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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165111
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】データ管理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0633 20230101AFI20241121BHJP
【FI】
G06Q10/0633
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080989
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植原 靖裕
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA07
5L049AA07
(57)【要約】
【課題】証跡の自動削除を可能にする。
【解決手段】データ管理装置が、管理データから証跡を選択する。管理データは、運用対象のシステムに関する運用項目について、システム運用の業務を構成する一つ又は複数の作業を表し当該運用項目に関連付けられたワークフローを表すデータと、規格又は法律について当該運用項目に関連付けられた規定事項を表すデータとを含む。ワークフローに証跡が関連付けられる。データ管理装置が、選択された証跡の削除が可能か否かの判定である削除判定を行う。削除判定は、選択された証跡の保持期限を現在日時が超過しているか否かの判定を含む。選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、当該証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目に関連付けられている規定事項が表す保持期間とから定まる期限である。データ管理装置が、削除判定の結果が真の場合に、選択された証跡の削除を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理データに一つ以上の証跡が含まれている場合にいずれかの証跡を選択する選択部と、
前記選択された証跡の削除が可能か否かの判定である削除判定を行う判定部と、
前記削除判定の結果が真の場合に、前記選択された証跡の削除を実行する削除部と
を備え、
前記管理データは、運用対象のシステムに関する複数の運用項目の各々について、システム運用の業務を構成する一つ又は複数の作業を表し当該運用項目に関連付けられたワークフローを表すデータと、規格又は法律について当該運用項目に関連付けられた規定事項を表すデータとを含むデータであり、
ワークフローの実行の開始の都度に、当該ワークフローに、当該ワークフローの形跡を表すデータである証跡が関連付けられるようになっており、
前記削除判定は、前記選択された証跡の保持期限を現在日時が超過しているか否かの判定を含み、
前記選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、当該証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目に関連付けられている規定事項が表す保持期間とから定まる期限である、
データ管理装置。
【請求項2】
期限算出部を更に備え、
前記期限算出部は、
生成された証跡に対応の運用項目を特定し、
当該運用項目に対応の規定事項を特定し、
当該特定された規定事項に保持期間が定められているか否かを判定し、
当該判定の結果が真の場合に、当該証跡の生成日時から当該特定された保持期間までの日時を、当該証跡の保持期限として算出する、
請求項1に記載のデータ管理装置。
【請求項3】
証跡の用途が関連付けられた証跡には、当該用途に関するステータスである用途ステータスが関連付けられており、
前記削除判定は、前記選択された証跡に記録されている用途の用途ステータスに基づき当該用途が完了しているか否かの判定を含む、
請求項1に記載のデータ管理装置。
【請求項4】
証跡には、証跡が関連付けられているワークフローに関するステータスであるフローステータスが関連付けられており、
証跡に関連付けられているフローステータスは、証跡が関連付けられているワークフローの実行が中断された場合に、中断を表すステータスとなり、
中断されたワークフローは再度最初から実行が開始され、故に、当該ワークフローについては再度の実行開始に対応した証跡が新たに関連付けられるようになっており、
前記削除判定は、前記選択された証跡に関連付けられているフローステータスが中断を表すステータスか否かの判定を含む、
請求項1に記載のデータ管理装置。
【請求項5】
前記管理データにおいて、
運用項目に、規格又は法律における規定事項が関連付けられており、
規定事項に、当該規定事項を持つ規格又は法律が関連付けられている、
請求項1に記載のデータ管理装置。
【請求項6】
前記システムのユーザーは、一又は複数の顧客と、少なくとも一の顧客についての一又は複数のエンドユーザーであり、
前記管理データにおいて、
証跡に、エンドユーザーが関連付けられており、
規格又は法律に、当該規格又は法律にある規定事項が適用されるエンドユーザーが関連付けられており、
前記選択された証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目と、前記選択された証跡に関連付いたエンドユーザーとに関連付けられている異なる複数の規定事項が表す異なる複数の保持期間がある場合、前記選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、前記異なる複数の保持期間のうちの最長の保持期間とから定まる期限である、
請求項1に記載のデータ管理装置。
【請求項7】
コンピュータが、管理データに一つ以上の証跡が含まれている場合にいずれかの証跡を選択し、
前記管理データは、運用対象のシステムに関する複数の運用項目の各々について、システム運用の業務を構成する一つ又は複数の作業を表し当該運用項目に関連付けられたワークフローを表すデータと、規格又は法律について当該運用項目に関連付けられた規定事項を表すデータとを含むデータであり、
ワークフローの実行の開始の都度に、当該ワークフローに、当該ワークフローの形跡を表すデータである証跡が関連付けられるようになっており、
コンピュータが、前記選択された証跡の削除が可能か否かの判定である削除判定を行い、
前記削除判定は、前記選択された証跡の保持期限を現在日時が超過しているか否かの判定を含み、
前記選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、当該証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目に関連付けられている規定事項が表す保持期間とから定まる期限であり、
コンピュータが、前記削除判定の結果が真の場合に、前記選択された証跡の削除を実行する、
データ管理方法。
【請求項8】
管理データに一つ以上の証跡が含まれている場合にいずれかの証跡を選択し、
