(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165075
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/00 20060101AFI20241121BHJP
H03F 1/42 20060101ALI20241121BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20241121BHJP
H03F 1/02 20060101ALI20241121BHJP
H01P 5/08 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H01L25/00 B
H03F1/42
H03F3/24
H03F1/02 188
H01P5/08 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080916
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004370
【氏名又は名称】弁理士法人片山特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 晴寿
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA04
5J500AA41
5J500AC14
5J500AC56
5J500AC62
5J500AC75
5J500AC92
5J500AF16
5J500AF20
5J500AH09
5J500AH10
5J500AH12
5J500AH29
5J500AH33
5J500AK29
5J500AK42
5J500AK46
5J500AK66
5J500AK68
5J500AS14
5J500AT01
5J500AT05
5J500LV08
(57)【要約】
【課題】小型化可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、高周波信号が入力または出力する信号端子と、基準電位が供給される、上面が導電性であるベース55と、ベース上に搭載され、上面に設けられた信号パッドを有する半導体チップ25と、ベース上に搭載され、基板31と、基板の上面に設けられた第1導電体パターン32と、を備える配線部品34と、ベース上に搭載され、誘電体基板35と、誘電体基板の上面に設けられた第2導電体パターン36と、誘電体基板の上面に設けられ第2導電体パターンと分離された第3導電体パターン37と、を備える容量性部品39と、信号パッドと第1導電体パターンとを電気的に接続する第1ボンディングワイヤ41と、第1導電体パターンと第2導電体パターンとを電気的に接続する第2ボンディングワイヤ42と、第1導電体パターンと信号端子とを電気的に接続する第3ボンディングワイヤ43と、信号端子と第3導電体パターンとを電気的に接続する第4ボンディングワイヤ44と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号が入力または出力する信号端子と、
基準電位が供給される、上面が導電性であるベースと、
前記ベース上に搭載され、上面に設けられた信号パッドを有する半導体チップと、
前記ベース上に搭載され、基板と、前記基板の上面に設けられた第1導電体パターンと、を備える配線部品と、
前記ベース上に搭載され、誘電体基板と、前記誘電体基板の上面に設けられた第2導電体パターンと、前記誘電体基板の上面に設けられ前記第2導電体パターンと分離された第3導電体パターンと、を備える容量性部品と、
前記信号パッドと前記第1導電体パターンとを電気的に接続する第1ボンディングワイヤと、
前記第1導電体パターンと前記第2導電体パターンとを電気的に接続する第2ボンディングワイヤと、
前記第1導電体パターンと前記信号端子とを電気的に接続する第3ボンディングワイヤと、
前記信号端子と前記第3導電体パターンとを電気的に接続する第4ボンディングワイヤと、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記誘電体基板、前記第2導電体パターンおよび前記ベースは第1キャパシタを形成し、
前記誘電体基板、前記第3導電体パターンおよび前記ベースは第2キャパシタを形成する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2導電体パターンの面積は、前記第3導電体パターンの面積より大きい請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1ボンディングワイヤ、前記第2ボンディングワイヤおよび前記第1キャパシタは、ハイパス回路を形成し、
前記第3ボンディングワイヤ、前記第4ボンディングワイヤおよび前記第2キャパシタはローパス回路を形成する請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1導電体パターンは、前記第1ボンディングワイヤおよび前記第3ボンディングワイヤが接合するベタパターンと、前記ベタパターンのうち前記半導体チップに近い端部に接続し、前記容量性部品の方に延伸する線路パターンと、を有し、前記第2ボンディングワイヤは、前記線路パターンのうち前記容量性部品に近い端部に接合する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第3ボンディングワイヤの本数は前記第4ボンディングワイヤの本数より多い請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2導電体パターンは、前記誘電体基板の上面に複数設けられ、
前記複数の第2導電体パターンにそれぞれ接続される複数の前記第2ボンディングワイヤは、前記第3ボンディングワイヤを挟むように設けられている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1ボンディングワイヤは複数設けられ、
1個の前記第1導電体パターンに接続される前記複数の第1ボンディングワイヤのうち前記第1ボンディングワイヤの配列方向における端部に位置する第1ボンディングワイヤは、前記複数の第1ボンディングワイヤのうち前記配列方向における中央部に位置する第1ボンディングワイヤより長い請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第3導電体パターンは、前記誘電体基板の上面に複数設けられ、
前記複数の第3導電体パターンにそれぞれ接続される複数の前記第4ボンディングワイヤは、前記第3ボンディングワイヤを挟むように設けられている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1導電体パターンは、前記基板の上面に前記半導体チップと前記配線部品の配列方向に交差する方向に複数設けられている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体チップは、トランジスタを備え、前記信号端子は、前記高周波信号を出力する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記トランジスタは、ドハティ増幅器のメインアンプである請求項11に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップと、半導体チップと外部回路とのインピーダンスを整合させるための整合回路と、をベース上に実装することが知られている(例えば特許文献1)。整合回路には、ベース上に実装される容量性部品、配線部品およびボンディングワイヤが用いられる
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
整合回路として、ハイパス回路とローパス回路を用いることが考えられる。この場合、ベース上に実装する部品点数が多くなり、大型化してしまう。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みなされたものであり、小型化可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態は、高周波信号が入力または出力する信号端子と、基準電位が供給される、上面が導電性であるベースと、前記ベース上に搭載され、上面に設けられた信号パッドを有する半導体チップと、前記ベース上に搭載され、基板と、前記基板の上面に設けられた第1導電体パターンと、を備える配線部品と、前記ベース上に搭載され、誘電体基板と、前記誘電体基板の上面に設けられた第2導電体パターンと、前記誘電体基板の上面に設けられ前記第2導電体パターンと分離された第3導電体パターンと、を備える容量性部品と、前記信号パッドと前記第1導電体パターンとを電気的に接続する第1ボンディングワイヤと、前記第1導電体パターンと前記第2導電体パターンとを電気的に接続する第2ボンディングワイヤと、前記第1導電体パターンと前記信号端子とを電気的に接続する第3ボンディングワイヤと、前記信号端子と前記第3導電体パターンとを電気的に接続する第4ボンディングワイヤと、を備える半導体装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、小型化可能な半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1に係る半導体装置の回路図である。
