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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165121
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】送迎管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20241121BHJP
   G07C 9/27 20200101ALI20241121BHJP
   G07C 9/28 20200101ALI20241121BHJP
【FI】
G06Q50/30
G07C9/27
G07C9/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081003
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】515237061
【氏名又は名称】株式会社LIFE
(74)【代理人】
【識別番号】100121371
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 和人
(72)【発明者】
【氏名】前田 剛之
【テーマコード(参考)】
3E138
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138JC19
3E138JD06
3E138JD09
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】被送迎者の乗車の誤判定を防止し、送迎車内の被送迎者の検出を確実に行って置去事故を防止する送迎管理システムの提供。
【解決手段】被送迎者に被送迎者IDが記憶された名札タグさせ、その持物に持物IDが記憶された持物タグを付し、送迎車の乗降口にNFCリーダ及び乗降口RFIDリーダを設置し、送迎車の車内に車内RFIDリーダ,車載端末を設置する。被送迎者がNFCリーダに名札タグをタッチして被送迎者IDが読み取られると、乗降口RFIDリーダにより該被送迎者の持物タグの持物IDを読み取り、被送迎者IDに関連する持物IDとして紐付けて送迎管理データベースに保存する。車内RFIDリーダが、各被送迎者が所持する持物タグの持物IDを読み取ると、該持物IDはそれに紐付けられた被送迎者IDと同一と見做し、該送迎車の車内に位置する各被送迎者の検出を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信用のアンテナ及び集積回路と長距離無線通信用のアンテナ及び集積回路とを備えた複合無線タグであって、被送迎者の識別番号である被送迎者IDが記憶された名札タグと、
長距離無線通信用のアンテナ及び集積回路を備えた無線タグであって、固有の識別番号である持物IDが記憶されており、被送迎者の持物に付される持物タグと、を所持する被送迎者を、送迎車により送迎先施設へ送迎する際の送迎管理を行う送迎管理システムであって、
送迎管理サーバと、
前記送迎車の乗降口に設置され、前記名札タグが近接されると前記名札タグの前記被送迎者IDを近距離無線通信により読み取るNFCリーダと、
前記送迎車の乗降口に設置され、該乗降口に位置する被送迎者の前記名札タグ及び前記持物タグのそれぞれの前記被送迎者ID又は前記持物IDを遠距離無線通信により読み取る乗降口RFIDリーダと、
前記送迎車の車内天井に一乃至複数設置され、該送迎車の車内に位置する被送迎者の前記名札タグ及び前記持物タグのそれぞれの前記被送迎者ID又は前記持物IDを遠距離無線通信により読み取る車内RFIDリーダと、
前記送迎車の車内に設置され、前記NFCリーダ,前記乗降口RFIDリーダ及び前記車内RFIDリーダと通信可能に接続され、公衆通信回線を介して前記送迎管理サーバと通信可能に接続された車載端末と、を備え、
前記送迎管理サーバ又は前記車載端末は、
前記被送迎者の前記被送迎者IDと該被送迎者の氏名とが関連付けられて記憶された送迎管理データベースと、
前記NFCリーダにより前記名札タグの前記被送迎者IDが読み取られると、前記乗降口RFIDリーダにより読み取られる該乗降口に位置する被送迎者の前記名札タグ及び前記持物タグの前記被送迎者ID又は前記持物IDを、前記NFCリーダにより読み取られた前記被送迎者IDに関連する持物IDとして紐付けて、前記送迎管理データベースに保存するタグ同定手段と、
前記車内RFIDリーダにより、前記送迎車の車内に位置する各被送迎者が所持する前記名札タグ及び前記持物タグの前記被送迎者ID又は前記持物IDを読み取り、読み取られた前記持物IDは該持物IDに紐付けられた前記被送迎者IDと同一と見做して、該送迎車の車内に位置する各被送迎者の検出を行う車内被送迎者検出手段と、
を備えたことを特徴とする送迎管理システム。
【請求項2】
前記送迎車の乗降口に設置されたスピーカである乗降口スピーカと、
前記乗降口RFIDリーダにより前記持物タグの前記持物IDが読み取られた場合であって、前記名札タグの前記被送迎者IDが読み取られなかった場合、前記乗降口スピーカにより、前記送迎車の出入口に備えられた貸与タグを取り前記NFCリーダにタッチするよう指示する貸与タグ借受指示を音声出力する貸与タグ借受指示手段と、
前記貸与タグ借受指示が出力された後に前記NFCリーダにより前記貸与タグに記録された貸与タグIDが読み取られた場合、該貸与タグIDが記録された前記貸与タグを所持する被送迎者を特定し、該貸与タグIDを、特定された被送迎者の前記被送迎者IDに関連する貸与タグIDとして紐付けて、前記送迎管理データベースに保存する借受者特定手段と、を備え、
前記タグ同定手段は、前記貸与タグ借受指示が出力された後に前記NFCリーダにより前記貸与タグに記録された貸与タグIDが読み取られた場合、前記乗降口RFIDリーダにより読み取られる該乗降口に位置する被送迎者の前記持物タグの前記持物IDを、前記NFCリーダにより読み取られた前記貸与タグIDと関連する前記被送迎者IDに関連する持物IDとして紐付けて、前記送迎管理データベースに保存するものであり、
前記車内被送迎者検出手段は、前記車内RFIDリーダにより、前記送迎車の車内に位置する各被送迎者が所持する前記貸与タグ及び前記持物タグの前記貸与タグID又は前記持物IDを読み取り、読み取られた前記貸与タグID又は前記持物IDは該貸与タグID又は該持物IDに紐付けられた前記被送迎者IDと同一と見做して、該送迎車の車内に位置する各被送迎者の検出を行うものであること
特徴とする請求項1記載の送迎管理システム。
【請求項3】
前記送迎車の乗降口に設置されたマイクである乗降口マイクを備え、
前記借受者特定手段は、前記貸与タグ借受指示が出力された後に前記NFCリーダにより前記貸与タグに記録された貸与タグIDが読み取られた場合、
前記乗降口スピーカにより、被送迎者に対し前記乗降口マイクに向かい自己の名前を発話するよう指示する名前入力指示を音声出力し、
前記名前入力指示に対して前記乗降口マイクから音声が入力された場合、該音声から被送迎者の名前を特定し、特定された名前の被送迎者を、該貸与タグIDが記録された前記貸与タグを所持する被送迎者に特定するものであることを特徴とする請求項2記載の送迎管理システム。
【請求項4】
前記借受者特定手段は、前記貸与タグ借受指示が出力された後に前記NFCリーダにより前記貸与タグに記録された貸与タグIDが読み取られた場合、前記乗降口RFIDリーダにより読み取られる該乗降口に位置する被送迎者の前記持物タグの前記持物IDに基づき、前記送迎管理データベースに保存された、過去に該持物IDに紐付けられた前記被送迎者IDのうち最も紐付けられた回数が多いものを特定し、特定された前記被送迎者IDに係る被送迎者を、該貸与タグIDが記録された前記貸与タグを所持する被送迎者に特定するものであることを特徴とする請求項2記載の送迎管理システム。
【請求項5】
前記送迎管理データベースには、前記被送迎者の前記被送迎者IDと該被送迎者の保護者が所持する保護者端末のメールアドレスとが関連付けられて記憶されており、
前記借受者特定手段は、前記貸与タグを所持する被送迎者が特定されると、該被送迎者の前記被送迎者IDに紐付けられた保護者端末のメールアドレスに対し、前記貸与タグの貸し出しを確認するタグの貸出確認メールを配信するものであることを特徴とする請求項2記載の送迎管理システム。
【請求項6】
前記送迎車の乗降口に設置されたスピーカである乗降口スピーカと、
前記乗降口RFIDリーダにより各被送迎者が所持する前記名札タグ又は前記持物タグの前記被送迎者ID又は前記持物IDが読み取られた場合、前記乗降口スピーカにより、被送迎者に対して前記NFCリーダに自己の所持する名札タグを近接させるよう指示する名札タッチ指示を音声出力する名札タッチ指示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の送迎管理システム。
【請求項7】
前記車載端末は、
前記送迎車のエンジンの停止を検出するエンジン停止検出手段と、
前記送迎車のエンジンの停止後、所定の時間が経過した後に、前記車内被送迎者検出手段により該送迎車の車内に位置する被送迎者の検出を行う置去検出手段と、
前記置去検出手段により被送迎者が検出された場合、前記送迎管理サーバに対し被送迎者の置き去りが発生したことを通知する置去発生通知を送信する置去通知手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の送迎管理システム。
【請求項8】
前記車載端末は、
前記送迎車のエンジンの停止を検出するエンジン停止検出手段と、
前記送迎車のエンジンの停止後、所定の時間が経過した後に、前記車内被送迎者検出手段により該送迎車の車内に位置する被送迎者の検出を行う置去検出手段と、
前記置去検出手段により被送迎者が検出された場合、前記送迎車のクラクションを鳴らす制御を行うクラクション鳴動手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の送迎管理システム。
【請求項9】
前記車載端末は、
前記送迎車のエンジンの停止を検出するエンジン停止検出手段と、
前記送迎車のエンジンの停止後、所定の時間が経過した後に、前記車内被送迎者検出手段により該送迎車の車内に位置する被送迎者の検出を行う置去検出手段と、
前記置去検出手段により被送迎者が検出された場合、前記送迎車の乗降口のドアを開扉する制御を行うドア開扉手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の送迎管理システム。
【請求項10】
前記車載端末は、一定時間毎に前記送迎車の現在の位置を測位し、前記送迎管理サーバに送信する現在位置通知手段を備え、
前記送迎管理サーバは、或る被送迎者の保護者が所持する保護者端末から、該被送迎者の現在の位置の配信を要求する信号である児童位置配信要求を受信した場合、
該被送迎者の被送迎者ID又は該被送迎者IDに紐付けられた持物IDが前記送迎車の前記車内RFIDリーダにより読み取られた場合には、
前記児童位置配信要求を送信した前記保護者端末に対し、前記車載端末から受信した前記送迎車の現在の位置を配信する位置配信手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の送迎管理システム。
【請求項11】
コンピュータに読み込んで実行することにより、該コンピュータを請求項1乃至10の何れか一に記載の送迎管理システムの管理サーバ又は車載端末として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両により被送迎者の送迎を行う際の送迎管理に用いられる送迎管理システムに関し、特に、保育園,幼稚園,小中学校に於ける送迎、被介護者の送迎などの送迎管理に用いられる送迎管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、保育園,幼稚園の送迎バスでの送迎の際に、車内への児童のとり残しによる事故が問題となっており、その対策が求められている。児童の車内への取り残しは、確認の不徹底といったヒューマンエラーにより生じるため、ヒューマンエラーを如何に防止するかが対策の鍵となる。その対策の一つとして、IDカードやRFID技術を利用して、児童の位置を検知・追跡することで、人為的なミスを防止する技術が提案されている。このような、保育園,幼稚園,小中学校に於ける送迎、被介護者の送迎などの送迎管理に用いられる技術としては、特許文献1~3に記載のものが公知である。
【0003】