前記管理データは、運用対象のシステムに関する複数の運用項目の各々について、システム運用の業務を構成する一つ又は複数の作業を表し当該運用項目に関連付けられたワークフローを表すデータと、規格又は法律について当該運用項目に関連付けられた規定事項を表すデータとを含むデータであり、
ワークフローの実行の開始の都度に、当該ワークフローに、当該ワークフローの形跡を表すデータである証跡が関連付けられるようになっており、
前記選択された証跡の削除が可能か否かの判定である削除判定を行い、
前記削除判定は、前記選択された証跡の保持期限を現在日時が超過しているか否かの判定を含み、
前記選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、当該証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目に関連付けられている規定事項が表す保持期間とから定まる期限であり、
前記削除判定の結果が真の場合に、前記選択された証跡の削除を実行する、
ことをコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、データ管理に関する。
【背景技術】
【0002】
保存対象のデータが増えると、記憶容量を圧迫する。保存期間が過ぎたデータを削除する技術は一般に知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-102809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
システムの運用で一連の作業であるワークフローが実施される度に、そのワークフローの作業形跡を表すデータとして「証跡」が蓄積される。
【0005】
証跡には、一般に、規格や法律に基づいた保持期間があり、証跡を削除することは、規格や法律に違反するといったリスクを伴う。故に、証跡を削除せずに残し続ける措置を取ることが運用として簡単である。
【0006】
しかし、保存対象のデータとして証跡が大量に蓄積されると、記憶容量の消費が大きくなる。また、オンプレミス上のデータをクラウドサービス上に移行する運用を採用する企業もあるが、証跡が大量に蓄積されていると、クラウドサービス上の記憶容量の消費が大きくなることに加えて、サービスの利用料金の増加が懸念される。
【0007】
そこで、特許文献1に開示の技術を証跡に適用することが考えられる。
【0008】
しかし、いずれの証跡にいずれの規格や法律に基づく保持期間があるかを容易に特定可能に管理する技術は知られていない。
【0009】
このため、ファイル自動削除を証跡に単に適用してしまうと、削除されることが好ましくない又は削除されてはならない証跡が削除されてしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
データ管理装置が、管理データに一つ以上の証跡が含まれている場合にいずれかの証跡を選択する。管理データは、運用対象のシステムに関する複数の運用項目の各々について、システム運用の業務を構成する一つ又は複数の作業を表し当該運用項目に関連付けられたワークフローを表すデータと、規格又は法律について当該運用項目に関連付けられた規定事項を表すデータとを含むデータである。ワークフローの実行の開始の都度に、当該ワークフローに、当該ワークフローの形跡を表すデータである証跡が関連付けられるようになっている。データ管理装置が、選択された証跡の削除が可能か否かの判定である削除判定を行う。削除判定は、選択された証跡の保持期限を現在日時が超過しているか否かの判定を含む。選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、当該証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目に関連付けられている規定事項が表す保持期間とから定まる期限である。データ管理装置が、削除判定の結果が真の場合に、選択された証跡の削除を実行する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、証跡の自動削除を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係るデータ管理装置を含んだシステム全体の構成例を示す。
図2】第1の実施形態に係るテーブルエントリ関係を示す。
図3】ワークフローエントリの幾つかの例を示す。
図4】ワークフローエントリと証跡エントリの関係の例を示す。
図5】運用項目と規格/法律(規定事項)との関係の例を示す。
図6】第1の実施形態に係る証跡自動削除処理のフローを示す。
図7】第2の実施形態に係るテーブルエントリ関係を示す。
図8】一エンドユーザーについての運用項目と規格/法律(規定事項)との関係の例を示す。
図9】第2の実施形態に係る証跡自動削除処理のフローの一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/O(Input/Output)インターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザーインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0014】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0015】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、又は、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0016】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
【0017】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0018】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0019】
以下、図面を用いて、本発明の幾つかの実施形態を説明する。なお、以下の説明において、「規格/法律」は、規格又は法律を意味する。
[第1の実施形態]
【0020】
図1は、第1の実施形態に係るデータ管理装置150を含んだシステム全体の構成例を示す。
【0021】
データ管理装置150は、通信ネットワーク50を介して、IT(Information Technology)システム110及びユーザー端末101と通信可能に接続されている。通信ネットワーク50は、インターネット、WAN(Wide Area Network)又はLAN(Local Area Network)といった任意の通信ネットワークでよい。
【0022】
ITシステム110は、物理的な計算機システム(一つ以上の物理的な計算機で構成されたシステム)でもよいし物理的な計算機システムに基づく論理的な計算機システム(例えば、一つ以上の仮想的な計算機を有するシステム)でもよい。ITシステム110は、所与のサービスを提供するシステムであり、ユーザーにより運用又は利用される。なお、本実施形態において、「ユーザー」は、例えば、下記のうちのいずれかでよい。言い換えれば、下記の者を「ユーザー」と総称することができる。
・顧客:ITシステム110を運用する個人又は組織(例えば企業)であって、データ管理装置150が提供するサービスを利用する。エンドユーザーを持つことが可能。
