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特開2024-165145清掃装置、清掃システム及び清掃プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165145
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】清掃装置、清掃システム及び清掃プログラム
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20241121BHJP
   A47L 11/24 20060101ALI20241121BHJP
   A47L 11/20 20060101ALI20241121BHJP
   A47L 11/10 20060101ALI20241121BHJP
   A47L 11/28 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A47L9/28 E
A47L11/24
A47L11/20
A47L11/10
A47L11/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081047
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 優
(72)【発明者】
【氏名】藤本 啓吾
【テーマコード(参考)】
3B057
【Fターム(参考)】
3B057DE02
3B057DE06
(57)【要約】
【課題】自装置が汚れを広げている場合には、清掃を行わない選択をすることができる清掃装置、清掃システム及び清掃プログラムを提供する。
【解決手段】清掃装置(10)は、自装置の位置を推定する自己位置推定部(50)と、自己位置推定部で推定された位置に基づいて自律走行しながら清掃エリア(14)内の床面を清掃するように自装置を制御する制御部(58、60)と、清掃エリア内の小エリア毎に清掃前後の床面の画像に基づいて清掃効果を判定する清掃効果判定部(54)と、を備え、制御部は、清掃効果判定部により床面の汚れが悪化したと判定された場合は、判定対象の小エリアで自装置の走行を停止し且つ清掃を中止するように制御する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置の位置を推定する自己位置推定部(50)と、
前記自己位置推定部で推定された位置に基づいて自律走行しながら清掃エリア(14)内の床面を清掃するように自装置を制御する制御部(58、60)と、
前記清掃エリア内の小エリア毎に清掃前後の床面の画像に基づいて清掃効果を判定する清掃効果判定部(54)と、
を備え、
前記制御部は、前記清掃効果判定部により床面の汚れが悪化したと判定された場合は、判定対象の小エリアで自装置の走行を停止し且つ清掃を中止するように制御する、
清掃装置(10)。
【請求項2】
前記清掃効果判定部は、前記判定対象の小エリアにおいて床面の汚れが清掃前より拡大した場合に、床面の汚れが悪化したと判定する、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
清掃を中止することを外部に通報するための通報装置(30)を更に備え、
前記制御部は、清掃を中止する場合に、前記通報装置を作動させて清掃を中止することを外部に通報する、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項4】
清掃前に清掃対象の小エリアの床面の汚れを検出する汚れ検出部(52)を更に備え、
前記汚れ検出部は、前記清掃対象の小エリアの床面の画像から、汚れの有無、汚れの位置、及び汚れの種類を特定する、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項5】
前記汚れ検出部は、前記清掃対象の小エリアの汚れの無い床面の画像と清掃直前の床面の画像とを比較して、前記清掃対象の小エリアの床面の汚れを検出する、請求項4に記載の清掃装置。
【請求項6】
前記汚れ検出部は、床面に投影された物陰及び人影を床面の汚れから排除して、前記清掃対象の小エリアの床面の汚れを検出する、請求項4に記載の清掃装置。
【請求項7】
清掃前に清掃対象の小エリアの床面の清掃が可能か否かを判定する清掃可否判定部(56)を更に備え、
前記清掃可否判定部は、前記汚れ検出部により特定された汚れの種類から前記清掃対象の小エリアの清掃可能度を算出し、算出された前記清掃可能度が予め定めた閾値以下の場合は、前記清掃対象の小エリアの清掃が不可能である判定し、
前記制御部は、前記清掃可否判定部により清掃が不可能であると判定された前記清掃対象の小エリアの清掃を中止するように制御する、
請求項4に記載の清掃装置。
【請求項8】
前記清掃可否判定部は、前記汚れの種類と前記清掃可能度との予め定めた関係に基づいて、前記汚れ検出部で特定された汚れの種類に応じた清掃可能度を算出する、請求項7に記載の清掃装置。
【請求項9】
前記清掃効果判定部は、前記汚れ検出部で特定された汚れの位置から前記判定対象の小エリアにおいて清掃前より汚れの範囲が拡大した場合に、床面の汚れが悪化したと判定する、請求項4に記載の清掃装置。
【請求項10】
前記清掃効果判定部は、清掃不可能な汚れの踏み潰しを検出した場合は、床面の汚れが悪化したと判定する、請求項4に記載の清掃装置。
【請求項11】
前記清掃効果判定部は、前記汚れ検出部で特定された汚れの位置から前記判定対象の小エリアにおいて清掃前とは汚れの形状が異なる場合に、床面の摩擦係数の変動に基づいて前記汚れの踏み潰しを検出する、請求項10に記載の清掃装置。
【請求項12】
前記清掃効果判定部は、踏み潰した汚れの画像から踏み潰した汚れの種類を特定し、特定された汚れの種類に応じた清掃可能度が閾値以下の場合に、前記踏み潰した汚れは清掃不可能な汚れと判定する、請求項10に記載の清掃装置。
【請求項13】
空気中の埃を検出する埃センサ(24A)をさらに備え、
前記制御部は、前記清掃効果判定部の判定結果に拘わらず、前記埃センサで検出された検出値が予め定めた許容値以下になるまで、前記判定対象の小エリアの清掃を繰り返し行うように自装置を制御する、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項14】
清掃装置と、前記清掃装置と通信可能に接続され、前記清掃装置に特定の清掃エリアを清掃する清掃タスクを割り当てる清掃支援装置(12)と、を備える清掃システム(100)であって、
前記清掃装置は、
自装置の位置を推定する自己位置推定部と、
前記自己位置推定部で推定された位置に基づいて自律走行しながら清掃エリア内の床面を清掃するように自装置を制御する制御部と、
前記清掃エリア内の小エリア毎に清掃前後の床面の画像に基づいて清掃効果を判定する清掃効果判定部と、
を備え、
前記制御部は、前記清掃効果判定部により床面の汚れが悪化したと判定された場合は、判定対象の小エリアで自装置の走行を停止し且つ清掃を中止するように制御する、
清掃システム。
【請求項15】
前記清掃装置は、清掃前に清掃対象の小エリアの床面の汚れを検出する汚れ検出部を更に備え、前記清掃装置は、前記汚れ検出部で検出された清掃エリアの小エリア毎の汚れ情報を前記清掃支援装置に送信し、
