(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165234
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 11/20 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B65B11/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081203
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 耕作
【テーマコード(参考)】
3E051
【Fターム(参考)】
3E051AA03
3E051AB09
3E051BA01
3E051CA02
3E051CA03
3E051DA05
3E051EA05
3E051EB03
3E051EB05
3E051FD01
3E051HE01
3E051KA02
3E051KA07
3E051KB03
3E051LB05
3E051LB06
(57)【要約】
【課題】 近年、包装装置をライン化するにあたり、従来以上の処理の効率化、例えば、如何にラインを止めないようにすることができるか、といった対応が求められている。
【解決手段】 張架されたフィルムに被包装物を押し当てて包装する包装装置において、フィルムをフィードするフィルムフィード手段と、前記フィルムフィード手段にフィルムを供給可能なフィルムセット手段と、前記フィルムセット手段にフィルムを供給するために、一方及び他方のフィルムロールを保持する複数のフィルムロール保持手段と、フィルムの終端を検出する検出手段と、を備え、前記検出手段でフィルムの終端を検出した場合に、通常の包装動作とは異なるフィルム終端対応処理を行うことを特徴とする包装装置とすることで、課題を解決した。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
張架されたフィルムに被包装物を押し当てて包装する包装装置において、
フィルムをフィードするフィルムフィード手段と、
前記フィルムフィード手段にフィルムを供給可能なフィルムセット手段と、
前記フィルムセット手段にフィルムを供給するために、一方及び他方のフィルムロールを保持する複数のフィルムロール保持手段と、
フィルムの終端を検出する検出手段と、を備え、
前記検出手段でフィルムの終端を検出した場合に、通常の包装動作とは異なるフィルム終端対応処理を行う
ことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記フィルムフィード手段は、前記フィルムセット手段にセットされたフィルムを把持する把持手段を有し、
前記検出手段でフィルムの終端を検出した場合に、一方のフィルムの終端と、新たに供給される他方のフィルムとを重ね合わせ、フィードする
ことを特徴とする請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記フィルムセット手段は、複数存在し、前記フィルムフィード手段に対して、切替手段により切替えられて用いられるものであり、
前記検出手段でフィルムの終端を検出した場合に、前記把持手段の上流位置にて一方のフィルムの供給を一時停止させ、かつ、前記切替手段にて切替えられた他方のフィルムとを前記把持手段によって重ね合わせる
ことを特徴とする請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記フィルムフィード手段は、前記検出手段でフィルムの終端を検出した場合に、前記把持手段の上流位置に一方のフィルムが滞在するようにバックフィードさせる
ことを特徴とする請求項3に記載の包装装置。
【請求項5】
前記把持手段によって重ね合わされたフィルムを張架させて被包装物を包装する
ことを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の包装装置。
【請求項6】
ラベル貼付手段を備え、
前記検出手段でフィルムの終端を検出した場合には、原則としてラベルを貼らない設定とされる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装装置。
【請求項7】
フィルムストレッチ手段を備え、
通常にフィルムがフィードされた場合にフィルムのストレッチを行い、前記検出手段でフィルムの終端を検出した場合にフィルムのストレッチを行わない
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物をフィルムによって包装する包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、フィルムロールからフィルムを繰り出すフィルム繰出部と、フィルム繰出部から繰出されるフィルムを搬送し張設するフィルム搬送部と、フィルム搬送部により張設されるフィルムに対し下方側から被包装物を押し当てるようにして該被包装物を上昇させるエレベータと、被包装物が押し当てられたフィルムの端部側を該被包装物の下面側に折り込む折込部材とを具備した包装装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、包装装置をライン化するにあたり、従来以上の処理の効率化、例えば、如何にラインを止めないようにすることができるか、といった対応が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、少なくとも以下の構成を具備するものである。
張架されたフィルムに被包装物を押し当てて包装する包装装置において、フィルムをフィードするフィルムフィード手段と、前記フィルムフィード手段にフィルムを供給可能なフィルムセット手段と、前記フィルムセット手段にフィルムを供給するために、一方及び他方のフィルムロールを保持する複数のフィルムロール保持手段と、フィルムの終端を検出する検出手段と、を備え、前記検出手段でフィルムの終端を検出した場合に、通常の包装動作とは異なるフィルム終端対応処理を行うことを特徴とする包装装置。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明に係る包装装置の一例を示す斜視図であり、一部の外装パネルを省いて要部を露出させている。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る包装装置の要部を模式的に示す側面図である。
【
図3】第1実施形態において昇降ヘッド周りの構造を示す要部斜視図であり、(a)は第一の昇降ヘッドを上昇させた状態を示し、(b)は第二の昇降ヘッド及び被包装物を上昇させた状態を示す。
【
図4】第1実施形態において昇降ヘッド周りの構造を示す要部分解斜視図である。
【
図5】昇降ヘッドの配列パターンを(a)~(d)にそれぞれ示す平面図であり、第一の昇降ヘッドをハッチングして示している。
【
図6】フィルムセット手段の切替動作を説明する側面図であり、(a)は上側のフィルムセット手段をフィルム供給元にした状態を示し、(b)は下側のフィルムセット手段をフィルム供給元にした状態を示す。
【
図7】フィルム包装工程を(a)~(d)に順次に示す模式図である。
【
図8】
図7に続き、フィルム包装工程を(e)~(h)に順次に示す模式図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る包装装置の要部を示す側面図である。
【
図10】第2実施形態における切替動作を説明する側面図であり、(a)はフィルムF1がフィルム切れとなる場合を示し、(b)はフィルムF2がフィルム切れとなる場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を、図面を参照しながら説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。また、本発明の第1実施形態は図示の内容を含むが、これのみに限定されるものではない。なお、以下の各図の説明で、既に説明した部位と共通する部分は同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図1は、本発明に係る包装装置Aの一例を示す斜視図であり、一部の外装パネルを省いて要部を露出させている。包装装置Aの「前」には、被包装物Wを搬送する搬送部としてのベルトコンベアが置かれている。
