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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165213
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】川下り用船
(51)【国際特許分類】
   B63H 16/04 20060101AFI20241121BHJP
   B63H 16/18 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B63H16/04
B63H16/18
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081154
(22)【出願日】2023-05-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-19
(71)【出願人】
【識別番号】599138054
【氏名又は名称】寺川 英太郎
(72)【発明者】
【氏名】寺川 英太郎
(57)【要約】
【課題】
激流や浅瀬や岩場が点在する川において、川の流水量や乗船者の人数の変動に関係なく、舵性能が良く、空舵をなくし、制動力があり、漕ぐことが可能な川下り用船を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
水中に浸漬される舵板と、前記舵板を船体上で操作する水平方向に伸びる操舵棒とが、前記船体の後端部外面において上下方向に伸びる第1軸でもって連結され、前記第1軸は、該第1軸の軸心を中心として左右回動自在に、かつ、水平方向の第2軸の軸心を中心として上下回動自在に、前記後端部外面に少なくとも1台取り付けられた舵機構を備えた川下り用船の構成である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横長形状の舵板を、上下方向に設けた第1軸に左右回動自在に軸支させ、さらに、水平に設けた第2軸に上下回動自在に軸支させ、前記第1軸に操舵棒が前方に延設されている舵機構が、船体の後端部外面に少なくとも1台設けられ、複数台設けられる場合は、前記各舵板が同じ動きとなるように前記操舵棒が互いに連結されていることを特徴とする船。
【請求項2】
前記操舵棒が略前方又は略後方に延設されている前記舵機構が、船体の側端部外面に少なくとも一台設けられていることを特徴とする請求項1に記載の船
【請求項3】
前記舵板に少なくとも一枚の水平翼が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の船。
【請求項4】
前記操舵棒の前部の形状がT字状体又はU字状体又は環状体に成されていることを特徴とする請求項1に記載の船。
【請求項5】
前記水平翼に少なくとも一枚の補助舵板が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空舵をなくし、川下りの安全性を担保する舵機構を設けた船に関する。
【背景技術】
【0002】
川下りの体験は観光者にとってスリルのある良い経験となる。経験の長い複数の船頭が操船する船は、乗船者の人数や日々の流水量の変動により状況が変わる。また、激流の場所も点在し、岩が突出した場所などがあるので危険である、川幅は狭いので操舵法は難しく、空舵など人的ミスによる人命事故が起こっている。事故の原因は船の操舵法であり改良が必要である。
【0003】
この問題に対しては、特許文献1は、漕ぎ棒の先端部にL状に曲げた回動軸を取付け、この回動軸の水平軸部に推進板を回動自在に取付けた作動板を接続すると共に、該作動板には上記推進板のほぼ取付け部分を股部として、該推進板の左右両側方へ二股状に開いた一対の押厚子を突設して成ることを特徴とする小型船用人力推進具である。推進板が回動するために前進する方向性が不安定であり、浅瀬や岩が突出した激流を下るには適していないことが問題点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案出願公開昭57-81998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
激流や浅瀬や岩場が点在する川において、川の流水量や乗船者の人数の変動に関係なく、舵性能が良く、空舵をなくし、制動力があり、漕ぐことが可能な船を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の船は、横長形状の舵板を、上下方向に設けた第1軸に左右回動自在に軸支させ、さらに、水平に設けた第2軸に上下回動自在に軸支させ、前記第1軸に操舵棒が前方に延設されている舵機構が、船体の後端部外面に少なくとも1台設けられ、複数台設けられる場合は、前記各舵板が同じ動きとなるように前記操舵棒が互いに連結されていることを特徴とする。
【0007】
第2発明の船は、第1発明において、前記操舵棒が略前方又は略後方に延設されている前記舵機構が、船体の側端部外面に少なくとも一台設けられていることを特徴とする。
【0008】
第3発明の船は、第1発明において、前記舵板に少なくとも一枚の水平翼が設けられていることを特徴とする。
【0009】
第4発明の船は、第1発明において、前記操舵棒の前部の形状がT字状体又はU字状体又は環状体に成されていることを特徴とする。
【0010】