【
図2】
図2は、実施例1に係る半導体装置の平面図である。
【
図6】
図6は、回路Aにおける整合回路の回路図である。
【
図7】
図7は、回路Aにおけるインピーダンスの一例を示すスミスチャートである。
【
図8】
図8は、回路Bにおける整合回路の回路図である。
【
図9】
図9は、回路Bにおけるインピーダンスの一例を示すスミスチャートである。
【
図10】
図10は、比較例1に係る半導体装置の平面図である。
【
図11】
図11は、比較例2に係る半導体装置の平面図である。
【
図12】
図12は、比較例3に係る半導体装置の平面図である。
【
図13】
図13は、実施例1の変形例1に係る半導体装置の平面図である。
【
図14】
図14は、実施例1の変形例2に係る半導体装置の平面図である。
【
図15】
図15は、実施例1の変形例3に係る半導体装置の平面図である。
【
図16】
図16は、実施例1の変形例4に係る半導体装置の平面図である。
【
図17】
図17は、実施例2の半導体装置が用いられるドハティ増幅器の回路図である。
【
図18】
図18は、実施例2に係る半導体装置の平面図である。
【
図19】
図19は、回路Aを整合回路66に用いたときのインピーダンスZ1およびZ2を示すスミスチャートである。
【
図20】
図20は、回路Bを整合回路66に用いたときのインピーダンスZ1およびZ2を示すスミスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の一実施形態は、高周波信号が入力または出力する信号端子と、基準電位が供給される、上面が導電性であるベースと、前記ベース上に搭載され、上面に設けられた信号パッドを有する半導体チップと、前記ベース上に搭載され、基板と、前記基板の上面に設けられた第1導電体パターンと、を備える配線部品と、前記ベース上に搭載され、誘電体基板と、前記誘電体基板の上面に設けられた第2導電体パターンと、前記誘電体基板の上面に設けられ前記第2導電体パターンと分離された第3導電体パターンと、を備える容量性部品と、前記信号パッドと前記第1導電体パターンとを電気的に接続する第1ボンディングワイヤと、前記第1導電体パターンと前記第2導電体パターンとを電気的に接続する第2ボンディングワイヤと、前記第1導電体パターンと前記信号端子とを電気的に接続する第3ボンディングワイヤと、前記信号端子と前記第3導電体パターンとを電気的に接続する第4ボンディングワイヤと、を備える半導体装置である。これにより、第2導電体パターンと第3導電体パターンを同じ誘電体基板の上面に設けることができる。よって、容量性部品の個数を減らすことができ、半導体装置を小型化できる。
(2)上記(1)において、前記誘電体基板、前記第2導電体パターンおよび前記ベースは第1キャパシタを形成し、前記誘電体基板、前記第3導電体パターンおよび前記ベースは第2キャパシタを形成してもよい。これにより、第1キャパシタと第2キャパシタとを同じ容量性部品に設けることができる。
(3)上記(2)において、前記第2導電体パターンの面積は、前記第3導電体パターンの面積より大きくてもよい。これにより、第1キャパシタのキャパシタンスを第2キャパシタのキャパシタンスより大きくできる。
(4)上記(3)において、前記第1ボンディングワイヤ、前記第2ボンディングワイヤおよび前記第1キャパシタは、ハイパス回路を形成し、前記第3ボンディングワイヤ、前記第4ボンディングワイヤおよび前記第2キャパシタはローパス回路を形成してもよい。これにより、配線部品と容量性部品とを用いハイパス回路とローパス回路とを実現できる。
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記第1導電体パターンは、前記第1ボンディングワイヤおよび前記第3ボンディングワイヤが接合するベタパターンと、前記ベタパターンのうち前記半導体チップに近い端部に接続し、前記容量性部品の方に延伸する線路パターンと、を有し、前記第2ボンディングワイヤは、前記線路パターンのうち前記容量性部品に近い端部に接合してもよい。これにより、ボンディングワイヤの一部の代わりに線路パターンを用いることができる。よって、ボンディングワイヤの溶断または焼失を抑制できる。
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記第3ボンディングワイヤの本数は前記第4ボンディングワイヤの本数より多くてもよい。これにより、第3ボンディングワイヤの溶断または焼失を抑制できる。
(7)上記(1)から(6)のいずれかにおいて、前記第2導電体パターンは、前記誘電体基板の上面に複数設けられ、前記複数の第2導電体パターンにそれぞれ接続される複数の前記第2ボンディングワイヤは、前記第3ボンディングワイヤを挟むように設けられていてもよい。これにより、特性を均一化できる。
(8)上記(7)において、前記第1ボンディングワイヤは複数設けられ、1個の前記第1導電体パターンに接続される前記複数の第1ボンディングワイヤのうち前記第1ボンディングワイヤの配列方向における端部に位置する第1ボンディングワイヤは、前記複数の第1ボンディングワイヤのうち前記配列方向における中央部に位置する第1ボンディングワイヤより長くてもよい。これにより、特性を均一化できる。
(9)上記(1)から(8)のいずれかにおいて、前記第3導電体パターンは、前記誘電体基板の上面に複数設けられ、前記複数の第3導電体パターンにそれぞれ接続される複数の前記第4ボンディングワイヤは、前記第3ボンディングワイヤを挟むように設けられていてもよい。これにより、特性を均一化できる。
(10)上記(1)から(9)のいずれかにおいて、前記第1導電体パターンは、前記基板の上面に前記半導体チップと前記配線部品の配列方向に交差する方向に複数設けられていてもよい。これにより、特性を均一化できる。
(11)上記(1)から(10)のいずれかにおいて、前記半導体チップは、トランジスタを備え、前記信号端子は、前記高周波信号を出力してもよい。これにより、トランジスタから出力される信号によりボンディングワイヤが溶断または焼失することを抑制できる。
(12)上記(11)において、前記トランジスタは、ドハティ増幅器のメインアンプであってもよい。これにより、ドハティ増幅器を広帯域化し、かつ小型化が可能となる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態にかかる半導体装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0010】
[実施例1]
図1は、実施例1に係る半導体装置の回路図である。
図1に示すように、半導体装置100は、トランジスタ20、整合回路14を備えている。整合回路14は、ハイパス回路12およびローパス回路13を備えている。トランジスタ20は、例えばFET(Field Effect Transistor)であり、GaN HEMT(Gallium Nitride High Electron Mobility Transistor)またはLDMOS(Laterally Diffused Metal Oxide Semiconductor)である。トランジスタ20のソースSはグランドに電気的に接続され、短絡されている。ゲートGは、入力端子Tinに電気的に接続され、短絡されている。ドレインDは、整合回路14を介し出力端子Toutに電気的に接続されている。
【0011】
ハイパス回路12は、インダクタL1、伝送線路M1、インダクタL2およびキャパシタC1を備えている。インダクタL1は、ドレインDとノードN1との間に直列接続されている。伝送線路M1、インダクタL2およびキャパシタC1は、ノードN1とグランド(すなわち基準電位)との間に直列接続されている。ハイパス回路12として機能するため、伝送線路M1およびインダクタL2の合計のインダクタンスは、インダクタL1のインダクタンスより大きい。キャパシタC1はDC(Direct Current)カット用のキャパシタである。キャパシタC1は、動作帯域において伝送線路M1およびインダクタL2のインピーダンスにあまり影響しないように、大きなキャパシタンスを有する。
