(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165069
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20241121BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F25D23/00 302A
F25D11/00 101D
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080906
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若園 直樹
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA04
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L345AA05
3L345AA18
3L345CC01
3L345DD04
3L345DD07
3L345DD21
3L345GG03
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】換気装置において、コンテナ本体の気密性の低下を抑制する。
【解決手段】換気装置は、換気口(VO)を開閉する蓋(60)と、蓋(60)を開位置と閉位置とに変位させる駆動機構(70) と、ベース部(47)と蓋(60)との間において換気口(VO)を囲む位置に形成されるシール部材(65)と、蓋(60)をベース部(47)に向かって押し付ける押付部(77,121,122) とを備えている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ本体(2)の内部と外部とを連通するための換気口(VO)を有するベース部(47) と、
前記換気口(VO)を開閉する蓋(60)と、
前記蓋(60)を開位置と閉位置とに変位させる駆動機構(70) と、
前記ベース部(47)と前記蓋(60)との間において前記換気口(VO)を囲む位置に形成されるシール部材(65)と、
前記蓋(60)を前記ベース部(47)に向かって押し付ける押付部(77,121,122) と
を備えている換気装置。
【請求項2】
前記押付部(77,121,122)は、前記駆動機構(70)に設けられる
請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記駆動機構(70)は、
駆動源(71)と、
該駆動源(71)によって駆動される駆動軸(72)とを有し、
前記押付部(77,121,122)は、前記駆動軸(72)に沿って設けられるバネ(77)を有する
請求項2に記載の換気装置。
【請求項4】
前記蓋(60)と前記ベース部(47)との間には、シール部材(65)に向かって突出する凸部(55) が設けられる
請求項1~3のいずれか1つに記載の換気装置。
【請求項5】
前記押付部(77,121,122)は、前記蓋(60)の中央部を前記ベース部(47)に向かって押し付けるように構成され、
前記凸部(55)の突出高さは、前記蓋(60)の前記中央部から該蓋(60)の外縁に向かうにつれて高くなる
請求項4に記載の換気装置。
【請求項6】
前記駆動機構(70)は、前記蓋(60)と前記ベース部(47)との間隔を調節するように該蓋(60)を第1方向に移動させる
請求項1~3のいずれか1つに記載の換気装置。
【請求項7】
前記蓋(60)には、開口(CO)が形成され、
前記駆動機構(70)は、前記開口(CO)と前記換気口(VO)との重なる面積を調整するように該蓋(60)を回転させる
請求項6に記載の換気装置。
【請求項8】
前記駆動機構(70)は、
駆動源(71)と、
該駆動源(71)によって回転駆動される駆動軸(72)とを有し、
前記駆動軸(72)の回転に伴い前記蓋(60)を回転させる回転運動と、前記駆動軸(72)の回転運動に伴い前記蓋(60)を前記第1方向に往復移動させる往復運動とを行わせるように構成される
請求項7に記載の換気装置。
【請求項9】
前記駆動機構(70)は、
前記駆動軸(72)および前記蓋(60)の一方と連結するロッド(73)と、
前記駆動軸(72)および前記蓋(60)の他方と連結するとともに、前記ロッド(73)が接触する接触面(82)が形成されるカム機構(80)とを有し、
前記接触面(82)は、前記駆動軸(72)の回転力を前記蓋(60)に伝えて該蓋(60)を前記回転運動させる第1伝達部(C1)と、前記駆動軸(72)の回転力を前記蓋(60)に伝えて前記往復運動させる第2伝達部(C2)とを含む
請求項8に記載の換気装置。
【請求項10】
前記ロッド(73)と、前記カム機構(80)の前記接触面(82)との摩擦力を低減する低摩擦部(73b) を備える
請求項9に記載の換気装置。
【請求項11】
前記駆動軸(72)に、前記ロッド(73)が3つ以上連結している
請求項9に記載の換気装置。
【請求項12】
前記駆動機構(70)は、
前記シール部材(65)を圧縮する第1位置の前記蓋(60)を、該第1位置よりもベース部(47)から離れた第2位置まで移動させる第1動作と、
前記第1動作の後、前記蓋(60)を前記第2位置に維持しながら所定の回転角度まで回転させる第2動作とを行うように構成される
請求項7に記載の換気装置。
【請求項13】
前記駆動機構(70)は、
前記第2動作の後、前記蓋(60)を前記所定の回転角度に維持しながら前記第1位置まで移動させる第3動作を行うように構成される
請求項12に記載の換気装置。
【請求項14】
前記所定の回転角度は、前記換気口(VO)の全体が蓋(60)によって閉塞される第1回転角度を含む
請求項13に記載の換気装置。
【請求項15】
前記蓋(60)の回転角度が、設定された目標値となるように、前記駆動機構(70)を制御する制御部(100)を備える
請求項7に記載の換気装置。
【請求項16】
冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩センサ(110)と、
前記冷媒漏洩センサ(110)が冷媒の漏洩を検知すると、前記蓋(60)が閉位置となるように前記駆動機構(70)を制御する制御部(100) とを備える
請求項1~3のいずれか1つに記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コンテナ用の換気装置を開示する。換気装置は、コンテナ本体の内部空間を冷却する冷凍装置に設けられる。換気装置は、換気口と、換気口を開閉する開閉部材と、開閉部材を駆動するモータとを有する。開閉部材が換気口を開放すると、換気口を通じてコンテナ本体の内部空間と外部空間とが連通する。これにより、コンテナ本体の内部空間が換気される。開閉部材が換気口を閉じると、コンテナ本体と内部空間と外部空間とが遮断される。このように、特許文献1の換気装置では、手動ではなく自動で換気口を開閉できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の換気装置のように、換気口を自動的に開閉する構造では、蓋が換気口を閉じる状態において、蓋とベース部の間に隙間が形成されることがある。この場合、コンテナ本体の内部と外部とが隙間を通じて連通するので、コンテナ本体の気密性が低下する。
【0005】
本開示は、換気装置において、コンテナ本体の気密性の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、換気装置を対象とする。換気装置は、コンテナ本体(2)の内部と外部とを連通するための換気口(VO)を有するベース部(47) と、前記換気口(VO)を開閉する蓋(60)と、前記蓋(60)を開位置と閉位置とに変位させる駆動機構(70) と、ベース部(47)と前記蓋(60)との間において前記換気口(VO)を囲む位置に形成されるシール部材(65)と、前記蓋(60)を前記ベース部(47)に向かって押し付ける押付部(77,121,122) とを備えている。
【0007】
第1の態様では、押付部(77,121,122)により、閉位置の蓋(60)をベース部(47)に向かって押し付けることができる。その結果、蓋(60)とベース部(47)との間のシール部材(65)が圧縮されるので、蓋(60)とベース部(47)との間の隙間のシール性が向上する。したがって、コンテナ本体(2)の気密性の低下を抑制できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記押付部(77,121,122)は、前記駆動機構(70)に設けられる。
【0009】
第2の態様では、押付部(77,121,122)を駆動機構(70)に設けることで、換気装置を小型化できる。
【0010】
第3の態様は、第2の態様において、前記駆動機構(70)は、駆動源(71)と、該駆動源(71)によって駆動される駆動軸(72)とを有し、前記押付部(77,121,122)は、前記駆動軸(72)に沿って設けられるバネ(77)を有する。
【0011】
第3の態様では、バネ(77)が、閉位置の蓋(60)をベース部(47)に押し付けることができる。バネ(77)は、駆動軸(72)に沿って設けられるので、換気装置を小型化できる。
【0012】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記蓋(60)と前記ベース部(47)との間には、シール部材(65)に向かって突出する凸部(55) が設けられる。
【0013】
第4の態様では、押付部(77,121,122)が蓋(60)をベース部(47)に押し付けるときに、凸部(55)とシール部材(65)とが線接触する。これにより、シール部材(65)のうち凸部(55)がある部分でのシール性を向上できる。
【0014】
第5の態様は、第4の態様において、前記押付部(77,121,122)は、前記蓋(60)の中央部を前記ベース部(47)に向かって押し付けるように構成される。前記凸部(55)の突出高さは、前記蓋(60)の前記中央部から該蓋(60)の外縁に向かうにつれて高くなる。
【0015】
第5の態様では、押付部(77,121,122)が蓋(60)の中央部を押し付けるので、蓋(60)に作用する押し付け力が偏ることを抑制できる。このようにしても、蓋(60)の外縁側の押し付け力が小さくなる。しかし、凸部(55)は、蓋(60)の中央部から外縁に向かうにつれて、シール部材(65)側へ突出する高さが高くなるように構成される。このため、蓋(60)と凸部(55)の間隔は、蓋(60)の中央部から外縁に向かうにつれて小さくなる。その結果、シール部材(65)に作用する圧縮力を均一化できるので、シール部材(65)のシール性を向上できる。
【0016】
第6の態様は、第1~第5のいずれか1つにおいて、前記駆動機構(70)は、前記蓋(60)と前記ベース部(47)との間隔を調節するように該蓋(60)を第1方向 に移動させる。
【0017】
第6の態様では、駆動機構(70)が蓋(60)を第1方向に移動させることで、蓋(60)とベース部(47)との間隔が調節される。これにより、シール部材(65)に作用する圧縮力を調節できる。
【0018】
第7の態様は、第6の態様において、前記蓋(60)には、開口(CO)が形成され、前記駆動機構(70)は、前記開口(CO)と前記換気口(VO)との重なる面積を調整するように該蓋(60)を回転させる。
【0019】
第7の態様では、駆動機構(70)が蓋(60)を回転させることで、蓋(60)の開口(CO)と換気口(VO)との重なる面積が調節される。これにより、換気量を調節できる。ここで、駆動機構(70)は、蓋(60)とベース部(47)との間隔も調節できる。このため、蓋(60)とベース部(47)との間隔を比較的大きくした状態で、蓋(60)を回転させることができる。この場合、蓋(60)の回転に伴い発生する摩擦力を低減しながら蓋(60)を回転できる。
【0020】
第8の態様は、第7の態様において、駆動機構(70)は、駆動源(71)と、該駆動源(71)によって回転駆動される駆動軸(72)とを有する。駆動機構(70)は、前記駆動軸(72)の回転に伴い前記蓋(60)を回転させる回転運動と、前記駆動軸(72)の回転運動に伴い前記蓋(60)を前記第1方向に往復移動させる往復運動とを行わせるように構成される。
【0021】
第8の態様では、駆動機構(70)が、蓋(60)を回転運動させたり、往復運動させたりする。蓋(60)が回転運動を行うと、蓋(60)の開口(CO)と換気口(VO)との重なる面積が調節される。蓋(60)が往復運動を行うと、蓋(60)とベース部(47)との間の間隔が調節される。
【0022】
第9の態様は、第8の態様において、前記駆動機構(70)は、前記駆動軸(72)および前記蓋(60)の一方と連結するロッド(73)と、前記駆動軸(72)および前記蓋(60)の他方と連結するとともに、前記ロッド(73)が接触する接触面(82)が形成されるカム機構(80)と有する。前記接触面(82)は、前記駆動軸(72)の回転力を前記蓋(60)に伝えて該蓋(60)を前記回転運動させる第1伝達部(C1)と、前記駆動軸(72)の回転力を前記蓋(60)に伝えて前記往復運動させる第2伝達部(C2)とを含む。
【0023】
第9の態様では、駆動軸(72)の回転に伴いロッド(73)とカム機構(80)の第1伝達部(C1)とが接触することで、蓋(60)が回転運動を行う。駆動軸(72)の回転に伴いロッド(73)とカム機構(80)の第2伝達部(C2)とが接触することで、蓋(60)が往復運動を行う。
【0024】
第10の態様は、第9の態様において、前記ロッド(73)と、前記カム機構(80)の前記接触面(82)との摩擦力を低減する低摩擦部(73b) を備える。
【0025】
第10の態様では、低摩擦部(73b)が、ロッド(73)とカム機構(80)の接触面(82)との間の摩擦力を低減する。これにより、ロッド(73)および接触面(82)の摩耗を抑制できる。
【0026】
第11の態様は、第9または第10の態様において、前記駆動軸(72)に、前記ロッド(73)が3つ以上連結している。
