IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カルソニックカンセイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-操作パネル 図1
  • 特開-操作パネル 図2
  • 特開-操作パネル 図3
  • 特開-操作パネル 図4
  • 特開-操作パネル 図5
  • 特開-操作パネル 図6
  • 特開-操作パネル 図7
  • 特開-操作パネル 図8
  • 特開-操作パネル 図9
  • 特開-操作パネル 図10
  • 特開-操作パネル 図11
  • 特開-操作パネル 図12
  • 特開-操作パネル 図13
  • 特開-操作パネル 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165194
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】操作パネル
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20241121BHJP
   B60K 35/50 20240101ALI20241121BHJP
   F16B 2/24 20060101ALI20241121BHJP
   H01H 9/02 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B60R13/02 B
B60K37/04
F16B2/24 Z
H01H9/02 K
B60R13/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081127
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉富 輝雄
【テーマコード(参考)】
3D023
3D344
3J022
5G052
【Fターム(参考)】
3D023BB01
3D023BC01
3D023BD12
3D023BE36
3D344AA14
3D344AB01
3D344AC01
3D344AD05
3D344AD13
3J022DA19
3J022EA09
3J022EB02
3J022EC02
3J022FA01
3J022FB08
3J022HA03
3J022HB02
5G052AA40
5G052HB05
5G052HC10
(57)【要約】
【課題】パネル部材の振動及び押込み操作を許容しつつパネル部材を本体部材に保持可能とする。
【解決手段】車両に設けられる操作パネル10は、本体部材32と、車両の車室内に露出するパネル部材14と、パネル部材14に振動を付与する振動装置18と、パネル部材14を本体部材32に保持するクリップ50と、を備え、クリップ50は、本体部材32に取り付けられる本体取付部52と、パネル部材14に取り付けられるパネル取付部54と、本体取付部52に対してパネル取付部54の変位を許容する変位許容部56と、を備え、変位許容部56は、本体取付部52に対して変位してパネル取付部54に取り付けられたパネル部材14の押込みを許容する押込み許容部90と、振動装置18から付与された振動によって本体取付部52に対してパネル取付部54が振動することを許容する振動許容部92と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる操作パネルであって、
本体部材と、
前記車両の車室内に露出するパネル部材と、
前記パネル部材に振動を付与する振動装置と、
前記パネル部材を前記本体部材に保持するクリップと、
を備え、
前記クリップは、
前記本体部材に取り付けられる本体取付部と、
前記パネル部材に取り付けられるパネル取付部と、
前記本体取付部に対して前記パネル取付部の変位を許容する変位許容部と、
を備え、
前記変位許容部は、
前記本体取付部に対して変位して前記パネル取付部に取り付けられた前記パネル部材の押込みを許容する押込み許容部と、
前記振動装置から付与された振動によって前記本体取付部に対して前記パネル取付部が振動することを許容する振動許容部と、
を備える操作パネル。
【請求項2】
請求項1に記載された操作パネルであって、
前記押込み許容部は、前記パネル部材の押込み方向へ変位可能な第1板バネ部を有し、
前記振動許容部は、前記パネル部材の振動方向へ変位可能な第2板バネ部を有する、
操作パネル。
【請求項3】
請求項2に記載された操作パネルであって、
前記本体取付部は、前記本体部材に設けられた第1被嵌合部と嵌合する第1嵌合部を有し、
前記パネル取付部は、前記パネル部材に設けられた第2被嵌合部と嵌合する第2嵌合部を有する、
操作パネル。
【請求項4】
請求項3に記載された操作パネルであって、
前記第2嵌合部は、前記第2板バネ部の端部に設けられるとともに、前記第2板バネ部の幅方向へ突出するように前記第2板バネ部に対してオフセットして設けられている、
操作パネル。
【請求項5】
請求項4に記載された操作パネルであって、
前記第2板バネ部は一対設けられ、前記第2嵌合部は、各第2板バネ部のそれぞれに設けられた挟持部で構成され、
対をなす前記挟持部は、前記第2板バネ部の幅方向において同方向に突出するように当該挟持部が設けられた前記第2板バネ部に対してオフセットして設けられている、
操作パネル。
【請求項6】
請求項5に記載された操作パネルであって、
前記パネル部材は、前記第2板バネ部の長さ方向に対して傾斜して配置され、
前記第2嵌合部は、前記パネル部材の押込み方向と反対側にオフセットして設けられている、
操作パネル。
【請求項7】
請求項6に記載された操作パネルであって、
前記振動許容部の前記第2板バネ部の長さ方向のバネ定数k1及び前記振動許容部の前記第2板バネ部の長さ方向と直交する方向のバネ定数k2は、前記パネル部材に加えられる押込み方向の力によって前記クリップに加えられる力をF、前記力Fによって前記第2板バネ部の長さ方向に生ずる力をF1、前記力Fによって前記第2板バネ部の長さ方向と直交する方向に生ずる力をF2、前記力Fによって生ずる前記第2嵌合部の押込み方向の変位量をX、前記力Fによって前記第2嵌合部に生ずる前記第2板バネ部の長さ方向の変位量をX1、前記力Fによって前記第2嵌合部に生ずる前記第2板バネ部の長さ方向と直交する方向の変位量をX2としたときに、以下の(1)から(4)の式に基づいて設定される、
