(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165168
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】端子及び端子付き電線
(51)【国際特許分類】
H01R 4/02 20060101AFI20241121BHJP
H01R 43/02 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H01R4/02 C
H01R43/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081084
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】竹田 和也
(72)【発明者】
【氏名】弓立 隆博
【テーマコード(参考)】
5E051
5E085
【Fターム(参考)】
5E051LA04
5E051LB03
5E085BB01
5E085BB11
5E085CC03
5E085DD04
5E085EE02
5E085HH11
5E085HH34
5E085JJ36
5E085JJ38
(57)【要約】
【課題】高効率(短時間、低接合条件)で電線の芯線と接合することができる端子及び端子付き電線を提供する。
【解決手段】端子12は、所定の方向に幅方向を有する板状の端子本体30と、端子本体30に形成され、導電性材料から形成される導体部材(芯線21)が接続される導体接続部(電線接続部32)とを備える。導体接続部(電線接続部32)における幅方向両側の箇所にはそれぞれ、端子本体30の幅方向と交差する長手方向に延在する凸部及び凹部の少なくとも一方(凸部40)が形成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に幅方向を有する板状の端子本体と、
前記端子本体に形成され、導電性材料から形成される導体部材が接続される導体接続部と、を備え、
前記導体接続部における前記幅方向両側の箇所にはそれぞれ、前記幅方向と交差する長手方向に延在する凸部及び凹部の少なくとも一方が形成されている、
端子。
【請求項2】
前記凸部又は前記凹部には、前記長手方向に延在するエッジが形成されている、請求項1に記載の端子。
【請求項3】
前記凸部又は前記凹部は、前記長手方向に沿って連続的に延在している、請求項1又は2に記載の端子。
【請求項4】
前記凸部又は前記凹部は、前記長手方向に対して断続的に配置されている、請求項1又は2に記載の端子。
【請求項5】
芯線、及び、前記芯線の一部を露出させた状態で前記芯線を被覆する被覆を有する電線と、
前記電線の前記芯線が接続される電線接続部を有する端子と、を備え、
前記電線接続部における前記端子の幅方向両側の箇所にはそれぞれ、前記端子の幅方向と交差する長手方向に延在する凸部及び凹部の少なくとも一方が形成され、
前記芯線と前記凸部又は前記凹部とが接した状態で、前記芯線と前記端子とが接合されている、
端子付き電線。
【請求項6】
前記凸部又は前記凹部には、前記長手方向に延在するエッジが形成され、
前記芯線が前記凸部又は前記凹部に形成された前記エッジと接した状態で、前記芯線と前記端子とが接合されている、請求項5に記載の端子付き電線。
【請求項7】
前記凸部又は前記凹部は、前記長手方向に沿って連続的に延在している、請求項5又は6に記載の端子付き電線。
【請求項8】
前記凸部又は前記凹部は、前記長手方向に対して断続的に配置されている、請求項5又は6に記載の端子付き電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子及び端子付き電線に関する。
【背景技術】
【0002】
電線の端末から露出させた芯線に端子が接続された端子付き電線を製造する際に、芯線を端子に押し当て超音波振動を付与することによって、芯線と端子とを超音波接合によって一体に接続することが行なわれている(特許文献1参照)。このような端子付き電線では、一般的に、電線の端末から露出させた芯線と端子の一部とを、アンビルとホーンとで挟み込み、ホーンを超音波振動させることにより、端子への電線の芯線の接合(超音波接合)を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、超音波を用いた端子と電線の芯線との接合において、高効率(短時間)で接合するためには超音波設備から発振した超音波振動を、端子と電線の芯線との接合界面へ極力損失なく伝播させることが重要である。