(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165166
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】通信仲介システム、通信仲介プログラムおよび画像処理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241121BHJP
H04L 67/141 20220101ALI20241121BHJP
H04L 67/562 20220101ALI20241121BHJP
H04L 67/567 20220101ALI20241121BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G06F3/12 336
G06F3/12 322
G06F3/12 338
G06F3/12 387
H04L67/141
H04L67/562
H04L67/567
H04N1/00 127A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081081
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【弁理士】
【氏名又は名称】原口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】同前 和樹
(72)【発明者】
【氏名】徳永 智治
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AC34
(57)【要約】
【課題】 脆弱性への対応を容易化することができる通信仲介システム、通信仲介プログラムおよび画像処理システムを提供する。
【解決手段】 通信仲介システム40は、画像の処理を実行する画像処理装置30と、データを記憶するクラウドサービス50との間の通信を仲介する通信仲介部を備え、通信仲介部は、クラウドサービス50用の通信方式APIを利用してクラウドサービス50のフォルダーにスキャンデータをアップロードしたり(S164)、クラウドサービス50用の通信方式APIを利用してクラウドサービス50のファイルをダウンロードしたりすることを特徴とする。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の処理を実行する画像処理装置と、データを記憶するクラウドサービスとの間の通信を仲介する通信仲介部を備えることを特徴とする通信仲介システム。
【請求項2】
前記通信仲介部は、前記画像処理装置との間の通信を前記クラウドサービスの種類に依存しない統一した方式で実行することを特徴とする請求項1に記載の通信仲介システム。
【請求項3】
画像の処理を実行する画像処理装置と、データを記憶するクラウドサービスとの間の通信を仲介する通信仲介部をコンピューターに実現させることを特徴とする通信仲介プログラム。
【請求項4】
画像の処理を実行する画像処理装置と、データを記憶するクラウドサービスとの間の通信を仲介する通信仲介システムと、
前記画像処理装置と
を備えることを特徴とする画像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の処理を実行する画像処理装置と、データを記憶するクラウドサービスとの間の通信を仲介する通信仲介システム、通信仲介プログラムおよび画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クラウドサービスとの間で通信を実行する画像処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像処理装置においては、脆弱性への対応が不十分である場合があるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、脆弱性への対応を容易化することができる通信仲介システム、通信仲介プログラムおよび画像処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通信仲介システムは、画像の処理を実行する画像処理装置と、データを記憶するクラウドサービスとの間の通信を仲介する通信仲介部を備えることを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の通信仲介システムは、画像処理装置をクラウドサービスと直接通信させずに、画像処理装置よりアップデートが容易である通信仲介システム自身を介して画像処理装置をクラウドサービスと通信させるので、脆弱性への対応を容易化することができる。
【0008】
本発明の通信仲介システムにおいて、前記通信仲介部は、前記画像処理装置との間の通信を前記クラウドサービスの種類に依存しない統一した方式で実行しても良い。
【0009】
この構成により、本発明の通信仲介システムは、通信仲介部と、画像処理装置との間の通信をクラウドサービスの種類に依存しない統一した方式で実行するので、対応するクラウドサービスが追加されたり、対応するクラウドサービスの通信方式が変更されたりする変更に対して、画像処理装置が変更される必要なく、通信仲介システムが変更されるだけで対応することができる。
