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特開2024-165130判定装置、判定システム、判定装置の判定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165130
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】判定装置、判定システム、判定装置の判定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/89 20180101AFI20241121BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20241121BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20241121BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20241121BHJP
【FI】
F24F11/89
F24F7/007 B
F24F11/77
F24F11/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081019
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 拓也
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L056BE01
3L260BA12
3L260BA38
3L260CA17
3L260CB52
3L260CB53
3L260EA07
3L260EA09
3L260FC02
3L260FC03
3L260GA17
3L260HA01
(57)【要約】
【課題】空気質測定装置の設置位置に関する知識が少ないユーザであっても、空気質測定装置を適切な位置に設置することができる判定装置、判定システム、判定装置の判定方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】本開示における判定装置は、空気質測定装置により測定される室内空間の空気質の測定値を取得する取得部と、取得部が取得した測定値の変化に基づき、測定値を出力する空気質測定装置の室内空間における配置が適切か否かを判定する判定部と、判定部の判定結果を出力する出力部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気質測定装置により測定される室内空間の空気質の測定値を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記測定値の変化に基づき、前記測定値を出力する前記空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する出力部と、
を備える、判定装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記測定値と、前記測定値の測定時刻と、を取得し、
前記判定部は、
前記測定時刻が隣接する2つの前記測定値の差分を求めることで、前記測定値が示す値が増加する第1期間であるか、減少する第2期間であるかを判定し、
前記第1期間に測定される測定値の最小値である第1測定値と、前記第1期間に測定される測定値の最大値である第2測定値と、前記第1測定値及び前記第2測定値の測定時間の差と、に基づいて前記測定値の単位時間当たりの増加率を算出し、
又は、前記第2期間に測定される測定値の最大値である第3測定値と、前記第2期間に測定される測定値の最小値である第4測定値と、前記第3測定値及び前記第4測定値の測定時間の差と、に基づいて前記測定値の単位時間当たりの減少率を算出し、
前記測定値の単位時間当たりの増加率、又は、前記測定値の単位時間当たりの減少率に基づいて、前記空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定する、
請求項1記載の判定装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記単位時間当たりの増加率、又は、前記単位時間当たりの減少率が予め設定された第1しきい値以上であるか否かを判定し、
前記単位時間当たりの増加率、又は、前記単位時間当たりの減少率が前記第1しきい値以上であるとの判定が、予め設定された第2しきい値以上検出されると、前記空気質測定装置の前記室内空間における配置が不適切と判定する、
請求項2記載の判定装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記測定値と、前記測定値の測定時刻と、を取得し、
前記判定部は、
予め設定された期間内に測定された測定値の最大値と最小値と求め、前記測定値の最大値と最小値との差が、予め設定された第3しきい値以上であるか否かを判定し、
前記測定値の最大値と最小値との差が前記第3しきい値以上であるとの判定が、予め設定された第2しきい値以上検出されると、前記空気質測定装置の前記室内空間における配置が不適切と判定する、
請求項1記載の判定装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記測定値と、前記測定値の測定時刻と、を取得し、
前記判定部は、
予め設定された期間内に測定された前記測定値が、予め設定された第4しきい値以下であるか否かを判定し、
前記測定値が前記第4しきい値以下であるとの判定が、予め設定された第2しきい値以上検出されると、前記空気質測定装置の前記室内空間における配置が不適切と判定する、
請求項1記載の判定装置。
【請求項6】
前記判定部は、
予め設定された第3期間に測定された前記測定値に基づき、前記測定値が示す値の前記第3期間における変化の周期性を検出し、
前記第3期間とは異なり、前記第3期間よりも前の第4期間に測定された前記測定値に基づき、前記測定値が示す値の前記第4期間における変化の周期性を検出し、
前記第3期間における前記測定値が示す値の変化の周期性と、前記第4期間における前記測定値が示す値の変化の周期性とが異なると判定した場合に、前記空気質測定装置の前記室内空間における配置が不適切と判定する、
請求項1記載の判定装置。
【請求項7】
前記判定装置は、前記空気質測定装置内に配置される、請求項1記載の判定装置。
【請求項8】
室内空間の空気質を測定する空気質測定装置と、前記室内空間の空気質を調整する空気質調整装置と、情報処理装置と、を備え、
前記空気質調整装置は、
前記室内空間の空気質を調整する空気質調整部と、
前記空気質測定装置により測定される室内空間の空気質の測定値に基づき、前記空気質調整部を制御する制御情報を生成し、前記制御情報により前記空気質調整部を制御する制御部と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記制御情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記制御情報の変化に基づき、前記測定値を出力する空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する出力部と、