接合条件(接合時間、超音波出力、接合荷重等)を変更することによって高効率(短時間)で端子と電線の芯線とを接合することは可能ではあるが、汎用的な超音波設備では対応できなくなるという問題が生じ得る。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、高効率(短時間、低接合条件)で電線の芯線と接合することができる端子及び端子付き電線を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る端子は、所定の方向に幅方向を有する板状の端子本体と、端子本体に形成され、導電性材料から形成される導体部材が接続される導体接続部と、を備え、導体接続部における幅方向両側の箇所にはそれぞれ、幅方向と交差する長手方向に延在する凸部及び凹部の少なくとも一方が形成されている。
【0007】
本発明の態様に係る端子付き電線は、芯線、及び、芯線の一部を露出させた状態で芯線を被覆する被覆を有する電線と、電線の芯線が接続される電線接続部を有する端子と、を備え、電線接続部における端子の幅方向両側の箇所にはそれぞれ、端子の幅方向と交差する長手方向に延在する凸部及び凹部の少なくとも一方が形成され、芯線と凸部又は凹部とが接した状態で、芯線と端子とが接合されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高効率(短時間、低接合条件)で電線の芯線と接合することができる端子及び端子付き電線を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る端子付き電線の一例を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る端子付き電線の一例を示す平面図である。
【
図3】本実施形態に係る端子付き電線の一例を示す側面図である。
【
図4】本実施形態に係る端子付き電線の一例を示す正面図である。
【
図5】本実施形態に係る端子の一例を示す平面図である。
【
図6】本実施形態に係る端子の一例を示す側面図である。
【
図7】端子を超音波接合機にセットした状態を示す斜視図である。
【
図9A】凸部の形状及び配置の一例を示す図である。
【
図9B】凸部の形状及び配置の一例を示す図である。
【
図9C】凸部の形状及び配置の一例を示す図である。
【
図9D】凸部の形状及び配置の一例を示す図である。
【
図10A】凹部の形状及び配置の一例を示す図である。
【
図10B】凹部の形状及び配置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本実施形態に係る端子及び端子付き電線について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0011】
図1から
図4に示すように、端子付き電線10は、電線11と、電線11の端部に接続された端子12とを備えている。本実施形態では、接合体として電線11の端部に端子12が接続された端子付き電線10を例示して説明する。
【0012】
電線11は、導電性材料から形成される導体部材(芯線21)と、この芯線21の周囲を覆う外皮としての被覆22とを有する絶縁電線である。芯線21は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性金属材料から形成される複数の素線を束ねて構成される。導体部材の材質は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等には限定はされず、他の導電性を有する金属材料であってもよい。また、導体材料の構造は、複数の素線が撚り合わされた撚り線には限定はされず、他の形態のもの(単芯線、編組、FPC(フレキシブル薄板状の電線)等)であってもよい。
【0013】
被覆22は、可撓性及び絶縁性を有する樹脂材料から構成される。被覆22の材質及び構造は、特に限定はされない。電線11は、端部において、被覆22が除去されて芯線21の一部が露出されている。芯線21が銅又は銅合金から形成される複数の素線から構成される場合、各素線には、錫、ニッケル、銀、金等のめっきが施されていてもよい。また、各素線又は芯線に施されるめっきの種類は、特に限定はされない。
【0014】
