(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165193
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】吸収体の製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
A61F13/15 321
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081123
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 祐季
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 仁
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA09
3B200BA14
3B200BB03
3B200CA02
3B200CA11
3B200DB06
3B200EA01
(57)【要約】
【課題】繊維材料を偏在させた高坪量部を効率的に形成しつつ、坪量の均一性が高い低坪量部を形成することができる、吸収体の製造装置及び製造方法を提供すること。
【解決手段】製造装置1は、回転ドラム3を回転させつつ、ダクト51内に搬送された繊維材料を、集積用凹部40の底面上に積繊させるようになされている。ダクト51は、周方向供給部50tと、法線方向供給部50sとを有し、ダクト接続部50uに、集積用凹部40を挟んで配された一対の仕切り板43,43を有している。前記ダクト接続部50uは、空気流が前記一対の仕切り板43,43間に絞られる空気流絞り部C2、及び該空気流絞り部C2とダクト51の天面部55との間に存在する空気流非絞り部C1を有している。集積用凹部40は、高坪量部対応部と、低坪量部対応部とを有し、該高坪量部対応部は、該低坪量部対応部よりも開口面積率が高い。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料の坪量が相対的に多い高坪量部と相対的に少ない低坪量部とを一方向に有する吸収体の製造に使用可能な吸収体の製造装置であって、
固定ドラムと、該固定ドラムの外周部周りを回転可能に設けられ、前記繊維材料が積繊される集積用凹部を外周部に有する回転ドラムと、該外周部の一部を覆って該集積用凹部に前記繊維材料を供給する供給路を形成するダクトとを備えており、
前記回転ドラムを回転させつつ、前記ダクト内において該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流に乗って搬送された繊維材料を、前記集積用凹部の底面上に積繊させるようになされており、
前記ダクトは、内部に、ドラム周方向において前記集積用凹部に沿う空間を有する周方向供給部と、該周方向供給部よりも上流側に位置し且つ該周方向供給部に対して法線方向に接続する法線方向供給部とを有し、該周方向供給部の上流側端部が、該法線方向供給部と該法線方向に重なったダクト接続部となっており、
前記ダクトは、前記法線方向供給部から前記周方向供給部の下流側端部まで延びる天面部と、該法線方向供給部において該天面部と対向配置される底面部と、該天面部と該底面部との間であってドラム軸方向の両側に配される一対の側面部とを有しており、
前記周方向供給部は、前記ダクト接続部に、前記集積用凹部を挟んで前記ドラム軸方向の両側に配され且つ前記側面部の内面に密着する一対の仕切り板を有しており、
前記ダクト接続部は、前記空気流が前記一対の仕切り板間に絞られる空気流絞り部、及び該空気流絞り部と前記天面部との間に存在する空気流非絞り部とを有しており、
前記集積用凹部は、前記高坪量部を形成する高坪量部対応部と、前記低坪量部を形成する低坪量部対応部とを前記ドラム周方向に沿って有し、
前記高坪量部対応部は、該低坪量部対応部よりも、前記吸引を可能にする開口の開口面積率が高い、吸収体の製造装置。
【請求項2】
前記繊維材料の供給方向に沿う前記ダクトの断面視において、前記空気流絞り部の幅が、前記法線方向供給部の幅の90%以下である、請求項1に記載の製造装置。
【請求項3】
前記回転ドラムの軸方向から前記仕切り板を視たとき、前記仕切り板は、前記繊維材料の供給方向の下流側の辺縁部が直線状となっている、請求項1又は2に記載の製造装置。
【請求項4】
前記回転ドラムの軸方向から前記仕切り板を視たとき、前記仕切り板は、前記繊維材料の供給方向の下流側の辺縁部が曲線状となっている、請求項1又は2に記載の製造装置。
【請求項5】
前記ドラム周方向において前記繊維材料が前記集積用凹部内に積繊される積繊領域は、前記高坪量部対応部に優先的に繊維材料を積繊させる高坪量部優先積繊領域と、該高坪量部対応部及び前記低坪量部対応部の双方に繊維材料を積繊させる全面的積繊領域とを前記ドラム周方向に有し、
前記高坪量部優先積繊領域は、前記全面的積繊領域に比べて、前記高坪量部対応部と前記低坪量部対応部との前記空気流の流量の差が大きくなされている、請求項1~4の何れか1項に記載の製造装置。
【請求項6】
前記仕切り板は、前記ドラム周方向において前記高坪量部優先積繊領域内に位置する、請求項5に記載の製造装置。
【請求項7】
積繊装置を用いて、繊維材料の坪量が相対的に多い高坪量部と相対的に少ない低坪量部とを一方向に有する吸収体を製造する、吸収体の製造方法であって、
前記積繊装置は、固定ドラムと、該固定ドラムの外周部周りを回転可能に設けられ、前記繊維材料が積繊される集積用凹部を外周部に有する回転ドラムと、該外周部の一部を覆って該集積用凹部に前記繊維材料を供給する供給路を形成するダクトとを備え、前記回転ドラムを回転させつつ、前記ダクト内において該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流に乗って搬送された繊維材料を、前記集積用凹部の底面上に積繊させるようになされており、
前記ダクトは、内部に、ドラム周方向において前記集積用凹部に沿う空間を有する周方向供給部と、該周方向供給部よりも上流側に位置し且つ該周方向供給部に対して法線方向に接続する法線方向供給部とを有し、該周方向供給部の上流側端部が、該法線方向供給部と該法線方向に重なったダクト接続部となっており、
前記ダクトは、前記法線方向供給部から前記周方向供給部の下流側端部まで延びる天面部と、該法線方向供給部において該天面部と対向配置される底面部と、該天面部と該底面部との間であってドラム軸方向の両側に配される一対の側面部とを有しており、
前記周方向供給部は、前記ダクト接続部に、前記集積用凹部を挟んで前記ドラム軸方向の両側に配され且つ前記側面部の内面に密着する一対の仕切り板を有しており、
前記ダクト接続部は、前記空気流が前記一対の仕切り板間に絞られる空気流絞り部、及び該空気流絞り部と前記天面部との間に存在する空気流非絞り部とを有しており、
前記集積用凹部は、前記高坪量部を形成する高坪量部対応部と、前記低坪量部を形成する低坪量部対応部とを前記ドラム周方向に沿って有し、
前記高坪量部対応部は、該低坪量部対応部よりも、前記吸引を可能にする開口の開口面積率が高くなっており、
前記回転ドラムを前記固定ドラムの外周部周りに回転させつつ、前記ダクトを通じて、該回転ドラムの外周部に対して繊維材料を飛散状態にて供給し、ドラム周方向の所定の積繊領域にて前記集積用凹部に積繊させる積繊工程を具備し、
前記積繊工程は、
前記ダクト接続部において、前記空気流絞り部及び前記空気流非絞り部を介して、前記繊維材料を前記集積用凹部に供給する接続部通過工程を具備する、吸収体の製造方法。
【請求項8】
前記積繊工程は、
前記積繊領域において、前記低坪量部対応部よりも、前記高坪量部対応部に優先的に繊維材料を積繊させる高坪量部優先積繊工程と、前記高坪量部優先積繊工程の実施領域とは異なる領域で実施され、前記高坪量部対応部及び前記低坪量部対応部の双方に繊維材料を積繊させる全面積繊工程とを有し、
前記高坪量部優先積繊工程では、前記全面積繊工程に比べて、前記高坪量部対応部と前記低坪量部対応部との前記空気流の流量の差を大きくする、請求項7に記載の吸収体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、坪量が部分的に異なる吸収体の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ等の吸収性物品は、主な吸液部位として吸収体を具備することが一般的である。吸収体の製造装置として、固定ドラムと、外周部に集積用凹部を有する回転ドラムとを備え、該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流(バキュームエア)に乗って搬送された繊維材料を、該集積用凹部内に積繊させるように構成された、製造装置が知られている。例えば、回転ドラムの外周部に沿って配されたダクト内に、飛散する繊維材料を集中させるための一対の仕切り板が設けられたものが知られている(特許文献1及び2)。この一対の仕切り板は、それらの間に空気流を絞ることで、集積用凹部に繊維材料を部分的に集中させることができる。
【0003】
例えば特許文献1には、積繊ドラムが、幅方向に離間する一対の相対面する集積板を具備し、該集積板の下流側後縁が中高部形成用凹部のドラム幅方向側縁部の回転軌跡に臨むようにして設けられるとともに、それら集積板の下流側後縁間の間隔を上流側前縁間の間隔よりも幅狭とした、吸収体の積繊装置が開示されている。
また本出願人は、先に、ダクト内に、集積用凹部を挟むように配された一対の仕切り板を具備し、ドラム周方向の積繊領域に沿って該仕切りが延在している、吸収体の製造装置を開示した(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-260297号公報
【特許文献2】特開2022-105905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、吸収体として、吸水性の繊維材料の坪量を部分的に異ならせたものが知られている。例えば、吸収性物品の着用者の前後方向に対応する縦方向の中央部に、周辺部に比べて繊維材料の坪量が大きい、いわゆる中高部を有するものが知られている。斯かる吸収体は、中高部においては繊維材料が偏在して厚みが大きく、それ以外の他の部分においては厚みが小さく構成されている。
中高部を有する吸収体の製造装置には、集積用凹部における中高部を含む高坪量部に対応した部分(高坪量部対応部)に、繊維材料を偏在させることが求められる。斯かる偏在を実現させるには、高坪量部対応部と、中高部以外の部分に対応した部分(低坪量部対応部)とで、空気流に流量差を設けることや、高坪量部対応部に前記の仕切り板を設けることが有効である。しかしながら、回転ドラムの周方向において、仕切り板が設けられた部分では空気流が絞られる一方、該仕切り板がない部分においても、絞られた空気流の影響が残ることがあった。その結果、低坪量部対応部に積繊された繊維材料の均一性が低下して、中高部を有する吸収体の品質に影響を及ぼす虞があった。斯かる課題を解決し得る技術は未だ提供されていない。
【0006】
本発明は、繊維材料を偏在させた高坪量部を効率的に形成しつつ、坪量の均一性が高い低坪量部を形成することができる、吸収体の製造装置を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、繊維材料の坪量が相対的に多い高坪量部と相対的に少ない低坪量部とを一方向に有する吸収体の製造に使用可能な吸収体の製造装置に関する。
一実施形態として、前記製造装置は、固定ドラムと、該固定ドラムの外周部周りを回転可能に設けられ、前記繊維材料が積繊される集積用凹部を外周部に有する回転ドラムと、該外周部の一部を覆って該集積用凹部に前記繊維材料を供給する供給路を形成するダクトとを備えており、
