(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165186
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】用紙搬送装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/58 20060101AFI20241121BHJP
B65H 43/00 20060101ALI20241121BHJP
B65H 29/52 20060101ALI20241121BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B65H29/58 A
B65H43/00
B65H29/52
B65H29/58 B
G03G15/00 463
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081112
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷尾 浩治
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F053
3F101
【Fターム(参考)】
2H072AA02
2H072AA09
2H072AA17
2H072AA24
2H072AA29
2H072AA32
2H072AB14
2H072AB27
2H072CA01
2H072CB01
2H072JA02
2H072JA04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA05
3F048BA14
3F048BB02
3F048CC03
3F048CC04
3F048CC11
3F048DA09
3F048DB11
3F048DB12
3F048DC05
3F048DC09
3F048EA14
3F048EB40
3F053BA03
3F053BA12
3F053BA14
3F053EA01
3F053EB04
3F053EC02
3F053EC06
3F053ED03
3F053ED15
3F053ED25
3F053LA01
3F053LB01
3F101FB11
3F101FB12
3F101FE02
3F101FE11
3F101FE20
3F101LA01
3F101LB01
(57)【要約】
【課題】搬送路を通じて搬送されている記録紙及び分岐爪の位置などを検出する構成を、従来よりも簡易な構成で実現する。
【解決手段】用紙搬送装置20において、制御部44は、ソレノイド34を消勢し、切換えガイド18を第1搬送位置HS1に切換えた状態で、用紙検知部材25が第1搬送路8の記録紙に接して退避し、これに伴い従動回転部材26が回転し、センサー27により従動回転部材26の待機位置が検出されなくなると、第1搬送路の記録紙を判定し、またソレノイド34を付勢し、切換えガイド18を第2搬送位置HS2に切換え、これに伴い従動回転部材26が回転し、センサー27により従動回転部材26の待機位置が検出されなくなると、切換えガイド18の第2搬送位置HS2を判定する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を案内する第1搬送路と、
前記第1搬送路を通じて案内されて来た前記用紙を搬送するローラーと、
前記ローラーの逆回転により前記第1搬送路での搬送方向とは逆方向に搬送される前記用紙を案内する第2搬送路と、
前記ローラーと平行な第1軸により回転自在に支持され、前記第1軸を中心にして往復回転されることにより、前記第1搬送路を通じて案内されて来た前記用紙を前記ローラーへと導く第1搬送位置、及び前記ローラーの逆回転により前記逆方向に搬送される前記用紙を前記第2搬送路へと導く第2搬送位置のいずれかに前記用紙の搬送方向を切換える切換えガイドと、
前記第1軸により回転自在に支持されて、前記第1軸と直交する方向に突出し、前記第1軸を中心にして前記切換えガイドと一体的に往復回転する第1リンク部材と、
前記第1軸と平行な第2軸によりに回転自在に支持されて、前記第1搬送路に突出し、前記第1搬送路を通じて搬送されて来た前記用紙に接すると、前記第2軸を中心にして回転して前記第1搬送路から退避する用紙検知部材と、
前記第2軸により回転自在に支持されて、前記用紙検知部材が前記第1搬送路から退避すると、前記第2軸を中心にして前記用紙検知部材と一体的に回転する第2リンク部材と、
前記第1軸と平行な第3軸により回転自在に支持され、前記切換えガイドが前記第2搬送位置に切換えられて、前記第1リンク部材が回転したときには、前記第1リンク部材により押されて回転し、前記用紙検知部材が前記第1搬送路から退避して、前記第2リンク部材が回転したときには、前記第2リンク部材により押されて回転する従動回転部材と、
