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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165195
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】麺塊剥離方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20241121BHJP
   A23L 7/113 20160101ALI20241121BHJP
   A23L 3/40 20060101ALI20241121BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20241121BHJP
【FI】
A23L7/109 B
A23L7/113
A23L3/40 B
A23L5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081128
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000244109
【氏名又は名称】明星食品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石川 龍太
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 知成
【テーマコード(参考)】
4B022
4B035
4B046
【Fターム(参考)】
4B022LB06
4B022LF04
4B022LJ01
4B022LJ05
4B022LR01
4B022LS02
4B035LC16
4B035LE05
4B035LG02
4B035LG21
4B035LG35
4B035LP03
4B035LP24
4B035LP34
4B046LA05
4B046LB08
4B046LC14
4B046LC20
4B046LE13
4B046LP35
4B046LP38
4B046LP53
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熱風乾燥による乾燥麺塊の製造において、乾燥の過程で麺線群の表面と枠体の表面との間で固着が生じた場合、熱風乾燥処理後において当該枠体から麺線群を乾燥後の麺塊を回収するため、乾燥後の麺塊を枠体から剥離する方法を開発する。
【解決手段】熱風乾燥麺塊の製造方法において、生又はα化後の麺線群を下方が通気性を有する枠体に収納し、所定の熱風乾燥処理の後、枠体下方から気体を供給することによって枠体から麺塊を剥離する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱風乾燥麺塊の製造方法において、生又はα化後の麺線群を下方が通気性を有する枠体に収納し、所定の熱風乾燥処理の後、枠体下方から気体を供給することによって枠体から麺塊を剥離する工程を含む熱風乾燥麺塊の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法により製造される熱風乾燥麺塊。
【請求項3】
熱風乾燥麺塊の製造において、生又はα化後の麺線群を下方が通気性を有する枠体に収納し、所定の熱風乾燥処理の後、枠体下方から気体を供給することによって枠体から麺塊を剥離する、枠体からの麺塊の剥離方法。
【請求項4】
前記枠体下方からの気体供給が、枠体下面を1又は複数のスポット状の気体を供給することによって行われる請求項1に記載の熱風乾燥麺塊の製造方法。
【請求項5】
前記枠体下方からの気体供給が、枠体下面を当該気体供給が横断するように行われる請求項4に記載の熱風乾燥麺塊の製造方法。
【請求項6】
枠体から麺塊を剥離後、さらに熱風乾燥処理を行う請求項1に記載の熱風乾燥麺塊の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はα化後の麺線群を枠体に収納して熱風乾燥して乾燥麺塊を製造する際の枠体から麺塊の剥離方法に関するものである。
のである。
【背景技術】
【0002】
