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特開2024-165120通信システム、及び光モジュールのパラメータ最適化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165120
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】通信システム、及び光モジュールのパラメータ最適化方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20241121BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20241121BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241121BHJP
   H04B 10/40 20130101ALN20241121BHJP
【FI】
G06F1/20 D
G06F1/20 A
H01L23/46
H05K7/20 Q
H04B10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081002
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 貴範
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
5K102
【Fターム(参考)】
5E322DB12
5E322EA11
5F136CB08
5F136CB17
5F136DA01
5F136DA11
5F136DA33
5F136DA41
5F136HA01
5F136JA03
5K102AA51
5K102AA52
5K102PB11
5K102PH31
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】運用中の伝送品質が確保される通信システムと、光モジュールのパラメータ最適化方法を提供する。
【解決手段】通信システムは、光モジュールと、前記光モジュールを冷却する冷媒の温度を調整する熱電素子と、前記光モジュールの運用中の冷媒温度を記憶する温度記憶部と、前記光モジュールの初期化に先立って前記冷媒の温度を調整し、前記冷媒の温度と前記運用中の冷媒温度との差が所定範囲内になったときに前記光モジュールの初期化を指示する制御回路と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光モジュールと、
前記光モジュールを冷却する冷媒の温度を調整する熱電素子と、
前記光モジュールの運用中の冷媒温度を記憶する温度記憶部と、
前記光モジュールの初期化に先立って前記冷媒の温度を調整し、前記冷媒の温度と前記運用中の冷媒温度との差が所定範囲内になったときに前記光モジュールに初期化を実行させる制御回路と、
を有する通信システム。
【請求項2】
前記初期化において、前記冷媒の温度に対応した伝送パラメータが設定される、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記光モジュールの近傍で前記冷媒の温度を測定する温度計と、
前記温度計の測定値と前記温度記憶部に記憶された前記運用中の冷媒温度とを比較して前記熱電素子を制御する熱電素子コントローラと、
を有し、
前記熱電素子コントローラは前記制御回路から出力される温度調整指示に基づいて前記熱電素子を制御する、
請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記温度計と前記熱電素子は、前記冷媒の流路で前記光モジュールの直前に配置されている、
請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記熱電素子コントローラは、前記温度計の測定値と前記温度記憶部に記憶された前記運用中の冷媒温度との差が前記所定範囲内になったときに、前記制御回路に温度調整完了通知を出力し、
前記制御回路は、前記温度調整完了通知を受け取ると前記光モジュールに初期化指示を出力する、
請求項3に記載の通信システム。
【請求項6】
前記制御回路は、ユーザ入力による温度記録指示に基づいて、前記運用中の冷媒温度を前記温度記憶部に記憶させる、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項7】
前記制御回路は、ジョブスケジューラから供給されるジョブ実行開始通知に基づいて、前記運用中の冷媒温度を前記温度記憶部に記憶させる、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項8】
前記光モジュールと前記熱電素子はプロセッサとともにボード上に実装され、
