(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165098
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】光軸調整装置、レーザ照準装置及び光軸調整方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/044 20140101AFI20241121BHJP
B23K 26/082 20140101ALI20241121BHJP
【FI】
B23K26/044
B23K26/082
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080966
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】砂田 宜宏
(72)【発明者】
【氏名】栗本 幸大
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168CA06
4E168CA13
4E168CB04
4E168CB20
4E168CB23
4E168EA15
(57)【要約】
【課題】撮像装置によりレーザが観測不能であっても、撮像装置により撮像した目標位置に、レーザの照射位置を合わせる光軸合わせを適切に実行する。
【解決手段】撮像装置により目標位置を撮像して撮影画像を取得し、取得した撮影画像の目標位置に、レーザ照射装置から照射されたレーザの照射位置を合わせる光軸合わせを実行する光軸調整装置において、撮像装置は、レーザを観測不能となっており、目標位置に設けられるレーザを検出する光検出センサと、光検出センサの周囲に設けられるマーカと、レーザ照射装置から照射されるレーザの照射方向を変更するスキャナと、スキャナを制御する制御部と、を備え、制御部は、撮影画像内において、光検出センサ及びマーカを位置させた状態で、スキャナによりレーザの照射位置を走査して、目標位置となる光検出センサにレーザの照射位置を合わせるステップを、実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置により目標位置を撮像して撮影画像を取得し、取得した前記撮影画像の前記目標位置に、レーザ照射装置から照射されたレーザの照射位置を合わせる光軸合わせを実行する光軸調整装置において、
前記撮像装置は、前記レーザを観測不能となっており、
前記目標位置に設けられる前記レーザを検出する光検出センサと、
前記光検出センサの周囲に設けられるマーカと、
前記レーザ照射装置から照射される前記レーザの照射方向を変更するスキャナと、
前記スキャナを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記撮影画像内において、前記光検出センサ及び前記マーカを位置させた状態で、前記スキャナにより前記レーザの照射位置を走査して、前記目標位置となる前記光検出センサに前記レーザの照射位置を合わせるステップを、実行する光軸調整装置。
【請求項2】
前記撮影画像における前記レーザの照射位置の位置関係を保持した状態で、前記レーザの照射方向及び前記撮像装置の撮像方向を一体に変更する粗動装置を、さらに備え、
前記制御部は、
前記粗動装置を制御して、前記撮影画像内に、前記光検出センサ及び前記マーカを位置させるステップを、さらに実行する請求項1に記載の光軸調整装置。
【請求項3】
前記粗動装置は、パン軸及びチルト軸の2つの回転軸を含む請求項2に記載の光軸調整装置。
【請求項4】
前記粗動装置は、パン軸、チルト軸、及び第三軸の3つの回転軸を含む請求項3に記載の光軸調整装置。
【請求項5】
前記撮像装置は、前記レーザの透過を抑制するフィルタを含む請求項1に記載の光軸調整装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記レーザの照射位置と前記光検出センサとの位置合わせ後、前記撮影画像内において、前記光検出センサ及び前記マーカを異なる位置に移動させるステップを、さらに実行し、
