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特開2024-165144清掃システム、清掃用ロボットの制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165144
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】清掃システム、清掃用ロボットの制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20241121BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G05D1/02 P
A47L9/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081046
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 優
(72)【発明者】
【氏名】熊野 俊也
(72)【発明者】
【氏名】大澤 弘幸
【テーマコード(参考)】
3B057
5H301
【Fターム(参考)】
3B057DA00
5H301AA01
5H301BB11
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301GG09
5H301KK04
(57)【要約】
【課題】周囲の混雑状況を考慮したサービスの提供が可能な清掃システム、清掃用ロボットの制御方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】本開示の清掃システム(1)は、清掃具(12)を有する自律移動が可能な複数台の清掃用ロボット(2、2-1、2-2、2-3)を用いて、設定された清掃領域(A1、A2、A3)を清掃するものであって、複数台の清掃用ロボットは、通信部(31)と、自己の位置を特定するための自己位置特定部(32)と、清掃領域内の汚れの状態及び種類を検出可能な汚れ検出部(33)と、清掃領域の混雑度を検出可能な混雑度検出部(34)と、混雑度検出部で検出された混雑度に基づいて、清掃領域の清掃を実行する清掃モードと、他の清掃用ロボットと協調してパフォーマンス動作を実行する協調動作モードと、を選択的に実行する動作モード決定部(35)と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃具(12)を有する自律移動が可能な複数台の清掃用ロボット(2、2-1、2-2、2-3)を用いて、設定された清掃領域(A1、A2、A3)を清掃する清掃システム(1)であって、
前記複数台の清掃用ロボットは、
通信部(31)と、
自己の位置を特定するための自己位置特定部(32)と、
前記清掃領域内の汚れの状態及び種類を検出可能な汚れ検出部(33)と、
前記清掃領域の混雑度を検出可能な混雑度検出部(34)と、
前記混雑度検出部で検出された前記混雑度に基づいて、前記清掃領域の清掃を実行する清掃モードと、他の前記清掃用ロボットと協調してパフォーマンス動作を実行する協調動作モードと、を選択的に実行する動作モード決定部(35)と、を備える、
清掃システム。
【請求項2】
前記混雑度検出部は、前記清掃領域内を通過する人の移動速度に基づいて前記混雑度を検出する、
請求項1に記載の清掃システム。
【請求項3】
前記協調動作モードは、同じく前記協調動作モードで動作する他の前記清掃用ロボットと所定の順序で整列することを含む、
請求項1に記載の清掃システム。
【請求項4】
前記協調動作モードで動作する前記複数台の清掃用ロボットのうちの少なくとも一台の清掃用ロボットが、周囲を通行する人の案内動作を実行する、
請求項1に記載の清掃システム。
【請求項5】
前記協調動作モードは、前記パフォーマンス動作と共に前記清掃領域を清掃する清掃動作を実行する、
請求項1に記載の清掃システム。
【請求項6】
前記協調動作モードにおいて前記清掃動作と共に実行される前記パフォーマンス動作は、前記パフォーマンス動作中に前記汚れ検出部で汚れが検出されると、前記汚れを清掃するための動作を含むものに調整される、
請求項5に記載の清掃システム。
【請求項7】
前記複数台の清掃用ロボットを管理するタスク司令装置(3)をさらに備え、
前記タスク司令装置は、前記複数台の清掃用ロボットで実行する作業内容を生成するタスク生成部(41)を備える、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の清掃システム。
【請求項8】
前記タスク生成部は、前記複数台の清掃用ロボットのうち、前記協調動作モードにて動作可能な清掃用ロボットの台数に基づいて、各清掃用ロボットが実行する前記パフォーマンス動作の内容を変更する、
請求項7に記載の清掃システム。
【請求項9】
前記タスク司令装置は、前記複数台の清掃用ロボットが清掃する前記清掃領域の汚れ度を検知可能な汚れ度検知部(43)をさらに備え、
前記汚れ度が所定の閾値以下の前記清掃領域を清掃する前記複数台の清掃用ロボットの少なくとも一部に、所定のタイミングで共通する前記パフォーマンス動作を同時に実行させる、
請求項7に記載の清掃システム。
【請求項10】
設定された清掃領域を清掃する、清掃具を有する自律移動が可能な清掃用ロボットの制御方法であって、
前記清掃領域の混雑度を検出する工程と、
検出された前記混雑度に基づいて、前記清掃領域の清掃を実行する清掃モードと、他の清掃用ロボットと協調してパフォーマンス動作を実行する協調動作モードと、を選択的に実行する工程と、を備える、
清掃用ロボットの制御方法。
【請求項11】
設定された清掃領域を清掃する、清掃具を有する自律移動が可能な清掃用ロボットが備えるコンピュータの少なくとも1つのプロセッサに、
前記清掃領域の混雑度を検出する工程と、
