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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165062
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20241121BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20241121BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H01L29/78 652S
H01L29/78 652P
H01L29/78 653C
H01L29/06 301F
H01L29/78 658G
H01L29/78 652K
H01L29/78 652M
H01L29/78 652F
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080894
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永久 克己
(72)【発明者】
【氏名】酒井 敦
(72)【発明者】
【氏名】西村 智也
(57)【要約】
【課題】半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】半導体基板(SUB)の上面(TS)から所定の深さに達するように、半導体基板(SUB)には、トレンチTR1およびトレンチTR2が形成されている。トレンチTR1の下部にはフィールドプレート電極(FP)が形成され、トレンチTR1の上部にはゲート電極GE1が形成されている。トレンチTR2の内部にはゲート電極GE2が形成されている。トレンチTR1の深さは、トレンチTR2の深さよりも深い。トレンチTR1は、平面視においてトレンチTR2に囲まれている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面および下面を有する第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記半導体基板に形成された第1トレンチと、
前記第1トレンチの内部において、前記第1トレンチの下部に形成され、且つ、前記半導体基板から電気的に絶縁されたフィールドプレート電極と、
前記第1トレンチの前記内部において、前記第1トレンチの上部に形成され、且つ、前記半導体基板および前記フィールドプレート電極から電気的に絶縁された第1ゲート電極と、
前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記半導体基板に形成された第2トレンチと、
前記第2トレンチの内部に形成され、且つ、前記半導体基板から電気的に絶縁された第2ゲート電極と、
を備え、
前記第1トレンチの深さは、前記第2トレンチの深さよりも深く、
前記第1トレンチは、平面視において前記第2トレンチに囲まれている、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極には、ゲート電位が供給され、
前記フィールドプレート電極は、電気的にフローティング状態である、半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2トレンチは、平面視においてハニカム構造を成し、
前記ハニカム構造のうち1つの正六角形内に、1つの前記第1トレンチが形成されている、半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2トレンチは、平面視においてハニカム構造を成し、
平面視における前記第1トレンチの中心部は、前記ハニカム構造のうち1つの正六角形の重心に一致する、半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記第1トレンチの平面形状は、円形状である、半導体装置。
【請求項6】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記第1トレンチの平面形状は、正六角形状であり、
前記第1トレンチの正六角形の各辺が、前記第2トレンチの正六角形の各辺に沿っている、半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記半導体基板の前記上面からの深さが、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチの各々の深さよりも浅くなるように、前記半導体基板に形成された、前記第1導電型と反対の第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域内に形成された前記第1導電型のソース領域と、
前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記半導体基板に形成され、且つ、前記第2トレンチに連通する引き出し用トレンチと、
前記引き出し用トレンチの内部に形成され、前記半導体基板から電気的に絶縁され、且つ、前記第2ゲート電極と一体化した引き出し部と、
前記半導体基板の前記上面上に形成された第1層間絶縁膜と、
前記第1層間絶縁膜中に形成された第1孔、第2孔および第3孔と、
前記第1層間絶縁膜上に形成された第1配線および第2配線と、
前記第1配線および第2配線を覆うように、前記第1層間絶縁膜上に形成された第2層間絶縁膜と、
前記第2層間絶縁膜中に形成された第4孔および第5孔と、
前記第2層間絶縁膜上に形成されたソース電極およびゲート配線と、
を更に備え、
前記第1孔は、前記ソース領域および前記ボディ領域に達し、
前記第2孔は、前記第1ゲート電極に達し、
前記第3孔は、前記引き出し部に達し、
前記第1配線は、前記第1孔を介して前記ソース領域および前記ボディ領域に電気的に接続され、
前記第2配線は、前記第2孔を介して前記第1ゲート電極に電気的に接続され、且つ、前記第3孔を介して前記引き出し部に電気的に接続され、
前記第4孔は、前記第1配線に達し、
前記第5孔は、前記第2配線に達し、
前記ソース電極は、前記第4孔を介して前記第1配線に電気的に接続され、
前記ゲート配線は、前記第5孔を介して前記第2配線に電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記半導体基板には、複数の前記第1トレンチが形成され、
前記複数の前記第1トレンチの前記内部には、それぞれ前記フィールドプレート電極および前記第1ゲート電極が形成され、
前記複数の前記第1トレンチは、平面視において前記第2トレンチに囲まれている、半導体装置。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置において、
前記第2トレンチは、平面視においてハニカム構造を成し、
前記ハニカム構造のうち互いに隣り合う正六角形が共有する辺が間引かれている、半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置において、
前記半導体基板の前記上面からの深さが、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチの各々の深さよりも浅くなるように、前記半導体基板に形成された、前記第1導電型と反対の第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域内に形成された前記第1導電型のソース領域と、
前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記半導体基板に形成され、且つ、前記第2トレンチに連通する引き出し用トレンチと、
前記引き出し用トレンチの内部に形成され、前記半導体基板から電気的に絶縁され、且つ、前記第2ゲート電極と一体化した引き出し部と、
前記半導体基板の前記上面上に形成された第1層間絶縁膜と、
前記第1層間絶縁膜中に形成された複数の第1孔、第2孔および第3孔と、
前記第1層間絶縁膜上に形成された第1配線および第2配線と、
前記第1配線および第2配線を覆うように、前記第1層間絶縁膜上に形成された第2層間絶縁膜と、
前記第2層間絶縁膜中に形成された第4孔および第5孔と、
前記第2層間絶縁膜上に形成されたソース電極およびゲート配線と、
を更に備え、
前記複数の第1孔は、それぞれ前記ソース領域および前記ボディ領域に達し、且つ、平面視において前記複数の前記第1トレンチの各々の間に設けられ、
前記第2孔は、前記第1ゲート電極に達し、
前記第3孔は、前記引き出し部に達し、
前記第1配線は、前記複数の第1孔を介して前記ソース領域および前記ボディ領域に電気的に接続され、
前記第2配線は、前記第2孔を介して前記第1ゲート電極に電気的に接続され、且つ、前記第3孔を介して前記引き出し部に電気的に接続され、
前記第4孔は、前記第1配線に達し、
前記第5孔は、前記第2配線に達し、
前記ソース電極は、前記第4孔を介して前記第1配線に電気的に接続され、
前記ゲート配線は、前記第5孔を介して前記第2配線に電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置において、
