(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165065
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】検査方法、検査装置および検査プログラム
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20241121BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20241121BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20241121BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20241121BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G01R1/067 G
G01R1/073 E
G01R31/28 K
G01R31/26 J
H01L21/66 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080900
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】平野 充遥
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
2G132
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AG03
2G003AG04
2G003AG12
2G003AG16
2G003AG20
2G011AA02
2G011AA15
2G011AC06
2G011AC14
2G011AE11
2G011AF07
2G132AF06
2G132AL03
4M106AA02
4M106BA01
4M106DD05
4M106DD13
(57)【要約】
【課題】プローブ針の位置を認識することが可能な検査方法、検査装置および検査プログラムを提供する。
【解決手段】プローブ針に設けられた第1マークの画像を撮像する工程と、検査対象物に設けられた第2マークの画像を撮像する工程と、前記第1マークの画像および前記第2マークの画像に基づいて、前記プローブ針と前記検査対象物との位置合わせを行う工程と、前記プローブ針を前記検査対象物の電極に接触させ、前記検査対象物の検査を行う工程と、を有する検査方法。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブ針に設けられた第1マークの画像を撮像する工程と、
検査対象物に設けられた第2マークの画像を撮像する工程と、
前記第1マークの画像および前記第2マークの画像に基づいて、前記プローブ針と前記検査対象物との位置合わせを行う工程と、
前記プローブ針を前記検査対象物の電極に接触させ、前記検査対象物の検査を行う工程と、を有する検査方法。
【請求項2】
複数の前記プローブ針はプローブカードに設けられ、
前記複数のプローブ針のうち少なくとも1つに前記第1マークが設けられ、
前記第1マークの画像を撮像する工程において、1つの前記第1マークの画像を撮像し、
前記位置合わせを行う工程において、前記複数のプローブ針と前記検査対象物との位置合わせを行い、
前記検査を行う工程において、前記複数のプローブ針を複数の前記電極に接触させる請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
複数の前記検査対象物のうち1つに対して前記位置合わせを行う工程および前記検査を行う工程を実施した後、
前記複数の検査対象物のうち別の1つに対して前記位置合わせを行う工程および前記検査を行う工程を実施する請求項1または請求項2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記プローブ針は前記電極に平行な面を有し、
前記第1マークは前記面に設けられ、
前記第1マークの画像を撮像する工程において、撮像部を前記面に対して平行に配置し、前記撮像部により前記第1マークの画像を撮像する請求項1または請求項2に記載の検査方法。
【請求項5】
プローブ針と、
前記プローブ針に設けられたマークと、
前記マークの画像を撮像する撮像部と、
前記マークの画像に基づいて、前記プローブ針と検査対象物との位置合わせを行う位置制御部と、を具備する検査装置。
【請求項6】
前記プローブ針は、検査対象物に対して平行な面を有し、
前記マークは前記面に設けられている請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記プローブ針はカンチレバー型または垂直型である請求項5または請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
