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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165217
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/22 20060101AFI20241121BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F24F1/0007 361B
F24F1/0007 401D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081163
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】合田 憲史
【テーマコード(参考)】
3L050
3L051
【Fターム(参考)】
3L050BD05
3L050BE03
3L050BF04
3L051BH01
3L051BJ10
(57)【要約】
【課題】ドレンホースが曲げて配置される室内機において、ドレン水の排水不良が生じることを抑制できる空気調和機を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る空気調和機は、筐体と、前記筐体の背面に形成された開口部から奥行方向後方側に引き出されるドレンホースと、前記ドレンホースを前記筐体の背面において前記開口部から前記筐体の幅方向の一方側に沿って配置したときに前記ドレンホースと並行して設けられるとともに、前記ドレンホースよりも剛性の高い部材である高剛性部材と、を備え、前記ドレンホースは、前記高剛性部材によって補強される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の背面に形成された開口部から奥行方向後方側に引き出されるドレンホースと、
前記ドレンホースを前記筐体の背面において前記開口部から前記筐体の幅方向の一方側に沿って配置したときに前記ドレンホースと並行して設けられるとともに、前記ドレンホースよりも剛性の高い部材である高剛性部材と、を備え、
前記ドレンホースは、前記高剛性部材によって補強される、空気調和機。
【請求項2】
前記高剛性部材は、前記ドレンホースを保持する保持部を有する、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記保持部は、前記幅方向の一方側に向けて前記ドレンホースを下方に傾斜して支持する、請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記高剛性部材は、前記ドレンホースを挿入可能な筒状部材である、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記高剛性部材は、前記筐体の背面の少なくとも一部を覆うように取り付けられるカバー部材である、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記高剛性部材及び前記ドレンホースが結束されることで、前記ドレンホースは補強される、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記高剛性部材は、熱交換器の冷媒管であり、
前記高剛性部材及び前記ドレンホースは、結束部材によって結束される、請求項6に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、建物の壁に設けられ、室内機に接続されたドレン管を外部に引き出すための貫通スリーブ内に、ドレン管を直線状に保持するためのドレン管保持部材が配置された空気調和機のドレン管保持構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-139979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような空気調和機では、ドレンホースの室内機との接続部及び壁面の貫通孔(貫通スリーブ)が室内機の奥行方向に略重なるため、ドレンホースを曲げることなく、貫通孔に向けて後方に引き出している。しかしながら、住宅環境によっては、ドレンホースの室内機との接続部及び壁面の貫通孔が奥行方向に重ならず、室内機の幅方向にずれることがあるため、ドレンホースを壁面の貫通孔に向けて、室内機の背面側において幅方向に沿わす必要が生じる。