平面視において前記第2トレンチに囲まれている前記複数の前記第1孔の数は、平面視において前記第2トレンチに囲まれている前記複数の前記第1トレンチの数よりも1つ少ない、半導体装置。
【請求項12】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記半導体基板には、前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達し、且つ、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチに連通する連通部が形成され、
前記連通部の内部には、前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極と一体化した連結部が形成されている、半導体装置。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置において、
前記半導体基板の前記上面からの深さが、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチの各々の深さよりも浅くなるように、前記半導体基板に形成された、前記第1導電型と反対の第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域内に形成された前記第1導電型のソース領域と、
前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記半導体基板に形成され、且つ、前記第2トレンチに連通する引き出し用トレンチと、
前記引き出し用トレンチの内部に形成され、前記半導体基板から電気的に絶縁され、且つ、前記第2ゲート電極と一体化した引き出し部と、
前記半導体基板の前記上面上に形成された第1層間絶縁膜と、
前記第1層間絶縁膜中に形成された第1孔および第2孔と、
前記第1層間絶縁膜上に形成されたソース電極およびゲート配線と、
を更に備え、
前記第1孔は、前記ソース領域および前記ボディ領域に達し、
前記第2孔は、前記引き出し部に達し、
前記ソース電極は、前記第1孔を介して前記ソース領域および前記ボディ領域に電気的に接続され、
前記ゲート配線は、前記第2孔を介して前記引き出し部に電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項14】
上面および下面を有する第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記半導体基板に形成された第1トレンチと、
前記第1トレンチの内部において、前記第1トレンチの下部に形成され、且つ、前記半導体基板から電気的に絶縁されたフィールドプレート電極と、
前記第1トレンチの前記内部において、前記第1トレンチの上部に形成され、且つ、前記半導体基板および前記フィールドプレート電極から電気的に絶縁された第1ゲート電極と、
前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記半導体基板に形成された第2トレンチと、
前記第2トレンチの内部に形成され、且つ、前記半導体基板から電気的に絶縁された第2ゲート電極と、
を備え、
前記第1トレンチの深さは、前記第2トレンチの深さよりも深く、
平面視において、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチは、それぞれ第1方向に延在し、且つ、前記第1方向と交差する第2方向において互いに隣接している、半導体装置。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置において、
前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極には、ゲート電位が供給され、
前記フィールドプレート電極には、ソース電位が供給される、半導体装置。
【請求項16】
請求項14に記載の半導体装置において、
前記第2トレンチの一部には、前記第2方向に延在する交差部が設けられ、
前記第2ゲート電極は、前記交差部の内部にも形成されている、半導体装置。
【請求項17】
請求項14に記載の半導体装置において、
前記半導体基板の前記上面からの深さが、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチの各々の深さよりも浅くなるように、前記半導体基板に形成された、前記第1導電型と反対の第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域内に形成された前記第1導電型のソース領域と、
前記半導体基板の前記上面上に形成された第1層間絶縁膜と、
前記第1層間絶縁膜中に形成された第1孔および第2孔と、
前記第1層間絶縁膜上に形成されたソース電極およびゲート配線と、
を更に備え、
前記半導体基板には、前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達し、且つ、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチに連通する引き出し用トレンチが形成され、
前記引き出し用トレンチの内部には、前記半導体基板から電気的に絶縁され、且つ、前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極と一体化した引き出し部が形成され、
前記第1孔は、前記ソース領域および前記ボディ領域に達し、
前記第2孔は、前記引き出し部に達し、
前記ソース電極は、前記第1孔を介して前記ソース領域および前記ボディ領域に電気的に接続され、
前記ゲート配線は、前記第2孔を介して前記引き出し部に電気的に接続されている、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、トレンチの内部にゲート電極およびフィールドプレート電極を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のような半導体素子を備えた半導体装置では、トレンチの内部にゲート電極が埋め込まれたトレンチゲート構造が適用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、トレンチゲート構造の一種として、トレンチの下部にフィールドプレート電極を形成し、トレンチの上部にゲート電極を形成したスプリットゲート構造が開示されている。フィールドプレート電極には、ソース電極からソース電位が供給される。フィールドプレート電極からドリフト領域へ空乏層を広げることで、トレンチ周囲の耐圧を向上できる。また、耐圧の向上に伴って、ドリフト領域を高濃度化することが可能となり、ドリフト領域の低抵抗化が可能となる。
【0004】
非特許文献1には、スプリットゲート構造の各トレンチの間に、通常のトレンチゲート構造(シングルゲート構造)をアシストゲートとして配置することで、セル領域内のゲート電極の密度を高め、オン抵抗を低減する技術が開示されている。このようなパワーMOSFETは、アシストゲート付きスプリットゲート構造と呼称される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-199109号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】W. Saito, et al., “Assist Gate MOSFETs for Improvement of On-Resistance and Turn-Off Loss Trade-Off”, IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS, vol. 41, no. 7, pp. 1060-1062, July. 2020
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アシストゲート付きスプリットゲート構造のMOSFETでは、オン抵抗の低減化を図る上で、耐圧の確保についても考慮する必要がある。すなわち、チャージバランスを不安定化させないことが求められる。
【0008】
本願の主な目的は、アシストゲート付きスプリットゲート構造の平面レイアウトを最適化することで、チャージバランスを安定化させ、半導体装置の性能を向上させることにある。その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0010】
一実施の形態に係る半導体装置は、上面および下面を有する第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記半導体基板に形成された第1トレンチと、前記第1トレンチの内部において、前記第1トレンチの下部に形成され、且つ、前記半導体基板から電気的に絶縁されたフィールドプレート電極と、前記第1トレンチの前記内部において、前記第1トレンチの上部に形成され、且つ、前記半導体基板および前記フィールドプレート電極から電気的に絶縁された第1ゲート電極と、前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記半導体基板に形成された第2トレンチと、前記第2トレンチの内部に形成され、且つ、前記半導体基板から電気的に絶縁された第2ゲート電極と、を備える。前記第1トレンチの深さは、前記第2トレンチの深さよりも深い。また、前記第1トレンチは、平面視において前記第2トレンチに囲まれている。
