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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165068
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B25J19/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080905
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】川田 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅人
(72)【発明者】
【氏名】仲嶋 将史
(72)【発明者】
【氏名】立田 典久
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707CT05
3C707CY17
3C707CY32
3C707MS10
(57)【要約】
【課題】緩衝部材のつぶれ方のばらつきがある場合にも、第1規制部と第2規制部との間の衝突エネルギーを十分に吸収することができるロボットを提供する。
【解決手段】このロボット100は、基台10と、基台10に対して相対的に移動するリンク部21aと、基台10に設けられる第1規制部31と、リンク部21aに設けられる第2規制部32と、を含み、第1規制部31が、第1規制部31および第2規制部32の衝突を緩衝するための緩衝部材33と、基台10に対してリンク部21aが相対的に移動した場合に緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突により変形する変形部材34とを有し、基台10に対するリンク部21aの相対的な移動範囲を規制する規制機構30と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材に対して相対的に移動する第2部材と、
前記第1部材に設けられる第1規制部と、前記第2部材に設けられる第2規制部と、を含み、前記第1規制部および前記第2規制部の少なくとも一方が、前記第1規制部および前記第2規制部の衝突を緩衝するための緩衝部材を有し、前記第1規制部および前記第2規制部の少なくとも一方が、前記第1部材に対して前記第2部材が相対的に移動した場合に前記緩衝部材を介した前記第1規制部および前記第2規制部の衝突により変形する変形部材を有し、前記第1部材に対する前記第2部材の相対的な移動範囲を規制する規制機構と、を備える、ロボット。
【請求項2】
前記変形部材は、基部と、前記基部に接続され、前記緩衝部材を介して前記第1規制部および前記第2規制部が衝突する方向において前記基部よりも幅が小さい変形部とを有する、請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記変形部は、前記緩衝部材を介した前記第1規制部および前記第2規制部の衝突により、前記緩衝部材を介して前記第1規制部および前記第2規制部が衝突する方向に曲がるように変形する、請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記変形部は、前記緩衝部材を介して前記第1規制部および前記第2規制部が衝突する方向において前記緩衝部材よりも幅が小さい、請求項2に記載のロボット。
【請求項5】
前記緩衝部材は、前記緩衝部材を介して前記第1規制部および前記第2規制部が衝突する際に前記変形部材に当接する側面を有し、前記第1規制部および前記第2規制部の衝突を、前記側面を介して前記変形部材に伝達する、請求項1に記載のロボット。
【請求項6】
前記緩衝部材は、前記側面を有し、前記変形部材に嵌合する嵌合部を含み、前記第1規制部および前記第2規制部の衝突を、前記嵌合部の前記側面を介して前記変形部材に伝達する、請求項5に記載のロボット。
【請求項7】
前記緩衝部材は、前記変形部材に対して一方側で前記第1規制部および前記第2規制部の衝突を伝達する第1伝達部と、前記第1伝達部とは反対側に設けられ、前記変形部材に対して他方側で前記第1規制部および前記第2規制部の衝突を伝達する第2伝達部とを含む、請求項1に記載のロボット。
【請求項8】
前記変形部材は、取り外し可能に固定されている、請求項1に記載のロボット。
【請求項9】
前記緩衝部材は、取り外し可能に固定されている、請求項1に記載のロボット。
【請求項10】