【0012】
ローパス回路13は、伝送線路M2、インダクタL3、L4およびキャパシタC2を備えている。伝送線路M2とインダクタL3とは、ノードN1とN2との間に直列接続されている。インダクタL4とキャパシタC2は、ノードN2とグランドとの間に直列接続されている。ローパス回路13として機能するため、伝送線路M2およびインダクタL3の合計のインダクタンスは、インダクタL4のインダクタンスより大きい。ローパス回路13として機能するため、キャパシタC2は、小さなキャパシタンスを有する。キャパシタC2のキャパシタンスはキャパシタC1のキャパシタンスより小さい。
【0013】
トランジスタ20は、入力端子Tinに入力された高周波信号を増幅する。増幅された高周波信号は、整合回路14を介し出力端子Toutに出力される。整合回路14は、ドレインDから整合回路14を見たインピーダンスを、整合回路14から出力端子Toutを見たインピーダンスに整合させる。半導体装置100が移動体通信の基地局に用いられる場合、高周波信号の周波数は例えば0.5GHz以上かつ10GHz以下である。
【0014】
図2は、実施例1に係る半導体装置の平面図である。
図3から
図5は、
図2のそれぞれA-A断面図、B-B断面図およびC-C断面図である。ベース55の上面の法線方向をZ方向、入力リード51から出力リード50の方向をX方向、X方向およびZ方向に直交する方向をY方向とする。
【0015】
図2から
図5に示すように、実施例1の半導体装置100では、ベース55上に、半導体チップ25、配線部品34、容量性部品39および支持体56および57が搭載されている。ベース55は、例えば銅とモリブデンの積層基板等の導電体基板、または、FR-4(Flame Retardant Type 4)等の樹脂またはセラミックからなる絶縁基板であり、ベース55の上面は銅層等の導電体層である。このように、ベース55は、少なくとも上面が導電体であればよい。ベース55には、グランド電位等の基準電位が供給される。
【0016】
支持体56は、ベース55のX方向における+端に設けられ、支持体57は、ベース55のX方向における-端に設けられている。支持体56および57は、半導体チップ25、配線部品34および容量性部品39を囲む枠体として一体に設けられていてもよい。支持体56および57上には、それぞれ出力リード50の一部および入力リード51の一部が接合されている。入力リード51および出力リード50は、各々一体として同じ金属層または金属板により形成されていてもよい。入力リード51および出力リード50は、それぞれ支持体56および57上に設けられた金属層上に棒状のリードが接合されていてもよい。支持体56および57は、例えばFR-4等の樹脂またはセラミックからなる誘電体層である。入力リード51および出力リード50は、例えば銅等の金属層または金属板である。支持体56および57と、出力リード50および入力リード51とは、例えば樹脂接着剤または金属接合層等の接合層53によりそれぞれ接合されている。
【0017】
半導体チップ25、配線部品34および容量性部品39は、入力リード51と出力リード50との間において、X方向に配列されている。半導体チップ25は、半導体基板21、半導体基板21の上面に設けられたパッド22および23、並びに半導体基板21の下面に形成された導電体パターン24を備えている。パッド22、23および導電体パターン24はそれぞれゲート電極、ドレイン電極およびソース電極であり、パッド22および23はそれぞれ入力パッドおよび出力パッドである。パッド22および23は、Y方向に延伸し、パッド22はパッド23より入力リード51に近い。パッド22および23は各々複数設けられていてもよい。トランジスタ20は、複数の単位トランジスタ20aから20cを備えている。単位トランジスタ20aから20cは、パッド22と23との間において並列接続されている。単位トランジスタ20aから20cは、Y方向に配列されている。これにより、半導体チップ25のY方向における長さはX方向における長さより大きい。トランジスタ20がGaN HEMTの場合、半導体基板21は、例えば炭化シリコン(SiC)基板、サファイア基板または窒化ガリウム(GaN)基板である。パッド22、23および導電体パターン24は例えば金層等の金属層である。
【0018】
配線部品34は、基板31、基板31の上面に設けられた導電体パターン32(第1導電体パターン)、および基板31の下面に形成された導電体パターン33を備えている。導電体パターン32は、ベタパターン32aと2本の線路パターン32bとを備えている。ベタパターン32aのY方向の幅は、線路パターン32bのY方向における幅より大きい。2本の線路パターン32bは、ベタパターン32aのうち半導体チップ25に近い領域に接続されている。2本の線路パターン32bは、配線部品34のY方向における中心であってX方向に延伸する中心線に対し線対称である。線路パターン32bは、1本のみ設けられていてもよいし、3本以上設けられていてもよい。基板31は、例えばアルミナ等の無機絶縁体、または砒化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)もしくはシリコン等の半導体である。導電体パターン32および33は例えば金層等の金属層である。
【0019】
容量性部品39は、誘電体基板35、誘電体基板35の上面に設けられた導電体パターン36、37、および誘電体基板35の下面に設けられた導電体パターン38を備えている。2個の導電体パターン37は、容量性部品39のY方向における両端部にそれぞれ設けられている。2個の導電体パターン36は、2個の導電体パターン37の間に設けられている。誘電体基板35を挟む導電体パターン36と導電体パターン38とによりキャパシタが形成され、誘電体基板35を挟む導電体パターン37と導電体パターン38とによりキャパシタが形成される。導電体パターン37は、複数の導電体パターン36の間に設けてもよい。導電体パターン36および37は、各々1個でもよいし、3個以上でもよい。基板31は、例えばチタン酸バリウム等の比誘電率がアルミナより高い無機絶縁体である。導電体パターン36、37および38は例えば金層等の金属層である。
【0020】
導電体パターン24、33および38は、金属ペーストまたはロウ材等の接合層52によりベース55に電気的に接合され、短絡されている。これにより、導電体パターン24、33および38は、ベース55と同電位となる。
【0021】
ボンディングワイヤ40は入力リード51とパッド22とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ41はパッド23とベタパターン32aの半導体チップ25に近い端部とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ42は線路パターン32bの容量性部品39に近い端部と導電体パターン36とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ43はベタパターン32aの容量性部品39に近い端部と出力リード50とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ44は、出力リード50と導電体パターン37とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ40から44は、平面視においてほぼX方向に延伸する。ボンディングワイヤ40から44は、例えば金ワイヤまたはアルミニウムワイヤである。
【0022】
図2から
図5における入力リード51および出力リード50は、
図1の入力端子Tinおよび出力端子Toutにそれぞれ相当する。ボンディングワイヤ40は、
図1の入力端子Tinとトランジスタ20のゲートGとの間の線路に相当する。ボンディングワイヤ41は、
図1のインダクタL1に相当する。ベタパターン32aは、
図1の伝送線路M2に相当する。ボンディングワイヤ43は、
図1のインダクタL3に相当する。線路パターン32bは、
図1の伝送線路M1に相当する。ボンディングワイヤ42は
図1のインダクタL2に相当する。誘電体基板35を挟む導電体パターン36および38は、
図1のキャパシタC1に相当する。ボンディングワイヤ44は、
図1のインダクタL4に相当する。誘電体基板35を挟む導電体パターン37および38は、
図1のキャパシタC2に相当する。
【0023】
図1における伝送線路M1とインダクタL2との合計のインダクタンスを大きくする。このため、
図2における線路パターン32bを細く長く形成し、ボンディングワイヤ42の本数を少なくする。
図1におけるインダクタL4のインダクタンスを小さくする。このため、
図2におけるボンディングワイヤ44を短くする。
図1におけるキャパシタC1のキャパシタンスをキャパシタC2のキャパシタンスより大きくする。このため、