【0011】
一実施の形態に係る半導体装置は、上面および下面を有する第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記半導体基板に形成された第1トレンチと、前記第1トレンチの内部において、前記第1トレンチの下部に形成され、且つ、前記半導体基板から電気的に絶縁されたフィールドプレート電極と、前記第1トレンチの前記内部において、前記第1トレンチの上部に形成され、且つ、前記半導体基板および前記フィールドプレート電極から電気的に絶縁された第1ゲート電極と、前記半導体基板の前記上面から所定の深さに達するように、前記半導体基板に形成された第2トレンチと、前記第2トレンチの内部に形成され、且つ、前記半導体基板から電気的に絶縁された第2ゲート電極と、を備える。前記第1トレンチの深さは、前記第2トレンチの深さよりも深い。また、平面視において、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチは、それぞれ第1方向に延在し、且つ、前記第1方向と交差する第2方向において互いに隣接している。
【発明の効果】
【0012】
一実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1における半導体装置を示す平面図である。
図2】実施の形態1における半導体装置を示す平面図である。
図3】実施の形態1における半導体装置を示す要部平面図である。
図4】実施の形態1における半導体装置を示す要部平面図である。
図5】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
図6】実施の形態1における半導体装置を示す要部平面図である。
図7】実施の形態1における半導体装置を示す等価回路図である。
図8】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図9図8に続く製造工程を示す断面図である。
図10図9に続く製造工程を示す断面図である。
図11図10に続く製造工程を示す断面図である。
図12図11に続く製造工程を示す断面図である。
図13図12に続く製造工程を示す断面図である。
図14図13に続く製造工程を示す断面図である。
図15図14に続く製造工程を示す断面図である。
図16図15に続く製造工程を示す断面図である。
図17図16に続く製造工程を示す断面図である。
図18図17に続く製造工程を示す断面図である。
図19図18に続く製造工程を示す断面図である。
図20図19に続く製造工程を示す断面図である。
図21図20に続く製造工程を示す断面図である。
図22】変形例1における半導体装置を示す要部平面図である。
図23】実施の形態2における半導体装置を示す要部平面図である。
図24】実施の形態2における半導体装置を示す断面図である。
図25】変形例2における半導体装置を示す要部平面図である。
図26】変形例2における半導体装置を示す断面図である。
図27】実施の形態3における半導体装置を示す要部平面図である。
図28】実施の形態4における半導体装置を示す要部平面図である。
図29】実施の形態4における半導体装置を示す断面図である。
図30】実施の形態5における半導体装置を示す要部平面図である。
図31】実施の形態5における半導体装置を示す断面図である。
図32】変形例3における半導体装置を示す要部平面図である。
図33】変形例3における半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0015】
また、本願において説明されるX方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差し、互いに直交している。本願では、Z方向をある構造体の上下方向、深さ方向、高さ方向または厚さ方向として説明する。また、本願で用いられる「平面図」または「平面視」などの表現は、X方向およびY方向によって構成される面を「平面」とし、この「平面」をZ方向から見ることを意味する。
【0016】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造>
以下に図1から図7を用いて、実施の形態1における半導体装置100について説明する。半導体装置100は、半導体素子として、アシストゲート付きスプリットゲート構造のMOSFETを備える。すなわち、半導体装置100では、トレンチTR1の内部に形成されたゲート電極GE1およびフィールドプレート電極FPを含むスプリットゲート構造のMOSFETと、トレンチTR2の内部に形成されたゲート電極GE2を含むシングルゲート構造のMOSFETとが並列接続されている。
【0017】
図1および図2は、半導体装置100である半導体チップの平面図である。図1は、最上層の配線構造体を示している。図2は、最上層配線と半導体基板SUBとの間に位置する1層目の配線構造体を示している。
【0018】
半導体装置100は、セル領域CRと、平面視においてセル領域CRを囲む外周領域ORとを有する。セル領域CRには、MOSFETのような主要な半導体素子が形成される。より具体的には、セル領域CRは、ソース領域NSが形成されている領域であり、MOSFETとして動作する領域である。外周領域ORは、主に、ゲート配線GW2からMOSFETにゲート電位を供給させるため、および、ターミネーション領域として機能させるため等に用いられる。
【0019】
図1に示されるように、セル領域CRの大部分は、ソース電極SE2で覆われている。平面視において、ゲート配線GW2は、ソース電極SE2を囲んでいる。また、ここでは図示していないが、ソース電極SE2およびゲート配線GW2は、ポリイミド膜のような保護膜で覆われている。上記保護膜の一部には開口部が設けられ、その開口部で露出しているソース電極SE2およびゲート配線GW2が、ソースパッドSPおよびゲートパッドGPになる。ソースパッドSP上およびゲートパッドGP上に、外部接続用部材が接続されることで、半導体装置100が、他の半導体チップ、リードフレームまたは配線基板などに電気的に接続される。なお、外部接続用部材は、例えば、アルミニウム、金または銅からなるワイヤであるか、銅板からなるクリップである。
【0020】
図2に示されるように、セル領域CRには、それぞれY方向に延在する複数のソース用の内部配線SE1および複数のゲート用の内部配線GW1が形成されている。内部配線GW1は、ゲート配線GW2の下方に位置するように、外周領域ORにも形成されている。セル領域CRの複数の内部配線GW1は、外周領域ORの内部配線GW1と一体化している。
【0021】
後述するように、内部配線SE1は、層間絶縁膜IL2中に形成された孔CH4(ビアV1)を介して、ソース電極SE2に電気的に接続されている。内部配線GW1は、孔CH4(ビアV1)と同等な孔(ビア)を介して、ゲート配線GW2に電気的に接続されている。
【0022】
図3および図4は、図1および図2に示される領域1Aを拡大した要部平面図である。図6は、図1および図2に示される領域2Aを拡大した要部平面図である。図3は、図2の1層目の配線構造体を示している。図4および図6は、主に、半導体基板SUBに形成されたトレンチTR1、TR2およびゲート電極GE1、GE2の平面パターンを示している。図5は、図3および図4に示されるA-A線に沿った断面図である。
【0023】
なお、図3の平面図では、実際には、孔CH1、CH2は内部配線SE1および内部配線GW1に覆われて視認されないが、図4との位置関係を判り易くするために、孔CH1、CH2が図示されている。また、図4および図6では、内部配線SE1および内部配線GW1との位置関係を判り易くするために、これらの一部が破線で示されている。
【0024】
図3および図4に示されるように、セル領域CR内において、複数の内部配線SE1および複数の内部配線GW1は、それぞれストライプ状に形成され、それぞれY方向に延在し、X方向で互いに隣接している。内部配線SE1は、孔CH1を介してソース領域NSに電気的に接続される。内部配線GW1は、孔CH2を介してゲート電極GE1に電気的に接続される。
【0025】
なお、図4では、孔CH1および孔CH2の平面形状が円形状である場合を図示しているが、孔CH1および孔CH2の平面形状は、四角形状のように他の形状であってもよい。
【0026】
図4に示されるように、トレンチTR2は、平面視においてハニカム構造を成す。すなわち、トレンチTR2は、複数の正六角形が互いに接続された構造を成す。トレンチTR2の内部には、ゲート電極GE2が形成されている。トレンチTR1の平面形状は、円形状である。トレンチTR1の内部には、ゲート電極GE1が形成されている。トレンチTR1は、平面視においてトレンチTR2に囲まれている。ソース領域NSは、トレンチTR1とトレンチTR2との間に形成されている。
