(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165239
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】タスク割り当て方法、タスク割り当てプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20241121BHJP
G06Q 10/10 20230101ALI20241121BHJP
G06Q 10/00 20230101ALI20241121BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q10/10 310
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081225
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中田 康之
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L010AA09
5L010AA11
5L049AA04
5L049AA09
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】最適化の精度を向上させることを目的とする。
【解決手段】コンピュータによるタスク割り当て方法であって、前記コンピュータが、作業者を複数のグループにグルーピングし、前記複数のグループについて、各グループに含まれる作業者の第一の目標難易度分布を合成してグループ目標難易度分布を生成し、前記グループに対し、タスクの難易度の分布が前記グループ目標難易度分布に近づくように、複数のタスクを割り当て、前記グループに対して割り当てられた前記複数のタスクの難易度の分布と、前記作業者の前記第一の目標難易度分布とに基づき、前記作業者の第二の目標難易度分布を生成し、前記グループに含まれる作業者毎に、タスクの難易度の分布が前記第二の目標難易度分布に近づくように、前記複数のタスクを割り当てる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによるタスク割り当て方法であって、前記コンピュータが、
作業者を複数のグループにグルーピングし、
前記複数のグループについて、各グループに含まれる作業者の第一の目標難易度分布を合成してグループ目標難易度分布を生成し、
前記グループに対し、タスクの難易度の分布が前記グループ目標難易度分布に近づくように、複数のタスクを割り当て、
前記グループに対して割り当てられた前記複数のタスクの難易度の分布と、前記作業者の前記第一の目標難易度分布とに基づき、前記作業者の第二の目標難易度分布を生成し、
前記グループに含まれる作業者毎に、タスクの難易度の分布が前記第二の目標難易度分布に近づくように、前記複数のタスクを割り当てる、タスク割り当て方法。
【請求項2】
前記複数のグループは、前記作業者毎の前記タスクに対する習熟度を示す習熟度情報に基づき、前記作業者のタスクに対する習熟度毎にグルーピングされる、請求項1記載のタスク割り当て方法。
【請求項3】
前記第二の目標難易度分布は、
前記グループに対して割り当てられた前記複数のタスクの難易度の分布を、前記グループに含まれる各作業者に均等に分配し、
分配された前記分布を、前記第一の目標難易度分布が示す前記作業者の習熟度に応じてシフトさせることで、生成される、請求項1又は2記載のタスク割り当て方法。
【請求項4】
前記第一の目標難易度分布は、作業者毎のタスクに対する習熟度を示す習熟度情報と、タスクの難易度を示す難易度情報とを参照して生成される、請求項1記載のタスク割り当て方法。
【請求項5】
作業者を複数のグループにグルーピングし、
前記複数のグループについて、各グループに含まれる作業者の第一の目標難易度分布を合成してグループ目標難易度分布を生成し、
前記グループに対し、タスクの難易度の分布が前記グループ目標難易度分布に近づくように、複数のタスクを割り当て、
前記グループに対して割り当てられた前記複数のタスクの難易度の分布と、前記作業者の前記第一の目標難易度分布とに基づき、前記作業者の第二の目標難易度分布を生成し、
前記グループに含まれる作業者毎に、タスクの難易度の分布が前記第二の目標難易度分布に近づくように、前記複数のタスクを割り当てる、処理をコンピュータに実行させるタスク割り当てプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タスク割り当て方法、タスク割り当てプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業者に対してタスクを割り当てる際に、生産性と習熟度の向上の両方に配慮した最適な割り当てを行う手法として、線形計画法が知られている。また、近年では、物流センターの人員配置計画を策定する際、1日の作業時間を30分ごとに分割し、分割単位毎に最適化することで、最適化演算に要する時間を短縮する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の方法では、分割単位毎に独立して最適化処理を実施しており、分割単位間の連携は行われていない。このため、上述した従来の方法では、作業時間を分割せずに最適化処理を行った場合と比較して精度が下がる。
