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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165183
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】仮設防護柵用フェンス
(51)【国際特許分類】
   E01F 15/08 20060101AFI20241121BHJP
   E01F 15/10 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
E01F15/08
E01F15/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081109
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000103769
【氏名又は名称】オリエンタル白石株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100198214
【弁理士】
【氏名又は名称】眞榮城 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】穴山 勝利
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼岡 洋亘
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA06
2D101DA02
2D101DA04
2D101DA06
2D101EA09
2D101FA02
2D101FB23
(57)【要約】
【課題】車両通行禁止区域側の片側からのみの作業で設置撤去を可能とする仮設防護柵用フェンスを提供する。
【解決手段】車両通行禁止区域と車両通行区域とを区画する仮設防護柵10上に設置される仮設防護柵用フェンス1において、フェンス全体を支持する支持フレーム2と、この支持フレーム2に取り付けられた金網3と、を備え、支持フレーム2の下端に、上面部41と側面部42とを有する断面L字状の複数のベースプレート4を取り付け、上面部41及び側面部42に、仮設防護柵10に接合するためのアンカーボルト孔41aを形成し、上面部41に形成されたアンカーボルト孔41aを、支持フレーム2が上面部41に接合された接合箇所より側面部42側に形成する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両通行禁止区域と車両通行区域とを区画する仮設防護柵上に設置される仮設防護柵用フェンスであって、
フェンス全体を支持する支持フレームと、この支持フレームに取り付けられた金網と、を備え、
前記支持フレームの下端には、断面L字状の複数のベースプレートが取り付けられていること
を特徴とする仮設防護柵用フェンス。
【請求項2】
前記ベースプレートは、上面部及び側面部を有し、
前記上面部及び前記側面部には、前記仮設防護柵に接合するためのアンカーボルト孔が形成され、前記上面部に形成されたアンカーボルト孔は、前記支持フレームが前記上面部に接合された接合箇所より前記側面部側に形成されていること
を特徴とする請求項1に記載の仮設防護柵用フェンス。
【請求項3】
前記支持フレームと隣接する他の支持フレームの上端部同士がジョイント金具で連結されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の仮設防護柵用フェンス。
【請求項4】
前記アンカーボルト孔は、位置調整可能な長孔となっていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の仮設防護柵用フェンス。
【請求項5】
前記支持フレームの横桟の端部には、水抜き孔が形成されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の仮設防護柵用フェンス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の工事箇所や規制箇所などの車両通行禁止区域と、車両等が通行する車両通行区域とを区画する仮設防護柵用フェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の工事箇所や規制箇所などの車両通行禁止区域と、車両等が通行する車両通行区域とを区画する境界などには、カラーコーン(登録商標)、緩衝施設、工事用バリケードなどの仮設柵類(仮設防護柵)が設置されていた。しかし、道路の工事や規制箇所が長期に亘る場合や車両の交通量が多い場所では、車両の進入を防止する強度の他、車両乗員への衝撃を抑えるなど、固定式ガードレールや剛性防護柵と同等の機能が要求されていた。