操作パネル。
【数9】
【数10】
【数11】
【数12】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パネル部材をクリップで車体パネルに固定する構造が開示されている。パネル部材を固定するクリップは、パネル部材をガタツキなく固定するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-315467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えばパネルに設けられたスイッチが操作された際に利用者にパネル部材を介して振動を与えるハプティクス技術を用いる場合、パネル部材がガタツキなく固定されていると、利用者に振動が十分に伝わらないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、パネル部材の振動及び押込み操作を許容しつつパネル部材を本体部材に保持可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、車両に設けられる操作パネルは、本体部材と、前記車両の車室内に露出するパネル部材と、前記パネル部材に振動を付与する振動装置と、前記パネル部材を前記本体部材に保持するクリップと、を備え、前記クリップは、前記本体部材に取り付けられる本体取付部と、前記パネル部材に取り付けられるパネル取付部と、前記本体取付部に対して前記パネル取付部の変位を許容する変位許容部と、を備え、前記変位許容部は、前記本体取付部に対して変位して前記パネル取付部に取り付けられた前記パネル部材の押込みを許容する押込み許容部と、前記振動装置から付与された振動によって前記本体取付部に対して前記パネル取付部が振動することを許容する振動許容部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記態様において、パネル部材を本体部材に保持するクリップは、本体部材に取り付けられる本体取付部に対してパネル部材に取り付けられるパネル取付部の変位を許容する変位許容部を備える。パネル部材は、振動装置で振動が付与されると、クリップの変位許容部が備える振動許容部によって振動が許容されるとともに、車室内に露出するパネル部材は、クリップの変位許容部が備える押込み許容部によって押込みが許容される。したがって、パネル部材の振動及び押込み操作を許容しつつパネル部材を本体部材に保持するとこが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る操作パネルが適用される車両用内装部品であるインストルメントパネルの構成を示す斜視図である。
図2図2は、操作パネルの分解斜視図である。
図3図3は、クリップを正面側から見た斜視図である。
図4図4は、クリップを背面側から見た斜視図である。
図5図5は、クリップの使用状態を示す要部の断面図である。
図6図6は、クリップの変位許容部の変位状態を示す説明図である。
図7図7は、本発明の第2実施形態に係るクリップを示す斜視図である。
図8図8は、第2実施形態に係るクリップがパネル部材の取付部に取り付けられる様子を示す説明図である。
図9図9は、第2実施形態に係るクリップが本体部材に取り付けられる様子を示す要部の断面図である。
図10図10は、本発明の第3実施形態に係るクリップを正面側から見た斜視図である。
図11図11は、第3実施形態に係るクリップを背面側から見た斜視図である。
図12図12は、第3実施形態に係るクリップの一部を一点鎖線で示した斜視図である。
図13図13は、第3実施形態に係るクリップでパネル部材を本体部材に保持した状態を示す要部の断面図である。
図14図14は、振動許容部のバネ定数を求めるための各パラメータを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る操作パネル10、及び操作パネル10が適用される車両用内装部品としてのインストルメントパネル12について説明する。
【0010】
まず、図1を参照して、インストルメントパネル12について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る操作パネル10が適用される車両用内装部品であるインストルメントパネル12の構成を示す斜視図である。
【0011】
図1に示すように、インストルメントパネル12は、操作パネル10を有する。インストルメントパネル12は、車両の車室内に設けられる。インストルメントパネル12は、運転席の正面を含む車室の前方に設けられる。インストルメントパネル12には、自動車の情報を示す計器類(図示省略)が配置される。
【0012】
次に、図2を参照して、操作パネル10について説明する。図2は、操作パネル10の分解斜視図である。
【0013】
図2に示すように、操作パネル10は、パネル部材14と、センサモジュール16と、振動装置18と、リヤカバー20と、を備える。センサモジュール16は、基板16aと、フロントケース16bと、フィルムタッチセンサ16cとを備える。
【0014】
パネル部材14は、少なくとも一部が曲面状である自由曲面状に形成される。パネル部材14は、車両の車室内に露出する。パネル部材14は、操作部としてのスイッチ22を有する。
【0015】
スイッチ22は、パネル部材14の一部として設けられる。スイッチ22は、使用者によって押圧操作される。スイッチ22は、空調装置(エアコンディショナ)を操作するための第1スイッチ22a~第10スイッチ22jを有する。
【0016】