前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材のいずれによっても押されていないときの前記従動回転部材の待機位置を検出するセンサーと、
前記切換えガイドを、前記第1軸を中心にして往復回転させて前記第1搬送位置及び前記第2搬送位置のいずれかに切換える駆動部と、
前記駆動部を制御して前記切換えガイドを前記第1搬送位置に切換えている状態で、前記用紙検知部材が前記第1搬送路を通じて搬送されて来た前記用紙に接して退避し、前記第2リンク部材が回転して、前記従動回転部材が前記第2リンク部材により押されて回転し、前記センサーにより前記従動回転部材の待機位置が検出されなくなったときに、前記第1搬送路を通じて前記用紙が搬送されていると判定し、前記駆動部を制御して、前記切換えガイドを前記第2搬送位置に切換えたことから、前記第1リンク部材が前記切換えガイドと共に回転して、前記従動回転部材が前記第1リンク部材により押されて回転し、前記センサーにより前記従動回転部材の待機位置が検出されなくなったときに、前記第1搬送位置から前記第2搬送位置に前記切換えガイドが切換えられたと判定する制御部と、を備える用紙搬送装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記駆動部を制御して、前記切換えガイドを前記第1搬送位置に切換えている状態で、前記用紙検知部材が前記第1搬送路を通じて搬送されて来た前記用紙に接して退避し、前記第2リンク部材が回転して、前記従動回転部材が前記第2リンク部材により押されて回転し、前記センサーにより前記従動回転部材の待機位置が検出されていない状態が規定時間以上継続すると、ジャムの発生を判定する請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記用紙の搬送方向の長さ及び前記用紙の搬送速度に基づき規定時間を算出する請求項2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の用紙搬送装置と、
前記用紙搬送装置により搬送される用紙に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を搬送する用紙搬送装置及びそれを備える画像形成装置に関し、特に用紙の搬送方向を切換えるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、記録紙(用紙の一例)を、第1搬送路を通じて画像形成部へと搬送して、画像形成部により原稿の画像を記録紙の表面に形成させた後、記録紙を、排出ローラーを通じて排紙トレイへと排出している。また、原稿の画像を記録紙の裏面にも形成する場合は、記録紙を排出ローラーへと搬送し、排出ローラーを一旦停止させてから逆回転させるというスイッチバック搬送を行って、記録紙をそれまでの搬送方向とは逆方向に搬送し、記録紙を第2搬送路を通じて第1搬送路に戻して、記録紙の表裏を反転させ、画像形成部により原稿の画像を記録紙の裏面に形成させ、記録紙を、排出ローラーを通じて排紙トレイへと排出している。
【0003】
また、特許文献1に記載の用紙搬送装置では、記録紙を搬入搬送路から反転搬送路へと搬送し、反転搬送路で用紙の搬送方向を逆方向に切換えて、記録紙を反転搬送路から排紙搬送路へと搬送している。この記録紙の搬送方向の切換えのために、搬入搬送路、反転搬送路、及び排紙搬送路の分岐部に用紙の搬送方向を切換える第1分岐爪及び第2分岐爪を設け、反転搬送路に用紙を逆方向に搬送させるローラーを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に記載の用紙搬送装置のように複数の搬送路を設けて、分岐爪により用紙が搬送される搬送路を切り換える構成では、搬送路を通じて搬送されている記録紙及び分岐爪の位置などを検出する必要があり、その検出のために要する構成が複雑になる。例えば、モーター、ソレノイド、及びセンサーの数が多くなり、その分コストも増大する。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、用紙の搬送方向を切換える機構において、搬送路を通じて搬送されている記録紙及び分岐爪の位置などを検出する構成を、従来よりも簡易な構成で実現することを目的とする。ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る用紙搬送装置は、用紙を案内する第1搬送路と、前記第1搬送路を通じて案内されて来た前記用紙を搬送するローラーと、前記ローラーの逆回転により前記第1搬送路での搬送方向とは逆方向に搬送される前記用紙を案内する第2搬送路と、前記ローラーと平行な第1軸により回転自在に支持され、前記第1軸を中心にして往復回転されることにより、前記第1搬送路を通じて案内されて来た前記用紙を前記ローラーへと導く第1搬送位置、及び前記ローラーの逆回転により前記逆方向に搬送される前記用紙を前記第2搬送路へと導く第2搬送位置のいずれかに前記用紙の搬送方向を切換える切換えガイドと、前記第1軸により回転自在に支持されて、前記第1軸と直交する方向に突出し、前記第1軸を中心にして前記切換えガイドと一体的に往復回転する第1リンク部材と、前記第1軸と平行な第2軸によりに回転自在に支持されて、前記第1搬送路に突出し、前記第1搬送路を通じて搬送されて来た前記用紙に接すると、前記第2軸を中心にして回転して前記第1搬送路から退避する用紙検知部材と、前記第2軸により回転自在に支持されて、前記用紙検知部材が前記第1搬送路から退避すると、前記第2軸を中心にして前記用紙検知部材と一体的に回転する第2リンク部材と、前記第1軸と平行な第3軸により回転自在に支持され、前記切換えガイドが前記第2搬送位置に切換えられて、前記第1リンク部材が回転したときには、前記第1リンク部材により押されて回転し、前記用紙検知部材が前記第1搬送路から退避して、前記第2リンク部材が回転したときには、前記第2リンク部材により押されて回転する従動回転部材と、前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材のいずれによっても押されていないときの前記従動回転部材の待機位置を検出するセンサーと、前記切換えガイドを、前記第1軸を中心にして往復回転させて前記第1搬送位置及び前記第2搬送位置のいずれかに切換える駆動部と、前記駆動部を制御して前記切換えガイドを前記第1搬送位置に切換えている状態で、前記用紙検知部材が前記第1搬送路を通じて搬送されて来た前記用紙に接して退避し、前記第2リンク部材が回転して、前記従動回転部材が前記第2リンク部材により押されて回転し、前記センサーにより前記従動回転部材の待機位置が検出されなくなったときに、前記第1搬送路を通じて前記用紙が搬送されていると判定し、前記駆動部を制御して、前記切換えガイドを前記第2搬送位置に切換えたことから、前記第1リンク部材が前記切換えガイドと共に回転して、前記従動回転部材が前記第1リンク部材により押されて回転し、前記センサーにより前記従動回転部材の待機位置が検出されなくなったときに、前記第1搬送位置から前記第2搬送位置に前記切換えガイドが切換えられたと判定する制御部と、を備えるものである。
【0008】
また、本発明の一局面に係る画像形成装置は、上記本発明の用紙搬送装置と、前記用紙搬送装置により搬送される用紙に画像を形成する画像形成部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、用紙の搬送方向を切換える機構において、搬送路を通じて搬送されている記録紙及び分岐爪の位置などを検出する構成を、従来よりも簡易な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明にかかる一実施形態の用紙搬送装置が適用された画像形成装置を示す断面図である。
【
図2】(A)、(B)は本実施形態の用紙搬送装置における排出ローラー及び切換えガイドを拡大して示す側面図であり、(A)は記録紙を排出ローラーへと導くときの切換えガイドの第1搬送位置を示し、(B)は排出ローラーにより逆方向に搬送されて来た記録紙を導くときの切換えガイドの第2搬送位置を示している。
【
図3】各切換えガイド、第1リンク部材、及び各切換えガイドと第1リンク部材を回転自在に支持する軸を示す斜視図である。
【
図4】(A)、(B)は各切換えガイド及び第1リンク部材を往復回転させるための機構の一例を模式的に示す図であり、(A)は各切換えガイドを第1搬送位置に移動させた状態を示し、(B)は各切換えガイドを第2搬送位置に移動させた状態を示している。
【
図5】用紙検知部材、第2リンク部材、及び用紙検知部材と第2リンク部材を回転自在に支持する軸を示す斜視図である。
【
図6】(A)、(B)は、従動回転部材を正面側から見て示す斜視図及び従動回転部材を背面側から見て示す斜視図である。
【
図7】(A)、(B)は、各切換えガイドが第1搬送位置に移動され、記録紙が第1搬送路を通じて搬送されていない状態での第1リンク部材、用紙検知部材、従動回転部材、センサー、及び第2リンク部材を示す側面図、その状態を模式的に示す側面図である。
【
図8】(A)、(B)は、各切換えガイドが第1搬送位置に移動され、記録紙が第1搬送路を通じて搬送されている状態での第1リンク部材、用紙検知部材、従動回転部材、センサー、及び第2リンク部材を示す側面図、その状態を模式的に示す側面図である。
