特開 2024-165064 多色ジャカード両面編み物

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024165064

(43)【公開日】2024-11-28

(54)【発明の名称】多色ジャカード両面編み物

(51)【国際特許分類】

   D04B 1/12 20060101AFI20241121BHJP

   D04B 1/00 20060101ALI20241121BHJP

【ＦＩ】

D04B1/12

D04B1/00 B

【審査請求】有

【請求項の数】8

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023080898

(22)【出願日】2023-05-16

(11)【特許番号】

(45)【特許公報発行日】2024-01-05

(71)【出願人】

【識別番号】393010101

【氏名又は名称】佰龍機械廠股▲ふん▼有限公司

(74)【代理人】

【識別番号】110002262

【氏名又は名称】ＴＲＹ国際弁理士法人

(72)【発明者】

【氏名】李 志強

【テーマコード（参考）】

4L002

【Ｆターム（参考）】

4L002AC06

4L002BA00

4L002BB01

4L002BB02

4L002EA00

(57)【要約】      （修正有）

【課題】従来の両面編物の布地の重さと布地の厚さに関する問題を解決する。
【解決手段】技術上の正面２１と、裏面２２とを備える多色ジャカード両面編物２０であって、該両面編物２０は、少なくとも４つの糸で編んで形成され、少なくとも４つの糸は複数の色群３０、３１に分けられ、複数の色群３０、３１のそれぞれは少なくとも４つの糸のうちの２つを含み、該両面編物２０は、正面２１に位置し複数の色群３０、３１のうちの一方によって形成された複数のジャカードセグメント２７、２８を備え、それぞれの色は、１）複数の色群のうちの一方に含まれる４つの糸のうちの２つによって形成された標準の正面プレーティング２７１、２８１と、２）複数の色群３０、３１のうちの一方に含まれる４つの糸のうちの２つによって形成された逆の正面プレーティング２７２、２８２との少なくとも１つとして現れる。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

技術上の正面と、技術上の裏面とを備える多色ジャカード両面編み物であって、
前記多色ジャカード両面編み物は、少なくとも４つの糸で編んで形成されるものであり、前記少なくとも４つの糸は複数の色群に分けられ、前記複数の色群のそれぞれは前記少なくとも４つの糸のうちの２つを含み、前記多色ジャカード両面編み物は、前記技術上の正面に位置し前記複数の色群のうちの一方によって形成された複数のジャカードセグメントを備え、前記複数のジャカードセグメントのそれぞれの色は、１）前記複数の色群のうちの一方に含まれる前記４つの糸のうちの２つによって形成された少なくとも１つの標準の正面プレーティングと、２）前記複数の色群のうちの一方に含まれる前記４つの糸のうちの２つによって形成された少なくとも１つの逆の正面プレーティングとの少なくとも１つとして現れ、前記多色ジャカード両面編み物の前記技術上の裏面は前記少なくとも４つの糸で編んで形成されることを特徴とする多色ジャカード両面編み物。

【請求項2】

前記複数の色群の少なくとも１つに含まれる前記少なくとも４つの糸のうちの２つの色は異なることを特徴とする請求項１に記載の多色ジャカード両面編み物。

【請求項3】

前記多色ジャカード両面編み物は前記技術上の裏面において複数の裏面プレーティングを含み、前記複数の裏面プレーティングは前記複数の色群が交替して編んで形成されることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の多色ジャカード両面編み物。

【請求項4】

前記複数の裏面プレーティングは、前記複数の色群のうちの一方によって形成される少なくとも１つの標準の裏面プレーティングと、少なくとも１つの逆の裏面プレーティングとを含むことを特徴とする請求項３に記載の多色ジャカード両面編み物。

【請求項5】

前記多色ジャカード両面編み物は、前記複数のジャカードセグメントのそれぞれの色において使用される前記複数の色群のうちの一方に含まれる前記少なくとも４つの糸のうちの２つによって形成される複数の接続組織を備えることを特徴とする請求項３に記載の多色ジャカード両面編み物。

【請求項6】

前記複数の裏面プレーティングは、前記複数の色群のうちの一方によって形成される少なくとも１つの標準の裏面プレーティングと、少なくとも１つの逆の裏面プレーティングとを含むことを特徴とする請求項５に記載の多色ジャカード両面編み物。

【請求項7】

前記多色ジャカード両面編み物は、前記複数のジャカードセグメントのそれぞれの色において使用される前記複数の色群のうちの一方に含まれる前記少なくとも４つの糸のうちの２つによって形成される複数の接続組織を備えることを特徴とする請求項１に記載の多色ジャカード両面編み物。