【0005】
1つの側面では、本発明は、最適化の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、コンピュータによるタスク割り当て方法であって、前記コンピュータが、作業者を複数のグループにグルーピングし、前記複数のグループについて、各グループに含まれる作業者の第一の目標難易度分布を合成してグループ目標難易度分布を生成し、前記グループに対し、タスクの難易度の分布が前記グループ目標難易度分布に近づくように、複数のタスクを割り当て、前記グループに対して割り当てられた前記複数のタスクの難易度の分布と、前記作業者の前記第一の目標難易度分布とに基づき、前記作業者の第二の目標難易度分布を生成し、前記グループに含まれる作業者毎に、タスクの難易度の分布が前記第二の目標難易度分布に近づくように、前記複数のタスクを割り当てる。
【発明の効果】
【0007】
最適化の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第一の実施形態のタスク割り当てシステムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】第一の実施形態のタスク割り当ての概要について説明する第一の図である。
【
図3】第一の実施形態のタスク割り当ての概要について説明する第二の図である。
【
図4】第一の実施形態のタスク割り当ての概要について説明する第三の図である。
【
図5】第一の実施形態のタスク割り当て装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】第一の実施形態の作業者習熟度データベースの一例を示す図である。
【
図7】第一の実施形態のタスク難易度データベースの一例を示す図である。
【
図8】第一の実施形態の生産性データベースの一例を示す図である。
【
図9】第一の実施形態の割り当て処理部の機能構成を説明する図である。
【
図10】第一の実施形態のタスク割り当て装置の処理を説明する第一のフローチャートである。
【
図11】第一の実施形態のタスク割り当て装置の処理を説明する第二のフローチャートである。
【
図12】第二の実施形態のタスク割り当て装置の処理を説明するフローチャートである。
【
図13】第二の実施形態のグループ作成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して、第一の実施形態について説明する。
図1は、第一の実施形態のタスク割り当てシステムのシステム構成の一例を示す図である。
【0010】
本実施形態のタスク割り当てシステム1は、タスク割り当て装置100と、端末装置300とを含み、両者はネットワーク等を介して接続される。
【0011】
本実施形態のタスク割り当て装置100は、大きな規模のリソースに対して、最適なタスクを割り当てる。本実施形態において、リソースとは、タスク及びタスクを担う作業者である。
【0012】
本実施形態のタスク割り当て装置100は、作業者習熟度データベース110、タスク難易度データベース120、生産性データベース130、割り当て処理部140を有する。
【0013】
作業者習熟度データベース110は、作業者毎のタスクに対する習熟度を示す習熟度情報が格納される。タスク難易度データベース120は、作業者に割り当てられるタスク毎の難易度を示す難易度情報が格納される。生産性データベース130は、作業者の習熟度とタスクの難易度との関係を示す生産性情報が格納される。
【0014】
作業者習熟度データベース110、タスク難易度データベース120、生産性データベース130に格納される各情報は、予め端末装置300から入力されていてよい。
【0015】
割り当て処理部140は、端末装置300から、習熟度情報、難易度情報、生産性情報が入力されると、作業者の習熟度の向上と生産性とを配慮した最適なタスクを各作業者に対して割り当て、割り当て結果を端末装置300に出力する。
【0016】
より具体的には、割り当て処理部140は、作業者習熟度データベース110を参照して習熟度に応じた複数の作業者のグループを作成し、各グループに対して、タスクの割り当てを行う。このとき、割り当て処理部140は、グループに割り当てられるタスクの難易度の分布が、グループに含まれる作業者の習熟度に応じた分布となるようにする。以下の説明では、作業者のグループ毎にタスクを割り当てる処理を、第一の割り当て処理と表現する。
【0017】
次に、割り当て処理部140は、各グループに対して割り当てられたタスクを、グループに含まれる各作業者に対して割り当てる。このとき、割り当て処理部140は、生産性の観点と作業者の習熟度の向上の観点とに配慮した最適な割り当てとなるように、各作業者にタスクを割り当てる。以下の説明では、グループに含まれる作業者毎にタスクを割り当てる処理を、第二の割り当て処理と表現する。