【0010】
本発明の通信仲介プログラムは、画像の処理を実行する画像処理装置と、データを記憶するクラウドサービスとの間の通信を仲介する通信仲介部をコンピューターに実現させることを特徴とする。
【0011】
この構成により、本発明の通信仲介プログラムを実行するコンピューターは、画像処理装置をクラウドサービスと直接通信させずに、画像処理装置よりアップデートが容易であるコンピューター自身を介して画像処理装置をクラウドサービスと通信させるので、脆弱性への対応を容易化することができる。
【0012】
本発明の画像処理システムは、画像の処理を実行する画像処理装置と、データを記憶するクラウドサービスとの間の通信を仲介する通信仲介システムと、前記画像処理装置とを備えることを特徴とする。
【0013】
この構成により、本発明の画像処理システムは、画像処理装置をクラウドサービスと直接通信させずに、画像処理装置よりアップデートが容易である通信仲介システムを介して画像処理装置をクラウドサービスと通信させるので、脆弱性への対応を容易化することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の通信仲介システム、通信仲介プログラムおよび画像処理システムは、脆弱性への対応を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るシステムのブロック図である。
【
図2】MFPである場合の
図1に示す画像処理装置のブロック図である。
【
図3】1台のコンピューターによって構成される場合の
図1に示す通信仲介システムのブロック図である。
【
図4】
図3に示すユーザー管理情報の一例を示す図である。
【
図5】
図3に示すアクセストークン管理情報の一例を示す図である。
【
図6】クラウドサービスにログインするためのアクセストークンをアクセストークン管理情報に登録する場合の
図3に示す通信仲介システムの動作の一部のフローチャートである。
【
図7】
図6に示す動作の続きの動作のフローチャートである。
【
図8】
図3に示す表示部に表示されるクラウドサービスログイン用画面の一例を示す図である。
【
図9】画像処理装置からクラウドサービスにログインする場合の
図1に示すシステムの動作のシーケンス図である。
【
図10】
図2に示す表示部に表示されるクラウドサービス一覧画面の一例を示す図である。
【
図11】画像処理装置によって生成されたスキャンデータがクラウドサービスにアップロードされる場合の
図1に示すシステムの動作のシーケンス図である。
【
図12】クラウドサービスからダウンロードされたファイルが画像処理装置によって印刷される場合の
図1に示すシステムの動作のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
まず、本発明の一実施の形態に係るシステムの構成について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係るシステム10のブロック図である。
【0019】
図1に示すように、システム10は、データを記憶するクラウドサービスと連携して画像の処理を実行する画像処理システム20を備えている。
【0020】
画像処理システム20は、画像の処理を実行する画像処理装置30を備えている。画像処理システム20は、画像の処理を実行する画像処理装置を、画像処理装置30以外に少なくとも1つ備えることが可能である。画像処理装置は、例えば、MFP(Multifunction Peripheral)、プリンター専用機、スキャナー専用機などの組み込み機器である。画像処理装置は、組み込み機器の性質上、頻繁なアップデートが困難である場合がある。
【0021】
画像処理システム20は、画像処理装置と、クラウドサービスとの間の通信を仲介する通信仲介システム40を備えている。通信仲介システム40は、PC(Personal Computer)などの1台のコンピューターによって構成されても良いし、複数台のコンピューターによって構成されても良い。画像処理システム20は、組み込み機器ではないので、画像処理装置よりアップデートが容易である。
【0022】
システム10は、データを記憶するクラウドサービス50を備えている。システム10は、データを記憶するクラウドサービスを、クラウドサービス50以外に少なくとも1つ備えることが可能である。データを記憶するクラウドサービスとしては、例えば、「Google LLC」の「Google Drive」、「Microsoft Corporation」の「Microsoft SharePoint(登録商標) Online」、「Microsoft Corporation」の「Microsoft OneDrive(登録商標)」、「Evernote Corporation」の「Evernote(登録商標)」などが採用されることが可能である。OAuth2.0のRFC8252 8.12に規定されているように、最新のセキュリティー既定では、MFPのような組み込み機器からのアクセスを制限するクラウドサービスも少なくない。
【0023】
