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特開2024-165094ヒューズメモリ回路および半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165094
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ヒューズメモリ回路および半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/82 20060101AFI20241121BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H01L21/82 F
H01L27/04 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080959
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】辻 将信
【テーマコード(参考)】
5F038
5F064
【Fターム(参考)】
5F038AR22
5F038AV02
5F038AV15
5F038AV16
5F038AV18
5F038BE08
5F038BH15
5F038BH20
5F038DF04
5F038DF05
5F038DF12
5F064BB02
5F064BB05
5F064BB06
5F064BB07
5F064BB09
5F064BB13
5F064BB19
5F064BB22
5F064BB35
5F064CC09
5F064CC12
5F064EE52
5F064FF27
5F064FF45
(57)【要約】
【課題】信頼性を高めたヒューズメモリ回路を提供する。
【解決手段】ヒューズメモリ回路100は、ヒューズユニット110を備える。ヒューズ素子F1は、その第1端が第1ライン102と接続され、電流を流すことにより電気的に遮断状態となる。第1トランジスタM1は、そのソースが第2ライン104と接続され、そのゲートに書込イネーブル信号WRITE_ENを受ける。第2トランジスタM2は、そのソースが第1トランジスタM1のドレインと接続され、そのドレインがヒューズ素子F1の第2端と接続される。制御回路120は、書込イネーブル信号WRITE_ENと第2トランジスタM2のドレインの電圧VD2に応じて、第2トランジスタM2のゲート電圧VG2を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源ラインと接地ラインの一方である第1ラインと、
前記電源ラインと前記接地ラインの他方である第2ラインと、
第1ヒューズユニットと、
を備え、
前記第1ヒューズユニットは、
出力ノードと、
その第1端が前記第1ラインと接続され、電流を流すことにより電気的に遮断状態となるヒューズ素子と、
そのソースが前記第2ラインと接続され、そのゲートに書込イネーブル信号を受ける第1トランジスタと、
そのソースが前記第1トランジスタのドレインと接続され、そのドレインが前記ヒューズ素子の第2端と接続された第2トランジスタと、
書込イネーブル信号と前記第2トランジスタの前記ドレインの電圧に応じて、前記第2トランジスタのゲート電圧を制御する制御回路と、
を備える、ヒューズメモリ回路。
【請求項2】
前記制御回路は、組み合わせ回路で構成される、請求項1に記載のヒューズメモリ回路。
【請求項3】
前記第1ラインは前記電源ラインであり、前記第2ラインは前記接地ラインであり、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタはNチャンネルであり、
前記組み合わせ回路は、前記第2トランジスタの前記ドレインの電圧と、前記書込イネーブル信号の反転信号と、を受ける否定論理積ゲートを含む、請求項2に記載のヒューズメモリ回路。
【請求項4】
前記否定論理積ゲートの入力しきい値電圧は、前記出力ノードの信号を受ける論理ゲート素子の入力しきい値電圧より高い、請求項3に記載のヒューズメモリ回路。
【請求項5】
前記否定論理積ゲートは、
第1入力ノードと、
第2入力ノードと、
出力ノードと、
前記電源ラインと前記出力ノードの間に並列に接続された、第1PMOSトランジスタおよび第2PMOSトランジスタと、
前記出力ノードと前記接地ラインの間に直列に接続された、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタと、
を含み、
前記第1PMOSトランジスタのゲートおよび前記第1NMOSトランジスタのゲートは、前記第1入力ノードと接続され、前記第2PMOSトランジスタのゲートおよび前記第2NMOSトランジスタのゲートは、前記第2入力ノードと接続され、
前記第1PMOSトランジスタおよび前記第2PMOSトランジスタのサイズが、前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタのサイズよりも大きい、請求項4に記載のヒューズメモリ回路。
【請求項6】
前記第1ラインは前記接地ラインであり、前記第2ラインは前記電源ラインであり、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタはPチャンネルであり、
前記組み合わせ回路は、前記第2トランジスタの前記ドレインの電圧と、前記書込イネーブル信号の反転信号と、を受ける否論理和ゲートを含む、請求項2に記載のヒューズメモリ回路。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記第2トランジスタの前記ドレインの電圧を所定の判定電圧と比較するコンパレータを含む、請求項1に記載のヒューズメモリ回路。
【請求項8】
前記コンパレータは、前記ヒューズメモリ回路のプログラム工程においてネゲート、通常動作時にアサートされるイネーブル信号を受け、
