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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165091
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ペット用排泄物処理具
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/01 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
A01K1/01 801L
A01K1/01 801F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080953
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000137188
【氏名又は名称】株式会社凡美社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】森本 ももこ
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101CA08
2B101CB01
2B101CC02
(57)【要約】
【課題】排泄物等と共に掬い取られた余分なトイレ用粒状物をペット用トイレに篩い落とす際に、排泄物等が掬取部の外側へ飛散することがなく衛生的かつ迅速に篩い落とすこと。
【解決手段】多数のトイレ用粒状物112が敷置されたペット用トイレに排泄された排泄物等111を掬い取る掬取部10を備え、掬取部10には、排泄物等111と共に掬い取られた余分なトイレ用粒状物112aを排泄物等111と分別可能にトイレ用粒状物112aを掬取部10から篩い落とす貫通孔9が形成され、掬取部10で掬い取った排泄物等111を貫通孔を有しないで覆う蓋部20を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のトイレ用粒状物が敷置されたペット用トイレに排泄された排泄物等を掬い取る掬取部を備えたペット用排泄物処理具であって、
上記掬取部には、排泄物等と共に掬い取られた余分なトイレ用粒状物を排泄物等と分別可能に篩い落とす貫通孔が形成され、
上記掬取部で掬い取った上記排泄物等を上記貫通孔を有しないで覆う蓋部を備えた
ペット用排泄物処理具。
【請求項2】
上記蓋部は、上記掬取部で掬い取り可能とする開位置と、掬い取った排泄物等を覆う閉位置との間で上記掬取部に対して変位可能に形成された
請求項1に記載のペット用排泄物処理具。
【請求項3】
上記掬取部の基部から該掬取部と反対側へ延設される掬取部側把持部と、上記蓋部の基部から該蓋部と反対側へ延設される蓋部側把持部とを備え、
上記掬取部側把持部と上記蓋部側把持部とは、上記掬取部に対して上記蓋部が開閉可能に互いに枢着され、上記蓋部を上記掬取部に対して開方向又は閉方向へ付勢する付勢手段を備えた
請求項2に記載のペット用排泄物処理具。
【請求項4】
上記蓋部を上記閉位置にロックするロック手段を備えた
請求項3に記載のペット用排泄物処理具。
【請求項5】
上記ロック手段をロック状態とロック解除状態とのいずれかの状態に切り替えるロック手段操作部を、上記蓋部側把持部或いは上記掬取部側把持部における、互いの枢着部より上記蓋部の側に設けた
請求項4に記載のペット用排泄物処理具。
【請求項6】
上記掬取部と上記蓋部とには、周辺に対して突出する突出片が夫々設けられ、これら一対の突出片は、排泄物等を上記掬取部に対する上記蓋部の開閉方向において挟み込み可能に互いに対向するように配設された
請求項3乃至請求項5のうちいずれかに記載のペット用排泄物処理具。
【請求項7】
上記掬取部の先端部と上記基部とを直線状に通過する方向を処理具軸方向とするとともに、上記閉位置において上記掬取部と上記蓋部とが対向する方向を対向方向とし、上記処理具軸方向および上記対向方向に直交する方向を処理具幅方向とし、
上記突出片は、上記掬取部と上記蓋部とで形成される処理具本体部の上記処理具軸方向の上記先端部かつ上記処理具幅方向の何れか一方の端部から該一方へ向けて突出して設けられ、
上記掬取部側把持部と上記蓋部側把持部とで形成される把持部は、上記処理具本体部の上記処理具幅方向における上記一方の側の端部から延設された
請求項6に記載のペット用排泄物処理具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペット用トイレ、つまり、多数のトイレ用粒状物が敷置されたトイレ床に、猫等のペットが排泄した排泄物を掬い取り、ごみ箱や水洗トイレ等の廃棄場所へ廃棄処理するためのペット用排泄物処理具に関する。
【背景技術】
【0002】
ペット用排泄物処理具の中には、ペットが排泄した排泄物を掬い取る掬取部に、排泄物と共に掬い取られた余分なトイレ用粒状物を篩(ふる)い落とす穴が貫通形成されたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のペット用排泄物処理具は、上方が開口した凹状の掬取部を有するスコップ形状である。このため、排泄物と共に余分に掬い取られたトイレ用粒状物を掬取部の穴からペット用トイレに篩い落とすために排泄物処理具の利用者が掬取部を振り動かした際に、排泄物や、排泄物が付着したトイレ用粒状物等が掬取部の上方の開口から飛散するおそれがある。
【0004】
