(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165220
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】コネクタの梱包構造
(51)【国際特許分類】
H01R 43/00 20060101AFI20241121BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H01R43/00 Z
H01R13/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081170
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】高村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】岸端 裕矢
【テーマコード(参考)】
5E051
5E087
【Fターム(参考)】
5E051GB10
5E087EE02
5E087EE11
5E087FF03
5E087GG06
5E087MM02
5E087MM04
5E087QQ04
5E087RR49
(57)【要約】
【課題】機能部の干渉を抑制しつつより多くのコネクタを収容することができるコネクタの梱包構造を提供することを目的とする。
【解決手段】梱包構造100(コネクタの梱包構造)は、積層方向Zに沿って積層される複数のコネクタ1を有したコネクタ積層体7と、コネクタ積層体7を収容する収容部51が設けられた梱包材50と、を備え、複数のコネクタ1のハウジング10は、積層方向Zの一方側に、平面状に形成された機能面10a1と、機能面10a1よりも積層方向Zの一方側に突出しかつ幅方向Yに互いに間隔をあけて設けられた一対の第1突起16と、を有し、コネクタ積層体7は、積層方向Zの一方側に位置されるコネクタ1のハウジング10と、積層方向Zの他方側に位置されるコネクタ1の一対の第1突起16と、が互いに当接した状態で収容部51に収容される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に沿って積層される複数のコネクタを有したコネクタ積層体と、
前記コネクタ積層体を収容する収容部が設けられた梱包材と、
を備え、
前記複数のコネクタは、絶縁性のハウジングと、前記ハウジングに対して前記積層方向と交差する軸線方向に沿って圧入されかつ前記軸線方向および前記積層方向と交差する幅方向に沿って並んだ複数の端子と、をそれぞれ有し、
前記ハウジングは、前記積層方向の一方側に、平面状に形成された機能面と、前記機能面よりも前記積層方向の一方側に突出しかつ前記幅方向に互いに間隔をあけて設けられた一対の第1突起と、を有し、
前記コネクタ積層体は、前記積層方向の一方側に位置される前記コネクタの前記ハウジングと、前記積層方向の他方側に位置される前記コネクタの前記一対の第1突起と、が互いに当接した状態で前記収容部に収容される、
コネクタの梱包構造。
【請求項2】
前記機能面は、吸着ノズルに吸着される吸着面を含む、
請求項1に記載のコネクタの梱包構造。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記積層方向の他方側に、基板に実装される底面と、前記底面よりも前記積層方向の他方側に突出しかつ前記幅方向に互いに間隔をあけて設けられた一対の第2突起と、を有し、
前記コネクタ積層体は、前記積層方向の一方側に位置される前記コネクタの前記一対の第2突起と、前記積層方向の他方側に位置される前記コネクタの前記一対の第1突起と、が互いに当接した状態で前記収容部に収容される、
請求項1または2に記載のコネクタの梱包構造。
【請求項4】
前記複数の端子は、前記基板の回路と電気的に接続されるテール部をそれぞれ有し、
前記一対の第2突起の下面は、前記テール部のコプラナリティを調整するための基準面を構成する、
請求項3に記載のコネクタの梱包構造。
【請求項5】
前記テール部は、前記一対の第2突起の前記下面よりも前記積層方向の他方側に突出しており、
前記収容部の底部には、前記テール部との干渉を抑制するための溝部が設けられる、
請求項4に記載のコネクタの梱包構造。
【請求項6】
前記複数のコネクタは、それぞれの前記幅方向の両端部に前記ハウジングを前記基板に対して固定するための一対のペグを有し、