を備える、判定システム。
【請求項9】
前記空気質調整部は、回転ファンを備え、
前記判定部は、前記制御情報により、前記回転ファンを、予め設定された回転数以上で、予め設定された期間以上回転させたと判定した場合に、前記空気質測定装置の前記室内空間における配置が不適切と判定する、
請求項8記載の判定システム。
【請求項10】
空気質測定装置により測定される室内空間の空気質の測定値を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記測定値の変化に基づき、前記測定値を出力する空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を送信する送信部と、
を備える判定装置と、
前記判定装置から前記判定結果を受信する受信部と、
受信した前記判定結果を表示部に表示させる制御部と、
を備える表示装置と、
を備える判定システム。
【請求項11】
判定装置に搭載されたプロセッサが、
空気質測定装置により測定される室内空間の空気質の測定値を取得するステップと、
取得した前記測定値の変化に基づき、前記測定値を出力する空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定するステップと、
判定した結果を出力するステップと、
を実行する、判定装置の判定方法。
【請求項12】
コンピュータに、
空気質測定装置により測定される室内空間の空気質の測定値を取得する手順と、
取得した前記測定値の変化に基づき、前記測定値を出力する空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定する手順と、
判定した結果を出力する手順と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、判定装置、判定システム、判定装置の判定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、一定空間内での環境を計測する環境計測装置を開示する。
この環境計測装置は、環境計測センサと、走行部と、移動制御部と、中央制御部と、を備える。環境計測センサは、室内環境を表す環境要素の値を計測する。走行部は、環境計測センサを積載して走行する。移動制御部は、記走行部を駆動させて、予め定められた計測点に自装置を移動させる。中央制御部は、移動制御部が計測点に自装置を移動させると、環境計測センサが計測する環境要素の値を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-222657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、空気質測定装置を適切な位置に配置できるようにユーザを支援する判定装置、判定システム、判定装置の判定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の判定装置は、空気質測定装置により測定される室内空間の空気質の測定値を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記測定値の変化に基づき、前記測定値を出力する前記空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を出力する出力部と、を備える判定装置である。
【0006】
本開示の判定システムは、室内空間の空気質を測定する空気質測定装置と、前記室内空間の空気質を調整する空気質調整装置と、情報処理装置と、を備え、前記空気質調整装置は、前記室内空間の空気質を調整する空気質調整部と、前記空気質測定装置により測定される室内空間の空気質の測定値に基づき、前記空気質調整部を制御する制御情報を生成し、前記制御情報により前記空気質調整部を制御する制御部と、を備え、前記情報処理装置は、前記制御情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記制御情報の変化に基づき、前記測定値を出力する空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を出力する出力部と、を備える判定システムである。
【0007】
本開示の判定方法は、空気質測定装置により測定される室内空間の空気質の測定値を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記測定値の変化に基づき、前記測定値を出力する空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を送信する送信部と、を備える判定装置と、前記判定装置から前記判定結果を受信する受信部と、受信した前記判定結果を表示部に表示させる制御部と、を備える表示装置と、を備える判定システムである。
【0008】
本開示の判定装置の判定方法は、判定装置に搭載されたプロセッサが、空気質測定装置により測定される室内空間の空気質の測定値を取得するステップと、前記取得部が取得した前記測定値の変化に基づき、前記測定値を出力する空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定するステップと、判定の結果を出力するステップと、を実行する判定装置の判定方法である。
【0009】
本開示のプログラムは、コンピュータに、空気質測定装置により測定される室内空間の空気質の測定値を取得する手順と、前記取得部が取得した前記測定値の変化に基づき、前記測定値を出力する空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定する手順と、判定の結果を出力する手順と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示における判定装置、判定システム、判定装置の判定方法及びプログラムは、空気質測定装置の設置位置が適切か否かの判定結果が出力される。このため、空気質測定装置の設置位置が不適切である場合には、設置位置の変更を促すことができ、空気質測定装置を適切な位置に配置できるようにユーザを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1の空気質測定装置の構成を示すブロック図。
図2】CO濃度の時間変化を示す図。
図3】CO濃度の時間変化を示す図。
図4】空気質測定装置の動作を示すフローチャート。
図5】CO濃度の時間変化を示す図。
図6】CO濃度の時間変化を示す図。
図7】判定システムの構成を示すブロック図。
図8】実施の形態2の判定システムの構成を示すブロック図。
図9】空気質測定部の測定値を示す図。
図10】傾向成分を示すデータを示す図。
図11】季節成分を示すデータを示す図。