即席麺に利用される熱風乾燥タイプ(ノンフライタイプ)の乾燥麺塊の製造においては、まず、小麦粉等の粉体と練水を混練しドウを形成させ、当該ドウを圧延→切出しして生麺線を調製する。次に、当該麺線群を蒸煮した後、多孔性の枠体(リテーナとも称される)に蒸煮後の麺線を収納して、一般的には40℃~160℃程度の熱風(熱風、過熱蒸気等)により10~180分程度かけて、麺線の水分を5~13%程度に乾燥して麺塊を完成させる。
【0003】
一方、この熱風乾燥麺塊の製造においては乾燥時間がある程度の時間が必要であることも多く、当該乾燥の過程で麺線群の表面と枠体の表面との間で固着が生じ、当該枠体から麺線群を回収するためには、乾燥後の麺塊を枠体から剥離することが必要となっていた。特に過熱蒸気を利用して熱風乾燥する場合、固着の問題がより生じやすかった。
【0004】
このような固着の剥離をするための方法として、従来まで、枠体に物理的な衝撃を加えることによって固着を剥すといった方法が一般的に用いられていた。一方、このような枠体から麺塊の剥離の方法について記載する先行特許はほとんど無く、熱風乾燥麺塊に関する先行技術としては、例えば以下の特許文献1に記載するように熱風乾燥時の乾燥ムラを防止する等の熱風乾燥時の課題を解決するものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平7-53508
【0006】
一方、上述の枠体への物理的な衝撃を加える方法によっては、麺塊の破損を伴う場合もあり、他の方法の検討する余地があり得るところである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者らは熱風乾燥による乾燥麺塊の製造において、乾燥の過程で麺線群の表面と枠体の表面との間で固着が生じ、熱風乾燥処理後において当該枠体から麺線群を乾燥後の麺塊を回収するため、乾燥後の麺塊を枠体から剥離する方法について検討した。
特に、本発明者らは麺塊を枠体から剥離すための方法として気体を供給することによってその剥離ができないかを検討した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らの鋭意研究の結果、熱風乾燥による乾燥麺塊の製造において、熱風乾燥の終了後において、枠体に収納された麺線群に対して枠体下部より気体を供給することによって、麺線群の枠体からの剥離を実現できることを見出した。
【0009】
すなわち、本願第一の発明は、
“熱風乾燥麺塊の製造方法において、生又はα化後の麺線群を下方が通気性を有する枠体に収納し、所定の熱風乾燥処理の後、枠体下方から気体を供給することによって枠体から麺塊を剥離する工程を含む熱風乾燥麺塊の製造方法。”、である。
【0010】
次に、本願出願人は本願第一の発明において剥離した後に得られる熱風乾燥麺塊も意図している。
すなわち、本願第二の発明は、
“請求項1に記載の製造方法により製造される熱風乾燥麺塊。”、である。
【0011】
次に、上述の熱風乾燥麺塊の製造方法に加えて、枠体からの麺塊の剥離方法についても意図している。
すなわち、本願第三の発明は、
“熱風乾燥麺塊の製造において、生又はα化後の麺線群を下方が通気性を有する枠体に収納し、所定の熱風乾燥処理の後、枠体下方から気体を供給することによって枠体から麺塊を剥離する、枠体からの麺塊の剥離方法。”、である。
【0012】
次に、上述の枠体下面への気体の供給については、枠体下面に対して1又は複数の円形状や方形状のスポット状の気体を供給する方法が好ましい。
すなわち、本願第四の発明は、
“前記枠体下方からの気体供給が、枠体下面を1又は複数のスポット状の気体を供給することによって行われる請求項1に記載の熱風乾燥麺塊の製造方法。”、である。
さらに、前記スポット状の気体供給は枠体下面を横断するように供給されることが好ましい。
【0013】
すなわち、本願第五の発明は
“前記枠体下方からの気体供給が、枠体下面を当該気体供給が横断するように行われる請求項4に記載の熱風乾燥麺塊の製造方法。”、である。
【0014】
さらに、枠体から麺塊を剥離後においてさらに、熱風乾燥処理を行ってもよい。
すなわち、本願第六の発明は、
