IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 澁谷工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-物品搬送装置 図1
  • 特開-物品搬送装置 図2
  • 特開-物品搬送装置 図3
  • 特開-物品搬送装置 図4
  • 特開-物品搬送装置 図5
  • 特開-物品搬送装置 図6
  • 特開-物品搬送装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165167
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/86 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B65G47/86 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081083
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】細木 大輔
【テーマコード(参考)】
3F072
【Fターム(参考)】
3F072AA08
3F072HA08
3F072KC01
3F072KC06
(57)【要約】
【課題】 大きさの異なる物品を中心をずらすことなく保持する。
【解決手段】 グリッパGを構成する把持部材21を直線上で移動するように支持する支持部材と、上下動可能に設けられた昇降プレート24と、当該昇降プレート24に形成され、上記把持部材21に設けられた係合部21bを収容可能な略逆ハの字形に配置された長穴状のガイド部31と、上記昇降プレート24を上下動させる円筒カム26と、上記円筒カム26を昇降させるカム昇降手段を備えている。
上記円筒カム26によって昇降プレート24が上下動すると、上記ガイド部31に沿って各把持部材21の係合部21bが移動し、上記把持部材21が開閉し(a)(b)、
上記カム昇降手段が円筒カム26を昇降させると、上記ガイド部31に沿って上記把持部材21の係合部21bが移動し、上記把持部材21を上記大径用開閉位置(A)または小径用開閉位置(B)に位置させる。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を把持する一対の把持部材を備えた複数のグリッパと、上記グリッパの把持部材を開閉させる開閉機構と、上記把持部材の間隔を、大径の物品を把持可能な大径用開閉位置と、小径の物品を把持可能な小径用開閉位置とに設定する間隔設定機構とを備えた物品搬送装置において、
上記開閉機構は、対向する把持部材を直線上で相対移動するように支持する支持部材と、当該支持部材に対して上下動可能に設けられた昇降プレートと、当該昇降プレートに形成され、上記把持部材に設けられた係合部と係合する略ハの字形または略逆ハの字形に配置された一対のガイド部と、上記昇降プレートを上下動させるカムとを備え、
上記カムによって昇降プレートが上下動すると、上記昇降プレートのガイド部に沿って各把持部材の係合部が移動し、上記支持部材に支持された上記把持部材が直線状に移動して開閉し、
上記間隔設定機構は、上記カムを昇降させるカム昇降手段を備え、
上記カム昇降手段によってカムが昇降すると、上記昇降プレートのガイド部に沿って各把持部材の係合部が移動し、上記把持部材を上記大径用開閉位置または小径用開閉位置に位置させることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
上記一対のガイド部の互いの先端部と先端部とを、上下方向にオフセットさせて設けるとともに、左右方向において重複するように設けたことを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品搬送装置に関し、詳しくは物品を把持する一対の把持部材を備えた複数のグリッパを備え、上記把持部材の間隔を、大径の物品を把持可能な大径用開閉位置と、小径の物品を把持可能な小径用開閉位置とに設定する間隔設定機構を備えた物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を保持するグリッパを備えた物品搬送装置が知られ、このような物品搬送装置は例えば上記物品としての容器にキャップを装着するキャッピング装置に採用されている。
上記キャッピング装置では、グリッパによって把持した容器の中心を、キャッピングヘッドの中心に一致させる必要がある一方、ひとつのキャッピング装置で異なる径の容器を処理する場合がある。
上記グリッパとして、把持部材を揺動させて開閉させる構成を有したものが知られているが、このようなグリッパによって径の異なる容器を保持すると、保持した容器の中心位置が大径の容器と小径の容器とでずれてしまい、上記キャッピングヘッドの中心と一致させることができないためグリッパを交換する型替えを行う必要があった。
