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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165210
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ソーラーカーポート
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/10 20140101AFI20241121BHJP
   H02S 20/20 20140101ALI20241121BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20241121BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20241121BHJP
   E04B 7/00 20060101ALI20241121BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20241121BHJP
   E04H 6/02 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H02S20/10 T
H02S20/20 200
H02S20/23 A
E04B1/343 V ETD
E04B7/00 Z
E04D13/18
E04H6/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081149
(22)【出願日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】513256675
【氏名又は名称】ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】竹山 正樹
(72)【発明者】
【氏名】内山 雄司
(72)【発明者】
【氏名】丸山 祥一
(72)【発明者】
【氏名】二田 大輔
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK04
2E108LL01
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】 軽量化を実現するとともに、耐腐食性に優れたソーラーカーポートを提供する。
【解決手段】 ソーラーカーポート100は、第一方向α及び第二方向βに並設された複数の太陽電池モジュール11と、複数の太陽電池モジュール11を支持するように第一方向αに沿って配置された複数の垂木部材12と、第二方向βに隣接する2つの垂木部材12の間に第一方向αに沿って配置された複数の通水部材16と、を備える。垂木部材12は、鋼製の軽量形鋼である。通水部材16は、第二方向βに隣接する2つの垂木部材12の間において第一方向αに延びるとともに上方に開口した凹形状を有する第一通水部161と、第一通水部161の第二方向βの両側の上端部161aから外側に向かって延びた一対のフランジ部162と、を有する。一対のフランジ部162のそれぞれが、太陽電池モジュール11と垂木部材12とによって挟持される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向及び前記第一方向に直交する第二方向に並設された複数の太陽電池モジュールと、
前記複数の太陽電池モジュールを支持するようにそれぞれの前記太陽電池モジュールの前記第二方向の両側の下端部に前記第一方向に沿って配置された複数の垂木部材と、
前記第二方向に隣接する2つの前記垂木部材の間に前記第一方向に沿って配置された複数の通水部材と、
を備え、
前記垂木部材は、鋼製の軽量形鋼であり、
前記通水部材は、前記第二方向に隣接する2つの前記垂木部材の間において前記第一方向に延びるとともに上方に開口した凹形状を有する第一通水部と、前記第一通水部の前記第二方向の両側の上端部から外側に向かって延びた一対のフランジ部と、を有し、
前記一対のフランジ部のそれぞれが、前記太陽電池モジュールと前記垂木部材とによって挟持される、ソーラーカーポート。
【請求項2】
前記通水部材は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製の押出形材である、請求項1に記載のソーラーカーポート。
【請求項3】
前記通水部材は、前記第二方向に隣接する2つの前記垂木部材の間において前記第一方向に延びるとともに下方に開口した凹形状を有するレール部をさらに有し、