前記回転ドラムを回転させつつ、前記ダクト内において該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流に乗って搬送された繊維材料を、前記集積用凹部の底面上に積繊させるようになされていることが好ましい。
一実施形態として、前記ダクトは、内部に、ドラム周方向において前記集積用凹部に沿う空間を有する周方向供給部と、該周方向供給部よりも上流側に位置し且つ該周方向供給部に対して法線方向に接続する法線方向供給部とを有し、該周方向供給部の上流側端部が、該法線方向供給部と該法線方向に重なったダクト接続部となっていることが好ましい。
一実施形態として、前記ダクトは、前記法線方向供給部から前記周方向供給部の下流側端部まで延びる天面部と、該法線方向供給部において該天面部と対向配置される底面部と、該天面部と該底面部との間であってドラム軸方向の両側に配される一対の側面部とを有していることが好ましい。
一実施形態として、前記周方向供給部は、前記ダクト接続部に、前記集積用凹部を挟んで前記ドラム軸方向の両側に配され且つ前記側面部の内面に密着する一対の仕切り板を有していることが好ましい。
一実施形態として、前記ダクト接続部は、前記空気流が前記一対の仕切り板間に絞られる空気流絞り部及び、該空気流絞り部と前記天面部との間に存在する空気流非絞り部とを有していることが好ましい。
一実施形態として、前記集積用凹部は、前記高坪量部を形成する高坪量部対応部と、前記低坪量部を形成する低坪量部対応部とを前記ドラム周方向に沿って有し、該高坪量部対応部は、該低坪量部対応部よりも、前記吸引を可能にする開口の開口面積率が高いことが好ましい。
【0008】
また本発明は、積繊装置を用いて、繊維材料の坪量が相対的に多い高坪量部と相対的に少ない低坪量部とを一方向に有する吸収体を製造する、吸収体の製造方法に関する。
一実施形態として、前記積繊装置は、固定ドラムと、該固定ドラムの外周部周りを回転可能に設けられ、前記繊維材料が積繊される集積用凹部を外周部に有する回転ドラムと、該外周部の一部を覆って該集積用凹部に前記繊維材料を供給する供給路を形成するダクトとを備え、前記回転ドラムを回転させつつ、前記ダクト内において該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流に乗って搬送された繊維材料を、前記集積用凹部の底面上に積繊させるようになされていることが好ましい。
一実施形態として、前記ダクトは、内部に、ドラム周方向において前記集積用凹部に沿う空間を有する周方向供給部と、該周方向供給部よりも上流側に位置し且つ該周方向供給部に対して法線方向に接続する法線方向供給部とを有し、該周方向供給部の上流側端部が、該法線方向供給部と該法線方向に重なったダクト接続部となっていることが好ましい。
一実施形態として、前記ダクトは、前記法線方向供給部から前記周方向供給部の下流側端部まで延びる天面部と、該法線方向供給部において該天面部と対向配置される底面部と、該天面部と該底面部との間であってドラム軸方向の両側に配される一対の側面部とを有していることが好ましい。
一実施形態として、前記周方向供給部は、前記ダクト接続部に、前記集積用凹部を挟んで前記ドラム軸方向の両側に配され且つ前記側面部の内面に密着する一対の仕切り板を有していることが好ましい。
一実施形態として、前記ダクト接続部は、前記空気流が前記一対の仕切り板間に絞られる空気流絞り部、及び該空気流絞り部と前記天面部との間に存在する空気流非絞り部とを有していることが好ましい。
一実施形態として、前記集積用凹部は、前記高坪量部を形成する高坪量部対応部と、前記低坪量部を形成する低坪量部対応部とを前記ドラム周方向に沿って有していることが好ましい。
一実施形態として、前記高坪量部対応部は、前記低坪量部対応部よりも、前記吸引を可能にする開口の開口面積率が高くなっていることが好ましい。
一実施形態として、前記回転ドラムを前記固定ドラムの外周部周りに回転させつつ、前記ダクトを通じて、該回転ドラムの外周部に対して繊維材料を飛散状態にて供給し、ドラム周方向の所定の積繊領域にて前記集積用凹部に積繊させる積繊工程とを具備することが好ましい。
一実施形態として、前記積繊工程は、前記ダクト接続部において、前記空気流絞り部及び前記空気流非絞り部を介して、前記繊維材料を前記集積用凹部に供給する接続部通過工程を具備することが好ましい。
本発明の他の特徴、効果及び実施形態は、以下に説明される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吸収体の製造装置及び製造方法によれば、繊維材料を偏在させた高坪量部を効率的に形成しつつ、坪量の均一性が高い低坪量部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明によって提供される吸収体の一実施形態の模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の吸収体の製造装置の一実施形態を一部透視して模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す製造装置をドラム軸方向から見た場合の模式的な側面図、及び仕切り板の拡大側面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す製造装置の集積部の模式的な分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2に示す製造装置の集積用凹部の一部の模式的な平面図である。
【
図6】
図6は、
図2に示す製造装置の積繊領域の模式的な平面図である。
【
図7】
図7は、
図2に示すダクト内の空気流の流れを模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図8は、周方向供給部における
図7に示す空気流の流れを、集積用凹部とともに示す平面図である。
【
図9】
図9は、
図5のI-I線での断面(低坪量部対応部のドラム軸方向に沿う断面)を模式的に示す断面図であり、
図9(a)は高坪量部優先積繊領域(高坪量部優先積繊工程)での吸引状態、
図9(b)は全面的積繊領域(全面積繊工程)での吸引状態を示す。
【
図10】
図10は、
図5のII-II線での断面(高坪量部対応部のドラム軸方向に沿う断面)を模式的に示す断面図であり、
図10(a)は高坪量部優先積繊領域(高坪量部優先積繊工程)での吸引状態、
図10(b)は全面的積繊領域(全面積繊工程)での吸引状態を示す。
【
図11】
図11は、
図5のIII-III線での断面(集積用凹部のドラム周方向に沿う断面)を模式的に示す断面図である。
【
図12】
図12は、本発明に係る仕切り板の別の実施形態を、ダクトとともに示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0012】
本発明(製造方法、製造装置)によって提供される吸収体は、体液をはじめとする水性液を吸収し得るものである。吸収体の用途は特に限定されないが、吸収性物品の吸収体として特に好適である。ここでいう「吸収性物品」には、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品が広く包含され、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、生理用ショーツ、失禁パッド等が包含される。
吸収性物品は、典型的には、吸収体と、該吸収体よりも着用者の肌から近い側に配される液透過性の表面シートと、該吸収体よりも着用者の肌から遠い側に配される液難透過性ないし不透過性の裏面シートとを含んで構成されている。
【0013】
図1には、本発明によって提供される吸収体の一実施形態である吸収体10が示されている。吸収体10は、吸収性物品用のものであり、吸収性物品の着用者の前後方向に対応する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有する。
縦方向Xは、後述する吸収体10の製造時における流れ方向又は機械方向すなわちMD(Machine Direction)に一致し、横方向Yは、MDと直交する方向であるCD(Cross machine Direction)に一致する。なおMDは、後述する繊維材料の供給方向、ドラム周方向X1、より具体的には回転ドラム3の回転方向R1に一致し、CDは、後述するドラム軸方向Y1に一致する(
図2参照)。
【0014】
吸収体10は、少なくとも繊維材料を含み、好ましくは繊維材料を主体とする。吸収体10における繊維材料の含有量は、特に限定されず、例えば50質量%以上、又は100質量%であってもよい。後者の吸収体10は、繊維材料のみから形成される。
繊維材料の種類は特に制限されず、熱可塑性樹脂等の合成樹脂からなる疎水性繊維を用いることもできるが、典型的には、親水性繊維が用いられる。親水性繊維としては、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ(以上、セルロース系繊維);親水性合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
吸収体10は、繊維材料に加えてさらに、吸水性ポリマーを含有してもよい。吸水性ポリマーとしては、一般に粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでもよい。粒子状の吸水性ポリマーの形状は特に限定されず、例えば、球状、塊状、俵状、不定形状であり得る。吸水性ポリマーは、典型的には、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を主体とする。
【0015】
吸収体10は、
図1に示すように、繊維材料の坪量が相対的に多い高坪量部11と、相対的に少ない低坪量部12とを一方向に有する。本実施形態では、吸収体10は、平面視で縦方向Xに長い形状(略長方形形状)を有し、その長手方向すなわち縦方向Xの中央部に高坪量部11、縦方向Xの両端部に低坪量部12が配されており、低坪量部12、高坪量部11、低坪量部12の順に縦方向Xに配置されている。
【0016】
高坪量部11は、高坪量部11及び低坪量部12が連なる一方向(縦方向X)において、低坪量部12に比べて繊維材料の坪量が多い部位を含む領域であり、該部位以外の他の部位を含む場合は、該部位と、該部位と縦方向Xにおいて同位置にある他の部位との双方を含む。例えば、本実施形態では、高坪量部11の横方向Y(短手方向)の中央部に、吸収体10において繊維材料の坪量が最大の部分である中高部11Aが形成され、中高部11Aを挟んで横方向Yの両外方は、中高部11Aに比べて繊維材料の坪量が少ない標準坪量部11Bとなっている。この場合、中高部11Aと標準坪量部11B(中高部11Aと縦方向Xにおいて同位置にある他の部位)とからなる領域全体が、高坪量部11である。
中高部11Aは、周辺部に比べて厚みが大きく、吸収体10の一方の面側に突出しており、また、平面視において縦方向Xに長い略長方形形状を有している。吸収体10は、中高部11Aの突出面(
図1では上面)を、該吸収体10が用いられる吸収性物品の着用者の肌側に向けて使用されてもよく、あるいは中高部11Aの突出面側とは反対側の面を該着用者の肌側に向けて使用されてもよい。
標準坪量部11Bは、低坪量部12に比べて繊維材料の坪量が少ない場合があり得る。
低坪量部12は、坪量が部分的に異なっていてもよいが、該低坪量部12の全域にわたって坪量が均一であることが好ましい。前者の場合の一例として、低坪量部12の縦方向Xの内方側(高坪量部11側)が、外方側に比べて繊維材料の坪量が多いか又は少ない形態が挙げられる。また、前者の場合の他の一例として、低坪量部12の横方向Yの中央部12A(
図1中斜線を付した部分)が、低坪量部12の横方向Yの両端部12B,12Bに比べて繊維材料の坪量が多いか又は少ない形態が挙げられる。
