(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165188
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】給紙装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/26 20060101AFI20241121BHJP
B65H 1/28 20060101ALI20241121BHJP
B65H 3/46 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B65H1/26 312Q
B65H1/28 320A
B65H3/46 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081114
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 航希
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC10
3F343FC30
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA31
3F343HB03
3F343HC12
3F343HC28
3F343KB02
3F343KB17
3F343LA04
3F343LA15
3F343LC20
3F343LD12
3F343MA56
(57)【要約】
【課題】給紙カセット及びマルチトレイを別々に挿抜自在に設けながらも、簡単な操作で、給紙カセット及びマルチトレイを一度に引き出して外す。
【解決手段】給紙装置10においては、給紙カセット4及びマルチトレイ5を別々に挿抜自在に設け、給紙カセット4にフック22を設け、マルチトレイ5に係合部28を設けている。給紙カセット4及びマルチトレイ5が装置本体2の内側に押し入れられて収容された状態で、レバー21が操作されて、フック22がコイルバネ26の付勢力に抗して上方向に移動されると、フック22が係合部28に係合し、この状態で、給紙カセット4が引き出されると、フック22が係合部28を移動させ、マルチトレイ5が給紙カセット4と共に引き出される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して挿抜自在に設けられた給紙カセットと、
前記給紙カセットの上側に配置され、前記装置本体に対して挿抜自在に設けられたマルチトレイと、
前記給紙カセットに上下方向に移動自在に設けられたフックと、
前記給紙カセットに設けられて、前記フックを下方に付勢する付勢部材と、
前記マルチトレイに設けられて、前記給紙カセット及び前記マルチトレイが前記装置本体の内側に押し入れられて収容された状態で、前記フックが操作されて前記付勢部材の付勢力に抗して上方向に移動されたときに、前記フックに係合する係合部と、を備え、
前記フックが前記係合部に係合している状態で、前記給紙カセットが引き出されると、前記マルチトレイが前記給紙カセットと共に引き出される給紙装置。
【請求項2】
ユーザーにより操作されるレバーを備え、
前記フックが前記レバーの一端に上向きに設けられ、前記レバーの他端を操作部とし、前記レバーの中央を、水平軸を中心にして回転自在に支持し、前記付勢部材の付勢力により、前記レバーの他端を上方に移動させて、前記レバーを前記水平軸回りに回転させ、前記フックを下方に付勢する請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記給紙カセット及び前記マルチトレイが前記装置本体の内側に押し入れられて収容された状態では、前記フックが前記係合部よりも装置本体の内側に位置する請求項1又は請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記装置本体の正面側に壁部の一部として開閉扉が設けられ、
前記開閉扉は、前記壁部の下端部を前記装置本体に対して回動自在に支持され、
前記装置本体の正面側には、前記開閉扉が前記装置本体に対して回動することを可能にするためのスリットが形成され、
前記レバーの操作部は、前記開閉扉が前記装置本体の正面側に対して閉じた状態で、前記装置本体の外部に対して前記スリットを通じて露出している請求項2に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記給紙カセット又は前記マルチトレイから用紙を引き出して搬送する用紙引出部を備える請求項1又は請求項2に記載の給紙装置。
【請求項6】
表示部と、
前記マルチトレイから引き出された用紙を検出する検出部と、