第5発明の船は、第3発明において、前記水平翼に少なくとも一枚の補助舵板が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、横長形状の舵板を、上下方向に設けた第1軸に左右回動自在に軸支させ、さらに、水平に設けた第2軸に上下回動自在に軸支させ、前記第1軸に操舵棒が前方に延設されている舵機構が、船体の後端部外面に少なくとも1台設けられ、複数台設けられる場合は、前記各舵板が同じ動きとなるように前記操舵棒が互いに連結されているので、舵性能が良く、操舵棒を早く左右回動させることにより、漕ぐことができる。そして、空舵をなくし浅瀬や岩などの難所に対して適宜に対応して、安全に運航することができる。
【0012】
第2発明によれば、前記操舵棒が略前方又は略後方に延設されている前記舵機構が、船体の側端部外面に少なくとも一台設けられているので、前記舵板を外側に押し出すことによって、流水の抵抗が発生し、船体の方向を変えることと共に船の速度を制動することができる。
【0013】
第3発明によれば、前記舵板に少なくとも一枚の水平翼が設けられているので、操舵棒を早く上下回動させることによって、水平翼が上下に傾斜し、流水の抵抗が発生し、船の速度を制動することができる。
【0014】
第4発明によれば、前記操舵棒の前部の形状がT字状体又はU字状体又は環状体に成されているので、操舵者は前方を見て操舵棒を両手で握り、確実に安全な操舵が可能になる。
【0015】
第5発明によれば、前記水平翼に少なくとも一枚の補助舵板が設けられているので、舵性能が向上して直進性が良くなると共に、左右回動を早くすることにより推進力が起こる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1発明の実施例を示す斜視図である。
図2】第1発明の実施例を示す平面説明図である。
図3】第1発明の実施例を示す側面図である。
図4】第2発明の実施例を示す斜視図、説明平面図である。
図5】第3発明の実施例を示す斜視図、説明側面図である。
図6】第3発明の実施例を示す斜視図、平面説明図である。
図7】第4発明の実施例を示す平面説明図である。
図8】第5発明の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る船の実施形態の例を、様々な川の状況を例にして図面を参照しながら説明する。
【実施例0018】
第1発明の船は、横長形状の舵板(3)を、上下方向に設けた第1軸(1)に左右回動自在に軸支させ、さらに、水平に設けた第2軸(2)に上下回動自在に軸支させ、前記第1軸(1)に操舵棒(4)が前方に延設されている舵機構(5)が、船体(16)の後端部外面に少なくとも1台設けられ、複数台設けられる場合は、前記各舵板(3)が同じ動きとなるように前記操舵棒(4)が互いに連結されていることを特徴としている。
【0019】
図1(a)は第1発明の舵機構(5)が1台の場合、船体(16)の後端部外面に横長形状の舵板(3)を進行方向に対して上下方向に設けた第1軸(1)に左右回動自在に軸支され、さらに、水平に設けた第2軸(2)に上下回動自在に軸支され、操舵棒(4)が前方に延設されていることを示す一実施形態の斜視図である。横長形状の舵板(3)により安定して進路が決定される。空舵を防止して安全を担保することができる。上下左右回動部が水上にあるので、保守点検が容易である。
【0020】
図1(b)は第1発明の舵機構(5)が2台の場合、船体(16)の後端部外面に横長形状の舵板(3)を進行方向に対して上下方向に設けた第1軸(1)に左右回動自在に軸支され、操舵棒(4)が同じ動きとなるように軸(13)によって連結され、さらに、水平に設けた第2軸(2)に上下回動自在に軸支され、2枚の舵板(3)が水中に浸かっているので、空舵を防止して安全を担保して、安定して進路が決定される。図1(c)は第1発明の舵機構(5)が3台の場合、舵性能、空舵防止がより向上するので、より安全を担保することができる。
【0021】
図2(a)は第1発明の舵機構(5)が1台の場合、船体(16)の後端部外面に横長形状の舵板(3)を進行方向に対して上下方向に設けた第1軸(1)が左右回動自在に軸支されていることを示す一実施形態の平面説明図である。操舵棒(4)を操舵者が持ち左右回動することにより、進行方向を変えることができる。また、操舵棒(4)を早く左右回動させることにより、漕ぐことと同様の作用効果があり、推進力を生じさせて前進することができる。
【0022】
図2(b)は第1発明の舵機構(5)が3台の場合、船体(16)の後端部外面に横長形状の舵板(3)を進行方向に対して上下方向に設けた第1軸(1)に左右回動自在に軸支され、3本の操舵棒(4)が同じ動きとなるように3本の3軸(13)が連結部材に軸支されていることを示す一実施形態の平面説明図である。操舵者が操舵棒(4)を握り左右回動させることにより、進行方向を変えて浅瀬や岩場を巧みに乗り切ることができる。また、操舵棒(4)を早く左右回動させることにより、漕ぐことと同様の作用効果があり、推進力を生じさせて加速することができる。非常時には舵板(3)を岩にぶつけて方向を変えることができる。
【0023】
図3(a)は第1発明の舵機構(5)の水平に設けた第2軸(2)に上下回動自在に軸支させ、操舵者が操舵棒(4)を下げたことを示す一実施形態の側面図である。浅瀬を通過する時に舵板(3)が川底に擦れないようにできる。図3(b)は操舵者が操舵棒(4)を略水平に持っていることを示す一実施形態の側面図である。舵板(3)の底辺は船底と同じ高さになるので、川底に擦れることなく流れる。第図3(c)は操舵者が操舵棒(4)を上に上げていることを示す一実施形態の側面図である。川底が深い場所で舵板(3)を深く入れて操舵することができる。激流を下る時は図2(a)(b)で示す第1軸(1)を左右に回動させることと、図3で示す第2軸(2)を上下回動させることを連動させることにより、スムーズに船を操舵させることができる。浅瀬で緊急に制動しなければならない時には、強引に操舵棒(4)を上げて川底の砂にめり込ませて制動できる。
【0024】