前記制御回路は、前記イネーブル信号がネゲートされているときに、前記第2トランジスタをオンするように構成される、請求項7に記載のヒューズメモリ回路。
【請求項9】
前記判定電圧は、前記出力ノードの信号を受ける論理ゲート素子の入力しきい値電圧より高い、請求項7または8に記載のヒューズメモリ回路。
【請求項10】
前記第1ヒューズユニットと同じ構成を有し、前記第1ヒューズユニットと並列に接続された第2ヒューズユニットと、
前記第1ヒューズユニットの前記出力ノードの信号を受ける第1インバータと、
前記第2ヒューズユニットの前記出力ノードの信号を受ける第2インバータと、
をさらに備え、
前記第1インバータの出力は、前記第2ヒューズユニットの前記出力ノードと接続され、前記第2インバータの出力は、前記第1ヒューズユニットの前記出力ノードと接続されている、請求項1から9のいずれかに記載のヒューズメモリ回路。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載のヒューズメモリ回路を備える、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒューズメモリ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
各種半導体装置において、製造後の特性調整や構成変更を行う技術として、トリミングが知られている。トリミングは連続(アナログ)的に行う方法と、離散(デジタル)的に行う方法があるが、近年ではコスト的に有利なデジタル・トリミングが好まれる。
【0003】
コスト的に有利な理由は、微細化による面積効率の良いデジタル回路利用が容易になったことや、レーザートリミングなど余分なテストフローを不要とすることが挙げられる。
【0004】
また、トリミング値が確定的となるため、機能の切り替えや、冗長回路ON/OFFの不良品救済による歩留まり向上もデジタル・トリミングが好まれる要因である。
【0005】
デジタル・トリミングの手法として、次の方法が知られている。
・不揮発性メモリ(EEPROM,Flashメモリ,FeRAM,MRAM,PRAMなど)
・ヒューズ(ポリシリコン溶断,メタル配線溶断)
・アンチヒューズ(ツェナーザッピング,ゲート酸化膜ブレークダウン)
【0006】
ヒューズメモリ回路は、ポリシリコンやメタル配線などのヒューズ素子と、ヒューズ素子と直列に接続されるトランジスタと、を含む構成が一般的である。ヒューズメモリ回路には、ヒューズ素子の切断/導通によって1ビットの情報が保持される。プログラム(トリミング)の工程において、トランジスタとヒューズ素子の両端間に、高い電源電圧が印加される。この状態で、トランジスタをオンすることでヒューズ素子に大電流が流れ、ヒューズ素子を切断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-85980号公報
【特許文献2】国際公開WO2023/276733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ヒューズメモリ回路が集積化されたIC(Integrated Circuit)は、プログラム後にアプリケーション回路に組み込まれる。ヒューズメモリ回路を構成するトランジスタは、オフに固定される。
【0009】
ところが、このトランジスタは、サージの印加や経時的な劣化によって、導通モードで故障する可能性がゼロではない。もしトランジスタが導通モードで故障すると、ヒューズ素子に大電流が流れ、ヒューズメモリ回路に記録された値が破壊される。この問題は特に、アプリケーション回路において、トランジスタとヒューズ素子の両端間に、プログラム時と同程度の高い電源電圧が印加される場合に起こりうる。
【0010】
本開示は係る状況においてされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、信頼性を高めたヒューズメモリ回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示のある態様のヒューズメモリ回路は、電源ラインと接地ラインの一方である第1ラインと、電源ラインと接地ラインの他方である第2ラインと、第1ヒューズユニットと、を備える。第1ヒューズユニットは、出力ノードと、その第1端が第1ラインと接続され、電流を流すことにより電気的に遮断状態となるヒューズ素子と、そのソースが第2ラインと接続され、そのゲートに書込イネーブル信号を受ける第1トランジスタと、そのソースが第1トランジスタのドレインと接続され、そのドレインがヒューズ素子の第2端と接続された第2トランジスタと、書込イネーブル信号と第2トランジスタのドレインの電圧に応じて、第2トランジスタのゲート電圧を制御する制御回路と、を備える。
【0012】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0013】
本開示のある態様によれば、ヒューズメモリ回路の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、ヒューズメモリ回路の基本構成を示す回路図である。
図2図2は、実施形態に係るヒューズメモリ回路の回路図である。
図3図3は、ヒューズメモリ回路の等価回路図である。
図4図4は、実施例1に係るヒューズメモリ回路の回路図である。
図5図5は、図4のヒューズメモリ回路において、第2トランジスタにTDDBが生じたときのヒューズメモリ回路の動作を説明する波形図である。
図6図6は、NANDゲートの構成例を示す回路図である。
図7図7は、実施例2に係るヒューズメモリ回路の回路図である。
図8図8は、ヒューズメモリ回路の回路図である。
図9図9は、実施例3に係るヒューズメモリ回路の回路図である。
図10図10は、実施例4に係るヒューズメモリ回路の回路図である。
図11図11は、ヒューズメモリ回路の回路図である。
図12図12は、半導体装置の一例を示すブロック図である。
図13図13は、半導体装置の別の一例を示す図である。