また、利用者は、掬取部の上方の開口からトイレ用粒状物等が飛散しないように注意しながら掬取部をゆっくりと振り動かす必要があるため、余分なトイレ用粒状物の篩い落とし作業に手間を要するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-141293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、排泄物等と共に掬い取られた余分なトイレ用粒状物をペット用トイレに篩い落とす際に、排泄物等が掬取部の外側へ飛散することがなく衛生的かつ迅速に篩い落とすことができるペット用排泄物処理具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、多数のトイレ用粒状物が敷置されたペット用トイレに排泄された排泄物等を掬い取る掬取部を備えたペット用排泄物処理具であって、上記掬取部には、排泄物等と共に掬い取られた余分なトイレ用粒状物を排泄物等と分別可能に篩い落とす貫通孔が形成され、上記掬取部で掬い取った上記排泄物等を上記貫通孔を有しないで覆う蓋部を備えたものである。
【0008】
上記排泄物等は、少なくとも糞や尿といったペットが排泄した汚物、すなわち排泄物を含む廃棄物であって、排泄物自体に限らず、糞片が付着したり尿を吸収したりして汚れたトイレ用粒状物も含む。すなわち、上記排泄物等は、排泄物と、汚れたトイレ用粒状物とのうち、少なくとも一方を示す。例えば、本発明の掬い取部は、汚れたトイレ用粒状物と共に糞を掬い取る場合に限らず、糞自体は掬い取らずに汚れたトイレ用粒状物のみを掬い取る場合に適用してもよい。
【0009】
上記余分なトイレ用粒状物は、上記排泄物等を上記掬取部で掬い取る際に、上記排泄物等と共に余分に掬い取られた、汚れていないトイレ用粒状物であり、上記排泄物等と共に廃棄せずに例えば、再利用するために上記排泄物等に対して分別する対象となるトイレ用粒状物である。
【0010】
上記構成によれば、上記掬取部で上記排泄物等と共に掬い取られた上記余分なトイレ用粒状物を上記貫通孔を通じてペット用トイレに篩い落とす際に、貫通孔を有しない蓋部でしっかりと覆うことができる。
【0011】
従って、上記余分なトイレ用粒状物を篩い落とす際に、上記排泄物等が上記掬取部の外側へ飛散することがなく衛生的かつ迅速に篩い落とすことができる。
【0012】
さらに、上記排泄物等を掬い取った上記掬取部を上記蓋部で閉塞した状態において、上記蓋部と、該蓋部の下方に位置する上記掬取部とを上下反転させることで、上記排泄物等および、上記排泄物等と共に掬い取られた上記余分なトイレ用粒状物を上記蓋部によって受け止めることができる。
【0013】
よって、上記掬取部によって上記排泄物等と共に掬い取られた余分なトイレ用粒状物を篩い落とし作業によって分別した後、上記排泄物等を上記蓋部によって受け止めた状態で所定の廃棄箇所まで持ち運ぶことができるため、途中で上記掬取部の上記貫通孔から上記排泄物等が意に反して脱落することがなく衛生的かつ迅速に持ち運ぶことができる。
なお、上記掬取部は、上記排泄物等を掬い取り可能であれば、上方が開口する凹形状に限らず、平板状など特に限定しない。
【0014】
この発明の態様として、上記蓋部は、上記掬取部で掬い取り可能とする開位置と、掬い取った上記排泄物等を覆う閉位置との間で上記掬取部に対して変位可能に形成されてもよい。
【0015】
上記構成によれば、上記蓋部を上記掬取部に対して上記開位置と上記閉位置との間で変位させることができるため、例えば、上記掬取部を上記蓋部によって開閉する度に該蓋部を手で把持して上記掬取部に対して覆ったり、外したりする必要がなく、上記掬取部を開状態と閉状態とのうち何れかの状態に容易に変更することができる。
なお、上記蓋部は、上記掬取部に対して例えば、枢動、或いはスライドさせることにより変位させることができる。
【0016】
またこの発明の態様として、上記掬取部の基部から該掬取部と反対側へ延設される掬取部側把持部と、上記蓋部の基部から該蓋部と反対側へ延設される蓋部側把持部とを備え、上記掬取部側把持部と上記蓋部側把持部とは、上記掬取部に対して上記蓋部が開閉可能に互いに枢着され、上記蓋部を上記掬取部に対して開方向又は閉方向へ付勢する付勢手段を備えてもよい。
【0017】
上記構成によれば、利用者は、上記掬取部側把持部と上記蓋部側把持部とを把持した状態で上記掬取部側把持部と上記蓋部側把持部との枢着部を支点として枢動させることで、上記掬取部に対して上記蓋部を安定して変位させることができる。
【0018】
さらに、上記構成によれば、上記付勢手段を備えたため、利用者は、上記掬取部側把持部と上記蓋部側把持部とを把持しながら上記掬取部に対する上記蓋部の開閉操作を容易に行うことができる。
【0019】
例えば、上記蓋部を上記掬取部に対して開方向へ付勢する上記付勢手段を備えた場合には、トングを扱うように上記掬取部側把持部と上記蓋部側把持部とを把持する把持力を緩めるだけで付勢手段の上記付勢力を利用して上記掬取部に対する上記蓋部の開操作を容易に行うことができる。
【0020】
一方、上記蓋部を上記掬取部に対して閉方向へ付勢する上記付勢手段を備えた場合には、洗濯バサミ等の鋏を扱うように上記掬取部側把持部と上記蓋部側把持部とを把持する把持力を緩めるだけで上記付勢手段の付勢力を利用して上記掬取部に対する上記蓋部の閉操作を容易にすることができる。
【0021】
またこの発明の態様として、上記蓋部を上記閉位置にロックするロック手段を備えてもよい。
上記構成によれば、例えば、上記掬取部によって掬い取った上記排泄物等を所定の廃棄場所で廃棄するために、上述したように、上記蓋部と上記掬取部とを共に上下反転させて上記排泄物等を蓋部で受け止める際や、上記排泄物等を所定の廃棄場所まで持ち運ぶ際に、上記掬取部に対して上記蓋部が不用意に開くことがないように上記ロック手段により上記蓋部を上記閉位置にロックしておくことができる。
【0022】
さらに、上記掬取部に対して上記蓋部が不用意に開くことがないように常時、上記掬取部側把持部と上記蓋部側把持部をしっかりと把持しておく必要がないため、上記排泄物等を衛生的かつ容易に廃棄場所に廃棄することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、上記ロック手段をロック状態とロック解除状態とのいずれかの状態に切り替えるロック手段操作部を、上記蓋部側把持部或いは上記掬取部側把持部における、互いの枢着部より上記蓋部の側に設けてもよい。