【0027】
実施の形態1では、トレンチTR2のハニカム構造のうち1つの正六角形内に、1つのトレンチTR1が形成されている。また、平面視におけるトレンチTR1の中心部10は、ハニカム構造のうち1つの正六角形の重心20に一致する。従って、最も近接する3つのトレンチTR1の中心部10を直線で結ぶと、正三角形が構成される。図4に示されるように、その正三角形の各辺の長さL1が等しくなっている。
【0028】
トレンチTR1の内部においてゲート電極GE1の下方には、後述するフィールドプレート電極FPが形成されている。上述の正三角形が構成されていることで、フィールドプレート電極FPから広がる空乏層が、セル領域CR内において均等に広がり易くなり、耐圧を確保し易くなる。
【0029】
なお、重心20は、多角形の重心を示し、後述の変形例1のように正四角形の重心である場合もある。
【0030】
以下に図5を用いて、半導体装置100の断面構造について説明する。
【0031】
図5に示されるように、半導体装置100は、上面TSおよび下面BSを有するn型の半導体基板SUBを備える。半導体基板SUBは、n型のシリコンからなる。半導体基板SUBは、低濃度のn型のドリフト領域NVを有する。実施の形態1では、n型の半導体基板SUB自体が、ドリフト領域NVを構成している。なお、半導体基板SUBは、n型のシリコン基板と、上記シリコン基板上に、エピタキシャル成長法によって燐(P)を導入しながら成長させたn型の半導体層との積層体であってもよい。その場合、低濃度のn型の半導体層がドリフト領域NVを構成し、高濃度のn型のシリコン基板がドレイン領域NDを構成する。
【0032】
図5に示されるように、半導体基板SUBにおいて、半導体基板SUBの上面TSよりも半導体基板SUBの下面BSの近くに、n型のドレイン領域NDが形成されている。ドレイン領域NDは、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有している。半導体基板SUBの下面BS下には、ドレイン電極DEが形成されている。ドレイン電極DEは、例えばアルミニウム膜、チタン膜、ニッケル膜、金膜若しくは銀膜のような単層の金属膜、または、これらの金属膜を適宜積層させた積層膜からなる。ドレイン領域NDおよびドレイン電極DEは、セル領域CRおよび外周領域ORに渡って形成されている。半導体基板SUB(ドレイン領域ND、ドリフト領域NV)には、ドレイン電極DEからドレイン電位が供給される。
【0033】
半導体基板SUBには、半導体基板SUBの上面TSから所定の深さに達するトレンチTR1が形成されている。トレンチTR1の深さは、例えば5μm以上且つ7μm以下である。トレンチTR1の内部において、トレンチTR1の下部には、絶縁膜IF1を介してフィールドプレート電極FPが形成されている。また、トレンチTR1の内部において、トレンチTR1の上部には、ゲート絶縁膜GIを介してゲート電極GE1が形成されている。フィールドプレート電極FPおよびゲート電極GE1は、それぞれ、例えばn型の不純物が導入された多結晶シリコン膜からなる。
【0034】
絶縁膜IF1の上面の位置は、フィールドプレート電極FPの上面の位置よりも低くなっている。絶縁膜IF1から露出しているフィールドプレート電極FPを覆うように、絶縁膜IF2が形成されている。ゲート絶縁膜GIは、絶縁膜IF2上のトレンチTR1の内部に形成されている。
【0035】
絶縁膜IF1は、半導体基板SUBとフィールドプレート電極FPとの間に形成されている。絶縁膜IF2は、ゲート電極GE1とフィールドプレート電極FPとの間に形成されている。ゲート絶縁膜GIは、半導体基板SUBとゲート電極GE1との間に形成されている。これらの膜によって、半導体基板SUB、ゲート電極GE1およびフィールドプレート電極FPは、互いに電気的に絶縁されている。また、ゲート電極GE1上には、絶縁膜IF3が形成されている。
【0036】
絶縁膜IF1、絶縁膜IF2、絶縁膜IF3およびゲート絶縁膜GIは、例えば酸化シリコン膜からなる。絶縁膜IF1の厚さは、ゲート絶縁膜GIの厚さよりも厚い。トレンチTR1の内部において、絶縁膜IF1の厚さは、例えば400nm以上且つ600nm以下である。また、トレンチTR1の内部において、ゲート絶縁膜GIの厚さは、例えば50nm以上且つ70nm以下である。なお、これらの厚さは、X方向における厚さである。
【0037】
半導体基板SUBには、半導体基板SUBの上面TSから所定の深さに達するトレンチTR2が形成されている。図5に示されるように、トレンチTR2の深さは、トレンチTR1の深さよりも浅く、例えば2μm以上且つ3μm以下である。トレンチTR2の内部には、ゲート絶縁膜GIを介してゲート電極GE2が形成されている。ゲート絶縁膜GIによって、半導体基板SUBおよびゲート電極GE2は、互いに電気的に絶縁されている。ゲート電極GE2は、例えばn型の不純物が導入された多結晶シリコン膜からなる。また、ゲート電極GE2上には、絶縁膜IF3が形成されている。
【0038】
半導体基板SUBにおいて、半導体基板SUBの下面BSよりも半導体基板SUBの上面TSの近くに、p型のボディ領域PBが形成されている。図5に示されるように、半導体基板SUBの上面TSからのボディ領域PBの深さは、トレンチTR1およびトレンチTR2の各々の深さよりも浅い。ボディ領域PB内には、n型のソース領域NSが形成されている。ソース領域NSは、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有する。
【0039】
半導体基板SUBの上面TS上には、トレンチTR1およびトレンチTR2を覆うように、層間絶縁膜IL1が形成されている。層間絶縁膜IL1は、例えば酸化シリコン膜からなる。層間絶縁膜IL1の厚さは、例えば500nm以上且つ900nm以下である。
【0040】
層間絶縁膜IL1中には、孔CH1および孔CH2が形成されている。孔CH1は、ソース領域NSおよびボディ領域PBに達する。孔CH2は、ゲート電極GE2に達する。孔CH1の底部において、ボディ領域PB内には、高濃度拡散領域PRが形成されている。高濃度拡散領域PRは、主に、プラグPGとの接触抵抗を低減するために形成され、ボディ領域PBよりも高い不純物濃度を有する。
【0041】
孔CH1および孔CH2の各々の内部には、プラグPGが形成されている。プラグPGは、例えば、第1バリアメタル膜と、第1バリアメタル膜上に形成された第1導電性膜とからなる。第1バリアメタル膜は、例えばチタン膜および窒化チタン膜の積層膜からなる。第1導電性膜は、例えばタングステン膜である。
【0042】
層間絶縁膜IL1上には、内部配線SE1および内部配線GW1が形成されている。内部配線SE1は、平面視で孔CH1に重なる位置に設けられ、孔CH1(プラグPG)を介してソース領域NS、ボディ領域PBおよび高濃度拡散領域PRに電気的に接続されている。内部配線GW1は、平面視で孔CH2に重なる位置に設けられ、孔CH2(プラグPG)を介してゲート電極GE1に電気的に接続されている。
【0043】
内部配線SE1および内部配線GW1は、例えば、第2バリアメタル膜と、第2バリアメタル膜上に形成された第2導電性膜とからなる。第2バリアメタル膜は、例えばチタンタングステン膜または窒化チタン膜である。第2導電性膜は、例えば銅またはシリコンが添加されたアルミニウム合金膜であるか、タングステン膜である。内部配線SE1および内部配線GW1の各々の厚さは、例えば100nm以上且つ200nm以下である。
【0044】
層間絶縁膜IL1上には、内部配線SE1および内部配線GW1を覆うように、層間絶縁膜IL2が形成されている。層間絶縁膜IL2は、例えば酸化シリコン膜からなる。層間絶縁膜IL2の厚さは、例えば500nm以上且つ900nm以下である。
【0045】
層間絶縁膜IL2中には、孔CH4が形成されている。孔CH4は、内部配線SE1に達する。孔CH4の内部には、ビアV1が形成されている。ビアV1は、例えば、第3バリアメタル膜と、第3バリアメタル膜上に形成された第3導電性膜とからなる。第3バリアメタル膜は、例えばチタン膜および窒化チタン膜の積層膜からなる。第3導電性膜は、例えばタングステン膜である。
【0046】
層間絶縁膜IL2上には、ソース電極SE2が形成されている。ソース電極SE2は、孔CH4(ビアV1)を介して内部配線SE1に電気的に接続されている。従って、ソース領域NS、ボディ領域PBおよび高濃度拡散領域PRには、ソース電極SE2からソース電位が供給される。
【0047】
図6に示されるように、外周領域ORの半導体基板SUBには、半導体基板SUBの上面TSから所定の深さに達する引き出し用トレンチTRaが形成されている。引き出し用トレンチTRaは、トレンチTR2と同じ製造工程で形成されているので、引き出し用トレンチTRaの深さは、トレンチTR2の深さと同じである。トレンチTR2および引き出し用トレンチTRaは、連通している。そして、引き出し用トレンチTRaの内部には、ゲート電極GE2と一体化した引き出し部GEaが形成されている。
【0048】