図14図14は、半導体装置の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素または重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0016】
一実施形態に係るヒューズメモリ回路は、電源ラインと接地ラインの一方である第1ラインと、電源ラインと接地ラインの他方である第2ラインと、第1ヒューズユニットと、を備える。第1ヒューズユニットは、出力ノードと、その第1端が第1ラインと接続され、電流を流すことにより電気的に遮断状態となるヒューズ素子と、そのソースが第2ラインと接続され、そのゲートに書込イネーブル信号を受ける第1トランジスタと、そのソースが第1トランジスタのドレインと接続され、そのドレインがヒューズ素子の第2端と接続された第2トランジスタと、書込イネーブル信号と第2トランジスタのドレインの電圧に応じて、第2トランジスタのゲート電圧を制御する制御回路と、を備える。
【0017】
この構成によると、プログラム用、言い換えるとヒューズ切断用の第1トランジスタと直列に、保護用の第2トランジスタを挿入し、第2トランジスタのオン、オフを適切に制御することで、ヒューズ切断後の回路の状態を保ちつつ、未切断のヒューズを保護することができる。この保護により、プログラム用の第1トランジスタが導通モードで故障した場合であっても、誤ったデータが出力されないようにできる。
【0018】
一実施形態において、制御回路は、組み合わせ回路で構成されてもよい。
【0019】
一実施形態において、第1ラインは電源ラインであり、第2ラインは接地ラインであり、第1トランジスタおよび第2トランジスタはNチャンネルであってもよい。組み合わせ回路は、第2トランジスタのドレインの電圧と、書込イネーブル信号の反転信号と、を受ける否定論理積(NAND)ゲートを含んでもよい。
【0020】
一実施形態において、否定論理積ゲートの入力しきい値電圧は、出力ノードの信号を受ける論理ゲート素子の入力しきい値電圧より高くてもよい。
【0021】
一実施形態において、否定論理積ゲートは、電源ラインと出力ノードの間に並列に接続された、第1PMOSトランジスタおよび第2PMOSトランジスタと、出力ノードと接地ラインの間に直列に接続された第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタと、を含んでもよい。第1PMOSトランジスタのゲートおよび第1NMOSトランジスタのゲートは、第1入力ノードと接続され、第2PMOSトランジスタのゲートおよび第2NMOSトランジスタのゲートは、第2入力ノードと接続されてもよい。第1PMOSトランジスタおよび第2PMOSトランジスタのサイズが、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタのサイズよりも大きくてもよい。否定論理積ゲートの入力しきい値電圧を、判定電圧の条件を満たすように調節できる。
【0022】
一実施形態において、第1ラインは接地ラインであり、第2ラインは電源ラインであり、第1トランジスタおよび第2トランジスタはPチャンネルであり、組み合わせ回路は、第2トランジスタのドレインの電圧と、書込イネーブル信号の反転信号と、を受ける否論理和ゲートを含んでもよい。
【0023】
一実施形態において、制御回路は、第2トランジスタのドレインの電圧を所定の判定電圧と比較するコンパレータを含んでもよい。
【0024】
一実施形態において、コンパレータは、ヒューズメモリ回路のプログラム工程においてネゲートされ、通常動作時にアサートされるイネーブル信号を受け、制御回路は、イネーブル信号がネゲートされているときに、第2トランジスタをオンするように構成されてもよい。
【0025】
一実施形態において、判定電圧は、出力ノードの信号を受ける論理ゲート素子の入力しきい値電圧より高くてもよい。
【0026】
一実施形態において、メモリヒューズ回路は、第1ヒューズユニットと同じ構成を有し、第1ヒューズユニットと並列に接続された第2ヒューズユニットと、第1ヒューズユニットの出力ノードの信号を受ける第1インバータと、第2ヒューズユニットの出力ノードの信号を受ける第2インバータと、をさらに備えてもよい。第1インバータの出力は、第2ヒューズユニットの出力ノードと接続され、第2インバータの出力は、第1ヒューズユニットの出力ノードと接続されていてもよい。
【0027】
一実施形態に係る半導体装置は、ヒューズメモリ回路を備えてもよい。
【0028】
(実施形態)
以下、好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0029】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0030】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に接続された(設けられた)状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0031】
はじめに、ヒューズメモリ回路の基本構成と、それにおいて生ずる問題を説明する。
【0032】
図1は、ヒューズメモリ回路10の基本構成を示す回路図である。ヒューズメモリ回路10は、ヒューズ素子12と、ヒューズ切断用のトランジスタ14を備える。
【0033】
プログラム工程において、トランジスタ14のゲートにハイレベルの書込イネーブル信号を与えると、トランジスタ14がオン状態となり、ヒューズ素子12の両端間に電圧VDDが印加される。これにより、ヒューズ素子12に電流が流れ、ヒューズ素子12が切断される。この状態が、1(または0)が書き込まれた状態である。プログラム工程において、トランジスタ14をオンとしなければ、ヒューズ素子12は導通状態のまま維持される。この状態が、0(または1)が書き込まれた状態である。
【0034】