以下の説明中、「前」とは、表示操作部101に向かって手前側を意味し、図示例によれば、被包装物Wの搬送方向の上流側になる。
また、「後」とは前記「前」に対する逆側を意味し、図示例によれば、被包装物Wの搬送方向の下流側になる。
また、「左」とは、表示操作部101に向かって左側を意味し、図示例によれば、フィルムを水平方向へ搬送する際の上流側になる。
また、「右」とは前記「左」に対する逆側を意味し、図示例によれば、フィルムを水平方向へ搬送する際の下流側になる。
また、図示例では、前記前後の方向と、前記左右の方向とは、略直交している(
図1参照)。
【0008】
図2に示されるように、包装装置Aは、複数種類のフィルムF1,F2を張設可能なフィルムフィード手段10と、フィルムフィード手段10にフィルムF1,F2を選択的に供給する複数のフィルムセット手段(図示例によれば、第一のフィルムセット手段20および第二のフィルムセット手段30)と、これら複数のフィルムセット手段の方向へフィルムF1,F2を導くフィルムガイド手段40と、このフィルムガイド手段40を介して前記フィルムセット手段にフィルムF1,F2を供給する複数のフィルム供給手段(図示例によれば、第一のフィルム供給手段50および第二のフィルム供給手段60)と、フィルムフィード手段10によって張設されるフィルムF1又はF2の下方側で昇降動作する複数の昇降ヘッド(
図4に示される第一の昇降ヘッド81および第二の昇降ヘッド91)と、これらを制御する制御部100とを備える。ここで、フィルムF1,F2は、同一種類のフィルムであっても良い。同一種類のフィルムが、第一のフィルム供給手段50および第二のフィルム供給手段60から供給されるようにすることで、一方のフィルムロールのフィルムが終了しても、他方に切り替えて、フィルム供給をすることによって、製造ラインをダウンさせないようにすることができる。さらに、本発明の第1実施形態は、フィルムが終了する間際に、ラインを一瞬たりとも停止させない工夫がされているが、そのことについては後記する。
【0009】
そして、この包装装置Aは、前記複数のフィルムセット手段のうちの一つを選択してフィルムフィード手段10への供給元にするように、これら複数のフィルムセット手段を切替動作し、この切替動作に応じて、前記複数のフィルム供給手段を、連動機構70によって位置変化させ、選択された前記フィルムセット手段から供給されるフィルムF1又はF2を、フィルムフィード手段10によって張設する。
さらに、包装装置Aは、張設されたフィルムF1又はF2を、第一の昇降ヘッド81によって突上げた後に、第二の昇降ヘッド91により被包装物Wを上昇させ、この被包装物Wを、フィルムF1又はF2に押し当てて包装する。
【0010】
<フィルムフィード手段>
フィルムフィード手段10は、フィルムF1又はF2を、その幅方向の一方側と他方側で挟持して所定位置まで搬送する機構である。
このフィルムフィード手段10は、フィルム幅方向の一端側と他端側に、フィルムF1又はF2の幅方向両端を挟持して所定位置まで搬送するフィルム搬送部10a,10bを備え(
図3参照)、当該包装装置Aの本体フレームa1等の不動部位に支持されている。
【0011】
各フィルム搬送部10a(又は10b)は、フィルムF1又はF2の幅方向両端を上下から挟む上側ベルト11及び下側ベルト12と、下側ベルト12を下方側から押圧して上側ベルト側へ圧接するクランプ板13とを具備する(
図2参照)。
各フィルム搬送部10a(又は10b)は、上下のベルト11,12を互いに逆方向に回転させて、これらベルト11,12間の一端側(
図2によれば左端側)にフィルムF1又はF2を導き入れ所定位置まで搬送して停止する。この動作により、フィルムF1又はF2は、両フィルム搬送部10a,10bの間で、略水平に引き張られる。
【0012】
なお、
図2中、符号12a,13aは、上側ベルト11と下側ベルト12を掛け回すプーリーである。符号12b,13bは、上側ベルト11と下側ベルト12を所定の張力に引き張るテンションローラである。
また、
図3及び
図4中、符号2,3は、フィルム搬送方向の上流側と下流側からフィルムF1又はF2の端部を被包装物Wの底部側に折り込む板状の折込部材、符号4は、被包装物搬送方向の上流側からフィルムF1又はF2の端部を被包装物Wの底部側に折り込む折込部材、符号5は、包装済みの被包装物Wを押し動かしてフィルムフィード手段10の後方へ排出する排出プッシャーである。
また、
図7中、符号6は、排出プッシャーによって排出される被包装物Wをさらに前方へ送る排出ローラー、符号7は、排出ローラー6から受け渡される被包装物Wを搬送しながらフィルムF1又はF2をヒートシールするヒータ部である。
これらのフィルムフィード手段10周りの機構としては、例えば特許文献1に記載される周知技術を適用することが可能である。
【0013】
そして、上記構成のフィルムフィード手段10は、第一及び第二のフィルムセット手段20,30の切替動作に伴うフィルムF1又はF2のフィルム幅に応じて、何れか一方のフィルム搬送部10a又は10bを、フィルム幅方向へ移動して、フィルム挟持幅を変化させる。ただし、フィルムF1とフィルムF2とが同一種類のフィルムである場合には、第一及び第二のフィルムセット手段20,30の切替動作が実行されても、フィルム挟持幅が変化することはない。
【0014】
例えば、フィルムフィード手段10は、第二のフィルムセット手段30がフィルムフィード手段10への供給源として位置している場合には、第二のフィルムセット手段30にセットされたフィルムF2の幅の情報を制御部100の記憶手段から呼び出し、この情報に基づき、一方のフィルム搬送部10aをフィルム幅方向へ移動して、両フィルム搬送部10a,10b間のフィルム挟持幅を、フィルムF2の幅に対応させる。
【0015】
なお、他例としては、フィルムフィード手段10の供給側でフィルムF1又はF2の幅をセンサにより感知し、この感知信号に応じて、一方のフィルム搬送部10aを、フィルム幅に対応するように、フィルム幅方向へ移動するようにしてもよい。
【0016】
<フィルムセット手段>
図2に示されるように、フィルムセット手段は、上下方向に並設された第一のフィルムセット手段20と第二のフィルムセット手段30によって構成され、可動基部1に支持されている。
これら第一のフィルムセット手段20と第二のフィルムセット手段30は、表示操作部101に対する操作に応じて選択された一つのフィルムセット手段20又は30がフィルムフィード手段10の供給元になるように、上下方向への位置変化による切替動作をする(
図6も参照)。
【0017】
詳細に説明すれば、この第一のフィルムセット手段20は、フィルムF1を間に挿入して上下に平行する二枚のフィルムガイド板21,22と、これらフィルムガイド板21,22の上流側(換言すれば、フィルム挿入側)にて、フィルムF1の一方の面に接触するワンウェイローラ23と、同フィルムF1の他方の面に接触するガイドローラ24とを備え、これらフィルムガイド板21,22、ワンウェイローラ23及びガイドローラ24を、可動基部1に対し図示の左右方向へ移動させることで、フィルムフィード手段10に対する接近離隔方向へ変位する。
【0018】
第二のフィルムセット手段30は、第一のフィルムセット手段20と同様に構成され、フィルムガイド板31,32、ワンウェイローラ33及びガイドローラ34を、可動基部1に対し図示の左右方向へ移動させることで、フィルムフィード手段10に対する接近離隔方向へ変位して、上下のフィルムガイド板31,32に挟んだフィルムF2を、フィルムフィード手段10へ受け渡す。
【0019】