後述する実施形態の吸収体の製造装置は、低坪量部12が、横方向Yにおいて繊維材料の坪量が均一である吸収体を好ましく製造することができる。
【0017】
本実施形態の吸収体10には、平面視直線状の複数の溝状凹部13X,13Yが形成されている。溝状凹部13Xは縦方向Xに延び、溝状凹部13Yは横方向Yに延びている。縦方向Xにおいて吸収体10は、横方向Yに延びる溝状凹部13Yによって、高坪量部11及び低坪量部12の複数の領域に区分されている。また高坪量部11及び低坪量部12それぞれには、溝状凹部13Xが形成されている。また標準坪量部11Bには、これら溝状凹部13X,13Yが形成されておらず、該標準坪量部11Bが平面視において縦方向Xに連続している。図示の形態では、溝状凹部13X,13Yは、吸収体10における中高部11Aの突出面(
図1では上面)側に形成されているが、該突出面側とは反対側の面に形成されていてもよい。
溝状凹部13X,13Yは、排泄物等の液の流路として機能することで吸収体10の液吸収能を向上させ得るとともに、吸収体10の柔軟性、可撓性を高めて、吸収性物品の着用者の身体に対する追従性を向上させ得る。溝状凹部13X,13Yは無くてもよい。
【0018】
高坪量部11は、主に吸収体10の液吸収性の向上に寄与し、低坪量部12は、主に吸収体10を備える吸収性物品の着用感の向上に寄与する。吸収体10では、吸収体10が使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの吸収性物品の吸収体として使用された場合に、その吸収性物品の着用者の股間部(陰茎、膣口などの排泄部)に配される部分である、縦方向Xの中央部を高坪量部11とし、それ以外の部分を低坪量部12としている。吸収体10の縦方向Xの中央部は、着用者の排泄物が集中する部位であるので、該中央部を高坪量部11とすることで十分な液吸収性を確保し、また、吸収体10における該中央部以外の部分は、液吸収に使用される機会が該中央部に比べて少ないので、繊維材料の坪量を極力低減して厚みを薄くすることで着用感の向上を図っている。
【0019】
ここで一般に、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に使用される吸収体は、液吸収性に優れるものが望まれるが、通常の使用で液吸収性能が十分に活用されるのは、吸収性物品の着用者の股間部に配される部分及びその近傍のみであり、それ以外の部分は液吸収性能がほとんど活用されない場合もある。また一般に、吸収体の液吸収性の向上の観点からは、繊維材料(親水性繊維)の坪量は多い方が好ましいが、繊維材料の坪量が多くなると、柔軟性が低下して吸収性物品の着用感の低下につながる可能性があり、着用感の向上の観点からは、繊維材料の坪量は少なく且つ均一であることが好ましい。すなわち、斯かる点を考慮した好適な吸収体は、高い液吸収性が必要とされる部分は繊維材料(親水性繊維)が多く存在し、液吸収性がそれほど必要とされない部分は繊維材料が少なくて厚みが薄く且つ該厚みが均一なものである。このように繊維材料の偏在の程度が大きい吸収体(以下、「偏在吸収体」ともいう。)は、液吸収性及び着用感が高いレベルで両立し得る。
【0020】
先ず、本発明の吸収体の製造方法及び製造装置について、前述した吸収体10の製造方法を例にとり図面を参照しながら説明する。
図2及び
図3には、本発明の吸収体の製造装置の一実施形態である製造装置1の全体構成が示されている。
製造装置1は、積繊装置であり、固定ドラム2と、該固定ドラム2の外周部2Sの周りを回転可能に設けられた回転ドラム3と、該回転ドラム3の外周部3Sの一部を覆うダクト51とを備えている。回転ドラム3は、繊維材料が積繊される集積用凹部40を外周部3Sに有している。ダクト51は、集積用凹部40に繊維材料を供給する供給路50を形成している。
製造装置1は、固定ドラム2側からの吸引によって生じた空気流(以下、「バキュームエア」ともいう。)がダクト51内を流れており、回転ドラム3を回転させつつ、該空気流に乗って搬送された繊維材料を、ドラム周方向X1の所定の積繊領域Sにて集積用凹部40の底面上に積繊させるようになされている。
【0021】
本実施形態では、製造装置1は、固定ドラム2及び回転ドラム3を含む集積部4と、集積部4(回転ドラム3)に繊維材料等の原材料を供給する原材料供給機構5と、回転ドラム3の集積用凹部40から排出された吸収体10(繊維材料等の原材料の積繊物)を搬送する搬送機構6とを備えている。
【0022】
原材料供給機構5は、原材料の供給路50を内部に有するダクト51と、ダクト51内に原材料を導入する原材料導入部57とを備えている。ダクト51は原材料の供給方向の両端が開口し、その一端側の開口部が、集積部4の外周部(回転ドラム3)の一部を覆い、他端側の開口部に、原材料導入部57が備える粉砕機58が配されている。原材料導入部57は、シート状の木材パルプSPを粉砕機58により粉砕して繊維材料であるパルプ繊維とし、そのパルプ繊維をダクト51内に送り込むように構成されている。また、ダクト51には、吸水性ポリマー粒子を供給路50内に導入する吸水性ポリマー導入部59が配されている。
【0023】
ダクト51は、内部に、ドラム周方向X1において集積用凹部40に沿う空間を有する周方向供給部50tと、該周方向供給部50tよりも上流側に位置し且つ該周方向供給部50tに対して法線方向に接続する法線方向供給部50sとを有している(
図3参照)。これら供給部50s,50tが繊維材料の供給路50を形成している。周方向供給部50tは、その上流側端部が、法線方向供給部50sと接続している。この周方向供給部50tの上流側端部は、法線方向供給部50sと法線方向に重なったダクト接続部50uとなっている(
図3参照)。周方向供給部50tにおいて、「上流側」は、該周方向供給部50tの延在方向における法線方向供給部50s側であり、「下流側」は、該延在方向における法線方向供給部50sとは反対側である。周方向供給部50tは、ドラム周方向X1において後述する積繊領域Sに対応する。
【0024】
ダクト51は、法線方向供給部50sから周方向供給部50tの下流側端部まで延びる天面部55と、該法線方向供給部50sにおいて該天面部55と対向配置される底面部54と、該天面部55と該底面部54との間であってドラム軸方向Y1の両側に配される一対の側面部53,53とを有している(
図3参照)。これら天面部55、底面部54、及び一対の側面部53,53により画成される空間が、繊維材料の供給路50となっている。当該空間において、法線方向供給部50s及び周方向供給部50tは連続している。
【0025】
ダクト51における周方向供給部50tは、ダクト接続部50uに、集積用凹部40を挟んでドラム軸方向Y1の両側に配され且つダクト51の側面部53の内面に密着する一対の仕切り板43を有している。本実施形態のダクト51では、その側面部53と仕切り板43との間に繊維材料が入り込まない程度に、仕切り板43が側面部53の内面に密着している。この仕切り板43は、ボルト等の締結具等の固定手段により、ダクト51の側面部53内面に固定されている。
仕切り板43は、
図2及び
図3に示すように、ダクト51内の周方向供給部50tの上流側端部をなすダクト接続部50uに配されている。本実施形態の一対の仕切り板43,43は、集積用凹部40における中高部11Aを形成する中高部対応部のドラム軸方向Y1の位置を、同ドラム軸方向Y1に挟むように配されていることが好ましく、さらに集積用凹部40のドラム軸方向Y両側部に配されていることがより好ましい。斯かる構成は、中高部11Aをより効率的に形成する観点から好ましい。集積用凹部40の詳細については後述する。
本実施形態の仕切り板43それぞれは、回転ドラム3の外面を形成するリングプレート38上に位置するように、ダクト接続部50uにおける側面部53に固定されている。斯かる配置とすることで、本実施形態の仕切り板43は、ダクト接続部50uにおけるリングプレート上、及び集積用凹部40のドラム軸方向Y1両側部への繊維材料の供給を阻害する。仕切り板43の素材は、特に制限されないが、例えば、金属、合成樹脂又はこれらを組合せた材料を用いることができる。
【0026】
一対の仕切り板43,43は、
図2に示すように、ドラム軸方向Y1に所定の間隔を置いて配されており、集積用凹部40における該間隔に対応する領域、具体的には、集積用凹部40のドラム軸方向Y1の中央部にバキュームエアを絞って、該領域に繊維材料が集中的に供給されるようになされている。一対の仕切り板43が配された領域において、集積用凹部40のドラム軸方向Y1の両端部は、該一対の仕切り板43,43によって覆われており、これにより該両端部への繊維材料の供給が物理的に阻害される。
本実施形態の一対の仕切り板43,43それぞれは、他方の仕切り板43との対向面が、ダクト51から供給された飛散状態の繊維材料と接触して該繊維材料の集積用凹部40内への供給を部分的に阻害する、供給阻害面43aとなっている。供給阻害面43aは、回転ドラム3の半径方向に対して傾斜し且つ該半径方向の外方から内方に向かって延在している。斯かる一対の仕切り板43,43の一方の供給阻害面43aと他方のそれとの間隔は、回転ドラム3の半径方向の外方から内方に向かうにしたがって漸次短くなっている(図示せず)。供給阻害面43aがこのように傾斜していることで、供給阻害面43a上に繊維材料が積もり難くなる。
【0027】
仕切り板43は、製造装置1の側面視において、台形形状を有しており、回転ドラム3と対向するドラム対向辺縁部435と、法線方向供給部50sと対向する上縁部433と、ダクト51の底面部54と対向する上流側縁部432と、ダクト51の天面部55と対向する下流側縁部431とを有している(
図3参照)。製造装置1の側面視(以下、単に「側面視」ともいう。)は、ドラム軸方向Y1から製造装置1を視た状態を意味する。
仕切り板43の下流側端部、すなわち下流側縁部431とドラム対向辺縁部435とにより形成される角部は、周方向供給部50tにおいてダクト接続部50uから下流側に延在していてもよい。
本実施形態の仕切り板43は、上流側縁部432が、上縁部433及びドラム対向辺縁部435に対し直角になっており、該上流側縁部432がダクト51の底面部54の内面に密接している。また仕切り板43は、側面視においてダクト51の天面部55から間隔を空けて該ダクト51内に配されている(
図3参照)。
【0028】
ダクト接続部50uは、バキュームエアが一対の仕切り板43,43間に絞られる空気流絞り部C2(
図2参照)、及び該空気流絞り部C2とダクト51の天面部55との間に存在する空気流非絞り部C1(
図3参照)を有している。ダクト接続部50uにおいて、空気流絞り部C2は一対の仕切り板43,43間の空間であり、空気流非絞り部C1は仕切り板43と天面部55との間隔部分である。本実施形態のダクト51では、法線方向供給部50sから空気流絞り部C2と、空気流非絞り部C1とを介して、バキュームエアが積繊領域Sに向かって流れるように構成されている。
繊維材料の偏在の程度が比較的大きな吸収体をより安定的に製造する観点から、ダクト接続部50uにおける空気流絞り部C2への繊維材料の単位時間当たりの供給質量(a1)に対する、該ダクト接続部50uよりも下流側の周方向供給部50tへの繊維材料の単位時間当たりの供給質量(a2)の割合〔(a2/a1)×100〕は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
【0029】
搬送機構6は、集積部4の下方に配され、集積部4から排出された吸収体10を搬送面上に吸引しつつ搬送するバキュームコンベア(図示せず)を備えている。集積部4における固定ドラム2の内部には、ブロー発生機構(図示せず)が配されており、該ブロー発生機構による集積部4の内部側から回転ドラム3の外周部3S側へのエアーの吹きつけにより、外周部3Sの集積用凹部40から吸収体10が排出され、前記バキュームコンベアの搬送面上に転写されるようになされている。