プログラム工程を経て、ヒューズメモリ回路10を備える半導体集積回路が出荷され、最終製品に組み込まれる。最終製品の動作中に、トランジスタ14のゲートは、図1に示す様にローに固定され、トランジスタ14はオフとなる。出力ノードOUTは、ヒューズ素子が切断されていなければハイレベル(VDD)となり、切断されていれば、ハイインピーダンスとなる。
【0035】
本発明者は、ヒューズメモリ回路10において、以下の問題が生ずることを認識するに至った。
【0036】
トランジスタ14に発生する故障は、ゲート酸化膜破壊と、拡散接合破壊が考えられる。ゲート酸化膜破壊は、TDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown)と呼ばれ、時間の経過とともに生ずる絶縁膜(ゲート酸化膜や配線間の絶縁膜)の故障である。
【0037】
一般に、トランジスタのゲート酸化膜に強い電界を加えると絶縁破壊が生ずるが、TDDBは、弱い電界が長時間にわたり印加された場合でも生ずる。TDDBが生ずると、トランジスタのドレインからゲートに対して、電流経路(i)が発生する。トランジスタ14にTDDBが発生すると、この電流経路(i)を介してヒューズ素子12に電流が流れて、切断されていないヒューズ素子12が切断される可能性がある。
【0038】
拡散接合破壊は、トランジスタのドレイン拡散層とウェルの接合面のダメージによって、ドレインからバックゲート、ドレインからソースに対してリーク電流経路(ii)が発生し、経時劣化とともにリーク電流経路(ii)のインピーダンスが低くなって電流が増大し、最終的に短絡状態となる。トランジスタ14が短絡状態となると、ヒューズ素子12に電流が流れて、切断されていないヒューズ素子12が切断される可能性がある。
【0039】
このように、ヒューズメモリ回路10では、書き込み用のトランジスタ14に故障が生ずると、記憶している値が破壊されるという問題がある。以下ではこの問題を解決可能なヒューズメモリ回路について説明する。
【0040】
図2は、実施形態に係るヒューズメモリ回路100の回路図である。ヒューズメモリ回路100は、二値の状態を保持可能な1ビットの不揮発性メモリ素子として機能する。ヒューズメモリ回路100は、第1ライン102、第2ライン104、ヒューズユニット110を備える。第1ライン102は、電源ラインVDDと接地ライン0Vの一方(本実施形態では電源ライン)であり、第2ライン104は、電源ラインVDDと接地ライン0Vの他方(本実施形態では接地ライン)である。ヒューズユニット110は、第1ライン102と第2ライン104の間に接続されている。
【0041】
ヒューズユニット110は、ヒューズ素子F1、第1トランジスタM1、第2トランジスタM2、制御回路120を備える。ヒューズ素子F1は、その第1端が第1ライン102と接続される。ヒューズ素子F1は、電流を流すことにより電気的に遮断状態となるヒューズである。ヒューズ素子F1の第2端は、出力ノードOUTと接続される。
【0042】
第1トランジスタM1は、NMOSトランジスタであり、そのソースが第2ライン104と接続され、そのゲートに、書き込み用の書込イネーブル信号WRITE_ENを受ける。
【0043】
第2トランジスタM2は、そのソースが第1トランジスタM1のドレインと接続され、そのドレインがヒューズ素子F1の第2端(出力ノードOUT)と接続される。
【0044】
制御回路120は、書込イネーブル信号WRITE_ENと、第2トランジスタM2のドレインの電圧に応じて、第2トランジスタM2のゲート電圧VG2を制御する。
【0045】
具体的には、制御回路120は、書込イネーブル信号WRITE_ENが、ヒューズ素子F1の切断を指示するアサート状態(本実施形態ではハイレベル)であるときに、第2トランジスタM2のゲートに、所定電圧レベルVのゲート電圧VG2を印加し、第2トランジスタM2をオンする。所定電圧レベルVは、第2トランジスタM2にTDDBが生じたときにヒューズ素子F1が切断しないように定めればよい。
【0046】
第2トランジスタM2のドレインゲート間の電流経路(i)のインピーダンス(ドレインゲート間のインピーダンス)をRGD2とする。第2トランジスタM2のゲートに所定電圧レベルVを印加したときにヒューズ素子F1に流れる電流IF1は、
F1=(VDD-V)/(RF1+RGD2
となる。所定電圧レベルVを、
F1<ITH
を満たすように定めれば、ヒューズ素子F1の切断を防止できる。第2トランジスタM2のゲートドレイン間のインピーダンスRGD2が0Ωまで低下することを想定する場合、所定電圧レベルVは、
>VDD-ITH×RF1
を満たすように定めればよい。
【0047】
制御回路120は、書込イネーブル信号WRITE_ENが、ネゲート状態(本実施形態ではローレベル)であり、かつ第2トランジスタM2のドレイン電圧VD2が、所定の判定電圧VTHより高いときに、第2トランジスタM2のゲートに、ローレベルのゲート電圧VG2を印加する。
【0048】
制御回路120は、書込イネーブル信号WRITE_ENが、ネゲート状態(本実施形態ではローレベル)であり、かつ、第2トランジスタM2のドレイン電圧VD2が判定電圧VTHより低いとき、第2トランジスタM2のゲートに、ハイレベルのゲート電圧VG2を印加する。
【0049】
判定電圧VTHは、以下の2つの条件を満たすように定められる。
・条件1
ヒューズ素子F1が切断されないこと
ドレイン電圧VD2が判定電圧VTHまで低下したときに、ヒューズ素子F1に流れる電流IF1は、ヒューズ素子F1の切断に必要な電流しきい値ITHより低くなければならない。VD2=VTHであるときのヒューズ素子F1の電流IF1は、
F1=(VDD-VD2)/RF1
である。RF1は、ヒューズ素子F1のインピーダンスである。IF1<ITHを満たすには、
TH>VDD-RF1×ITH
を満たせばよい。
【0050】
・条件2
ドレイン電圧VD2が判定電圧VTHまで低下したときに、ヒューズユニット110の出力が、ローレベルと誤判定されないこと