前記検出部により前記用紙が検出され続けている継続時間が予め設定された規定時間以上になると、前記用紙が詰まった状態になったことを判定して、前記フックを上方に移動させて前記係合部に係合させるための該フックの操作方法を前記表示部に表示させる制御部と、を備える請求項1又は請求項2に記載の給紙装置。
【請求項7】
請求項1に記載の給紙装置と、
前記給紙装置の前記給紙カセット又は前記マルチトレイから引き出されて供給された用紙に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチトレイ及び給紙カセットを有する給紙装置及びそれを備える画像形成装置に関し、特に、マルチトレイ及び給紙カセットを一体的に引き出すための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置としては、画像が形成される記録紙を供給する給紙カセット及びマルチトレイを備え、給紙カセット及びマルチトレイを上下に重ねて配置したものがある。また、特許文献1に記載の画像形成装置では、2種類のサイズのシート材が隣り合わせに並べられて積載されるマルチサイズカセットと、マルチサイズカセットからいずれかのサイズのシート材を引き出して供給するそれぞれのピックアップローラーとを備え、1つのマルチサイズカセットから2種類のサイズのシート材の供給を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1のマルチサイズカセットは、2種類のサイズのシート材が隣り合わせに並べられて積載されるものなので、1種類のサイズのシート材を積載するカセットと比較すると、2倍以上の大きさとなり、扱い難く、装置の大型化を招く。一方、上記のように給紙カセット及びマルチトレイを上下に重ねて配置した構成では、給紙カセット及びマルチトレイを大きくする必要がなく、装置の小型化に適している。しかしながら、マルチトレイから引き出された用紙が詰まるというジャムが発生した場合は、給紙カセット及びマルチトレイを逐次別々に引き出して外していたので、手間がかかる。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、給紙カセット及びマルチトレイを別々に挿抜自在に設けながらも、簡単な操作で、給紙カセット及びマルチトレイを一度に引き出して外せるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る給紙装置は、装置本体に対して挿抜自在に設けられた給紙カセットと、前記給紙カセットの上側に配置され、前記装置本体に対して挿抜自在に設けられたマルチトレイと、前記給紙カセットに上下方向に移動自在に設けられたフックと、前記給紙カセットに設けられて、前記フックを下方に付勢する付勢部材と、前記マルチトレイに設けられて、前記給紙カセット及び前記マルチトレイが前記装置本体の内側に押し入れられて収容された状態で、前記フックが操作されて前記付勢部材の付勢力に抗して上方向に移動されたときに、前記フックに係合する係合部と、を備え、前記フックが前記係合部に係合している状態で、前記給紙カセットが引き出されると、前記マルチトレイが前記給紙カセットと共に引き出される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、給紙カセット及びマルチトレイを別々に挿抜自在に設けながらも、簡単な操作で、給紙カセット及びマルチトレイを一度に引き出して外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る給紙装置が適用された画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【
図4】(A)は、給紙カセットのみが装置本体から引き出された状態を示す側面図であり、(B)は、マルチトレイのみが装置本体から引き出された状態を示す側面図である。
【
図5】(A)は、給紙カセットに設けられたレバーなどを示す斜視図であり、(B)は、レバーを装置本体の正面の壁のスリット通じて見て示す斜視図である。
【
図6】(A)は、レバーの操作部が操作されていない状態を示す断面図であり、(B)は、レバーの操作部が操作されて押された状態を示す断面図である。
【
図7】給紙カセット及びマルチトレイが装置本体から共に引き出された状態を示す側面図である。
【
図8】本実施形態の給紙装置の制御系の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る給紙装置が適用された画像形成装置の外観を示す斜視図である。以下において、回転方向、或いは、左右上下方向を示す場合があるが、これらは、特に明言しない限り、各図面における一例としての方向を示す。
【0010】