【
図9】
図8(A)、(B)と同じ状態で、第1リンク部材、用紙検知部材、従動回転部材、センサー、及び第2リンク部材を背面側から見て示す側面図である。
【
図10】(A)、(B)は、各切換えガイドが第1搬送位置から第2搬送位置に移動された状態での第1リンク部材、用紙検知部材、従動回転部材、センサー、及び第2リンク部材を示す側面図、その状態を模式的に示す側面図である。
【
図11】用紙搬送装置の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図12】第1搬送路を通じて搬送されている記録紙の有無及び各切換えガイドの第2搬送位置を判定するための制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下において、回転方向、或いは、左右上下方向を示す場合があるが、これらは、特に明言しない限り、各図面における一例としての方向を示す。
図1は、本発明にかかる一実施形態の用紙搬送装置が適用された画像形成装置を示す断面図である。
図1に示すように本実施形態の画像形成装置10は、画像読取部11及び画像形成部12を備えている。
【0012】
画像読取部11は、原稿の画像を光学的に読み取る撮像素子(CCDセンサー、コンタクトイメージセンサー)を有しており、この撮像素子の出力が画像データに変換される。
【0013】
画像形成部12は、上記画像データによって示される画像を記録紙に印刷するものであり、マゼンタ用の画像形成ユニット3M、シアン用の画像形成ユニット3C、イエロー用の画像形成ユニット3Y、及びブラック用の画像形成ユニット3Bkを備えている。各画像形成ユニット3M、3C、3Y、及び3Bkのいずれにおいても、感光体ドラム4の表面を均一帯電させ、感光体ドラム4の表面を露光して、感光体ドラム4の表面に静電潜像を形成し、感光体ドラム4の表面の静電潜像をトナー像に現像して、感光体ドラム4の表面のトナー像を、中間転写ベルト5に転写する。これにより、カラーのトナー像が中間転写ベルト5上に形成される。このカラーのトナー像は、中間転写ベルト5と2次転写ローラー6の間のニップ域Nにおいて給紙部14から第1搬送路8を通じて搬送されてきた記録紙Pに2次転写される。
【0014】
この後、定着装置15で記録紙Pを加熱及び加圧させて、記録紙P上のトナー像を熱圧着により定着させ、更に記録紙Pを排出ローラー16を通じて排紙トレイ17に排出させる。
【0015】
また、記録紙Pの裏面にも原稿の画像を記録する場合、記録紙Pを排紙トレイ17手前の排出ローラー16へと搬送し、排出ローラー16を一旦停止させてから逆回転させて、記録紙Pを逆方向に搬送させるというスイッチバック搬送を行うと共に、第1搬送路8と第2搬送路9の分岐位置に設けられている切換えガイド18の位置を切換えて、記録紙Pを排出ローラー16から第2搬送路9へと導き、記録紙Pを、第2搬送路9を通じて第1搬送路8に戻して、記録紙Pの表裏を反転させ、画像形成部12により記録紙Pの裏面に原稿の画像を形成させ、記録紙Pを、排出ローラー16を通じて排紙トレイ17に排出させる。
【0016】
図2(A)、(B)は、本実施形態の用紙搬送装置20における排出ローラー16及び切換えガイド18の周辺を拡大して示す側面図である。
図2(A)、(B)に示すように切換えガイド18は、排出ローラー16と平行な軸21(特許請求の範囲における第1軸)により回転自在に支持され、第1搬送位置HS1又は第2搬送位置HS2に切換えられて位置決めされる。切換えガイド18が第1搬送位置HS1に位置決めされている状態では、記録紙が、定着装置15(
図1に示す)から第1搬送路8を通じて排出ローラー16へと搬送され、排出ローラー16から排紙トレイ17(
図1に示す)に排出される。
【0017】
上記のスイッチバック搬送が行われる場合、排出ローラー16による記録紙の搬送途中で記録紙の後端が切換えガイド18を通過した後、排出ローラー16が記録紙をニップしているときに排出ローラー16が一旦停止され、切換えガイド18が第1搬送位置HS1から第2搬送位置HS2に切換えられ、排出ローラー16が逆回転される。記録紙は、排出ローラー16によりそりまでの搬送方向とは逆方向に搬送され、第1搬送路8と第2搬送路9の分岐位置で切換えガイド18により第2搬送路9へと導かれる。そして、記録紙が第2搬送路9を通じて第1搬送路8に戻されて、記録紙の表裏が反転される。
【0018】