画像処理装置と、通信仲介システム40とは、例えばLAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワーク11を介して互いに通信可能である。通信仲介システム40と、クラウドサービスとは、インターネットなどのネットワーク12を介して互いに通信可能である。
【0024】
図2は、MFPである場合の画像処理装置30のブロック図である。
【0025】
図2に示すように、画像処理装置30は、種々の操作が入力される例えばボタンなどの操作デバイスである操作部31と、種々の情報を表示する例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部32と、用紙などの記録媒体に画像を印刷する印刷デバイスであるプリンター33と、原稿から画像を読み取る読取デバイスであるスキャナー34と、LAN、インターネットなどのネットワーク経由で、または、ネットワークを介さずに有線または無線によって直接に、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部35と、各種の情報を記憶する例えば半導体メモリー、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶デバイスである記憶部36と、画像処理装置30全体を制御する制御部37とを備えている。
【0026】
記憶部36は、クラウドサービスを利用するためのクラウドサービス利用プログラム36aを記憶可能である。クラウドサービス利用プログラム36aは、例えば、画像処理装置30の製造段階で画像処理装置30にインストールされていても良いし、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどの外部の記憶媒体から画像処理装置30に追加でインストールされても良いし、ネットワーク上から画像処理装置30に追加でインストールされても良い。
【0027】
制御部37は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROM(Read Only Memory)と、制御部37のCPUの作業領域として用いられるメモリーとしてのRAM(Random Access Memory)とを備えている。制御部37のCPUは、記憶部36または制御部37のROMに記憶されているプログラムを実行する。
【0028】
制御部37は、クラウドサービス利用プログラム36aを実行することによって、クラウドサービスを利用するクラウドサービス利用部37aを実現する。
【0029】
図3は、1台のコンピューターによって構成される場合の通信仲介システム40のブロック図である。
【0030】
図3に示すように、通信仲介システム40は、種々の操作が入力される例えばキーボード、マウスなどの操作デバイスである操作部41と、種々の情報を表示する例えばLCDなどの表示デバイスである表示部42と、LAN、インターネットなどのネットワーク経由で、または、ネットワークを介さずに有線または無線によって直接に、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部43と、各種の情報を記憶する例えば半導体メモリー、HDDなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部44と、通信仲介システム40全体を制御する制御部45とを備えている。
【0031】
記憶部44は、画像処理装置と、クラウドサービスとの間の通信を仲介するための通信仲介プログラム44aを記憶可能である。通信仲介プログラム44aは、例えば、通信仲介システム40の製造段階で通信仲介システム40にインストールされていても良いし、USBメモリーなどの外部の記憶媒体から通信仲介システム40に追加でインストールされても良いし、ネットワーク上から通信仲介システム40に追加でインストールされても良い。通信仲介プログラム44aは、常駐型のユーティリティーアプリケーションプログラムでも良い。
【0032】
記憶部44は、ユーザーを管理するためのユーザー管理情報44bを記憶している。
【0033】
図4は、ユーザー管理情報44bの一例を示す図である。
【0034】
図4に示すように、ユーザー管理情報44bは、通信仲介プログラム44a用のユーザーの識別情報としてのユーザーIDと、通信仲介プログラム44a用のユーザーの初期パスワードと、通信仲介プログラム44a用のユーザーの初期パスワード以外のパスワード(以下「非初期パスワード」という。)と、通信仲介プログラム44a用のユーザーのPIN(Personal Identification Number)コードとがユーザー毎に関連付けられている。
【0035】
図3に示すように、記憶部44は、通信仲介システム40からクラウドサービスにログインするためのクラウドサービスログイン用情報としてのアクセストークンを管理するためのアクセストークン管理情報44cを記憶している。
【0036】
図5は、アクセストークン管理情報44cの一例を示す図である。
【0037】
図5に示すように、アクセストークン管理情報44cは、アクセストークンと、ユーザーIDと、クラウドサービスとがアクセストークン毎に関連付けられている。