本実施形態では、前記バキュームコンベアの搬送面上に、吸収体10の外面を被覆するコアラップシートなどとも呼ばれるシート材14が予め配されており、集積部4から排出された吸収体10はシート材14上に転写され、シート材14ごと搬送される。シート材14は、前記バキュームコンベアによる搬送途中で、吸収体10の全体を被覆するように折り曲げられる。
【0030】
製造装置1の要部である集積部4について説明する。集積部4は、
図2~
図4に示すように、金属製の剛体からなる固定ドラム2と、固定ドラム2の外周部2Sに重ねて配された回転ドラム3とを主体として構成され、円筒形状を有している。回転ドラム3は、モータ等の原動機からの動力を受けて、水平な回転軸を回転中心としてドラム周方向X1に沿って方向R1に回転するのに対し、固定ドラム2は回転しない。集積部4は、両ドラム2,3の周方向に対応するドラム周方向X1と、回転ドラム3の回転軸が延びる方向に対応するドラム軸方向Y1とを有している。
【0031】
固定ドラム2は円筒形状を有し、その円筒状の固定ドラム2の軸方向両端の開口部は、側壁21及びフェルト等のシール材に(図示せず)よって気密に封鎖されている。固定ドラム2の内部は、隔壁22によって周方向に複数(本実施形態では3つ)に区分され、各該区分に対応した複数の空間A~Cが形成されている。
固定ドラム2には、その内部を減圧する減圧機構(図示せず)が接続されている。前記減圧機構は、側壁21に接続された排気管(図示せず)と該排気管に接続された排気ファン(図示せず)とを含んで構成されている。前記減圧機構を作動させることで、固定ドラム2内の複数の空間A~Cのうちの任意のものが負圧に維持される。固定ドラム2は、隔壁22によって仕切られた複数の空間A~Cの負圧(吸引力)をそれぞれ独立に調整可能になされている。
【0032】
回転ドラム3は、その外周部3Sに繊維材料が積繊される集積用凹部40を有している。集積用凹部40は、
図5に示すように、製造目的物である吸収体10の高坪量部11を形成する高坪量部対応部41と、吸収体10の低坪量部12を形成する低坪量部対応部42とを、ドラム周方向X1に有している。繊維材料が積繊される集積用凹部40の底面は、バキュームエアが通過可能な多数の吸引孔を有する通気性部材(後述する凹部底面形成プレート34,36)から形成されており、通気性を有している。
【0033】
本実施形態では、集積用凹部40は、回転ドラム3のドラム周方向X1の全長にわたって連続的に配されており、高坪量部対応部41と低坪量部対応部42とがドラム周方向X1の全長にわたって交互に配されている。1つの高坪量部対応部41とこれを挟んでドラム周方向X1の前後に配された2つの低坪量部対応部42,42とが、1個の吸収体10に対応するので、集積用凹部40から搬送機構6の前記バキュームコンベアに排出される吸収体10は、複数の吸収体10が縦方向Xに連続した吸収体連続体である(
図2参照)。
【0034】
回転ドラム3は固定ドラム2の外周部2Sの周りを、回転方向R1の上流側から下流側に向かって、空間Aに対応する領域、空間Bに対応する領域、空間Cに対応する領域の順に移動する。「空間Aに対応する領域」とは、固定ドラム2の空間Aを固定ドラム2の半径方向(ドラム軸方向と直交する方向)の外方に仮想的に延長した場合のその延長部分と重複する領域を指す。「空間Bに対応する領域」及び「空間Cに対応する領域」については、前記の「空間Aに対応する領域」の説明において「空間A」を「空間B」又は「空間C」に置換したものが適用される。
【0035】
本実施形態では、回転ドラム3の回転経路における空間A,Bに対応する領域が、繊維材料が集積用凹部40内に積繊される積繊領域Sである。ダクト51における一端側の開口、より具体的には、周方向供給部50tは、積繊領域Sを覆っている。積繊領域Sのうち、ドラム周方向X1において空間Aに対応する領域は、後述する高坪量部優先積繊領域S1とされ、同ドラム周方向X1において空間Bに対応する領域は、後述する全面的積繊領域S2とされている。
【0036】
前記減圧機構を作動させ固定ドラム2の空間A,Bを負圧に維持した状態で、回転ドラム3を回転方向R1に回転させると、回転ドラム3の集積用凹部40が、空間A,Bに対応する領域すなわち積繊領域Sを通過している間に、集積用凹部40の底面を形成する通気性部材(後述する凹部底面形成プレート34,36)に空間A,B内の負圧が作用し、該通気性部材が有する多数の吸引孔を通じた空気の吸引が行われる。この吸引孔を通じた吸引により、積繊領域Sを覆うダクト51内の供給路50に、積繊領域Sに向かうバキュームエアが生じ、このバキュームエアに乗った繊維材料等の原材料が積繊領域Sに供給される。すなわち、前記バキュームエアによって、法線方向供給部50sから周方向供給部50tを経て、積繊領域Sに繊維材料が供給される。
【0037】
図4に示すように、固定ドラム2の外周部2Sには、固定ドラム2の内部側からの吸引が部分的に可能な選択的吸引領域23と、該吸引が全面的に可能な全面的吸引領域24とが、ドラム周方向X1に並べて配されている。本実施形態では、回転ドラム3の回転方向R1に沿って、選択的吸引領域23と全面的吸引領域24とがこの順で配されている。選択的吸引領域23は空間A(高坪量部優先積繊領域S1)に対応し、全面的吸引領域24は空間B(全面的積繊領域S2)に対応している。
【0038】
選択的吸引領域23は、開口部が部分的に設けられた非通気性部材からなり、バキュームエアは、該開口部を通じてのみ選択的吸引領域23を厚み方向に通過可能になされている。本実施形態では、固定ドラム2の外周部2Sにおける選択的吸引領域23に対応する部分に、前記の「開口部が部分的に設けられた非通気性部材」に相当する吸引制御体25が配されている(
図4参照)。吸引制御体25は、該吸引制御体25を厚み方向に貫通する制御体開口部26を1つ以上有している。図示の形態では、制御体開口部26は、平面視でドラム周方向X1に延在する帯状(直線状)を有し、ドラム軸方向Y1に所定間隔を置いて複数配されている。吸引制御体25は非通気性であり、そのため、吸引制御体25における制御体開口部26以外の部分では吸引不可である。吸引制御体25を構成する非通気性部材としては、金属、樹脂等を用いることができる。
一方全面的吸引領域24は、非通気性部材を含まず、集積用凹部に対応する部分の全域が開口している。そのためバキュームエアは、全面的吸引領域24の全域を厚み方向に通過可能である。
【0039】
なお、本明細書において、集積部4(固定ドラム2、回転ドラム3)の外周部の如き、湾曲部についての「平面視」又は「平面図」とは、その湾曲部(例えば、吸引制御体25、集積用凹部40など)を、該湾曲部の法線方向(ドラム軸方向と直交する方向)の外方から見た場合を意味する。
【0040】
回転ドラム3は、
図4に示すように、固定ドラム2の外周部2Sに対向配置された金属製の円筒状のドラム本体3Aと、ドラム本体3Aの外周部3ASに重ねて配される複数の部材33~38からなる外層部3Bとを含む。ドラム本体3Aは、回転ドラム3において固定ドラム2に最も近接する部材である。
本実施形態では、ドラム本体3Aは、ドラム周方向X1の全長にわたって連続する環状の部材であるのに対し、外層部3Bを構成する複数の部材33~38は、それぞれ、ドラム周方向X1に複数に分割されている。これら複数の部材33~38は、ボルト等の締結具、接着剤等の接合手段により、相互に接離自在に接合されるとともに、ドラム本体3Aの外周部3ASに接離自在に接合される。
【0041】
ドラム本体3Aの外周部3ASは、固定ドラム2の外周部2Sとの対向部分であるところ、この外周部3ASには、集積用凹部40の低坪量部対応部42(
図4及び
図6参照)に対応して非通気性の開口部閉鎖部材30が配されている。一方、ドラム本体3Aの外周部3ASにおける、集積用凹部40の高坪量部対応部41(
図4及び
図6参照)に対応する部分32には、開口部閉鎖部材30は配されていない。開口部閉鎖部材30を形成する非通気性の素材としては、金属、樹脂等を用いることができる。
【0042】
本実施形態では、ドラム本体3Aの外周部3ASに、開口部閉鎖部材30が配された吸引阻害部31と、開口部閉鎖部材30が配されておらず、該外周部3ASを厚み方向に貫通する貫通孔からなる吸引非阻害部32とが、ドラム周方向X1に交互に配されている。
複数の吸引阻害部31それぞれにおいて、開口部閉鎖部材30のドラム軸方向Y1での配置数は、固定ドラム2の外周部2Sの選択的吸引領域23における制御体開口部26のドラム軸方向Y1での配置数と同じに設定されている。図示の形態では、制御体開口部26のドラム軸方向Y1での配置数は3であるので、吸引阻害部31における開口部閉鎖部材30のドラム軸方向Y1での配置数も3である。複数の吸引阻害部31それぞれにおいて、複数(3つ)の開口部閉鎖部材30は、平面視でドラム周方向X1に延在する帯状(直線状)を有し、ドラム軸方向Y1に間欠配置されている。また開口部閉鎖部材30は、制御体開口部26とドラム軸方向Y1において同位置に配されており、選択的吸引領域23と吸引阻害部31とが重なった状態で、選択的吸引領域23の制御体開口部26が、吸引阻害部31の開口部閉鎖部材30によって閉鎖されるようになされている。
【0043】
なお、ここでいう「閉鎖」には、1)バキュームエアが制御体開口部26を通過不可となる、すなわち制御体開口部26での吸引が完全に不可となるように、開口部閉鎖部材30が制御体開口部26に重なる形態と、2)制御体開口部26での吸引が多少は可能な程度に開口部閉鎖部材30が制御体開口部26に重なる形態(例えば、後述する隙間Gが設けられた形態)とが包含される。前記1)及び2)の何れの形態も、開口部閉鎖部材30によって制御体開口部26での吸引が阻害される点では同じである。
一方吸引非阻害部32は、開口部閉鎖部材30の如き非通気性部材を含まず、集積用凹部に対応する部分の全域が開口している。そのためバキュームエアは、吸引非阻害部32の全域を厚み方向に通過可能である。
【0044】
本実施形態では、回転ドラム3の外層部3Bは、前述したように複数の部材の積層体である。この外層部3Bを構成する複数の部材は、具体的には
図4に示すように、ドラム本体3Aに近い順に、第1吸引調整プレート33、第1凹部底面形成プレート34、第2吸引調整プレート35、第2凹部底面形成プレート36、凹部区画プレート37及びリングプレート38を含む。これら複数の部材のうち、第1吸引調整プレート33、第2吸引調整プレート35、第2凹部底面形成プレート36及び凹部区画プレート37の4枚のプレートは、ドラム軸方向Y1の長さ(幅)が互いに同じであり、外層部3Bの幅は、これら4枚のプレート33,35~37それぞれの幅と同じである。
【0045】
リングプレート38は、回転ドラム3の最も外側に配される。リングプレート38は、前記4枚のプレート33,35~37に比べて幅が狭く、
図4及び
図5に示すように、集積用凹部40を挟んでドラム軸方向Y1の両側に一対配される。
凹部区画プレート37は、吸収体10に溝状凹部13X,13Yを形成するためのもので、凹部区画プレート37の集積用凹部40に対応する部分には、複数の仕切り部材370(
図4参照)が、溝状凹部13X,13Yと同じパターンで配されている。
【0046】
第1凹部底面形成プレート34及び第2凹部底面形成プレート36は、それぞれ、繊維材料が積繊される集積用凹部40の底面を形成し、バキュームエアが通過可能な多数の吸引孔を有する通気性部材である。
第1凹部底面形成プレート34は、吸収体10の高坪量部11の一部である中高部11Aの形成に使用されるもので、集積用凹部40の高坪量部対応部41に対応している(
図5及び
図8参照)。本実施形態では、第1凹部底面形成プレート34は平面視で略長方形形状を有しており、第2凹部底面形成プレート36に比べて幅が狭い。