第1スイッチ22aと第2スイッチ22bと第9スイッチ22iと第10スイッチ22jとは、空調装置の温度を調節するためのスイッチである。第3スイッチ22cは、リアデフォッガのON/OFFを切り換えるためのスイッチである。第4スイッチ22dは、フロントデフロスタのON/OFFを切り換えるためのスイッチである。第5スイッチ22eと第6スイッチ22fとは、空調装置の風量を調節するためのスイッチである。第7スイッチ22gは、オートモードのON/OFFを切り換えるためのスイッチである。第8スイッチ22hは、内外気の切り換えをするためのスイッチである。
【0017】
パネル部材14は、裏面側に取付部30を有する。パネル部材14は、取付部30に取り付けられるクリップ50を介してインストルメントパネル12の本体を構成する本体部材32(図5参照)に保持される。
【0018】
パネル部材14に設けられた第1スイッチ22a~第10スイッチ22jの裏面には、センサモジュール16のフィルムタッチセンサ16cに設けられたセンサ40が配置されている。パネル部材14の第1スイッチ22a~第10スイッチ22jの裏側には、センサ40を構成する第1センサ40a~第10センサ40jが対応して配置されている。パネル部材14のいずれかのスイッチ22a~22jに指などが近づくと対応するセンサ40a~40jが反応する。
【0019】
センサ40は、例えばタッチ位置センサ及び荷重センサ(図示省略)で構成される。
【0020】
タッチ位置センサは、静電容量式近接センサで構成される。タッチ位置センサは、検出する静電容量値の変化に基づき、対応するスイッチ22に使用者の指が触れたことを検知する。荷重センサは、静電容量式変位センサで構成される。荷重センサは押込みに応じた電極間の変位によって変化する静電容量値に基づき、パネル部材14に作用した荷重の大きさ(荷重検出強度)を検出する。
【0021】
センサ40は、タッチ位置センサ及び荷重センサの検出結果に基づいて、どのスイッチ22が操作されたかを検出する。
【0022】
取付部30は、突出部(図示省略)から長手方向に離間した位置に設けられる。これにより、使用者がスイッチ22を操作したときにパネル部材14が変形することを妨げない。
【0023】
センサモジュール16の裏面には、振動装置18が設けられ、センサモジュール16の裏面は、リヤカバー20で覆われる。振動装置18は、ソレノイド18aを備える。ソレノイド18aは、コイル(図示省略)と可動鉄心(図示省略)と、を有する。ソレノイド18aは、コイルが通電されると、可動鉄心をパネル部材14の長手方向に変位させて振動する。
【0024】
これにより、スイッチ22の操作が検出された際に振動装置18のソレノイド18aを作動することで、振動装置18は、センサモジュール16を介してパネル部材14に振動を付与する。パネル部材14の振動は、パネル部材14のスイッチ22を操作する使用者の指に触感を発生させる。
【0025】
次に、図3から図6を参照して、クリップ50について説明する。
【0026】
図3は、クリップ50を正面側から見た斜視図である。図4は、クリップ50を背面側から見た斜視図である。図5は、クリップ50の使用状態を示す要部の断面図である。図6は、クリップ50の変位許容部56の変位状態を示す説明図である。
【0027】
図3から図6に示すように、クリップ50は、金属板によって形成されている。クリップ50は、本体部材32(図5参照)に取り付けられる本体取付部52と、パネル部材14から延出した取付部30に取り付けられるパネル取付部54と、本体取付部52に対してパネル取付部54の変位を許容する変位許容部56と、を備える。
【0028】
(本体取付部)
図4に示すように、本体取付部52は、平坦に形成された基部60と、基部60の一方の端部から基部60に対して斜め方向に出する第1傾斜片62と、基部60の他方の端部から基部60に対して斜め方向に延出する第2傾斜片64と、を備える。第1傾斜片62と第2傾斜片64とは、基部60から離れる方向へ向かうに従って互いに離れるように傾斜する。第1傾斜片62及び第2傾斜片64の幅方向の中央部には、矩形開口部66が形成されている。各矩形開口部66は、基部60に達する。
【0029】
第1傾斜片62の端部には、第2傾斜片64から離れる方向に延出した第1フランジ70が設けられている。第1傾斜片62と第1フランジ70との間には、第2傾斜片64側に窪んだ第1凹部68が第1傾斜片62を横断するように形成されている。
【0030】
第2傾斜片64の端部には、第1傾斜片62から離れる方向に延出した第2フランジ部74が設けられている。第2傾斜片64と第2フランジ部74との間には、第1傾斜片62側に窪んだ第2凹部72が第2傾斜片64を横断するように形成されている。
【0031】
図5に示すように、第1フランジ70及び第2フランジ部74は、本体部材32の取付穴84への挿入量を規制する。
【0032】
本体取付部52は、本体部材32に設けられた第1被嵌合部80と嵌合する第1嵌合部82を有する。
【0033】
具体的に説明すると、本体部材32には、矩形の取付穴84が形成されており、取付穴84の開口縁部は、第1被嵌合部80を構成する。また、クリップ50の本体取付部52の各凹部68、72の底部は、第1被嵌合部80に嵌合する第1嵌合部82を構成する。
【0034】
(変位許容部)
図3に示すように、変位許容部56は、本体取付部52に対して変位してパネル取付部54に取り付けられたパネル部材14の押込みを許容する押込み許容部90を有する。また、変位許容部56は、振動装置18から付与された振動によって本体取付部52に対してパネル取付部54が振動することを許容する振動許容部92と、を備える。
【0035】
(押込み許容部)
押込み許容部90は、パネル部材14の押込み方向Pへ変位可能な一方側第1板バネ部94と他方側第1板バネ部96とを有している。
【0036】
具体的に説明すると、押込み許容部90は、本体取付部52の基部60(図1参照)に固定される固定部98と、固定部98の一端部に一端側折返し部98aを介して接続された他方側第1板バネ部96と、を備える。また、押込み許容部90は、固定部98の他端部に他端側折返し部98bを介して接続された一方側第1板バネ部94を備える。固定部98、一方側第1板バネ部94、及び他方側第1板バネ部96は、同方向に延在する長板状に形成されている。