前記緩衝部材は、前記変形部材よりも機械的強度が低い、請求項1に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、緩衝部材を備えるロボットが知られている。特許文献1では、基台と、第1アームと、第2アームと、を備えるロボットが開示されている。第1アームは、基台に対して回動可能に連結されている。第2アームは、第1アームに対して回動可能に連結されている。また、第1アームには、第1アームの回転軸に対して離れる方向に突出する突出部が配置されている。突出部には、弾性体であるゴムにより構成された緩衝部材としての弾性部が配置されている。また、基台には、規制部が配置されている。規制部は、第1アームの回転軸に対して離れる方向に突出している。第1アームが回転した場合、第1アームの突出部と基台の規制部との間に弾性部が挟まれて、弾性変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-76975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されるロボットでは、弾性部により突出部と規制部との間の衝突エネルギーを吸収することができる一方、弾性部のつぶれ方にはばらつきがあるため、弾性部により突出部と規制部との間の衝突エネルギーを十分に吸収することができない場合もある。このため、突出部と規制部との間の衝突エネルギーを十分に吸収することができるロボットが望まれている。
【0005】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この開示の1つの目的は、緩衝部材のつぶれ方のばらつきがある場合にも、第1規制部と第2規制部との間の衝突エネルギーを十分に吸収することができるロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の一の局面によるロボットは、第1部材と、第1部材に対して相対的に移動する第2部材と、第1部材に設けられる第1規制部と、第2部材に設けられる第2規制部と、を含み、第1規制部および第2規制部の少なくとも一方が、第1規制部および第2規制部の衝突を緩衝するための緩衝部材を有し、第1規制部および第2規制部の少なくとも一方が、第1部材に対して第2部材が相対的に移動した場合に緩衝部材を介した第1規制部および第2規制部の衝突により変形する変形部材を有し、第1部材に対する第2部材の相対的な移動範囲を規制する規制機構と、を備える。
【0007】
この開示の一の局面によるロボットは、上記のように、第1部材に設けられる第1規制部と、第2部材に設けられる第2規制部と、を含み、第1規制部および第2規制部の少なくとも一方が、第1規制部および第2規制部の衝突を緩衝するための緩衝部材を有し、第1規制部および第2規制部の少なくとも一方が、第1部材に対して第2部材が相対的に移動した場合に緩衝部材を介した第1規制部および第2規制部の衝突により変形する変形部材を有し、第1部材に対する第2部材の相対的な移動範囲を規制する規制機構を設ける。これにより、緩衝部材により第1規制部と第2規制部との間の衝突エネルギーを吸収することができるだけでなく、緩衝部材を介した第1規制部および第2規制部の衝突による変形部材の変形によっても第1規制部と第2規制部との間の衝突エネルギーを吸収することができる。その結果、緩衝部材のつぶれ方のばらつきがある場合にも、第1規制部と第2規制部との間の衝突エネルギーを十分に吸収することができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、緩衝部材のつぶれ方のばらつきがある場合にも、第1規制部と第2規制部との間の衝突エネルギーを十分に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態によるロボットを示す図である。
図2】一実施形態による規制機構を示す斜視図である。
図3】一実施形態による規制機構を示す断面図である。
図4】一実施形態による規制機構の変形部材が曲がった状態を示す断面図である。
図5】一実施形態による規制機構を衝突方向から見た一部断面図である。
図6】一実施形態の第1変形例による規制機構を示す断面図である。
図7】一実施形態の第2変形例による規制機構を示す断面図である。
図8】一実施形態の第3変形例による規制機構を示す断面図である。
図9】一実施形態の第4変形例による規制機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を具体化した本開示の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本願明細書において、上下方向をZ方向とする。上方側をZ1側とし、下方側をZ2側とする。
【0011】
図1に示すように、ロボット100は、産業用ロボットである。具体的には、ロボット100は、6軸の垂直多関節ロボットである。ロボット100は、基台10と、アーム20と、規制機構30とを備えている。基台10は、第1部材の一例である。
【0012】
基台10は、ボルトなどの締結部材により床面などの設置面に固定される。
【0013】
アーム20は、先端にエンドエフェクタが取り付けられる。アーム20は、エンドエフェクタを移動させる。アーム20は、複数のリンク部21a、21b、21c、21d、21eおよび21fを含んでいる。複数のリンク部21a、21b、21c、21d、21eおよび21fは、基端側から先端側に向かってこの順に配置されている。また、アーム20には、複数の関節部JT1、JT2、JT3、JT4、JT5およびJT6が設けられている。複数の関節部JT1、JT2、JT3、JT4、JT5およびJT6は、基端側から先端側に向かってこの順に配置されている。リンク部21aは、第2部材の一例である。
【0014】