図5において、アクセストークンの具体例は省略して描かれている。
【0038】
図3に示すように、記憶部44は、クラウドサービス用の通信方式のAPI(Application Program Interface)としての通信方式API44dを記憶している。記憶部44は、通信方式APIを通信方式API44d以外に少なくとも1つ記憶することが可能である。記憶部44は、通信方式APIをクラウドサービス毎に記憶している。
【0039】
制御部45は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROMと、制御部45のCPUの作業領域として用いられる揮発性の記憶デバイスとしてのRAMとを備えている。制御部45のCPUは、記憶部44または制御部45のROMに記憶されているプログラムを実行する。
【0040】
制御部45は、通信仲介プログラム44aを実行することによって、画像処理装置と、クラウドサービスとの間の通信を仲介する通信仲介部45aを実現する。
【0041】
次に、システム10の動作について説明する。
【0042】
以下においては、画像処理装置を代表して画像処理装置30について説明する。
【0043】
まず、クラウドサービスにログインするためのアクセストークンをアクセストークン管理情報44cに登録する場合の通信仲介システム40の動作について説明する。
【0044】
図6は、クラウドサービスにログインするためのアクセストークンをアクセストークン管理情報44cに登録する場合の通信仲介システム40の動作の一部のフローチャートである。
図7は、
図6に示す動作の続きの動作のフローチャートである。
【0045】
ユーザーは、通信仲介プログラム44a用のユーザーIDと、通信仲介プログラム44a用の初期パスワードとが事前に通知されている。したがって、ユーザーは、通信仲介プログラム44a用のユーザーIDと、通信仲介プログラム44a用の初期パスワードとを通信仲介システム40の操作部41から入力することによって、通信仲介システム40にログインすることが可能である。
【0046】
通信仲介システム40の通信仲介部45aは、ユーザーIDおよびパスワードが入力されると(以下、「入力されたユーザーID」、「入力されたパスワード」をそれぞれ「入力ユーザーID」、「入力パスワード」という。)、
図6および
図7に示すように、入力ユーザーIDがユーザー管理情報44bに登録されているか否かを判断する(S101)。
【0047】
通信仲介部45aは、入力ユーザーIDがユーザー管理情報44bに登録されていないとS101において判断すると、ユーザーIDが誤っていることを表示部42に表示して(S102)、
図6および
図7に示す動作を終了する。
【0048】
通信仲介部45aは、入力ユーザーIDがユーザー管理情報44bに登録されているとS101において判断すると、入力ユーザーIDに関連付けられている非初期パスワードがユーザー管理情報44bに登録されているか否かを判断する(S103)。
【0049】
通信仲介部45aは、入力ユーザーIDに関連付けられている非初期パスワードがユーザー管理情報44bに登録されていないとS103において判断すると、入力パスワードと、ユーザー管理情報44bにおいて入力ユーザーIDに関連付けられている初期パスワードとが一致するか否かを判断する(S104)。
【0050】
通信仲介部45aは、入力パスワードと、ユーザー管理情報44bにおいて入力ユーザーIDに関連付けられている初期パスワードとが一致しないとS104において判断すると、パスワードが誤っていることを表示部42に表示して(S105)、
図6および
図7に示す動作を終了する。
【0051】
通信仲介部45aは、入力パスワードと、ユーザー管理情報44bにおいて入力ユーザーIDに関連付けられている初期パスワードとが一致する、すなわち、通信仲介部45aに対するユーザーのログインが成功したとS104において判断すると、パスワードの変更のための画面(以下「パスワード変更用画面」)を表示部42に表示する(S106)。
【0052】
通信仲介部45aは、S106の処理の後、パスワード変更用画面において新たなパスワードが指定されたと判断するまで、パスワード変更用画面において新たなパスワードが指定されたか否かを判断する(S107)。
【0053】
通信仲介部45aは、パスワード変更用画面において新たなパスワードが指定されたとS107において判断すると、パスワード変更用画面において指定された新たなパスワードを、入力ユーザーIDに関連付けられている非初期パスワードとしてユーザー管理情報44bに登録して(S108)、
図6および
図7に示す動作を終了する。
【0054】
ユーザーは、通信仲介プログラム44a用のユーザーIDと、通信仲介プログラム44a用の非初期パスワードとを通信仲介システム40の操作部41から入力することによって、通信仲介システム40にログインすることが可能である。
【0055】
通信仲介システム40の通信仲介部45aは、ユーザーIDおよびパスワードが入力されると、
図6および
図7に示すように、S101~S103の処理を実行可能である。
【0056】