検出された前記混雑度に基づいて、前記清掃領域の清掃を実行する清掃モードと、他の清掃用ロボットと協調してパフォーマンス動作を実行する協調動作モードと、を選択的に実行する工程と、を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、清掃システム、清掃用ロボットの制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、清掃や運搬といった様々な用途で人間に変わりロボットが作業を行う場合がある。また、対人サービスが可能なロボットの実用化も進んでいる(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
下記特許文献1には、商業施設等のフロアやコンコース等のサービス提供エリアにおいて通行人等に対人サービス(例えば、道案内、施設紹介、通訳)を提供するロボットを制御するシステムが記載されている。また、この下記特許文献1には、サービス提供エリアの混雑度合いを予測し、混雑度合いの予測結果に応じてロボットの稼働モードを設定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-000940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
駅やレストラン、公共施設内といった比較的広い領域を清掃するために、複数台の清掃用ロボットが用いられる場合がある。このような用途で用いられる清掃用ロボットは、周囲を歩行する人に衝突したり、人の通行を妨げたりしないことが重要である。前述した人との衝突や通行の妨げとなることを回避する方法としては、例えば上記特許文献1に記載されたもののように、混雑度合いに基づき、移動量の異なる複数の稼働モードから特定の稼働モードを選択してロボットを動作させることが挙げられる。しかし、混雑時に選択される稼働モードとしての待機モードは、ロボットを待機スペースで待機させるモードであり、この待機モード実行時にはサービスの提供を行うことがほとんどできない。
【0006】
また、上記特許文献1のものは、その稼働モードに関わらず、対人サービスのみを提供可能なロボットであり、対人サービス以外の価値の提供を行うことは想定されていない。
【0007】
本開示は、上述した課題を考慮したものであり、周囲の混雑状況を考慮したサービスの提供が可能な清掃システム、清掃用ロボットの制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様に係る清掃システム(1)は、清掃具(12)を有する自律移動が可能な複数台の清掃用ロボット(2、2-1、2-2、2-3)を用いて、設定された清掃領域(A1、A2、A3)を清掃する清掃システムであって、前記複数台の清掃用ロボットは、通信部(31)と、自己の位置を特定するための自己位置特定部(32)と、前記清掃領域内の汚れの状態及び種類を検出可能な汚れ検出部(33)と、前記清掃領域の混雑度を検出可能な混雑度検出部(34)と、前記混雑度検出部で検出された前記混雑度に基づいて、前記清掃領域の清掃を実行する清掃モードと、他の前記清掃用ロボットと協調してパフォーマンス動作を実行する協調動作モードと、を選択的に実行する動作モード決定部(35)と、を含む。
【0009】
上述の清掃システムでは、周囲の混雑状況を考慮したサービスの提供が可能となる。より詳しくは、清掃用ロボットの周囲が混雑して清掃作業が困難である場合には、当該清掃用ロボットは他の清掃用ロボットと協調したパフォーマンス動作を実行できるため、清掃用ロボットが清掃している場の価値の向上に貢献できる。
【0010】
本開示の第2の態様に係る清掃システムは、上記第1の態様に係る清掃システムにおいて、前記混雑度検出部は、前記清掃領域内を通過する人の移動速度に基づいて前記混雑度を検出する。
【0011】
本開示の第3の態様に係る清掃システムは、上記第1の態様に係る清掃システムにおいて、前記協調動作モードは、同じく前記協調動作モードで動作する他の前記清掃用ロボットと所定の順序で整列することを含む。
【0012】
本開示の第4の態様に係る清掃システムは、上記第1の態様に係る清掃システムにおいて、前記協調動作モードで動作する前記複数台の清掃用ロボットのうちの少なくとも一台の清掃用ロボットが、周囲を通行する人の案内動作を実行する。
【0013】
本開示の第5の態様に係る清掃システムは、上記第1の態様に係る清掃システムにおいて、前記協調動作モードは、前記パフォーマンス動作と共に前記清掃領域を清掃する清掃動作を実行する。
【0014】
本開示の第6の態様に係る清掃システムは、上記第5の態様に係る清掃システムにおいて、前記協調動作モードにおいて前記清掃動作と共に実行される前記パフォーマンス動作は、前記パフォーマンス動作中に前記汚れ検出部で汚れが検出されると、前記汚れを清掃するための動作を含むものに調整される。
【0015】
本開示の第7の態様に係る清掃システムは、上記第1乃至6の態様のいずれかに係る清掃システムにおいて、前記複数台の清掃用ロボットを管理するタスク司令装置(3)をさらに含み、前記タスク司令装置は、前記複数台の清掃用ロボットで実行する作業内容を生成するタスク生成部(41)を含む。
【0016】
本開示の第8の態様に係る清掃システムは、上記第7の態様に係る清掃システムにおいて、前記タスク生成部は、前記複数台の清掃用ロボットのうち、前記協調動作モードにて動作可能な清掃用ロボットの台数に基づいて、各清掃用ロボットが実行する前記パフォーマンス動作の内容を変更する。
【0017】
本開示の第9の態様に係る清掃システムは、上記第7の態様に係る清掃システムにおいて、前記タスク司令装置は、前記複数台の清掃用ロボットが清掃する前記清掃領域の汚れ度を検知可能な汚れ度検知部(43)をさらに含み、前記汚れ度が所定の閾値以下の前記清掃領域を清掃する前記複数台の清掃用ロボットの少なくとも一部に、所定のタイミングで共通する前記パフォーマンス動作を同時に実行させる。
【0018】