前記光検出センサ及び前記マーカを異なる位置に移動させるステップの実行後、前記レーザの照射位置を合わせるステップを実行する請求項1に記載の光軸調整装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記レーザの照射位置と前記光検出センサとの位置合わせ後、前記撮影画像内において、前記光検出センサ及び前記マーカを異なる位置に位置させるステップを、さらに実行し、
前記光検出センサ及び前記マーカを異なる位置に移動させるステップと同時に、前記レーザの照射位置を合わせるステップを実行し、
前記レーザの照射位置を合わせるステップでは、前記光検出センサにおいて検出される前記レーザの照射位置のずれ量に応じた走査量となるように、前記スキャナをフィードバック制御して、前記レーザを走査する請求項1に記載の光軸調整装置。
【請求項8】
目標位置を撮像して撮影画像を取得する撮像装置と、
取得した前記撮影画像の前記目標位置へ向けてレーザを照射するレーザ照射装置と、
請求項1から7のいずれか1項に記載の光軸調整装置と、を備えるレーザ照準装置。
【請求項9】
撮像装置により目標位置を撮像して撮影画像を取得し、取得した前記撮影画像の前記目標位置に、レーザ照射装置から照射されたレーザの照射位置を合わせる光軸合わせを実行する光軸調整方法において、
前記撮像装置は、前記レーザを観測不能となっており、
前記目標位置には、前記レーザを検出する光検出センサが設けられ、
前記光検出センサの周囲には、マーカが設けられ、
前記撮影画像内において、前記光検出センサ及び前記マーカを位置させた状態で、前記レーザの照射位置を走査して、前記目標位置となる前記光検出センサに前記レーザの照射位置を合わせるステップを、実行する光軸調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光軸調整装置、レーザ照準装置及び光軸調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被加工物に加工された画像認識マークをカメラにより検出して、画像認識マークの重心に、レーザの加工の中心点が位置するように位置決めする位置決め加工装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、カメラによりレーザを観測可能であることが前提となっており、カメラでレーザを撮影しながら、画像認識マークの重心に、レーザの加工の中心点を位置決めしている。しかしながら、カメラによりレーザを観測できない場合、位置決めを行うことは困難である。
【0005】
そこで、本開示は、撮像装置によりレーザが観測不能であっても、撮像装置により撮像した目標位置に、レーザの照射位置を合わせる光軸合わせを適切に実行することができる光軸調整装置、レーザ照準装置及び光軸調整方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の光軸調整装置は、撮像装置により目標位置を撮像して撮影画像を取得し、取得した前記撮影画像の前記目標位置に、レーザ照射装置から照射されたレーザの照射位置を合わせる光軸合わせを実行する光軸調整装置において、前記撮像装置は、前記レーザを観測不能となっており、前記目標位置に設けられる前記レーザを検出する光検出センサと、前記光検出センサの周囲に設けられるマーカと、前記レーザ照射装置から照射される前記レーザの照射方向を変更するスキャナと、前記スキャナを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記撮影画像内において、前記光検出センサ及び前記マーカを位置させた状態で、前記スキャナにより前記レーザの照射位置を走査して、前記目標位置となる前記光検出センサに前記レーザの照射位置を合わせるステップを、実行する。
【0007】
本開示のレーザ照準装置は、目標位置を撮像して撮影画像を取得する撮像装置と、取得した前記撮影画像の前記目標位置へ向けてレーザを照射するレーザ照射装置と、上記の光軸調整装置と、を備える。
【0008】