通信仲介部45aは、入力ユーザーIDに関連付けられている非初期パスワードがユーザー管理情報44bに登録されているとS103において判断すると、入力パスワードと、ユーザー管理情報44bにおいて入力ユーザーIDに関連付けられている非初期パスワードとが一致するか否かを判断する(S109)。
【0057】
通信仲介部45aは、入力パスワードと、ユーザー管理情報44bにおいて入力ユーザーIDに関連付けられている非初期パスワードとが一致しないとS109において判断すると、パスワードが誤っていることを表示部42に表示して(S105)、
図6および
図7に示す動作を終了する。
【0058】
通信仲介部45aは、入力パスワードと、ユーザー管理情報44bにおいて入力ユーザーIDに関連付けられている非初期パスワードとが一致する、すなわち、通信仲介部45aに対するユーザーのログインが成功したとS109において判断すると、クラウドサービスにログインするための画面(以下「クラウドサービスログイン用画面」)を表示部42に表示する(S110)。
【0059】
図8は、表示部42に表示されるクラウドサービスログイン用画面60の一例を示す図である。
【0060】
図8に示すように、クラウドサービスログイン用画面60は、クラウドサービスにログインするためのボタン(以下「クラウドサービスログイン用ボタン」)61a~61dをクラウドサービス毎に備えている。クラウドサービスログイン用画面60は、クラウドサービスへのログインを中止するためのキャンセルボタン62を備えている。
【0061】
図6および
図7に示すように、通信仲介部45aは、S110の処理が終了すると、クラウドサービスログイン用ボタンが押されたか否かを判断する(S111)。
【0062】
通信仲介部45aは、クラウドサービスログイン用ボタンが押されたとS111において判断すると、押されたクラウドサービスログイン用ボタンに関連付けられているクラウドサービス(以下「対象クラウドサービス」という。)へのユーザーのログインを実行する(S112)。具体的には、通信仲介部45aは、対象クラウドサービス用のユーザーIDおよびパスワードを通信仲介システム40の操作部41からユーザーに入力させることによって、ユーザーに入力させたユーザーIDおよびパスワードによって対象クラウドサービスにログインすることによって、対象クラウドサービスへの認証および認可を実行する。対象クラウドサービスは、ユーザーのログインが成功すると、通信仲介部45aから対象クラウドサービスにログインするためのアクセストークンを通信仲介部45aに通知する。
【0063】
通信仲介部45aは、S112の処理が終了すると、対象クラウドサービスからアクセストークンが通知されたと判断するまで、対象クラウドサービスからアクセストークンが通知されたか否かを判断する(S113)。
【0064】
通信仲介部45aは、対象クラウドサービスからアクセストークンが通知されたとS113において判断すると、対象クラウドサービスから通知されたアクセストークンを、入力ユーザーIDと、対象クラウドサービスとに関連付けてアクセストークン管理情報44cに登録する(S114)。
【0065】
通信仲介部45aは、S114の処理が終了すると、入力ユーザーIDに関連付けられているPINコードがユーザー管理情報44bに登録されているか否かを判断する(S115)。
【0066】
通信仲介部45aは、入力ユーザーIDに関連付けられているPINコードがユーザー管理情報44bに登録されていないとS115において判断すると、ユーザー管理情報44bに登録されていない新たなPINコードを発行する(S116)。
【0067】
通信仲介部45aは、S116の処理が終了すると、S116において発行したPINコードを入力ユーザーIDに関連付けてユーザー管理情報44bに登録する(S117)。
【0068】
通信仲介部45aは、入力ユーザーIDに関連付けられているPINコードがユーザー管理情報44bに登録されているとS115において判断するか、S117の処理が終了すると、入力ユーザーIDに関連付けられてユーザー管理情報44bに登録されているPINコードを表示部42に表示する(S118)。
【0069】
通信仲介部45aは、S118の処理が終了すると、S110の処理を実行する。
【0070】
通信仲介部45aは、クラウドサービスログイン用ボタンが押されていないとS111において判断すると、キャンセルボタン62が押されたか否かを判断する(S119)。
【0071】
通信仲介部45aは、キャンセルボタン62が押されていないとS119において判断すると、S111の処理を実行する。
【0072】
通信仲介部45aは、キャンセルボタン62が押されたとS119において判断すると、
図6および
図7に示す動作を終了する。
【0073】
次に、画像処理装置30からクラウドサービスにログインする場合のシステム10の動作について説明する。
【0074】
図9は、画像処理装置30からクラウドサービスにログインする場合のシステム10の動作のシーケンス図である。
【0075】
ユーザーは、S118において表示されたPINコードを画像処理装置30の操作部31から入力することによって、画像処理装置30を介して通信仲介システム40の通信仲介部45aに対してログインすることが可能である。