複数の関節部JT1、JT2、JT3、JT4、JT5およびJT6の各々には、駆動源としてサーボモータSMが設けられている。複数の関節部JT1、JT2、JT3、JT4、JT5およびJT6の各々は、サーボモータSMの駆動により、対応するリンク部を回転移動する。なお、図1では、便宜上、関節部JT1およびJT2のサーボモータSMのみを図示している。
【0015】
関節部JT1は、基台10とリンク部21aとの連結部に配置されている。関節部JT1は、基台10に対してリンク部21aをZ方向の回転軸線A1周りに相対的に回転移動する。関節部JT2は、リンク部21aとリンク部21bとの連結部に配置されている。関節部JT2は、リンク部21aに対してリンク部21bを、回転軸線A1と直交する方向の回転軸線A2周りに相対的に回転移動する。関節部JT3は、リンク部21bとリンク部21cとの連結部に配置されている。関節部JT3は、リンク部21bに対してリンク部21cを、回転軸線A2と平行な方向の回転軸線A3周りに相対的に回転移動する。
【0016】
関節部JT4は、リンク部21cとリンク部21dとの連結部に配置されている。関節部JT4は、リンク部21cに対してリンク部21dを、回転軸線A3と直交する方向の回転軸線A4周りに相対的に回転移動する。関節部JT5は、リンク部21dとリンク部21eとの連結部に配置されている。関節部JT5は、リンク部21dに対してリンク部21eを、回転軸線A4と直交する方向の回転軸線A5周りに相対的に回転移動する。関節部JT6は、リンク部21eとリンク部21fとの連結部に配置されている。関節部JT6は、リンク部21eに対してリンク部21fを、回転軸線A5と直交する方向の回転軸線A6周りに相対的に回転移動する。
【0017】
規制機構30は、固定側部材である基台10に対する、可動側部材であるリンク部21aの相対的な回転移動範囲を規制する機械的な規制機構である。規制機構30は、たとえばリンク部21aがソフトウェア的な回転移動範囲の限界を超えて移動する異常が発生した場合に、基台10に対するリンク部21aの相対的な回転移動範囲を機械的に規制する。
【0018】
規制機構30は、第1規制部31と、第2規制部32とを含んでいる。第1規制部31は、Z1方向に向かって突出するように基台10に設けられている。第2規制部32は、Z2方向に向かって突出するようにリンク部21aに設けられている。第2規制部32は、Z2方向に向かって突出する突起部321を有している。突起部321は、金属製である。突起部321は、球状黒鉛鋳鉄などの金属材料により構成されている。
【0019】
ここで、本実施形態では、第1規制部31は、図2に示すように、第1規制部31および第2規制部32の衝突を緩衝するための緩衝部材33と、基台10に対してリンク部21aが相対的に回転移動した場合に緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突により変形する変形部材34とを有している。
【0020】
緩衝部材33は、樹脂製である。具体的には、緩衝部材33は、ポリウレタンエラストマーなどの樹脂材料により構成されている。緩衝部材33は、ブロック形状を有しており、取り外し可能に固定されている。具体的には、緩衝部材33は、ボルトなどの締結部材41により変形部材34に対して取り外し可能に固定されている。
【0021】
図3に示すように、緩衝部材33は、嵌合部331と、第1伝達部332と、第2伝達部333とを有している。なお、以下では、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32が衝突する方向をY方向とし、Y方向の一方をY1側とし、Y方向の他方をY2側とする。また、Y方向およびZ方向に直交する方向をX方向とする。
【0022】
嵌合部331は、Z2方向側からZ1方向側に向かって窪む凹部を含み、変形部材34の後述する変形部342に嵌合する。また、嵌合部331は、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32が衝突する際に変形部材34の変形部342に当接する側面331aおよび331bを有している。側面331aおよび331bは、Z方向に延びるとともに、互いにY方向に対向して配置されている。緩衝部材33は、第1規制部31および第2規制部32の衝突を、嵌合部331の側面331aまたは331bを介して変形部材34に伝達する。
【0023】
嵌合部331の位置には、締結部材41が配置されている。締結部材41は、緩衝部材33の嵌合部331を有する部分に設けられた貫通孔を挿通し、変形部材34の嵌合部331に嵌合した部分に設けられたねじ孔に螺合されている。
【0024】
第1伝達部332は、変形部材34の変形部342に対して一方側であるY1方向側に配置されており、変形部材34の変形部342に対して一方側であるY1方向側で第1規制部31および第2規制部32の衝突を伝達する。第1伝達部332は、第2規制部32の突起部321の当接面321aと当接する当接面332aを有している。当接面321aおよび当接面332aは、Z方向に延びるとともに、第1規制部31および第2規制部32の衝突の際は互いにY方向に対向する。
【0025】