【0037】
一方側第1板バネ部94は、一端側折返し部98aを中心に板厚方向へ変形可能である。また、他方側第1板バネ部96は、一端側折返し部98aを中心に板厚方向へ変形可能である(図6参照)。
【0038】
(振動許容部)
振動許容部92は、パネル部材14の振動方向Sへ変位可能な一端側第2板バネ部100と他端側第2板バネ部102と、を有している。
【0039】
具体的に説明すると、振動許容部92は、一方側第1板バネ部94に連続するとともに押込み方向Pと反対側に延出する一端側第2板バネ部100を備える。また、振動許容部92は、他方側第1板バネ部96に連続するとともに押込み方向Pと反対側に延出する他端側第2板バネ部102を備える。
【0040】
一端側第2板バネ部100は、一方側第1板バネ部94との接続部分を中心に板厚方向へ変形可能である。また、他端側第2板バネ部102は、他方側第1板バネ部96との接続部分を中心に板厚方向へ変形可能である(図6参照)。
【0041】
(パネル取付部)
図5に示すように、パネル取付部54は、パネル部材14に設けられた第2被嵌合部110と嵌合する第2嵌合部112を有する。
【0042】
具体的に説明すると、振動許容部92の一端側第2板バネ部100の先端には、矩形状の一端側挟持部120が設けられている。また、振動許容部92の他端側第2板バネ部102の先端には、矩形状の他端側挟持部122が設けられている(図3参照)。
【0043】
一端側挟持部120と他端側挟持部122とは、互いに対向して配置されており、一端側挟持部120及び他端側挟持部122は、パネル部材14から延出した矩形筒状の取付部30を挟持した状態で嵌合可能である。これにより、一端側挟持部120及び他端側挟持部122によって第2嵌合部112が構成されており、取付部30の先端部によってパネル部材14に設けられた第2被嵌合部110が構成されている。
【0044】
第2嵌合部112は、各第2板バネ部100、102の端部に設けられるとともに、各第2板バネ部100、102の幅方向へ突出するように各第2板バネ部100、102に対してオフセットして設けられている。ここで、各第2板バネ部100、102の幅方向とは、長方形状に形成された各第2板バネ部100,102の短手方向を示し、各第2板バネ部100、102の幅方向には、各第2板バネ部100、102の板厚方向は含まない。
【0045】
具体的に説明すると、一端側挟持部120及び他端側挟持部122で構成される第2嵌合部112は、一端側第2板バネ部100よりも本体取付部52の第1傾斜片62が配置された方向に突出するように一端側第2板バネ部100に対してオフセットして設けられている。また、第2嵌合部112は、他端側第2板バネ部102よりも本体取付部52の第2傾斜片64が配置された方向に突出するように他端側第2板バネ部102に対してオフセットして設けられている。
【0046】
図5に示すように、一端側挟持部120及び他端側挟持部122のそれぞれには、矩形状の係止穴130が形成されている。また、取付部30の側面には、係止穴130と係合する係合凸部132が形成されている。第2嵌合部112を第2被嵌合部110に嵌合した状態で、対応する係止穴130と係合凸部132とは互いに係合し、クリップ50は、取付部30からの抜けが抑制される。
【0047】
図3に示すように、一端側挟持部120及び他端側挟持部122の先端には、互いに離れるように傾斜したガイド面134が形成されている。これにより、第2嵌合部112は、取付部30の第2被嵌合部110への取付が容易となる。
【0048】
(作用及び効果)
車両に設けられる操作パネル10は、本体部材32と、車両の車室内に露出するパネル部材14と、パネル部材14に振動を付与する振動装置18と、パネル部材14を本体部材32に保持するクリップ50と、を備え、クリップ50は、本体部材32に取り付けられる本体取付部52と、パネル部材14に取り付けられるパネル取付部54と、本体取付部52に対してパネル取付部54の変位を許容する変位許容部56と、を備え、変位許容部56は、本体取付部52に対して変位してパネル取付部54に取り付けられたパネル部材14の押込みを許容する押込み許容部90と、振動装置18から付与された振動によって本体取付部52に対してパネル取付部54が振動することを許容する振動許容部92と、を備える。
【0049】
この構成において、パネル部材14を本体部材32に保持するクリップ50は、本体部材32に取り付けられる本体取付部52に対してパネル部材14に取り付けられるパネル取付部54の変位を許容する変位許容部56を備える。パネル部材14は、振動装置18で振動が付与されると、クリップ50の変位許容部56が備える振動許容部92によって振動が許容される。また、車室内に露出するパネル部材14は、クリップ50の変位許容部56が備える押込み許容部90によって押込みが許容される。したがって、パネル部材14の振動及び押込み操作を許容しつつパネル部材14を本体部材32に保持するとこが可能となる。
【0050】
そして、本実施形態の操作パネル10は、振動装置18から付与された振動によってスイッチ22が設けられたパネル部材14の振動が許容される。このため、本実施形態の操作パネル10は、パネル部材14が本体部材32にガタツキなく固定される場合と比較して、スイッチ操作が受け付けられたことを、振動によって利用者に確実に伝えることが可能となる。
【0051】
また、押込み許容部90は、パネル部材14の押込み方向Pへ変位可能な各第1板バネ部94、96を有し、振動許容部92は、パネル部材14の振動方向Sへ変位可能な各第2板バネ部100、102を有する。
【0052】
この構成によれば、各第1板バネ部94、96が弾性変形することによって、パネル取付部54に取り付けられたパネル部材14の押込みを許容することが可能となる。また、各第2板バネ部100、102が弾性変形することによって、振動装置18からの振動が付与されるパネル部材14の振動を許容することが可能となる。
【0053】
