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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165187
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】給紙装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20241121BHJP
   B65H 3/52 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B65H3/06 340E
B65H3/52 330D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081113
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水口 恵介
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB02
3F343GA03
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343JA01
3F343JD09
3F343JD33
3F343KB04
3F343KB05
3F343KB14
3F343LA04
3F343LA15
3F343LC11
3F343LD26
3F343MB04
3F343MB13
3F343MB14
3F343MC19
(57)【要約】
【課題】部品点数の削減及び装置の小型化を図る。
【解決手段】給紙装置20では、回転部材42が規定の回転位置にあるときに、第1フォロア46が第1カム51の周面に形成されている凹面51Bに接して第1支持部31の待機位置が保持され、かつ第2フォロア47が第2カム52の周面に形成されている凹面52Bに接して第2支持部32の待機位置が保持され、また回転部材42が回転されると、第1フォロア46が第1カム51の凹面51Bから外れて、第1支持部31が軸24A回りに揺動し、ピックアップローラー23が記録紙Pに接し、かつ第2フォロア47が第2カム52の凹面52Bから外れて、第2支持部32が軸39回りに揺動し、リタードローラー25がフィードローラー24に接する。
【選択図】図11A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の用紙が積載される用紙台と、
前記各用紙を前記用紙台から1枚ずつ引出すピックアップローラーと、
前記ピックアップローラーにより引き出された前記用紙を搬送するフィードローラーと、
前記ピックアップローラーを支持すると共に、前記ピックアップローラーよりも前記用紙の引き出し方向の下流側で前記フィードローラーを支持し、前記フィードローラーを回転自在に支持する第1軸を中心にして揺動する第1支持部と、
前記フィードローラーに対して接離されるリタードローラーと、
前記リタードローラーを支持し、前記リタードローラーの軸から離間した第2軸を中心にして揺動する第2支持部と、
前記フィードローラーの第1軸を回転させる駆動部と、
前記第1軸から伝達された回転駆動力により、該第1軸と平行な軸を中心にして回転される回転部材と、
前記回転部材に設けられ、前記回転部材と共に回転する第1カム及び第2カムと、
前記第1支持部に設けられ、前記第1カムの周面に摺接して前記第1支持部を前記第1軸回りに揺動させる第1フォロアと、
前記第2支持部に設けられ、前記第2カムの周面に摺接して前記第2支持部を前記第2軸回りに揺動させる第2フォロアと、を備え、
前記回転部材が規定の回転角度に回転されているときに、前記第1フォロアが前記第1カムの周面に形成されている凹面に接して前記第1支持部の待機位置が保持され、かつ前記第2フォロアが前記第2カムの周面に形成されている凹面に接して前記第2支持部の待機位置が保持される構成を備える給紙装置。
【請求項2】
前記第1支持部を付勢して前記第1軸回りに揺動させ、前記ピックアップローラーを前記用紙台上の用紙に接近する方向に移動させる第1付勢部材と、