コンピュータを、
プローブ針に設けられた第1マークの画像を撮像する第1撮像制御部と、
検査対象物に設けられた第2マークの画像を撮像する第2撮像制御部と、
前記第1マークの画像および前記第2マークの画像に基づいて、前記プローブ針と前記検査対象物との位置合わせを行う位置制御部と、
前記プローブ針を前記検査対象物の電極に接触させ、前記検査対象物の検査を行う検査部と、として機能させるための検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は検査方法、検査装置および検査プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の検査装置は複数のプローブ針を有する。プローブ針を半導体装置の電極に接触させ、電気的特性の検査を行う。プローブ針をカメラで撮影し、画像を用いてプローブ針と電極との位置合わせを行う(特許文献1および2など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-270304号
【特許文献2】特開2004-138393号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像の撮影時、プローブ針に光を照射し、反射光の強度が高い部分をプローブ針の先端として認識する。しかし、プローブ針の形状により反射光の強度が変わる。このため、先端からの反射光が弱くなることがある。プローブ針は先端以外も金属製であるため、先端以外の部分からの反射光も強い。反射光を用いて、先端と、先端以外の部分とを区別することが難しい。プローブ針の位置の認識が困難となる。そこで、プローブ針の位置を認識することが可能な検査方法、検査装置および検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る検査方法は、プローブ針に設けられた第1マークの画像を撮像する工程と、検査対象物に設けられた第2マークの画像を撮像する工程と、前記第1マークの画像および前記第2マークの画像に基づいて、前記プローブ針と前記検査対象物との位置合わせを行う工程と、前記プローブ針を前記検査対象物の電極に接触させ、前記検査対象物の検査を行う工程と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、プローブ針の位置を認識することが可能な検査方法、検査装置および検査プログラムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
【
図4A】
図4Aは制御部の構成を例示する機能ブロック図である。
【
図4B】
図4Bは制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図8A】
図8Aは変形例に係るプローブカードを例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0009】
本開示の一形態は、(1)プローブ針に設けられた第1マークの画像を撮像する工程と、検査対象物に設けられた第2マークの画像を撮像する工程と、前記第1マークの画像および前記第2マークの画像に基づいて、前記プローブ針と前記検査対象物との位置合わせを行う工程と、前記プローブ針を前記検査対象物の電極に接触させ、前記検査対象物の検査を行う工程と、を有する検査方法である。第1マークの画像を撮像することで、プローブ針の位置を認識することが可能である。プローブ針の位置を認識できるため、位置合わせおよび検査を行うことができる。
(2)上記(1)において、複数の前記プローブ針はプローブカードに設けられ、前記複数のプローブ針のうち少なくとも1つに前記第1マークが設けられ、前記第1マークの画像を撮像する工程において、1つの前記第1マークの画像を撮像し、前記位置合わせを行う工程において、前記複数のプローブ針と前記検査対象物との位置合わせを行い、前記検査を行う工程において、前記複数のプローブ針を複数の前記電極に接触させてもよい。1つの第1マークの画像に基づいて、1つのプローブ針の位置を認識する。1つのプローブ針の位置から、他のプローブ針の位置も取得することができる。工程が簡単で、短時間で実行することができる。
(3)上記(1)または(2)において、複数の前記検査対象物のうち1つに対して前記位置合わせを行う工程および前記検査を行う工程を実施した後、前記複数の検査対象物のうち別の1つに対して前記位置合わせを行う工程および前記検査を行う工程を実施してもよい。半導体チップごとに、位置合わせを検査の直前に行うため、位置合わせの精度が向上する。
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記プローブ針は前記電極に平行な面を有し、前記第1マークは前記面に設けられ、前記第1マークの画像を撮像する工程において、撮像部を前記面に対して平行に配置し、前記撮像部により前記第1マークの画像を撮像してもよい。第1マークにピントを合わせ、第1マークの画像を撮像することで、プローブ針の位置を認識することができる。