・運用担当者:顧客の一員であり、ワークフロー(後述)で定義される運用業務内の実作業を担当する者。
・運用管理者:顧客の一員であり、ワークフローで定義される運用業務の完了を確認したり、運用業務内の実作業に対して運用担当者を割り当てたりする者。
・エンドユーザー:顧客の管理の下、ITシステム110を利用する組織又は個人(典型的には顧客の顧客)であり、顧客に対して、運用業務を依頼(ワークフローの起点)したり、必要に応じて、問合せやクレームを行ったりする者。
・申請者:エンドユーザーの一員であり、ワークフローで定義される運用業務の最初の作業の申請を行う者。
【0023】
ユーザー端末101は、ユーザーの情報処理端末(例えば、パーソナルコンピュータやスマートフォン)であり、例えば、ブラウザ102(又は専用アプリ)を通じて、ユーザーによる操作に従い、データ管理装置150やITシステム110にデータを入出力する。
【0024】
データ管理装置150は、本実施形態では物理的な計算機システムであるが、物理的な計算機システムに基づく論理的な計算機システム(例えば、仮想的な計算機又はクラウドコンピューティングサービス)でもよい。データ管理装置150は、インターフェース装置151、記憶装置(例えば、永続記憶装置152及びメモリ153)及びそれらに接続されたプロセッサ154を備える。
【0025】
インターフェース装置151を介して通信が行われる。例えば、インターフェース装置151は、通信ネットワーク50を介して、ユーザー端末101やITシステム110と通信する。
【0026】
永続記憶装置152が、運用-規定関連テーブル161、規格/法律-規定関連テーブル162、ワークフローテーブル163、運用項目テーブル164、規格/法律テーブル165、規定事項テーブル166及び証跡テーブル167といったデータを記憶する。テーブル161~167は、それぞれ、複数(又は一つ)のテーブルエントリを有する。テーブルエントリは、例えばレコードである。
【0027】
メモリ153が、データ管理部171、ワークフロー実行部172及び証跡削除部173といった機能を実現するための一つ又は複数のコンピュータプログラムを記憶する。プロセッサ154が、当該一つ又は複数のコンピュータプログラムを実行することで、機能171~173が実現される。
【0028】
データ管理部171は、随時、業務が必要な運用項目を選択し、選択した運用項目に対応のワークフローを開始する機能を含み、例えば申請者に操作される。また、データ管理部171は、新たなワークフローの生成依頼をユーザーから受け付け、ユーザーからの依頼に従うワークフローを生成し、生成したワークフローのデータをワークフローテーブル163に記録してよい。
【0029】
ワークフロー実行部172は、ワークフローに定義された一連の作業を順に遷移する機能であって、運用担当者など顧客のシステム運用を行う者に操作される。また、ワークフロー実行部172は、証跡として、作業担当者や開始日時等を記録する。証跡の少なくとも一部の情報は、ユーザーにより手動入力されてもよい。また、証跡は、ワークフローに定義される作業群の最初の作業が開始された時点でワークフロー実行部172により生成されてよい。
【0030】
証跡削除部173は、定期的に(又は所定のイベントが生じた場合等のタイミングで)証跡の削除を行う。
【0031】
ITシステム110の運用を、例えば、定常業務と随時業務の2種類に大別することができる。「定常業務」は、定期的に、人手を介さずに実行される業務(例えば、システムの夜間バックアップ)。「随時業務」は、必要に応じて発生し手続きの申請や承認といった人手を介して行われる業務(例えば、仮想マシンの貸出手続き)がある。システム運用としての業務で必要となる一連の作業が「ワークフロー」であり、ワークフローの作業形跡を表すデータが「証跡」である。ワークフローは、定常業務についても定義されてよいが、本実施形態では、ワークフローは、随時業務について定義される。
【0032】
また、ITシステム110は、オンプレミスのシステムでもよいが、本実施形態では、クラウド環境におけるシステム(例えば、SaaSとしてのシステム)でよい。ITシステム110に関しワークフローが実施される都度に、そのワークフローの証跡が、証跡テーブル167に記録される。証跡が大量に蓄積されると、永続記憶装置152の記憶容量の消費が大きくなる。また、証跡テーブル167がクラウドサービスのストレージにある場合、大量の証跡が蓄積されることによる、サービスの利用料金の増加が懸念される。しかし、本実施形態では、証跡の自動削除が可能であるため、そのような課題を解決することができる。
【0033】
図2は、第1の実施形態に係るテーブルエントリ関係を示す。
【0034】
運用-規定関連テーブル161は、運用-規定関連エントリ161Eを有する。運用-規定関連エントリ161Eは、運用項目と規定事項との関連付け、例えば、運用項目IDと規定事項IDとの組を表す。運用項目エントリ164Eが運用項目IDを表すため、運用項目IDを通じて、運用-規定関連エントリ161Eに運用項目エントリ164Eが関連付けられる。また、規定事項エントリ166Eが規定事項IDを表すため、規定事項IDを通じて、運用-規定関連エントリ161Eに規定事項エントリ166Eが関連付けられる。なお、運用項目と規定事項は、1:1でもよいし1:多でもよい。すなわち、一つの規定事項に関連付けられる運用項目は一つであるが、一つの運用項目に関連付けられる規定事項は一つでも複数でもよい。
【0035】
運用項目テーブル164は、運用項目毎に運用項目エントリ164Eを有する。運用項目エントリ164Eは、運用項目に関する情報、例えば、運用項目IDと運用項目名を表す。ワークフローエントリ163Eが運用項目名を表すため、運用項目名を通じて、運用項目エントリ164Eにワークフローエントリ163Eが関連付けられる。なお、運用項目とワークフローは、1:1でもよいし1:多でもよい。すなわち、一つのワークフローに関連付けられる運用項目は一つであるが、一つの運用項目に関連付けられるワークフローは一つでも複数でもよい。
【0036】
ワークフローテーブル163は、ワークフロー毎にワークフローエントリ163Eを有する。ワークフローエントリ163Eは、ワークフローに関する情報、例えば、ワークフローIDと、運用項目名と、業務名(システム運用名)と、ワークフローに対応の業務を構成する一つ又は複数の作業の各々の作業名とを表す。証跡エントリ167EがワークフローIDを表すため、ワークフローIDを通じて、ワークフローエントリ163Eに証跡エントリ167Eが関連付けられる。なお、ワークフローエントリ163Eの例は、図3に示す通りである。すなわち、異なる業務(システム運用)に対するワークフローのワークフローエントリ163E1及び163E2があってもよいし、同じシステム運用に対するワークフローのワークフローエントリ163E3及び163E4があってもよい(なお、図3では、ワークフローIDと運用項目名の記載は省略されている)。
【0037】