【0003】
そこで、本願出願人らは、特許文献1に記載の仮設防護柵を提案した。特許文献1に記載の仮設防護柵は、金属から鋳造された水平方向に長いブロック状の下部ブロック11と、この下部ブロック11の上に接続されコンクリート製の水平方向に長いブロック状の上部ブロック12と、を備え、車両通行禁止区域と車両通行区域とを一時的に区画する仮設防護柵10が開示されている(特許文献1の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0036]~[0055]、図面の図1図7等参照)。
【0004】
特許文献1に記載の仮設防護柵は、道路上に載置するだけで衝突速度65km/h以上に耐えることができるとともに、脇を工事車両が通行容易な350mm以内の幅に抑えることができる点で極めて有用であった。しかし、車両通行区域を通過する車両からは、車両通行禁止区域である工事箇所内を視認できるため、目隠しの目的や資材等が誤って車両通行区域に突出するのを防ぐ目的で仮設防護柵の上部に仮設防護柵用フェンスを設置することが要望されていた。
【0005】
このような仮設防護柵用フェンスは、設置や撤去の際は、仮設防護柵の両側から2人作業で行う必要があったが、車両通行区域側を通行禁止にしないと、設置や撤去作業を行うことができないため、工事作業区域、即ち車両通行禁止区域側からの片側作業で設置や撤去作業を行うことができる仮設防護柵用フェンスが切望されていた。
【0006】
片側から設置や撤去作業を行うことができるフェンスとしては、例えば、特許文献2に、支持枠材2の背面側にボルトを有する掴み金具3の本体側が配置され、前記支持枠材2の前面側にフェンスパネル4が配置されて支持枠材2に取り付けられ、前記掴み金具3は互いに対向する係合アーム20を備えており、前記ボルト5は支持枠材2に挿通されて、その支持枠材2の前面側に配置された雌ねじ部材7にねじ込まれ、前記ボルト5は前記支持枠材2の前面側から操作可能に配置されている脱着可能な安全フェンスが開示されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0015]~[0026]、図面の図1図14等参照)。
【0007】
しかし、特許文献2の脱着可能な安全フェンスは、片側から施工できるといっても、係合アーム20で既設柵23に脱着するものであり、既設柵23そのものを片側から設置したり、撤去したりできるものではなく、車両通行禁止区域と、車両等が通行する車両通行区域とを区画する仮設防護柵に立設する仮設防護柵用フェンスに適用して、車両通行禁止区域側からのみで施工できるものではないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6804681号公報
【特許文献2】特開2011-167762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、車両通行禁止区域側の片側からのみの作業で設置撤去を可能とする仮設防護柵用フェンスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る仮設防護柵用フェンスは、車両通行禁止区域と車両通行区域とを区画する仮設防護柵上に設置される仮設防護柵用フェンスであって、フェンス全体を支持する支持フレームと、この支持フレームに取り付けられた金網と、備え、前記支持フレームの下端には、断面L字状の複数のベースプレートが取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る仮設防護柵用フェンスは、請求項1に係る仮設防護柵用フェンスにおいて、前記ベースプレートは、上面部及び側面部を有し、前記上面部及び前記側面部には、前記仮設防護柵に接合するためのアンカーボルト孔が形成され、前記上面部に形成されたアンカーボルト孔は、前記支持フレームが前記上面部に接合された接合箇所より前記側面部側に形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る仮設防護柵用フェンスは、請求項1又は2に係る仮設防護柵用フェンスにおいて、前記支持フレームと隣接する他の支持フレームの上端部同士がジョイント金具で連結されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る仮設防護柵用フェンスは、請求項1又は2に係る仮設防護柵用フェンスにおいて、前記アンカーボルト孔は、位置調整可能な長孔となっていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る仮設防護柵用フェンスは、請求項1又は2に係る仮設防護柵用フェンスにおいて、前記支持フレームの横桟の端部には、水抜き孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1~5に係る発明によれば、車両通行禁止区域と車両通行区域とを区画する仮設防護柵上に設置される仮設防護柵用フェンスにおいて、車両通行禁止区域側の片側からのみの作業で設置及び撤去作業を完了させることができる。