本開示の光軸調整方法は、撮像装置により目標位置を撮像して撮影画像を取得し、取得した前記撮影画像の前記目標位置に、レーザ照射装置から照射されたレーザの照射位置を合わせる光軸合わせを実行する光軸調整方法において、前記撮像装置は、前記レーザを観測不能となっており、前記目標位置には、前記レーザを検出する光検出センサが設けられ、前記光検出センサの周囲には、マーカが設けられ、前記撮影画像内において、前記光検出センサ及び前記マーカを位置させた状態で、前記レーザの照射位置を走査して、前記目標位置となる前記光検出センサに前記レーザの照射位置を合わせるステップを、実行する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、撮像装置によりレーザが観測不能であっても、撮像装置により撮像した目標位置に、レーザの照射位置を合わせる光軸合わせを適切に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る光軸調整装置を備えたレーザ照準装置の概略構成図である。
【
図2】
図2は、光軸調整装置の光検出センサ及びマーカを示す図である。
【
図3】
図3は、光軸調整装置の粗動装置を示す図である。
【
図4】
図4は、光軸調整方法に関するフローチャートである。
【
図5】
図5は、第三実施形態に係る光軸調整装置の粗動装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの開示が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0012】
[第一実施形態]
第一実施形態に係る光軸調整装置16を備えたレーザ照準装置10は、撮像装置13により目標位置を撮像して撮影画像を取得し、取得した撮影画像の目標位置に、レーザ照射装置12からレーザを照射して照準を合わせる装置である。また、光軸調整装置16は、撮影画像の目標位置に、レーザの照射位置を合わせる光軸合わせを実行する装置である。先ず、
図1を参照して、レーザ照準装置10について説明する。
【0013】
(レーザ照準装置)
図1は、第一実施形態に係る光軸調整装置を備えたレーザ照準装置の概略構成図である。レーザ照準装置10は、レーザ照射装置12と、撮像装置13と、ダイクロイックミラー14と、粗動装置15と、光軸調整装置16と、制御部17と、を備えている。
【0014】
レーザ照射装置12は、レーザを照射する装置である。レーザ照射装置12は、制御部17に接続されており、制御部17は、レーザ照射装置12を制御して、所定のタイミングで照射したり、所定の照射条件でレーザを照射したりする。
【0015】
撮像装置13は、目標を撮影する装置であり、例えば、カメラである。撮像装置13は、制御部17に接続されており、制御部17は、撮像装置13を制御して、撮影を行うことで、撮影画像を取得する。なお、撮像装置13は、レーザを観測不能な構成となっており、具体的に、レーザの波長となる光をカットして、レーザの透過を抑制するフィルタが設けられている。
【0016】
ダイクロイックミラー14は、レーザ照射装置12及び撮像装置13と目標との間の光路に設けられている。ダイクロイックミラー14は、レーザ照射装置12から照射されたレーザを反射すると共に、レーザ以外の光を透過する光学部材となっている。
【0017】
粗動装置15は、ダイクロイックミラー14と目標との間の光路に設けられている。粗動装置15は、レーザ照射装置12の光軸及び撮像装置13の光軸の位置関係を保持した状態で、つまり、撮影画像におけるレーザの照射位置の位置関係を保持した状態で(詳細は後述)、レーザの照射方向及び撮像装置13の撮像方向を一体に変更する。粗動装置15は、制御部17に接続されており、制御部17は、粗動装置15を制御して、撮像装置13の視野とレーザの照射位置を移動させる。なお、粗動装置15の詳細については後述する。
【0018】
光軸調整装置16は、レーザの光軸と撮像装置13の光軸とが同軸となるように調整することで、光軸合わせを行う装置となっている。なお、光軸調整装置16の詳細については後述する。
【0019】
制御部17は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の集積回路を含んでいる。制御部17は、目標にレーザを照射して照準合わせを実行する処理、及び光軸合わせを実行する処理を実行している。制御部17には、レーザ照射装置12、撮像装置13、粗動装置15及び光軸調整装置16がそれぞれ接続されている。
【0020】
(光軸調整装置)