前記第2支持部を付勢して前記第2軸回りに揺動させ、前記リタードローラーを前記フィードローラーに接近する方向に移動させる第2付勢部材と、を備える請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記回転部材が規定の回転角度に回転されて、前記第1フォロアが前記第1カムの周面に形成されている凹面に接して前記第1支持部の待機位置が保持され、かつ前記第2フォロアが前記第2カムの周面に形成されている凹面に接して前記第2支持部の待機位置が保持されているときには、前記待機位置の第1支持部により支持されている前記ピックアップローラーが前記用紙台上の用紙から離間し、前記待機位置の前記第2支持部により支持されている前記リタードローラーが前記フィードローラーから離間する構成とされている請求項1又は請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記回転部材が前記規定の回転角度から回転し、前記第1フォロアが前記第1カムの凹面から外れたときに、前記第1支持部が前記第1軸回りに揺動して、前記第1支持部により支持されている前記ピックアップローラーが前記用紙台上の用紙に接し、前記第2フォロアが前記第2カムの凹面から外れて、前記第2支持部が前記第2軸回りに揺動し、前記第2支持部により支持されている前記リタードローラーが前記フィードローラーに接する構成とされる請求項1又は請求項2に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記第2支持部は、前記リタードローラーを前記フィードローラーに対して接離する方向に規定の移動範囲で移動自在に支持する請求項1又は請求項2に記載の給紙装置。
【請求項6】
請求項1に記載の給紙装置と、
前記給紙装置から供給された記録紙に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の用紙を用紙台に積載収容して、各用紙を用紙台から順次引き出して供給する給紙装置及びそれを備える画像形成装置に関し、特に用紙を用紙台から引き出すための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、記録紙を供給する給紙装置と、この供給された記録紙に画像を形成する画像形成部とを備えている。給紙装置としては、ピックアップローラーを給紙トレイ上の最上層の記録紙に押し当て、ピックアップローラーを回転させて、その最上層の記録紙を引出し、フィードローラーによりその引き出された記録紙を搬送して供給し、またリタードローラーをフィードローラーに押し付けて、フィードローラーにより搬送される記録紙の重送を防止するという構成のものがある。
【0003】
また、特許文献1に記載のシート給紙装置では、積載された複数のシート材を順次引き出して搬送する給送ローラー、各シート材の先端の位置を規制する戻しレバー、給送ローラーに連動するASFコントロールギア、及びASFコントロールギアに設けられたレバー制御カムなどを備え、ASFコントロールギアをレバー制御カムと共に給紙ローラーに連動して回転させて、レバー制御カムにより戻しレバーの回転角度を切換え、戻しレバーを第1のポジション、第2のポジション、又は第3のポジションに位置決めしている。第1のポジションの戻しレバーは、シート材セット時に、シート材先端が不用意に給送装置の奥まで入り込んでしまうのを防止する。第2のポジションの戻しレバーは、新たに積載されたシート材の先端を所定のシート材先端基準部まで戻す。第3のポジションの戻しレバーは、シート材の分離動作や搬送動作を妨げないように退避する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-26349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記のように給紙装置として、ピックアップローラー、フィードローラー、及びリタードローラーを備えるものがある。この給紙装置では、ピックアップローラーを最上層の記録紙に押し当て、またリタードローラーをフィードローラーに押し付けるために、ピックアップローラー及びリタードローラーをそれぞれ移動させたり停止させたりする必要がある。
【0006】
しかしながら、ピックアップローラー及びリタードローラーのそれぞれに、特許文献1のようにレバー、ギア、カムなどを設け、これらのローラーをそれぞれ移動させたり停止させたりする構成では、部品点数が増大し、多くの部品を配置するスペースが必要となり、装置の大型化を招く。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、ピックアップローラー及びリタードローラーの移動及び停止に係る構成を簡単化して、部品点数の削減及び装置の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る給紙装置は、複数の用紙が積載される用紙台と、前記各用紙を前記用紙台から1枚ずつ引出すピックアップローラーと、前記ピックアップローラーにより引き出された前記用紙を搬送するフィードローラーと、前記ピックアップローラーを支持すると共に、前記ピックアップローラーよりも前記用紙の引き出し方向の下流側で前記フィードローラーを支持し、前