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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165074
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】溶接装置および溶接方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 37/02 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B23K37/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080915
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000152424
【氏名又は名称】株式会社日建設計
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 好秀
(57)【要約】
【課題】H形鋼の下フランジを効率よく下向き溶接することができる溶接装置および溶接方法を提供する。
【解決手段】溶接装置1は、ウェブWB、上フランジUF、および下フランジLFを備えたH形鋼HSを溶接する装置であって、溶接ロボット2と、溶接ロボット2を案内するレール3とを備え、レール3は、下フランジLFのウェブWBを挟んだ一方側から他方側に延設され、溶接ロボット2が一方側と他方側とで下フランジLFを下向き溶接するように、溶接ロボット2を下フランジLFの一方側から他方側に案内する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ、上フランジ、および下フランジを備えたH形鋼を溶接する溶接装置であって、
溶接ロボットと、
前記溶接ロボットを案内するレールとを備え、
前記レールは、前記下フランジの前記ウェブを挟んだ一方側から他方側に延設され、前記溶接ロボットが前記一方側と前記他方側とで前記下フランジを下向き溶接するように、前記溶接ロボットを前記下フランジの前記一方側から前記他方側に案内することを特徴とする溶接装置。
【請求項2】
前記レールは、
前記上フランジを下向き溶接するように前記溶接ロボットを案内する上フランジ用レールと、
前記下フランジを下向き溶接するように前記溶接ロボットを案内する下フランジ用レールと、
前記上フランジ用レールと前記下フランジ用レールとを接続し、前記上フランジ用レールおよび前記下フランジ用レールの一方から他方に前記溶接ロボットを案内する接続レールとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の溶接装置。
【請求項3】
ウェブ、上フランジ、および下フランジを備えたH形鋼を溶接する溶接方法であって、
前記下フランジの前記ウェブを挟んだ一方側から他方側にレールを延設する工程と、
前記レールに溶接ロボットをセットする工程と、
前記レールで前記溶接ロボットを前記下フランジの前記一方側から前記他方側に案内し、前記溶接ロボットで前記下フランジの前記一方側と前記他方側とを下向き溶接することを特徴とする溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接装置および溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェブ、上フランジ、および下フランジを備えたH形鋼を溶接する溶接装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-66019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような従来の溶接装置では、下フランジを下向き溶接する際、下フランジのウェブを挟んだ一方側と他方側との両方に溶接ロボットをセットするか、下フランジの一方側にセットした溶接ロボットを下フランジの他方側にセットし直す必要があるため、効率が悪い。
【0005】
本発明の目的は、H形鋼の下フランジを効率よく下向き溶接することができる溶接装置および溶接方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の溶接装置は、ウェブ、上フランジ、および下フランジを備えたH形鋼を溶接する溶接装置であって、溶接ロボットと、前記溶接ロボットを案内するレールとを備え、前記レールは、前記下フランジの前記ウェブを挟んだ一方側から他方側に延設され、前記溶接ロボットが前記一方側と前記他方側とで前記下フランジを下向き溶接するように、前記溶接ロボットを前記下フランジの前記一方側から前記他方側に案内する。
【0007】