特許文献1に記載の「バス終業点検アシスト装置」は、送迎に用いられるバス(送迎バス)の車内後部に、ブザー(13)及び発光ダイオード(14)を設置し(仝文献段落[0001])、また、車内にRFIDカードリーダ(6)を設け(仝文献請求項3,段落[0014])、送迎バスのエンジンが停止した際に、ブザーにより警報音を発生させるとともに発光ダイオードを点滅させ、RFIDカードリーダを読み込み待機状態とする(仝文献段落[0014])。そして、運転者又は添乗者が携行するIDカードをRFIDカードリーダにタッチすると、RFIDカードリーダが該IDカードのIDを読み込み、予め登録したIDと比較して、一致した場合、ブザーの鳴動を停止し発光ダイオードを消灯する仝文献段落[0015])。さらに、予め登録した複数のスマートフォン等に通知する(仝文献請求項1,段落[0001])。これにより、送迎バスのエンジンを停止した後、運転者又は添乗者に、乗客の置き去りを防ぐための安全点検を促すことで、点検のし忘れといったヒューマンエラーを防止するようにしたものである。
【0004】
特許文献2に記載の「送迎管理システム」は、
〔a〕園児が所持し園児のID情報が書き込まれたRFタグ(RFID)(31)と、
〔b〕園児が所属する幼稚園に設けられた幼稚園サーバ(2)と、
〔c〕園児を送迎する送迎バスに設けられ、RFタグの情報を読み取るリーダライタ(12)と、
〔d〕送迎バスに設けられ、リーダライタからのRFタグの情報を受信し、自車位置情報を取得するとともに、幼稚園サーバと通信するバス端末(11)と、
〔e〕園児を出迎える保護者が所持し、ネットワーク(100)を介して幼稚園サーバ又はバス端末と通信する保護者端末(4)と、
を備えている(仝文献図1参照)。
【0005】
このシステムでは、まず園児Aが幼稚園で送迎バスに乗り込む時に、リーダライタ(12)が、園児Aが所持するRFタグ(31)の園児IDを読み取る。バス端末(11)は「園児Aが送迎バスに乗車した」という「園児乗車情報」を幼稚園サーバ(2)へ送信する。また、バス端末(11)は、所定時間毎に、GPSで取得される自車の位置情報を幼稚園サーバ(2)へ送信する。幼稚園サーバ(2)は、送迎バスの位置情報に基づき、園児Aが降車するバス停Bへの送迎バスの到着時刻を予測し、保護者端末(4)へ送信する。送迎バスがバス停Bに到着して園児Aが送迎バスから降車するとき、リーダライタ(12)は、園児Aが所持するRFタグ(31)の園児IDを読み取り、園児Aの降車を検出し、その「園児降車情報」を幼稚園サーバ(2)へ送信する。バス停Bで出迎えた保護者Cに、降車した園児Aを引き渡すとき、保護者Cは、保護者端末(4)から「引き渡し完了情報」を幼稚園サーバ(2)へ送信する(仝文献段落[0024]-[0028])。これにより、被送迎者(園児A)の乗車・降車を幼稚園サーバ(2)で正確に管理し、送迎車のバス停Bへの到着予定時刻を保護者Cに事前に通知して、園児Aの保護者Cへの確実な引き渡しを行うようにしたものである。
【0006】
特許文献3に記載の「送迎管理システム」は、小学校のスクールバスによる送迎を管理する送迎管理システムであり、
〔a〕送迎確認サーバ(40)と、
〔b〕児童端末、学校及び送迎車に設置されたICリーダと、
〔c〕児童(被送迎者)の名札等に付され、該児童の個人情報(児童名,住所,学校名,メールアドレス等)である「児童情報」が格納されたICタグと、
〔d〕児童が所持し、送迎予定時間等の各種通知の送受信を行う情報処理装置(パソコン,携帯通信端末等)であって、児童の帰宅時に児童の名札等に付されたICタグをICリーダに通すことにより送迎の受付を行うと共に、該児童の「児童情報」を送迎確認サーバ(40)へ送信する児童端末(10)と、
〔e〕各種通知の送受信を行うユーザ(児童の保護者)が使用する情報処理装置(パソコン,携帯通信端末等)である保護者端末(20)と、
〔f〕ユーザ (送迎実施者) が使用するGPS機能を搭載した報処理装置(携帯通信端末、パソコン等)である警備会社端末(30)と、
〔g〕児童が属する小学校に設置されたサーバである学校端末(50)と、
を備えている(仝文献図1参照)。
【0007】
このシステムでは、児童Aは、帰宅の際に名札に付されたICタグを、学校に設置されているICリーダにより読み込み、「児童情報」を送迎確認サーバ(40)へ送信する。送迎確認サーバ(40)は「児童情報」を受信すると、“受付NO”を自動採番し児童個人情報DBの“受付NO”欄に格納し、“現在送迎状況”欄を「否」として格納する。また、「送迎受付」を自動作成し、児童端末(10)のメールアドレスに送信する。児童Aは、「送迎受付」を確認し受付が無事終了したことを認識する。送迎確認サーバ(40)は、警備会社端末(30)を保有する送迎実施者の“車両NO”、対象となる“送迎小学校”、“受付NO”、“児童NO”を抽出し、学校情報DBの“住所”を読み込み、“送迎小学校”までの“到着時間”を自動計算し、「送迎者名簿送付」及び「送迎時間のお知らせ」を自動作成する。そして「送迎時間のお知らせ」を、警備会社端末(30),各児童端末(10),各保護者端末(20),学校端末(50)のメールアドレスに送信する。児童Aは、“到着予定時間”までに学校の正門等で待機し、所定の登録“ナンバー”の送迎車両に乗車する。乗車時に車内に設置されてあるICリーダで児童Aの名札に付されたICタグを読み込み、所定の信号を送迎確認サーバ40に送信する。児童Aが自宅に到着すると、児童Aは児童端末(10)のICリーダで名札に付されたICタグを読み込み、児童端末(10)はICタグを読み込みの「時刻データ」を送迎確認サーバ(40)に送信する。送迎確認サーバ(40)は、児童Aの乗車時に格納したレコードに対応する“自宅到着時間”欄に「時刻データ」を格納し、「自宅到着時間のお知らせ」を自動作成し、作成した「自宅到着時間のお知らせ」を、保護者端末(20)及び学校端末(50)のメールアドレスに送信する。これにより、保護者端末(20),学校端末(50)を所持する保護者及び学校関係者は、「自宅到着時間のお知らせ」を受信し、児童Aが帰宅した時間を把握することができ安心することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3240063号明細書
【特許文献2】特開2008-204361号公報
【特許文献3】特開2009-048274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の「バス終業点検アシスト装置」は、あくまでも、運転者(又は添乗者)に、安全点検を促すためのシステムであり、運転者(又は添乗者)以外にチェックをする者はいない。従って、二者以上による多重チェックを行うシステムとはなっておらず、ヒューマンエラーの防止という観点からは、脆弱性を有すると考えられる。
【0010】
一方、特許文献2,3は、送迎時に被送迎者の所在を二者以上で多重チェックするシステムとなっており、前述のような脆弱性は克服される。しかし、特許文献3のシステムは、被送迎者である児童が主体的に各種の操作(学校でのICタグの読み取りによる送迎予約等)を行う必要があり、操作が煩雑である為、児童がその操作を怠った場合に、システムが十分に機能しないことが考えられる。
【0011】
一方、特許文献2のシステムは、被送迎者である園児が主体的に各種の操作を行う必要は無いので、掛かる問題は生じない。しかし、園児が自分のRFタグ(以下「児童タグ」)以外の児童タグを持って送迎車に乗り込んだ場合、実際に送迎車に乗っていない園児が追跡されることとなり、誤ったメールが保護者端末に送られるという問題がある。例えば、児童タグが各園児の帽子に附されているような場合、或る園児Cが自分の帽子Bを置き忘れて、他の園児Cが、忘れ物の帽子Bを園児Cに届けようとして、帽子Bを持って送迎車に乗り込んだ場合、送迎バスに車載のリーダライタが忘れ物の帽子BのRFタグを検出するため、実際に送迎車に乗っていない園児Cが送迎バスに車載のリーダライタで追跡されることとなり、誤ったメールが帽子Bを忘れた園児Cの保護者端末に送られることになる。また、児童タグを忘れたり、児童タグが故障したりした園児の動向を把握できないため、取り残し防止のシステムとしては不完全性が残る。また、万が一でも車内に取り残された園児がいた場合、園児が自力で車外へ脱出する手立てがなされていないため、取り残し防止のシステムとしては不完全性が残る。
【0012】
そこで、本発明の目的は、実際に送迎車に乗っていない被送迎者が、送迎車に乗っていると誤判定されることを確実に防止すること(誤判定防止)ができ、RFタグを所持し忘れた被送迎者が乗車した場合でも被送迎者の車内への取り残しを確実に防止すること(RFタグ不携帯被送迎者の取残し防止)ができ、万が一にもに被送迎者が車内への取り残された場合であっても被送迎者が車外へ自力で脱出出来るようにすること(取残し被送迎者の自力脱出)ができる送迎管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る送迎管理システムの第1の構成は、近距離無線通信用のアンテナ及び集積回路と長距離無線通信用のアンテナ及び集積回路とを備えた複合無線タグであって、被送迎者の識別番号である被送迎者IDが記憶された名札タグと、
長距離無線通信用のアンテナ及び集積回路を備えた無線タグであって、固有の識別番号である持物IDが記憶されており、被送迎者の持物に付される持物タグと、を所持する被送迎者を、送迎車により送迎先施設へ送迎する際の送迎管理を行う送迎管理システムであって、
送迎管理サーバと、
前記送迎車の乗降口に設置され、前記名札タグが近接されると前記名札タグの前記被送迎者IDを近距離無線通信により読み取るNFCリーダと、
前記送迎車の乗降口に設置され、該乗降口に位置する被送迎者の前記名札タグ及び前記持物タグのそれぞれの前記被送迎者ID又は前記持物IDを遠距離無線通信により読み取る乗降口RFIDリーダと、
前記送迎車の車内天井に一乃至複数設置され、該送迎車の車内に位置する被送迎者の前記名札タグ及び前記持物タグのそれぞれの前記被送迎者ID又は前記持物IDを遠距離無線通信により読み取る車内RFIDリーダと、
前記送迎車の車内に設置され、前記NFCリーダ,前記乗降口RFIDリーダ及び前記車内RFIDリーダと通信可能に接続され、公衆通信回線を介して前記送迎管理サーバと通信可能に接続された車載端末と、を備え、
前記送迎管理サーバ又は前記車載端末は、
前記被送迎者の前記被送迎者IDと該被送迎者の氏名とが関連付けられて記憶された送迎管理データベースと、
前記NFCリーダにより前記名札タグの前記被送迎者IDが読み取られると、前記乗降口RFIDリーダにより読み取られる該乗降口に位置する被送迎者の前記名札タグ及び前記持物タグの前記被送迎者ID又は前記持物IDを、前記NFCリーダにより読み取られた前記被送迎者IDに関連する持物IDとして紐付けて、前記送迎管理データベースに保存するタグ同定手段と、
前記車内RFIDリーダにより、前記送迎車の車内に位置する各被送迎者が所持する前記名札タグ及び前記持物タグの前記被送迎者ID又は前記持物IDを読み取り、読み取られた前記持物IDは該持物IDに紐付けられた前記被送迎者IDと同一と見做して、該送迎車の車内に位置する各被送迎者の検出を行う車内被送迎者検出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、送迎車の車内にいる被送迎者を、該被送迎者が所持する名札タグ、及び被送迎者の持物に付される持物タグの各無線タグを用いて、車内RFIDリーダで検出することにより、これら全ての無線タグが車内RFIDリーダ7の検出範囲の死角に位置しない限り、被送迎者を検出することができ、送迎車の車内にいる被送迎者の検出漏れを確実に防止できる。また、被送迎者が送迎車に乗車する際に名札タグと持物タグとを紐付けるようにしたことにより、名札タグについてのみ被送迎者の所有物であることを事前に送迎管理データベースに登録しておけばよく、各持物タグについては、各被送迎者との所有関係を事前登録しておく必要はない。従って、持物タグについては、持物IDを送迎管理データベースに事前登録することなく各被送迎者の保護者に自由に配付して、保護者は自由に被送迎者の持物に持物タグを付すことが出来るため、持物タグについての取り扱いが簡便となり、利便性が各段に向上する。また、持物タグについては、その持物タグの所有関係については問わず、乗車時に名札タグと紐付けて管理することとしたことで、被送迎者が自分以外の他者の持物を所持していた場合などでも、被送迎者の誤検出を回避できるというメリットもある。
【0015】
本発明に係る送迎管理システムの第2の構成は、前記第1の構成に於いて、前記送迎車の乗降口に設置されたスピーカである乗降口スピーカと、
前記乗降口RFIDリーダにより前記持物タグの前記持物IDが読み取られた場合であって、前記名札タグの前記被送迎者IDが読み取られなかった場合、前記乗降口スピーカにより、前記送迎車の出入口に備えられた貸与タグを取り前記NFCリーダにタッチするよう指示する貸与タグ借受指示を音声出力する貸与タグ借受指示手段と、
前記貸与タグ借受指示が出力された後に前記NFCリーダにより前記貸与タグに記録された貸与タグIDが読み取られた場合、該貸与タグIDが記録された前記貸与タグを所持する被送迎者を特定し、該貸与タグIDを、特定された被送迎者の前記被送迎者IDに関連する貸与タグIDとして紐付けて、前記送迎管理データベースに保存する借受者特定手段と、を備え、
