(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165233
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】進入抑制支援装置、進入抑制支援方法、及び、進入抑制支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20241121BHJP
G06F 3/04815 20220101ALI20241121BHJP
【FI】
G06T19/00 600
G06F3/04815
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081202
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】細尾 絵梨
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 慶
(72)【発明者】
【氏名】竹川 雅之
(72)【発明者】
【氏名】吉川 英希
(72)【発明者】
【氏名】水口 修平
(72)【発明者】
【氏名】関 佐和香
(72)【発明者】
【氏名】谷沢 康太
(72)【発明者】
【氏名】網中 洋明
(72)【発明者】
【氏名】小林 航生
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
【Fターム(参考)】
5B050BA12
5B050BA13
5B050CA07
5B050DA01
5B050EA05
5B050EA06
5B050EA07
5B050EA18
5B050EA19
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5B050FA02
5B050FA09
5B050GA08
5E555AA25
5E555AA27
5E555AA64
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5E555BA02
5E555BA38
5E555BB38
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5E555CA10
5E555CA41
5E555CA45
5E555CB65
5E555DA08
5E555DA09
5E555DA23
5E555DB53
5E555DC09
5E555DC13
5E555EA19
5E555EA27
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】進入を抑制する領域に利用者が進入することを、より効果的に抑制する。
【解決手段】進入抑制支援装置30は、利用者の視界を表す視界画像310を取得する視界画像取得部31と、視界画像310を解析することによって、視界画像310に含まれる利用者による進入を抑制する進入抑制領域の位置320を特定する特定部32と、利用者による進入抑制領域への進入を抑制するための所定の基準を満たす物体の画像330を生成する生成部33と、物体の画像330を視界画像310における進入抑制領域の位置320に重畳して、利用者が視認する表示画面40に表示する表示制御部34と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の視界を表す視界画像を取得する視界画像取得手段と、
前記視界画像を解析することによって、前記視界画像に含まれる前記利用者による進入を抑制する進入抑制領域の位置を特定する特定手段と、
前記利用者による前記進入抑制領域への進入を抑制するための所定の基準を満たす物体の画像を生成する生成手段と、
前記物体の画像を前記視界画像における前記進入抑制領域の位置に重畳して、前記利用者が視認する表示画面に表示する表示制御手段と、
を備える進入抑制支援装置。
【請求項2】
前記利用者の行動を表す行動情報を取得する行動情報取得手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記行動情報が前記進入抑制領域への移動の傾向を表す場合、前記物体の画像を前記表示画面に表示する、
請求項1に記載の進入抑制支援装置。
【請求項3】
複数の前記利用者の個々に関して、前記物体を表す情報を取得する物体情報取得手段をさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の進入抑制支援装置。
【請求項4】
前記基準は、前記物体に対する前記利用者の嫌悪感の大きさを含む、
請求項1または請求項2に記載の進入抑制支援装置。
【請求項5】
前記物体は、崖、穴、壁、水、生物の少なくともいずれかを含む、
請求項1または請求項2に記載の進入抑制支援装置。
【請求項6】