【0027】
第11の態様では、ロッド(73)とカム機構(80)との間に作用する力を分散できるので、蓋(60)の回転運動や往復運動を安定させることができる。
【0028】
第12の態様は、第7~第11のいずれか1つにおいて、前記駆動機構(70)は、前記シール部材(65)を圧縮する第1位置の前記蓋(60)を、該第1位置よりもベース部(47)から離れた第2位置まで移動させる第1動作と、前記第1動作の後、前記蓋(60)を前記第2位置に維持しながら前記蓋(60)を所定の回転角度まで回転させる第2動作とを行うように構成される。
【0029】
第12の態様では、第1動作により、第1位置の蓋(60)が第2位置に移動することで、蓋(60)とベース部(47)との間隔が大きくなる。これにより、シール部材(65)に作用する圧縮力が小さくなる。この第1動作の後、第2動作を行うことで、蓋(60)の回転に伴い発生する摩擦力を低減しながら蓋(60)を回転させることができる。
【0030】
第13の態様は、第12の態様において、前記駆動機構(70)は、前記第2動作の後、前記蓋(60)を前記所定の回転角度に維持しながら前記第1位置まで移動させる第3動作を行うように構成される。
【0031】
第13の態様では、第2動作において蓋(60)が所定の回転角度に至った後、第3動作が行われる。第3動作では、蓋(60)が第1位置に移動することで蓋(60)とベース部(47)との間隔が狭くなる。これにより、蓋(60)が第2位置である場合と比べて蓋(60)が安定するので、蓋(60)がぐらつくことを抑制できる。
【0032】
第14の態様は、前記所定の回転角度は、前記換気口(VO)の全体が蓋(60)によって閉塞される第1回転角度を含む。
【0033】
第14の態様では、第2動作によって蓋(60)が第1角度位置に至ると、換気口(VO)の全体が蓋(60)によって閉塞され、換気口(VO)が全閉状態となる。その後の第3動作では、蓋(60)が第1位置に移動することで蓋(60)とベース部(47)との間隔が狭くなる。これにより、蓋(60)が第2位置である場合と比べて蓋(60)が安定するので、蓋(60)がぐらつくことを抑制できる。加えて、蓋(60)が第1位置にあることで、シール部材(65)が圧縮されるので、シール部材(65)のシール性が向上する。これにより、蓋(60)が換気口(VO)を全閉とする状態において、コンテナ本体(2)の外部と内部との間で空気が漏れてしまうことを抑制できる。
【0034】
第15の態様は、第7~第14のいずれか1つにおいて、前記蓋(60)の回転角度が、設定された目標値となるように、前記駆動機構(70)を制御する制御部(100)を備える。
【0035】
第15の態様では、制御部(100)が駆動機構(70)を調節することで、蓋(60)の回転角度が変化する。これにより、蓋(60)の開口(CO)と換気口(VO)との重なる面積を調整でき、さらには換気量を任意に調節できる。
【0036】
第16の態様は、第1~第15のいずれか1つの態様において、冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩センサ(110)と、前記冷媒漏洩センサ(110)が冷媒の漏洩を検知すると、前記蓋(60)が閉位置となるように前記駆動機構(70)を制御する制御部(100) とを備える。
【0037】
第16の態様では、冷媒漏洩センサ(110)が冷媒の漏洩を検知すると、制御部(100)に制御された駆動機構(70)が、蓋(60)が閉位置とする。これにより、冷媒が換気口(VO)を通じて漏れてしまうことを抑制できる。ここで、押付部(77,121,122)は、蓋(60)をベース部(47)側に押し付けるので、蓋(60)とベース部(47)との間の隙間での冷媒の漏れも抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、実施形態に係るコンテナ用冷凍装置を前面から見る斜視図である。
【
図2】
図2は、コンテナ用冷凍装置の縦断面図である。
【
図3】
図3は、コンテナ用冷凍装置の配管系統図である。
【
図4】
図4は、コンテナ用冷凍装置の制御部と、他の機器との関係を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、
図7のB1で示す一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。
【
図9】
図9は、駆動機構の要部を後側から見る斜視図である。
【
図14】
図14は、駆動機構の往復運動を示す概略の構成図である。
図14(A)は、蓋が第1位置である状態を示す。
図14(B)は、第1往復運動において蓋が第2位置である状態を示す。
図14(C)は、第2往復運動において蓋が第2位置である状態を示す。
【
図15】
図15は、駆動機構の回転運動を示す概略の構成図である。
図15(A)は、蓋が閉位置である状態を示す。
図15(B)は、蓋が中間位置である状態を示す。
図15(C)は、蓋が全開位置である状態を示す。
【
図16】
図16は、換気装置の基本動作のフローチャートである。
【
図17】
図17は、イニシャライズ制御のフローチャートである。
【
図20】
図20は、変形例1の蓋の往復運動を示す概略の構成図である。
図20(A)は、蓋が第1位置(閉位置)である状態を示す。
図20(B)は、蓋が第2位置(開位置)である状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表す場合がある。
【0040】
(1)コンテナの全体構成
換気装置(40)は、コンテナ(1)に適用される。本実施形態のコンテナ(1)の全体構成について
図1~
図3を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」に関する語句は、
図1の矢印で示す方向を基準とする。
【0041】
コンテナ(1)は、海上輸送に用いられる。コンテナ(1)は、その内部の空気を冷却する冷凍コンテナである。コンテナ(1)は、コンテナ本体(2)と、コンテナ用冷凍装置(10)とを有する。コンテナ本体(2)は、食品や植物などの対象物を貯蔵する。コンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ本体(2)の内部空間である庫内空間(3)を冷却する。
図2に示すように、コンテナ本体(2)の前面には、前面開口(4)が形成される。コンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ本体(2)の前面開口(4)を塞ぐように、コンテナ本体(2)に取り付けられる。
【0042】
(2)コンテナ用冷凍装置
コンテナ用冷凍装置(10)は、ケーシング(11)を有する。ケーシング(11)は、コンテナ本体(2)の前面開口(4)の蓋を構成する。ケーシング(11)は、ケーシング本体(12)と仕切板(13)とを有する。ケーシング本体(12)は、コンテナ本体(2)の外部空間である庫外空間(5)と、庫内空間(3)とを仕切る。仕切板(13)は、ケーシング(11)の背面側(後側)に位置する。
【0043】
コンテナ用冷凍装置(10)は、庫外に配置される機器として、圧縮機(25)、庫外熱交換器(26)、および庫外ファン(27)を有する。コンテナ用冷凍装置(10)は、庫内に配置される機器として、庫内熱交換器(29)および庫内ファン(30)を有する。
【0044】
(2-1)ケーシング本体
図2に示すように、ケーシング本体(12)は、平板部(12a)と凹部(12b)とを有する。平板部(12a)は、ケーシング(11)の前面開口(4)と略面一になるようにケーシング本体(12)の上部に形成される。
図1に示すように、平板部(12a)には、点検窓(22)と換気装置(40)とが設けられる。点検窓(22)は、平板部(12a)の右寄りの部分に配置される。換気装置(40)は、平板部(12a)の左寄りの部分に配置される。点検窓(22)は、ケーシング本体(12)の内部を確認するための透明の窓である。換気装置(40)は、庫内空間(3)の換気を行う。
【0045】
凹部(12b)は、ケーシング(11)の下部に形成される。凹部(12b)は、平板部(12a)の下端から後方に向かって凹んでいる。凹部(12b)の前側には、庫外収容空間(14)が形成される。凹部(12b)の上方であって平板部(12a)と仕切板(13)の間には、庫内収容空間(15)が形成される。凹部(12b)の下端は、底板(12c)を構成する。底板(12c)は、ケーシング本体(12)の左右の両端に亘って延びている。
【0046】
ケーシング本体(12)は、庫外ケーシング(16)と、断熱層(17)と、庫内ケーシング(18)とが厚さ方向(前後方向)に積層されて構成される。庫外ケーシング(16)は、庫外空間(5)に面している。庫内ケーシング(18)は、庫内に面している。断熱層(17)は、庫外ケーシング(16)と庫内ケーシング(18)との間に設けられる。庫外ケーシング(16)は、アルミニウム材料によって構成される。庫内ケーシング(18)は、強化繊維プラスチック(FRP)によって構成される。断熱層(17)は、発泡樹脂によって構成される。
【0047】
(2-2)仕切板および空気通路
図2に示すように、仕切板(13)は、凹部(12b)の後側に位置する板状の部材である。仕切板(13)は、凹部(12b)の後面と所定の間隔を置くように上下方向に延びている。ケーシング本体(12)と仕切板(13)との間には、庫内空気が流れる内部通路(19)が形成される。仕切板(13)の上端とコンテナ本体(2)の上壁(2a)との間には、流入口(20)が形成される。流入口(20)は、庫内空間(3)と内部通路(19)の流入端とを連通する。仕切板(13)の下端とコンテナ本体(2)の下壁(2b)との間には、流出口(21)が形成される。流出口(21)は、庫内空間(3)と内部通路(19)の流出端とを連通する。
【0048】
(2-3)庫外空間の要素部品
庫外収容空間(14)には、圧縮機(25)と、庫外熱交換器(26)と、庫外ファン(27)とが設けられる。圧縮機(25)は、ケーシング(11)の底板(12c)の上に設置される。圧縮機(25)は、庫外収容空間(14)の下部寄りに配置される。圧縮機(25)は、庫外収容空間(14)の右寄りに配置される。
【0049】
庫外ファン(27)は、庫外収容空間(14)における上部寄りに位置する。庫外ファン(27)は、プロペラファンによって構成される。
図2に示すように、庫外ファン(27)の裏側には、庫外空気が流れる外部通路(28)が形成される。
【0050】
庫外熱交換器(26)は、庫外収容空間(14)において、庫外ファン(27)と圧縮機(25)の間の高さ位置に設けられる。庫外熱交換器(26)は、外部通路(28)に位置する。庫外熱交換器(26)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。
【0051】
(2-4)庫内空間の要素部品
庫内収容空間(15)には、庫内熱交換器(29)と、庫内ファン(30)とが設けられる。庫内熱交換器(29)は、ケーシング本体(12)と仕切板(13)とに亘るようにケーシング(11)に支持される。庫内熱交換器(29)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。
【0052】
(2-5)冷媒回路
図3に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、冷媒回路(R)を有する。冷媒回路(R)には、冷媒が充填される。冷媒回路(R)は、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。
【0053】
冷媒回路(R)の冷媒は、空気よりも密度が大きい。本例の冷媒は、自然冷媒である二酸化炭素(CO2)である。自然冷媒は、オゾン破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数も低く、環境への負荷が少ない。冷媒は、プロパン(R290)、アンモニア(R717)、メタン(R50)、エタン(R170)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)でもよい。冷媒は、ジフルオロメタン(R32)、 2,3,3,3テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,3,3,3テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)であってもよい。冷媒は、単一冷媒であってもよいし、他の冷媒を混合した混合冷媒であってもよい。混合冷媒は、2,3,3,3テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、と、ジフルオロメタン(R32)との2種からなる冷媒であってもよい。混合冷媒は、78.5重量%の2,3,3,3テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)と、21.5重量%のジフルオロメタン(R32)との2種からなる冷媒(R454C)であってもよい。
【0054】
冷媒回路(R)は、主として、圧縮機(25)と、庫外熱交換器(26)と、膨張弁(31)と、庫内熱交換器(29)とを有する。
【0055】
圧縮機(25)は、吸入した冷媒を圧縮する。圧縮機(25)は、圧縮した冷媒を吐出する。圧縮機(25)の吐出部には、吐出管(32)が接続される。圧縮機(25)の吸入部には、吸入管(33)が接続される。吸入管(33)には、アキュムレータ(34)が設けられる。アキュムレータ(34)は、液冷媒を貯める容器である。
【0056】
庫外熱交換器(26)は、その内部を流れる冷媒と、庫外空気とを熱交換させる。庫外熱交換器(26)のガス端は、吐出管(32)と連通する。庫外熱交換器(26)の液端は、液管(35)を介して庫内熱交換器(29)の液端と接続する。庫外熱交換器(26)は、冷媒が空気へ放熱する放熱器(凝縮器)として機能する。
【0057】