前記制御回路は、前記プロセッサと前記光モジュールとの対応情報を保持し、前記プロセッサが起動または再起動されるときに前記光モジュールの初期化のタイミングを制御する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項9】
通信システムにおいて、
プロセッサで処理されたデータを送受信する光モジュールの運用中に、前記光モジュールを冷却する冷媒の温度をあらかじめ温度記憶部に記録し、
前記プロセッサが起動または再起動されるときに、前記光モジュールの近傍で測定される前記冷媒の温度と、前記温度記憶部に記録された運用中の冷媒温度とを比較し、
前記冷媒の測定温度と記録された前記運用中の冷媒温度との差が所定範囲内になったときに前記光モジュールを初期化して伝送パラメータを設定する、
光モジュールのパラメータ最適化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システム、及び光モジュールのパラメータ最適化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit.)、MPU(Micro Processing Unit)といったプロセッサの高性能化により、計算器の処理能力が著しく向上している。これにともなって、プロセッサ間で送受信されるデータ量が増大し、インターコネクトに求められる帯域も増加傾向にある。金属配線を用いた電気通信によるインターコネクトでは、必要な帯域が確保できないので、帯域の大きな光通信を用いることがインターコネクトの主流となっている。光送信装置、光モジュール、光変調器など、多くの光通信用デバイスが提案されている(たとえば、特許文献1、2、及び3参照)。
【0003】
CPUなどのプロセッサ間を光インターコネクトで接続する場合、光信号と電気信号を相互変換する光モジュールが用いられる。プロセッサは発熱体であり、システムの運用中は冷却される。発熱体となる光素子を含む光モジュールも冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-152139号公報
【特許文献2】特開2017-191243号公報
【特許文献3】特開2022-154591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、光モジュールの伝送パラメータは起動時に設定される。たとえば、プロセッサの再起動により光モジュールの伝送パラメータが初期化される場合、システムの温度は稼働時よりも低くなる。光モジュールの特性は温度によって変化するので、温度が低い状態で光モジュールに設定された伝送パラメータが、運用時の最適値になるとは限らない。むしろ、運用中の温度上昇によって、光モジュールに設定されたパラメータと運用中の最適値とがずれることが多い。パラメータの最適値からのずれによって伝送品質が低下し、アプリケーションの実行に支障がでる可能性がある。
【0006】
本開示は、一つの側面において、運用中の伝送品質が確保される通信システムと、光モジュールのパラメータ最適化方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態において、通信システムは、
光モジュールと、
前記光モジュールを冷却する冷媒の温度を調整する熱電素子と、
前記光モジュールの運用中の冷媒温度を記憶する温度記憶部と、
前記光モジュールの初期化に先立って前記冷媒の温度を調整し、前記冷媒の温度と前記運用中の冷媒温度との差が所定範囲内になったときに前記光モジュールの初期化を指示する制御回路と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
運用中の伝送品質が確保される通信システムと、光モジュールのパラメータ最適化方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の通信システムが適用される光インターコネクトの模式図である。
図2】システムボードの冷却を示す模式図である。
図3】実施形態の通信システムの基本構成図である。
図4図3の基本構成を複数の光モジュールを搭載するシステムボードに拡張した構成図である。
図5】ユーザ指示に基づく運用中の冷媒温度記録のフローチャートである。
図6】運用中の冷媒温度の記録動作を示す模式図である。
図7】運用中冷媒温度の自動記録制御のフローチャートである。
図8】自動記録制御を行う通信システムの模式図である。
図9】光モジュールの初期化制御のフローチャートである。
図10】光モジュールの初期化制御の動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下で、図面を参照して、実施形態の通信システムと、光モジュールのパラメータ最適化の具体的な構成と手法を説明する。以下に示す形態は、本開示の技術思想を具現化するための一例であって、開示内容を限定するものではない。各図面に示される構成要素の大きさ、位置関係等は、発明の理解を容易にするために誇張して描かれている場合がある。同一の構成要素または機能に同一の名称または符号を付けて、重複する説明を省略する場合がある。