(5)プローブ針と、前記プローブ針に設けられたマークと、前記マークの画像を撮像する撮像部と、前記マークの画像に基づいて、前記プローブ針と検査対象物との位置合わせを行う位置制御部と、を具備する検査装置である。マークの画像を撮像することで、プローブ針の位置を認識することが可能である。プローブ針の位置を認識するため、位置合わせおよび検査を行うことができる。
(6)上記(5)において、前記プローブ針は、検査対象物に対して平行な面を有し、前記マークは前記面に設けられてもよい。マークにピントを合わせ、マークの画像を撮像することで、プローブ針の位置を認識することができる。
(7)上記(5)または(6)において、前記プローブ針はカンチレバー型または垂直型でもよい。
(8)コンピュータを、プローブ針に設けられた第1マークの画像を撮像する第1撮像制御部と、検査対象物に設けられた第2マークの画像を撮像する第2撮像制御部と、前記第1マークの画像および前記第2マークの画像に基づいて、前記プローブ針と前記検査対象物との位置合わせを行う位置制御部と、前記プローブ針を前記検査対象物の電極に接触させ、前記検査対象物の検査を行う検査部と、として機能させるための検査プログラムである。第1マークの画像を撮像することで、プローブ針の位置を認識することが可能である。プローブ針の位置を認識するため、位置合わせおよび検査を行うことができる。
【0010】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る検査方法、検査装置および検査プログラムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0011】
図1は実施形態に係る検査装置100を例示する模式図である。検査装置100は検査対象物の電気的特性を検査する。検査対象物は、例えば半導体チップなどの電子部品である。
【0012】
検査装置100は、制御部10、電源12、測定装置14、ケース20、試料台22、トレイ24、およびプローブカード30を有する。電源12は交流電圧および直流電圧を出力することができる。測定装置14は、検査対象物の電気的特性を測定する。
【0013】
ケース20の中に、試料台22、トレイ24、カメラ26(撮像部)およびプローブカード30が収納されている。試料台22の1つの面の上に、複数のトレイ24が搭載されている。トレイ24の1つの面の上に複数の半導体チップ70が搭載されている。半導体チップ70は検査対象物である。
【0014】
試料台22は可動ステージであり、トレイ24を移動させることが可能であり、トレイ24の平面内での位置、およびトレイ24の高さを変えることができる。Z軸は試料台22およびトレイ24の面の法線方向である。+Z方向は
図1における上方向である。-Z方向は+Z方向とは反対の方向であり、下方向である。
【0015】
プローブカード30はトレイ24から離間し、トレイ24の上に配置されている。カメラ26は、トレイ24およびプローブカード30から離間し、プローブカード30の上に配置されている。トレイ24に近い方から順に、半導体チップ70、プローブカード30、およびカメラ26が並ぶ。プローブカード30およびカメラ26は移動可能であり、平面内での位置、および高さを変えることができる。
【0016】
図2Aはプローブカード30を例示する模式図である。プローブカード30は支持体32およびプローブ針34を有する。支持体32は板状の部材である。複数のプローブ針34は支持体32に取り付けられている。支持体32の中央に空洞33が設けられている。空洞33はZ軸方向に支持体32を貫通している。
【0017】
プローブ針34は、
図1に示した電源12および測定装置14に電気的に接続されている。電源12が出力する電圧は、プローブ針34を通じて検査対象物に入力される。検査対象物が出力する電気信号は、プローブ針34を通じて測定装置14に入力される。
【0018】
図2Bはプローブ針34の拡大図である。プローブ針34はカンチレバー型の探針である。プローブ針34は、第1部分35、第2部分36、突出部40およびアライメントマーク44(第1マーク)を有する。
【0019】
第1部分35はプローブ針34のうち根本の部分である。第2部分36は、第1部分35よりも先端側の部分である。第1部分35が延伸する方向に対して、第2部分36が延伸する方向は屈曲している。第2部分36は先端36aを含む。プローブ針34の先端36aは、半導体チップ70の電極に接触する部分である。
【0020】
第1部分35の長さL1は例えば1000μm以上である。第2部分36の長さL2は例えば100μm以上、1000μm以下である。第1部分35の直径d1および第2部分36の直径d2は、プローブ針34の延伸方向に沿って変化する。直径d1およびd2はそれぞれ、例えば10μm以上、1000μm以下である。