前記タグ同定手段は、前記貸与タグ借受指示が出力された後に前記NFCリーダにより前記貸与タグに記録された貸与タグIDが読み取られた場合、前記乗降口RFIDリーダにより読み取られる該乗降口に位置する被送迎者の前記持物タグの前記持物IDを、前記NFCリーダにより読み取られた前記貸与タグIDと関連する前記被送迎者IDに関連する持物IDとして紐付けて、前記送迎管理データベースに保存するものであり、
前記車内被送迎者検出手段は、前記車内RFIDリーダにより、前記送迎車の車内に位置する各被送迎者が所持する前記貸与タグ及び前記持物タグの前記貸与タグID又は前記持物IDを読み取り、読み取られた前記貸与タグID又は前記持物IDは該貸与タグID又は該持物IDに紐付けられた前記被送迎者IDと同一と見做して、該送迎車の車内に位置する各被送迎者の検出を行うものであること特徴とする。
【0016】
この構成によれば、乗車時に名札タグを所持していない被送迎者に対しては、乗車時に貸与タグを貸し出し、貸与タグと被送迎者との一対一のリレーションを送迎管理データベースに登録することで、仮に被送迎者が名札タグを自宅に忘れてきたような場合でも、被送迎者がわざわざ自宅に名札タグを取りに戻らなくても、被送迎者の位置の検出を正常に行うことが可能となる。
【0017】
本発明に係る送迎管理システムの第3の構成は、前記第2の構成に於いて、前記送迎車の乗降口に設置されたマイクである乗降口マイクを備え、
前記借受者特定手段は、前記貸与タグ借受指示が出力された後に前記NFCリーダにより前記貸与タグに記録された貸与タグIDが読み取られた場合、
前記乗降口スピーカにより、被送迎者に対し前記乗降口マイクに向かい自己の名前を発話するよう指示する名前入力指示を音声出力し、
前記名前入力指示に対して前記乗降口マイクから音声が入力された場合、該音声から被送迎者の名前を特定し、特定された名前の被送迎者を、該貸与タグIDが記録された前記貸与タグを所持する被送迎者に特定するものであることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、乗車時に名札タグを所持していない被送迎者に対しては、乗車時に貸与タグを貸し出した場合、被送迎者が自己の名前を乗降口マイクから発話入力して、貸与タグIDと被送迎者IDを自己同定により紐付けるようにしたことで、車内RFIDリーダによる被送迎者の検出を確実に行うことができる。
【0019】
本発明に係る送迎管理システムの第4の構成は、前記第2の構成に於いて、前記借受者特定手段は、前記貸与タグ借受指示が出力された後に前記NFCリーダにより前記貸与タグに記録された貸与タグIDが読み取られた場合、前記乗降口RFIDリーダにより読み取られる該乗降口に位置する被送迎者の前記持物タグの前記持物IDに基づき、前記送迎管理データベースに保存された、過去に該持物IDに紐付けられた前記被送迎者IDのうち最も紐付けられた回数が多いものを特定し、特定された前記被送迎者IDに係る被送迎者を、該貸与タグIDが記録された前記貸与タグを所持する被送迎者に特定するものであることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、NFCリーダにより検出された貸与タグID、及び乗降口RFIDリーダにより検出された持物タグIDを、過去に各持物IDに紐付けられた被送迎者IDのうち最も紐付けられた回数が多いものに紐付けることで、貸与タグID及び持物IDと被送迎者の被送迎者IDとの紐付けを確実に行うことが出来、車内RFIDリーダによる被送迎者の検出を確実に行うことができる。
【0021】
本発明に係る送迎管理システムの第5の構成は、前記第2の構成に於いて、前記送迎管理データベースには、前記被送迎者の前記被送迎者IDと該被送迎者の保護者が所持する保護者端末のメールアドレスとが関連付けられて記憶されており、
前記借受者特定手段は、前記貸与タグを所持する被送迎者が特定されると、該被送迎者の前記被送迎者IDに紐付けられた保護者端末のメールアドレスに対し、前記貸与タグの貸し出しを確認するタグの貸出確認メールを配信するものであることを特徴とする。
【0022】
これにより、被送迎者が貸与タグを借り受けたことを、該被送迎者の保護者にも通知することで、貸与タグの返却し忘れをより確実に防ぐことが出来る。
【0023】
本発明に係る送迎管理システムの第6の構成は、前記第1の構成に於いて、前記送迎車の乗降口に設置されたスピーカである乗降口スピーカと、
前記乗降口RFIDリーダにより各被送迎者が所持する前記名札タグ又は前記持物タグの前記被送迎者ID又は前記持物IDが読み取られた場合、前記乗降口スピーカにより、被送迎者に対して前記NFCリーダに自己の所持する名札タグを近接させるよう指示する名札タッチ指示を音声出力する名札タッチ指示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
これにより、各被送迎者が自己の所持する名札タグをNFCリーダに近接(タッチ)させるように促し、被送迎者が自ら被送迎者IDと持物IDとの自己同定を行わせるようにすることができる。
【0025】
尚、前記車載端末は、前記名札タッチ指示に対して前記NFCリーダにより前記被送迎者IDが読み取られた場合、前記送迎管理データベースから前記被送迎者IDに対応する被送迎者の氏名を索出し、前記乗車スピーカから挨拶音声を出力する挨拶音声出力手段や、挨拶音声に加えて、被送迎者が自発的に前記名札タグを前記NFCリーダに近接させるように行動変容を促すようナッジするオマケ音声を追加出力するオマケ音声出力手段を備えることもできる。挨拶音声やオマケ音声は、例えば、被送迎者が前記名札タグを前記NFCリーダに近接させる毎に毎回変化するようにすることで、前記の行動変容を促すようなナッジが可能となる。
【0026】
本発明に係る送迎管理システムの第7の構成は、前記第1の構成に於いて、前記車載端末は、
前記送迎車のエンジンの停止を検出するエンジン停止検出手段と、
前記送迎車のエンジンの停止後、所定の時間が経過した後に、前記車内被送迎者検出手段により該送迎車の車内に位置する被送迎者の検出を行う置去検出手段と、
前記置去検出手段により被送迎者が検出された場合、前記送迎管理サーバに対し被送迎者の置き去りが発生したことを通知する置去発生通知を送信する置去通知手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0027】
これにより、送迎車のエンジン停止後に、車内に被送迎者の置き去りがないかのチェックを怠るようなヒューマンエラーが生じた場合でも、被送迎者の置き去りが自動検出されて通知され、被送迎者の車内への置き去りによる事故の発生を確実に防止することができる。
【0028】
本発明に係る送迎管理システムの第8の構成は、前記第1の構成に於いて、前記車載端末は、
前記送迎車のエンジンの停止を検出するエンジン停止検出手段と、
前記送迎車のエンジンの停止後、所定の時間が経過した後に、前記車内被送迎者検出手段により該送迎車の車内に位置する被送迎者の検出を行う置去検出手段と、
前記置去検出手段により被送迎者が検出された場合、前記送迎車のクラクションを鳴らす制御を行うクラクション鳴動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0029】
これにより、送迎車のエンジン停止から所定の時間が経過した後に置去被送迎者を検出すると、送迎車のクラクションを発鳴させて、送迎車の周囲に居る者に車内への被送迎者の置き去りが発生したことを報知することで、第三者による被送迎者の発見を促して、置去被送迎者の確認漏れによるヒューマンエラーによる事故発生を防止することができる。
【0030】
本発明に係る送迎管理システムの第9の構成は、前記第1の構成に於いて、前記車載端末は、
前記送迎車のエンジンの停止を検出するエンジン停止検出手段と、
前記送迎車のエンジンの停止後、所定の時間が経過した後に、前記車内被送迎者検出手段により該送迎車の車内に位置する被送迎者の検出を行う置去検出手段と、
前記置去検出手段により被送迎者が検出された場合、前記送迎車の乗降口のドアを開扉する制御を行うドア開扉手段と、を備えたことを特徴とする。
【0031】
これにより、置去被送迎者を検出すると、送迎車の昇降口のドアを開扉することで、車内に取り残された置去被送迎者が車外に自力で脱出がし易いようにするとともに、日中に於ける車内の過度な温度上昇を防止し、仮に被送迎者が車内に取り残されるといったヒューマンエラーが生じた場合でも、車内が高温になって被送迎者が脱水症になるような事故にまで至ることを防止することができる。
【0032】
本発明に係る送迎管理システムの第10の構成は、前記第1の構成に於いて、前記車載端末は、一定時間毎に前記送迎車の現在の位置を測位し、前記送迎管理サーバに送信する現在位置通知手段を備え、
前記送迎管理サーバは、或る被送迎者の保護者が所持する保護者端末から、該被送迎者の現在の位置の配信を要求する信号である児童位置配信要求を受信した場合、
該被送迎者の被送迎者ID又は該被送迎者IDに紐付けられた持物IDが前記送迎車の前記車内RFIDリーダにより読み取られた場合には、
前記児童位置配信要求を送信した前記保護者端末に対し、前記車載端末から受信した前記送迎車の現在の位置を配信する位置配信手段を備えたことを特徴とする。
【0033】
これにより、各被送迎者の保護者は、送迎中に被送迎者の位置を何時でも確認する
ことができる。
【0034】
また、本発明に係る送迎管理システム用のプログラムは、コンピュータに読み込んで実行することにより、該コンピュータを前記第1乃至10の何れか一の構成の送迎管理システムの管理サーバ又は車載端末として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、本発明によれば、実際に送迎車に乗っていない被送迎者が、送迎車に乗っていると誤判定されることを確実に防止すること(誤判定防止)ができ、名札タグを所持し忘れた被送迎者が乗車した場合でも被送迎者の車内への取り残しを確実に防止すること(RFタグ不携帯被送迎者の取残し防止)ができ、万が一にもに被送迎者が車内への取り残された場合であっても被送迎者が車外へ自力で脱出出来るようにすること(取残し被送迎者の自力脱出)ができる送迎管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の実施例1に係る送迎管理システムの全体構成を表す図である。
図2図1の送迎管理システムの機能的構成を表すブロック図である。
図3】送迎管理データベース21,30の構成の一例を表すER図(Entity Relationship Diagram)である。
図4】タグ所持児童が乗車する際の名札タグと持物タグとのリレーション生成の概念図である。
図5】タグ忘れ児童が乗車する際の名札タグと持物タグとのリレーション生成の概念図である。
図6】タグ所持児童/タグ忘れ児童が乗車する際の名札タグと持物タグとのリレーション生成時のシステム動作を表すフローチャートである。
図7図6の処理により生成される児童Cの所持する無線タグのタグID間のリレーションを示す図である。
図8】持物タグについて児童Cが送迎車Bに乗車する際に名札タグTpとのリレーションを生成することの利点を説明する図である。
図9】児童の輸送時に於ける送迎管理システムの動作を表すフローチャートである。
図10】実施例1の送迎管理システムに於ける保護者端末からの児童の現在位置を確認する動作を表すフローチャートである。
図11】保護者端末3に表示される児童位置確認画面の例を示す図である。
図12】本発明の実施例2に係る送迎管理システムの全体構成を表す図である。
図13図12の送迎管理システムの機能的構成を表すブロック図である。
図14】実施例2に係る送迎管理システムの児童の車内への置き去り防止に関する動作を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例0038】
(1)システムの全体構成
図1は、本発明の実施例1に係る送迎管理システムの全体構成を表す図である。図1に於いて、実施例1の送迎管理システムは、送迎先施設Dである幼稚園(又は保育園)の送迎車B(送迎バスや送迎タクシー)による児童(被送迎者)C(iは児童を区別する番号)の送迎を管理する送迎管理システムの例について説明するが、本発明の適用範囲は、幼稚園の送迎に限らず、例えば、小学校のスクールバスによる児童の送迎や、介護サービスに於ける被介護者の送迎などにも適用することができる。尚、本明細書では、幼稚園の「園児」は、「児童」という用語で統一する。
【0039】