膨張弁(31)は、液管(35)に設けられる。膨張弁(31)は、高圧冷媒を低圧冷媒まで減圧する。膨張弁(31)は、開度が調整可能な電子膨張弁である。液管(35)における庫外熱交換器(26)と膨張弁(31)との間には、レシーバ(36)が設けられる。レシーバ(36)は、冷媒回路(R)の余剰の冷媒を貯める容器である。
【0058】
庫内熱交換器(29)は、その内部を流れる冷媒と、庫内空気とを熱交換させる。庫内熱交換器(29)のガス端は、吸入管(33)と連通する。庫内熱交換器(29)は、冷媒が空気から吸熱する蒸発器として機能する。
【0059】
冷媒回路(R)は、バイパス管(37)を有する。バイパス管(37)の流入端は、吐出管(32)と連通し、バイパス管(37)の流出端は、液管(35)と連通する。バイパス管(37)は、圧縮機(25)から吐出された冷媒を、庫外熱交換器(26)をバイパスして庫内熱交換器(29)に送る。
【0060】
冷媒回路(R)には、第1弁(38)と第2弁(39)とが設けられる。第1弁(38)は、圧縮機(25)の吐出側と庫外熱交換器(26)のガス端との間で、且つバイパス管(37)の接続部よりも下流側に設けられる。第2弁(39)は、バイパス管(37)に設けられる。第1弁(38)および第2弁(39)は、電磁開閉弁で構成される。第1弁(38)や第2弁(39)は、開度が調節可能な流量調節弁であってもよい。
【0061】
(2-6)運転動作
コンテナ用冷凍装置(10)は、冷却運転とデフロスト運転とを行う。
【0062】
冷却運転時には、圧縮機(25)で圧縮された冷媒が、庫外熱交換器(26)で凝縮し、膨張弁(31)で減圧され、庫内熱交換器(29)で蒸発する冷凍サイクルが行われる。庫内空間(3)から内部通路(19)に流出した空気は、蒸発器として機能する庫内熱交換器(29)で冷却される。冷却された空気は、庫内空間(3)に送られる。
【0063】
デフロスト運転時には、圧縮機(25)で圧縮された冷媒が、バイパス管(37)を流れて、庫内熱交換器(29)を流れる。庫内熱交換器(29)の表面の霜は、庫内熱交換器(29)の内部を流れる冷媒の熱によって融ける。
【0064】
(3)換気装置
換気装置(40)の詳細を説明する。なお、以下の説明において、「軸方向」は、駆動軸(72)の軸心(X)に延びる方向に対応する。「周方向」は、駆動軸(72)の回転方向に対応する。「径方向」は、駆動軸(72)の軸心(X)と駆動軸(72)の外周面を結ぶ方向に対応する。
【0065】
(3-1)全体構成
図5~
図7に示す換気装置(40)は、コンテナ本体(2)の庫内空間(3)を換気するコンテナ用換気装置である。本実施形態の換気装置(40)は、室外空気である庫外空気を庫内空間(3)に供給する給気の機能と、庫内空気を庫外空間(5)へ排出する排気の機能とを有する。
【0066】
図2に示すように、換気装置(40)は、ケーシング本体(12)の前面に形成される換気取付口(6)に設けられる。換気取付口(6)は、ケーシング本体(12)を前後に貫通する。換気取付口(6)は、庫外ケーシング(16)、断熱層(17)、および庫内ケーシング(18)に亘って形成される。
【0067】
換気装置(40)には、給気通路(P1)と排気通路(P2)とが形成される。給気通路(P1)および排気通路(P2)は、庫内空間(3)と庫外空間(5)とを連通する。具体的には、給気通路(P1)の流入端は、庫外空間(5)と連通する。給気通路(P1)の流出端は、内部通路(19)における庫内ファン(30)の一次側(上流側)と連通する。排気通路(P2)の流入端は、内部通路(19)における庫内ファン(30)の二次側(下流側)と連通する。排気通路(P2)の流出端は、庫外空間(5)と連通する。
【0068】
図5および
図7に示すように、換気装置(40)は、後側から前側に向かって順に、換気ケース(41)、駆動機構(70)と、給気ダクト(45)および排気ダクト(46)と、ベース部(47)と、エッジ形成部材(50)と、パッキン(65)と、蓋(60)とを有する。
【0069】
(3-2)換気ケース
換気ケース(41)は、駆動機構(70)、給気ダクト(45)、および排気ダクト(46)を収容する。換気ケース(41)は、矩形筒状の枠体(41a)と、枠体(41a)の後側の開口を閉塞する側板(41b)と、枠体(41a)の前縁から径方向外方に延出するフランジ(41c)とを有する。枠体(41a)は、断熱層(17)の内部に埋設される。側板(41b)は、矩形板状である。側板(41b)の上部には、ケース側給気開口(42)が形成される。側板(41b)の下部には、ケース側排気開口(43)が形成される。ケース側給気開口(42)とケース側排気開口(43)とは、左右に横長の長方形状である。
【0070】
ケース側給気開口(42)は、給気通路(P1)の一部を構成する。ケース側給気開口(42)は、内部通路(19)における庫内ファン(30)の一次側(上流側)に向かって開口する。ケース側排気開口(43)は、排気通路(P2)の一部を構成する。ケース側排気開口(43)は、内部通路(19)における庫内ファン(30)の二次側(下流側)に向かって開口する。
【0071】
側板(41b)の中央部には、収容枠(44)が設けられる。収容枠(44)は、側板(41b)から前方に突出する筒状である。収容枠(44)の内部には駆動機構(70)が配置される。
【0072】
(3-3)給気ダクトおよび排気ダクト
給気ダクト(45)は、給気通路(P1)の一部を構成する。排気ダクト(46)は、排気通路(P2)の一部を構成する。給気ダクト(45)および排気ダクト(46)は、換気ケース(41)の内部に収容される。給気ダクト(45)および排気ダクト(46)は、左右に横長の筒状である。給気ダクト(45)および排気ダクト(46)は、前側に向かうについて通路断面が縮小している。給気ダクト(45)は、ケース側給気開口(42)と接続するように側板(41b)に取り付けられる。排気ダクト(46)は、ケース側排気開口(43)と接続するように側板(41b)に取り付けられる。
【0073】
(3-4)ベース部
ベース部(47)は、換気ケース(41)の前側の開放部を閉塞する。ベース部(47)は、庫外空間(5)に面しており、庫外ケーシング(16)の一部を構成する。ベース部(47)は、アルミニウム材料で構成される。ベース部(47)は、矩形板状の基板(47a)と、基板(47a)の中央部から後方に凹んだ円形状のベース側凹部(47b)とを有する。基板(47a)は、換気ケース(41)のフランジ(41c)に締結される。基板(47a)は、庫外空間(5)に露出する。
【0074】
ベース側凹部(47b)の内部には、前後に扁平な円柱状の空間が形成される。ベース側凹部(47b)の後側の部分である底部には、給気口(48)および排気口(49)が形成される。給気口(48)および排気口(49)は、軸心(X)の軸周りに形成される。給気口(48)は、ベース側凹部(47b)の上部に形成され、排気口(49)は、ベース側凹部(47b)の下部に形成される。給気口(48)および排気口(49)は、略扇状である。給気口(48)および排気口(49)は、周方向に延びている。給気口(48)および排気口(49)は、軸心(X)を挟んで互いに対向する位置にある。
【0075】
給気口(48)は、給気ダクト(45)に接続する。給気口(48)は、給気通路(P1)の一部を構成する。排気口(49)は、排気ダクト(46)に接続する。排気口(49)は、排気通路(P2)の一部を構成する。給気口(48)および排気口(49)は、コンテナ本体(2)庫内空間(3)と、庫外空間(5)とを連通するための換気口(VO)を構成する。
【0076】
ベース側凹部(47b)の底部の中央部には、第1挿通穴(47c)が形成される。第1挿通穴(47c)は円形状である。
【0077】
(3-5)エッジ形成部材
エッジ形成部材(50)は、パッキン(65)のシール性を向上させる機能を有する。エッジ形成部材(50)は、ベース部(47)とパッキン(65)の間に配置される。エッジ形成部材(50)は、ABS樹脂などの樹脂材料で構成される。エッジ形成部材(50)は、第1挿通穴(47c)に嵌め込まれる筒状のボス部(51)と、ボス部(51)の前端から径方向外方に延出するエッジ形成板(52)とを有する。本実施形態では、エッジ形成部材(50)がベース部(47)に固定される。
【0078】
エッジ形成板(52)は、円板部(52a)と、円板部(52a)から径方向外方に延出する第1延出部(52b)および第2延出部(52c)を有する。円板部(52a)は、エッジ形成板(52)の中央部に形成される。軸方向から見る場合に、円板部(52a)は円形状であり、第1延出部(52b)および第2延出部(52c)は、略扇状、あるいは円弧状である。第1延出部(52b)および第2延出部(52c)は、周方向に等間隔を置いて配置される。第1延出部(52b)および第2延出部(52c)は、軸心(X)を挟んで互いに対向する位置にある。
【0079】
円板部(52a)にには、第2挿通穴(52d)が形成される。第2挿通穴(52d)は、軸方向からみる場合に円形状である。
【0080】
第1延出部(52b)には、給気連通口(53)が形成され、第2延出部(52c)には、排気連通口(54)が形成される。給気連通口(53)は、給気口(48)と形状および大きさが略等しい。給気連通口(53)は、給気口(48)と軸方向に重なる。排気連通口(54)は、排気口(49)と形状および大きさが略等しい。排気連通口(54)は、排気口(49)と軸方向に重なる。
図6に示すように、エッジ形成板(52)の前面には、凸部(55)が形成される。凸部(55)の詳細は後述する。
【0081】
(3-6)蓋
蓋(60)は、庫外空間(5)に面するようにベース側凹部(47b)の内部に配置される。蓋(60)は、換気口である給気口(48)および排気口(49)を開閉する。蓋(60)は、軸心(X)を中心とする円板状である。蓋(60)は、駆動機構(70)によって駆動されることで、回転運動と往復運動とを行う。回転運動では、蓋(60)が軸心(X)を中心に回転する。往復運動では、蓋(60)が軸心(X)に沿って軸方向に移動する。蓋(60)は、例えばアルミニウム材料で構成される。
【0082】
蓋(60)には、開口である蓋側給気開口(61)および蓋側排気開口(62)が形成される。蓋側給気開口(61)および蓋側排気開口(62)は、略扇状である。蓋側給気開口(61)および蓋側排気開口(62)は、周方向に延びている。蓋側給気開口(61)および蓋側排気開口(62)は、軸心(X)を挟んで互いに対向する位置にある。蓋側給気開口(61)は、給気口(48)および給気連通口(53)と形状および大きさが略等しい。蓋側排気開口(62)は、排気口(49)および排気連通口(54)と形状および大きさが略等しい。
【0083】
蓋側給気開口(61)は、蓋(60)の回転に伴い、給気口(48)および給気連通口(53)と連通可能に構成される。蓋側排気開口(62)は、蓋(60)の回転に伴い、排気口(49)および排気連通口(54)と連通可能に構成される。蓋側給気開口(61)は、給気通路(P1)の一部を構成し、蓋側排気開口(62)は、排気通路(P2)の一部を構成する。蓋側給気開口(61)および蓋側排気開口(62)は、換気口(VO)と重なる面積が調節される蓋側開口(CO)を構成する。
【0084】
(3-7)パッキン
パッキン(65)は、ベース側凹部(47b)の内部に配置される。パッキン(65)は、ベース部(47)と蓋(60)との間において換気口である給気口(48)および排気口(49)を囲む位置に形成される。厳密には、パッキン(65)は、蓋(60)とエッジ形成板(52)との間に配置され、給気連通口(53)および排気連通口(54)を囲む位置に形成される。パッキン(65)は、蓋(60)とベース部(47)との間の隙間をシールする。シール部材(65)は、庫外空間(5)と庫内空間(3)とが隙間を通じて連通することを抑制する。
【0085】
パッキン(65)は、軸心(X)を中心とする円板状である。パッキン(65)は、蓋(60)の後面に固定される。パッキン(65)は、弾性を有する樹脂材料で構成される。パッキン(65)は、軸方向(厚さ方向)に圧縮されることで弾性変形する。パッキン(65)は、独立気泡体であることが好ましく、例えばポリエチレンフォームで構成される。
【0086】
パッキン(65)には、パッキン側給気開口(66)と、パッキン側排気開口(67)と、中央穴(68)とが形成される。パッキン側給気開口(66)は、蓋側給気開口(61)と形状および大きさが略等しい。蓋(60)の後側にパッキン(65)が固定された状態では、蓋側給気開口(61)の全体とパッキン側給気開口(66)の全体とが軸方向に重なる。パッキン側排気開口(67)は、蓋側排気開口(62)と形状および大きさが略等しい。蓋(60)の後側にパッキン(65)が固定された状態では、蓋側排気開口(62)の全体とパッキン側排気開口(67)の全体とが軸方向に重なる。中央穴(68)は、第1挿通穴(47c)および第2挿通穴(52d)と形状および大きさが略等しい。中央穴(68)は、第1挿通穴(47c)及び第2挿通穴(52d)と軸方向に重なる。
【0087】
パッキン(65)は、蓋(60)とともに回転可能に構成される。パッキン側給気開口(66)は、蓋(60)の回転に伴い、給気口(48)および給気連通口(53)と連通可能に構成される。パッキン側排気開口(67)は、蓋(60)の回転に伴い、排気口(49)および排気連通口(54)と連通可能に構成される。パッキン側給気開口(66)は、給気通路(P1)の一部を構成し、パッキン側排気開口(67)は、排気通路(P2)の一部を構成する。
【0088】
(3-8)駆動機構
駆動機構(70)の構成について、
図5~
図12を参照しながら説明する。
【0089】
(3-8-1)全体構成
