(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165185
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】原稿読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
H04N1/00 567H
H04N1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081111
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】間村 俊樹
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB30
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB35
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC61
5C062AC67
5C062AE03
5C062AE15
5C062AF10
(57)【要約】
【課題】様々なサイズの原稿が原稿載置トレイに一緒に載置され、その中に不定形サイズの原稿が混ざっていても、原稿幅を的確に検出して、白紙検知を正確に行う。
【解決手段】画像形成装置1は、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データに基づいて、読取位置の真上に設けられた白色板と当該白色板を通過する原稿との境界を検出して、原稿の搬送方向と直交する原稿幅を検出する原稿幅検出部101と、原稿幅検出部101により検出された原稿幅に基づいて、上記境界の位置を基点にして、白紙検知領域を設定する検知領域設定部103と、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データに基づいて、検知領域設定部103が設定した白紙検知領域内に印字データが存在するか否かを判断することによって白紙原稿判定を行う白紙判定部104と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置される原稿載置トレイと、
原稿排出トレイと、
原稿の画像を読み取る原稿読取部と、
前記原稿載置トレイに載置された原稿を1枚ずつ繰り出し、当該繰り出した原稿を前記原稿読取部における読取位置に搬送し、前記原稿排出トレイに排出する原稿搬送機構と、
前記読取位置において前記原稿読取部に対向する位置に設けられた白色板と、
前記原稿読取部による原稿読取で得られた画像データに基づいて、前記白色板と前記白色板を通過する原稿との境界となる画像を検出して、原稿の搬送方向と直交する方向において最初に出現する境界から、次に出現する境界までの領域を、原稿の搬送方向と直交する方向における原稿幅を検出する原稿幅検出部と、
前記原稿幅検出部により検出された原稿幅から、予め定められた余白分を外し、前記原稿幅検出部により検出された原稿幅よりも小さい白紙検知領域を設定する検知領域設定部と、
前記原稿読取部による読み取りで得られた画像データに基づいて、前記検知領域設定部が設定した前記白紙検知領域内に印字データが存在するか否かを判断することによって白紙原稿判定を行う白紙判定部と、を備える原稿読取装置。
【請求項2】
前記検知領域設定部は、ユーザーにより前記余白の大きさが指定された場合には、前記予め定められた余白として、ユーザーにより指定された前記余白を用いる請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記原稿幅検出部は、前記原稿読取部による読み取りで得られた画像データに基づいて、前記白色板を読み取った場合に得られる、予め定められた白色板閾値を基準にして、前記境界を検出する請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
原稿の搬送方向における長さを検出する原稿長さ検出部を更に備え、
前記検知領域設定部は、前記原稿幅検出部により検出された原稿幅から前記予め定められた余白分を外し、前記原稿長さ検出部により検出された原稿長さから前記予め定められた余白分を外した、前記原稿長さ検出部により検出された原稿長さと前記原稿幅とからなる領域よりも小さい領域を白紙検知領域として設定する請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項5】
請求項1に記載の原稿読取装置と、
画像を記録媒体に形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白紙原稿を判定する原稿読取装置及びそれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿読取装置には、ADF(Auto Document Feeder)やDP(Document Processor)と呼ばれる原稿給送部を備えるものがある。原稿給送部は、原稿が載置される原稿載置トレイと、原稿載置トレイの下方に設けられた原稿排出トレイと、を備える。原稿給送部は、原稿載置トレイに載置された原稿を原稿読取部へ1枚ずつ供給し、原稿排出トレイに原稿を排出する。このような原稿読取装置ではと、複数枚の原稿の画像を連続的に読み取る。