図2における導電体パターン36の面積を導電体パターン37の面積より大きくする。
図1におけるトランジスタ20と出力端子Toutとの間には大きい電力の高周波信号が流れる。このため、ボンディングワイヤ41および43の本数を多くする。
【0024】
実施例1の整合回路14において、ハイパス回路12とローパス回路13を組み合わせる理由の例を説明する。回路Aは比較例の回路構成、回路Bは、実施例1の回路構成である。
【0025】
[回路A]
図6は、回路Aにおける整合回路の回路図である。
図6に示すように、回路Aの整合回路は、ローパス回路13を備えているが、ハイパス回路12を備えていない。ローパス回路13では、端子T1とT2との間にインダクタL3が直列接続され、インダクタL3と端子T2との間のノードN2にキャパシタC2がシャント接続されている。端子T1には、
図1のトランジスタ20のドレインDが接続される。
【0026】
図7は、回路Aにおけるインピーダンスの一例を示すスミスチャートである。ローパス回路13から端子T2を見たインピーダンスをZ1、インダクタL3からノードN2を見たインピーダンスをZ2、端子T1からインダクタL3を見たインピーダンスをZ3とする。インピーダンスZ1からZ3の各々の点は、3.4GHz、3.6GHzおよび3.8GHzの周波数に対応する。基準インピーダンス(または規格化インピーダンス)Z0は3Ωである。基準インピーダンスZ0はスミスチャートの中心におけるインピーダンスに相当する。インピーダンスZ1は、ほぼ8Ωである。インピーダンスZ3付近の範囲84は、トランジスタ20としてGaN HEMTとしたときのインピーダンスZ3の目標範囲である。
【0027】
図7に示すように、インピーダンスZ1は、ほぼ実軸上に位置し8Ωである。これは、実施例2において、後述するドハティ増幅器の合成器をメインアンプの整合回路から見たインピーダンスに相当する。インピーダンスZ1は、シャント接続されたキャパシタC2により、インピーダンスZ2に変換される。インピーダンスZ2は直列接続のインダクタL3によりインピーダンスZ3に変換される。インピーダンスZ3は、周波数によりばらついてしまう。これにより、インピーダンスZ3は範囲84から外れることもありうる。
【0028】
[回路B]
図8は、回路Bにおける整合回路の回路図である。
図8に示すように、回路Bの整合回路では、ハイパス回路12とローパス回路13を備えている。ハイパス回路12では、端子T1とローパス回路13との間にインダクタL1が直列接続され、インダクタL1とローパス回路13との間のノードN1にインダクタL2がシャント接続されている。その他の回路構成は回路Aと同じである。
【0029】
図9は、回路Bにおけるインピーダンスの一例を示すスミスチャートであるローパス回路13から端子T2を見たインピーダンスをZ1、インダクタL3からノードN2を見たインピーダンスをZ2、ハイパス回路12からインダクタL3を見たインピーダンスをZ3、インダクタL1からノードN1を見たインピーダンスをZ4、端子T1からインダクタL1を見たインピーダンスをZ5とする。インピーダンスZ1からZ5の各々の点は、3.4GHz、3.6GHzおよび3.8GHzの周波数に対応する。基準インピーダンスZ0は3Ωである。
【0030】
図9に示すように、インピーダンスZ1は、ほぼ実軸上に位置し8Ωである。インピーダンスZ1は、シャント接続されたキャパシタC2により、インピーダンスZ2に変換される。インピーダンスZ2は直列接続のインダクタL3によりインピーダンスZ3に変換される。インピーダンスZ3はシャント接続のインダクタL2によりインピーダンスZ4に変換される。インピーダンスZ4は、直列接続のインダクタL1によりインピーダンスZ5に変換される。なお、回路Bには、
図1のDCカット用のキャパシタC1が設けられていない。キャパシタC1のキャパシタンスは十分に大きいため、インダクタL2のインピーダンス変換にはほとんど影響しない。インピーダンスZ5は、周波数が変わってもばらついていない。このように、回路Bは回路Aに比べ周波数によるインピーダンスのばらつきを抑制できる。
【0031】
回路Aのように、ローパス回路13を用いた整合回路は、部品点数が少なく、かつ出力特性および効率特性が得やすい。しかしながら、
図7のように、狭帯域である。回路Bでは、ハイパス回路12をローパス回路13の前に設けることで、広帯域化が可能となる。このように、広帯域化または他の理由により、ローパス回路13の前段にハイパス回路12を設けることがある。しかしながら、回路Bでは、部品点数が多いため、コストアップしてしまう。
【0032】
[比較例1]
比較例1は、回路BにDCカットのキャパシタC1を設けた整合回路14を実現する半導体装置の例である。
図10は、比較例1に係る半導体装置の平面図である。
図10に示すように、比較例1の半導体装置110では、2個の容量性部品39aと1個の容量性部品39bがベース55上に搭載されている。容量性部品39aでは、誘電体基板35a上に導電体パターン36が設けられている。容量性部品39bでは、誘電体基板35b上に導電体パターン37が設けられている。ボンディングワイヤ45は、ベタパターン32aと導電体パターン37とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ46は、導電体パターン37と出力リード50とを電気的に接続する。ベタパターン32aとボンディングワイヤ45とは、
図8のインダクタL3に相当する。ボンディングワイヤ46は、
図8のノードN1と出力リード50との間の線路に相当する。誘電体基板35bを挟む導電体パターン37とベース55とは、
図8のキャパシタC2に相当する。
【0033】
ボンディングワイヤ41、45および46には、大電力の信号が流れる。このため、ボンディングワイヤ41、45および46の本数を多くする。導電体パターン37に接続されるボンディングワイヤ45および46の本数が多いため、導電体パターン37の面積を大きくする。
図1のキャパシタC1のキャパシタンスはキャパシタC2のキャパシタンスより大きい。このため、誘電体基板35bの誘電率を誘電体基板35aの誘電率より小さくすることで、導電体パターン37の面積を大きくしている。一例として、キャパシタC1のキャパシタンスは50pFから100pFである。キャパシタC2のキャパシタンスは6pFである。このとき、誘電体基板35aの比誘電率を約250とし、誘電体基板35bの比誘電率を約40とする。
【0034】
比較例1では、容量性部品39aおよび39bの個数が3個となり、配線部品34と合わせ、整合回路14を構成する部品は4個になってしまう。これにより、半導体装置110はコストが高くなってしまう。
【0035】
[比較例2]
図11は、比較例2に係る半導体装置の平面図である。
図11に示すように、比較例2の半導体装置112では、比較例1における3個の容量性部品39aおよび39bを1個の容量性部品39としている。容量性部品39では、誘電体基板35上に導電体パターン36および37が設けられている。誘電体基板35の比誘電率を比較例1の誘電体基板35bの比誘電率と同じとする。この場合、比較例1と導電体パターン37の面積は変わらない。しかし、比較例1より導電体パターン36の面積を大きくすることになる。このため、容量性部品39が大きくなり、半導体装置112が大型化してしまう。
【0036】
[比較例3]
図12は、比較例3に係る半導体装置の平面図である。
図12に示すように、比較例3の半導体装置114では、容量性部品39を1個にし、誘電体基板35の比誘電率を比較例1の誘電体基板35aの比誘電率と同じとする。この場合、比較例1と導電体パターン36の面積は変わらない。しかし、比較例2より導電体パターン37の面積を小さくすることになる。このため、導電体パターン37に接続させるボンディングワイヤ45および46の本数が少なくなる。これにより、大きな電力の信号が流れたときに、ボンディングワイヤ45および46が溶断または焼失する可能性がある。
【0037】
[実施例1]
実施例1によれば、
図2から
図5のように、容量性部品39は、誘電体基板35と、誘電体基板35の上面に設けられた導電体パターン36(第2導電体パターン)と、誘電体基板35の上面に設けられ導電体パターン36と分離された導電体パターン37(第3導電体パターン)と、を備える。ボンディングワイヤ41(第1ボンディングワイヤ)は、パッド23(信号パッド)と導電体パターン32とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ42(第2ボンディングワイヤ)は、導電体パターン32と導電体パターン36とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ43(第3ボンディングワイヤ)は、導電体パターン32と出力リード50(信号端子)とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ44(第4ボンディングワイヤ)は、出力リード50と導電体パターン37とを電気的に接続する。