第一のフィルムセット手段20及び第二のフィルムセット手段30に対して、共通のフィルムエンド検出手段FESが設けられている。フィルムエンド検出手段FESは、フィルムロールが終端まで繰り出されてしまったために、フィルムフィード手段10が、被包装物Wを包装するに十分なフィルムを繰り出す途中でフィルムが途切れてしまう状態を検出する。フィルムエンド検出手段FESは、透明度に応じた判定レベルを調整することで透明フィルムを検出できる光センサであるが、フィルムエンドを検出できるのであれば、適宜の代替手段を用いてよい。
【0020】
<フィルムガイド手段>
フィルムガイド手段40は、上記複数のフィルムセット手段にそれぞれ対応する複数のガイドローラを備え、これらガイドローラを第一のフィルムセット手段20と連動して上下動するように支持している。
具体的に説明すれば、このフィルムガイド手段40は、第一のフィルムセット手段20に対応する第一のガイドローラ41と、第二のフィルムセット手段30に対応する第二のガイドローラ42とを具備する。
【0021】
そして、第一のガイドローラ41は、第一のフィルム供給手段50から供給される一方のフィルムF1を、外周面に沿わせて第一のフィルムセット手段20へ導く。
また、第二のガイドローラ42は、第二のフィルム供給手段60から供給される他方のフィルムF2を、外周面に沿わせて第二のフィルムセット手段30へ導く。
【0022】
<可動基部>
図6に示されるように、可動基部1は、不動部位である本体フレームa1に対し、所定量上下動するように支持されている。
この可動基部1は、第一のフィルムセット手段20と第二のフィルムセット手段30を、それぞれ独立して、図示の左右方向へ所定量進退動作させるように支持するとともに、第一のガイドローラ41と第二のガイドローラ42をそれぞれ回転自在に支持している。
【0023】
すなわち、一方のフィルムセット手段20又は30は、フィルムフィード手段10へフィルムF1又はF2を受け渡す時に、他方のフィルムセット手段30又は20とは独立して前記接近離隔方向へ進退動作し、フィルムフィード手段10への供給元を変える切替動作の時には、他方のフィルムセット手段30又は20と連動して上下動する。
【0024】
<フィルム供給手段>
第一のフィルム供給手段50及び第二のフィルム供給手段60は、第一のフィルムセット手段20及び第二のフィルムセット手段30の切替動作に応じて、その切替動作の動作方向(図示例によれば上下方向)へ位置変化するとともに、この位置変化の際に、フィルムF1,F2のテンションを略均一に保持する。
【0025】
詳細に説明すれば、第一のフィルム供給手段50は、一方のフィルムF1をロール状に支持するフィルムセット軸51と、このフィルムセット軸51の周りから繰出されるフィルムF1を、対応するフィルムセット手段側(図示例によれば上方)へ送出する送出ローラー52と、フィルムセット軸51と送出ローラー52との間でフィルムF1を案内する複数のガイドローラ53,54,55と、前記切替動作の動作方向へ先端側位置を変化させる支持部材56とを備える。
【0026】
フィルムセット軸51は、図示の前後方向へわたる長尺状の軸であり、本体フレームa1等の不動部位に支持されている。このフィルムセット軸51は、ロール状のフィルムF1を回転自在に支持している。
【0027】
送出ローラー52は、フィルムセット軸51に対し略平行な長尺円筒状のローラーであり、フィルムセット軸51から径方向へ離れた位置で自在に回転し、且つフィルムセット軸51を中心にして所定量回動するように、支持部材56によって支持される(
図6(b)参照)。
【0028】
支持部材56は、送出ローラー52及びガイドローラ54等を支持する長尺杆状の部材である。この支持部材56の一端側は、フィルムセット軸51と同芯上の位置で、フィルムセット軸51又は本体フレームa1等の不動部位に、回転自在に支持される。この支持部材56の他端側には、送出ローラー52及びガイドローラ54が、それぞれ回転自在に支持されている。
この支持部材56は、フィルムF1又は連動機構70によって、上方へ引っ張られた際に上方へ所定量回動し、フィルムF1による引張力が解除された際に、自重により下方へ回動し、元の位置に戻る。
なお、必要に応じて、上方へ回動した支持部材56を元の位置に戻すように付勢部材(例えば、捩じりバネや、コイルバネ等)を設けてもよい。
【0029】
ガイドローラ53,54,55は、それぞれ、フィルムセット軸51及び送出ローラー52に対し略平行な長尺円筒状に形成される。
これらのうち、支持部材56の上方側に位置する二つのガイドローラ53,55は、図示の左右方向に離れて配設され、それぞれ、本体フレームa1等の不動部位に対し回転自在な定滑車状に支持されている。
【0030】
また、ガイドローラ54は、ガイドローラ53,55間の下方側にて、支持部材56に対し、回転自在に支持されている。
【0031】
そして、フィルムセット軸51の周囲から繰出されるフィルムF1は、
図2に示すように、ガイドローラ53の上半部側に掛けられて下方へ導かれ、ガイドローラ54の下半部側に掛けられて上方へ導かれ、ガイドローラ55の上半部側に掛けられて下方へ導かれ、さらに、送出ローラー52の下半部側に掛けられて上方へ導かれる。
【0032】
また、第二のフィルム供給手段60は、第一のフィルム供給手段50と略同様にして、他方のフィルムF2をロール状に支持するフィルムセット軸61と、このフィルムセット軸61の周りから繰出されるフィルムF2を、対応するフィルムセット手段側へ送出する送出ローラー62と、フィルムセット軸61と送出ローラー62との間でフィルムF2を案内する複数のガイドローラ63,64,65と、第一及び第二のフィルムセット手段20,30の切替動作の方向へ位置変化する支持部材66とを備え、第一のフィルム供給手段50の上方側に配設される。
【0033】
第1実施形態の一例によれば、第一のフィルム供給手段50にセットされるフィルムF1と、第二のフィルム供給手段60にセットされるフィルムF2は、フィルム幅が異なる。
しかし、他例として、これら二つのフィルムF1,F2を同幅のフィルムを装填するように構成することが可能である。そのように構成することによって、一方のフィルム切れが生じても、他方のフィルムに切り替えて、製造ラインを継続して稼働させることが可能となる。フィルム切れとなったロールの交換作業は、製造バッチの切り替わりなど、適宜タイミングをずらして実行することが可能となるため、処理の効率化が大幅に改善される。
【0034】
<連動機構>
図6に示されるように、支持部材56,66の回動端側(図示の左側)には、第一のフィルムセット手段20の切替動作に連動して、第一のフィルム供給手段50及び第二のフィルム供給手段60を位置変化させる連動機構70が設けられる。
【0035】
この連動機構70は、可動基部1の上下移動に伴って上下動する第一連結杆71と、この第一連結杆71の下端側で上側の支持部材66の回動端部側を受ける第一受け部72と、第一連結杆71の下端側に接続されて下方へ延設された第二連結杆73と、この第二連結杆73の下端側で下側の支持部材56の回動端部側を受ける第二受け部74とを備える。
【0036】
第一連結杆71は、可動基部1と支持部材66に跨るように上下方向へ延設され、第一及び第二のフィルムセット手段20,30の切替動作に伴って可動基部1が所定量上昇する際に、この上昇の途中で、可動基部1と連動して上昇する。そして、この第一連結杆71は、可動基部1が下降する際、この下降中の可動基部1に連動して下降する。
【0037】
詳細に説明すれば、この第一連結杆71の上端側には、上下方向の長孔71aが設けられ、この長孔71aの下端寄りに、可動基部1のピン1aが遊挿されている。このため、可動基部1が上昇する際、ピン1aが長孔71a内を上方へ移動している間は、第一連結杆71が静止している。ピン1aが長孔71a内の上端まで達すると、第一連結杆71がピン1aに掛けられて上昇する。また、可動基部1が下降する際は、連動して第一連結杆71も下降する。
【0038】
第一連結杆71の下端側は、第一受け部72を介して支持部材66の回動端側を受けている。