前記レール部は、前記第一方向の両側の端部から、締結部材を挿通かつ保持可能に構成されている、請求項1に記載のソーラーカーポート。
【請求項4】
前記通水部材は、前記一対のフランジ部のそれぞれの末端部から外側に向かって延びた一対の第二通水部をさらに有し、
前記一対の第二通水部のそれぞれは、前記第一方向に延びるとともに上方に開口した凹形状を有する、請求項1に記載のソーラーカーポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーカーポートに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールを用いた太陽光発電システムにおいて発電量を増加させるためには、日照を十分に得る必要がある。そのため、従来、太陽電池モジュールは、日当たりのよい住宅の屋根、ビルの屋上等に設置されている。近年、太陽光発電モジュールを用いて屋根部材を構成したソーラーカーポートが提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-14764号公報
【特許文献2】特開2016-141971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーポートに使用される部材(例えば、垂木部材、母屋部材等の桟材)として、例えば、防食のために表面に溶融亜鉛めっきが施された鋼製の溶接H形鋼や溶接T形鋼が広く用いられている。しかし、例えば、鋼製の溶接H形鋼は、H形断面を有するように3枚の厚板を溶接接合することにより作製されるので、軽量性に劣り、運搬性及び施工性の低下をもたらす。また、溶融亜鉛めっきは、雨水、結露、海水飛沫等により腐食が進行するため、耐腐食性の面で問題がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、軽量化を実現するとともに、耐腐食性に優れたソーラーカーポートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、第一方向及び前記第一方向に直交する第二方向に並設された複数の太陽電池モジュールと、前記複数の太陽電池モジュールを支持するようにそれぞれの前記太陽電池モジュールの前記第二方向の両側の下端部に前記第一方向に沿って配置された複数の垂木部材と、前記第二方向に隣接する2つの前記垂木部材の間に前記第一方向に沿って配置された複数の通水部材と、を備え、前記垂木部材は、鋼製の軽量形鋼であり、前記通水部材は、前記第二方向に隣接する2つの前記垂木部材の間において前記第一方向に延びるとともに上方に開口した凹形状を有する第一通水部と、前記第一通水部の前記第二方向の両側の上端部から外側に向かって延びた一対のフランジ部と、を有し、前記一対のフランジ部のそれぞれが、前記太陽電池モジュールと前記垂木部材とによって挟持される、ソーラーカーポートを提供する(発明1)。
【0007】
かかる発明(発明1)によれば、垂木部材が鋼製の軽量形鋼であることにより、垂木部材の軽量化が実現される。その結果、垂木部材の運搬性及び施工性が向上する。また、通水部材の第一通水部を介して、カーポートから雨水等の水分を排出することができるとともに、通水部材のフランジ部によって、垂木部材の上面部が保護されるので、雨水等による垂木部材の腐食が抑制される。
【0008】
上記発明(発明1)においては、前記通水部材は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製の押出形材であることが好ましい(発明2)。
【0009】
アルミニウム製又はアルミニウム合金製の形材は、表面に溶融亜鉛めっきが施された鋼製の形鋼よりも耐腐食性に優れる。また、アルミニウム製又はアルミニウム合金製の形材は、例えば、ステンレス製の形鋼よりも低コストで作製することができる。したがって、かかる発明(発明2)によれば、雨水等による通水部材の腐食が抑制されるとともに、通水部材にかかるコストを低減することができる。
【0010】
上記発明(発明1,2)においては、前記通水部材は、前記第二方向に隣接する2つの前記垂木部材の間において前記第一方向に延びるとともに下方に開口した凹形状を有するレール部をさらに有し、前記レール部は、前記第一方向の両側の端部から、締結部材を挿通かつ保持可能に構成されていてもよい(発明3)。
【0011】
かかる発明(発明3)によれば、締結部材を用いて、レール部に付属部品、例えば、外部照明、第二方向に沿って配置される雨樋等、を取り付けることができる。