【0076】
画像処理装置30のクラウドサービス利用部37aは、PINコードが入力されると、
図9に示すように、入力されたPINコードを通信仲介システム40に送信する(S131)。
【0077】
通信仲介システム40の通信仲介部45aは、S131において送信されてきたPINコードを受信すると、受信したPINコードがユーザー管理情報44bに登録されているか否かを判断する(S132)。
【0078】
通信仲介部45aは、受信したPINコードがユーザー管理情報44bに登録されていない、すなわち、通信仲介部45aに対するユーザーのログインが失敗したとS132において判断すると、PINコードが誤っていることを画像処理装置30に通知する(S133)。
【0079】
画像処理装置30のクラウドサービス利用部37aは、S133における通知を受けると、PINコードが誤っていることを表示部42に表示して(S134)、
図9に示す動作を終了する。
【0080】
通信仲介部45aは、受信したPINコードがユーザー管理情報44bに登録されている、すなわち、通信仲介部45aに対するユーザーのログインが成功したとS132において判断すると、受信したPINコードにユーザー管理情報44bにおいて関連付けられているユーザーIDを特定する(S135)。
【0081】
通信仲介部45aは、S135の処理が終了すると、S135において特定したユーザーIDにアクセストークン管理情報44cにおいて関連付けられているクラウドサービスおよびアクセストークンを特定する(S136)。
【0082】
通信仲介部45aは、S136の処理が終了すると、S136において特定したクラウドサービスに、S136において特定したアクセストークンでログインする(S137)。なお、
図9においては、通信仲介部45aは、一例としてクラウドサービス50にS137においてログインしているが、S136において特定した全てのクラウドサービスにS137においてログインする。
【0083】
通信仲介部45aは、S137の処理が終了すると、S137においてログインした全てのクラウドサービスを画像処理装置30に通知する(S138)。
【0084】
画像処理装置30のクラウドサービス利用部37aは、S138における通知を受けると、S138において通知された全てのクラウドサービスを示す画面(以下「クラウドサービス一覧画面」という。)を表示部32に表示する(S139)。クラウドサービス一覧画面には、画像処理装置30を利用中のユーザーに関して認証および認可されている全てのクラウドサービスが示されている。
【0085】
図10は、表示部32に表示されるクラウドサービス一覧画面70の一例を示す図である。
【0086】
図10に示すように、クラウドサービス一覧画面70は、クラウドサービスを選択するためのラジオボタン71a~71dと、ラジオボタン71a~71dによって選択されたクラウドサービスのフォルダーまたはファイルを選択するための処理対象選択部72と、処理対象選択部72によって選択されたフォルダーにスキャンデータをアップロードするための「Scan to Cloud」ボタン73と、処理対象選択部72によって選択されたファイルをダウンロードして印刷するための「Print from Cloud」ボタン74とを備えている。処理対象選択部72には、ラジオボタン71a~71dによって選択されたクラウドサービスのフォルダーまたはファイルが表示される。「Scan to Cloud」ボタン73は、処理対象選択部72によってフォルダーが選択されている場合にのみ押されることが可能である。「Print from Cloud」ボタン74は、処理対象選択部72によってファイルが選択されている場合にのみ押されることが可能である。
【0087】
次に、画像処理装置30によって生成されたスキャンデータがクラウドサービスにアップロードされる場合のシステム10の動作について説明する。
【0088】
図11は、画像処理装置30によって生成されたスキャンデータがクラウドサービスにアップロードされる場合のシステム10の動作のシーケンス図である。
【0089】
ユーザーは、クラウドサービス一覧画面70が画像処理装置30の表示部32に表示されている場合に、ラジオボタン71a~ラジオボタン71dによってクラウドサービスを選択し、処理対象選択部72によってフォルダーを選択し、スキャナー34に原稿をセットして、「Scan to Cloud」ボタン73を押すことが可能である。
【0090】
画像処理装置30のクラウドサービス利用部37aは、「Scan to Cloud」ボタン73が押されると、
図11に示すように、スキャンの設定のためのスキャン設定画面を表示部32に表示する(S161)。
【0091】
ユーザーは、スキャン設定画面において、スキャンの設定の指定と、スキャンの実行の指示とを実行することができる。
【0092】
画像処理装置30のクラウドサービス利用部37aは、スキャン設定画面においてスキャンの実行が指示されると、スキャン設定画面において指定された設定でスキャナー34によって原稿から画像を読み取ることによって、原稿から読み取った画像を含むスキャンデータを生成する(S162)。
【0093】