次に、光軸調整装置16について説明する。光軸調整装置16は、光検出センサ21と、マーカ22と、ガルバノミラー(スキャナ)23と、上記の粗動装置15と、制御部17とを有している。つまり、レーザ照準装置10で用いられる粗動装置15及び制御部17は、光軸調整装置16においても用いられる。
【0021】
光検出センサ21は、光軸調整の目標となる位置である目標位置に設けられる。光検出センサ21は、例えば、4象限フォトダイオードである。光検出センサ21は、制御部17に接続されており、制御部17は、各象限の光量に基づいて、レーザが目標位置に照射されているか否かを検出している。
【0022】
マーカ22は、光検出センサ21の周囲に設けられている。
図2は、光軸調整装置の光検出センサ及びマーカを示す図である。
図2に示すように、マーカ22は、正方形を4つの小さな正方形に分割して、一方の対角に配置される2つの正方形を黒とし、他方の対角に配置される2つの正方形を白とした図形となっている。なお、マーカ22は、特に、
図3の図形に限定されず、画像認識により識別可能なマークであれば、何れであってもよい。
【0023】
ガルバノミラー23は、レーザ照射装置12とダイクロイックミラー14との間の光路に設けられている。ガルバノミラー23は、ダイクロイックミラー14に対してレーザの照射方向を変更する。ガルバノミラー23は、制御部17に接続されており、制御部17は、ガルバノミラー23を制御して、撮像装置13の視野に対して、つまり、撮影画像に対してレーザの照射位置を移動させる。
【0024】
粗動装置15は、
図3に示すように、レーザの光軸及び撮像装置13の光軸を一体に変更している。粗動装置15は、パン軸I1及びチルト軸I2の2つの回転軸を含む装置となっている。粗動装置15は、回転パン15aと、回転パン15aに対してパン軸I1を中心に回転する第1の光学部材15bと、第1の光学部材15bに対してチルト軸I2を中心に回転する第2の光学部材15cと、を含んで構成されている。第1の光学部材15bは、パン軸I1周りに回転することで、撮影画像を水平方向に移動させ、第2の光学部材15cは、チルト軸I2周りに回転することで、撮影画像を垂直方向に移動させる。粗動装置15は、撮像装置13の撮影方向に対して、目標が正面にある場合、撮影画像を水平方向及び垂直方向に移動させることができる。例えば、粗動装置15は、撮像装置13の撮影方向が下方から上方へ向かう方向であって、正面に目標(マーカ22)がある場合、パン軸I1及びチルト軸I2周りに回転することで、撮影画像を水平方向及び垂直方向に移動させることができる。
【0025】
回転パン15a、第1の光学部材15b及び第2の光学部材15cは、光を透過し、第1の光学部材15b及び第2の光学部材15cは、光を反射する反射面を有している。第1の光学部材15bは、例えば、入射面と反射面と出射面とを有する三角プリズムとなっている。第1の光学部材15bは、レーザの入射面側に回転パン15aが設けられ、レーザの出射面側に第2の光学部材15cが設けられる。第1の光学部材15bの反射面は、第2光学部材の反射面へ向けてレーザを反射している。第2の光学部材15cは、第1の光学部材15bと同様に、例えば、入射面と反射面と出射面とを有する三角プリズムとなっている。第2の光学部材15cは、レーザの入射面側に第1の光学部材15bが設けられる。第2の光学部材15cの反射面は、目標へ向けてレーザを反射している。また、粗動装置15は、目標から光が入射すると、第2の光学部材15cから第1の光学部材15bを経て回転パン15aから出射する。なお、第1の光学部材15b及び第2の光学部材15cは、三角プリズムとして説明したが、ミラーであってもよく、特に限定されない。
【0026】
制御部17は、光検出センサ21の検出結果及び撮像装置13により撮像された撮影画像に基づいて、ガルバノミラー23及び粗動装置15を制御することにより、光軸合わせを実行する。
【0027】
(光軸調整方法)
次に、
図4を参照して、光軸調整装置16により実行される光軸調整方法について説明する。
図4は、光軸調整方法に関するフローチャートである。
図1に示すように、光軸調整方法では、先ず、制御部17が粗動装置15を制御して、撮像装置13により取得される撮影画像G内に、光検出センサ21及びマーカ22を位置させる(ステップS1)。