【0003】
ところが、原稿載置トレイに載置された複数枚の原稿の中に白紙原稿が混ざっていると、白紙原稿の画像についても原稿読取部に読み取られ、白紙原稿であるにも拘わらず、印刷処理が行われたり、読み取った画像データがファイルとして保存されたりといった出力処理が行われる。これら出力処理は本来必要なく、用紙が無駄になったり、ファイル容量が無駄に使用されたりすることになる。
【0004】
このような無駄を防ぐために、原稿読取装置には、白紙原稿を除外(スキップ)するための機能を有するものがある。白紙原稿の除外は、原稿の画像領域(白紙検知領域)内に印字データが含まれているか否かを判定することによって行われる。白紙検知領域は、原稿サイズに応じて設定される。
【0005】
原稿サイズの一辺である原稿幅(原稿搬送方向と直交する原稿の長さ)を自動検知する方法の一例を説明する。原稿載置トレイには、原稿幅方向に摺動可能に構成されたカーソルと、カーソルに立設され、原稿載置トレイに載置された原稿に原稿幅方向から当接して原稿の幅を規制する原稿幅ガイドと、を備えるものがある。カーソルは原稿幅ガイドと一緒に移動するので、原稿幅はカーソルの位置から特定し検知することできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、原稿載置トレイには、様々なサイズの原稿が一緒に載置され、異幅混載となる場合がある。この場合、すべての原稿の原稿幅をカーソルの位置から検知することはできない。原稿幅を検知できないと、白紙検知領域を適切に設定できず、白紙原稿判定を適正に行えない。
【0008】
上記の特許文献1には、異幅混載の場合における白紙原稿判定について記載されているが、上記の特許文献1に記載された発明では、原稿が不定形サイズのとき、白紙原稿判定を行うことができない。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、様々なサイズの原稿が原稿載置トレイに一緒に載置され、その中に不定形サイズの原稿が混ざっていても、原稿の搬送方向と直交する方向における原稿幅を的確に検出し、白紙検知を正確に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面に係る原稿読取装置は、原稿が載置される原稿載置トレイと、原稿排出トレイと、原稿の画像を読み取る原稿読取部と、前記原稿載置トレイに載置された原稿を1枚ずつ繰り出し、当該繰り出した原稿を前記原稿読取部における読取位置に搬送し、前記原稿排出トレイに排出する原稿搬送機構と、前記読取位置において前記原稿読取部に対向する位置に設けられた白色板と、前記原稿読取部による原稿読取で得られた画像データに基づいて、前記白色板と前記白色板を通過する原稿との境界となる画像を検出して、原稿の搬送方向と直交する方向において最初に出現する境界から、次に出現する境界までの領域を、原稿の搬送方向と直交する方向における原稿幅を検出する原稿幅検出部と、前記原稿幅検出部により検出された原稿幅から、予め定められた余白分を外し、前記原稿幅検出部により検出された原稿幅よりも小さい白紙検知領域を設定する検知領域設定部と、前記原稿読取部による読み取りで得られた画像データに基づいて、前記検知領域設定部が設定した前記白紙検知領域内に印字データが存在するか否かを判断することによって白紙原稿判定を行う白紙判定部と、を備えるものである。
【0011】
また、本発明の一局面に係る画像形成装置は、上記原稿読取装置と、画像を記録媒体に形成する画像形成部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、原稿の搬送方向と直交する方向において、白色板と当該白色板を通過する原稿との境界を検出することによって、定形サイズ、不定形サイズに拘わらず、原稿の搬送方向と直交する方向における原稿幅を的確に検出でき、更に当該原稿幅から余白分を外した領域を白紙検知領域とすることで、白紙検知を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る原稿読取装置を備える画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【
図3】画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図4】白紙の白色原稿が白色板を通過する際に、白色板及び当該白色板を通過する原稿に照射して得られる画像データの一例を示すグラフである。
【
図5】原稿が白色板を通過する際に、白色板及び当該白色板を通過する原稿に照射して得られる画像データの一例を示すグラフである。(A)は、印字データが含まれる場合を示し、(B)は、印字データが含まれない場合を示している。
【
図6】画像形成装置における制御ユニットで行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】原稿読取部による読取範囲を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る原稿読取装置及び画像形成装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る原稿読取装置を備える画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【0015】