図1に於いて、この送迎管理システムの全体は、管理施設Mにおいて管理されている。送迎先施設Dである幼稚園(又は保育園)に通園する各児童Cは、基本的に名札タグTpを一つ所持している。名札タグTpは、近距離無線通信用のアンテナ及び集積回路と長距離無線通信用のアンテナ及び集積回路とを備えた複合無線タグであり、それを所有する児童Cの識別番号である児童ID(被送迎者ID)ID(C)が記憶されている。この名札タグTpは、たとえは、児童が通園時に基本的に普段身につける名札の中に入れられる。また、各児童Cが身につけている名札以外の持物(カバン、帽子、靴など)には、持物タグTcが付されている。持物タグTcは、長距離無線通信用のアンテナ及び集積回路を備えた無線タグであって、固有の識別番号である持物IDが記憶されている。持物タグTcは、一人の児童Cが複数所持していてもよい。また、各児童Cに対しては、保護者Pが一人以上ついているものとする。
【0040】
ここで、「名札」(name label)とは、本人情報を記録したラベルをいう。通常は名前が書かれた小札(カード)をいうが、ここでは、小札の形状に限らず本人を特定する情報を記録したラベル全般(例えば、名を記録したスマートフォン等の端末や携帯可能なメモリーデバイスなども含む。)を指す。
【0041】
「持物(もちもの)」(belongings)とは、或る者が現に持っている(身につけている)物、すなわち、所持品をいう。他人の所有物であっても、その者が現に持っていれば(所持していれば)、その者の持物である。また、「名札」も持物の一つであるが、本発明に於いては、名札は自己同定に使用する特殊な持物として位置づけられる。
【0042】
「無線タグ」(radio tag)とは、物に取り付ける、非接触で読出し可能な情報媒体を備えた小さな札をいい、RFタグやNFCタグの総称をいう。「RFタグ」(RF tag)とは、半導体メモリを内蔵して、誘導電磁界又は電波によって書き込まれたデータを保持し、非接触で読出しできる情報媒体をいう(JIS X 0500:2002)が、ここでは、特に、長距離無線通信のRFID(後述)で用いられる無線タグをいう。「NFCタグ」(NFC tag)とは、近距離無線通信のNFC(後述)で用いられる無線タグをいう。「タグID」とは、無線タグに記録されているその無線タグに固有の識別番号をいう。「名札タグ」(同定タグ)(identifying tag)とは、児童のその人であると識別する識別情報(児童ID)が記録された無線タグで、RFタグとNFCタグの両方の機能を兼ね備えたものをいう。「持物タグ」(belonging tag)とは、持物に附される無線タグであって、名札タグ以外のものをいう。持物タグには、その持物タグを識別する識別情報(持物タグID)が記録されている。「貸与タグ」(rental tag)とは、名札タグを持って来るのを忘れた児童に名札タグの代わりとして貸し出される無線タグであって、名札タグと同様にRFタグとNFCタグの両方の機能を兼ね備えたものをいう。貸与タグには、その貸与タグを識別する識別情報(貸与タグID)が記録されている。
【0043】
尚、本明細書に於いて、名札タグTpを所持している児童を「タグ所持児童」(with-tag child)といい、名札タグTpを所持していない児童(名札タグTpを持ってき忘れた児童)を「タグ忘れ児童」(tag-forgotten child)という。
【0044】
また、本実施例1では、近距離無線通信には、NFCが使用され、長距離無線通信にはRFIDが使用される。ここで、「NFC」(Near Field Communication)とは、数cm~10cm程度までの極近距離での非接触無線通信をいう。NFCには、FeliCa(登録商標)の通信方式や、ISO/IEC 14443(MIFAREの通信方式)、ISO/IEC 18092(NFC)などがある。「RFID」(Radio Frequency IDentifier;無線周波数識別)とは、誘導電磁界又は電波によって非接触で半導体メモリのデータを読み出し、書込みのために近距離通信を行うものの総称(JIS X 0500:2002)であり、ここでは、NFCよりも遠距離通信が可能なものをいう。現在、日本国内では、RFIDには、LF帯(中波帯):120~130kHz、HF帯(短波帯):13.56MHz、UHF帯(極超短波):900MHz帯、マイクロ波:2.45GHz帯が主に使用されている。
【0045】
以下、簡単のため、本明細書においては「近距離無線通信」のことを「NFC」と言い、「長距離無線通信」のことを「RFID」と言うことにする。
【0046】
図1に於いて、本実施例の送迎管理システムは、送迎管理サーバ1、施設内サーバ2、保護者端末3、車載端末4、乗車口ユニット5、乗降口RFIDリーダ6、車内RFIDリーダ7、及び送迎先施設内RFIDリーダ8を備えている。
【0047】
送迎管理サーバ1は、この送迎管理システムの全体を管理する管理施設M内に設置されたシステムサーバである。システムサーバ1には、パーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータが用いられる。施設内サーバ2は、送迎先施設D内に設置されたサーバである。施設内サーバ2には、パーソナルコンピュータ,ワークステーション,携帯型コンピュータなどのコンピュータが用いられる。尚、本実施例では送迎管理サーバ1と施設内サーバ2は別々の場所に設置した例を示しているが、本発明では、送迎管理サーバ1と施設内サーバ2を1つのサーバーとして構成し、共に送迎先施設D内又は管理施設M内に設置することもできる。
【0048】
保護者端末3は、各児童Cの保護者Pが所持又は所有する端末装置である。保護者端末3には、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなどの携帯型の通信機能付き端末装置が用いられる。車載端末4は、送迎車B内に設置されるコンピュータ端末装置である。車載端末4には、時刻を計時する時計4aと、GNSS(Global Navigation Satellite System;全地球航法衛星システム)を用いて現在位置を測位するGNSS測位機4bと、携帯電話回線などの通信回線Nを介して送迎管理サーバ1や施設内サーバ2との通信を行う通信装置が内蔵又は外付けされている。
【0049】
乗車口ユニット5は、バスの整理券機や乗車用ICカードリーダなどと同様に送迎車Bの乗降口に設置される装置(ユニット)であり、NFCリーダ5a、スピーカ5b、及びマイク5cを備えている。NFCリーダ5aは、各児童Cの名札タグTpなどのNFCタグが近接されると該NFCタグに記録された情報(名札タグTpの児童ID ID(C)など)を近距離無線通信により読み取る装置である。乗車口ユニット5は、車載端末4と有線又は無線により通信可能に接続されている。尚、乗車口ユニット5は、NFCリーダ5aのアンテナ面を発光させて、NFCタグをタッチする箇所を示すためのLEDライト(図示せず)を備えている。
【0050】
乗降口RFIDリーダ6は、送迎車Bの乗降口に設置されたRFIDリーダである。乗降口RFIDリーダ6は、乗降口に位置する児童Cの名札タグTp及び各持物タグTcのそれぞれの児童ID ID(C)又は持物IDを遠距離無線通信により読み取る装置である。乗降口RFIDリーダ6の読み取り範囲は、送迎車Bの乗降口の乗車口ユニット5の前側に限定されている。乗降口RFIDリーダ6としては、天井設置型や床設置型(マット型)の送受信アンテナを有するRFIDリーダを用いることができる。
乗降口RFIDリーダ6は、車載端末4と有線又は無線により通信可能に接続されている。
【0051】
車内RFIDリーダ7は、送迎車Bの車内天井に一乃至複数設置されたRFIDリーダであり、該送迎車Bの車内に位置する各児童Cの名札タグTp及び持物タグTcのそれぞれの児童ID ID(C)又は持物IDを遠距離無線通信により読み取る装置である。また、車内RFIDリーダ7は、車載端末4と有線又は無線により通信可能に接続されている。車内RFIDリーダ7には、2次元アレイ型アンテナを備えたRFIDリーダが用いられる。「2次元アレイ型アンテナ」とは、アンテナ素子が2次平面状に配列され、各アンテナ素子で送受信する信号の位相制御を行うことによって、ビームステアリング走査を行うことが出来るようにしたアンテナをいう。これにより、車内RFIDリーダ7は、名札タグTp及び持物タグTcに記録されたIDを読み取るとともに、それらの無線タグのアンテナに対する方位(無線タグからの後方散乱波の到来方向)を検出することができる。
【0052】
送迎先施設内RFIDリーダ8は、送迎先施設Dの門や出入口や室内に一乃至複数設置されたRFIDリーダであり、該送迎先施設Dに到着し又は入館した各児童Cの名札タグTp及び持物タグTcのそれぞれの児童ID ID(C)又は持物IDを遠距離無線通信により読み取る装置である。送迎先施設内RFIDリーダ8は、施設内サーバ2と有線又は無線により通信可能に接続されている。
【0053】
図2は、図1の送迎管理システムの機能的構成を表すブロック図である。図2に於いて、図1と対応する構成部分には、同符号を付している。図2に於いて、車載端末4は、前述した時計4a及びGNSS測位機4bに加え、送迎管理データベース21,タグ同定手段22,車内被送迎者検出手段23,貸与タグ借受指示手段24,借受者特定手段25,名札タッチ指示手段26乗降車通知手段27,現在地通知手段28を備えている。また、送迎管理サーバ1は、送迎管理データベース40,乗車通知手段41,降車通知手段42,位置配信手段43,タグ貸出通知手段44を備えている。これらの車載端末4及び送迎管理サーバ1に於ける機能構成は、車載端末4及び送迎管理サーバ1として用いられているコンピュータに、システム管理用のコンピュータプログラムを読み込ませて実行することにより、機能モジュールとして構成されるものである。
【0054】
送迎管理データベース21及び送迎管理データベース40は、送迎管理を行うにあたり必要となる情報の記憶及び管理を行うデータベースである。尚、送迎管理データベース40はマスターデータベースで、送迎管理データベース21は送迎管理データベース40の部分クローンデータベースである。送迎管理データベース40は、全ての児童についての送迎管理に関するデータを記憶及び管理する。一方、送迎管理データベース21は、その車載端末4が搭載された送迎車Bで送迎する児童についての送迎管理に関するデータを記憶及び管理する。車載端末4は、送迎管理データベース21のデータが更新されると、更新分のトランザクションを通信回線Nを介して送迎管理サーバ1へ送信し、送迎管理サーバ1は受信した更新分のトランザクションにより、送迎管理データベース40を更新する。逆に、送迎管理サーバ1は、送迎管理データベース21のデータが更新されると、更新されたデータに関わる送迎車Bの車載端末4に対して、更新分のトランザクションを通信回線Nを介して送信し、車載端末4は受信した更新分のトランザクションにより、送迎管理データベース21を更新する。これにより、送迎管理データベース21及び送迎管理データベース40は互いに同期している。
【0055】
タグ同定手段22は、乗車口ユニット5のNFCリーダ5aにより名札タグTpの児童ID ID(C)が読み取られると、乗降口RFIDリーダ6により読み取られる乗降口に位置する児童Cが所持する名札タグTp及び持物タグTcの児童ID ID(C)又は持物ID ID(E)(jは持物を区別する番号)を、NFCリーダ5aにより読み取られた児童ID ID(C)に関連する持物IDとして紐付けて、送迎管理データベース21に保存する。
【0056】
車内被送迎者検出手段23は、車内RFIDリーダ7により、送迎車Bの車内に位置する各児童Cが所持する名札タグTp及び持物タグTcの児童ID ID(C)又は持物ID ID(E)を読み取り、読み取られた持物ID ID(E)を該持物ID ID(E)に紐付けられた児童ID ID(C)と同一と見做して、該送迎車Bの車内に位置する各児童Cの検出を行う。
【0057】
貸与タグ借受指示手段24は、乗降口RFIDリーダ6により持物タグTcの持物ID ID(E)が読み取られた場合であって、名札タグTpの児童IDが読み取られなかった場合、乗車口ユニット5のスピーカ5bにより、「貸与タグ借受指示」を音声出力する。ここで、「貸与タグ借受指示」とは、送迎車Bの出入口に備えられた貸与タグTrを取り乗車口ユニット5のNFCリーダ5aにタッチするよう指示する音声指示をいう。この「貸与タグ借受指示」は、例えば、「貸し出し名札入れにある名札をとってカードリーダにタッチしてね。」などの音声指示である。
【0058】
借受者特定手段25は、貸与タグ借受指示手段24により貸与タグ借受指示が出力された後にNFCリーダ5aにより貸与タグTrに記録された貸与タグIDが読み取られた場合、該貸与タグIDが記録された貸与タグTrを所持する児童Cを特定し、該貸与タグIDを、特定された児童Cの児童IDに関連する貸与タグIDとして紐付けて、送迎管理データベース21に保存する。
【0059】