前記特定手段は、前記利用者が進入することによって前記利用者に危険が及ぶ領域、あるいは、セキュリティの確保のために前記利用者による進入を抑制する領域を、前記進入抑制領域として特定する、
請求項1または請求項2に記載の進入抑制支援装置。
【請求項7】
前記生成手段は、前記物体に関する音声を生成し、
前記表示制御手段は、前記音声を前記利用者に提示する音声出力装置に出力する、
請求項1または請求項2に記載の進入抑制支援装置。
【請求項8】
前記表示画面をさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の進入抑制支援装置。
【請求項9】
情報処理装置によって、
利用者の視界を表す視界画像を取得し、
前記視界画像を解析することによって、前記視界画像に含まれる前記利用者による進入を抑制する進入抑制領域の位置を特定し、
前記利用者による前記進入抑制領域への進入を抑制するための所定の基準を満たす物体の画像を生成し、
前記物体の画像を前記視界画像における前記進入抑制領域の位置に重畳して、前記利用者が視認する表示画面に表示する、
進入抑制支援方法。
【請求項10】
利用者の視界を表す視界画像を取得する視界画像取得処理と、
前記視界画像を解析することによって、前記視界画像に含まれる前記利用者による進入を抑制する進入抑制領域の位置を特定する特定処理と、
前記利用者による前記進入抑制領域への進入を抑制するための所定の基準を満たす物体の画像を生成する生成処理と、
前記物体の画像を前記視界画像における前記進入抑制領域の位置に重畳して、前記利用者が視認する表示画面に表示する表示制御処理と、
をコンピュータに実行させるための進入抑制支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進入抑制支援装置、進入抑制支援方法、及び、進入抑制支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、現実の空間における利用者の視界の画像に仮想的な画像を重畳して表示させることによって、拡張現実(AR:Augmented Reality)あるいは複合現実(MR:Mixed Reality)の世界を利用者が体験できるようにしたシステムが構築されている。
【0003】
上述のシステムにおいて用いられる技術に関連して、特許文献1には、仮想体験の提供において、進入が制限される制限領域を設定し、仮想オブジェクトを表示可能な表示範囲に基づいて、制限領域への進入を妨げる前記仮想オブジェクトである妨害オブジェクトの表示を制御する情報処理装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、利用者が把持するツールの位置情報と現実物体の位置情報とに基づいて、ツールと現実物体との衝突を予測する情報処理装置が開示されている。この装置は、ツールが現実物体と衝突すると予測した場合、衝突の衝撃に関するパラメータに基づいて、 衝突がツール又は現実物体にダメージを与えるか否かを判定し、衝突がツール又は現実物体にダメージを与えると判定した場合、利用者に対して警告するための制御を行う。
【0005】
また、特許文献3には、特定の位置に存在する測定対象の数に応じて、案内情報を出力する情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2019/131143号
【特許文献2】特開2019-070909号公報
【特許文献3】特開2022-082283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現実世界において、例えば、鉄道の駅のホームにおいて線路に転落しないように、あるいは、その他の危険な領域やセキュリティの観点から立ち入りが禁止されている領域などに進入しないように、拡張現実あるいは複合現実の技術を用いて利用者に注意を促す場合がある。この場合、利用者に対して進入しないように注意を促すための画像が、利用者の視界の画像に重畳して表示される。
【0008】
しかしながら、そのような進入しないように注意を促すための画像を利用者に提示したとしても、その画像に利用者が気が付かない(認知しない)ことによって、事故が発生するおそれがある。即ち、進入を抑制する領域に利用者が進入することを、より効果的に抑制することが課題である。上述した特許文献1乃至3は、このような課題を解決することは困難である。
【0009】
本発明の主たる目的は、進入を抑制する領域に利用者が進入することを、より効果的に抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る進入抑制支援装置は、利用者の視界を表す視界画像を取得する視界画像取得手段と、前記視界画像を解析することによって、前記視界画像に含まれる前記利用者による進入を抑制する進入抑制領域の位置を特定する特定手段と、前記利用者による前記進入抑制領域への進入を抑制するための所定の基準を満たす物体の画像を生成する生成手段と、前記物体の画像を前記視界画像における前記進入抑制領域の位置に重畳して、前記利用者が視認する表示画面に表示する表示制御手段と、を備える。