外周領域ORの層間絶縁膜IL1中には、引き出し部GEaに達する孔CH3が形成されている。孔CH3の内部にも、プラグPGが形成されている。内部配線GW1は、外周領域ORにも形成されている。外周領域ORの内部配線GW1は、平面視で孔CH3に重なる位置に設けられ、孔CH3(プラグPG)を介して引き出し部GEaに電気的に接続されている。
【0049】
ここでは図示していないが、外周領域ORの層間絶縁膜IL2上には、ゲート配線GW2が形成されている。また、外周領域ORの層間絶縁膜IL2中には、内部配線GW1に達する孔CH4が形成され、この孔CH4の内部にもビアV1が形成されている。ゲート配線GW2は、孔CH4(ビアV1)を介して内部配線GW1に電気的に接続されている。従って、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2には、ゲート配線GW2からゲート電位が供給される。
【0050】
ソース電極SE2およびゲート配線GW2は、例えば、第4バリアメタル膜と、第4バリアメタル膜上に形成された第4導電性膜とからなる。第4バリアメタル膜は、例えばチタンタングステン膜である。第4導電性膜は、例えば銅またはシリコンが添加されたアルミニウム合金膜である。ソース電極SE2およびゲート配線GW2の各々の厚さは、内部配線SE1および内部配線GW1の各々の厚さよりも厚く、例えば2μm以上且つ3μm以下である。
【0051】
図7は、実施の形態1におけるアシストゲート付きスプリットゲート構造のMOSFETの等価回路図である。ゲート電極GE1およびフィールドプレート電極FPを含むスプリットゲート構造のMOSFETと、ゲート電極GE2を含むシングルゲート構造のMOSFETとが、並列接続されている。また、フィールドプレート電極FPは、ゲート配線GW2、ソース電極SE2およびドレイン電極DEの何れにも電気的に接続されておらず、電気的にフローティング状態である。
【0052】
なお、図7に示される容量Cfp-gは、ゲート電極GE1とフィールドプレート電極FPとの間の容量である。容量Cfp-dは、フィールドプレート電極FPとドレイン電極DEとの間の容量である。抵抗Rsubは、ドレイン領域NDの抵抗成分である。ドリフト領域NVは、分布定数的なバイアス依存の可変抵抗Rnv,N/可変容量Cnv,Nを構成する(Nは整数)。そのため、フィールドプレート電極FPに掛かる電位は、ゲート電位およびドレイン電位に応じて、これらの中間電位で変動する。
【0053】
以上のように、実施の形態1によれば、トレンチTR1の側面に接するボディ領域PBを、スプリットゲート構造のMOSFETのチャネル領域として活用できると共に、トレンチTR2の側面に接するボディ領域PBを、シングルゲート構造のMOSFETのチャネル領域として活用できる。トレンチTR2が平面視でトレンチTR1を囲む構造を採用したことで、セル領域CR内のゲート電極GE2の密度が高くなり、セル領域CR全体を流れる電流の密度が高くなる。そのため、オン抵抗の低減を図れる。
【0054】
トレンチTR2は、平面視においてハニカム構造を成し、トレンチTR1の中心部10は、ハニカム構造のうち1つの正六角形の重心20に一致する。そのため、最も近接する3つのトレンチTR1の中心部10によって正三角形が構成される。これにより、フィールドプレート電極FPから広がる空乏層が、セル領域CR内において均等に広がり易くなり、耐圧を確保し易くなる。
【0055】
このように、実施の形態1によれば、チャージバランスが不安定化しない。言い換えると、実施の形態1によれば、チャージバランスが安定化するので、オン抵抗の低減化と、耐圧の確保の両立を図ることができ、この結果、半導体装置100の性能を向上させることができる。
【0056】
<半導体装置の製造方法>
以下に図8から図21を用いて、半導体装置100の製造方法に含まれる各製造工程について説明する。
【0057】
図8に示されるように、まず、上面TSおよび下面BSを有するn型の半導体基板SUBを用意する。上述のように、半導体基板SUBは、n型のシリコン基板と、エピタキシャル成長法によって上記シリコン基板上に形成されたn型の半導体層との積層体であってもよい。
【0058】
次に、半導体基板SUBの上面TSから所定の深さに達するように、半導体基板SUBにトレンチTR1およびトレンチTR2を形成する。そのためには、まず、半導体基板SUBの上面TS上に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、例えば酸化シリコン膜または窒化シリコン膜のような絶縁膜を形成する。次に、フォトリソグラフィ技術および異方性エッチング処理によって、上記絶縁膜をパターニングすることで、半導体基板SUBの上面TS上にハードマスクHMを選択的に形成する。次に、ハードマスクHMをマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、ハードマスクHMから露出している半導体基板SUBにトレンチTR1およびトレンチTR2を形成する。なお、これらの工程によって、引き出し用トレンチTRaも形成される。
【0059】
図9に示されるように、トレンチTR1の深さがトレンチTR2の深さよりも深くなるように、トレンチTR1の深さを選択的に深くする。
【0060】
まず、ハードマスクHM上に、トレンチTR2を覆い、且つ、トレンチTR1を開口するパターンを有するレジストパターンRP1を形成する。次に、レジストパターンRP1およびハードマスクHMをマスクとして異方性エッチング処理を行う。レジストパターンRP1から露出している半導体基板SUBの上面TSは、ハードマスクHMに覆われているので、トレンチTR1の内部のみがエッチングされる。これにより、トレンチTR1の深さが選択的に深くなる。
【0061】
次に、アッシング処理によってレジストパターンRP1を除去する。次に、例えばフッ酸または燐酸を含む溶液を用いた等方性エッチング処理によって、ハードマスクHMを除去する。
【0062】
図10に示されるように、トレンチTR1の内部およびトレンチTR2の内部に、絶縁膜IF1および導電性膜CF1を形成する。
【0063】
まず、半導体基板SUBの上面TS上、トレンチTR1の内部およびトレンチTR2の内部に、例えば熱酸化処理によって、絶縁膜IF1を形成する。なお、絶縁膜IF1は、熱酸化処理によって形成された第1酸化シリコン膜と、上記第1酸化シリコン膜上に、CVD法によって形成された第2酸化シリコン膜との積層膜であってもよい。
【0064】
次に、トレンチTR1の内部およびトレンチTR2の内部を埋め込むように、例えばCVD法によって、絶縁膜IF1上に導電性膜CF1を形成する。導電性膜CF1は、例えばn型の多結晶シリコン膜である。導電性膜CF1を良好に埋め込むために、導電性膜CF1の成膜を、複数回(例えば、第1多結晶シリコン膜の成膜と、第2多結晶シリコン膜の成膜との2回)に分けて行ってもよい。
【0065】
図11に示されるように、トレンチTR1の内部にフィールドプレート電極FPを形成する。
【0066】
まず、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いた研磨処理によって、半導体基板SUBの上面TS上に位置する導電性膜CF1を除去する。次に、導電性膜CF1に対して異方性エッチング処理を行うことで、トレンチTR2の内部に位置する導電性膜CF1と、トレンチTR1の内部に位置する導電性膜CF1の一部とを除去する。これにより、トレンチTR1の内部に残された導電性膜CF1をフィールドプレート電極FPとして形成する。
【0067】
図12に示されるように、絶縁膜IF1に対してフッ酸を含む溶液を用いた等方性エッチング処理を行う。これにより、半導体基板SUBの上面TS上に位置する絶縁膜IF1と、トレンチTR2の内部に位置する絶縁膜IF1とを除去する。同時に、トレンチTR1の内部に位置する絶縁膜IF1の上面の位置がフィールドプレート電極FPの上面の位置よりも低くなるように、トレンチTR1の内部に位置する絶縁膜IF1をトレンチTR1の底部に向かって後退させる。
【0068】
図13に示されるように、トレンチTR1の内部において、絶縁膜IF1から露出しているフィールドプレート電極FPを覆うように、絶縁膜IF2を選択的に形成する。
【0069】
まず、半導体基板SUBの上面TS上、トレンチTR1の内部およびトレンチTR2の内部に、例えばCVD法によって、絶縁膜IF2を形成する。次に、絶縁膜IF2に対して異方性エッチング処理を行うことで、半導体基板SUBの上面TS上に位置する絶縁膜IF2と、トレンチTR2の内部に位置する絶縁膜IF2とを除去する。同時に、トレンチTR1の内部に位置する絶縁膜IF2をトレンチTR1の底部に向かって後退させる。これにより、フィールドプレート電極FPが、トレンチTR1の内部に残された絶縁膜IF2によって覆われる。
【0070】
図14に示されるように、トレンチTR1の内部およびトレンチTR2の内部に、ゲート絶縁膜GIおよび導電性膜CF2を形成する。
【0071】
まず、熱酸化処理によって、半導体基板SUBの上面TS上、絶縁膜IF2上に位置するトレンチTR1の内部およびトレンチTR2の内部に、ゲート絶縁膜GIを形成する。なお、引き出し用トレンチTRaの内部にも、ゲート絶縁膜GIが形成される。次に、トレンチTR1の内部を埋め込むように、例えばCVD法によって、ゲート絶縁膜GI上および絶縁膜IF2上に、導電性膜CF2を形成する。導電性膜CF2は、例えばn型の多結晶シリコン膜である。