【0016】
特に、請求項3に係る発明によれば、支持フレームと隣接する他の支持フレームの上端部同士がジョイント金具で連結されているので、仮設防護柵同士を車両通行禁止区域と車両通行区域との境界に並べて連設し、その上に仮設防護柵用フェンスを連設することが容易となる。
【0017】
特に、請求項4に係る発明によれば、アンカーボルト孔は、位置調整可能な長孔となっているので、道路に沿って車両通行禁止区域と車両通行区域との境界がカーブしている場合でも、そのカーブした境界に合わせて仮設防護柵及び仮設防護柵用フェンスを並設して連結していくことが容易となる。
【0018】
特に、請求項5に係る発明によれば、支持フレームの横桟の端部には、水抜き孔が形成されているので、支持フレーム内に水が溜まって錆びてしまうおそれが低減し、仮設防護柵用フェンスの耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施形態に係る仮設防護柵用フェンスが設置される仮設防護柵を示す斜視図である。
図2図2は、同上の仮設防護柵を示す図であり、(a)が正面図、(b)が左側面図、(c)が平面図である。
図3図3は、同上の仮設防護柵の下部ブロックを示す斜視図である。
図4図4は、同上の仮設防護柵の上部ブロックを示す斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る仮設防護柵用フェンスのA部を拡大して示す斜視図である。
図6図6は、同上の仮設防護柵用フェンスを示す図であり、(a)が正面図、(b)が左側面図、(c)が平面図である。
図7図7は、同上の仮設防護柵用フェンスを示す図であり、(a)が背面図、(b)が底面図である。
図8図8は、同上の仮設防護柵用フェンス同士を接続するジョイント金具を示す斜視図である。
図9図9は、同上のジョイント金具を示す図であり、(a)が正面図、(b)が左側面図、(c)が平面図である。
図10図10は、同上の仮設防護柵及び仮設防護柵用フェンスを2台並べて設置し、ジョイント金具で接続した状態を示す正面図である。
図11図11は、複数の仮設防護柵及び仮設防護柵用フェンスをジョイント金具で連接した状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る仮設防護柵用フェンスの一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
<仮設防護柵>
先ず、図1図4を用いて、本発明の実施形態に係る仮設防護柵用フェンス1が設置される仮設防護柵10について簡単に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る仮設防護柵用フェンス1が設置される仮設防護柵を示す斜視図であり、図2は、仮設防護柵10を示す図であり、(a)が正面図、(b)が左側面図、(c)が平面図である。また、図3は、仮設防護柵10の下部ブロック11を示す斜視図であり、図4は、仮設防護柵10の上部ブロック12を示す斜視図である。
【0022】
本発明の実施形態に係る仮設防護柵10は、改修工事や追加設置工事などの工事等の車両通行禁止区域と、一般車両が通行する車両通行区域と、を一時的に区画するために両区域の境界に設置される仮設防護柵である。図1に示すように、この仮設防護柵10は、鋳鉄製の下部ブロック11と、この下部ブロック11の上に接続された鉄筋コンクリート製の上部ブロック12と、を備えている。
【0023】
(下部ブロック)
下部ブロック11は、単位重量が7,200kgf/m3の鋳鉄(FC150(ねずみ鋳鉄))からなるブロック状の部材であり、図1図3に示すように、鉛直断面が長方形の上に台形が合わさった6角形状となった部材である。
【0024】
このように、下部ブロック11は、鉄筋コンクリートと比べても単位重量が極めて重い鋳鉄からなるブロックであるため、下部ブロック11の重量だけで1938kgf程度確保することができる。このため、幅をとらずに衝突速度65km/h以上に耐える重量を確保することができる。なお、下部ブロック11は、鋳鉄製に限らず、単位重量が重い他の金属製の鋳造物とすることもできる。
【0025】
この下部ブロック11は、図3等に示すように、鉛直断面が長方形の上に台形が合わさった6角形状となった水平方向に長い全長2100mm×幅350mmの下部ブロック本体110を主体としている。また、図2等に示すように、下部ブロック11は、この下部ブロック本体110の長手方向の両端に、円形コッター111で他の仮設防護柵10が連結可能に構成されている。