このような場合、ドレンホースを曲げて配置しなければならないため、ドレンホースの曲げ部近傍において撓みが生じやすく、ドレンホースの勾配が逆勾配となったり、排水トラップが生じたりして、ドレン水の逆流、滞留等の排水不良が生じる場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、例えば、ドレンホースが曲げて配置される室内機において、ドレン水の排水不良が生じることを抑制できる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る空気調和機は、筐体と、前記筐体の背面に形成された開口部から奥行方向後方側に引き出されるドレンホースと、前記ドレンホースを前記筐体の背面において前記開口部から前記筐体の幅方向の一方側に沿って配置したときに前記ドレンホースと並行して設けられるとともに、前記ドレンホースよりも剛性の高い部材である高剛性部材と、を備え、前記ドレンホースは、前記高剛性部材によって補強される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】空気調和機の室内機の側面図である。
図2】室内機の側面断面図である。
図3】ドレンパンを示す室内機の側面断面図である。
図4】筐体及び据付板の斜視図である。
図5】筐体の後方斜視図である。
図6】室内機の背面図である。
図7】塩ビ管の断面図である。
図8】冷媒管カバー及びドレンホースを結束した状態を示す筐体の後方斜視図である。
図9】冷媒管カバー及びドレンホースを結束した状態を示す筐体の側面断面図である。
図10】カバー部材を示す筐体の斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施の形態について説明する。なお、本明細書及び図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付することにより重複する説明は省略し、また、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する場合がある。さらに、かかる実施の形態に示す構成要素の形態はあくまでも例示であって、これらの形態に限定されるものではない。
【0009】
本発明の実施形態に係る空気調和機は、セパレート型であり、室内機100と室外機とから構成される。室内機100には、室内側のファン114及び熱交換器115が内装され、室外機には、圧縮機、四方弁、室外側の熱交換器、ファン、絞り装置が内装される。室内機100と室外機とが冷媒管によって接続されて冷凍サイクルが形成され、冷房、暖房、除湿などの各種の運転モードが実行されている。
【0010】
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る空気調和機の室内機100の概要について説明する。図1は、空気調和機の室内機100を示す側面図である。図2は、空気調和機の室内機100を示す側面断面図である。図2では、据付板130、ドレンホース200等の図示を省略している。以下では、室内機100が取り付けられる室内の壁面側を後側とし、その反対側を前側とし、室内機100が取り付けられる室内の天井側を上側とし、その反対側を下側と規定して室内機100について説明する。
【0011】
室内機100は、各種の構造物を収容する筐体110を有する。筐体110は、例えば、左右方向を長手方向とする略箱型に形成された部材である。筐体110の上面には、吸込口111が形成されている。筐体110の上面には、前後方向にスライド可能なフィルタユニット120が着脱可能に設けられている。フィルタユニット120は、筐体110の上面に左右方向に二つ並べて配置されている。以下では、筐体110の幅方向とは、左右方向を指し、筐体110の奥行方向とは、前後方向を指すものとする。
【0012】
フィルタユニット120は、一例として、集塵フィルタ121と、集塵フィルタ121を挟んで保持する保持枠122と、を有する。
【0013】
集塵フィルタ121は、通過する空気中の塵埃、具体的には、微細な塵埃や所定粒径(例えば、3μm)よりも小さい粒径のPM2.5等の微小粒子を捕集する。集塵フィルタ121は、一例として、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタである。集塵フィルタ121は、一例として、いわゆるプレフィルタと称される集塵フィルタよりも高性能で厚みが厚く、通風抵抗が大きいフィルタである。
【0014】
保持枠122は、集塵フィルタ121を保持する枠体である。保持枠122は、筐体110の上面に取り付けられる。保持枠122の前端部には、フィルタユニット120全体を前後にスライドさせるための把持部123が設けられている。