このような型替え作業を解消するため、上記グリッパの対向する把持部材を平行移動させる開閉機構と、上記把持部材の間隔を、大径の容器を把持可能な大径用開閉位置と、小径の容器を把持可能な小径用開閉位置とに設定する間隔設定機構とを備えた物品搬送装置が知られている(特許文献1)。
上記特許文献1の物品搬送装置は、上記グリッパの把持部材を平行移動させて開閉させることから、把持部材を大径用開閉位置または小径用開閉位置に位置させた場合であっても、保持した物品の中心を一致させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4437897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1のグリッパは、複数のラックやピニオンを備えるなど複雑な構成を有しているため、コストが高く、また例えば回転テーブル等に設けた場合には遠心力が増大してしまうという問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は大きさの異なる物品を、中心をずらすことなく保持し、また簡素な構成を有する物品搬送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかる物品搬送装置は、物品を把持する一対の把持部材を備えた複数のグリッパと、上記グリッパの把持部材を開閉させる開閉機構と、上記把持部材の間隔を、大径の物品を把持可能な大径用開閉位置と、小径の物品を把持可能な小径用開閉位置とに設定する間隔設定機構とを備えた物品搬送装置において、
上記開閉機構は、対向する把持部材を直線上で相対移動するように支持する支持部材と、当該支持部材に対して上下動可能に設けられた昇降プレートと、当該昇降プレートに形成され、上記把持部材に設けられた係合部と係合する略ハの字形または略逆ハの字形に配置された一対のガイド部と、上記昇降プレートを上下動させるカムとを備え、
上記カムによって昇降プレートが上下動すると、上記昇降プレートのガイド部に沿って各把持部材の係合部が移動し、上記支持部材に支持された上記把持部材が直線状に移動して開閉し、
上記間隔設定機構は、上記カムを昇降させるカム昇降手段を備え、
上記カム昇降手段によってカムが昇降すると、上記昇降プレートのガイド部に沿って各把持部材の係合部が移動し、上記把持部材を上記大径用開閉位置または小径用開閉位置に位置させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、グリッパの把持部材は上記開閉機構によって支持部材において直線上で相対移動するため、大きさの異なる物品を把持しても、物品の中心がずれないようになっている。
また上記開閉機構は、昇降可能な昇降プレートに設けた略ハの字形または略逆ハの字形に配置した長穴状のガイド部に、把持部材に設けた係合部を係合させた構成であり、上記昇降プレートをカムによって昇降させることで、把持部材を開閉させることができる。
しかも、上記ガイド部に沿って係合部を移動させれば把持部材を大径用開閉位置および小径用開閉位置に位置させることが可能であり、間隔設定機構を上記カムを昇降させるカム昇降手段によって構成することで、上記カムやカム昇降手段を回転テーブル等に設ける必要がなく、簡易な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる物品搬送装置を備えたキャッピング装置の平面図
図2図1におけるII-II部の断面図
図3】グリッパの側面図
図4】グリッパの平面図
図5】グリッパを回転テーブルの中心側から見た図
図6図1におけるVI-VI部の断面図
図7】グリッパを大径用開閉位置および小径用開閉位置に位置させる際の動作を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について説明すると、図1は物品としての容器1(図2参照)にキャップを装着するキャッピング装置2を示しており、上記容器1は搬送方向上流側から順に設けられた供給コンベヤ3、供給ホイール4、キャッピングホイール5、排出ホイール6、排出コンベヤ7によって搬送され、その際、上記キャッピングホイール5に設けられたキャッピングヘッド5a(図2参照)によって容器1の口部にキャップが装着されるようになっている。
上記キャッピングホイール5は本発明にかかる物品搬送装置を構成しており、その外周には容器1を把持するグリッパGが等間隔に設けられ、例えば供給ホイール4とキャッピングホイール5とが接近した位置では、供給ホイール4に設けられたグリッパとキャッピングホイール5のグリッパGとの間で容器1の受け渡しが行われるようになっている。
【0009】
図2図1におけるII-II部の断面図を示し、上記キャッピングホイール5の断面図を示したものとなっている。