本発明で言う船は、複雑な渓谷を流れる激流を下る観光船に適している。舵板(3)の材質はFRP軽量でプラスチックで最高の強度である。本発明の舵機構(5)を取り付け、観光者にスリルを安全に体験できる船を提供する。
【0025】
以下の図では、第1発明の構成部分と同様な部分については、その説明を省略又は簡略化し、第1発明と異なる部分の実施形態について説明する。
【実施例0026】
第2発明の船は、前記操舵棒が略前方又は略後方に延設されている前記舵機構が、船体の側端部外面に少なくとも一台設けられていることを特徴としている。
【0027】
図4(a)は第2発明の舵機構(5)が船体(16)の側端部外面に一台設けられていることを示す一実施形態の斜視図である。操舵者が操舵棒(4)を握り左右上下回動させることができる。図4(b)は第2発明の操舵棒(4)を操舵者が握り、外側に押した状態を示す一実施形態の平面説明図である。流水は矢印が示すように外側に流れて進行方向を変えることができる。早く押し出すことにより制動できる。
【実施例0028】
第3発明の船は、前記舵板(3)に少なくとも一枚の水平翼(15)が設けられていることを特徴としている。
【0029】
図5(a)は第3発明の水平翼(6)が、1台の舵機構(5)の舵板(3)の両面に1枚ずつ設けられていることを示す一実施形態の斜視図である。操舵棒(4)が略水平の場合、水平翼(6)も水平となり、舵板(3)の底辺は船体(16)の船底と同じ高さの水平になるので、水平翼(6)に水の抵抗なく舵板(3)は安定している。図5(b)は第3発明の斜線で示す水平翼(6)が、3台の舵機構(5)の舵板(3)の両面に2枚ずつ計12枚設けられていることを示す一実施形態の斜視図である。
【0030】
図5(c)は操舵者が操舵棒(4)を下方に下げることにより、矢印が示すように流水は水平翼(6)の上面を流れる時に水平翼(6)を押し下げる力が生じるので、船体(16)は下方に下がる力が働き船の速さが制動される。図5(d)は操舵者が操舵棒(4)を上方に上げることにより、矢印が示すように流水は水平翼(6)の下面を押し上げる力が生じるので、船体(16)は上方に上がる力が働き船の速さが制動される。よって、舵機構(5)の操舵棒(4)を早く上下回動させることや頻度を多くすることにより、制動して流れる船体(16)速さをコントロールできる。浅瀬で緊急に制動しなければならない時には、強引に操舵棒(4)を上げて川底の砂にめり込ませて制動できる。
【0031】
図6(a)は第3発明の水平翼(6)が、3台の舵機構(5)の舵板(3)の上下両端に、3枚ずつ計9枚水平に設けられていることを示す一実施形態の斜視図である。図6(b)は矢印が示すように、第3発明の水平翼(6)を設けた3台の舵機構(5)の3本の操舵棒(4)が同じ動きとなるように連結され、左右回動する状態を示す一実施形態の平面説明図である。操舵棒(4)を早く左右回動させることにより、3枚の舵板(3)と上下両端に設けた9枚の水平翼(6)に囲まれた中の流水は、後方に強く押出されることになり漕ぐ力が増大して加速される。非常時には舵板(3)を岩にぶつけて方向を変えることができる。
【実施例0032】
第4発明の船は、前記操舵棒(4)の前部の形状がT字状体(8)又はU字状体(9)又は環状体(10)に成されていることを特徴としている。
【0033】
図7(a)は第4発明のT字状体(8)が操舵棒(4)の前部に成されていることを示す一実施形態の平面図である。操舵者は操舵棒(4)を後ろ手に持ち、前方を向いて操舵できる。図7(b)は第4発明のU字状体(9)が操舵棒(4)の前部に成されていることを示す一実施形態の平面図である。操舵者がU字状体(9)の中に入り、前方を向いて身体の両側にある操舵棒(4)を両手で握り、安定して操舵することができる。
【0034】
図7(c)は第4発明のU字状体(9)が、2台の舵機構(5)の2本の操舵棒(4)の前部の形状に成されていることを示す一実施形態の平面図である。2本の操舵棒(4)の間に操舵者が入り、両手で操舵棒(4)を握って操舵できる。図7(d)は第4発明の環状体(10)が、3台の舵機構の3本の操舵棒(4)がお互いに連結され、3本の操舵棒(4)の前部の形状に成されていることを示す一実施形態の平面図である。操舵者が連動するように成された3本の操舵棒(4)の間に入り、身体の前にある連結棒を握って安定して操舵できる。
【実施例0035】
第5発明の船は、前記水平翼(13)に少なくとも一枚の補助舵板(7)が設けられていることを特徴としている。
【0036】
図8は第5発明の補助舵板(7)が、舵板(3)から左右に延設された水平翼(6)の両端に設けられていることを示す一実施形態の斜視図である。略垂直に設けられた補助舵板(7)により、舵板(3)が3枚になるので舵性能が向上する。
【符号の説明】
【0037】
1 第1軸
2 第2軸
3 舵板
4 操舵棒
5 舵機構
6 水平翼
7 補助舵板
8 T字状体
9 U字状体
10 環状体
11 第1軸受
12 第2軸受
13 軸
16 船体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
第3発明の船は、第1又は2発明において、前記舵板に少なくとも一枚の水平翼が設けられていることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
前記舵板に少なくとも一枚の水平翼が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載船。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空舵をなくし、川下りの安全性を担保する舵機構を取り付けた川下り用船に関する。
【背景技術】
【0002】