図12】ノイズ成分を示すデータを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、空気質測定装置により測定される室内空間の空気質に基づき、空調機器を制御する技術が知られていた。このような状況下において、空気質測定装置により測定される室内空間の空気質と、人の空気質の感じ方とが異なっていると、取得された計測値によって制御された空調は非効率かつ不快な空気を提供してしまう。このため、空気質測定装置の設置条件を網羅しつつ、取得した値がもっとも人の感じる空気質と近い位置に空気質測定装置を設置し、空気質測定装置の測定値に基づき空調機器を制御するという着想を得た。
そして、発明者らは、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0013】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明を省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0014】
(実施の形態1)
以下、図1図7を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
図1は、空気質測定装置100Aの構成を示すブロック図である。
空気質測定装置100Aは、空気質測定部110、第1表示部120及び第1制御部130を備える。第1表示部120及び第1制御部130は、判定装置として機能する。
【0015】
空気質測定部110は、空気質測定装置100Aを設置した室内空間の微粒子濃度を測定するセンサである。本実施形態では、空気質測定部110が、COの濃度を測定するセンサである場合について説明するが、空気質測定部110は、例えば、花粉センサやほこりセンサ、PM2.5センサであってもよい。空気質測定部110は、測定結果を示す測定値を第1制御部130に出力する。第1制御部130は、入力される測定値を第1記憶部140に記憶させる。
【0016】
第1表示部120は、液晶や有機EL(Electronic Luminescent)等の表示パネルを備える。第1表示部120は、第1制御部130が生成する画像データに基づく画像を表示パネルに表示させる。
【0017】
第1制御部130は、第1記憶部140と、第1プロセッサ150と、を備えるコンピュータ装置である。
【0018】
第1記憶部140は、揮発性の記憶装置と、不揮発性の記憶装置と、を備える。
揮発性の記憶装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)等によって構成される。不揮発性の記憶装置は、例えば、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリー、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等により構成される。
【0019】
揮発性の記憶装置は、第1プロセッサ150の演算領域として使用される。
不揮発性の記憶装置は、第1プロセッサ150が実行する制御プログラムを記憶する。
【0020】
第1プロセッサ150は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)等のプロセッサを備える演算処理装置である。第1プロセッサ150は、単一のプロセッサにより構成してもよいし、複数のプロセッサにより構成することも可能である。また、第1プロセッサ150は、第1記憶部140の一部又は全部や、その他の回路と統合されたSoC(System on a chip)により構成してもよい。また、第1プロセッサ150は、プログラムを実行するCPUと、所定の演算処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)との組合せにより構成してもよい。さらに、第1プロセッサ150は、第1プロセッサ150の機能の全てをハードウェアに実装した構成としてもよく、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。
【0021】
第1制御部130は、取得部151と、判定部153と、を機能ブロックとして備える。これらの機能ブロックは、第1プロセッサ150がROMに記憶されている制御プログラムや、RAMにロードされたプログラムを実行することで実現される機能である。
【0022】
取得部151は、空気質測定部110の測定値を第1記憶部140から読み出すことで取得する。取得部151は、取得した測定値を判定部153に出力する。
【0023】
判定部153は、取得部151が取得した測定値の変化に基づき、室内空間での空気質測定装置100Aの設置位置が適切であるか否かを判定する。
【0024】
図2及び図3は、CO濃度の時間変化を示す図である。
図2は、人と空気質測定装置100Aとの距離が予め設定された基準値よりも遠い場合のCO濃度の時間変化を示す図である。また、図3は、人と空気質測定装置100Aとの距離が予め設定された基準値よりも近い場合のCO濃度の時間変化を示す図である。
【0025】
まず、判定部153は、測定値が、CO濃度が増加する第1期間に測定された値であるのか、CO濃度が減少する第2期間に測定された値であるのか、を判定する。
図2には、線分l1と線分l2とを示す。
線分l1は、CO濃度が減少する第2期間に測定された測定点a2,a3,a4のうち、CO濃度が最大の測定点a2と、CO濃度が最小の測定点a4との2点を結ぶ線分である。
図2に示す測定点a1では、CO濃度が前回の測定値よりも増加状態にあるが、測定点a2では、CO濃度が前回の測定値よりも減少している。
また、図2に示す測定点a4では、CO濃度が前回の測定値よりも減少状態にあるが、測定点a5では、CO濃度が前回の測定値よりも増加している。
【0026】
同様に、線分l2は、CO濃度が減少する第2期間に測定された測定点a11,a12,a13,a14,a15,a16,a17のうち、CO濃度が最大の測定点a11と、CO濃度が最小の測定点a17との2点を結ぶ線分である。
図2に示す測定点a10では、CO濃度が前回の測定値よりも増加した状態にあるが、測定点a11では、CO濃度が前回の測定値よりも減少した状態に変化している。
また、図2に示す測定点a17では、CO濃度が前回の測定値よりも減少した状態にあるが、測定点a18では、CO濃度が前回の測定値よりも増加した状態に変化している。
【0027】
図3には、線分l3と線分l4とを示す。
線分l3は、CO濃度が減少する第2期間に測定された測定点b2,b3,b4、b5のうち、CO濃度が最大の測定点b2と、CO濃度が最小の測定点b5との2点を結ぶ線分である。
図3に示す測定点b1では、CO濃度が前回の測定値よりも増加しているが、測定点b2では、CO濃度が前回の測定値よりも減少している。
また、図3に示す測定点b5では、CO濃度が前回の測定値よりも減少しているが、測定点b6では、CO濃度が前回の測定値よりも増加している。