第2凹部底面形成プレート36は、吸収体10の中高部11A以外の部分の形成に使用されるもので、集積用凹部40の高坪量部対応部41における中高部11Aに対応する部分以外の部分と、低坪量部対応部42とに対応している(
図5、
図9及び
図10参照)。第2凹部底面形成プレート36における第1凹部底面形成プレート34と平面視で重なる部分には、該プレート34に対応して、該プレート34の平面視形状と同形状であり、ドラム周方向X1方向に長い開口部360が形成されている。
【0047】
本実施形態では、回転ドラム3に、集積用凹部40のバキュームエアの流量(以下、「吸引風量」ともいう。)を調整するための吸引調整体が配されている。前記吸引調整体の設定を適宜調整することで、集積用凹部40に対応して配置された複数の開口部(例えば、第1吸引調整プレート33の開口部330,331,332、及び第2吸引調整プレート35の開口部350,351)の全部又は一部の開口面積を個別に調整することができ、これにより、該複数の開口部を通過するバキュームエアの流量(吸引風量)を個別に調整することができる。
【0048】
前記吸引調整体について説明すると、本実施形態では、2枚の吸引調整プレート33,35が該吸引調整体として機能する。
第1吸引調整プレート33は、バキュームエアが通過可能であり、ドラム周方向X1方向に長い複数の開口部330,331,332を有する非通気性部材からなり、開口部330,331,332でのみ吸引可能で、開口部330,331,332以外の部分では吸引不可である。第1吸引調整プレート33においては
図5に示すように、開口部330,332は高坪量部対応部41に対応する部分に配され、開口部331は低坪量部対応部42に対応する部分に配されている。第1低坪量開口部331は、ドラム軸方向Y1の両端部に配されたサイド開口部331Aと、ドラム軸方向Y1の中央部に配され、開口部331Aに比べて開口面積が小さい中央開口部331Bとを含む。以下では、両開口部331A,331Bを総称して「開口部331」ともいい、特に断らない限り、開口部331についての説明は両開口部331A,331Bに適用される。第1吸引調整プレート33における高坪量部対応部41に対応する部分のドラム軸方向Y1の中央部には、第1凹部底面形成プレート34に対応する中高開口部332が配されており、中高開口部332を挟んでドラム軸方向Y1の両側に中高サイド開口部330が配されている。
第2吸引調整プレート35は、バキュームエアが通過可能であり、ドラム周方向X1方向に長い複数の開口部350,351を有する非通気性部材からなり、開口部350,351でのみ吸引可能で、開口部350,351以外の部分では吸引不可である。第2吸引調整プレート35においては
図5に示すように、第2高坪量開口部350は高坪量部対応部41に対応する部分に配され、第2低坪量開口部351は低坪量部対応部42に対応する部分に配されている。
【0049】
中高サイド開口部330と第2高坪量開口部350とは1対1で対応している(
図5参照)。また第1低坪量開口部331と第2低坪量開口部351とは1対1で対応している(
図5参照)。すなわち、
図5に示す如き集積用凹部40の平面視において、高坪量部対応部41では、第1吸引調整プレート33の中高サイド開口部330と第2吸引調整プレート35の第2高坪量開口部350とが1対1で重なり、低坪量部対応部42では、第1吸引調整プレート33の第1低坪量開口部331(331A,331B)と第2吸引調整プレート35の第2低坪量開口部351とが1対1で重なっている。
また、この両吸引調整プレート33,35の1対1で重なる開口部どうしは、平面視形状が互いに相似の関係にある。具体的には、固定ドラム2から相対的に近い第1吸引調整プレート33の開口部330,331の方が、固定ドラム2から相対的に遠い第2吸引調整プレート35の開口部350,351に比べて、開口面積が小さい。
【0050】
このようなバキュームエアの通過方向(回転ドラム3の半径方向)で互いに相似の関係にある複数の開口部が存在する部分におけるバキュームエアの流量(吸引風量)は、該複数の開口部のうち、相対的に開口面積が小さい開口部(以下、「小開口部」ともいう。)の影響を受け、該小開口部が無く、相対的に開口面積が大きい開口部(以下、「大開口部」ともいう。)のみが存在する場合に比べて低減される。
例えば、中高サイド開口部330(小開口部)と第2高坪量開口部350(大開口部)とを結ぶバキュームエアの流路では、該流路に中高サイド開口部330(小開口部)が無く開口部350のみが存在する場合に比べて、吸引風量が低減される。また、第1低坪量開口部331(331A,331B)(小開口部)と第2低坪量開口部351(大開口部)とを結ぶバキュームエアの流路では、該流路に第1低坪量開口部331が無く第2低坪量開口部351のみが存在する場合に比べて、吸引風量が低減される。
【0051】
このように、前記吸引調整体は、バキュームエアの通過方向(回転ドラム3の半径方向)で重なり且つ互いに相似の関係にある複数の開口部を含んで構成され、該複数の開口部を通過するバキュームエアの流量を、該吸引調整体(該複数の開口部)の設置前に比べて低減させることができる。前記吸引調整体によれば、固定ドラム2と集積用凹部40との間を通過するバキュームエアの複数の流路に対応する複数の開口部の開口面積を個別に調整することができるので、流れ方向MD(回転ドラム3の回転方向R1)及びこれに直交する方向CD(ドラム軸方向Y1)の双方において、集積用凹部40の吸引風量を部分的に異ならせることができる。
【0052】
本実施形態では、
図5に示すように、低坪量部対応部42に開口面積が異なる2種類の小開口部として第1低坪量開口部331A,331Bが存在し、低坪量部対応部42のドラム軸方向Y1の両端部(一対のリングプレート38,38に隣接する部分)に、相対的に開口面積が大きいサイド開口部331Aが配され、低坪量部対応部42のドラム軸方向Y1の中央部に、相対的に開口面積が小さい中央開口部331Bが配されている。したがって、低坪量部対応部42では、吸引風量について「ドラム軸方向Y1の端部>ドラム軸方向Y1の中央部」の大小関係が成立している。
【0053】
一方高坪量部対応部41では、ドラム軸方向Y1の中央部(第1凹部底面形成プレート34の配置部であり、中高部11Aを形成する部分)は、前記吸引調整体が配されていない。これに対し、高坪量部対応部41におけるドラム軸方向Y1の両端部は、前述した中高サイド開口部330(小開口部)と第2高坪量開口部350(大開口部)とが配された部分であり、これら小開口部及び大開口部を結ぶバキュームエアの流路に中高サイド開口部330が無く第2高坪量開口部350のみが存在する場合に比べて吸引風量が低減されている。したがって、高坪量部対応部41では、吸引風量について「ドラム軸方向Y1の中央部>ドラム軸方向Y1の端部」の大小関係が成立している。
【0054】
本実施形態の集積用凹部40は、高坪量部対応部41が、低坪量部対応部42よりも、吸引を可能にする開口の開口面積率が高い。斯かる開口面積率は、前述した吸引調整体(2枚の吸引調整プレート33,35)が有する開口部の開口面積である。
吸引調整体(2枚の吸引調整プレート33,35)が、小開口部と大開口部とを結ぶバキュームエアの流路を形成する場合は、開口部の開口面積率は、小開口部の開口面積率とする。
【0055】
本実施形態の集積用凹部40は、吸引調整体の開口面積率について、「高坪量部対応部41>低坪量部対応部42」の大小関係(1)が成立している。より詳細には、「高坪量部対応部41>低坪量部対応部42のドラム軸方向Y1の端部>低坪量部対応部42のドラム軸方向Y1の中央部」の大小関係が成立している。
これにより本実施形態では、吸引風量(バキュームエアの流量)について、「高坪量部対応部41>低坪量部対応部42のドラム軸方向Y1の端部>低坪量部対応部42のドラム軸方向Y1の中央部」の大小関係が成立しており、この順で繊維材料が積繊されやすくなっている。より具体的には本実施形態では、吸引風量について、「高坪量部対応部41のドラム軸方向Y1の中央部>高坪量部対応部41のドラム軸方向Y1の端部>低坪量部対応部42のドラム軸方向Y1の端部>低坪量部対応部42のドラム軸方向Y1の中央部」の大小関係、又は「高坪量部対応部41のドラム軸方向Y1の中央部>高坪量部対応部41のドラム軸方向Y1の端部=低坪量部対応部42のドラム軸方向Y1の端部>低坪量部対応部42のドラム軸方向Y1の中央部」の大小関係が成立し得る。
【0056】
高坪量部11をより効率的に形成する観点から、高坪量部対応部41における開口部の開口面積率は、好ましくは40%以上100%以下、より好ましくは50%以上90%以下である。斯かる開口面積率は、高坪量部対応部41の吸引調整体における開口部の合計開口面積を、高坪量部対応部41の面積で除して算出する。
高坪量部対応部41のうち、中高部11Aを形成する中高部対応部における開口部の開口面積率は、好ましくは50%以上100%以下、より好ましくは60%以上90%以下である。斯かる開口面積率は、中高部対応部の吸引調整体における開口部の合計開口面積を、中高部対応部の面積で除して算出する。
低坪量部12の坪量をより均一化する観点から、低坪量部対応部42における開口部の開口面積率は、好ましくは20%以上70%以下、より好ましくは30%以上60%以下である。斯かる開口面積率は、低坪量部対応部42の吸引調整体における開口部の合計開口面積を、低坪量部対応部42の面積で除して算出する。
【0057】
前述した構成の回転ドラム3が回転し、回転ドラム3の外周部3Sの集積用凹部40が積繊領域S(
図3参照)を通過中に、ダクト51によって供給された繊維材料を含む原材料が集積用凹部40内に積繊されることで、集積用凹部40内に吸収体10が形成される。本実施形態の製造装置1は、ダクト51内のダクト接続部50uが、一対の仕切り板43,43間の空気流絞り部C2と空気流非絞り部C1とを有し、且つ高坪量部対応部41及び低坪量部対応部42の開口面積率が前記の大小関係(1)を満たしているので、集積用凹部40への原材料の積繊に際し、高坪量部対応部41に繊維材料を集中して供給させつつ、低坪量部対応部42にも繊維材料を均一に供給することができる。
より詳細には、ダクト51内において生じたバキュームエアが、法線方向供給部50sから積繊領域Sに向かって流れるとき、一対の仕切り板43,43間の空気流絞り部C2を介して該仕切り板43直下の積繊領域Sに向かう気流f2と、空気流非絞り部C1を介して周方向供給部50tの下流側端部に向かう気流f1とが生じる(
図7参照)。これにより、空気流絞り部C2を介した気流f2は、積繊領域Sにおけるドラム軸方向Y1の中央部(中高部対応部等)の開口部に吸引されるので、該中央部に繊維材料を効率的に集中させることができる。一方、空気流非絞り部C1を介した気流f1は、仕切り板43よりも下流側の周方向供給部50tにて、積繊領域Sにおけるドラム軸方向Y1全体に繊維材料を供給する(
図8参照)。この気流f1によって供給された繊維材料は、集積用凹部40において、開口面積率が低坪量部対応部42よりも大きい高坪量部対応部41に優先して吸引されつつ、集積用凹部40のドラム軸方向Y1の両端部側や、低坪量部対応部42にも繊維材料を供給することができる。その結果、高坪量部対応部41に繊維材料を効率的に偏在させつつ、低坪量部対応部42に均一に繊維材料を供給することができる。
このようにして、本実施形態の製造装置1は、繊維材料を偏在させた高坪量部11を効率的に形成しつつ、坪量の均一性が高い低坪量部12を形成することができる。
【0058】