川下りの体験は観光者にとってスリルのある良い経験となる。経験の長い複数の船頭が操船する川下り用船は、乗船者の人数や日々の流水量の変動により状況が変わる。また、激流の場所も点在し、岩が突出した場所などがあるので危険である、操舵法は難しく空舵など人的ミスによる人命事故が起こっている。事故の原因は川下り用船の操舵法であり改良が必要である。
【0003】
この問題に対しては、特許文献1は、漕ぎ棒の先端部にL状に曲げた回動軸を取付け、この回動軸の水平軸部に推進板を回動自在に取付けた作動板を接続すると共に、該作動板には上記推進板のほぼ取付け部分を股部として、該推進板の左右両側方へ二股状に開いた一対の押厚子を突設して成ることを特徴とする小型船用人力推進具である。推進板が回動するために前進する方向性が不安定であり、浅瀬や岩が突出した激流を下るには適していないことが問題点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案出願公開昭57-81998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
激流や浅瀬や岩場が点在する川において、川の流水量や乗船者の人数の変動に関係なく、舵性能が良く、空舵をなくし、制動力があり、漕ぐことが可能な川下り用船を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の川下り用船は、水中に浸漬される舵板と、前記舵板を船体上で操作する水平方向に伸びる操舵棒とが、前記船体の後端部外面において上下方向に伸びる第1軸でもって連結され、前記第1軸は、該第1軸の軸心を中心として左右回動自在に、かつ、水平方向の第2軸の軸心を中心として上下回動自在に、前記後端部外面に少なくとも1台取り付けられた舵機構を備えた川下り用船を特徴とする。
【0007】
第2発明の川下り用船は、第1発明において、前記舵機構が船体の側端部外面に少なくとも一台設けられていることを特徴とする。
【0008】
第3発明の川下り用船は、第1発明において、前記舵板に少なくとも一枚の水平翼が設けられていることを特徴とする。
【0009】
第4発明の川下り用船は、第1発明において、前記操舵棒の前部の形状がT字状体又はU字状体又は環状体に成されていることを特徴とする。
【0010】
第5発明の川下り用船は、第1発明において、前記水平翼に少なくとも一枚の補助舵板が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、水中に浸漬される舵板と、前記舵板を船体上で操作する水平方向に伸びる操舵棒とが、前記船体の後端部外面において上下方向に伸びる第1軸でもって連結され、前記第1軸は、該第1軸の軸心を中心として左右回動自在に、かつ、水平方向の第2軸の軸心を中心として上下回動自在に、前記後端部外面に少なくとも1台の舵機構が取り付けられ、複数台設けられる場合は、前記各舵板が同じ動きとなるように前記操舵棒が互いに連結されているので、舵性能が良く、操舵棒を早く左右回動させることにより、漕ぐことができる。そして、空舵をなくし浅瀬や岩などの難所に対して適宜に対応して、安全に運航することができる。
【0012】
第2発明によれば、前記舵機構が船体の側端部外面に少なくとも一台設けられているので、前記舵板を外側に押し出すことによって、流水の抵抗が発生し、船体の方向を変えることと川下り用船の速度を制動することができる。
【0013】
第3発明によれば、前記舵板に少なくとも一枚の水平翼が設けられているので、操舵棒を早く上下回動させることによって、水平翼が上下に傾斜するので、流水の抵抗が発生し、川下り用船の速度を制動することができる。
【0014】
第4発明によれば、前記操舵棒の前部の形状がT字状体又はU字状体又は環状体に成されているので、操舵者は前方を見て操舵棒を両手で握り、確実に安全な操舵が可能になる。
【0015】
第5発明によれば、前記水平翼に少なくとも一枚の補助舵板が設けられているので、舵性能が向上して直進性が良くなる。また、左右回動を早くすることにより推進力が起こる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1発明の実施例を示す斜視図である。
図2】第1発明の実施例を示す平面説明図である。
図3】第1発明の実施例を示す側面図である。
図4】第2発明の実施例を示す斜視図、説明側面図である。
図5】第3発明の実施例を示す平面図である。
図6】第4発明の実施例を示す斜視図、側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る川下り用船の実施形態の例を、様々な川の状況を例にして図面を参照しながら説明する。
【実施例0018】
第1発明の川下り用船は、水中に浸漬される舵板(3)と、前記舵板(3)を船体上で操作する水平方向に伸びる操舵棒(4)とが、前記船体(16)の後端部外面において上下方向に伸びる第1軸(1)でもって連結され、前記第1軸(1)は、該第1軸(1)の軸心を中心として左右回動自在に、かつ、水平方向の第2軸(2)の軸心を中心として上下回動自在に、前記後端部外面に少なくとも1台の舵機構(5)が取り付けられ、複数台設けられる場合は、前記各舵板(3)が同じ動きとなるように前記操舵棒(4)が互いに連結されていることを特徴としている。
【0019】
図1(a)は第1発明の舵機構(5)が1台の場合、船体(16)の後端部外面に横長形状の舵板(3)を進行方向に対して垂直に設けた第1軸(1)に左右回動自在に軸支され、さらに、水平に設けた第2軸(2)に上下回動自在に軸支され、操舵棒(4)が前方に延設されていることを示す一実施形態の斜視図である。横長形状の舵板(3)により安定して進路が決定される。空舵を防止して安全を担保することができる。上下左右回動部が水上にあるので、保守点検が容易である。
【0020】