このためには、判定電圧VTHは、ヒューズメモリ回路100の出力信号OUT(VD2)を受ける論理ゲートの入力しきい値電圧VTH(INV)よりも高くなければならない。
TH>VTH(INV)
【0051】
以上がヒューズメモリ回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
【0052】
図1を参照して説明した問題は、プログラム工程において切断されなかったヒューズ素子F1が、トランジスタの故障によって切断されてしまうことである。プログラム工程でヒューズ素子F1が切断された場合は、トランジスタの故障が発生しても、切断済みのヒューズ素子F1には電流が流れないので、大きな問題とはならない。したがってここでは、ヒューズ素子F1が切断されていない状態を考えればよい。ヒューズメモリ回路100がプログラム後の不揮発性メモリとして参照されるとき、書込イネーブル信号WRITE_ENはネゲート(ローレベル)に固定される。
【0053】
(正常状態)
第2トランジスタM2が故障していない正常状態では、出力ノードOUT、すなわち第2トランジスタM2のドレインの電圧VD2は、ハイレベル(VDD)であり、判定電圧VTHよりも高い。したがって制御回路120は第2トランジスタM2のゲートに、ローレベル(0V)のゲート電圧VG2を印加する。この状態では、第1トランジスタM1と第2トランジスタM2は両方ともオフである。
【0054】
(拡散接合破壊)
はじめに、第2トランジスタM2に拡散接合破壊が発生した場合を考える。この場合は、第2トランジスタM2のドレインソース間が導通状態となるが、第1トランジスタM1がオフしているため、ヒューズ素子F1の電流IF1は0Aを維持するため、ヒューズ素子F1は切断されない。
【0055】
(TDDB)
続いて第2トランジスタM2にTDDBが発生したときを考える。
【0056】
図3は、ヒューズメモリ回路100の等価回路図である。φ1は故障発生前の正常状態を、φ2はTDDBの進行中を、φ3は保護動作状態を示す。
【0057】
第1トランジスタM1はオフに固定されている。正常状態φ1では、第1トランジスタM1、第2トランジスタM2はともにオフであり、ヒューズ素子F1に流れる電流IF1は0Aである。また第2トランジスタM2のドレイン電圧VD2は、電源電圧VDDと実質的に等しい。
【0058】
TDDBの進行状態φ2では、第2トランジスタM2のドレインゲート間に電流経路(i)が発生している。この電流経路(i)のインピーダンス(ドレインゲート間のインピーダンス)をRGD2とするとき、ヒューズ素子F1に流れる電流IF1は、
F1=VDD/(RF1+RGD2
となる。経年変化によってインピーダンスRGD2が低下するにしたがって、電流IF1は増加していく。
【0059】
第2トランジスタM2のドレイン電圧VD2は、
D2=VDD-RF1・IF1
となる。したがって、電流IF1の増加にともなって、ドレイン電圧VD2は低下していく。
【0060】
ドレイン電圧VD2が判定電圧VTHより低くなると、保護状態φ3に遷移する。保護状態φ3では、第2トランジスタM2のゲートに、所定電圧レベルVのゲート電圧VG2が印加される。このときにヒューズ素子F1に流れる電流IF1は、
F1=(VDD-V)/(RF1+RGD2
となる。上述のように所定電圧レベルVは、ヒューズ素子F1の電流IF1がヒューズ素子F1のしきい値電流ITHを超えないように定められている。これにより、ヒューズ素子F1の切断を防止できる。
【0061】
以上がヒューズメモリ回路100の動作である。このヒューズメモリ回路100では、第2トランジスタM2に拡散接合破壊、TDDBのいずれが発生した場合でも、ヒューズ素子F1を保護することができる。
【0062】
本開示は、図2のブロック図や回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、方法に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本開示の範囲を狭めるためではなく、本開示や本発明の本質や動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例や実施例を説明する。
【0063】
図4は、実施例1に係るヒューズメモリ回路100Aの回路図である。制御回路120Aは、組み合わせ回路で構成される。制御回路120Aは、インバータ122および否定論理積(NAND)ゲート124を含む。
【0064】
インバータ122は、書込イネーブル信号WRITE_ENを受け、それを反転する。NANDゲート124は、第1入力Aに第2トランジスタM2のドレイン電圧VD2を受け、第2入力Bにインバータ122の出力を受け、出力znに、2つの入力信号の否定論理積に対応する二値の信号を発生する。第1入力Aの入力しきい値電圧は、上述の判定電圧VTHに相当する。言い換えると、NANDゲート124は、入力しきい値電圧が判定電圧VTHに課される条件を満たすように構成される。
【0065】
また、NANDゲート124の出力のローレベルは0Vであり、ハイレベルは上述の所定電圧レベルVである。
【0066】
図5は、図4のヒューズメモリ回路100Aにおいて、第2トランジスタM2にTDDBが生じたときのヒューズメモリ回路100の動作を説明する波形図(シミュレーション結果)である。図5の上段は、ヒューズ素子F1に流れる電流IF1を、中段は、第2トランジスタM2のドレインゲート間の電流経路(i)のインピーダンス(対数)、下段は、第2トランジスタM2のゲート電圧VG2およびドレイン電圧VD2を示す。実線が、図4のヒューズメモリ回路100Aの動作を示しており、破線が、第2トランジスタM2のゲートを0Vに固定したときの動作を示している。
【0067】
第1トランジスタM1はオフに固定されている。正常状態φ1では、第1トランジスタM1、第2トランジスタM2はともにオフであり、ヒューズ素子F1に流れる電流IF1は0Aである。また第2トランジスタM2のドレイン電圧VD2は、電源電圧VDDと実質的に等しい。時刻tより前が、正常状態φ1を示している。