画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機であり、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、給紙部14、及び操作部47を含んで構成されている。
【0016】
原稿給送部6は、原稿読取部5の上面に図略のヒンジ等によって開閉可能に構成され、原稿給送部6は、図略のプラテンガラス上に載置された原稿を読み取る場合に原稿押さえカバーとして機能する。また、原稿給送部6は、ADFやDPと呼ばれるものであり、原稿が載置される原稿載置トレイ61と、原稿載置トレイ61の下方に設けられた原稿排出トレイ65と、を備える。原稿給送部6は、原稿載置トレイ61に載置された原稿を原稿読取部5へ1枚ずつ供給し、原稿排出トレイ65に原稿を排出する。
【0017】
また、原稿載置トレイ61は、原稿が載置される原稿載置テーブル62と、原稿載置テーブル62上面において、原稿搬送方向と直交する原稿幅方向に摺動可能に構成されたカーソル63と、カーソル63に立設され、原稿載置テーブル62に載置された原稿に原稿幅方向から当接して原稿の幅を規制する原稿幅ガイド64と、を備える。
【0018】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部6により原稿読取部5へ供給された原稿、又は上記プラテンガラス上に載置されている原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、図略の画像メモリー等に保存される。
【0019】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、ネットワーク接続された外部装置(例えば、パソコン)としてのコンピューターから受信した画像データに基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙にトナー像を形成する。
【0020】
画像形成部12によりトナー像が形成された記録紙は、後述する定着部13(
図3)で定着処理が施され、定着処理が施された記録紙は排出トレイ151に排出される。給紙部14は、複数の給紙カセット141を備える。
【0021】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について、操作者から、画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。また、操作部47は、表示部473が有するタッチパネルを介して、表示部473に表示されている操作画面に対するユーザーによる操作(タッチ操作)、操作部47が備える物理キーに対するユーザーによる操作に基づく、ユーザーからの指示の入力を受け付ける。
【0022】
表示部473は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる。表示部473は、タッチパネルを備えている。操作者は画面表示されるボタンやキーに触れる操作を行うと、タッチパネルにより、タッチ操作された位置に対応付けられた指示が受け付けられる。
【0023】
図2は、原稿給送部6の断面を概略的に示す図である。原稿給送部6は、原稿載置トレイ61と、原稿載置トレイ61の下方に設けられた原稿排出トレイ65と、原稿載置トレイ61に載置された原稿を原稿排出トレイ65まで搬送する原稿搬送機構66と、原稿載置トレイ61に設けられた原稿検知センサー68と、を備える。
【0024】
原稿搬送機構66は、原稿搬送路31と、原稿載置トレイ61に載置された原稿を1枚ずつ繰り出すための繰出機構32と、原稿搬送路31に沿って配置された複数の搬送ローラー対33と、原稿を原稿排出トレイ65に排出する排出ローラー対34と、原稿搬送路31に沿って配置された、原稿の先端及び後端の通過を検知する通過検知センサー35と、を備える。
【0025】
原稿搬送路31の最下端部分は開口している。すなわち、原稿給送部6は、その下面に原稿読取部5(
図1)における読取位置であるプラテンガラス51に対向する部分に開口部70が形成されている。プラテンガラス51及び開口部70は、原稿搬送方向と直交する原稿幅方向(
図2における奥行方向)に延びている。
【0026】
繰出機構32は、原稿載置トレイ61に載置された原稿を1枚ずつ繰り出す繰出ローラー41を備える。繰出ローラー41により繰り出され、原稿搬送路31に沿って搬送された原稿は、原稿給送部6の下面(開口部70)まで搬送され、そこで原稿読取部5によって原稿の画像が読み取られる。また、開口部70の真上(プラテンガラス51の真上となる位置)には、シェーディング補正のための白色板71が設けられている。白色板71についても、プラテンガラス51及び開口部70と同様に、原稿幅方向に延びている。
【0027】
開口部70を通過した原稿は、開口部70の搬送方向下流側に設けられた搬送ローラー対33によって排出ローラー対34に向けて搬送され、排出ローラー対34によって原稿排出トレイ65に排出される。
【0028】
また、原稿給送部6は、原稿載置トレイ61の下限位置から、原稿載置トレイ61に載置された原稿の最上位シートの上面が繰出ローラー41に押し当たる上限位置まで原稿載置トレイ61を昇降させる昇降機構(図示せず)を備える。ユーザーからのコピー指示やスキャン指示があると、後述する制御部100(
