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  • 特開-合成樹脂製容器蓋 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165164
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器蓋
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/04 20060101AFI20241121BHJP
   B65D 41/34 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B65D41/04 500
B65D41/34 116
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081079
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 理
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA24
3E084AA32
3E084AA39
3E084AB10
3E084BA01
3E084DB02
3E084DB09
3E084DB12
3E084DB20
3E084DC03
3E084DC10
3E084FB01
3E084JA20
3E084KA20
3E084LA17
3E084LB02
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】グリップ性が良く、容器の口頸部に対する回転力が効果的に伝達され、そして成形時に金型ツールが損傷することが防止される、新規の合成樹脂製容器蓋を提供すること。
【解決手段】周方向に隣接する2つのナール体30を離隔させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形天面壁と該天面壁の外周縁から垂下する円筒形スカート壁とを具備し、該スカート壁の内周面には雌螺条が、外周面にはナールが夫々形成されていて、該ナールは周方向に隣接して配置された複数のナール体から構成されており、該ナール体は、該スカート壁の外周面において軸方向に延在する大突条と、該大突条の外周面において軸方向に延在する小突条とを含み、該小突条は間隔をおいて複数配置されている合成樹脂製容器蓋において、
周方向に隣接する2つの該ナール体は離隔している、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋。
【請求項2】
該大突条の外周面の周方向中央に該小突条は配置されておらず、該小突条は該周方向中央の両側に夫々配置されている、請求項1に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項3】
該小突条は等間隔をおいて偶数個配置されている、請求項2に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項4】
周方向に隣接する2つの該大突条の周方向隙間は周方向に隣接する2つの該小突条の周方向隙間よりも広い、請求項1に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項5】
該大突条の外周面の断面は円弧形状、該小突条の外周面の断面は半円形状である、請求項1に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項6】
該小突条の径方向突出量は全て同一である、請求項1に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項7】
高密度ポリエチレン製である、請求項1に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項8】
該スカート壁の下部には外径が増大した環状の膨出部が形成されており、上方から見ると、該ナール体は該膨出部の外周縁よりも内側に位置する、請求項1に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項9】
該小突条の上端は該大突条の上端よりも下方に位置する、請求項1に記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項10】
該スカート壁には周方向に延びる破断ラインが形成されていて、該スカート壁は該破断ラインよりも上方の主部と該破断ラインよりも下方のタンパーエビデント裾部とに区画されており、該雌螺条は該スカート壁の該主部の内周面に形成されていて、該タンパーエビデント裾部の内周面には係止突起が配設されている、請求項1に記載の合成樹脂製容器蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製容器蓋、更に詳しくは、円形天面壁とこの天面壁の外周縁から垂下する円筒形スカート壁とを具備し、スカート壁の内周面には雌螺条が外周面にはナールが夫々形成されている合成樹脂製容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には上述した形態の合成樹脂製容器蓋の一例が示されている。この容器蓋は開栓時及び閉栓時に使用者によって容器の口頸部に対して回動せしめられる。その際、スカート壁の外周面が使用者によって把持され、上記ナールは滑り止めとして機能する。特許文献1に示された容器蓋にあっては、ナールは周方向に隣接して配置された複数のナール体から構成されている。ナール体は、スカート壁の外周面において軸方向に延在する大突条と、大突条の外周面において軸方向に延在する小突条とを含み、小突条は間隔をおいて複数配置されている。