【0072】
図15に示されるように、トレンチTR1の内部にゲート電極GE1を形成し、トレンチTR2の内部にゲート電極GE2を形成する。
【0073】
まず、例えばCMP法を用いた研磨処理によって、導電性膜CF2に対してCMP法を用いた研磨処理を行う。これにより、導電性膜CF2の厚さが薄くなり、導電性膜CF2の上面が平坦化される。
【0074】
次に、導電性膜CF2に対して異方性エッチング処理を行うことで、半導体基板SUBの上面TS上に位置する導電性膜CF2を除去する。これにより、フィールドプレート電極FP上においてトレンチTR1の内部に残された導電性膜CF2をゲート電極GE1として形成する。同時に、トレンチTR2の内部に残された導電性膜CF2をゲート電極GE2として形成する。なお、引き出し用トレンチTRaの内部にも、導電性膜CF2から引き出し部GEaが形成される。
【0075】
なお、トレンチTR1の外部およびトレンチTR2の外部の導電性膜CF2を完全に除去するために、異方性エッチング処理はオーバーエッチングで行われる。ゲート電極GE1およびゲート電極GE2の各々の上面の位置は、半導体基板SUBの上面TSの位置よりも若干低くなる。
【0076】
図16に示されるように、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2の各々の上面上に、絶縁膜IF3を形成する。
【0077】
まず、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2の各々の上面上を覆うように、例えばCVD法によって、半導体基板SUBの上面TS上に絶縁膜IF3を形成する。次に、絶縁膜IF3に対して異方性エッチング処理を行う。これにより、半導体基板SUBの上面TS上の絶縁膜IF3およびゲート絶縁膜GIが除去され、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2の各々の上面上に、絶縁膜IF3が残される。
【0078】
図17に示されるように、半導体基板SUBにボディ領域PBおよびソース領域NSを形成する。
【0079】
まず、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、例えばホウ素(B)を導入することで、半導体基板SUBに、p型のボディ領域PBを選択的に形成する。ボディ領域PBは、トレンチTR1およびトレンチTR2の各々の深さよりも浅くなるように形成される。
【0080】
次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、例えば砒素(As)を導入することで、セル領域CRのボディ領域PB内に、n型のソース領域NSを選択的に形成する。その後、半導体基板SUBに対して熱処理を施すことで、ソース領域NSおよびボディ領域PBに含まれる不純物を活性化させる。
【0081】
図18に示されるように、トレンチTR1およびトレンチTR2を覆うように、例えばCVD法によって、半導体基板SUBの上面TS上に、層間絶縁膜IL1を形成する。
【0082】
図19に示されるように、孔CH1、孔CH2および高濃度拡散領域PRを形成する。
【0083】
まず、層間絶縁膜IL1上に、ソース領域NSが形成されている半導体基板SUBを開口するパターンを有するレジストパターンを形成する。次に、上記レジストパターンをマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、層間絶縁膜IL1およびソース領域NSを貫通し、且つ、ボディ領域PBの内部に達する孔CH1を形成する。次に、イオン注入法によって、孔CH1の底部におけるボディ領域PBに、例えばホウ素(B)を導入することで、p型の高濃度拡散領域PRを形成する。その後、アッシング処理によって上記レジストパターンを除去する。
【0084】
次に、層間絶縁膜IL1上に、ゲート電極GE1上を開口するパターンを有するレジストパターンを形成する。次に、上記レジストパターンをマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、層間絶縁膜IL1および絶縁膜IF3を貫通し、且つ、ゲート電極GE1に達する孔CH2を形成する。ここでは図示していないが、孔CH2を形成する工程で、図6に示される孔CH3も形成される。孔CH3は、層間絶縁膜IL1および絶縁膜IF3を貫通し、且つ、引き出し部GEaに達する。その後、アッシング処理によって上記レジストパターンを除去する。
【0085】
なお、孔CH1を形成する順番と、孔CH2および孔CH3を形成する順番とは、何れが先であっても構わない。
【0086】
図20に示されるように、孔CH1および孔CH2の各々の内部にプラグPGを形成し、層間絶縁膜IL1上に内部配線SE1および内部配線GW1を形成する。
【0087】
まず、孔CH1の内部、孔CH2の内部および層間絶縁膜IL1上に、スパッタリング法またはCVD法によって第1バリアメタル膜を形成する。第1バリアメタル膜は、例えば窒化チタン膜およびチタン膜の積層膜からなる。次に、第1バリアメタル膜上に、CVD法によって第1導電性膜を形成する。第1導電性膜は、例えばタングステン膜からなる。
【0088】
次に、CMP法を用いた研磨処理または異方性エッチング処理によって、孔CH1の外部および孔CH2の外部に形成されている第1バリアメタル膜および第1導電性膜を除去する。これにより、孔CH1の内部および孔CH2の内部を埋め込むように、第1バリアメタル膜および第1導電性膜からなるプラグPGが形成される。なお、これらの工程によって、孔CH3の内部にもプラグPGが形成される。
【0089】
次に、層間絶縁膜IL1上に、スパッタリング法によって、第2バリアメタル膜を形成する。第2バリアメタル膜は、例えばチタンタングステン膜または窒化チタン膜からなる。次に、第2バリアメタル膜上に、スパッタリング法によって第2導電性膜を形成する。第2導電性膜は、例えば銅またはシリコンが添加されたアルミニウム合金膜であるか、タングステン膜である。次に、第2バリアメタル膜および第2導電性膜をパターニングすることで、内部配線SE1および内部配線GW1を形成する。
【0090】
図21に示されるように、層間絶縁膜IL2、孔CH4、ビアV1およびソース電極SE2を形成する。
【0091】
まず、内部配線SE1および内部配線GW1を覆うように、例えばCVD法によって、層間絶縁膜IL1上に、層間絶縁膜IL2を形成する。次に、層間絶縁膜IL2上に、内部配線SE1を開口するパターンを有するレジストパターンを形成する。次に、上記レジストパターンをマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、層間絶縁膜IL2中に、内部配線SE1に達する孔CH4を形成する。なお、これらの工程によって、外周領域ORの層間絶縁膜IL2中にも、内部配線GW1に達する孔CH4が形成される。
【0092】
次に、孔CH4の内部および層間絶縁膜IL2上に、スパッタリング法またはCVD法によって第3バリアメタル膜を形成する。第3バリアメタル膜は、例えば窒化チタン膜およびチタン膜の積層膜からなる。次に、第3バリアメタル膜上に、CVD法によって第3導電性膜を形成する。第3導電性膜は、例えばタングステン膜からなる。次に、CMP法または異方性エッチング処理によって、孔CH4の外部に形成されている第3バリアメタル膜および第3導電性膜を除去する。これにより、孔CH4の内部を埋め込むように、第3バリアメタル膜および第3導電性膜からなるビアV1が形成される。
【0093】
次に、層間絶縁膜IL2上に、スパッタリング法によって、第4バリアメタル膜を形成する。第4バリアメタル膜は、例えばチタンタングステン膜からなる。次に、第4バリアメタル膜上に、スパッタリング法によって第4導電性膜を形成する。第4導電性膜は、例えば銅またはシリコンが添加されたアルミニウム合金膜である。次に、第4バリアメタル膜および第4導電性膜をパターニングすることで、ソース電極SE2を形成する。なお、これらの工程によって、外周領域ORの層間絶縁膜IL2上に、ゲート配線GW2が形成される。
【0094】
次に、ここでは図示はしないが、ソース電極SE2上およびゲート配線GW2上に、例えば塗布法によって、例えばポリイミド膜からなる保護膜を形成する。上記保護膜の一部に開口部を形成することで、ソース電極SE2およびゲート配線GW2のうち、ソースパッドSPおよびゲートパッドGPになる領域を露出させる。
【0095】
その後、以下の製造工程を経て、図5に示される構造体が得られる。まず、必要に応じて半導体基板SUBの下面BSを研磨する。次に、半導体基板SUBの下面BSに、イオン注入法によって、例えば砒素(As)などを導入することで、n型のドレイン領域NDを形成する。なお、半導体基板SUBがn型のシリコン基板とn型の半導体層との積層体で構成されている場合、高濃度のn型のシリコン基板がドレイン領域NDを成すので、上述のイオン注入によるドレイン領域NDの形成を省略できる。次に、半導体基板SUBの下面BS下に、スパッタリング法によって、ドレイン電極DEを形成する。