前記清掃支援装置は、前記清掃装置から受信した汚れ情報を、前記清掃エリアの小エリア毎に汚れ情報蓄積部(68)に蓄積する、
請求項14に記載の清掃システム。
【請求項16】
前記清掃支援装置は、前記汚れ情報蓄積部に蓄積された汚れ情報に基づいて、前記清掃タスク及び前記清掃エリアが備える設備のメンテナンス情報の少なくとも一方を生成する、請求項15に記載の清掃システム。
【請求項17】
少なくとも1つのプロセッサ(32)に、
自装置の位置を推定させ、
推定された位置に基づいて自律走行しながら清掃エリア内の床面を清掃するように自装置を制御させ、
前記清掃エリア内の小エリア毎に清掃前後の床面の画像に基づいて清掃効果を判定させ、
床面の汚れが悪化したと判定された場合は、判定対象の小エリアで自装置の走行を停止し且つ清掃を中止するように自装置を制御させる、
清掃プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、清掃装置、清掃システム及び清掃プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自律走行しながら床面の清掃を行う清掃ロボットが活用されている。これらの清掃ロボットは、自宅、オフィス、公共施設(例えば、駅の構内)など、様々な清掃エリアの清掃に利用されている。
【0003】
例えば、国際公開第2022/009391号(特許文献1)には、相対的に広大な場所の清掃に適合する第1自律走行型ロボットと、第1自律走行型ロボットが清掃エリアのレイアウト情報に基づき作成された清掃指示情報に従って清掃エリアを清掃している間、清掃エリア全体を撮影する撮影手段と、撮影手段による撮影により生成された撮像データを解析することで、清掃エリア内において第1自律走行型ロボットが実際に清掃していない範囲を特定する未清掃範囲情報を生成する生成手段と、未清掃範囲情報から特定される、第1自律走行型ロボットが実際に清掃していない範囲の清掃を指示する指示手段と、を有することを特徴とする清掃システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2022/009391号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の清掃システム等、従来の清掃システムでは、清掃ロボットが清掃エリアを通過すると清掃完了とみなしている。しかしながら、食べ物、飲み物、吐瀉物、動物の排泄物など、汚れ物質の種類によっては、清掃ロボットが通過することで却って汚れを広げてしまう場合がある。
【0006】
本開示の目的は、自装置が汚れを広げている場合には、清掃を行わない選択をすることができる清掃装置、清掃システム及び清掃プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様に係る清掃装置(10)は、自装置の位置を推定する自己位置推定部(50)と、前記自己位置推定部で推定された位置に基づいて自律走行しながら清掃エリア(14)内の床面を清掃するように自装置を制御する制御部(58、60)と、前記清掃エリア内の小エリア毎に清掃前後の床面の画像に基づいて清掃効果を判定する清掃効果判定部(54)と、を備え、前記制御部は、前記清掃効果判定部により床面の汚れが悪化したと判定された場合は、判定対象の小エリアで自装置の走行を停止し且つ清掃を中止するように制御する、清掃装置(10)である。
【0008】
本開示の第2態様に係る清掃システム(100)は、清掃装置と、前記清掃装置と通信可能に接続され、前記清掃装置に特定の清掃エリアを清掃する清掃タスクを割り当てる清掃支援装置(12)と、を備える清掃システム(100)であって、前記清掃装置は、自装置の位置を推定する自己位置推定部と、前記自己位置推定部で推定された位置に基づいて自律走行しながら清掃エリア内の床面を清掃するように自装置を制御する制御部と、前記清掃エリア内の小エリア毎に清掃前後の床面の画像に基づいて清掃効果を判定する清掃効果判定部と、を備え、前記制御部は、前記清掃効果判定部により床面の汚れが悪化したと判定された場合は、判定対象の小エリアで自装置の走行を停止し且つ清掃を中止するように制御する、清掃システムである。
【0009】
本開示の第3態様に係る清掃プログラムは、少なくとも1つのプロセッサ(32)に、自装置の位置を推定させ、推定された位置に基づいて自律走行しながら清掃エリア内の床面を清掃するように自装置を制御させ、前記清掃エリア内の小エリア毎に清掃前後の床面の画像に基づいて清掃効果を判定させ、床面の汚れが悪化したと判定された場合は、判定対象の小エリアで自装置の走行を停止し且つ清掃を中止するように自装置を制御させる、清掃プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、自装置が汚れを広げている場合には、清掃を行わない選択をすることができる清掃装置、清掃システム及び清掃プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の第1の実施形態に係る清掃システムの構成の一例を示す概略図である。
図2】本開示の第1の実施形態に係る清掃装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】本開示の第1の実施形態に係る清掃システムの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4】本開示の第1の実施形態に係る清掃プログラムの流れの一例を示すフローチャートである。
図5】第1の実施形態に係る「清掃効果判定処理」の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】本開示の第2の実施形態に係る清掃プログラムの流れの一例を示すフローチャートである。
図7】第2の実施形態に係る「汚れ検出処理」の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】(A)及び(B)は汚れ検出の一例を示す模式図である。
図9】(A)~(C)は汚れ検出の他の一例を示す模式図である。
図10】(A)及び(B)は汚れ検出の他の一例を示す模式図である。
図11】本開示の第3の実施形態に係る「清掃効果判定処理」の流れの一例を示すフローチャートである。
図12】第3の実施形態に係る「追加汚れ検出処理」の流れの一例を示すフローチャートである。
図13】本開示の第4の実施形態に係る清掃プログラムの流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
<清掃システム>
まず、図1を参照して本開示の清掃システムについて説明する。
図1に示すように、清掃システム100は、自律走行型のロボットである清掃装置10と、清掃装置10と通信可能に接続された清掃支援装置12とを備えている。清掃システム100は、複数台の清掃装置10を含んでいてもよい。この例では、清掃装置10、10、10の3台の清掃装置10が図示されている。清掃装置10、10、10の各々を区別する必要が無い場合は、清掃装置10と総称する。
【0014】