図2(A)、(B)に示すように切換えガイド18及び軸21の周辺には、第1リンク部材24、用紙検知部材25、従動回転部材26、センサー27、及び第2リンク部材28などが設けられている。用紙検知部材25は、軸21と平行な軸22(特許請求の範囲における第2軸)により回転自在に支持され、第1搬送路8を通じて搬送される記録紙を検出するために設けられている。この用紙検知部材25は、第1搬送路8側に突出して、その先端部が第1搬送路8の壁に形成された凹所に侵入している。
【0019】
従動回転部材26は、軸21と平行な軸23(特許請求の範囲における第3軸)により回転自在に支持されている。従動回転部材26は、軸23により回転自在に支持される軸受け部26A、軸受け部26Aに接続固定された接触アーム26Bと揺動アーム26C、及び揺動アーム26Cの下端で内向きに折り曲げられて突出した被検知片26Dを有する。接触アーム26B及び揺動アーム26Cは、軸受け部26Aの箇所で屈曲された形状を有する。
【0020】
センサー27は、発光素子27Aと受光素子27Bを上下方向に対向配置した光学センサーであり、発光素子27Aと受光素子27Bの間に侵入する揺動アーム26Cの下端の被検知片26Dを検出する。
【0021】
切換えガイド18を支持する軸21は、用紙搬送装置20の内部のフレーム31により回転自在に支持されている。同様に、用紙検知部材25を支持する軸22は、用紙搬送装置20の内部のフレーム31により回転自在に支持されている。また、従動回転部材26を支持する軸23は、用紙搬送装置20の筐体の内壁(図示せず)から内側に突出して従動回転部材26の軸受け部26Aに挿し込まれ、従動回転部材26を軸23周りに回転自在に支持している。
【0022】
図3は、切換えガイド18及び軸21などを示す斜視図である。
図3に示すように複数の切換えガイド18が記録紙の幅方向に離間して設けられ、各切換えガイド18が軸21に固定されている。また、軸21の一端には、該軸21と直交する方向に突出した第1リンク部材24が固定されている。第1リンク部材24は、軸21から広がる扇型であり、その扇形の外周に滑らかな弧を描く摺接面24Aを有している。軸21が往復回転されると、各切換えガイド18及び第1リンク部材24が軸21を中心にして一体的に往復回転され、各切換えガイド18が第1搬送位置HS1又は第2搬送位置HS2に切換えられる。
【0023】
図4(A)、(B)は、各切換えガイド18及び第1リンク部材24を、軸21を中心にして往復回転させるための機構の一例を示す図である。
図4(A)、(B)に示すように軸21の一端に対して該軸21と直交する方向に案内部材33を接続して固定し、ソレノイド34のプランジャー35の先端に設けられたピン36を案内部材33の溝に挿入する。また、バネ(図示せず)により案内部材33を、軸21を中心にして時計回り方向に付勢する。ソレノイド34が消勢されているときには、そのバネにより案内部材33が時計回り方向に付勢されて、プランジャー35が案内部材33に追従してソレノイド34から突出し、同時に各切換えガイド18及び第1リンク部材24が時計回り方向に回転して、各切換えガイド18が第1搬送位置HS1に位置決めされる。
【0024】
また、ソレノイド34が付勢されて駆動されると、ソレノイド34がそのバネの付勢力に抗してプランジャー35を引込み、案内部材33がプランジャー35に追従して反時計回り方向に回転され、同時に各切換えガイド18及び第1リンク部材24が反時計回り方向に回転して、各切換えガイド18が第2搬送位置HS2に位置決めされる。
【0025】
図5は、用紙検知部材25及び軸22などを示す斜視図である。
図5に示すように用紙検知部材25は、軸22の一端から離間した該軸22の部位に接続され、
図3に示す各切換えガイド18を支持する軸21のほぼ中央で各切換えガイド18の間から第1搬送路8側に突出する。軸22の一端には、該軸22と直交する方向に突出した第2リンク部材28及びストッパー29が固定され、第2リンク部材28が上方向に突出し、ストッパー29が用紙検知部材25とは反対方向に突出し、第2リンク部材28とストッパー29が互いに略90°異なる方向に向けられている。第2リンク部材28は、棒型であり、その棒型の側面に滑らかな弧を描く摺接面28Aを有している。用紙検知部材25が軸22を中心にして往復回転されると、用紙検知部材25、第2リンク部材28、及びストッパー29が一体的に往復回転される。
【0026】
図6(A)、(B)は、従動回転部材26を正面側から見て示す斜視図及び従動回転部材26を背面側から見て示す斜視図である。
図6(A)、(B)に示すように従動回転部材26は、軸受け部26A、接触アーム26B、揺動アーム26C、及び揺動アーム26Cの下端から内向きに突出した被検知片26Dを有する。接触アーム26Bは、軸21の一端に固定された第1リンク部材24の摺接面24Aに接触する下方に向く平滑面26Eを有している。また、接触アーム26Bは、軸22の一端に固定された第2リンク部材28の摺接面28Aに接触する下方に向く屈曲斜面26Fを有している。