“枠体から麺塊を剥離後、さらに熱風乾燥処理を行う請求項1に記載の熱風乾燥麺塊の製造方法。”、である。
【発明の効果】
【0015】
本発明を利用することによって、熱風乾燥麺塊の製造において熱風乾燥後の枠体から麺塊を良好に剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明で利用可能な枠体の例を示した斜視図である(A)丸型タイプ、(B)方形型タイプ
図2】本発明に関する連続的な乾燥ラインにおける熱風乾燥工程及び剥離工程を示した模式図である。(A)剥離槽内での剥離工程の場合、(B)剥離槽を設けない剥離工程の場合
図3】枠体の上部に蓋又は押さえ板を設けた場合の断面模式図である。(A)蓋の場合、(B)押さえ板の場合
図4】枠体と気体供給ノズルとの位置関係を示した側面模式図である。
図5】枠体の下面に対する、部分及び全体の気体供給領域の例を示した模式図である。
図6】枠体の下面に対する、部分及び全体の気体供給領域の例を示した模式図である。
図7】枠体の下面に対する、部分及び全体の気体供給領域の例を示した模式図である。
図8】枠体の下面に対する気体供給領域(部分)を示した模式図である。
図9】枠体の下面に対する気体供給領域(全体)を示した模式図である。
図10】試験例1の気体供給の態様を示した模式図である。(A)枠体及び気体供給ノズルの側面図、(B)枠体下面及びノズル開口部の平面図、(C)枠体下面に対する部分的な気体供給領域の平面図、(D)気体供給領域を通過後の枠体下面に対する気体供給領域全体の平面図
図11】試験例2の気体供給の態様を示した模式図である。(A)枠体及び気体供給ノズルの側面図、(B)枠体下面及びノズル開口部の平面図、(C)枠体下面に対する部分的な気体供給領域の平面図、(D)気体供給領域を通過後の枠体下面に対する気体供給領域全体の平面図
図12】試験例3の気体供給の態様を示した模式図である。(A)枠体及び気体供給ノズルの側面図、(B)枠体下面及びノズル開口部の平面図、(C)枠体下面に対する部分的な気体供給領域の平面図、(D)気体供給領域を通過後の枠体下面に対する気体供給領域全体の平面図
【符号の説明】
【0017】
1 枠体
3 熱風乾燥機
5 剥離槽
7 蓋
9 押さえ板
MS 麺線群(麺塊)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施態様について説明する。但し、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
【0019】
─熱風乾燥麺塊─
本発明の熱風乾燥麺塊は、即席麺の分野で主として利用することができる。お湯を注いて調理するカップ麺や鍋等で調理する袋麺のいずれにも利用することができる。また、即席麺以外の乾麺等の分野においても利用することができる。
【0020】
─枠体に収納─
本発明における熱風乾燥に供与される麺線群は、切り出した麺線群がそのまま、又は蒸煮又は茹でられてα化された後、カットされた麺線群が用いられる。また、麺線群は必要に応じて着味、スプレー等がなされる。このような麺線群が孔を多数有し、通孔性のある枠体に収納される。
【0021】
尚、当該枠体1については、図1に示すように開口部が円形のカップ上のタイプ(図1(A))や方形のタイプ(図1(B))等の種々のタイプがある。これらのいずれも適用可能である。枠体1の材質としては鉄やステンレス等の種々の素材が適用可能である。
【0022】
本発明における枠体1については、下面に多数の孔が設けられている。また、本発明にいう枠体には、当該底面部のみでなく側面部に孔が設けられていてもよい。孔の大きさは特に限定されず、通気性を有することが必要となる。
尚、上記の枠体については、多孔性の蓋をしてもよい。蓋をすることで下部からの気体を供給時に麺線群が枠体から飛び出して、はみ出し等を抑制することができる。
【0023】
─麺線群を熱風により乾燥(熱風乾燥)─
本発明でいう「麺線群を熱風により乾燥」とは、例として圧延→切出しやエクストルーダーによって製造された生麺線群を生のまま、又は蒸煮又は茹でることによりα化した後、これらの生又はα化麺線群を多孔性の枠体等の枠体に収納した後、乾燥機等内において熱風乾燥を行い、麺線群を乾燥することをいう。枠体1に収納された麺線群は、熱風乾燥されることにより麺塊となる。