【0012】
上記発明(発明1~3)においては、前記通水部材は、前記一対のフランジ部のそれぞれの末端部から外側に向かって延びた一対の第二通水部をさらに有し、前記一対の第二通水部のそれぞれは、前記第一方向に延びるとともに上方に開口した凹形状を有していてもよい(発明4)。
【0013】
かかる発明(発明4)によれば、通水部材の第二通水部を介して、例えば、太陽電池モジュールとフランジ部との間から染み出した雨水等の水分を排出することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るソーラーカーポートによれば、垂木部材が鋼製の軽量形鋼であることにより、垂木部材の軽量化が実現される。その結果、垂木部材の運搬性及び施工性が向上する。また、通水部材の第一通水部を介して、カーポートから雨水等の水分を排出することができるとともに、通水部材のフランジ部によって、垂木部材の上面部が保護されるので、雨水等による垂木部材の腐食が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るソーラーカーポートを下方向から見た概略斜視図である。
図2図1のソーラーカーポートを上方向から見た概略斜視図である。
図3】通水部材の一例を示す概略断面図である。
図4図3の通水部材を太陽電池モジュール及び垂木部材とともに示す概略断面図である。
図5図3の通水部材に付属部品を取り付けた例を示す概略図である。
図6図5の側面図である。
図7】通水部材の別の例を示す概略断面図である。
図8図7の通水部材を太陽電池モジュール及び垂木部材とともに示す概略断面図である。
図9図1のソーラーカーポートの上面図(a)、側面図(b)、及び正面図(c)である。
図10図1のソーラーカーポートの部分側面図(a)、(a)をA方向から見た図(b)、及び(a)をB方向から見た図(c)である。
図11図1のソーラーカーポートの部分斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るソーラーカーポートの実施の形態について、適宜図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであって、何ら本発明を限定するものではない。
【0017】
〔ソーラーカーポート〕
図1は、本発明の一実施形態に係るソーラーカーポート100(以下、単に「カーポート100」という)を下方向から見た概略斜視図である。図2は、カーポート100を上方向から見た概略斜視図である。
【0018】
カーポート100は、複数の太陽電池モジュール11、複数の垂木部材12、複数の母屋部材13、複数の梁部材14、及び複数の支柱15を備える。
【0019】
複数の太陽電池モジュール11は、第一方向α及び第一方向αに直交する第二方向βに並設されている。複数の垂木部材12は、複数の太陽電池モジュール11を支持するように第一方向αに沿って配置されている。複数の母屋部材13は、複数の垂木部材12を支持するように第二方向βに沿って配置されている。複数の梁部材14は、複数の母屋部材13を支持するように第一方向αに沿って配置されている。複数の支柱15は、複数の梁部材14を支持するとともに地盤Gに立設されている。
【0020】
本実施形態において、垂木部材12は、鋼製の軽量形鋼である。これにより、垂木部材12の軽量化が実現される。その結果、垂木部材12の運搬性及び施工性が向上する。
【0021】
本実施形態において、カーポート100は、第二方向βに隣接する2つの垂木部材12の間に第一方向αに沿って配置された複数の通水部材16をさらに備える。
【0022】
図3は、通水部材16の一例を示している。図3は、通水部材16の第二方向βにおける概略断面図である。図4は、図3の通水部材16を太陽電池モジュール11及び垂木部材12とともに示す概略断面図である。
【0023】
図4に示すように、複数の垂木部材12は、複数の太陽電池モジュール11を支持するように第一方向α(紙面に垂直な方向)に沿ってそれぞれの太陽電池モジュール11の第二方向βの両側の下端部11a、11bに沿って配置されている。
【0024】
図3及び図4に示すように、通水部材16は、第二方向βに隣接する2つの垂木部材12の間において第一方向αに延びるとともに上方に開口した凹形状を有する第一通水部161と、第一通水部161の第二方向βの両側の上端部161aから外側に向かって延びた一対のフランジ部162とを有する。図4に示すように、一対のフランジ部162のそれぞれが、太陽電池モジュール11と垂木部材12とによって挟持される。このような構造であることにより、通水部材16の第一通水部161を介して、カーポート100から雨水等の水分を排出することができるとともに、通水部材16のフランジ部162によって、垂木部材12の上面部12aが保護されるので、雨水等による垂木部材12の腐食が抑制される。