【0011】
<光インターコネクト>
図1は、実施形態の通信システムが適用される光インターコネクトの模式図である。光インターコネクトは、一般的には光を利用して集積回路のある部分から別の部分へ信号を伝送する技術であるが、実施形態ではチップとチップの間の光接続、ボードとボードの間の光接続、ブレードサーバ間の光接続なども光インターコネクト技術に含める。図1の例では、システムボード101Aとシステムボート101Bが、ファイバケーブル102で接続されている。システムボード101Aに光モジュール11Aが実装され、システムボード101Bに光モジュール11Bが実装されている。光モジュール11Aと11Bをファイバケーブル102で接続することで、システムボード101Aと101Bの間で信号の送受信が可能になる。
【0012】
光モジュール11Aと11Bは、ファイバケーブル102で送受信される光信号と、システムボード101A及び101Bの内部で送受信される電気信号とを相互変換する。光モジュール11Aと11Bのそれぞれは、光/電気変換、及び電気/光変換を行う回路を有する。光モジュール11A、11Bに設定されるパラメータとして、レーザ光源の駆動電流、中心波長、送受信される信号光のパワー、伝送速度、変調速度、DCバイアス電圧などがある。これらのパラメータが正しく設定されることで、光伝送の品質が維持される。
【0013】
光伝送に用いられるデバイスには、一般的に、起動時に伝送パラメータを自動設定する機能が設けられている。パラメータ選択のアルゴリズムは、デバイスごと、またはベンダーごとに異なる。パラメータの中には、変調器のDCバイアスなど、動作中に動的に変更されるものと、伝送速度や変調速度など、起動時に設定されて動作中は変更されないものとがある。実施形態では、光モジュール11の起動時に設定されて動作中には変更されないパラメータを最適化する。
【0014】
光モジュール11Aと11Bは、内部にパラメータ設定値の候補をいくつか保持している。システムの起動時に、光モジュール11Aと11Bは候補値を順に設定しながら、受信信号品質を確認する。伝送品質が最も良くなる設定値、または、一定レベルの品質に到達した時点での設定値が選択され得る。あるいは、初期受信信号の品質に応じて設定される値があらかじめ決められており、受信品質に対応する設定値が選択されてもよい。ただし、起動時に初期パラメータが設定されるときの温度と、システム運用中の温度とが異なると、起動時に設定されたパラメータ値で伝送品質が維持できなくなる場合がある。運用中は、CPUなどのプロセッサから放出される熱や、光モジュール11Aまたは11Bで用いられている光デバイスから放出される熱で、システム全体の温度が上昇する。そのため、システムボード101A、及び101Bには冷却機構が設けられているが、光モジュール11A、11Bの環境温度は、起動時とシステムの運用中とで異なる。
【0015】
図2は、システムボード101の冷却を示す模式図である。図2の例で、システムボード101に、CPU15と、複数の光モジュール11-1、11-2、及び11-3が搭載されている。光モジュール11-1、11-2、及び11-3はそれぞれ、異なる相手側の光モジュールに光接続され、CPU15で処理されたデータを、そのデータの宛先の光モジュールに送信する。システムボード101上に、メモリ、電源ユニットなど、その他の発熱体が実装されていてもよい。システムボード101上に、冷却水などの冷媒を通す冷却管14が配置され、CPU15と光モジュール11-1、11-2、及び11-3を冷却する。光モジュール11-1、11-2、及び11-3は、CPU15の下流側に配置され、CPU15の負荷に応じて温度変化した冷媒により冷却される。
【0016】
CPU15、あるいはGPUなどのプロセッサが稼働すると、CPU15の下流側で冷却管14を通る冷媒の温度は、CPU15の上流側よりも高くなる。光モジュール11-1、11-2、及び11-3も内部に発熱体を有するため、光モジュール11-1、11-2、及び11-3のそれぞれの位置で、冷媒の温度が変化する。システムが稼働中の状態で光モジュール11-1、11-2、または11-3(以下、適宜「光モジュール11」と呼ぶことがある)の再起動または初期化が実行されるならば、その温度に適したパラメータが設定され、伝送品質は安定する。しかし、CPU15の稼働中に光モジュール11が初期化されると、CUP15の動作に支障がでるので、光モジュール11を初期化する際に、CPU15の動作も一時的に停止される。
【0017】