第2伝達部333は、第1伝達部332とは反対側であるY2方向側に設けられ、変形部材34に対して他方側であるY2方向側で第1規制部31および第2規制部32の衝突を伝達する。第2伝達部333は、第2規制部32の突起部321の当接面321bと当接する当接面333aを有している。当接面321bおよび当接面333aは、Z方向に延びるとともに、第1規制部31および第2規制部32の衝突の際は互いにY方向に対向する。
【0026】
リンク部21aが回転軸線A1周りの一の方向に回転した場合、第2規制部32がY1方向側からY2方向側に向かって第1規制部31に近づく。この場合、第2規制部32の突起部321の当接面321aと、第1伝達部332の当接面332aとが当接する。そして、変形部材34の嵌合部331に嵌合した先端部分のY1方向側の側面に当接する嵌合部331の側面331aを介して、第1規制部31および第2規制部32の衝突が変形部材34に伝達される。
【0027】
また、リンク部21aが回転軸線A1周りの他の方向に回転した場合、第2規制部32がY2方向側からY1方向側に向かって第1規制部31に近づく。この場合、第2規制部32の突起部321の当接面321bと、第2伝達部333の当接面333aとが当接する。そして、変形部材34の嵌合部331に嵌合した先端部分のY2方向側の側面に当接する嵌合部331の側面331bを介して、第1規制部31および第2規制部32の衝突が変形部材34に伝達される。
【0028】
嵌合部331は、緩衝部材33のY方向の中央部に配置されている。第1伝達部332および第2伝達部333は、それぞれ、嵌合部331に対してY1方向側およびY2方向側に配置されている。また、第1伝達部332および第2伝達部333は、緩衝部材33の嵌合部331を有する部分よりもZ方向の厚みが大きい。また、嵌合部331と、第1伝達部332と、第2伝達部333とは、一体的である。
【0029】
また、本実施形態では、緩衝部材33は、変形部材34よりも機械的強度が低い。たとえば、緩衝部材33は、変形部材34よりも引張強さが低い。たとえば、緩衝部材33の引張強さは約237N/mmであり、変形部材34の引張強さは約690N/mm以上である。
【0030】
変形部材34は、金属製である。具体的には、変形部材34は、機械構造用炭素鋼などの金属材料により構成されている。変形部材34は、T字形状を有しており、取り外し可能に固定されている。具体的には、変形部材34は、ボルトなどの締結部材42により基台10に対して取り外し可能に固定されている。
【0031】
変形部材34は、基部341と、変形部342とを有している。基部341と変形部342とは一体的である。
【0032】
基部341は、変形部材34を基台10に対して取り付けるための取付部である。基部341は、板形状を有しており、基台10の変形部材34が配置される部分に設けられた凹部101に配置されている。凹部101は、Z1方向側からZ2方向側に向かって窪んでいる。基部341は、凹部101において、締結部材42により基台10に対して取り外し可能に固定されている。締結部材42は、基台10の凹部101を有する部分に設けられた貫通孔を挿通し、基部341に設けられたねじ穴に螺合されている。
【0033】
変形部342は、基部341に接続されている。変形部342は、板形状を有しており、基部341から垂直に延びている。
【0034】
本実施形態では、図4に示すように、変形部342は、緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突により、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32が衝突するY方向に曲がるように変形する。緩衝部材33の第1伝達部332を介して第1規制部31および第2規制部32がY1方向側で衝突した場合、衝突の荷重がY2方向に印加されるため、変形部342はY2方向に曲がるように変形する。また、緩衝部材33の第2伝達部333を介して第1規制部31および第2規制部32がY2方向側で衝突した場合、衝突の荷重がY1方向に印加されるため、変形部342はY1方向に曲がるように変形する。衝突の荷重が変形部342の先端部に印加されることにより、変形部342は、衝突の荷重に応じた変形量で、変形部342の根元部である基部341との接続部を支点として曲がるように塑性変形する。なお、図4では、便宜上、変形部342がY1方向に曲がる例を図示している。
【0035】
また、本実施形態では、図3に示すように、変形部342は、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32が衝突するY方向において基部341よりも幅が小さい。変形部342のY方向の幅W1は、基部341のY方向の幅W2よりも小さい。また、変形部342は、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32が衝突するY方向において緩衝部材33よりも幅が小さい。変形部342のY方向の幅W1は、緩衝部材33のY方向の幅W3よりも小さい。また、変形部342のY方向の幅W1は、図5に示す変形部342のX方向の幅W4よりも小さい。
【0036】