【0025】
図4に示すように、第二方向βにおけるフランジ部162の長さは、第二方向βにおける垂木部材12の上面部12aの長さと同程度か、それ以上であることが好ましい。このような構造によれば、雨水等による垂木部材12の腐食がより抑制される。第二方向βにおけるフランジ部162の長さは、第二方向βにおける垂木部材12の上面部12aの長さと同じか、それ以上であってもよい。
【0026】
通水部材16は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製の押出形材であることが好ましい。例えば、押出形材は、熱間押出法により製造される形材である。熱間押出法によれば、様々な形状に機械加工したダイスを通して押出し成形するので、複雑な形状を持つ形材を製造することができる。アルミニウム製又はアルミニウム合金製の形材は、溶融亜鉛めっきが施された鋼製の形鋼よりも耐腐食性に優れる。また、アルミニウム又はアルミニウム合金の形材は、例えば、ステンレス製の形鋼よりも低コストで作製することができる。したがって、通水部材16がアルミニウム製又はアルミニウム合金製の押出形材であると、雨水等による通水部材16の腐食が抑制される。これにより、垂木部材12の腐食がより抑制される。また、通水部材16にかかるコストを低減することができる。
【0027】
図3及び図4に示すように、通水部材16は、第二方向βに隣接する2つの垂木部材12の間において第一方向αに延びるとともに下方に開口した凹形状を有するレール部163をさらに有していてもよい。レール部163は、第二方向βの両側の端部から、締結部材60を挿通かつ保持可能に構成されていることが好ましい。このような構造によれば、締結部材60を用いて、レール部163に付属部品61、例えば、外部照明、第二方向に沿って配置される雨樋等、を取り付けることができる。
【0028】
図3及び図4に示すように、第二方向βにおける断面において、第一通水部161とレール部163とは、上下方向に対向する凹形状を有している。
【0029】
図3に示すように、レール部163は、締結部材60を挿通かつ保持可能であるような第一方向αに延びるレール溝163aを有していてもよい。レール部163の第二方向βの両側の下端部163bが内側に向かって折り曲げられることにより、レール溝163aが形成されていてもよい。
【0030】
締結部材60は、通水部材16のレール部163と付属部品61とを締結することができる限り、特に限定されない。締結部材60は、例えば、頭部と軸部とを有するボルトであり、典型的には、六角ボルト601である。図3及び図4に示す例では、レール部163は、六角ボルト601の軸部601bを挿通可能であり、かつ、六角ボルト601の頭部601aを保持可能であるような第一方向αに延びるレール溝163aを有している。六角ボルト601の頭部601aがレール溝163aの内部に位置し、六角ボルト601の軸部601bがレール溝163aの外部に位置している。
【0031】
図5は、図3の通水部材16のレール部163に締結部材60を用いて付属部品61を取り付けた例を示す概略図である。図6は、図5の側面図である。図5及び図6に示す例において、付属部品61は、雨樋611及び雨樋611の取付金具612を含む。雨樋611は、例えば、第二方向βに沿って配置される。雨樋611は、取付金具612を用いて六角ボルト601によって、通水部材16のレール部163に取り付けられている。図6に示すように、通水部材16のレール部163の第一方向αの端部に雨樋611を取り付けることにより、通水部材16の第一通水部161に沿って排出された雨水等の水分を雨樋611に流入させることができる。
【0032】
図7は、通水部材16の別の例を示す概略断面図である。図8は、図7の通水部材16を太陽電池モジュール11及び垂木部材12とともに示す概略断面図である。
【0033】
図7に示すように、通水部材16は、一対のフランジ部162のそれぞれの末端部162aから外側に向かって延びた一対の第二通水部164をさらに有していてもよい。一対の第二通水部164のそれぞれは、第一方向αに延びるとともに上方に開口した凹形状を有する。このような構造によれば、通水部材16の第二通水部164を介して、例えば、太陽電池モジュール11とフランジ部162との間から染み出した雨水等の水分を排出することができる。