証跡テーブル167は、証跡毎に証跡エントリ167Eを有する。本実施形態では、証跡エントリ167Eは、証跡それ自体に相当でよいが、証跡エントリ167Eは、証跡それ自体に代えて、証跡(証跡の実体)に紐づけられたデータであってもよい。証跡エントリ167Eは、証跡に関する情報、例えば、ワークフローID、証跡ID、ワークフローに対応の業務のステータス、証跡の保持期限、及び、証跡の用途を表し、また、関連付けられているワークフローに対応の業務を構成する作業毎に、担当者、開始日時、終了日時及び実行ログ(又は、実行ログへのリンク)を表す。なお、ワークフローエントリと証跡エントリの関係の例は、図4に示す通りである。ワークフローと証跡は、1:1又は1:多である。すなわち、ワークフローの実行の都度に、当該ワークフローについての証跡が生成され記録される。証跡のステータスとしては、例えば、ワークフローに対応の業務の最後の作業まで完了したことを表す“完了”、ワークフローに対応の業務が開始されたが最後の作業まで完了していないことを表す“作業中”、及び、ワークフローに対応の業務が開始されたもののエラー等の理由により作業が止まっていることを表す“中断”がある。ステータスは、業務(システム運用)毎に管理されてもよいし、業務を構成する作業毎に管理されてもよい。また、ステータスは、ワークフローについてのステータスであるフローステータスに加えて、証跡の用途についてのステータスである用途ステータスも用意されていてよい。つまり、フローステータスと用途ステータスの一方または両方が証跡エントリ167Eに記録されてよい。また、用途は、ワークフローエントリ163Eに記録されていて、そのワークフローエントリ163Eに関連付けられた証跡について、ワークフローエントリ163Eに記録されている用途が適用されてもよい(つまり、用途は、証跡エントリ167Eに代えて又は加えて、ワークフローエントリ163Eに記録されていてもよい)。
【0038】
規定事項テーブル166は、規定事項毎に規定事項エントリ166Eを有する。規定事項エントリ166Eは、規定事項に関する情報、例えば、規定事項ID、規定事項を持つ規格/法律の名前、規定事項の該当箇所、及び、証跡保持期間を表す。規格/法律-規定関連エントリ162Eが規定事項IDを表すため、規定事項IDを通じて、規定事項エントリ166Eに規格/法律-規定関連エントリ162Eが関連付けられる。
【0039】
規格/法律-規定関連テーブル162は、規格/法律-規定関連エントリ162Eを有する。規格/法律-規定関連エントリ162Eは、規格/法律と規定事項との関連付け、例えば、規定事項IDと規格/法律IDとの組を表す。また、規格/法律-規定関連エントリ162Eは、規格/法律の該当箇所、及び、認証保持期間を表す。規格/法律エントリ165Eが規格/法律IDを表すため、規格/法律IDを通じて、規格/法律-規定関連エントリ162Eに規格/法律エントリ165Eが関連付けられる。
【0040】
規格/法律テーブル165は、規格/法律毎に規格/法律エントリ165Eを有する。規格/法律エントリ165Eは、規格/法律に関する情報、例えば、規格/法律ID及び規格/法律名を表す。
【0041】
図2に例示のデータ関連付けにおいて、テーブルエントリ161E及び164E間の関連付けと、テーブルエントリ161E、166E、162E及び165E間の関連付けは、予め、例えばデータ管理部171によりされていてよい。ワークフローが新規に生成された場合、当該ワークフローに対応の運用項目名から同定される運用項目エントリ164Eに、新規に生成されたワークフローのワークフローエントリ163Eが、例えばデータ管理部171により関連付けられてよい。そして、ワークフロー実行部172が、実行が開始されたワークフローのワークフローエントリ163Eに、当該ワークフローの証跡の証跡エントリ167Eを新たに関連付ける。例えば、ワークフローの開始時点の証跡エントリ167には、ワークフローID、開始された先頭作業の作業担当者や開始日時、及び、ステータス“作業中”が記録されてよい。
【0042】
図2に例示のデータ関連付けによれば、ワークフローに運用項目が関連付けられ、運用項目に規格/法律が関連付けられ、結果として、いずれの規格/法律に定められた保持期間が、いずれのワークフローについて生成された証跡に適用されるかを特定することができる。具体的には、例えば、図2に例示のデータ関連付けから、図5に例示の運用-規格/法律関係(運用項目と規格/法律(規定事項)との対応関係)が特定される。これにより、ワークフローについて生成された証跡に適用される規格/法律の特定が可能となり、以って、ワークフローについて生成された証跡の保持期限は、そのワークフローに関連付いた運用項目に対応の規格/法律の保持期間から決定される(同一の運用項目について複数の規格/法律の異なる複数の保持期間がある場合、最も長い保持期間が採用されてよい)。
【0043】
なお、規定事項エントリ166Eにおける保持期間は、規定事項エントリ166Eが表す規定事項を持つ規格/法律から特定された保持期間でよい。また、規定事項エントリ166Eに保持期間が記録されているため、規格/法律エントリ165E又は規格/法律-規定関連エントリ162Eは保持期間を表す情報を持たないでよい。具体的には、例えば、規格/法律エントリ165Eは、規定事項別に該当箇所と保持期間を表す情報を持つ必要が無い。
【0044】
図6は、第1の実施形態に係る証跡自動削除処理のフローを示す。証跡自動削除処理は、例えば定期的に開始される。
【0045】
証跡削除部173は、今回の証跡自動削除処理において未選択の一つ又は複数の証跡(証跡エントリ167E)から、証跡を選択し(S601)、その証跡を削除可能か否か判定する(S602)。S602の判定結果が偽の場合(S602:No)、その証跡は削除されることなく処理がS605に進む。
【0046】
S602の判定結果が真の場合(S602:Yes)、証跡削除部173は、S601で選択した証跡の削除を実行する(S603)。証跡削除部173は、証跡の削除履歴をログに記録する(S604)。その後、処理がS605に進む。
【0047】
S602:No又はS604の後、証跡削除部173は、今回の証跡自動削除処理において未選択の証跡があるか否かを判定する(S605)。S605の判定結果が真の場合(S605:Yes)、処理がS601に戻る。S605の判定結果が偽の場合(S605:No)、今回の証跡自動削除処理が終了する。
【0048】
S602の判定の詳細は、次の通りである。
【0049】
すなわち、今回の証跡自動削除処理が、S601で選択された証跡について初回の証跡自動削除処理である場合、証跡には、保持期限は記録されていない。そこで、証跡削除部173は、図2に例示のデータ関連付けを辿ることで(例えば、選択された証跡の証跡エントリ167E→ワークフローエントリ163E→運用項目エントリ164E→運用-規定関連エントリ161E→規定事項エントリ166Eと辿ることで)、証跡に適用される保持期間があるか否かを判定する(S621)。
【0050】
S621の判定結果が真の場合(S621:Yes)、証跡削除部173は、証跡の生成日時(典型的には、証跡に記録の最先の開始日時(最先の作業の開始日時))から、証跡に適用される保持期間(異なる複数の保持期間がある場合には最長の保持期間)の終了までの日時を、証跡の保持期限として算出し、その保持期限を証跡に記録すると共に、その保持期限を現在の日時が超過しているか否かを判定する(S622)。
【0051】