駆動機構(70)は、蓋(60)を駆動する。駆動機構(70)は、蓋(60)が換気口(VO)を閉じる閉位置と蓋(60)が換気口(VO)を開ける開位置(厳密には全開位置)との間で、蓋(60)を変位させる。駆動機構(70)は、駆動源であるモータ(71)と、モータ(71)によって駆動される駆動軸(72)とを有する。本実施形態の駆動機構(70)は、駆動軸(72)の回転に伴い蓋(60)を回転させる回転運動と、駆動軸(72)の回転に伴い蓋(60)を軸方向である第1方向に往復移動させる往復運動とを行わせるように構成される。駆動機構(70)は、駆動軸(72)と連結するロッド(73)と、蓋(60)と連結するカム機構(80)とを有する。駆動機構(70)は、駆動ケース(75)と、モータ(71)の出力軸(71a)の回転力を駆動軸(72)に伝える伝達機構(76)とを有する。駆動機構(70)には、蓋(60)をベース部(47)に向かって押し付けるバネ(77)が設けられる。
【0090】
図5および
図7に示すように、上述した収容枠(44)には、筒状の第1収容空間(44a)と、角柱状の第2収容空間(44b)とが形成される。第1収容空間(44a)には、カム機構(80)と駆動軸(72)とが収容される。第2収容空間(44b)には、モータ(71)が収容される。第2収容空間(44b)は、第1収容空間(44a)とは密に仕切られる密閉空間である。これにより、水滴などがモータ(71)の周囲に漏洩することを抑制できる。
【0091】
(3-8-2)モータおよび伝達機構
モータ(71)は、ステッピングモータで構成される。モータ(71)の出力軸(71a)は、軸心(X)と平行に後方に延びている。モータ(71)は、その出力軸(71a)を可逆に回転駆動させる。
【0092】
モータ(71)および駆動軸(72)の後側には、伝達機構(76)が設けられる。本実施形態の伝達機構(76)は、ピニオン(76a)、第1ギア(76b)、および第2ギア(76c)を有する。ピニオン(76a)は、出力軸(71a)に固定される。第1ギア(76b)は、ピニオン(76a)および第2ギア(76c)に歯合する。第2ギア(76c)は、駆動軸(72)の後端部に連結する。モータ(71)の出力軸(71a)が回転すると、この回転力がピニオン(76a)、第1ギア(76b)、および第2ギア(76c)を介して駆動軸(72)に伝達する。これにより、駆動軸(72)がモータ(71)によって回転駆動される。駆動軸(72)は、
図10に示す第1回転方向(R1)と第2回転方向(R2)とに回転可能に構成される。
【0093】
(3-8-3)駆動軸
駆動軸(72)は、第2ギア(76c)から蓋(60)に向かって、蓋(60)の厚さ方向に延びている。駆動軸(72)の軸心(X)の延びる方向は、蓋(60)の厚さ方向、給気通路(P1)および排気通路(P2)の空気の流れ方向に対応する。駆動軸(72)は、例えばSUSなどの金属材料で構成される。
【0094】
駆動軸(72)は、固定板(78)に固定具(79)を介して回転可能に固定される。固定板(78)は、駆動軸(72)を回転可能に支持する。固定具(79)は、駆動軸(72)の軸方向の移動を禁止する。
【0095】
駆動軸(72)における蓋(60)側の端部(前端部)には、円板状の鍔部(72a)が形成される。鍔部(72a)は駆動軸(72)の軸心(X)と同軸である。鍔部(72a)の外径は、駆動軸(72)の外径よりも大きい。鍔部(72a)には、バネ(77)の一端を支える支持板を構成する。
【0096】
(3-8-4)ロッド
図9~
図11に示すように、駆動軸(72)には、3つのロッド(73)が固定される。各ロッド(73)は、駆動軸(72)の外周面から径方向外方に延びる棒状である。各ロッド(73)は、軸心(X)に直角な方向に延びる。3つのロッド(73)は、周方向に等間隔を置いて配置される。
【0097】
ロッド(73)の数は、1つまたは2つであってもよいが、3つ以上であることが好ましい。ロッド(73)を3つ以上とすることで、ロッド(73)とカム機構(80)との間に作用する力を分散できる。これにより、蓋(60)の回転運動や往復運動を安定させることができる。ロッド(73)の数を4つ以上とすると、モータ(71)の負荷トルクが過剰に大きくなる。このことから、ロッド(73)の数は3つであるのがさらに好ましい。
【0098】
各ロッド(73)は、駆動軸(72)と連結するロッド本体(73a)と、ロッド本体(73a)の径方向外方の端部に設けられるリング状のベアリング(73b)とを有する。ベアリング(73b)は、例えばボルト(73c)により、ロッド本体(73a)に回転可能に支持される。ベアリング(73b)は、ロッド本体(73a)の軸心を中心として回転可能に構成される。ベアリング(73b)の回転軸心は、駆動軸(72)の径方向に沿っている。ベアリング(73b)は、カム機構(80)の接触面(82)と接触する。ベアリング(73b)が接触面(82)と接触すると、ベアリング(73b)はその軸心を中心に回転する。これにより、ロッド(73)とカム機構(80)の接触面(82)との間の摩擦力を低減できる。ベアリング(73b)は、カム機構(80)とロッド(73)との間の摩擦力(摩擦抵抗)を低減する低摩擦部を構成する。
【0099】
ベアリング(73b)は、ロッド本体(73a)よりも耐摩耗性が高い材料であることが好ましい。ロッド本体(73a)は、例えばSUSなどの金属材料で構成される。ベアリング(73b)は、例えばポリアセタールなどの樹脂材料で構成される。
【0100】
(3-8-5)カム機構
カム機構(80)は、蓋(60)に連結し、駆動軸(72)の動力を蓋(60)に伝達する。カム機構(80)の外形は、軸心(X)と同軸の円柱状である。カム機構(80)の前端は、蓋(60)の後面の中央部に締結される。
【0101】
カム機構(80)は、軸心(X)と同軸の円筒状の周壁(81)を有する。周壁(81)におけるロッド(73)側の端部には、ロッド(73)の接触部であるベアリング(73b)が接触する接触面(82)が形成される。接触面(82)は、第1伝達部(C1)と第2伝達部(C2)とを含む。第1伝達部(C1)は、駆動軸(72)の回転力を蓋(60)に伝えて蓋(60)を回転運動させるための接触面である。第2伝達部(C2)は、駆動軸(72)の回転力を蓋(60)に伝えて蓋(60)を往復運動させるための接触面である。
【0102】
接触面(82)に関する構造についてさらに詳細に説明する。周壁(81)におけるロッド(73)側の端部には、3つの突起板(83)が形成される。突起板(83)の数は、ロッド(73)の数と同じである。突起板(83)の数は、1つ、2つ、または4つ以上であってもよいし、ロッド(73)の数と異なってもよい。突起板(83)は、周壁(81)と同じ厚みの矩形板状である。
【0103】
接触面(82)のうち周方向に隣り合う各突起板(83)の間の部分は、蓋(60)に向かってV字状に凹んでいる。この凹んだ部分には、その頂部(P)を挟んで第1傾斜面(84)と第2傾斜面(85)とが形成される。頂部(P)は、周壁(81)の接触面(82)のうち蓋(60)と軸方向の距離が最も短い部分である。頂部(P)は、隣り合う突起板(83)の間の周方向の中間位置にある。第1傾斜面(84)は、頂部(P)から第1回転方向(R1)に沿って延びる。第1傾斜面(84)は、第1回転方向(R1)に進むにつれてロッド(73)に近づくように傾斜する。第2傾斜面(85)は、頂部(P)から第2回転方向に沿って延びる。第2傾斜面(85)は、第2回転方向に進むにつれてロッド(73)に近づくように傾斜する。駆動軸(72)の軸心(X)に直角な面に対する第1傾斜面(84)および第2傾斜面(85)の傾斜角度は、互いに等しい。第1傾斜面(84)および第2傾斜面(85)の周方向の長さは、互いに等しい。第1傾斜面(84)および第2傾斜面(85)は、頂部(P)を挟んで対称形状をしている。
【0104】
第1傾斜面(84)および第2傾斜面(85)は、ロッド(73)が接触する第1伝達部(C1)を構成する。第1傾斜面(84)および第2傾斜面(85)は、軸心(X)に直角な面に対して傾斜する。これにより、第1傾斜面(84)および第2傾斜面(85)は、ロッド(73)から作用する回転方向の力を軸方向の力に変換し、蓋(60)に伝える。
【0105】
突起板(83)のうち第1傾斜面(84)寄りの側面には、第1端面(83a)が形成される。第1端面(83a)は、突起板(83)のうち第2回転方向(R2)側を向く面である。突起板(83)のうち第2傾斜面(85)寄りの側面には、第2端面(83b)が形成される。第2端面(83b)は、突起板(83)のうち第1回転方向(R1)側を向く面である。第1端面(83a)および第2端面(83b)は、ロッド(73)が接触する第2伝達部(C2)を構成する。第1端面(83a)および第2端面(83b)は、軸心(X)に沿った面を有することにより、ロッド(73)から作用する回転方向の力を、そのまま蓋(60)に伝える。
【0106】
接触面(82)における第1傾斜面(84)と第1端面(83a)との間には、第1平坦面(86)が形成される。接触面(82)における第2傾斜面(85)と第2端面(83b)との間には、第2平坦面(87)が形成される。第1平坦面(86)および第2平坦面(87)は、軸心(X)に直角な面に沿っている。第1平坦面(86)および第2平坦面(87)の周方向の長さは、ロッド(73)の接触部の直径、具体的には、ベアリング(73b)の直径とほぼ等しい。
【0107】
図8に示すように、カム機構(80)の内部には、略円板状の内板(90)が形成される。内板(90)の中央部には、ロッド(73)側に凹んだ環状凹部(91)と、蓋(60)側に突出する環状凸部(92)とが形成される。環状凹部(91)の底部である支持底板(91a)の中央部には、駆動軸(72)が貫通する軸穴(91b)が形成される。環状凸部(92)は、駆動軸(72)を囲む筒状である。上述した鍔部(72a)、環状凹部(91)の支持底板(91a)、環状凸部(92)、および駆動軸(72)の間には、バネ(77)が収容されるバネ収容空間(93)が形成される。
【0108】
図9示すように、カム機構(80)の支持底板(91a)におけるロッド(73)側の面には、複数のリブ(94)が設けられる。複数のリブ(94)は、環状凹部(91)の外周面から周壁(81)の内周面に亘って径方向に延びている。複数のリブ(94)は、周方向に等間隔を置いて配列される。リブ(94)は、バネ(77)の押し付け力が作用する支持底板(91a)を補強する補強部を構成する。
【0109】
(3-8-5)バネ
図8に示すように、本実施形態のバネ(77)は、駆動機構(70)に設けられる。バネ(77)は、蓋(60)をベース部(47)に向かって押し付ける押付部を構成する。バネ(77)は、螺旋状である。バネ(77)は、軸心(X)を中心として旋回することで、全体として軸方向に延びている。バネ(77)は、例えばSUSやタングステンなどの金属線材で構成される。
【0110】
バネ(77)の内部には、駆動軸(72)が配置される。言い換えると、バネ(77)は、駆動軸(72)を囲むように旋回する螺旋状である。
【0111】
バネ(77)の一端は、駆動軸(72)の鍔部(72a)に接触する。バネ(77)の一端は、鍔部(72a)に固定されてもよいし、固定されていなくてもよい。バネ(77)の他端は、支持底板(91a)に接触する。このように、バネ(77)は、鍔部(72a)と支持底板(91a)との間に挟み込まれて保持される。鍔部(72a)および支持底板(91a)は、互いに対向し、バネ(77)を保持する第1面と第2面とを形成する。第1面は、駆動軸(72)に設けられ、第2面は、蓋(60)と連結するカム機構(80)に設けられる。
【0112】
駆動軸(72)は、上述したように、軸方向の移動が禁止されている。このため、バネ(77)の付勢力は、カム機構(80)を後方に移動させるように作用する。この付勢力によって、カム機構(80)と連結する蓋(60)は、ベース部(47)側に向かって押し付けられる。蓋(60)がベース部(47)に押し付けられると、蓋(60)とベース部(47)との間のパッキン(65)が厚さ方向に圧縮する。これにより、パッキン(65)のシール性が向上する。
【0113】
(3-9)エッジ形成板の詳細
図6、
図12、および
図13に示すように、パッキン(65)とベース部(47)との間には、パッキン(65)に向かって突出する凸部(55)が設けられる。凸部(55)は、パッキン(65)に向かうにつれて細くなるテーパ状である。凸部(55)は、パッキン(65)を圧縮することで、パッキン(65)のシール性を向上させる。凸部(55)は、給気連通口(53)に対応する給気側凸部(56)と、排気連通口(54)に対応する排気側凸部(55)と、第2挿通穴(52d)に対応する中央凸部(58)を含む。
【0114】
給気側凸部(56)は、給気連通口(53)を囲む閉ループ状である。給気側凸部(56)は、蓋(60)が全閉位置であるときに、パッキン(65)における給気連通口(53)の外縁に対応する部分と線接触する。これにより、パッキン(65)と給気連通口(53)の外縁との間のシール性が向上する。
【0115】
排気側凸部(57)は、排気連通口(54)を囲む閉ループ状である。排気側凸部(57)は、蓋(60)が全閉位置であるときに、パッキン(65)における排気連通口(54)の外縁に対応する部分と線接触する。これにより、パッキン(65)と排気連通口(54)の外縁との間のシール性が向上する。
【0116】
給気側凸部(56)および排気側凸部(57)の構造は基本的に同じであるが、両者は異なる構造であってもよい。給気側凸部(56)および排気側凸部(57)は、外周部(55a)、内周部(55b)、第1側縁部(55c)、および第2側縁部(55d)をそれぞれ有する。外周部(55a)は、エッジ形成板(52)の外周縁の近傍に位置する。外周部(55a)は、軸方向から見る場合に、エッジ形成板(52)の外周縁に沿った円弧状である。内周部(55b)は、エッジ形成板(52)の内周縁、すなわち第2挿通穴(52d)の近傍に位置する。内周部(55b)は、エッジ形成板(52)の内周縁に沿った円弧状である。
【0117】
第1側縁部(55c)は、外周部(55a)および内周部(55b)の周方向の各一端と連続する。ここでいう、各一端は、第1回転方向(R1)の端部に対応する。第1側縁部(55c)は、外周部(55a)の一端と内周部(55b)の一端とに亘るように略直線状に延びている。
【0118】