【0034】
図7及び図8に示す例では、第二通水部164は、第二方向βにおける断面において、断面が逆台形をなすよう形成されている。また、図7及び図8に示す例では、第二方向βにおける断面において、第二通水部164の深さは、第一通水部161の深さよりも小さい。しかし、第二通水部164の形状は図7及び図8に示す例に限られない。例えば、第二通水部164は、断面がV字形をなすよう形成されていてもよい。
【0035】
以下、さらに図9から図11を参照しつつ、カーポート100の構造について、詳しく説明する。
【0036】
図9は、カーポート100の上面図(a)、側面図(b)、及び正面図(c)である。図10は、カーポート100の部分側面図(a)、(a)をA方向から見た図(b)、及び(a)をB方向から見た図(c)である。図11は、カーポート100の部分斜視図である。
【0037】
図9(a)に示すように、本実施形態において、第一方向α及び第二方向βに並設された複数の太陽電池モジュール11は屋根部材20を構成している。図9(a)に示すように、本実施形態において、屋根部材20は、第一方向αに沿って2列、かつ第二方向βに沿って15列となるように配置された、合計30枚の太陽電池モジュール11を有している。
【0038】
図示は省略するが、各太陽電池モジュール11は、光電変換する複数枚のセルをタイル状に配置し、これらのセルを強化ガラスで挟んで、ガラスの外周をアルミニウム合金製のフレームで取り囲んだ両面発電タイプの太陽電池モジュールとしてもよい。通水部材16の一対のフランジ部162は、太陽電池モジュール11の上記フレームと垂木部材12とによって挟持されていてもよい。太陽電池モジュール11の上記フレームと垂木部材12とは、六角ボルトのような締結部材を用いて接続されていてもよい。
【0039】
図9(b)に示すように、屋根部材20は、第一方向αに対して傾斜している。具体的には、屋根部材20において、複数の太陽電池モジュール11は、第一方向αに対して全体として連続して傾斜するように配置されている。屋根部材20の傾斜角θは、例えば、2°以上10°以下である。傾斜角θは、3°であってもよい。傾斜角θが3°であると、効率的に直達光及び散乱光を太陽電池モジュール11に導きつつ、雨水等の水分を通水部材16により効率的に排出することができるので、雨水等の流れで太陽電池モジュール11の表面に汚れが蓄積しにくくなる。以下では、図9(a)~(c)に示すように、屋根部材20のうち、地盤Gから屋根部材20までの距離が小さい側を後側201、地盤Gから屋根部材20までの距離が大きい側を前側202と呼ぶ。
【0040】
本実施形態において、カーポート100は、複数の支柱15によって屋根部材20の後側201を片持ち支持した構造を有する。屋根部材20の後側201が複数の支柱15によって支持される一方で、屋根部材20の前側202に支柱15は存在しない。このような構造によれば、屋根部材20の前側202に支柱15が存在しないので、カーポート100への車両の出し入れを容易に行うことができる。よって、カーポート100の利便性が向上する。
【0041】
本実施形態において、支柱15は、後支柱151及び前支柱152を有する。後支柱151は、屋根部材20の後側201において、第二方向βに沿って1列となるように合計4本が地盤Gに対して垂直に立設されている。なお、本実施形態において、地盤Gは水平な面である。前支柱152は、後支柱151よりも屋根部材20の前側202寄りに、第二方向βに沿って1列となるように合計4本が地盤Gに対して垂直に立設されている。
【0042】
図9(b)に示すように、第一方向αにおける屋根部材20の前側202の端部202aから後側201の端部201aまでの水平方向の長さをL20と定義したとき、前支柱152は、前側202の端部202aから1/2×L20以上の位置に設置されることが好ましく、2/3×L20以上の位置に設置されることがより好ましい。後支柱151は、前側202の端部202aからL20の位置に設置されることが好ましい。このような構造によれば、屋根部材20を確実に支持しつつ、車両駐車時に前支柱152が運転の邪魔になりにくく、駐車した車両の後部ドアの開閉に支障のない位置に前支柱152を配置することができる。したがって、カーポート100の利便性が向上する。
【0043】