【0011】
上記目的を達成する他の見地において、本発明の一態様に係る進入抑制支援方法は、情報処理装置によって、利用者の視界を表す視界画像を取得し、前記視界画像を解析することによって、前記視界画像に含まれる前記利用者による進入を抑制する進入抑制領域の位置を特定し、前記利用者による前記進入抑制領域への進入を抑制するための所定の基準を満たす物体の画像を生成し、前記物体の画像を前記視界画像における前記進入抑制領域の位置に重畳して、前記利用者が視認する表示画面に表示する。
【0012】
また、上記目的を達成する更なる見地において、本発明の一態様に係る進入抑制支援プログラムは、利用者の視界を表す視界画像を取得する視界画像取得処理と、前記視界画像を解析することによって、前記視界画像に含まれる前記利用者による進入を抑制する進入抑制領域の位置を特定する特定処理と、前記利用者による前記進入抑制領域への進入を抑制するための所定の基準を満たす物体の画像を生成する生成処理と、前記物体の画像を前記視界画像における前記進入抑制領域の位置に重畳して、前記利用者が視認する表示画面に表示する表示制御処理と、をコンピュータに実行させる。
【0013】
更に、本発明は、係る進入抑制支援プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、進入を抑制する領域に利用者が進入することを、より効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る進入抑制支援装置10の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る進入抑制支援装置10が、進入抑制オブジェクトである壁の画像を視界画像172に重畳して表示画面21に表示する一例を表す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る進入抑制支援装置10の動作を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る進入抑制支援装置30の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る進入抑制支援装置30の動作を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の各実施形態に係る進入抑制支援装置を実現可能な情報処理装置900の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る進入抑制支援装置10の構成を示すブロック図である。進入抑制支援装置10は、危険な領域やセキュリティの観点から立ち入りが禁止されている領域などに進入しないように、拡張現実あるいは複合現実の技術等を用いて利用者に注意を促すことを制御する装置である。尚、本実施形態では、上述した領域を進入抑制領域と称することとする。進入抑制支援装置10は、例えばインターネット等の通信ネットワークを介して、スマートグラス20と通信可能に接続されている。
【0018】
スマートグラス20は、利用者によって装着され、表示画面21及びスピーカ22を備える。スピーカ22は音声出力装置の一例である。スマートグラス20は、拡張現実あるいは複合現実の技術を用いて、現実世界における利用者の視界を表す画像に進入抑制支援装置10によって生成された画像を重畳して、利用者が視認する表示画面21に表示する。スマートグラス20は、また、現実世界における利用者の周辺の音声に、進入抑制支援装置10によって生成された音声を加えて、利用者が聞くスピーカ22から出力する。
【0019】
進入抑制支援装置10は、複数の利用者が装着する複数のスマートグラス20と接続されてもよい。この場合、進入抑制支援装置10と個々のスマートグラス20との間で行われる通信は、スマートグラス20を識別可能な識別情報を含むこととする。
【0020】
進入抑制支援装置10に接続される機器はスマートグラス20に限定されず、拡張現実あるいは複合現実の技術を用いて生成された画像を利用者に提示可能な、例えばヘッドマウントディスプレイのような機器でもよい。
【0021】
進入抑制支援装置10は、視界画像取得部11、物体情報取得部12、特定部13、生成部14、表示制御部15、行動情報取得部16、記憶部17を備える。視界画像取得部11、物体情報取得部12、特定部13、生成部14、表示制御部15、行動情報取得部16は、順に、視界画像取得手段、物体情報取得手段、特定手段、生成手段、表示制御手段、行動情報取得手段の一例である。