【0068】
TDDBの進行状態φ2では、第2トランジスタM2のドレインゲート間に電流経路(i)が発生している。この電流経路(i)のインピーダンス(ドレインゲート間のインピーダンス)をRGD2とするとき、ヒューズ素子F1に流れる電流IF1は、
F1=VDD/(RF1+RGD2
となる。経年変化によってインピーダンスRGD2が低下するにしたがって、電流IF1は増加していく。図5では、時刻t以降が、状態φ2を示している。
【0069】
第2トランジスタM2のドレイン電圧VD2は、
D2=VDD-RF1・IF1
となる。したがって、電流IF1の増加にともなって、ドレイン電圧VD2は低下していく。
【0070】
時刻tにドレイン電圧VD2が判定電圧VTHより低くなると、保護状態φ3に遷移する。保護状態φ3では、第2トランジスタM2のゲートに、所定電圧レベルVのゲート電圧VG2が印加される。このときにヒューズ素子F1に流れる電流IF1は、
F1=(VDD-V)/(RF1+RGD2
となる。NANDゲート124の出力電圧の電圧レベルVは、ヒューズ素子F1の電流IF1がヒューズ素子F1のしきい値電流ITHを超えない電圧レベルに収束する。これにより、ヒューズ素子F1の切断を防止できる。
【0071】
図6は、NANDゲート124の構成例を示す回路図である。NANDゲート124は、第1PMOSトランジスタMP1、第2PMOSトランジスタMP2および第1NMOSトランジスタMN1、第2NMOSトランジスタMN2を含む。第1PMOSトランジスタMP1および第2PMOSトランジスタMP2は、電源ラインと出力ノードznの間に並列に接続される。第1NMOSトランジスタMN1および第2NMOSトランジスタMN2は、出力ノードznと接地ラインの間に直列に接続される。
【0072】
NANDゲート124の入力しきい値電圧は、PMOSトランジスタMP1,MP2およびNMOSトランジスタのサイズ(W/L:ゲート幅/ゲート長)にもとづいて調節可能であり、PMOSトランジスタMP1,MP2のサイズは、NMOSトランジスタMN1,MN2のサイズより大きく設計され、入力しきい値電圧が、判定電圧VTHに課される以下の条件を満たすように調節される。
TH>VDD-RF1×ITH
TH>VTH(INV)
【0073】
図7は、実施例2に係るヒューズメモリ回路100Bの回路図である。制御回路120Bは、コンパレータ126と、PMOSトランジスタ128を含む。
【0074】
コンパレータ126は、第2トランジスタM2のドレイン電圧VD2を、判定電圧VTHと比較する。コンパレータ126の出力は、第2トランジスタM2のゲートと接続される。コンパレータ126はイネーブル端子を備え、イネーブル/ディセーブルが切り替え可能となっている。コンパレータ126の出力はディセーブル状態においてハイインピーダンスである。制御回路120Bには、アンプイネーブル信号AMP_ENが入力されている。アンプイネーブル信号AMP_ENは、ヒューズメモリ回路100Bのプログラム工程においてネゲート(ロー)され、通常動作中はアサート(ハイ)される。
【0075】
制御回路120Bは、アンプイネーブル信号AMP_ENがネゲート(ロー)のときに第2トランジスタM2をオンするように構成されている。たとえば制御回路120Bは、コンパレータ126に加えて、PMOSトランジスタ128を含む。PMOSトランジスタ128は、第1ライン102と第2トランジスタM2のゲートM2の間に接続される。PMOSトランジスタ128のゲートには、アンプイネーブル信号AMP_ENが入力される。プログラム工程においてアンプイネーブル信号AMP_ENがネゲート(ロー)されると、PMOSトランジスタ128がオンとなり、第2トランジスタM2のゲートに、ハイレベル(VDD)のゲート電圧VG2が印加され、第2トランジスタM2がオンとなる。
【0076】
なお、PMOSトランジスタ128に代えて、第2トランジスタM2のゲートと第1ライン102の間に接続されるプルアップ抵抗を設けてもよい。
【0077】
図8は、ヒューズメモリ回路200の回路図である。ヒューズメモリ回路200は、これまで説明したヒューズメモリ回路100の天地を反転して、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタを置換した構成をとる。つまり、第1ライン102が接地ライン、第2ライン104が電源ラインであり、第1トランジスタM1、第2トランジスタM2は、PMOSトランジスタで構成される。また各信号の論理は、ハイとローが反転したものとなる。書込イネーブル信号WRITE_EN\は、アサートがロー、ネゲートがハイである。
【0078】
制御回路220は、書込イネーブル信号WRITE_EN\がアサート(ロー)であり、第2トランジスタM2のドレイン電圧VD2が判定電圧VTHよりも高いときに、第2トランジスタM2のゲートに、所定電圧レベルVのゲート電圧VG2を印加する。
【0079】
判定電圧VTHは、以下の2つの条件を満たすように定められる。
・条件1
ヒューズ素子F1が切断されないこと
ドレイン電圧VD2が判定電圧VTHまで上昇したときに、ヒューズ素子F1に流れる電流IF1は、ヒューズ素子F1の切断に必要な電流しきい値ITHより低くなければならない。VD2=VTHであるときのヒューズ素子F1の電流IF1は、
F1=VD2/RF1
である。RF1は、ヒューズ素子F1のインピーダンスである。IF1<ITHを満たすには、
TH<RF1×ITH
を満たせばよい。
【0080】
・条件2
ドレイン電圧VD2が判定電圧VTHまで上昇したときに、ヒューズユニット210の出力が、ハイレベルと誤判定されないこと
このためには、判定電圧VTHは、ヒューズメモリ回路200の出力信号OUT(VD2)を受ける論理ゲートの入力しきい値電圧VTH(INV)よりも低くなければならない。
TH<VTH(INV)
【0081】