前記一対のペグの下端部は、前記一対の第2突起の前記下面よりも前記積層方向の他方側に突出しており、
前記溝部は、前記テール部を収容する第1部分と、前記第1部分と連通し前記一対のペグの前記下端部を収容する第2部分と、を含む、
請求項5に記載のコネクタの梱包構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタの梱包構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタの梱包構造に関する技術として、例えば、特許文献1には、構成部品パックと、構成部品パックを収容する収容部が設けられた梱包材と、を備えた、構成部品パックの梱包構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の梱包構造では、例えば、コネクタには機能面や端子等の複数の機能部が設けられており、この機能部の干渉を抑制しつつコネクタの収容数を確保する点で、更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、機能部の干渉を抑制しつつより多くのコネクタを収容することができるコネクタの梱包構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るコネクタの梱包構造は、積層方向に沿って積層される複数のコネクタを有したコネクタ積層体と、前記コネクタ積層体を収容する収容部が設けられた梱包材と、を備え、前記複数のコネクタは、絶縁性のハウジングと、前記ハウジングに対して前記積層方向と交差する軸線方向に沿って圧入されかつ前記軸線方向および前記積層方向と交差する幅方向に沿って並んだ複数の端子と、をそれぞれ有し、前記ハウジングは、前記積層方向の一方側に、平面状に形成された機能面と、前記機能面よりも前記積層方向の一方側に突出しかつ前記幅方向に互いに間隔をあけて設けられた一対の第1突起と、を有し、前記コネクタ積層体は、前記積層方向の一方側に位置される前記コネクタの前記ハウジングと、前記積層方向の他方側に位置される前記コネクタの前記一対の第1突起と、が互いに当接した状態で前記収容部に収容される。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るコネクタの梱包構造では、コネクタ積層体は、積層方向の一方側に位置されるコネクタのハウジングと、積層方向の他方側に位置されるコネクタの一対の第1突起と、が互いに当接した状態で収容部に収容される。この構成により、コネクタの梱包構造は、例えば、一対の第1突起によって複数のコネクタのハウジング同士の間に積層方向のスペースを確保することができ、当該スペースによって機能面とハウジングとの干渉や、複数の端子とハウジングとの干渉を抑制した状態で複数のコネクタ(コネクタ積層体)を梱包材の収容部に収容することができる。この結果、梱包構造は、機能部の干渉を抑制しつつより多くのコネクタを収容することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るコネクタの梱包構造の例示的な斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るコネクタ積層体の例示的な斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るコネクタ積層体のコネクタの例示的な斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るコネクタの例示的な正面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るコネクタの例示的な分解斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るコネクタの機能面側の例示的な平面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るコネクタの底面側の例示的な平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るコネクタ積層体の第1突起および第2突起の近傍の例示的な拡大図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る梱包材の一部の例示的な平面図である。