記フィードローラーを回転自在に支持する第1軸を中心にして揺動する第1支持部と、前記フィードローラーに対して接離されるリタードローラーと、前記リタードローラーを支持し、前記リタードローラーの軸から離間した第2軸を中心にして揺動する第2支持部と、前記フィードローラーの第1軸を回転させる駆動部と、前記第1軸から伝達された回転駆動力により、該第1軸と平行な軸を中心にして回転される回転部材と、前記回転部材に設けられ、前記回転部材と共に回転する第1カム及び第2カムと、前記第1支持部に設けられ、前記第1カムの周面に摺接して前記第1支持部を前記第1軸回りに揺動させる第1フォロアと、前記第2支持部に設けられ、前記第2カムの周面に摺接して前記第2支持部を前記第2軸回りに揺動させる第2フォロアと、を備え、前記回転部材が規定の回転角度に回転されているときに、前記第1フォロアが前記第1カムの周面に形成されている凹面に接して前記第1支持部の待機位置が保持され、かつ前記第2フォロアが前記第2カムの周面に形成されている凹面に接して前記第2支持部の待機位置が保持される構成を備えるものである。
【0009】
また、本発明の一局面に係る画像形成装置は、上記本発明の局面に係る給紙装置と、前記給紙装置から供給された記録紙に画像を形成する画像形成部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ピックアップローラー及びリタードローラーの移動及び停止に係る構成を簡単化して、部品点数の削減及び装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明にかかる一実施形態の給紙装置が適用された画像形成装置を示す断面図である。
図2】(A)、(B)は、本実施形態の給紙装置を側方から見て概略的に示す断面図であり、ピックアップローラー、フィードローラー、及びリタードローラーの動作を説明するために用いた図である。
図3】ピックアップローラー、フィードローラー、及びリタードローラーを給紙カセット側から見て示す斜視図である。
図4】ピックアップローラーが給紙トレイ上の最上層の記録紙から離間され、リタードローラーがフィードローラーから離間された状態を示す断面図である。
図5】(A)、(B)は、図4に示す状態でのピックアップローラー、フィードローラー、第1支持部、リタードローラー、第2支持部、及び回転部材などを給紙カセット側から見て示す斜視図及び給紙カセットとは反対側から見て示す斜視図である。
図6】ピックアップローラーが給紙トレイ上の最上層の記録紙に圧接され、リタードローラーがフィードローラーに押し付けられた状態を示す断面図である。
図7】(A)、(B)は、図6に示す状態でのピックアップローラー、フィードローラー、第1支持部、リタードローラー、第2支持部、及び回転部材などを給紙カセット側から見て示す斜視図及び給紙カセットとは反対側から見て示す斜視図である。
図8図4に示す状態での回転部材、第1フォロア、第2フォロア、第1カム、及び第2カムなどを示す側面図である。
図9】回転部材、第1カム、及び第2カムを示す平面図である。
図10】(A)は、回転部材、第1カム、及び第2カムを示す斜視図であり、(B)は、第1カム及び第2カムが設けられていない回転部材の裏側を示す斜視図である。
図11A】ピックアップローラー、フィードローラー、リタードローラー、及び回転部材などの動作を示す模式図である。
図11B】ピックアップローラー、フィードローラー、リタードローラー、及び回転部材などの動作を示す模式図である。
図11C】ピックアップローラー、フィードローラー、リタードローラー、及び回転部材などの動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。以下において、回転方向、或いは、左右上下方向を示す場合があるが、これらは、特に明言しない限り、各図面における一例としての方向を示す。
【0013】
図1は、本発明にかかる一実施形態の給紙装置が適用された画像形成装置を示す断面図である。図1に示すように本実施形態の画像形成装置10は、画像読取部11及び画像形成部12を備えている。
【0014】
画像読取部11は、原稿の画像を光学的に読み取る撮像素子(CCDセンサー、コンタクトイメージセンサー)を有しており、この撮像素子のアナログ出力がデジタル信号に変換されて、原稿の画像を示す画像データが生成される。
【0015】