【0015】
フィルタユニット120は、筐体110の吸込口111を覆うように、筐体110の上面に外側から取り付けられる。これにより、外気から吸込口111に向けて取り入れられる空気は、保持枠122に保持される集塵フィルタ121を通過することで、浄化された空気となり、吸込口111を介して筐体110の内部に取り入れられる。
【0016】
筐体110の前面には、吹出口112が形成されている。筐体110の前面は、上部から下部に進むにつれて後方に傾斜している。吹出口112には、導風板124が設けられている。
【0017】
導風板124は、吹出口112から吹き出される空気の向きを変更する。導風板124は、例えば、一枚の板状部材である。導風板124は、吹出口112と対向して設けられるとともに、吹出口112に対する傾きを変更可能である。導風板124は、吹出口112を閉じた状態において、吹出口112に沿って湾曲する形状を有する。導風板124は、上側に位置する傾動支点(図示せず)及び下側に位置する傾動支点(図示せず)のそれぞれを中心に傾動することで、吹出口112から吹き出される空気の向きを変更している。
【0018】
筐体110の内部には、吸込口111及び吹出口112を連通する送風路113が形成されている。送風路113は、例えば、吸込口111から吸い込まれた空気を下方に導いたのち、吹出口112に向けて略前方に導くように形成されている。送風路113には、空気の流れる方向における上流側から順に、複数のファン114、熱交換器115が配置されている。
【0019】
ファン114は、例えば、シロッコファンである。複数のファン114は、左右方向に間隔をあけて並べて配置されている。各ファン114は、軸方向が左右方向となるように設けられている。各ファン114は、筐体110の内部において後部寄りに配置されている。ファン114の各々は、対応するファンハウジング114aに収容されている。吸込口111を介して取り入れられた空気は、各ファンハウジング114aの側方から内部に導かれている。ファンハウジング114aの前部は、熱交換器115を収容する空間につながっている。
【0020】
熱交換器115は、筐体110の内部において、ファン114の前方に設けられている。具体的には、熱交換器115は、筐体110の内部において、吹出口112を内側から覆うように、吹出口112に沿って設けられている。熱交換器115は、上部から下部に進むにつれて後方に傾斜している。熱交換器115は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。
【0021】
筐体110は、熱交換器115の少なくとも一部を囲うフレーム116を有する。フレーム116は、例えば、熱交換器115の上部、下部、両側部、背面側の一部等を囲っている。フレーム116のうち、熱交換器115の背面側の一部を囲っている部分は各ファンハウジング114aの前部とつながっている。また、フレーム116のうち、熱交換器115の下部を囲っている部分は、ドレンパン116aである。ドレンパン116aには、ドレンホース200(図5参照)が接続されており、ドレンホース200を介して外部にドレン水を排出可能である。
【0022】
以上の構成において、空気調和機は、ファン114がモータ(図示せず)によって回転されることで、室内の空気がフィルタユニット120を通過した後、吸込口111を介して筐体110の内部に取り入れられ、熱交換器115で熱交換されて、暖められたり、冷やされたりして、吹出口112から吹き出されている。
【0023】
なお、フィルタユニット120は、集塵フィルタ121を備えているが、これに限らず、例えば、通過する空気中の塵埃を捕集するプレフィルタを備えてもよいし、通過する空気中の臭気成分(例えば、アセトアルデヒド、アンモニア、酢酸等)を吸着して空気を脱臭する脱臭フィルタを備えてもよいし、上述のフィルタを複数組み合わせたものを備えてもよい。また、フィルタユニット120は、筐体110の上面に外側から取り付けられているが、これに限らず、例えば、筐体110の内部、より具体的には、吸込口111の内側に設けられてもよい。また、送風路113には、空気の流れる方向における上流側から順に、ファン114、熱交換器115が順に配置されているが、これに限らず、熱交換器115、ファン114の順に配置されていてもよい。
【0024】
図3を用いて、ドレンパン116aについて具体的に説明する。図3は、ドレンパン116aを示す側面断面図である。図3では、ドレンホース200の図示を省略している。
【0025】