光モジュール11の初期化の時点では、CPU15やメモリによる発熱が少ないため、冷媒の温度やシステムボード101の周囲の温度は、運用中よりも低くなる。光モジュール11が起動時に初期化されるときに、運用中の温度に整合したパラメータ値を設定する手段があれば、伝送品質は維持されるはずである。この着想に基づいて、実施形態の構成と方法が提供される。具体的には、通信システムで用いられる光モジュールごとに運用中の冷媒温度を記録し、光モジュールの起動時(再起動を含む)に冷媒温度を調整し、冷媒温度が記録されている温度に達した時点で光モジュールの初期化を実行する。これにより、光モジュールが初期化されたときに運用中の温度に適したパラメータ値が設定され、伝送品質が維持される。
【0018】
<通信システムの構成例>
図3は、実施形態の通信システム100の基本構成図である。通信システム100は、光モジュール11と、光モジュール11を冷却する冷媒の温度を調整する熱電素子12と、光モジュール11の運用中の冷媒温度を記憶する温度記憶部18と、制御集積回路(IC:Integrated Circuit)20とを有する。制御IC20は、光モジュール11の初期化に際して冷媒の温度を運用中の冷媒温度に近づけることで、光モジュール11に設定されるパラメータを最適化する。具体的には、制御IC20は、システムが起動(再起動を含む)されるときに、光モジュール11を冷却する冷媒の温度と運用中の冷媒温度との差が所定範囲内になった時点で、光モジュールの初期化を指示する。制御ICはまた、アプリケーションの実行中に稼働中の光モジュール11の近傍を流れる冷媒の温度を、運用中の冷媒温度として温度記憶部18に記憶させる。その後のシステムの再起動時に、制御IC20は光モジュール11の初期化に先立って、冷媒の温度調整指示を出力し、測定される冷媒の温度と、記憶された運用中の冷媒温度との差が所定範囲内になったときに、光モジュール11の初期化を指示する。
【0019】
図3の構成で、制御IC20は、たとえば遠隔でシステムボード101を管理するベースボード管理コントローラ(BMC:Baseboard Management Controllerシステムボー)であるが、その他の管理システムを用いてもよいし、システムボード101制御用のASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよいし、制御ICの配置場所は問わない。システムスボード101上に、光モジュール11とともにCPU15が実装され、冷却管14を流れる冷媒で冷却される。CPU15は、光モジュール11よりも冷媒の流路の上流側に配置される。熱電素子12は、たとえば、光モジュール11の手前で冷却管14の外周に設けられて、冷媒を加熱または冷却する。通信システム100は、ファイバケーブル102(図1参照)で接続される複数のシステムボード101を含んでいてもよい。その場合、制御IC20は複数のシステムボード101に接続され、各システムボード101上の光モジュール11ごとに、冷媒温度調整と初期化タイミングを制御してもよい。
【0020】
冷却管14に、冷媒の温度を測定する温度計13が設けられている。温度計13は、光モジュール11の冷却位置またはその近傍で冷媒の温度を測定する。たとえば、温度計13は光モジュール11の直前に配置されて冷媒の温度を測定する。温度計13は、直接冷媒と接触して冷媒の温度を検知する構成であってもよいし、冷却管14の表面温度を測定して冷媒温度に換算する構成であってもよい。温度計13によって、光モジュール11の運用中の冷媒温度が測定され、温度記憶部18に記憶される。
【0021】
再起動指示が制御IC20に入力されると、制御IC20はシステムボード101、すなわちCPU15の動作を一時的に停止し、光モジュール11の初期化に先立って、冷媒の温度調整指示を出力する。CPU15の動作停止により、CPU15からの発熱が低下し、CPU15の下流側で冷却管14を流れる冷媒の温度が変化する。制御IC20から出力される温度調整指示は、光モジュール11の近傍を流れる冷媒の温度を、運用中の温度に近づける指示である。
【0022】
システムボード101上に、熱電素子12の動作を制御する熱電素子コントローラ17が設けられてもよい。熱電素子コントローラ17は、制御IC20からの指示に基づいて熱電素子12の動作を制御する。熱電素子コントローラ17は、制御IC20から温度調整指示を受け取ると、光モジュール11の近傍で測定される冷媒の温度が、温度記憶部18に保持される温度になるように熱電素子12を駆動する。温度計13でモニタされた冷媒の温度は、熱電素子コントローラ17に入力される。熱電素子コントローラ17は、温度記憶部18を参照し、測定された冷媒温度と、温度記憶部18に記憶された冷媒温度とを比較し、その差が所定範囲内になるように熱電素子12の動作を制御する。熱電素子コントローラ17と温度記憶部18は、メモリ内蔵型のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など、ひとつのロジック回路で実現されてもよい。
【0023】