図3)が、上記昇降機構の駆動を制御し、原稿載置トレイ61を上限位置まで上昇させる。
【0029】
図3は、画像形成装置1の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、制御ユニット10、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、操作部47、及び記憶部8を含んで構成されている。
【0030】
定着部13は、画像形成部12によりトナー像が形成された記録紙を加熱及び加圧して、トナー像を記録紙に定着させるものであり、定着処理が施された記録紙は排出トレイ151(
図1)に排出される。
【0031】
記憶部8は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置であり、各種の制御プログラム等を記憶する。
【0032】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100と、原稿幅検出部101と、原稿長さ検出部102と、検知領域設定部103と、白紙判定部104と、を備えている。
【0033】
制御ユニット10は、記憶部8に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100、原稿幅検出部101、原稿長さ検出部102、検知領域設定部103、及び白紙判定部104として機能するものである。但し、制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0034】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、操作部47、及び記憶部8と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。例えば、制御部100は、画像形成装置1による画像形成に必要な各種の処理などを実行する。
【0035】
原稿幅検出部101は、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データに基づいて、白色板71(
図2)と当該白色板71を通過する原稿との境界を検出して、原稿の搬送方向と直交する方向における原稿幅Wを検出する。
【0036】
図4は、白紙の白色原稿が白色板71を通過する際に、白色板71及び当該白色板71を通過する原稿に照射して得られる画像データ(原稿読取部5が取得する画像データ)の一例を示すグラフである。横軸は、原稿搬送方向と直交する原稿幅方向(主走査方向)における位置を示し、縦軸は、画像データの画素値を示している。画像データの画素値は8ビットで形成され、その範囲は0~255である。
【0037】
領域R1,R4は、白色板71の位置(原稿が通過しない部分)を示している。領域R1,R4よりもデータ値の高い領域R3は、原稿の位置(原稿が通過する部分)を示し、領域R1,R3,R4よりもデータ値が大きく低下している領域R2は、原稿の厚みによって発生する原稿端影を示している。
【0038】
白色板71はその表面が均一な白色とされている。但し、この例では、白色板71表面の白色は、読取対象とされる白色原稿の表面白色よりも低値となる予め定められた白色とされる。白色板71(原稿が通過しない部分)から得られる画像データの画素値は、ほぼ一定であり、実験によって事前に特定されている。そのため、読取で得られた白色板71の表面の画素値を、白色板か否かの判定に用いる白色板閾値として定める。これにより、白色板71とそれ以外(白色板71を通過する原稿等)とを区別して、原稿の搬送方向と直交する原稿幅Wを検出する。
【0039】
原稿幅検出部101は、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データに基づいて、白色板71を読み取った場合に得られる画素値を上記白色板閾値とし、上記白色板閾値を基準にして、白色板71と当該白色板71を通過する原稿との境界を検出して、原稿の搬送方向と直交する方向(主走査方向)に最初に出現する境界から、次に出現する境界までの領域を、原稿の搬送方向と直交する方向における原稿幅Wとして検出する。
【0040】
例えば、原稿幅検出部101は、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データに基づいて、上記白色板閾値(例えば、「236」)を基準にして、画素値が上記白色板閾値から予め定められた値までの範囲内(例えば、上記白色板閾値との差が「2」以下)であって、主走査方向における原稿読取位置の最初の位置から連続して続いている第1領域と、主走査方向における原稿読取位置の最後の位置まで連続して続いている第2領域とを、白色板71を示す画像と判断する。更に、原稿幅検出部101は、画素値が上記白色板閾値から予め定められた値だけ離れている(例えば、上記白色板閾値との差が「4」以上)ものは原稿を示す画像と判断する。原稿幅検出部101は、主走査方向において、上記第1領域から原稿を示す画像に切り換わった画像位置を第1境界(主走査方向において最初に出現する境界)とし、原稿を示す画像から上記第2領域に切り換わった画像位置を第2境界(主走査方向において次に出現する境界)とし、当該第1境界から第2境界までの領域を、原稿の搬送方向と直交する方向における原稿幅Wとして検出する。