ドレンパン116aは、例えば、左右方向に延びる樋状に形成された容器である。ドレンパン116aは、前方から後方に進むにつれて下方に傾斜するように形成されている。ドレンパン116a上には、熱交換器115の下端部が載置されている。
【0026】
図3に示すように、ドレンパン116aは、ドレンホース200を接続する接続部116bを有する。接続部116bは、例えば、ドレンパン116aの背面から後方に向けて斜め下方に延びる管状部材である。ドレンホース200は、例えば、可撓性を有する管状部材である。ドレンホース200の断面形状は、例えば、略円筒形状である。ドレンホース200は、その一端が接続部116bに接続される。筐体110には、接続部116bの後方に位置する部分に、ドレンホース200を筐体110の外部に引き出すための開口部110bが設けられる。開口部110bは、筐体110の背面における左右方向における端部に設けられる。
【0027】
本実施形態では、接続部116bは、ドレンパン116aの左右方向における各端部にそれぞれ設けられる。すなわち、ドレンパン116aは、2つの接続部116bを有する。空気調和機の設置者は、ドレンホース200の接続部として、2つの接続部116bのうち、壁面Wの貫通孔H(図9参照)に対してドレンホース200の引き回しが容易となるいずれかの接続部116bを選択することができるため、空気調和機の設置が容易となる。この際、ドレンホース200が接続されない接続部116bは蓋(図示せず)等によって閉じられているものとする。
【0028】
また、接続部116bの数は、2つに限らず、1つであってもよい。この場合、接続部116bの数に対応するように、開口部110bの数は設けられるものとする。また、接続部116b及びドレンホース200の断面形状は、円筒形状に限らず、多角筒形状、楕円筒形状等の他の形状であってもよい。
【0029】
図4から図6までを用いて、室内機100の壁面Wへの取付構造について説明する。図4は、筐体110及び据付板130を示す斜視図である。図4では、筐体110の一部について図示を省略している。図5は、筐体110の後方斜視図である。図6は、室内機100の背面図である。図4から図6までにおいて、筐体110の一部について図示を省略している。
【0030】
図4に示すように、室内機100は、筐体110を壁面W(図9参照)に据え付けるための据付板130を備える。据付板130は、例えば、1枚の板状部材である。据付板130は、筐体110の背面の少なくとも一部と前後方向に対向する。据付板130は、壁面Wにねじ等の締結具を用いて固定される。据付板130に筐体110を係止することで、室内機100は、壁面Wに取り付けられる。
【0031】
据付板130は、室内機100の外部に向けてドレンホース200を引き出すための切欠部131が設けられる。切欠部131は、例えば、据付板130の下部中央に設けられる。切欠部131は、据付板130の下端から上方に向けて略矩形状に切り欠いた部分である。
【0032】
据付板130は、切欠部131の両側にスリット132がそれぞれ設けられる。スリット132は、据付板130の下端から上方に向けて縦長状に形成される。据付板130の下端は、スリット132が設けられることで、二股に分岐している。
【0033】
据付板130の上端は、筐体110の上部を引掛けられるように前側に傾斜している。据付板130には、スリット132よりも外側(左右方向における外側)に位置する部分に、筐体110の下部(後述の爪部322)が係止される開口部133が設けられる。開口部133は、据付板130の下端において、前方に屈曲した部分に形成される。開口部133には、筐体110の下部に設けられ、下方に突出する爪部(図示せず)が係止可能である。据付板130には、スリット132よりも内側に位置する部分に、筐体110の下部をねじ等の締結具を用いて締結するための開口部134が設けられる。開口部134には、ねじ等の締結具を用いて筐体110の下部に固定可能である。
【0034】
図5に示すように、筐体110の背面には、据付板130との間において、ドレンホース200の一部を収容する収容部300が設けられる。収容部300は、筐体110の背面において、据付板130との間にドレンホース200を収容可能に内側に凹む部分である。収容部300は、例えば、筐体110の背面下部に設けられる。具体的には、ドレンホース200を筐体110から外部に引き出すための開口部110bと略同一の高さ位置に設けられる。収容部300は、筐体110の背面において左右方向に沿って設けられる。
【0035】
収容部300は、例えば、筐体110の背面下部に位置する背面部310と、背面部310の下端から前方に向けて突出する底部320と、を有する。