名札タッチ指示手段26は、乗降口RFIDリーダ6により各児童Cが所持する名札タグTp又は持物タグTcの児童ID ID(C)又は持物ID ID(E)が読み取られた場合、乗車口ユニット5のスピーカ5bにより、児童Cに対し「名札タッチ指示」を音声出力する。ここで、「名札タッチ指示」とは、NFCリーダ5aに対し自己の所持する名札タグTpを近接させる(タッチさせる)よう指示する音声指示をいう。この「名札タッチ指示」は、例えば、「カードリーダに名札をタッチしてね。」などの音声指示である。
【0060】
乗降車通知手段27は、乗車口ユニット5のNFCリーダ5aにより名札タグTpの児童ID ID(C)が読み取られた後、車内被送迎者検出手段23により該児童ID ID(C)の児童Cが検出された場合、送迎管理サーバ1に対して、児童Cが送迎車Bに乗車したことを通知する「乗車通知」を通信回線Nを介して送信する。また、車内被送迎者検出手段23により該児童ID ID(C)の児童Cが検出されなくなった場合、送迎管理サーバ1に対して、児童Cが送迎車Bから降車したことを通知する「降車通知」を通信回線Nを介して送信する。また、借受者特定手段25により、貸与タグTrを所持する児童Cが特定された場合には、送迎管理サーバ1に対して、児童Cが貸与タグTrを借り受けたことを通知する「貸与タグ貸出通知」(rental tag lending notification)を通信回線Nを介して送信する。
【0061】
現在地通知手段28は、送迎管理サーバ1に対して、GNSS測位機4bにより測位される送迎車Bの現在位置の位置情報を、一定時間毎に送信する。
【0062】
乗車通知手段41は、送迎車Bの車載端末4から、送迎車Bに児童Cが乗車したことを通知する「乗車通知」を受信すると、送迎管理データベース40から、その児童Cの保護者Pのメールアドレス、及びその児童Cの送迎先施設Dの施設内サーバ2のメールアドレスを索出し、索出した各メールアドレスに対し、送迎車Bに児童Cが乗車したことを通知する「乗車通知」を配信する。また、降車通知手段42は、送迎車Bの車載端末4から、送迎車Bから児童Cが降車したことを通知する「降車通知」を受信すると、その児童Cの保護者Pのメールアドレス、及びその児童Cの送迎先施設Dの施設内サーバ2のメールアドレスを索出し、索出した各メールアドレスに対し、送迎車Bから児童Cが降車したことを通知する「降車通知」を配信する。尚、乗車通知手段41及び降車通知手段42は、メールによる通知とあわせて、保護者P及び送迎先施設Dの職員がアクセス可能な、インターネットで公開するホームページ内に、その児童Cが送迎車Bに乗車したこと、又はその児童Cが送迎車Bから降車したことを表示するようにしてもよい。
【0063】
位置配信手段43は、送迎車Bの車載端末4から送信される、送迎車Bの現在位置の位置情報と、送迎車Bに乗車した各児童Cの「乗車通知」に基づき、送迎車Bで移動している各児童Cの現在位置を地図画像上に示す位置表示画面を、保護者P及び送迎先施設Dの職員がアクセス可能な、インターネットで公開するホームページ内に表示する。
【0064】
タグ貸出通知手段44は、送迎車Bの車載端末4から、児童Cが貸与タグTrを借り受けたことを通知する「貸与タグ貸出通知」を受信すると、その児童Cの保護者Pのメールアドレス、及びその児童Cの送迎先施設Dの施設内サーバ2のメールアドレスを索出し、索出した各メールアドレスに対し、児童Cが貸与タグTrを借り受けたことを通知する「貸与タグ貸出通知」を配信する。
【0065】
(2)送迎管理データベースの構成
図3は、送迎管理データベース21,30の構成の一例を表すER図である。図3は、IE記法(Information Engineering (Crow's Foot) notation)により記載している。本実施例に於ける送迎管理データベース21,30は、リレーショナルデータベースとして構成されており、児童テーブル,持物テーブル,持物所持テーブル,保護者テーブル,保護者端末テーブル,送迎記録テーブル,送迎車テーブル,車載端末テーブル,タグ貸借テーブル,貸出タグテーブルを備えている。
【0066】
児童テーブルは、各児童Cに関する情報を管理するテーブルである。児童テーブルは、各児童Cの識別番号(その児童の名札タグTpに記録された識別番号)である「児童ID」、その児童Cの「氏名」、その児童Cの保護者Pの「保護者ID」、及びその児童Cの「所属」(送迎先施設D)に関する情報を記憶・管理している。
【0067】
持物テーブルは、各児童の持物タグに関する情報を管理するテーブルである。持物テーブルは、各持物タグTcの識別番号(その持物タグTcに記録された識別番号)である「持物タグID」、その持物タグTcに係る持物の「属性」(帽子,カバン,靴など)、その持物タグTcに係る持物の所有者の児童の児童IDである「所有者ID」(所有者が特定されているもののみ)、その持物タグTcに係る持物の所有者の「所有者氏名」(所有者が特定されているもののみ)に関する情報を記憶・管理している。
【0068】
保護者テーブルは、各児童の保護者に関する情報を管理するテーブルである。保護者テーブルは、各児童Cの保護者Pの識別番号である「保護者ID」、その保護者Pの「氏名」、その保護者Pの「所属」(勤務先など)、その保護者Pの緊急時の「連絡先」に関する情報を記憶・管理している。
【0069】
保護者端末テーブルは、各児童の保護者が所持する保護者端末3に関する情報を管理するテーブルである。保護者端末テーブルは、保護者端末3の識別番号である「保護者端末ID」、その保護者端末3を所持する保護者Pの「保護者ID」、その保護者端末3のメールアドレスである「端末アドレス」、その保護者端末3の「電話番号」(電話番号がある場合のみ)、その保護者端末3の「パスワード」(保護者端末3から送迎管理サーバ1へログインする際や、送迎管理サーバ1がインターネットで公開するホームページにログインする際のパスワード)に関する情報を記憶・管理している。
【0070】
車載端末テーブルは、各送迎車Bに搭載される車載端末4に関する情報を管理するテーブルである。車載端末テーブルは、車載端末4の識別番号である「車載端末ID」、その車載端末4のIPアドレスである「端末アドレス」、その車載端末4が送迎管理サーバ1へログインする際の「パスワード」に関する情報を記憶・管理している。
【0071】
送迎車テーブルは、各送迎車Bに関する情報を管理するテーブルである。送迎車テーブルは、送迎車Bの識別番号である「送迎車ID」、その送迎車Bの「所属」(送迎先施設Dなど)、その送迎車Bの「車番」、その送迎車Bに搭載された車載端末4の「車載端末ID」に関する情報を記憶・管理している。
【0072】
送迎記録テーブルは、児童の送迎イベントに関する情報を管理するテーブルである。送迎記録テーブルは、送迎イベントを識別する識別番号である「送迎ID」、その送迎イベントに係る被送迎者である児童の「児童ID」、その送迎イベントに係る送迎車Bの「送迎車ID」、その送迎イベントで児童が送迎車Bに乗車した日時である「乗車日時」、その送迎イベントで児童が送迎車Bに乗車した位置(経度・緯度座標)である「乗車位置」、その送迎イベントで児童が送迎車Bから降車した日時である「降車日時」、その送迎イベントで児童が送迎車Bから降車した位置(経度・緯度座標)である「降車位置」、その送迎イベントで送迎車Bが移動した際の移動軌跡を記録したファイルのファイル名である「移動軌跡ファイル名」に関する情報を記憶・管理している。
【0073】
ここで、「送迎イベント」(transport event)とは、或る児童が、送迎車に乗車してから送迎先施設まで輸送され、送迎先施設で降車するまでの一連の出来事をいう。
【0074】
持物所持テーブルは、各持物タグTcの所持関係に関する情報を管理するテーブルである。持物所持テーブルは、その所持関係に係る持物に付された持物タグTcの「持物タグID」、その所持関係に係る持物を所持する児童の児童IDである「所持者ID」、その所持関係が生じた送迎イベントの「送迎ID」、その所持関係が生じた日時である「登録日時ID」、その所持関係が生じた位置(経度・緯度座標)である「登録位置」に関する情報を記憶・管理している。
【0075】
貸出タグテーブルは、各送迎車Bに備えられた貸与タグTrに関する情報を管理するテーブルである。貸出タグテーブルは、各貸与タグTrに記録された識別番号である「貸出タグID」に関する情報を記憶・管理している。
【0076】
タグ貸借テーブルは、各貸与タグTrの貸借関係に関する情報を管理するテーブルである。タグ貸借テーブルは、その貸借関係に係る貸与タグTrの「貸出タグID」、その貸借関係に係る児童の児童IDである「借受児童ID」、その貸借関係が生じた時刻である「貸出時刻」、その貸借関係が生じた位置(経度・緯度座標)である「貸出位置」、その貸借関係が解消した(貸与タグTrが返却された)日時である「返却日時」に関する情報を記憶・管理している。
【0077】
(3)送迎管理システムの動作
以上のように構成された本実施例の送迎管理システムについて、以下その動作を説明する。最初に、本発明の送迎管理システムに於ける名札タグと持物タグとの紐付け(以下「リレーション生成」(relationship creation)という。)の動作について説明する。
【0078】
(3.1)タグ所持児童に対するタグID間のリレーション生成
図4は、タグ所持児童が乗車する際の名札タグと持物タグとのリレーション生成の概念図である。前提条件として、タグ所持児童C(iは児童を区別する番号)は、名札タグTpを所持しており、また、名札タグ以外に、その児童の持物(帽子、靴、カバンなど)E(j=1,2,…,Ncは持物を区別する番号;Ncはタグ所持児童が所持する持物タグの数。)には持物タグTcが付されているものとする。
【0079】
まず、タグ所持児童Cが、送迎車Bの乗降口に立つと、乗降口に設置された乗降口RFIDリーダ6が、長距離無線通信(RFID)によりタグ所持児童が所持する名札タグTp及び持物タグ{Tc}の児童ID又は持物タグIDを読み取る。ここで読み取られた児童IDをID(C)とし、持物タグIDをID(E)(j=1,2,…,Nc)とする。ここで、乗降口RFIDリーダ6の読み取り範囲は、送迎車Bの乗降口の乗車口ユニット5の手前の領域に限定し、送迎車Bの乗降口に立つ児童の無線タグのみが読み取られるようにする。
【0080】
児童ID ID(C)が読み取られたことにより、車載端末4は、タグ所持児童Cが乗車したことを検知すると、乗車口ユニット5のNFCリーダ5aのアンテナ面に備えたLEDライトを点滅させて、乗車口ユニット5のスピーカ5bにより「名札タッチ指示」を音声出力する。「名札タッチ指示」(name tag touch instruction)とは、タグ所持児童Cに対してNFCリーダ5aに自己の所持する名札タグを近接させるよう指示する音声指示をいう。「名札タッチ指示」は、例えば、「名札をココにタッチしてね。」などの音声指示である。
【0081】
これに対して、タグ所持児童Cは、自分が所持する名札(名札タグTp)をNFCリーダ5aにタッチ(近接)させる。これにより、NFCリーダ5aにより児童ID ID(C)が読み取られ、タグ所持児童C本人による児童ID ID(C)及び持物タグID {ID(E)}の自己同定が行われることになる。ここで、「自己同定」(self-identifying)とは、被送迎者(児童)が自ら、或る無線タグがその被送迎者自身が所持するものであることを特定すること、即ち、被送迎者が自ら無線タグと自己との同一性を特定することをいう。この自己同定を行うことで、児童ID ID(C)及び持物タグID {ID(E)}がタグ所持児童Cと同一視可能であることを確実なものとすることができる。
【0082】
また、「名札タッチ指示」に対してタグ所持児童Cが、自分の名札(名札タグTp)をNFCリーダ5aにタッチ(近接)すると、車載端末4は送迎管理データベース21からタグ所持児童Cの氏名を索出し、車載端末4は乗車口ユニット5のスピーカ5bから挨拶音声を出力する。挨拶音声は、例えば、「○○さんおはよう」、「○○くんヤッホー」(「○○」には児童の氏名が入る。)などである。また、挨拶音声に続けて、児童が面白がるようなオマケ音声を追加出力する。オマケ音声は、例えば、「コケコッコー」のようなニワトリの鳴き声、「ワンワン」のような犬の鳴き声や、短い音楽などである。このように、児童が名札(名札タグTp)をNFCリーダ5aにタッチする行為に対して挨拶音声やオマケ音声を出力させることで、児童に対し楽しみ感・娯楽感を与え、児童が自ら名札をタッチをするような自発的な行動変容を促すようナッジングする。また、挨拶音声とオマケ音声は、児童が名札(名札タグTp)をNFCリーダ5aにタッチさせる毎に毎回異なるものに変化させる。これにより、さらにゲーム感が高められ、児童の自発的な名札タッチをナッジングする。ここで、「ナッジ」(nudge)とは、行動科学の知見にもとづく工夫やしくみによって、人々が、人や社会にとってより望ましい行動を自発的に選択するよう促すことをいう。このように、挨拶音声やオマケ音声によるナッジを行うことで、児童が自ら積極的に自分の名札(名札タグTp)をNFCリーダ5aにタッチ(近接)するように促し、それぞれのタグ所持児童Cがより確実に自己同定を行うようにする。