本実施形態において、梁部材14は、第一方向αに沿って4列となるように合計4本が配置されている。第一方向αに沿って立設された2本の支柱15(後支柱151及びの前支柱152)によって1本の梁部材14が支持されている。すなわち、4本の梁部材14が、第一方向αにおいて互いに平行となるようにそれぞれ2本の支柱15(後支柱151及びの前支柱152)によって支持されている。
【0044】
本実施形態において、母屋部材13は、第二方向βに沿って4列となるように合計4本が配置されている。第一方向αに沿って配置された4本の梁部材14によって、4本の母屋部材13が支持されている。
【0045】
本実施形態において、垂木部材12は、それぞれの太陽電池モジュール11の第二方向βの両側の下端部11a、11bに第一方向αに沿って配置されている。本実施形態において、太陽電池モジュール11は、第二方向βに沿って15列となるように配置されているので、合計30本の垂木部材12が配置されている。第二方向βに沿って配置された4本の母屋部材13によって、30本の垂木部材12が支持されている。
【0046】
太陽電池モジュール11、垂木部材12、母屋部材13、梁部材14、及び支柱15の数及び配置は上述した例に限られない。
【0047】
カーポート100は、さらに複数の斜め部材17及び複数の補強部材18を備えていてもよい(図1に図示)。斜め部材17は、前支柱152と梁部材14とによって画定される鉛直面内において、斜め方向に配置される。補強部材18は、母屋部材13と梁部材14とによって画定される水平面内において、斜め方向に配置される。複数の斜め部材17及び複数の補強部材18を備えることにより、カーポート100の強度を向上させることができる。
【0048】
本実施形態において、斜め部材17は、後斜め部材171及び前斜め部材172を有する。図10及び図11に示すように、後斜め部材171は、前支柱152の鉛直方向の所定位置に位置する接続部31と、後支柱151と梁部材14との接続部32とを接続するように斜めに配置されてもよい。前斜め部材172は、前支柱152の鉛直方向の所定位置に位置する接続部31と、梁部材14の第一方向αの所定位置に位置する接続部33とを接続するように斜めに配置されてもよい。前斜め部材172の長さは、後斜め部材171の長さよりも大きくてもよい。このような構造によれば、前支柱152から屋根部材20の前側202の端部202aまでの張り出し距離を確保しつつ、カーポート100の鉛直方向と前後方向との強度を向上させることができる。
【0049】
図10に示すように、後支柱151、前支柱152、及び梁部材14は、軽量形鋼のリップ溝形鋼を背合わせにした構造からなっていてもよい。後斜め部材171及び前斜め部材172は、軽量形鋼の溝形鋼を背合わせにした構造からなっていてもよい。
【0050】
補強部材18は、ブレーズとも呼ばれる。図1に示すように、補強部材18は、母屋部材13と梁部材14とによって画定される四角形の水平面内において、四角形の対角線上にタスキ掛けのように配置されてもよい。このような構造によれば、カーポート100の水平方向の強度を向上させることができる。
【0051】
カーポート100は、さらに、地盤Gに形成されたコンクリート基礎19を備えていてもよい。複数の支柱15がコンクリート基礎19に立設されていてもよい。このような構造によれば、支柱15がコンクリート基礎19に剛結合されるので、支柱15の鉛直性が拘束されるとともに、カーポート100の全体としての転倒を防止することができる。
【0052】
図11に示すように、第二方向βに隣接する太陽電池モジュール11の間には、第一方向αに沿って隙間(目地)21が存在している。隙間21の第二方向βの幅は、特に限定されず、例えば、10mm以上30mm以下である。雨水等の水分は、隙間21から通水部材16の第一通水部161に流入し、排出される。
【0053】
図11に示すように、第一方向αに隣接する太陽電池モジュール11の間には、第二方向βに沿って隙間(目地)22が存在している。隙間22の第一方向αの幅は、特に限定されず、例えば、10mm以上30mm以下である。本実施形態において、隙間22は、雨水等の水分が侵入しないように塞がれている。隙間22を塞ぐ手段は、特に限定されない。例えば、隙間22を塞ぐ手段として、特許第7141782号に記載の嵌合部材を用いてもよい。隙間22を塞ぐ手段として、一般的に使用されるガスケット及び防水シールを用いてもよい。
【0054】
次に、図10及び図11を参照しつつ、各部材の接続部等についてさらに詳しく説明する。
【0055】
図示は省略するが、垂木部材12と母屋部材13とは、六角ボルトのような締結部材を用いて接続されていてもよい。
【0056】