清掃支援装置12は、清掃エリア14、14、14毎に清掃作業の内容(以下、「清掃タスク」という。)を生成し、清掃タスクを清掃装置10、10、10に割り当てる。ここでは、清掃装置10、10、10の各々に清掃エリア14、14、14を清掃するタスクが割り当てられる。清掃エリア14、14、14の各々を区別する必要が無い場合は、清掃エリア14と総称する。清掃装置10は、清掃対象の清掃エリア14に配置されて、清掃エリア14内を自律走行しながら、清掃エリア14の床面の清掃を行う。
【0015】
本開示の清掃システム100では、清掃装置10が、清掃エリア14内を自律走行しながら清掃前後の床面の画像を撮像し、清掃前後の床面の画像を比較して清掃効果を判定する。そして、床面の汚れが悪化した場合は、自装置が汚れを広げていると推定して、清掃装置10がそれ以上清掃を行わない選択をするものである。
【0016】
なお、本実施形態では、清掃支援装置12がタスクを生成する例について説明するが、清掃装置10がタスク生成機能を備えていてもよい。清掃装置10がタスク生成機能を備える場合は、清掃支援装置12を省略してもよい。
【0017】
(ハードウェア構成)
次に、図2を参照して清掃装置10のハードウェア構成の一例について説明する。
図2に示すように、清掃装置10は、制御部20を備えている。制御部20は、コンピュータで構成することができ、プロセッサ32、ROM(Read Only Memory)34、RAM(Random Access Memory)36、ストレージ38、入出力インタフェース(I/F)40、及び通信インタフェース(I/F)を備えている。プロセッサ32、ROM34、RAM36、ストレージ38、入出力インタフェース40、及び通信インタフェース42の各々は、内部バス44を介して相互に通信可能に接続されている。
【0018】
プロセッサ32は、例えば、CPU(Central Processing Unit)で構成することができ、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。具体的に言えば、プロセッサ32は、ROM34又はストレージ38に格納されている種々のプログラムを読み出し、RAM36を作業領域として当該プログラムを実行する。プロセッサ32は、プログラムに従って清掃装置10を構成する各部の制御や各種の演算処理を行う。
【0019】
ROM34は、各種プログラム及び各種データを格納する。また、RAM36は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。また、ストレージ38は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリといった記録媒体で構成することができる。
【0020】
ストレージ38には、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや、清掃装置10を動作させるために必要な各種データが格納されていてもよい。本実施形態では、ROM34又はストレージ38には、後述する「清掃プログラム」や清掃タスクの実行に必要な各種データが格納されている。
【0021】
通信インタフェース42は、例えばWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)といった無線通信規格に基づく無線通信により所定のデータを送受信できるものであってよい。この通信インタフェース42により、清掃装置10の制御部20は、ネットワークを介して他の電子デバイス、例えば清掃支援装置12や他の清掃装置10と通信する。
【0022】
また、図2に示すように、制御部20の入出力インタフェース40には、走行装置22、清掃具24、カメラ26、ディスプレイ28、及び通報装置30が、制御部20とデータの授受が行えるように接続されている。
【0023】
走行装置22は、清掃装置10の前方及び後方底部に複数個配設された車輪22Aを含んでいる。また、この車輪22Aの少なくとも一部が図示しないモータ等の駆動手段を用いて回転され、且つ車輪22Aの少なくとも一部の向きを制御可能な操舵手段によって進行方向を可変することで、清掃装置10の自律走行が実現される。
【0024】
清掃具24は、清掃装置10の適所に設けられ、清掃装置10の自律走行中に床面の清掃を可能とする装置である。清掃具24は、少なくとも、床面の塵芥を吸引可能な掃除機を備えている。また、清掃具24は、水拭きや乾拭きなど拭き掃除可能な布帛等をさらに備えていてもよい。また、清掃具24は、所定の清掃道具の取り付けが可能な、あるいは清掃道具を把持可能なロボットアームを含んでいてもよい。また、清掃具24は、埃センサ24Aを内蔵していてもよい。
【0025】
各清掃装置10は、種類の異なる複数の清掃具24を備えていてもよい。この場合、汚れの種類に応じて清掃具24を使い分けてもよい。また、複数の清掃装置10の各々は、同じ種類の清掃具24を備えていてもよいし、異なる種類の清掃具24を備えていてもよい。各清掃装置10が異なる種類の清掃具24を備える場合は、例えば汚れの種類に合わせて清掃を実施する清掃装置10を変更することで、最適な清掃手段を用いた清掃が簡単に実施できる。
【0026】
カメラ26は、清掃装置10の周囲や床面を撮像する装置である。清掃装置10は、カメラ26で撮像した周囲の状況から自己位置を推定する。また、清掃装置10は、清掃前後の床面の画像を撮像する。例えば、清掃前後の床面の画像を撮像するために、清掃装置10の前後にカメラ26が設置されていてもよい。例えば、清掃装置10の前部に設置されたカメラ26で、清掃装置10の前方の清掃前の床面の画像を撮像する(例えば、図1の清掃装置10の図を参照)。そして、その床面を通過しながら清掃した後に、清掃装置10の後部に設置されたカメラ26で、清掃装置10の後方の清掃後の床面の画像を撮像する(例えば、図1の清掃装置10の図を参照)。
【0027】
カメラ26としては、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子を用いた二次元カメラを用いることができる。また、カメラ26として、ステレオカメラ、ストラクチャードライト、あるいはToF(Time of Flight)センサ等の深度センサ付きカメラのような3次元カメラを採用することもできる。
【0028】
なお、ここではカメラ26を例示するが、清掃装置10の自己位置の推定や後述する汚れ検出には、カメラ以外の物体検知手段を使用してもよい。例えば、カメラ26の代わりに又はカメラ26に加えて、車両周辺の物体との距離及び方向を検知するレーダ(例えば、ミリ波センサ)やLiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)、音波によって車両周辺の物体を検知するソナー、GPS(Global Positioning System)を使用することができる。また、GIS(Geographic Information System)等のデジタル地図を利用して、自己位置を推定することもできる。
【0029】
ディスプレイ28は、ユーザ等に各種情報を表示するための装置である。例えば、ディスプレイ28に、周囲の人へのメッセージ等を表示することができる。ディスプレイ28は、清掃装置10の任意の位置に設置されていてもよい。ディスプレイ28としては、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)や有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescent Display:OELD)といった周知のディスプレイ装置を用いることができる。