【0022】
記憶部17は、例えば、
図6を参照して後述するRAM(Random Access Memory)あるいはハードディスク904のような記憶デバイスである。記憶部17は、進入抑制オブジェクト管理情報171、視界画像172、進入抑制領域の位置173、進入抑制領域判定基準174、行動情報175、進入抑制オブジェクトの画像176、進入抑制オブジェクトの音声177を記憶している。記憶部17に記憶されたこれらの情報については後述する。
【0023】
物体情報取得部12は、通信可能に接続された外部の装置(不図示)から、進入抑制オブジェクト管理情報171を取得し、取得した進入抑制オブジェクト管理情報171を記憶部17に格納する。尚、本実施形態では、利用者に提示したときに利用者による進入抑制領域への進入を抑制するための所定の基準を満たす物体を進入抑制オブジェクトと称することとする。尚、当該所定の基準は、例えば、ある利用者に関して、進入抑制オブジェクト管理情報171に登録されていることを表す。当該所定の基準は、後述するように利用者の特性に応じて利用者ごとに個別に設定されてもよいし、あるいは利用者に共通して設定されてもよい。
【0024】
進入抑制オブジェクト管理情報171は、個々の利用者に関する進入抑制オブジェクトを表し、例えば利用者が使用するスマートグラス20の識別情報とその利用者に関する進入抑制オブジェクトとを関連付ける情報である。進入抑制オブジェクト管理情報171は、後述する進入抑制オブジェクトの画像176及び進入抑制オブジェクトの音声177を生成するのに必要な情報(例えばそれらの情報の格納先)を含んでもよい。
【0025】
進入抑制オブジェクトは、例えば、個々の利用者によって自分が嫌悪感を抱く(即ち苦手であり、見たときに思わず怯んでしまうような)ものとして申告された物体である。例えば、高い場所が苦手な高所恐怖症の利用者に関する進入抑制オブジェクトは、高い崖や深い穴等を含む。例えば、狭い場所が苦手な閉所恐怖症の利用者に関する進入抑制オブジェクトは、圧迫感のある壁等を含む。例えば、泳ぐのが苦手な(水に対する恐怖心がある)利用者に関する進入抑制オブジェクトは、川や海等の水のある環境を含む。例えば虫や動物等の生物が苦手な利用者に関する進入抑制オブジェクトは、苦手な生物を含む。例えば、遊園地におけるお化け屋敷のような場所が苦手な利用者に関する進入抑制オブジェクトは、幽霊などを表すキャラクタを含む。このように、進入抑制オブジェクトは、利用者の進入を抑制することが必要となる要因(危険性が高いこと、セキュリティを確保する必要があること等)とは関連性がなく、利用者の特性に基づくものである。
【0026】
進入抑制オブジェクト管理情報171は、また、利用者が装着したバイタルセンサによる測定値に基づいて生成されてもよい。例えば、ある利用者が高い崖の上に行った際にバイタルセンサにより測定された心拍数等の数値が所定の閾値を超えているような場合、高所恐怖症と推定される当該利用者に関して、崖を進入抑制オブジェクトとして進入抑制オブジェクト管理情報171に登録してもよい。
【0027】
視界画像取得部11は、スマートグラス20が備えるカメラ(不図示)によって撮像された、利用者の視界を表す視界画像172をスマートグラス20から取得し、取得した視界画像172を記憶部17に格納する。
【0028】
特定部13は、視界画像172を画像認識技術を用いて解析し、その解析結果と進入抑制領域判定基準174とに基づいて、視界画像172に含まれる利用者による進入を抑制(禁止、制限)する進入抑制領域の位置173を特定する。特定部13は、特定した進入抑制領域の位置173を記憶部17に格納する。
【0029】
進入抑制領域判定基準174は、視界画像172の解析結果が、例えば、転落の可能性がある線路や側溝、工事で使用する部材の落下等の可能性がある工事現場、感電の可能性がある場所、有毒ガスの発生や酸欠の危険性がある場所等を含む場合に、それらが存在する場所が進入抑制領域の位置173であることを表す。進入抑制領域判定基準174は、上述した危険な場所に特有な形状を表す情報や、それらの場所において看板等により表示されている注意の喚起を促す文字を表す情報を含むこととする。進入抑制領域判定基準174は、例えば進入抑制支援装置10の管理者等によって与えられてもよい。進入抑制領域判定基準174は、また、視界画像172と進入抑制領域の位置173との関係をAI(Artificial Intelligence)を用いて学習した結果として生成されてもよい。
【0030】