本開示の第10の態様に係る清掃用ロボットの制御方法は、設定された清掃領域を清掃する、清掃具を有する自律移動が可能な清掃用ロボットの制御方法であって、前記清掃領域の混雑度を検出する工程と、検出された前記混雑度に基づいて、前記清掃領域の清掃を実行する清掃モードと、他の清掃用ロボットと協調してパフォーマンス動作を実行する協調動作モードと、を選択的に実行する工程と、を含む。
【0019】
本開示の第11の態様に係るプログラムは、設定された清掃領域を清掃する、清掃具を有する自律移動が可能な清掃用ロボットが備えるコンピュータの少なくとも1つのプロセッサに、前記清掃領域の混雑度を検出する工程と、検出された前記混雑度に基づいて、前記清掃領域の清掃を実行する清掃モードと、他の清掃用ロボットと協調してパフォーマンス動作を実行する協調動作モードと、を選択的に実行する工程と、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の一実施の形態に係る清掃システムの一例を示した概略説明図である。
図2図1に示す清掃システムに含まれる清掃用ロボットのハードウェア構成の一例を示した構成図である。
図3図1に示す清掃システムの各種機能の一例を示した機能ブロック図である。
図4】本開示の一実施の形態に係る清掃用ロボットの制御方法の一例のメインルーチンを示したフローチャートである。
図5図4に示すフローチャートのサブルーチンの一例を示したフローチャートである。
図6】管理サーバ側の処理の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本開示を実施するための実施形態について説明する。なお、以下では本開示の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本開示の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0022】
本実施の形態に係る清掃システム1は、図1に示すように、所定のエリア、例えば駅のホームに設定された複数、例えば3つの清掃領域A1、A2、A3を清掃する、複数台、例えば3台の清掃用ロボット2-1、2-2、2-3を含む。なお、複数台の清掃用ロボット2-1、2-2、2-3は、それぞれが一の清掃領域の清掃を行うように設定されていてもよいし、1乃至複数の清掃領域を数台の清掃用ロボットで担当するように設定されていてもよい。本実施の形態では、理解を容易にするために、一の清掃領域を一台の清掃用ロボットが清掃するように設定された場合を例示している。また、本実施の形態では、清掃領域が3つ設定され、清掃用ロボットが3台用いられる場合を例示しているが、清掃領域の数や清掃用ロボットの台数はこれらに限定されない。
【0023】
複数台の清掃用ロボット2-1、2-2、2-3を含む清掃システム1は、さらに、各清掃用ロボット2-1、2-2、2-3を管理することができるタスク司令装置の一例としての管理サーバ3をさらに含んでいてよい。本実施の形態に係る清掃システム1では、管理サーバ3が、複数台の清掃用ロボット2-1、2-2、2-3にて実行する作業内容を決定(以下、決定された作業内容に関する情報を「タスク」と呼ぶ)し、生成されたタスクを受け取った各清掃用ロボット2-1、2-2、2-3にて当該タスクに沿った作業を実行することで、清掃等が実施される。また、管理サーバ3では、タスクの実行状況を監視することで、複数台の清掃用ロボット2-1、2-2、2-3の状況や作業の進捗を管理することができる。なお、本開示の清掃システムは、上述した管理サーバ3を設けなくてもよい。管理サーバ3を設けない場合は、清掃システム1を構成する1乃至複数の清掃用ロボットにて上述した管理業務を実施する、あるいは各清掃用ロボット2-1、2-2、2-3が作業内容を独立してあるいは連携して決定するようにすればよい。
【0024】
次に、複数台の清掃用ロボット2-1、2-2、2-3のハードウェア構成について、図2を参照して説明する。なお、複数台の清掃用ロボット2-1、2-2、2-3のハードウェア構成は多くの部分で共通するものである。したがって、図2には、これら複数台の清掃用ロボット2-1、2-2、2-3を代表する一の清掃用ロボットを「清掃用ロボット2」として以下にその構成を説明する。
【0025】
清掃用ロボット2は、清掃手段を含む自律移動可能なロボットで構成することができる。詳しくは、清掃用ロボット2は、図2に示すように、走行装置11と、清掃具12と、カメラ13と、ディスプレイ14と、スピーカ15と、制御装置16と、を主に含んでいてよい。
【0026】
走行装置11は、清掃用ロボット2の底部に設置された自律走行可能な装置であってよい。この走行装置11は、清掃用ロボット2の前方及び後方底部に複数個配設された車輪11Aを含んでいてよい。また、この車輪11Aの少なくとも一部が図示しないモータ等の駆動手段を用いて回転され、且つ車輪11Aの少なくとも一部の向きを制御可能な操舵手段によって進行方向を可変することで、清掃用ロボット2の自律移動が実現されていてよい。
【0027】
清掃具12は、清掃用ロボット2の適所に設けられ、清掃用ロボット2が走行する床面や、清掃領域A1、A2、A3の壁面等を清掃可能なものであってよい。この清掃具12としては、例えば床面に接触可能な回転式の清掃ブラシや清掃モップ、床面の液体を除去するスクレーパ(あるいはワイパ)、床面の塵芥を吸引可能な掃除機、あるいは床面や壁面を拭き掃除可能な布帛等が採用可能である。また、この清掃具12には、所定の清掃道具の取り付けが可能な、あるいは清掃道具を把持可能な1乃至複数のロボットアームを含み得る。さらに、複数台の清掃用ロボット2-1、2-2、2-3それぞれに採用される清掃具12の具体的な構成は、全て同一であってもよいし、異なるものが採用されていてもよい。なお、各清掃用ロボットで清掃具12の構成が異なる場合には、例えば汚れの種類に合わせて清掃を実施する清掃用ロボット2を変更することで、最適な清掃手段を用いた清掃が簡単に実施でき好ましい。
【0028】