【0003】
使用者が上記特許文献1に示された合成樹脂製容器蓋を容器の口頸部に対して回動させる際には、使用者は自身の指特に親指の腹を周方向に隣接する2つのナール体の境界部に配置することで、ある程度のグリップ性で指をナール体にかけることができる。なお、指は周方向に隣接する2つのナール体のうち回動方向下流側に位置するナール体の回動方向上流側面にかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4634598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、上記特許文献1に開示された合成樹脂製容器蓋には、周方向に隣接する2つのナール体が相互に接触している、つまり周方向に隣接する2つのナール体の間に隙間が存在しないことに起因して以下のとおりの改善の余地がある。第一に、使用者が自身の指を上記境界部に配置したとしても、ナール体に対する指のかかりは浅くグリップ性が充分でない。第二に、指のかかる位置がスカート壁の外周面から径方向外側に離隔するため、上記回転力をスカート壁に効果的に伝達させることができない。雌螺条はスカート壁の内周面に形成されているため、上記回転力はスカート壁に直接伝達されるのが好ましい。第三に、上記境界部は極めて幅の狭い線状であるため、これを規定する金型ツールの肉厚は薄く充分な強度を確保することができない。それ故に、成形時に金型ツールが損傷してしまう虞がある。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、グリップ性が良く、容器の口頸部に対する回転力が効果的に伝達され、そして成形時に金型ツールが損傷することが防止される、新規且つ改良された合成樹脂製容器蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、鋭意検討の結果、周方向に隣接する2つのナール体を離隔させることによって、上記主たる技術的課題を解決できることを見出した。
【0008】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を解決する合成樹脂製容器蓋として、円形天面壁と該天面壁の外周縁から垂下する円筒形スカート壁とを具備し、該スカート壁の内周面には雌螺条が、外周面にはナールが夫々形成されていて、該ナールは周方向に隣接して配置された複数のナール体から構成されており、該ナール体は、該スカート壁の外周面において軸方向に延在する大突条と、該大突条の外周面において軸方向に延在する小突条とを含み、該小突条は間隔をおいて複数配置されている合成樹脂製容器蓋において、
周方向に隣接する2つの該ナール体は離隔している、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋が提供される。
【0009】
好ましくは、該大突条の外周面の周方向中央に該小突条は配置されておらず、該小突条は該周方向中央の両側に夫々配置されている。この場合には、該小突条は等間隔をおいて偶数個配置されているのがよい。好適には、周方向に隣接する2つの該大突条の周方向隙間は周方向に隣接する2つの該小突条の周方向隙間よりも広い。該大突条の外周面の断面は円弧形状、該小突条の外周面の断面は半円形状であるのがよい。該小突条の径方向突出量は全て同一であるのが好ましい。高密度ポリエチレン製であってよい。好ましくは、該スカート壁の下部には外径が増大した環状の膨出部が形成されており、上方から見ると、該ナール体は該膨出部の外周縁よりも内側に位置する。該小突条の上端は該大突条の上端よりも下方に位置するのが好適である。該スカート壁には周方向に延びる破断ラインが形成されていて、該スカート壁は該破断ラインよりも上方の主部と該破断ラインよりも下方のタンパーエビデント裾部とに区画されており、該雌螺条は該スカート壁の該主部の内周面に形成されていて、該タンパーエビデント裾部の内周面には係止突起が配設されているのがよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の合成樹脂製容器蓋にあっては、周方向に隣接する2つのナール体が離隔していることに起因して、消費者はナールを把持した際に指を周方向に隣接する2つのナール体の間でスカート壁の外周面に当接させることができる。これにより使用者は指を回動方向下流側に位置するナール体の外周面の回動方向上流端部にかけることができる、つまり指をナール体に深くかけることができ、グリップ性が良好となる。更に、指がスカート壁を直接把持するため、容器の口頸部に対する回転力をスカート壁に効果的に伝達することができる。また、周方向に隣接する2つのナール体が離隔しているため、その境界部を規定する金型ツールの強度を充分に確保することができ、成形時に金型ツールが損傷することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態の斜視図。
図2図1に示す容器蓋の平面図。
図3図2の一部を拡大して示す図。
図4図1に示す容器蓋を正面から見た半断面図。
図5図1の容器蓋を装着チャックによって把持した状態の断面図。
図6図5のVI-VI線断面図。
図7】装着チャックと容器蓋のスカート壁との関係を示す、図6の二点鎖線Xで囲んだ部分の拡大断面図。
図8】チャック片の凸部と容器蓋のスカート壁におけるナール体の外周面との密接状態を示す、図5の二点鎖線Yで囲んだ部分の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態を示す添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0013】