画像形成部12は、上記画像データによって示される画像を記録紙に印刷するものであり、マゼンタ用の画像形成ユニット3M、シアン用の画像形成ユニット3C、イエロー用の画像形成ユニット3Y、及びブラック用の画像形成ユニット3Bkを備えている。各画像形成ユニット3M、3C、3Y、及び3Bkのいずれにおいても、感光体ドラム4の表面を均一帯電させ、感光体ドラム4の表面を露光して、感光体ドラム4の表面に静電潜像を形成し、感光体ドラム4の表面の静電潜像をトナー像に現像して、感光体ドラム4の表面のトナー像を、中間転写ベルト5に転写する。これにより、カラーのトナー像が中間転写ベルト5上に形成される。このカラーのトナー像は、中間転写ベルト5と2次転写ローラー6の間のニップ域Nにおいて給紙装置20から搬送路8を通じて搬送されてきた記録紙Pに2次転写される。
【0016】
この後、定着部15で記録紙Pを加熱及び加圧させて、記録紙P上のトナー像を熱圧着により定着させ、更に記録紙Pを排出ローラー16を通じて排紙トレイ17に排出させる。
【0017】
図2(A)、(B)は、本実施形態の給紙装置20を側方から見て概略的に示す断面図である。図2(A)、(B)に示すように給紙装置20の給紙カセット21には、複数の記録紙Pが積載される給紙トレイ22、及び給紙トレイ22の先端側を昇降させる昇降部26などが設けられている。
【0018】
また、給紙カセット21の一端外側には、記録紙Pを給紙トレイ22から引き出すピックアップローラー23、記録紙Pを搬送するフィードローラー24、フィードローラー24の周面下側に接するリタードローラー25などが設けられている。
【0019】
給紙トレイ22の後端が軸22Aを中心にして回転自在に支持され、昇降部26により給紙トレイ22の先端側が昇降するようにされている。昇降部26は、昇降モーター27と、ギアユニット28と、昇降アーム29とを備えている。昇降モーター27が回転駆動されて、この回転がギアユニット28を通じて昇降アーム29に伝達され、昇降アーム29がその軸29Aを中心にして回転される。
【0020】
昇降アーム29がその軸29Aを中心にして反時計回り方向に回転されると、昇降アーム29の先端により給紙トレイ22が押上げられ、給紙トレイ22が軸22Aを中心にして反時計回り方向に回転して、給紙トレイ22の先端側が上昇されてピックアップローラー23に接近する。
【0021】
また、昇降アーム29がその軸29Aを中心にして時計回り方向に回転されると、給紙トレイ22が昇降アーム29の先端に追従しつつ軸22Aを中心にして時計周り方向に自重で回転し、給紙トレイ22の先端側が下降して行く。これにより、給紙トレイ22がピックアップローラー23から離間して、複数の記録紙Pを給紙トレイ22に積載することが可能な状態となる。
【0022】
ピックアップローラー23の軸23A及びフィードローラー24の軸24Aは、第1支持部31により回転自在に支持されている。また、ギア35の軸(図示せず)も第1支持部31により回転自在に支持されている。ピックアップローラー23の軸23Aにギア36が固定され、フィードローラー24の軸24Aにギア37が固定され、各ギア36、37にギア35が歯合されている。フィードローラー24の軸24Aが反時計回り方向に回転駆動されて、フィードローラー24及びギア37が反時計回り方向に回転し、ギア37の回転がギア35を通じてギア36に伝達され、ギア36及びピックアップローラー23がフィードローラー24と同様に反時計回り方向に回転する。
【0023】
また、第1支持部31は、ピックアップローラー23の軸23A(特許請求の範囲における第1軸の一例)を中心にして揺動自在に支持され、第1付勢部材(図示せず)により矢印方向Aに付勢されている。
【0024】
リタードローラー25の軸25Aは、支持部32により回転自在に支持されている。第2支持部32は、リタードローラー25の軸25Aから離間した軸39(特許請求の範囲における第2軸の一例)を中心して揺動自在に支持され、第2付勢部材(図示せず)により矢印方向Cに付勢されている。
【0025】
図2(A)に示すように第1支持部31が第1付勢部材の付勢力に抗して軸23A周りで矢印方向Aとは反対方向に揺動して、ピックアップローラー23が給紙トレイ22上の最上層の記録紙Pから離間され、同時に第2支持部32が第2付勢部材の付勢力に抗して軸39周りで矢印方向Cとは反対方向に揺動して、リタードローラー25がフィードローラー24から離間される。この状態では、給紙トレイ22から記録紙Pが引き出されることはない。
【0026】
図2(B)に示すように第1付勢部材の付勢力により第1支持部31が軸23A周りで矢印方向Aに揺動すると、ピックアップローラー23も軸23A周りで矢印方向Aに付勢され、ピックアップローラー23が給紙トレイ22上の最上層の記録紙Pに圧接される。同時に、第2付勢部材の付勢力により第2支持部32が軸39周りで矢印方向Cに揺動すると、リタードローラー25も軸39周りで矢印方向Cに付勢され、リタードローラー25がフィードローラー24に押し付けられる。
【0027】