図1に示すように画像形成装置1は、例えばプリンターであり、装置本体2には、給紙カセット4、マルチトレイ5、排出トレイ6、操作パネル7、及び表示部8等が設けられ、また装置本体2の内部には、画像形成部及び定着部(図示せず)等が設けられている。
【0011】
画像形成部は、トナーを用いる電子写真方式により、画像データによって示される画像を、給紙カセット4又はマルチトレイ5から供給される記録紙に形成する。画像形成済みの記録紙は、定着部による定着処理を受けた後、排出トレイ6に排出される。
【0012】
図2は、本実施形態の給紙装置を示す斜視図である。また、
図3は、本実施形態の給紙装置を示す側面図である。
図2及び
図3に示すように給紙装置10は、給紙カセット4、マルチトレイ5、及び用紙引出部11を備えている。給紙カセット4には、定型サイズの複数の記録紙が載置されて積載される。
【0013】
画像形成装置1の装置本体2の正面側には、装置本体2をなす壁部の一部として開閉扉2Aが設けられている。開閉扉2Aは、当該壁部の下端部が、装置本体2に対して接離する方向に回動自在に支持されている。装置本体2の正面側には、開閉扉2Aが装置本体2に対して上記回動を可能にするためのスリット3が形成されている。
【0014】
マルチトレイ5には、装置本体2の正面の開閉扉2Aが開けられて装置本体2の内部が開放された状態のときに、不定型又は定型サイズの記録紙がユーザーによる手動で差し入れられて載置される。
【0015】
用紙引出部11は、給紙ローラー12及び捌きパッド13を備えている。マルチトレイ5に記録紙が載置されていない場合は、給紙ローラー12が給紙カセット4の最上層の記録紙の先端に当接されて回転し、給紙ローラー12によりその記録紙が引き出されて該給紙ローラー12と捌きパッド13の間を通じて装置本体2の内部の画像形成部へと搬送される。
【0016】
また、マルチトレイ5に記録紙が載置されている場合は、給紙ローラー12がマルチトレイ5上の記録紙の先端に当接されて回転し、給紙ローラー12によりその記録紙が引き出されて該給紙ローラー12と捌きパッド13の間を通じて画像形成部へと搬送される。
【0017】
給紙カセット4は、装置本体2の正面側の下部に設けられた開口部(図示せず)に、装置本体2の内部及び外方に挿抜自在に設けられている。また、マルチトレイ5は、給紙カセット4の上側に重ねて配置され、当該開口部に上記挿抜が自在に設けられている。
【0018】
例えば、一対のガイドレールを装置本体2の互いに対向する両側の壁2B(
図1に示す)の内面に設け、給紙カセット4の枠部4Aの両側を一対のガイドレールにより滑動自在に支持して、給紙カセット4を挿抜自在に設ける。同様に、別の一対のガイドレールを装置本体2の互いに対向する両側の各壁2Bの内面に設け、マルチトレイ5の枠部5Aの両側を別の一対のガイドレールにより滑動自在に支持して、マルチトレイ5を挿抜自在に設ける。
【0019】
図4(A)に示すように給紙カセット4のみを装置本体2から引き出して、複数の記録紙を給紙カセット4に積載して収容し、給紙カセット4を装置本体2の内側に押し入れて収容し元に戻す。また、
図4(B)に示すようにマルチトレイ5のみを装置本体2から引き出して、マルチトレイ5を装置本体2の内部に押し入れて収容し元に戻すことも可能とされている。
【0020】
一方、
図5(A)に示すように給紙カセット4の枠部4Aの一側端には、レバー21が設けられている。このレバー21は、マルチトレイ5の枠部5Aの一側端の下に配置されている。
図5(B)に示すように、レバー21の一部(操作部)は、開閉扉2Aが装置本体2の正面側に対して閉じた状態で、装置本体2の外部に対してスリット3を通じて露出している。これにより、スリット3を通じてレバー21の操作が可能とされている。
【0021】
図6(A)、(B)は、給紙カセット4及びマルチトレイ5が装置本体2に共に押し入れられた状態でのレバー21の周辺の構成を示す断面図である。
図6(A)に示すように給紙カセット4の枠部4Aの上側には、レバー21が設けられている。レバー21の左端には、上向きに突出したフック22が上向きに設けられ、レバー21の右端部が操作部23とされている。
【0022】
レバー21の中央には、給紙カセット4の枠部4Aに設けられた水平軸24が通され、レバー21が水平軸24を中心にして回転自在に支持されている。また、レバー21の操作部23の下側には、凹所25が形成され、押しバネからなるコイルバネ26の下端が給紙カセット4の枠部4Aに固定され、コイルバネ26の上端が凹所25に嵌合されている。
【0023】
マルチトレイ5の枠部5Aには、下向きに突出した係合部28が設けられている。給紙カセット4及びマルチトレイ5が装置本体2の内側に共に押し入れられて収容された状態では、給紙カセット4の枠部4Aに設けられたレバー21のフック22は、マルチトレイ5の枠部5Aに設けられた係合部28よりも装置本体2の内側に僅かにずれた位置にある。