図1(b)は第1発明の舵機構(5)が2台の場合、船体(16)の後端部外面に横長形状の舵板(3)を進行方向に対して垂直に設けた第1軸(1)に左右回動自在に軸支され、操舵棒(4)が同じ動きとなるように第3軸(13)と第4軸(14)によって連結され、さらに、水平に設けた第2軸(2)に上下回動自在に軸支され、2枚の舵板(3)が水中に浸かっているので、空舵を防止して安全を担保することができる。横長形状の舵板(3)により安定して進路が決定される。難所に入る前の船体(16)の方向も操舵し易い。図1(c)は第1発明の舵機構(5)が3台の場合、舵性能、空舵防止がより向上するので、より安全を担保することができる。
【0021】
図2(a)は第1発明の舵機構(5)が1台の場合、船体(16)の後端部外面に横長形状の舵板(3)を進行方向に対して垂直に設けた第1軸(1)が左右回動自在に軸支されていることを示す一実施形態の平面図である。操舵棒(4)を操舵者が持ち左右回動することにより、進行方向を変えることができる。また、操舵棒(4)を早く左右回動させることにより、漕ぐことと同様の作用効果があり、推進力を生じさせて前進することができる。
【0022】
図2(b)は第1発明の舵機構(5)が3台の場合、船体(16)の後端部外面に横長形状の舵板(3)を進行方向に対して垂直に設けた第1軸(1)に左右回動自在に軸支され、3本の操舵棒(4)が同じ動きとなるように3本の3軸(13)が軸支されていることを示す一実施形態の平面図である。操舵者が操舵棒(4)を握り左右回動させることにより、進行方向を変えて浅瀬や岩場を巧みに乗り切ることができる。また、操舵棒(4)を早く左右回動させることにより、漕ぐことと同様の作用効果があり、推進力を生じさせて加速することができる。非常時には舵板(3)を岩にぶつけて方向を変えることができる。
【0023】
図3(a)は第1発明の舵機構(5)の水平に設けた第2軸(2)に上下回動自在に軸支させ、操舵者が操舵棒(4)を下げたことを示す一実施形態の側面図である。浅瀬を通過する時に舵板(3)が川底に擦れないようにできる。図3(b)は操舵者が操舵棒(4)を略水平に持っていることを示す一実施形態の側面図である。舵板(3)は船底と同じ高さになるので、川底に擦れることなく流れる。第図3(c)は操舵者が操舵棒(4)を上に上げていることを示す一実施形態の側面図である。川底が深い場所で舵板(3)を深く入れて操舵することができる。激流を下る時は図2(a)(b)で示した第1軸(1)を左右に回動させることと、第2軸(2)を上下回動させることを連動させることにより、スムーズに川下り用船を操舵させることができる。浅瀬で緊急に制動しなければならない状況になった時には、強引に操舵棒(4)を上げて川底の砂にめり込ませて制動できる。
【0024】
本発明で言う川下り用船は、複雑な渓谷を流れる激流を下る観光船に適している。舵板(3)の材質はFRP軽量でプラスチック最高の強度である。本発明の舵機構(5)を取り付け、観光者にスリルを安全に体験できる川下り用船を提供する。
【0025】
以下の図では、第1発明の構成部分と同様な部分については、その説明を省略又は簡略化し、第1発明と異なる部分の実施形態について説明する。
【実施例0026】
第2発明の川下り用船は、前記舵機構が船体の側端部外面に少なくとも一台設けられていることを特徴としている。
【0027】
図4(a)は第2発明の舵機構が船体の側端部外面に一台設けられていることを示す一実施形態の斜視図である。操舵者が操舵棒(4)を握り左右上下回動させることができる。図4(b)は第2発明の操舵棒(4)を操舵者が握り、外側に押した状態を示す一実施形態の平面説明図である。流水は矢印が示すように外側に流れて進行方向を変えることができる。早く押し出すことにより制動できる。
【実施例0028】
第3発明の川下り用船は、前記舵板(3)に少なくとも一枚の水平翼(15)が設けられていることを特徴としている。
【0029】
図5(a)は第3発明の水平翼(6)が1台の舵機構(5)の舵板(3)の両面に1枚ずつ水平翼(6)が設けられていることを示す一実施形態の斜視図である。操舵棒(4)が略水平の場合、水平翼(6)も水平となり、舵板(3)の底辺は船体(16)の船底と同じ高さの水平になるので、水平翼(6)に水の抵抗なく舵板(3)は安定している。図5(b)は第3発明の水平翼(6)が、3台の舵機構(5)の舵板(3)の両面に2枚ずつ12枚の斜線で示している水平翼(6)が設けられていることを示す一実施形態の斜視図である。
【0030】
図5(c)は操舵者が操舵棒(4)を下方に下げることにより、矢印が示すように流水は水平翼(6)の上面を流れる時に水平翼(6)を押し下げる力が生じるので、船体(16)は下方に下がる力が働き川下り用船の速さが制動される。図5(d)は操舵者が操舵棒(4)を上方に上げることにより、矢印が示すように流水は水平翼(6)の下面を押し上げる力が生じるので、船体(16)は上方に上がる力が働き川下り用船の速さが制動される。よって、舵機構(5)の操舵棒(4)を早く上下回動させることや頻度を多くすることにより、制動して流れる速さをコントロールできる。浅瀬で緊急に制動しなければならない状況になった時には、強引に操舵棒(4)を上げて川底の砂にめり込ませて制動できる。
【0031】
図6(a)は第3発明の水平翼(6)が3台の舵機構(5)の舵板(3)の上下両端に、3枚ずつ9枚の水平翼(6)が水平に設けられていることを示す一実施形態の斜視図である。図6(b)は矢印が示すように、第3発明の水平翼(6)を設けた3台の舵機構(5)の3本の操舵棒(4)が同じ動きとなるように連結され、左右回動する状態を示す一実施形態の説明平面図である。操舵棒(4)を早く左右回動させることにより、3枚の舵板(3)と上下両端に設けた9枚の水平翼(6)に囲まれた中の流水は、後方に強く押出されることになり漕ぐ力が増大して加速される。非常時には舵板(3)を岩にぶつけて方向を変えることができる。