【
図10】
図10は、第1変形例に係る梱包材の例示的な正面図である。
【
図11】
図11は、第2変形例に係る梱包材の例示的な斜視図である。
【
図12】
図12は、第3変形例に係る梱包材の例示的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態および変形例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、下記実施形態および変形例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態および変形例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
また、以下に開示される実施形態および変形例には、同様の構成要素が含まれる。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0011】
[実施形態]
図1は、実施形態に係るコネクタの梱包構造100(以下、単に「梱包構造100」という場合がある。)の斜視図であり、
図2は、コネクタ積層体7の斜視図である。
図1、2に示されるように、梱包構造100は、例えば、複数の収容部51が設けられた梱包材50と、梱包材50の各収容部51に収容される複数のコネクタ積層体7と、を備えている。コネクタ積層体7は、複数のコネクタ1を積層したものであり、梱包材50は、コネクタ積層体7の複数のコネクタ1を梱包するものである。本実施形態では、コネクタ積層体7は、それぞれ2つのコネクタ1を有しており、当該二つのコネクタ1が積層された状態で梱包材50の各収容部51に収容される。
【0012】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「軸線方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「積層方向Z」という。ここでは、軸線方向Xと幅方向Yと積層方向Zとは、相互に略直交する。積層方向Zは、典型的には、コネクタ積層体7の複数のコネクタ1の積層方向、梱包材50およびコネクタ1の厚さ方向(上下方向)等に相当する。軸線方向Xは、典型的には、コネクタ1の前後方向や、コネクタ1と相手側コネクタ3(
図3参照)との篏合方向、コネクタ1のハウジング10に対する端子20の圧入方向、配索材Wの延在方向等に相当する。幅方向Yは、典型的には、コネクタ1の横幅方向(左右方向)、端子20の整列方向等に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、コネクタ積層体7が梱包材50に梱包された状態での方向として説明する。
【0013】
図1に示されるように、梱包材50は、例えば、軸線方向Xが長辺方向となる略直方体の箱状に形成される。梱包材50は、上壁50aや、下壁50b、一対の側壁50c、一対の端壁50d等の複数の壁部を有している。上壁50aおよび下壁50bは、いずれも、積層方向Zと直交する方向に沿って延びており、積層方向Zに間隔をあけて互いに平行に設けられている。上壁50aは、梱包材50の上端部を構成し、下壁50bは、梱包材50の下端部を構成している。
【0014】
一対の側壁50cは、いずれも、幅方向Yと直交する方向に沿って延びており、幅方向Yに間隔をあけて互いに平行に設けられている。一対の側壁50cのうち一方は、上壁50aおよび下壁50bの幅方向Yの一端部の間に渡り、梱包材50の左端部を構成している。一対の側壁50cのうち他方は、上壁50aおよび下壁50bの幅方向Yの他端部の間に渡り、梱包材50の右端部を構成している。
【0015】
一対の端壁50dは、いずれも、軸線方向Xと直交する方向に沿って延びており、軸線方向Xに間隔をあけて互いに平行に設けられている。一対の端壁50dのうち一方は、上壁50aおよび下壁50bの軸線方向Xの一端部の間に渡り、梱包材50の前端部を構成している。一対の端壁50dのうち他方は、上壁50aおよび下壁50bの軸線方向Xの他端部の間に渡り、梱包材50の後端部を構成している。
【0016】