【請求項8】

前記複数の裏面プレーティングは、前記複数の色群のうちの一方によって形成される少なくとも１つの標準の裏面プレーティングと、少なくとも１つの逆の裏面プレーティングとを含むことを特徴とする請求項１に記載の多色ジャカード両面編み物。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、多色ジャカード両面編み物に関する。

【背景技術】

【0002】

従来の両面編み物は、多色で実施する場合、例えば、特許文献１のように、編んでから染めるのが一般的である。先染めジャカードで実施する場合、当該両面編み物の布地の重さと布地の厚さは明らかに商用利用可能な布地の要件に合致しない。具体的に言えば、従来の丸編機において先染めジャカードを行う場合、給糸口から色糸を給糸する方式で実施し、４色ジャカードを実現する場合には、１つの編み工程では４つの当該給糸口を通過するため、当該両面編み物において布地の重さと布地の厚さに関する問題が生じる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】中国特許公開第ＣＮ１０９９６５４１３Ａ号

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

本発明の主な目的は、丸編機で直接編んで多色を形成した従来の両面編み物の布地の重さと布地の厚さに関する問題を解決することである。

【課題を解決するための手段】

【0005】

本発明は、上記の目的を達成するために、技術上の正面と、技術上の裏面とを備える多色ジャカード両面編み物を提供する。当該多色ジャカード両面編み物は、少なくとも４つの糸で編んで形成されるものであり、当該少なくとも４つの糸は複数の色群に分けられ、当該複数の色群のそれぞれは当該少なくとも４つの糸のうちの２つを含み、当該多色ジャカード両面編み物は、当該技術上の正面に位置し当該複数の色群のうちの一方によって形成された複数のジャカードセグメントを備え、当該複数のジャカードセグメントのそれぞれの色は、１）当該複数の色群のうちの一方に含まれる当該４つの糸のうちの２つによって形成された少なくとも１つの標準の正面プレーティングと、２）当該複数の色群のうちの一方に含まれる当該４つの糸のうちの２つによって形成された少なくとも１つの逆の正面プレーティングとの少なくとも１つとして現れ、当該多色ジャカード両面編み物の当該技術上の裏面は当該少なくとも４つの糸で編んで形成される。

【0006】

一実施例において、当該複数の色群の少なくとも１つに含まれる当該少なくとも４つの糸のうちの２つの色は異なる。

【0007】

一実施例において、当該多色ジャカード両面編み物は当該技術上の裏面において複数の裏面プレーティングを含み、当該複数の裏面プレーティングは当該複数の色群が交替して編んで形成される。

【0008】

一実施例において、当該複数の裏面プレーティングは、当該複数の色群のうちの一方によって形成される少なくとも１つの標準の裏面プレーティングと、少なくとも１つの逆の裏面プレーティングとを含む。

【0009】

一実施例において、当該多色ジャカード両面編み物は、当該複数のジャカードセグメントのそれぞれの色において使用される当該複数の色群のうちの一方に含まれる当該少なくとも４つの糸のうちの２つによって形成される複数の接続組織を備える。

【発明の効果】

【0010】

上記のとおりに実施される本発明は、従来のものに対して次の特徴を備える。本発明の多色ジャカード両面編み物は、編み上がれば多色ジャカードを備え、多色ジャカード両面編み物の構造により、従来の編み物の構造の布地の重さ、布地の厚さに関する問題を具体的に改善する。本発明の多色ジャカード両面編み物の布地の重さ、布地の厚さは、商業的用途により近づいている。

【図面の簡単な説明】

【0011】

【図1】図１は、本発明の多色ジャカード両面編み物の第１実施例の構造模式図である。

【図2】図２は、本発明の多色ジャカード両面編み物の第２実施例の構造模式図である。

【図3】図３は、本発明の多色ジャカード両面編み物の技術上の正面のジャカード模式図である。

【発明を実施するための形態】

【0012】

次に、本発明の技術内容を、図面を参照して詳細に説明する。
図１及び図２が参照されるとおり、本発明は、多色ジャカード両面編み物２０を提供し、多色ジャカード両面編み物２０は丸編機によって編まれ、多色ジャカード両面編み物２０は技術上の正面２１と技術上の裏面２２とを備える。多色ジャカード両面編み物２０は少なくとも４つの糸２３、２４、２５、２６で編んで形成され、少なくとも４つの糸２３、２４、２５、２６は複数の色群３０、３１に分けられ、複数の色群３０、３１のそれぞれは少なくとも４つの糸２３、２４、２５、２６のうちの２つを含み、複数の色群３０、３１のそれぞれに含まれる少なくとも４つの糸２３、２４、２５、２６のうちの２つは当該丸編機の同じ給糸口によって供給される。例えば、少なくとも４つの糸のうちの２つ（２３、２４）は同じ給糸口によって供給され、少なくとも４つの糸のうちの他方の２つ（２５、２６）は他方の給糸口によって供給される。

