,37を通してリベット孔21a,22a及びリベット孔16,17に打ち込み、バネ板20及び樹脂製プレート30とプレート本体10とを連結固定する。
【0046】
このようにしてバネ板20及び樹脂製プレート30をプレート本体10に固定することにより、アンカープレート3が構成される。
【0047】
このとき、アンカープレート3は、車体又はシートに取り付けられるボルト2が基端側に挿入されると共にシートベルトウェビング103が先端側に挿通される開口を有するベースプレートと、ベースプレートに取り付けられるバネ板20と、を備える。ベースプレートは、プレート本体10と、プレート本体10の上面10fに重なる樹脂製プレート30とを有する。すなわち、「ベースプレートの開口」とは、プレート本体10の開口15と、樹脂製プレート30の開口35とがZ方向に重なって形成される。
【0048】
次に、図1図3図7に加えて、図8及び図9を参照して、アンカープレート3とボルト2との係合手順について説明する。図8は、アンカープレート3とボルト2との係合途中におけるアンカー装置1の縦断面図であり、図2に示す状態に対応する。図9は、アンカープレート3とボルト2とが係合した状態のアンカー装置1の縦断面図であり、図3に示す状態に対応する。なお、図7は、組み立て後のアンカープレート3の縦断面図であり、図1に示す状態に対応する。
【0049】
本実施形態において、アンカープレート3とボルト2とは、図1図2図3に示すの手順で係合される。
【0050】
ボルト2は、ボルト軸部2aを車体又はシートの雌ネジ部材(図示略)にねじ込むことにより車体又はシートに固定されている。本実施形態では、車体の固定部材101(図10参照)に固定される。また、アンカープレート3のウェビング挿通部35w(接近部41,42よりも先端側)に予めシートベルトウェビング103(図10参照)が挿通されている。
【0051】
まず、図1に矢印Aで示すように、アンカープレート3をZ正方向側からボルト2に接近させて、開口35の大穴部35aをボルト頭部2bに外嵌させる。その後に引き続きアンカープレート3が、図1図8に矢印Aで示すようにZ負方向側にさらに押し込まれることによって、ボルト頭部2bと接触するバネ板20のストッパ片26を介してタング部25が押圧され、図2図8に矢印Bで示すように、タング部25及びストッパ片26が基端20E側の湾曲部25rを中心として弾性変形し、上方に押し上げられる。
【0052】
次いで、図2図8に矢印Cで示すように、基端10E,20E,30Eがボルト2に接近する方向(X正方向側)にアンカープレート3を移動させる。そうすると、ボルト2は大穴部35aから細穴部35bに移行し、ボルト頭部2bの裏面2rは、図7に示す樹脂製プレート30の張出片部51,52のスロープ部51a,52aに沿って摺動し、フランジ2cはプレート本体10の裏面に沿って摺動する。
【0053】
この移動途中では、まずボルト頭部2bの上面がストッパ片26の下面に当接する。アンカープレート3をさらに移動させると、図8に示すように、ボルト頭部2bがストッパ片26と張出片部51,52との間に入り込む。アンカープレート3をさらに矢印Cの方向に移動させると、図3図9に示すように、ボルト頭部2bがストッパ片26を通り抜け、張出片部51,52のスロープ部51a,52aよりも基端20E側にまで移動し、弾性片61,62に弾性的に押し当てられる。また、ボルト頭部2bの裏面2rは小片部53にも乗り上げた状態となる。
【0054】
この状態では、ストッパ片26がボルト頭部2bよりも大穴部35a側に位置し、図3図9に矢印Dで示すように、タング部25及びストッパ片26が湾曲部25rを中心として下方に弾性復帰して、図1の初期状態の位置に戻される。これにより、ストッパ片26の先端がボルト頭部2bの上面より下方まで移動して、ボルト頭部2bの側面に係合する。この結果、ボルト頭部2bの大穴部35a方向への退動が阻止され、アンカープレート3がボルト2に対し抜け止め不能に連結される。
【0055】
また、ボルト頭部2bが、弾性片61,62から弾性的な反力を受け、ストッパ片26の先端に押し付けられ、アンカープレート3の長手方向への動きが防止される。
【0056】
また、図9に示すように、ボルト頭部2bとフランジ2cとによって、樹脂製プレート30の張出片部51,52及び小片部53と、プレート本体10の開口15の基端10E側の縁部とが挟持される。
【0057】
このアンカープレート3は、プレート本体10が1個の開口15を有したものであるため、製造が容易であると共に、プレート本体10の全長を小さくすることも可能である。また、バネ板20の脚部21,22及びタング部25も全体としてほぼ平板に近い形状であり、製作が容易である。