【0038】
このように、導電体パターン32と導電体パターン37との電気的接続を、出力リード50を経由して行う。これにより、パッド23から出力リード50に至る大きな電力の信号が流れる線路に設けられるボンディングワイヤ41および43の本数を多くして、ボンディングワイヤ41および43が溶断または焼失すること抑制できる。ボンディングワイヤ44を流れる信号の電力は大きくない。このため、ボンディングワイヤ44の本数は少なくてもよい。これにより、導電体パターン37の面積を小さくできる。よって、導電体パターン36と37を同じ誘電体基板35の上面に設けることができる。また、ボンディングワイヤ43の本数を多くできるため、ボンディングワイヤ43の溶断または焼失を抑制できる。よって、容量性部品の個数を減らすことができ、半導体装置100の小型化が可能となる。
【0039】
ベース55の上面は導電性であり、基準電位が供給される。半導体チップ25、配線部品34および容量性部品39は、ベース55の上面に搭載されている。これにより、半導体チップ25、配線部品34および容量性部品39の下面を同じ基準電位とすることができる。
【0040】
誘電体基板35、導電体パターン36およびベース55は、
図1のキャパシタC1(第1キャパシタ)を形成する。誘電体基板35、導電体パターン37およびベース55は、
図1のキャパシタC2(第2キャパシタ)を形成する。これにより、キャパシタC1およびC2を同じ容量性部品39に設けることができる。
【0041】
導電体パターン36の面積は、導電体パターン37の面積より大きい。これにより、キャパシタC1のキャパシタンスをキャパシタC2のキャパシタンスより大きくできる。導電体パターン36の面積は、例えば、導電体パターン37の面積の2倍以上であり、5倍以上であり、10倍以上である。導電体パターン36の面積が導電体パターン37に対し大きすぎると、容量性部品39が大きくなってしまう。この観点から、導電体パターン36の面積は、例えば、導電体パターン37の面積の100倍以下である。
【0042】
ボンディングワイヤ41、42およびキャパシタC1は、ハイパス回路12を形成する。ボンディングワイヤ43、ボンディングワイヤ44およびキャパシタC2はローパス回路13を形成する。これにより、2個の部品を用い、ハイパス回路12およびローパス回路13を有する整合回路14を実現できる。
【0043】
ボンディングワイヤ43の本数はボンディングワイヤ44の本数より多い。これにより、ボンディングワイヤ43の溶断または焼失を抑制できる。ボンディングワイヤ43の本数は、例えばボンディングワイヤ44の本数の2倍以上であり、5倍以上である。
【0044】
ボンディングワイヤ41の溶断または焼失を抑制し、かつボンディングワイヤ42のインダクタンスを大きくするため、ボンディングワイヤ41の本数はボンディングワイヤ42の本数より多い。ボンディングワイヤ41の本数は、例えばボンディングワイヤ42の本数の2倍以上であり、5倍以上である。
【0045】
図2のように、半導体チップ25には、複数の単位トランジスタ20aから20cがY方向に配列して設けられている。一例では、単位トランジスタ20aから20cの個数は32個である。仮に、Y方向における正側の線路パターン32b、ボンディングワイヤ42および導電体パターン36が設けられ、Y方向における負側の線路パターン32b、ボンディングワイヤ42および導電体パターン36が設けられていない場合を考える。単位トランジスタ20cと導電体パターン36との間のインダクタンスは、単位トランジスタ20aと導電体パターン36との間のインダクタンスより大きくなる。これにより、単位トランジスタ20aから20cに接続されるインダクタンスが異なり、単位トランジスタ20aから20cのインピーダンスの整合状態が異なってしまう。
【0046】
実施例1では、導電体パターン36は、誘電体基板35の上面にY方向に配列して複数設けられている。複数の導電体パターン36にそれぞれ接続される複数のボンディングワイヤ42は、ボンディングワイヤ43をY方向において挟むように設けられている。これにより、単位トランジスタ20cと導電体パターン36との間のインダクタンスと、単位トランジスタ20aと導電体パターン36との間のインダクタンスと、をほぼ同じにできる。単位トランジスタ20aから20cのインピーダンスの整合状態を均一化できる。
【0047】
仮に、Y方向における正側のボンディングワイヤ44および導電体パターン37が設けられ、Y方向における負側のボンディングワイヤ44および導電体パターン37が設けられていない場合を考える。ベタパターン32a内の領域30bと導電体パターン37との間のインダクタンスは、ベタパターン32a内の領域30aと導電体パターン37との間のインダクタンスより大きくなる。これにより、領域30aおよび30bに接続されるインダクタンスが異なり、領域30aと30bとでインピーダンスの整合状態が異なってしまう。
【0048】
実施例1では、導電体パターン37は、誘電体基板35の上面にY方向に配列して複数設けられている。複数の導電体パターン37にそれぞれ接続される複数のボンディングワイヤ44は、ボンディングワイヤ43をY方向において挟むように設けられている。これにより、領域30aと導電体パターン37との間のインダクタンスと、領域30bと導電体パターン37との間のインダクタンスと、をほぼ同じにできる。ベタパターン32a上の領域30aおよび30bのインピーダンスの整合状態を均一化できる。
【0049】
信号端子は入力リードでもよく、信号パッドは、入力パッドでもよい。このように、信号端子は、高周波信号が入力または出力する端子であればよい。
【0050】
半導体チップ25に設けられる半導体素子は、トランジスタ20以外でもよい。しかし、半導体チップ25がトランジスタ20を備え、かつ信号端子が高周波信号を出力する出力リード50の場合には、比較例1から3のような構成では、ボンディングワイヤ45および46を流れる信号の電力が大きくなる。このため、比較例2では、半導体装置が大型化し、比較例3では、ボンディングワイヤ45および46が溶断または焼失しやすくなる。よって、実施例1のように、ベタパターン32aと導電体パターン37との接続を、出力リード50を介して行う。トランジスタ20はFET以外でもよい。
【0051】
[実施例1の変形例1]
図13は、実施例1の変形例1に係る半導体装置の平面図である。
図13に示すように、実施例1の変形例1の半導体装置102では、導電体パターンに線路パターン32bが設けられていない。ボンディングワイヤ48は、ベタパターン32aと導電体パターン36とを電気的に接続する。
図1の伝送線路M1が設けられていない。インダクタL2のインダクタンスを大きくするため、ボンディングワイヤ48を長くする。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0052】
[実施例1の変形例2]
図14は、実施例1の変形例2に係る半導体装置の平面図である。
図14に示すように、実施例1の変形例2の半導体装置104では、基板31上にパッド32cが設けられている。ベタパターン32aとパッド32cとを電気的に接続するボンディングワイヤ48が設けられている。ボンディングワイヤ42は、パッド32cと導電体パターン36とを電気的に接続する。インダクタL2のインダクタンスを大きくするため、ボンディングワイヤ48を長くする。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0053】
実施例1の変形例1および2のように、配線部品34に線路パターン32bを設けずに、ボンディングワイヤ48をインダクタとして用いてもよい。ボンディングワイヤ48のインダクタンスを大きくするためには、ボンディングワイヤ48を長くし、かつ本数を少なくする。これにより、ボンディングワイヤ48を流れる電流により、ボンディングワイヤ48が溶断または焼失することがありうる。
【0054】
実施例1によれば
図2のように、導電体パターン32は、ベタパターン32aおよび線路パターン32bを備えている。ベタパターン32aは、ボンディングワイヤ41および43が接合する。線路パターン32bは、ベタパターン32aのうち半導体チップ25に近い端部に接続し、容量性部品39の方に延伸する。ボンディングワイヤ42は、線路パターン32bのうち容量性部品39に近い端部に接合する。これにより、実施例1の変形例1および2のボンディングワイヤ48の代わりに線路パターン32bをインダクタとして用いることができる。よって、ボンディングワイヤの溶断または焼失を抑制できる。