進入抑制領域判定基準174は、また、時間帯あるいは利用者の属性等の条件によって、進入抑制領域を動的に変更することを表してもよい。進入抑制領域判定基準174は、例えば、ホームに電車が停車している乗車及び降車が行われるときは、線路がある場所を進入抑制領域として扱わないことを表す。進入抑制領域判定基準174は、例えば、ある領域に関して、セキュリティ上進入することが許可される属性を有する利用者に関しては進入抑制領域として扱わず、セキュリティ上進入することが許可されない属性を有する利用者に関しては進入抑制領域として扱うことを表す。ただしこの場合、進入抑制オブジェクト管理情報171は、個々の利用者の属性を表す情報を含むこととする。
【0031】
進入抑制領域判定基準174は、また、例えば駅の構内などにおける左側通行あるいは右側通行が設定されている通路において、人の流れを制御するために、対向する通路を進入抑制領域として扱うことを表してもよい。
【0032】
生成部14は、進入抑制オブジェクト管理情報171によって示される、利用者による進入抑制領域への進入を抑制するための所定の基準を満たす(即ち進入抑制オブジェクト管理情報171に登録されている)進入抑制オブジェクトの画像176を生成する。例えば、進入抑制オブジェクト管理情報171が、ある利用者に関して進入抑制オブジェクトが壁であることを表す場合、進入抑制オブジェクトの画像176として壁の画像を生成する。生成部14は、生成した進入抑制オブジェクトの画像176を記憶部17に格納する。
【0033】
表示制御部15は、生成部14によって生成された進入抑制オブジェクトの画像176を、視界画像172における進入抑制領域の位置173に重畳して、利用者が視認する表示画面21に表示する。
【0034】
図2は、本実施形態に係る進入抑制支援装置10が、進入抑制オブジェクトである壁の画像を視界画像172に重畳してスマートグラス20の表示画面21に表示する一例を表す図である。
図2に示す例では、利用者は鉄道のホームの線路の近辺にいる。
図2における左側の表示画面21は、生成部14によって生成された進入抑制オブジェクトの画像176が表示制御部15によって重畳して表示される前の視界画像172を表示している。
図2における右側の表示画面21は、生成部14によって生成された進入抑制オブジェクトの画像176が表示制御部15によって重畳して表示された状態にある視界画像172を表示している。
【0035】
図2に示す例の場合、特定部13は、視界画像172において線路が存在する領域の周辺(利用者が進入した場合に線路に転落する危険性が高い領域)を進入抑制領域の位置173として特定する。生成部14は、進入抑制オブジェクト管理情報171を参照することによって、利用者に関する進入抑制オブジェクトが壁であることを取得し、進入抑制オブジェクト管理情報171に含まれる壁の画像の生成に必要な情報に基づいて、進入抑制オブジェクトである壁の画像を生成する。そして、表示制御部15は、生成部14によって生成された壁の画像を、視界画像172における進入抑制領域の位置173である線路が存在する領域に重畳して表示画面21に表示する。
【0036】
図2の例において、進入抑制オブジェクト管理情報171によって示される進入抑制オブジェクトが崖である場合、生成部14は崖の画像を生成し、表示制御部15は、生成された崖の画像を線路が存在する領域に重畳して表示画面21に表示する。また、進入抑制オブジェクト管理情報171によって示される進入抑制オブジェクトが水である場合、生成部14は川あるいは海の画像を生成し、表示制御部15は、生成された川あるいは海の画像を線路が存在する領域に重畳して表示画面21に表示する。また、進入抑制オブジェクト管理情報171によって示される進入抑制オブジェクトが壁及び虫である場合、生成部14は大量の虫が止まっている壁の画像を生成し、表示制御部15は、生成された大量の虫が止まっている壁の画像を線路が存在する領域に重畳して表示画面21に表示してもよい。
【0037】
生成部14は、進入抑制オブジェクトの画像176に加えて、進入抑制オブジェクトの音声177を生成してもよい。例えば、進入抑制オブジェクトが崖である場合、生成部14は、高い崖の上を吹く風の音を表す進入抑制オブジェクトの音声177を生成する。例えば、進入抑制オブジェクトが水である場合、生成部14は、川の流れあるいは波の音を表す進入抑制オブジェクトの音声177を生成する。例えば、進入抑制オブジェクトが生物である場合、生成部14は、その生物の動く音あるいは鳴き声を表す進入抑制オブジェクトの音声177を生成する。生成部14は、生成した進入抑制オブジェクトの音声177を記憶部17に格納する。
【0038】
表示制御部15は、生成部14によって生成された進入抑制オブジェクトの音声177を、スマートグラス20のスピーカ22から出力する。
【0039】