また、上壁50aには、コネクタ積層体7が収容される複数の収容部51が設けられている。複数の収容部51は、それぞれ上壁50aの上面から積層方向Zの他方側(下壁50b側)に向けて凹み、積層方向Zの一方側に向けて開放された凹部である。本実施形態では、上壁50aには、複数の収容部51が軸線方向Xおよび幅方向Yに互いに間隔をあけて設けられている。梱包材50は、例えば、絶縁性を有する合成樹脂材料等によって形成される。
【0017】
コネクタ積層体7は、積層方向Zに積層される複数のコネクタ1(
図2参照)を有している。コネクタ1は、例えば、第1機能部を構成する機能面10a1と、第2機能部を構成する複数の端子20と、をそれぞれ含んで構成される。そして、本実施形態では、コネクタ積層体7は、それぞれのコネクタ1の機能面10a1が積層方向Zの一方側に位置され、かつそれぞれのコネクタ1の端子20が軸線方向Xの一方側に位置された状態で積層方向Zに積層される。
【0018】
図3は、コネクタ積層体7のコネクタ1の斜視図である。
図3に示されるように、コネクタ1は、例えば、自動車等の車両に配索されるワイヤハーネスWHに組み込まれるものである。ここで、ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ1等で当該配索材Wを各装置に接続するようにしたものである。
【0019】
本実施形態のワイヤハーネスWHは、例えば、導電性を有する配索材Wと、配索材Wの端末に設けられる相手側コネクタ3と、基板2に実装され相手側コネクタ3と電気的かつ機械的に接続されるコネクタ1と、を備えている。なお、ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、コルゲートチューブや、グロメット、電気接続箱、固定具、コネクタなど種々の構成部品を含んで構成されてもよい。
【0020】
配索材Wは、例えば、金属棒や、電線、電線束等によって構成される。金属棒は、導電性を有する棒状部材の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線は、複数の導電性を有する金属素線からなる導体部(芯線)の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線束は、当該電線を束ねたものである。配索材Wは、軸線方向Xに沿って線状に延在し、軸線方向X(延在方向)に対してほぼ同じ径で延びるように形成される。
【0021】
基板2は、例えば、プリント基板等によって構成される。基板2の表面には、回路パターン等の回路が形成されている。基板2の回路は、通信回路等を含む。通信回路は、基板2に直接形成されていてもよく、通信機能を有するIC(集積回路)等として基板2に実装されていてもよい。基板2の回路には、コネクタ1の端子20が電気的に接続される。端子20は、相手側コネクタ3が保持する相手側端子と電気的に接続され、当該相手側端子を介して配索材Wと電気的に接続される。
【0022】
相手側コネクタ3は、例えば、相手側端子と、相手側ハウジング5と、を含んで構成される。相手側ハウジング5は、相手側端子を保持するものであり、絶縁性を有する合成樹脂材料等によって形成される。相手側端子は、例えば、コネクタ1の端子20と電気的に接続される端子接続部と、配索材Wの端末に露出した導体部と電気的に接続される電線接続部と、を含んだメス型の端子金具として構成される。相手側端子は、全体が導電性の金属によって構成され、各部に対応した形状に打ち抜かれた一枚の板金をプレス成形することにより各部が一体で形成される。
【0023】
図4は、コネクタ1の正面図であり、
図5は、コネクタ1の分解斜視図である。
図4、5に示されるように、コネクタ1は、例えば、ハウジング10と、複数の端子20と、一対のペグ30と、を有している。ハウジング10は、複数の端子20を保持するものであり、絶縁性を有する合成樹脂材料等によって形成される。ハウジング10は、例えば、幅方向Yが長辺方向となる略直方体の箱状に形成される。ハウジング10は、天壁10aや、底壁10b、一対の側壁10c、前壁10d等の複数の壁部を有している。
【0024】
天壁10aおよび底壁10bは、いずれも、積層方向Zと直交する方向に沿って延びており、積層方向Zに間隔をあけて互いに平行に設けられている。天壁10aは、ハウジング10の上端部を構成し、底壁10bは、ハウジング10の下端部を構成している。一対の側壁10cは、いずれも、幅方向Yと直交する方向に沿って延びており、幅方向Yに間隔をあけて互いに平行に設けられている。一対の側壁10cのうち一方は、ハウジング10の左端部を構成し、一対の側壁10cのうち他方は、ハウジング10の右端部を構成している。