端子12は、導電性金属材料から形成される板材を加工することにより構成されている。本実施形態では、端子12は、銅又は銅合金から形成される板材(母材)を加工することにより形成されている。端子12の母材の材質は、銅又は銅合金には限定はされず、他の導電性を有する金属材料であってもよい。また、端子12の母材には、錫、ニッケル、銀、金等のめっきが施されていてもよい。さらに、端子12の母材に施されるめっきの種類は、特に限定はされない。
【0015】
端子12は、平板状の端子本体30として形成されており、この端子12(端子本体30)は、電気接続部31と、導体接続部(電線接続部32)とを有している。端子12(端子本体30)は、電線11の端部における被覆22に加締められる一対の加締め片を有する被覆圧着部(後足部)をさらに有していてもよい。
【0016】
端子12の電気接続部31は、端子本体30の表裏面に貫通する孔部33を有している。この電気接続部31は、孔部33にボルト及びネジ等の締結部材を挿通し、各種の機器等の被接続部に締結して固定されて電気的に接続される。端子12の前端に形成される電気接続部31の形状は特に限定されず、例えば、オス型、メス型、LA(丸型)であってもよい。
【0017】
端子12の電線接続部32は、一方の面が導体接合面35とされており、この導体接合面35に電線11の芯線21が接合されている。電線11の芯線21は、電線接続部32の導体接合面35に対して超音波接合によって接合されている。これにより、端子12と電線11の芯線21とが電気的に接続されている。
【0018】
端子付き電線10は、防水、防食等を目的として、端子12と電線11の芯線21との接合部(電線接続部32)に外装される、熱収縮チューブ、樹脂材、シート等の外装部材を備えていてもよい。
【0019】
本実施形態では、1本の電線11を端子12に接合しているが、ジョイント端子のように複数本の電線を一括で接合するようにしてもよい、複数本の電線を一括で接合する場合には、例えばバスバーに本実施形態を適用することが可能である。すなわち、端子12が、複数の導体接続部(電線接続部32)を有するものであってもよい。
【0020】
図5から
図7に示すように、電線11の芯線21が接合される端子12の導体接合面35には、凸部及び凹部の少なくとも一方(本実施形態では、凸部40)が形成されている。この凸部40は、超音波接合時にホーン61(
図4及び
図7参照)の形状等に起因して、導体接続部(電線接続部32)における高摩擦力が生じる箇所、すなわち、芯線21を構成する金属が塑性流動して、芯線21が軸方向に伸び易い箇所に形成される。すなわち、凸部40は、電線接続部32における幅方向両側の箇所(高振動伝搬部位となる箇所)にそれぞれ形成されている。そして、超音波接合時に電線接続部32における高摩擦力が生じる箇所に形成された凸部40は、端子12(端子本体30)の幅方向と交差する長手方向に延在している。
【0021】
本実施形態の端子12においては、凸部40は、端子12(端子本体30)の長手方向に沿って連続的に延在している。また、本実施形態の端子12においては、凸部40の幅方向両側の縁部にはそれぞれ、端子12(端子本体30)の長手方向に延在するエッジ41が形成されている。
【0022】
凸部40の高さH(
図6参照)は、例えば、端子12の導体接合面35の表面粗さよりも高く、芯線21の直径(高さ)よりも低い。凸部40の幅W(
図5参照)は、特に限定はされない。凸部40の長さL(
図5参照)は、少なくともホーン61(
図7参照)の長さと同等とする。
【0023】
凸部40の製造方法(成形方法)は、特に限定はされない。凸部40は、例えば、端子12(端子本体30)に対して金型でプレス加工(打ち抜き加工、曲げ加工等)を施す際に形成されたものであってもよい。
【0024】
図8Aから
図8Dに凸部40の断面形状の一例を示す。
図8Aに示す凸部40Aは、上面42及び一対の側面43,43が平坦な形状とされ、全体としては断面四角形状とされている。凸部40Aでは、幅方向両側の縁部にエッジ41が形成されている。また、
図8Bに示す凸部40Bのように、幅方向両側の縁部にC面取りによるC面44を形成してもよく、
図8Cに示す凸部40Cのように、幅方向両側の縁部にR面取りによるR面45を形成してもよい。さらに、
図8Dに示す凸部40Dのように、幅方向両側に一対のテーパ面46,46を形成して、全体として断面三角形状としてもよい。凸部40Dでは、上端にエッジ41が形成されている。
【0025】
図9Aから
図9Dに凸部40の延在形状の一例を示す。
図9Aから