第2側縁部(55d)は、外周部(55a)および内周部(55b)の周方向の各他端と連続する。ここでいう、各他端は、第2回転方向(R2)の端部に対応する。第2側縁部(55d)は、外周部(55a)の他端と内周部(55b)の他端とに亘るように略円弧状に延びている。第2側縁部(55d)は、第1回転方向(R1)に向かって膨出する円弧状である。
【0119】
中央凸部(58)は、第2挿通穴(52d)を囲む閉ループ状である。中央凸部(58)は、パッキン(65)における第2挿通穴(52d)の外縁に対応する部分と線接触する。これにより、パッキン(65)と第2挿通穴(52d)の外縁との間のシール性が向上する。
【0120】
凸部(55)の突出高さは、蓋(60)の中央部から該蓋(60)の外縁に向かうにつれて高くなる。言い換えると、凸部(55)の突出高さは、エッジ形成板(52)の径方向外方に向かうにつれて高くなる。ここで、バネ(77)は、軸方向から見る場合に、蓋(60)の中央部をベース部(47)に向かって押し付ける。このため、蓋(60)に作用する押し付け力は、蓋(60)の中央部から外縁に向かって小さくなる。その結果、バネ(77)に起因するパッキン(65)の圧縮力は、蓋(60)の中央部から外縁に向かって小さくなってしまう。これに対し、凸部(55)の突出高さを、エッジ形成板(52)の径方向外方に向かうにつれて高くすることで、パッキン(65)の圧縮力を径方向の全体に亘って均一化できる。その結果、パッキン(65)によるシール性を向上できる。
【0121】
具体的には、
図13に示ように、外周部(55a)の突出高さh1は、内周部(55b)の突出高さh2、中央凸部(58)の突出高さをh3とすると、h1はh2より大きく、h2はh3より大きい。外周部(55a)の突出高さh1は、その全体に亘って等しい。内周部(9の突出高さh2は、その全体に亘って等しい。中央凸部(58)の突出高さは、その全体に亘って等しい。
【0122】
第1側縁部(55c)の突出高さh4は、蓋(60)の中央部から該蓋(60)の外縁に向かうにつれて高くなる。言い換えると、第1側縁部(55c)の突出高さh4は、エッジ形成板(52)の径方向外方に向かうにつれて高くなる。
【0123】
第2側縁部(55d)のの突出高さh5は、蓋(60)の中央部から該蓋(60)の外縁に向かうにつれて高くなる。言い換えると、第2側縁部(55d)の突出高さh5は、エッジ形成板(52)の径方向外方に向かうにつれて高くなる。
【0124】
(3-10)制限機構
換気装置(40)は、ベース部(47)に対する蓋(60)の回転を制限するための制限機構を有する。
図6に示すように、制限機構は、蓋(60)に設けられる第1蓋側凸部(63)および第2蓋側凸部(64)と、ベース部(47)に設けられる第1ピン(95)および第2ピン(96)を有する。
【0125】
第1蓋側凸部(63)と第2蓋側凸部(64)とは、蓋(60)の外縁から径方向外方に突出する。第1蓋側凸部(63)および第2蓋側凸部(64)は、周方向に約90度ずれている。第1蓋側凸部(63)は、蓋(60)の外縁のうち蓋側給気開口(61)の付近に配置される。第2蓋側凸部(64)は、蓋(60)の外縁のうち蓋側給気開口(61)と蓋側排気開口(62)との周方向における間の部分の付近に配置される。
【0126】
第1ピン(95)および第2ピン(96)は、ベース部(47)の基板(47a)に形成される。第1ピン(95)および第2ピン(96)は、基板(47a)から軸方向の一端である前方に向かって突出する。第1ピン(95)および第2ピン(96)は、周方向に約180度ずれている。第1ピン(95)および第2ピン(96)は、ベース側凹部(47b)の外縁に配置される。第1ピン(95)は、第1ピン(95)は、給気口(48)よりも第2回転方向(R2)に約90°ずれる位置にあり、第2ピン(96)は、排気口(49)よりも第2回転方向(R2)に約90°ずれる位置にある。
【0127】
図15(A)に示すように、第1蓋側凸部(63)と第1ピン(95)とは、蓋(60)が換気口(VO)を全閉する第1回転角度(θ1)にあるときに互いに接触する。具体的には、第1蓋側凸部(63)における第2回転方向(R2)側の側縁と、第1ピン(95)とが接触する。これにより、第1回転角度(θ1)の蓋(60)が、第2回転方向(R2)にさらに回転することが、第1蓋側凸部(63)および第1ピン(95)によって制限される。第1蓋側凸部(63)および第1ピン(95)は、換気口(VO)を全閉する蓋(60)が換気口(VO)を閉じる方向に回転することを制限する第1制限機構を構成する。
【0128】
図15(C)に示すように、第2蓋側凸部(64)と第2ピン(96)とは、蓋(60)が開口(CO)を全開する第2回転角度(θ2)にあるときに互いに接触する。具体的には、第2蓋側凸部(64)における第1回転方向(R1)側の側縁と、第2ピン(96)とが接触する。これにより、第2回転角度(θ2)の蓋(60)が、第1回転方向(R1)にさらに回転することが、第2蓋側凸部(64)および第2ピン(96)によって制限される。第2蓋側凸部(64)および第2ピン(96)は、換気口(VO)を全開する蓋(60)が換気口(VO)を開ける方向に回転することを制限する第2制限機構を構成する。
【0129】
以上の構成により、本実施形態の蓋(60)は、第1回転角度(θ1=0°)から第2回転角度(θ2=90°)の範囲において、回転角度が調節可能に構成される。
【0130】
(4)冷媒漏洩センサおよび制御部
図4に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、冷媒漏洩センサ(110)および制御部(100)を備える。冷媒漏洩センサ(110)は、冷媒回路(R)からの冷媒の漏洩を検出する。具体的に、冷媒漏洩センサ(110)は、その周囲の冷媒の濃度が所定値以上に至ると、検出信号を制御部(100)に出力する。
図2に示すように、冷媒漏洩センサ(110)は、庫内収容空間(15)に配置される。具体的には、例えば冷媒漏洩センサ(110)は、内部通路(19)において、庫内熱交換器(29)よりも空気流れの下流側に配置される。
【0131】
制御部(100)は、コンテナ用冷凍装置(10)を制御する。制御部(100)は、マイクロプロセッサ(Micro Processor)、電気回路、電子回路を含む。マイクロプロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、通信インターフェース、アナログ入出力、および接点入出力インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラム、およびプログラムが使用するデータが記憶されている。
【0132】
制御部(100)は、コンテナ用冷凍装置(10)の機械要素を制御する。制御部(100)は、換気装置(40)の駆動機構(70)を制御する。具体的には、制御部(100)は、蓋(60)の回転角度(現在回転角度(θc))が、設定された目標値(目標回転角度(θt))に収束するように、駆動機構(70)を制御する。
図4に示すように、この目標値は、コンテナ用冷凍装置(10)のユーザが、操作部(101)を介して任意に設定できる値であってもよい。操作部(101)は、例えばコンテナ用冷凍装置(10)に設けられるタッチパネル、リモートコントローラ、ディップスイッチで構成される。操作部(101)は、ネットワークを介してコンテナ用冷凍装置(10)と接続する通信端末であってもよい。目標値は、ユーザが必ずしも設定しなくてもよく、例えば運転モードや運転条件に応じて制御部(100)が自動的に決定する値であってもよい。
【0133】
制御部(100)は、冷媒漏洩センサ(110)が冷媒の漏洩を検知すると、前記蓋(60)が閉位置となるように駆動機構(70)を制御する。
【0134】
(5)換気装置の基本動作
換気装置(40)では、蓋(60)が往復運動と回転運動を行う。まず、これらの運動について、主として
図14および
図15を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「軸方向の一端」は、駆動軸(72)の軸方向において蓋(60)に近い側の端部を意味し、「軸方向の他端」は、駆動軸(72)の軸方向において蓋(60)と遠い側の端部を意味する。
【0135】
(5-1)往復運動
往復運動では、ロッド(73)と第2伝達部(C2)との接触により、ロッド(73)に対するカム機構(80)の軸方向の位置が変化する。これに伴い、カム機構(80)と連結する蓋(60)と、ベース部(47)との軸方向の相対位置が変換する。往復運動は、第1傾斜面(84)に対応する第1往復運動と、第2傾斜面(85)に対応する第2往復運動とがある。
【0136】
(5-1-1)第1往復運動
図14(A)に示すように、駆動機構(70)のロッド(73)がカム機構(80)の頂部(P)に位置する場合、カム機構(80)は軸方向において最も他端側に位置する。この状態では、蓋(60)とベース部(47)との間の軸方向の距離が最も短くなる。その結果、パッキン(65)は蓋(60)とベース部(47)との間に挟み込まれ、パッキン(65)が蓋(60)によってベース部(47)側に押し付けられる。
図14(A)に示す位置は、蓋(60)がパッキン(65)を圧縮する第1位置である。
【0137】
図14(A)の状態から、モータ(71)が駆動軸(72)、さらにはロッド(73)を第1回転方向(R1)に回転させると、ロッド(73)と第1傾斜面(84)とが接触する。ロッド(73)が第1回転方向(R1)に移動し頂部(P)から離れるにつれて、カム機構(80)は軸方向の一端側に移動する。
【0138】
ロッド(73)が第1回転方向(R1)にさらに移動すると、ロッド(73)が第1平坦面(86)に到達する。さらにロッド(73)が第1回転方向(R1)に回転することで、
図14(B)に示ように、ロッド(73)と、突起板(83)の第1端面(83a)とが接触する。この状態では、カム機構(80)は軸方向において最も一端側に位置する。その結果、蓋(60)とベース部(47)との間の軸方向の距離が最も長くなり、パッキン(65)がベース部(47)から離れる。
図14(B)に示す位置は、第1位置よりも蓋(60)がベース部(47)から遠くなる第2位置に対応する。蓋(60)が第2位置にあると、蓋(60)によるパッキン(65)の圧縮が解除される。
【0139】
図14(B)の状態から、モータ(71)が、駆動軸(72)、さらにはロッド(73)を第2回転方向(R2)に回転させると、ロッド(73)と第1傾斜面(84)とが接触する。ロッド(73)が第2回転方向(R2)に移動し頂部(P)に近づくにつれて、カム機構(80)は軸方向の他端側に移動する。
図14(A)に示すように、ロッド(73)が頂部(P)に達すると、パッキン(65)が蓋によって圧縮される。
【0140】
第1往復運動において、ロッド(73)と第1傾斜面(84)とが接触する第1回転角度範囲(θd1)は45°に設定される。言い換えると、
図14(A)の位置のロッド(73)を
図14(B)の位置に移動させるには、駆動軸(72)を第1回転方向(R1)に第1回転角度範囲(θd1)回転させる必要がある。
【0141】
(5-1-2)第2往復運動
図14(A)の状態から、モータ(71)が駆動軸(72)、さらにはロッド(73)を第2回転方向(R2)に回転させると、ロッド(73)と第2傾斜面(85)とが接触する。ロッド(73)が第2回転方向(R2)に移動し頂部(P)から離れるにつれて、カム機構(80)は軸方向の一端側に移動する。
【0142】
ロッド(73)が第2回転方向(R2)にさらに移動すると、ロッド(73)が第2平坦面(87)に到達する。さらにロッド(73)が第2回転方向(R2)に回転することで、
図14(C)に示ように、ロッド(73)と、突起板(83)の第2端面(83b)とが接触する。この状態では、カム機構(80)は軸方向において最も一端側に位置する。その結果、蓋(60)とベース部(47)との間の軸方向の距離が最も長くなり、パッキン(65)がベース部(47)から離れる。
図14(C)に示す位置は、第1位置よりも蓋(60)がベース部(47)から遠くなる第2位置に対応する。蓋(60)が第2位置にあると、蓋(60)によるパッキン(65)の圧縮が解除される。
【0143】
図14(C)の状態から、モータ(71)が、駆動軸(72)、さらにはロッド(73)を第1回転方向(R1)に回転させると、ロッド(73)と第2傾斜面(85)とが接触する。ロッド(73)が第1回転方向(R1)に移動し頂部(P)に近づくにつれて、カム機構(80)は軸方向の他端側に移動する。
図14(A)に示すように、ロッド(73)が頂部(P)に達すると、パッキン(65)が蓋によって圧縮される。
【0144】
第2往復運動において、ロッド(73)と第2傾斜面(85)とが接触する第2回転角度範囲(θd2)は45°に設定される。言い換えると、
図14(A)の位置のロッド(73)を
図14(C)の位置に移動させるには、駆動軸(72)を第2回転方向(R2)に第2回転角度範囲(θd2)回転させる必要がある。
【0145】
(5-2)回転運動
回転運動では、ロッド(73)の回転力が突起板(83)に作用することで、カム機構(80)の回転角度、ひいては蓋(60)の回転角度が変化する。回転運動は、蓋(60)が換気口(VO)の回動を増大させる第1回転運動と、蓋(60)が換気口(VO)の開度を縮小させる第2回転運動とがある。
【0146】
(5-2-1)第1回転運動
ロッド(73)が
図14(B)の位置にあるときに、駆動軸(72)が第1回転方向(R1)に回転することで、ロッド(73)の回転力がカム機構(80)に作用し、蓋(60)が第1回転運動を行う。具体的には、ロッド(73)が突起板(83)の第1端面(83a)に接触しながらさらに第1回転方向(R1)に移動することで、カム機構(80)、さらには蓋(60)が第1回転方向(R1)に回転する。すると、蓋(60)は、
図15(A)、
図15(B)、
図15(C)の順に回転する。これに伴い、蓋側開口(CO)と換気口(VO)とが軸方向に重なる面積が大きくなる。その結果、換気口(VO)の実質的な開口面積が増大し、換気装置(40)の換気量が大きくなる。