【0024】
上記構成によれば、上記掬取部側把持部との枢着部より上記蓋部側に設けたため、上記蓋部側把持部と上記掬取部側把持部とを把持した状態のまま上記ロック手段操作部を容易に操作することができる。
すなわち、上記ロック手段操作部を用いてロック状態とロック解除状態との何れかの状態へと容易に切り替えることができる。
【0025】
従って、例えば、上記排泄物等を上記掬取部で掬い取るために開操作する、上記掬取部で掬い取った余分なトイレ用粒状体を篩い落としたり上記排泄物等を廃棄場所まで持ち運ぶために閉操作する、上記排泄物等を廃棄場所で廃棄するために再度開操作する、といった一連の、上記掬取部に対する蓋開閉操作を容易に行うことができる。
【0026】
なお、上記ロック手段操作部は、上記蓋部側把持部と上記掬取部側把持部とのうち何れの側に設けてもよい。
例えば、上記ロック手段操作部を上記蓋部側把持部の側に設けた場合には、上記掬取部が下方に位置するような姿勢で上記蓋部側把持部と上記掬取部側把持部とを把持した状態において、上記ロック手段操作部は上方に位置するため、これら蓋部側把持部と掬取部側把持部とを把持した手の指先(例えば親指の指先)で上記ロック手段操作部を容易に操作することができる。
【0027】
一方、上記ロック手段操作部を上記掬取部側把持部の側に設けた場合には、上記蓋部が下方に位置するような姿勢で上記蓋部側把持部と上記掬取部側把持部とを把持した状態において、上記ロック手段操作部は上方に位置するため、これら蓋部側把持部と掬取部側把持部とを把持した手の指先(例えば親指の指先)で上記ロック手段操作部を容易に操作することができる。
【0028】
またこの発明の態様として、上記掬取部と上記蓋部とには、周辺に対して突出する突出片が夫々設けられ、これら一対の突出片は、上記排泄物等を上記掬取部に対する上記蓋部の開閉方向において挟み込み可能に互いに対向するように配設されてもよい。
【0029】
上記構成によれば、開状態の上記掬取部を上記蓋部によって閉じる際に、上記掬取部と上記蓋部との夫々の突出片によって、上記掬取部の上記貫通孔等から意図せずに脱落した上記排泄物等の一部を挟む(摘む)ことができる。
【0030】
従って、例えば、上記掬取部によって掬い取られた上記排泄物等を廃棄場所まで持ち運ぶ際に、万一にもその一部が上記掬取部から脱落した場合においても、脱落した上記排泄物等を一対の上記突出片で挟んで(摘んで)、そのまま廃棄場所まで持ち運んで衛生的に廃棄することができる。
【0031】
またこの発明の態様として、上記掬取部の先端部と上記基部とを直線状に通過する方向を処理具軸方向とするとともに、上記閉位置において上記掬取部と上記蓋部とが対向する方向を対向方向とし、上記処理具軸方向および上記対向方向に直交する方向を処理具幅方向とし、上記突出片は、上記掬取部と上記蓋部とで形成される処理具本体部の上記処理具軸方向の上記先端部かつ上記処理具幅方向の何れか一方の端部から該一方へ向けて突出して設けられ、上記掬取部側把持部と上記蓋部側把持部とで形成される把持部は、上記処理具本体部の上記処理具幅方向における上記一方の側の端部から延設されてもよい。
【0032】
上記構成によれば、上記突出片と上記把持部とを、処理具幅方向において極力位置ずれしないように、何れも上記処理具軸方向の上記一方の側に配置し、処理具軸方向に沿って互いに極力直線状に結ぶ形態としたため、上記把持部を把持する際の把持力を一対の上記突出片にダイレクトに伝達することができる。
従って、利用者は、上記把持部を把持しながら上記掬取部に対して上記蓋部を閉じる操作をすることで、排泄物を一対の上記突出片で容易に挟んで廃棄することができる。
【発明の効果】
【0033】
この発明によれば、上記排泄物等と共に掬い取られた余分なトイレ用粒状物をペット用トイレに篩い落とす際に、上記排泄物等が上記掬取部の外側へ飛散することがなく衛生的かつ迅速に篩い落とすことができるペット用排泄物処理具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】蓋開状態の本実施形態のペット用排泄物処理具の外観図
図2】(a)は蓋閉状態の本実施形態のペット用排泄物処理具の右側面図、(b)は同じく底面図
図3】(a)は蓋閉状態の本実施形態のペット用排泄物処理具の左側面図、(b)は同じく平面図
図4】(a)は蓋閉状態の本実施形態のペット用排泄物処理具の背面図、(b)は同じく正面図、(c)は図3(b)中のA-A線矢視図
図5図3(b)中のB-B線矢視図
図6】(a)は図5中の領域Z1の拡大図、(b)は図3(b)中のC-C線矢視図、(c)は図5中の領域Z2の拡大図、(d)は図3(b)中のD-D線矢視図
図7】(a)は掬い取り作業における本実施形態のペット用排泄物処理具の作用説明図、(b)は篩い落とし作業における同じく作用説明図
図8】(a)は排泄物を持ち運ぶ前に本実施形態のペット用排泄物処理具を上下反転させる様子を示す作用説明図、(b)は蓋部を用いた掬い取り作業における同じく作用説明図
図9】一対の突出片の作用説明図であって、(a)は摘み取り作業を示す作用説明図、(b)はこそげ落とし作業を示す作用説明図
図10】本実施形態のペット用排泄物処理具を不使用時に壁部に掛けた状態を示す外観図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
本実施形態のペット用排泄物処理具1は、例えば、ペット用トイレ100(図9(b)参照)において猫砂とも称される多数のペレット状のトイレ用粒状物が敷き詰められたトイレ床110(図7(a)参照)に排泄された排泄物等111(同図参照)を掬い取ることができるものである。
【0036】
さらに、本実施形態のペット用排泄物処理具1は、トイレ床110から掬い取った排泄物等111と、該排泄物等111と共に掬い取られた、汚れていない余分なトイレ用粒状物112aとを分別するために該余分なトイレ用粒状物112aを元のトイレ床110に篩い落として再利用することができるものである。