図9Cに示す凸部40E,40F,40Gのように、端子12(端子本体30)の長手方向に沿って連続的に延在していてもよい。
図9Aに示す凸部40Eのように、高さが長手方向(延在方向)に対して均一な形状とされてもよく、
図9Bに示す凸部40Fのように、高さが長手方向(延在方向)に対して不均一な形状とされてもよい。
図9Cに示す凸部40Gのように、フィレット形状(断面半円形状)に形成されてもよい。また、
図9Dに示す凸部40Hのように、端子12(端子本体30)の長手方向に対して断続的に(分割して)配置されていてもよい。凸部40Hの分割体47のピッチ(配置間隔)は、特に限定はされない。
【0026】
さらに、
図10A及び
図10Bに示すように、超音波接合時に電線接続部32における高摩擦力が生じる箇所には、端子12(端子本体30)の幅方向と交差する長手方向に延在している凹部50,50Aが形成されていてもよい。
図10Aに示す凹部50のように、端子12(端子本体30)の長手方向に沿って連続的に延在していてもよい。凹部50の幅方向両側の縁部には、エッジ51が形成されている。また、
図10Bに示す凹部50Aのように、端子12(端子本体30)の長手方向に対して断続的に(分割して)配置されていてもよい。凹部50Aの分割体57のピッチ(配置間隔)は、特に限定はされない。各分割体57の幅方向両側の縁部には、エッジ51が形成されている。
【0027】
以下、本実施形態に係る端子付き電線10の製造方法の一例を説明する。
【0028】
図7に示すように、凸部40が形成された端子12と電線11の芯線21とを、ホーン61及びアンビル(図示せず)を備えた超音波接合機にセットする。具体的には、超音波溶接機を構成するホーン61とアンビルとの間に端子12の電線接続部32と電線11の芯線21とを重ね合わせて配置し、電線接続部32の導体接合面35上に芯線21を配置する。また、端子12の幅方向両側部は、端子抑え62を用いて保持される。
【0029】
超音波接合機のホーン61は、交流電流の給電によって超音波振動を発振する振動子(図示せず)を備え、この振動子によって振動される。アンビルの上部に配置されてホーン61とアンビルとの間に配置された端子12と芯線21とは、ホーン61からの荷重によってホーン61とアンビルとで挟持される。
【0030】
ホーン61とアンビルとの間に端子12と芯線21とを配置したら、ホーン61をアンビルへ向かって移動させる。これにより、ホーン61とアンビルとによって端子12と芯線21とが加圧された状態で挟持される。この状態で、振動子に交流電流を給電する。すると、振動子によってホーン61が水平方向へ超音波振動させられることにより、端子12と芯線21とに超音波振動エネルギが伝搬され、端子12の導体接合面35に電線11の芯線21が超音波接合される。これにより、端子12に電線11が接続された端子付き電線10が得られる。
【0031】
本実施形態では、端子12の電線接続部32の高摩擦力が生じる箇所に凸部40を形成している。電線接続部32において元々高摩擦力が生じる箇所で凸部40に電線11の芯線21が接触することで、当該箇所での接圧(接触圧力)が更に高まり、芯線21が軸方向(端子12の長手方向)に更に伸び易くなる。当該作用により、短時間(超音波接合の初期段階)で端子12と電線11との間の少なくとも一箇所以上で強固な金属接合を有した起点を形成することができ、その起点を中心に接合範囲を広げることができる。その結果として、高効率(短時間、低接合条件)で端子12と電線11の芯線21とを接合することが可能になる。
【0032】
このように、本実施形態の態様に係る端子12は、所定の方向に幅方向を有する板状の端子本体30と、端子本体30に形成され、導電性材料から形成される導体部材(芯線21)が接続される導体接続部(電線接続部32)とを備える。導体接続部(電線接続部32)における幅方向両側の箇所にはそれぞれ、幅方向と交差する長手方向に延在する凸部及び凹部の少なくとも一方(凸部40)が形成されている。
【0033】
電線接続部32において元々高摩擦力が生じる箇所で凸部40に電線11の芯線21が接触することで、当該箇所での接圧(接触圧力)が更に高まり、芯線21が軸方向(端子12の長手方向)に更に伸び易くなる。当該作用により、短時間(超音波接合の初期段階)で端子12と電線11との間の少なくとも一箇所以上で強固な金属接合を有した起点を形成することができ、その起点を中心に接合範囲を広げることができる。
【0034】