【0013】

また図１及び図２が参照されるとおり、多色ジャカード両面編み物２０は、技術上の正面２１に位置し複数の色群３０、３１のうちの一方によって形成された複数のジャカードセグメント２７、２８を備える。複数のジャカードセグメント２７、２８のそれぞれの色は、１）複数の色群３０、３１のうちの一方に含まれる少なくとも４つの糸２３、２４、２５、２６のうちの２つによって形成された少なくとも１つの標準の正面プレーティング２７１、２８１と、２）複数の色群３０、３１のうちの一方に含まれる少なくとも４つの糸２３、２４、２５、２６のうちの２つによって形成された少なくとも１つの逆の正面プレーティング２７２、２８２との少なくとも１つとして現れる。なお、ここで色というのは、技術上の正面２１の表面から直接観察して見たものを指す。さらに、当該丸編機は編みプログラムの設定によって複数のジャカードセグメント２７、２８のそれぞれのプレーティングの形式を決定する。少なくとも１つの標準の正面プレーティング２７１、２８１とは、複数の色群３０、３１のうちの一方に含まれる少なくとも４つの糸２３、２４、２５、２６のうちの２つが編む間に位置を変えず、給糸時の状態で編まれるものを指す。少なくとも１つの逆の正面プレーティング２７２、２８２とは、複数の色群３０、３１のうちの一方に含まれる少なくとも４つの糸２３、２４、２５、２６のうちの２つが編む間に位置を変えて、色が少なくとも１つの標準の正面プレーティング２７１、２８１と異なる形態が形成されるものを指す。図１の例で説明すると、複数のジャカードセグメントのうちの一方（２７）の前半は少なくとも１つの標準の正面プレーティング（２７１）として実施され、後半は全て少なくとも１つの逆の正面プレーティング（２７２）として実施される。複数の色群の少なくとも一方（３０）に含まれる少なくとも４つの糸のうちの２つ（２３、２４）の色は異なる。複数のジャカードセグメントのうちの一方（２７）にはこれによって色の変化が生じ、先染めジャカードが実現される。図２に示す実施例は、複数のジャカードセグメントのうちの一方（２７）が複数の標準の正面プレーティング（２７１）として実施され、複数のジャカードセグメントのうちの一方（２８）において少なくとも１つの標準の正面プレーティング（２８１）及び少なくとも１つの逆の正面プレーティング（２８２）によってジャカードを実現するものである。また、複数のジャカードセグメント２７、２８のそれぞれの少なくとも１つの標準の正面プレーティング２７１、２８１と少なくとも１つの逆の正面プレーティング２７２、２８２の位置と数はいずれも一定ではなく、編み物の設計によって決定されてもよい。

【0014】

さらに、本発明の多色ジャカード両面編み物２０の技術上の裏面２２は、少なくとも４つの糸２３、２４、２５、２６で編んで形成される。つまり、技術上の裏面２２はセグメントに分けられず、技術上の裏面２２は技術上の正面２１の複数のジャカードセグメント２７、２８のそれぞれに対応する部分ではいずれも４つの糸２３、２４、２５、２６によって形成されるプレーティングが見られる。

【0015】

さらに、本発明の多色ジャカード両面編み物２０を編むための少なくとも４つの糸２３、２４、２５、２６はいずれも色が異なり、複数の色群３０、３１のそれぞれに含まれる少なくとも４つの糸２３、２４、２５、２６のうちの２つは当該丸編機の同じ給糸口によって給糸され、このような給糸方式は当技術分野の技術用語で言うと２つの給糸口－４色である。本発明の多色ジャカード両面編み物２０の構造は４つの給糸口と４色で編んで形成される従来のものに対して、布地の重さと布地の厚さが服装の設計要件により近づいている。さらに、本発明の少なくとも４つの糸２３、２４、２５、２６の色は上記の４色での実施の他に、３色で実施されてもよい。３色で実施する場合、少なくとも４つの糸２３、２４、２５、２６のうちの両者の色は同じであり、上記の少なくとも４つの糸２３、２４、２５、２６のうちの両者は複数の色群３０、３１のうちの一方に属してもよいし、又は複数の色群３０、３１に分けられてもよい。

【0016】

また図１及び図２が参照されるとおり、一実施例において、多色ジャカード両面編み物２０は技術上の裏面２２において複数の裏面プレーティング２２１を含み、複数の裏面プレーティング２２１は複数の色群３０、３１が交替して編んで形成される。つまり、複数の裏面プレーティング２２１を編むのは、複数の色群のうちの一方（３０）に含まれる少なくとも４つの糸のうちの２つ（２３、２４）で編んだ後、続いて複数の色群のうちの他方（３１）に含まれる少なくとも４つの糸のうちの他方の２つ（２５、２６）で編むことである。複数の色群３０、３１は編むたびに交替してもよい。一実施例において、複数の裏面プレーティング２２１は複数の色群３０、３１のうちの一方によって形成される少なくとも１つの標準の裏面プレーティング２２２と、少なくとも１つの逆の裏面プレーティング２２３とを含む。少なくとも１つの標準の裏面プレーティング２２２と少なくとも１つの逆の裏面プレーティング２２３の位置は、技術上の正面２１のプレーティングによって変わる。