【0147】
図15(A)の蓋(60)の位置は、換気口(VO)を全閉する閉位置である。この状態では、蓋側開口(CO)の全体がベース部(47)によって閉塞される。具体的には、蓋側給気開口(61)の全体がベース部(47)と軸方向に重なり、蓋側排気開口(62)の全体がベース部(47)と軸方向に重なる。
【0148】
図15(C)の蓋(60)の位置は、蓋(60)が換気口(VO)を全開する開位置(厳密には全開位置)である。この状態では、蓋側開口(CO)の全体と換気口(VO)の全体が軸方向に重なる。具体的には、蓋側給気開口(61)の全体と給気口(48)の全体が軸方向に重なり、蓋側排気開口(62)の全体と排気口(49)の全体が軸方向に重なる。
【0149】
さらにこの状態では、蓋側開口(CO)が、
図12に示すエッジ形成板(52)の凸部(55)に囲まれる。その結果、蓋側開口(CO)の内部と外部との間での空気や水の漏れを抑制できる。
【0150】
具体的には、蓋側給気開口(61)およびパッキン側給気開口(66)は、軸方向から見る場合に、給気側凸部(56)に囲まれる。これにより、給気側凸部(56)は、パッキン(65)のうちパッキン側給気開口(66)の外縁を圧縮するので、この部分での空気や水の漏れを抑制できる。
【0151】
蓋側排気開口(62)およびパッキン側排気開口(67)は、軸方向から見る場合に、排気側凸部(55)に囲まれる。これにより、排気側凸部(55)は、パッキン(65)のうちパッキン側排気開口(67)の外縁を圧縮するので、この部分での空気や水の漏れを抑制できる。
【0152】
図15(B)の蓋(60)の位置は、閉位置と開位置との間の中間位置である。中間位置の蓋(60)は、換気口(VO)を所定の開口面積(開度)で開口させる。
【0153】
(5-2-2)第2回転運動
ロッド(73)が
図14(C)の位置にあるときに、駆動軸(72)が第2回転方向(R1)に回転することで、ロッド(73)の回転力がカム機構(80)に作用し、蓋(60)が第2回転運動を行う。具体的には、ロッド(73)が突起板(83)の第2端面(83b)に接触しながらさらに第2回転方向(R2)に移動することで、カム機構(80)、さらには蓋(60)が第2回転方向(R2)に回転する。すると、蓋(60)は、
図15(C)、
図15(B)、
図15(A)の順に回転する。これに伴い、蓋側開口(CO)と換気口(VO)とが軸方向に重なる面積が小さくなる。その結果、換気口(VO)の実質的な開口面積が減少し、換気装置(40)の換気量が小さくなる。
【0154】
(5-3)制御動作
換気装置(40)の制御動作について詳細に説明する。制御部(100)は、蓋(60)の回転角度を
図15(A)に示す第1回転角度(θ1=0°)から
図15(C)に示す第2回転角度(θ2=90°)までの範囲で制御する。制御部(100)は、蓋(60)の現在回転角度(θc)が目標値(目標回転角度(θt))になるように駆動機構(70)を制御する。制御動作の開始時には、ロッド(73)が頂部(P)に位置し、蓋(60)がパッキン(65)を圧縮する第1位置(
図14(A)の位置)となる。
【0155】
(5-3-1)基本制御
図16に示すように、換気装置(40)の制御動作では、ステップS11において、制御部(100)は、現在回転角度(θc)が既に設定されているか否かを判定する。ステップS11において現在回転角度(θc)が設定されてない場合、処理は、詳細は後述するイニシャライズ制御に移行する。ステップS11において現在回転角度(θc)が設定されている場合、処理は、ステップS12に移行する。
【0156】
ステップS12では、制御部(100)は、現在回転角度(θc)が目標回転角度(θt)と等しいか否かを判定する。目標回転角度(θt)は、0°~90°の範囲の所定値である。現在回転角度(θc)が目標回転角度(θt)と等しい場合、処理はステップS17に移行する。ステップS17では、目標回転角度(θt)が現在回転角度(θc)として設定される。設定された現在回転角度(θc)は、制御部(100)にあるメモリなどの記憶部に記憶される。ステップS12において、現在回転角度(θc)が目標回転角度(θt)と等しくない場合、処理はステップS13に移行する。
【0157】
ステップS13において目標回転角度(θt)が現在回転角度(θc)より大きい場合、駆動機構(70)は、ステップS14の第1動作と、ステップS15の第2動作とを連続的に行う。
【0158】
ステップS14の第1動作では、駆動機構(70)は、
図14(A)に示す第1位置の蓋(60)を、
図14(B)に示す第2位置まで移動させる。具体的には、駆動機構(70)は、駆動軸(72)を第1回転方向(R1)に第1回転角度範囲(θd1)回転させる。これにより、蓋(60)によるパッキン(65)の圧縮力が解除、あるいは小さくなる。
【0159】
ステップS15の第2動作では、駆動機構(70)は、蓋(60)を第2位置に維持しながら蓋(60)を目標回転角度(θt)まで回転させる。具体的には、駆動機構(70)は、駆動軸(72)を第1回転方向(R1)に、目標回転角度(θt)と現在回転角度(θc)の差分(θt-θc)回転させる。
【0160】
このとき、蓋(60)は
図14(B)に示す第2位置にあるので、蓋(60)が第1位置にあるときと比較して、パッキン(65)に作用する摩擦力(摩擦抵抗)を低減できる。その結果、蓋(60)を回転させるための動力を低減できる。加えて、パッキン(65)とベース部(47)の接触部分での摩耗を抑制できる。
【0161】
次いで、ステップS16では、駆動機構(70)は、蓋(60)を目標回転角度(θt)に維持しながら第1位置に移動させる第3動作を行う。具体的に、ステップS16では、駆動機構(70)は、駆動軸(72)を第2回転方向(R2)に第1回転角度範囲(θd1)回転させる。これにより、蓋(60)がベース部(47)に最も近づき、パッキン(65)が圧縮される。
【0162】
このように、蓋(60)が目標回転角度(θt)に到達した後には、駆動機構(70)が蓋(60)を第1位置に戻す。このため、振動などに起因して蓋(60)がぐらつくのを抑制できる。加えて、パッキン(65)のシール性を向上できるので、蓋(60)とベース部(47)との間の隙間から、空気や水が漏洩することを抑制できる。
【0163】
ステップS16の後、ステップS17に移行すると、目標回転角度(θt)が現在回転角度(θc)として設定される。
【0164】
ステップS13において目標回転角度(θt)が現在回転角度(θc)より小さい場合、駆動機構(70)は、ステップS18の第1動作と、ステップS19の第2動作とを連続的に行う。
【0165】
ステップS18の第1動作では、駆動機構(70)は、
図14(A)に示す第1位置の蓋(60)を
図14(C)に示す第2位置まで移動させる。具体的には、駆動機構(70)は、駆動軸(72)を第2回転方向(R2)に第2回転角度範囲(θd2)回転させる。これにより、蓋(60)によるパッキン(65)の圧縮力が解除、あるいは小さくなる。
【0166】
ステップS19の第2動作では、駆動機構(70)は、蓋(60)を第2位置に維持しながら目標回転角度(θt)まで回転させる。具体的には、駆動機構(70)は、駆動軸(72)を第2回転方向(R2)に、現在回転角度(θc)と目標回転角度(θt)の差分(θc-θt)回転させる。
【0167】
このとき、蓋(60)は
図14(C)に示す第2位置にあるので、蓋(60)が第1位置にあるときと比較して、パッキン(65)に作用する摩擦力(摩擦抵抗)を低減できる。その結果、蓋(60)を回転させるための動力を低減できる。加えて、パッキン(65)とベース部(47)の接触部分での摩耗を抑制できる。
【0168】
次いで、ステップS20では、駆動機構(70)は、蓋(60)を目標回転角度(θt)に維持しながら第1位置に移動させる第3動作を行う。具体的に、ステップS20では、駆動機構(70)は、駆動軸(72)を第1回転方向(R1)に第2回転角度範囲(θd2)回転させる。これにより、蓋(60)がベース部(47)に最も近づき、パッキン(65)が圧縮される。
【0169】
このように、蓋(60)が目標回転角度(θt)に到達した後には、駆動機構(70)が蓋(60)を第1位置に戻す。このため、振動などに起因して蓋(60)がぐらつくのを抑制できる。加えて、パッキン(65)のシール性を向上できるので、蓋(60)とベース部(47)との間の隙間から、空気や水が漏洩することを抑制できる。
【0170】
ステップS20の後、ステップS17に移行すると、目標回転角度(θt)が現在回転角度(θc)として設定される。
【0171】
(5-3-2)イニシャライズ制御
コンテナ用冷凍装置(10)の初回の運転時などには、ステップS17において現在回転角度(θc)が未だ設定されていないことがある。このため、制御部(100)は、ステップS11において、現在回転角度(θc)が設定されない場合、
図17に示すイニシャライズ制御を行う。なお、制御部(100)は、ユーザによる手動入力に応じてイニシャライズ制御を実行してもよい。制御部(100)は、コンテナ用冷凍装置(10)の電源をONする指令や、OFFする指令に応じてイニシャライズ制御を実行してもよい。は、例えばユーザの手動操作により実行されてもよい。
【0172】
イニシャライズ制御では、ステップS21において、駆動機構(70)が第4動作を行う。第4動作では、駆動機構(70)が駆動軸(72)を第2回転方向(R2)に第3回転角度(θ3)回転させる。第3回転角度(θ3)は、第1回転角度範囲(θd1)と、第2回転角度範囲(θd2)と、第2回転角度(θ2=90°)との和である。本実施形態では、第3回転角度(θ3)は、第1回転角度範囲(θd1=45°)+第2回転角度範囲(θd2=45°)+第2回転角度(θ2=90°)との和である180°に設定される。第4動作を実行すると、蓋(60)の現在回転角度(θc)がどの位置であったとしても、ロッド(73)が
図14(C)の位置となり、且つ蓋(60)が
図15(A)に示す閉位置(第1回転角度)となる。
【0173】
次いでステップS22では、駆動機構(70)が第5動作を行う。第5動作では、駆動機構(70)が駆動軸(72)を第1回転方向(R1)に第2回転角度範囲(θd2)回転させる。これにより、
図14(C)の位置のロッド(73)が、
図14(A)に示すように頂部(P)に位置する。
【0174】
次いでステップS23では、制御部(100)が現在回転角度(θc)を第1回転角度(θ1=0°)に設定する。具体的には、制御部(100)の記憶部には、現在回転角度(θc)として0°が記憶される。
【0175】
以上により、その後の換気装置(40)の制御動作では、蓋(60)を第1回転角度(θ1)且つ第1位置としながら、蓋(60)の現在回転角度(θc)を目標回転角度(θt)に調整できる。
【0176】
(5-4)制御例
次いで、換気装置(40)の制御例について説明する。制御部(100)、全開制御、全閉制御、および開度調整制御を行う。
【0177】
(5-4-1)全開制御
全開制御は、換気口(VO)を全開とする制御である。全開制御では、目標回転角度(θt)が第2回転角度(θ2=90°)に設定される。駆動機構(70)は、第1動作により、蓋(60)を
図14(B)に示す第2位置とした後、第2動作により、蓋(60)を
図15(C)に示す開位置(全開位置)とする。
【0178】
次いで、駆動機構(70)は、第3動作により、蓋(60)を
図14(A)に示第1位置に戻す。これにより、全開位置とした蓋(60)がパッキン(65)を介してベース部(47)に密着するので、蓋(60)がぐらつくのを抑制でき、蓋(60)を安定して支持できる。加えて、パッキン(65)のシール性を向上できるので、パッキン(65)とベース部(47)との間の隙間での空気や水の漏れを抑制できる。
【0179】
(5-4-2)全閉制御
全閉制御は、換気口(VO)を全閉とする制御である。全閉制御では、目標回転角度(θt)が第1回転角度(θ2=0°)に設定される。駆動機構(70)は、第1動作により、蓋(60)を
図14(C)に示す第2位置とした後、第2動作により、蓋(60)を
図15(A)に示す閉位置とする。
【0180】
次いで、駆動機構(70)は、第3動作により、蓋(60)を
図14(A)に示す第1位置に戻す。これにより、閉位置とした蓋(60)がパッキン(65)を介してベース部(47)に密着するので、蓋(60)がぐらつくのを抑制でき、蓋(60)を安定して支持できる。加えて、パッキン(65)のシール性を向上できるので、パッキン(65)とベース部(47)との間の隙間での空気や水の漏れを抑制できる。特に全閉制御では、コンテナ(1)の庫内空間(3)の換気が行われないので、コンテナ(1)の気密性が重要である。コンテナ(1)に庫外空間(5)の空気が入ると、貯蔵物の品質が損なわれたり、コンテナ用冷凍装置(10)の冷却負荷が増大したりするからである。したがって、このようにパッキン(65)のシール性を向上することで、コンテナ(1)の気密性を確保でき、このような不具合を回避できる。
【0181】
(5-4-3)開度調整制御
開度調整制御は、換気口(VO)の開口面積を所定開度に調整する制御である。開度調整制御では、蓋(60)の目標回転角度(θt)が例えば5°~85°の範囲の所定の回転角度に設定される。駆動機構(70)は、第1動作により、蓋(60)を
図14(B)や
図14(C)に示す第2位置とした後、第2動作により、蓋(60)を
図15(B)に示す所定の中間位置とする。
【0182】
次いで、駆動機構(70)は、第3動作により、蓋(60)を
図14(A)に示す第1位置に戻す。これにより、中間位置とした蓋(60)がパッキン(65)を介してベース部(47)に密着するので、蓋(60)がぐらつくのを抑制でき、蓋(60)を安定して支持できる。加えて、パッキン(65)のシール性を向上できるので、パッキン(65)とベース部(47)との間の隙間での空気や水の漏れを抑制できる。開度調節制御では、空気の漏れに起因して目標の換気量が得られなくなることも抑制できる。
【0183】