第一受け部72は、本体フレームa1等の不動部位に一端を軸支して他端側を上下に所定量回動させる揺動杆72aと、この揺動杆72aの回動端側に回転自在に支持されて支持部材66の下面を受けて転動可能な支持ローラー72bとを備え、支持ローラー72bの軸部に、第一連結杆71の下端側が回転自在に接続される。
【0039】
したがって、第一連結杆71が上昇すると、第一受け部72は、第二支持部上方へ回動し、支持部材66の下面で転動しながら支持部材66を上方へ押動し回動させる。
【0040】
また、第二連結杆73は、支持部材66と支持部材56に跨るように上下方向へ延設され、その上端側を、支持ローラー72bに対し、回転自在に接続している。この第一受け部72の下端側は、第二受け部74を介して支持部材56の回動端側を受けている。
【0041】
第二受け部74は、第一受け部72と同様に、本体フレームa1等の不動部位に一端を軸支して他端側を上下に所定量回動させる揺動杆74aと、この揺動杆74aの回動端側に回転自在に支持されて支持部材56を下方側から受けて転動可能な支持ローラー74bとを備え、支持ローラー74bの軸部に、第二連結杆73の下端側を回転自在に接続している。
【0042】
<昇降ヘッド>
第一及び第二の昇降ヘッド81,91は、フィルムフィード手段10によって張設されるフィルムF1又はF2の下方側に、上方向きに多数設けられる。
【0043】
これら多数の第一及び第二の昇降ヘッド81,91のうち、その一部である第一の昇降ヘッド81は、第二の昇降ヘッド91よりも先に上昇してフィルムF1又はF2を突き上げる。
各第一の昇降ヘッド81は、上下方向へわたる長尺棒状に構成される。
この第一の昇降ヘッド81は、図示例によれば複数設けられ、下端が連結部材82により連結されることで、一体的な第一の昇降ヘッド群80を構成する。
【0044】
また、他の一部である第二の昇降ヘッド91は、被包装物Wを載置した状態で第一の昇降ヘッド81よりも後に上昇して、被包装物WをフィルムF1又はF2に押し付ける。
各第二の昇降ヘッド91は、第一の昇降ヘッド81と同様に構成される。
この第二の昇降ヘッド91は、図示例によれば複数設けられ、下端が連結部材92により連結されることで、一体的な第二の昇降ヘッド群90を構成する。
【0045】
第一の昇降ヘッド群80と第二の昇降ヘッド群90は、それぞれ独立して昇降駆動するように構成される。
第一の昇降ヘッド群80を構成する第一の昇降ヘッド81の配列パターンと、第二の昇降ヘッド群90を構成する第二の昇降ヘッド91の配列パターンは、被包装物Wの形状や、大きさ、配置等に応じて適宜に設定される。
【0046】
例えば、
図5(a)に示す一例によれば、被包装物Wの搬送方向の上流側(
図5の前側)に左右方向にわたって第一の昇降ヘッド81を複数並べ、フィルム搬送方向の上流側と下流側(
図5の左側と右側)のそれぞれに、前後方向にわたって第一の昇降ヘッド81を複数並べて、平面視凹状の第一の昇降ヘッド群80を構成している。そして、その凹状部分の内側に、第二の昇降ヘッド91を平面視矩形状に並べて第二の昇降ヘッド群90を構成している。
すなわち、第一の昇降ヘッド群80は、第二の昇降ヘッド群90を囲む平面視凹状に構成される。
【0047】
また、
図5(b)に示す他例では、被包装物Wの搬送方向の上流側と下流側(
図5の前側と後側)に、それぞれ左右方向にわたって第一の昇降ヘッド81を複数並べて第一の昇降ヘッド群80を構成している。そして、これら略平行する二列の第一の昇降ヘッド81の間に、第二の昇降ヘッド91を平面視矩形状に並べて、第二の昇降ヘッド群90を構成している。
【0048】
また、
図5(c)に示す他例では、フィルム搬送方向の上流側と下流側(
図5の前側と後側)に、それぞれ前後方向にわたって第一の昇降ヘッド81を複数並べて、第一の昇降ヘッド群80を構成している。そして、これら略平行する二列の第一の昇降ヘッド81の間に、第二の昇降ヘッド91を平面視矩形状に並べて、第二の昇降ヘッド群90を構成している。
【0049】
また、
図5(d)に示す他例では、被包装物Wの搬送方向の上流側と下流側(
図5の前側と後側)、フィルム搬送方向の上流側と下流側(
図5の左側と右側)に、それぞれ、第一の昇降ヘッド81を複数並べるようにして、平面視矩形枠状の第一の昇降ヘッド群80を構成している。そして、この第一の昇降ヘッド群80の内側に、第二の昇降ヘッド91を平面視矩形状に並べて、第二の昇降ヘッド群90を構成している。
すなわち、第一の昇降ヘッド群80は、第二の昇降ヘッド群90を囲む矩形枠状に構成される。
【0050】
なお、上記構成において、フィルムフィード手段10のベルト11,12を回転させる駆動源や、フィルムフィード手段10のクランプ板13を上側ベルト側へ移動する機構、一方のフィルム搬送部10a又は10bをフィルム幅方向へ駆動する機構、第一及び第二のフィルムセット手段20,30をそれぞれ進退駆動する機構、可動基部1を所定量上下に駆動する機構、第一の昇降ヘッド群80と第二の昇降ヘッド群90をそれぞれ昇降駆動する機構等は、例えば、電動モータや、電磁ソレノイド、歯車、リニアガイド、駆動ベルト等、周知の機構を用いればよい。
【0051】
<制御部>
制御部100は、フィルムF1,F2のフィルム幅を含む各種情報、プログラム等を記憶する記憶手段(図示しないROM及びRAM等)と、キーボード及びタッチパネル液晶常時装置等を具備した表示操作部101と、前記記憶手段の情報や表示操作部101による入力情報等を演算処理するCPU(図示せず)等を具備した制御回路である。
この制御部100は、前記記憶手段に記憶された情報や、表示操作部101に手動入力された情報に基づいて、上述した各種機構の駆動源を制御し、後述する各種動作を実行する。
【0052】
次に上記構成の包装装置Aについて、その特徴的な動作及び作用効果等を詳細に説明する。
【0053】
<フィルム供給動作>
図2に示す初期位置において、フィルムF1をフィルムフィード手段10へ供給する場合、フィルムF1を挿通した状態の第一のフィルムセット手段20を左右方向へ進退させる。
この進退動作中、第一のフィルムセット手段20がフィルムフィード手段10側へ前進する際は、フィルムF1が、回転不能に保持されたワンウェイローラ23との摩擦により引っ張られて、第一のフィルム供給手段50から繰り出される。そして、第一のフィルム供給手段50側では、送出ローラー52がフィルムF1によって上方へ引っ張られ、支持部材56の先端側が若干上方へ回動する。
【0054】
前進した第一のフィルムセット手段20は、上下のフィルムガイド板21,22に挟んだフィルムF1を、フィルムフィード手段10へ受け渡す。
この後、フィルムフィード手段10により挟持されたフィルムF1に相対し、第一のフィルムセット手段20が後退する。この後退の際は、ワンウェイローラ23とガイドローラ24が、相対的にフィルムF1を繰出すようにして回転する。
したがって、前記進退動作の繰り返しにより、フィルムF1は、フィルムフィード手段10側へ徐々に移動してゆく。
【0055】
そして、前記進退動作により、フィルムF1を受け渡されたフィルムフィード手段10は、上側ベルト11及び下側ベルト12を所定量回転させることで、フィルムF1を所定位置まで搬送し張設する。その後、フィルムフィード手段10の両フィルム搬送部10a,10bは互いに離間する方向に、僅かだが移動させられる。これは、フィルムF1をストレッチさせるためで、このことによって、被包装物Wに対してのフィルム包装に余計な弛みが生じることなく、綺麗な包装が可能とされている。
【0056】
<切替動作>
図6(a)(b)は、フィルムフィード手段10の供給元となる第一のフィルムセット手段20を、第二のフィルムセット手段30に変更する切替動作を示している。
【0057】
先ず、第一及び第二のフィルムセット手段20,30の進退動作を停止した状態で、可動基部1を上昇させると、第一及び第二のフィルムセット手段20,30、第一及び第二のガイドローラ41,42も一体的に上昇する。この上昇は、第二のフィルムセット手段30がフィルムフィード手段10に対向するまで継続して停止する。
【0058】