また、本体取付部52は、本体部材32に設けられた第1被嵌合部80と嵌合する第1嵌合部82を有し、パネル取付部54は、パネル部材14に設けられた第2被嵌合部110と嵌合する第2嵌合部112を有する。
【0054】
この構成によれば、本体取付部52の第1嵌合部82を本体部材32の第1被嵌合部80に嵌合することで、クリップ50の本体取付部52を本体部材32に取り付けることができる。また、パネル取付部54の第2嵌合部112をパネル部材14の第2被嵌合部110に嵌合することで、クリップ50のパネル取付部54をパネル部材14に取り付けることができる。
【0055】
これにより、この操作パネル10では、本体部材32へのパネル部材14の取付が容易となる。
【0056】
また、第2嵌合部112は、各第2板バネ部100、102の端部に設けられるとともに、各第2板バネ部100、102の幅方向へ突出するように各第2板バネ部100、102に対してオフセットして設けられている。
【0057】
この構成によれば、第2嵌合部112が各第2板バネ部100、102の幅方向の両側に突出する場合と比較して、例えば第2嵌合部112及び各第2板バネ部100、102をプレス成型する際の金型の構成の簡素化が可能となる。
【0058】
<第2実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第2実施形態に係る操作パネル10(図1参照)で用いられるクリップ200について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。
【0059】
図7は、本発明の第2実施形態に係るクリップ200を示す斜視図である。図8は、第2実施形態に係るクリップ200がパネル部材14の取付部30に取り付けられる様子を示す説明図である。図9は、第2実施形態に係るクリップ200が本体部材32に取り付けられる様子を示す要部の断面図である。
【0060】
図7から図9に示すように、第2実施形態に係るクリップ200は、第1実施形態のクリップ50と比較して、一枚の金属板によって形成される点が異なる。
【0061】
このクリップ200は、本体部材32(図9参照)に取り付けられる本体取付部210と、パネル部材14から延出した取付部30(図9参照)に取り付けられるパネル取付部212と、を備える。また、クリップ200は、本体取付部210に対してパネル取付部212の変位を許容する変位許容部214を備える。
【0062】
(本体取付部)
図7に示すように、クリップ200は、押込み方向Pの先端側において、図7中最上部に設けられた横長の第1基部220と、第1基部220の下部に設けられた横長の第2基部222と、を備える。また、クリップ200は、第2基部222の下部に設けられた横長の第3基部224と、第3基部224の下部に設けられた横長の第4基部226と、を備える。
【0063】
第1基部220の一端部からは、一端側第1傾斜片230が第1基部220に対して斜め方向に延出している。また、第3基部224の一端部からは、一端側第3傾斜片232が第3基部224に対して斜め方向に延出しており、第4基部226の一端部からは、一端側第4傾斜片234が第4基部226に対して斜め方向に延出している。一端側第3傾斜片232は、一端側第4傾斜片234よりも長さが短く、一端側第3傾斜片232の先端部は、一端側第4傾斜片234に接続されている。
【0064】
図8に示すように、第1基部220の他端部からは、他端側第1傾斜片240が第1基部220に対して斜め方向に延出しており、第2基部222の他端部からは、他端側第2傾斜片242が第2基部222に対して斜め方向に延出している。他端側第2傾斜片242は、他端側第1傾斜片240よりも長さが短く、他端側第2傾斜片242の先端部は、他端側第1傾斜片240に接続されている。第4基部226の他端部からは、他端側第4傾斜片244が第4基部226に対して斜め方向に延出している。
【0065】
図7及び図8に示すように、一端側第1傾斜片230、一端側第3傾斜片232、及び一端側第4傾斜片234と、他端側第1傾斜片240、他端側第2傾斜片242、及び他端側第4傾斜片244と、は、各基部220、222、224、226から離れる方向へ向かくに従って互いに離れるように傾斜する。
【0066】
図7に示すように、一端側第1傾斜片230と一端側第4傾斜片234とは、U字状の一端側フランジ250を介して連設されている。一端側フランジ250は、一端側第1傾斜片230及び一端側第4傾斜片234に対して、他端側第1傾斜片240、他端側第2傾斜片242、及び他端側第4傾斜片244から離れる方向に延出する。
【0067】
また、図8に示すように、他端側第1傾斜片240と他端側第4傾斜片244とは、U字状の他端側フランジ252を介して連設されている。他端側フランジ252は、他端側第1傾斜片240及び他端側第4傾斜片244に対して、一端側第1傾斜片230、一端側第3傾斜片232、及び一端側第4傾斜片234から離れる方向に延出する。
【0068】
図7に示すように、一端側第1傾斜片230及び一端側フランジ250の間と、一端側第4傾斜片234及び一端側フランジ250の間とには、他端側第1傾斜片240及び他端側第4傾斜片244(図8参照)側に窪んだ一端側凹部260が形成されている。
【0069】
図8に示すように、他端側第1傾斜片240及び他端側フランジ252の間と、他端側第4傾斜片244及び他端側フランジ252の間とには、一端側第1傾斜片230及び第4傾斜片234(図7参照)側に窪んだ他端側凹部262が形成されている。
【0070】
各基部220、222、224、226と、各傾斜片230、232、234、240、242、244と、各凹部260、262と、各フランジ250、252とによって本体部材32に取り付けられる本体取付部210が構成されている。
【0071】
本体取付部210を本体部材32の取付穴84に挿入した際に、取付穴84の開口縁部が構成する第1被嵌合部80には、各凹部260、262の底部が構成する第1嵌合部82が嵌合する(図9参照)。
【0072】
(変位許容部)