クラウドサービス利用部37aは、S162の処理が終了すると、S162において生成したスキャンデータを通信仲介システム40に通知する(S163)。クラウドサービス利用部37aは、クラウドサービス一覧画面70において「Scan to Cloud」ボタン73が押された時点でクラウドサービス一覧画面70においてラジオボタン71a~ラジオボタン71dによって選択されていたクラウドサービスと、クラウドサービス一覧画面70において「Scan to Cloud」ボタン73が押された時点でクラウドサービス一覧画面70において処理対象選択部72によって選択されていたフォルダーのパスとをS163における通知に含める。
【0094】
クラウドサービス利用部37aは、S163における通信方式として、例えば、「SendData(ScanData,Destination Cloud,Cloud Directory)」というインターフェイスを利用しても良い。このインターフェイスにおいて、「SendData」は、クラウドサービスに依存しない統一されたインターフェイス名である。このインターフェイスにおいて、()内は、可変部となる引数である。引数における「ScanData」には、S162において生成したスキャンデータが入力される。引数における「Destination Cloud」には、クラウドサービス一覧画面70において「Scan to Cloud」ボタン73が押された時点でクラウドサービス一覧画面70においてラジオボタン71a~ラジオボタン71dによって選択されていたクラウドサービスが入力される。引数における「Cloud Directory」には、クラウドサービス一覧画面70において「Scan to Cloud」ボタン73が押された時点でクラウドサービス一覧画面70において処理対象選択部72によって選択されていたフォルダーのパスが入力される。
【0095】
通信仲介システム40の通信仲介部45aは、S163における通知を受けると、S163において通知されてきたスキャンデータを、S163における通知に含まれるクラウドサービスの、S163における通知に含まれるフォルダーに、S163における通知に含まれるクラウドサービスのベンダーが独自に規定する通信方式に則って、すなわち、S163における通知に含まれるクラウドサービス用の通信方式APIを利用して、アップロードする(S164)。例えば、通信仲介システム40の通信仲介部45aは、S163における通信方式として「SendData(ScanData,Destination Cloud,Cloud Directory)」というインターフェイスが利用される場合、「ScanData」において指定されているスキャンデータを、「Destination Cloud」において指定されているクラウドサービスの、「Cloud Directory」において指定されているフォルダーに、「Destination Cloud」において指定されているクラウドサービス用の通信方式APIを利用して、アップロードする。
【0096】
次に、クラウドサービスからダウンロードされたファイルが画像処理装置30によって印刷される場合のシステム10の動作について説明する。
【0097】
図12は、クラウドサービスからダウンロードされたファイルが画像処理装置30によって印刷される場合のシステム10の動作のシーケンス図である。
【0098】
ユーザーは、クラウドサービス一覧画面70が画像処理装置30の表示部32に表示されている場合に、ラジオボタン71a~ラジオボタン71dによってクラウドサービスを選択し、処理対象選択部72によってファイルを選択し、「Print from Cloud」ボタン74を押すことが可能である。
【0099】
画像処理装置30のクラウドサービス利用部37aは、「Print from Cloud」ボタン74が押されると、
図12に示すように、印刷の設定のための印刷設定画面を表示部32に表示する(S191)。
【0100】
ユーザーは、印刷設定画面において、印刷の設定の指定と、印刷の実行の指示とを実行することができる。
【0101】
画像処理装置30のクラウドサービス利用部37aは、印刷設定画面において印刷の実行が指示されると、クラウドサービス一覧画面70において「Print from Cloud」ボタン74が押された時点でクラウドサービス一覧画面70において処理対象選択部72によって選択されていたファイルを通信仲介システム40に要求する(S192)。クラウドサービス利用部37aは、クラウドサービス一覧画面70において「Print from Cloud」ボタン74が押された時点でクラウドサービス一覧画面70においてラジオボタン71a~ラジオボタン71dによって選択されていたクラウドサービスと、クラウドサービス一覧画面70において「Print from Cloud」ボタン74が押された時点でクラウドサービス一覧画面70において処理対象選択部72によって選択されていたファイルのパスとをS192における要求に含める。
【0102】