【0028】
同様に、線分l4は、CO濃度が減少する第2期間に測定された測定点b11,b12、CO濃度が最大の測定点b11と、CO濃度が最小の測定点b12との2点を結ぶ線分である。
図3に示す測定点b10では、CO濃度が前回の測定値よりも増加しているが、測定点b11では、CO濃度が前回の測定値よりも減少している。
また、測定点b12では、CO濃度が前回の測定値よりも減少しているが、測定点b13では、CO濃度が前回の測定値よりも増加している。
【0029】
線分l1及び線分l2と、線分l3及び線分l4との傾きを比較すると明らかなように、線分l3及びl4の傾きは、線分l1及びl2よりも大きい。
判定部153は、空気質測定装置100Aと要因との距離が基準値よりも近くなると、線分の傾きの大きさが、空気質測定装置100Aと要因との距離が基準値よりも遠い場合よりも大きくなる点に着目し、空気質測定装置100Aの配置位置が不適か否かを判定する。
【0030】
判定部153は、測定値を取得すると、今回取得した測定値と、前回取得した測定値との差を求める。今回、取得した測定値が、時刻tに測定され、CO濃度がCであると仮定する。また、前回取得した測定値が、時刻t-1に測定され、CO濃度がC-1であると仮定する。また、前々回取得した測定値が、時刻t-2に測定され、CO濃度がC-2であると仮定する。
【0031】
判定部153は、(C-2)―(C-1)が正の値をとり、(C-1)-(C)が負の値をとる場合、時刻tにおいて測定値が減少状態から増加状態に変化したと判定する。つまり、時刻t-1に測定されたCO濃度C-1が、第2期間に測定されたCO濃度であり、時刻tに測定されたCO濃度Cが、第1期間に測定されたCO濃度であると判定する。
また、判定部153は、(C-2)―(C-1)が負の値をとり、(C-1)-(C)が正の値をとる場合、時刻tにおいて測定値が増加状態から減少状態に変化したと判定する。
つまり、時刻t-1に測定されたCO濃度C-1が、第1期間に測定されたCO濃度であり、時刻tに測定されたCO濃度Cが、第2期間に測定されたCO濃度であると判定する。
【0032】
次に、判定部153は、同一の第1期間に測定された測定値のうち、CO濃度が最大の値と、CO濃度が最小の値とを取得する。
判定部153は、経過時間を横軸、CO濃度を縦軸とする2次元座標上に、同一の第1期間に測定された測定値のうち、CO濃度が最大の値と、CO濃度が最小の値とをプロットする。CO濃度が最小の測定値を、2次元座標上の測定点m0―1の測定値(t0―1、c0-1)と表し、CO濃度が最大の測定値を、2次元座標上の測定点mの測定値(t、c)と表す。
【0033】
次に、判定部153は、測定点m0―1の測定点(t0―1、c0-1)と、測定点mの測定点(t、c)とを結ぶ線分の傾きsを求める。傾きsは、(c0―1-c)/(t0―1-t)により求められる。第1期間に測定された測定値に基づいて算出される傾きsは、単位時間当たりの増加率に相当する。CO濃度が最小の値は、第1測定値に相当し、CO濃度が最大の値は、第2測定値に相当する。
【0034】
次に、判定部153は、算出した傾きsが、予め設定された第1しきい値以上であるか否かを判定する。判定部153は、傾きsが、予め設定された第1しきい値以上である回数をカウントするカウンタを備える。判定部153は、傾きsが、予め設定された第1しきい値以上である場合、カウンタのカウント値を1加算する。また、判定部153は、傾きsが、予め設定された第1しきい値よりも小さい場合、カウンタのカウント値をゼロクリアする。
【0035】
判定部153は、カウンタのカウント値を1加算すると、カウンタのカウント値が予め設定された第2しきい値以上であるか否かを判定する。判定部153は、傾きsが第1しきい値以上の状態が、第2しきい値として設定された回数以上、連続して検出されたか否かを判定する。判定部153は、カウンタのカウント値が第2しきい値以上である場合、空気質測定装置100Aの設置位置が不適切であると判定する。
【0036】
本実施の形態1では、同一の第1期間に測定された測定値のうち、CO濃度が最小の値と、CO濃度が最大の値とを取得して、これらの測定値の2次元座標上での位置に基づいて傾きsを求める場合について説明した。
判定部153は、同一の第2期間に測定された測定値のうち、CO濃度が最大の値と、CO濃度が最小の値とを取得して、これらの測定値の2次元座標上での位置に基づいて傾きsを求めてもよい。第2期間に測定された測定値に基づいて算出される傾きsは、単位時間当たりの減少率に相当する。CO濃度が最大の値は、第3測定値に相当し、CO濃度が最小の値は、第4測定値に相当する。
【0037】
図4は、空気質測定装置100Aの動作を示すフローチャートである。
図4に示すフローチャートを参照しながら空気質測定装置100Aの動作について説明する。
まず、第1制御部150は、不図示の空気質測定装置100Aの電源ボタンが押下され、空気質測定装置100Aの電源がオンされると(ステップS1)、空気質測定部110に、室内空間のCO濃度の測定を開始させる(ステップS2)。空気質測定部110の測定値は、第1記憶部140に記憶される。
【0038】
第1制御部130は、第1記憶部140から測定値を取得する(ステップS3)。取得した測定値が、時刻tに測定された今回の測定値(C)であると仮定する。次に、第1制御部130は、ステップS3で取得した今回の測定値(C)が、第1期間の測定値であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0039】
第1制御部130は、時刻t-2に測定された前々回のCO濃度C-2と、時刻t-1に測定された前回のCO濃度C-1との差が正の値をとり、前回のCO濃度C-1と、時刻tに測定された今回のCO濃度Cとの差が負の値をとる場合、時刻tにおいて測定値が減少状態から増加状態に変化したと判定する。つまり、第1制御部130は、前々回のCO濃度C-2と、時刻t-1に測定された前回のCO濃度C-1とが第2期間に測定された測定値であると判定し、時刻tに測定された今回のCO濃度Cが、第1期間に測定された測定値であると判定する(ステップS4/YES)。この場合、第1制御部130は、ステップS3で取得した測定値(C)と時刻tとを、第1期間の測定値として第1記憶部140に登録し(ステップS5)、ステップS3の処理に戻る。
【0040】
また、第1制御部130は、時刻t-2に測定された前々回のCO濃度C-2と、時刻t-1に測定された前回のCO濃度C-1との差が負の値をとり、前回のCO濃度C-1と、時刻tに測定された今回のCO濃度Cとの差が正の値をとる場合、時刻tにおいて測定値が増加状態から減少状態に変化したと判定する。つまり、第1制御部130は、前々回のCO濃度C-2と、時刻t-1に測定された前回のCO濃度C-1とが第1期間に測定された測定値であると判定し、時刻tに測定された今回のCO濃度Cが、第2期間に測定された測定値であると判定する(ステップS4/NO)。
【0041】