【0036】
背面部310は、例えば、筐体110の背面において内側に凹む部分である。底部320は、背面部310と据付板130との間でドレンホース200を支持するための部材である。底部320は、例えば、筐体110の左右方向に延びる板状部材である。底部320は、据付板130の下端に対向する位置に設けられる。底部320は、筐体110の背面において、左右方向に間隔をあけて並べて配置される。
【0037】
底部320は、例えば、筐体110の背面において幅方向の一方側(中央側)に向かうにつれて、下方に傾斜する傾斜面320aを含む。傾斜面320aは、ドレンホース200を支持するための傾斜面である。
【0038】
以下では、室内機100の壁面Wへの取付方法を説明する。まず、壁面Wに据付板130を固定する。そして、据付板130の上端に筐体110の上部を引っ掛けた状態で筐体110の下部を据付板130側に向けて傾動させて据付板130の下端(開口部133)に筐体110の下部を係止させることで、据付板130に対して筐体110が係止される。さらに、ねじ等の締結具によって開口部134を介して筐体110の下部及び据付板130の下端部を締結することで、据付板130に対して筐体110が固定される。
【0039】
本実施形態では、底部320は、収容部300の左右方向における各端部にそれぞれ設けられている。すなわち、1つの接続部116bに対して1つの底部320が対応して設けられている。
【0040】
以下では、室内機100を壁面Wに取り付ける際のドレンホース200の引き回しについて説明する。据付板130の上端に筐体110の上部を引っ掛けた状態では、筐体110の下端は、筐体110の上部を傾動支点として前後方向に傾動可能である。この状態では、筐体110の下端と据付板130との間には、空気調和機の設置者がドレンホース200を引き回すための隙間が生じている。設置者は、当該隙間を利用して、筐体110の背面に形成された開口部110bからドレンホース200を引き出すとともに、据付板130の切欠部131までドレンホース200を収容部300に沿うように配置したのち、壁面Wの貫通孔H(図9参照)に向かってドレンホース200を後方に引き出すことで、ドレンホース200が居室外への引き回しが完了する。すなわち、本実施形態では、ドレンホース200を室内機100の中央部から後方に向けて引き出す中央引きが行われている。設置者は、ドレンホース200の引き回しが完了した後、筐体110の下端を据付板130に固定することで、室内機100は、壁面Wに取り付けられる。
【0041】
なお、ドレンホース200は、筐体110の左端部に位置する開口部110bから筐体110の外部に引き出されているが、これに限らず、例えば、筐体110の右端部に位置する開口部110bから筐体110の外部に引き出されてもよい。この場合、ドレンホース200は、収容部300に沿って左側に引き出された後、切欠部131を介して、室内機100から後方に引き出されることとなる。以上のように、収容部300は、筐体110の背面において、ドレンホース200が引き出された部分から筐体110の幅方向の一方側に向かって形成されていればよい。筐体110の幅方向の一方側とは、筐体110の幅方向における中央側を指す。
【0042】
図5及び図6に示すように、収容部300は、ドレンホース200を筐体110の幅方向に沿って配置したときに、ドレンホース200の基端部の上端200aよりも低い位置をドレンホース200が通るように構成される。具体的には、収容部300においてドレンホース200の移動を規制する部分、言い換えれば、ドレンホース200と接触し得る部分は、ドレンホース200の基端部の上端200aよりも低い位置に配置される。ドレンホース200の基端部とは、ドレンホース200の室内機100と接続される側(接続部116b)の端部を指す。本実施形態では、開口部110bの上端は、ドレンホース200の基端部の上端200aよりも低い位置である。
【0043】
図5及び図6を用いて、ドレンホース200を補強する高剛性部材について説明する。高剛性部材とは、ドレンホース200を筐体110の幅方向の一方側に沿って配置したときにドレンホース200と並行して設けられるとともに、ドレンホース200よりも剛性の高い部材である。本実施形態では、高剛性部材は、ドレンホース200を挿通可能である塩ビ管210である。なお、高剛性部材として、塩ビ管210が設けられているが、ドレンホース200を挿通可能な筒状部材であればよく、これに限らない。
【0044】