【0041】
原稿長さ検出部102は、原稿の搬送方向における長さ(原稿長さL)を検出する。例えば、原稿長さ検出部102は、通過検知センサー35により検知された原稿の先端が通過するタイミングから、後端が通過するタイミングに至るまでの時間tと、原稿の搬送速度sと、に基づいて、原稿長さL(L=時間t×搬送速度s)を算出する。
【0042】
検知領域設定部103は、原稿幅検出部101により検出された原稿幅Wと、原稿長さ検出部102により検出された原稿長さLとからなる領域を、白紙検知領域Aとして設定する。
【0043】
白紙判定部104は、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データに基づいて、検知領域設定部103が設定した白紙検知領域A内に印字データが存在するか否かを判断することによって白紙原稿判定を行う。白紙判定部104は、白紙検知領域A内に印字データが存在しないと判断した場合、原稿は白紙であると判定し、白紙検知領域A内に印字データが存在すると判断した場合、原稿は白紙でないと判定する。
【0044】
図5(A)及び(B)は、白色原稿が白色板71を通過する際に、白色板71及び当該白色板71を通過する原稿に照射して得られる画像データの一例を示すグラフである。
図5(A)は、印字されている原稿(白紙原稿ではない)を読み取った場合を示し、
図5(B)は、印字されていない原稿(白紙原稿)の場合を示している。横軸は、原稿搬送方向と直交する原稿幅方向(主走査方向)における位置を示し、縦軸は、画像データの画素値を示している。画像データの画素値は8ビットで形成され、その範囲は0~255である。
【0045】
ここで、白紙検知領域Aが、原稿幅W及び原稿長さLが示す原稿サイズと同じ大きさに設定されると、原稿幅検出部101による上述の原稿幅Wの検出では、原稿端影を示す画像も原稿を示す画像に含まれるため、白紙判定部104が、
図5(B)に例を示すような原稿端影を原稿中の印字を示す画像と検出してしまい、白紙原稿であるにも拘わらず、原稿は白紙でないとした誤った判定となるおそれがある。そのため、検知領域設定部103は、主走査方向における読取範囲の最初の位置から予め定められた余白(例えば、5mm)分だけ最後の位置に向かう領域と、主走査方向における読取範囲の最後の位置から予め定められた余白(例えば、5mm)分だけ最初の位置に向かう領域とを、原稿幅Wにおける白紙検知の対象から外し、更に、原稿長さ(搬送)方向における読取範囲の最初の位置から予め定められた余白(例えば、5mm)分だけ最後の位置に向かう領域と、原稿長さ(搬送)方向における読取範囲の最後の位置から予め定められた余白(例えば、5mm)分だけ最初の位置に向かう領域とを、原稿幅Wにおける白紙検知の対象から外した、原稿幅検出部101により検出された原稿幅Wと、原稿長さ検出部102により検出された原稿長さLとからなる領域よりも小さい領域を白紙検知領域Aとして設定する。
【0046】
また、上記余白については、予め定められた範囲(例えば、1~10mm)で、操作部47がユーザーからの指定を受け付けるものとし、検知領域設定部103は、ユーザーにより上記余白の大きさが指定された場合には、上記予め定められた余白として、ユーザーにより指定された余白を用いて、原稿幅検出部101により検出された原稿幅Wと、原稿長さ検出部102により検出された原稿長さLとからなる領域よりも小さい白紙検知領域Aを設定するようにしてもよい。
【0047】
次に、画像形成装置1における制御ユニット10で行われる処理の一例を
図6に示すフローチャートを用いて説明する。なお、この処理は、原稿載置トレイ61に原稿が載置されているときに、操作部47がユーザーからのコピー指示又はスキャン指示を受け付けた場合に行われる処理である。
【0048】
制御部100は、白紙原稿を除外するための白紙原稿除外機能が有効(ON)になっているか否かを判断する(S1)。白紙原稿除外機能の有効/無効は、操作部47を使用してユーザーが事前に設定可能である。
【0049】
制御部100は、白紙原稿除外機能が有効になっていると判断した場合(S1でYES)、原稿サイズを自動で検知するための原稿サイズ自動検知機能が有効(ON)になっているか否かを判断する(S2)。原稿サイズ自動検知機能の有効/無効についても、操作部47を使用してユーザーが事前に設定可能である。
【0050】
制御部100は、原稿サイズ自動検知機能が有効になっていると判断した場合(S2でYES)、原稿読取部5による主走査方向における読取範囲(スキャン範囲)を、原稿読取部5の読取可能な最大幅に設定する(S3)。
図7に例を示すように、原稿読取部5の読取可能な最大幅がA4サイズの幅である場合、例えば、A4サイズ(
図7中の実線)の幅よりも小さいA5サイズ(
図7中の破線)の原稿が搬送される可能性があっても、制御部100は、原稿読取部5による読取範囲を、読取可能な最大幅のA4サイズに設定する。
【0051】
続いて、制御部100は、原稿給送部6の動作を制御し、原稿載置トレイ61に載置されている原稿の搬送を行い(S4)、原稿読取部5の動作を制御し、原稿読取部5に原稿の画像を読み取らせ、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データを取得する(S5)。
【0052】