【0024】
本発明において熱風乾燥の方法は特に限定されない。但し、通常の熱風乾燥においてはリテーナとも称される多孔性の枠体にα化後の麺線を収納して、一般的には40℃~130℃程度の熱風により30分~120分程度の時間をかけて、麺線の水分を5~13%程度に乾燥して麺塊を完成させる。尚、熱風乾燥の熱風の風速は特に限定されないが、概ね1m/s~70m/s程度である。
また、本発明おける熱風乾燥とは、100℃以下の熱風の他、100℃以上の過熱蒸気による熱風乾燥も含むことは勿論である。
【0025】
すなわち、乾燥方法においては通常の熱風の場合の他、過熱蒸気(100℃~300℃程度)による熱風により乾燥する場合もある。過熱蒸気の場合、麺線群が乾燥時に通常の熱風乾燥の場合より固着する枠体に固着する場合が多い。本発明については特にこのような熱風乾燥の工程において過熱蒸気を利用する場合において好適に適用することができる。
熱風乾燥の工程は、枠体1の上から及び/又は下から、あるいは斜め方向から熱風を供給することによって行うことができる。特に上下の両方から熱風を供給することが好ましい。尚、当該熱風乾燥工程は、熱風乾燥機の庫内中で実施されるのが一般的である。
【0026】
─下方から気体を供給することによって枠体から麺塊を剥離する─
本発明においては上述の熱風乾燥後の終了後において下方から気体を供給することによって麺塊を枠体1から剥離する。
上記の熱風乾燥工程において麺線群が乾燥されている過程において、麺線群と枠体下面の接触面において固着する場合がある。このような固着を剥す必要があり、本発明はこのような場合に利用される。
【0027】
尚、熱風乾燥後の麺塊の枠体下面への固着については一律に発生するというものではなく、使用する原材料や枠体の材質、熱風乾燥条件によって固着の程度も変化する。
また、当該剥離工程については、上述の熱風乾燥工程における熱風乾燥機の庫内から排出後に実施するのが一般的であるが、当該熱風乾燥機内の出口付近で実施してもよい。
【0028】
─本願発明の剥離工程を含む連続生産用の熱風乾燥ライン─
本願の剥離工程を実現する熱風乾燥による乾燥麺塊の製造ラインについては種々の態様が想定される。具体的な例として、図2に示す連続的な乾燥ラインが挙げられる。尚、矢印はラインの進行方向を示す。
【0029】
当該ラインは、熱風乾燥を行う乾燥機3と当該乾燥機内を連続的に搬送するように枠体(型枠)が連結したコンベアと、熱風乾燥機3の出口から排出された枠体の下方から麺線群の剥離のために気体供給する気体供給装置を備えた例を示している。
上述の熱風乾燥機の庫内では熱風が供与されており、内部で熱風乾燥が行われる。所定時間の熱風乾燥工程を経るようにα化後の麺線群を収納した枠体は乾燥機内を搬送し、乾燥器機内において当該搬送中に麺線群が乾燥せしめられる。
【0030】
尚、図2では乾燥機3の庫内における麺線群のコンベアの搬送について1段の場合を示しているが、特にこれに限定されるものではなく、折り返して2段又は3段を循環するようなタイプでも可能である。
【0031】
また、図2においてはトンネル型の乾燥機3の場合を示したが、本発明による乾燥方法はトンネル型等の連続式に限られず、バッチ方式の場合も可能であることはもちろんである。
熱風乾燥後において麺塊が形成された後、剥離工程に移行する。当該剥離工程においては搬送される枠体の下方に気体供給装置が設置されており、乾燥後の麺塊が収納された枠体の下方より気体を供給して枠体の底面に固着した麺塊(熱風乾燥麺塊)を剥すことができる。また、剥離工程は、図2(A)に示すように剥離槽5の庫内で行ったり、図2(B)に示すように庫外で行ってもよい。
【0032】
─枠体に対する蓋等─
麺線群を熱風で乾燥する工程及び乾燥後の麺線群は枠体1から剥離する工程においては、図3の(A)に示すように枠体の上部に蓋7を装着することもできる。蓋7を装着することで枠体からの麺線群や麺塊のはみ出しを防止することができる。
尚、蓋7の代わりに図3の(B)に示すように所定の搬送経路の区間の間において上部に押さえ板9が位置するようにして蓋7の場合と同様に枠体からの麺線群や麺塊のはみ出しを防止することができる。