図2(B)に示すようにピックアップローラー23が給紙トレイ22上の最上層の記録紙Pに圧接され、リタードローラー25がフィードローラー24に押し付けられた状態で、ピックアップローラー23及びフィードローラー24が反時計周り方向に回転し、ピックアップローラー23により給紙トレイ22上の最上層の記録紙Pが引き出され、この記録紙Pがフィードローラー24とリタードローラー25の間を通じて搬送される。リタードローラー25は、フィードローラー24により搬送される記録紙の重送を防止する機能を果たす。
【0028】
次に、本実施形態の給紙装置20におけるピックアップローラー23、フィードローラー24、及びリタードローラー25の周辺の構成及び動作について詳しく説明する。
【0029】
給紙装置20では、給紙トレイ22上の最上層の記録紙Pに対してピックアップローラー23を離間させたり圧接させ、またフィードローラー24に対してリタードローラー25を離間させたり押し付ける必要があるので、図3乃至図11A図11Cに示すようなピックアップローラー23及びリタードローラー25の移動及び停止に係る構成を発案して、部品点数の削減及び装置の小型化を図る。
【0030】
図3は、ピックアップローラー23、フィードローラー24、及びリタードローラー25を給紙カセット21(図3に示さず)側から見て示す斜視図である。図3に示すようにピックアップローラー23、フィードローラー24、及びリタードローラー25は、記録紙Pの幅方向の中央に配置されている。ピックアップローラー23の軸23A及びフィードローラー24の軸24Aは、第1支持部31により回転自在に支持されている。また、軸24Aは、給紙装置20のフレーム41により支持され、第1支持部31を該軸24A周りに揺動自在に支持する。フィードローラー24の下側には、リタードローラー25が配置されている。
【0031】
第1支持部31は、給紙カセット21の幅の半分の長さを少なくとも有し、給紙カセット21の幅方向の片側から中央付近まで延設されている。
【0032】
軸24Aの一端側には、第1支持部31及び第2支持部32を揺動させるための2のカムと共に回転する回転部材42が設けられている。
【0033】
図4は、ピックアップローラー23が給紙トレイ22上の最上層の記録紙Pから離間され、リタードローラー25がフィードローラー24から離間された状態を示す断面図である。また、図5(A)、(B)は、同状態でのピックアップローラー23、フィードローラー24、第1支持部31、リタードローラー25、第2支持部32、及び回転部材42などを給紙カセット21(図5に示さず)側から見て示す斜視図及び給紙カセット21とは反対側から見て示す斜視図である。
【0034】
図4図5(A)、(B)に示すように第1支持部31の一端側に、ピックアップローラー23及びフィードローラー24を収容し、ピックアップローラー23の軸23A及びフィードローラー24の軸24Aを回転自在に支持する枠体31Aが設けられている。
【0035】
上記のように第1支持部31は、給紙カセット21の幅方向の片側から中央付近まで延設されている。フィードローラー24の軸24Aは、第1支持部31よりも僅かに長く、第1支持部31の他端側に設けられた軸受け31Bに通されて突出し、この突出した軸24Aの一端に小ギア43が嵌合されている。フィードローラー24及び第1支持部31の軸24Aは、給紙装置20のフレーム41により支持されている。
【0036】
軸受け31Bから突出た軸24Aの一端にはキー44が設けられ、小ギア43の孔の内側にはキー44に嵌合するキー溝が形成され、軸24Aのキー44と小ギア43のキー溝の嵌合により小ギア43から軸24Aへと回転駆動力が伝達され、また小ギア43が軸24Aに沿って移動自在に支持されている。
【0037】
第1支持部31の上部の一端付近には、凹所31Cが形成されている。この凹所31Cには、給紙装置20のフレーム41に設けられた第1バネ(特許請求の範囲における第1付勢部材に対応する)が圧縮された状態で挿入され、この第1バネにより第1支持部31が軸24A周りで矢印方向Aに付勢されている。
【0038】
第1支持部31の底部の一端には、第1フォロア46が下向きに突設されている。上記のように第1バネにより第1支持部31が軸24A周りで矢印方向Aに付勢されると、第1支持部31及びピックアップローラー23が軸24A周りに揺動し、第1フォロア46の周面46Aが回転部材42に設けられている一方の第1カム51の周面51Aに当接し、第1支持部31及びピックアップローラー23の揺動位置が規制される。
【0039】
第2支持部32は、第1支持部31と同様に、給紙カセット21の幅方向の片側から中央付近まで延設されている。
【0040】