カメラ13は、清掃用ロボット2の周囲を撮像可能なものであってよく、清掃用ロボット2の適所に1乃至複数個が取り付けられているとよい。このカメラ13としては、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子を用いた二次元カメラを用いることができる。なお、このカメラ13には、ステレオカメラ、ストラクチャードライト、あるいはToF(Time of Flight)センサ等の深度センサ付きカメラのような3次元カメラを採用することもできる。
【0029】
ディスプレイ14は、清掃用ロボット2を利用するユーザ等に種々の情報を提供することが可能なユーザインタフェースの一例としての表示装置であって、清掃用ロボット2の任意の位置、例えば上面に設置されていてよい。このディスプレイ14は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)や有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescent Display、OELD)といった周知のディスプレイ装置で構成することができる。このディスプレイ14には、清掃用ロボット2のステータス情報等に加えて、周囲の人へのメッセージ等を表示することができる。
【0030】
スピーカ15は、清掃用ロボット2の周囲のユーザ等に種々の情報を音声で報知することが可能なユーザインタフェースの一例である。このスピーカ15は、周囲の人に対する所定の案内や音楽を出力することができるものであってよい。なお、本実施の形態においては、清掃用ロボット2が有するユーザインタフェースとして、上述したディスプレイ14とスピーカ15を例示しているが、他のユーザインタフェースを含んでいてもよい。他のユーザインタフェースとしては、例えばスイッチやタッチパネルといった操作手段や、周囲の人の声を集音可能なマイク等を挙げることができる。これらの他のユーザインタフェースは、清掃用ロボット2において実行させるタスクの内容等に合わせて適宜採用され得る。
【0031】
制御装置16は、清掃用ロボット2の各種制御を実施可能な装置であって、例えば周知のコンピュータで構成することができる。周知のコンピュータで構成される制御装置16は、例えば、少なくとも1つのプロセッサ21と、メモリの一例としてのROM(Read Only Memory)22及びRAM(Random Access Memory)23と、ストレージ24と、入出力インタフェース25と、通信インタフェース26を含んでいてよい。また、これらの構成は、内部バス27を介して相互に通信可能に接続されていてよい。
【0032】
プロセッサ21は、例えばCPU(Central Processing Unit)で構成することができ、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりすることができるものであってよい。具体的にいえば、このプロセッサ21は、ROM22又はストレージ24に格納されている種々のプログラムを読み出し、RAM23を作業領域として当該プログラムを実行することができるものであってよい。プロセッサ21は、プログラムに従って清掃用ロボット2が備える各構成要素、具体的には走行装置11や清掃具12、カメラ13等の制御や各種の演算処理を行うことができるものであってよい。
【0033】
ROM22は、各種プログラム及び各種データを格納することができるものであってよい。また、RAM23は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶することができるものであってよい。
【0034】
ストレージ24は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリといった記録媒体で構成することができる。このストレージ24には、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや、清掃用ロボット2を動作させるために必要な各種データ、例えば、各動作モードに関連する制御情報やカメラ13で撮像した撮像画像等が少なくとも一時的に格納されていてよい。
【0035】
入出力インタフェース25は、清掃用ロボット2の各種構成要素に接続され、各種情報、例えば各構成要素の制御信号やカメラ13で撮像した撮像画像の送受信が可能なものであってよい。また、この入出力インタフェース25は、図示を省略するが外部の記録媒体が接続可能なコネクタや、DVDドライブに代表される各種ドライブを含んでいてもよい。
【0036】
通信インタフェース26は、例えばWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)といった無線通信規格に基づく無線通信により所定のデータを送受信できるものであってよい。この通信インタフェース26により、清掃用ロボット2の制御装置16は、ネットワークを介して他の電子デバイス、例えば管理サーバ3や他の清掃用ロボットと通信することができる。
【0037】
管理サーバ3は、ネットワークに接続されて、清掃システム1に含まれる複数台の清掃用ロボット2-1、2-2、2-3を管理することが可能なサーバ装置であってよい。この管理サーバ3は、XaaS(X as a Service)を提供可能なクラウドサーバで構成することができる。また、この管理サーバ3は、サーバコンピュータで構成することができる。その詳細な構造については、清掃用ロボット2の制御装置を構成するコンピュータと大部分が共通しているため、ここではその説明を省略する。
【0038】
次に、図3を参照して本実施の形態に係る清掃システム1を実現する各種機能について説明する、清掃システム1に含まれる清掃用ロボット2は、図3に示すように、通信部31と、自己の位置を特定するための自己位置特定部32と、自己が清掃する清掃領域内の汚れの状態及び種類を検出可能な汚れ検出部33と、自己が清掃する清掃領域の混雑度を検出可能な混雑度検出部34と、清掃用ロボット2の動作モードを決定する動作モード決定部35と、を含む。
【0039】