【0033】
─剥離のために枠体下方から供給する気体の種類─
麺塊の剥離のために供給する気体は種々のタイプを選択することができるが、例えば、当該供給のためにコンプレッサーエアー、ブロワーエアー、ファンエアーを使用することができる。
【0034】
・コンプレッサーにより供給されるコンプレッサーエアー
本発明にいうコンプレッサーエアーとは、圧縮機(コンプレッサー)等により供給されるエアーをいう。圧力上昇100kPa以上(圧縮比2.0以上)のエアーをいう。
【0035】
供給される気体の圧力は種々選択することができるが、概ね0.1~0.8Mpa程度の圧力であればよい。さらに、好ましくは0.1~0.5Mpa程度である。尚、前述の枠体において蓋を利用する場合には、さらに高い圧力でも可能である。本発明における気体の供給の時間については特に限定されず、短時間でもよく、例えば0.1秒程度でも可能である。また、部分的にパルス状の気体供給することも可能である。尚、高圧の気体の供給については、コンプレッサー等を用いることで実現することが可能となる。
【0036】
・ブロワーにより供給されるブロワーエアー
本発明にいうブロワーエアーとは、送風機やブロワ(Blower)等により供給されるエアーをいう。圧力上昇10kPa~100kPa(圧縮比1.1~2.0)のエアーをいう。
好ましい風速は特に限定されるものでは無いが、概ね100m/s~190m/s程度である。また、好ましくは120m/s~180m/s程度である。
【0037】
また、エアーの供給する時間は概ね0.5s~3.0s程度である。また、好ましくは0.8s~2.0s程度である。また、送風機やブロワー等の供給する気体を集風して利用することが好ましい。
さらに、枠体の下面から供給する領域はスポットや帯状の特定の領域のみでもよいし、全面であってもよい。但し、スポットや帯状に供給することが好ましい。
【0038】
・ファンにより供給されるファンエアー
本発明にいうファンの場合は送風機等によって供給されるエアーをいう。圧力上昇10kPa以下(圧縮比1.1以下)のエアーをいう。本発明においてはこのファンエアーを利用することもできる。
さらに、枠体の下面において供給する領域はスポットや帯状の特定の領域のみでもよいし、全面であってもよいが、スポットや帯状に供給することが好ましい。
尚、供給される気体は空気(エアー)以外にも窒素や不活性ガス等の気体でも可能である。
【0039】
─枠体に対する気体の供給の方法─
剥離のための気体の供給の方法については種々の方法が採用される。
例えば、図4に示すような、枠体が連続的にコンベア搬送されるタイプであると、剥離工程においては、当該枠体が気体供給のために設置されたノズルや配管上の気体供給のための孔部を通過する際に枠体の下面に対して気体を供給することができる。
【0040】
図4に示すような枠体の下部のノズルにより気体の供給を行う場合、ノズルの先端である気体の供給出口から枠体までの距離Wについては、概ね1mm~100mm程度であるとよい。また、好ましくは5mm~30mm程度である。
さらに、気体の供給は枠体がノズル等の上部を通過している間、継続的に供給する方法も可能であるが、間歇的に(パルスで)供給する方法も可能である。
次に、1つの枠体に気体を供給できる配管からの供給出口の数については、1以上であればよく、好ましくは3以上である。
【0041】
また、枠体下面に気体を供給する場合においては、円形や方形状の気体供給を枠体下面の領域の一部にスポット状の供給する方法が好ましい。
またこの場合、枠体の下面をスポット状の気体の供給(部分)が行われる軌跡については、例えば、以下の図5に示すように2箇所の長方形の気体供給口であると、枠体が気体供給出口を横断するように搬送されるに従い、図5に示すように2箇所の太い帯状が気体供給領域(全体)となる。
【0042】
次に、図6に示すように3箇所の円形のスポット状の気体供給口(部分)であると、枠体が気体供給出口を横断するように搬送されるに従い、図6に示すように3箇所の帯状の気体供給領域(全体)となる。
【0043】