第2支持部32の一端側に、リタードローラー25を収容し、リタードローラー25の軸25Aを回転自在に支持する枠体32Aが設けられている。
【0041】
第2支持部32は、リタードローラー25の軸25Aから離間した軸39を中心にして揺動自在に支持されている。第2支持部32の軸39は、給紙装置20のフレーム41により支持されている。
【0042】
また、枠体32Aは、リタードローラー25の軸25Aを回転自在に支持するだけではなく、軸25Aをフィードローラー24に対して接離する方向に規定の移動範囲で移動自在に支持するガイド溝48を有している。枠体32Aの底部には、凹所32Cが形成されている。この凹所32Cには、給紙装置20のフレーム41に設けられた第2バネ(特許請求の範囲における第2付勢部材に対応する)が圧縮された状態で挿入され、この第2バネによりリタードローラー25の軸25Aが枠体32Aからフィードローラー24に接近する方向に付勢され、同時に第2バネにより第2支持部32が軸39周りで矢印方向Cに付勢されている。
【0043】
第2支持部32の一端側壁には、第2フォロア47(図8に示す)が設けられている。上記のように第2バネにより第1支持部32が軸39周りで矢印方向Cに付勢されると、第2支持部32及びリタードローラー25が軸39周りに揺動し、第2フォロア47の周面47Aが回転部材42に設けられている他方の第2カム52の周面52Aに当接して、第2支持部32及びリタードローラー25の揺動位置が規制される。
【0044】
回転部材42は、第1支持部31及び第2支持部32の一端外側に設けられて、回転自在に支持されている。回転部材42の外周には、大ギア53が形成されている。大ギア53は、外周内側の歯無し領域53Aを有している。
【0045】
小ギア43には、駆動モーター(図示せず、特許請求の範囲における駆動部に対応する)の回転駆動力が伝達され、小ギア43及び軸24Aが回転駆動される。小ギア43が大ギア53の外周外側に歯合している状態では、軸24Aが回転駆動されて、軸24Aに嵌合された小ギア43が回転すると、小ギア43の回転が大ギア53に伝達されて、大ギア53及び回転部材42が矢印方向Eに回転し、第1カム51及び第2カム52も回転し、またフィードローラー24が軸24Aと共に回転し、ピックアップローラー23も回転する。
【0046】
大ギア53及び回転部材42の回転に伴い、小ギア43が大ギア53の外周内側の歯無し領域53Aに到達し、小ギア43が大ギア53の外周内側の歯無し領域53Aに移動されると、小ギア43の回転が大ギア53に伝達されず、大ギア53及び回転部材42が停止し、第1カム51及び第2カム52も停止するものの、軸24Aが小ギア43と共に回転し続け、フィードローラー24及びピックアップローラー23の回転が継続される。
【0047】
図6は、ピックアップローラー23が給紙トレイ22上の最上層の記録紙Pに圧接され、リタードローラー25がフィードローラー24に押し付けられた状態を示す断面図である。また、図7(A)、(B)は、同状態でのピックアップローラー23、フィードローラー24、第1支持部31、リタードローラー25、第2支持部32、及び回転部材42などを給紙カセット21(図7に示さず)側から見て示す斜視図及び給紙カセット21とは反対側から見て示す斜視図である。
【0048】
図6図7(A)、(B)に示すように大ギア53及び回転部材42が矢印方向Eに回転して、第1カム51及び第2カム52も矢印方向Eに回転すると、第1バネにより第1支持部31が軸24A周りで矢印方向Aに付勢されていることから、第1支持部31の第1フォロア46の周面46Aが回転部材42の第1カム51の周面51Aに追従して移動し、第1支持部31及びピックアップローラー23が軸24A周りで揺動し、ピックアップローラー23が給紙トレイ22上の最上層の記録紙Pに圧接される。
【0049】
また、第2バネにより第2支持部32が軸39周りで矢印方向Cに付勢されていることから、第2支持部32の第2フォロア47の周面47Aが回転部材42の第2カム52の周面52Aに追従して移動し、第2支持部32及びリタードローラー25が軸39周りで揺動し、リタードローラー25がフィードローラー24に接近する。第2フォロア47及び第2カム52は、第2支持部32の矢印方向Cの揺動位置を制限する。そして、第2バネがリタードローラー25の軸25Aをフィードローラー24に接近する方向に付勢してガイド溝48に沿って移動させ、リタードローラー25がフィードローラー24に押し付けられる。
【0050】