【0024】
図6(A)に示すようにコイルバネ26が伸長しているときには、コイルバネ26により操作部23が押し上げられ、レバー21が水平軸24周りに反時計回り方向に回転し、フック22が下降してマルチトレイ5の枠部5Aの係合部28から離間する。
【0025】
図6(B)に示すように操作部23が押し下げられると、コイルバネ26が縮小されて、レバー21が水平軸24周りに時計回り方向に回転し、フック22が上昇してマルチトレイ5の枠部5Aの係合部28に係合する。この操作部23を押し下げるための操作は、ユーザーにより
図5(B)に示す正面の開閉扉2Aの下部に設けられたスリット3を通じて行われる。
【0026】
給紙カセット4の枠部4Aに設けられたレバー21のフック22がマルチトレイ5の枠部5Aに設けられた係合部28よりも装置本体2の内側に位置するので、フック22が係合部28に係合した状態で、給紙カセット4が装置本体2から外側に引き出されると、フック22が係合部28を介してマルチトレイ5を引き連れて移動させ、
図7に示すようにマルチトレイ5が給紙カセット4と共に装置本体2から外側に引き出される。
【0027】
例えば、マルチトレイ5に記録紙が載置され、給紙ローラー12により記録紙が引き出される途中で、記録紙が詰まった場合、ユーザーは、正面の開閉扉2Aの下部のスリット3を通じて、指でレバー21の操作部23を押し下げて、レバー21を時計回り方向に回転させ、フック22を係合部28に係合させてから、給紙カセット4を引き出し、マルチトレイ5を給紙カセット4と共に引き出す。従って、1回の引き出し作業で、給紙カセット4及びマルチトレイ5を共に引き出すことができる。
【0028】
給紙カセット4及びマルチトレイ5が引き出されると、装置本体2の下側に空きスペースが形成されるので、ユーザーは、この空きスペースを通じて、詰まった記録紙を除去可能である。ユーザーがレバー21の操作部23を離すと、
図6(A)に示すようにコイルバネ26の付勢力により操作部23が押し上げられ、レバー21が水平軸24周りに反時計回り方向に回転し、フック22が下降してマルチトレイ5の枠部5Aの係合部28から離間する。この状態では、ユーザーは、給紙カセット4からマルチトレイ5を分離させることができる。
【0029】
なお、装置本体2に対して給紙カセット4及びマルチトレイ5を挿入する際は、マルチトレイ5を給紙カセット4に載置した状態で、給紙カセット4及びマルチトレイ5を装置本体2内に挿入する。このときは、フック22が係合部28に係合していても離間していてもよい。
【0030】
図8は、給紙装置10の制御系の一例を示すブロック図である。
図8において、用紙センサー31は、給紙ローラー12により引き出された記録紙を検出する。制御部32は、用紙センサー31の検出出力を入力して、用紙センサー31により記録紙が検出され続けている継続時間を計時し、この継続時間が予め設定された規定時間以上になると、その記録紙が詰まった状態になったと判定して、この状態になったことを表示部8に表示させると共に、上記のように正面の開閉扉2Aの下部のスリット3を通じて、指でレバー21の操作部23を押し下げながら、給紙カセット4及びマルチトレイ5を共に引き出すという操作手順を示すメッセージ、イラスト、動画などを表示部8に表示させる。ユーザーは、その操作手順を見て、給紙カセット4及びマルチトレイ5を1度に引き出して外し、詰まった記録紙を除去する。
【0031】
以上説明したように本実施形態の給紙装置10では、1回の引き出し作業で、給紙カセット4及びマルチトレイ5を共に引き出すことができるので、従来のように給紙カセット及びマルチトレイを逐次別々に引き出す作業と比較すると、手間がかからず、時間の節約にもなる。
【0032】
尚、上記実施形態では、本発明の画像形成装置の一実施形態としてプリンターを例示しているが、これは一例に過ぎず、複合機、コピー機、ファクシミリ装置等であってもよい。
【0033】
また、
図1乃至
図8を用いて説明した上記実施形態の構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明を当該構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0034】
1 画像形成装置
2 装置本体
2A 開閉扉
3 スリット
4 給紙カセット
5 マルチトレイ
6 排出トレイ
8 表示部
10 給紙装置
11 用紙引出部
12 給紙ローラー
13 捌きパッド
21 レバー
22 フック
23 操作部
24 水平軸
25 凹所
26 コイルバネ
28 係合部