図5に示すように、変形部342は、変形部材34の取付面に垂直な方向であるZ方向において基部341よりも長さが大きい。変形部342のZ方向の長さL1は、基部341のZ方向の長さL2よりも大きい。また、変形部342は、Z方向において緩衝部材33よりも長さが大きい。変形部342のZ方向の長さL1は、緩衝部材33のZ方向の長さL3よりも大きい。また、変形部342のZ方向の長さL1は、図3に示す変形部342のY方向の幅W1よりも大きい。
【0037】
図3および図4を参照して、緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突について説明する。ここでは、便宜上、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32がY2方向側で衝突する場合について説明するが、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32がY1方向側で衝突する場合も同様である。
【0038】
図3に示すように、第2規制部32がY2方向側からY1方向側に向かって第1規制部31に近づき、第2規制部32の突起部321の当接面321bが、緩衝部材33の第2伝達部333の当接面333aにY1方向に衝突する。この際、緩衝部材33の第2伝達部333がY1方向につぶれて硬くなり、衝突エネルギーを吸収しながら、衝突を変形部材34に伝達する。具体的には、緩衝部材33の嵌合部331の側面331bが変形部材34の嵌合部331に嵌合した先端部分のY2方向側の側面をY1方向に押すことにより、衝突が変形部材34の変形部342に伝達される。そして、図4に示すように、変形部342が衝突エネルギーを吸収しながらY1方向に曲がるように変形する。衝突エネルギーを吸収し切ると、変形部342の変形が停止する。
【0039】
変形した緩衝部材33は、締結部材41を取り外すことにより、変形部材34から取り外して、交換することが可能である。また、変形した変形部材34は、締結部材42を取り外すことにより、基台10から取り外して、交換することが可能である。
【0040】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、上記のように、基台10に設けられる第1規制部31と、リンク部21aに設けられる第2規制部32と、を含み、第1規制部31が、第1規制部31および第2規制部32の衝突を緩衝するための緩衝部材33と、基台10に対してリンク部21aが相対的に移動した場合に緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突により変形する変形部材34とを有し、基台10に対するリンク部21aの相対的な移動範囲を規制する規制機構30を設ける。これにより、緩衝部材33により第1規制部31と第2規制部32との間の衝突エネルギーを吸収することができるだけでなく、緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突による変形部材34の変形によっても第1規制部31と第2規制部32との間の衝突エネルギーを吸収することができる。その結果、緩衝部材33のつぶれ方のばらつきがある場合にも、第1規制部31と第2規制部32との間の衝突エネルギーを十分に吸収することができる。
【0041】
また、本実施形態のように、ロボット100が垂直多関節ロボットである場合、第1規制部31および第2規制部32の衝突の影響が、各リンク部を介してロボット100の先端に伝わるが、第1規制部31と第2規制部32との間の衝突エネルギーを十分に吸収することができないと、ロボット100の先端に大きな負荷が掛かるという不都合がある。これに対して、本実施形態では、第1規制部31と第2規制部32との間の衝突エネルギーを十分に吸収することができるので、ロボット100の先端に掛かる負荷を低減することができる。
【0042】
また、本実施形態では、上記のように、変形部材34は、基部341と、基部341に接続され、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32が衝突するY方向において基部341よりも幅が小さい変形部342とを有する。これにより、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32が衝突するY方向において基部341よりも変形部342の幅が小さいため、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32が衝突するY方向に変形部342を比較的容易に変形させることができる。その結果、緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突による変形部342の変形により第1規制部31と第2規制部32との間の衝突エネルギーを容易に吸収することができる。
【0043】