【実施例0032】
第4発明の川下り用船は、前記操舵棒(4)の前部の形状がT字状体(8)又はU字状体(9)又は環状体(10)に成されていることを特徴としている。
【0033】
図7(a)は第4発明のT字状体(8)が操舵棒(4)の前部に成されていることを示す一実施形態の平面図である。操舵者は操舵棒(4)を後ろ手に持ち、前方を向いて操舵できる。図7(b)は第4発明のU字状体(9)が操舵棒(4)の前部に成されていることを示す一実施形態の平面図である。操舵者がU字状体(9)の中に入り、前方を向いて身体の両側にある操舵棒(4)を両手で握り、安定して操舵することができる。
【0034】
図7(c)は第4発明のU字状体(9)が2台の舵機構(5)の2本の操舵棒(4)の前部の形状に成されていることを示す一実施形態の平面図である。2本の操舵棒(4)の間に操舵者が入り、両手で操舵棒(4)を握って操舵できる。図7(d)は第4発明の環状体(10)が3台の舵機構の3本の操舵棒(4)がお互いに連結され、3本の操舵棒(4)の前部の形状に成されていることを示す一実施形態の平面図である。操舵者が連動するように成された2本の操舵棒(4)の間に入り、身体の前にある連結棒を握って安定して操舵できる。
【実施例0035】
第5発明の川下り用船は、前記水平翼(13)に少なくとも一枚の補助舵板(7)が設けられていることを特徴としている。
【0036】
図8は第5発明の補助舵板(7)が舵板(3)から左右に延設された水平翼(6)の両端に設けられていることを示す一実施形態の斜視図である。略垂直に設けられた補助舵板(7)により、舵板(3)が3枚になるので舵性能が向上する。
【符号の説明】
【0037】
1 第1軸
2 第2軸
3 舵板
4 操舵棒
5 舵機構
6 水平翼
7 補助舵板
8 T字状体
9 U字状体
10 環状体
11 第1軸受
12 第2軸受
13 軸
16 船体
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に浸漬される舵板と、前記舵板を船体上で操作する水平方向に伸びる操舵棒とが、前記船体の後端部外面において上下方向に伸びる第1軸でもって連結され、前記第1軸は、該第1軸の軸心を中心として左右回動自在に、かつ、水平方向の第2軸の軸心を中心として上下回動自在に、前記後端部外面に少なくとも1台取り付けられた舵機構を備えた川下り用船
【請求項2】
前記舵機構が船体の側端部外面に少なくとも一台設けられていることを特徴とする請求項1に記載の川下り用船
【請求項3】
前記舵板に少なくとも一枚の水平翼が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の川下り用船
【請求項4】
前記操舵棒の前部の形状がT字状体又はU字状体又は環状体に成されていることを特徴とする請求項1に記載の川下り用船
【請求項5】
前記水平翼に少なくとも一枚の補助舵板が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の川下り用船
【手続補正書】
【提出日】2023-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】手続補正書
【補正対象項目名】手続補正1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空舵をなくし、川下りの安全性を担保する舵機構を取り付けた川下り用船に関する。
【背景技術】
【0002】
川下りの体験は観光者にとってスリルのある良い経験となる。経験の長い複数の船頭が操船する川下り用船は、乗船者の人数や日々の流水量の変動により状況が変わる。また、激流の場所も点在し、岩が突出した場所などがあるので危険である、操舵法は難しく空舵など人的ミスによる人命事故が起こっている。事故の原因は川下り用船の操舵法であり改良が必要である。
【0003】
この問題に対しては、特許文献1は、漕ぎ棒の先端部にL状に曲げた回動軸を取付け、この回動軸の水平軸部に推進板を回動自在に取付けた作動板を接続すると共に、該作動板には上記推進板のほぼ取付け部分を股部として、該推進板の左右両側方へ二股状に開いた一対の押厚子を突設して成ることを特徴とする小型船用人力推進具である。推進板が回動するために前進する方向性が不安定であり、浅瀬や岩が突出した激流を下るには適していないことが問題点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案出願公開昭57-81998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
激流や浅瀬や岩場が点在する川において、川の流水量や乗船者の人数の変動に関係なく、舵性能が良く、空舵をなくし、制動力があり、漕ぐことが可能な川下り用船を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の川下り用船は、水中に浸漬される舵板と、前記舵板を船体上で操作する水平方向に伸びる操舵棒とが、前記船体の後端部外面において上下方向に伸びる第1軸でもって連結され、前記第1軸は、該第1軸の軸心を中心として左右回動自在に、かつ、水平方向の第2軸の軸心を中心として上下回動自在に、前記後端部外面に少なくとも1台取り付けられた舵機構を備えた川下り用船を特徴とする。
【0007】
第2発明の川下り用船は、第1発明において、前記舵機構が船体の側端部外面に少なくとも一台設けられていることを特徴とする。
【0008】
第3発明の川下り用船は、第1発明において、前記舵板に少なくとも一枚の水平翼が設けられていることを特徴とする。
【0009】