【0037】
なお、上記ペット用トイレ100は、猫等の小動物用のトイレであり、例えば、図9(b)に示すように、上方が開口した箱型に形成されている。また、上記排泄物等111は、少なくとも排泄物111a(糞)を含む廃棄物であり、糞(111a)以外にも糞(111a)や尿の水分を吸収して凝固したトイレ用粒状物112、糞(111a)に付着したトイレ用粒状物112b、すなわち汚れたトイレ用粒状物112bを含んでもよい。
【0038】
本実施形態のペット用排泄物処理具1は、図1に示すように、排泄物等111を掬い取る処理具本体部2と、人が把持可能な把持部3と、板ばね4を備え、略全体が合成樹脂により形成されている。処理具本体部2は、掬取部10と蓋部20とを備えている。
なお、以下の説明において上方、下方とは、図7(a)に示すように、掬取部10で排泄物等111を掬い取る際の姿勢に基づくものである。
【0039】
図1図2(a)(b)、図3(a)、図4(a)(b)(c)、図5に示すように、掬取部10は、排泄物等111を掬い取る際の先端側Yaから奥側Ybに亘って設けられた凹底部11と、凹底部11の先端部11cを除く周縁から立設された壁部12とで上方が開口した凹状に形成されている。
【0040】
図1図2(a)、図3(a)(b)、図4(a)(b)(c)、図5に示すように、蓋部20は、掬取部10の開口14(図1参照)を閉じた状態、すなわち蓋閉状態において掬取部10の凹底部11と対向する凹底部21と、凹底部21の先端部21cを除く周縁から立設された壁部22とで下方が開口した凹状に形成されている。
【0041】
掬取部10と蓋部20とは、蓋閉状態において、図2(a)、図3(a)、図4(a)(b)に示すように、夫々の先端部11c,21cも含めた開口縁部14a,24a、すなわち外縁辺部14a,24aが近接するように対向し、内部に掬い取った排泄物等111を収容可能な内部空間S(図4(c)参照)が構成される。
なお、掬取部10と蓋部20とは、蓋閉状態において、開口縁部14a,24a、すなわち外縁辺部14a,24aが近接するに限らず、突き合わさるように対向してもよい。
【0042】
ここで、ペット用排泄物処理具1において、掬取部10の先端側Yaと奥側Ybとを直線状に結ぶ方向を処理具軸方向Yとする。蓋閉状態において掬取部10と蓋部20とが対向する方向、すなわち掬取部10に対する蓋部20の開閉方向を対向方向Zとする。さらに、処理具軸方向Yおよび対向方向Zに直交する方向を処理具幅方向Wとする。
【0043】
掬取部10と蓋部20との壁部12,22は、何れも凹底部11,21に対して処理具幅方向Wの両側の側壁(12a,12b),(22a,22b)と、凹底部11,21に対して処理具軸方向Yの奥側Ybの奥壁12c,22cとを有している。奥壁12c,22cは、処理具軸方向Yの中央ほど徐々に奥側Ybに位置するように湾曲するとともに、両側の側壁(12a,12b),(22a,22b)と連続するように凹底部11,21の外周縁に沿って処理具幅方向Wに延びている。
【0044】
掬取部10と蓋部20との凹底部11,21は、何れも奥側Ybに位置する奥側底板11b,21bと、先端側Yaに位置する先端側底板11a,21aとで形成されている。奥側底板11b,21bと先端側底板11a,21aとは、何れも平面状に形成されている。奥側底板11bは、先端側Yaに向けて処理具軸方向Yにおいて徐々に幅広に形成されている。先端側底板11a,21aは、奥側底板11b,21bの先端部から先端側Yaほど深さが徐々に浅くなるように奥側底板11b,21bに対して傾斜して形成されている。
【0045】
掬取部10の凹底部11は、蓋部20の凹底部21よりも深さが深い凹形状に形成されている。さらに、蓋部20には、図1図3(b)に示すように、掬取部10で掬い取った排泄物等111を貫通孔を有しないで覆うことが可能に貫通孔が形成されていないのに対して、掬取部10には、図1図2(b)、図4(b)(c)に示すように、貫通孔9が形成されている。
【0046】
貫通孔9は、掬い上げた排泄物等111に混ざった、汚れていないトイレ用粒状物112aを分別可能に、掬取部10から該汚れていないトイレ用粒状物112aの篩い落としが可能に凹底部11の板厚方向に貫通形成されている。貫通孔9は、掬取部10の奥側底板11bと先端側底板11aとの夫々の面全体に亘って複数が配設されている。複数の貫通孔9は、何れも汚れていない余分なトイレ用粒状物112aの通過を許容する一方で、排泄物等111の通過を許容しないサイズで形成されている。
【0047】
本実施形態の貫通孔9は、処理具幅方向Wに対して処理具軸方向Yに長い長孔形状に形成され、処理具幅方向Wおよび処理具軸方向Yに沿って複数配設されているが、本発明の貫通孔は、排泄物等111と共に掬い取られた、汚れていないトイレ用粒状物112aを篩い落とし可能であれば、大きさ、形状、数、配置については特に限定しない。例えば、本発明の貫通孔は、掬取部10の奥側底板11bと先端側底板11aのうち何れか一方のみに形成する、夫々の底板部11a,11bにおいて異なるサイズで形成する、或いは、凹底部11に限らず、壁部12に形成してもよい。
【0048】
さらに、図1図2(a)(b)、図3(b)、図4(a)(b)(c)に示すように、掬取部10と蓋部20とには、突出片13,23が夫々形成されている。一対の突出片13,23は、蓋閉状態において、掬取部10と蓋部20との間に有する内部空間S、すなわち、処理具本体部2の内部空間Sへ向けた内側へ突出せず、内部空間Sと反対側の外側へと突出する。
【0049】