【0030】
通報装置30は、音を鳴らしたり、ランプを点灯させたりして、周囲の人に各種情報を報知するための装置である。通報装置30は、清掃装置10の任意の位置に設置されていてもよい。通報装置30としては、音声を出力するためのスピーカや、光を出力するためのランプ等を設けてもよい。
【0031】
なお、詳細な説明は省略するが、清掃支援装置12は、例えば、クラウドに配置されたサーバ装置である。清掃支援装置12は、XaaS(X as a Service)を提供可能なクラウドサーバで構成することができる。清掃支援装置12は、制御装置、記憶装置、及び通信インタフェースを備えている。清掃支援装置12の制御装置は、清掃装置10の制御部20と同様にコンピュータで構成することができる。
【0032】
(機能的構成)
次に、図3を参照して清掃装置10の機能的構成について説明する。
清掃装置10は、自己位置推定部50、汚れ検出部52、清掃効果判定部54、清掃可否判定部56、走行制御部58、清掃制御部60、及び通報制御部62を備えている。本開示の清掃装置10は、例示した機能部のうち、自己位置推定部50、清掃効果判定部54、及び清掃制御部60を必須構成とするものである。なお、自己位置推定部50、汚れ検出部52、清掃効果判定部54、及び清掃可否判定部56以外を「制御部」と総称する場合がある。
【0033】
自己位置推定部50は、清掃装置10が自装置の位置を推定する機能部である。本実施形態では、カメラ26で撮像した周囲の状況と清掃エリア14の地図情報とから自己位置を推定する。また、自己位置推定部50は、自装置の位置の時間変化から清掃装置10の走行速度を検知することができる。
【0034】
汚れ検出部52は、清掃前に、清掃エリア14内の一部のエリアの床面の汚れを検出し、その汚れの種類や状態を検出する機能部である。本実施形態では、汚れ検出部52は、予め撮影しておいた汚れのない清掃エリア14の床面の画像と、清掃直前に撮像された清掃エリア14の床面の画像とを比較して、清掃前の清掃エリア14の床面の汚れを検知する。
【0035】
清掃効果判定部54は、清掃後に、清掃前後の床面の画像に基づいて清掃エリア14内の一部のエリアに対する清掃効果を判定する機能部である。本実施形態では、清掃効果判定部54は、清掃前に撮影された清掃エリア14の床面の画像と、清掃後に撮影された清掃エリア14の床面の画像とを比較して、床面の汚れが悪化したか否かにより清掃効果を判定する。
【0036】
清掃可否判定部56は、清掃前に、清掃エリア14内の一部のエリアについて床面の清掃が可能か否かを判定する機能部である。清掃可否判定部56は、汚れ検出部52で検出された汚れについて清掃可能度を算出し、算出された清掃可能度に基づいてその汚れを清掃装置10が清掃可能か否かを判定する。
【0037】
走行制御部58は、自己位置推定部50で推定された自装置の位置に基づいて走行装置22を制御して清掃装置10を自律走行させる機能部である。また、清掃制御部60は、清掃具24の位置等を制御して清掃エリア14内の床面の清掃を行う機能部である。本実施形態では、清掃効果判定部54により床面の汚れが悪化したと判定された場合は、判定対象の小エリアで清掃装置10の走行を停止し且つ清掃を中止するように制御する。
【0038】
本実施形態では、動作モードには、清掃装置10が自律走行しながら清掃を行う「清掃モード」と、清掃装置10が清掃を行わずに自律走行を行う「非清掃モード」とがある。清掃制御部60は、清掃開始時に、動作モードを非清掃モードから清掃モードに移行させる。また、清掃制御部60は、は、清掃効果判定部54により床面の汚れが悪化したと判定された場合は、動作モードを清掃モードから非清掃モードに移行させる。清掃モードでは、走行制御部58及び清掃制御部60が協働して、清掃装置10を制御する。
【0039】
通報制御部62は、清掃タスクを中止する際などに、外部に各種情報を報知させる機能部である。通報制御部62は、通報装置30を制御して周囲の人に各種情報を報知させる。また、通報制御部62は、通信インタフェース42を介して各種情報を清掃支援装置12や他の清掃装置10に送信させる。
【0040】
また、清掃支援装置12は、タスク生成部66及び汚れ情報蓄積部68を備えている。タスク生成部66は、各清掃装置10で実行するタスク、具体的には、清掃作業の内容を含む清掃タスクを生成する機能部である。清掃タスクには、清掃対象となる清掃エリアや目標とする清掃度合い、使用する清掃具24等の情報を含んでいてよい。汚れ情報蓄積部68は、各清掃装置10から送信された汚れ情報を、清掃エリア14の地図上の位置と関連付けて記憶装置に記憶する機能部である。
【0041】
なお、清掃装置10の各機能部は、次に説明する「清掃プログラム」が、制御部20のプロセッサ32によって実行されることで実現される。
【0042】
<清掃プログラム>
次に、図4を参照して「清掃プログラム」について説明する。
「清掃プログラム」は、制御部20のプロセッサ32によって実行される。「清掃プログラム」は、清掃装置10が清掃支援装置12から清掃タスクを受信すると開始される。ここでは、清掃エリア14は、複数の小エリアに分割されており、小エリア毎に清掃効果を判定するものとする。
【0043】
まず、ステップS100で、プロセッサ32は、清掃装置10の動作モードを床面の清掃を行う清掃モードに移行させる。次に、ステップS102で、プロセッサ32は、清掃装置10を次の小エリアに移動させる。清掃の開始時には、清掃をスタートする小エリアに移動させる。清掃装置10は、カメラ26から周囲映像を取得し、周囲映像から自己位置を推定しながら、所望の位置まで移動する。
【0044】
次に、ステップS104で、プロセッサ32は、清掃装置10の前方にある清掃前の小エリアの床面をカメラ26に撮像させて、清掃前の床面の画像を取得し、取得した画像をRAM36に記憶しておく。次に、ステップS114で、プロセッサ32は、清掃装置10を走行させて小エリア内を清掃させる。次に、ステップS116で、プロセッサ32は、清掃装置10の後方にある清掃後の小エリアの床面をカメラ26に撮像させて、清掃後の床面の画像を取得し、取得した画像をRAM36に記憶しておく。
【0045】
次に、ステップS118で、プロセッサ32は、清掃した小エリアにおける清掃効果を判定する「清掃効果判定処理」を実行する。
【0046】
ここで、図5を参照して「清掃効果判定処理」について説明する。
まず、ステップS200で、プロセッサ32は、RAM36から清掃前の床面の画像を取得する。次に、ステップS202で、プロセッサ32は、RAM36から清掃後の床面の画像を取得する。次に、ステップS204で、プロセッサ32は、清掃前後の床面の画像を比較する。ここでは、何処から撮像した画像であっても互いに比較できるように、清掃前後の床面の画像を上から見た画像(Top View)に変換して、変換後の2つの画像を比較する。
【0047】