図3における点Pは、レーザの照射位置である。ステップS1では、撮影画像G内において、光検出センサ21(目標位置)と、レーザの照射位置Pとは、異なる位置となっており、光軸が合っていない状態となっている。ステップS1では、マーカ22を画像認識することにより、撮影画像G内に光検出センサ21が収まるように捕捉する。なお、ステップS1では、レーザ照射装置12からレーザを照射せずに、撮影画像G内において光検出センサ21及びマーカ22を捉えた後に、レーザを照射している。
【0028】
制御部17は、ステップS1の実行後、撮影画像G内において、光検出センサ21及びマーカ22を位置させた状態で、ガルバノミラー23によりレーザの照射位置Pを走査して、目標位置となる光検出センサ21にレーザの照射位置Pを合わせる(ステップS2)。具体的に、ステップS2において、制御部17は、レーザの照射位置Pを、予め設定された軌跡に沿って移動させる。制御部17は、光検出センサ21により光が検出されたと判定すると、光軸が合致したと判定する。そして、制御部17は、撮影画像Gの所定の位置にある目標位置(光検出センサ21)に対応するガルバノミラー23の制御量を取得する。
【0029】
続いて、制御部17は、レーザの照射位置Pと光検出センサ21との位置合わせ(光軸合わせ)後、粗動装置15を制御して、撮影画像G内において、光検出センサ21及びマーカ22を異なる位置に移動させる(ステップS3)。つまり、ステップS3では、撮影画像G内における目標位置を変更している。制御部17は、ステップS3の実行後、ステップS2を実行する。制御部17は、ステップS3及びステップS2を繰り返し実行することで、撮影画像G内の複数の目標位置において、ガルバノミラー23の制御量を取得する。なお、光軸合わせは、撮影画像G内における必要な目標位置の全てにおいて実行されてもよいし、撮影画像G内における任意の数分だけ実行すると共に補間によりガルバノミラー23の制御量を求めてもよい。
【0030】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態では、重複した記載を避けるべく、第一実施形態と異なる部分について説明し、第一実施形態と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
【0031】
第二実施形態における光軸調整方法は、第一実施形態のステップS2の実行後において、ステップS3とステップS2とを同時に行っている。つまり、第一実施形態では、ステップS3とステップS2とを交互に繰り返し実行することで、撮影画像G内の複数の目標位置において、ガルバノミラー23の制御量を取得したが、第二実施形態では、ステップS3の目標位置の変更とステップS2の光軸合わせとを同時に行うことで、光軸合わせの時間短縮を図っている。
【0032】
第二実施形態において、制御部17は、ステップS2の実行後、粗動装置15を制御して、撮影画像G内において、光検出センサ21及びマーカ22を異なる位置に移動させる(ステップS3)。ステップS3では、粗動装置15により光検出センサ21及びマーカ22を異なる位置に移動させることで、光検出センサ21の位置(目標位置)とレーザの照射位置Pとが位置ズレする。光検出センサ21は、4象限フォトダイオードが用いられていることから、制御部17は、光検出センサ21において検出されるレーザの照射位置Pのズレ量を取得可能となっている。そして、制御部17は、取得したズレ量がゼロとなるように、ガルバノミラー23をフィードバック制御して、レーザを走査する。これにより、粗動装置15により移動する目標位置に追従するように、レーザの照射位置Pを移動させることが可能となる。
【0033】
[第三実施形態]
次に、
図5及び
図6を参照して、第三実施形態について説明する。
図5は、第三実施形態に係る光軸調整装置の粗動装置を示す図である。
図6は、撮影画像を示す図である。なお、第三実施形態では、重複した記載を避けるべく、第一実施形態及び第二実施形態と異なる部分について説明し、第一実施形態及び第二実施形態と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
【0034】