【0027】
図2(A)、(B)に示すように軸21の一端に固定された第1リンク部材24と軸22の一端に固定された第2リンク部材28が内側と外側に位置し、すなわち、第1リンク部材24の摺接面24Aに接触する接触アーム26Bの平滑面26Eが外側に位置し、第2リンク部材28の摺接面28Aに接触する接触アーム26Bの屈曲斜面26Fが内側に位置し、平滑面26Eと摺接面28Aが外側と内側で隣り合う。
【0028】
図7(A)、(B)は、各切換えガイド18が第1搬送位置HS1に移動され、記録紙が第1搬送路8を通じて搬送されていない状態での第1リンク部材24、用紙検知部材25、従動回転部材26、センサー27、及び第2リンク部材28を示す側面図、その状態での第1リンク部材24、用紙検知部材25、従動回転部材26、センサー27、及び第2リンク部材28を模式的に示す側面図である。
【0029】
図4(A)に示すようにソレノイド34が消勢されている場合、
図7(A)、(B)に示すように各切換えガイド18及び第1リンク部材24が軸21を中心にして時計回り方向に回転して、各切換えガイド18が第1搬送位置HS1に位置決めされる。
【0030】
用紙検知部材25は、その自重により軸22を中心して反時計回り方向に付勢されて回転し、用紙検知部材25の先端部が第1搬送路8の壁に形成された凹所に侵入する。このとき、ストッパー29は、軸22を中心して反時計回り方向に回転して用紙搬送装置20の内部のフレーム31の一部31Aに当接して停止し、用紙検知部材25が略水平方向に向いて停止し、第2リンク部材28が上方向に向いて停止する。
【0031】
従動回転部材26は、その自重により軸23を中心して反時計回り方向に付勢されて回転し、従動回転部材26の接触アーム26Bの屈曲斜面26Fが第2リンク部材28の摺接面28Aに当接して、従動回転部材26が停止する。このとき、従動回転部材26の揺動アーム26Cが下方に向いて停止し、センサー27が揺動アーム26Cの被検知片26Dを検出する。
【0032】
従って、従動回転部材26の揺動アーム26Cが下方に向いて、従動回転部材26が予め設定された待機位置にあるときには、センサー27により揺動アーム26Cの下端の被検知片26Dが検出される。
【0033】
図8(A)、(B)は、各切換えガイド18が第1搬送位置HS1に移動され、記録紙が第1搬送路8を通じて搬送されている状態での第1リンク部材24、用紙検知部材25、従動回転部材26、センサー27、及び第2リンク部材28を示す側面図、その状態での第1リンク部材24、用紙検知部材25、従動回転部材26、センサー27、及び第2リンク部材28を模式的に示す側面図である。また、
図9は、
図8(A)、(B)と同じ状態で、第1リンク部材24、用紙検知部材25、従動回転部材26、センサー27、及び第2リンク部材28を背面側から見て示す側面図である。
【0034】
図4(A)に示すようにソレノイド34が消勢された状態が維持され、
図8(A)、(B)、
図9に示すように各切換えガイド18が第1搬送位置HS1に位置決めされている。
【0035】
記録紙Pが第1搬送路8を通じて搬送されて来たときには、用紙検知部材25の先端が記録紙Pに接触して押し上げられ、用紙検知部材25が軸22を中心にして時計回り方向に回転し、第2リンク部材28も時計回り方向に回転する。このとき、第2リンク部材28の摺接面28Aが従動回転部材26の接触アーム26Bの屈曲斜面26Fを右方向に押して退け、従動回転部材26が軸23を中心にして時計回り方向に回転し、従動回転部材26の揺動アーム26Cの被検知片26Dがセンサー27による検出位置から外れる。
【0036】
従って、記録紙Pが第1搬送路8を通じて搬送されている状態では、従動回転部材26が待機位置から外れた位置にあり、センサー27により揺動アーム26Cの下端の被検知片26Dが検出されない。
【0037】
図10(A)、(B)は、各切換えガイド18が第1搬送位置HS1から第2搬送位置HS2に移動された状態での第1リンク部材24、用紙検知部材25、従動回転部材26、センサー27、及び第2リンク部材28を示す側面図、その状態での第1リンク部材24、用紙検知部材25、従動回転部材26、センサー27、及び第2リンク部材28を模式的に示す側面図である。
【0038】
図4(B)に示すようにソレノイド34が付勢されると、
図10(A)、(B)に示すように各切換えガイド18及び第1リンク部材24が軸21を中心にして反時計回り方向に回転して、各切換えガイド18が第2搬送位置HS2に位置決めされる。
【0039】