【0055】
図2のように、線路パターン32bにおける信号が流れる方向に直交する方向における最小幅W2は、ベタパターン32aにおける信号が流れる方向に直交する方向における最小幅W1より小さい。これにより、線路パターン32bのインダクタンスを大きくできる。最小幅W2は最小幅W1の1/5倍以下とすることができる。線路パターン32bを介したボンディングワイヤ41と42との最短距離D2は、ベタパターン32aを介したボンディングワイヤ41と43との最短距離D1より長い。これにより、線路パターン32bのインダクタンスを大きくできる。最短距離D2は最短距離D1の1.2倍以上とすることができる。
【0056】
[実施例1の変形例3]
図15は、実施例1の変形例3に係る半導体装置の平面図である。
図15に示すように、実施例1の変形例3の半導体装置105では、ベース55上に容量性部品29が設けられている。容量性部品29は、誘電体基板26および導電体パターン27を備えている。導電体パターン27は、誘電体基板26上に設けられている。ボンディングワイヤ40aは入力リード51と導電体パターン27とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ40bは導電体パターン27とパッド22とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ40aおよび40bは、入力リード51とパッド22との間に直列接続されたインダクタを形成する。誘電体基板26と誘電体基板26を挟む導電体パターン27およびベース55とはシャント接続されたキャパシタを形成する。インダクタとキャパシタとは、整合回路を形成する。実施例1の変形例3のように、半導体装置105は、入力リード51と半導体チップ25との間に設けられた整合回路を備えてもよい。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。実施例1の変形例1および2において、入力リード51と半導体チップ25との間に設けられた整合回路を設けてもよい。
【0057】
[実施例1の変形例4]
図16は、実施例1の変形例4に係る半導体装置の平面図である。
図16に示すように、実施例1の変形例4の半導体装置106では、配線部品34上に複数の導電体パターン32が設けられている。2個のベタパターン32aに各々2本の線路パターン32bが接続されている。容量性部品39上に4個の導電体パターン36と2個の導電体パターン37が設けられている。4本の線路パターン32bの容量性部品39に近い端部から、それぞれ4個の導電体パターン36にボンディングワイヤ42が接続されている。2個の導電体パターン37は、4個の導電体パターン36を挟む。
【0058】
1個の導電体パターン32に接続される複数のボンディングワイヤ41のうちY方向における中央部のボンディングワイヤ41の長さをD3とする。1個の導電体パターン32に接続される複数のボンディングワイヤ41のうちY方向における端部のボンディングワイヤ41の長さをD4とする。長さD4は長さD3より大きい。1個の導電体パターン32に接続される複数のボンディングワイヤ43のうちY方向における中央部のボンディングワイヤ43の長さをD5とする。1個の導電体パターン32に接続される複数のボンディングワイヤ43のうちY方向における端部のボンディングワイヤ43の長さをD6とする。長さD6は長さD5より大きい。ボンディングワイヤ40も同様である。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0059】
Y方向における単位トランジスタ20aから20fの個数のうち、単位トランジスタ20aおよび20fは、半導体チップ25のY方向における端部に位置する。単位トランジスタ20cおよび20dは、半導体チップ25のY方向における中央部に位置する。この場合、実施例1のように、導電体パターン32が1個では、単位トランジスタ20cおよび20dと導電体パターン36との間のインダクタンスは、単位トランジスタ20aおよび20fと導電体パターン36との間のインダクタンスより大きくなる。このように、単位トランジスタ20aから20fと導電体パターン36との間のインダクタンスが大きく異なってしまう。これにより、単位トランジスタによって、整合状態が異なってしまう。
【0060】
そこで、実施例1の変形例5では、導電体パターン32を、基板31の上面にY方向(半導体チップ25と配線部品34の配列方向に交差する方向)に複数設ける。これにより、単位トランジスタ20cおよび20dと導電体パターン36との間のインダクタンスと、単位トランジスタ20aおよび20fと導電体パターン36との間のインダクタンスと、の差を小さくできる。よって、単位トランジスタにおける整合状態を均一化できる。実施例1の変形例2から4においても、導電体パターン32を複数設けてもよい。
【0061】
実施例1のように、複数のボンディングワイヤ41の長さをほぼ同じにすると、
図2の単位トランジスタ20bと導電体パターン36との間のインダクタンスは、単位トランジスタ20aおよび20cと導電体パターン36との間のインダクタンスより大きくなる。これにより、単位トランジスタによって、整合状態が異なってしまう。
【0062】
実施例1の変形例5では、
図16のように、Y方向における端部のボンディングワイヤ41の長さD4は、Y方向における中央部のボンディングワイヤ41の長さD3より長い。これにより、単位トランジスタ20a、20c、20dおよび20fと導電体パターン36との間のインダクタンスと、単位トランジスタ20bおよび20eと導電体パターン36との間のインダクタンスと、の差を小さくできる。よって、単位トランジスタの整合状態を均一化できる。長さD4は長さD3の1.2倍以上とすることができる。長さD4が長すぎると、単位トランジスタ20a、20c、20dおよび20fと導電体パターン36との間のインダクタンスが、単位トランジスタ20bおよび20eと導電体パターン36との間のインダクタンスより大きくなってしまう。この観点から長さD4は長さD3の2倍以下とすることができる。実施例1およびその変形例1から4においても、長さD4を長さD3より大きくしてもよい。
【0063】
[実施例2]
実施例2は、実施例1およびその変形例の半導体装置をドハティ増幅器に用いる例である。
図17は、実施例2の半導体装置が用いられるドハティ増幅器の回路図である。
図17に示すように、ドハティ増幅器107では、入力端子Tinと出力端子Toutとの間にメインアンプ60とピークアンプ61とが並列に接続されている。入力端子Tinに入力信号Siとして高周波信号が入力する。分配器71は入力端子Tinに入力した入力信号Siを信号Si1とSi2とに分配する。分配器71は例えばウイルキソン型分配器またはハイブリッドカプラである。
【0064】
信号Si1はオフセット線路62および整合回路64を通過しメインアンプ60に入力する。オフセット線路62は、メインアンプ60とピークアンプ61との位相を調整する。整合回路64はオフセット線路62から整合回路64を見たインピーダンスを整合回路64からメインアンプ60を見たインピーダンスに整合させる。メインアンプ60は、信号Si1を増幅し増幅された信号を信号So1として出力する。メインアンプ60が増幅した信号So1は、整合回路66およびインピーダンス変換器69を介しノードN3に出力される。整合回路66は、メインアンプ60から整合回路66を見たインピーダンスを整合回路66からインピーダンス変換器69を見たインピーダンスに整合させる。インピーダンス変換器69は、整合回路66からインピーダンス変換器69を見たインピーダンスをインピーダンス変換器69からノードN3を見たインピーダンスに変換する。
【0065】
信号Si2はオフセット線路63および整合回路65を通過しピークアンプ61に入力する。オフセット線路63は、メインアンプ60とピークアンプ61との位相を調整する。整合回路65はオフセット線路63から整合回路65を見たインピーダンスを整合回路65からピークアンプ61を見たインピーダンスに整合させる。ピークアンプ61は、信号Si2を増幅し増幅された信号を信号So2として出力する。ピークアンプ61が増幅した信号So2は、整合回路67およびオフセット線路68を通過しノードN3に出力される。整合回路67は、ピークアンプ61から整合回路67を見たインピーダンスを整合回路67からノードN3を見たインピーダンスに整合させる。
【0066】