塩ビ管210は、例えば、直線状に延びる筒状部材である。塩ビ管210の断面形状は、例えば、円筒状である。塩ビ管210は、その長手方向と、ドレンホース200が挿通される挿通方向とが同一の方向である。塩ビ管210の内径は、ドレンホース200の外径と略同一、もしくはドレンホース200の外径よりもやや大きく形成される。塩ビ管210の内径は、ドレンホース200の外径と略同一、もしくはドレンホース200の外径よりもやや大きく形成される。
【0045】
塩ビ管210は、ドレンホース200のうち、筐体110の幅方向に沿って配置される部分を挿通する。塩ビ管210は、ドレンホース200を保持する保持部としても機能する。塩ビ管210の長さは、例えば、筐体110の幅方向における筐体110の開口部110b及び壁面Wの貫通孔H間の長さを上限として設定される。塩ビ管210に挿通されたドレンホース200は、収容部300の底部320上に配置される。具体的には、塩ビ管210に挿通されたドレンホース200は、筐体110の幅方向の一方側(中央側)に向けて下方に傾斜する傾斜面320aに配置される。塩ビ管210は、特に、ドレンホース200のうち、筐体110の開口部110b近傍の部分を挿通することが好ましい。
【0046】
以上のように、ドレンホース200のうち、筐体110の幅方向に沿って配置される部分が塩ビ管210に挿通されることで、当該部分が塩ビ管210によって補強されるため、ドレンホース200の撓みを効果的に抑制することができる。ゆえに、ドレンホース200に撓みが生じることによって、ドレン水が、ドレンホース200内を逆流したり、ドレンホース内に溜まったりすることを抑制できる。
【0047】
また、特に、塩ビ管210は、ドレンホース200のうち、筐体110の開口部110b近傍の部分を挿通することが好ましい。ドレンホース200が中央引きされる場合、ドレンホース200を開口部110bから幅方向の一方側(本実施形態では、右側)に向けて曲げなければならないため、ドレンホース200の曲げ部の終端部において、ドレンホース200が撓みやすい。ゆえに、ドレンホース200のうち、筐体110の開口部110b近傍の部分を塩ビ管210に挿通することで、ドレンホース200が撓みやすい箇所を補強することができるため、ドレン水が、ドレンホース200内を逆流したり、ドレンホース200内に溜まったりすることを効果的に抑制できる。
【0048】
なお、塩ビ管210は、直線状に延びる筒状部材であるが、これに限らず、曲線状に延びる筒状部材であってもよい。この場合、塩ビ管210は、ドレンホース200のうち、開口部110bから幅方向の一方側に向けて曲げられた曲げ部に配置される。これにより、ドレンホース200の曲げ部の終端部において、ドレンホース200が撓みやすい箇所を補強することができるため、ドレン水が、ドレンホース200内を逆流したり、ドレンホース200内に溜まったりすることを効果的に抑制できる。
【0049】
図7を用いて、第1変形例に係る高剛性部材について説明する。図7は、塩ビ管220の断面図である。図7では、塩ビ管220の中心線を通る断面図である。第1変形例に係る高剛性部材として、塩ビ管220が設けられる。塩ビ管220は、その長手方向D1と、ドレンホース200が通る挿通方向D2とが交差する点で、塩ビ管210と異なる。
【0050】
塩ビ管220は、その長手方向D1と、ドレンホース200が通る挿通方向D2とが交差する。すなわち、ドレンホース200が通る挿通方向D2が、ドレンホース200が延びる方向から傾斜している。具体的には、塩ビ管220の挿通部分220aは、長手方向D1における一方の端部(左端部)から長手方向D1における他方の端部(右端部)にかけて下方に傾斜している。
【0051】
以上のように、塩ビ管220は、その長手方向D1と、ドレンホース200が挿通される挿通方向D2とが交差するように設けられることで、ドレンホース200を塩ビ管220に挿通するだけで、ドレンホース200が塩ビ管220に対して傾斜して保持される。このため、収容部300の底部320に傾斜面320aを設けることなく、ドレンホース200を幅方向の一方側に向けて下方に傾斜して保持することができる。ゆえに、簡易な構成で、ドレン水の排水不良を効果的に抑制することができる。この場合、塩ビ管220の挿通部分220aが幅方向の一方側に向けて下方に傾斜するように筐体110に取り付けられればよい。なお、ドレンホース200を下方に傾斜させる角度として、例えば、水平面に対する傾斜角度が2~3度であることが好ましい。
【0052】