主に図1図2及び図4を参照して説明すると、本発明に従って構成される、全体を番号2で示す容器蓋は、円形天面壁4とこの天面壁4の外周縁から垂下する円筒形スカート壁6とを具備している(なお、成形金型からの離型性の都合上、スカート壁6は僅かに傾斜つまり下方に向かって径方向外側に広がっている)。図示の実施形態においては、容器蓋2は高密度ポリエチレンを主成分とする合成樹脂材料を圧縮又は射出することによって一体的に成形される。天面壁4の内面外周縁部には、同心状に配設された円筒形状の内側シール片8及び外側シール片10と共に半径方向に見て内側シール片8と外側シール片10との間に位置する環状突条12が形成されている。スカート壁6には周方向に延在する周方向破断ライン14が配設されており、スカート壁6は周方向破断ライン14よりも上方の主部16と周方向破断ライン14よりも下方のタンパーエビデント裾部18とに区画されている。周方向破断ライン14は、周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数個のスリット20とかかるスリット20間に位置する複数個の破断可能な橋絡部22とから構成されている。スカート壁6の主部16の外周面には、そこに掛けられる指の滑りを防止するためのナール24が形成されている。ナール24については後に更に言及する。主部16の内周面には雌螺条26が形成されている。タンパーエビデント裾部18の内周面には係止手段28が配設されている。図示の実施形態においては、係止手段28は周方向に間隔をおいて複数配置された係止突起により構成されている。係止突起は径方向内側に突出して周方向に延在している。
【0014】
図3も参照して説明を続けると、ナール24は周方向に隣接して配置された複数のナール体30から構成されている。ナール体30は、スカート壁6の外周面において軸方向に延在する大突条32と、この大突条32の外周面において軸方向に延在する小突条34とを含み、小突条34は間隔をおいて複数(図示の実施形態においては等間隔をおいて4個)配置されている。小突条34は等間隔をおいて偶数個配置されているのが良く、従って、小突条34は大突条32の外周面の周方向中央には配置されておらず、この周方向中央の両側に夫々配置されているのが好ましい。大突条32の外周面の周方向中央部分における小突条34が存在しない部分を小突条非存在中央部分として番号35で示す。大突条32の外周面の断面は円弧形状、小突条34の外周面の断面は半円形状である。小突条34の径方向突出量は全て同一である。図示の実施形態においては、スカート壁6の下部には円錐台形状(従って外径が増大した環状)の膨出部36が形成されており、大突条32及び小突条34は共に膨出部36の上面から上方に延びている。従って、上方から見ると、ナール体30は膨出部36の外周縁よりも内側に位置する。膨出部36が存在していることによって、容器蓋2が搬送特に当業者にとっては周知であるシュート搬送される際に、搬送方向の前後に位置する2つの容器蓋2のナール24が相互に噛み合って搬送路内でつまりが生じることが可及的に防止される。シュート搬送については、例えば、本願の出願人によって本願より先に出願されて既に特許された特許第4634598号公報を参照されたい。大突条32はスカート壁6の外周面の上端部まで、小突条34は大突条32の外周面の上端部まで夫々延びている。従って、小突条34の上端は大突条32の上端よりも下方に位置する。大突条32の上端面及び小突条34の上端面には夫々下方に向かって径方向外側に傾斜する切欠き38が設けられている。
【0015】
ここで、本発明の容器蓋にあっては、周方向に隣接する2つのナール体30が離隔していることが重要である。従って、周方向に隣接する2つのナール体30の間には図3において文字Gで示す隙間が存在し、かかる隙間Gにあっては、ナール体30は存在せずスカート壁6の外周面が露出している。図示の実施形態においては、周方向に隣接する2つの大突条32の周方向隙間つまり隙間Gは周方向に隣接する2つの小突条34の周方向隙間(これを文字gで示す)よりも広い。周方向に隣接する2つのナール体30が離隔していることで、その境界部を規定する金型ツールの強度を充分に確保することができ、成形時に金型ツールが損傷することが防止される。
【0016】
図4には、容器蓋2と共にこの容器蓋2が装着される容器の口頸部も二点鎖線で図示されている。ポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂或いはガラスから形成することができる容器の口頸部40は、全体として円筒形状であり、上面は開口されている。口頸部40の外周面には、雄螺条42、この雄螺条42の下方に位置する係止あご部44、及び係止あご部44の更に下方に位置するサポートリング46が形成されている。当業者には周知の如く、サポートリング46は容器を搬送する際に利用される。
【0017】
容器内に清涼飲料の如き内容物を充填した後に、口頸部40に容器蓋2を装着して口頸部40を密封する際には、口頸部40に容器蓋2を被嵌して容器蓋2を閉方向、即ち図4において上方から見て時計方向に回転せしめる。かくすると、容器蓋2の雌螺条26が口頸部40の雄螺条42に螺合され、容器蓋2は回転と共に相対的に下降せしめられる。容器蓋2が所要位置、即ち図4に図示する位置、まで下降せしめられると、容器蓋2の天面壁4の内面に形成されている環状突条12が口頸部40の頂面に当接せしめられると共に、容器蓋2の天面壁4の内面に形成されている内側シール片8及び外側シール片10が夫々口頸部40の内周面及び外周面に密接乃至当接せしめられ、かくして口頸部40が密封される。タンパーエビデント裾部18の内周面に形成されている係止手段28は口頸部40の係止あご部44を弾性的に乗り越えてその下方に位置せしめられる。
【0018】