合成ノードであるノードN3は、メインアンプ60から出力された信号So1とピークアンプ61から出力された信号So2とを合成し、合成された信号を出力信号Soとして、インピーダンス変換器70を通過して出力端子Toutに出力する。インピーダンス変換器70は、ノードN3からインピーダンス変換器70を見たインピーダンスをインピーダンス変換器70から出力端子Toutを見たインピーダンスに変換する。出力端子Toutは、負荷抵抗R0により終端されている。負荷抵抗R0は例えば基準インピーダンスであり50Ωである。このとき、インピーダンス変換器70から出力端子Toutを見たインピーダンスは、ほぼ抵抗成分のみであり、50Ωである。
【0067】
実施例2の半導体装置108は、メインアンプ60、ピークアンプ61および整合回路66および67を備えている。半導体装置は整合回路64および65を含んでもよい。
【0068】
メインアンプ60は、AB級またはB級動作し、ピークアンプ61はC級動作する。入力信号Siの入力電力が小さいときにはメインアンプ60が主に入力信号Siを増幅する。入力電力が大きくなると、メインアンプ60に加え、ピークアンプ61が入力信号Siのピークを増幅する。これにより、メインアンプ60とピークアンプ61とが入力信号Siを増幅する。
【0069】
例えば、オフセット線路62および63から整合回路64および65を見たインピーダンスはほとんど抵抗成分のみであり50Ωである。整合回路66および67からインピーダンス変換器69およびオフセット線路68を見たインピーダンスはほとんど抵抗成分のみであり50Ωである。このように、入力および出力インピーダンスを50Ωとすることで、整合回路64から67の設計が容易になる。
【0070】
入力電力が小さくピークアンプ61が動作しないとき、オフセット線路68は、ノードN3からオフセット線路68を見たインピーダンスをほぼ無限大にする。一方、入力電力が大きくピークアンプ61が動作するとき、オフセット線路68からノードN3を見たインピーダンスは、ほとんど抵抗成分で50Ωである。オフセット線路68の特性インピーダンスは50Ωであり、長さを上記の条件となるように設定する。
【0071】
インピーダンス変換器69は、特性インピーダンスが50Ωであり、長さがλ/4の伝送線路である。λは、動作帯域における波長であり、ほぼ抵抗成分のインピーダンスをほぼ抵抗成分のインピーダンスに変換する。ピークアンプ61が動作しないとき、整合回路66は、メインアンプ60の負荷インピーダンスを100Ωに整合させる。インピーダンス変換器69からノードN3を見たインピーダンスは、ほぼ抵抗成分であり50Ωである。インピーダンス変換器69は、50Ωを100Ωに変換する。ピークアンプ61が動作するとき、整合回路66は、メインアンプ60の負荷インピーダンスを50Ωに整合させる。インピーダンス変換器69の特性インピーダンスは50Ωのため、インピーダンスは変換されない。
【0072】
インピーダンス変換器70は、特性インピーダンスが33.4Ωであり、長さがλ/4の伝送線路である。ピークアンプ61が動作するとき、インピーダンス変換器69からノードN3を見たインピーダンスおよびオフセット線路68からノードN3を見たインピーダンスは、いずれも50Ωである。インピーダンス変換器70は、ノードN3からインピーダンス変換器70を見た25Ωのインピーダンスを、負荷抵抗R0の50Ωに変換する。
【0073】
オフセット線路62および63は、特性インピーダンスが50Ωである。オフセット線路62および63は、メインアンプ60とピークアンプ61の位相を調整する。オフセット線路62と63のいずれか1つは設けられていなくてもよい。
【0074】
分配器71として、ハイブリッドカプラを用いると、信号Si2の位相を信号Si1の位相より90°遅らせることができる。これにより、インピーダンス変換器69における位相差を補償することができる。
【0075】
図18は、実施例2に係る半導体装置の平面図である。
図18に示すように、実施例2に係る半導体装置108では、入力リード51、半導体チップ25、配線部品34、容量性部品39および出力リード50のセット80および82が2個設けられている。2個のセット80および82はY方向に配列されている。セット80はメインアンプ60を含み、セット82はピークアンプ61を含む。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0076】
整合回路66を、
図6の回路A、および
図8の回路Bとした場合のインピーダンスをシミュレーションした。シミュレーションでは、ピークアンプ61が動作しておらず、ノードN3からピークアンプ61を見たインピーダンスを無限大と仮定した。メインアンプ60として、GaN HEMTを仮定した。整合回路66はメインアンプ60の負荷インピーダンスをインピーダンスZ1に変換する。インピーダンス変換器69および70は、インピーダンスZ2を50Ωに変換する。周波数が3.4GHz、3.6GHzおよび3.8GHzにおいて、インピーダンスZ1とZ2とが最も整合するように、整合回路66、インピーダンス変換器69および70を最適化した。
【0077】
図19は、回路Aを整合回路66に用いたときのインピーダンスZ1およびZ2を示すスミスチャートである。インダクタL3のインダクタンスは、0.32nHであり、キャパシタC2のキャパシタンスは10pFである。基準インピーダンスZ0は8Ωである。
図19に示すように、インピーダンスZ1は、周波数が高くなると、スミスチャート上をスミスチャートの中心を中心に反時計まわりに回転する。インピーダンスZ2は、周波数が変化してもあまり変化せず、周波数が高くなると、スミスチャート上をスミスチャートの中心を中心に時計まわりに若干回転する。このため、3.6GHzにおいて、インピーダンスZ1とZ2とを整合させても、3.4GHzおよび3.8GHzでは、インピーダンスZ1とZ2は整合しなくなる。
【0078】
図20は、回路Bを整合回路66に用いたときのインピーダンスZ1およびZ2を示すスミスチャートである。インダクタL1、L2およびL3のインダクタンスは、それぞれ0.07nH、0.17nHおよび0.19nHであり、キャパシタC2のキャパシタンスは6pFである。基準インピーダンスZ0は8Ωである。
図20に示すように、インピーダンスZ1は、周波数が高くなっても変化せず、スミスチャート上をスミスチャートの中心を中心に時計まわりに若干回転する。インピーダンスZ2は、周波数が高くなっても変化せず、スミスチャート上をスミスチャートの中心を中心に時計まわりに若干回転する。このため、3.4GHzから3.8GHzにおいて、インピーダンスZ1とZ2とを整合させることができる。
【0079】
以上のシミュレーションのように、半導体チップ25、配線部品34および容量性部品39を、ドハティ増幅器107のメインアンプ60および整合回路66とする。これより、整合回路66を広帯域化することができる。よって、ドハティ増幅器を広帯域化し、かつ小型化が可能となる。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
12 ハイパス回路
13 ローパス回路
14 整合回路
20 トランジスタ
20aから20f 単位トランジスタ
21 半導体基板
22、23、32c パッド
24、32、33、36、36、37、38 導電体パターン
25 半導体チップ
26、35、35a、35b 誘電体基板
29、39、39a、39b 容量性部品
30a、30b 領域
31 基板
32a ベタパターン
32b 線路パターン
34配線部品
40、40a、40b、41、42、43、44、45、46、48 ボンディングワイヤ
50 出力リード
51 入力リード
52、53 接合層
55 ベース
56、57 支持体
60 メインアンプ
61 ピークアンプ
63、68 オフセット線路
64、65、66、67 整合回路
69、70 インピーダンス変換器
71 分配器
80、82 セット
84 範囲
100、102、104、105、106、108、110、112、114 半導体装置
107 ドハティ増幅器
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
半導体チップと、半導体チップと外部回路とのインピーダンスを整合させるための整合回路と、をベース上に実装することが知られている(例えば特許文献1)。整合回路には、ベース上に実装される容量性部品、配線部品およびボンディングワイヤが用いられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
容量性部品39は、誘電体基板35、誘電体基板35の上面に設けられた導電体パターン36、37、および誘電体基板35の下面に設けられた導電体パターン38を備えている。2個の導電体パターン37は、容量性部品39のY方向における両端部にそれぞれ設けられている。2個の導電体パターン36は、Y方向において2個の導電体パターン37の間に設けられている。誘電体基板35を挟む導電体パターン36と導電体パターン38とによりキャパシタが形成され、誘電体基板35を挟む導電体パターン37と導電体パターン38とによりキャパシタが形成される。導電体パターン37は、複数の導電体パターン36の間に設けてもよい。導電体パターン36および37は、各々1個でもよいし、3個以上でもよい。誘電体基板35は、例えばチタン酸バリウム等の比誘電率がアルミナより高い無機絶縁体である。導電体パターン36、37および38は例えば金層等の金属層である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