次に、ステップS206で、プロセッサ32は、清掃により清掃前より床面の汚れが拡大したか否かを判断する。例えば、清掃後の床面の画像から清掃前の床面の画像を差し引いた差分画像を抽出し、新たな汚れが差分画像として追加されている場合は、汚れが拡大したと判断することができる。
【0048】
汚れが拡大する態様としては、塵芥がまき散らかされる場合の外に、清掃エリア14を移動する際に清掃装置10のタイヤ痕が残る場合がある。例えば、カーペットやフローリング上を重い清掃装置10が通過することで、一定時間経っても元に戻らないような強い損耗を与えることがある。
【0049】
汚れが拡大した場合(ステップS206でYES)は、ステップS208に進む。ステップS208で、プロセッサ32は、悪化判定をしてルーチンを終了する。一方、汚れが拡大していない場合(ステップS206でNO)は、悪化判定をせずにルーチンを終了する。
【0050】
ここで図4の説明に戻る。次に、ステップS120で、プロセッサ32は、清掃により小エリア内の床面の状況が悪化したか否かを判定する。上述した「清掃効果判定処理」で悪化判定された場合は、床面の状況が悪化したものとする。床面の状況が悪化していない場合(ステップS120でNO)はステップS122に進む。一方、床面の状況が悪化した場合(ステップS120でYES)はステップS126に進む。
【0051】
床面の状況が悪化していない場合は、ステップS122で、プロセッサ32は、次の小エリアがあるか否かを判断する。次の小エリアがある場合(ステップS122でYES)は、ステップS102に戻って、ステップS102~ステップS122の手順を繰り返し行う。すなわち、プロセッサ32は、清掃装置10に清掃を続けさせる。次の小エリアがない場合(ステップS122でNO)は、続くステップS124で、プロセッサ32は、清掃タスクの完了通知を清掃支援装置12に送信して、ルーチンを終了する。
【0052】
床面の状況が悪化した場合は、ステップS126で、プロセッサ32は、清掃装置10の動作モードを、床面の清掃を行わない非清掃モードに移行させる。すなわち、プロセッサ32は、清掃装置10に清掃を中止させる。続くステップS128で、プロセッサ32は、清掃タスクを途中で中止した場合の「タスク中止処理」を行って、ルーチンを終了する。
【0053】
「タスク中止処理」としては、清掃装置10の移動を停止させる、周囲に通報する等が考えられる。周囲に通報する方法としては、音を鳴らしたり、ランプを点灯させたりする方法が挙げられる。また、プロセッサ32は、清掃タスクの中止通知を清掃支援装置12に送信してもよい。
【0054】
以上の通り、第1の実施形態では、清掃エリア14を複数の小エリアに分割し、小エリア毎に清掃効果を判定するので、清掃装置10が却って汚れを広げている場合でも、小エリアにおいて床面の状況が清掃前より悪化していることを検知することができる。
【0055】
また、第1の実施形態では、小エリアにおいて床面の状況の悪化が検知された場合には、その小エリアで清掃装置10に清掃を中止させるので、清掃エリア内で汚れが広範囲に広がる前に清掃を中止することができる。
【0056】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、清掃前に「汚れ検出処理」を実行して、清掃可能な汚れか否かを判定する。そして、清掃不可能な汚れの場合は、その小エリアの清掃を行う前に清掃を中止する。これ以外の構成は第1の実施形態と共通であるため、共通の部分については説明を省略し、相違点のみ説明する。
【0057】
次に、図6を参照して第2の実施形態に係る「清掃プログラム」について説明する。
第2の実施形態に係る「清掃プログラム」は、ステップS106~ステップS110が追加された以外は、図4に示す第1の実施形態に係る「清掃プログラム」と同様である。
【0058】
まず、ステップS100で、プロセッサ32は、清掃装置10の動作モードを床面の清掃を行う清掃モードに移行させる。次に、ステップS102で、プロセッサ32は、清掃装置10を次の小エリアに移動させる。次に、ステップS104で、プロセッサ32は、清掃装置10の前方にある清掃前の小エリアの床面をカメラ26に撮像させて、清掃前の床面の画像を取得し、取得した画像をRAM36に記憶しておく。
【0059】
次に、ステップS106で、プロセッサ32は、清掃前の床面の汚れを検出する「汚れ検出処理」を実行する。「汚れ検出処理」の詳細については後述する。次に、ステップS108で、プロセッサ32は、ステップS106で検出された汚れについて清掃可能度を算出する。次に、ステップS110で、プロセッサ32は、ステップS108で算出された清掃可能度に基づいて清掃装置10が清掃可能か否かを判定する。清掃可能な場合(ステップS110でYES)はステップS114に進む。一方、清掃不可能な場合(ステップS110でNO)はステップS126に進む。
【0060】
次に、ステップS114で、プロセッサ32は、清掃装置10を走行させて小エリア内を清掃させる。次に、ステップS116で、プロセッサ32は、清掃装置10の後方にある清掃後の小エリアの床面をカメラ26に撮像させて、清掃後の床面の画像を取得し、取得した画像をRAM36に記憶しておく。
【0061】
次に、ステップS118で、プロセッサ32は、清掃した小エリアにおける清掃効果を判定する「清掃効果判定処理」を実行する。次に、ステップS120で、プロセッサ32は、清掃により小エリア内の床面の状況が悪化したか否かを判定する。床面の状況が悪化していない場合はステップS122に進む。一方、床面の状況が悪化した場合はステップS126に進む。
【0062】
床面の状況が悪化していない場合は、ステップS122で、プロセッサ32は、次の小エリアがあるか否かを判断する。次の小エリアがある場合は、ステップS102に戻って、ステップS102~ステップS122の手順を繰り返し行う。次の小エリアがない場合は、続くステップS124で、プロセッサ32は、清掃タスクの完了通知を清掃支援装置12に送信して、ルーチンを終了する。
【0063】
床面の状況が悪化した場合、又は清掃前に清掃不可能と判定された場合は、ステップS126で、プロセッサ32は、清掃装置10の動作モードを、床面の清掃を行わない非清掃モードに移行させる。続くステップS128で、プロセッサ32は、タスク中止処理を行い、ルーチンを終了する。
【0064】
なお、図6に示す例では、ステップS110で清掃前に清掃不可能と判定された場合に非清掃モードに移行することとしたが、点線の矢印で図示するように、清掃不可能な小エリアをスキップして、次の小エリアに移動してもよい。この場合、清掃不可能な小エリアを迂回するルートを探索し、迂回ルートで清掃装置10を次の小エリアに移動させることが好ましい。
【0065】
(汚れ検出処理)
ここで、図7を参照して、図6のステップS106の「汚れ検出処理」について説明する。まず、ステップS300で、プロセッサ32は、事前に記憶しておいた基準画像を取得する。基準画像は、汚れのない状態で撮像された該当小エリアの画像である。次に、ステップS302で、プロセッサ32は、RAM36から清掃前の床面の画像を取得する。次に、ステップS304で、プロセッサ32は、上から見た画像に変換して、清掃前の床面の画像を基準画像と比較する。
【0066】