本発明によれば、溶接ロボットを案内するレールは、下フランジのウェブを挟んだ一方側から他方側に延設され、溶接ロボットを下フランジの一方側と他方側とで下フランジを下向き溶接するように案内するため、下フランジのウェブを挟んだ一方側と他方側との両方に溶接ロボットをセットしたり、下フランジの一方側にセットした溶接ロボットを下フランジの他方側にセットし直したりする必要がなく、H形鋼の下フランジを効率よく下向き溶接することができる。
【0008】
本発明の溶接装置において、前記レールは、前記上フランジを下向き溶接するように前記溶接ロボットを案内する上フランジ用レールと、前記下フランジを下向き溶接するように前記溶接ロボットを案内する下フランジ用レールと、前記上フランジ用レールと前記下フランジ用レールとを接続し、前記上フランジ用レールおよび前記下フランジ用レールの一方から他方に前記溶接ロボットを案内する接続レールとを備えている。
【0009】
本発明によれば、上フランジ用レールと下フランジ用レールとを接続する接続レールが設けられているため、上フランジ用レールおよび下フランジ用レールの一方から他方に溶接ロボットを案内することができ、1体の溶接ロボットで上フランジおよび下フランジを下向き溶接することができる。
【0010】
本発明の溶接方法は、ウェブ、上フランジ、および下フランジを備えたH形鋼を溶接する溶接方法であって、前記下フランジの前記ウェブを挟んだ一方側から他方側にレールを延設する工程と、前記レールに溶接ロボットをセットする工程と、前記レールで前記溶接ロボットを前記下フランジの前記一方側から前記他方側に案内し、前記溶接ロボットで前記下フランジの前記一方側と前記他方側とを下向き溶接する。
【0011】
本発明によれば、前述した溶接装置と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る溶接装置の模式図。
図2図1の溶接装置の側面図。
図3】溶接装置の動作説明図。
図4】溶接装置の動作説明図。
図5】本発明の第2実施形態に係る溶接装置の模式図。
図6図5の溶接装置の側面図。
図7】溶接装置の動作説明図。
図8】溶接装置の動作説明図。
図9】溶接装置の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の記載において方向を表す場合、溶接装置1を図1に示すように配置した状態を基準とし、上がZ軸の矢印方向で下がその逆方向、左がX軸の矢印方向で右がその逆方向、前がY軸と平行な図1中手前方向で後がその逆方向とする。
また、第2実施形態以降において、第1実施形態と同じ構成には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0014】
[第1実施形態]
図1および図2において、溶接装置1は、ウェブWB、上フランジUF、および下フランジLFを備えたH形鋼HSを溶接する。本実施形態の場合、溶接装置1は、図2に示すように、H形鋼HSを鋼材としての別のH形鋼HSに溶接する。
溶接装置1は、溶接ロボット2と、溶接ロボット2を案内するレール3と、溶接ロボット2を含む装置全体を制御する制御部4と、レール3をH形鋼HSに固定する固定部5とを備えている。
【0015】
溶接ロボット2は、レール3上を移動可能なスライダ21Aに着脱自在に取り付けられてレール3上を移動する本体21と、本体21に可動可能に支持されたトーチ22と、トーチ22に接続されたコンジットケーブル23(図2参照)とを備えている。
本体21は、自走用モータ等の駆動機器を備え、レール3上を自走可能に構成されている。また、本体21は、トーチ22を可動とする複数の可動部を備え、当該複数の可動部により、トーチ22を上下方向および左右方向に移動可能、かつX軸と平行な回転軸およびY軸と平行な回転軸回りに回動可能となっている。
トーチ22は、ソリッドワイヤ、フラックスワイヤ等の溶接ワイヤ24(図2参照)を用いて溶接を行う。
溶接ワイヤ24は、トーチ22およびコンジットケーブル23内に挿通され、トーチ22の先端から外部に露出する。
【0016】
レール3は、下フランジLFのウェブWBを挟んだ一方側(左方側)から他方側(右方側)に延設され、溶接ロボット2が一方側と他方側とで下フランジLFを下向き溶接するように当該溶接ロボット2を下フランジLFの一方側から他方側に案内する。
レール3は、上フランジUFを下向き溶接するように溶接ロボット2を案内する上フランジ用レール31と、下フランジLFを下向き溶接するように溶接ロボット2を案内する下フランジ用レール32と、上フランジ用レール31と下フランジ用レール32とを接続し、上フランジ用レール31および下フランジ用レール32の一方から他方に溶接ロボット2を案内する接続レール33とを備えている。
【0017】
上フランジ用レール31は、第1案内部31A、および第2案内部31Bを備えている。
第1案内部31Aは、上フランジUFの上方で上フランジUFと略平行な方向(左右方向)に延設され、当該方向に溶接ロボット2を案内する。