S621の判定結果が偽の場合(S621:No)、又は、S622の判定結果が真の場合(S622:Yes)、証跡削除部173は、証跡について定められた用途が完了しているか否かを判定する(S623)。S623の判定は、例えば、証跡に記録されている用途の用途ステータスを基に行われてよい。
【0052】
S623の判定結果が真の場合(S623:Yes)、証跡削除部173は、証跡のステータスが“中断”か否かを判定する(S624)。
【0053】
S624の判定結果が真の場合(S624:Yes)、S602:Yes、すなわち、証跡の削除が可能と判定される。
【0054】
S622、S623及びS624のいずれかの判定結果が偽の場合、S602:No、すなわち、証跡の削除が不可と判定される。
【0055】
なお、判定の順序は、S621、S622、S623及びS624という順序に限らず任意の順序が採用されてもよい。また、同一の証跡について、S621、及び、S622での保持期限算出は、初回の証跡自動削除処理について行われ、2回目以降の証跡自動削除処理ではスキップされてよい。すなわち、S622の判定は、証跡に記録されている保持期限を現在の日時が超過しているか否かの判定でよい。また、証跡の保持期限の算出は、証跡が生成されたときに行われてもよい。
[第2の実施形態]
【0056】
以下、第2の実施形態を説明する。その際、第1の実施形態との相違点を主に説明し、第1の実施形態との共通点については説明を省略又は簡略する。
【0057】
図7は、第2の実施形態に係るテーブルエントリ関係を示す。
【0058】
証跡エントリ167Eが、エンドユーザーIDを表す。エンドユーザーIDは、業務毎に管理されてもよいし、業務を構成する作業毎に管理されてもよい。
【0059】
エンドユーザー-規格/法律関連テーブル701と、エンドユーザーテーブル702が、永続記憶装置152に格納される。
【0060】
エンドユーザー-規格/法律関連テーブル701は、エンドユーザー-規格/法律関連エントリ701Eを有する。エンドユーザー-規格/法律関連エントリ701Eは、エンドユーザーと規格/法律との関連付け、例えば、エンドユーザーIDと規格/法律IDとの組を表す。エンドユーザーエントリ702EがエンドユーザーIDを表すため、エンドユーザーIDを通じて、エンドユーザー-規格/法律関連エントリ701Eにエンドユーザーエントリ702Eが関連付けられる。また、規格/法律エントリ165Eが規格/法律IDを表すため、規格/法律IDを通じて、エンドユーザー-規格/法律関連エントリ701Eに規格/法律エントリ165Eが関連付けられる。
【0061】
エンドユーザーテーブル702は、エンドユーザー毎にエンドユーザーエントリ702Eを有する。エンドユーザーエントリ702Eは、エンドユーザーに関する情報、例えば、エンドユーザーID及びエンドユーザー名を表す。
【0062】
図7に例示のデータ関連付けによれば、証跡の保持期限をエンドユーザー単位で管理することができる。例えば、或るエンドユーザーによっては、図5に例示の運用-規格/法律関係が特定され、別のエンドユーザーによっては、図8に例示の運用-規格/法律関係が特定されることがあり得る。すなわち、一つ以上の運用項目の各々について、エンドユーザーが選択可能な選択肢として複数の規格/法律(例えば、顧客が指定した複数の規格/法律)がある場合、同一の運用項目について、エンドユーザーによって選択される規格/法律が異なり得る。このため、同一のワークフローについて生成された証跡であっても、エンドユーザーによって、保持期限が異なる。
【0063】
そこで、第2の実施形態に係る証跡自動削除処理では、図9に示すように、証跡削除部173は、S621:Yesの場合、S601で選択した証跡について、当該認証のエンドユーザーに対応の一つ又は複数の保持期間のうち最長の保持期間を選択する(S900)。S622では、証跡削除部173は、当該選択した保持期間と、当該証跡の生成日時とを用いて、認証の保持期限を算出し、現在の日時が保持期限を超過しているか否かを判定する。
【0064】
なお、証跡がエンドユーザー単位で管理されるため、保持期間の他に、証跡の用途もエンドユーザー毎に管理されてよい。つまり、証跡の用途もエンドユーザーによって異なってよい。また、同一の証跡について、S621、S900、及び、S622での保持期限算出は、初回の証跡自動削除処理について行われ、2回目以降の証跡自動削除処理ではスキップされてもよいし、或いは、証跡の保持期限の算出は、証跡が生成されたときに行われてもよい。
【0065】
以上、幾つかの実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実行することが可能である。
【0066】
また、以上の説明を、例えば、下記のように総括することができる。下記の総括は、上述の補足説明や変形例の説明を含んでよい。
【0067】
データ管理装置150が、管理データに一つ以上の証跡が含まれている場合にいずれかの証跡を選択する選択部と、選択された証跡の削除が可能か否かの判定である削除判定を行う判定部と、削除判定の結果が真の場合に、選択された証跡の削除を実行する削除部とを備える。上述した実施形態では、証跡削除部173が、選択部、判定部、及び削除部の一例に相当する。
【0068】
管理データは、運用対象のシステム(例えばITシステム110)に関する複数の運用項目の各々について、システム運用の業務を構成する一つ又は複数の作業を表し当該運用項目に関連付けられたワークフローを表すデータと、企画/法律について当該運用項目に関連付けられた規定事項を表すデータとを含むデータである。上述した実施形態では、テーブル161~167が、管理データの一例に相当する。
【0069】
ワークフローの実行の開始の都度に、当該ワークフローに、当該ワークフローの形跡を表すデータである証跡が関連付けられるようになっている。上述した実施形態では、ワークフロー実行部172が、ワークフローの実行の開始の都度に、当該ワークフローのワークフローエントリ163Eに、当該ワークフローの実行についての証跡を関連付ける。
【0070】
削除判定は、選択された証跡の保持期限を現在日時が超過しているか否かの判定を含む。この判定の結果が真の場合、削除判定の結果が真でよい。選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、当該証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目に関連付けられている規定事項が表す保持期間とから定まる期限である。
【0071】
証跡は、何について生成されたものであるか(具体的には、どのようなシステム運用(業務)について生成されたのか)によって、証跡に適用される保持期間は異なる。証跡は、主に、規格/法律に関する監査対応に使用されるが、証跡が関連付けられるワークフローに対応の運用項目を通じて証跡と規格/法律とを関連付けた管理データが用意され、そのような管理データから、証跡に適用される保持期間が特定可能となる。これにより、必要なときに必要な証跡が無いといったことが生じないように証跡を自動削除することができる。
【0072】