第4発明の川下り用船は、第1発明において、前記操舵棒の前部の形状がT字状体又はU字状体又は環状体に成されていることを特徴とする。
【0010】
第5発明の川下り用船は、第1発明において、前記水平翼に少なくとも一枚の補助舵板が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、水中に浸漬される舵板と、前記舵板を船体上で操作する水平方向に伸びる操舵棒とが、前記船体の後端部外面において上下方向に伸びる第1軸でもって連結され、前記第1軸は、該第1軸の軸心を中心として左右回動自在に、かつ、水平方向の第2軸の軸心を中心として上下回動自在に、前記後端部外面に少なくとも1台の舵機構が取り付けられ、複数台設けられる場合は、前記各舵板が同じ動きとなるように前記操舵棒が互いに連結されているので、舵性能が良く、操舵棒を早く左右回動させることにより、漕ぐことができる。そして、空舵をなくし浅瀬や岩などの難所に対して適宜に対応して、安全に運航することができる。
【0012】
第2発明によれば、前記舵機構が船体の側端部外面に少なくとも一台設けられているので、前記舵板を外側に押し出すことによって、流水の抵抗が発生し、船体の方向を変えることと川下り用船の速度を制動することができる。
【0013】
第3発明によれば、前記舵板に少なくとも一枚の水平翼が設けられているので、操舵棒を早く上下回動させることによって、水平翼が上下に傾斜するので、流水の抵抗が発生し、川下り用船の速度を制動することができる。
【0014】
第4発明によれば、前記操舵棒の前部の形状がT字状体又はU字状体又は環状体に成されているので、操舵者は前方を見て操舵棒を両手で握り、確実に安全な操舵が可能になる。
【0015】
第5発明によれば、前記水平翼に少なくとも一枚の補助舵板が設けられているので、舵性能が向上して直進性が良くなる。また、左右回動を早くすることにより推進力が起こる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1発明の実施例を示す斜視図である。
図2】第1発明の実施例を示す平面説明図である。
図3】第1発明の実施例を示す側面図である。
図4】第2発明の実施例を示す斜視図、側面説明図である。
図5】第3発明の実施例を示す斜視図である。
図6】第4発明の実施例を示す斜視図、平面説明図である。
図7第4発明の実施例を示す平面説明図である。
図8第5発明の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る川下り用船の実施形態の例を、様々な川の状況を例にして図面を参照しながら説明する。
【実施例0018】
第1発明の川下り用船は、水中に浸漬される舵板(3)と、前記舵板(3)を船体上で操作する水平方向に伸びる操舵棒(4)とが、前記船体(16)の後端部外面において上下方向に伸びる第1軸(1)でもって連結され、前記第1軸(1)は、該第1軸(1)の軸心を中心として左右回動自在に、かつ、水平方向の第2軸(2)の軸心を中心として上下回動自在に、前記後端部外面に少なくとも1台の舵機構(5)が取り付けられ、複数台設けられる場合は、前記各舵板(3)が同じ動きとなるように前記操舵棒(4)が互いに連結されていることを特徴としている。
【0019】
図1(a)は第1発明の舵機構(5)が1台の場合、船体(16)の後端部外面に横長形状の舵板(3)を進行方向に対して垂直に設けた第1軸(1)に左右回動自在に軸支され、さらに、水平に設けた第2軸(2)に上下回動自在に軸支され、操舵棒(4)が前方に延設されていることを示す一実施形態の斜視図である。横長形状の舵板(3)により安定して進路が決定される。空舵を防止して安全を担保することができる。上下左右回動部が水上にあるので、保守点検が容易である。
【0020】
図1(b)は第1発明の舵機構(5)が2台の場合、船体(16)の後端部外面に横長形状の舵板(3)を進行方向に対して垂直に設けた第1軸(1)に左右回動自在に軸支され、操舵棒(4)が同じ動きとなるように第3軸(13)と第4軸(14)によって連結され、さらに、水平に設けた第2軸(2)に上下回動自在に軸支され、2枚の舵板(3)が水中に浸かっているので、空舵を防止して安全を担保することができる。横長形状の舵板(3)により安定して進路が決定される。難所に入る前の船体(16)の方向も操舵し易い。図1(c)は第1発明の舵機構(5)が3台の場合、舵性能、空舵防止がより向上するので、より安全を担保することができる。
【0021】
図2(a)は第1発明の舵機構(5)が1台の場合、船体(16)の後端部外面に横長形状の舵板(3)を進行方向に対して垂直に設けた第1軸(1)が左右回動自在に軸支されていることを示す一実施形態の平面図である。操舵棒(4)を操舵者が持ち左右回動することにより、進行方向を変えることができる。また、操舵棒(4)を早く左右回動させることにより、漕ぐことと同様の作用効果があり、推進力を生じさせて前進することができる。
【0022】
図2(b)は第1発明の舵機構(5)が3台の場合、船体(16)の後端部外面に横長形状の舵板(3)を進行方向に対して垂直に設けた第1軸(1)に左右回動自在に軸支され、3本の操舵棒(4)が同じ動きとなるように3本の3軸(13)が軸支されていることを示す一実施形態の平面図である。操舵者が操舵棒(4)を握り左右回動させることにより、進行方向を変えて浅瀬や岩場を巧みに乗り切ることができる。また、操舵棒(4)を早く左右回動させることにより、漕ぐことと同様の作用効果があり、推進力を生じさせて加速することができる。非常時には舵板(3)を岩にぶつけて方向を変えることができる。
【0023】