第2案内部31Bは、第1案内部31Aおよび第2案内部31Bの少なくとも何れかに設けられた湾曲部を介して第1案内部31Aに連続する。第2案内部31Bは、ウェブWBと略平行な方向(上下方向)に延設され、当該方向に溶接ロボット2を案内する。
【0018】
下フランジ用レール32は、第1案内部32A、第2案内部32B、第3案内部32C、第4案内部32D、第5案内部32E、および第6案内部32Fを備えている。
第1案内部32Aは、ウェブWBを挟んだ一方側(左方側)で下フランジLFと略平行な方向(左右方向)に延設され、下フランジLFの上方で下フランジLFと略平行な方向に溶接ロボット2を案内する。
第2案内部32Bは、略L字状に形成されている。第2案内部32Bは、Y軸と平行な回動軸を有するヒンジ等の接続部を介して、第1案内部32Aに回動可能に支持されており、第2案内部32Bを回動させる回動モータ等の駆動機器によって回動される。第2案内部32Bは、上方に回動した退避位置を初期位置として、反時計回りに回動して第3案内部32Cに接続することで、第1案内部32Aから第6案内部32Fまでを繋げる。
第3案内部32Cは、ウェブWBと略平行な方向に延設され、当該方向に溶接ロボット2を案内する。第3案内部32Cには、第2案内部32Bおよび接続レール33が選択的に接続される。
第4案内部32Dは、第3案内部32Cおよび第4案内部32Dの少なくとも何れかに設けられた湾曲部を介して第3案内部32Cに連続する。第4案内部32Dは、下フランジLFの下方で下フランジLFと略平行な方向に延設され、当該方向に溶接ロボット2を案内する。
第5案内部32Eは、第4案内部32Dおよび第5案内部32Eの少なくとも何れかに設けられた湾曲部を介して第4案内部32Dに連続する。第5案内部32Eは、ウェブWBと略平行な方向に延設され、当該方向に溶接ロボット2を案内する。
第6案内部32Fは、第5案内部32Eおよび第6案内部32Fの少なくとも何れかに設けられた湾曲部を介して第5案内部32Eに連続する。第6案内部32Fは、ウェブWBを挟んだ他方側(右方側)で下フランジLFと略平行な方向に延設され、下フランジLFの上方で下フランジLFと略平行な方向に溶接ロボット2を案内する。
【0019】
接続レール33は、直線状に形成されている。接続レール33は、Y軸と平行な回動軸を有するヒンジ等の接続部を介して、上フランジ用レール31の第2案内部31Bに回動可能に支持されており、接続レール33を回動させる回動モータ等の駆動機器によって回動される。ヒンジ等の接続部と接続レール33とは、互いに取り外し可能となっており、接続レール33の長さを変えることで、H形鋼HSを梁とした場合の梁成の変化に対応することができる。接続レール33は、左方に回動した退避位置を初期位置として、反時計回りに回動して下フランジ用レール32の第3案内部32Cに接続することで、上フランジ用レール31の第1案内部31Aから下フランジ用レール32の第6案内部32Fまでを繋げる。
【0020】
制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、メモリ、入出力インターフェース等を備えた、マイクロコンピュータ、パーソナルコンピュータ、サーバ等で構成されている。制御部4は、溶接ロボット2の本体21と電気的に接続され、タッチパネルやキーボードパネル等の入力操作部41の信号、および溶接ロボット2に設けられた駆動機器ならびに各種センサの信号に基づいて、溶接ロボット2を制御する。
【0021】
固定部5は、磁石を備え、磁力によりレール3をH形鋼HSに固定する。
【0022】
以下、溶接装置1でH形鋼HSを溶接する方法について、図1から図4を参照しつつ説明する。
先ず、溶接装置1の使用者は、上フランジ用レール31、下フランジ用レール32、および接続レール33が図1、2に示す位置となるようにレール3を配置し、固定部5でレール3をH形鋼HSに固定する。例えば、図1に示すように、固定部5を介して、上フランジ用レール31の第1案内部31Aを上フランジUFの上面に、下フランジ用レール32の第1案内部32Aおよび第6案内部32Fを下フランジLFの上面に、第4案内部32Dを下フランジLFの下面に、それぞれ固定する。この際、接続レール33は、図1に示すように、左方の退避位置に退避しており、下フランジ用レール32に接続されてない。
【0023】
次いで、使用者は、図1に示すように、上フランジ用レール31に溶接ロボット2をセットする。その後、使用者または制御部4は、溶接時の電流、電圧、溶接ロボット2の移動方向および移動量、本体21に対するトーチ22の移動方向および移動量等の溶接条件を設定し、制御部4に記憶させる。溶接条件は、開先形状、上フランジUFおよび下フランジLFの板厚等の情報から使用者が設定し、使用者が入力操作部41を介して制御部4に入力してもよいし、制御部4が溶接ロボット2の本体21およびトーチ22の位置を制御して開先形状や板厚等を自動的にセンシングし、その結果に基づいて制御部4が設定してもよい。そして、使用者が入力操作部41を介して自動溶接開始の信号を入力すると、制御部4が溶接ロボット2を制御し、溶接ロボット2で上フランジUFを下向き溶接する。