図2(a)、図3(a)、図4(a)(b)(c)に示すように、一対の突出片13,23は、蓋閉状態において掬取部10と蓋部20との対向方向Zにおいて互いに重合または略重合するように近接した状態で配設されている。さらに、一対の突出片13,23は、互いに離間する蓋開状態から蓋閉状態となるように変位することで排泄物111aの欠片や汚れたトイレ用粒状物112b、すなわち、排泄物等111を挟み込み可能な平板状に形成されている。
【0050】
詳しくは、図1図2(b)、図3(b)に示すように、一対の突出片13,23は、処理具本体部2の外縁辺部14a,24a(開口縁部)の処理具幅方向Wの両側のうち一方側Waの外縁辺部における、処理具軸方向Yの先端側Yaの端部から処理具幅方向Wの一方側Waへ突出形成されている。
【0051】
なお、本実施形態において処理具幅方向Wの両側のうち一方側Waは、図7(a)に示すように、掬取部10が下方かつ蓋部20が上方に位置する姿勢で利用者が右手で把持部3を把持した状態において、処理具本体部2を処理具軸方向Yの奥側Ybから先端側Yaを視て左側を示している。
【0052】
すなわち、一対の突出片13,23は、処理具本体部2の左側(Wa)かつ先端側Yaのコーナー部から左側(Wa)へ突出するため、右手で把持部3を把持した利用者の身体に近い側に配置できる。これによって、利用者は、把持部3を把持しながら一対の突出片13,23を用いて例えば、後述するようにトイレ用粒状物112などの摘まみ操作を容易に行うことができる(図7(a)参照)。
【0053】
さらに、図1に示すように、一対の突出片13,23は、何れも処理具幅方向Wの一方側Waの縁辺部13wa,23waが、先端側Yaほど徐々に処理具幅方向Wの一方側Waへ突出するように延びるとともに、先端部13ya,23yaが、先端側底板11a,21aの先端部11c,21cと共に処理具幅方向Wに沿って連続して延びている。これにより、突出片13,23は、一方側Waに向けて突出する略三角形状に形成されている。
【0054】
また、図1図2(a)(b)、図3(a)、図4(a)、図5に示すように、上述した把持部3は、掬取部側把持部30と蓋部側把持部40とを備えている。掬取部側把持部30は、掬取部10の奥側部位(基部)、すなわち奥壁12cから処理具軸方向Yの奥側Ybへ延設される。蓋部側把持部40は、蓋部20の奥側部位(基部)、すなわち奥壁22cから処理具軸方向Yの奥側Ybへ延設される。
なお、掬取部側把持部30と蓋部側把持部40は、何れも蓋閉状態において、処理具軸方向Yと一致する方向へ延設される。
【0055】
図1図2(a)(b)、図3(a)、図5に示すように、掬取部10と掬取部側把持部30とは、掬取部10に貫通孔9が設けられたスコップ形状として合成樹脂を用いた成形により一体に形成されている。一方、図1図2(a)、図3(a)(b)、図5に示すように、蓋部20と蓋部側把持部40とは、蓋部20に貫通孔を有しないスコップ形状として合成樹脂を用いた成形により一体に形成されている。
【0056】
把持部3は、上述したように、処理具本体部2の処理具軸方向Yの奥側Ybの端部から奥側Ybへ延設されているが、処理具本体部2の処理具幅方向Wにおける一方側Waの端部の側から延設されている。
【0057】
換言すると、把持部3は、処理具本体部2に対する付け部分が、処理具本体部2における、処理具本体部2の処理具幅方向Wの中心線CLに対応する部位に連結されておらず、中心線CL(図2(b)、図3(b)参照)に対して、突出片13,23を設けた一方側Waの端部の側へ極力ずらした位置に連結されている。
【0058】
これにより、突出片13,23と把持部3とは、処理具幅方向Wにおいて極力位置ずれすることがなく、共に一方側Waの端部の側に配置されている。つまり、突出片13,23と把持部3とは、処理具軸方向Yに沿って延びる同一直線上に位置するように極力配置されている。
当例において、把持部3は、処理具本体部2の奥壁12c,22cの処理具幅方向Wにおける一方側Waの端部から延設されている。
【0059】
また、図1図2(a)(b)、図3(a)に示すように、掬取部側把持部30と蓋部側把持部40とは、掬取部10に対して処理具幅方向Wに延びる軸回りに枢着部6によって互いに枢着され、本実施形態のペット用排泄物処理具1は、全体としてトング形状で形成されている。これにより、図1に示すように、蓋部20は、掬取部10で排泄物等111を掬い取り可能とする開位置Paと、掬い取った排泄物等111を覆う閉位置Pbとの間で掬取部10に対して開閉可能に枢動する。
【0060】
また、図1図5図6(a)に示すように、上述した板ばね4は、掬取部側把持部30と蓋部側把持部40との枢着部6の近傍において、掬取部側把持部30と蓋部側把持部40との間に介在し、蓋部20を掬取部10に対して開方向へ常時付勢する付勢手段として備えている。板ばね4は、板状のバネ鋼を略Vの字形状に曲げ加工して形成され、一端が掬取部側把持部30に当接することともに、他端が蓋部側把持部40に当接する。
なお、本発明の付勢手段は、板ばね4に限らず、ねじりコイルばね、或いはC型のリング形状のばね等他のばね部材を採用してもよい。
【0061】
図1図6(c)等に示すように、掬取部側把持部30と蓋部側把持部40とは、何れも凹底部31,41と、凹底部31,41の処理具幅方向Wの両側から対向方向Zにおいて互いに近接する側へ縦壁状に突出する一対の側壁(32a,32b),(42a,42b)とを有する略U字をした横断面形状で形成される。これにより、図6(d)に示すように、把持部3の枢着部より先端側Yaが、蓋閉状態において掬取部側把持部30と蓋部側把持部40との夫々の側壁(32a,32b),(42a,42b)の端部同士が互いに突き合わさるように配置され、略角筒状の横断面形状で形成される。
【0062】
なお、図2(b)に示すように、蓋部側把持部40は、掬取部側把持部30よりも長く形成され、互いに枢着された状態において、処理具軸方向Yの奥側Ybの部位が掬取部側把持部30の奥側Ybの端部よりも奥側Ybへ延設されている。
【0063】
図1図5に示すように、掬取部側把持部30には、枢軸部36と被ロック部37が設けられている。