前記上昇の途中においては、可動基部1のピン1aが第一連結杆71の長孔71aの上端に掛かることで、連動機構70全体が可動基部1に連動して上昇し、連動機構70に係合している支持部材56,66の回動により、送出ローラー52,62がそれぞれ上方へ回動する(
図6(b)参照)。つまり、可動基部1の上昇量よりも、送出ローラー52,62の上昇量は小さい。
すなわち、可動基部1の上昇に伴い、フィルムF1,F2が、それぞれ、第一のフィルム供給手段50と第二のフィルム供給手段60から繰り出されて上方へ引っ張られるが、この際、送出ローラー52,62は、それぞれ、動滑車として作用するため、送出ローラー52,62の上昇量は、フィルムF1,F2が上方へ繰り出される量よりも小さくなる。
【0059】
そして、前記切替動作中、フィルムF1,F2は、それぞれ、上端側が上方へ引っ張られ、下端側が、支持部材56,66及び支持ローラー72b,74b等の重量で下方へ引っ張られるため、弛みを生じることがない。このことによって、前記切替動作中に、フィルムF1又はフィルムF2が弛んで、これらフィルムが付着してしまうのを防ぐことができる。
【0060】
また、フィルムフィード手段10の供給元を第二のフィルムセット手段30から第一のフィルムセット手段20に変更する切替動作では、可動基部1を下降させることで、第一及び第二のフィルムセット手段20,30、第一及び第二のガイドローラ41,42、連動機構70等を一体的に下降させる。そして、この下降に伴い、支持部材56,66がそれぞれ下方へ回動する。
この切替動作中、フィルムF1,F2は、それぞれ、下端側が支持部材56,66及び支持ローラー72b,74b等の重量で下方へ引っ張られるため、弛みを生じることがない。したがって、この下降動作においても、フィルムF1又はフィルムF2が弛んで、これらフィルムが付着してしまうのを防ぐことができる。
ここまでは、複数種類のフィルムF1,F2が選択的に供給されることを前提として、例えば、サイズの異なる複数種類の被包装物Wに対応した異なる幅のフィルムでの包装が可能となるように切替を行う態様についての説明であったが、本発明の第1実施形態は、同一種類のフィルムF1,F2が選択的に供給される場合であっても、大いにメリットのあるものである。このことについて、説明する。
【0061】
<同一種類のフィルムでの切替動作>
同一種類のフィルムでの切替動作について説明する。同一種類のフィルムが、第一のフィルム供給手段50および第二のフィルム供給手段60から供給されるようにすることで、一方のフィルムロールのフィルムが終了しても、他方に切り替えて、フィルム供給をすることによって、製造ラインをダウンさせないようにすることができる。
既に説明した切替動作を、同一種類のフィルムを扱う第一のフィルムセット手段20と第二のフィルムセット手段30に対して、同様に行うだけであっても、製造ラインの継続性を一定程度は維持することが可能となる。すなわち、一方の、例えばフィルムF1が終了した後に、他方のフィルム、例えばフィルムF2を用いての包装が可能となる。
しかし、ある被包装物Wに対する包装が終了する丁度のタイミングに、フィルムF1の終端が都合よく差し掛かるということは稀であり、殆どの場合、包装するには足りない長さのフィルムとなってしまう。当然に、そのようなフィルムで包装を行えば、中途半端にフィルムが巻かれた状態となる。このような対象を取り除くためには、やはりラインを停止する必要が生じることになる。フィルム交換に要する時間程ではないにしても、処理効率化の上では、ボトルネックとなる。
【0062】
そこで、このことを解消するために、ここでの切替動作は、一方のフィルムの終端と、新たに供給される他方のフィルムとの重ね合わせ処理を伴うものとされている。具体的に、
図6(a)に示されるように、フィルムF1が供給されている途中で、フィルム切れとなる場合で説明する。フィルムが十分にある場合には、フィルムフィード手段10のベルト11,12の回転により、包装される分のフィルムが搬送されても、第一のフィルム供給手段50からのフィルムF1が供給され続けるため、フィルムフィード手段10にフィルムF1の終端が位置してしまうようなことはない。包装される分のフィルムが搬送された時点で、図示されないカッター手段によりフィルムが切断されて、後記する包装動作が続けて行われることになる。ところが、フィルムの終端にさしかかると、包装される分のフィルムが搬送され終わる前のタイミングで、フィルムの終端が到来する事態が発生してしまうことがあり得る。
【0063】
フィルムエンド検出手段FESがフィルムの終端を検出すると、制御部100は、フィルムF1が、被包装物Wを包装するには足りなかったと判断すると共に、終端が到来してしまったフィルムF1の長さを、フィルムフィード手段10のベルト11,12の回転量等に基づき算出する。当該算出された長さの分+αだけ、フィルムフィード手段10は、フィルムF1を逆方向に搬送(バックフィード)する。すなわち、フィルムの終端部分が、フィルムフィード手段10の左側、すなわち、把持手段11及び12の上流側位置に戻るまで、フィルムF1を逆方向に搬送(バックフィード)する。
【0064】
フィルムF1の逆方向への搬送に連動させて(連続させて、或いは、同時進行させて)、可動基部1が上昇し、第一及び第二のフィルムセット手段20,30、第一及び第二のガイドローラ41,42も一体的に上昇する。この上昇は、第二のフィルムセット手段30がフィルムフィード手段10に対向するまで継続して停止する。
【0065】
図6(b)の状態となったならば、フィルムF2をフィルムフィード手段10へ供給する。具体的には、フィルムF2を挿通した状態の第二のフィルムセット手段30を左右方向へ進退させる。この進退動作中、第二のフィルムセット手段30がフィルムフィード手段10側へ前進する際は、フィルムF2が、回転不能に保持されたワンウェイローラ33との摩擦により引っ張られて、第二のフィルム供給手段60から繰り出され、第二のフィルム供給手段60側では、送出ローラー62がフィルムF2によって上方へ引っ張られ、支持部材66の先端側が若干上方へ回動する。
【0066】
前進した第二のフィルムセット手段30は、上下のフィルムガイド板31,32に挟んだフィルムF2を、フィルムフィード手段10へ受け渡す。この時点で、フィルムフィード手段10に残っていたフィルムF1の終端と、新たに供給されるフィルムF2とが重ね合わせられることになる。フィルムには、自己粘着性があるため、二つのフィルムがフィルムフィード手段10により挟持されることによって、貼り合わされることになる。自己粘着性が乏しいフィルムに対応させるために、第一又は第二のフィルムセット手段20,30やフィルムフィード手段10(把持手段11及び12)の一方若しくは両方が熱源を備えるようにして、フィルム同士の貼り付きがより確実なものとなるようにしても良い。
その後、フィルムフィード手段10により挟持されたフィルムF1及びF2に相対し、第二のフィルムセット手段30が後退する。この後退の際は、ワンウェイローラ33とガイドローラ34が、相対的にフィルムF2を繰出すようにして回転する。
【0067】
フィルムF2を受け渡されたフィルムフィード手段10は、上側ベルト11及び下側ベルト12を所定量回転させることで、フィルムF1の終端とフィルムF2が貼り合わされたフィルムを所定位置まで搬送し張設する。しかし、通常の供給では実行される前述のストレッチ処理、すなわち、フィルムフィード手段10の両フィルム搬送部10a,10bを互いに離間する方向に僅かに移動させる処理は実行されない。貼り合わされたフィルムがストレッチ動作により剥がれないようにするためである。ここまで、フィルムF1がフィルム切れとなる場合として説明したが、フィルムF2がフィルム切れとなる場合も、可動基部1の動作が上昇動作でなく下降動作とされるだけで、その他は略同様の動作となる。
なお、ここで説明した態様は、フィードしたフィルムを一旦バックフィードさせて第一又は第二のフィルムセット手段20,30で重ね合わせるようにしたが、フィルムエンド検出手段FESがフィルムの終端を検出した時点で単にフィルムを停止させ、バックフィードはさせないようにしても良い。その場合であっても、フィルムフィード手段10(把持手段11及び12)において、重ね合わせは実行されることになる。