【0096】
なお、図1および図2に示されるソース電極SE2、ゲート配線GW2、内部配線SE1および内部配線GW1の平面レイアウトは、あくまで一例であり、ゲート電極GE1、ゲート電極GE2およびソース領域NSなどへの電気的接続が成されていれば、種々変更可能である。
【0097】
(変形例1)
以下に図22を用いて、実施の形態1の変形例1における半導体装置100について説明する。
【0098】
実施の形態1では、トレンチTR2の平面形状にハニカム構造を適用したが、トレンチTR2がトレンチTR1を囲む形状は、正六角形に限られず、他の多角形状であってもよい。
【0099】
例えば変形例1では、図22に示されるように、トレンチTR2は、複数の正四角形が互いに接続された構造である。図22では、ある正四角形とX方向で隣接する正四角形は、Y方向に半ピッチずれて配置されている。変形例1でも、平面視におけるトレンチTR1の中心部10は、正四角形の重心20(多角形の重心)に一致する。最も近接する3つのトレンチTR1の中心部10を直線で結ぶと、二等辺三角形が構成され、長さL2は、長さL1と異なる値になる。
【0100】
トレンチTR2の形状が変形例1のような場合であっても、オン抵抗の低減化および耐圧の確保の両立というチャージバランスを安定化させることができる。しかしながら、フィールドプレート電極FPから広がる空乏層が、セル領域CR内において均等に広がり易いという観点からは、二等辺三角形よりも正三角形の方が優れている。従って、耐圧を確保し、チャージバランスを更に安定化させるという点では、実施の形態1の方が変形例1よりも優れている。
【0101】
(実施の形態2)
以下に図23および図24を用いて、実施の形態2における半導体装置100について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。図24は、図23に示されるB-B線に沿った断面図である。
【0102】
実施の形態1では、トレンチTR2のハニカム構造のうち1つの正六角形内に、1つのトレンチTR1が形成されていた。
【0103】
図23に示されるように、実施の形態2では、ハニカム構造のうち互いに隣り合う正六角形が共有する辺が間引かれている。ここでは、ハニカム構造のうち2つの正六角形が共有する辺が間引かれ、2つのトレンチTR1が、平面視においてトレンチTR2に囲まれている。
【0104】
図23および図24に示されるように、共有する辺が間引かれた領域内には、孔CH1sが形成されている。2つのトレンチTR1の間に位置していたトレンチTR2が無い分、孔CH1sの平面寸法を、実施の形態1の孔CH1よりも大きくすることができる。従って、孔CH1sの内部に形成されるプラグPGと、ソース領域NS、ボディ領域PBおよび高濃度拡散領域PRとの接触面積を大きくでき、接触抵抗を低減できる。また、2つのスプリットゲート構造のMOSFETで、孔CH1sを共通化させることができる。
【0105】
例えば、実施の形態1では、ハニカム構造のうち1つの正六角形内に、2つの孔CH1を設けていたが、孔CH1の平面寸法および配置箇所については、トレンチTR1とトレンチTR2との間のスペースを考慮する必要があり、ある程度の制限が設けられていた。実施の形態2のように、共有する辺が間引かれた領域を活用することで、孔CH1sの平面寸法および配置箇所に関する制限を緩和できる。
【0106】
しかしながら、実施の形態2では、共有する辺を間引いた分、実施の形態1と比較して、ゲート電極GE2の密度が低くなり、オン抵抗が増加する。そのため、オン抵抗の低減という点では、実施の形態1の方が実施の形態2よりも優れている。
【0107】
(変形例2)
以下に図25および図26を用いて、実施の形態2の変形例2における半導体装置100について説明する。図26は、図25に示されるB-B線に沿った断面図である。
【0108】
図25に示されるように、変形例2でも実施の形態2と同様に、ハニカム構造のうち互いに隣り合う正六角形が共有する辺が間引かれている。変形例2では、ハニカム構造のうち複数の正六角形が共有する辺に対して、間引きが行われている。すなわち、複数のトレンチTR1が、平面視においてトレンチTR2に囲まれている。なお、図25では、トレンチTR2が複数個に分断されているが、これらのトレンチTR2は、例えばセル領域CRの外周付近で、互いに連結されている。
【0109】
図25および図26に示されるように、共有する辺が間引かれた複数の領域内には、それぞれ孔CH1sが形成されている。すなわち、各孔CH1sは、複数のトレンチTR1の各々の間に設けられている。そのため、平面視においてトレンチTR2に囲まれている複数の孔CH1sの数は、平面視においてトレンチTR2に囲まれている複数のトレンチTR1の数よりも1つ少ない。
【0110】
変形例2でも共有する辺を間引いた分、実施の形態1と比較して、ゲート電極GE2の配置密度が低くなり、オン抵抗が増加する。しかし、オン抵抗の変動分を許容できる範囲であれば、共有する辺に対する間引きの数を調整し、孔CH1sのレイアウトの自由度を高めることができる。
【0111】
(実施の形態3)
以下に図27を用いて、実施の形態3における半導体装置100について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0112】
実施の形態1では、トレンチTR1の平面形状が円形状であり、平面視におけるトレンチTR1の中心部10がハニカム構造のうち1つの正六角形の重心20に一致するように、各トレンチTR1をトレンチTR2内に設けていた。これにより、フィールドプレート電極FPから広がる空乏層が、セル領域CR内において均等に広がり易くなっている。
【0113】
しかしながら、図27に示されるように、トレンチTR1が円形状である場合、フィールドプレート電極FPから広がる空乏層も円形状になる。そうすると、使用される各電位および加工寸法にも依るが、空乏化が弱い領域が存在する場合がある。例えば3つのフィールドプレート電極FPの何れかからも、空乏層が届かない領域が存在する場合がある。すなわち、セル領域CR内において、局所的にではあるが、チャージバランスの条件が安定しない領域が存在することになる。
【0114】
図27に示されるように、実施の形態3では、平面視におけるトレンチTR1の中心部10が正六角形の重心20に一致する点は、実施の形態1と同じであるが、実施の形態3におけるトレンチTR1の平面形状は、正六角形状である。
【0115】
このようにトレンチTR1の正六角形状を変更したことで、フィールドプレート電極FPから広がる空乏層も正六角形状になる。従って、空乏化が弱い領域の発生を抑制できるので、セル領域CR内において、チャージバランスの更なる安定化を図ることができる。
【0116】
また、トレンチTR1とトレンチTR2との間の間隔を考慮して、トレンチTR1がトレンチTR2に効率的に囲まれる配置とするために、ハニカム構造の正六角形状に沿って、トレンチTR1の正六角形状を配置している。すなわち、トレンチTR1の正六角形の各辺が、トレンチTR2の正六角形の各辺に沿っている。
【0117】
また、実施の形態3でも、実施の形態2または変形例2のように、ハニカム構造のうち隣り合う正六角形が共有する辺が間引かれていてもよい。
【0118】
(実施の形態4)
以下に図28および図29を用いて、実施の形態4における半導体装置100について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。図29は、図28に示されるC-C線に沿った断面図である。
【0119】
なお、実施の形態4では、実施の形態3のようにトレンチTR1の平面形状が六角形状の場合を例示するが、トレンチTR1の平面形状が円形状であっても、実施の形態4の効果を得られる。
【0120】
実施の形態1では、セル領域CRにおいてトレンチTR1とトレンチTR2とが分離し、ゲート電極GE1とゲート電極GE2とが分離していた。そして、セル領域CRにおいてゲート電極GE1が内部配線GW1に接続し、外周領域ORにおいてゲート電極GE2が内部配線GW1に接続することで、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2にゲート電位が供給されていた。
【0121】
図28に示されるように、実施の形態4では、セル領域CRにおいて、半導体基板SUBに、半導体基板SUBの上面TSから所定の深さに達し、且つ、トレンチTR1およびトレンチTR2に連通する連通部TRbが形成されている。そして、連通部TRbの内部には、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2と一体化した連結部GEbが形成されている。
【0122】
このような連通部TRbは、図8の製造工程において、トレンチTR1とトレンチTR2との間に位置する半導体基板SUBの上面TS上に、ハードマスクHMを配置しないことで、形成できる。すなわち、連通部TRbの深さは、トレンチTR2の深さと同じになる。また、導電性膜CF1からゲート電極GE1およびゲート電極GE2を形成する工程で、連結部GEbも形成できる。