【0058】
このアンカープレート3では、開口15,35内が接近部41,42で仕切られてウェビング挿通部35wが区画されているので、アンカープレート3をボルト2に係止させる際にシートベルトウェビング103が大穴部35aに入り込むことがなく、この係止作業を容易に行うことができる。
【0059】
このアンカープレート3では、ボルト頭部2bとフランジ2cとによって、樹脂製プレート30の張出片部51,52及び小片部53と、プレート本体10の開口15の縁部とが挟持される。これにより、アンカープレート3がボルト2の軸心方向に動くことが防止される。また、弾性片61,62からの反力によりボルト頭部2bの側面がストッパ片26の先端に押し付けられる。これにより、アンカープレート3がプレート面方向(長手方向)に動くことが阻止され、振動や異音が防止される。
【0060】
特に本実施形態では、バネ板20は、アンカープレート3がボルト2に連結固定される前後において、少なくとも一部が樹脂製プレート30の表面(上側を向く面)よりも突出するよう形成される。
【0061】
具体的には、本実施形態では、バネ板20のタング部25の上面の略中央の位置に突起27が設けられる。突起27は、例えば図1などに示すように平面視において略円形状であり、タング部25の上面に対して上方に突出して形成されている。また、本実施形態では、突起27の表面は、平面視における中心部が最も上方に突出し、外側に凸となる曲面状に形成されている。さらに、例えば図7などに示すように、突起27は、少なくとも頭頂部がバネ板20の中で最も上方の位置となるように形成されている。なお、突起27は図1などでは1個を設ける構成が例示されているが、複数個を設ける構成でもよい。
【0062】
タング部25に突起27を設けることにより、図7に示す組み立て時のアンカープレート3であり、アンカープレート3がボルト2に連結固定される前の状態において、プレート本体10の上面10fからバネ板20の最上部、すなわち突起27、までの高さHは、プレート本体10の上面10fから樹脂製プレート30の上面までの高さhよりも高く設定することができる。同様に、図9に示すアンカープレート3がボルト2に連結固定された後の状態においても、プレート本体10の上面10fからバネ板20の最上部、すなわち突起27、までの高さHは、プレート本体10の上面10fから樹脂製プレート30の上面までの高さhよりも高く設定することができる。また、図8に示すように、アンカープレート3がボルト2に連結固定される途中の状態では、バネ板20のタング部25が上方に押し上げられるので、当然ながらプレート本体10の上面10fからバネ板20の最上部、すなわち図8の場合にはタング部25のX正方向側の先端部、までの高さH´は、プレート本体10の上面10fから樹脂製プレート30の上面までの高さhよりも高く設定することができる。すなわち、図7図9に示すようにH>h及びH´>hの関係となる。
【0063】
したがって上述のように、本実施形態では、アンカープレート3がボルト2に連結固定される前後において、バネ板20のタング部25の少なくとも一部が樹脂製プレート30の表面よりも突出するよう形成される、という要件を満たすことができる。具体的には、突起27は、プレート本体10の上面10fから突起27の頭頂部までの高さHが、プレート本体10の上面10fから樹脂製プレート30のうち上面10fから最も上方に離れた部分までの高さhよりも高くなるよう形成され、これにより上記の要件を満たす。
【0064】
図10を参照して、上記要件を満たすことの効果を説明する。図10は、実施形態に係るアンカー装置1が車体に設置されている状態の一例を示す模式図である。図10の例では、ボルト2は例えばピラーなどの車体側の固定部材101に設置されている。アンカープレート3は、上面側が、車室内のシートのサイドカバーなどのシートの外装材102と対向するよう設置される。
【0065】
上述のように、突起27は、バネ板20のタング部25に対して上方に突出して形成されている。このため、突起27の頭頂部は、タング部25の上面よりも外装材102の表面により接近して配置される。つまり、図10に示すように、突起27と外装材102との間の距離D1は、タング部25と外装材102との間の距離D2より小さい関係となる(D1>D2)。
【0066】