【0083】
尚、タグ所持児童Cが、名札(名札タグTp)をNFCリーダ5aにタッチ(近接)することを忘れて送迎車Bに乗り込もうとした場合には、乗車口ユニット5のスピーカ5bから、警告のブザー音を発声させることで、タグ所持児童Cが確実に自己同定の行為を行うようにすることもできる。
【0084】
このようにして自己同定が行われると、車載端末4は、児童ID ID(C)を親ID、各持物タグID ID(E)(j=1,2,…,Nc)を子IDとして、リレーション生成を行い、送迎管理データベース21の持物所持テーブルへ保存する。このリレーション生成以降は、児童ID ID(C)又は持物タグID ID(E)(j=1,2,…,Nc)の何れかが車内RFIDリーダ7により検出されれば、タグ所持児童Cが検出されたと見做すことができる。また、児童の持物が日によって変化した場合でも、児童が送迎車Bに乗車する際に、児童IDと持物IDとの間のリレーション生成を行うことで、児童の持物の変化に柔軟に対応することができる。
【0085】
(3.2)タグ忘れ児童に対するタグID間のリレーション生成
次に、タグ忘れ児童に対するリレーション生成について説明する。図5は、タグ忘れ児童が乗車する際の名札タグと持物タグとのリレーション生成の概念図である。前提条件として、タグ忘れ児童は、名札タグを持って来るのを忘れて名札タグを所持しておらず、また、その児童の持物(帽子、靴、カバンなど)E(j=1,2,…,Ncは持物を区別する番号;Ncはタグ所持児童が所持する持物タグの数。)には持物タグTcが付されているものとする。
【0086】
まず、タグ忘れ児童Cが、送迎車Bの乗降口に立つと、乗降口に設置された乗降口RFIDリーダ6が、長距離無線通信(RFID)によりタグ忘れ児童が所持する持物タグ{Tc}の持物タグIDを読み取る。ここで読み取られた持物タグIDをID(E)(j=1,2,…,Nc)とする。ここで、乗降口RFIDリーダ6の読み取り範囲は、送迎車Bの乗降口の乗車口ユニット5の手前の領域に限定し、送迎車Bの乗降口に立つ児童の無線タグのみが読み取られるようにする。
【0087】
持物タグID ID(E)(j=1,2,…,Nc)が読み取られたことにより、車載端末4は、児童が乗車したことを検知する。また、このとき同時に児童IDが読み取られないことにより、車載端末4は、乗車した児童が「タグ忘れ児童」であると判定する。尚、児童が乗車したことをより確実に検知するため、乗車口ユニット5に、乗車口ユニット5の前に人が居ることを検出する人感センサを設けておき、持物タグID ID(E)(j=1,2,…,Nc)が読み取られ、且つ人感センサにより人が検出されることで、児童が乗車したことを検知するようにしてもよい。
【0088】
次に、タグ忘れ児童Cの乗車が検出されると、車載端末4は、乗車口ユニット5のNFCリーダ5aのアンテナ面に備えたLEDライトを点滅させて、乗車口ユニット5のスピーカ5bにより「貸与タグ借受指示」を音声出力する。ここで、「貸与タグ借受指示」(rental tag borrowing instructions)とは、送迎車Bの乗降口に備えられた貸与タグTrを取り乗車口ユニット5のNFCリーダ5aに該貸与タグTrを近接(タッチ)するよう指示する音声指示をいう。ここで、貸与タグTrは、名札と同様の貸与札のような形態で、例えば、図5に示すように、送迎車Bの乗降口に備えられた網ポケットである「貸出名札入れ」のような入れ物に入れて、複数個常備されているものとする。「貸与タグ借受指示」は、例えば、「貸出名札入れの名札をとって、ココにタッチしてね。」などの音声指示である。
【0089】
これに対して、タグ忘れ児童Cは、借り受けた貸与タグTrをNFCリーダ5aにタッチ(近接)させる。これにより、NFCリーダ5aにより貸与タグID ID(Tr)(kは貸与タグの番号)が読み取られる。車載端末4は、貸与タグID ID(Tr)が読み取られると、乗車口ユニット5のスピーカ5bから挨拶音声を音声出力し、続けて、「名前入力指示」を音声出力する。ここで、「名前入力指示」(name input instruction)とは、被送迎者(児童)に対し乗車口ユニット5のマイク5cに向かい自己の名前を発話するよう指示する音声指示をいう。この「名前入力指示」は、例えば、「お名前をおしえて。」などの音声指示である。
【0090】
これに対して、タグ忘れ児童Cは、マイク5cに向かって、例えば、「山田太郎です。」のように、自分の名前を発話入力する。車載端末4は、マイク5cから入力された音声をテキスト変換してタグ忘れ児童Cの名前を抽出し、送迎管理データベース21の児童テーブルに登録された各児童の名前と照合することで、タグ忘れ児童Cの児童IDを特定する。
【0091】
ここで、先に乗降口RFIDリーダ6で読み取られたタグ忘れ児童Cの持物タグID ID(E)について、過去に児童IDと紐付けられた履歴が送迎管理データベース21の持物所持テーブルに保存されている場合には、持物タグID ID(E)とそれに紐付けられた児童IDとのリレーションの履歴から、タグ忘れ児童Cの児童IDを推定するようにしてもよい。この場合でも、タグ忘れ児童Cの児童IDの特定を確実なものとするため、確認のため、「名前入力指示」を音声出力し、それに対するタグ忘れ児童Cからの発話入力から、タグ忘れ児童Cの児童IDを特定するようにすることが好ましい。
【0092】
尚、タグ忘れ児童Cの児童ID ID(C)が特定されると、車載端末4から送迎管理サーバ1へこの児童ID ID(C)が送信され、送迎管理サーバ1は、タグ忘れ児童Cの保護者Pの保護者端末3に対して、貸与タグTrを貸し出した旨の確認メールが送信される。
【0093】
このように、タグ忘れ児童Cの場合、送迎車Bに乗車する際に乗降口で借り受ける貸与タグTrをNFCリーダ5aにタッチすることと、「名前入力指示」に対しマイク5cから自分の名前を発話入力することの2つの動作によって、タグ忘れ児童C本人による児童ID ID(C)及び持物タグID {ID(E)}並びに貸与タグID ID(Tr)の自己同定が行われることになる。この自己同定を行うことで、児童ID ID(C)及び持物タグID {ID(E)}並びに貸与タグID ID(Tr)がタグ忘れ児童Cと同一視可能であることを確実なものとすることができる。
【0094】
また、タグ忘れ児童Cの児童IDが特定されると、タグ所持児童の場合と同様に、車載端末4は乗車口ユニット5のスピーカ5bから挨拶音声(例えば、「○○さんおはよう」、「○○くんヤッホー」など。)及びオマケ音声(例えば、「コケコッコー」、「ワンワン」など。)を出力する。このように、児童が貸与タグTrをNFCリーダ5aにタッチし、自分の名前を発話入力する行為に対して挨拶音声やオマケ音声を出力させることで、児童に対し楽しみ感・娯楽感を与え、児童が自ら名札をタッチをするような自発的な行動変容を促すようナッジングする。
【0095】
尚、タグ忘れ児童Cが、貸与タグTrをNFCリーダ5aにタッチ(近接)することを忘れたり、自分の名前を発話入力することを忘れて送迎車Bに乗り込もうとした場合には、乗車口ユニット5のスピーカ5bから、警告のブザー音を発声させることで、タグ忘れ児童Cが確実に自己同定の行為を行うようにすることもできる。
【0096】
(3.3)児童の乗車時に於けるシステム動作
次に、以上のようなタグ所持児童/タグ忘れ児童に対してタグID間のリレーションを生成する処理に関して、本実施例の送迎管理システムが行うシステム動作について具体的に説明する。図6は、タグ所持児童/タグ忘れ児童が乗車する際の名札タグと持物タグとのリレーション生成時のシステム動作を表すフローチャートである。
【0097】
まず、ステップS1において、児童Cが、送迎乗車地点(児童Cが通園時にいつも送迎車Bに乗車する地点)において、送迎車Bの乗降口に乗り込むと、車載端末4のタグ同定手段22は乗降口RFIDリーダ6により児童Cが所持する無線タグのタグIDを検出する。ここで、児童Cがタグ所持児童であれば、乗降口RFIDリーダ6は児童Cの名札タグと持物タグのタグID{ID(C),{ID(E)}}を検出し、児童Cがタグ忘れ児童であれば、乗降口RFIDリーダ6は児童Cの持物タグのタグID{ID(E)}を検出する。
【0098】
次いで、ステップS2において、タグ同定手段22は、名札タグのタグID(児童ID) ID(C)が検出されたか否かを判定する。検出された場合には、次のステップS3に進み、検出されない場合には、後述のステップS21に進む。
【0099】
タグID(児童ID) ID(C)が検出された場合(児童Cがタグ所持児童の場合)、ステップS3に於いて、名札タッチ指示手段26は、乗車口ユニット5のNFCリーダ5aのアンテナ面に備えたLEDライトを点滅させるとともに、乗車口ユニット5のスピーカ5bにより「名札タッチ指示」を音声出力する。そして、児童CがNFCリーダ5aに名札タグTpをタッチさせる(近接させる)のを待つ(ステップS4)。児童CがNFCリーダ5aに名札タグTpをタッチし、NFCリーダ5aが名札タグTpのタグID ID(C)を検出すると、タグ同定手段22は、送迎管理データベース21の児童テーブルから、ID(C)に対応する児童Cの氏名を索出し、索出した氏名を用いて、前述の挨拶音声及びオマケ音声を生成し、乗車口ユニット5のスピーカ5bから出力する(ステップS5)。そして、タグ同定手段22は、児童ID ID(C)を親ID、各持物タグID ID(E)(j=1,2,…,Nc)を子IDとしてリレーションの生成を行い、送迎管理データベース21の持物所持テーブルへ保存して(ステップS6)、次のステップS7へ進む。尚、ステップS6に於いて、送迎管理データベース21の持物所持テーブルへ児童IDと各持物タグIDのリレーションを保存する際には、該リレーションが生成された日時(登録日時)及び場所(登録位置)(GNSS測位機4bでリレーション生成と同時刻に測位される経度・緯度座標)も同時に保存される。また、車載端末4は、送迎管理データベース21の送迎記録テーブルに、乗車した児童Cの送迎イベントに対する新規レコードが生成され、生成された新規レコードに、児童Cの児童ID ID(C)、該送迎車Bの送迎車ID、児童Cが乗車した日時及び場所が保存され、乗車した児童Cに対する「移動軌跡ファイル」が新規生成されてそのファイル名が送迎記録テーブルの前記新規レコードに保存される。
【0100】
一方、タグID ID(C)が検出されなかった場合(児童Cがタグ忘れ児童の場合)、ステップS21に於いて、車載端末4の貸与タグ借受指示手段24は、乗車口ユニット5のNFCリーダ5aのアンテナ面に備えたLEDライトを点滅させて、乗車口ユニット5のスピーカ5bにより「貸与タグ借受指示」を音声出力する。そして、児童CがNFCリーダ5aに貸与タグTrをタッチさせる(近接させる)のを待つ(ステップS22)。児童CがNFCリーダ5aに貸与タグTrをタッチし、NFCリーダ5aが貸与タグTrのタグID ID(Tr)を検出すると、車載端末4の借受者特定手段25は、乗車口ユニット5のスピーカ5bから挨拶音声を音声出力し、続けて、「名前入力指示」を音声出力する(ステップS23)。そして、借受者特定手段25は、児童Cが乗車口ユニット5のマイク5cから自分の名前を発話入力のを待つ(ステップS24)。マイク5cから児童Cにより音声が入力されると、借受者特定手段25は、音声認識エンジンにより該音声をテキストに変換し、変換されたテキストと送迎管理データベース21の児童テーブルに登録された各児童の氏名とを照合することで、児童Cの氏名を特定する(ステップS25)。ここで、児童Cの氏名が特定できなかった場合には(ステップS26)、ステップS23に戻り、特定できた場合には(ステップS26)、次のステップS27へ進む。
【0101】
ステップS27に於いて、車載端末4のタグ同定手段22は、特定した児童Cの氏名を用いて、前述の挨拶音声及びオマケ音声を生成し、乗車口ユニット5のスピーカ5bから出力する。そして、タグ同定手段22は、特定した氏名の児童Cに係る児童ID ID(C)を親ID、各持物タグID ID(E)(j=1,2,…,Nc)を子IDとしてリレーションの生成を行い、送迎管理データベース21の持物所持テーブルへ保存し、また、児童ID ID(C)を貸与タグTrのタグID ID(Tr)に紐付けて、送迎管理データベース21のタグ貸借テーブルへ保存する(ステップS28)。尚、ステップS28に於いて、送迎管理データベース21の持物所持テーブルへ児童IDと各持物タグIDのリレーションを保存する際には、該リレーションが生成された日時(登録日時)及び場所(登録位置)(GNSS測位機4bでリレーション生成と同時刻に測位される経度・緯度座標)も同時に保存される。また、ステップS28に於いて、送迎管理データベース21のタグ貸借テーブルへ児童Cの児童IDと貸与タグTrのタグIDを紐付けるリレーションを保存する際には、該リレーションが生成された日時(貸出時刻)及び場所(貸出位置)(GNSS測位機4bでリレーション生成と同時刻に測位される経度・緯度座標)も同時に保存される。また、車載端末4は、送迎管理データベース21の送迎記録テーブルに、乗車した児童Cの送迎イベントに対する新規レコード(新規の送迎イベントレコード)が生成され、生成された送迎イベントレコードに、児童Cの児童ID ID(C)、該送迎車Bの送迎車ID、児童Cが乗車した日時及び場所が保存され、乗車した児童Cに対する「移動軌跡ファイル」が新規生成されてそのファイル名が送迎記録テーブルの前記新規レコードに保存される。