【0123】
実施の形態4では、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2が一体化しているので、孔CH1を介してゲート電極GE1を内部配線GW1に接続させる必要が無い。従って、内部配線GW1を設ける必要が無く、内部配線SE1、層間絶縁膜IL2、孔CH4およびビアV1を設ける必要も無い。
【0124】
図29に示されるように、実施の形態4では、内部配線GW1、内部配線SE1、層間絶縁膜IL2、孔CH4およびビアV1の形成が省略されており、層間絶縁膜IL1上にソース電極SE2およびゲート配線GW2が形成されている。層間絶縁膜IL1中には、孔CH1が形成され、孔CH1の内部にはプラグPGが形成されている。ソース領域NS、ボディ領域PBおよび高濃度拡散領域PRは、孔CH1(プラグPG)を介してソース電極SE2に電気的に接続されている。
【0125】
実施の形態4でも図6に示されるように、外周領域ORの半導体基板SUBには、引き出し用トレンチTRaが形成されている。トレンチTR2および引き出し用トレンチTRaは、連通している。そして、引き出し用トレンチTRaの内部には、ゲート電極GE2と一体化した引き出し部GEaが形成されている。
【0126】
外周領域ORの層間絶縁膜IL1中には、引き出し部GEaに達する孔CH3が形成されている。孔CH3の内部にも、プラグPGが形成されている。引き出し部GEaは、孔CH3(プラグPG)を介してゲート配線GW2に電気的に接続されている。従って、ゲート配線GW2から、ゲート電極GE2、連結部GEbおよびゲート電極GE1へ、ゲート電位が供給される。
【0127】
このように、実施の形態4によれば、連通部TRbを設けたことで、半導体装置100の構造の簡略化および製造工程の簡略化を図ることができる。
【0128】
また、連通部TRb(連結部GEb)の両側面の半導体基板SUBにもソース領域NSが形成されているので、連通部TRb(連結部GEb)もシングルゲート構造のMOSFETとして利用できる。従って、オン抵抗の更なる低減を図ることができる。
【0129】
また、実施の形態4でも、実施の形態2または変形例2のように、ハニカム構造のうち隣り合う正六角形が共有する辺が間引かれていてもよい。
【0130】
(実施の形態5)
以下に図30および図31を用いて、実施の形態5における半導体装置100について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。図30は、主に、セル領域CRおよび外周領域ORにおいて、半導体基板SUBに形成されたトレンチTR1、TR2およびゲート電極GE1、GE2の平面パターンを示している。図31は、図30に示されるD-D線に沿った断面図である。
【0131】
実施の形態1では、トレンチTR2は平面視においてハニカム構造を成し、トレンチTR1は、平面視においてトレンチTR2に囲まれていた。
【0132】
図30に示されるように、実施の形態5では、トレンチTR1およびトレンチTR2が、ストライプ状に形成されている。すなわち、図30に示されるように、トレンチTR1およびトレンチTR2は、それぞれY方向に延在し、且つ、このY方向と交差するX方向において互いに隣接している。図30および図31に示されるように、ソース領域NSに達する孔CH1は、Y方向に延在し、X方向においてトレンチTR1とトレンチTR2との間に位置している。
【0133】
外周領域ORにおいて、半導体基板SUBには、半導体基板SUBの上面TSから所定の深さに達し、且つ、トレンチTR1およびトレンチTR2に連通する引き出し用トレンチTRcが形成されている。引き出し用トレンチTRcの内部には、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2と一体化した引き出し部GEcが形成されている。すなわち、引き出し部GEcは、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2と同様に、導電性膜CF1から形成されている。
【0134】
ゲート電極GE1およびゲート電極GE2が一体化しているので、孔CH1を介してゲート電極GE1を内部配線GW1に接続させる必要が無い。従って、図31に示されるように、内部配線GW1、内部配線SE1、層間絶縁膜IL2、孔CH4およびビアV1の形成が省略されており、層間絶縁膜IL1上にソース電極SE2およびゲート配線GW2が形成されている。層間絶縁膜IL1中には、孔CH1が形成され、孔CH1の内部にはプラグPGが形成されている。ソース領域NS、ボディ領域PBおよび高濃度拡散領域PRは、孔CH1(プラグPG)を介してソース電極SE2に電気的に接続されている。
【0135】
外周領域ORの層間絶縁膜IL1中には、引き出し部GEcに達する孔CH5が形成されている。孔CH5の内部には、プラグPGが形成されている。引き出し部GEcは、孔CH5(プラグPG)を介してゲート配線GW2に電気的に接続される。従って、ゲート配線GW2から、引き出し部GEc、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2へ、ゲート電位が供給される。
【0136】
実施の形態5のフィールドプレート電極FPは、実施の形態1と同様に、電気的にフローティング状態であってもよいが、ソース電極SE2に電気的に接続されていてもよい。その場合、ソース電極SE2からフィールドプレート電極FPへソース電位が供給される。
【0137】
ここでは図示はしていないが、ソース電極SE2とフィールドプレート電極FPとを電気的に接続させる場合、ソース電極SE2の下方において、フィールドプレート電極FPの一部は、引き出し部として、トレンチTR1の下部だけでなくトレンチTR1の上部にも形成されている。すなわち、トレンチTR1の内部において、フィールドプレート電極FPおよびゲート電極GE1の両方が形成されている箇所以外に、フィールドプレート電極FPのみが形成されている箇所が存在する。
【0138】
層間絶縁膜IL1中には、フィールドプレート電極FPの引き出し部に達する孔が形成されている。上記孔の内部には、プラグPGが形成されている。フィールドプレート電極FPの引き出し部は、上記孔(プラグPG)を介してソース電極SE2に電気的に接続される。
【0139】
実施の形態5によれば、実施の形態1と比較して、内部配線GW1および内部配線SE1などを形成する必要が無いので、半導体装置100の構造の簡略化および製造工程の簡略化を図ることができる。
【0140】
また、トレンチTR1が、ストライプ状であることで、フィールドプレート電極FPから広がる空乏層が、セル領域CR内において均等に広がり易い。オン抵抗の低減化および耐圧の確保の両立というチャージバランスを安定化させることができる。しかしながら、実施の形態5では、実施の形態1と比較して、ゲート電極GE2の密度が低くなり、オン抵抗が増加する。そのため、オン抵抗の低減という点では、実施の形態1のハニカム構造の方が、実施の形態5のストライプ状よりも優れている。
【0141】
(変形例3)
以下に図32および図33を用いて、実施の形態5の変形例3における半導体装置100について説明する。図33は、図32に示されるE-E線に沿った断面図である。
【0142】
図32および図33に示されるように、変形例3では、トレンチTR2の一部に、X方向に延在する交差部TR2xが設けられている。ゲート電極GE2は、交差部TR2xの内部にも形成されている。トレンチTR2には、複数の交差部TR2xを設けることもできる。また、孔CH1は、平面視において交差部TR2xに重ならないように、Y方向において複数個に分断されて配置されている。
【0143】
変形例3では、交差部TR2xを設けた分、実施の形態5と比較して、ゲート電極GE2の密度が高くなり、オン抵抗を減少できる。
【0144】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0145】
100 半導体装置
10 トレンチの中心部
20 多角形の重心
1A、2A 領域
BS 半導体基板の下面
CF1、CF2 導電性膜
CH1、CH1s、CH2、CH3、CH4、CH5 孔
CR セル領域
DE ドレイン電極
FP フィールドプレート電極
GE1、GE2 ゲート電極
GEa ゲート電極の引き出し部
GEb ゲート電極の連結部
GEc ゲート電極の引き出し部
GI ゲート絶縁膜
GP ゲートパッド
GW1 ゲート用の内部配線
GW2 ゲート配線
HM ハードマスク
IF1、IF2、IF3 絶縁膜
IL1、IL2 層間絶縁膜
ND ドレイン領域
NS ソース領域
NV ドリフト領域
OR 外周領域
PB ボディ領域
PG プラグ
PR 高濃度拡散領域
RP1 レジストパターン
SE1 ソース用の内部配線
SE2 ソース電極
SP ソースパッド
SUB 半導体基板
TR1、TR2 トレンチ
TR2x 交差部
TRa 引き出し用トレンチ
TRb トレンチの連通部
TRc 引き出し用トレンチ
TS 半導体基板の上面
V1 ビア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33