さらに、図7に示すように枠体の幅方向全面に渡るスリット上の気体供給領域(部分)であると、枠体が気体供給出口を横断するように搬送されるに従い、図7に示すように全面の気体供給領域(全体)となる。
【0044】
尚、風力等の条件にもよるが、ブロアー等によるエアーの供給の場合においては、図5図6に示すように帯状の気体供給領域となることが好ましい。また、この場合、エアーを集風して高速度として供給することも好適である。
次に、本発明においては、上述のような気体の供給は枠体がノズル等の上部を通過している間における継続的に供給する方法以外の間歇的に(パルスで)供給する方法も可能である。図8(A)においては3箇所の円形上の気体供給領域が設けられており、枠体が気体供給出口を横断するように搬送されるに従い、3回の間歇的な気体の供給を行った場合の気体供給領域を示している。
【0045】
次に、図8(B)においては2箇所の長方形状の気体供給領域が設けられており、枠体が気体供給出口を横断するように搬送されるに従い、3回の間歇的な気体の供給を行った場合の気体供給領域(全体)を示している。
【0046】
さらに、間歇的な気体の供給については1回のみの気体供給であってもよい。例えば、図9(A)については、3箇所の気体供給領域が設けられており、枠体の中央が気体供給口に位置したタイミングで1回のみの気体の供給が行われた場合の気体供給領域を示している。
【0047】
また、図9(B)については、5箇所の気体供給領域が設けられており、枠体の中央が気体供給口に位置したタイミングで1回のみの気体の供給が行われた場合の気体供給領域を示している。
【0048】
─剥離工程後の熱風乾燥─
上記の剥離工程の後において、任意の工程として、さらに熱風乾燥処理を追加して実施してもよい。このように剥離後に熱風乾燥を追加することで麺塊の乾燥を一層高めることができる。
【実施例0049】
以下に本願発明の実施例を記載する但し、本願発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<試験例1> 種々の気体供給の態様における評価
以下、本発明の実施例を記載する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(試験区1) コンプレッサーエアーノズルの場合
小麦粉900gと澱粉100gにかん水2g及び水350gを添加してよく混練した後、ドウを形成させて、これを複合・圧延処理して0.7mmの麺帯を形成した。さらに、本麺帯を切刃20番角によって麺線を切り出し、生の麺線群を得た。
【0050】
次に切出し後の生麺線を100kg/hで2分間蒸煮をした。次に、着味液を通過させて40cm程度にカットを行い、α化後の麺線群を得た。
当該麺線群を底部に多数の孔を設けた図10に示すような開口型の略正方形状の枠体(一辺が125mm×高さ70mm)に110gを収納し、上部を網状の蓋を被せた。
当該枠体を熱風乾燥装置によって100℃、10分で乾燥した後、さらに90℃で60分の熱風乾燥処理について、枠体の搬送を伴いながら実施した。
【0051】
上記熱風乾燥処理後の麺塊を含む枠体の下方部に対して、図10に示すような気体供給口が50mm×14mmの長方形であるコンプレッサーエアーノズルを枠体の下面から20mmの距離となる位置に2箇所配置し継続的に気体を供給する態様として麺線の剥離を実施した(図10(A)(B))。
【0052】
また、枠体がコンベア搬送され、コンプレッサーの気体供給口から供給される気体が枠体下面を横断して行われるようにし、枠体が通過後の結果として帯状の気体供給領域が形成されるように調整した(図10(D))。
また、当該コンプレッサーエアーの風速は、144m/sであった。また、風圧は計算値で12483Paであった。これに気体供給口の面積を考慮したところ、麺にかかる部分的な荷重は17.38Nであった(図10(C))。
【0053】
尚、枠体の搬送スピードは4.7m/s、枠体の搬送時のエアーの吹付時間は1.6sであった。尚、熱風乾燥麺塊は500食程度調製した。
上記の気体を供給後した後における“麺塊の剥離の程度”、“麺塊の損傷の程度”について技術者5名で5段階で評価した。
【0054】