シートベルトウェビング103は、アンカープレート3のウェビング挿通部35wに挿通されて、アンカープレート3に連結されている。シートベルトウェビング103は、一端部がウェビング挿通部35wに挿通された後に、シートベルトウェビング103に接合されて、ループ部103Aが形成される。このループ部103Aが、アンカープレート3のうち樹脂製プレート30の短辺部33及びフック片部38と、プレート本体10の短辺部13とをY軸まわりに包囲する。シートベルトウェビング103は、このループ部103Aを介してアンカープレート3に連結される。
【0067】
シートベルトウェビング103は、例えば乗員が装着する際などに、乗員がシートベルトウェビングを引っ張る動作などによって、他端側へ向かう外力Fが付加される。この外力Fはループ部103Aを介してアンカープレート3に伝達される。この外力Fによって、例えばボルト2の軸線方向(Z方向)に対してアンカープレート3が例えばX軸まわりに捻れたり、X正方向側かつZ負方向側(図10の右下方向)に傾斜したりすることが考えらえる。このような状況が生じると、バネ板20のタング部25が湾曲部25rを中心にボルト2に対して上方に弾性変形して、ストッパ片26とボルト2のボルト頭部2bの側面との係合に影響を与える虞がある。
【0068】
この問題に対して、本実施形態に係るアンカープレート3及びアンカー装置1では、上述のようにバネ板20に突起27を設け、上述の要件を満たすことによって、バネ板20とシートの外装材102との距離を短くできる。このため、シートベルトウェビング103を介してアンカープレート3に外力Fが付加された場合でも、突起27によって外装材102に先当たりさせることができるので、バネ板20のタング部25の上方への弾性変形量を抑制することができる。これにより、アンカープレート3とボルト2との係合への影響を抑制できる。
【0069】
なお、図10では、本実施形態に係るアンカー装置1が車体に設置される構成を例示しているが、アンカー装置1をシート側に設置する構成としてもよい。この場合には、ボルト2は例えばシートの側面部などに設置される。アンカープレート3は、上面側が例えばピラーなどの車体の車室側の表面と対向するよう設置される。つまり、図10に示す車体側の要素101と、シート側の要素102との位置関係がアンカー装置1に対して逆となる。
【0070】
したがって、アンカー装置1をシート側に設置する構成の場合でも、図10を参照して説明した効果と同様の効果を奏することができる。つまり、バネ板20に突起27を設けることによって、バネ板20と車体側の要素101の車室側の表面との距離を短くできる。このため、アンカープレート3がこじられる状況が発生した場合でも、突起27によって車体側の要素101に先当たりさせることができるので、バネ板20のタング部25の車体側への弾性変形量を抑制することができる。これにより、アンカープレート3とボルト2との係合への影響を抑制できる。
【0071】
ところで、図4などに示すように、プレート本体10は、平板状に形成される金属板である。プレート本体10は、開口15のうち先端10T側の大幅部15a(第一挿通孔)にシートベルトウェビング103を挿通する。また、図4図7に示すように、樹脂製プレート30の先端30T側の短辺部33と、L字形断面形状のフック片部38との間に、プレート本体10の厚みと略同一の隙間があいており、この隙間にプレート本体10の先端10T側の短辺部13が嵌入される。これにより、フック片部38と短辺部33とでプレート本体10の短辺部13が挟持され、プレート本体10の大幅部15aの縁部を覆い、かつシートベルトウェビング103を挿通するウェビング挿通部35w(第二挿通孔)が形成される。
【0072】
そして特に本実施形態では、ウェビング挿通部35w(第二挿通孔)の縁部には凸状部39が設けられる。凸状部39は、縁部のうち少なくともシートベルトウェビング103の幅方向(Y方向)に沿った部分(X正方向側の部分)に設けられ、プレート本体10の上面10fから離れる方向(本実施形態ではZ正方向)に突出し、かつ、表面がシートベルトウェビング103の延在方向に沿って曲面状に形成される。
【0073】
このように凸状部39を設けることによって、図10に示すようにシートベルトウェビング103が他端側から外力Fで引っ張られたときに、ループ部103Aのうちウェビング挿通部35wの縁部と接触する部分が凸状部39に接触するようにできる。これにより、ループ部103Aとウェビング挿通部35wの縁部との接触面積を増やすことができ、シートベルトウェビング103の接触部分にかかる荷重を分散することができる。これにより、シートベルトウェビング103の摩耗を抑制でき、使用期間に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0074】