温度計13による測定温度と、温度記憶部18に保持された冷媒温度が所定の範囲内になるまで、冷媒は熱電素子12によって加熱される。温度差が所定範囲内になると、熱電素子コントローラ17は温度調整完了通知を制御IC20に出力する。制御IC20は、温度調整完了通知の受信により、光モジュール11に初期化を指示する。光モジュール11は、初期化mp指示にしたがって、運用中と同じ温度条件で初期化を実行する。これにより、初期化の際に光モジュール11に自動設定されるパラメータは、運用中の温度環境に適したパラメータとなる。
【0024】
図4は、図3の基本構成を、複数の光モジュールを搭載するシステムボードに拡張した構成図である。通信システム100Aは、制御IC20Aと、システムボード101Aを含む。制御IC20Aは、システムボード101Aだけではなく、他の複数のシステムボード101Aを一括して管理、制御してもよい。システムボード101Aは、複数の光モジュール11-1~11-3と、光モジュール11-1~11-3の各々に対応して設けられる熱電素子12-1~12-3を含む。光モジュール11-1~11-3を冷却する冷媒141の流路の上流側にCPU15(図3参照)が配置されており、CPU15は光モジュール11-1~11-3のそれぞれに接続されていてもよい。
【0025】
光モジュール11-1~11-3の近傍に温度計13-1~13-3が設けられて、対応する光モジュール11を冷却する冷媒の温度を測定する。システムボード101Aの稼働中に温度計13-1~13-3で測定された冷媒温度は、温度記憶部18-1~18-3に記憶される。各光モジュール11と対応付けて運用中の冷媒温度を記録できるのであれば、温度記憶部18-1~18-3は単一のメモリで実現されてもよい。再起動指示が入力されると、光モジュール11の初期化に先立って、熱電素子コントローラ17-1~17-2は熱電素子12-1~12-3を駆動して、流路の各位置での冷媒温度を調整する。温度計13-1~13-3で測定された冷媒温度は、対応する熱電素子コントローラ17-1~17-3に入力される。熱電素子コントローラ17-1~17-3は、入力された冷媒温度の測定値が、温度記憶部18-1~18-3に記録された運用中の冷媒温度に近づくまで、熱電素子12-1~12-3を駆動して冷媒を加熱する。個々の熱電素子12-1~12-3を独立して制御可能であれば、熱電素子コントローラ17-1~17-3に替えて、単一のロジック回路を用いてもよい。
【0026】
制御IC20Aは、温度制御部21と、初期化実行部22とを有する。制御IC20Aは、システムボード101Aに搭載されているCPUと、そのCPUに用いられる光モジュール11の対応関係を示すCPU-光モジュール対応情報23とを有していてもよい。温度制御部21は、たとえばユーザ入力により再起動指示を受け取ると、再起動されるシステムボード101AまたはCPU15に接続されている光モジュール11の初期化に先立って、各熱電素子コントローラ17-1~17-3に温度調整指示を出力する。初期化実行部22は、熱電素子コントローラ17-1~17-3から温度調整完了通知を受け取ると、対応する光モジュール11の初期化を実行する。この時点で、初期化される光モジュール11の近傍を流れる冷媒の温度は、運用中の冷媒温度になっており、光モジュール11に設定されるパラメータ値は、運用中の温度環境に適した値になる。
【0027】
システムボード101Aごとに単一の熱電素子コントローラ17と温度記憶部18が用いられてもよい。制御IC20が複数のシステムボード101Aを管理する場合でも、CPU-光モジュール対応情報23を有することで、どのCPUで、どのアプリケーションが再起動され、どの光モジュール11の初期化タイミングを制御すべきかを把握できる。
【0028】
<運用中の冷媒温度の記録>
図5は、運用中の冷媒温度記録のフローチャートである。この処理フローは、制御IC20または20Aによって実行される。運用中の冷媒温度は、光モジュール11の配置位置によって異なる。システムボード101の稼働中は光モジュール11が発熱し、冷媒の流路に沿って下流に向かうほど冷媒の温度は上昇する。温度の上昇率は、個々の光モジュール11によって異なるので、運用中の冷媒温度は光モジュール11ごとに記録される。
【0029】
運用中の冷媒温度の記録は、ユーザまたはオペレータによる記録指示の設定により実行されてもよいし、アプリケーションの実行にともなって自動で実行されてもよい。ユーザまたはオペレータによる冷媒温度記録の指示は、Redfish(登録商標)やIPMI(Intelligent Platform Management Interface)などのプロトコルを用いて設定可能である。たとえば、ユーザは目的のアプリケーションを実行し、実行中に、冷媒温度の記録指示を入力する。冷媒温度の記録指示は、アプリケーションの実行開始から一定時間経過してから入力されてもよい。アプリケーションの実行による温度上昇が落ち着いて、冷媒温度が安定するからである。あるいは、アプリケーションの実行開始とともに冷媒温度の記録指示が設定され、制御IC20Aは、冷媒温度の記録指示を受け取ってから一定時間が経過してから、温度記憶部18-1~18-3に運用中冷媒温度の記録指示を出力してもよい。