また、本実施形態では、上記のように、変形部342は、緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突により、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32が衝突するY方向に曲がるように変形する。これにより、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32が衝突するY方向に変形部342が曲がるように変形するため、緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突による変形部342の曲げ変形により第1規制部31と第2規制部32との間の衝突エネルギーを容易に吸収することができる。
【0044】
また、本実施形態では、上記のように、変形部342は、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32が衝突するY方向において緩衝部材33よりも幅が小さい。これにより、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32が衝突するY方向において緩衝部材33よりも変形部342の幅が小さいため、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32が衝突するY方向に変形部342を比較的容易に変形させることができる。その結果、緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突による変形部342の変形により第1規制部31と第2規制部32との間の衝突エネルギーを容易に吸収することができる。
【0045】
また、本実施形態では、上記のように、緩衝部材33は、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32が衝突する際に変形部材34に当接する側面331aおよび331bを有し、第1規制部31および第2規制部32の衝突を、側面331aまたは331bを介して変形部材34に伝達する。これにより、緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突が、緩衝部材33の側面331aまたは331bを介して変形部材34に伝達されるため第1規制部31および第2規制部32の衝突により変形部材34を比較的容易に変形させることができる。その結果、緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突による変形部材34の変形により第1規制部31と第2規制部32との間の衝突エネルギーを容易に吸収することができる。
【0046】
また、本実施形態では、上記のように、緩衝部材33は、側面331aおよび331bを有し、変形部材34に嵌合する嵌合部331を含み、第1規制部31および第2規制部32の衝突を、嵌合部331の側面331aまたは331bを介して変形部材34に伝達する。これにより、緩衝部材33を変形部材34に取り付けるための嵌合部331の側面331aおよび331bを利用して、構造の複雑化を抑制しつつ、緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突を、嵌合部331の側面331aまたは331bを介して変形部材34に伝達することができる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、緩衝部材33は、変形部材34に対して一方側で第1規制部31および第2規制部32の衝突を伝達する第1伝達部332と、第1伝達部332とは反対側に設けられ、変形部材34に対して他方側で第1規制部31および第2規制部32の衝突を伝達する第2伝達部333とを含む。これにより、1つの緩衝部材33により変形部材34に対して一方側および他方側の両側で第1規制部31および第2規制部32の衝突を伝達することができるので、変形部材34に対して一方側および他方側の両側に別々の緩衝部材33を設ける必要がない。その結果、部品点数の増加を抑制しつつ、緩衝部材33により第1規制部31と第2規制部32との間の衝突エネルギーを吸収することができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、変形部材34は、取り外し可能に固定されている。これにより、緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突に起因して変形部材34が変形した場合にも、変形した変形部材34を容易に交換することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、緩衝部材33は、取り外し可能に固定されている。これにより、緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突に起因して緩衝部材33が劣化した場合にも、劣化した緩衝部材33を容易に交換することができる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のように、緩衝部材33は、変形部材34よりも機械的強度が低い。これにより、変形部材34よりも緩衝部材33の機械的強度が低いため、緩衝部材33により第1規制部31と第2規制部32との間の衝突エネルギーを容易に吸収することができる。