また、凸状部39は樹脂製プレート30に形成されるので、樹脂製プレート30に覆われる金属製のプレート本体10の短辺部13には、凸状部39の形状に対応するようなバーリング加工を施す必要がなく、平板状のままでよい。これにより、プレート本体10の製造容易性を向上でき、かつ、凸状部39の形状の自由度を向上できる。
【0075】
次に図11図13を参照して、本実施形態に係る凸状部39の変形例について説明する。
【0076】
図11は、第1変形例に係る凸状部39A、39Bを示す図である。図11は、図10中のウェビング挿通部35w、フック片部38、短辺部33の近傍の拡大図に対応する。
【0077】
図11(A)に示すように、凸状部39A、39Bは、プレート本体10の一対の主面の両側に設けられる構成でもよい。図11(A)では、プレート本体10の上面10fから上側に離れる方向に第1の凸状部39Aが設けられ、上面10fと反対側の下面から下側に離れる方向に第2の凸状部39Bが設けられる。すなわち、図11の例では、ウェビング挿通部35wの縁部において、Z方向の両側に突出する2つの凸状部39A、39Bが設けられる。なお、各凸状部39A、39Bの形状は、上記実施形態の凸状部39と同様に、表面がシートベルトウェビング103の延在方向に沿って曲面状に形成される。
【0078】
図11の例のように、ウェビング挿通部35wの縁部のZ方向両側に凸状部39A、39Bを設ける構成にすれば、上記実施形態の構成と比較して、ループ部103Aとウェビング挿通部35wの縁部との接触面積をさらに増やすことができるので、シートベルトウェビング103の接触部分にかかる荷重をさらに分散することができる。これにより、シートベルトウェビング103の使用期間に影響を及ぼすことを抑制できる、という効果を奏するのにさらに有利となる。
【0079】
また、図11の構成では、シートベルトウェビング103が引っ張られる方向が一方の凸状部39A側である場合と、他方の凸状部39B側である場合と、の両方の状態において、一対の凸状部39A、39Bのいずれかで主にシートベルトウェビング103からの荷重を受けることが可能となる。これにより、アンカープレート3の長手方向と、シートベルトウェビング103の引張方向との差異によらず、図11に示す同一の構造で常にシートベルトウェビング103の接触部分にかかる荷重を分散できる。このため、アンカープレート3やアンカー装置1の汎用性を向上できる。
【0080】
また、図11(B)に示すように、図11(A)に示した凸状部39Aを設けず、プレート本体10の下面から下側に離れる方向に設けられる凸状部39Bのみを有する構成でもよい。要は、図10に示す凸状部39を備える構成や、図11(B)に示す凸状部39Bを備える構成のように、プレート本体10の一対の主面の一方側に設けられる構成でもよい。
【0081】
図11(B)に示す構成では、凸状部39Bが設けられる側、すなわちX正方向かつZ負方向の方向にシートベルトウェビング103が引っ張られ、この方向に外力Fが付加される設置構造の場合に、凸状部39Bによってシートベルトウェビング103からの荷重を主に受けることができる。一方、図10に示すように、凸状部39が設けられる側、すなわちX正方向かつZ正方向の方向にシートベルトウェビング103が引っ張られ、この方向に外力Fが付加される設置構造の場合には、凸状部39によってシートベルトウェビング103からの荷重を主に受けることができる。このように、凸状部がプレート本体10の一対の主面の一方側に設けられる構成の場合には、アンカープレート3の長手方向(図10図11ではX方向)に対するシートベルトウェビング103の引張方向に応じて、図10に示す凸状部39を有する構成と、図11(B)に示す凸状部39Bを有する構成とを使い分ければよい。
【0082】
図12は、第2変形例に係る凸状部39C、39Eを示す図である。図12も、図10中のウェビング挿通部35w、フック片部38、短辺部33の近傍の拡大図に対応する。
【0083】
図12に示すように、凸状部39C、39Eの突出方向は、必ずしもプレート本体10の一対の主面の法線方向でなくてもよく、主面の向きに対して傾斜させてもよい。なお、このときの傾斜方向は、シートベルトウェビング103から付加される外力Fの方向に傾斜させるのが好ましい。
【0084】
例えば図12(A)に示すように、X正方向かつZ正方向の方向にシートベルトウェビング103が引っ張られ、この方向に外力Fが付加される設置構造の場合には、凸状部39Cは、Z正方向からX正方向側に傾斜する方向Eに突出するように設けられる。この構成により、凸状部39Cの各部にかかるシートベルトウェビング103からの荷重をより均一にできる。