図8は、図4図5(A)、(B)に示すようにピックアップローラー23が給紙トレイ22上の最上層の記録紙Pから離間され、リタードローラー25がフィードローラー24から離間された状態での回転部材42、第1フォロア46、第2フォロア47、第1カム51、及び第2カム52などを示す側面図である。図8に示すように回転部材42には、第1カム51及び第2カム52が重ねて設けられて一体的に支持され、回転部材42の回転中心、第1カム51の回転中心、及び第2カム52の回転中心が重なり合う。
【0051】
図8に示すように回転部材42が規定の回転角度に回転されているときに、第1バネにより第1支持部31が軸24A周りで矢印方向Aに付勢されて、第1支持部31の第1フォロア46の周面46Aが第1カム51の周面51Aの凹面51Bに接する。同時に、第2バネにより第2支持部32が軸39周りで矢印方向Cに付勢されて、第2支持部32の第2フォロア47の周面47Aが第2カム52の周面52Aの凹面52Bに接する。
【0052】
第1支持部31の第1フォロア46の周面46Aが第1カム51の凹面51Bに接した状態では、第1フォロア46の周面46Aが第1カム51の凹面51Bからずれ難いので、第1支持部31のピックアップローラー23が給紙トレイ22上の最上層の記録紙Pから離間された状態での第1支持部31並びにピックアップローラー23の待機位置が安定的に保持される。
【0053】
また、第2支持部32の第2フォロア47の周面47Aが第2カム52の凹面52Bに接した状態では、第2フォロア47の周面47Aが第2カム52の凹面52Bからずれ難いので、第2支持部32のリタードローラー25がフィードローラー24から離間された状態での第2支持部32並びにリタードローラー25の待機位置が安定的に保持される。
【0054】
図9は、回転部材42、第1カム51、及び第2カム52を示す平面図である。図10(A)は、回転部材42、第1カム51、及び第2カム52を示す斜視図であり、図10(B)は、第1カム51及び第2カム52が設けられていない回転部材42の裏側を示す斜視図である。
【0055】
図9図10(A)、(B)に示すように回転部材42の中心に軸42Aが設けられ、この軸42Aが給紙装置20のフレーム41により回転自在に支持されている。また、回転部材42の外周に大ギア53が形成され、この大ギア53の外周内側に歯無し領域53Aが設けられている。
【0056】
上記のように小ギア43が軸24Aに沿って移動自在に支持されており、図示されない機構により小ギア43が軸24Aに沿って移動される。小ギア43が大ギア53の外周外側に移動されて歯合している状態で、第1支持部31の軸24Aが回転駆動されると、軸24Aに嵌合された小ギア43が回転し、小ギア43の回転が大ギア53に伝達されて、大ギア53、回転部材42、第1カム51、及び第2カム52が矢印方向Eに回転する。
【0057】
大ギア53が矢印方向Eに回転して、小ギア43が大ギア53の外周内側の歯無し領域53Aに到達し、小ギア43が大ギア53の外周内側の歯無し領域53Aに移動されると、小ギア43が大ギア53に歯合せず、小ギア43の回転が大ギア53に伝達されず、大ギア53、回転部材42、第1カム51、及び第2カム52が停止し、また軸24Aが小ギア43と共に回転し続け、フィードローラー24及びピックアップローラー23の回転が継続される。
【0058】
小ギア43が大ギア53の外周外側に再び移動されて歯合されると、小ギア43の回転が大ギア53に伝達されて、大ギア53、回転部材42、第1カム51、及び第2カム52が矢印方向Eに再び回転する。
【0059】
図11A図11Cは、ピックアップローラー23、フィードローラー24、リタードローラー25、及び回転部材42などの動作を示す模式図である。
【0060】
図11Aに示すように回転部材42が規定の回転角度に回転されているときに、第1バネにより第1支持部31が軸24Aを中心にして矢印方向Aに付勢されて、第1支持部31の第1フォロア46の周面46Aが第1カム51の周面51Aの凹面51Bに接し、第1支持部31のピックアップローラー23が最上層の記録紙Pから離間された状態で、第1支持部31並びにピックアップローラー23の待機位置が安定的に保持される。
【0061】
また、第2バネにより第2支持部32が軸39を中心にして矢印方向Cに付勢されて、第2支持部32の第2フォロア47の周面47Aが第2カム52の周面52Aの凹面52Bに接し、第2支持部32のリタードローラー25がフィードローラー24から離間された状態で、第2支持部32並びにリタードローラー25の待機位置が安定的に保持される。
【0062】
この状態で、小ギア43が大ギア53の外周内側の歯無し領域53Aに移動され、小ギア43が大ギア53に歯合せず、小ギア43の回転が大ギア53に伝達されず、大ギア53、回転部材42、第1カム51、及び第2カム52が停止し、また軸24Aが小ギア43と共に回転し続け、フィードローラー24及びピックアップローラー23の回転が継続される。