データ管理装置150が、期限算出部を更に備えてよい。期限算出部は、生成された証跡に対応の運用項目を特定し、当該運用項目に対応の規定事項を特定し、当該特定された規定事項に保持期間が定められているか否かを判定してよい。この判定の結果が真の場合に、期限算出部は、当該証跡の生成日時から当該特定された保持期間までの日時を、当該証跡の保持期限として算出してよい。これにより、証跡についての適切な保持期限を特定可能となる。なお、上述した実施形態では、データ管理部171、ワークフロー実行部172及び証跡削除部173の少なくとも一つが、期限算出部の一例を含んでよい。
【0073】
証跡の用途が関連付けられた証跡には、当該用途に関するステータスである用途ステータスが関連付けられてよい。削除判定は、選択された証跡に記録されている用途の用途ステータスに基づき当該用途が完了しているか否かの判定を含んでよい。この判定の結果が真であり、且つ、選択された証跡の保持期限を現在日時が超過しているか否かの判定の結果も真の場合に、削除判定の結果が真でよい。
【0074】
現在日時が証跡の保持期限を超えていることを理由に直ちに当該証跡を削除することが好ましくないケースがあり得る。証跡には、ユーザー(例えば、顧客又はエンドユーザー)によって異なる用途があり得るからである。例えば、証跡の用途として、問合せやクレームの対応に使用する(例えば、問合せ又クレームの対象となる作業に対応の作業担当者を特定する)ことや、運用対象のシステムの利用料(例えば、証跡の数に基づく利用料)の算出に使用すること等がある。このような用途に使用され得る証跡を、保持期限が過ぎたことを理由に証跡が削除され、用途に必要になったときに証跡が無い、といったことが生じることを避けることができる。なお、証跡の用途は、ワークフローに定められてもよいし、ワークフローに関連付けられた証跡に定められてもよい。一つのワークフロー又は一つの証跡に、一つ以上の用途が定められてよく、用途毎に用途ステータスが関連付けられてよい。各用途の用途ステータスは、ユーザーからの入力データ(例えば、今後必要な用途か否かのデータ)や、運用対象のシステムによる処理の結果等を基に適宜更新されてよい。用途ステータスの更新は、例えば、用途ステータスを更新する用途ステータス更新部により行われてよい。用途ステータス更新部は、例えば、データ管理部171に含まれてよい。
【0075】
証跡には、証跡が関連付けられているワークフローに関するステータスであるフローステータスが関連付けられてよい。証跡に関連付けられているフローステータスは、証跡が関連付けられているワークフローの実行が中断された場合に、中断を表すステータスとされてよい。中断されたワークフローは再度最初から実行が開始され、故に、当該ワークフローについては再度の実行開始に対応した証跡が新たに関連付けられるようになっていてよい。削除判定は、選択された証跡に関連付けられているフローステータスが中断を表すステータスか否かの判定を含んでよい。このように、ワークフローを扱う運用対象のシステム側で不具合が発生したこと又はその他の理由で、証跡についてフローステータスが中断とされた場合には、ワークフローが再度新たに実行され証跡が生成されるため、フローステータスが中断である証跡は、記憶容量を無駄に消費する証跡となる。このような証跡を検出して自動削除することができる。フローステータスの更新は、例えば、フローステータスを更新するフローステータス更新部により行われてよい。フローステータス更新部は、例えば、データ管理部171又はワークフロー実行部172に含まれてよい。
【0076】
管理データにおいて、運用項目に、規格/法律における規定事項が関連付けられてよく、規定事項に、当該規定事項を持つ規格/法律が関連付けられてよい。つまり、規定事項と規格/法律が別々に管理されてよい。これにより、規格/法律の中のどの規定事項を採用するかを顧客別に定義することができる。
【0077】
運用対象のシステムのユーザーは、一又は複数の顧客と、少なくとも一の顧客についての一又は複数のエンドユーザーでよい。管理データにおいて、証跡に、エンドユーザーが関連付けられており、規格/法律に、当該規格/法律にある規定事項が適用されるエンドユーザーが関連付けられてよい。選択された証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目と、選択された証跡に関連付いたエンドユーザーとに関連付けられている異なる複数の規定事項が表す異なる複数の保持期間がある場合、選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、前記異なる複数の保持期間のうちの最長の保持期間とから定まる期限でよい。このように、運用項目に対応の規格/法律のうちエンドユーザーについて不採用の規格/法律を除外した範囲からエンドユーザーについて最長の保持期間が選択されるので、運用項目に対応の最長の保持期間よりも短い保持期間が最長の保持期間として選択され得る。このため、より適切かつ早期に証跡の削除がされることが期待される。
【符号の説明】
【0078】
150:データ管理装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-11-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理データに一つ以上の証跡が含まれている場合にいずれかの証跡を選択する選択部と、
前記選択された証跡の削除が可能か否かの判定である削除判定を行う判定部と、
前記削除判定の結果が真の場合に、前記選択された証跡の削除を実行する削除部と
を備え、
前記管理データは、運用対象のシステムに関する複数の運用項目の各々について、システム運用の業務を構成する一つ又は複数の作業を表し当該運用項目に関連付けられたワークフローを表すデータと、規格又は法律について当該運用項目に関連付けられた規定事項を表すデータとを含むデータであり、
ワークフローの実行の開始の都度に、当該ワークフローに、当該ワークフローの形跡を表すデータである証跡が関連付けられるようになっており、
前記削除判定は、前記選択された証跡の保持期限を現在日時が超過しているか否かの判定を含み、
前記選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、当該証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目に関連付けられている規定事項が表す保持期間とから定まる期限であり、
証跡の用途が関連付けられた証跡には、当該用途に関するステータスである用途ステータスが関連付けられており、
前記削除判定は、前記選択された証跡に記録されている用途の用途ステータスに基づき当該用途が完了しているか否かの判定を含む、
データ管理装置。
【請求項2】
管理データに一つ以上の証跡が含まれている場合にいずれかの証跡を選択する選択部と、
前記選択された証跡の削除が可能か否かの判定である削除判定を行う判定部と、
前記削除判定の結果が真の場合に、前記選択された証跡の削除を実行する削除部と
を備え、
前記管理データは、運用対象のシステムに関する複数の運用項目の各々について、システム運用の業務を構成する一つ又は複数の作業を表し当該運用項目に関連付けられたワークフローを表すデータと、規格又は法律について当該運用項目に関連付けられた規定事項を表すデータとを含むデータであり、
ワークフローの実行の開始の都度に、当該ワークフローに、当該ワークフローの形跡を表すデータである証跡が関連付けられるようになっており、