クラウドサービス利用部37aは、S192における通信方式として、例えば、「GetData(Destination Cloud,Cloud File)」というインターフェイスを利用しても良い。このインターフェイスにおいて、「GetData」は、クラウドサービスに依存しない統一されたインターフェイス名である。このインターフェイスにおいて、()内は、可変部となる引数である。引数における「Destination Cloud」には、クラウドサービス一覧画面70において「Print from Cloud」ボタン74が押された時点でクラウドサービス一覧画面70においてラジオボタン71a~ラジオボタン71dによって選択されていたクラウドサービスが入力される。引数における「Cloud File」には、クラウドサービス一覧画面70において「Print from Cloud」ボタン74が押された時点でクラウドサービス一覧画面70において処理対象選択部72によって選択されていたファイルのパスが入力される。
【0103】
通信仲介システム40の通信仲介部45aは、S192における要求を受けると、S192における要求に含まれるクラウドサービスの、S192における要求に含まれるファイルを、S192における要求に含まれるクラウドサービスのベンダーが独自に規定する通信方式に則って、すなわち、S192における要求に含まれるクラウドサービス用の通信方式APIを利用して、ダウンロードする(S193)。例えば、通信仲介システム40の通信仲介部45aは、S192における通信方式として「GetData(Destination Cloud,Cloud File)」というインターフェイスが利用される場合、「Destination Cloud」において指定されているクラウドサービスの、「Cloud File」において指定されているファイルを、「Destination Cloud」において指定されているクラウドサービス用の通信方式APIを利用して、ダウンロードする。
【0104】
通信仲介部45aは、S193の処理が終了すると、S193においてダウンロードしたファイルを画像処理装置30に送信する(S194)。
【0105】
画像処理装置30のクラウドサービス利用部37aは、S194において送信されてきたファイルを受信すると、受信したファイルを、印刷設定画面において指定された設定でプリンター33によって印刷する(S195)。
【0106】
以上に説明したように、通信仲介システム40は、画像処理装置をクラウドサービスに直接ログインさせずに、画像処理装置よりアップデートが容易である通信仲介システム40自身を介して画像処理装置をクラウドサービスにログインさせる(S137)ので、脆弱性への対応を容易化することができる。
【0107】
通信仲介システム40は、画像処理装置をクラウドサービスと直接通信させずに、画像処理装置よりアップデートが容易である通信仲介システム40自身を介して画像処理装置をクラウドサービスと通信させる(S164およびS193)ので、脆弱性への対応を容易化することができる。
【0108】
通信仲介システム40は、複数のクラウドサービスのそれぞれのアクセストークンをユーザーに関連付け(S114)、画像処理装置をクラウドサービスと連携させるための情報であるPINコードで画像処理装置を介してユーザーが通信仲介部45aに対してログインした場合(S131)に、画像処理装置を介して通信仲介部45aに対してログインしたユーザーに関連付けられている複数のアクセストークンで、アクセストークンのそれぞれに関連付けられているクラウドサービスの全てに一度でログインする(S137)ので、画像処理装置をクラウドサービスと連携させるための情報を画像処理装置に入力する作業を容易化することができる。
【0109】
通信仲介システム40は、通信仲介部45aと、画像処理装置との間の通信をクラウドサービスの種類に依存しない統一した方式、すなわち、「SendData(ScanData,Destination Cloud,Cloud Directory)」および「GetData(Destination Cloud,Cloud File)」で実行する(S163およびS192)ので、対応するクラウドサービスが追加されたり、対応するクラウドサービスの通信方式が変更されたりする変更に対して、画像処理装置が変更される必要なく、通信仲介システム40が変更されるだけで対応することができる。
【0110】
画像処理システム20は、画像処理装置を介してユーザーが通信仲介システム40の通信仲介部45aに対してログインするための情報としてPINコードを採用している。しかしながら、画像処理装置を介してユーザーが通信仲介システム40の通信仲介部45aに対してログインするための情報は、PINコード以外の情報でも良い。例えば、画像処理装置を介してユーザーが通信仲介システム40の通信仲介部45aに対してログインするための情報は、ユーザーIDおよびパスワードの組み合わせでも良い。
【0111】
画像処理装置と、通信仲介システム40との間の通信は、オンプレミス環境であっても良いし、オンプレミス環境でなくても良い。画像処理装置と、通信仲介システム40との間の通信は、オンプレミス環境である場合には、オンプレミス環境でない場合と比較して、よりセキュアである。
【符号の説明】
【0112】
20 画像処理システム
30 画像処理装置
40 通信仲介システム
44a 通信仲介プログラム
45a 通信仲介部
50 クラウドサービス