第1リンク部材24が反時計回り方向に回転すると、第1リンク部材24の摺接面24Aが従動回転部材26の接触アーム26Bの平滑面26Eを右方向に押して退け、従動回転部材26が軸23を中心にして時計回り方向に回転し、従動回転部材26の揺動アーム26Cの被検知片26Dがセンサー27による検出位置から外れる。
【0040】
従って、各切換えガイド18が第1搬送位置HS1から第2搬送位置HS2に移動された状態では、従動回転部材26が待機位置から外れた位置にあり、センサー27により揺動アーム26Cの下端の被検知片26Dが検出されない。
【0041】
すなわち、
図7(A)、(B)に示すように各切換えガイド18が第1搬送位置HS1に移動され、記録紙が第1搬送路8を通じて搬送されていない状態では、従動回転部材26が待機位置にあり、センサー27により揺動アーム26Cの下端の被検知片26Dが検出される。また、
図8(A)、(B)及び
図9に示すように各切換えガイド18が第1搬送位置HS1に移動され、記録紙が第1搬送路8を通じて搬送されている状態、及び
図10(A)、(B)に示すように各切換えガイド18が第2搬送位置HS2に移動された状態では、従動回転部材26が待機位置から外れた位置にあり、センサー27により揺動アーム26Cの下端の被検知片26Dが検出されない。
【0042】
図11は、用紙搬送装置20の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
図11に示すように用紙搬送装置20は、記録紙Pを第1搬送路8又は第2搬送路9を通じて搬送させる搬送部41と、ソレノイド34と、センサー27と、表示部43と、制御部44とを備えている。
【0043】
搬送部41は、第1搬送路8における各搬送ローラー、第2搬送路9における各搬送ローラー、及び排出ローラー16などを回転させるためのモーター、クラッチなどを備え、記録紙Pを第1搬送路8又は第2搬送路9を通じて搬送する。ソレノイド34は、
図4(A)、(B)に示すように各切換えガイド18及び第1リンク部材24を、軸21を中心にして反時計回り方向又は時計周り方向に回転させて、各切換えガイド18を第1搬送位置HS1又は第2搬送位置HS2に位置決めする。センサー27は、従動回転部材26の揺動アーム26Cの下端の被検知片26Dを検出し、センサー27の検出出力が、従動回転部材26が待機位置又は待機位置から外れた位置にあることを示す。
【0044】
制御部44は、搬送部41を制御して、記録紙Pを第1搬送路8又は第2搬送路9を通じて搬送させ、またソレノイド34を付勢又は消勢して、各切換えガイド18を第1搬送位置HS1又は第2搬送位置HS2に切換え、更にセンサー27の検出出力に基づき従動回転部材26が待機位置又は待機位置から外れた位置にあることを判定する。
【0045】
ここで、用紙搬送装置20による記録紙の搬送動作を適確に制御するには、第1搬送路8を通じて搬送されている記録紙の有無を検出し、ソレノイド34の付勢により各切換えガイド18が第1搬送位置HS1から第2搬送位置HS2に移動されたことを検出する必要がある。しかしながら、記録紙の有無を検出するセンサーと、各切換えガイド18の第2搬送位置HS2を検出するセンサーを個別に設けると、コストが増大する。
【0046】
そこで、本実施形態の用紙搬送装置20では、センサー27だけを設けながらも、記録紙の有無及び各切換えガイド18の第2搬送位置HS2を共に判定することを可能にしている。
【0047】
次に、第1搬送路8を通じて搬送されている記録紙Pの有無及び各切換えガイド18の第2搬送位置HS2を判定するための制御手順を、
図12に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0048】
制御部44は、
図4(A)に示すようにソレノイド34を消勢して、
図7(A)、(B)に示すように各切換えガイド18を第1搬送位置HS1に移動させ(S101)、センサー27の検出出力に基づき従動回転部材26が待機位置にあることを判定し(S102)、搬送部41を制御して、搬送部41により記録紙Pの搬送を開始させる(S103)。
【0049】
図8(A)、(B)、
図9に示すように記録紙Pが第1搬送路8を通じて搬送されると、用紙検知部材25の先端が記録紙Pに接触して押し上げられて、第2リンク部材28が用紙検知部材25と共に時計回り方向に回転し、第2リンク部材28の摺接面28Aが従動回転部材26の接触アーム26Bの屈曲斜面26Fを右方向に押して退け、従動回転部材26が時計回り方向に回転し、従動回転部材26の揺動アーム26Cがセンサー27による検出位置から外れる。
【0050】