通信部31は、主に通信インタフェース26によって実現することができ、少なくとも管理サーバ3との間でデータ等を送受信することができるものであってよい。
【0040】
自己位置特定部32は、清掃用ロボット2が自身の位置を特定するためのものであり、本実施の形態においては、主にカメラ13によって実現することができる。この自己位置特定部32で特定された位置情報に基づき、特定の清掃領域の清掃の進捗状況等を把握することができる。また、本実施の形態では、カメラ13の撮像画像に基づいて自己位置を特定するものを例示しているが、自己位置特定部32の具体的な構造はこれに限定されない。具体的には、例えばLIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)やレーダー、ソナー、あるいはデジタル地図等を利用して自己位置を特定してもよい。
【0041】
汚れ検出部33は、清掃用ロボット2が清掃する清掃領域内の汚れを検出し、その汚れの種類や状態を検出可能なものであってよい。この汚れ検出部33は、主にカメラ13によって実現することができる。汚れ検出部33により汚れが検出されると、清掃用ロボット2の動作に反映される。具体的には、例えば制御装置16にて清掃用ロボット2の走行ルート等含む当該汚れの除去計画が生成され実行される、あるいは汚れの種類に合致した清掃具12を有する清掃用ロボットが選択され当該ロボットによる汚れの除去作業が実行される。また、各清掃領域A1、A2、A3の汚れ度を検知するために、汚れ検出部33の検出結果は、管理サーバ3へ送信されるようにするとよい。
【0042】
混雑度検出部34は、清掃用ロボット2の周囲、より具体的には清掃用ロボット2が清掃中の清掃領域の混雑度を検出することができるものである。この混雑度検出部34は、主にカメラ13で撮像した撮像画像を分析することで実現できる。
【0043】
本実施の形態の混雑度検出部34は、清掃用ロボット2が清掃中の清掃領域を通過する人の移動速度に基づいて混雑しているか否かを検出している。ここでいう人の移動速度は、清掃領域内を通過する複数の人の移動速度の単位時間当たりの平均速度であってもよいし、最低速度であってもよい。このように、人の移動速度に基づいて混雑度を検出する目的の1つは、清掃用ロボット2と人との衝突を優先的に回避するためである。
【0044】
なお、混雑度検出部34における混雑度の検出手法は、上述の方法に限定されない。具体的には、例えばカメラ13で撮像した撮像画像内の人の人数が閾値以上であるか否か、あるいは清掃領域内に清掃用ロボット2が清掃を継続可能なスペースがあるか否か等に基づいて混雑度を検出してもよい。また、これらの手法を複数個組み合わせることで混雑度を検出するものであってもよい。
【0045】
動作モード決定部35は、清掃用ロボット2が実行する動作モードを決定するものであってよい。この動作モード決定部35は、主にプロセッサ21により実現できる。本実施の形態の動作モード決定部35は、管理サーバ3の後述するタスク生成部41で生成されたタスクに合わせて動作モードを決定するものであってよい。
【0046】
また、動作モード決定部35は、混雑度検出部34で検出された混雑度に基づいて、動作モードを選択的に実行するものである。ここで、実行する動作モードは、特定の清掃領域の清掃を実行する清掃モードと、他の清掃用ロボットと協調してパフォーマンス動作を実行する協調動作モードとを少なくとも含む。より具体的には、本実施の形態の動作モードは、後述する清掃タスクを実行するための清掃モードと、後述する特殊タスクを実行するための協調動作モードと、予め設定された待機スペース等で新たなタスクを受信するまで待機する待機モードの3つのモードで構成されているものを例示する。
【0047】
走行制御部36は、実行する動作モード等に合わせて走行装置11を制御して清掃用ロボット2を移動させるものであってよい。また、清掃制御部37は、清掃具12の位置等を制御して清掃領域の清掃を行うものであってよい。さらに、表示制御部38は、ディスプレイ14に表示する表示内容を制御するものであってよい。これらの構成要素はいずれもプロセッサ21からの制御信号により制御され得る。
【0048】
清掃システム1に含まれる管理サーバ3は、図3に示すように、各清掃用ロボット2-1、2-2、2-3で実行する作業内容、すなわちタスクを生成するタスク生成部41と、サーバ側通信部42と、各清掃領域A1、A2、A3の汚れ度合いを検知するための汚れ度検知部43とを含んでいてよい。
【0049】
タスク生成部41は、各清掃用ロボット2-1、2-2、2-3で実行するタスク、具体的には、清掃作業の内容を含む清掃タスクと、パフォーマンス動作を含む特殊タスクとを生成可能なものである。清掃タスクには、清掃対象となる清掃領域や目標とする清掃度合い、使用する清掃具12等の情報を含んでいてよい。
【0050】
特殊タスクは、清掃用ロボット2が清掃している清掃領域の混雑度が閾値以上である場合に実行されるタスクである。具体的には、清掃用ロボット2の周囲の人を楽しませたり、当該周囲の人の気分を向上させたりするためのパフォーマンス動作を含んでいてよい。
【0051】
特殊タスクに含まれるパフォーマンス動作は、清掃用ロボット2が位置する場の価値を向上させるものであれば良く、種々の動作が含まれ得る。ただし、当該パフォーマンス動作は、一台の清掃用ロボット2のみで実施するものではなく、複数台の清掃用ロボット2が協調して実施するものであることは特に留意すべき事項である。パフォーマンス動作が常に複数台の清掃用ロボットによる協調動作で構成されることで、場の価値をより向上させることができる。
【0052】
また、タスク生成部41は、複数台の清掃用ロボット2-1、2-2、2-3のうち、協調動作モードにて動作可能な清掃用ロボットの台数に基づいて、生成する特殊タスク内のパフォーマンス動作の内容が変更されるとよい。このように、特殊タスクの内容を、特殊タスクを実行する清掃用ロボットの台数に応じて調整することで、様々なパフォーマンスが実施でき、場の価値の向上により貢献することができる。