キャッピングホイール5は、回転軸11aを中心に回転する回転テーブル11と、当該回転テーブル11の外周に沿って等間隔に設けられた本発明にかかるグリッパGと、当該グリッパGの下方に設けられた載置プレート12と、各グリッパGの上方に設けられたキャッピングヘッド5aとから構成されている。
また上記キャッピングホイール5は図示しない駆動手段によって駆動されるとともに、隣接して設けられた上記供給ホイール4および排出ホイール6と同期して回転するように構成されている。
上記グリッパGは、上記回転テーブル11の略中央の高さに設けられた支持プレート11bの下方に設けられ、後述する開閉機構22によって把持部材21を開閉させることにより容器1の首部の把持および解放を行うようになっている。
また本実施形態のグリッパGは、径の異なる容器1を把持することが可能となっており、後述する間隔設定機構23によって、把持部材21の間隔を、大径の容器1Lを把持可能な大径用開閉位置と、小径の容器1Sを把持可能な小径用開閉位置とに設定することが可能となっている。
【0010】
上記載置プレート12は上記回転テーブル11の回転軸11aに固定されており、図示しない充填装置によって液体が充填された容器1が載置されると、上記グリッパGと一体的に移動して、容器1の搬送を行うようになっている。
また上記載置プレート12は、保持する容器1の高さに応じて図示しない昇降機構によって昇降可能に設けられており、当該載置プレート12に載置された容器1の首部を上記グリッパGの高さに位置させるように調整されている。
上記キャッピングヘッド5aは従来公知の構成を有しているため詳細な説明は省略するが、上記回転テーブル11に対して昇降可能に設けられており、所要のキャッピング位置で下降することにより、容器1の口部にキャップを装着するようになっている。このような昇降動作を行う機構としては、カム機構を採用することが知られているが、その他に、モータやシリンダ等の駆動手段を採用してもよい。
本実施形態のグリッパGは上記支持プレート11bの外周縁に沿って等間隔に設けられており、上記支持プレート11bの下方には、連結部材11eを介して略円盤状の上部支持部材11cと下部支持部材11dとが固定されている。
ここで、上記上部支持部材11cおよび下部支持部材11dについては、上記グリッパGによる容器1の把持動作やキャッピングヘッド5aの動作に支障が無いような形状に形成されている。
【0011】
図3図5は上記グリッパGを説明する図となっており、図3は側面図を、図4は平面図を、図5はグリッパGを回転テーブル11の中心側から見た図を示している。また各図における(a)はグリッパGによって小径の容器1Sを保持した状態を、(b)は大径の容器1Lを保持した状態をそれぞれ示している。
上記グリッパGは、容器1を把持する一対の把持部材21と、上記一対の把持部材21を開閉させる開閉機構22と、上記把持部材21の間隔を、大径の容器1Lを把持可能な大径用開閉位置と、小径の容器1Sを把持可能な小径用開閉位置とに設定可能な間隔設定機構23とを備えている。
上記把持部材21は、図4に示すように図示右方に設けられた右側把持部材21Rと、図示左方に設けられた左側把持部材21Lとから構成され、各把持部材21の先端部には、対向する把持部材21に向けて凹部21aが形成され、把持部材21が接近した閉鎖状態とすることで、図4(a)(b)に示すように小径の容器1Sおよび大径の容器1Lを把持することが可能となっている。
【0012】
上記開閉機構22は、上記把持部材21を開閉可能に支持する上記下部支持部材11dと、当該下部支持部材11dに対して上下に移動可能に設けられた昇降プレート24と、上記昇降プレート24に設けられたカムフォロア25に係合して、上記昇降プレート24を上下動させる円筒カム26とを備えている。
上記下部支持部材11dは上記連結部材11eによって上記回転テーブル11に固定されており、当該下部支持部材11dの上面には、平行に設けられた2つのスライドガイド27が回転テーブル11の回転軌跡に対して接線方向に設けられている。そして一方のスライドガイド27には上記右側把持部材21Rが、他方のスライドガイド27に上記左側把持部材21Lがそれぞれ設けられている。
このような構成とすることで、上記右側把持部材21Rと上記左側把持部材21Lとは、それぞれ上記回転テーブル11の回転軌跡に対して接線方向、すなわち直線上を相対移動して接近または離隔するようになっている。
【0013】
上記昇降プレート24は板状の部材となっており、当該昇降プレート24の中心軸11a側となる背面には上記カムフォロア25が設けられている。
上記支持プレート11bと上部支持部材11cとの間には2本のガイドロッド28が設けられ、上記昇降プレート24の正面に固定されたスライダ24aが上下に摺動することで、上記昇降プレート24を図3(a)(b)、図5(a)(b)に示すように上下動させることが可能となっている。