次に、第1制御部130は、第1記憶部140に第1期間の測定値が複数登録されているか否かを判定する(ステップS6)。第1制御部130は、第1記憶部140に第1期間の測定値が複数登録されていない場合(ステップS6/NO)、ステップS3の処理に戻る。
【0042】
また、第1制御部130は、第1期間の測定値が複数登録されている場合(ステップS6/YES)、同一の第1期間に測定された測定値のうち、CO濃度が最小の値と、CO濃度が最大の値とを取得する(ステップS5)。第1制御部130は、経過時間を横軸、CO濃度を縦軸とする2次元座標上に、CO濃度が最小の値と、CO濃度が最大の値とをプロットする。CO濃度が最小の測定値を、2次元座標上の測定点mα(tα、Cα)と仮定し、CO濃度が最大の測定値を、2次元座標上の測定点mβ(tβ、Cβ)と仮定する。第1制御部130は、測定点mα(tα、Cα)と、測定点mβ(tβ、Cβ)とを結ぶ線分の傾きsを求める(ステップS7)。傾きsは、(Cα-Cβ)/(tα-tβ)により求められる。
【0043】
次に、第1制御部130は、算出した直線の傾きsの絶対値が、第1しきい値以上であるか否かを判定する(ステップS8)。第1制御部130は、傾きsの絶対値が、第1しきい値以上ではない場合(ステップS8/NO)、カウンタの値をゼロクリアするとともに(ステップS10)、第1期間の測定値として登録した測定値をクリアし、ステップS3の処理に戻る。
【0044】
また、第1制御部130は、傾きsの絶対値が、第1しきい値以上である場合(ステップS8/YES)、カウンタの値を1カウントアップする(ステップS9)。
【0045】
次に、第1制御部130は、カウンタの値が第2しきい値以上であるか否かを判定する(ステップS11)。第1制御部130は、カウンタの値が第2しきい値以上ではない場合(ステップS11/NO)、第1期間の測定値として登録した測定値をクリアしてステップS3の処理に戻る。
【0046】
また、第1制御部130は、カウンタの値が第2しきい値以上である場合(ステップS11/YES)、空気質測定装置100Aの配置が不適切であると判定し、その旨を第1表示部120に表示させる(ステップS12)。
【0047】
次に、第1制御部130は、予め設定された操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS13)。予め設定された操作とは、例えば、空気質測定装置100Aの配置が不適切である旨の第1表示部120の表示を消去し、CO濃度の再測定の実行を指示する操作である。
【0048】
第1制御部130は、予め設定された操作を受け付けると(ステップS13/YES)、ステップS3の処理に戻る。また、第1制御部130は、予め設定された操作を受け付けていない場合(ステップS13/NO)、空気質測定装置100Aの電源をオフする操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS14)。第1制御部130は、空気質測定装置100Aの電源をオフする操作を受け付けていない場合(ステップS14/NO)、ステップS13の判定に戻る。また、第1制御部130は、空気質測定装置100Aの電源をオフする操作を受け付けると(ステップS14/YES)、この処理フローを終了させて動作を終了する。
【0049】
[変型例1]
図5及び図6は、CO濃度の時間変化を示す図である。
図5は、人と空気質測定装置100Aとの距離が予め設定された基準値よりも遠い場合のCO濃度の時間変化を示す図である。また、図6は、人と空気質測定装置100Aとの距離が予め設定された基準値よりも近い場合のCO濃度の時間変化を示す図である。
【0050】
上述した説明では、2つの変化点を結ぶ直線の傾きが、第1しきい値以上であるか否かを判定した。これ以外に、予め設定された設定期間内での測定値の最大値と、最小値とを検出する。
図5には、T1、T2、T3の連続する3つの期間におけるCO濃度の最大値と最小値とを示す。期間T1及びT3は、CO濃度が減少する第2期間に相当する。期間T2は、CO濃度が増加する第1期間に相当する。期間T1におけるCO濃度の最大値はd1であり、最小値はd2である。期間T2におけるCO濃度の最小値はd3であり、最大値はd4である。期間T3におけるCO濃度の最大値はd5であり、最小値はd6である。
【0051】
また、図6には、T4、T5、T6の連続する3つの期間におけるCO濃度の最大値と最小値とを示す。期間T4及びT6は、CO濃度が減少する第2期間に相当する。期間T5は、CO濃度が増加する第1期間に相当する。
期間T4におけるCO濃度の最大値はe1であり、最小値はe2である。期間T5におけるCO濃度の最大値はe3であり、最小値はe4である。期間T6におけるCO濃度の最大値はe5であり、最小値はe6である。
【0052】
図5図6とを比較すると明らかなように、期間T4におけるe1とe2とのCO濃度の差は、期間T1におけるd1とd2とのCO濃度の差よりも大きい。
同様に、期間T5におけるe3とe4とのCO濃度の差は、期間T2におけるd3とd4とのCO濃度の差よりも大きい。
同様に、期間T6におけるe5とe6とのCO濃度の差は、期間T3におけるd5とd6とのCO濃度の差よりも大きい。
【0053】
判定部153は、予め設定された期間内で検出したCO濃度の最大値と最小値との差が、予め設定された第3しきい値以上である場合、CO2濃度の変化が大きいと判定し、カウンタの値を1加算する。そして、判定部153は、カウンタの値が第2しきい値以上であるか否かを判定する。判定部153は、カウンタの値が第2しきい値以上である場合、空気質測定装置100Aの設置位置が不適切と判定し、設置位置が不適切である旨を第1表示部120に表示させる。
【0054】
また、判定部153は、予め設定された期間内に測定された測定値が、予め設定された第4しきい値以下であるか否かを判定してもよい。予め設定された期間は、実施の形態1で説明した第1期間や第2期間である。判定部153は、測定値が第4しきい値以下であるとの判定が、予め設定された第2しきい値以上検出されると、空気質測定装置の室内空間における配置が不適切と判定する。すなわち、CO濃度の変化が第4しきい値以下の状態が継続した場合も気質測定装置100Aの設置位置が不適切と判定し、設置位置が不適切である旨を第1表示部120に表示させる。
【0055】
[変形例2]
上述した実施の形態1では、空気質測定装置100Aが第1表示部120を備え、この第1表示部120に、空気質測定装置100Aの設置位置が不適切である旨の案内を表示させた。
図7には、空気質測定装置100Aと、情報処理装置200Aとを含む判定システム10の構成を示す。
変形例2の空気質測定装置100Aは、第1無線通信インターフェース170を備える。以下、インターフェースをI/Fと略記する。
【0056】
第1無線通信I/F170は、例えば、Bluetooth(登録商標)やZigBee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の近距離無線通信の通信規格に対応したインターフェース回路を備える。