【0030】
図5において、制御IC20Aは、冷媒温度の記録指示の有無を判断し(S11)、冷媒温度の記録指示が入力されるまで記録指示の入力を待つ(S11でNO)。冷媒温度の記録指示が入力されると(S11でYES)、温度記憶部18に光モジュール11ごとの冷媒温度の記録を指示する(S12)。温度記憶部18は、対応する温度計13の値を読み取って、光モジュール11ごとに運用中の冷媒温度を記録する。実行中のアプリケーションに関連するすべての光モジュール11について冷媒温度が記録されたか否かを判断する(S13)。冷媒温度が記録されていない光モジュール11がある場合は(S13でNO)、ステップS12に戻ってS12とS13を繰り返す。すべての光モジュール11について運用中の冷媒温度が記録されたなら(S13でYES)、処理を終了する。
【0031】
図6は、運用中の冷媒温度記録の動作を示す模式図である。制御IC20Aは、CPU15でのアプリケーション実行中に冷媒温度の記録指示を受け取ると、温度記憶部18-1~18-3のそれぞれに、光モジュール11-1~11-3の近傍を流れる冷媒温度の記録指示を出力する。上述したように、各光モジュール11に対応する冷媒温度を記録できれば、温度記憶部18-1~18-3は単一のメモリで実現されてもよい。光モジュール11-1~11-3の近傍で温度計13-1~13-3によって検知される冷媒の温度は、それぞれ異なっている場合が多い。たとえば、温度計13-1で検知された冷媒温度T1は、光モジュール11-1のための温度記憶部18-1に記録される。温度計13-2で検知された冷媒温度T2は、光モジュール11-2のための温度記憶部18-2に記録され、温度計13-3で検知された冷媒温度T3は、光モジュール11-3のための温度記憶部18-3に記録される。温度記憶部18-1、18-2、及び18-3は、メモリ中の温度記録領域のそれぞれ異なるフィールドであってもよい。
【0032】
<運用中冷媒温度の自動記録>
図7は、運用中冷媒温度の自動記録制御のフローチャートである。制御IC20は、ユーザからの指示を受けることなく、能動的に冷媒温度を記録してもよい。図5及び6のようにユーザ入力により冷媒温度を記録する方法は、特定のアプリケーションの実行に対して光モジュール11の伝送パラメータを最適化する場合に適している。図7の自動記録制御は、複数のユーザが通信システム10で異なるアプリケーションを実行する場面に適している。
【0033】
制御IC20は、ジョブスケジューラからジョブ開始通知と、使用されるCPU情報を受け取ったか否かを判断し(S21)、ジョブ開始通知を受け取るまでジョブ開始通知の入力を待つ(S21でNO)。ジョブ実行開始通知を受け取ると(S21でYES)、制御IC20は、そのジョブの実行に使用されるCPUに用いられる光モジュール11について、運用中の冷媒温度を記録するように、温度記憶部18に指示する(S22)。温度記憶部18は、対応する温度計13の値を読み取って、光モジュール11ごとに運用中の冷媒温度を記録する。制御IC20は、対象ジョブの実行と関連するすべての光モジュール11について冷媒温度が記録されたか否かを判断する(S23)。冷媒温度が記録されていない光モジュール11がある場合は(S23でNO)、ステップS22に戻ってS22とS23を繰り返す。実行中のアプリケーションと関連するすべての光モジュール11について運用中の冷媒温度が記録されたなら(S23でYES)、処理を終了する。
【0034】
図8は、運用中冷媒温度の自動記録制御を行う通信システム100Bの模式図である。通信システム100Bは、光モジュール11及びCPU15を搭載するシステムボード101と、制御IC20Bとを含む。制御IC20Bは、通信システム100Bでアプリケーションが実行されているか否かを認識できない。そこで、ジョブスケジューラ104が制御IC120Bに、ジョブの実行開始と終了を、そのジョブの実行に使用されるCPUの情報とともに通知する。
【0035】
ユーザがジョブ、すなわちアプリケーションの実行要求を入力すると、そのアプリケーションの実行はひとつのジョブとして、ジョブスケジューラ104の待ち行列に置かれ、順番に処理される。ジョブがCPU15で実行されるときに、ジョブスケジューラ104は、制御IC20Bにジョブの実行開始と、使用されるCPU15の識別情報とを通知する。制御IC20Bは、図4の制御IC20Aと同様に、CPU15と、CPU15に接続される光モジュール11との対応情報を保持している。制御IC20Bは、ジョブ実行開始通知を受け取ると、指定されたCPU15に用いられる光モジュール11に対応する冷媒温度の記録を温度記憶部18-1~18-3に指示する。