上記昇降プレート24の背面には、上下方向に2本のガイドロッド29が設けられており、上記カムフォロア25はガイドロッド29に沿って上下に移動可能に設けられている。また上記カムフォロア25は、上方に弾装されたバネ30によって常時下方に付勢されるようになっている。
【0014】
上記円筒カム26は円筒状を有し、上記回転テーブル11の回転軸11aを囲繞するように設けられている。当該円筒カム26の外周面には無端状にカム溝が形成され、上記カムフォロア25は上記カム溝の下方側の端面に形成されたカム面26aに当接するようになっている。
上記カム面26aの高さは円筒カム26の外周面に沿って上下に変位しており、上記回転テーブル11が回転して各グリッパGが円周方向に移動すると、上記カムフォロア25が上記円筒カム26に従って上下動し、これにより昇降プレート24を上下動させるようになっている。
その際、上記バネ30がカムフォロア25を下方に付勢しているため、カムフォロア25が円筒カム26に押し当てられる状態が維持され、また把持部材21によって容器1を把持した際には当該容器1を把持するための付勢力として作用するようになっている。
【0015】
図5に示すように、上記昇降プレート24には上記一対の把持部材21に設けられた係合部21bを収容可能な、略逆ハの字形に配置された2つの長穴状のガイド部31が形成されている。
上記ガイド部31は例えば45°の角度で傾斜して設けられ、図示右方のガイド部31には上記右側把持部材21Rの係合部21Rbが、図示左方のガイド部31には上記左側把持部材21Lの係合部21Lbがそれぞれ収容されるようになっている。
また本実施形態のガイド部31は、両ガイド部31の下端部が相互に接近しており、上方に向かうにつれて徐々に離隔する略逆ハの字形に配置されており、また両ガイド部31の下端部は上下にオフセットされ、かつ左右方向において一部重複するように設けられている。
このようにガイド部31を配置することにより、1組のグリッパGの幅を狭くすることが可能となり、ひとつの回転テーブル11により多くのグリッパGを設けることが可能となる。
このようにガイド部31の下端部を上下にオフセットさせて配置した結果、図2に示すように左側把持部材21Lの係合部21Lbについては、当該左側把持部材21Lの基部をクランク状に屈曲させたその端部に設けたものとなっている。
【0016】
上記構成を有する開閉機構22によれば、以下のようにして把持部材21を開閉することができる。ここでは説明のため、図4(a)は把持部材21が接近した閉鎖状態、図4(b)を把持部材21が離隔した開放状態として説明する。
図4(a)に示す右側把持部材21Rと左側把持部材21Lとが接近した状態において、これに対応する図3(a)では、上記円筒カム26によって上記昇降プレート24が上昇位置に位置している。
このとき図5(a)では、上記右側把持部材21Rの係合部21Rbと左側把持部材21Lの係合部21Lbとがそれぞれガイド部31の内側かつ下側に位置しており、換言すると、上記係合部21Rbと係合部21Lbとが水平方向において接近した状態となっている。
【0017】
この状態から、上記カム面26の形状に従って昇降プレート24が下方に移動すると、上記右側把持部材21Rの係合部21Rbと左側把持部材21Lの係合部L21bがそれぞれ上記ガイド部31に沿って相対的に移動する。
つまり図5(a)から図5(b)へと昇降プレート24が下方に移動するのに伴い、上記係合部21Rb、21Lbはそれぞれガイド部31の内側から外側へと移動しつつ、ガイド部31の下方側から上方側へと相対的に移動する。
このとき、上記右側把持部材21Rおよび左側把持部材21Lはスライドガイド27によって下部支持部材11cに対して上下方向への移動が規制され、水平方向への移動のみが許容されている。
その結果、昇降プレート24が下降して上記係合部21Rb、21Lbがガイド部31の内側から外側へと移動すると、右側把持部材21Rと左側把持部材21Lとが水平方向に離隔し、図4(b)に示す開放状態となる。
【0018】
次に、上記間隔設定機構23について説明すると、図6図1におけるVI-VI部の断面図を示している。
この図6の位置は、上記供給ホイール4からキャッピングホイール5へと容器1を受け渡す受け渡し位置と、キャッピングホイール5から排出ホイール6へと容器1を受け渡す受渡し位置との間に位置しており、上記グリッパGが容器1を保持しない区間となっている。
上記間隔設定機構23は上記円筒カム26を昇降させるカム昇降手段によって構成され、当該カム昇降手段は上記円筒カム26の下方から当接する昇降部材32と、当該昇降部材32を昇降させる昇降機構33とから構成されている。
ここで上記円筒カム26の下端部には、水平方向に上記昇降機構33を構成する周り止め部材34が固定され、当該周り止め部材34の端部はキャッピングホイール5の外側に離隔して設けられたロッド35に対して上下動可能に設けられている。