変位許容部214は、本体取付部210に対して変位してパネル取付部212に取り付けられたパネル部材14の押込みを許容する押込み許容部270とを備える。また、変位許容部214は、振動装置18から付与された振動によって本体取付部210に対してパネル取付部212が振動することを許容する振動許容部272を備える。
【0073】
(押込み許容部)
押込み許容部270は、パネル部材14の押込み方向Pへ変位可能な一対の第1板バネ部を有している(図7参照)。一方の第1板バネ部は、第2基部222によって構成され、他方の第1板バネ部は、第3基部224によって構成される(図8参照)。
【0074】
(振動許容部)
図7及び図8に示すように、振動許容部272は、パネル部材14の振動方向Sへ変位可能な一端側第2板バネ部280と他端側第2板バネ部282と、を有している。
【0075】
具体的に説明すると、振動許容部272は、第2基部222の一端部に連続するとともに押込み方向Pと反対側に延出する一端側第2板バネ部280を備える(図7参照)。また、振動許容部272は、第3基部224に連続するとともに押込み方向Pと反対側に延出する他端側第2板バネ部282を備える(図8参照)。
【0076】
(パネル取付部)
図9に示すように、パネル取付部212は、パネル部材14に設けられた第2被嵌合部110と嵌合する第2嵌合部112を有する。
【0077】
図8に示すように、パネル部材14から延出した取付部30の先端には、クリップ嵌合部品290が設けられている。クリップ嵌合部品290は、両側面に溝部292を有した断面H側の係合部294と、係合部294の両側部に設けられ側壁部296と、係合部294及び側壁部296を基端側で接続するブロック状の基端部298(図9参照)とを備える。係合部294は、側壁部296の端面よりも押込み方向Pに突出しており、溝部292の基端は、基端部298で閉鎖されている(図9参照)。
【0078】
図7に示すように、クリップ200の振動許容部272の一端側第2板バネ部280の先端部には、矩形状の一端側挟持部300が形成されている。また、振動許容部272の他端側第2板バネ部282の先端部には、矩形状の他端側挟持部302が形成されている(図8参照)。
【0079】
図8及び図9に示すように、一端側挟持部300と他端側挟持部302とは、互いに対向して配置されている。一端側挟持部300及び他端側挟持部302は、パネル部材14のクリップ嵌合部品290の各溝部292に挿入された状態で、クリップ嵌合部品290に内嵌する。これにより、両挟持部300、302によって第2嵌合部112が構成され、クリップ嵌合部品290の各溝部292によって第2被嵌合部110が構成される(図9参照)。
【0080】
各挟持部300、302の中央部には、対向する挟持部側に切り起こされた切り起こし部310が形成されている。これにより、各挟持部300、302をクリップ嵌合部品290の各溝部292に挿入した状態で、各切り起こし部310がクリップ嵌合部品290の中壁312と係合することで、クリップ嵌合部品290からのクリップ200の抜けを抑制する。
【0081】
図8に示すように、クリップ200には、第1基部220の長手方向の中央部から押込み方向Pと反対側に延出する一方側規制部320と、第4基部226の長手方向の中央部から押込み方向Pと反対側に延出する他方側規制部322とが設けられている。
【0082】
図7に示すように、一方側規制部320の側縁からは、他方側規制部322へ向けて延出するストッパ324が設けられている。なお、本実施形態は、他方側規制部322に同様のストッパを設けてもよい。
【0083】
図8に示すように、クリップ200をクリップ嵌合部品290に取り付ける際に、一方側規制部320は、クリップ嵌合部品290の係合部294の一面に沿って配置される(図示省略)。また、他方側規制部322は、係合部294の他面に沿って配置される(図示省略)。そして、一方側規制部320のストッパ324(図7参照)は、クリップ嵌合部品290の側壁部296に当接する。これにより、クリップ200は、クリップ嵌合部品290への挿入位置が定められる。
【0084】
(作用及び効果)
第2実施形態においても、第1実施と同一又は同等部分については、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0085】
また、第2実施形態のクリップ200は、一枚の金属板を加工することで、本体取付部210とパネル取付部212とを一体形成することができる。このため、別体で構成された本体取付部210とパネル取付部212とを溶接などで接合する場合と比較して製造工程の削減が可能となる。
【0086】
<第3実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第3実施形態に係る操作パネル10(図1参照)について説明する。
【0087】
第3実施形態では、第1実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分についてのみ説明する。
【0088】
図10は、本発明の第3実施形態に係るクリップ400を正面側から見た斜視図である。図11は、第3実施形態に係るクリップ400を背面側から見た斜視図である。図12は、第3実施形態に係るクリップ400の一部を一点鎖線で示した斜視図である。図13は、第3実施形態に係るクリップ400でパネル部材14を本体部材32に保持した状態を示す要部の断面図である。図14は、振動許容部442のバネ定数を求めるための各パラメータを示す説明図である。
【0089】
図10から図14に示すように、第3実施形態に係るクリップ400は、第1実施形態のクリップ50と比較して、変位許容部406の構造が大きく異なる。
【0090】
このクリップ400は、本体部材32(図13参照)に取り付けられる本体取付部402と、パネル部材14から延出した取付部30(図13参照)に取り付けられるパネル取付部404と、を備える。また、クリップ400は、本体取付部402に対してパネル取付部404の変位を許容する変位許容部406(図12参照)を備える。