【0036】
制御IC20Bは、ジョブ開始通知を受け取ってから所定時間経過してから、冷媒温度の記録指示を温度記憶部18に出力してもよい。光モジュール11-1~11-3の各々に対応付けて、運用中の冷媒温度T1、T2、T3が温度記憶部18-1~18-3に記録される。
【0037】
CPU15は、ジョブの実行を完了したら、実行完了通知をジョブスケジューラ104に送る。ジョブスケジューラ104は、ジョブの終了通知を、対応のCPU情報とともに制御IC20Bに出力する。制御IC20Bは、温度記憶部18-1~18-3への冷媒温度の記録を終了する。
【0038】
様々なユーザが通信システム100Bを共有する運用場面では、CPU150で実行されるアプリケーションはユーザごとに異なる場合が多い。しかし、プロセッサの処理性能を評価するベンチマークテスト以外で実行される通常のアプリケーションであれば、それほど負荷に差異はなく、アプリケーションが異なる場合でも運用中の光モジュールを冷却する冷媒の温度差は小さい。アプリケーションAの実行時に記録した冷媒温度は、別のアプリケーションBの実行時の冷媒温度とほぼ同じか、近似するとみなしてよい。光モジュール11が初期化されるときに、アプリケーションAの実行時に光モジュール11ごとに記録された冷媒温度と同じ温度環境で伝送パラメータが設定されることで、伝送品質が維持される。
【0039】
<再起動時の初期化処理>
図9は、光モジュール11の初期化制御のフローチャートである。この制御は制御IC20(または20Aまたは20B)と、熱電素子コントローラ17によって実行される。光モジュール11ごとに運用中の冷媒温度が記録された後に、システムが再起動される場合がある。このときの起動処理で、光モジュール11の初期化の実行に先立って、冷媒温度が調整される。
【0040】
制御IC20は、再起動指示が入力されるまで待機し(S31でNO)、再起動指示を受け取ると(S21でYES)、温度調整指示を出力する(S32)。温度調整指示は、熱電素子コントローラ17に入力される。熱電素子コントローラ17は、対応する温度計13によって測定された冷媒温度と、温度記憶部18に記憶された運用中冷媒温度の差が所定範囲内か否かを判断する(S33)。温度差が所定範囲内にない場合(S33でNO)、冷媒の温度調整が実行される(S34)。たとえば、光モジュール11ごとに設けられる熱電素子12がオンにされて冷媒を加熱する。測定温度と温度記憶部18に記憶された運用中冷媒温度との差が所定範囲内であれば(S33でYES)、熱電素子コントローラ17から制御IC20に温度調整の完了通知が送られる。制御IC20は、対応する光モジュール11に初期化指示を出力し、各光モジュールで初期化を実行する(S35)。
【0041】
図9の方法は、スーパーコンピュータで実施されるベンチマークテストなど、システムで実行されるアプリケーションが判明している場合に、光モジュール11の伝送パラメータを最適値に設定できる。ベンチマークテストでは、より高い性能を達成するために、アプリケーションの実行と、パフォーマンスのチューニングが繰り返される。この過程で、光モジュール11に起因する伝送不良が発生すると、決められたチューニング作業期間の中でアプリケーションを実行できる回数が減少し、目標の性能を達成できない、またはアプリケーションの実行を完了できず性能測定ができないという不具合が発生する。
【0042】
これに対し、図9の方法では、再起動により光モジュール11が初期化されるときに、光モジュール11を冷却する冷媒の温度が運用中の冷媒温度とほぼ同じに調整されているので、運用中の温度環境に適したパラメータ値が選択され、アプリケーションの実行を安定的に繰り返すことができる。
【0043】
図10は、光モジュール11の初期化制御の動作を示す模式図である。通信システム100Aで、再起動に先立って、温度記憶部18-1~18-3に対応する光モジュール11-1~11-3の運用中の冷媒温度が記録されている。たとえば、光モジュール11-1と対応づけて運用中の冷媒温度T1が記録され、光モジュール11-2と対応づけて運用中の冷媒温度T2が記録され、光モジュール11-3と対応づけて運用中の冷媒温度T3が記録されている。
【0044】
制御IC20Aに、再起動指示がCPU情報とともに入力されると、CPU15は再起動の処理に入る。CPU15に接続される光モジュール11-1~11-3の初期化に先立って、制御IC20Aは、熱電素子コントローラ17-1~17-3に、対応する光モジュール11-1~11-3を冷却する冷媒の温度調整指示を出力する。熱電素子コントローラ17-1~17-3は、対応する温度計13-1~13-3で測定された温度と、温度記憶部18-1~18-3に記録されている運用中の冷媒温度との差が所定範囲内になると、制御IC20Aに温度調整完了通知を出力する。制御IC20は、冷媒の温度調整が完了した光モジュール11に、初期化処理を指示する。