図8及び図9を用いて、第2変形例に係る高剛性部材について説明する。図8は、冷媒管カバー240及びドレンホース200を結束した状態を示す筐体110の後方斜視図である。図9は、冷媒管カバー240及びドレンホース200を結束した状態を示す筐体110の側面断面図である。図8及び図9において、筐体110の一部について図示を省略している。第2変形例に係る高剛性部材として、冷媒管230が設けられる。冷媒管230は、ドレンホース200よりも剛性の高い部材である。第2変形例では、冷媒管230及びドレンホース200を結束することによってドレンホース200を補強する点で、上述の高剛性部材と異なる。
【0053】
冷媒管230は、熱交換器115に接続されている。冷媒管230は、往路用及び帰路用として、2つ設けられている。冷媒管230は、筐体110の背面において、開口部110bの上方から収容部300に引き出される。冷媒管230は、収容部300において、筐体110の幅方向の一方側(中央側)に向けて配置され、壁面Wの貫通孔Hを介してドレンホース200とともに居室外に引き出される。2つの冷媒管230は、冷媒管カバー240によって覆われている。なお、2つの冷媒管230は、室外機との接続部まで冷媒管カバー240によって覆われてもよい。
【0054】
筐体110の背面において、冷媒管カバー240及びドレンホース200は、結束部材250によって結束される。結束部材250は、例えば、結束バンドである。複数の結束部材250は、筐体110の背面において、幅方向に所定の間隔をあけて設けられる。本実施形態では、結束部材250は、4つ設けられる。結束部材250は、筐体110の背面に形成された孔部260を介して冷媒管カバー240及びドレンホース200を結束している。すなわち、孔部260は、結束部材250の筐体110への取付部として機能する。複数の孔部260は、筐体110の背面において、幅方向の所定の間隔をあけて設けられる。本実施形態では、孔部260は、4つ設けられる。また、複数の孔部260は、筐体110の背面において、幅方向の一方側(中央側)に向かうにつれて低い位置となるように設けられる。
【0055】
複数の孔部260は、筐体110の背面に設けられたリブ261に設けられる。リブ261は、例えば、筐体110の背面から前方に突出し、筐体110の幅方向に延びるリブである。リブ261には、筐体110の幅方向に間隔をあけて複数の孔部260が設けられる。リブ261は、冷媒管カバー240及びドレンホース200を上下に仕切る仕切り部材としても機能する。これにより、冷媒管カバー240及びドレンホース200が、筐体110の幅方向において上下逆さに配置されることを防止できる。
【0056】
以上のように、冷媒管カバー240及びドレンホース200が結束されることで、ドレンホース200が補強される。これにより、ドレンホース200の撓みを抑制することができるため、ドレンホース200に撓みが生じることによって、ドレン水が、ドレンホース200内を逆流したり、ドレンホース200内に溜まったりすることを抑制できる。
【0057】
なお、第2変形例では、結束部材250は、冷媒管カバー240及びドレンホース200を上下に仕切るリブ261を介して筐体110に取り付けられることが好ましいが、これに限らず、例えば、リブ261を用いることなく、結束部材250を用いて冷媒管カバー240及びドレンホース200を結束してもよい。また、第2変形例では、2つの冷媒管230を覆う冷媒管カバー240及びドレンホース200を結束しているが、これに限らず、例えば、冷媒管230及びドレンホース200を結束してもよい。
【0058】
図10を用いて、第3変形例に係る高剛性部材について説明する。図10は、カバー部材270を示す筐体110の斜視断面図である。図10では、筐体110の一部について図示を省略している。第3変形例に係る高剛性部材として、カバー部材270が設けられる。カバー部材270は、ドレンホース200よりも剛性の高い部材である。第3変形例では、筐体110の背面に取り付けられたカバー部材270によってドレンホース200を補強する点で、上述の高剛性部材と異なる。
【0059】
筐体110の背面側には、カバー部材270を係止する第1溝部311及び第2溝部312が設けられる。第1溝部311は、前方に向けて開口する溝である。第1溝部311は、背面部310から後方に向けて突出し、その先端側が下方に折り曲げられた後、前方に向けて折り曲げられた形状を有する。第2溝部312は、前方に向けて開口する溝である。第2溝部312は、底部320から上方に向けて突出し、その先端側が前方に向けて折り曲げられた形状を有する。
【0060】
カバー部材270は、背面部310の少なくとも一部を外側から覆う部材である。カバー部材270は、筐体110の幅方向に沿って延びる部材である。