一方、ダクト51内のダクト接続部50uに空気流絞り部C2のみが存在する場合、すなわちダクト接続部50uにおいて仕切り板43とダクト51の天面部55との間に間隔(隙間)がない場合、空気流絞り部C2を介した気流f2が、周方向供給部50tの下流側端部まで流れる。斯かる気流f2は、ドラム軸方向Y1の中央部において下流側まで流れるので、該中央部の両側に繊維材料が供給され難くなる。これにより、低坪量部対応部42への繊維材料の供給量がばらつく虞がある。
【0059】
空気流非絞り部C1を介した気流f1をより確実に生じさせる観点から、繊維材料の供給方向に沿うダクト51の断面視において、空気流絞り部C2の幅W3(
図3参照)は、法線方向供給部50sの幅W1(
図3参照)の好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。法線方向供給部50sの幅W1は、法線方向供給部50sにおけるダクト51の底面部54と天面部55との間の長さである。空気流絞り部C2の幅W3(
図3参照)は、ドラム周方向X1における仕切り板43の最小長さとする。本実施形態における斯かる最小長さは、仕切り板43の上縁部433の長さである。
空気流絞り部C2を介した気流f2をより確実に生じさせる観点から、空気流絞り部C2の幅W3(
図3参照)は、法線方向供給部50sの幅W1(
図3参照)の好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上である。
【0060】
空気流非絞り部C1を介した気流f1をより確実に生じさせる観点から、仕切り板43の高さH3(
図3参照)は、周方向供給部50tの高さH1の好ましくは200%以上400%以下、より好ましくは250%以上350%以下である。仕切り板43の高さH3は、上縁部433とドラム対向辺縁部435との間の最大長さである。周方向供給部50tの高さは、周方向供給部50tにおける天面部55と側面部53の下端との間の最小長さである。
【0061】
本実施形態の仕切り板43は、前述したように、側面視において台形形状を有している(
図3及び
図7参照)。斯かる仕切り板43は、下流側縁部431が直線状となっており、繊維材料の供給方向に向かって、下流側縁部431が、上流側縁部432から離れるように傾斜している。これにより、側面視における仕切り板43の幅は、繊維材料の供給方向の下流側に向かって漸次増大している。斯かる構成は、空気流非絞り部C1を介した気流f1をドラム軸方向Y1に阻害することを抑制して、周方向供給部50tにてドラム軸方向Y1全体に繊維材料をより均一に供給させる点で好ましい。
上記の効果をより確実に奏させる観点から、下流側縁部431とドラム対向辺縁部435との間の角度θ1(
図3参照)は、好ましくは10°以上30°以下、より好ましくは15°以上25°以下である。
【0062】
本実施形態の製造装置1では、繊維材料の偏在の程度が大きい吸収体を得るための工夫の1つとして、積繊領域Sにおける集積用凹部40の搬送路を、その搬送方向(ドラム周方向X1)に複数の領域S1,S2に区分し、各領域S1,S2の積繊方法を互いに異ならせている。具体的には、製造装置1の積繊領域Sは、高坪量部対応部41に優先的に繊維材料を積繊させる高坪量部優先積繊領域S1と、高坪量部対応部41及び低坪量部対応部42の双方に繊維材料を積繊させる全面的積繊領域S2とを、ドラム周方向X1に有する。
【0063】
本実施形態では、
図3及び
図6に示すように、空間Aに対応する領域が高坪量部優先積繊領域S1、空間Bに対応する領域が全面的積繊領域S2とされ、回転ドラム3の回転方向R1すなわち流れ方向MDにこの順で配されている。
なお、本実施形態の吸収体の製造装置では、両領域S1,S2の位置は特に制限されず、図示の形態とは逆に、流れ方向MDの上流側から下流側に向かって、全面的積繊領域S2、高坪量部優先積繊領域S1の順で配されていてもよい。
【0064】
本実施形態では、高坪量部優先積繊領域S1と全面的積繊領域S2とでバキュームエアの制御方法を互いに異ならせることで、両領域S1,S2の積繊方法を互いに異なるものとしている。
この両領域S1,S2のバキュームエアの制御方法について説明すると、前述したとおり
図4及び
図6に示すように、バキュームエアの発生源(吸引源)である固定ドラム2の外周部2Sには、領域S1に対応し、制御体開口部26を部分的に有する吸引制御体25を含む選択的吸引領域23と、領域S2に対応し、集積用凹部40に対応する部分の全域が開口している全面的吸引領域24とが配されている。また、回転ドラム3における固定ドラム2の外周部2Sとの対向部分であるドラム本体3Aの外周部3ASには、集積用凹部40の一部である低坪量部対応部42に対応し、非通気性の開口部閉鎖部材30を含む吸引阻害部31と、集積用凹部40の他の一部である高坪量部対応部41に対応し、開口部閉鎖部材30が配されておらず、該外周部3ASを厚み方向に貫通する貫通孔からなる吸引非阻害部32とが配されている。そして、回転ドラム3が回転方向R1(
図2参照)に回転すると、集積用凹部40は積繊領域Sを領域S1、領域S2の順に移動する。
図9には、低坪量部対応部42の領域S1,S2での吸引状態、
図10には、高坪量部対応部41の領域S1,S2での吸引状態がそれぞれ示されている。
図9及び
図10中の矢印はバキュームエアを示している。
図9(a)及び
図10(a)は、領域S1(固定ドラム2の外周部2Sの選択的吸引領域23)での吸引状態、
図9(b)及び
図10(b)は、領域S2(固定ドラム2の外周部2Sの全面的吸引領域24)での吸引状態を示している。
【0065】
集積用凹部40が領域S1を通過中の場合、低坪量部対応部42では、固定ドラム2の選択的吸引領域23の制御体開口部26に回転ドラム3の開口部閉鎖部材30が重なることで制御体開口部26が閉鎖されるが〔
図9(a)参照〕、高坪量部対応部41では、制御体開口部26は閉鎖されない〔
図10(a)参照〕。
したがって集積用凹部40が領域S1を通過中、低坪量部対応部42では、バキュームエアが制御体開口部26をほとんど通過できないため、繊維材料の積繊が実質的に行われず、高坪量部対応部41では、バキュームエアが制御体開口部26を通過可能であるため、繊維材料の吸引が可能で積繊が行われる。このように、領域S1では低坪量部対応部42の吸引を選択的に阻害するようになされている。前記の「低坪量部対応部42では、バキュームエアが制御体開口部26をほとんど通過できない」とは、具体的には、集積用凹部40が領域S1を通過中において、高坪量部対応部41の吸引風量に対する低坪量部対応部42の吸引風量の割合が好ましくは25%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは5%以下であることを指す。
一方、集積用凹部40が領域S2を通過中の場合、領域S2に対応する固定ドラム2の全面的吸引領域24が、吸引制御体25の如き非通気性部材を含まず、該領域24における集積用凹部40に対応する部分の全域が開口しているため、低坪量部対応部42及び高坪量部対応部41の双方で、バキュームエアによる繊維材料の吸引が可能で積繊が行われる〔
図9(b)及び
図10(b)参照〕。
【0066】
本実施形態ではこのように、固定ドラム2の制御体開口部26と回転ドラム3の開口部閉鎖部材30との回転ドラム3の回転に伴う周期的な重なりを利用して、積繊領域Sの一部である高坪量部優先積繊領域S1にて、低坪量部対応部42に関わるバキュームエアの流れのみを選択的に阻害することで、高坪量部対応部41への集中的な繊維材料の積繊を可能にしている。これにより領域S1では、高坪量部対応部41に優先的に繊維材料が積繊される。典型的には、領域S1では実質的に、高坪量部対応部41のみに繊維材料が積繊し、低坪量部対応部42には繊維材料が全く積繊しないか、積繊したとしても高坪量部対応部41に比べて極少量である。
【0067】
本実施形態では前述したとおり、高坪量部優先積繊領域S1において高坪量部対応部41に優先的に繊維材料を積繊させるために、低坪量部対応部42に関わるバキュームエアの流路として機能する固定ドラム2の外周部2S(選択的吸引領域23)の制御体開口部26に、回転ドラム3の回転を利用して開口部閉鎖部材30を周期的に重ねることで、制御体開口部26を周期的に閉鎖するところ〔
図9(a)参照〕、この開口部閉鎖部材30による制御体開口部26の閉鎖の際に、開口部閉鎖部材30と固定ドラム2の外周部2Sとが接触するように設計されていると、これらの部材が接触する度に摩耗していき、比較的短時間で故障するなどの不都合が生じることが懸念される。
【0068】
そこで本実施形態では、
図9(a)に示すように、高坪量部優先積繊領域S1において、選択的吸引領域23の制御体開口部26に開口部閉鎖部材30を重ねた状態(平面視で両部材26,30どうしが重なった状態)で、該制御体開口部26の周縁部(典型的には、固定ドラム2の外周部2Sにおける制御体開口部26から3mm以内の領域)と該開口部閉鎖部材30との間に隙間G〔
図9(a)中、〇で囲んだ部分〕が存在するようになされており、これにより前記懸念を払拭している。
隙間Gは、これを設けることによる効果を得つつ、隙間Gが大きすぎることによる不都合を防止する観点から、好ましくは0mmよりも大きく3mm以下、より好ましくは0mmよりも大きく2mm以下である。
【0069】
繊維材料の偏在の程度が大きい吸収体をより効率的に得る観点から、本実施形態の製造装置1では、積繊領域Sに積繊方法の異なる前記の複数の領域S1,S2を配置するだけでなく、その複数の領域S1,S2どうしで、集積用凹部40の各部のバキュームエアの流量の差(吸引風量差)を異ならせている。具体的には製造装置1では、領域S1は、領域S2に比べて、高坪量部対応部41と低坪量部対応部42との吸引風量差が大きくなされている。したがって、高坪量部対応部41の吸引風量を41V、低坪量部対応部42の吸引風量を42Vとした場合、積繊領域Sでは、両者の吸引風量の割合(41V/42V)について「領域S1>領域S2」の大小関係が成立し、領域S1で高坪量部対応部41に優先的に繊維材料が積繊される。
製造装置1では、前述した2つの特徴的な構成、すなわち、「積繊領域Sが流れ方向MDに複数の領域S1,S2に区分される」(構成1)及び「領域S1の吸引風量の割合(41V/42V)が領域S2のそれに比べて大きい」(構成2)の採用により、高坪量部対応部41に繊維材料を集中的に積繊させて、繊維材料の偏在の程度が大きい吸収体の製造を可能にしている。
【0070】
本実施形態では、前記吸引調整体の採用により、少なくとも領域S1において高坪量部対応部41と低坪量部対応部42とで吸引風量について前者>後者の大小関係が成立していて、吸引風量の割合(41V/42V)>1であり、これに加えて、前記構成2を実現して、領域S1で高坪量部対応部41に優先的に繊維材料を積繊する手段として、前述したように、「固定ドラム2におけるバキュームエアが通過する開口部(制御体開口部26)を、領域S1では、高坪量部対応部41に対応する部分は吸引を阻害せずに、低坪量部対応部42に対応する部分のみ吸引を阻害し、領域S2では、両対応部41,42に対応する部分は吸引を阻害しない」という、バキュームエアを利用した制御方法を採用しているため、自ずと、領域S1の吸引風量の割合(41V/42V)が領域S2のそれに比べて大きくなっており、前記1)及び2)の構成が一体的に採用されている。
なお、領域S2では、高坪量部対応部41と低坪量部対応部42との吸引風量差はゼロでもよい。これを踏まえて、本発明の吸収体の製造装置の好ましい一実施形態として、領域S1では、高坪量部対応部41の少なくとも一部の吸引風量は低坪量部対応部42の吸引風量に比べて大きく、すなわち「(41V/42V)>1」の大小関係が成立し、領域S2では、高坪量部対応部41の少なくとも一部の吸引風量は低坪量部対応部42の吸引風量と同等以上である、すなわち「(41V/42V)≧1」の大小関係が成立する形態が挙げられる。
【0071】