第三実施形態の光軸調整装置40は、第一実施形態の粗動装置15に第三軸I3を加えたものとなっている。つまり、第三実施形態の粗動装置43は、パン軸I1、チルト軸I2、及び第三軸I3の3つの回転軸を含む装置となっている。
【0035】
粗動装置43は、回転パン43aと、回転パン43aに対してパン軸I1を中心に回転する第1の光学部材43bと、第1の光学部材43bに対してチルト軸I2を中心に回転する第2の光学部材43cと、を含んで構成されている。なお、回転パン43a及び第1の光学部材43bは、第一実施形態の回転パン15a及び第1の光学部材15bと同様であるため、説明を省略する。
【0036】
第2の光学部材43cは、第三軸I3が設けられている。第三軸I3は、チルト軸I2が垂直方向の下方側を向いた状態ではパン軸I1及びチルト軸I2と直交し、チルト軸I2が水平方向の正面側を向いた状態ではパン軸I1と同軸となる第三軸I3がチルト回転体上に設けられる。第三軸I3を設けることで、粗動装置43は、撮像装置13の撮影方向に対して、目標が下方側にある場合、撮影画像Gを水平方向及び垂直方向に移動させることができる。例えば、粗動装置43は、撮像装置13の撮影方向が下方から上方へ向かう方向であって、下方に目標(マーカ22)がある場合、
図6に示すように、チルト軸I2周りに回転することで、垂直方向に移動させることができ、第三軸I3周りに回転することで、水平方向に移動させることができる。
【0037】
第三実施形態では、マーカ22を粗動装置43の直下に配置することができるため、光検出センサ21及びマーカ22を、光軸調整装置16の土台に組み込むことが可能となる。また、粗動装置43から出射するレーザの出射方向も下方側へ向けることで、遮光カバーを容易に設置することが可能となる。このため、光軸合わせにおいて、レーザ光の漏れを遮光カバーにより抑制することができる。
【0038】
以上のように、第一実施形態から第三実施形態に記載の光軸調整装置16、40、レーザ照準装置10及び光軸調整方法は、例えば、以下のように把握される。
【0039】
第1の態様に係る光軸調整装置16、40は、撮像装置13により目標位置を撮像して撮影画像Gを取得し、取得した前記撮影画像Gの前記目標位置に、レーザ照射装置12から照射されたレーザの照射位置Pを合わせる光軸合わせを実行する光軸調整装置16において、前記撮像装置13は、前記レーザを観測不能となっており、前記目標位置に設けられる前記レーザを検出する光検出センサ21と、前記光検出センサ21の周囲に設けられるマーカ22と、前記レーザ照射装置12から照射される前記レーザの照射方向を変更するスキャナ(ガルバノミラー23)と、前記スキャナを制御する制御部17と、を備え、前記制御部17は、前記撮影画像G内において、前記光検出センサ21及び前記マーカ22を位置させた状態で、前記スキャナにより前記レーザの照射位置Pを走査して、前記目標位置となる前記光検出センサ21に前記レーザの照射位置Pを合わせるステップS2を、実行する。
【0040】
この構成によれば、撮像装置13によりレーザが観測不能であっても、撮像装置13により撮像した目標位置に光検出センサ21を設けているため、光検出センサ21にレーザの照射位置Pを合わせることで、光軸合わせを適切に実行することができる。
【0041】
第2の態様として、第1の態様に係る光軸調整装置16、40において、前記撮影画像Gにおける前記レーザの照射位置Pの位置関係を保持した状態で、前記レーザの照射方向及び前記撮像装置13の撮像方向を一体に変更する粗動装置15、43を、さらに備え、前記制御部17は、前記粗動装置15、43を制御して、前記撮影画像G内に、前記光検出センサ21及び前記マーカ22を位置させるステップS1を、さらに実行する。
【0042】
この構成によれば、粗動装置15、43によって、撮影画像G内に光検出センサ21及びマーカ22を適切に位置させることができる。
【0043】
第3の態様として、第1または第2の態様に係る光軸調整装置16において、前記粗動装置15は、パン軸I1及びチルト軸I2の2つの回転軸を含む。
【0044】
この構成によれば、2軸の粗動装置15を用いて光軸合わせを実行することができる。
【0045】
第4の態様として、第1または第2の態様に係る光軸調整装置40において、前記粗動装置43は、パン軸I1、チルト軸I2、及び第三軸I3の3つの回転軸を含む。
【0046】