【0024】
上フランジUFの下向き溶接が完了すると、制御部4が接続レール33の駆動機器を制御し、接続レール33を反時計回りに回動させて、図3に示すように、接続レール33を下フランジ用レール32の第3案内部32Cに接続させる。次いで、制御部4が溶接ロボット2を制御し、図3に示すように、溶接ロボット2を上フランジ用レール31から下フランジ用レール32の第6案内部32Fに移動させる。その後、制御部4は、接続レール33の駆動機器を制御し、図4に示すように、接続レール33を時計回りに回動させて退避位置に退避させた後、第2案内部32Bの駆動機器を制御し、第2案内部32Bを反時計回りに回動させて第3案内部32Cに接続させる。そして、制御部4が溶接ロボット2を制御し、溶接ロボット2で下フランジLFのウェブWBよりも右方側を下向き溶接する。
【0025】
下フランジLFの右方側の下向き溶接が完了すると、制御部4が溶接ロボット2を制御し、溶接ロボット2を下フランジ用レール32の第6案内部32Fから第1案内部32Aに移動させる。次いで、制御部4が溶接ロボット2を制御し、溶接ロボット2で下フランジLFのウェブWBよりも左方側を下向き溶接する。
【0026】
下フランジLFの左方側の下向き溶接が完了すると、H形鋼HSの溶接が完了となる。その後、使用者は、下フランジ用レール32から溶接ロボット2を取り外した後、H形鋼HSからレール3および固定部5を取り外す。
【0027】
以上のような実施形態によれば、溶接ロボット2を案内するレール3は、下フランジLFのウェブWBを挟んだ一方側から他方側に延設され、溶接ロボット2を下フランジLFの一方側と他方側とで下フランジLFを下向き溶接するように案内するため、下フランジLFのウェブWBを挟んだ一方側と他方側との両方に溶接ロボット2をセットしたり、下フランジLFの一方側にセットした溶接ロボット2を下フランジLFの他方側にセットし直したりする必要がなく、H形鋼HSの下フランジLFを効率よく下向き溶接することができる。
【0028】
また、上フランジ用レール31と下フランジ用レール32とを接続する接続レール33が設けられているため、上フランジ用レール31および下フランジ用レール32の一方から他方に溶接ロボット2を案内することができ、1体の溶接ロボット2で上フランジUFおよび下フランジLFを下向き溶接することができる。
【0029】
[第2実施形態]
図5および図6において、溶接装置1Aは、下フランジ用レール32および接続レール33の移動方向が第1実施形態と相違する。
【0030】
下フランジ用レール32の第2案内部32Bは、第1案内部32Aに支持されておらず、駆動機器によって下フランジLFの延設方向(前後方向)に移動可能とされている。駆動機器は、例えば、下フランジLFの延設方向に移動するスライダを備えた直動モータであり、当該直動モータのスライダに第2案内部32Bが支持されている。
【0031】
接続レール33は、上フランジ用レール31の第2案内部31Bに支持されておらず、駆動機器によって下フランジLFの延設方向に移動可能とされている。駆動機器は、例えば、下フランジLFの延設方向に移動するスライダを備えた直動モータであり、当該直動モータのスライダに接続レール33が支持されている。
【0032】
以下、溶接装置1AでH形鋼HSを溶接する方法について、図5から図9を参照しつつ説明する。
先ず、溶接装置1Aの使用者は、上フランジ用レール31、下フランジ用レール32、および接続レール33が図5、6に示す位置となるようにレール3を配置し、固定部5でレール3をH形鋼HSに固定する。この際、図5、6に示すように、接続レール33は、上フランジ用レール31の第2案内部31Bおよび下フランジ用レール32の第3案内部32Cと接続されており、下フランジ用レール32の第2案内部32Bは、後方の退避位置に退避している。
【0033】
次いで、第1実施形態と同様に、使用者が上フランジ用レール31に溶接ロボット2をセットした後、使用者または制御部4が溶接条件を設定し、制御部4に記憶させる。その後、使用者が入力操作部41を介して自動溶接開始の信号を入力すると、制御部4が溶接ロボット2を制御し、溶接ロボット2で上フランジUFを下向き溶接する。
【0034】
上フランジUFの下向き溶接が完了すると、制御部4が溶接ロボット2を制御し、図7に示すように、溶接ロボット2を上フランジ用レール31から下フランジ用レール32の第6案内部32Fに移動させる。そして、制御部4が溶接ロボット2を制御し、溶接ロボット2で下フランジLFのウェブWBよりも右方側を下向き溶接する。
【0035】