前記構成2に関し、領域S1の吸引風量の割合(41V/42V)と領域S2のそれとの差を調整する方法としては、例えば、前述した構成の製造装置1において、低坪量部対応部42に対応する部分の制御体開口部26の、開口部閉鎖部材30による閉鎖の程度を調整する方法が挙げられる。この「制御体開口部26の閉鎖の程度」の調整は、例えば、制御体開口部26及び/又は開口部閉鎖部材30の平面視での大きさ、あるいは前述した両部材26,30の隙間G〔
図9(a)参照〕を適宜調整することで調整可能である。
【0072】
領域S1の吸引風量の割合(41V/42V)と領域S2の吸引風量の割合(41V/42V)との比率は、前者>後者を前提として、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、そして、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下である。
領域S1の吸引風量の割合(41V/42V)は、好ましくは20以上、より好ましくは30以上、そして、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下である。
領域S2の吸引風量の割合(41V/42V)は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは5以下である。
【0073】
集積用凹部40の各部の吸引風量(バキュームエアの流量)は、高温用アネモマスター(登録商標)風速計(日本カノマックス(株)、Model 6162)によって測定することができる。前記測定装置を用いて風速を測定した後、吸引の断面積から吸引流量を算出する。
高坪量部対応部41の吸引風量41Vは、製造装置1の高坪量部対応部41に対応する第1凹部底面形成プレート34上での吸引風量の測定値、低坪量部対応部42の吸引風量42Vは、製造装置1の低坪量部対応部42に対応する第2凹部底面形成プレート36上での吸引風量の測定値である。
【0074】
本実施形態では、高坪量部対応部41の少なくとも一部は、低坪量部対応部42に比べて凹部深さが深い。具体的には本実施形態では、
図10及び
図11に示すように、高坪量部対応部41のドラム軸方向Y1の中央部(吸収体10の中高部11Aを形成する部分)は、低坪量部対応部42及び高坪量部対応部41における該中央部以外の部分(高坪量部対応部41のドラム軸方向Y1の両端部)の双方に比べて、凹部深さが深い。すなわち、高坪量部対応部41のドラム軸方向Y1の中央部の底面を形成する第1凹部底面形成プレート34は、低坪量部対応部42及び高坪量部対応部41における該中央部以外の部分の底面を形成する第2凹部底面形成プレート36に比べて、固定ドラム2に近い側に位置している。前記「凹部深さ」とは、集積用凹部40を挟んでドラム軸方向Y1の両側に位置する部材の外面と集積用凹部40の底面との離間距離を指し、本実施形態では、該部材はリングプレート38である。
このように、高坪量部対応部41の少なくとも一部が低坪量部対応部42に比べて凹部深さが深いことは、
図1に示す吸収体10の如き偏在吸収体における繊維材料の偏在の程度を大きくする点で有用である。
【0075】
「吸収体における繊維材料の偏在の程度を大きくする」という課題解決の観点からは、高坪量部優先積繊領域S1での積繊時間を比較的長くすることが有効であるが、領域S1での積繊時間が長くなると、通常はその分、全面的積繊領域S2での積繊時間が短くなって低坪量部12(
図1参照)への繊維材料の積繊が不十分となり、本発明のもう1つの課題である「吸収体の低坪量部の坪量の均一性」の点で不利となるおそれがある。こうした点を考慮すると、領域S1のドラム周方向X1の長さは、積繊領域S(回転ドラム3の外周部3Sにおけるダクト51で覆われた部分)のドラム周方向X1の長さに対して、好ましくは2/3以下、より好ましくは1/2以下である。すなわち、積繊領域Sの全長に占める領域S1の全長の比率は、およそ70%以下が好ましい。一方、斯かる比率の下限は、繊維材料の偏在の程度が大きい吸収体を確実に得る観点から、好ましくは1/8以上、より好ましくは1/4以上である。
なお、領域S1は、固定ドラム2の外周部2Sの選択的吸引領域23に対応し、また領域Sは、固定ドラム2の外周部2Sの選択的吸引領域23及び全面的積繊領域S2に対応するので、両領域23,24それぞれのドラム周方向X1の全長の合計に占める、選択的吸引領域23のドラム周方向X1の全長の比率も、前記範囲にあることが好ましい。
【0076】
本実施形態では、高坪量部優先積繊領域S1及び全面的積繊領域S2は、個別にバキュームエアの流量(吸引風量)を調整可能になされている。具体的には、本実施形態では前述したとおり、固定ドラム2の内部がドラム周方向X1に複数の空間A~Cに区分され、その複数の空間A~Cの負圧(吸引力)が、固定ドラム2に接続された減圧機構(図示せず)によりそれぞれ独立に調整可能になされているとともに、空間Aが領域S1に対応し、空間Bが領域S2に対応しているので(
図3参照)、該減圧機構を操作することで、領域S1,S2の吸引風量を個別に調整可能である。
このように領域S1,S2の吸引風量が個別に調整可能であると、例えば、吸引風量について「領域S1>領域S2」の大小関係を成立させることができ、この大小関係と前記構成1及び2との相乗効果により、吸収体における繊維材料の偏在の程度を一層大きくすることが可能となる。
【0077】
仕切り板43は、ドラム周方向X1において高坪量部優先積繊領域S1内に位置することが好ましい(
図3参照)。斯かる構成により、一対の仕切り板43で挟まれた空気流絞り部C2によって、高坪量部優先積繊領域S1に繊維材料を効率的に供給することができ、繊維材料の偏在の程度を一層大きくすることが可能となる。
上記の効果をより確実に奏させる観点、及び繊維材料を空気流絞り部C2により集中させる観点から、ドラム周方向X1における仕切り板43のドラム対向辺縁部435の長さは、ドラム周方向X1における高坪量部優先積繊領域S1の長さの好ましくは50%以上100%以下であり、より好ましくは60%以上90%以下である。
【0078】
本実施形態の製造装置1は、繊維材料の供給方向における周方向供給部50tの下流側端部に、回転ドラム3の外周部3Sに対向配置されたスカッフィングロール45を備えている(
図2及び
図3参照)。このスカッフィングロール45により、本実施形態の製造装置1は、高坪量部対応部41に積繊した繊維材料を掻き取り、掻き取った繊維材料を低坪量部対応部42に再積繊するようになされている。これにより、偏在吸収体における低坪量部12の坪量の均一性をより向上できる。
【0079】
次に、上述した製造装置1を用いた吸収体の製造方法を説明する。
先ず、積繊工程を行う。積繊工程は、
図2及び
図3に示すように、回転ドラム3を固定ドラム2の外周部2Sの周りに回転させつつ、回転ドラム3の外周部3Sに対して繊維材料を飛散状態にて供給し、ドラム周方向X1の所定の積繊領域Sにて集積用凹部40に積繊させる工程である。次いで、前記積繊工程の後、高坪量部対応部41に積繊した繊維材料を回転ドラム3の外周部3Sに対向配置されたスカッフィングロール45を用いて掻き取り、掻き取った繊維材料を低坪量部対応部42に再積繊する工程を行う。
【0080】
前記積繊工程は、ダクト接続部50uにおいて、空気流絞り部C2及び空気流非絞り部C1を介して、繊維材料を集積用凹部40に供給する接続部通過工程を具備する。
接続部通過工程では、空気流絞り部C2を介した気流f2、及び空気流非絞り部C1を介した気流f1によって、繊維材料が積繊領域Sに供給される(
図7参照)。そして積繊領域Sに供給された繊維材料は、低坪量部対応部42と、該低坪量部対応部42よりも開口面積率が高い高坪量部対応部41とに積繊される。
【0081】
前記積繊工程は、低坪量部対応部42よりも、高坪量部対応部41に優先的に繊維材料を積繊させる高坪量部優先積繊工程と、積繊領域Sにおける該高坪量部優先積繊工程の実施領域とは異なる領域で実施され、高坪量部対応部41及び低坪量部対応部42の双方に繊維材料を積繊させる全面積繊工程とを有している。
製造装置1を用いた製造方法では、前記高坪量部優先積繊工程は、高坪量部優先積繊領域S1で実施され、前記全面積繊工程は、全面的積繊領域S2で実施される(
図3、
図6図9及び
図10参照)。
そして、前記高坪量部優先積繊工程では、前記全面積繊工程に比べて、高坪量部対応部41と低坪量部対応部42とのバキュームエアの流量(吸引風量)の差を大きくする。この点についても、製造装置1の説明で述べたとおりである。
以上の工程を有する本発明の製造方法によれば、
図1に示す吸収体10の如き、繊維材料の偏在の程度が大きく、且つ低坪量部の坪量が均一な吸収体が得られる。
【0082】
本実施形態の製造方法において、前記の2工程の実施順序は特に制限されず、全面積繊工程、高坪量部優先積繊工程の順で実施してもよいが、前述した一又は二の効果をより確実に奏させるようにする観点から、高坪量部優先積繊工程、全面積繊工程の順で実施することが好ましい。製造装置1を用いた製造方法では、この好ましい順で実施される(
図6参照)。
【0083】
前記積繊工程において、低坪量部対応部42の吸引風量は、ドラム軸方向Y1において均一でもよく、不均一でもよい。どちらも、偏在吸収体の低坪量部の坪量を均一にする目的で採用され得る。
例えば、前述した仕切り板43を使用した場合、繊維材料は集積用凹部40のドラム軸方向Y1の中央部に集中的に積繊され、ドラム軸方向Y1の両端部には実質的に積繊されないため、そのままでは、低坪量部対応部42は、本発明の目的に反して、繊維材料の坪量が不均一になってしまう。そこで、仕切り板43を使用する場合は、集積用凹部40における仕切り板43によって繊維材料の供給が阻害される部分である、ドラム軸方向Y1の両端部の吸引風量を、仕切り板43によって繊維材料の供給が阻害されない部分である、ドラム軸方向Y1の中央部に比べて大きくすることで、繊維材料の偏在の程度を一層大きくしつつ、低坪量部の坪量の均一性を確保することが可能となる。
製造装置1では、前述したとおり
図5に示すように、回転ドラム3に、吸引風量を調整する吸引調整体として、回転ドラム3の半径方向に重なる2枚の吸引調整プレート33,35が配されており、この吸引調整体により、低坪量部対応部42の吸引風量について、「低坪量部対応部42のドラム軸方向Y1の端部>低坪量部対応部42のドラム軸方向Y1の中央部」の大小関係が成立しているので、製造装置1を用いた製造方法では、前記積繊工程において、低坪量部対応部42のドラム軸方向Y1の中央部の吸引風量は、低坪量部対応部42のドラム軸方向Y1の両端部の吸引風量に比べて小さくなる。
【0084】
また前記積繊工程において、高坪量部対応部41の吸引風量は、ドラム軸方向Y1において均一でもよく、不均一でもよい。高坪量部における繊維材料の坪量が不均一な吸収体を製造する場合、典型的には、高坪量部対応部41の吸引風量は、ドラム軸方向Y1において不均一に設定される。
例えば、
図1に示す吸収体10の高坪量部11は、一方向(縦方向X)と直交する方向(横方向Y)の両端部である標準坪量部11Bが、該標準坪量部11Bに挟まれた中央部の中高部11Aに比べて、繊維材料の坪量が少ないところ、吸収体10を製造する場合、前記積繊工程では、繊維材料の坪量が不均一な高坪量部11に対応して、高坪量部対応部41のドラム軸方向Y1の両端部(標準坪量部11Bに対応する部分)の吸引風量を、高坪量部対応部41のドラム軸方向Y1の中央部の吸引風量に比べて小さくする。
製造装置1では、前述したとおり
図5に示すように、回転ドラム3に、吸引風量を調整する吸引調整体として、回転ドラム3の半径方向に重なる2枚の吸引調整プレート33,35が配されており、この吸引調整体により、集積用凹部40の吸引風量(開口面積率)について、「高坪量部対応部41のドラム軸方向Y1の中央部(中高部11Aを形成する中高部対応部)>高坪量部対応部41のドラム軸方向Y1の両端部」の大小関係が成立している。これにより製造装置1を用いた製造方法では、前記積繊工程において、高坪量部対応部41のドラム軸方向Y1の両端部の吸引風量は、高坪量部対応部41のドラム軸方向Y1の中央部の吸引風量に比べて小さくなる。