以上、本実施形態によれば、高効率(短時間、低接合条件)で電線11の芯線21と接合することができる端子12を提供することができる。
【0035】
端子12において、凸部又は凹部(凸部40)には、長手方向に延在するエッジ41が形成されていてもよい。
【0036】
電線接続部32において元々高摩擦力が生じる箇所で凸部40のエッジ41に電線11の芯線21が接触することで、当該箇所での接圧(接触圧力)が更に高まり、芯線21が軸方向(端子12の長手方向)に更に伸び易くなる。当該作用により、短時間(超音波接合の初期段階)で端子12と電線11との間の少なくとも一箇所以上で強固な金属接合を有した起点を形成することができ、その起点を中心に接合範囲を広げることができる。
【0037】
端子12において、凸部又は凹部(凸部40)は、長手方向に沿って連続的に延在していてもよい。
【0038】
端子12によれば、端子12の長手方向に沿って連続的に延在している凸部40がアンカー部としても機能し、端子12と芯線21との結合力が大きくなり、端子12に接合される芯線21が剥がれることが効果的に抑制される。
【0039】
端子12において、凸部又は凹部(凸部40)は、長手方向に対して断続的に配置されていてもよい。
【0040】
端子12によれば、端子12の長手方向に対して断続的に配置された凸部40の分割体47(
図9D参照)がアンカー部としても機能し、端子12と芯線21との結合力が大きくなり、端子12に接合される芯線21が剥がれることが効果的に抑制される。
【0041】
また、本実施形態の態様に係る端子付き電線10は、芯線21、及び、芯線21の一部を露出させた状態で芯線21を被覆する被覆22を有する電線11と、電線11の芯線21が接続される電線接続部32を有する端子12とを備える。電線接続部32における端子12の幅方向両側の箇所にはそれぞれ、端子12の幅方向と交差する長手方向に延在する凸部及び凹部の少なくとも一方(凸部40)が形成される。芯線21と凸部又は凹部(凸部40)とが接した状態で、芯線21と端子12とが接合されている。
【0042】
電線接続部32において元々高摩擦力が生じる箇所で凸部40に電線11の芯線21が接触することで、当該箇所での接圧(接触圧力)が更に高まり、芯線21が軸方向(端子12の長手方向)に更に伸び易くなる。当該作用により、短時間(超音波接合の初期段階)で端子12と電線11との間の少なくとも一箇所以上で強固な金属接合を有した起点を形成することができ、その起点を中心に接合範囲を広げることができる。
【0043】
以上、本実施形態によれば、高効率(短時間、低接合条件)で電線11の芯線21と接合することができる端子付き電線10を提供することができる。
【0044】
端子付き電線10において、凸部又は凹部(凸部40)には、長手方向に延在するエッジ41が形成され、芯線21が凸部又は凹部(凸部40)に形成されたエッジ41と接した状態で、芯線21と端子12とが接合されている。
【0045】
電線接続部32において元々高摩擦力が生じる箇所で凸部40のエッジ41に電線11の芯線21が接触することで、当該箇所での接圧(接触圧力)が更に高まり、芯線21が軸方向(端子12の長手方向)に更に伸び易くなる。当該作用により、短時間(超音波接合の初期段階)で端子12と電線11との間の少なくとも一箇所以上で強固な金属接合を有した起点を形成することができ、その起点を中心に接合範囲を広げることができる。
【0046】
端子付き電線10において、凸部又は凹部(凸部40)は、長手方向に沿って連続的に延在していてもよい。
【0047】
端子付き電線10によれば、端子12の長手方向に沿って連続的に延在している凸部40がアンカー部としても機能して、端子12と芯線21との結合力が大きくなっており、端子12に接合された芯線21が剥がれることが効果的に抑制される。
【0048】
端子付き電線10において、凸部又は凹部(凸部40)は、長手方向に対して断続的に配置されていてもよい。
【0049】
端子付き電線10によれば、端子12の長手方向に対して断続的に配置された分割体47(
図9D参照)がアンカー部としても機能して、端子12と芯線21との結合力が大きくなっており、端子12に接合された芯線21が剥がれることが効果的に抑制される。
【0050】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 端子付き電線
11 電線
12 端子
21 芯線
22 被覆
30 端子本体
32 電線接続部
40 凸部
41 エッジ
50 凹部
51 エッジ