【0085】
さらに、図12(A)に示すような凸状部39Cを設ける場合には、ウェビング挿通部35wの内周面のうち凸状部39Cが設けられる部分39Dも、凸状部39Cの突出方向Eに沿って延在するように、Z方向に対して傾斜して形成されるのが好ましい。この場合、図12(A)に示すように、凸状部39Cとウェビング挿通部35wの内周面39Dとが面一に形成され、共に傾斜方向Eに沿って傾斜して形成される。この構成により、凸状部39C及び内周面39Dの各部にかかるシートベルトウェビング103からの荷重をより均一にできる。
【0086】
一方、例えば図12(B)に示すように、X正方向かつZ負方向の方向にシートベルトウェビング103が引っ張られ、この方向に外力Fが付加される設置構造の場合には、凸状部39Eは、Z負方向からX正方向側に傾斜する方向Gに突出するように設けられる。この構成により、凸状部39Eの各部にかかるシートベルトウェビング103からの荷重をより均一にできる。
【0087】
さらに、図12(B)に示すような凸状部39Eを設ける場合には、ウェビング挿通部35wの内周面のうち凸状部39Eが設けられる部分39Fも、凸状部39Eの突出方向Gに沿って延在するように、Z方向に対して傾斜して形成されるのが好ましい。この場合、図12(B)に示すように、凸状部39Eとウェビング挿通部35wの内周面39Fとが面一に形成され、共に傾斜方向Gに沿って傾斜して形成される。この構成により、凸状部39E及び内周面39Fの各部にかかるシートベルトウェビング103からの荷重をより均一にできる。
【0088】
図13は、第3変形例に係る凸状部39G、39Hを示す図である。図13は、図10に示すアンカー装置1の縦断面図に対応する。
【0089】
図13に示すように、凸状部39G、39Hは、プレート本体10の一対の主面のうち、少なくともシートベルトウェビング103からの引張力Fを大きく受ける側に設けられるのが好ましい。
【0090】
例えば図13(A)に示すように、シートベルトウェビング103がアンカープレート3の長手方向(X方向)に対して直交する方向(図13(A)の例ではZ正方向)に引っ張られる場合を考える。この場合、シートベルトウェビング103により付加される引張力FはZ正方向側となるので、ウェビング挿通部35wの縁部のうち、下方のフック片部38の下面が、シートベルトウェビング103のループ部103Aから引張力Fを最も大きく受ける。
【0091】
したがって、図13(A)に示すアンカープレート3の長手方向と、シートベルトウェビング103の引張方向との位置関係の場合には、凸状部39Gをフック片部38に設け、Z負方向側に突出するように形成するのが好ましい。これにより、シートベルトウェビング103からの引張力Fを最も大きく受ける部分の樹脂製プレート30の厚さを大きくできるので、引張力Fに対するアンカープレート3の耐久性を向上できる。
【0092】
また、図13(B)に示すように、アンカープレート3が鉛直方向(図13(B)ではZ正方向側を鉛直上方とする)に対して傾斜して設置された場合を考える。また、このとき、シートベルトウェビング103は、鉛直上方に引っ張られる。
【0093】
このようにアンカープレート3が傾斜して設置されたときには、凸状部30Hはプレート本体10の一対の主面のうち少なくとも上方を向く側に設けられるのが好ましい。この場合、ウェビング挿通部35wの縁部のうち、上方の短辺部33が、シートベルトウェビング103のループ部103Aから引張力Fを最も大きく受ける。したがって、図13(B)に示すように、プレート本体10の一対の主面のうち少なくとも上方を向く側、すなわち上面10f側の短辺部33に凸状部39Hが設けられる。
【0094】
図13(B)に示す構成により、シートベルトウェビング103からの引張力Fを最も大きく受ける部分の樹脂製プレート30の厚さを大きくできるので、引張力Fに対するアンカープレート3の耐久性を向上できる。
【0095】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0096】
1 アンカー装置
2 ボルト(係止体)
3 アンカープレート
10 プレート本体(第1プレート)
20D バネ板
30 樹脂製プレート(第2プレート)
103 シートベルトウェビング
15a プレート本体の開口の大幅部(第一挿通孔)
35w ウェビング挿通部(第二挿通孔)
39、39A、39B、39C、39E、39G、39H 凸状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13