【0053】
パフォーマンス動作に含まれる、周囲の人を楽しませる動作としては、例えば複数台の清掃用ロボットが所定のエリアに集まってダンスを踊る、あるいは楽器を演奏するといった動作が含まれる。また、パフォーマンス動作に含まれる、周囲の人の気分を向上させる動作としては、駅のホームを出発する電車に向かって並んで清掃具12を把持するロボットアームを手のように振るといった動作が含まれ得る。上述した動作に加えて、ディスプレイ14に関連する表示、例えば「いってらっしゃい」といった挨拶を表示したり、スピーカ15から音楽や挨拶を出力したりすることもできる。
【0054】
上述したパフォーマンス動作は、複数台の清掃用ロボットが協調して実施するものであるため、管理サーバ3から送信される特殊タスクの具体的な内容は、送信される清掃用ロボットごとに異なっていてよい。これに関連して、本実施の形態の清掃システム1では、特殊タスクを受信した複数台の清掃用ロボットを所定の順序で整列させることができる。ここで、所定の順序とは、複数台の清掃用ロボット2-1、2-2、2-3をサイズ順に一列に並ばせたり、所定の隊列を組ませたりすることを含み得る。したがって、特定のフォーメーションでダンスを踊らせたり、マーチングバンドのように行進しつつ楽器を演奏させたりすることもできる。
【0055】
また、複数台の清掃用ロボットに送信される特殊タスクの一部に含まれるパフォーマンス動作が、周囲を通行する人、例えば他の清掃用ロボットがダンスを踊っているスペースの周囲を通行する人を案内する動作であってもよい。ここでいう案内する動作とは、パフォーマンス用の領域を確保する、あるいは通行人の進行方向を誘導する動作を含み得る。このように、特殊タスクを実行する複数台の清掃用ロボットの一部が、周囲を通行する人が清掃用ロボット等に衝突しないようその通行を案内すれば、複数台の清掃用ロボットによるダンスや楽器演奏といった動作を安全に実施することができる。
【0056】
さらに、パフォーマンス動作中あるいは清掃動作中の清掃用ロボットに人が近づいた場合には、清掃用ロボットを停止させる、あるいは人から遠ざかるように移動するといった動作を実行するとよい。
【0057】
さらにまた、特殊タスク内には、特定のパフォーマンス動作に加えて、清掃動作を含んでいてもよい。このような特殊タスクを受信した清掃用ロボットは、パフォーマンス動作と清掃動作を同時に実施することができる。このような場合には、清掃作業を進めつつ、場の価値の向上を図ることができる。
【0058】
加えて、清掃用ロボットにおいて、上述したパフォーマンス動作と清掃動作とを同時に実施する場合には、当該動作中に汚れ検出部33を動作させて周囲に汚れがないかを検出するようにするとよい。そして、汚れ検出部33において汚れが検出された場合には、清掃用ロボット内の制御装置16や管理サーバ3において、清掃用ロボットが実行中の特殊タスクの内容を、検出された汚れが清掃できるような動作を含むものに調整するとよい。このような調整を行うことにより、特殊タスク実行中も周囲の汚れを効果的に清掃でき、清掃用ロボットの清掃モードでの作動時間を短縮することができる。
【0059】
サーバ側通信部42は、複数台の清掃用ロボット2-1、2-2、2-3の通信部31との間でタスクやデータ等の送受信を行うためのものであってよい。
【0060】
汚れ度検知部43は、例えば複数台の清掃用ロボット2-1、2-2、2-3において検出された汚れに関する情報を収集することで、各清掃領域A1、A2、A3の汚れ度を検知できるものであってよい。この汚れ度検知部43の検知結果に基づいて、タスク生成部41において特殊タスクを生成し、複数台の清掃用ロボット2-1、2-2、2-3の少なくとも一部に送信することができる。具体的には、例えば汚れ度検知部43において汚れ度合いが低い清掃領域が検出された場合、当該清掃領域を清掃する1乃至複数台の清掃用ロボットに対し、タスク生成部41において特定の時刻に当該時刻に関連するパフォーマンス動作を含む特殊タスクを生成し送信する。この特殊タスクを受信した清掃用ロボットが、当該特殊タスク内のパフォーマンス動作、例えば現在時刻をスピーカ15で報知するといった動作を実行すると、清掃用ロボットの周囲にいる人に時間を報知することができる。このような特殊タスクの実行を清掃領域の汚れ度合いを考慮して実行するのは、汚れ度が比較的低い場合には清掃タスクの実行を一時的に停止しても清掃領域の清掃度に大きな影響がないためである。
【0061】
以上説明した通り、本実施の形態に係る清掃システムによれば、各清掃用ロボットが清掃を実施する清掃領域の混雑度に基づいて、清掃モードと協調動作モードを選択的に実行する。そのため、清掃領域が混雑して清掃動作が困難な期間には、協調動作モードを実行することで清掃用ロボットを場の価値の向上に利用することができる。また、協調動作モードで実施されるパフォーマンス動作は、複数台の清掃用ロボットが協調して実施するものであるため、より多くの人にパフォーマンス動作が認識され得る。したがって、場の価値の向上に大きく貢献できる。
【0062】
次に、本実施の形態に係る清掃用ロボットの制御方法の一例を、図4及び図5を参照して以下に説明する。本実施の形態に係る清掃用ロボットの制御方法は、少なくとも、清掃する清掃領域の混雑度を検出する工程(工程S02)と、検出された混雑度に基づいて、清掃領域の清掃を実行する清掃モードと、他の清掃用ロボットと協調してパフォーマンス動作を実行する協調動作モードと、を選択的に実行する工程(工程S03等)と、を含む。以下、一連のプロセスについてさらに詳細に説明する。
【0063】
なお、以下の説明においては、一連の制御プロセスを清掃用ロボット2-1にて実行する場合を例示する。また、この清掃用ロボット2-1が清掃する清掃領域は清掃領域A1であるものとする。さらに、以下に説明する清掃用ロボット2-1の制御方法は、清掃用ロボット2-1内の制御装置16を構成するコンピュータに所定の動作を実行させる制御プログラムを実行することにより実施されるものであってよい。この制御プログラムは、ストレージ24等の記録手段に格納され、あるいはコンピュータ読取可能な記録媒体の形態で提供され得る。