下フランジLFの右方側の下向き溶接が完了すると、制御部4は、接続レール33の駆動機器を制御し、図8に示すように、接続レール33を前方に移動させて退避位置に退避させた後、第2案内部32Bの駆動機器を制御し、第2案内部32Bを前方に移動させて下フランジ用レール32の第1案内部32Aおよび第3案内部32Cに接続させる。次いで、制御部4が溶接ロボット2を制御し、図9に示すように、溶接ロボット2を下フランジ用レール32の第6案内部32Fから第1案内部32Aに移動させる。その後、制御部4が溶接ロボット2を制御し、溶接ロボット2で下フランジLFのウェブWBよりも左方側を下向き溶接する。
【0036】
以上のような実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、接続レール33を前後方向に移動させるので、接続レール33がH形鋼HSに対して外側に張り出すことを防止できる。
【0037】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれる。
【0038】
例えば、溶接ロボット2は、下フランジ用レール32の第1案内部32Aまたは第6案内部32Fに最初にセットされ、下フランジLFを下向き溶接した後、上フランジ用レール31に移動され、上フランジUFを下向き溶接してもよいし、下フランジLFを下向き溶接した後、上フランジUFを溶接しなくてもよく、上フランジUFを溶接しない場合、使用者または他の作業者が上フランジUFを溶接してもよい。
トーチ22は、直線的な形状のもののほか、先端が屈曲または湾曲したものであってもよい。
【0039】
レール3は、H形鋼HSに直接支持されてもよい。
レール3は、下フランジ用レール32の第2案内部32Bや接続レール33が手動で回動されるように構成されてもよく、この場合、使用者が第2案内部32Bや、接続レール33を回動させてもよい。
下フランジ用レール32の第2案内部32Bは、Z軸と平行な回動軸を有するヒンジ等の接続部を介して、第1案内部32Aに回動可能に支持され、前方および後方の一方の方向に回動した退避位置を初期位置として、前方および後方の他方の方向に回動して第3案内部32Cに接続するようにしてもよい。
接続レール33は、X軸と平行な回動軸を有するヒンジ等の接続部を介して、上フランジ用レール31の第2案内部31Bに回動可能に支持され、前方および後方の一方の方向に回動した退避位置を初期位置として、前方および後方の他方の方向に回動して下フランジ用レール32の第3案内部32Cに接続するようにしてもよい。
上フランジ用レール31、下フランジ用レール32、および接続レール33は、溶接ロボット2を上フランジ用レール31の第1案内部31Aと、下フランジ用レール32の第1案内部32A、第6案内部32Fとに案内可能であれば、どのような形状に形成されてもよい。例えば、上フランジ用レール31の第2案内部31B、下フランジ用レール32の第3案内部32C、および接続レール33は、接続レール33が下フランジ用レール32の第3案内部32Cに接続されたときに、第2案内部31B、第3案内部32C、および接続レール33が連続する1つの半円等の円弧状となるように形成されてもよいし、第2案内部31Bは、第1案内部31Aと接続レール33を繋ぐ円弧状に形成されてもよい。また、例えば、下フランジ用レール32の第2案内部32Bは、第1案内部32Aと第3案内部32Cとを繋ぐ円弧状に形成されてもよいし、第5案内部32Eは、第4案内部32Dと第6案内部32Fとを繋ぐ円弧状となるように形成されてもよい。
【0040】
制御部4は、溶接ロボット2と有線で電気的に接続されてもよいし、無線で電気的に接続されてもよい。
入力操作部41は、制御部4と一体のものでもよいし、制御部4と別体のものでもよい。
【0041】
固定部5は、予めレール3に取り付けられていてもよい。
固定部5は、メカチャックやチャックシリンダ等の把持部材、クーロン力、粘着シート、粘着テープ、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等でレール3をH形鋼HSに固定する構成のものであってもよいし、それらを直接的又は間接的に組み合せた構成のものであってもよい。
【0042】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸または3軸以上の関節を備えた多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる。
【0043】
H形鋼HSの溶接相手となる鋼材は、特に限定されず、例えば、ボックス柱等の鉄骨柱のスキンプレートやダイヤフラム、鋼製壁等にH形鋼HSを溶接してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…溶接装置、2…溶接ロボット、3…レール、31…上フランジ用レール、32…下フランジ用レール、33…接続レール、HS…H形鋼、LF…下フランジ、UF…上フランジ、WB…ウェブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9