【0021】
プローブ針34および突出部40は金属で形成されている。材料は、例えばタングステン(W)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ベリリウム(Be)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、またはこれらの合金である。
【0022】
突出部40は、プローブ針34の第1部分35に設けられ、第1部分35から+Z軸方向に突出している。突出部40は面42を有する。面42は、+Z軸方向を向いた平面であり、Z軸に対して直交する。
【0023】
図2Cはプローブ針34の面42を例示する平面図である。面42はXY平面に平行である。X軸はY軸に直交する。X軸およびY軸はZ軸に直交する。アライメントマーク44は面42に設けられており、例えば十字型である。アライメントマーク44のX軸方向の長さL3およびY軸方向の長さL4は、それぞれ例えば1μm以上、1000μm以下である。アライメントマーク44は、面42およびプローブ針34より小さい。アライメントマーク44は、十字型以外の形状でもよい。
【0024】
アライメントマーク44は、例えばプローブ針34の表面に金属用インクで印刷することで形成されてもよい。アライメントマーク44は、例えばプローブ針34の表面をレーザ光などで削ることで形成されてもよい。アライメントマーク44は、プローブ針34の表面を改質することで形成されてもよい。表面の改質は、例えば酸化、メッキ、凹凸の変化である。レーザ光、薬品およびプラズマなどを使った処理で、表面の改質が行われる。
【0025】
図3Aはトレイ24を例示する平面図である。
図3Aに示すように、トレイ24に複数の半導体チップ70が搭載されている。具体的には、トレイ24の表面に複数の凹部が設けられている。1つの凹部に1つの半導体チップ70が配置される。
【0026】
図3Bは半導体チップ70を例示する平面図である。半導体チップ70の表面はXY平面に平行である。半導体チップ70は、複数の電極72、およびアライメントマーク74(第2マーク)を有する。複数の電極72は、半導体チップ70の表面に設けられ、例えば半導体チップ70の辺に沿って並ぶ。電極72は金(Au)およびアルミニウム(Al)などの金属で形成されている。アライメントマーク74は、半導体チップ70の表面に設けられ、例えば十字型であり、例えば金属で形成されている。
【0027】
図4Aは制御部10の構成を例示する機能ブロック図である。制御部10は、第1撮像制御部50、第2撮像制御部52、位置制御部54、および検査部56として機能する。
【0028】
第1撮像制御部50および第2撮像制御部52は、カメラ26を制御し、画像の撮像を行う。第1撮像制御部50は、カメラ26によりプローブ針34のアライメントマーク44の画像を撮像し、当該画像を取得する。第2撮像制御部52は、カメラ26により半導体チップ70のアライメントマーク74の画像を撮像し、当該画像を取得する。
【0029】
位置制御部54は、カメラ26、プローブカード30、および半導体チップ70それぞれの位置を制御する。位置とは、XY平面内の位置、およびZ軸方向の位置(高さ)を含む。位置制御部54は、試料台22を制御し、トレイ24を移動させることで、半導体チップ70の位置を変化させる。位置制御部54は、半導体チップ70をカメラ26の下およびプローブカード30の下に配置することができる。位置制御部54は、カメラ26、プローブカード30、および半導体チップ70それぞれの高さを制御する。位置制御部54は、半導体チップ70にカメラ26のピントが合うように、高さを調整する。位置制御部54は、半導体チップ70の高さを制御し、電極72をプローブカード30のプローブ針34に接触させ、また電極72をプローブ針34から離間させる。
【0030】
検査部56は、電源12および測定装置14を制御する。検査部56は、電源12に電圧を出力させ、電圧を停止させることができる。検査部56は、測定装置14による測定の結果を取得し、半導体チップ70の良否判定を行う。
【0031】
図4Bは制御部10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4Bに示すように、制御部10は、CPU(Central Processing Unit、中央演算処理装置)60、RAM(Random Access Memory)62、ROM(Read Only Memory)63、記憶装置64、インターフェース66を備える。CPU60、RMA62、ROM63,記憶装置64およびインターフェース66は互いにバスなどで接続されている。RAM62はプログラムおよびデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリである。記憶装置64はフラッシュメモリなどのソリッド・ステート・ドライブ(SSD:Solid State Drive)、ハードディスクドライブ(HHD:Hard Disc Drive)などである。記憶装置64はプログラムなどを記憶する。