前記削除判定は、前記選択された証跡の保持期限を現在日時が超過しているか否かの判定を含み、
前記選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、当該証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目に関連付けられている規定事項が表す保持期間とから定まる期限であり、
証跡には、証跡が関連付けられているワークフローに関するステータスであるフローステータスが関連付けられており、
証跡に関連付けられているフローステータスは、証跡が関連付けられているワークフローの実行が中断された場合に、中断を表すステータスとなり、
中断されたワークフローは再度最初から実行が開始され、故に、当該ワークフローについては再度の実行開始に対応した証跡が新たに関連付けられるようになっており、
前記削除判定は、前記選択された証跡に関連付けられているフローステータスが中断を表すステータスか否かの判定を含む、
データ管理装置。
【請求項3】
管理データに一つ以上の証跡が含まれている場合にいずれかの証跡を選択する選択部と、
前記選択された証跡の削除が可能か否かの判定である削除判定を行う判定部と、
前記削除判定の結果が真の場合に、前記選択された証跡の削除を実行する削除部と
を備え、
前記管理データは、運用対象のシステムに関する複数の運用項目の各々について、システム運用の業務を構成する一つ又は複数の作業を表し当該運用項目に関連付けられたワークフローを表すデータと、規格又は法律について当該運用項目に関連付けられた規定事項を表すデータとを含むデータであり、
ワークフローの実行の開始の都度に、当該ワークフローに、当該ワークフローの形跡を表すデータである証跡が関連付けられるようになっており、
前記削除判定は、前記選択された証跡の保持期限を現在日時が超過しているか否かの判定を含み、
前記選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、当該証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目に関連付けられている規定事項が表す保持期間とから定まる期限であり、
前記システムのユーザーは、一又は複数の顧客と、少なくとも一の顧客についての一又は複数のエンドユーザーであり、
前記管理データにおいて、
証跡に、エンドユーザーが関連付けられており、
規格又は法律に、当該規格又は法律にある規定事項が適用されるエンドユーザーが関連付けられており、
前記選択された証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目と、前記選択された証跡に関連付いたエンドユーザーとに関連付けられている異なる複数の規定事項が表す異なる複数の保持期間がある場合、前記選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、前記異なる複数の保持期間のうちの最長の保持期間とから定まる期限である、
データ管理装置。
【請求項4】
期限算出部を更に備え、
前記期限算出部は、
生成された証跡に対応の運用項目を特定し、
当該運用項目に対応の規定事項を特定し、
当該特定された規定事項に保持期間が定められているか否かを判定し、
当該判定の結果が真の場合に、当該証跡の生成日時から当該特定された保持期間までの日時を、当該証跡の保持期限として算出する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ管理装置。
【請求項5】
前記管理データにおいて、
運用項目に、規格又は法律における規定事項が関連付けられており、
規定事項に、当該規定事項を持つ規格又は法律が関連付けられている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ管理装置。
【請求項6】
コンピュータが、管理データに一つ以上の証跡が含まれている場合にいずれかの証跡を選択するステップと
コンピュータが、前記選択された証跡の削除が可能か否かの判定である削除判定を行うステップと
コンピュータが、前記削除判定の結果が真の場合に、前記選択された証跡の削除を実行するステップと
を有し、
前記管理データは、運用対象のシステムに関する複数の運用項目の各々について、システム運用の業務を構成する一つ又は複数の作業を表し当該運用項目に関連付けられたワークフローを表すデータと、規格又は法律について当該運用項目に関連付けられた規定事項を表すデータとを含むデータであり、
ワークフローの実行の開始の都度に、当該ワークフローに、当該ワークフローの形跡を表すデータである証跡が関連付けられるようになっており、
前記削除判定は、前記選択された証跡の保持期限を現在日時が超過しているか否かの判定を含み、
前記選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、当該証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目に関連付けられている規定事項が表す保持期間とから定まる期限であり、
証跡の用途が関連付けられた証跡には、当該用途に関するステータスである用途ステータスが関連付けられており、
前記削除判定は、前記選択された証跡に記録されている用途の用途ステータスに基づき当該用途が完了しているか否かの判定を含む、
データ管理方法。
【請求項7】
コンピュータが、管理データに一つ以上の証跡が含まれている場合にいずれかの証跡を選択するステップと、
コンピュータが、前記選択された証跡の削除が可能か否かの判定である削除判定を行うステップと、
コンピュータが、前記削除判定の結果が真の場合に、前記選択された証跡の削除を実行するステップと
を有し、
前記管理データは、運用対象のシステムに関する複数の運用項目の各々について、システム運用の業務を構成する一つ又は複数の作業を表し当該運用項目に関連付けられたワークフローを表すデータと、規格又は法律について当該運用項目に関連付けられた規定事項を表すデータとを含むデータであり、
ワークフローの実行の開始の都度に、当該ワークフローに、当該ワークフローの形跡を表すデータである証跡が関連付けられるようになっており、
前記削除判定は、前記選択された証跡の保持期限を現在日時が超過しているか否かの判定を含み、
前記選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、当該証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目に関連付けられている規定事項が表す保持期間とから定まる期限であり、
証跡には、証跡が関連付けられているワークフローに関するステータスであるフローステータスが関連付けられており、
証跡に関連付けられているフローステータスは、証跡が関連付けられているワークフローの実行が中断された場合に、中断を表すステータスとなり、
中断されたワークフローは再度最初から実行が開始され、故に、当該ワークフローについては再度の実行開始に対応した証跡が新たに関連付けられるようになっており、
前記削除判定は、前記選択された証跡に関連付けられているフローステータスが中断を表すステータスか否かの判定を含む、