【0068】
包装対象が精肉や魚の場合のドリップやその他水分が飛び散る可能性があり、包装装置の各部を汚損させることになるところ、本発明の第1実施形態のような手当によって、ラインを止める必要がなくなる。
<包装動作>
図7(a)~(d)及び
図8(e)~(h)は、制御部100が各種駆動源を制御することで、張設されたフィルムF1(又はF2)に被包装物Wを押し当てて包装する動作を順次に示している。
この包装動作の一例では、昇降ヘッドは、
図5(b)の態様を適用している。すなわち、第一の昇降ヘッド81は前側と後側に配設され、これら前後の第一の昇降ヘッド81の間に第二の昇降ヘッド91が配設されている。なお、この包装動作において、
図5(a)(c)(d)に示す昇降ヘッドや、図示例以外の昇降ヘッドを適用することも可能である。
【0069】
先ず、
図7(a)に示すように、略水平に張設されたフィルムF1(又はF2)の下方側において、第二の昇降ヘッド91の上端に被包装物Wが載置される。この被包装物Wは、当該包装装置Aの前寄りに構成されるコンベヤ機構等によって搬送されたものである。
【0070】
次に、
図7(b)に示すように、複数の昇降ヘッドのうち、被包装物Wに対し前側と後側の第一の昇降ヘッド81を所定量上昇させ、これら第一の昇降ヘッド81によってフィルムF1を突き上げる。
【0071】
次に、
図7(c)に示すように、前後の第一の昇降ヘッド81の間の複数の第二の昇降ヘッド91を所定量上昇させ、これら第二の昇降ヘッド91に載置された被包装物WをフィルムF1に押し付ける。
このように、被包装物Wは、前の動作で突き上げられたフィルムF1に対し、後から近づいて、押し付けられるため、フィルムF1から受ける負荷が小さい。ひいては、被包装物WがフィルムF1に押し当てられて破損や変形するようなことを防ぐことができる。
【0072】
なお、図示例によれば、第二の昇降ヘッド91の上昇量を、第一の昇降ヘッド81の上昇量と略同じにしているが、より好ましい他の態様としては、第二の昇降ヘッド91の上昇量よりも小さくして、上昇した被包装物Wの上端がフィルムF1に接触せずに近接するようにしてもよい。この態様によれば、被包装物Wが受ける負荷をより小さくして、被包装物Wの破損や変形をより確実に防ぐことができる。
【0073】
次に、
図7(d)に示すように、前後の第一の昇降ヘッド81を下降して、引き張られたフィルムF1の中央側に被包装物Wのみを押し付けた状態にする。
【0074】
次に、被包装物Wによって山形に引き上げられたフィルムF1に対し、左右両側から折込部材2,3を押し当て、これら折込部材2,3を、
図8(e)に示すように、被包装物Wの底面と第二の昇降ヘッド91の上端の間に差し入れるようにして、フィルムF1を被包装物Wの底部側へ折り込む。
【0075】
次に、山形に引き上げられたフィルムF1に対し、前側の折込部材4を押し当て、この折込部材4を、
図8(f)に示すように、被包装物Wの底面と第二の昇降ヘッド91の上端の間に差し入れるようにして、フィルムF1を被包装物Wの底部側へ折り込む。
【0076】
次に、
図8(g)(h)に示すように、排出プッシャー5により被包装物Wを搬出方向下流側へ押し出し、第二の昇降ヘッド91を初期位置まで下降する。
【0077】
このようにして、フィルムF1の端部側が全て被包装物Wの下面側に折り込まれた後、左右の折込部材2,3及び前側の折込部材4は、それぞれ、多数の第一及び第二の昇降ヘッド81,91の側面に近接する位置に退避する。
このように制御すれば、次の被包装物Wを包装する動作を、速やかに行うことができる。
【0078】
よって、上記構成の包装装置Aによれば、包装中に被包装物が破損したり変形したりするのを防ぐとともに、被包装物を包装する処理の効率化をはかることができる。
【0079】
特に、
図5(a)(b)(c)に示す態様によれば、第一の昇降ヘッド81を、少なくとも一方のフィルム搬送部10a又は10b寄り(すなわち、図示の前寄り又は後寄り)に設けているため、フィルムF1又はF2においてフィルム搬送部10a又は10bによって張力が高くなった部分を、第一の昇降ヘッド81によって突上げることができ、このことによって、フィルムF1に被包装物Wが当接することによる衝撃を緩和し、被包装物Wの破損や変形を効果的に防ぐことができる。
【0080】
<ラベル貼付動作>
図示は省略するが、包装動作が終了した後には、商品の内容量や売価などが印字されたラベルが貼付されることになる。ただし、一方のフィルムの終端と新たに供給される他方のフィルムとが重ね合わせられた状態でのフィルムで包装された商品に対しては、原則として、ラベルは貼付されない。このことは、どのみち排除されるものであるからという理由もあるが、それよりも、ラベルが貼付される際に、ラベラーがフィルムの重ね合わせ部分に押し当てられることによって、精肉や魚のドリップやその他水分が飛び散る虞があるからである。しかし、液体が飛び散るような心配が全くない、例えば干物といった商品であれば、そもそもラインから廃除する必要がない。そこで、設定により、重ね合わせたフィルムで包装される商品に対しても、ラベル貼付を行うようにすることも可能とされている。さらには、貼り合わせた箇所からは、ずれた位置にラベルを貼るような設定を設けるようにしてもよい。
【0081】
(第2実施形態)
第1実施形態は、第一のフィルムセット手段20及び第二のフィルムセット手段30が上下に昇降することによって、フィルムの切替動作がなされるものであったが、同一種類のフィルムでの切替動作であれば、単一のフィルムセット手段で、これを行うことが可能である。これを実現する本発明の第2実施形態について、以下、図面を参照しながら説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。
図9は、本発明の第2実施形態に係る包装装置の要部を示す側面図である。
【0082】
図9に示されるように、第2実施形態も、第一のフィルム供給手段50及び第二のフィルム供給手段60を有している。しかし、第2実施形態において、フィルムセット手段は、単一のフィルムセット手段(第一のフィルムセット手段20)を備えるだけで、第二のフィルムセット手段30は備えていない。そして、単一のフィルムセット手段(第一のフィルムセット手段20)が昇降することもない。その代わり、第2実施形態においては、第一のフィルム供給手段50からのフィルムF1を導く第一のガイドローラ41と、第二のフィルム供給手段60からのフィルムF2を導く第二のガイドローラ42が、図示されない包装装置Aの本体フレームa1に移動可能に設けられた支持軸の移動に伴って、揺動ないしスライド移動するように構成されている。
図9において、実線で描かれたフィルムF1及びフィルムF2に対応するガイドローラ位置がフィルムの供給位置であり、点線で描かれたフィルムF1及びフィルムF2に対応するガイドローラ位置は、一方のフィルムがフィルム切れとなった際に、新たなフィルムの供給を開始できるように待機している待機位置とされている。第一のガイドローラ41の供給位置と第二のガイドローラ42の供給位置は共通している。つまり、一方のガイドローラが供給位置に配置される場合には、他方のガイドローラは待機位置に配置されることになる。なお、第一のガイドローラ41と第二のガイドローラ42の周面には、フィルム幅に沿った切れ込みが設けられており、フィルム先端を差し込むことによって、ある程度迄は張力がかかってもフィルムを保持することができるが、所定以上の張力がかかるとフィルムが抜けるようにされている。
【0083】
この他、第1実施形態においては、フィルムセット手段より下流位置に設けられていたフィルムエンド検出手段FESは、第一のフィルム供給手段50及び第二のフィルム供給手段60の位置において、それぞれに対応するように、複数設けられており、第1実施形態よりも、より上流側でフィルムの終端を検出するように構成されている。また、第2実施形態において、第一のガイドローラ41及び第二のガイドローラ42よりも上流側には、図示されない包装装置Aの本体フレームa1の両側から(紙面の手前と奥側から)二つのフィルムを重ね合わせるバインダ手段Bを、スライド移動により、進出ないし後退可能としつつ、フィルムを挟持できるように構成されているが、バインダ手段Bを設けないようにすることも可能である。このことについては、後記する。