【0025】
前壁10dは、軸線方向Xと直交する方向に沿って延びており、ハウジング10の前端部を構成している。そして、ハウジング10には、天壁10a、底壁10b、一対の側壁10c、および前壁10dによって囲まれ、軸線方向Xの他方側に向けて開放された挿入空間部12が設けられている。挿入空間部12は、相手側コネクタ3が挿入される空間部である。挿入空間部12は、相手側コネクタ3の外形形状に応じて当該相手側コネクタ3が嵌合可能な大きさ、形状の空間部として形成される。
【0026】
また、前壁10dには、複数の端子20が収容される凹部10e(
図5参照)が設けられている。凹部10eは、前壁10dの前面から軸線方向Xの他方側(相手側コネクタ3側)に向けて凹み、軸線方向Xの一方側(端子20側)に向けて開放されている。凹部10eには、後述するガイド溝11が設けられた底壁10bの前端部10b2が露出している。
【0027】
また、凹部10eの底部には、端子20が軸線方向Xに沿って圧入される複数の端子挿入口13、14が設けられている。端子挿入口13は、ハウジング10に対して端子20の上段端子20Aが取り付けられる貫通孔であり、端子挿入口14は、ハウジング10に対して端子20の下段端子20Bが取り付けられる貫通孔である。端子挿入口13、14は、互いに積層方向Zにずれて位置され、それぞれ上述した挿入空間部12と連通している。
【0028】
ペグ30は、ハウジング10を基板2に対して固定する金属製の固定部材である。ペグ30は、例えば、幅方向Yから見た場合に、略T字状に形成される。ペグ30は、上述した一対の側壁10cの外面に設けられた保持部15に保持される。ペグ30は、例えば、保持部15に対して積層方向Zに沿って圧入されることで当該保持部15に取り付けられる。ペグ30の下端部30aは、保持部15に保持された状態で、積層方向Zの他方側に露出しており、当該下端部30aが基板2に半田付けされることで、コネクタ1が基板2に対して固定される。
【0029】
端子20は、例えば、導電性を有する金属材で構成されたオス型の端子金具であり、ハウジング10に保持される。端子20は、例えば、圧入部20aと、第1曲部20bと、中間部20cと、第2曲部20dと、テール部20eと、を含んで構成される。圧入部20a、第1曲部20b、中間部20c、第2曲部20d、およびテール部20eは、銅等の導電性を有する金属部材によって一体に形成されている。すなわち、端子20は、一枚の板金を、圧入部20a、第1曲部20b、中間部20c、第2曲部20d、およびテール部20eの各部に対応した形状にあわせて折り曲げ加工等の各種加工を施すことで各部が立体的に一体でクランク形状に形成される。
【0030】
圧入部20aは、ハウジング10に対して軸線方向Xに沿って圧入され、ハウジング10の内側で相手側端子と電気的に接続される部分である。圧入部20aは、端子20の軸線方向Xの他端部を構成している。中間部20cは、圧入部20aの軸線方向Xの一端部と第1曲部20bを介して接続され、ハウジング10の外側で基板2に向かって積層方向Zに沿って延びる部分である。中間部20cは、圧入部20aに対して直交し、端子20の中間部を構成している。テール部20eは、中間部20cの下端部と第2曲部20dを介して接続され、軸線方向Xに沿って圧入部20aとは反対側に延びて基板2の回路と電気的に接続される部分である。テール部20eは、中間部20cに対して直交し、端子20の軸線方向Xの一端部を構成している。
【0031】
また、端子20は、例えば、複数の上段端子20Aと、複数の下段端子20Bと、を含んで構成される。上段端子20Aおよび下段端子20Bは、それぞれ、上述した圧入部20aと、第1曲部20bと、中間部20cと、第2曲部20dと、テール部20eと、を有している。上段端子20Aの圧入部20aは、ハウジング10の端子挿入口13に圧入され、下段端子20Bの圧入部20aは、ハウジング10の端子挿入口14に圧入される。また、上段端子20Aの中間部20cおよび下段端子20Bの中間部20cは、それぞれ、後述するハウジング10のガイド溝11に支持される。なお、上段端子20Aの中間部20cは、下段端子20Bの中間部20cに対して、積層方向Zに沿った長さが長くなるように構成される。
【0032】