【0061】
ドレンホース200を保持する保持部271と、第1溝部311に係止される第1突起部272と、第2溝部312に係止される第2突起部273と、を有する。保持部271は、カバー部材270が筐体110に取り付けられた状態において、後方に凹む溝部である。保持部271は、筐体110の幅方向に沿って延びるように設けられる。第1突起部272は、保持部271の上部に設けられる。第1突起部272は、保持部271から上方に延びた後、前方に向けて折り曲げられた形状を有する。第2突起部273は、保持部271の下部に設けられる。第2突起部273は、保持部271から下方に延びた後、後方に向けて折り曲げられた形状を有する。
【0062】
カバー部材270は、筐体110の背面において筐体110の幅方向に沿ってスライドさせることで、筐体110の背面に係止される。具体的には、カバー部材270は、第1突起部272が第1溝部311に嵌り、かつ第2突起部273が第2溝部312に嵌るように、筐体110の背面において位置合わせを行った状態で、筐体110の幅方向に沿ってスライドさせることで、筐体110の背面に係止される。
【0063】
以上のように、ドレンホース200のうち、筐体110の幅方向に沿って配置される部分が、カバー部材270により保持されることで、当該部分がカバー部材270によって補強されるため、ドレンホース200の撓みを効果的に抑制することができる。ゆえに、ドレンホース200に撓みが生じることによって、ドレン水が、ドレンホース200内を逆流したり、ドレンホース内に溜まったりすることを抑制できる。
【0064】
なお、保持部271は、筐体110の幅方向に沿って延びているが、これに限らず。幅方向の一方側(中央側)に向かうにつれて下方に傾斜させてもよい。すなわち、保持部271においてドレンホースが保持される方向が、カバー部材270の長手方向と交差するように設けてもよい。これにより、ドレンホース200が保持されたカバー部材270を筐体110に係止するだけで、カバー部材270に対してドレンホース200を傾斜して保持することができるため、簡易な構成で、ドレン水の排水不良を効果的に抑制できる。
【0065】
以上の構成において、空気調和機は、筐体110と、筐体110の背面に形成された開口部110bから奥行方向後方側に引き出されるドレンホース200と、ドレンホース200を筐体110の背面において開口部110bから筐体110の幅方向の一方側に沿って配置したときにドレンホース200と並行して設けられるとともに、ドレンホース200よりも剛性の高い部材である高剛性部材(塩ビ管210、塩ビ管220、冷媒管230、またはカバー部材270)と、を備える。ドレンホース200は、高剛性部材(塩ビ管210、塩ビ管220、冷媒管230、またはカバー部材270)によって補強される。
【0066】
これにより、ドレンホース200のうち、筐体110の幅方向に沿って配置される部分が高剛性部材(塩ビ管210、塩ビ管220、冷媒管230、またはカバー部材270)によって補強されるため、ドレンホース200の撓みを効果的に抑制することができる。ゆえに、ドレンホース200に撓みが生じることによって、ドレン水が、ドレンホース200内を逆流したり、ドレンホース200内に溜まったりすることを抑制できる。
【0067】
高剛性部材(塩ビ管210、塩ビ管220、またはカバー部材270)は、前記ドレンホースを保持する保持部を有する。保持部は、幅方向の一方側に向けてドレンホース200を下方に傾斜して支持する。これにより、簡易な構成で、ドレン水の排水不良を効果的に抑制することができる。
【0068】
高剛性部材は、ドレンホース200を挿入可能な筒状部材(塩ビ管210または塩ビ管220)である。
【0069】
高剛性部材は、筐体110の背面の少なくとも一部を覆うように取り付けられるカバー部材270である。
【0070】
高剛性部材(冷媒管230)及びドレンホース200が結束されることで、ドレンホース200は補強される。
【0071】
高剛性部材は、熱交換器115の冷媒管230であり、高剛性部材(冷媒管230)及びドレンホース200は、結束部材250によって結束される。
【0072】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0073】
100 室内機、110 筐体、110b 開口部、200 ドレンホース、210 塩ビ管、220 塩ビ管、230 冷媒管、250 結束部材、270 カバー部材
図1
図2
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図10