図3(a)は第1発明の舵機構(5)の水平に設けた第2軸(2)に上下回動自在に軸支させ、操舵者が操舵棒(4)を下げたことを示す一実施形態の側面図である。浅瀬を通過する時に舵板(3)が川底に擦れないようにできる。図3(b)は操舵者が操舵棒(4)を略水平に持っていることを示す一実施形態の側面図である。舵板(3)は船底と同じ高さになるので、川底に擦れることなく流れる。第図3(c)は操舵者が操舵棒(4)を上に上げていることを示す一実施形態の側面図である。川底が深い場所で舵板(3)を深く入れて操舵することができる。激流を下る時は図2(a)(b)で示した第1軸(1)を左右に回動させることと、第2軸(2)を上下回動させることを連動させることにより、スムーズに川下り用船を操舵させることができる。浅瀬で緊急に制動しなければならない状況になった時には、強引に操舵棒(4)を上げて川底の砂にめり込ませて制動できる。
【0024】
本発明で言う川下り用船は、複雑な渓谷を流れる激流を下る観光船に適している。舵板(3)の材質はFRP軽量でプラスチック最高の強度である。本発明の舵機構(5)を取り付け、観光者にスリルを安全に体験できる川下り用船を提供する。
【0025】
以下の図では、第1発明の構成部分と同様な部分については、その説明を省略又は簡略化し、第1発明と異なる部分の実施形態について説明する。
【実施例0026】
第2発明の川下り用船は、前記舵機構が船体の側端部外面に少なくとも一台設けられていることを特徴としている。
【0027】
図4(a)は第2発明の舵機構が船体の側端部外面に一台設けられていることを示す一実施形態の斜視図である。操舵者が操舵棒(4)を握り左右上下回動させることができる。図4(b)は第2発明の操舵棒(4)を操舵者が握り、外側に押した状態を示す一実施形態の平面説明図である。流水は矢印が示すように外側に流れて進行方向を変えることができる。早く押し出すことにより制動できる。
【実施例0028】
第3発明の川下り用船は、前記舵板(3)に少なくとも一枚の水平翼(15)が設けられていることを特徴としている。
【0029】
図5(a)は第3発明の水平翼(6)が1台の舵機構(5)の舵板(3)の両面に1枚ずつ水平翼(6)が設けられていることを示す一実施形態の斜視図である。操舵棒(4)が略水平の場合、水平翼(6)も水平となり、舵板(3)の底辺は船体(16)の船底と同じ高さの水平になるので、水平翼(6)に水の抵抗なく舵板(3)は安定している。図5(b)は第3発明の水平翼(6)が、3台の舵機構(5)の舵板(3)の両面に2枚ずつ12枚の斜線で示している水平翼(6)が設けられていることを示す一実施形態の斜視図である。
【0030】
図5(c)は操舵者が操舵棒(4)を下方に下げることにより、矢印が示すように流水は水平翼(6)の上面を流れる時に水平翼(6)を押し下げる力が生じるので、船体(16)は下方に下がる力が働き川下り用船の速さが制動される。図5(d)は操舵者が操舵棒(4)を上方に上げることにより、矢印が示すように流水は水平翼(6)の下面を押し上げる力が生じるので、船体(16)は上方に上がる力が働き川下り用船の速さが制動される。よって、舵機構(5)の操舵棒(4)を早く上下回動させることや頻度を多くすることにより、制動して流れる速さをコントロールできる。浅瀬で緊急に制動しなければならない状況になった時には、強引に操舵棒(4)を上げて川底の砂にめり込ませて制動できる。
【0031】
図6(a)は第3発明の水平翼(6)が3台の舵機構(5)の舵板(3)の上下両端に、3枚ずつ9枚の水平翼(6)が水平に設けられていることを示す一実施形態の斜視図である。図6(b)は矢印が示すように、第3発明の水平翼(6)を設けた3台の舵機構(5)の3本の操舵棒(4)が同じ動きとなるように連結され、左右回動する状態を示す一実施形態の説明平面図である。操舵棒(4)を早く左右回動させることにより、3枚の舵板(3)と上下両端に設けた9枚の水平翼(6)に囲まれた中の流水は、後方に強く押出されることになり漕ぐ力が増大して加速される。非常時には舵板(3)を岩にぶつけて方向を変えることができる。
【実施例0032】
第4発明の川下り用船は、前記操舵棒(4)の前部の形状がT字状体(8)又はU字状体(9)又は環状体(10)に成されていることを特徴としている。
【0033】
図7(a)は第4発明のT字状体(8)が操舵棒(4)の前部に成されていることを示す一実施形態の平面図である。操舵者は操舵棒(4)を後ろ手に持ち、前方を向いて操舵できる。図7(b)は第4発明のU字状体(9)が操舵棒(4)の前部に成されていることを示す一実施形態の平面図である。操舵者がU字状体(9)の中に入り、前方を向いて身体の両側にある操舵棒(4)を両手で握り、安定して操舵することができる。
【0034】
図7(c)は第4発明のU字状体(9)が2台の舵機構(5)の2本の操舵棒(4)の前部の形状に成されていることを示す一実施形態の平面図である。2本の操舵棒(4)の間に操舵者が入り、両手で操舵棒(4)を握って操舵できる。図7(d)は第4発明の環状体(10)が3台の舵機構の3本の操舵棒(4)がお互いに連結され、3本の操舵棒(4)の前部の形状に成されていることを示す一実施形態の平面図である。操舵者が連動するように成された2本の操舵棒(4)の間に入り、身体の前にある連結棒を握って安定して操舵できる。
【実施例0035】
第5発明の川下り用船は、前記水平翼(13)に少なくとも一枚の補助舵板(7)が設けられていることを特徴としている。
【0036】
図8は第5発明の補助舵板(7)が舵板(3)から左右に延設された水平翼(6)の両端に設けられていることを示す一実施形態の斜視図である。略垂直に設けられた補助舵板(7)により、舵板(3)が3枚になるので舵性能が向上する。
【符号の説明】
【0037】
1 第1軸
2 第2軸
3 舵板
4 操舵棒
5 舵機構
6 水平翼
7 補助舵板
8 T字状体
9 U字状体
10 環状体
11 第1軸受
12 第2軸受
13 軸
16 船体