【0032】
CPU60がRAM62に記憶されるプログラムを実行することにより、制御部10に第1撮像制御部50、第2撮像制御部52、位置制御部54、検査部56が実現される。制御部10の各部は、回路などのハードウェアでもよい。
【0033】
図5Aおよび
図5Bは検査の工程を例示すフローチャートである。
図5Aに示すように、検査装置100は1つの半導体チップ70の検査を行う(ステップS10)。制御部10は、検査対象である全ての半導体チップ70の検査が終了したか否か判定する(ステップS12)。ステップS12でNoの場合、別の半導体チップ70の検査が行われる(ステップS10)。全ての半導体チップ70の検査が終了した場合、ステップS12でYesとなり、
図5Aの処理は終了する。
【0034】
図5Bは1つの半導体チップ70に対する検査の工程を例示するフローチャートであり、
図5AのステップS10に対応する。第1撮像制御部50はカメラ26を用いて、プローブ針34のアライメントマーク44の画像を撮像し、画像を取得する(ステップS20)。第2撮像制御部52はカメラ26を用いて、半導体チップ70のアライメントマーク74の画像を撮像し、画像を取得する(ステップS22)。
【0035】
位置制御部54は、アライメントマーク44の画像に基づいてプローブ針34の位置を取得し、アライメントマーク74の画像に基づいて半導体チップ70の電極72の位置を取得する。位置制御部54は、XY平面においてプローブ針34と電極72との位置合わせを行う(ステップS24)。位置制御部54は、Z軸方向の位置合わせも行う(ステップS26)。位置合わせにより、プローブ針34が電極72に接触する。検査部56は半導体チップ70の検査を行う(ステップS28)。以上で
図5Bの処理は終了する。
【0036】
【0037】
図6Aに示すように、例えば、位置合わせの前の時点では、プローブ針34は、半導体チップ70の電極72から外れた場所に位置することがある。
図6Bに示すように、カメラ26はプローブ針34のアライメントマーク44の上に位置し、アライメントマーク44の画像を撮像する(ステップS20)。
図6Cに示すように、カメラ26は半導体チップ70のアライメントマーク74の上に位置し、アライメントマーク74の画像を撮像する(ステップS22)。
【0038】
アライメントマーク44に対する、複数のプローブ針34の相対的な位置は決まっている。位置制御部54は、アライメントマーク44の位置を取得することで、プローブカード30の複数のプローブ針34の位置を取得することができる。半導体チップ70のアライメントマーク74に対する、電極72の相対的な位置は決まっている。位置制御部54は、アライメントマーク74の位置を取得することで、複数の電極72の位置を取得することができる。
【0039】
図7Aおよび
図7Bは位置合わせ後の状態を図示している。
図7Aおよび
図7Bに示すように、プローブ針34の真下に電極72が位置する。プローブ針34は電極72の表面に接触する。全ての電極72にプローブ針34が接触している。プローブ針34はカンチレバー型である。プローブ針34を電極72に接触させ、電極72に押し付け、電気的に導通させる。プローブカード30を用いて半導体チップ70の検査が行われる。
【0040】
本実施形態によれば、プローブ針34にアライメントマーク44が設けられている。半導体チップ70にアライメントマーク74が設けられている。検査装置100のカメラ26は、アライメントマーク44およびアライメントマーク74を撮像する。制御部10は、アライメントマーク44の画像に基づいてプローブ針34の位置を認識し、アライメントマーク74の画像に基づいて半導体チップ70の電極72の位置を認識する。制御部10は、プローブ針34と電極72との位置合わせを行う。アライメントマーク44を撮像することで、プローブ針34の位置を認識することが可能であり、電極72との位置合わせを精度よく行うことができる。プローブ針34を電極72に接触させ、半導体チップ70の検査を実施することができる。
【0041】
プローブカード30は複数のプローブ針34を有する。複数のプローブ針34のうち1つにアライメントマーク44が設けられている。当該1つのプローブ針34を基準として、他のプローブ針34の相対位置は決まっている。1つのアライメントマーク44を撮像し、プローブ針34の位置を認識することで、他のプローブ針34の位置も取得することができる。全てのプローブ針34を撮像しなくてよく、1つのプローブ針34のアライメントマーク44を撮像すればよいため、工程が簡単で、短時間で実行することができる。
【0042】
複数のプローブ針34のうち少なくとも1つにアライメントマーク44が設けられればよい。複数のプローブ針34のうち1つだけがアライメントマーク44を有してもよいし、2つ以上のプローブ針34がアライメントマーク44を有してもよい。