所定電圧レベルVは、第2トランジスタM2にTDDBが生じたときにヒューズ素子F1が切断しないように定めればよい。
【0082】
第2トランジスタM2のドレインゲート間の電流経路(i)のインピーダンス(ドレインゲート間のインピーダンス)をRGD2とする。第2トランジスタM2のゲートに所定電圧レベルVを印加したときにヒューズ素子F1に流れる電流IF1は、
F1=V/(RF1+RGD2
となる。所定電圧レベルVを、
F1<ITH
を満たすように定めれば、ヒューズ素子F1の切断を防止できる。第2トランジスタM2のゲートドレイン間のインピーダンスRGD2が0Ωまで低下することを想定する場合、所定電圧レベルVは、
<ITH×RF1
を満たすように定めればよい。
【0083】
この構成によっても、第2トランジスタM2に拡散接合破壊、TDDBのいずれが発生した場合でも、ヒューズ素子F1を保護することができる。
【0084】
図9は、実施例3に係るヒューズメモリ回路200Aの回路図である。制御回路220Aは、インバータ222および否定論理和(NOR)ゲート224を含む。
【0085】
インバータ222は、書込イネーブル信号WRITE_EN\を受け、それを反転する。NORゲート224は、第1入力Aに第2トランジスタM2のドレイン電圧VD2を受け、第2入力Bにインバータ222の出力を受け、出力znに、2つの入力信号の否定論理和に対応する二値の信号を発生する。第1入力Aの入力しきい値電圧は、上述の判定電圧VTHに相当する。言い換えると、NORゲート224は、入力しきい値電圧が判定電圧VTHに課される条件を満たすように構成される。しきい値電圧は、NORゲート224を構成するトランジスタのサイズによって調節可能である。
【0086】
図10は、実施例4に係るヒューズメモリ回路200Bの回路図である。制御回路220Bは、コンパレータ226を含む。
【0087】
コンパレータ226は、第2トランジスタM2のドレイン電圧VD2を、判定電圧VTHと比較する。コンパレータ226の出力は、第2トランジスタM2のゲートと接続される。コンパレータ226はイネーブル端子を備え、イネーブル/ディセーブルが切り替え可能となっている。コンパレータ226の出力はディセーブル状態においてハイインピーダンスである。制御回路220Bには、アンプイネーブル信号AMP_EN\が入力されている。アンプイネーブル信号AMP_EN\は、ヒューズメモリ回路200Bのプログラム工程においてネゲート(ハイ)され、通常動作中はアサート(ロー)される。コンパレータ226は、アンプイネーブル信号AMP_EN\がアサート(ロー)のときにイネーブル状態、アンプイネーブル信号AMP_EN\がネゲート(ハイ)のときにディセーブル状態である。
【0088】
制御回路220Bは、アンプイネーブル信号AMP_EN\がネゲート(ハイ)のときに第2トランジスタM2をオンするように構成されている。制御回路220Bは、コンパレータ226に加えて、NMOSトランジスタ228を含む。NMOSトランジスタ228は、第1ライン102と第2トランジスタM2のゲートM2の間に接続される。NMOSトランジスタ228のゲートには、アンプイネーブル信号AMP_EN\が入力される。プログラム工程においてアンプイネーブル信号AMP_EN\がネゲート(ハイ)されると、NMOSトランジスタ228がオンとなり、第2トランジスタM2のゲートに、ローレベル(0V)のゲート電圧VG2が印加され、第2トランジスタM2がオンとなる。
【0089】
なお、NMOSトランジスタ228に代えて、第2トランジスタM2のゲートと第1ライン102の間に接続されるプルダウン抵抗を設けてもよい。
【0090】
図11は、ヒューズメモリ回路500の回路図である。ヒューズメモリ回路500は、第1ヒューズユニット510および第2ヒューズユニット520、第1インバータ530、第2インバータ532、非反転出力Dおよび反転出力D\を備える。
【0091】
第1ヒューズユニット510および第2ヒューズユニット520は、上述のヒューズユニット110(110A,110B)またはヒューズユニット210(210A,220B)である。
【0092】
第1インバータ530は、第1ヒューズユニット510の出力ノードOUTの信号を受ける。第2インバータ532は、第2ヒューズユニット520の出力ノードOUTの信号を受ける。第1インバータ530の出力は、第2ヒューズユニット520の出力ノードOUTと接続され、第2インバータ532の出力は、第1ヒューズユニット510の出力ノードOUTと接続され、ラッチ回路を構成している。
【0093】
最後に半導体装置300のいくつかの具体例を説明する。
【0094】
図12は、半導体装置300の一例(300A)を示すブロック図である。内部回路310Aはデジタル回路であり、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM:Static Random Access Memory)312,314と、セレクタ316、マイクロプロセッサ318を備える。2個のSRAM312,314は冗長性をもたせるために設けられており、一方がセレクタ316によって選択される。
【0095】
ヒューズ回路400は、制御レジスタ402を介して制御可能であり、ヒューズ回路400は、セレクタ316の制御情報がプログラム可能である。マイクロプロセッサ318は、2個のSRAM312,314のうち、ヒューズ回路400に書き込まれた値に応じた一方にアクセスすることができる。この構成によれば、半導体装置300Aの検査工程において、2個のSRAM312,314の一方に異常が検出された場合、正常な他方を選択することで、歩留まりを改善できる。
【0096】
図13は、半導体装置300の別の一例(300B)を示す図である。内部回路310Bは、リニアレギュレータ(LDO:Low Drop Output)320を含む。リニアレギュレータ320は、トランジスタ322、オペアンプ324、基準電圧源326、抵抗R41,R42を備える。
【0097】