【0026】
この円形コッター111は、図2図3に示すように、下部ブロック本体110の長手方向の一端に形成された円錐台状の円形凸部112と、他端に形成され、円形凸部112と嵌合するすり鉢状の円形凹部113と、から構成されている。
【0027】
この円形コッター111には、後述の連結ボルトを挿通する上下に貫通するコッター貫通孔111aが形成されている。即ち、円形凸部112には、コッター貫通孔112aが形成され、円形凹部113には、コッター貫通孔113aが形成されている。
【0028】
また、円形凹部113の下方の下部ブロック本体110の側面には、下部ブロック本体110を貫通する矩形孔114が形成されている。この矩形孔114は、コッター貫通孔113a及び後述の連結ボルトB1の螺合部と連通し、螺合部に手を差し入れてナットを締めるための孔である。なお、螺合部とは、ボルトのねじ山とナットのねじ溝とが螺合する部分を指している(以下、同じ)。
【0029】
そして、上部ブロック12との界面となる下部ブロック11の上面には、下部ブロック11の長手方向に沿って長さ1200mm程度の断面台形状の凸条115が形成されている。この凸条115は、後述の上部ブロック12の凹溝に嵌まり込んで凹溝122と協働して水平外力に対抗するせん断キーとしての機能を発揮する。
【0030】
さらに、下部ブロック本体110には、フォークリフトのフォークを差し込んで揚重するための一対のフォーク掛止部116が形成されている。
【0031】
(上部ブロック)
上部ブロック12は、単位重量が2,500kgf/m3程度の鉄筋コンクリート製のブロック状の部材であり、図2図4に示すように、鉛直断面が台形となった六面体状の部材である。なお、上部ブロック12の重量は、下部ブロック11の重量1938kgfと比べて極めて軽い466kgfとなる。
【0032】
このように、仮設防護柵10では、下部ブロック11を、鉄筋コンクリートより単位重量が重い鋳鉄製とし、上部ブロック12を、鋳鉄より単位重量が軽い鉄筋コンクリート製とすることで、下部が重くなり重心バランスが向上する。このため、仮設防護柵10は、幅が最大350mmと狭く少ない設置面積で、衝突速度65km/h以上に耐えることができ、防護柵設置基準・同解説に規定されるSB種に対応することができる。
【0033】
また、上部ブロック12の部分を、鋳鉄より単位重量が軽い鉄筋コンクリート製とすることで、仮設防護柵10の全体の重量を軽くするとともに、仮設防護柵10の高さを、車両が衝突した場合であっても乗り越えることが少ない900mmの高さを確保している。
【0034】
この上部ブロック12は、鉛直断面が台形となった水平方向に長い底面の幅296mm×全長1800mmの上部ブロック本体120を主体としている。また、この上部ブロック本体120には、図2等に示すように、前述のコッター貫通孔112aと連通する連結ボルト挿通孔121が形成され、この連結ボルト挿通孔121の上部には、連結ボルトの頭部分を収容する矩形の凹部であるボルト収容凹部121aが形成されている。
【0035】
また、上部ブロック本体120の底面には、前述の凸条115と嵌合してせん断キーを形成する長手方向に沿った凹溝122が形成されている。
【0036】
そして、前述のフォーク掛止部116の凹部の上方の凹溝122には、上部ブロック12を上下に貫通するせん断キー貫通孔123が形成されている。このせん断キー貫通孔123の上部となる上部ブロック本体120の上面には、せん断キー貫通孔123に挿通する上下接合ボルトB2のボルト頭を収容するスペースとなる、せん断キー貫通孔123の径より拡径した拡径部123aが形成されている。
【0037】
<仮設防護柵用フェンス>
次に、図5図7を用いて、本発明の実施形態に係る仮設防護柵用フェンス1について説明する。図5は、本実施形態に係る仮設防護柵用フェンス1のA部を拡大して示す斜視図である。また、図6は、仮設防護柵用フェンス1を示す図であり、(a)が正面図、(b)が左側面図、(c)が平面図である。そして、図7は、仮設防護柵用フェンス1を示す図であり、(a)が背面図、(b)が底面図である。
【0038】
仮設防護柵用フェンス1は、車両通行禁止区域と車両通行区域とを区画する前述の仮設防護柵10上に設置される仮設防護柵用フェンスであって、図5図7に示すように、フェンス全体を支持する横1450mm×縦1800mmの矩形状(縦長の長方形状)の支持フレーム2と、この支持フレーム2に取り付けられた金網3と、備えている。また、支持フレーム2の下端には、断面L字状の複数のベースプレート4が取り付けられている。
【0039】
(支持フレーム)