【0063】
上記のように小ギア43が大ギア53の外周外側に移動されると、第1支持部31の軸24Aが回転駆動され、軸24Aに嵌合された小ギア43が回転し、小ギア43の回転が大ギア53に伝達されて、大ギア53、回転部材42、第1カム51、及び第2カム52が矢印方向Eに回転する。
【0064】
図11Bに示すように第1カム51が回転して、第1支持部31の第1フォロア46の周面46Aが第1カム51の凹面51Bから外れると、第1バネにより第1支持部31が軸24Aを中心にして矢印方向Aに付勢されているので、第1支持部31並びに第1フォロア46が矢印方向Aに回転し、ピックアップローラー23が最上層の記録紙Pに圧接される。
【0065】
同時に、第2カム52が回転して、第2支持部32の第2フォロア47の周面47Aが第2カム52の凹面52Bから外れると、第2バネにより第2支持部32が軸39を中心にして矢印方向Cに付勢されているので、第2フォロア47の周面47Aが第2カム52の周面52Aに摺接しつつ、第2支持部32並びに第2フォロア47が矢印方向Cに回転し、リタードローラー25がフィードローラー24に押し付けられる。
【0066】
このとき、ピックアップローラー23により最上層の記録紙Pが引き出されて、この記録紙Pがフィードローラー24とリタードローラー25の間を通じて搬送路8(図2(A)、(B)に示す)へと搬送される。
【0067】
図11Cに示すように第1カム51が更に回転すると、第1支持部31の第1フォロア46の周面46Aが第1カム51の周面51Aに摺接して、第1支持部31並びに第1フォロア46が第1バネの付勢力に抗して矢印方向Bに回転し、第1支持部31のピックアップローラー23が最上層の記録紙Pから離間する。
【0068】
同時に、第2カム52が更に回転すると、第2支持部32の第2フォロア47の周面47Aが第2カム52の周面52Aに摺接しつつ、第2支持部32並びに第2フォロア47が第2バネの付勢力に抗して矢印方向Dに回転し、リタードローラー25がフィードローラー24から離間する。
【0069】
また、フィードローラー24は、回転し続けて、記録紙Pの搬送を継続する。
【0070】
大ギア53が矢印方向Eに更に回転して、小ギア43が大ギア53の外周内側の歯無し領域53Aに到達し、図11Aに示すように第1バネにより第1支持部31が軸24Aを中心にして矢印方向Aに付勢されて、第1支持部31の第1フォロア46の周面46Aが第1カム51の周面51Aの凹面51Bに接し、第2バネにより第2支持部32が軸39を中心にして矢印方向Cに付勢されて、第2支持部32の第2フォロア47の周面47Aが第2カム52の周面52Aの凹面52Bに接したときに、小ギア43が大ギア53の外周内側の歯無し領域53Aに移動され、小ギア43が大ギア53に歯合せず、小ギア43の回転が大ギア53に伝達されず、大ギア53、回転部材42、第1カム51、及び第2カム52が停止し、またフィードローラー24及びピックアップローラー23の回転が継続され、元の状態に戻される。
【0071】
このように本実施形態では、第1カム51及び第2カム52を回転部材42に一体的に設け、回転部材42が規定の回転位置にあるときに、第1フォロア46が第1カム51の周面に形成されている凹面51Bに接して第1支持部31並びにピックアップローラー23の待機位置が保持され、かつ第2フォロア47が第2カム52の周面に形成されている凹面52Bに接して第2支持部32並びにリタードローラー25の待機位置が保持され、また回転部材42が回転されると、第1フォロア46が第1カム51の凹面51Bから外れて、第1バネの付勢力により第1支持部31が軸24A回りに揺動し、ピックアップローラー23が記録紙Pに接し、かつ第2フォロア47が第2カム52の凹面52Bから外れて、第2バネの付勢力により第2支持部32が軸39回りに揺動し、リタードローラー25がフィードローラー24に接するように構成されているので、第1カム51及び第2カム52を別々に回転駆動する必要がなく、部品点数の削減及び装置の小型化を図ることができる。
【0072】
尚、図1乃至図11Cを用いて説明した上記実施形態の構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0073】
10 画像形成装置
11 画像読取部
12 画像形成部
20 給紙装置
21 給紙カセット
22 給紙トレイ
23 ピックアップローラー
24 フィードローラー
25 リタードローラー
31 第1支持部
32 第2支持部
42 回転部材
46 第1フォロア
47 第2フォロア
51 第1カム
52 第2カム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C