このような構成により、上記円筒カム26は上記ロッド35に係合した周り止め部材34によって回転が阻止される一方、上記ロッド35に沿って上下に移動可能となっている。
【0019】
上記昇降部材32は、上記回転テーブル11の回転軸11aと、上記円筒カム26との間に設けられた円筒状の部材となっており、上記回転テーブル11の回転軸11aおよび円筒カム26に対して回転可能に設けられている。
また上記回転軸11aと上記昇降部材32との間には筒状の滑り軸受36が設けられており、当該滑り軸受36の上端部には外周側に向けてフランジ部36aが形成され、当該フランジ部36aの下方側に上記昇降部材32の上端部が当接するようになっている。
さらに、昇降部材32の底部は上記回転軸11aに設けられたローラ37によって下方から支持されており、このような構成により、昇降部材32自体は上記回転軸11aに対して昇降できないようにされている。
そして、上記昇降部材32の下端部には、外周側に向けてフランジ状に突出したギア32aが設けられている。
上記昇降機構33は、上記周り止め部材34の下面に回転可能に設けた二つのギア38、38と、上記周り止め部材34に固定されたモータ39とから構成されている。
上記モータ39を回転させると、上記モータ39に設けたギア39aが上記回り止め部材34のギア38、38を介して、上記昇降部材32のギア32aに伝達され、昇降部材32を回転させることが可能となっている。
【0020】
また昇降部材32の外周面には台形ねじからなる雄ねじ部32bが形成され、これに対し上記円筒カム26の内周面には上記雄ねじ部32bと係合する雌ねじ部26bが形成されている。つまり上記円筒カム26は上記雄ねじ部32b、雌ねじ部26bを介して上記昇降部材32によって下方から支持された状態となっている。
また上記昇降部材32の雄ねじ部32bおよび円筒カム26の雌ねじ部26bはそれぞれ円周方向に沿って傾斜しており、上記昇降部材32が回転すると、上記雄ねじ部32bに形成された台形ねじに沿って雌ねじ部26bが連動し、昇降部材32は上下動しないものの、上記周り止め部材34によって回転が阻止されている円筒カム26が上下に昇降するようになっている。
ここで、上記円筒カム26とともに周り止め部材34が上記ロッド35に沿って上下に移動するが、上記2つのギア38、38の厚さは円筒カム26の昇降量に合わせて設けられているため、上記ギア38、38は上記昇降部材32のギア32aに対して噛合した状態を維持しながら昇降するようになっている。
なお上記構成に対し、上記昇降部材32の外周面および円筒カム26の内周面に、それぞれ円周方向に沿って傾斜する段差部を形成するとともに、これら段差部同士を摺接させるように構成した機構を用いてもよい。この場合も、昇降部材32の回転に伴って上記段差部同士が摺動し、上記円筒カム26を昇降させることができる。
また本実施形態においては、上記昇降部材32は上記モータ39によって駆動しているが、上記ギア39aにハンドル等を設けて、人手により回転させるようにすることも可能である。
【0021】
図7は上記間隔設定機構23の動作を説明する図となっており、図7(A)は把持部材21を上記小径用開閉位置に位置させた状態を、図7(B)は把持部材21を上記大径用開閉位置に位置させた状態をそれぞれ示している。またそれぞれ(a)は把持部材21が開放された状態を、(b)は把持部材21が閉鎖された状態をそれぞれ示している。
なお、図7(A)(b)は図3図5の(a)の状態を示しており、図7(B)(b)は図3図5の(b)の状態を示している。
まず、図7(A)に示す小径用開閉位置とする場合、上記間隔設定機構23は上記昇降機構33によって昇降部材32を回転させ、上記円筒カム26を上昇させる。この時の円筒カム26の上昇位置、換言すると昇降部材32の回転角度は予め図示しない制御手段に登録されている。
そして上記円筒カム26が所定の上昇位置に位置したら、その後はキャッピング動作が終了するまで、間隔設定機構23は作動せずに、円筒カム26の高さが保持されるようになっている。
【0022】
このようにして円筒カム26が上昇位置に位置すると、上記昇降プレート24もこれに伴って上方に位置しており、このとき把持部材21は上記小径用開閉位置に位置するようになっている。
その状態で上記回転テーブル11を回転させると、上記円筒カム26は回転が阻止されているため、上記昇降プレート24に設けられたカムフォロア25は円筒カム26に形成されたカム面26aに従って上下動する。
一方、カムフォロア25の上下動は上記カム面26aの形状によって規定されているため、本実施形態においては図7(A)(a)と(b)との間で、昇降プレート24が高さhの範囲内で上下動するようになる。
図7(A)(b)の状態では、上記把持部材21の係合部21bはガイド部31の略下方端に位置しており、この状態では図4(a)に示すように把持部材21が閉鎖されて小径の容器1Sを保持している。