【0057】
情報処理装置200Aは、例えば、ノート型やデスクトップ型、タブレット型等のパーソナルコンピュータである。また、情報処理装置200Aは、スマートフォンであってもよい。
【0058】
情報処理装置200Aは、第2無線通信I/F210、第2表示部220及び第2制御部230を備える。
【0059】
第2無線通信I/F210は、例えば、BluetoothやZigBee、Wi-Fi等の近距離無線通信の通信規格に対応したインターフェース回路を備える。
【0060】
第2表示部220は、液晶や有機EL等の表示パネルを備える。第2表示部220は、第2制御部230が生成する画像データに基づく画像を表示パネルに表示させる。
【0061】
第2制御部230は、不図示の記憶部とプロセッサとを備えるコンピュータ装置である。
【0062】
空気質測定装置100Aは、空気質測定装置100Aの設置位置が不適切であると判定すると、設置位置が不適切であることを通知するデータを情報処理装置200Aに送信する。
第2制御部230は、空気質測定装置100Aからデータを受信すると、受信したデータを第2表示部220に表示させる。これにより、情報処理装置200Aの第2表示部220には、空気質測定装置100Aの設置位置が不適切である旨のメッセージが表示される。
【0063】
[実施の形態2]
図8は、実施の形態2の判定システム30のシステム構成を示すブロック図である。
図8に示す判定システム30は、空気質測定装置100Bと、換気装置300Bと、情報処理装置200Bと、を備える。空気質測定装置100Bと、換気装置300Bと、情報処理装置200Bとは、ネットワーク50介して相互にデータ通信可能に接続される。ネットワーク50は、例えば、Wi-Fiルータ等のアクセスポイントにより形成されるネットワークである。
【0064】
空気質測定装置100Bは、空気質測定部110と、第1無線通信I/F170と、第1制御部130と、を備える。空気質測定部110及び第1無線通信I/F170は、上述した実施の形態1、及び変形例2で説明した構成と同一である。
【0065】
第1制御部130は、空気質測定装置100Bが配置された室内空間の空気質を空気質測定部110に測定させる。空気質測定部110は、所定の間隔ごとに室内空間の空気質を測定し、測定結果である測定値を第1制御部130に出力する。
【0066】
第1制御部130は、入力される測定値を、第1無線通信I/F170を介して換気装置300Bに送信する。
【0067】
換気装置300Bは、第3無線通信I/F310と、換気処理部320と、第3制御部330と、を備える。換気装置300Bは、室内空間の空気質を調整する空気質調整装置に相当する。
【0068】
第3無線通信I/F310は、例えば、Wi-Fi等の無線通信の通信規格に対応したインターフェース回路を備える。
【0069】
換気処理部320は、気流を生成する装置であり、不図示の給気ファン、排気ファン、弁及びフィルタ等を備える。換気処理部320は、第3制御部330から入力される制御情報に従って給気ファンや排気ファンを駆動し、換気装置300Bが設置された室内空間の空気を換気する。給気ファンや排気ファンは、回転ファンに相当する。換気処理部320は、室内空間の空気質を調整する空気質調整部に相当する。
【0070】
第3制御部330は、第3記憶部340と、第3プロセッサ350と、を備えるコンピュータ装置である。
【0071】
第3制御部330は、第3無線通信I/F310が空気質測定装置100Bから受信する測定値を第3記憶部340に記憶させる。
第3制御部330は、第3記憶部340に記憶させた測定値を読み出し、読み出した測定値に基づいて換気処理部320を制御する制御情報を生成する。この制御情報は、換気処理部320への電源供給のONとOFFとの切り換えと、給気ファン及び排気ファンに発生させる風量の設定と、換気装置300Bの換気モードの設定と、少なくとも1つを設定可能な情報である。例えば、第3制御部330は、空気質測定装置100Bの測定値に基づき、花粉やほこり、PM2.5等の濃度が、予め設定された値よりも高くなったと判定すると、換気処理部320の給気ファンや排気ファンを高回転させる制御情報を生成する。
【0072】
第3制御部330は、生成した制御情報を換気処理部320に出力すると共に、情報処理装置200Bに送信する。
【0073】
情報処理装置200Bは、図7に示す情報処理装置200Aと同一の構成であり、第2無線通信I/F210、表示部220及び第2制御部230を備える。
【0074】
第2制御部230は、第2記憶部240と、第2プロセッサ250と、を備えるコンピュータ装置である。
【0075】
第2記憶部240は、揮発性の記憶装置と、不揮発性の記憶装置と、を備える。
揮発性の記憶装置は、第2プロセッサ250の演算領域として使用され、不揮発性の記憶装置は、APP245を含む制御プログラムを記憶する。また、不揮発性の記憶装置は、換気装置300Bから受信した制御情報を記憶する。
【0076】
第2プロセッサ250は、CPUやMPU等のプロセッサを備える演算処理装置である。第2プロセッサ250は、単一のプロセッサにより構成してもよいし、複数のプロセッサにより構成することも可能である。また、第2プロセッサ250は、第2記憶部240の一部又は全部や、その他の回路と統合されたSoCにより構成してもよい。また、第2プロセッサ250は、プログラムを実行するCPUと、所定の演算処理を実行するDSPとの組合せにより構成してもよい。さらに、第2プロセッサ250は、第2プロセッサ250の機能の全てをハードウェアに実装した構成としてもよく、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。
【0077】
第2制御部230は、第2無線通信I/F210が換気装置300Bから受信する制御情報を第2記憶部240に記憶させる。
また、第2制御部230は、ユーザによりAPP245が選択されると、APP245を実行する。これにより第2制御部230は、取得部251及び判定部253として機能する。
【0078】
第2制御部230は、第2記憶部240から制御情報を読み込み、読み込んだ制御情報に基づき、空気質測定装置100Bの配置が不適であるか否かを判定する。第2制御部230は、制御情報に基づき、給気ファンや排気ファンの回転数が、予め設定された回転数以上の状態が、所定時間以上継続しているか否かを判定する。第2制御部230は、給気ファンや排気ファンの回転数が、予め設定された回転数以上の状態が、所定時間以上継続している場合、換気装置300Bが高負荷状態にあり、空気質測定装置100Bの設置位置が不適切であると判定する。
【0079】
また、第2制御部230は、予め設定された期間内に、給気ファンや排気ファンの回転数が、予め設定された回転数以上の状態が、予め設定された回数以上繰り返されているか否かを判定する。第2制御部230は、給気ファンや排気ファンの回転数が、予め設定された回転数以上の状態が、予め設定された回数以上繰り返されている場合、換気装置300Bが高負荷状態にあり、空気質測定装置100Bの設置位置が不適切であると判定する。