図10及び図11に示すように、母屋部材13と梁部材14とは、母屋受金具40を用いて接続されていてもよい。
【0057】
図10及び図11に示すように、梁部材14と支柱15とは、締結部材41を用いて接続されていてもよい。締結部材41は、例えば、六角ボルトである。
【0058】
図10に示すように、梁部材14の第二方向βの所定位置に位置する接続部30において、梁部材14と前支柱152の鉛直方向の上端部152bとが接続されていてもよい。接続には、ガセットプレート50及び締結部材41が用いられていてもよい。この場合、ガセットプレート50は、軽量形鋼のリップ溝形鋼を背合わせにした構造からなる梁部材14のウェブ間に挟まれた状態で締結部材41を用いて接続されている。
【0059】
図10に示すように、前支柱152の鉛直方向の所定位置に位置する接続部31において、後斜め部材171の下端部171a及び前斜め部材172の下端部172aが前支柱152に接続されていてもよい。接続には、ガセットプレート51及び締結部材41が用いられていてもよい。この場合、ガセットプレート51は、軽量形鋼のリップ溝形鋼を背合わせにした構造からなる前支柱152のウェブ間に挟まれた状態で締結部材41を用いて接続されている。
【0060】
図10に示すように、後支柱151と梁部材14との接続部32において、後斜め部材171の上端部171bが後支柱151及び梁部材14に接続されていてもよい。接続には、ガセットプレート52及び締結部材41が用いられていてもよい。この場合、ガセットプレート52は、軽量形鋼のリップ溝形鋼を背合わせにした構造からなる後支柱151及び梁部材14のウェブ間に挟まれた状態で締結部材41を用いて接続されている。
【0061】
図11に示すように、梁部材14の第一方向αの所定位置に位置する接続部33において、前斜め部材172の上端部172bが梁部材14に接続されていてもよい。接続には、ガセットプレート53及び締結部材41が用いられていてもよい。この場合、ガセットプレート53は、軽量形鋼のリップ溝形鋼を背合わせにした構造からなる梁部材14のウェブ間に挟まれた状態で締結部材41を用いて接続されている。
【0062】
垂木部材12と同様に、母屋部材13、梁部材14、及び支柱15は、鋼製の軽量形鋼であることが好ましい。この場合、各部材の軽量化が実現されうるとともに、各部材の運搬性及び施工性が向上する。また、支柱15及び梁部材14を軽量形鋼を背合わせにした構造とすることによって、ガセットプレート51、52、53を軽量形鋼のウェブ間に挟持できるため、溶接が不要であり、各部材の製造性が向上する。
【0063】
母屋部材13、梁部材14、及び支柱15は、高耐食プレめっきが施された鋼板であってもよい。高耐食プレめっきは、溶融亜鉛めっきよりもめっき層が薄いが、溶融亜鉛めっきよりも高い耐食性を有している。そのため、工場で高耐食プレめっき処理された鋼板を曲げ加工しても、めっきが割れたり剥離したりしにくいという利点がある。また、曲げ加工後に溶融亜鉛めっきする場合、めっき槽の熱で、加工部が戻り変形してしまうが、高耐食プレめっきが施された鋼板は、戻り変形が発生せず形状精度に優れている。さらに、高耐食プレめっきは、溶融亜鉛めっきのようなめっきムラ又はダレが発生しないため、表面が滑らかになり、カーポートのように意匠性を重視する建築物における商品価値を向上させる。
【0064】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係るソーラーカーポートは、軽量化を実現するとともに、耐腐食性に優れるので、太陽電池モジュールの技術分野及びカーポートの技術分野に有用である。
【符号の説明】
【0066】
100 ソーラーカーポート
11 太陽電池モジュール
12 垂木部材
13 母屋部材
14 梁部材
15 支柱
151 後支柱
152 前支柱
16 通水部材
161 第一通水部
162 フランジ部
163 レール部
163a レール溝
164 第二通水部
17 斜め部材
171 後斜め部材
172 前斜め部材
18 補強部材
19 コンクリート基礎
20 屋根部材
201 後側
202 前側
21,22 隙間
30,31,32,33 接続部
40 母屋受金具
41 締結部材
50,51,52,53 ガセットプレート
60 締結部材
601 六角ボルト
601a 頭部
601b 軸部
61 付属部品
611 雨樋
612 取付金具
α 第一方向
β 第二方向
θ 傾斜角
G 地盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11