容器の内容物を消費するために口頸部40を開封する際には、容器蓋2を開方向、即ち図4において上方から見て反時計方向、に回転せしめる。このとき、本発明の合成樹脂製容器蓋にあっては、周方向に隣接する2つのナール体30が離隔していることに起因して、消費者はナール24を把持した際に指を周方向に隣接する2つのナール体30の間でスカート壁6の外周面に当接させることができる。これにより使用者は指を回動方向下流側に位置するナール体30の外周面の回動方向上流端部にかけることができる、つまり指をナール体30に深くかけることができ、グリップ性が良好となる。更に、指がスカート壁6を直接把持するため、容器の口頸部40に対する回転力をスカート壁6に効果的に伝達することができる。それ故に、容器蓋2が高密度ポリエチレン製で滑りやすい場合であっても、使用者は容器蓋2を容易に回転せしめることができる。そして、容器蓋2が開方向に回転せしめられると、雌螺条26と雄螺条42との協働によって容器蓋2の天面壁4と共にスカート壁6の主部16は回転と共に相対的に上昇せしめられる。一方、スカート壁6のタンパーエビデント裾部18は、その内周面に形成されている係止手段28が口頸部40の係止あご部44に係止せしめられる故に上昇が阻止される。これにより、周方向破断ライン14の橋絡部22に応力が生成され、橋絡部22が破断される。周方向破断ライン14の橋絡部22が破断されてタンパーエビデント裾部18が主部16から分離された後においては、容器蓋2の天面壁4及びスカート壁6の主部16は回転と共に自由に上昇せしめられて口頸部40から離脱され、かくして口頸部40が開封される。
【0019】
上述したとおりにして容器の口頸部40に容器蓋2を装着して口頸部40を密封する際には、当業者にとっては周知である装着チャックが容器蓋2を把持してこれを口頸部40に被嵌して閉回転方向に回転せしめる。図5には装着チャック48の典型例が図示されている。この装着チャック48は、適宜に回転せしめられるスピンドル50と周方向に等間隔をおいてスピンドル50に装着された3個のチャック片52とを具備している。チャック片52の各々は上方に位置する連結部54と下方に位置するチャック部56とから構成されており、連結部54はスピンドル50に配設された支持ピン58を介してスピンドル50に旋回自在に、更に詳しくはそのチャック部56が容器蓋2のスカート壁6の外周面に対して接近及び離隔する方向に旋回自在に装着されている。図6及び図7を参照することによって明確に理解される如く、チャック片52のチャック部56は周方向に円弧状に延在せしめられており、その内周面には上下方向に直線状に延びる突条60が周方向に所要間隔をおいて複数配置されている。3個のチャック部56にはこれらを囲繞して容器蓋2のスカート壁6の外周面に接近する方向に弾性的に偏倚する環状コイルばね(図示していない)が付設されている。かような装着チャックの詳細については例えば、特開2009-234585号公報を参照されたい。
【0020】
装着チャック48は所要位置に位置せしめられている容器蓋2の上方から容器蓋2に対して下降せしめられ、容器蓋2の上半部をチャック片52のチャック部56内に収容する。この際には、チャック片52は弾性コイルばねの弾性偏倚作用に抗してスカート壁6の外周面から離隔する方向に若干弾性的に変位され、これによって容器蓋2の上半部がチャック片52のチャック部56内に進入することが許容される。チャック片52のチャック部56内に容器蓋2の上半部が所要とおりに収容されると、図7に明確に図示する如く、チャック片52のチャック部56の内周面に形成されている複数の突条60の一部が、容器蓋2の大突条32の外周面の周方向中央の小突条非存在中央部分35にて大突条32の外周面に弾性的に密接せしめられ(図8も参照されたい)、かくして容器蓋2が装着チャック48に把持される。つまり、図示の実施形態にあっては、大突条32の外周面に小突条34が間隔をおいて複数配置されていても、大突条32の外周面の周方向中央に小突条34は配置されておらず、小突条34は大突条32の外周面の周方向中央の両側に夫々配置されていることに起因して、装着チャック48の突条60は大突条32の外周面の周方向中央にて大突条32の外周面に密接せしめられるため、大突条32の最外径で把持することができ、装着チャック48は容器蓋2をバランスよく把持することができる。図示の実施形態においては更に、小突条34の上端は大突条32の上端よりも下方に位置するため、装着チャック48が容器蓋2に対して降下してこれを把持する際に、装着チャック48の突条60が小突条34の上端を損傷せしめることが防止される。また、大突条32の上端及び小突条34の上端には切欠き38が形成されていることに起因して、装着チャック48の突条60が仮に大突条32の上端又は小突条34の上端と当接したとしても突条60は切欠き38に沿って円滑に大突条32又は小突条34に乗り上げるため、突条60がナール体30の上端を損傷させることが可及的に防止される。容器蓋2の上半部がチャック片52のチャック部56内に収容された状態にあっては、チャック部56の内周面に形成された突条60と容器蓋2の外周面に形成された小突条34との間にはある程度の周方向係合しろが存在する。そして、装着チャック48が閉回転方向へ回転すると、突条60が小突条34と周方向に係合した後に容器蓋2は閉回転方向に回転せしめられ、容器蓋2が容器の口頸部40に装着される。
【0021】
以上、本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋について添付した図面を参照して詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲内において適宜の修正や変更が可能である。
【符号の説明】
【0022】
2:容器蓋
4:天面壁
6:スカート壁
24:ナール
30:ナール体
32:大突条
34:小突条
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8