この例では、抵抗R42は可変抵抗であり、ヒューズ回路400には、可変抵抗の設定値がプログラムされる。これにより、リニアレギュレータ320の出力電圧VOUTの目標値を調節できる。
【0098】
図14は、半導体装置300の別の一例(300C)を示す図である。内部回路310Cは、インタフェース回路330を含む。インタフェース回路330は、入力バッファ332、プルダウン抵抗336、スイッチ334を含む。ヒューズ回路400には、スイッチ334のオン/オフの設定値がプログラムされる。これにより、半導体装置300Cの入力ピンを、バッファ受けとするか、プルダウンとするかを切りかえることができる。
【0099】
実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにさまざまな変形例が存在すること、またそうした変形例も本開示に含まれ、また本発明の範囲を構成しうることは当業者に理解されるところである。
【0100】
(付記)
本明細書には以下の技術が開示される。
【0101】
(項目1)
電源ラインと接地ラインの一方である第1ラインと、
前記電源ラインと前記接地ラインの他方である第2ラインと、
第1ヒューズユニットと、
を備え、
前記第1ヒューズユニットは、
出力ノードと、
その第1端が前記第1ラインと接続され、電流を流すことにより電気的に遮断状態となるヒューズ素子と、
そのソースが前記第2ラインと接続され、そのゲートに書込イネーブル信号を受ける第1トランジスタと、
そのソースが前記第1トランジスタのドレインと接続され、そのドレインが前記ヒューズ素子の第2端と接続された第2トランジスタと、
書込イネーブル信号と前記第2トランジスタの前記ドレインの電圧に応じて、前記第2トランジスタのゲート電圧を制御する制御回路と、
を備える、ヒューズメモリ回路。
【0102】
(項目2)
前記制御回路は、組み合わせ回路で構成される、項目1に記載のヒューズメモリ回路。
【0103】
(項目3)
前記第1ラインは前記電源ラインであり、前記第2ラインは前記接地ラインであり、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタはNチャンネルであり、
前記組み合わせ回路は、前記第2トランジスタの前記ドレインの電圧と、前記書込イネーブル信号の反転信号と、を受ける否定論理積ゲートを含む、項目2に記載のヒューズメモリ回路。
【0104】
(項目4)
前記否定論理積ゲートの入力しきい値電圧は、前記出力ノードの信号を受ける論理ゲート素子の入力しきい値電圧より高い、項目3に記載のヒューズメモリ回路。
【0105】
(項目5)
前記否定論理積ゲートは、
第1入力ノードと、
第2入力ノードと、
出力ノードと、
前記電源ラインと前記出力ノードの間に並列に接続された、第1PMOSトランジスタおよび第2PMOSトランジスタと、
前記出力ノードと前記接地ラインの間に直列に接続された、第1NMOSトランジスタおよび第2NMOSトランジスタと、
を含み、
前記第1PMOSトランジスタのゲートおよび前記第1NMOSトランジスタのゲートは、前記第1入力ノードと接続され、前記第2PMOSトランジスタのゲートおよび前記第2NMOSトランジスタのゲートは、前記第2入力ノードと接続され、
前記第1PMOSトランジスタおよび前記第2PMOSトランジスタのサイズが、前記第1NMOSトランジスタおよび前記第2NMOSトランジスタのサイズよりも大きい、項目4に記載のヒューズメモリ回路。
【0106】
(項目6)
前記第1ラインは前記接地ラインであり、前記第2ラインは前記電源ラインであり、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタはPチャンネルであり、
前記組み合わせ回路は、前記第2トランジスタの前記ドレインの電圧と、前記書込イネーブル信号の反転信号と、を受ける否論理和ゲートを含む、項目2に記載のヒューズメモリ回路。
【0107】
(項目7)
前記制御回路は、
前記第2トランジスタの前記ドレインの電圧を所定の判定電圧と比較するコンパレータを含む、項目1に記載のヒューズメモリ回路。
【0108】
(項目8)
前記コンパレータは、前記ヒューズメモリ回路のプログラム工程においてネゲート、通常動作時にアサートされるイネーブル信号を受け、
前記制御回路は、前記イネーブル信号がネゲートされているときに、前記第2トランジスタをオンするように構成される、項目7に記載のヒューズメモリ回路。
【0109】
(項目9)
前記判定電圧は、前記出力ノードの信号を受ける論理ゲート素子の入力しきい値電圧より高い、項目7または8に記載のヒューズメモリ回路。
【0110】
(項目10)
前記第1ヒューズユニットと同じ構成を有し、前記第1ヒューズユニットと並列に接続された第2ヒューズユニットと、
前記第1ヒューズユニットの前記出力ノードの信号を受ける第1インバータと、
前記第2ヒューズユニットの前記出力ノードの信号を受ける第2インバータと、
をさらに備え、
前記第1インバータの出力は、前記第2ヒューズユニットの前記出力ノードと接続され、前記第2インバータの出力は、前記第1ヒューズユニットの前記出力ノードと接続されている、項目1から9のいずれかに記載のヒューズメモリ回路。
【0111】
(項目11)
項目1から10のいずれかに記載のヒューズメモリ回路を備える、半導体装置。
【符号の説明】
【0112】
100 ヒューズメモリ回路
102 第1ライン
104 第2ライン
110 ヒューズユニット
F1 ヒューズ素子
M1 第1トランジスタ
M2 第2トランジスタ
120 制御回路
122 インバータ
124 NANDゲート
200 ヒューズメモリ回路
210 ヒューズユニット
220 制御回路
222 インバータ
224 NORゲート
500 ヒューズメモリ回路
510 第1ヒューズユニット
520 第2ヒューズユニット
530 第1インバータ
532 第2インバータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14