【0051】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0052】
上記実施形態では、第1規制部31が、緩衝部材33を有している例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、図6に示す第1変形例のように、第2規制部32が、緩衝部材33を有していてもよい。また、第1規制部31および第2規制部32の両方が、緩衝部材を有していてもよい。第1規制部31および第2規制部32の両方が緩衝部材を有する場合、形状などを含む各緩衝部材の構成は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0053】
上記実施形態では、第1規制部31が、変形部材34を有している例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、図7に示す第2変形例のように、第2規制部32が、変形部材134を有していてもよい。変形部材134は、緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突により変形する。また、第1規制部31および第2規制部32の両方が変形部材を有する場合、形状などを含む各変形部材の構成は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、第2規制部32のみが、変形部材を有していてもよい。
【0054】
上記実施形態では、本開示の第1部材として基台10を設け、本開示の第2部材としてリンク部21aを設ける例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、図8に示す第3変形例のように、本開示の第1部材としてリンク部21aを設け、本開示の第2部材としてリンク部21bを設けてもよい。リンク部21aには、第1規制部231が設けられている。第1規制部231の構成は、向きが異なることを除き上記実施形態の第1規制部31と同様である。リンク部21bには、第2規制部232が設けられている。第2規制部232は、突起部2321と、突起部2321とは別個に設けられた突起部とを有している。リンク部21bが一の方向に回転した場合、緩衝部材33を介して第1規制部231と第2規制部232の突起部2321とが衝突する。リンク部21bが他の方向に回転した場合、緩衝部材33を介して第1規制部231と第2規制部232の突起部2321とは別個の突起部とが衝突する。また、本開示の第1部材としてリンク部21bを設け、本開示の第2部材としてリンク部21cを設けてもよいし、第1部材または第2部材として他のリンク部を設けてもよい。また、この場合にも、第1規制部および第2規制部の少なくとも一方が、緩衝部材を含んでいればよい。また、第1規制部および第2規制部の少なくとも一方が、変形部材を含んでいればよい。
【0055】
上記実施形態では、本開示のロボットとして6軸の垂直多関節ロボットであるロボット100を設ける例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、ロボットが、水平多関節ロボットおよび直動機構を含むロボットなどであってもよい。また、ロボットが垂直多関節ロボットである場合に、ロボットが、7軸などの6軸以外の垂直多関節ロボットであってもよい。
【0056】
図9に示す第4変形例では、本開示のロボットとして直動機構を含むロボット400が設けられている。ロボット400は、固定側部材である第1部材401と、可動側部材であり第1部材401に対して相対的にW方向に直線移動する第2部材402と、第1部材401に対する第2部材402の相対的な直線移動範囲を規制する規制機構430とを備えている。規制機構430は、第1部材401に設けられる第1規制部431と、第2部材402に設けられる第2規制部432とを含んでいる。第1規制部431は、第1規制部431および第2規制部432の衝突を緩衝するための緩衝部材433と、第1部材401に対して第2部材402が相対的にW方向に直線移動した場合に緩衝部材433を介した第1規制部431および第2規制部432の衝突により変形する変形部材434とを有している。この場合にも、第1規制部および第2規制部の少なくとも一方が、緩衝部材を含んでいればよい。また、第1規制部および第2規制部の少なくとも一方が、変形部材を含んでいればよい。また、本開示では、図9に示す第4変形例のように、緩衝部材が変形部材に対して片側にのみ設けられてもよい。
【0057】
上記実施形態では、変形部342が、緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突により、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32が衝突する方向に曲がるように変形する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、衝突エネルギーを吸収することが可能であれば、変形部342が、緩衝部材33を介した第1規制部31および第2規制部32の衝突により、どのように変形してもよい。
【0058】