次に、ステップS306で、プロセッサ32は、汚れがあるか否かを判断する。また、プロセッサ32は、汚れの種類も判別する。ここで、汚れの種類とは、汚れを構成する物質(以下、「汚れ物質」という。)の種類である。汚れ物質の種類としては、埃、紙くず、砂、泥、靴跡、雨水、食べ物、飲み物、吐瀉物、動物の排泄物等が挙げられる。
【0067】
汚れ物質の種類、すなわち汚れ物質のクラスの判定は、汚れの特徴(例えば、色、面積、形状、液体か固体かの別など)を利用した画像認識の手法等により行われる。例えば、立体物であれば固体と判断し、立体物でなければ液体と判断する。具体的には、食べ物が床面に散乱している参照画像と似ている画像について、汚れ物質は食べ物であると判定される。
【0068】
汚れがある場合(ステップS306でYES)は、ステップS308に進む。ステップS308で、プロセッサ32は、汚れ箇所を記録する。一方、汚れがない場合(ステップS306でNO)は、汚れ箇所を記録する必要がないので、ステップS308をスキップしてステップS310に進む。次に、ステップS310で、汚れ検出結果を出力して、ルーチンを終了する。汚れが検出された場合、汚れ検出結果には、汚れの有無、汚れの位置、汚れの種類等が含まれる。なお、汚れ検出結果は、例えば清掃タスクの完了通知や中止通知に含める等して、清掃支援装置12に送信される。
【0069】
ここで、汚れ検出の具体例を示す。
(例1)
図8(A)は基準画像80Bを示す。基準画像80Bは、汚れのないカーペットの画像である。図8(B)は清掃前の床面の画像80Aを示す。清掃前の床面の画像80Aには、カーペットに飲み物をこぼしてできた汚れ82が映り込んでいる。この場合、基準画像80Bと清掃前の床面の画像80Aとの差分画像を得ることで、基準画像80Bからの変化として汚れ82が検出される。
【0070】
(例2)
図9(A)は第1時間帯に撮影された基準画像80Bを示し、図9(B)は第2時間帯に撮影された基準画像80Bを示す。清掃装置10のストレージ38には、時間帯毎の基準画像80Bが予め記憶されている。図9(C)は第2時間帯に撮影された清掃前の床面の画像80Aを示す。第2時間帯に撮影された基準画像80Bと清掃前の床面の画像80Aとには、太陽光や照明による物陰84が投影されている。この場合は、物陰84を汚れと誤検出しないように、同じ時間帯に撮影された基準画像80Bと清掃前の床面の画像80Aとを比較する。2つの画像の差分画像を得ることで、汚れ82だけが検出される。
【0071】
(例3)
図10(A)は基準画像80Bを示す。図10(B)は清掃前の床面の画像80Aを示す。清掃前の床面の画像80Aには、太陽光や照明による人の影86が投影されている。人影やカーテンなど動く物体の影86では、影86と周辺部分の境界が時間の経過に従って移動する。この場合、影86を汚れと誤検出しないように、基準画像80Bと複数の時刻に撮影された清掃前の床面の画像80Aとを比較する。2つの画像の差分画像が時間の経過に従って変化する場合、差分画像は影86と判定され、汚れから除外される。
【0072】
なお、上記では、画像比較時に物陰や人影を特定して排除する例について説明したが、物陰や人影の影響は、他の方法でも排除することができる。例えば、撮像時に、物陰や人影が投影されない位置や角度から撮影してもよい。また、撮像時に、物陰や人影が投影されないように、撮像エリアを光源から照明してもよい。
【0073】
また、太陽光や照明など周囲の光源の位置を特定して、物陰や人影のできる向きや形状を推定し、推定された物陰や人影を画像処理により除去してもよい。また、清掃装置10の後部に設置されたカメラ26で撮像したのでは、自装置の影が投影されてしまう場合に、1エリア分後退して、清掃装置10の前部に設置されたカメラ26で撮像するようにしてもよい。
【0074】
(清掃可能度)
ここで、図6のステップS108の清掃可能度の算出と、図6のステップS110の清掃可能か否かの判定における判定基準とについて説明する。第2の実施形態では、清掃前に汚れ検出処理において検出された汚れに対して、清掃可能度を算出する。清掃可能度は、汚れ物質のクラス判定の結果に基づいて算出される。
【0075】
本実施形態では、清掃可能度は、例えば、埃、紙くずは「可能」、砂、泥、靴跡、雨水は「やや困難」、食べ物、飲み物、吐瀉物、動物の排泄物は「困難」など、汚れ物質のクラスに応じて予め定められている。清掃可能か否かの判定は、例えば、清掃可能度が「やや困難」以上は清掃可能と判定する等、算出した清掃可能度に対する閾値判定により行う。この場合、食べ物、飲み物、吐瀉物、動物の排泄物は、清掃可能度が「困難」であり、清掃不可能と判定される。なお、清掃可能度は、「可能/80%以上」、「やや困難/50%以上80%未満」、「困難/50%未満」など、数値で表されてもよい。
【0076】
(清掃効果判定処理)
ここで、第2の実施形態における「清掃効果判定処理」について説明する。「清掃効果判定処理」の流れは、図5に示す第1の実施形態の「清掃効果判定処理」と同じである。但し、ステップS204で画像を比較して、ステップS206で汚れが拡大したかを判断する際に、図6のステップS106の「汚れ検出処理」で得られた汚れ検出結果を考慮することができる。
【0077】
ステップS204で、プロセッサ32は、汚れ検出結果を取得し、清掃前後の床面の画像を比較する。ステップS206で、プロセッサ32は、汚れ検出結果を考慮し、清掃により清掃前に検出された汚れの範囲が拡大したか否かを判断する。例えば、汚れ検出処理によって検出された汚れの周囲に、その汚れと同系統の色を持つ領域が拡がった場合、汚れが拡大したと判断することができる。また、汚れ検出処理によって検出された汚れの形状が変化した場合に、汚れを踏み潰して汚れが拡大したと判断することができる。
【0078】
以上の通り、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
また、第2の実施形態では、清掃前に汚れを検出し、検出された汚れが清掃可能か否かを判定し、その小エリアで清掃装置10に清掃を中止させるので、清掃エリア内で汚れが拡大するのを事前に防止することができる。
【0080】
また、第2の実施形態では、汚れの有無、汚れの位置、汚れの種類を清掃前に検出するので、汚れを確実に清掃することができる。また、汚れ検出では、物陰や人影を排除することにより、汚れの誤検出を防止することができる。
【0081】
また、第2の実施形態では、清掃効果判定で汚れの検出結果が考慮されるので、汚れが拡大しているかを、より精度よく判定することができる。
【0082】
なお、本実施形態では、プロセッサ32は、清掃前に、汚れ検出処理、清掃可能度の算出、及び清掃可能か否かの判定を行う。プロセッサ32は、これに代えて又はこれに加えて、床面の状況が悪化してステップS126に移行する前に、汚れ検出処理、清掃可能度の算出、及び清掃可能か否かの判定を行ってもよい。そして、プロセッサ32は、床面の状況が悪化しても、清掃可能と判断できる場合は、清掃装置10に同じエリアを再度清掃させてもよい。
【0083】
[第3の実施形態]
第2の実施形態では、「汚れ検出処理」で得られた汚れ検出結果を考慮して「清掃効果判定処理」を行った。これに対し、第3の実施形態では、汚れ検出結果を考慮した結果、汚れの形状が変化している場合に、汚れを踏み潰した可能性があるので「踏み潰し検出処理」を実行する。これ以外の構成は第2の実施形態と共通であるため、共通の部分については説明を省略し、相違点のみ説明する。