(6)実施形態の効果
換気装置の蓋を手動で開閉する構造であれば、蓋をベース部に向かって強く締結することで、蓋とベース部との間のシール性を確保できる。これに対し、本実施形態では、駆動機構(70)により換気口(VO)を自動的に開閉するので、手動により蓋とベース部との間のシール性を確保できない。
【0184】
これに対し、本実施形態の換気装置(40)は、蓋(60)をベース部(47)に向かって押し付ける押付部としてのバネ(77)を備える。バネ(77)は、閉位置の蓋(60)をベース部(47)に向かって押し付けるので、蓋(60)とベース部(47)との間のパッキン(65)を十分に圧縮できる。その結果、換気口(VO)を自動的に開閉しながら、蓋(60)とベース部(47)との間での空気や水の漏れを抑制できる。
【0185】
空気の漏れを抑制することで、コンテナ(1)の気密性を向上できる。特に全閉制御ではコンテナ(1)の気密性を十分に確保でき、コンテナ用冷凍装置(10)の信頼性を向上できる。全開制御や開度調整制御では、目的とする換気量が得られなくなることを抑制できる。水の漏れを抑制することで、換気装置(40)のモータ(71)などの機器が濡れることを抑制できる。
【0186】
本実施形態のバネ(77)は、
図8に示すように駆動機構(70)に設けられる。このため、バネ(77)が蓋(60)やベース部(47)と干渉することを抑制しつつ、バネ(77)を換気装置(40)の内部に設けることができる。したがって、換気装置(40)の小型化を図ることができる。
【0187】
さらに本実施形態のバネ(77)は、駆動軸(72)に沿って設けられるので、バネ(77)が他の部品と干渉することを抑制できる。
【0188】
さらに本実施形態では、バネ(77)が螺旋状であり、駆動軸(72)は、バネ(77)の内部に挿通される。このため、バネ(77)と他の部品との干渉を抑制できる。バネ(77)と駆動軸(72)とは同軸に配置されるので、駆動軸(72)が回転するときにも、バネ(77)が他の部品と干渉することを抑制できる。
【0189】
本実施形態では、
図12および
図13に示ように、蓋(60)とベース部(47)との間に凸部(55)が設けられる。凸部(55)は、パッキン(65)に向かって突出するので、パッキン(65)と凸部(55)の先端とを実質的に線接触させることができる。これにより、パッキン(65)において凸部(55)と接触する部分でのシール性を向上できる。
【0190】
本実施形態の凸部(55)は、パッキン(65)のうち空気が流れる開口であるパッキン側給気開口(66)およびパッキン側排気開口(67)の外縁と接触する。このため、パッキン(65)のうちこれらの開口の外縁において、空気や水が漏れてしまうことを抑制できる。
【0191】
本実施形態では、バネ(77)は蓋(60)の中央部をベース部(47)に向かって押し付けるこのため、バネ(77)によるパッキン(65)の押し付け力が周方向において偏ってしまうことを抑制できる。一方、このようにすると、バネ(77)によるパッキン(65)の押し付け力は、その中央部から外縁に向かって小さくなってしまう。これに対し、本実施形態では、凸部(55)の突出高さは、(60)の蓋(60)の中央部から蓋(60)の外縁に向かうにつれて高くなる。このため、パッキン(65)の圧縮力を径方向において均一化できるので、パッキン(65)のシール性を向上できる。
【0192】
本実施形態では、駆動機構(70)は、蓋(60)とベース部(47)との間隔を調節するように蓋(60)を第1方向に移動させる。この間隔を調節することで、パッキン(65)の圧縮力を調節できる。
【0193】
本実施形態では、蓋(60)には、蓋側開口(CO)が形成される。駆動機構(70)は、蓋側開口(CO)と換気口(VO)との重なる面積を調整するように蓋(60)を回転させる。このため、換気口(VO)の開度、ひいては換気量を調節できる。蓋(60)を回転させる際に、蓋(60)とベース部(47)との間隔を広げることで、パッキン(65)に作用する摩擦力を低減できる。その結果、モータ(71)の動力を低減でき、消費電力を抑えることができる。モータ(71)の負荷トルクを低減できるので、モータ(71)を小型化できる。パッキン(65)の摩耗を抑制できるので、パッキン(65)の交換の頻度を減らすことができる。
【0194】
本実施形態の駆動機構(70)は、駆動源であるモータ(71)と、モータ(71)によって回転駆動される駆動軸(72)とを有する。駆動機構(70)は、駆動軸(72)の回転に伴い蓋(60)を回転させる回転運動と、駆動軸(72)の回転運動に伴い蓋(60)を第1方向である軸方向に往復移動させる往復運動とを行わせるように構成される。
これにより、1つのモータ(71)および1つの駆動軸(72)により、蓋(60)の回転運動と往復運動とを行うことができる。
【0195】
本実施形態の駆動機構(70)は、駆動軸(72)と連結するロッド(73)と、蓋(60)と連結するとともに、ロッド(73)が接触する接触面(82)が形成されるカム機構(80)とを有する。接触面(82)は、駆動軸(72)の回転力を蓋(60)に伝えて蓋(60)を回転運動させる第1伝達部(C1)と、駆動軸(72)の回転力を蓋(60)に伝えて往復運動させる第2伝達部(C2)とを含む。これにより、駆動軸(72)の回転力を、蓋(60)の往復運動、および回転運動として利用できる。
【0196】
本実施形態の第1伝達部(C1)は、軸方向に沿って形成され第1回転方向(R1)に移動するロッド(73)が接触する第1端面(83a)と、軸方向に沿って形成され第2回転方向(R2)に移動するロッド(73)が接触する第2端面(83b)とを有する。第2伝達部(C2)は、第1端面(83a)に向かうにつれて軸方向における他端側(蓋(60)と反対側)に近づく第1傾斜面(84)と、第2端面(83b)に向かうにつれて軸方向における他端側に近づく第2傾斜面(85)とを有する。これにより、駆動軸(72)を第1回転方向(R1)に回転させながら、蓋(60)とベース部(47)の間隔を調節したり、蓋(60)を第1回転方向(R1)に回転させたりできる。駆動軸(72)を第2回転方向(R2)に回転させながら、蓋(60)とベース部(47)の間隔を調節したり、蓋(60)を第2回転方向(R2)に回転させたりできる。
【0197】
本実施形態の換気装置(40)は、ロッド(73)と、カム機構(80)の接触面(82)との摩擦力を低減する低摩擦部として、ベアリング(73b)を備える。これにより、ロッド(73)とベアリング(73b)の摩擦力を低減できるので、ロッド(73)やカム機構(80)の摩耗を抑制できる。その結果、これらの部品の摩耗に起因して蓋(60)の往復運動や回転運動が不安定になることを抑制できる。
【0198】
本実施形態のカム機構(80)の接触面(82)には、第1端面(83a)と第1傾斜面(84)との間に、軸方向に直角な面に沿った第1平坦面(86)が形成される。このため、第1傾斜面(84)から第1端面(83a)に移動するロッド(73)は、第1平坦面(86)を通過してから第1端面(83a)と接触する。その結果、ロッド(73)が第1傾斜面(84)と第1平坦面(86)との双方に同時に接触することを抑制でき、第1往復運動から第1回転運動に円滑に移行することができる。
【0199】
同様に、本実施形態のカム機構(80)の接触面(82)には、第2端面(83b)と第2傾斜面(85)との間に、軸方向に直角な面に沿った第2平坦面(87)が形成される。このため、第2傾斜面(85)から第2端面(83b)に移動するロッド(73)は、第2平坦面(87)を通過してから第2端面(83b)と接触する。その結果、ロッド(73)が第2傾斜面(85)と第2平坦面(87)との双方に同時に接触することを抑制でき、第2往復運動から第2回転運動に円滑に移行することができる。
【0200】
本実施形態の駆動軸(72)には、ロッド(73)が3つ以上連結している。これにより、ロッド(73)と接触面(82)との間の応力を分散でき、カム機構(80)を安定して駆動できる。さらに、ロッド(73)と接触面(82)との間の摩耗を抑制できる。
【0201】
本実施形態の駆動機構(70)は、パッキン(65)を圧縮する第1位置の蓋(60)を、第1位置よりもベース部(47)から離れた第2位置まで移動させる第1動作と、第1動作の後、前記蓋(60)を前記第2位置に維持しながら所定の回転角度まで回転させる第2動作とを行うように構成される。この動作により、パッキン(65)の摩擦力を低減しつつ、蓋(60)を回転できるので、モータ(71)の動力を低減でき、消費電力を抑えることができる。モータ(71)の負荷トルクを低減できるので、モータ(71)を小型化できる。パッキン(65)の摩耗を抑制できるので、パッキン(65)の交換の頻度を減らすことができる。
【0202】
本実施形態の駆動機構(70)は、第2動作の後、蓋(60)を所定の回転角度に維持しながら第1位置まで移動させる第3動作を行うように構成される。これにより、蓋(60)を所定の角度に調整した後には、第3動作により、蓋(60)がベース部(47)に近づく。したがって、振動などに起因して蓋(60)がぐらつくことを抑制できる。加えて、第3動作によりパッキン(65)が圧縮されるので、空気や水が漏れてしまうことを抑制できる。
【0203】
本実施形態では、所定の回転角度は、換気口(VO)の全体が蓋(60)によって閉塞される第1回転角度(θ1)を含む。言い換えると、駆動機構(70)は、蓋(60)を閉位置としてから、この蓋(60)を第1位置とする。蓋(60)を閉位置とする場合、コンテナ(1)の気密性を確保する必要がある。これに対し、蓋(60)を第1位置とすることで、パッキン(65)が圧縮されるので、コンテナ(1)の気密性を十分に確保できる。
【0204】
本実施形態は、蓋(60)の回転角度が、設定された目標値となるように、駆動機構(70)を制御する制御部(100)を備える。これにより、換気口(VO)の開口面積、さらには換気量を任意に調節できる。
【0205】
本実施形態の制御部(100)は、冷媒漏洩センサ(110)が冷媒の漏洩を検知すると、蓋(60)が閉位置となるように駆動機構(70)を制御する。これにより、冷媒回路(R)の冷媒が漏洩した場合に、この冷媒がコンテナ(1)の内部から外部へ漏れてしまうことを抑制できる。
【0206】
(7)変形例
上記実施形態は、以下の変形例の構成としてもよい。以下では、基本的には、上記実施形態と異なる点について説明する。
【0207】
(7-1)変形例1
図18~
図20に示す変形例1の換気装置(40)では、蓋(60)が回転運動を行わず、往復運動のみを行う。蓋(60)には、蓋側開口(CO)が形成されない。パッキン(65)には、パッキン側給気開口(66)およびパッキン側排気開口(67)が形成されない。蓋(60)がベース部(47)から離れると、蓋(60)の外縁とベース部(47)との間に隙間が形成される。変形例1では、この隙間が換気口(VO)を構成する。
【0208】
駆動機構(70)は、上記実施形態と駆動軸(72)を回転させる。ロッド(73)が第2伝達部(C2)である第1傾斜面(84)や第2傾斜面(85)と接触することで、カム機構(80)が軸方向に往復運動を行う。
図20(A)に示すように、蓋(60)が第1位置にある場合、蓋(60)とベース部(47)との間にパッキン(65)が挟まれ、パッキン(65)が圧縮される。この状態では、蓋(60)とベース部(47)との間の換気口(VO)が閉塞される。変形例1では、蓋(60)が第1位置(閉位置)であるときに換気口(VO)が全閉状態となる。この状態では、パッキン(65)により蓋(60)とベース部(47)との間の隙間がシールされるので、コンテナ(1)の気密性を十分に確保できる。
【0209】
図20(B)に示すように、蓋(60)が第2位置にある場合、蓋(60)がベース部(47)から離れ、蓋(60)とベース部(47)との間に換気口(VO)が形成される。変形例1では、蓋(60)が第2位置(開位置)であるときに換気口(VO)が開状態となる。この状態では、蓋(60)によるパッキン(65)の圧縮が解除される。
【0210】
変形例1では、駆動機構(70)は、蓋(60)とベース部(47)との間の間隔を調整するように蓋(60)を移動させる。蓋(60)とベース部(47)との間の間隔がかわると、換気口(VO)の開口面積も変化する。したがって、蓋(60)の軸方向の位置を調整することで、換気量を調整できる。
【0211】
図18および
図19に示すように、換気装置(40)には、押付部として、実施形態と同様のバネ(77)に加え、第1補助バネ(121)と、第2補助バネ(122)とが設けられる。第1補助バネ(121)および第2補助バネ(122)は、蓋(60)の外周寄りに位置する。第1補助バネ(121)および第2補助バネ(122)は、軸心(X)を挟んで対向する位置にある。第1補助バネ(121)および第2補助バネ(122)は、軸方向から見る場合に、給気口(48)と排気口(49)との間にそれぞれ位置する。
【0212】
換気装置(40)には、第1柱部材(123)、第2柱部材(124)、第1連結部材(125)と、第2連結部材(126)とが設けられる。
【0213】
第1柱部材(123)および第2柱部材(124)は、ベース部(47)の外周寄りの部分に固定される。第1柱部材(123)および第2柱部材(124)は、軸心(X)に沿って延びる。第1柱部材(123)の軸方向の一端(前端)には、第1鍔部(123a)が形成され、第2柱部材(124)の軸方向の一端(前端)には、第2鍔部(124a)が形成される。
【0214】
第1連結部材(125)および第2連結部材(126)は、前後方向に軸心を有する筒状に形成される。第1連結部材(125)および第2連結部材(126)は、蓋(60)の背面(後面)の外周寄りの部分に固定される。第1連結部材(125)の後方には、第1支持板(125a)が形成され、第2連結部材(126)の後方には、第2支持板(126a)が形成される。
【0215】