【0080】
[第3実施の形態]
この第3の実施の形態では、季節調整分解により、空気質測定部110の測定値から3つの成分を抽出する。1つ目の成分は、長期的な傾向を示す傾向成分を示すデータである。2つ目の成分は、任意の期間の周期性を示す季節成分を示すデータである。3つ目の成分は、季節調整分解によって発生するノイズ成分を示すデータである。
【0081】
図9には、空気質測定部110の測定値を示す。図10には、傾向成分を示すデータを示す。図11には、季節成分を示すデータを示す。図12には、ノイズ成分を示すデータを示す。図11に示す季節成分を示すデータは、季節成分の周期を1週間とすると、季節成分は曜日ごとの周期性を表す。1週間が第3期間に相当し、第3期間の前の1週間が第4期間に相当する。第1制御部130は、季節調整分解により抽出した季節成分のデータを第1記憶部140に記憶させる。
【0082】
次に、第1制御部130は、測定値を取得した当日を含む直近1週間の季節成分のデータと、直近1週間よりも前の1週間の季節成分のデータと、を比較する。第1制御部130は、例えば、動的時間伸縮法(DTW:Dynamic Time Warping)を使用して、季節成分のデータを比較する。動的時間伸縮法により、2つの時系列データである季節成分データの類似度が算出される。
【0083】
算出した類似度の値が、予め設定された設定値よりも小さい場合、直近1週間の季節成分のデータと、直近1週間よりも前の1週間の季節成分のデータとの周期性が類似していない。この場合、空気質測定装置100の配置場所の近傍で、什器のレイアウト等の環境が変化したことが考えられる。第1制御部130は、算出した類似度の値が、予め設定された設定値よりも小さい場合、空気質測定装置100の配置位置が不適切であるとの案内を表示部120に表示させる。また、第1制御部130は、情報処理装置200に、空気質測定装置100の配置位置が不適切であるとの案内を送信してもよい。
【0084】
[3.他の実施の形態]
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0085】
(構成1)
空気質測定装置により測定される室内空間の空気質の測定値を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記測定値の変化に基づき、前記測定値を出力する前記空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する出力部と、
を備える、判定装置。
【0086】
この構成によれば、空気質測定装置の設置位置が適切か否かの判定結果が判定装置により出力される。このため、空気質測定装置の設置位置が不適切である場合には、設置位置の変更を促すことができ、空気質測定装置の設置位置に関する知識が少ないユーザであっても、空気質測定装置を適切な位置に設置することができる。
【0087】
(構成2)
前記取得部は、前記測定値と、前記測定値の測定時刻と、を取得し、
前記判定部は、
前記測定時刻が隣接する2つの前記測定値の差分を求めることで、前記測定値が示す値が増加する第1期間であるか、減少する第2期間であるかを判定し、
前記第1期間に測定される測定値の最小値である第1測定値と、前記第1期間に測定される測定値の最大値である第2測定値と、前記第1測定値及び前記第2測定値の測定時間の差と、に基づいて前記測定値の単位時間当たりの増加率を算出し、
又は、前記第2期間に測定される測定値の最大値である第3測定値と、前記第2期間に測定される測定値の最小値である第4測定値と、前記第3測定値及び前記第4測定値の測定時間の差と、に基づいて前記測定値の単位時間当たりの減少率を算出し、
前記測定値の単位時間当たりの増加率、又は、前記測定値の単位時間当たりの減少率に基づいて、前記空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定する、
構成1記載の判定装置。
【0088】
この構成によれば、測定値の単位時間当たりの増加率、又は、測定値の単位時間当たりの減少率に基づいて、空気質測定装置の室内空間における配置が適切か否かが判定される。このため、空気質測定装置の室内空間における配置が適切か否かを精度よく判定することができる。
【0089】
(構成3)
前記判定部は、
前記単位時間当たりの増加率、又は、前記単位時間当たりの減少率が予め設定された第1しきい値以上であるか否かを判定し、
前記単位時間当たりの増加率、又は、前記単位時間当たりの減少率が前記第1しきい値以上であるとの判定が、予め設定された第2しきい値以上検出されると、前記空気質測定装置の前記室内空間における配置が不適切と判定する、
構成2記載の判定装置。
【0090】
(構成4)
前記取得部は、前記測定値と、前記測定値の測定時刻と、を取得し、
前記判定部は、
予め設定された期間内に測定された測定値の最大値と最小値と求め、前記測定値の最大値と最小値との差が、予め設定された第3しきい値以上であるか否かを判定し、
前記測定値の最大値と最小値との差が前記第3しきい値以上であるとの判定が、予め設定された第2しきい値以上検出されると、前記空気質測定装置の前記室内空間における配置が不適切と判定する、
構成1記載の判定装置。
【0091】
この構成によれば、予め設定された期間内に測定された測定値の最大値と最小値との差が、予め設定された第3しきい値以上であるとの判定が、第2しきい値以上の回数で出力されると、空気質測定装置の室内空間における配置が不適切であると判定される。このため、空気質測定装置の室内空間における配置が適切であるか否かを精度よく判定することができる。
【0092】
(構成5)
前記取得部は、前記測定値と、前記測定値の測定時刻と、を取得し、
前記判定部は、
予め設定された期間内に測定された前記測定値が、予め設定された第4しきい値以下であるか否かを判定し、
前記測定値が前記第4しきい値以下であるとの判定が、予め設定された第2しきい値以上検出されると、前記空気質測定装置の前記室内空間における配置が不適切と判定する、
構成1記載の判定装置。
【0093】
この構成によれば、この構成によれば、予め設定された期間内に測定された測定値が、予め設定された第4しきい値以下であるとの判定が、第2しきい値以上の回数で出力されると、空気質測定装置の室内空間における配置が不適切であると判定される。このため、空気質測定装置の室内空間における配置が適切であるか否かを精度よく判定することができる。
【0094】
(構成6)
前記判定部は、
予め設定された第3期間に測定された前記測定値に基づき、前記測定値が示す値の前記第3期間における変化の周期性を検出し、
前記第3期間とは異なり、前記第3期間よりも前の第4期間に測定された前記測定値に基づき、前記測定値が示す値の前記第4期間における変化の周期性を検出し、