複数の上段端子20Aおよび複数の下段端子20Bは、端子挿入口13、14およびガイド溝11によって、幅方向Yに互いに間隔をあけて設けられ、かつ積層方向Zに互いにずれた状態でハウジング10に保持される。複数の上段端子20Aは、例えば、ハウジング10の内側で相手側端子と電気的に接続され、当該相手側端子を介して配索材Wの第1通信線と電気的に接続される。また、複数の下段端子20Bは、例えば、ハウジング10の内側で相手側端子と電気的に接続され、当該相手側端子を介して配索材Wの第2通信線と電気的に接続される。
【0033】
また、底壁10bの前端部10b2には、上述した端子20(上段端子20Aおよび下段端子20B)の中間部20cを支持するガイド溝11が設けられている。ガイド溝11は、前端部10b2の前面から軸線方向Xの他方側に凹み、軸線方向Xの一方側に向けて開放されている。前端部10b2には、端子20に対応して複数のガイド溝11が幅方向Yに互いに間隔をあけて設けられている。
【0034】
ガイド溝11は、それぞれ、端子20と幅方向Yに対向する一対の側面11aを有している。一対の側面11aの間の間隔は、端子20の幅方向Yに沿った横幅と略同じである。一対の側面11aは、端子20のハウジング10(端子挿入口13、14)に対する幅方向Yへの移動(位置ズレ)を抑制するガイド面として機能する。
【0035】
図6は、コネクタ1の機能面10a1側の平面図である。
図6に示されるように、コネクタ1は、積層方向Zの一方側に機能面10a1を有している。機能面10a1は、ハウジング10を構成する天壁10aの上面であり、平面状に形成される。すなわち、機能面10a1は、天壁10aにおける上述した挿入空間部12とは反対側の外面である。本実施形態では、機能面10a1は、吸着ノズルに吸着される吸着面18を含んで構成される。吸着面18は、コネクタ1を基板2に対してマウントする際に、吸着ノズルによって吸着される面である。吸着面18は、例えば、機能面10a1における所定の領域に吸着テープ等を貼り付けることによって形成される。所定の領域は、例えば、機能面10a1のうち幅方向Yの略中央部等の一部の領域や、機能面10a1の略全域等である。
【0036】
また、機能面10a1には、一対の第1突起16が設けられている。一対の第1突起16は、機能面10a1の幅方向Yの両端部に互いに間隔をあけて設けられている。一対の第1突起16は、機能面10a1から吸着面18よりも積層方向Zの一方側に突出している。すなわち、一対の第1突起16は、吸着面18(機能面10a1)よりも積層方向Zの一方側に位置される上面16a(
図8参照)を有している。上面16aは、平面状に形成される。また、一対の第1突起16は、積層方向Zから見た場合(
図6参照)に、軸線方向Xが長辺方向となる矩形状に形成される。
【0037】
図7は、コネクタ1の底面10b1側の平面図である。
図7に示されるように、コネクタ1は、積層方向Zの他方側に底面10b1を有している。底面10b1は、ハウジング10を構成する底壁10bの下面である。すなわち、底面10b1は、底壁10bにおける上述した挿入空間部12とは反対側の外面である。底面10b1は、例えば、平面状に形成される。底面10b1は、基板2に実装される面である。
【0038】
また、底面10b1には、一対の第2突起17が設けられている。一対の第2突起17は、底面10b1の幅方向Yの両端部に互いに間隔をあけて設けられている。一対の第2突起17は、底面10b1よりも積層方向Zの他方側に突出している。すなわち、一対の第2突起17は、底面10b1よりも積層方向Zの他方側に位置される下面17a(
図8参照)を有している。下面17aは、平面状に形成される。また、一対の第2突起17は、積層方向Zから見た場合(
図7参照)に、軸線方向Xが長辺方向となる矩形状に形成される。一対の第2突起17は、一対の第1突起16と積層方向Zに重なる位置に設けられる。
【0039】
図8は、コネクタ積層体7の第1突起16および第2突起17の近傍の拡大図である。
図8に示されるように、本実施形態では、コネクタ積層体7は、積層方向Zの一方側に位置されるコネクタ1の一対の第2突起17と、積層方向Zの他方側に位置されるコネクタ1の一対の第1突起16と、が互いに当接した状態で積層方向Zに積層され、この状態で梱包材50の収容部51に収容される。一対の第1突起16と一対の第2突起17との当接によって複数のコネクタ1のハウジング10同士の間に積層方向Zのスペース8(隙間)が確保され、当該スペース8によって複数のコネクタ1の機能面10a1とハウジング10との干渉や、端子20とハウジング10との干渉等が抑制される。