原稿幅検出部101は、原稿読取部5による原稿読取で得られた画像データに基づいて、白色板71と当該白色板71を通過する原稿との境界を上述のようにして検出し(S6)、原稿の搬送方向と直交する原稿幅Wを検出する(S7)。原稿長さ検出部102は、通過検知センサー35による検知結果に基づいて、原稿長さLを検出する(S8)。
【0053】
その後、検知領域設定部103は、原稿幅検出部101により検出された原稿幅Wと、原稿長さ検出部102により検出された原稿長さLとからなる領域を、白紙検知領域Aとして設定する(S9)。ここでは、検知領域設定部103は、上記予め定められた余白(例えば、5mm)を設定し、或いは、ユーザーにより指定された余白を設定し、原稿幅検出部101により検出された原稿幅Wと、原稿長さ検出部102により検出された原稿長さLとからなる領域よりも小さい白紙検知領域Aを設定する。
【0054】
続いて、白紙判定部104は、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データに基づいて、検知領域設定部103が設定した白紙検知領域A内に印字データが存在するか否かを判断することによって白紙原稿判定を行う(S10)。
【0055】
制御部100は、白紙判定部104による判定結果に基づいて、上記画像データに対する出力処理を実行する(S11)。原稿が白紙でなく、ユーザーからの指示がコピーである場合、制御部100は、画像形成部12等の動作を制御し、上記画像データが示す画像を記録紙に形成し、ユーザーからの指示がスキャンである場合、上記画像データをファイルとして記憶部8に保存する。一方、原稿が白紙である場合には、制御部100は、上記画像データが示す画像を記録紙に形成する必要はなく、ファイルとして残す必要もないので、上記画像データを消去する。
【0056】
続いて、制御部100は、原稿検知センサー68による検知内容に基づいて、原稿載置トレイ61に載置されていた全ての原稿の搬送が完了したか否かを判断し(S12)、原稿の搬送が完了したと判断した場合(S12でYES)、この処理を終了する。一方、制御部100は、原稿の搬送は完了していないと判断した場合(S12でNO)、処理はS4に戻る。
【0057】
S2において、制御部100は、原稿サイズ自動検知機能が有効になっていない(無効になっている)と判断した場合(S2でNO)、原稿読取部5による読取範囲(スキャン範囲)を、ユーザーにより事前に指定された原稿サイズが示す原稿幅に設定し(S13)、原稿給送部6の動作を制御し、原稿載置トレイ61に載置されている原稿の搬送を行い(S14)、原稿読取部5の動作を制御し、原稿読取部5に原稿の画像を読み取らせ、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データを取得する(S15)。
【0058】
検知領域設定部103は、ユーザーにより事前に指定された原稿サイズが示す原稿幅及び原稿長さに基づいて、白紙検知領域Aを設定し(S16)、白紙判定部104は、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データに基づいて、検知領域設定部103が設定した白紙検知領域A内に印字データが存在するか否かを判断することによって、白紙原稿判定を行う(S17)。
【0059】
制御部100は、白紙判定部104による判定結果に基づいて、S11と同様に、上記画像データに対する出力処理を実行する(S18)。続いて、制御部100は、原稿検知センサー68による検知内容に基づいて、原稿載置トレイ61に載置されていた全ての原稿の搬送が完了したか否かを判断し(S19)、原稿の搬送が完了したと判断した場合(S19でYES)、この処理を終了する。一方、制御部100は、原稿の搬送は完了していないと判断した場合(S19でNO)、処理はS14に戻る。
【0060】
S1において、制御部100は、白紙原稿除外機能が有効になっていない(無効になっている)と判断した場合(S1でNO)、原稿載置トレイ61に載置されている全ての原稿に対して、従来通り、通常のコピー処理又はスキャン処理を実行する(S20)。この後、処理は終了する。
【0061】
上記実施形態によれば、原稿の搬送方向と直交する方向において、白色板71と当該白色板71を通過する原稿との境界を検出することによって、定形サイズ、不定形サイズに拘わらず、原稿の搬送方向と直交する方向における原稿幅を的確に検出でき、更に当該原稿幅から余白分を外した領域を白紙検知領域とすることで、白紙検知を正確に行うことができる。従って、定形サイズ、不定形サイズに拘わらず、原稿幅Wを精度よく検出でき、白紙検知領域Aについても適切に設定することが可能になる。これにより、様々なサイズの原稿が原稿載置トレイ61に一緒に載置され、その中に不定形サイズの原稿が混ざっていても、白紙原稿判定の適正化が可能となる。
【0062】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、
図1乃至
図7を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置
5 原稿読取部
6 原稿給送部
12 画像形成部
61 原稿載置トレイ
65 原稿排出トレイ
66 原稿搬送機構
71 白色板
101 原稿幅検出部
102 原稿長さ検出部
103 検知領域設定部
104 白紙判定部