図6Aから
図7Bの例では、2つのプローブ針34がアライメントマーク44を有する。2つのアライメントマーク44のうち1つの画像を取得すればよい。もう1つのアライメントマーク44は予備とする。
【0043】
図3Aに示すように、トレイ24には複数の半導体チップ70が配置される。複数の半導体チップ70のうち1つに対して、位置合わせおよび検査を行う(
図5B)。その後、複数の半導体チップ70のうち別の1つに対して位置合わせおよび検査を行う。半導体チップ70ごとに、位置合わせを検査の直前に行うため、位置合わせの精度が向上する。
【0044】
図2Bおよび
図2Cに示すように、プローブ針34は、電極72に平行な面42を有する。面42にアライメントマーク44が設けられている。カメラ26を面42から離間し、かつ面42に平行な位置に配置する。カメラ26は、アライメントマーク44にピントを合わせ、アライメントマーク44の画像を撮像する。制御部10は、アライメントマーク44の画像に基づいて、プローブ針34の位置を認識することができる。
【0045】
面42が電極72に対して傾斜していると、アライメントマーク44にピントを合わせることが難しい。面42は電極72に厳密に平行でもよいし、例えば1°以下の範囲で傾斜してもよい。アライメントマーク44に対してピント合わせが可能であればよい。
図2Bに示すように、プローブ針34に突出部40が設けられ、突出部40に面42が設けられている。プローブ針34の一部を削ることで、面42を形成してもよい。
【0046】
半導体チップ70の表面にアライメントマーク74が設けられている。カメラ26を当該表面から離間し、かつ表面に平行な位置に配置する。カメラ26は、アライメントマーク74にピントを合わせ、アライメントマーク74の画像を撮像する。制御部10はアライメントマーク74の画像に基づいて、電極72の位置を認識することができる。
【0047】
プローブ針34の+Z方向を向いた面42にアライメントマーク44が設けられている。半導体チップ70の+Z方向を向いた面にアライメントマーク74が設けられている。カメラ26は、プローブカード30および半導体チップ70より+Z方向に配置されている。1つのカメラ26がアライメントマーク44およびアライメントマーク74を撮像することができる。検査装置100は2つ以上のカメラを有してもよい。例えば、試料台22より-Z方向にカメラが設けられてもよいし、半導体チップ70の側面を観察できる位置にカメラが設けられてもよい。
【0048】
上記の例におけるプローブ針34はカンチレバー型である。カンチレバー型以外のプローブ針にも、実施形態は適用することができる。
【0049】
(変形例)
図8Aは変形例に係るプローブカード80を例示する模式図である。プローブカード80は、支持体32およびプローブ針82を有する。プローブ針82の長さは例えば1000μm以上である。直径は例えば10μm以上、1000μm以下である。
【0050】
図8Bはプローブ針82の拡大図である。プローブ針82は垂直型であり、Z軸方向に延伸する。プローブ針82の先端84が電極72に接触する。プローブ針82の先端84とは反対の面86は、電極72に平行である。面86に、アライメントマーク44が設けられている。アライメントマーク44の画像に基づいて、プローブ針82の位置を認識することができる。
【0051】
上記の機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
【0052】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記憶媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0053】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記憶媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記憶媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0054】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 制御部
12 電源
14 測定装置
20 ケース
22 試料台
24 トレイ
26 カメラ
30、80 プローブカード
32 支持体
33 空洞
34、82 プローブ針
35 第1部分
36 第2部分
36a、84 先端
40 突出部
42、86 面
44 アライメントマーク(第1マーク)
50 第1撮像制御部
52 第2撮像制御部
54 位置制御部
56 検査部
60 CPU
62 RAM
63 ROM
64 記憶装置
66 インターフェース
70 半導体チップ
72 電極
74 アライメントマーク(第2マーク)
100 検査装置