図9に示すように、インピーダンスZ1は、ほぼ実軸上に位置し8Ωである。インピーダンスZ1は、シャント接続されたキャパシタC2により、インピーダンスZ2に変換される。インピーダンスZ2は直列接続のインダクタL3によりインピーダンスZ3に変換される。インピーダンスZ3はシャント接続のインダクタL2によりインピーダンスZ4に変換される。インピーダンスZ4は、直列接続のインダクタL1によりインピーダンスZ5に変換される。なお、回路Bには、
図1のDCカット用のキャパシタC1が設けられていない。キャパシタC1のキャパシタンスは十分に大きいため、インダクタL2のインピーダンス変換にはほとんど影響しない。インピーダンスZ5は、周波数が変わってもばらついていない。このように、回路Bは回路Aに比べ周波数
の変化によるインピーダンスのばらつきを抑制できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
[比較例1]
比較例1は、回路BにDCカットのキャパシタC1を設けた整合回路14を実現する半導体装置の例である。
図10は、比較例1に係る半導体装置の平面図である。
図10に示すように、比較例1の半導体装置110では、2個の容量性部品39aと1個の容量性部品39bがベース55上に搭載されている。容量性部品39aでは、誘電体基板35a上に導電体パターン36が設けられている。容量性部品39bでは、誘電体基板35b上に導電体パターン37が設けられている。ボンディングワイヤ45は、ベタパターン32aと導電体パターン37とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ46は、導電体パターン37と出力リード50とを電気的に接続する。ベタパターン32aとボンディングワイヤ45とは、
図8のインダクタL3に相当する。ボンディングワイヤ46は、
図8のノード
N2と出力リード50との間の線路に相当する。誘電体基板35bを挟む導電体パターン37とベース55とは、
図8のキャパシタC2に相当する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
[比較例3]
図12は、比較例3に係る半導体装置の平面図である。
図12に示すように、比較例3の半導体装置114では、容量性部品39を1個にし、誘電体基板35の比誘電率を比較例1の誘電体基板35aの比誘電率と同じとする。この場合、比較例1と導電体パターン36の面積は変わらない。しかし、比較例2より導電体パターン37の面積を小さくすることになる。このため、導電体パターン37に接続さ
れるボンディングワイヤ45および46の本数が少なくなる。これにより、大きな電力の信号が流れたときに、ボンディングワイヤ45および46が溶断または焼失する可能性がある。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
[実施例1の変形例1]
図13は、実施例1の変形例1に係る半導体装置の平面図である。
図13に示すように、実施例1の変形例1の半導体装置102では、導電体パターン
32に線路パターン32bが設けられていない。ボンディングワイヤ48は、ベタパターン32aと導電体パターン36とを電気的に接続する。
図1の伝送線路M1が設けられていない。インダクタL2のインダクタンスを大きくするため、ボンディングワイヤ48を長くする。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
Y方向における単位トランジスタ20aから20fのうち、単位トランジスタ20aおよび20fは、半導体チップ25のY方向における端部に位置する。単位トランジスタ20cおよび20dは、半導体チップ25のY方向における中央部に位置する。この場合、実施例1のように、導電体パターン32が1個では、単位トランジスタ20cおよび20dと導電体パターン36との間のインダクタンスは、単位トランジスタ20aおよび20fと導電体パターン36との間のインダクタンスより大きくなる。このように、単位トランジスタ20aから20fと導電体パターン36との間のインダクタンスが大きく異なってしまう。これにより、単位トランジスタによって、整合状態が異なってしまう。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
そこで、実施例1の変形例4では、導電体パターン32を、基板31の上面にY方向(半導体チップ25と配線部品34の配列方向に交差する方向)に複数設ける。これにより、単位トランジスタ20cおよび20dと導電体パターン36との間のインダクタンスと、単位トランジスタ20aおよび20fと導電体パターン36との間のインダクタンスと、の差を小さくできる。よって、単位トランジスタにおける整合状態を均一化できる。実施例1の変形例2から3においても、導電体パターン32を複数設けてもよい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
実施例1の変形例
4では、
図16のように、Y方向における端部のボンディングワイヤ41の長さD4は、Y方向における中央部のボンディングワイヤ41の長さD3より長い。これにより、単位トランジスタ20a、20c、20dおよび20fと導電体パターン36との間のインダクタンスと、単位トランジスタ20bおよび20eと導電体パターン36との間のインダクタンスと、の差を小さくできる。よって、単位トランジスタの整合状態を均一化できる。長さD4は長さD3の1.2倍以上とすることができる。長さD4が長すぎると、単位トランジスタ20a、20c、20dおよび20fと導電体パターン36との間のインダクタンスが、単位トランジスタ20bおよび20eと導電体パターン36との間のインダクタンスより大きくなってしまう。この観点から長さD4は長さD3の2倍以下とすることができる。実施例1およびその変形例1から
3においても、長さD4を長さD3より大きくしてもよい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
[実施例2]
実施例2は、実施例1およびその変形例の半導体装置をドハティ増幅器に用いる例である。
図17は、実施例2の半導体装置が用いられるドハティ増幅器の回路図である。
図17に示すように、ドハティ増幅器107では、入力端子Tinと出力端子Toutとの間にメインアンプ60とピークアンプ61とが並列に接続されている。入力端子Tinに入力信号Siとして高周波信号が入力する。分配器71は入力端子Tinに入力した入力信号Siを信号Si1とSi2とに分配する。分配器71は例えばウイルキ
ンソン型分配器またはハイブリッドカプラである。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
実施例2の半導体装置108は、メインアンプ60、ピークアンプ61および整合回路66および67を備えている。半導体装置108は整合回路64および65を含んでもよい。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
インピーダンス変換器69は、特性インピーダンスが50Ωであり、長さがλ/4の伝送線路である。λは、動作帯域における波長である。インピーダンス変換器69は、ほぼ抵抗成分のインピーダンスをほぼ抵抗成分の異なる大きさのインピーダンスに変換する。ピークアンプ61が動作しないとき、整合回路66は、メインアンプ60の負荷インピーダンスを100Ωに整合させる。インピーダンス変換器69からノードN3を見たインピーダンスは、ほぼ抵抗成分であり50Ωである。インピーダンス変換器69は、50Ωを100Ωに変換する。ピークアンプ61が動作するとき、整合回路66は、メインアンプ60の負荷インピーダンスを50Ωに整合させる。インピーダンス変換器69の特性インピーダンスは50Ωのため、インピーダンスは変換されない。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0079】
以上のシミュレーションのように、半導体チップ25、配線部品34および容量性部品39を、ドハティ増幅器107のメインアンプ60および整合回路66とする。これにより、整合回路66を広帯域化することができる。よって、ドハティ増幅器を広帯域化し、かつ小型化が可能となる。