【0102】
次いで、車載端末4は、送迎管理サーバ1へ、「貸与タグ貸出通知」とともにこの児童ID ID(C)と貸与タグTrのタグID ID(Tr)を送信し、送迎管理サーバ1のタグ貸出通知手段44は、タグ忘れ児童Cの保護者Pの保護者端末3に対して、貸与タグTrを貸し出した旨の確認メールを送信する(ステップS29)。そして、次のステップS7へ進む。
【0103】
ステップS7に於いて、車載端末4の乗降車通知手段27は、ステップS6又はステップS27に於いて更新した送迎管理データベース21の更新分のトランザクションを送迎管理サーバ1へ送信し、送迎管理サーバ1は、車載端末4から送信された該トランザクションにより送迎管理データベース40を更新することで、送迎管理データベース40を送迎管理データベース21と同期させる。また、送迎管理サーバ1の乗車通知手段41は、乗車した児童Cの保護者Pの保護者端末3に対して、児童Cが送迎車Bに乗車した旨の「乗車通知」を送信する。
【0104】
(3.4)自己同定によるタグID間のリレーション生成とその効用
図7は、図6の処理により生成される児童Cの所持する無線タグのタグID間のリレーションを示す図である。図7(a)はタグ所持児童の場合の無線タグのタグID間のリレーションを示す図、図7(b)はタグ忘れ児童の場合の無線タグのタグID間のリレーションを示す図である。
【0105】
タグ所持児童の場合、児童Cが送迎車Bの乗降口で、自分が所持する名札タグTpを乗車口ユニット5のNFCリーダ5aにタッチ(近接)させることで自己同定が行われて、該名札タグTpと児童Cが身につけている各持物E(j=1,…,N)に付された持物タグTcとの間の一対多のリレーションが生成される。即ち、各持物Eは児童Cの持ち物として紐付けられる。この場合、名札タグTpに記録されているタグID(児童ID) ID(C)を親IDとし、児童Cの持物Eの持物タグTcに記録されているタグID(持物ID) ID(E)を子IDとしてリレーションが生成される。そして、送迎車Bの車中に於いて車内RFIDリーダ7が、又は管理施設Mに於いて送迎先施設内RFIDリーダ8が、ID(C)又はID(E)(j=1,…,N)の何れかを検出した場合には、児童Cが検出されたものとみなされる。
【0106】
一方、タグ忘れ児童の場合、児童Cが送迎車Bの乗降口で、借り受けた貸与タグTrを乗車口ユニット5のNFCリーダ5aにタッチ(近接)させ、乗車口ユニット5のマイク5cから自分の名前を発話入力することで自己同定が行われて、該児童Cと貸与タグTrとの一対一のリレーション及び貸与タグTr(児童C)と児童Cが身につけている各持物E(j=1,…,N)に付された持物タグTcとの間の一対多のリレーションが生成される。即ち、児童Cと貸与タグTrが一対一対応に紐付けられ、各持物Eは児童Cの持ち物として紐付けられる。この場合、名札タグTpに記録されているタグID(児童ID) ID(C)(又は貸与タグTrに記録されているタグID ID(Tr))を親IDとし、児童Cの持物Eの持物タグTcに記録されているタグID(持物ID) ID(E)を子IDとしてリレーションが生成される。そして、送迎車Bの車中に於いて車内RFIDリーダ7が、又は管理施設Mに於いて送迎先施設内RFIDリーダ8が、ID(Tr)又はID(E)(j=1,…,N)の何れかを検出した場合には、児童Cが検出されたものとみなされる。
【0107】
このように、複数の無線タグを用いて車内に於ける児童Cの位置を検出することで、無線タグが車内RFIDリーダ7の検出範囲の死角に位置することによる検出漏れを防止できる。例えば、児童Cの無線タグが、児童の名札に付された名札タグのみであれば、児童Cが車内で睡眠状態にあり名札が児童Cの体躯の下となっていた場合には、名札タグは車内RFIDリーダ7の検出範囲の死角に位置し児童Cを検出することはできないが、児童Cの無線タグが、帽子や鞄や靴など、児童の持物にも付されていれば、名札タグ又は何れかの持物タグが一つでも車内RFIDリーダ7で検出されれば、児童Cの位置を検出できることになる。
【0108】
また、名札を忘れた児童に対しては、乗車時に貸与タグTrを貸し出し、貸与タグTrと児童Cとの一対一のリレーションを送迎管理データベース21(及び送迎管理データベース40)に登録することで、仮に児童Cが名札を自宅に忘れてきた場合でも、児童Cがわざわざ自宅に名札を取りに戻らなくても、児童Cの位置の検出を正常に行うことが可能となる。
【0109】
また、児童Cの位置検出にあたっては、親IDが子IDよりも優先される。すなわち、優先順位は(親ID)>(子ID)となる。従って、例えば、児童Cが送迎車B内に持物の帽子を忘れて送迎先施設Dで送迎車Bから下車した場合、送迎先施設内RFIDリーダ8で児童Cの名札タグTpのタグID ID(C)が検出されるとともに、車内RFIDリーダ7で児童Cの持物(帽子)の持物タグTcのタグID ID(E)が検出されるが、この場合、上記優先順位により、児童Cの位置は送迎先施設D内となるので正常な位置検出を行うことが出来る。このとき、送迎車BでタグID ID(E)が検出されたことで、児童Cは送迎車Bの車内に持物Eを置き忘れたことを検出することもできる。
【0110】
また、持物タグについては、児童Cが送迎車Bに乗車する際に名札タグTpとのリレーションを生成することにより、事前に名札タグTpのみ児童Cの所有物であることを送迎管理データベース21(及び送迎管理データベース40)に登録しておけばよく、各持物タグTcについては、各児童との所有関係を事前に登録しておく必要はない。従って、持物タグTcについては、タグIDを事前登録することなく各児童の保護者に自由に配付して、保護者は自由に児童の持物に持物タグTcを付すことが出来るため、持物タグTcについての取り扱いが簡便となり、利便性が向上する。
【0111】
また、持物タグTcについては、その持物タグTcの所有関係は問わないこととしたことにより、児童の位置の誤検出を回避できるというメリットもある。例えば、図8では、送迎車Bに乗車する児童Cが、自分の名札タグTpと自分の持物E(j=1,…,N)に付された持物タグTcを所持しており、さらに、拾い物(又は忘れ物)として他の児童Cの持物Eに付された持物タグTcを所持している場合を示している。若し、持物タグTc(j=1,…,N),Tcの所有者を事前登録して、そのタグIDの検出によって各児童の位置を検出することとした場合には、児童Cと児童Cが検出されたことになり、乗車していない児童Cが誤検出されることになる。一方、本実施例の送迎管理システムでは、児童Cが送迎車Bに乗車する際に自己同定を行うことによって、児童Cの各持物Eと児童Cの持物Eは、すべて児童Cの持物として紐付けられる。これにより、乗車していない児童Cが誤検出されることはない。
【0112】
また、各持物に付す持物タグTcの所有関係は問わないことにより、例えば、児童Cに弟妹がおり、児童Cの持物(服や帽子など)を弟や妹にお下がりとして移譲した場合でも、移譲した持物の持物タグTcのタグIDを登録し直したり、持物タグTcを交換したりすることが不要となるため、利便性が向上する。
【0113】
(3.5)児童の輸送時及び降車時に於けるシステム動作
図9は、児童の輸送時に於ける送迎管理システムの動作を表すフローチャートである。ステップS41に於いて、車載端末4のGNSS測位機4bは、各時刻tに於いて車載端末4(即ち、送迎車B)の現在位置(現在の経度・緯度)を測位・出力し、時計4aが現在時刻を出力する。ステップS42に於いて、車載端末4は、車内RFIDリーダ7により、車内にある無線タグ(名札タグTp,持物タグTc,貸与タグTr)のタグIDとその位置を検出する。尚、車内に於ける無線タグの位置については、車内RFIDリーダ7のアレイアンテナを用いて、フェーズドアレイによるビームステアリング走査(beam steering scanning)(送受信したい電波の向きに合わせて最大の指向性を生成しながら走査すること)によって各無線タグからの電波の到来方向の検出も行い、アレイアンテナの設置位置と到来方向から無線タグの位置を算出する。ステップS43に於いて、車載端末4の現在地通知手段28は、該時刻tに於いて(現在位置,現在時刻)と検出したタグIDを、通信回線Nを介して送迎管理サーバ1へ送信し、ステップS44へ進む。
【0114】
ステップS51に於いて、送迎管理サーバ1は、車載端末4から(現在位置,現在時刻)と検出したタグIDを受信すると、ステップS52に於いて、受信した各タグIDから、送迎車Bに乗車している児童Cを特定する。ここで、受信したタグIDに含まれている児童IDに対応する児童は、送迎車Bに乗車している児童とされる。また、送迎管理データベース40のタグ貸借テーブルに於いて、受信したタグIDに含まれている貸与タグTrに紐付けられた児童IDに対応する児童のうち降車していない児童は、送迎車Bに乗車している児童とされる。さらに、送迎管理データベース40の持物テーブルに於いて、受信したタグIDに含まれている持物タグTcに紐付けられた児童IDに対応する児童のうち降車していない児童は、送迎車Bに乗車している児童とされる。そして、送迎車Bに乗車していると特定された各児童Cに対する「移動軌跡ファイル」に、受信した(現在位置,現在時刻)の情報を追記する。
【0115】
ステップS44に於いて、ステップS42で検出された各タグIDから、送迎車Bに乗車している児童Cを特定する。この児童Cの特定は、ステップS52で説明した通りである。次いで、車載端末4の乗降車通知手段27は、送迎管理データベース21の送迎記録テーブルを参照し、送迎車Bに現在乗車している児童の児童IDのリスト(乗車児童リスト)を生成し(この場合、各送迎イベントレコードのうち降車時刻,降車位置が空のレコードの児童IDを抽出したリストを生成する。)、乗車児童リストに含まれる児童IDのうち、送迎車Bに乗車していない児童Cを抽出し、これを「降車児童」(disembarked child)とする。次いで、ステップS45に於いて、乗降車通知手段27は、降車児童がいるか否かを判定し、降車児童がいる場合には、ステップS46に於いて、各降車児童に対し、降車時刻(=現在の時刻)及び降車位置(=現在位置)を、送迎記録テーブルの該降車児童の送迎イベントレコードに保存し、乗降車通知手段27は、送迎管理サーバ1に対し、降車通知とともに降車児童の児童IDのリスト(降車児童リスト)を送信し、ステップS41に戻る。
【0116】
ステップS53に於いて、送迎管理サーバ1は、車載端末4から降車通知及び降車児童リストを受信した場合、ステップS54に於いて、降車児童リストに含まれる各児童Cの保護者Pの保護者端末3及び施設内サーバ2に対して、該児童Cが送迎車Bから降車したことを通知する「降車通知」を配信し、また、各降車児童に対し、降車時刻(=現在の時刻)及び降車位置(=現在位置)を、送迎記録テーブルの該降車児童の送迎イベントレコードに保存する。
【0117】
以上のようにして、各児童Cが送迎車Bで移動している間は、移動している各児童C毎に、「移動軌跡ファイル」にその児童Cの移動軌跡が記録される。また、送迎車Bに乗車した児童が降車したとき、その児童の保護者の保護者端末3及び施設内サーバ2に対して「降車通知」が配信される。これにより、児童が降車したことを、少なくとも送迎車Bの運転手(及び/又は添乗員)、児童の保護者、送迎先施設Dの職員の複数人によって確認がされる。
【0118】
なお、図9のフローチャートでは、ステップS44に於いて、送迎車Bに乗車した児童のうち、車内RFIDリーダ7により検出されなくなった児童がいた場合に、その児童を「降車児童」として検出する方法を採ったが、この方法以外に、送迎車Bに乗車した児童のうち、送迎先施設Dの送迎先施設内RFIDリーダ8において名札タグTpのタグID ID(C)が検出が検出された児童Cがいた場合に、その児童を「降車児童」として検出する方法を採ることもできる。この場合、送迎先施設Dの送迎先施設内RFIDリーダ8が児童Cの名札タグTpのタグID ID(C)を検出すると、施設内サーバ2はタグID ID(C)が検出されたことを通知する信号を送迎管理サーバ1に送信し、これを受けて送迎管理サーバ1が児童Cが降車したことを示す信号を車載端末4に送信し、これを受けて車載端末4は児童Cが降車したことを検出することとなる。この場合、児童Cが降車したことが検出された後に、送迎車Bの車内RFIDリーダ7により児童Cの持物タグTcのタグIDが検出された場合でも、児童Cの名札タグTpのタグID ID(C)のほうが、児童Cの持物タグTcのタグIDよりも優先されるため、児童Cは送迎先施設Dに居るとみなされ、児童Cは送迎車Bの車内に持物タグTcが付された持物を置き忘れていると判定される。斯かる場合、送迎車Bの車載端末4は、児童Cが送迎車Bの車内に持物タグTcが付された持物を置き忘れたことを示す信号である「忘れ物通知」(lost property notification)を送迎管理サーバ1へ送信し、送迎管理サーバ1は、該「忘れ物通知」を受信すると、児童Cの保護者Pの保護者端末3、及び/又は施設内サーバ2に対して、該「忘れ物通知」を配信するように構成することもできる。