図1図2(a)、図3(a)、図5図6(a)(b)の特に図6(b)に示すように、枢軸部36は、掬取部側把持部30の処理具軸方向Yの奥側Yb、すなわち掬取部側把持部30の延設方向の先端側の部位において、一対の側壁32a,32bの夫々から処理具幅方向Wにおける相反する方向へ突出形成されている。
【0064】
図1図5図6(c)(d)の特に図6(d)に示すように、被ロック部37は、掬取部側把持部30の処理具軸方向Yの先端側Ya、すなわち掬取部10との付け根側の部位において、一対の側壁32a,32b部の間に横架されるように処理具幅方向Wに延びている。
【0065】
図1図2(a)(b)、図3(a)(b)、図5に示すように、蓋部側把持部40には、壁掛け穴45と枢支部46aが設けられるとともにスライドロック部材5を備えている。
図1図2(b)、図3(b)、図5に示すように、壁掛け穴45は、ペット用トイレ100等の壁部に突設されたフックに引掛け可能に蓋部側把持部40の奥側部位40bの凹底部41において貫通形成されている。
【0066】
図1図5図6(b)の特に図6(b)に示すように、枢支部46aは、蓋部側把持部40の一対の側壁42a,42bにおける、蓋閉状態において突状の枢軸部36に対応する部位に、該枢軸部36を差し込み可能に貫通した貫通孔46の周縁によって形成されている。すなわち、枢支部46aは、貫通孔46の周縁によって枢軸部36を軸支可能に形成されている。
【0067】
掬取部側把持部30に設けられた一対の枢軸部36と蓋部側把持部40に設けられた一対の枢支部46aとは、処理具幅方向Wと一致する方向に延びる同一直線上に配置される。すなわち、これら一対の枢軸部36と一対の枢支部46aによって枢着部6が形成される。
【0068】
なお、図6(a)に示すように、把持部3における、枢着部6の奥側Yb近傍には、掬取部10に対する蓋部20の開度を所定の最大開度(図1中のα参照)以内に規制するストッパ8が設けられている。
【0069】
ストッパ8は、掬取部側把持部30から蓋部側把持部40に向けて突出する掬取部側ストッパ突部38と、蓋部側把持部40から掬取部側把持部30に向けて突出する蓋部側ストッパ突部48とを備えている。これにより、掬取部側把持部30と蓋部側把持部40とが枢着部6を中心として所定の開度(α)まで開いたとき、掬取部側ストッパ突部38と蓋部側ストッパ突部48とが当接することで、蓋部20が掬取部10に対して開位置Paまで変位し、該開位置Paを超えて開く(変位する)ことを規制する。
【0070】
掬取部側把持部30と蓋部側把持部40とが板ばね4の付勢力によって枢着部6を中心として過度に開くことを、上述したストッパ8によって規制できるため、ペット用排泄物処理具1をトングのように用いる際に把持部3を把持し易く、扱い易くなる。
なお、掬取部10の蓋部20に対する所定の最大開度(α)は、本実施形態において大よそ24度に設定されているが、24度以外の開度に設定してもよい。
【0071】
図6(c)(d)に示すように、スライドロック部材5は、ロック部材本体部51とロック突出片52とスライド操作部53とを備え、合成樹脂を用いた成形により一体に形成されている。さらに、スライドロック部材5は、ロック突出片52とスライド操作部53との略全体が蓋部側把持部40の内部空間に備えられ、処理具軸方向Y、すなわち蓋部側把持部40の延在方向においてスライド可能にロック部材本体部51が蓋部側把持部40に対して取り付けられている。
【0072】
図6(c)に示すように、ロック突出片52は、ロック部材本体部51から処理具軸方向Yの先端側Yaへ向けて突出し、先端側Yaへ突出するほど、掬取部側把持部30の側へ向けて突出している。ロック突出片52の突出方向の先端部には、被ロック部37と取り外し可能に係合する鉤部52aが形成されている。これらロック突出片52と被ロック部37とで、蓋部20を閉位置Pb(図1参照)にロックする蓋閉状態ロック部7が形成されている。
【0073】
図1図2(a)、図3(a)(b)、図5に示すように、スライド操作部53は、スライドロック部材5が蓋部側把持部40に取り付けられた状態において、蓋部側把持部40の処理具軸方向Yの先端側Ya、すなわち蓋部20との付け根側の部位に備えられている。さらに、スライド操作部53は、利用者が把持部3を把持した状態の手における、例えば親指等で処理具軸方向Yの先端側Yaと奥側Ybとの間でスライド操作可能に蓋部側把持部40の凹底部41の外面に設置されている。
【0074】
図6(c)(d)に示すように、スライド操作部53を、処理具軸方向Yの先端側Yaへスライドさせることでスライドロック部材5全体がスライドしてロック突出片52と被ロック部37とが係合したロック状態となり、蓋部20が閉位置Pbに維持される蓋閉状態となる。一方、スライド操作部53を、処理具軸方向Yの奥側Ybへスライドさせることでスライドロック部材5全体がスライドして、図6(c)中の仮想線で示したスライドロック部材5のように、ロック突出片52と被ロック部37との係合が解除されたロック解除状態となる。すなわち、蓋部20は、蓋部側把持部40の付勢力により閉位置Pbから開位置Paまで変位して蓋開状態となる。
【0075】
上述した本実施形態のペット用排泄物処理具1は、以下のような作用効果を奏することができる。
図7(a)に示すように、ペット用排泄物処理具1は、蓋部20を開いた状態として、ペット用トイレにおける、多数のトイレ用粒状物112が敷置されたトイレ床110において、猫等のペットが排泄した排泄物等111を掬取部10で掬い取ることができる。
【0076】
さらに、利用者が掬取部10を左右に振り動かすことによって、排泄物等111と共に掬取部10によって掬い取られた、汚れていない余分なトイレ用粒状物112aを、掬取部10の貫通孔9を通じてトイレ床110に篩い落として再利用することができる。
【0077】