行動情報取得部16は、利用者の行動を表す行動情報175を取得し、取得した行動情報175を記憶部17に格納する。行動情報175は、例えば、利用者の視線の方向、利用者が移動する方向等を表す。行動情報取得部16は、例えば、視界画像172の中心部分が示す方向を利用者の視線の方向として特定可能である。行動情報取得部16は、例えば、動画として表される視界画像172の時間推移を解析することによって、利用者が移動する方向を特定可能である。行動情報取得部16は、例えば、スマートグラス20がGNSS(Global Navigation Satellite System)による位置情報を取得する機能を備える場合、当該位置情報の時間推移を解析することによって、利用者が移動する方向を特定してもよい。行動情報取得部16は、利用者が進入抑制領域の位置173へ移動する(近づく)傾向があることを表す情報を行動情報175に含めてもよい。
【0040】
生成部14及び表示制御部15は、行動情報取得部16によって取得された行動情報175が、利用者が進入抑制領域の位置173へ移動する傾向があることを表すことを条件として、上述した進入抑制オブジェクトの画像176及び進入抑制オブジェクトの音声177を利用者に提示するまでの動作を行なうようにしてもよい。言い換えれば、生成部14及び表示制御部15は、行動情報取得部16によって取得された行動情報175が、利用者が進入抑制領域の位置173へ移動する傾向があることを示さない場合は、上述した進入抑制オブジェクトの画像176及び進入抑制オブジェクトの音声177を利用者に提示するまでの動作を行なわないようにしてもよい。
【0041】
次に
図3のフローチャートを参照して、本実施形態に係る進入抑制支援装置10の動作(処理)について詳細に説明する。
【0042】
物体情報取得部12は、利用者に関する進入抑制オブジェクト管理情報171を取得し、取得した進入抑制オブジェクト管理情報171を記憶部17に格納する(ステップS101)。視界画像取得部11は、スマートグラス20から利用者の視界画像172を取得し、取得した視界画像172を記憶部17に格納する(ステップS102)。
【0043】
特定部13は、取得された視界画像172を画像認識技術を用いて解析し、その解析結果と進入抑制領域判定基準174とに基づいて、進入抑制領域の位置173を特定し、特定した進入抑制領域の位置173を記憶部17に格納する(ステップS103)。行動情報取得部16は、利用者の行動情報175を取得して記憶部17に格納し、行動情報175が進入抑制領域の位置173への移動の傾向を表すか否かを判定する(ステップS104)。
【0044】
行動情報175が進入抑制領域の位置173への移動の傾向を表さない場合(ステップS105でNo)、処理はステップS102へ戻る。行動情報175が進入抑制領域の位置173への移動の傾向を表す場合(ステップS105でYes)、生成部14は、進入抑制オブジェクト管理情報171によって示される進入抑制オブジェクトの画像176及び進入抑制オブジェクトの音声177を生成し、生成した進入抑制オブジェクトの画像176及び進入抑制オブジェクトの音声177を記憶部17に格納する(ステップS106)。表示制御部15は、進入抑制オブジェクトの画像176を視界画像172における進入抑制領域の位置173に重畳して表示画面21に表示するとともに、進入抑制オブジェクトの音声177をスピーカ22を介して出力し(ステップS107)、処理はステップS102へ戻る。
【0045】
本実施形態に係る進入抑制支援装置10は、進入を抑制する領域に利用者が進入することを、より効果的に抑制することができる。その理由は、進入抑制支援装置10は、利用者による進入抑制領域への進入を抑制するための所定の基準を満たす進入抑制オブジェクトの画像176を生成し、その画像を視界画像172における進入抑制領域の位置173に重畳して、表示画面21に表示するからである。
【0046】
以下に、本実施形態に係る進入抑制支援装置10によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0047】
現実世界において、例えば、鉄道の駅のホームにおいて線路に転落しないように、あるいは、その他の危険な領域やセキュリティの観点から立ち入りが禁止されている領域などに進入しないように、拡張現実あるいは複合現実の技術を用いて利用者に注意を促す場合がある。この場合、利用者に対して進入しないように注意を促すための画像が、利用者の視界の画像に重畳して表示される。しかしながら、そのような進入しないように注意を促すための画像を利用者に提示したとしても、その画像に利用者が気が付かないことによって、事故が発生するおそれがある。即ち、進入抑制領域に利用者が進入することを、より効果的に抑制することが課題である。
【0048】