この構成によれば、3軸の粗動装置15を用いて光軸合わせを実行することができる。この場合、マーカ22を粗動装置43の直下に配置することができるため、光検出センサ21及びマーカ22を、光軸調整装置16の土台に組み込むことが可能となり、モジュール化を図ることができる。また、遮光カバーを容易に設置することが可能となるため、光軸合わせにおいて、レーザ光の漏れを遮光カバーにより抑制することができる。
【0047】
第5の態様として、第1から第4のいずれか一つ態様に係る光軸調整装置16、40において、前記撮像装置13は、前記レーザの透過を抑制するフィルタを含む。
【0048】
この構成によれば、フィルタによりレーザを観測不能とすることで、照準合わせ時において、レーザにより撮影画像Gが白飛びする等の不具合を抑制することができる。
【0049】
第6の態様として、第1から第5のいずれか一つ態様に係る光軸調整装置16、40において、前記制御部17は、前記レーザの照射位置Pと前記光検出センサ21との位置合わせ後、前記撮影画像G内において、前記光検出センサ21及び前記マーカ22を異なる位置に移動させるステップS3を、さらに実行し、前記光検出センサ21及び前記マーカ22を異なる位置に移動させるステップS3の実行後、前記レーザの照射位置を合わせるステップS2を実行する。
【0050】
この構成によれば、撮影画像G内における複数の目標位置において、光軸合わせを実行することができる。
【0051】
第7の態様として、第1から第5のいずれか一つ態様に係る光軸調整装置16、40において、前記制御部17は、前記レーザの照射位置Pと前記光検出センサ21との位置合わせ後、前記撮影画像G内において、前記光検出センサ21及び前記マーカ22を異なる位置に位置させるステップS3を、さらに実行し、前記光検出センサ21及び前記マーカ22を異なる位置に移動させるステップS3と同時に、前記レーザの照射位置を合わせるステップS2を実行し、前記レーザの照射位置を合わせるステップS2では、前記光検出センサ21において検出される前記レーザの照射位置Pのずれ量に応じた走査量となるように、前記スキャナをフィードバック制御して、前記レーザを走査する。
【0052】
この構成によれば、粗動装置15により移動する目標位置に追従するように、レーザの照射位置Pを移動させることができる。このため、撮影画像G内における複数の目標位置において、光軸合わせを行う必要がないため、光軸合わせの時間を短縮することができる。
【0053】
第8の態様に係るレーザ照準装置10は、目標位置を撮像して撮影画像Gを取得する撮像装置13と、取得した前記撮影画像Gの前記目標位置へ向けてレーザを照射するレーザ照射装置12と、上記の光軸調整装置16と、を備える。
【0054】
この構成によれば、撮像装置13によりレーザが観測不能であっても、光軸合わせが適切に行われた状態で、レーザの目標への照準合わせを精度よく実行することができる。
【0055】
第9の態様に係る光軸調整方法は、撮像装置13により目標位置を撮像して撮影画像Gを取得し、取得した前記撮影画像Gの前記目標位置に、レーザ照射装置12から照射されたレーザの照射位置Pを合わせる光軸合わせを実行する光軸調整方法において、前記撮像装置13は、前記レーザを観測不能となっており、前記目標位置には、前記レーザを検出する光検出センサ21が設けられ、前記光検出センサ21の周囲には、マーカ22が設けられ、前記撮影画像G内において、前記光検出センサ21及び前記マーカ22を位置させた状態で、前記レーザの照射位置Pを走査して、前記目標位置となる前記光検出センサ21に前記レーザの照射位置Pを合わせるステップS2を、実行する。
【0056】
この構成によれば、撮像装置13によりレーザが観測不能であっても、撮像装置13により撮像した目標位置に光検出センサ21を設けているため、光検出センサ21にレーザの照射位置Pを合わせることで、光軸合わせを適切に実行することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 レーザ照準装置
12 レーザ照射装置
13 撮像装置
14 ダイクロイックミラー
15、43 粗動装置
16、40 光軸調整装置
17 制御部
21 光検出センサ
22 マーカ
23 ガルバノミラー(スキャナ)