支持フレーム2は、左右一対の支柱20,20と、これらの支柱20,20の上下端付近に架け渡された上下一対の横桟21,21と、支柱20,20の中央付近に架け渡された中桟22など、から構成されている。
【0040】
支柱20は、機械構造用角形鋼管(STKMR290)からなる32mm×32mm×厚さ1.6mmの小径の角パイプである。また、支柱20の上端付近には、仮設防護柵用フェンス1同士を連結するための後述のジョイント金具5を接続する円形のボルト孔20aが穿設されている。
【0041】
横桟21,21及び中桟22は、機械構造用角形鋼管(STKMR290)からなる28mm×28mm×厚さ1.6mmの支柱20よりさらに小径の角パイプである。また、横桟21,21の長手方向(水平方向)の両端には、水抜き用の水抜き孔である切欠き21aが形成されている。このため、支持フレーム2の横桟21,21内に水が溜まって錆びてしまうおそれが低減し、全体を支持する支持フレーム2及び仮設防護柵用フェンス1の耐久性が向上する。
【0042】
(金網)
金網3は、150mmピッチで直径4mmの鋼線からなる縦鋼線31及び横鋼線32が互いに溶接された溶接金網(SWM-P)である。この金網3は、前述の支持フレーム2の背面側に取り付けられている。また、支持フレーム2は、横桟21,21及び中桟22の角パイプの径が支柱20より4mmだけ小さいので、縦鋼線31の長手方向の両端部が横桟21,21及び中桟22に溶接され、横鋼線32の長手方向の両端部が支柱20に溶接されることで、金網3が支持フレーム2に面一に溶接されて取り付けられている。
【0043】
(ベースプレート)
ベースプレート4は、一般構造用圧延鋼材(SS400)からなる厚さ9mmの鋼材からなり、上面部41と側面部42とを有する断面L字状となっている。本実施形態では、左右一対の支柱20,20の下端にそれぞれ左右一対のベースプレート4,4が溶接されて取り付けられている。
【0044】
上面部41と側面部42との角度は、フロリダ型の仮設防護柵10のハンチ角度である上部ブロック本体120の側面の傾斜角度に応じた96°に設定されている。
【0045】
また、上面部41には、仮設防護柵10の上部ブロック本体120にアンカーボルトでボルト接合するためのアンカーボルト孔41aが穿設され、側面部42には、同様に、仮設防護柵10の上部ブロック本体120にアンカーボルトでボルト接合するための一対のアンカーボルト孔42a,42aが穿設されている。これらのアンカーボルト孔41a,42aは、いずれも仮設防護柵10の設置間隔や設置角度に合わせて位置調整(長さ調整)可能とするため長孔となっている。
【0046】
上面部41に形成されたアンカーボルト孔42aは、図6(c)に示すように、支持フレーム2の支柱20が、上面部41に接合された接合箇所より側面部42側に形成されている。このため、車両通行禁止区域側からのみの作業でアンカーボルト孔41aに上部ブロック本体120にアンカーボルトでボルト接合又はボルトを外すことができ、仮設防護柵10に仮設防護柵用フェンス1を設置及び撤去作業を完了させることができる。
【0047】
(ジョイント金具)
次に、図8図9を用いて、支持フレーム2と隣接する他の支持フレーム2の上端部同士を接続するジョイント金具5について説明する。図8は、本実施形態に係る仮設防護柵用フェンス1同士を接続するジョイント金具5を示す斜視図である。また、図9は、ジョイント金具5を示す図であり、(a)が正面図、(b)が左側面図、(c)が平面図である。
【0048】
ジョイント金具5は、厚さ3.2mmの高耐食性めっき鋼板からなる断面逆U字状の金具本体50を基体とする金具であり、両端部に断面逆U字状の天面を切り取って支持フレーム2の支柱20を挿通する支柱挿通部51が形成されている。また、図8図9に示すように、支柱挿通部51の側面部分には、前述の支柱20と接合するための接合片52が金具本体50の両端部に延設され、この接合片52には、前述のボルト孔20aと連通するボルト接合するためのボルト孔52aが穿設されている。このボルト孔52aは、前述のアンカーボルト孔41a,42aと同様に、仮設防護柵10の設置間隔や設置角度に合わせて位置調整(長さ調整)可能とするために長孔となっている。
【0049】
<仮設防護柵用フェンスの設置及び撤去方法>
次に、図10図11を用いて、前述の仮設防護柵用フェンス1の設置方法及び撤去方法について説明する。図10は、仮設防護柵10及び仮設防護柵用フェンス1を2台並べて設置し、ジョイント金具5で接続した状態を示す正面図である。また、図11は、複数の仮設防護柵10及び仮設防護柵用フェンス1をジョイント金具5で連接して道路工事の車両通行禁止区域と車両通行区域とを区画した状態を示す写真である。
【0050】