【0084】
(清掃効果判定処理)
ここで、図11を参照して第3の実施形態における「清掃効果判定処理」について説明する。まず、ステップS400で、プロセッサ32は、RAM36から清掃前の床面の画像を取得する。次に、ステップS402で、プロセッサ32は、RAM36から清掃後の床面の画像を取得する。次に、ステップS404で、プロセッサ32は、汚れ検出結果を取得し、清掃前後の床面の画像を比較する。
【0085】
次に、ステップS406で、プロセッサ32は、汚れ検出結果を考慮し、清掃により床面の汚れの形状が清掃前とは変化したか否かを判断する。汚れの形状が変化した場合(ステップS406でYES)は、ステップS408に進む。一方、汚れの形状が変化していない場合(ステップS406でNO)は、悪化判定をせずにルーチンを終了する。次に、ステップS408で、プロセッサ32は、汚れの踏み潰しを検出する「踏み潰し検出処理」を実行する。
【0086】
ここで、図12を参照して「踏み潰し検出処理」について説明する。
まず、ステップS500で、プロセッサ32は、清掃中の小エリアにおける床面の摩擦係数μを算出し、RAM36に記憶しておく。床面の摩擦係数は、清掃装置10の走行速度から算出することができる。例えば、油分を含む汚れを踏み潰した場合は、床面が滑り易くなり、走行速度が上昇し、摩擦係数が低下する。また、粘着性の汚れを踏み潰した場合は、床面の摩擦が高くなり、走行速度が低下し、摩擦係数が上昇する。
【0087】
次に、ステップS502で、プロセッサ32は、清掃中の小エリアの摩擦係数を、以前の摩擦係数と比較して、床面の摩擦係数が変動したか否かを判断する。以前の摩擦係数は、例えば、1つ手前の小エリアの摩擦係数や、清掃済みの小エリアの摩擦係数の平均値等とすることができる。摩擦係数が変動した場合(ステップS502でYES)は、汚れを踏み潰したとしてステップS504に進む。一方、摩擦係数が変動していない場合(ステップS502でNO)は、汚れの踏み潰しは発生していないとしてルーチンを終了する。
【0088】
次に、ステップS504で、プロセッサ32は、移動した経路を逆に辿って、清掃装置10を踏み潰しが発生した位置まで移動させる。次に、ステップS506で、プロセッサ32は、踏み潰しが発生した位置の床面をカメラ26に撮像させて、床面の画像を取得し、取得した画像をRAM36に記憶しておく。次に、ステップS508で、プロセッサ32は、撮像した画像から汚れ物質のクラス判定を行い、クラス判定の結果に基づいて清掃可能度を算出して、ルーチンを終了する。すなわち、踏み潰した汚れの種類が特定され、汚れの種類に応じて清掃可能度が算出される。
【0089】
ここで図11の説明に戻る。次に、ステップS410で、プロセッサ32は、汚れの踏み潰しか否かを判断する。摩擦係数の変動があれば、汚れの踏み潰しがあったと判断する。汚れの踏み潰しではない場合(ステップS410でNO)、悪化判定をせずにルーチンを終了する。一方、汚れの踏み潰しの場合(ステップS410でYES)は、ステップS412に進む。
【0090】
次に、ステップS412で、プロセッサ32は、「踏み潰し検出処理」で算出された清掃可能度に基づいて清掃装置10が清掃可能か否かを判定する。清掃可能な場合(ステップS412でYES)は、悪化判定をせずにルーチンを終了する。例えば、踏み潰した物質が「紙くず」であれば、清掃前とは汚れの形状が変化していても、清掃されていると推定される。一方、清掃不可能な場合(ステップS412でNO)はステップS414に進む。ステップS414で、プロセッサ32は、悪化判定をしてルーチンを終了する。
【0091】
以上の通り、第3の実施形態では、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
また、第3の実施形態では、「汚れ検出処理」で検出した汚れとは、汚れの形状が変化している場合に、汚れの踏み潰しを検出する。そして、汚れを踏み潰した場合は、踏み潰しが発生した位置まで戻って汚れの種類を特定するので、汚れの踏み潰しに対してより適切に対処することができる。
【0093】
また、第3の実施形態では、踏み潰した汚れの種類を特定して、再度、清掃可能か否かを判定するので、悪化判定をより慎重に行うことができる。これにより、清掃を中止するケースが減り、汚れが拡大している場合に一律に悪化判定を行う場合に比べて、清掃効率が向上する。
【0094】
[第4の実施形態]
第1の実施形態では、清掃効果判定の結果、悪化していなければその小エリアについては清掃完了として次の小エリアに移動することとした。これに対し、第4の実施形態では、さらに埃センサの検出値を取得し、埃が舞っている場合は、清掃未完了としてその小エリアの清掃をやり直す。これ以外の構成は第1の実施形態と共通であるため、相違点のみ説明する。
【0095】
図13を参照して第4の実施形態に係る「清掃プログラム」について説明する。第4の実施形態に係る「清掃プログラム」は、ステップS130及びステップS132が挿入されている以外は、図4に示す「清掃プログラム」と同じ流れである。このため、共通の部分については同じ符号を付して説明を省略する。
【0096】
ステップS120で、プロセッサ32は、清掃により小エリア内の床面の状況が悪化したか否かを判定する。床面の状況が悪化していない場合(ステップS120でNO)はステップS130に進む。一方、床面の状況が悪化した場合(ステップS120でYES)はステップS126に進む。
【0097】
床面の状況が悪化していない場合は、ステップS130で、埃センサ24Aの検出値を取得する。次に、ステップS132で、埃センサ24Aの検出値が許容値以下か否かを判断する。埃センサ24Aの検出値が許容値以下の場合(ステップS132でYES)はステップS122に進む。一方、埃センサ24Aの検出値が許容値を超える場合(ステップS132でNO)はステップS114に戻って、清掃をやり直す。
【0098】
清掃後の床面はきれいになったが、空気中に埃が舞っている場合、埃が床面に落ちて床面が汚れてしまう。この場合は、プロセッサ32は、清掃未完了として清掃装置10に清掃を続けさせる。或いは、これに代えて又はこれに加えて、プロセッサ32は、清掃支援装置12に、埃センサの検出値や、再度清掃が必要であることを示す情報を送信してもよい。
【0099】
以上の通り、第4の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第4の実施形態では、埃センサの検出値が許容値以下になるまで清掃を続けるので、実質的に床面をきれいにすることができる。
【0100】
[第5の実施形態]
第5の実施形態は、清掃支援装置12側での処理である。
第2の実施形態では、汚れの有無、汚れの位置、汚れの種類を、汚れ検出結果として清掃支援装置12に送信する。また、汚れ検出結果には、床面や壁面の撮像画像を含めてもよい。清掃支援装置12の汚れ情報蓄積部68には、汚れの有無、汚れの位置、汚れの種類が、清掃エリア14の鳥瞰図などのマップ上にプロットされて保存される。これにより、各清掃エリア14について汚れ情報が蓄積されて行く。
【0101】