制御部44は、記録紙Pが用紙検知部材25の先端に到達する前、センサー27の検出出力に基づき従動回転部材26が待機位置から外れていないことを判定し(S104「No」)、記録紙Pが用紙検知部材25の先端に到達して、従動回転部材26が待機位置から外れた位置に移動すると(S104「Yes」)、記録紙Pが第1搬送路8を通じて搬送されていると判定し(S105)、経過時間Tの計時を開始して(S106)、経過時間Tが規定時間t以上になったか否かを判定すると共に(S107)、センサー27の検出出力に基づき従動回転部材26が待機位置に戻ったか否かを判定する(S108)。
【0051】
規定時間tは、用紙検知部材25の先端が記録紙Pに接触して押し上げられてから元の位置に戻るまでの時間(記録紙Pが用紙検知部材25の先端の位置を通過する時間)であり、記録紙Pの長さ及び記録紙Pの搬送速度に基づき予め求められる。
【0052】
例えば、制御部44は、経過時間Tが規定時間t以上になる前に(S107「No」)、センサー27の検出出力に基づき従動回転部材26が待機位置に戻ったと判定すると(S108「Yes」)、記録紙Pが正常に搬送されて、記録紙Pの後端が用紙検知部材25の先端の位置を通過し、
図7(A)、(B)に示すように用紙検知部材25の先端が元の位置に戻ったので、記録紙Pの裏面の印刷があるか否かを判定し(S109)、記録紙Pの裏面の印刷がないと判定した場合に(S109「No」)、S103からの処理に戻る。
【0053】
また、制御部44は、従動回転部材26が待機位置に戻ったと判定することなく(S108「No」)、経過時間Tが規定時間t以上になると(S107「Yes」)、記録紙Pが正常に搬送されず、記録紙Pの後端が用紙検知部材25の先端の位置を通過せず、ジャムが発生している可能性があるので、用紙搬送装置20を停止させて、ジャムの発生を示すメッセージを表示部43に表示させ(S110)、
図12に示す制御手順を終了する。
【0054】
また、制御部44は、記録紙Pの裏面の印刷があると判定した場合(S109「Yes」)、センサー27の検出出力に基づき従動回転部材26が待機位置に戻った時点、つまり記録紙Pの後端が用紙検知部材25の先端の位置を通過した時点より予め設定された第1時間後に、搬送部41を制御して、排出ローラー16を停止させる(S111)。そして、制御部44は、
図4(B)に示すようにソレノイド34を付勢して、
図10(A)、(B)に示すように各切換えガイド18を第2搬送位置HS2に移動させる(S112)。
【0055】
このとき、第1リンク部材24が各切換えガイド18と共に反時計回り方向に回転し、第1リンク部材24の摺接面24Aが従動回転部材26の接触アーム26Bの平滑面26Eを右方向に押して退け、従動回転部材26が時計回り方向に回転し、従動回転部材26の揺動アーム26Cの被検知片26Dがセンサー27による検出位置から外れる。
【0056】
制御部44は、ソレノイド34を付勢すると同時に、センサー27の検出出力に基づき従動回転部材26が待機位置から外れた位置に移動するのを待機し(S113「No」)、従動回転部材26が待機位置から外れた位置に移動すると(S113「Yes」)、各切換えガイド18が第1搬送位置HS1から第2搬送位置HS2に移動されたことになるので、各切換えガイド18が第1搬送位置HS1から第2搬送位置HS2に移動されたと判定し、搬送部41を制御して、排出ローラー16を逆回転させ(S114)、記録紙Pを排出ローラー16から第2搬送路9へと導く。これにより、記録紙Pがスイッチバック搬送される。
【0057】
制御部44は、排出ローラー16を逆回転させてから予め定められた第2時間が経過すると、排出ローラー16を停止させ、ソレノイド34を再度消勢して、
図7(A)、(B)に示すように各切換えガイド18を第2搬送位置HS2から第1搬送位置HS1へと移動させ(S115)、センサー27の検出出力に基づき従動回転部材26が待機位置にあることを確認し、S103からの処理に戻る。
【0058】
以上説明したように本実施形態では、第1リンク部材24、用紙検知部材25、従動回転部材26、センサー27、及び第2リンク部材28などを用いて、第1搬送路8を通じて搬送されている記録紙の有無及び各切換えガイド18の第2搬送位置HS2を判定しているので、センサーの数を抑えて、コストの低減を図ることができる。
【0059】
尚、
図1乃至
図12を用いて説明した上記実施形態の構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0060】
10 画像形成装置
16 排出ローラー
18 切換えガイド
20 用紙搬送装置
21、22、23 軸
24 第1リンク部材
25 用紙検知部材
26 従動回転部材
27 センサー
28 第2リンク部材
29 ストッパー
31 フレーム
33 案内部材
34 ソレノイド
35 プランジャー
41 搬送部
43 表示部
44 制御部