前記第3期間における前記測定値が示す値の変化の周期性と、前記第4期間における前記測定値が示す値の変化の周期性とが異なると判定した場合に、前記空気質測定装置の前記室内空間における配置が不適切と判定する、
構成1記載の判定装置。
【0095】
この構成によれば、第3期間における測定値が示す値の変化の周期性と、測定値が示す値の前記第4期間における変化の周期性とが異なると判定した場合に、空気質測定装置の室内空間における配置が不適切と判定される。このため、測定値の変化の周期性に基づいて空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定することができる。
【0096】
(構成7)
前記判定装置は、前記空気質測定装置内に配置される、構成1から6のいずれか一項に記載の判定装置。
【0097】
この構成によれば、空気質測定装置内に判定装置が配置される。このため、判定装置を空気質測定装置とは別体で設ける必要がない。
【0098】
(構成8)
室内空間の空気質を測定する空気質測定装置と、前記室内空間の空気質を調整する空気質調整装置と、情報処理装置と、を備え、
前記空気質調整装置は、
前記室内空間の空気質を調整する空気質調整部と、
前記空気質測定装置により測定される室内空間の空気質の測定値に基づき、前記空気質調整部を制御する制御情報を生成し、前記制御情報により前記空気質調整部を制御する制御部と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記制御情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記制御情報の変化に基づき、前記測定値を出力する空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する出力部と、
を備える、判定システム。
【0099】
この構成によれば、空気質調整部を制御する制御情報の変化に基づいて空気質測定装置の設置位置が適切か否かが判定され、判定結果が情報処理装置により出力される。このため、空気質測定装置の設置位置が不適切である場合には、設置位置の変更を促すことができ、空気質測定装置の設置位置に関する知識が少ないユーザであっても、空気質測定装置を適切な位置に設置することができる。
【0100】
(構成9)
前記空気質調整部は、回転ファンを備え、
前記判定部は、前記制御情報により、前記回転ファンを、予め設定された回転数以上で、予め設定された期間以上回転させたと判定した場合に、前記空気質測定装置の前記室内空間における配置が不適切と判定する、
構成9記載の判定システム。
【0101】
この構成によれば、制御情報により、回転ファンを、予め設定された回転数以上で、予め設定された期間以上回転させたと判定した場合に、空気質測定装置の室内空間における配置が不適切と判定される。このため、空気質調整装置の動作状態により空気質測定装置の室内空間における配置が適切か否かを判定することができ、空気質測定装置の室内空間における配置が適切か否かを精度よく判定することができる。
【0102】
(構成10)
空気質測定装置により測定される室内空間の空気質の測定値を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記測定値の変化に基づき、前記測定値を出力する空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を送信する送信部と、
を備える判定装置と、
前記判定装置から前記判定結果を受信する受信部と、
受信した前記判定結果を表示部に表示させる制御部と、
を備える表示装置と、
を備える判定システム。
【0103】
この構成によれば、空気質測定装置の設置位置が適切か否かの判定結果が表示装置に送信される。このため、ユーザは、空気質測定装置の設置位置が適切か否かを表示装置により確認することができる。
【0104】
(構成11)
判定装置に搭載されたプロセッサが、
空気質測定装置により測定される室内空間の空気質の測定値を取得するステップと、
取得した前記測定値の変化に基づき、前記測定値を出力する空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定するステップと、
判定した結果を出力するステップと、
を実行する、判定装置の判定方法。
【0105】
この構成によれば、空気質測定装置の設置位置が適切か否かの判定結果が判定装置により出力される。このため、空気質測定装置の設置位置が不適切である場合には、設置位置の変更を促すことができ、空気質測定装置の設置位置に関する知識が少ないユーザであっても、空気質測定装置を適切な位置に設置することができる。
【0106】
(構成12)
コンピュータに、
空気質測定装置により測定される室内空間の空気質の測定値を取得する手順と、
取得した前記測定値の変化に基づき、前記測定値を出力する空気質測定装置の前記室内空間における配置が適切か否かを判定する手順と、
判定した結果を出力する手順と、
を実行させるためのプログラム。
【0107】
この構成によれば、空気質測定装置の設置位置が適切か否かの判定結果が判定装置により出力される。このため、空気質測定装置の設置位置が不適切である場合には、設置位置の変更を促すことができ、空気質測定装置の設置位置に関する知識が少ないユーザであっても、空気質測定装置を適切な位置に設置することができる。
【0108】
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
【0109】
例えば、図4のフローチャートに示す動作の単位は、空気質測定装置100Aの動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。また、1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。また、そのステップの順番は、本発明の趣旨に支障のない範囲で適宜に入れ替えてもよい。
【0110】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上のように、本発明の判定装置、判定システム、判定装置の判定方法及びプログラムは、空気質測定装置の設置位置に関する情報をユーザに提供する用途に利用可能である。
【符号の説明】
【0112】
10、30 判定システム
50 ネットワーク
100A,100B 空気質測定装置
110 空気質測定部
120 第1表示部
130 第1制御部
140 第1記憶部
150 第1プロセッサ
151 取得部
153 判定部
170 第1無線通信I/F
200A、200B 情報処理装置
210 第2無線通信I/F
220 第2表示部
230 第2制御部
240 第2記憶部
245 APP
250 第2プロセッサ
251 取得部
253 判定部
300B 換気装置
310 第3無線通信I/F
320 換気処理部
330 第3制御部
340 第3記憶部
350 第3プロセッサ
図1
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図12