汚れ情報蓄積部68に記憶されたマップによれば、各清掃エリア14について汚れ易い場所を記憶しておくことができる。例えば、部屋の出入り口の近くは、他の領域よりも汚れ易い。したがって、清掃支援装置12は、汚れ易い場所を考慮して次の清掃タスクを生成することが可能である。また、清掃エリア14に関する汚れ情報を、清掃タスクと共に清掃装置10に提供することで、清掃エリア14の清掃が容易になる。
【0102】
また、汚れ情報が蓄積された結果、経年的な汚れや傷み、劣化の情報が蓄積されることになる。経年的な汚れや傷み、劣化としては、汚れが取り切れずにシミになった場合、キズや轍が残ってしまう場合、摩擦によりカーペット表面がけば立っている場合、日照による床面に日焼けなどが発生する場合などがある。清掃エリア14の同じ位置について汚れ情報が一定期間継続して続いた場合、経年的な汚れや傷み、劣化が発生したものと推定される。このため、カーペットや壁紙の取り換えなどのメンテナンスが必要であること、すなわち清掃エリアが備える設備のメンテナンス情報を生成し、管理者や他の清掃装置10に送信してもよい。
【0103】
<変形例>
上記実施形態で説明した清掃装置、清掃システム及び清掃プログラムの構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内においてその構成を変更してもよいことは言うまでもない。
【0104】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0105】
[付記]
本発明の特徴を以下の通り示す。
(付記1)
自装置の位置を推定する自己位置推定部(50)と、前記自己位置推定部で推定された位置に基づいて自律走行しながら清掃エリア(14)内の床面を清掃するように自装置を制御する制御部(58、60)と、前記清掃エリア内の小エリア毎に清掃前後の床面の画像に基づいて清掃効果を判定する清掃効果判定部(54)と、を備え、前記制御部は、前記清掃効果判定部により床面の汚れが悪化したと判定された場合は、判定対象の小エリアで自装置の走行を停止し且つ清掃を中止するように制御する、清掃装置(10)。
(付記2)
前記清掃効果判定部は、前記判定対象の小エリアにおいて床面の汚れが清掃前より拡大した場合に、床面の汚れが悪化したと判定する、付記1に記載の清掃装置。
(付記3)
清掃を中止することを外部に通報するための通報装置(30)を更に備え、前記制御部は、清掃を中止する場合に、前記通報装置を作動させて清掃を中止することを外部に通報する、付記1又は付記2に記載の清掃装置。
(付記4)
清掃前に清掃対象の小エリアの床面の汚れを検出する汚れ検出部(52)を更に備え、前記汚れ検出部は、前記清掃対象の小エリアの床面の画像から、汚れの有無、汚れの位置、及び汚れの種類を特定する、付記1から付記3までのいずれか1つに記載の清掃装置。
(付記5)
前記汚れ検出部は、前記清掃対象の小エリアの汚れの無い床面の画像と清掃直前の床面の画像とを比較して、前記清掃対象の小エリアの床面の汚れを検出する、付記4に記載の清掃装置。
(付記6)
前記汚れ検出部は、床面に投影された物陰及び人影を床面の汚れから排除して、前記清掃対象の小エリアの床面の汚れを検出する、付記4又は付記5に記載の清掃装置。
(付記7)
清掃前に清掃対象の小エリアの床面の清掃が可能か否かを判定する清掃可否判定部(56)を更に備え、前記清掃可否判定部は、前記汚れ検出部により特定された汚れの種類から前記清掃対象の小エリアの清掃可能度を算出し、算出された前記清掃可能度が予め定めた閾値以下の場合は、前記清掃対象の小エリアの清掃が不可能である判定し、前記制御部は、前記判定部により清掃が不可能であると判定された前記清掃対象の小エリアの清掃を中止するように制御する、付記4から付記6までのいずれか1つに記載の清掃装置。
(付記8)
前記清掃可否判定部は、前記汚れの種類と前記清掃可能度との予め定めた関係に基づいて、前記汚れ検出部で特定された汚れの種類に応じた清掃可能度を算出する、付記7に記載の清掃装置。
(付記9)
前記清掃効果判定部は、前記汚れ検出部で特定された汚れの位置から前記判定対象の小エリアにおいて清掃前より汚れの範囲が拡大した場合に、床面の汚れが悪化したと判定する、付記4から付記8までのいずれか1つに記載の清掃装置。
(付記10)
前記清掃効果判定部は、清掃不可能な汚れの踏み潰しを検出した場合は、床面の汚れが悪化したと判定する、付記4から付記8までのいずれか1つに記載の清掃装置。
(付記11)
前記清掃効果判定部は、前記汚れ検出部で特定された汚れの位置から前記判定対象の小エリアにおいて清掃前とは汚れの形状が異なる場合に、床面の摩擦係数の変動に基づいて前記汚れの踏み潰しを検出する、付記10に記載の清掃装置。
(付記12)
前記清掃効果判定部は、踏み潰した汚れの画像から踏み潰した汚れの種類を特定し、特定された汚れの種類に応じた清掃可能度が閾値以下の場合に、前記踏み潰した汚れは清掃不可能な汚れと判定する、付記10に記載の清掃装置。
(付記13)
空気中の埃を検出する埃センサ(24A)をさらに備え、前記制御部は、前記清掃効果判定部の判定結果に拘わらず、前記埃センサで検出された検出値が予め定めた許容値以下になるまで、前記判定対象の小エリアの清掃を繰り返し行うように自装置を制御する、付記1に記載の清掃装置。
(付記14)
清掃装置と、前記清掃装置と通信可能に接続され、前記清掃装置に特定の清掃エリアを清掃する清掃タスクを割り当てる清掃支援装置(12)と、を備える清掃システム(100)であって、前記清掃装置は、自装置の位置を推定する自己位置推定部と、前記自己位置推定部で推定された位置に基づいて自律走行しながら清掃エリア内の床面を清掃するように自装置を制御する制御部と、前記清掃エリア内の小エリア毎に清掃前後の床面の画像に基づいて清掃効果を判定する清掃効果判定部と、を備え、前記制御部は、前記清掃効果判定部により床面の汚れが悪化したと判定された場合は、判定対象の小エリアで自装置の走行を停止し且つ清掃を中止するように制御する、清掃システム。
(付記15)
前記清掃装置は、清掃前に清掃対象の小エリアの床面の汚れを検出する汚れ検出部を更に備え、前記清掃装置は、前記汚れ検出部で検出された清掃エリアの小エリア毎の汚れ情報を前記清掃支援装置に送信し、前記清掃支援装置は、前記清掃装置から受信した汚れ情報を、前記清掃エリアの小エリア毎に汚れ情報蓄積部(68)に蓄積する、付記14に記載の清掃システム。
(付記16)
前記清掃支援装置は、前記汚れ情報蓄積部に蓄積された汚れ情報に基づいて、前記清掃タスク及び前記清掃エリアが備える設備のメンテナンス情報の少なくとも一方を生成する、付記15に記載の清掃システム。
(付記17)
少なくとも1つのプロセッサ(32)に、自装置の位置を推定させ、推定された位置に基づいて自律走行しながら清掃エリア内の床面を清掃するように自装置を制御させ、前記清掃エリア内の小エリア毎に清掃前後の床面の画像に基づいて清掃効果を判定させ、床面の汚れが悪化したと判定された場合は、判定対象の小エリアで自装置の走行を停止し且つ清掃を中止するように自装置を制御させる、清掃プログラム。
【符号の説明】
【0106】
10 清掃装置、12 清掃支援装置、14 清掃エリア、50 自己位置推定部、
52 汚れ検出部、54 清掃効果判定部、56 清掃可否判定部、58 走行制御部、60 清掃制御部、62 通報制御部
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