【0085】
前記積繊工程においては、繊維材料の偏在の程度が大きい吸収体を安定的に製造する観点から、典型的には、高坪量部対応部41の少なくとも一部の吸引風量は、低坪量部対応部42の吸引風量に比べて大きく設定される。
例えば、高坪量部対応部41において吸引風量が最大の部分(例えば、高坪量部対応部41のドラム軸方向Y1の中央部)の吸引風量を100%とした場合、集積用凹部40の各部の吸引風量は以下のように設定することができる。
高坪量部対応部41において吸引風量が最大の部分以外の部分(例えば、高坪量部対応部41のドラム軸方向Y1の端部)の吸引風量は、好ましくは5~50%、より好ましくは10~40%である。
低坪量部対応部42のドラム軸方向Y1の端部の吸引風量は、好ましくは10~50%、より好ましくは15~40%である。
低坪量部対応部42のドラム軸方向Y1の中央部の吸引風量は、好ましくは5~50%、より好ましくは10~30%である。
【0086】
前記積繊工程においては、繊維材料の偏在の程度が大きい吸収体を安定的に製造する観点から、前記高坪量部優先積繊工程において、高坪量部対応部41の少なくとも一部の吸引風量は、低坪量部対応部42の吸引風量に比べて大きくすることが好ましい。また、前記全面積繊工程において、高坪量部対応部41の少なくとも一部の吸引風量を、低坪量部対応部42の吸引風量と同等以上にすることが好ましい。すなわち、高坪量部対応部41の吸引風量を41V、低坪量部対応部42の吸引風量を42Vとした場合、前記高坪量部優先積繊工程が実施される高坪量部優先積繊領域S1では「(41V/42V)>1」の大小関係が成立し、全面積繊工程が実施される全面的積繊領域S2では「(41V/42V)≧1」の大小関係が成立することが好ましい。
【0087】
前記高坪量部優先積繊工程と前記全面積繊工程とで、集積用凹部40に対する繊維材料の供給量を異ならせてもよい。例えば、集積用凹部40に対する繊維材料の供給量について、「高坪量部優先積繊工程>全面積繊工程」の大小関係が成立するように設定することができ、これにより、前述した本発明の特徴的な構成による作用効果と相俟って、吸収体における繊維材料の偏在の程度を一層大きくすることが可能となる。
高坪量部優先積繊工程と全面積繊工程とで集積用凹部40に対する繊維材料の供給量を異ならせる方法としては、例えば、ダクト51の内部(繊維材料を含む原材料の供給路50)に仕切り部材を配置するなどして、該内部を、高坪量部優先積繊工程が実施される高坪量部優先積繊領域S1に対応する部分と、全面積繊工程が実施される全面的積繊領域S2に対応する部分とに分け、両部分で繊維材料の供給量を互いに異ならせる方法が挙げられる。
【0088】
前記高坪量部優先積繊工程において、集積用凹部40に吸水性ポリマーを供給してもよい。製造装置1は、前述したとおり
図2及び
図3に示すように、ダクト51に吸水性ポリマー粒子を供給路50内に導入する吸水性ポリマー導入部59が配されており、これを用いて集積用凹部40に吸水性ポリマーを供給することで、吸水性ポリマーを含有する吸収体が得られる。
【0089】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、前述した実施形態において仕切り板43は、側面視において下流側縁部431が直線状となっていたが、
図12に示すように、下流側縁部431が曲線状となっていてもよい。斯かる構成は、下流側縁部431が直線状である形態よりも、空気流非絞り部C1を介した気流f1を阻害せず、当該気流f1を周方向供給部50tの下流側により円滑に流すことができる点で好ましい。下流側縁部431が曲線状である場合、前述の下流側縁部431とドラム対向辺縁部435との間の角度θ1(
図3参照)は、上縁部433の下流側端縁とドラム対向辺縁部435の下流側端縁とを結ぶ直線と、ドラム対向辺縁部435との間の角度として適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
10 吸収体
11 高坪量部
11A 中高部
11B 標準坪量部
12 低坪量部
1 製造装置
4 集積部
5 原材料供給機構
6 搬送機構
2 固定ドラム
2S 外周部
23 選択的吸引領域
24 全面的吸引領域
25 吸引制御体
26 制御体開口部
3 回転ドラム
3A ドラム本体
3AS 外周部
3B 外層部
3S 外周部
30 開口部閉鎖部材
31 吸引阻害部
32 吸引非阻害部
33 第1吸引調整プレート
34 第1凹部底面形成プレート
35 第2吸引調整プレート
35 吸引調整プレート
36 第2凹部底面形成プレート
37 凹部区画プレート
38 リングプレート
40 集積用凹部
41 高坪量部対応部
42 低坪量部対応部
43 仕切り板
431 下流側縁部
432 上流側縁部
433 上縁部
435 ドラム対向辺縁部
45 スカッフィングロール
50 供給路
50s 法線方向供給部
50t 周方向供給部
50u ダクト接続部
51 ダクト
53 側面部
54 底面部
55 天面部
57 原材料導入部
58 粉砕機
59 吸水性ポリマー導入部
330 中高サイド開口部
331 第1低坪量開口部
332 中高開口部
350 第2高坪量開口部
351 第2低坪量開口部
A 空間
B 空間
C 空間
C1 空気流非絞り部
C2 空気流絞り部
f1 気流
f2 気流
G 隙間
R1 回転ドラムの回転方向
S 積繊領域
S1 高坪量部優先積繊領域
S2 全面的積繊領域
SP 木材パルプ
X 縦方向
X1 ドラム周方向
Y 横方向
Y1 ドラム軸方向
【手続補正書】
【提出日】2024-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料の坪量が相対的に多い高坪量部と相対的に少ない低坪量部とを一方向に有する吸収体の製造に使用可能な吸収体の製造装置であって、
固定ドラムと、該固定ドラムの外周部周りを回転可能に設けられ、前記繊維材料が積繊される集積用凹部を外周部に有する回転ドラムと、該外周部の一部を覆って該集積用凹部に前記繊維材料を供給する供給路を形成するダクトとを備えており、
前記回転ドラムを回転させつつ、前記ダクト内において該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流に乗って搬送された繊維材料を、前記集積用凹部の底面上に積繊させるようになされており、
前記ダクトは、内部に、ドラム周方向において前記集積用凹部に沿う空間を有する周方向供給部と、該周方向供給部よりも上流側に位置し且つ該周方向供給部に対して法線方向に接続する法線方向供給部とを有し、該周方向供給部の上流側端部が、該法線方向供給部と該法線方向に重なったダクト接続部となっており、
前記ダクトは、前記法線方向供給部から前記周方向供給部の下流側端部まで延びる天面部と、該法線方向供給部において該天面部と対向配置される底面部と、該天面部と該底面部との間であってドラム軸方向の両側に配される一対の側面部とを有しており、
前記周方向供給部は、前記ダクト接続部に、前記集積用凹部を挟んで前記ドラム軸方向の両側に配され且つ前記側面部の内面に密着する一対の仕切り板を有しており、
前記ダクト接続部は、前記空気流が前記一対の仕切り板間に絞られる空気流絞り部、及び該空気流絞り部と前記天面部との間に存在する空気流非絞り部とを有しており、
前記集積用凹部は、前記高坪量部を形成する高坪量部対応部と、前記低坪量部を形成する低坪量部対応部とを前記ドラム周方向に沿って有し、
前記高坪量部対応部は、該低坪量部対応部よりも、前記吸引を可能にする開口の開口面積率が高い、吸収体の製造装置。
【請求項2】
前記繊維材料の供給方向に沿う前記ダクトの断面視において、前記空気流絞り部の幅が、前記法線方向供給部の幅の90%以下である、請求項1に記載の製造装置。
【請求項3】
前記回転ドラムの軸方向から前記仕切り板を視たとき、前記仕切り板は、前記繊維材料の供給方向の下流側の辺縁部が直線状となっている、請求項1又は2に記載の製造装置。
【請求項4】
前記回転ドラムの軸方向から前記仕切り板を視たとき、前記仕切り板は、前記繊維材料の供給方向の下流側の辺縁部が曲線状となっている、請求項1又は2に記載の製造装置。
【請求項5】
前記ドラム周方向において前記繊維材料が前記集積用凹部内に積繊される積繊領域は、前記高坪量部対応部に優先的に繊維材料を積繊させる高坪量部優先積繊領域と、該高坪量部対応部及び前記低坪量部対応部の双方に繊維材料を積繊させる全面的積繊領域とを前記ドラム周方向に有し、
前記高坪量部優先積繊領域は、前記全面的積繊領域に比べて、前記高坪量部対応部と前記低坪量部対応部との前記空気流の流量の差が大きくなされている、請求項1又は2に記載の製造装置。
【請求項6】
前記仕切り板は、前記ドラム周方向において前記高坪量部優先積繊領域内に位置する、請求項5に記載の製造装置。
【請求項7】
積繊装置を用いて、繊維材料の坪量が相対的に多い高坪量部と相対的に少ない低坪量部とを一方向に有する吸収体を製造する、吸収体の製造方法であって、
前記積繊装置は、固定ドラムと、該固定ドラムの外周部周りを回転可能に設けられ、前記繊維材料が積繊される集積用凹部を外周部に有する回転ドラムと、該外周部の一部を覆って該集積用凹部に前記繊維材料を供給する供給路を形成するダクトとを備え、前記回転ドラムを回転させつつ、前記ダクト内において該固定ドラム側からの吸引によって生じた空気流に乗って搬送された繊維材料を、前記集積用凹部の底面上に積繊させるようになされており、
前記ダクトは、内部に、ドラム周方向において前記集積用凹部に沿う空間を有する周方向供給部と、該周方向供給部よりも上流側に位置し且つ該周方向供給部に対して法線方向に接続する法線方向供給部とを有し、該周方向供給部の上流側端部が、該法線方向供給部と該法線方向に重なったダクト接続部となっており、
前記ダクトは、前記法線方向供給部から前記周方向供給部の下流側端部まで延びる天面部と、該法線方向供給部において該天面部と対向配置される底面部と、該天面部と該底面部との間であってドラム軸方向の両側に配される一対の側面部とを有しており、
前記周方向供給部は、前記ダクト接続部に、前記集積用凹部を挟んで前記ドラム軸方向の両側に配され且つ前記側面部の内面に密着する一対の仕切り板を有しており、
前記ダクト接続部は、前記空気流が前記一対の仕切り板間に絞られる空気流絞り部、及び該空気流絞り部と前記天面部との間に存在する空気流非絞り部とを有しており、
前記集積用凹部は、前記高坪量部を形成する高坪量部対応部と、前記低坪量部を形成する低坪量部対応部とを前記ドラム周方向に沿って有し、
前記高坪量部対応部は、該低坪量部対応部よりも、前記吸引を可能にする開口の開口面積率が高くなっており、
前記回転ドラムを前記固定ドラムの外周部周りに回転させつつ、前記ダクトを通じて、該回転ドラムの外周部に対して繊維材料を飛散状態にて供給し、ドラム周方向の所定の積繊領域にて前記集積用凹部に積繊させる積繊工程を具備し、
前記積繊工程は、
前記ダクト接続部において、前記空気流絞り部及び前記空気流非絞り部を介して、前記繊維材料を前記集積用凹部に供給する接続部通過工程を具備する、吸収体の製造方法。
【請求項8】
前記積繊工程は、
前記積繊領域において、前記低坪量部対応部よりも、前記高坪量部対応部に優先的に繊維材料を積繊させる高坪量部優先積繊工程と、前記高坪量部優先積繊工程の実施領域とは異なる領域で実施され、前記高坪量部対応部及び前記低坪量部対応部の双方に繊維材料を積繊させる全面積繊工程とを有し、
前記高坪量部優先積繊工程では、前記全面積繊工程に比べて、前記高坪量部対応部と前記低坪量部対応部との前記空気流の流量の差を大きくする、請求項7に記載の吸収体の製造方法。