このような課題に対して、本実施形態に係る進入抑制支援装置10は、利用者の視界を表す視界画像172を取得する。進入抑制支援装置10は、視界画像172を解析することによって、視界画像172に含まれる利用者による進入を抑制する進入抑制領域の位置173を特定する。進入抑制支援装置10は、利用者による進入抑制領域への進入を抑制するための所定の基準を満たす進入抑制オブジェクトの画像176を生成する。そして進入抑制支援装置10は、進入抑制オブジェクトの画像176を視界画像172における進入抑制領域の位置173に重畳して、利用者が視認する表示画面21に表示する。
【0049】
即ち、進入抑制支援装置10は、個々の利用者によって自分が嫌悪感を抱く(苦手であり、見たときに思わず怯んでしまうような)ものとして申告された進入抑制オブジェクトの画像176を、視界画像172における進入抑制領域の位置173に重畳して表示画面21に表示する。このように、進入抑制支援装置10は、利用者に与える心理的な影響が大きい進入抑制オブジェクトを視界画像172に重畳して表示することによって、進入を抑制する領域に利用者が進入することを、より効果的に抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る進入抑制支援装置10は、利用者の行動を表す行動情報175を取得し、行動情報175が進入抑制領域への移動の傾向を表す場合に、進入抑制オブジェクトの画像176を表示画面21に表示する。利用者に進入抑制領域へ移動する(近づく)傾向が見られない場合も含めて進入抑制オブジェクトの画像176を表示画面21に表示した場合、進入抑制オブジェクトの画像176の表示回数が多くなることによって利用者に慣れが生じ、利用者に対する注意喚起の効果が低下するおそれがある。進入抑制支援装置10は、上述した通り、利用者に進入抑制領域へ移動する傾向が見られる(即ち注意喚起を行う必要性が高い)場合に絞り込んで進入抑制オブジェクトの画像176を表示画面21に表示するので、利用者に対する注意喚起の効果が低下することを回避できる。
【0051】
また、本実施形態に係る進入抑制支援装置10は、進入抑制オブジェクトの画像176に加えて進入抑制オブジェクトの音声177を生成し、生成した進入抑制オブジェクトの音声177をスピーカ22を介して出力する。即ち、進入抑制支援装置10は、視覚と聴覚との両方を介して進入抑制オブジェクトを利用者に提示するので、進入抑制領域に利用者が進入することを、さらに効果的に抑制することができる。
【0052】
また、上述した本実施形態では、進入抑制支援装置10及びスマートグラス20は別々の装置(機器)としているが、進入抑制支援装置10及びスマートグラス20は一体化されてもよい。即ち、高度な情報処理機能を備えるスマートグラス20が、進入抑制支援装置10の機能を備えてもよい。
【0053】
<第2の実施形態>
図4は、本発明の第2の実施形態に係る進入抑制支援装置30の構成を示すブロック図である。
【0054】
本実施形態に係る進入抑制支援装置30は、視界画像取得部31、特定部32、生成部33、表示制御部34を備えている。視界画像取得部31、特定部32、生成部33、表示制御部34は、順に、視界画像取得手段、特定手段、生成手段、表示制御手段の一例である。
【0055】
視界画像取得部31は、利用者の視界を表す視界画像310を取得する。視界画像310は、例えば、第1の実施形態に係る視界画像172と同様な画像である。視界画像取得部31は、例えば、第1の実施形態に係る視界画像取得部11と同様に動作する。
【0056】
特定部32は、視界画像172を解析することによって、視界画像172に含まれる利用者による進入を抑制する進入抑制領域の位置320を特定する。進入抑制領域の位置320は、例えば、第1の実施形態に係る進入抑制領域の位置173と同様な情報である。特定部32は、例えば、第1の実施形態に係る特定部13と同様に動作する。
【0057】
生成部33は、利用者による進入抑制領域への進入を抑制するための所定の基準を満たす物体の画像330を生成する。物体の画像330は、例えば、第1の実施形態に係る進入抑制オブジェクトの画像176と同様な画像である。生成部33は、例えば、第1の実施形態に係る生成部14と同様に動作する。
【0058】
表示制御部34は、物体の画像330を視界画像310における進入抑制領域の位置320に重畳して、利用者が視認する表示画面40に表示する。表示画面40は、例えば、第1の実施形態に係る表示画面21と同様な画面である。表示制御部34は、例えば、第1の実施形態に係る表示制御部15と同様に動作する。
【0059】
次に
図5のフローチャートを参照して、本実施形態に係る進入抑制支援装置30の動作(処理)について詳細に説明する。
【0060】
視界画像取得部31は、視界画像310を取得する(ステップS201)。特定部32は、視界画像310を解析することによって進入抑制領域の位置320を特定する(ステップS202)。
【0061】