【0084】
<切替動作>
第2実施形態における切替動作について説明する。第1実施形態と同様に、同一種類のフィルムが、第一のフィルム供給手段50および第二のフィルム供給手段60から供給されるようにすることで、一方のフィルムロールのフィルムが終了しても、他方に切り替えて、フィルム供給をすることによって、製造ラインをダウンさせないようにすることができる。すなわち、切替動作は、一方のフィルムの終端と、新たに供給される他方のフィルムとの重ね合わせ処理を伴うものとされている。具体的に、
図10(a)に示されるように、フィルムF1が供給されている途中で、フィルム切れとなる場合で説明する。フィルムが十分にある場合には、フィルムフィード手段10のベルト11,12の回転により、包装される分のフィルムが搬送されても、第一のフィルム供給手段50からのフィルムF1が供給され続けるため、フィルムフィード手段10にフィルムF1の終端が位置してしまうようなことはない。包装される分のフィルムが搬送された時点で、図示されないカッター手段によりフィルムが切断されて、包装動作が続けて行われることになる。ところが、フィルムの消耗により、やがては、包装するために必要な量のフィルムがフィルムフィード手段10へ十分に繰り出される前のタイミングで、フィルムの終端が到来する事態に陥ってしまう。
【0085】
そこで、第一のフィルム供給手段50に設けられたフィルムエンド検出手段FESがフィルムF1の終端を検出すると、制御部100は、フィルムの重ね合わせ処理を実行するための予備処理を実行する。具体的には、フィルムF1の終端が第一のガイドローラ41のやや上流側となる位置でフィルムF1の供給を一時停止させる。
図10(a)は、この状態を示しており、第一のフィルム供給手段50のフィルムセット軸51は、フィルムロールの中芯だけの状態となっており、フィルムF1の終端が第一のガイドローラ41の近傍位置まで送られている。また、待機位置にあった第二のガイドローラ42が供給位置に揺動されると共に、逆に、第一のガイドローラ41は待機位置に移動する。この際、第一のガイドローラ41は、フィルムF1の終端部分を避ける必要があるため、一旦、下降した後に上昇するような軌跡で待機位置まで移動することになる。或いは、第一のガイドローラ41を待機位置よりも大きな角度位置まで一旦大きく揺動させれば、フィルムF1の終端から第一のガイドローラ41は抜け出ることになるので、その後に、待機位置に戻せば良い。第一のガイドローラ41を待機位置に揺動させた後、図示されない包装装置Aの本体フレームa1の両側から(紙面の手前と奥側から)バインダ手段Bが進出させられて、その後、バインダ手段Bが、フィルムF1の終端と、新たに供給されることになるフィルムF2を挟み込む。この際、新たに供給されるフィルムF2の先端部分は、第二のガイドローラ42の周面に設けられた切れ込みから一旦外れるものの、フィルムF1の終端に貼り付くことによって、供給機構によるフィルムF2の保持は継続することになる。また、バインダ手段Bによるフィルムの挟み込みは、フィルム幅の両端側だけで、中央では行われないが、フィルムには自己粘着性があるため、きっかけを与えるだけで、十分に二つのフィルムが貼り付くことになる。また、第二のガイドローラ42の揺動によるきっかけだけで、フィルムF2がフィルムF1に貼り付くことが可能な程の自己粘着性の強いフィルムを対象にするのであれば、バインダ手段Bを設けないようにすることも可能である。これとは逆の発想として、バインダ手段Bを温める熱源を備えるバインダ手段Bとして構成することによって、フィルム同士の貼り付きがより確実なものとなるようにしても良い。
【0086】
その後、フィルムF1の終端とフィルムF2が貼り合わされたフィルムは一体となって、単一のフィルムセット手段(第一のフィルムセット手段20)からフィルムフィード手段10に送られることになる。単一のフィルムセット手段(第一のフィルムセット手段20)及びフィルムフィード手段10によっても、挟み込みが継続されることになるため、フィルムF1の終端とフィルムF2との貼り合わせは、より強固なものとなる。この後、ストレッチ処理を実行しないことや、その後、包装動作が実行されることは、第1実施形態と同様である。
【0087】
フィルムF2が供給されている途中で、フィルム切れとなる場合も、略同様の工程となる。すなわち、第二のフィルム供給手段60に設けられたフィルムエンド検出手段FESがフィルムF2の終端を検出すると、制御部100は、フィルムの重ね合わせ処理を実行するための予備処理を実行する。具体的には、フィルムF2の終端が第二のガイドローラ42のやや上流側となる位置でフィルムF2の供給を一時停止させる。
図10(b)は、この状態を示しており、第二のフィルム供給手段60のフィルムセット軸61は、フィルムロールの中芯だけの状態となっており、フィルムF2の終端が第二のガイドローラ42の近傍位置まで送られている。また、待機位置にあった第一のガイドローラ41が供給位置に揺動されると共に、逆に、第二のガイドローラ42は待機位置に揺動する。この際、第二のガイドローラ42は、フィルムF2から逃げる格好となるので、単純に、待機位置まで揺動させれば良い。第一のガイドローラ41については、フィルムF2の終端部分を避ける必要があるため、適宜の軌跡を辿って移動させられる。第一のガイドローラ41及び第二のガイドローラ42が移動した後、図示されない包装装置Aの本体フレームa1の両側から(紙面の手前と奥側から)バインダ手段Bが進出させられて、その後、バインダ手段Bが、フィルムF2の終端と、新たに供給されることになるフィルムF1を挟み込む。この際、新たに供給されるフィルムF1の先端部分は、第一のガイドローラ41の周面に設けられた切れ込みから一旦外れるものの、フィルムF2の終端に貼り付くことによって、供給機構によるフィルムF1の保持は継続することになる。また、バインダ手段Bによるフィルムの挟み込みは、フィルム幅の両端側だけで、中央では行われないが、フィルムには自己粘着性があるため、きっかけを与えるだけで、十分に二つのフィルムが貼り付くことになる。また、第一のガイドローラ41の揺動によるきっかけだけで、フィルムF1がフィルムF2に貼り付くことが可能な程の自己粘着性の強いフィルムを対象にするのであれば、バインダ手段Bを設けないようにすることも可能である。
【0088】
その後、フィルムF2の終端とフィルムF1が貼り合わされたフィルムは一体となって、第一のフィルムセット手段20からフィルムフィード手段10に送られることになる。第一のフィルムセット手段20及びフィルムフィード手段10によっても、挟み込みが継続されることになるため、フィルムF2の終端とフィルムF1との貼り合わせは、より強固なものとなる。この後、ストレッチ処理を実行しないことや、その後、包装動作が実行されることは、第1実施形態と同様である。
第2実施形態によれば、フィルムセット手段を複数設けることなく、また、昇降手段を設ける必要もないことから、機構的に安価なものとすることができる。一方、第1実施形態については、複数種類のフィルムに対応するための複数のフィルムセット手段を有する包装装置を、顧客が既に所有しているのであれば、バックフィード制御等のプログラムを追加するだけで、対応することが可能となる。
【0089】
本発明の実施形態につき、包装装置の発明として説明したが、本発明の技術的思想としては、張架されたフィルムに被包装物を押し当てて包装する包装装置において、複数のフィルムロール保持手段からフィルムを切り替えて供給する工程、供給されたフィルムを張架する工程、を少なくとも含み、さらに、終端のフィルムと新たに供給されるフィルムとを重ね合わせる工程、を有することを特徴とする包装方法としての発明、すなわち、単純方法の発明として、発明を観念することが可能である。すなわち、第1実施形態及び第2実施形態として示した重ね合わせ機構も重要な要素であることに違いはないが、当該機構はリンク機構など適宜の機械手段を用いて自由に設計できるものであって、より重要なことは、終端のフィルムと新たに供給されるフィルムとを重ね合わせることによって、不適切な包装がされた商品を取り除くためのライン停止という事態を招くことなく、処理の効率化が実現できるという点にこそ、本発明の技術的思想の本質的部分が存することは、よく理解されるべきである。