【0119】
図10は、実施例1の送迎管理システムに於ける保護者端末からの児童の現在位置を確認する動作を表すフローチャートである。
【0120】
まず、ステップS61に於いて、或る児童Cの保護者Pにより、保護者Pの保護者端末3に対し、児童Cの現在の位置の配信を要求する「児童位置配信要求」(child location delivery request)が入力され、保護者端末3は、通信回線Nを介して「児童位置配信要求」を送迎管理サーバ1へ送信する。
【0121】
ステップS71に於いて、送迎管理サーバ1は、児童Cの保護者Pの保護者端末3から、「児童位置配信要求」を受信すると、ステップS72に於いて、送迎管理サーバ1の現在地通知手段28は、送迎管理データベース40から児童Cの児童IDを索出する。次いで、ステップS73に於いて、児童Cが送迎車Bに乗車している場合、現在地通知手段28は、送迎管理データベース40の送迎記録テーブルから、該児童Cの児童IDに対する送迎イベントレコードを取得し、該送迎イベントレコードの「移動軌跡ファイル」カラムから移動軌跡ファイルのファイル名を取得し、該移動軌跡ファイルから、現在の児童Cの位置(経度・緯度座標)を「児童位置」(child location)として取得する。児童が送迎車Bから降車している場合には、送迎管理データベース40の送迎記録テーブルから、児童Cの降車位置を「児童位置」として取得する。
【0122】
次いで、ステップS74に於いて、現在地通知手段28は、ステップS73で取得した「児童位置」を中心とする周辺の地図を地図データベース(図示せず)から取得し、地図上に「児童位置」を示す位置マーカを配置して地図情報を生成する。次いで、ステップS75に於いて、現在地通知手段28は、生成した地図情報を、通信回線Nを介して、保護者Pの保護者端末3へ配信する。
【0123】
ステップS62に於いて、保護者Pの保護者端末3は、送迎管理サーバ1から地図情報を受信し、ステップS63に於いて、保護者端末3は、受信した地図情報をディスプレイ3aに表示する。図11に、保護者端末3に表示される児童位置確認画面の例を示す。このように、保護者端末3のディスプレイ3aには、児童Cの周辺の地図が表示され、この地図上に児童Cの位置が位置マーカ3bとして表示される。これにより、保護者Pは児童Cが現在どこにいるのかを何時でも確認することが出来る。
【実施例0124】
(4)置き去り防止システム
図12は、本発明の実施例2に係る送迎管理システムの全体構成を表す図である。図13は、図12の送迎管理システムの機能的構成を表すブロック図である。図12図13に於いて、実施例1の図1図2と同様の構成部分については、同符号を付して説明を省略する。また、図12図13の送迎管理システムに関して、児童の乗車、降車、及び輸送時のシステム動作に関しては、実施例1と同様であり、説明を省略する。尚、本実施例では、送迎車Bの停止後の児童の車内への置き去り防止に関するシステムの構成及び動作を中心に説明する。
【0125】
図12に於いて、実施例2に係る送迎管理システムは、実施例1の構成に加えて、クラクション装置9及びドア開閉装置10が新たに追加されている。クラクション装置9は、クラクションの鳴動を行う装置であり、一般に「自動車用ホーン」と呼ばれる装置である。このクラクション装置9は、音で周囲に自車の存在を知らせ、事故を防ぐために、自動車に標準的に設置されている装置である。ドア開閉装置10は、送迎車Bの乗降口のドアの開閉を行う装置であり、一般に、バスやタクシーなどに設けられている空気圧シリンダによってドアを開閉する「車両用戸閉機」と呼ばれる装置である。
【0126】
図13に於いて、実施例2に係る送迎管理システムは、実施例1の構成に加えて、エンジン停止検出手段30、置去検出手段31、置去通知手段32、クラクション鳴動手段33、ドア開扉手段34、置去報知手段45を備えている。ここで、エンジン停止検出手段30、置去検出手段31、置去通知手段32、クラクション鳴動手段33、ドア開扉手段34は、送迎車Bに搭載された車載端末4に機能モジュールとして備えられており、置去報知手段45は、管理施設Mに設置された送迎管理サーバ1に機能モジュールとして備えられている。
【0127】
エンジン停止検出手段30は、送迎車Bのエンジンが停止されたことを検知する。これは、例えば、車載バッテリーの入出力電流などを電流センサで検出することで容易に実現できる。置去検出手段31は、送迎車Bのエンジンの停止後、所定の時間が経過した後に、車内被送迎者検出手段23により該送迎車Bの車内に位置する児童(被送迎者)の検出を行う。置去通知手段32は、置去検出手段31により児童(被送迎者)Cが検出された場合、通信回線Nを介して、「置去発生通知」を送信する。ここで、「置去発生通知」(abandonment occurrence notification)とは、送迎管理サーバ1に対し児童の置き去りが発生したことを通知する信号であり、報知された児童Cの児童IDに関する情報を含む信号である。
【0128】
クラクション鳴動手段33は、置去検出手段31により送迎車Bの車内で児童(被送迎者)が検出された場合、該送迎車Bのクラクション装置9によりクラクションを発鳴させる制御を行う。ドア開扉手段34は、置去検出手段31により送迎車Bの車内で児童(被送迎者)が検出された場合、該送迎車Bのドア開閉装置10により乗降口のドアを開扉する制御を行う。
【0129】
置去報知手段45は、車載端末4から「置去発生通知」を受信すると、該「置去発生通知」に含まれる児童IDに対応する児童Cの保護者Pの保護者端末3、及び児童Cの送迎先の施設内サーバ2へ、「置去発生警報」を送信する。ここで、「置去発生警報」(abandonment alarm)とは、送迎車Bに於いて児童(被送迎者)の置き去り事象が発生したことを報知して注意を促す知らせをいう。
【0130】
以上のように構成された本実施例の送迎管理システムについて、以下、送迎車Bの停止後の児童の車内への置き去り防止に関する動作について説明する。図14は、実施例2に係る送迎管理システムの児童の車内への置き去り防止に関する動作を表すフローチャートである。
【0131】
まず、ステップS81に於いて、車載端末4のエンジン停止検出手段30は、送迎車Bのエンジンが停止されたことを検知する。エンジン停止が検知されると、ステップS82に於いて、置去検出手段31は、置去検出時間Trを計時するための内部のタイマーをスタートさせる。ここで、「置去検出時間」とは、エンジンが停止してから送迎車の車内に残された置去児童の検出を開始するまでの時間をいう。置去検出時間Trは予め所定の時間に設定されるが、短すぎるとまだ降車が完了していないうちに置去児童の検出が開始されることとなり誤動作が生じ、長すぎると置去児童の発生の報知が遅くなって置去児童への負担が増すため、適度な時間に設定する。通常は、置去検出時間Trは10分~1時間程度に設定するのがよい。
【0132】
次いで、ステップS83に於いて、置去検出手段31は、置去検出時間Trが経過するまで待機し、置去検出時間Trが経過すると、ステップS84に於いて、置去検出手段31は、車内被送迎者検出手段23により送迎車Bの車内に位置する児童(被送迎者)の検出を行う。ここで、車内被送迎者検出手段23は、実施例1で説明したように、車内RFIDリーダ7により、送迎車Bの車内に取り残された置去児童Cが所持する名札タグTp(又は貸与タグTr)及び持物タグTcの児童ID ID(C)(又は貸与タグID ID(Tr))若しくは持物ID ID(E)を読み取り、読み取られた持物ID ID(E)を該持物ID ID(E)に紐付けられた児童ID ID(C)と同一と見做して(又は読み取られた貸与タグID ID(Tr)を該貸与タグID ID(Tr)に紐付けられた児童ID ID(C)と同一と見做して)、該送迎車Bの車内に位置する各児童Cの検出を行う。
【0133】
次いで、ステップS85に於いて、置去検出手段31は、送迎車Bの車内に取り残された置去児童Cが検出されたか否かを判定する。ここで、置去児童Cが検出されない場合には、置き去り防止に関する動作を終了し、検出された場合には、次のステップS84に進む。
【0134】
置去児童Cが検出された場合、ステップS86に於いて、車載端末4の置去通知手段32は、送迎管理サーバ1に対し「置去発生通知」を送信する。次いで、ステップS87に於いて、車載端末4のクラクション鳴動手段33は、送迎車Bのクラクション装置9により、送迎車Bのクラクションを繰り返し発鳴させて、送迎車Bの周囲に居る者に置去が発生したことを報知する。次いで、ステップS88に於いて、車載端末4のドア開扉手段34は、送迎車Bのドア開閉装置10により、送迎車Bの昇降口のドアを開扉させ、車内に取り残された置去児童Cが車外に自力で脱出がし易いようにして、置き去り防止に関する動作を終了する。
【0135】
一方、管理施設Mの送迎管理サーバ1に於いては、ステップS91に於いて、車載端末4から送信された「置去発生通知」を受信すると、ステップS92に於いて、該「置去発生通知」に含まれる置去児童Cの児童ID ID(C)に基づき、送迎管理データベース40の児童テーブル,保護者テーブル,及び保護者端末テーブルから、置去児童Cの保護者Pの保護者端末3の端末アドレスを取得する。そして、ステップS92に於いて、置去児童Cの保護者Pの保護者端末3及び児童Cの送迎先の施設内サーバ2へ、「置去発生警報」を送信する。
【0136】
以上のように、本実施例の送迎管理システムでは、送迎車Bのエンジン停止から一定時間(置去検出時間)が経過した後に於いて、一人の児童が複数所持する無線タグ(名札タグTp(又は貸与タグTr)及び持物タグTc)のうちの何れかが、車内RFIDリーダ7により検出されれば、送迎車Bの車内に取り残された置去児童Cを検出することができるため、これら全ての無線タグが車内RFIDリーダ7の受信範囲の死角とならない限りは置去児童Cを検出することができるため、置去児童Cを確実に検出することができる。また、置去児童Cを検出すると、送迎車Bのクラクションを繰り返し発鳴させて、送迎車Bの周囲に居る者に置去が発生したことを報知することで、第三者による置去児童Cの発見を促して、置去児童の確認漏れによるヒューマンエラーによる事故発生を防止することができる。また、置去児童Cを検出すると、送迎車Bの昇降口のドアを開扉することで、車内に取り残された置去児童Cが車外に自力で脱出がし易いようにするとともに、日中に於ける車内の過度な温度上昇を防止し、置去児童の確認漏れによるヒューマンエラーによる事故発生を防止することができる。さらに、置去児童Cを検出すると、送迎管理サーバ1施設内サーバ2保護者端末3へ、置去発生通知や置去発生警報を送信又は配信することで、置去児童の確認漏れによる車内への児童の置き去りを複数の者により監視することができ、多重監視によるヒューマンエラーによる自己発生の防止を行うことができる。また、複数の者に置去発生通知や置去発生警報が送信又は配信されるため、置去発生や点検の怠りが関係者に直ぐに発覚することとなり、送迎車Bの運転者又は添乗員に対して、置き去り防止確認を忘れないように注意するようにインセンティブが強く働くこととなる。
【符号の説明】
【0137】
1 送迎管理サーバ
2 施設内サーバ
3 保護者端末
4 車載端末
4a 時計
4b GNSS測位機
5 乗車口ユニット
5a NFCリーダ
5b スピーカ
5c マイク
6 乗降口RFIDリーダ
7 車内RFIDリーダ
8 送迎先施設内RFIDリーダ
9 クラクション装置
10 ドア開閉装置
21 送迎管理データベース
22 タグ同定手段
23 車内被送迎者検出手段
24 貸与タグ借受指示手段
25 借受者特定手段
26 名札タッチ指示手段
27 乗降車通知手段
28 現在地通知手段
30 エンジン停止検出手段
31 置去検出手段
32 置去通知手段
33 クラクション鳴動手段
34 ドア開扉手段
40 送迎管理データベース
41 乗車通知手段
42 降車通知手段
43 位置配信手段
44 タグ貸出通知手段
45 置去報知手段
B 送迎車
D 送迎先施設
M 管理施設
N 通信回線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14