【0045】
この方法により、配置位置が異なる光モジュール11-1~11-3の各々について、初期化の際に運用中の温度環境に近い状態で伝送パラメータが設定される。通常の動作時も、ベンチマークテストなどの性能評価時も、通信システムの伝送品質が安定的に維持される。
【0046】
以上の開示に対し、以下の付記を提示する。
(付記1)
光モジュールと、
前記光モジュールを冷却する冷媒の温度を調整する熱電素子と、
前記光モジュールの運用中の冷媒温度を記憶する温度記憶部と、
前記光モジュールの初期化に先立って前記冷媒の温度を調整し、前記冷媒の温度と前記運用中の冷媒温度との差が所定範囲内になったときに前記光モジュールに初期化を実行させる制御回路と、
を有する通信システム。
(付記2)
前記初期化において、前記冷媒の温度に対応した伝送パラメータが設定される、
付記1に記載の通信システム。
(付記3)
前記光モジュールの近傍で前記冷媒の温度を測定する温度計と、
前記温度計の測定値と前記温度記憶部に記憶された前記運用中の冷媒温度とを比較して前記熱電素子を制御する熱電素子コントローラと、
を有し、
前記熱電素子コントローラは前記制御回路から出力される温度調整指示に基づいて前記熱電素子を制御する、
付記1または2に記載の通信システム。
(付記4)
前記温度計と前記熱電素子は、前記冷媒の流路で前記光モジュールの直前に配置されている、
付記3に記載の通信システム。
(付記5)
前記熱電素子コントローラは、前記温度計の測定値と前記温度記憶部に記憶された前記運用中の冷媒温度との差が前記所定範囲内になったときに、前記制御回路に温度調整完了通知を出力し、
前記制御回路は、前記温度調整完了通知を受け取ると前記光モジュールに初期化指示を出力する、
付記3に記載の通信システム。
(付記6)
前記制御回路は、ユーザ入力による温度記録指示に基づいて、前記運用中の冷媒温度を前記温度記憶部に記憶させる、
付記1から5のいずれかに記載の通信システム。
(付記7)
前記制御回路は、ジョブスケジューラから供給されるジョブ実行開始通知に基づいて、前記運用中の冷媒温度を前記温度記憶部に記憶させる、
付記1から5のいずれかに記載の通信システム。
(付記8)
前記光モジュールと前記熱電素子はプロセッサとともにボード上に実装され、
前記制御回路は、前記プロセッサと前記光モジュールとの対応情報を保持し、前記プロセッサが起動または再起動されるときに前記光モジュールの初期化のタイミングを制御する、
付記1から7のいずれかに記載の通信システム。
(付記9)
前記プロセッサは、前記冷媒の流路で前記光モジュールの上流側に配置されている、
付記8に記載の通信システム。
(付記10)
前記プロセッサに1以上の光モジュールが接続され、
前記制御回路は、前記1以上の光モジュールの各々について個別に初期化のタイミングを制御する、
付記1から9のいずれかに記載の通信システム。
(付記11)
通信システムにおいて、
プロセッサで処理されたデータを送受信する光モジュールの運用中に、前記光モジュールを冷却する冷媒の温度をあらかじめ温度記憶部に記録し、
前記プロセッサが起動または再起動されるときに、前記光モジュールの近傍で測定される前記冷媒の温度と、前記温度記憶部に記録された運用中の冷媒温度とを比較し、
前記冷媒の測定温度と記録された前記運用中の冷媒温度との差が所定範囲内になったときに前記光モジュールを初期化して伝送パラメータを設定する、
光モジュールのパラメータ最適化方法。
(付記12)
前記通信システムにおいて、前記光モジュールの近傍に熱電素子を設け、前記光モジュールの初期化に先立って、前記冷媒の測定温度と度計の測定値と記録された前記運用中の冷媒温度とが前記所定範囲内になるまで前記冷媒を加熱する、
付記11に記載の光モジュールのパラメータ最適化方法。
(付記13)
前記通信システムにおいて、ユーザ入力による温度記録指示に基づいて、前記運用中の冷媒温度を前記温度記憶部に記録する、
付記11または12に記載の光モジュールのパラメータ最適化方法。
(付記14)
前記通信システムにおいて、ジョブスケジューラから供給されるジョブ実行開始通知に基づいて、前記運用中の冷媒温度を前記温度記憶部に記録する、
付記11または12に記載の光モジュールのパラメータ最適化方法。
【符号の説明】
【0047】
11、11-1~11-3 光モジュール
12、12-1~12-2 熱電素子
13、13-1~13-3 温度計
14 冷却管
17、17-1~17-3 熱電素子コントローラ
18、18-1~18-3 温度記憶部
20、20A 制御IC(制御回路)
21 温度制御部
22 初期化実行部
23 CPU-光モジュール対応情報
101、101A、101B システムボード
141 冷媒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10