また、上述したように、掬取部10から余分なトイレ用粒状物112aを篩い落とす際に、掬取部10の開口14を、貫通孔を有しない蓋部20によって閉塞することで掬取部10の外側へ排泄物等111が飛散することを阻止することができる。
【0078】
すなわち、蓋部20は、掬取部10の開口14を単に覆うだけでなく貫通孔を有しないでしっかりと覆うため、掬取部10を処理具幅方向W、すなわち左右に振り動かしても、糞(111a)の欠片や微細化したトイレ用粒状物112が、下方に位置するトイレ床110の側とは異なる意図しない方向へと飛散することを防ぐことができる。従って、汚れていない余分なトイレ用粒状物112aを元のトイレ床110へと確実に篩い落とすことができるとともに、掬取部10を左右に素早く振り動かして上述した篩い落とし作業を迅速に行うことができる。
【0079】
さらに、上述した構成によれば、蓋部20は、貫通孔を有しないため、排泄物等111をトイレ用粒状物112と共に掬い取った掬取部10を蓋部20で閉塞した状態において、図8(a)に示すように、蓋部20と、該蓋部20の下方に位置する掬取部10とを上下反転させても、蓋部20によって排泄物等111を受け止めることができる。
【0080】
これにより、排泄物等111を蓋部20によって受け止めた状態で水洗式のトイレやごみ箱等の所定の廃棄場所まで持ち運ぶことができ、例えば、貫通孔9を有する掬取部10に乗せた状態で持ち運ぶ場合のように、排泄物等111の欠片が貫通孔9を通じて意に反して脱落することがなく衛生的かつ迅速に持ち運ぶことができる。
【0081】
そして、排泄物等111を所定の廃棄場所まで持ち運んだ後は、蓋部20に対して掬取部10を開けることで蓋部20に乗った排泄物等111をそのまま所定の廃棄場所へ廃棄することができる。
【0082】
さらに、蓋部20は、貫通孔を有しないため、多数のトイレ用粒状物112が敷き詰められたトイレ床110において、例えば、汚れたトイレ用粒状物112bを纏めて掬い取る際に、図8(b)に示すように、蓋部20を掬取部10として利用して排泄物等111を掬い取ることで汚れたトイレ用粒状物112bが不用意に貫通孔9から脱落することがなく衛生的かつ迅速に汚れたトイレ用粒状物112bを回収することができる。
【0083】
この発明の態様として、図5に示すように、ペット用排泄物処理具1は、掬取部側把持部30と蓋部側把持部40とが、蓋部20に対して掬取部10が開閉可能に互いに枢着部6において枢着されたため、利用者は、掬取部側把持部30と蓋部側把持部40とを把持した状態で枢着部6を支点として蓋部20に対して掬取部10を容易に開閉させることができる。
【0084】
さらに、ペット用排泄物処理具1は、掬取部10に対して蓋部20を開方向へ付勢する板ばね4を備えたため、蓋部20を開く際には、板ばね4の付勢力を利用して掬取部10に対して蓋部20を開方向へ容易に変位させることができる。従って、利用者は、把持部3の把持力を緩めるだけで蓋部20の開操作を容易に行うことができる。
【0085】
しかも、ペット用排泄物処理具1は、図6(a)に示すように、掬取部10に対する蓋部20の開度を所定の開度(図1中のα参照)以内に規制するストッパ8が設けられているため、蓋部20を例えば、排泄物等111をトイレ床110から掬い取る作業を行い易い適度な開度に規制することができる。
【0086】
要するに、ペット用トイレの排泄物等111を処理する際には、上述したように、ペット用排泄物処理具1の使用前の蓋閉状態から蓋開状態として、上述した掬い取り作業と篩い落とし作業をこの順に行った後、排泄物等111の廃棄場所への持ち運び作業を蓋開状態で行い、さらに蓋開状態として排泄物等111を廃棄するという、一連の作業の過程で蓋開閉操作を何度も行う必要があるが、ペット用排泄物処理具1は、トングを扱うようにして蓋開閉操作を容易に行うことができる。
【0087】
また、ペット用排泄物処理具1は、蓋部20を閉状態にロックするロック手段としての蓋閉状態ロック部7を備えたため、蓋部20が不用意に開くことがないように板ばね4の開方向への付勢力に抗してしっかりと蓋閉状態に保つことができる。従って、例えば、蓋閉状態の下で行われる上述した篩い落とし作業や、排泄物等111の持ち運び作業を衛生的に行うことができるとともに、把持部3をしっかりと把持し続けておく必要がないため、容易に行うことができる。
【0088】
また、図1等に示すように、ペット用排泄物処理具1は、蓋閉状態ロック部7をロック状態とロック解除状態とのいずれかの状態に切り替えるロック手段操作部としてのスライド操作部53を、蓋部側把持部40における、掬取部側把持部30との枢着部6より蓋部20側、すなわち蓋部20との付け根側に設けたため、利用者は、把持部3を把持した状態の手の指先(例えば親指の指先)でスライド操作部53を容易に操作することができる。
【0089】
具体的には、蓋閉状態にロックする際には、利用者は、把持部3を把持し、掬取部10と蓋部20とが完全に閉じた状態、すなわち掬取部10と蓋部20との夫々の開口縁部14a,24a同士が突き合わさった状態となるまで、掬取部10と蓋部20とを互いに近接する方向へ板ばね4の付勢力に抗して変位させる。さらに、利用者は、その状態を保持しつつ把持部3を把持した手の親指等でスライド操作部53を先端側Yaへスライドさせて図6(c)(d)に示すように、ロック突出片52と被ロック部37とを係合させることで蓋部20を閉状態にロックすることができる。
【0090】
その際、ロック突出片52は、板ばね4の付勢力によって被ロック部37に対して密着する方向へ付勢されるため、被ロック部37に対して不用意に外れることがなく、強固なロック状態を得ることができる。
【0091】
一方、蓋閉状態ロック部7のロック状態を解除して蓋開状態とする際には、利用者は、把持部3を把持し、蓋閉状態とする場合のように掬取部10と蓋部20とが完全に閉じた状態となるまで、一旦、掬取部10と蓋部20とを閉位置Pbに対してさらに互いに近接する方向へ板ばね4の付勢力に抗して僅かに変位させる。