第1補助バネ(121)は、第1鍔部(123a)と第1支持板(125a)との間に挟まれる。第1補助バネ(121)は、螺旋状に形成される。第1補助バネ(121)の内部には、第1柱部材(123)が挿通される。第2補助バネ(122)は、第2鍔部(124a)と第2支持板(126a)との間に挟まれる。第2補助バネ(122)は、螺旋状に形成される。第2補助バネ(122)の内部には、第2柱部材(124)が挿通される
第1補助バネ(121)の付勢力は、第1支持板(125a)を後方に移動させるように作用する。第2補助バネ(122)の付勢力は、第2支持板(126a)を後方に移動させるように作用する。この付勢力によって、第1連結部材(125)および第2連結部材(126)と連結する蓋(60)は、ベース部(47)側に向かって押し付けられる。蓋(60)がベース部(47)に押し付けられると、蓋(60)とベース部(47)との間のパッキン(65)が厚さ方向に圧縮する。これにより、パッキン(65)のシール性が向上する。
【0216】
(8)その他の実施形態
換気装置(40)は、冷凍機能を有しないコンテナ(1)に適用されてもよい。
【0217】
コンテナ(1)は、海上輸送用でなくてもよく、トレーラなどの車両や鉄道によって搬送される陸上輸送用であってもよい。
【0218】
コンテナ用冷凍装置(10)は、庫内空間(3)の空気の酸素、二酸化炭素、窒素などの組成を調整する空気組成調整装置を有してもよい。空気組成調整装置は、例えばPSA(Pressure Swing Adsorption)や、ガス分離膜を用いて庫内空間(3)の空気を調整する。
【0219】
換気装置(40)は、庫外空間(5)の空気を庫内空間(3)に搬送する給気の機能のみを有し、排気は排気口から自然に行うものであってもよい。換気装置(40)は、庫内空間(3)の空気を庫外空間(5)に搬送する排気の機能のみを有し、給気は給気口から自然に行うものであってもよい。
【0220】
上述した実施形態の換気装置(40)は、蓋(60)を回転させることで換気口(VO)の開度を調整している。しかしながら、換気装置(40)は、変形例1と同様、蓋(60)とベース部(47)との間隔を調整することで、換気口(VO)の開度を調整してもよい。
【0221】
ベース部(47)は、コンテナ用冷凍装置(10)のケーシング本体(12)と一体に形成されてもよい。
【0222】
シール部材は、弾性を有する材料であれば、パッキン以外の部材であってもよい。
【0223】
エッジ形成部材(50)は、ベース部(47)と一体に形成されてもよい。
【0224】
蓋(60)とパッキン(65)との間にエッジ形成部材(50)を設けてもよい。
【0225】
変形例1において、パッキン(65)は、ベース部(47)に固定されてもよい。この場合、パッキン(65)に換気口となる開口が形成される。
【0226】
駆動機構(70)の駆動源は、モータ(71)に限られず、蓋(60)を回転運動させたり、往復運動させたりできるものであればいかなる構成であってもよい。
【0227】
駆動機構(70)は、蓋(60)を回転運動させる駆動源と、蓋(60)を往復運動させる駆動源とを個別に有していてもよい。
【0228】
第1方向は、軸方向でなくてもよく、蓋(60)とベース部(47)との間隔を調節できる方向であれば他の方向であってもよい。
【0229】
バネ(77)は、板ばねや弾性材料であってもよい。バネ(77)は、駆動軸(72)が挿通されていなくてもよい。バネ(77)は、駆動軸(72)と隣接するように軸方向に延びていてもよい。
【0230】
押付部は、バネでなくてもよい。押付部は、例えば油圧や冷媒の圧力を利用して蓋(60)をベース部(47)に向かって押し付ける。
【0231】
低摩擦部は、ロッド(73)と接触面(82)との間に塗られるグリースなどの液状の潤滑剤であってもよい。低摩擦部は、ロッド(73)や接触面(82)の少なくとも表面に形成される低摩擦材料であってもよい。低摩擦材料は、POM(ポリアセタール)や、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの樹脂材料で構成される。
【0232】
第2位置の蓋(60)は、第1位置の蓋(60)よりもベース部(47)から遠ければよく、パッキン(65)を僅かに圧縮していてもよい。
【0233】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0234】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0235】
以上に説明したように、本開示は、換気装置について有用である。
【符号の説明】
【0236】
2 コンテナ本体
40 換気装置
47 ベース部
55 凸部
60 蓋
65 パッキン(シール部材)
70 駆動機構
71 モータ(駆動源)
72 駆動軸
73 ロッド
73b ベアリング(低摩擦部)
77 バネ
77,121,122 押付部
80 カム機構
82 接触面
100 制御部
110 冷媒漏洩センサ
C1 第1伝達部
C2 第2伝達部
CO 蓋側開口(開口)
VO 換気口
【手続補正書】
【提出日】2024-09-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ本体(2)の内部と外部とを連通するための換気口(VO)を有するベース部(47) と、
前記換気口(VO)を開閉する蓋(60)と、
前記蓋(60)を開位置と閉位置とに変位させる駆動機構(70) と、
前記ベース部(47)と前記蓋(60)との間において前記換気口(VO)を囲む位置に形成されるシール部材(65)と、
前記蓋(60)を前記ベース部(47)に向かって押し付ける押付部(77,121,122) と
を備え、
前記駆動機構(70)は、前記蓋(60)と前記ベース部(47)との間隔を調節するように該蓋(60)を第1方向に移動させ、
前記蓋(60)には、開口(CO)が形成され、
前記駆動機構(70)は、前記開口(CO)と前記換気口(VO)との重なる面積を調整するように該蓋(60)を回転させる
換気装置。
【請求項2】
前記押付部(77,121,122)は、前記駆動機構(70)に設けられる
請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記駆動機構(70)は、
駆動源(71)と、
該駆動源(71)によって駆動される駆動軸(72)とを有し、
前記押付部(77,121,122)は、前記駆動軸(72)に沿って設けられるバネ(77)を有する
請求項2に記載の換気装置。
【請求項4】
前記蓋(60)と前記ベース部(47)との間には、シール部材(65)に向かって突出する凸部(55) が設けられる
請求項1~3のいずれか1つに記載の換気装置。
【請求項5】
前記押付部(77,121,122)は、前記蓋(60)の中央部を前記ベース部(47)に向かって押し付けるように構成され、
前記凸部(55)の突出高さは、前記蓋(60)の前記中央部から該蓋(60)の外縁に向かうにつれて高くなる
請求項4に記載の換気装置。
【請求項6】
前記駆動機構(70)は、
駆動源(71)と、
該駆動源(71)によって回転駆動される駆動軸(72)とを有し、
前記駆動軸(72)の回転に伴い前記蓋(60)を回転させる回転運動と、前記駆動軸(72)の回転運動に伴い前記蓋(60)を前記第1方向に往復移動させる往復運動とを行わせるように構成される
請求項1に記載の換気装置。
【請求項7】
前記駆動機構(70)は、
前記駆動軸(72)および前記蓋(60)の一方と連結するロッド(73)と、
前記駆動軸(72)および前記蓋(60)の他方と連結するとともに、前記ロッド(73)が接触する接触面(82)が形成されるカム機構(80)とを有し、
前記接触面(82)は、前記駆動軸(72)の回転力を前記蓋(60)に伝えて該蓋(60)を前記回転運動させる第1伝達部(C1)と、前記駆動軸(72)の回転力を前記蓋(60)に伝えて前記往復運動させる第2伝達部(C2)とを含む
請求項6に記載の換気装置。
【請求項8】
前記ロッド(73)と、前記カム機構(80)の前記接触面(82)との摩擦力を低減する低摩擦部(73b) を備える
請求項7に記載の換気装置。
【請求項9】
前記駆動軸(72)に、前記ロッド(73)が3つ以上連結している
請求項7に記載の換気装置。
【請求項10】
前記駆動機構(70)は、
前記シール部材(65)を圧縮する第1位置の前記蓋(60)を、該第1位置よりもベース部(47)から離れた第2位置まで移動させる第1動作と、
前記第1動作の後、前記蓋(60)を前記第2位置に維持しながら所定の回転角度まで回転させる第2動作とを行うように構成される
請求項1に記載の換気装置。
【請求項11】
前記駆動機構(70)は、
前記第2動作の後、前記蓋(60)を前記所定の回転角度に維持しながら前記第1位置まで移動させる第3動作を行うように構成される
請求項10に記載の換気装置。
【請求項12】
前記所定の回転角度は、前記換気口(VO)の全体が蓋(60)によって閉塞される第1回転角度を含む
請求項11に記載の換気装置。
【請求項13】
前記蓋(60)の回転角度が、設定された目標値となるように、前記駆動機構(70)を制御する制御部(100)を備える
請求項1に記載の換気装置。
【請求項14】
冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩センサ(110)と、
前記冷媒漏洩センサ(110)が冷媒の漏洩を検知すると、前記蓋(60)が閉位置となるように前記駆動機構(70)を制御する制御部(100) とを備える
請求項1~3のいずれか1つに記載の換気装置。
【手続補正書】
【提出日】2024-11-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ本体(2)の内部と外部とを連通するための換気口(VO)を有するベース部(47) と、
前記換気口(VO)を開閉する蓋(60)と、
前記蓋(60)を開位置と閉位置とに変位させる駆動機構(70) と、
前記ベース部(47)と前記蓋(60)との間において前記換気口(VO)を囲む位置に形成されるシール部材(65)と、
前記蓋(60)を前記ベース部(47)に向かって押し付ける押付部(77,121,122) と
を備え、
前記駆動機構(70)は、駆動源(71)と、駆動源(71)によって回転駆動される駆動軸(72)とを有し、
前記駆動機構(70)は、前記蓋(60)と前記ベース部(47)との間隔を調節するように該蓋(60)を前記駆動軸(72)の軸方向に移動させるように構成され、
前記蓋(60)には、該蓋(60)を前記駆動軸(72)の前記軸方向に貫通する開口(CO)が形成され、
前記駆動機構(70)は、前記駆動軸(72)の前記軸方向でみる場合に、前記開口(CO)と前記換気口(VO)との重なる面積を調整するように該蓋(60)を回転させる
換気装置。
【請求項2】
前記押付部(77,121,122)は、前記駆動機構(70)に設けられる
請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記押付部(77,121,122)は、前記駆動軸(72)に沿って設けられるバネ(77)を有する
請求項2に記載の換気装置。
【請求項4】
前記蓋(60)と前記ベース部(47)との間には、シール部材(65)に向かって突出する凸部(55) が設けられる
請求項1~3のいずれか1つに記載の換気装置。
【請求項5】
前記押付部(77,121,122)は、前記蓋(60)の中央部を前記ベース部(47)に向かって押し付けるように構成され、
前記凸部(55)の突出高さは、前記蓋(60)の前記中央部から該蓋(60)の外縁に向かうにつれて高くなる
請求項4に記載の換気装置。
【請求項6】
前記駆動機構(70)は、前記駆動軸(72)の回転に伴い前記蓋(60)を回転させる回転運動と、前記駆動軸(72)の回転運動に伴い前記蓋(60)を前記駆動軸(72)の軸方向に往復移動させる往復運動とを行わせるように構成される
請求項1に記載の換気装置。
【請求項7】
前記駆動機構(70)は、
前記駆動軸(72)および前記蓋(60)の一方と連結するロッド(73)と、
前記駆動軸(72)および前記蓋(60)の他方と連結するとともに、前記ロッド(73)が接触する接触面(82)が形成されるカム機構(80)とを有し、
前記接触面(82)は、前記駆動軸(72)の回転力を前記蓋(60)に伝えて該蓋(60)を前記回転運動させる第1伝達部(C1)と、前記駆動軸(72)の回転力を前記蓋(60)に伝えて前記往復運動させる第2伝達部(C2)とを含む
請求項6に記載の換気装置。
【請求項8】
前記ロッド(73)と、前記カム機構(80)の前記接触面(82)との摩擦力を低減する低摩擦部(73b) を備える
請求項7に記載の換気装置。
【請求項9】
前記駆動軸(72)に、前記ロッド(73)が3つ以上連結している
請求項7に記載の換気装置。
【請求項10】
前記駆動機構(70)は、
前記シール部材(65)を圧縮する第1位置の前記蓋(60)を、該第1位置よりもベース部(47)から離れた第2位置まで移動させる第1動作と、
前記第1動作の後、前記蓋(60)を前記第2位置に維持しながら所定の回転角度まで回転させる第2動作とを行うように構成される
請求項1に記載の換気装置。
【請求項11】
前記駆動機構(70)は、
前記第2動作の後、前記蓋(60)を前記所定の回転角度に維持しながら前記第1位置まで移動させる第3動作を行うように構成される
請求項10に記載の換気装置。
【請求項12】
前記所定の回転角度は、前記換気口(VO)の全体が蓋(60)によって閉塞される第1回転角度を含む
請求項11に記載の換気装置。
【請求項13】
前記蓋(60)の回転角度が、設定された目標値となるように、前記駆動機構(70)を制御する制御部(100)を備える
請求項1に記載の換気装置。
【請求項14】
冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩センサ(110)と、
前記冷媒漏洩センサ(110)が冷媒の漏洩を検知すると、前記蓋(60)が閉位置となるように前記駆動機構(70)を制御する制御部(100) とを備える
請求項1~3のいずれか1つに記載の換気装置。