図10図11に示すように、仮設防護柵用フェンス1を設置する場合は、1台の仮設防護柵10に1つの仮設防護柵用フェンス1を取り付け、複数台の仮設防護柵10を並べて設置して行き、支持フレーム2の支柱20同士を前述のジョイント金具5で接合する。その後、図11に示すように、支持フレーム2及び金網3にメッシュシートを取り付け、ジョイント金具5の下方の支持フレーム2同士の隙間をメッシュシートで塞ぎ、車両通行禁止区域と車両通行区域とを区画する目隠しパネルとする。
【0051】
支持フレーム2同士の具体的な接合は、支持フレーム2の支柱20の上端に、ジョイント金具5の支柱挿通部51を挿通し、接合片52に穿設されたボルト孔52a及び支柱20のボルト孔20aにボルトを挿通してボルト接合することにより行う。
【0052】
その後、メッシュシートを仮設防護柵用フェンス1に取り付けていく場合も、支持フレーム2やジョイント金具5という鋼材が既に設置されているので、メッシュシートを支持フレーム2やジョイント金具5に端から順次取り付けていけばよく、メッシュシートを二人がかりで仮接合して、止め付ける必要がなく、一人で設置作業を完了させることができる。
【0053】
また、仮設防護柵10に仮設防護柵用フェンス1を取り付ける作業も、前述のように、支持フレーム2の支柱20が、上面部41に接合された接合箇所より側面部42側に形成されているので、車両通行禁止区域側からのみの作業でアンカーボルト孔41aに上部ブロック本体120にアンカーボルトでボルト接合することができ、仮設防護柵10に仮設防護柵用フェンス1を設置する作業を一人作業又は少人数で完了させることができる。
【0054】
なお、仮設防護柵用フェンス1を撤去する作業も、設置作業の逆手順、即ち、メッシュシートを取り外し、ジョイント金具5を撤去し、アンカーボルトを取り外し、仮設防護柵10から仮設防護柵用フェンス1を撤去することより、簡単に一人作業又は少人数で完了させることができる。
【0055】
以上説明した本実施形態に係る仮設防護柵用フェンス1によれば、車両通行禁止区域側からのみの作業でアンカーボルト孔41aに上部ブロック本体120にアンカーボルトでボルト接合又は取り外すことができ、仮設防護柵10に仮設防護柵用フェンス1を設置する作業及び撤去する作業を一人作業又は少人数で完了させることができる。
【0056】
また、仮設防護柵用フェンス1によれば、仮設防護柵10と仮設防護柵用フェンス1を接合する際のボルト孔であるアンカーボルト孔41a,42aや仮設防護柵用フェンス1同士を接合する際のボルト孔であるボルト孔52aは、いずれも長さ調整可能な長孔である。このため、道路に沿って車両通行禁止区域と車両通行区域との境界がカーブしている場合でも、そのカーブした境界に合わせて仮設防護柵10及び仮設防護柵用フェンス1を並設して連結していくことが容易となる。
【0057】
また、仮設防護柵用フェンス1によれば、支持フレーム2の横桟21,21の長手方向(水平方向)の両端には、水抜き用の水抜き孔である切欠き21aが形成されている。このため、支持フレーム2の横桟21,21内に水が溜まって錆びてしまうおそれが低減し、全体を支持する支持フレーム2及び仮設防護柵用フェンス1の耐久性が向上する。
【0058】
以上、本発明の実施形態に係る仮設防護柵用フェンス1について詳細に説明した。しかし、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎない。よって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。特に、実施形態として例示した仮設防護柵用フェンス1の各部材の鋼材等の種類、径や寸法等は、あくまでも例示であって仮設防護柵10及び仮設防護柵用フェンス1の大きさに応じて適宜設計変更可能であることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1:仮設防護柵用フェンス
2:支持フレーム
20:支柱
20a:ボルト孔
21:横桟
21a:切欠き(水抜き孔)
22:中桟
3:金網
31:縦鋼線
32:横鋼線
4:ベースプレート
41:上面部
42:側面部
41a,42a:アンカーボルト孔
5:ジョイント金具
50:金具本体
51:支柱挿通部
52:接合片
52a:ボルト孔
10:仮設防護柵
11:下部ブロック
110:下部ブロック本体
111:円形コッター
112:円形凸部
112a:コッター貫通孔
113:円形凹部
113a:コッター貫通孔
114:矩形孔
115:凸条
116:フォーク掛止部
12:上部ブロック
120:上部ブロック本体
121:ボルト挿通孔
121a:ボルト収容凹部
122:凹溝
123:せん断キー貫通孔
123a:拡径部
図1
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