【0064】
清掃用ロボット2-1は、図4に示すように、始動すると、管理サーバ3から送信されるタスクを受信可能な状態で待機する。清掃用ロボット2-1の通信部31を介して管理サーバ3から清掃タスクを受信する(工程S01)と、混雑度検出部34にて、受信した清掃タスクに含まれる清掃領域A1の混雑度の検出を開始する(工程S02)。
【0065】
混雑度検出部34にて検出された混雑度が所定の閾値よりも小さい、すなわち清掃領域A1が混雑していない場合には(工程S03でNo)、清掃用ロボット2-1は動作モード決定部35にて清掃モードを選択すると共に実行する(工程S04)。清掃モードでは、清掃用ロボット2-1は、自己位置特定部32にて自己の現在地を取得しつつ、汚れ検出部33にて清掃領域A1内の汚れの位置、種類及び状態を検出し、最適なルートや清掃具を選択しつつ清掃作業を実行できる。また、汚れ検出部33で検出された清掃領域A1の汚れに関する情報は、逐次管理サーバ3へ送信されるとよい。
【0066】
他方、混雑度検出部34にて検出された混雑度が所定の閾値以上である、換言すると、清掃領域A1内を通過する人の移動速度が速い場合には(工程S03でYes)、清掃領域A1が混雑している旨を管理サーバ3に報告し、実行する動作の問い合わせを行う(工程S05)。
【0067】
清掃用ロボット2-1は、前述した管理サーバ3への問い合わせの後、特殊タスクを受信すると(工程S06でYes)、当該特殊タスクに基づいて協調動作モードを実行する(工程S07)。また、特殊タスクの受信がない場合(工程S06でNo)には待機状態となる。
【0068】
協調動作モードは、清掃用ロボット2-1が、他の1乃至複数台の清掃用ロボットと協調した動作を実行するモードである。具体的には、所定のスペースに数台の清掃用ロボットが集結し、特定のフォーメーションでパフォーマンス動作を実行するモードであってよい。この協調動作モードが実行されると、特殊タスクに含まれる制御信号に基づいて所定のパフォーマンス動作が実行される。また、清掃用ロボット2-1は、図5に示すように、受信した特殊タスク内のパフォーマンス動作が完了する、あるいは管理サーバ3から特殊タスクを終了してよい旨の許可信号を受信する(工程S11でYes)と、所定のタイミングで協調動作モードを停止する(工程S12)。協調動作モードを停止した清掃用ロボット2-1では、直前に受信した清掃タスクを再開するか否かが判断される(工程S13)。清掃タスクを再開する場合は、清掃用ロボット2-1は清掃モードに復帰した後(工程S14)工程S08に移行する。清掃タスクを再開しない場合は、清掃用ロボット2-1は待機モードに移行(工程S15)して一連の動作を完了する。
【0069】
協調動作モードから清掃モードに復帰する、あるいは工程S04において清掃モードが実行されると、次に清掃タスクが終了したか否かが判断される(工程S08)。当該判断の結果、清掃タスクが終了していないと判断された場合には工程S03に戻り、清掃タスクが終了していると判断された場合は待機モードに移行(工程S09)して新たなタスクの受信を待つ状態となる。
【0070】
以上説明した通り、本実施の形態に係る清掃用ロボットの制御方法によれば、上述した通り、清掃用ロボットが清掃を実施する清掃領域の混雑度に基づいて、清掃モードと協調動作モードを選択的に実行する。そのため、清掃システムにおいて述べたのと同様の効果を期待することができる。
【0071】
次に、本実施の形態に係る清掃システムの管理サーバ側の制御プロセスについて、図6を参照して以下に説明を行う。
【0072】
管理サーバ3は、図6に示すように、始動すると、タスク生成部41において、複数台の清掃用ロボット2-1、2-2、2-3に送信するための清掃タスクの生成を行うと共に、対象となる清掃用ロボットに生成した清掃タスクを順次送信する(工程S21)。
【0073】
必要な清掃タスクの生成及び送信が完了した後、あるいは当該清掃タスクの生成及び送信中において、管理サーバ3は、清掃タスクを実行中の清掃用ロボットからの問い合わせを受け付ける(工程S22)。そして、当該問い合わせを受信すると、特定の清掃用ロボットに対し、特殊タスクの実施の要否を検討する(工程S23)。特殊タスクの実施の要否は、例えば問い合わせがあった清掃用ロボットの台数や清掃用ロボットのロボットアームの有無、清掃タスクの進捗状況等に合わせて判断され得る。
【0074】
特殊タスクを実施する場合(工程S23でYes)には、タスク生成部41において特殊タスクの生成を行う(工程S24)。ここで生成される特殊タスクは、特殊タスクを実行する清掃用ロボットの役割や機能等に合わせてそれぞれ生成される。そして、生成された特殊タスクは特定の清掃用ロボットに順次送信される(工程S25)。なお、特殊タスクを実行しない場合(工程S23でNo)には、清掃用ロボットに対して新たなタスクは送信しない。したがって、問い合わせを行った清掃用ロボットは、特殊タスクを受信するか、自身が担当している清掃領域の混雑度が低下して清掃タスクの実行が可能となるまで保留モードとなる。
【0075】
管理サーバ3において上述の管理を実行することで、清掃システムを構成する清掃用ロボットを清掃モードで動作させることが困難な場合に、協調動作モードによる場の価値の向上を図ることができる。したがって、本実施の形態に係る清掃システムでは、従来とは異なり、混雑度が高い場合にも清掃用ロボットを利用した場の価値の向上に貢献できる。
【0076】
オプションとして、管理サーバ3は、各清掃用ロボット2-1、2-2、2-3から各清掃領域A1、A2、A3の汚れ度に関する情報を受信し、汚れ度検知部43においていくつかの清掃領域の汚れ度が所定の閾値以下である場合には、当該清掃領域を担当する清掃用ロボットで実施する特殊タスクを生成及び送信してもよい。このような経緯で特殊タスクを受信した清掃用ロボットでは、清掃タスクの実行に影響のない範囲で、パフォーマンス動作等を実施することができる。換言すると、本実施の形態に係る清掃システム1においては、混雑度に関わらず特殊タスクを生成及び送信することも可能である。