【0091】
(本体取付部)
図10及び図11に示すように、本体取付部402は、平坦に形成された基部410と(図11参照)、基部410の一方の端部から押込み方向Pへ延出する一方側延出部420と、を備える。また、本体取付部402は、一方側延出部420の先端部で折り返されるとともに一方側延出部420から離れる方向に傾斜した一方側傾斜部422を備える。
【0092】
一方側傾斜部422は、長方形状の開口部424を有する。一方側傾斜部422の端部には、一方側延出部420から離れる方向に延出する一方側フランジ426が設けられている。また、一方側傾斜部422と一方側フランジ426との間には、一方側延出部420へ向けて窪んだ一方側凹部428が一方側傾斜部422を横断するように形成されている。
【0093】
また、本体取付部402は、基部410の他方の端部から押込み方向Pへ延出する他方側延出部430と、他方側延出部430の先端部で折り返されるとともに他方側延出部430から離れる方向に傾斜した他方側傾斜部432と、を備える。
【0094】
他方側傾斜部432は、長方形状の開口部434を有する。他方側傾斜部432の端部には、他方側延出部430から離れる方向に延出する他方側フランジ436が設けられている。他方側傾斜部432と他方側フランジ436との間には、他方側延出部430へ向けて窪んだ他方側凹部438が他方側傾斜部432を横断するように形成されている。
【0095】
図12に示すように、本体取付部402は、本体部材32に設けられた第1被嵌合部80と嵌合する第1嵌合部82を有する(図13参照)。
【0096】
具体的に説明すると、第1被嵌合部80は、本体部材32に設けられた取付穴84の開口縁部で構成される。第1嵌合部82は、本体取付部402の各凹部428、438の底部で構成される(図13参照)。
【0097】
(変位許容部)
図12に示すように、変位許容部406は、本体取付部402に対して変位してパネル取付部404に取り付けられたパネル部材14の押込みを許容する押込み許容部440を備える。また、変位許容部406は、振動装置18から付与された振動によって本体取付部402に対してパネル取付部404が振動することを許容する振動許容部442を備える。
【0098】
(押込み許容部)
押込み許容部440は、パネル部材14の押込み方向Pへ変位可能な一端側第1板バネ部450と他端側第1板バネ部452と、を有している。
【0099】
具体的に説明すると、押込み許容部440は、本体取付部402の基部410に固定される固定部460と、固定部460の一端部に設けられた一端側第1板バネ部450と、固定部460の他端部に設けられた他端側第1板バネ部452と、を備える。各第1板バネ部450、452は、S字状に形成されており、各第1板バネ部450、452は、固定部460から本体取付部402の一方側フランジ426へ向けて延出している。
【0100】
(振動許容部)
振動許容部442は、パネル部材14の振動方向Sへ変位可能な一端側第2板バネ部470と他端側第2板バネ部472と、を有している。
【0101】
具体的に説明すると、一端側第2板バネ部470は、一端側第1板バネ部450に連続するとともに押込み方向Pへ延出する一端側内第2板バネ部470aを有する。また、一端側第2板バネ部470は、一端側内第2板バネ部470aの端部で折り返すとともに一端側内第2板バネ部470aに沿って延在する一端側外第2板バネ部470bを有する。
【0102】
他端側第2板バネ部472は、他端側第1板バネ部452に連続するとともに押込み方向Pへ延出する他端側内第2板バネ部472aを有する。また、他端側第2板バネ部472は、他端側内第2板バネ部472aの端部で折り返すとともに他端側内第2板バネ部472aに沿って延在する他端側外第2板バネ部472bを有する。
【0103】
(パネル取付部)
図13に示すように、パネル取付部404は、パネル部材14に設けられた第2被嵌合部110と嵌合する第2嵌合部112を有する。
【0104】
図12に示すように、振動許容部442の一端側外第2板バネ部470bの先端には、矩形状の一端側挟持部480が設けられている。また、振動許容部442の他端側外第2板バネ部472bの先端には、矩形状の他端側挟持部482が設けられている。
【0105】
一端側挟持部480と他端側挟持部482とは、互いに対向して配置されており、一端側挟持部480及び他端側挟持部482は、パネル部材14の取付部30を挟持した状態で嵌合可能である。これにより、一端側挟持部480及び他端側挟持部482によって第2嵌合部112(図13参照)が構成されており、取付部30の先端部によってパネル部材14に設けられた第2被嵌合部110が構成されている(図13参照)。
【0106】
第2嵌合部112を構成する一端側挟持部480は、一端側第2板バネ部470よりも本体取付部402の一方側フランジ426が延出した方向に突出するように一端側第2板バネ部470に対してオフセットして設けられている。第2嵌合部112を構成する他端側挟持部482は、他端側第2板バネ部472よりも本体取付部402の一方側フランジ426が延出した方向に突出するように他端側第2板バネ部472に対してオフセットして設けられている。
【0107】
これにより、各挟持部482は、各第2板バネ部470、472の幅方向において同方向に突出するように各第2板バネ部470、472に対してオフセットして設けられている。
【0108】
図14に示すように、本実施形態のパネル部材14は、各第2板バネ部470、472の長さ方向に対して傾斜して配置されている。各挟持部480、482で構成される第2嵌合部112は、押込み方向Pと反対側にオフセットして設けられている。
【0109】
クリップ400は、指490による押込み方向Pの力Fが伝達された際に、押込み方向Pと第2嵌合部112の変位方向とが略同方向となるようにパネル取付部404の材質、板厚、各第2板バネ部470、472の大きさが設定されている。
【0110】