麺塊の剥離の程度については、麺塊の剥離が良い:5(良好)⇔麺塊の剥離が悪い:1(不良)の5段階とした。
麺塊の損傷の程度について、麺塊の損傷が無い:5(良好)⇔麺塊の損傷が多い:1(不良)の5段階の評価とした。
評価結果を表1に示す。
【0055】
<試験区2> 円形状のブロワーノズルの場合(その1)
試験区1と同様の方法で麺線群を調製した後、当該麺線群を枠体に収納して熱風乾燥処理を行った後、枠体の下方部に対して、図11に示すような気体供給口が直径9.5mmの円形であるブロワー供給用のノズルを枠体の下面から5mmの距離となる位置に3箇所配置し継続的に気体を供給する態様とした(図11(A)(B))。
【0056】
また、枠体がコンベア搬送され、ブロワーの気体供給口から供給される気体が枠体下面を横断して行われるようにし、枠体が通過後の結果として帯状の気体供給領域が形成されるように調整した(図11(D))。
また、当該ブロワーの風速は、110m/sであった。また、風圧は計算値で7284Paであった。これに気体供給口の面積を考慮したところ、麺にかかる部分的な荷重は1.55Nであった(図11(C))。
【0057】
尚、枠体の搬送スピードは4.7m/s、枠体の搬送時のエアーの吹付時間は1.6sであった。
当該気体を供給後した後における“麺塊の剥離の程度”、“麺塊の損傷の程度”ついて技術者5名で5段階で評価した。評価方法が試験区1に示したものと同様とした。結果を表1に示す。
【0058】
<試験区3> 円形状のブロワーノズル(その2)
試験区2において、当該ブロワーの風速を170m/sであった。尚、風圧は計算値で17398Paであった。これに気体供給口の面積を考慮したところ、麺にかかる部分的な荷重は3.7Nであった。その他の条件及び評価方法は試験区2と同様とした。結果を表1に示す。
【0059】
<試験区4> スリット状のブロワーノズル(その1)
試験区1と同様の方法で麺線群を調製した後、当該麺線群を枠体に収納して熱風乾燥処理を行った後、枠体の下方部に対して、図12に示すような気体供給口が長さ125mm、幅2mmのスリット状のブロワー供給用のノズルを枠体の下面から5mmの距離となる位置に1箇所配置し継続的に気体を供給する態様とした(図12(A)(B))。
【0060】
また、枠体がコンベア搬送され、コンプレッサーの気体供給口から供給される気体が枠体下面を横断して行われるようにし、枠体が通過後の結果として全面の気体供給領域が形成されるように調整した(図12(D))。
また、当該ブロアーエアーの風速は、100m/sとした。また、風圧は計算値で6020Paであった。これに気体供給口の面積を考慮したところ、麺にかかる部分的な荷重は1.51Nであった(図12(C))。
【0061】
尚、枠体の搬送スピードは4.7m/s、枠体の搬送時のエアーの吹付時間は1.6sであった。
当該気体を供給後した後における“麺塊の剥離の程度”、“麺塊の損傷の程度”ついて技術者5名で5段階で評価した。評価方法が試験区1に示したものと同様とした。結果を表1に示す。
【0062】
<試験区5> スリット状のブロワーノズル(その2)
試験区4において、当該ブロワーの風速を154m/sとした。尚、風圧は計算値で14277Paであった。これに気体供給口の面積を考慮したところ、麺にかかる部分的な荷重は3.57Nであった。その他の条件及び評価方法は試験区4と同様とした。結果を表1に示す。
【0063】
<試験区6> 気体供給をしない場合
試験区1~試験区5に対する比較例として枠体に対する気体供給をしない態様を試験した。試験区1の場合において、気体供給を実施しない場合を試験区6とした。評価結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
試験区1~試験区5のいずれの場合も試験区6に比べて麺線の剥離の程度が向上した。また、麺塊の損傷の程度については、試験区1~5については全て5(損傷無し)であったが、試験区6については3(損傷あり)であった。
本発明の熱風乾燥後の枠体の下面からの気体供給によって熱風乾燥後の麺塊を好適に剥すことができることを見出した。
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