【0077】
加えて、清掃用ロボットにおいて実行される協調動作モードにおいて清掃動作とパフォーマンス動作とを共に実行するようにしてもよい。また、その場合は、協調動作モード実行中に汚れ検出部33を動作させ、パフォーマンス動作中のスペース内で汚れが検出されると、当該検出された汚れを清掃できるよう、特殊タスクによって特定された動作経路等を調整するとよい。当該調整は清掃用ロボット内で実施してもよいし、汚れに関する情報を取得した管理サーバ3において特殊タスクを調整し、清掃用ロボットに送信することで、当該清掃用ロボットで実行する特殊タスクを変更することで調整してもよい。
【0078】
オプションとして、管理サーバ3は、協調動作させる清掃用ロボットを決定する際、待機させておく清掃用ロボットを指定することもできる。そして、複数台の清掃用ロボットによる協調動作の実行中に緊急度の高い別タスク、例えば緊急汚れを除去するための緊急清掃タスクが発生したときには、待機させていた清掃用ロボットを緊急清掃タスクを実行するために出動させ、協調動作、すなわちダンスや漫才、楽器演奏といった動作を中断するのを防ぐようにしてもよい。また、緊急汚れの種類や状態に基づき、協調動作中の特定の清掃用ロボットが緊急清掃タスクを実行しなければならないときには、待機中の清掃用ロボットが前述の特定の清掃用ロボットの代わりに協調動作に参加するようにしてもよい。
【0079】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本開示の技術思想に含まれるものである。
【0080】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0081】
<付記>
以下に本開示の特徴を示す。
【0082】
(付記1)
清掃具(12)を有する自律移動が可能な複数台の清掃用ロボット(2、2-1、2-2、2-3)を用いて、設定された清掃領域(A1、A2、A3)を清掃する清掃システム(1)であって、
前記複数台の清掃用ロボットは、
通信部(31)と、
自己の位置を特定するための自己位置特定部(32)と、
前記清掃領域内の汚れの状態及び種類を検出可能な汚れ検出部(33)と、
前記清掃領域の混雑度を検出可能な混雑度検出部(34)と、
前記混雑度検出部で検出された前記混雑度に基づいて、前記清掃領域の清掃を実行する清掃モードと、他の前記清掃用ロボットと協調してパフォーマンス動作を実行する協調動作モードと、を選択的に実行する動作モード決定部(35)と、を備える、
清掃システム。
(付記2)
前記混雑度検出部は、前記清掃領域内を通過する人の移動速度に基づいて前記混雑度を検出する、
付記1に記載の清掃システム。
(付記3)
前記協調動作モードは、同じく前記協調動作モードで動作する他の前記清掃用ロボットと所定の順序で整列することを含む、
付記1又は付記2に記載の清掃システム。
(付記4)
前記協調動作モードで動作する前記複数台の清掃用ロボットのうちの少なくとも一台の清掃用ロボットが、周囲を通行する人の案内動作を実行する、
付記1乃至付記3に記載の清掃システム。
(付記5)
前記協調動作モードは、前記パフォーマンス動作と共に前記清掃領域を清掃する清掃動作を実行する、
付記1乃至付記4に記載の清掃システム。
(付記6)
前記協調動作モードにおいて前記清掃動作と共に実行される前記パフォーマンス動作は、前記パフォーマンス動作中に前記汚れ検出部で汚れが検出されると、前記汚れを清掃するための動作を含むものに調整される
付記5に記載の清掃システム、
(付記7)
前記複数台の清掃用ロボットを管理するタスク司令装置(3)をさらに備え、
前記タスク司令装置は、前記複数台の清掃用ロボットで実行する作業内容を生成するタスク生成部(41)を備える、
付記1乃至付記6のいずれかに記載の清掃システム。
(付記8)
前記タスク生成部は、前記複数台の清掃用ロボットのうち、前記協調動作モードにて動作可能な清掃用ロボットの台数に基づいて、各清掃用ロボットが実行する前記パフォーマンス動作の内容を変更する、
付記7に記載の清掃システム。
(付記9)
前記タスク司令装置は、前記複数台の清掃用ロボットが清掃する前記清掃領域の汚れ度を検知可能な汚れ度検知部(43)をさらに備え、
前記汚れ度が所定の閾値以下の前記清掃領域を清掃する前記複数台の清掃用ロボットの少なくとも一部に、所定のタイミングで共通する前記パフォーマンス動作を同時に実行させる、
付記7又は付記8に記載の清掃システム。
(付記10)
設定された清掃領域を清掃する、清掃具を有する自律移動が可能な清掃用ロボットの制御方法であって、
前記清掃領域の混雑度を検出する工程と、
検出された前記混雑度に基づいて、前記清掃領域の清掃を実行する清掃モードと、他の清掃用ロボットと協調してパフォーマンス動作を実行する協調動作モードと、を選択的に実行する工程と、を備える、
清掃用ロボットの制御方法。
(付記11)
設定された清掃領域を清掃する、清掃具を有する自律移動が可能な清掃用ロボットが備えるコンピュータの少なくとも1つのプロセッサに、
前記清掃領域の混雑度を検出する工程と、
検出された前記混雑度に基づいて、前記清掃領域の清掃を実行する清掃モードと、他の清掃用ロボットと協調してパフォーマンス動作を実行する協調動作モードと、を選択的に実行する工程と、を実行させる、
プログラム。
【符号の説明】
【0083】
1 清掃システム 2、2-1、2-2、2-3 清掃用ロボット 3 管理サーバ(タスク司令装置の一例) 12 清掃具 16 制御装置 31 通信部 32 自己位置特定部 33 汚れ検出部 34 混雑度検出部 35 動作モード決定部 41 タスク生成部 43 汚れ度検知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6