上記実施形態では、緩衝部材33が、樹脂製である例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、緩衝部材33は第1規制部31および第2規制部32の衝突を緩衝することが可能であれば、樹脂製でなくてもよく、たとえば、金属製のハニカム部材であってもよい。
【0059】
上記実施形態では、緩衝部材33が、締結部材41により固定されている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、緩衝部材33が、接着剤などの締結部材41以外により固定されていてもよい。
【0060】
上記実施形態では、1つの緩衝部材33が、第1伝達部332と、第2伝達部333とを有している例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、第1伝達部332に対応する緩衝部材と、第2伝達部333に対応する緩衝部材との2つの緩衝部材が、互いに独立して設けられてもよい。
【0061】
上記実施形態では、嵌合部331が、凹部を含む例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、嵌合部331が、孔部を含んでいてもよい。
【0062】
上記実施形態では、緩衝部材33および変形部材34が衝突エネルギーを十分に吸収するように設計されているため、緩衝部材33を介して第1規制部31および第2規制部32が衝突した場合に第1規制部31を超えて第2規制部32が回転移動することはないが、第1規制部31を超えて第2規制部32が回転移動した場合の予備の規制部をさらに設けてもよい。
【0063】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0064】
(項目1)
第1部材と、
前記第1部材に対して相対的に移動する第2部材と、
前記第1部材に設けられる第1規制部と、前記第2部材に設けられる第2規制部と、を含み、前記第1規制部および前記第2規制部の少なくとも一方が、前記第1規制部および前記第2規制部の衝突を緩衝するための緩衝部材を有し、前記第1規制部および前記第2規制部の少なくとも一方が、前記第1部材に対して前記第2部材が相対的に移動した場合に前記緩衝部材を介した前記第1規制部および前記第2規制部の衝突により変形する変形部材を有し、前記第1部材に対する前記第2部材の相対的な移動範囲を規制する規制機構と、を備える、ロボット。
【0065】
(項目2)
前記変形部材は、基部と、前記基部に接続され、前記緩衝部材を介して前記第1規制部および前記第2規制部が衝突する方向において前記基部よりも幅が小さい変形部とを有する、項目1に記載のロボット。
【0066】
(項目3)
前記変形部は、前記緩衝部材を介した前記第1規制部および前記第2規制部の衝突により、前記緩衝部材を介して前記第1規制部および前記第2規制部が衝突する方向に曲がるように変形する、項目2に記載のロボット。
【0067】
(項目4)
前記変形部は、前記緩衝部材を介して前記第1規制部および前記第2規制部が衝突する方向において前記緩衝部材よりも幅が小さい、項目2または項目3に記載のロボット。
【0068】
(項目5)
前記緩衝部材は、前記緩衝部材を介して前記第1規制部および前記第2規制部が衝突する際に前記変形部材に当接する側面を有し、前記第1規制部および前記第2規制部の衝突を、前記側面を介して前記変形部材に伝達する、項目1から項目4のいずれか1項に記載のロボット。
【0069】
(項目6)
前記緩衝部材は、前記側面を有し、前記変形部材に嵌合する嵌合部を含み、前記第1規制部および前記第2規制部の衝突を、前記嵌合部の前記側面を介して前記変形部材に伝達する、項目5に記載のロボット。
【0070】
(項目7)
前記緩衝部材は、前記変形部材に対して一方側で前記第1規制部および前記第2規制部の衝突を伝達する第1伝達部と、前記第1伝達部とは反対側に設けられ、前記変形部材に対して他方側で前記第1規制部および前記第2規制部の衝突を伝達する第2伝達部とを含む、項目1から項目6のいずれか1項に記載のロボット。
【0071】
(項目8)
前記変形部材は、取り外し可能に固定されている、項目1から項目7のいずれか1項に記載のロボット。
【0072】
(項目9)
前記緩衝部材は、取り外し可能に固定されている、項目1から項目8のいずれか1項に記載のロボット。
【0073】
(項目10)
前記緩衝部材は、前記変形部材よりも機械的強度が低い、項目1から項目9のいずれか1項に記載のロボット。
【符号の説明】
【0074】
10 基台(第1部材)
21a リンク部(第1部材、第2部材)
21b リンク部(第1部材、第2部材)
21c リンク部(第2部材)
30、430 規制機構
31、231、431 第1規制部
32、232、432 第2規制部
33、433 緩衝部材
34、134、434 変形部材
100、400 ロボット
331 嵌合部
331a、331b 側面
332 第1伝達部
333 第2伝達部
341 基部
342 変形部
401 第1部材
402 第2部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9