データ管理方法。
【請求項8】
コンピュータが、管理データに一つ以上の証跡が含まれている場合にいずれかの証跡を選択するステップと、
コンピュータが、前記選択された証跡の削除が可能か否かの判定である削除判定を行うステップと、
コンピュータが、前記削除判定の結果が真の場合に、前記選択された証跡の削除を実行するステップと
を有し、
前記管理データは、運用対象のシステムに関する複数の運用項目の各々について、システム運用の業務を構成する一つ又は複数の作業を表し当該運用項目に関連付けられたワークフローを表すデータと、規格又は法律について当該運用項目に関連付けられた規定事項を表すデータとを含むデータであり、
ワークフローの実行の開始の都度に、当該ワークフローに、当該ワークフローの形跡を表すデータである証跡が関連付けられるようになっており、
前記削除判定は、前記選択された証跡の保持期限を現在日時が超過しているか否かの判定を含み、
前記選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、当該証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目に関連付けられている規定事項が表す保持期間とから定まる期限であり、
前記システムのユーザーは、一又は複数の顧客と、少なくとも一の顧客についての一又は複数のエンドユーザーであり、
前記管理データにおいて、
証跡に、エンドユーザーが関連付けられており、
規格又は法律に、当該規格又は法律にある規定事項が適用されるエンドユーザーが関連付けられており、
前記選択された証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目と、前記選択された証跡に関連付いたエンドユーザーとに関連付けられている異なる複数の規定事項が表す異なる複数の保持期間がある場合、前記選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、前記異なる複数の保持期間のうちの最長の保持期間とから定まる期限である、
データ管理方法。
【請求項9】
管理データに一つ以上の証跡が含まれている場合にいずれかの証跡を選択し、
前記選択された証跡の削除が可能か否かの判定である削除判定を行い、
前記削除判定の結果が真の場合に、前記選択された証跡の削除を実行する、
ことをコンピュータに実行させ
前記管理データは、運用対象のシステムに関する複数の運用項目の各々について、システム運用の業務を構成する一つ又は複数の作業を表し当該運用項目に関連付けられたワークフローを表すデータと、規格又は法律について当該運用項目に関連付けられた規定事項を表すデータとを含むデータであり、
ワークフローの実行の開始の都度に、当該ワークフローに、当該ワークフローの形跡を表すデータである証跡が関連付けられるようになっており、
前記削除判定は、前記選択された証跡の保持期限を現在日時が超過しているか否かの判定を含み、
前記選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、当該証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目に関連付けられている規定事項が表す保持期間とから定まる期限であり、
証跡の用途が関連付けられた証跡には、当該用途に関するステータスである用途ステータスが関連付けられており、
前記削除判定は、前記選択された証跡に記録されている用途の用途ステータスに基づき当該用途が完了しているか否かの判定を含む、
コンピュータプログラム。
【請求項10】
管理データに一つ以上の証跡が含まれている場合にいずれかの証跡を選択し、
前記選択された証跡の削除が可能か否かの判定である削除判定を行い、
前記削除判定の結果が真の場合に、前記選択された証跡の削除を実行する、
ことをコンピュータに実行させ、
前記管理データは、運用対象のシステムに関する複数の運用項目の各々について、システム運用の業務を構成する一つ又は複数の作業を表し当該運用項目に関連付けられたワークフローを表すデータと、規格又は法律について当該運用項目に関連付けられた規定事項を表すデータとを含むデータであり、
ワークフローの実行の開始の都度に、当該ワークフローに、当該ワークフローの形跡を表すデータである証跡が関連付けられるようになっており、
前記削除判定は、前記選択された証跡の保持期限を現在日時が超過しているか否かの判定を含み、
前記選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、当該証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目に関連付けられている規定事項が表す保持期間とから定まる期限であり、
証跡には、証跡が関連付けられているワークフローに関するステータスであるフローステータスが関連付けられており、
証跡に関連付けられているフローステータスは、証跡が関連付けられているワークフローの実行が中断された場合に、中断を表すステータスとなり、
中断されたワークフローは再度最初から実行が開始され、故に、当該ワークフローについては再度の実行開始に対応した証跡が新たに関連付けられるようになっており、
前記削除判定は、前記選択された証跡に関連付けられているフローステータスが中断を表すステータスか否かの判定を含む、
コンピュータプログラム。
【請求項11】
管理データに一つ以上の証跡が含まれている場合にいずれかの証跡を選択し、
前記選択された証跡の削除が可能か否かの判定である削除判定を行い、
前記削除判定の結果が真の場合に、前記選択された証跡の削除を実行する、
ことをコンピュータに実行させ、
前記管理データは、運用対象のシステムに関する複数の運用項目の各々について、システム運用の業務を構成する一つ又は複数の作業を表し当該運用項目に関連付けられたワークフローを表すデータと、規格又は法律について当該運用項目に関連付けられた規定事項を表すデータとを含むデータであり、
ワークフローの実行の開始の都度に、当該ワークフローに、当該ワークフローの形跡を表すデータである証跡が関連付けられるようになっており、
前記削除判定は、前記選択された証跡の保持期限を現在日時が超過しているか否かの判定を含み、
前記選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、当該証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目に関連付けられている規定事項が表す保持期間とから定まる期限であり、
前記システムのユーザーは、一又は複数の顧客と、少なくとも一の顧客についての一又は複数のエンドユーザーであり、
前記管理データにおいて、
証跡に、エンドユーザーが関連付けられており、
規格又は法律に、当該規格又は法律にある規定事項が適用されるエンドユーザーが関連付けられており、
前記選択された証跡が関連付けられているワークフローに対応の運用項目と、前記選択された証跡に関連付いたエンドユーザーとに関連付けられている異なる複数の規定事項が表す異なる複数の保持期間がある場合、前記選択された証跡の保持期限は、当該証跡の生成日時と、前記異なる複数の保持期間のうちの最長の保持期間とから定まる期限である、
コンピュータプログラム。