【0017】

また図１及び図２が参照されるとおり、一実施例において、多色ジャカード両面編み物２０は、複数のジャカードセグメント２７、２８のそれぞれの色において使用される複数の色群３０、３１のうちの一方に含まれる少なくとも４つの糸２３、２４、２５、２６のうちの２つによって形成される複数の接続組織２９を備える。接続組織２９により技術上の正面２１と技術上の裏面２２の編み組織が接続される。

【符号の説明】

【0018】

２０ 多色ジャカード両面編み物
２１ 技術上の正面
２２ 技術上の裏面
２２１ 裏面プレーティング
２２２ 標準の裏面プレーティング
２２３ 逆の裏面プレーティング
２３、２４、２５、２６ 糸
２７、２８ ジャカードセグメント
２７１、２８１ 標準の正面プレーティング
２７２、２８２ 逆の正面プレーティング
２９ 接続組織
３０、３１ 色群

【図1】

【図2】

【図3】

【手続補正書】

【提出日】2023-10-03

【手続補正1】

【補正対象書類名】特許請求の範囲

【補正対象項目名】全文

【補正方法】変更

【補正の内容】

【特許請求の範囲】

【請求項1】

技術上の正面と、技術上の裏面とを備える多色ジャカード両面編み物であって、
前記多色ジャカード両面編み物は、少なくとも４つの糸で編んで形成されるものであり、前記少なくとも４つの糸は複数の色群に分けられ、前記複数の色群のそれぞれは前記少なくとも４つの糸のうちの２つを含み、前記多色ジャカード両面編み物は、前記技術上の正面に位置し前記複数の色群のうちの一方によって形成された複数のジャカードセグメントを備え、前記複数のジャカードセグメントのそれぞれの色は、１）前記複数の色群のうちの一方に含まれる前記４つの糸のうちの２つによって形成された少なくとも１つの標準の正面プレーティングと、２）前記複数の色群のうちの一方に含まれる前記４つの糸のうちの２つによって形成された少なくとも１つの逆の正面プレーティングとの少なくとも１つとして現れ、前記多色ジャカード両面編み物の前記技術上の裏面は前記少なくとも４つの糸で編んで形成されることを特徴とする多色ジャカード両面編み物。

【請求項2】

前記複数の色群の少なくとも１つに含まれる前記少なくとも４つの糸のうちの２つの色は異なることを特徴とする請求項１に記載の多色ジャカード両面編み物。

【請求項3】

前記多色ジャカード両面編み物は前記技術上の裏面において複数の裏面プレーティングを含み、前記複数の裏面プレーティングは前記複数の色群が交替して編んで形成されることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の多色ジャカード両面編み物。

【請求項4】

前記複数の裏面プレーティングは、前記複数の色群のうちの一方によって形成される少なくとも１つの標準の裏面プレーティングと、少なくとも１つの逆の裏面プレーティングとを含むことを特徴とする請求項３に記載の多色ジャカード両面編み物。

【請求項5】

前記多色ジャカード両面編み物は、前記複数のジャカードセグメントのそれぞれの色において使用される前記複数の色群のうちの一方に含まれる前記少なくとも４つの糸のうちの２つによって形成される複数の接続組織を備えることを特徴とする請求項３に記載の多色ジャカード両面編み物。

【請求項6】

前記複数の裏面プレーティングは、前記複数の色群のうちの一方によって形成される少なくとも１つの標準の裏面プレーティングと、少なくとも１つの逆の裏面プレーティングとを含むことを特徴とする請求項５に記載の多色ジャカード両面編み物。

【請求項7】

前記多色ジャカード両面編み物は、前記複数のジャカードセグメントのそれぞれの色において使用される前記複数の色群のうちの一方に含まれる前記少なくとも４つの糸のうちの２つによって形成される複数の接続組織を備えることを特徴とする請求項１に記載の多色ジャカード両面編み物。

【請求項8】

前記多色ジャカード両面編み物の前記技術上の裏面には複数の裏面プレーティングが含まれており、前記複数の裏面プレーティングは、前記複数の色群のうちの一方によって形成される少なくとも１つの標準の裏面プレーティングと、少なくとも１つの逆の裏面プレーティングとを含むことを特徴とする請求項１に記載の多色ジャカード両面編み物。