具体的に説明すると、振動許容部442の各第2板バネ部470、472の長さ方向のバネ定数k1及び振動許容部442の各第2板バネ部470、472の長さ方向と直交する方向のバネ定数k2は、次に示す(1)から(4)の式に基づいて設定されている。
【0111】
(1)から(4)の式において、パネル部材14に加えられる押込み方向Pの力によって当該クリップ400に加えられる力をF、力Fによって各第2板バネ部470、472の長さ方向に生ずる力をF1とする。また、力Fによって各第2板バネ部470、472の長さ方向と直交する方向に生ずる力をF2、力Fによって生ずる第2嵌合部112の押込み方向Pの変位量をXとする。また、力Fによって第2嵌合部112に生ずる各第2板バネ部470、472の長さ方向の変位量をX1、力Fによって第2嵌合部112に生ずる各第2板バネ部470、472の長さ方向と直交する方向の変位量をX2とする。
【0112】
【数1】
【0113】
【数2】
【0114】
【数3】
【0115】
【数4】
【0116】
(作用及び効果)
第3実施形態においても、第1実施と同一又は同等部分については、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0117】
また、第3実施形態のクリップ400において、第2板バネ部470、472は一対設けられ、第2嵌合部112は、各第2板バネ部470、472のそれぞれに設けられた各挟持部480、482で構成され、対をなす挟持部480、482は、各第2板バネ部470、472の幅方向において同方向に突出するように各挟持部480、482が設けられた各第2板バネ部470、472に対してオフセットして設けられている。
【0118】
この構成において、対をなす挟持部480、482は、各第2板バネ部470、472に対して同方向にオフセットしている。このため、作業者は、クリップ400を取り付ける際に取付方向を間違える等のミスを抑制することができる。
【0119】
また、パネル部材14は、各第2板バネ部470、472の長さ方向に対して傾斜して配置され、第2嵌合部112は、パネル部材14の押込み方向Pと反対側にオフセットして設けられている。
【0120】
この構成によれば、第2嵌合部112がパネル部材14の押込み方向P側にオフセットして設けられた場合と比較して、各第2板バネ部470、472への力Fの伝達をスムーズに行うことができる。
【0121】
また、振動許容部442の各第2板バネ部470、472の長さ方向のバネ定数k1及び振動許容部442の第2板バネ部470、472の長さ方向と直交する方向のバネ定数k2は、パネル部材14に加えられる押込み方向Pの力によってクリップ400に加えられる力をF、力Fによって各第2板バネ部470、472の長さ方向に生ずる力をF1、力Fによって各第2板バネ部470、472の長さ方向と直交する方向に生ずる力をF2、力Fによって生ずる第2嵌合部112の押込み方向Pの変位量をX、力Fによって第2嵌合部112に生ずる各第2板バネ部470、472の長さ方向の変位量をX1、力Fによって第2嵌合部112に生ずる各第2板バネ部470、472の長さ方向と直交する方向の変位量をX2としたときに、以下の(1)から(4)の式に基づいて設定される、
【0122】
【数5】
【0123】
【数6】
【0124】
【数7】
【0125】
【数8】
【0126】
この構成において、スイッチ操作時にパネル部材14に加えられる押込み方向Pの力Fがクリップ400に伝達された状態において、クリップ400の振動許容部442は、各第2板バネ部470、472の長さ方向に生ずる力Fの分力と各第2板バネ部470、472の長さ方向と直交する方向に生ずる力Fの分力とに応じて、各第2板バネ部470、472の長さ方向及び各第2板バネ部470、472の長さ方向と直交する方向に変形する。
【0127】
このため、振動許容部442が各第2板バネ部470、472の長さ方向及び各第2板バネ部470、472の長さ方向と直交する方向にバランス良く変形しない場合と比較して、スイッチ操作時にパネル部材14に生じ得る傾きの抑制が可能となる。
【0128】
これにより、各第2板バネ部470、472の長さ方向に対して傾斜したパネル部材14においてクリップ400が傾斜方向の異なる位置に設けられた場合であっても、パネル部材14が傾いて一方のクリップ400が抜けるといった不具合の抑制が可能となる。
【0129】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0130】
また、上記実施形態は、スイッチ22を空調装置の操作のためのスイッチとする例を示した。しかしながら、スイッチ22は、カーオーディオの操作のためのスイッチとしてもよいし、その他の操作のためのスイッチとしてもよい。
【0131】
上記実施形態は、スイッチ22を10カ所に設ける例を示した。しかしながら、スイッチ22の数は、この態様に限定されない。
【0132】
上記実施形態は、本発明をインストルメントパネル12に設けられた操作パネル10に適用する例を示した。しかしながら、本発明は、コンソールやアームレストに設けられた入力装置に適用できる。
【符号の説明】
【0133】
10 操作パネル
14 パネル部材
18 振動装置
32 本体部材
50 クリップ
52 本体取付部
54 パネル取付部
56 変位許容部
80 第1被嵌合部
82 第1嵌合部
90 押込み許容部
92 振動許容部
94 一方側第1板バネ部
96 他方側第1板バネ部
100 一端側第2板バネ部
102 他端側第2板バネ部
110 第2被嵌合部
112 第2嵌合部
200 クリップ
210 本体取付部
212 パネル取付部
214 変位許容部
270 押込み許容部
272 振動許容部
280 一端側第2板バネ部
282 他端側第2板バネ部
400 クリップ
402 本体取付部
404 パネル取付部
406 変位許容部
440 押込み許容部
442 振動許容部
450 一端側第1板バネ部
452 他端側第1板バネ部
470 一端側第2板バネ部
472 他端側第2板バネ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14