生成部33は、利用者による進入抑制領域への進入を抑制するための所定の基準を満たす物体の画像330を生成する(ステップS203)。表示制御部34は、物体の画像330を視界画像310における進入抑制領域の位置320に重畳して表示画面40に表示し(ステップS204)、処理はステップS201へ戻る。
【0062】
本実施形態に係る進入抑制支援装置30は、進入を抑制する領域に利用者が進入することを、より効果的に抑制することができる。その理由は、進入抑制支援装置30は、利用者による進入抑制領域への進入を抑制するための所定の基準を満たす物体の画像330を生成し、その画像を視界画像310における進入抑制領域の位置320に重畳して、表示画面40に表示するからである。
【0063】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において
図1、及び、
図4に示した進入抑制支援装置における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、
図1、及び、
図4において、少なくとも、下記構成は、プロセッサによって実行される命令を含むソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・視界画像取得部11及び31、
・物体情報取得部12、
・特定部13及び32、
・生成部14及び33、
・表示制御部15及び34、
・行動情報取得部16、
・記憶部17における記憶制御機能。
【0064】
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、
図6を参照して説明する。
【0065】
図6は、本発明の各実施形態に係る進入抑制支援装置を実現可能な情報処理装置900(コンピュータ)の構成を例示的に説明する図である。即ち、
図6は、
図1及び
図4に示した進入抑制支援装置を実現可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。但し、上述した進入抑制支援装置における各部は、複数の情報処理装置900に分散して設けられてもよいし、その少なくとも一部の機能がクラウドコンピューティングの環境を構成するサーバ等に設けられてもよい。
【0066】
図6に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えている。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD-ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・モニターやスピーカ、キーボード等の入出力インタフェース909。
【0067】
即ち、上記構成要素を備える情報処理装置900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理装置900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。情報処理装置900は、また、上述した構成の一部を備えない場合もある。
【0068】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、
図6に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(
図1及び
図4)における上述した構成、或いはフローチャート(
図3及び
図5)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0069】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD-ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0070】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
10 進入抑制支援装置
11 視界画像取得部
12 物体情報取得部
13 特定部
14 生成部
15 表示制御部
16 行動情報取得部
17 記憶部
171 進入抑制オブジェクト管理情報
172 視界画像
173 進入抑制領域の位置
174 進入抑制領域判定基準
175 行動情報
176 進入抑制オブジェクトの画像
177 進入抑制オブジェクトの音声
20 スマートグラス
21 表示画面
22 スピーカ
30 進入抑制支援装置
31 視界画像取得部
310 視界画像
32 特定部
320 進入抑制領域の位置
33 生成部
330 物体の画像
34 表示制御部
40 表示画面
900 情報処理装置
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 ハードディスク(記憶装置)
905 通信インタフェース
906 バス
907 記録媒体
908 リーダライタ
909 入出力インタフェース