【0040】
なお、本実施形態では、第1突起16と第2突起17とが当接した状態で、端子20のテール部20eは、第2突起17の下面17aおよび相手側の機能面10a1よりも積層方向Zの他方側に突出しているが、テール部20eは、相手側のハウジング10に対して軸線方向Xの一方側(
図9参照)にずれて位置される。したがって、複数の端子20とハウジング10との干渉は抑制される。また、本実施形態では、第1突起16と第2突起17とが当接した状態で、ペグ30の下端部30a(
図8参照)は、第2突起17の下面17aおよび相手側の機能面10a1よりも積層方向Zの他方側に突出しているが、一対のペグ30は、相手側のハウジング10に対して幅方向Yの両側にずれて位置される。したがって、一対のペグ30とハウジング10との干渉は抑制される。
【0041】
また、本実施形態では、第2突起17の下面17aは、ペグ30の下端部30aおよび端子20のテール部20eのコプラナリティを調整するための基準面を構成している。すなわち、テール部20eおよびペグ30の下端部30aは、基準面としての第2突起17の下面17aと平行となるようにそれぞれのコプラナリティ(平坦度)が調整される。なお、テール部20eおよびペグ30の下端部30aは、コネクタ1の基板2への実装時等においては、基準面としての第2突起17の下面17aと独立してそれぞれコプラナリティが成立される。
【0042】
図9は、梱包材50の一部の平面図である。
図9に示されるように、本実施形態では、収容部51の底部51aには、端子20のテール部20eおよびペグ30の下端部30aとの干渉を抑制するための溝部52が設けられている。溝部52は、テール部20eを収容する第1部分52aと、ペグ30の下端部30aを収容する一対の第2部分52bと、を含んで構成される。本実施形態では、第1部分52aと一対の第2部分52bとが互いに連通して形成され、全体として、軸線方向Xの他方側(端子20とは反対側)に向けて開放される略U字状に形成される。
【0043】
溝部52は、収容部51の底部51aから積層方向Zの他方側(下壁50b側)に向けて凹み、積層方向Zの一方側(上壁50a側)に向けて開放されている。第1部分52aは、収容部51の軸線方向Xの一方側の側面と隣接して設けられ、収容部51の幅方向Yの両側の一対の側面の間に渡るように幅方向Yに沿って延びている。一対の第2部分52bは、収容部51の幅方向Yの両側の一対の側面と隣接して設けられ、収容部51の軸線方向Xの両側の一対の側面の間に渡るように軸線方向Xに沿って延び、第1部分52aと連通している。本実施形態では、各収容部51のそれぞれの底部51aに、第1部分52aおよび一対の第2部分52bを含む溝部52が設けられている。
【0044】
以上のように、本実施形態の梱包構造100(コネクタの梱包構造)では、コネクタ積層体7は、積層方向Zの一方側に位置されるコネクタ1のハウジング10と、積層方向Zの他方側に位置されるコネクタ1の一対の第1突起16と、が互いに当接した状態で梱包材50の収容部51に収容される。この構成により、梱包構造100は、例えば、一対の第1突起16によって複数のコネクタ1のハウジング10同士の間に積層方向Zのスペース8を確保することができ、当該スペース8によって複数のコネクタ1の機能面10a1とハウジング10との干渉や、複数の端子20とハウジング10との干渉を抑制した状態で複数のコネクタ1(コネクタ積層体7)を梱包材50の収容部51に収容することができる。この結果、梱包構造100は、機能部の干渉を抑制しつつより多くのコネクタ1を収容することができ、ひいては梱包材50の資材を削減してコストを低減することができる。
【0045】
また、本実施形態の梱包構造100では、機能面10a1は、吸着ノズルに吸着される吸着面18を含む。この構成により、梱包構造100は、例えば、一対の第1突起16によって吸着面18とハウジング10との干渉を抑制でき、ひいては当該吸着面18とハウジング10との干渉によって生じる吸着面18の性能(品質)の低下を抑制できる。
【0046】