この状態から、昇降プレート24が高さhだけ下降し、図7(A)(a)の状態となると、上記把持部材21の係合部21bはガイド部31の略下方端から上方に移動しつつ、図示左右方向に移動する。
ただし、上記把持部材21は上記下部支持部材11dによって上下方向への移動が規制されているため、左右の把持部材21はそれぞれ水平方向に距離Lだけ外側に向けて直線上を移動し、把持していた容器1が解放される。
【0023】
次に、図7(B)に示す大径用開閉位置とする場合には、上記間隔設定機構23が上記昇降機構33によって昇降部材32を回転させて、上記円筒カム26を高さHだけ下降させる。これにより、昇降プレート24が高さHだけ下降した上記大径用開閉位置に位置する。
この状態で回転テーブル11が回転すると、昇降プレート24が図7(B)(a)と(b)との間で上下動することとなる。
図7(B)(b)の状態では、上記把持部材21の係合部21bはガイド部31の略中間に位置し、把持部材21は図4(b)に示すように大径の容器1Lを保持した状態となっている。
この状態から、昇降プレート24が下降して図7(B)(a)の状態となると、上記把持部材21の係合部21bがガイド部31の略上端部へと移動し、これに伴って左右の把持部材21がそれぞれ水平方向に離隔して、把持していた容器1が解放されるようになっている。
このとき、上記円筒カム26のカム面26aは変形していないため、昇降プレート24の昇降量は上記小径用開閉位置で把持部材21を開閉させた場合と同じ高さhであり、また把持部材21の水平方向の移動量も距離Lである。
【0024】
上記構成を有するグリッパGの開閉機構22によれば、把持部材21が小径用開閉位置および大径用開閉位置のいずれの位置にあっても、把持部材21は上記スライドガイド27によって直線上に相対移動することから、小径の容器1Sおよび大径の容器1Lのいずれも、中心位置をずらさずに保持することが可能となる。
また、本実施形態のグリッパGの間隔設定機構23によれば、上記カム面26aが形成された円筒カム26を昇降させることで、把持部材21を小径用開閉位置または大径用開閉位置に切り換えることができ、回転テーブル11のように遠心力が作用する部分に過剰な構成を設ける必要がない。
【0025】
ここで、上記実施形態において、図7(A)(b)に対応する図4(a)で把持されている容器1は、本実施形態のグリッパGによって把持可能な最小径の容器1Sとなり、図7(B)(b)に対応する図4(b)で把持されている容器1が最大径の容器1Lとなる。
しかしながら、本実施形態の構成によれば、上記ガイド部31に係合する係合部21bの位置を異ならせることにより、上記小径用開閉位置および大径用開閉位置を変更可能である。
具体的には、上記間隔設定機構23が円筒カム26の高さ(図7におけるHの方向)を異ならせれば、図7(A)(b)および図7(B)(b)に示した範囲内において任意の位置に係合部21bを位置させることができ、小径用開閉位置および大径用開閉位置を任意に設定可能である。
また本実施形態では小径用開閉位置および大径用開閉位置の2段階の設定を行っているが、これらの間に一つないし複数のいわゆる中径用開閉位置を設定することも可能である。
【0026】
なお上記実施形態においては、上記昇降プレート24に設けたガイド部31はそれぞれ直線状の長孔によって構成されているが、ガイド部31を湾曲させることも可能である。この場合、小径用開閉位置および大径用開閉位置において把持部材21の開閉する距離Lを変化させることができる。
また、上記実施形態においては、上記昇降プレート24に設けたガイド部31を逆ハの字形に配置しているが、これを上端部が接近し、下方において離隔する略ハの字形に配置してもよい。
この場合、上記実施形態では昇降プレート24を下降させると把持部材21が離隔するようになっているが、ガイド部31をハの字形に配置した場合には、昇降プレート24を上昇させると把持部材21が離隔するようになる。
また、上記実施形態ではキャッピング装置2について説明し、上記グリッパGが回転テーブル11に設けられている構成について説明したが、他の物品を保持する物品搬送装置に用いることも可能である。
例えば、上記回転テーブル11に代えて、無端状のコンベヤによってグリッパGを移動させるような構成としても、当該コンベヤに沿って上記カム面26aが形成されたカムを設けて、当該カムを間隔設定機構23によって昇降させるようにすればよい。
【符号の説明】
【0027】
1 容器 2 キャッピング装置
5 キャッピングホイール 11 回転テーブル
11d 下部支持部材 21 把持部材
21R 右側把持部材 21L 左側把持部材
21b 係合部 22 開閉機構
23 間隔設定機構 24 昇降プレート
25 カムフォロア 26 円筒カム
26a カム面 31 ガイド部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7