<実施形態の総括>
[技術分野]
本発明は、被包装物をフィルムによって包装する包装装置に関する。
[背景技術]
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、フィルムロールからフィルムを繰り出すフィルム繰出部と、フィルム繰出部から繰出されるフィルムを搬送し張設するフィルム搬送部と、フィルム搬送部により張設されるフィルムに対し下方側から被包装物を押し当てるように該被包装物を上昇させるエレベータと、被包装物が押し当てられたフィルムの端部側を該被包装物の下面側に折り込む折込部材とを具備した包装装置がある。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2020-6978号公報
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
近年、包装装置をライン化するにあたり、従来以上の処理の効率化、例えば、如何にラインを止めないようにすることができるか、といった対応が求められている。
[課題を解決するための手段]
(1)以上説明したように、本実施形態の一態様は、張架されたフィルムに被包装物を押し当てて包装する包装装置Aにおいて、フィルムをフィードするフィルムフィード手段10と、前記フィルムフィード手段10にフィルムを供給可能なフィルムセット手段20,30と、前記フィルムセット手段20,30にフィルムF1,F2を供給するために、一方及び他方のフィルムロールを保持する複数のフィルムロール保持手段51,61と、フィルムの終端を検出する検出手段FESと、を備え、前記検出手段FESでフィルムの終端を検出した場合に、通常の包装動作とは異なるフィルム終端対応処理を行うことを特徴とする包装装置Aである。
この構成によれば、フィルムの終端を検出した場合に適切な処理が行われる包装装置を提供することができる。
【0090】
(2)本実施形態の一態様は、(1)に記載の包装装置Aにおいて、前記フィルムフィード手段10は、前記フィルムセット手段20,30にセットされたフィルムF1,F2を把持する把持手段11,12を有し、前記検出手段FESでフィルムの終端を検出した場合に、一方のフィルムの終端と、新たに供給される他方のフィルムとを重ね合わせ、フィードすることを特徴とする。
この構成によれば、フィルムを無駄にすることのない包装装置を提供することができる。
【0091】
(3)本実施形態の一態様は、(2)に記載の包装装置Aにおいて、前記フィルムセット手段20,30は、複数存在し、前記フィルムフィード手段10に対して、切替手段1により切替えられて用いられるものであり、前記検出手段FESでフィルムの終端を検出した場合に、前記把持手段11,12の上流位置にて一方のフィルムの供給を一時停止させ、かつ、前記切替手段1にて切替えられた他方のフィルムとを前記把持手段11,12によって重ね合わせることを特徴とする。
この構成によれば、フィルム種類に応じた切替を行う包装装置をベースに、ソフトウェア・プログラムを改変するだけで、フィルムを無駄にすることのない包装装置を提供することができる。
【0092】
(4)本実施形態の一態様は、(3)に記載の包装装置Aにおいて、前記フィルムフィード手段10は、前記検出手段FESでフィルムの終端を検出した場合に、前記把持手段11,12の上流位置に一方のフィルムF1,F2が滞在するようにバックフィードさせることを特徴とする。
この構成によれば、フィルム種類に応じた切替を行う包装装置をベースに、ソフトウェア処理を変更することだけで、フィルムを無駄にすることのない包装装置を提供することができる。
【0093】
(5)本実施形態の一態様は、(2)から(4)のいずれか一に記載の包装装置Aにおいて、前記把持手段11,12によって重ね合わされたフィルムを張架させて被包装物を包装することを特徴とする。
この構成によれば、フィルム切れとなっても、ラインを止めない包装装置を提供することができる。
【0094】
(6)本実施形態の一態様は、(1)又は(2)に記載の包装装置Aにおいて、前記検出手段でフィルムの終端を検出した場合には、原則としてラベルを貼らない設定とされることを特徴とする。
この構成によれば、貼り合わせフィルムで包装された対象物から、ラベル貼付動作により、不要な液体などが漏出することのない包装装置を提供することができる。
【0095】
(7)本実施形態の一態様は、(1)から(4)のいずれか一に記載の包装装置Aにおいて、通常にフィルムがフィードされた場合にフィルムのストレッチを行い、前記検出手段でフィルムの終端を検出した場合にフィルムのストレッチを行わないことを特徴とする。
この構成によれば、貼り合わせたフィルムが不用意に外れることのない包装装置を提供することができる。
【0096】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、バインダ手段Bの進出ないし後退動作は、スライド移動でなく、包装装置Aの本体フレームa1の両側から揺動する態様で実現させてもよい。
また、上述の各図で示した実施形態は、目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。例えば、第1実施形態として説明したラベル貼付動作の設定は、第2実施形態についても、当然に適用し得るものである。
逆に、一部の有効な構成を実施形態とすることも可能である。例えば、フィルムが重ね合わせられて包装が行われた場合に、ラベルを貼らないようにすることや、フィルムのストレッチを行わないようにすることを説明したが、フィルムの終端検出に際してフィルムフィルムを重ね合わせることなく包装処理がされる場合にも、ラベル未貼付やストレッチ非実行とする態様であっても、本発明の技術思想に含まれるものである。すなわち、ラベル未貼付やストレッチ非実行は、それ自体が、ドリップの溢流防止に有効であり、通常の包装動作とは異なる終端対応処理ということになる。その他、フィルムが不足していても被包装物に対してフィルムをセンターに合わせて包装したり、例えば、突上げのスピードを遅くして突き上げ時に内容物が飛び出ないように包装動作を変更したりすることも、通常の包装動作とは異なる終端対応処理ということができる。
また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。例えば、同一種類でのフィルム切替であっても、第一のフィルムセット手段20及び第一のフィルムセット手段30を同期させて、フィルム幅方向へ移動して、フィルム挟持幅を変化させ、複数のフィルム幅に対応させるようにすることは、勿論、可能である。
【0097】
なお、上述した実施形態では、被包装物Wを搬送する搬送部として、ベルトコンベアを採用したが、この実施形態に限られるものではなく、ローラーコンベア等であってもよい。
【符号の説明】
【0098】
1:可動基部(切替手段)
2,3,4:折込部材
10:フィルムフィード手段
10a,10b:フィルム搬送部
11,12:上側ベルト、下側ベルト(把持手段)
20:第一のフィルムセット手段
30:第二のフィルムセット手段
40:フィルムガイド手段
50:第一のフィルム供給手段
60:第二のフィルム供給手段
51,61:フィルムセット軸(フィルムロール保持手段)
52,62:送出ローラー
53,54,55,63,64,65:ガイドローラ
56,66:支持部材
70:連動機構
71:第一連結杆
72:第一受け部
74:第二受け部
80:第一の昇降ヘッド群
81:第一の昇降ヘッド
90:第二の昇降ヘッド群
91:第二の昇降ヘッド
A:包装装置
W:被包装物