【0092】
これにより、ロック突出片52の先端の鉤部52aと被ロック部37との係合を解除した状態となるため、利用者は、把持部3を把持した手の親指等でスライド操作部53を奥側Yb方向へスライドさせることでロック突出片52と被ロック部37との係合を解除することができる。これにより、板ばね4の付勢力を利用して蓋部20を掬取部10に対して開方向へ容易に変位させることができる。
【0093】
上述したように利用者は、把持部3を把持した状態でスライド操作部53をスライド操作することによって、蓋閉状態ロック部7を蓋ロック状態と蓋ロック解除状態とにワンタッチで容易に切り替えることができる。
【0094】
また、図1等に示すように、ペット用排泄物処理具1は、掬取部10と蓋部20とに、処理具本体部2の外側へと突出する突出片13,23が夫々形成され、これら一対の突出片13,23は、掬取部10に対する蓋部20の開閉方向において、例えば、排泄物等111の欠片を挟み込み可能に互いに対向するように配設されたものであるため、開状態の掬取部10を蓋部20によって閉じる際に、例えば、図9(a)に示すように、汚れたトイレ用粒状物112bを挟む(摘む)ことができる。
【0095】
これにより、例えば、掬取部10によって掬い取られた排泄物等111を廃棄場所まで持ち運ぶ途中において、万一にもその一部が掬取部10から脱落した場合であっても、脱落した排泄物等111の欠片を一対の突出片13,23部で摘み上げて廃棄場所まで衛生的に持ち運んで廃棄することができる。
【0096】
さらに、ペット用排泄物処理具1は、一対の突出片13,23が、処理具本体部2の処理具幅方向Wの一方側Waの端部における、処理具軸方向Yの先端側Yaから一方側Waへ向けて突出することで、処理具本体部2における、一対の突出片13,23以外の部位によって排泄物等111の摘まみ作業が阻害されることがなく、排泄物等111を摘まみ易い形態で設けることができる。
【0097】
さらに、把持部3は、処理具本体部2の処理具幅方向Wにおける一方側Waの端部から奥側Ybへ延設された形態としたため、一対の突出片13,23との処理具幅方向Wにおける位置ずれを極力解消することができる。
【0098】
これにより、把持部3を一対の突出片13,23から処理具軸方向Yに沿って略直線状に延びる柄のように扱うことができるため、器用な操作が求められる排泄物等111の摘まみ操作の操作性を高めることができる。
【0099】
さらに、一対の突出片13,23は、上述したような排泄物等111の摘まみ操作に限らず、例えば、図9(b)に示すように、ペット用トイレの角部等にこびり付いた汚れをこそげ落とす際に利用してもよい。これにより、ペット用トイレを隅々まで容易に掃除することができる。
なお、図9(b)においては、トイレ用粒状物112の図示を省略している。
【0100】
また、図10に示すように、ペット用排泄物処理具1は、不使用時には、蓋閉状態として壁掛け穴45を利用してペット用トイレ等の壁部12等から突設されたフック105に掛けて吊るした状態とすることができる。
【0101】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、掬取部の基部は、掬取部10の奥側部位に対応し、
掬取部と反対側は、処理具軸方向Yの奥側Ybに対応し、
蓋部の基部は、蓋部20の奥側部位に対応し、
蓋部と反対側は、処理具軸方向Yの奥側Ybに対応し、
付勢手段は、板ばね4に対応し、
ロック手段は、蓋閉状態ロック部7に対応し、
ロック手段操作部は、スライド操作部53に対応し、
処理具幅方向Wの何れか一方は、処理具幅方向Wの一方側Waに対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0102】
例えば、本発明のペット用排泄物処理具は、上述した実施形態のように蓋閉状態において、掬取部10と蓋部20との外縁辺部14a,24aが略突き合わさる形態となる場合には、掬取部10と蓋部20との夫々の外縁辺部14a,24aによって、排泄物等111を摘まんでもよい。すなわち、本発明のペット用排泄物処理具は、一対の突出片13,23と共に、或いは、一対の突出片13,23を設けずに掬取部10と蓋部20との夫々の外縁辺部14a,24aによって排泄物等111の摘まみ上げが可能に形成してもよい。
【0103】
また、本発明の一対の突出片は、図示省略するが、処理具本体部2の処理具幅方向Wの他方側Wbの端部における、処理具軸方向Yの先端側Yaから該処理具幅方向Wの他方側Wbへ向けて突出するように形成するなど、処理具本体部2の処理具幅方向Wの一方側Waに限らず、一方側Waと他方側Wbとのうち少なくとも一方に設けてもよい。
【0104】
また、本発明の掬取部と蓋部とは、上述した実施形態の掬取部10と蓋部20の形態に夫々限定せず、例えば、奥壁12c,22cを曲面状ではなく平面状に形成してもよく、また、凹底部11についても平面状に限らず、処理具幅方向Wの直交断面視、或いは処理具軸方向Yの直交断面視において曲面状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…ペット用排泄物処理具
4…板ばね(付勢手段)
6…枢着部
7…蓋閉状態ロック部(ロック手段)
9…貫通孔
10…掬取部
12c…掬取部の奥壁(掬取部の基部)
13,23…突出片
20…蓋部
22c…蓋部の奥壁(蓋部の基部)
30…掬取部側把持部
40…蓋部側把持部
53…スライド操作部(ロック手段操作部)
111…排泄物等
111a…排泄物
112…トイレ用粒状物
112a…(汚れていない)余分なトイレ用粒状物
112b…汚れたトイレ用粒状物
Pa…開位置
Pb…閉位置
Y…処理具軸方向
Yb…処理具軸方向の奥側(蓋部と反対側、掬取部と反対側)
W…処理具幅方向
Z…対向方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10