また、本実施形態の梱包構造100では、コネクタ積層体7は、積層方向Zの一方側に位置されるコネクタ1の一対の第2突起17と、積層方向Zの他方側に位置されるコネクタ1の一対の第1突起16と、が互いに当接した状態で梱包材50の収容部51に収容される。この構成により、梱包構造100は、例えば、一対の第1突起16と一対の第2突起17との当接によって複数のコネクタ1のハウジング10同士の間に積層方向Zに沿ってより一層スペース8を確保することができる。この結果、梱包構造100は、複数のコネクタ1の機能面10a1とハウジング10との干渉や、複数の端子20とハウジング10との干渉をより一層抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態の梱包構造100では、一対の第2突起17の下面17aは、テール部20eのコプラナリティを調整するための基準面を構成する。この構成により、梱包構造100は、例えば、一対の第2突起17の下面17aによってテール部20eの基準面に対するコプラナリティ(平坦度)を比較的容易に調整することができ、ひいてはテール部20eのコプラナリティのバラツキによって複数の端子20とハウジング10とが干渉したり、複数の端子20と梱包材50とが干渉したりすることを抑制できる。
【0048】
また、本実施形態の梱包構造100では、収容部51の底部51aには、テール部20eとの干渉を抑制するための溝部52が設けられる。この構成により、梱包構造100は、例えば、溝部52によって複数の端子20と梱包材50との干渉を抑制でき、ひいては当該複数の端子20と梱包材50との干渉によって生じる端子20の性能(品質)の低下を抑制できる。
【0049】
また、本実施形態の梱包構造100では、溝部52は、テール部20eを収容する第1部分52aと、第1部分52aと連通し一対のペグ30の下端部30aを収容する第2部分52bと、を含む。この構成により、梱包構造100は、例えば、溝部52の第1部分52aおよび第2部分52bによって、複数の端子20と梱包材50との干渉や、一対のペグ30と梱包材50との干渉を抑制できる。
【0050】
なお、本実施形態では、コネクタ積層体7は、コネクタ1の底面10b1が梱包材50の底部51aと面する状態で収容部51に収容された場合が例示されたが、この例には限定されない。すなわち、
図10に示される第1変形例の梱包構造100Aのように、コネクタ積層体7は、コネクタ1の機能面10a1が梱包材50の底部51aと面する逆さ置きの状態で収容部51に収容されてもよい。梱包構造100Aでは、積層方向Zの他方側のコネクタ1が一対の第1突起16と底部51aとが当接した状態で収容部51に収容されることにより、機能面10a1と底部51aとの間に積層方向Zのスペース8が確保される。この構成により、梱包構造100Aは、機能面10a1と梱包材50との干渉を抑制でき、ひいては当該機能面10a1と梱包材50との干渉によって生じる機能面10a1の性能(品質)の低下を抑制できる。
【0051】
また、梱包材50は、例えば、
図11に示される第2変形例の梱包構造100Bのように、幅方向Yに沿って並んだ複数のコネクタ積層体7を一体に収容可能な収容部51が設けられてもよい。梱包構造100Bでは、例えば、梱包材50は、軸線方向Xに沿って開放される収容部51を有した略矩形の筒状に形成される。また、コネクタ積層体7は、例えば、
図12に示される第3変形例の梱包構造100Cのように、機能面10a1が鉛直方向と交差する方向を向いた横置きの状態で積層されてもよい。すなわち、梱包構造100Cでは、コネクタ積層体7は、鉛直方向に沿う軸線方向Xに対して交差する積層方向Zに沿って積層される複数(ここでは、21個)のコネクタ1を有している。梱包材50は、例えば、積層方向Zに沿って開放される収容部51を有した略矩形の筒状に形成される。
【0052】
以上、本発明の実施形態および変形例が例示されたが、上記実施形態および変形例は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 コネクタ
2 基板
7 コネクタ積層体
10 ハウジング
10a1 機能面
10b1 底面
16 第1突起
17 第2突起
17a 下面
18 吸着面
20 端子
20e テール部
30 ペグ
30a 下端部
50 梱包材
51 収容部
52 溝部
52a 第1部分
52b 第2部分
100、100A、100B、100C 梱包構造(コネクタの梱包構造)
X 軸線方向
Y 幅方向
Z 積層方向