【0018】
本実施形態では、このように、多数の作業者に多数のタスクを割り当てる割り当て処理を、前段の第一の割り当て処理と、後段の第二の割り当て処理とに分ける。本実施形態では、これにより、線形計画問題の規模を小さくすることができ、最適化の演算にかかる時間を短縮できる。
【0019】
また、本実施形態では、第一の割り当て処理の後段に、第一の割り当て処理の結果を用いて第二の割り当て処理が行われるため、第一の割り当て処理と第二の割り当て処理とは連携した処理となる。このため、本実施形態によれば、割り当て処理を前段と後段に分けずに一括しておこなった場合と同程度の精度の最適化結果を得ることができる。
【0020】
なお、
図1の例では、タスク割り当て装置100は一台の情報処理装置で実現されるものとしたが、これに限定されない。タスク割り当て装置100は、複数の情報処理装置により実現されてよい。また、
図1の例では、各データベースがタスク割り当て装置100に設けられるものとしたが、これに限定されない、各データベースは、一部又は全部が、タスク割り当て装置100と通信が可能な外部装置に設けられていてもよい。
【0021】
以下に、
図2乃至
図4を参照して、本実施形態の割り当て処理部140の処理の概要について説明する。
【0022】
図2は、第一の実施形態のタスク割り当ての概要について説明する第一の図である。割り当て処理部140は、作業者習熟度データベース110を参照して、習熟度が同程度の作業者が同じグループとなるように、作業者のグループを複数作成し、タスク群(タスクのグループ)20を各グループに割り当てる(第一の割り当て処理)。
【0023】
図2の例では、割り当て処理部140は、第一の割り当て処理において、グループ1に対してタスク群20に含まれるタスク群21を割り当てられ、グループ2に対してタスク群20に含まれるタスク群22が割り当てられている。
【0024】
ここで、タスク群21に含まれるタスクの難易度の分布は、グループ1に含まれる作業者の習熟度と対応したものとなる。
【0025】
次に、割り当て処理部140は、第二の割り当て処理において、グループに含まれる各作業者に対して、グループに割り当てられたタスクを割り当てる。
【0026】
図2の例では、グループ1には、作業者A、作業者Bが含まれる。また、
図2の例では、作業者Aに対して、グループ1に割り当てられたタスク群21に含まれるタスク群23が割り当てられ、作業者Bに対してタスク群21に含まれるタスク群24が割り当てられている。また、
図2の例では、グループ2には、作業者Fが含まれ、作業者Fに対して、グループ2に割り当てられたタスク群22に含まれるタスク群25が割り当てられている。
【0027】
ここで、タスク群23に含まれる個々のタスクの難易度の分布は、作業者Aの習熟度に応じた分布となり、タスク群24に含まれる個々のタスクの難易度の分布は、作業者Bの習熟度に応じた分布となり、タスク群25の難易度の分布は、作業者Fの習熟度に応じた分布となる。なお、
図2の例では、作業者A、B、Fのそれぞれに複数のタスク(タスク群)が割り当てられるものしている。
【0028】
図3は、第一の実施形態のタスク割り当ての概要について説明する第二の図である。
図3では、第一の割り当て処理と第二の割り当て処理についてさらに説明する。
【0029】
割り当て処理部140は、第一の割り当て処理を実行し(ステップS1)、続いて、第二の割り当て処理を実行する(ステップS2)。
【0030】
割り当て処理部140は、第一の割り当て処理において、作業者習熟度データベース110を参照して習熟度が同程度の作業者のグループを作成する(ステップS11)。また、割り当て処理部140は、作業者習熟度データベース110とタスク難易度データベース120を参照して、作業者毎に、目標とされるタスクの難易度の分布を算出する(ステップS12)。以下の説明では、ステップS12で算出されるタスクの難易度の分布を、第一の目標難易度分布と呼ぶ。第一の目標難易度分布の算出の詳細は後述する。
【0031】
図3に示すグラフ31は、ステップS12において、グループ1に含まれる作業者A、B、Cのそれぞれについて算出された第一の目標難易度分布の例を示す。
【0032】
グラフ31では、縦軸がタスク数、横軸がタスクの難易度を示す。作業者Aの第一の目標難易度分布31Aでは、作業者Bの第一の目標難易度分布31B、作業者Cの第一の目標難易度分布31Cよりも難易度が低いタスクの数が多い。また、第一の目標難易度分布31Cでは、第一の目標難易度分布31A、第一の目標難易度分布31Bよりも難易度が高いタスクの数が多い。ことから、作業者A、B、Cのうち、作業者Aの習熟度が最も低く、作業者Cの習熟度が最も高いことがわかる。なお、
図3の例では、作業者A、B、Cはグループ1に含まれる作業者とする。
【0033】
次に、割り当て処理部140は、作業者毎の第一の目標難易度分布を用いて、グループ毎に、目標となるタスクの難易度の分布を算出する(ステップS13)。以下の説明では、グループ毎のタスクの難易度の分布を、グループ目標難易度分布と呼ぶ。グループ目標難易度分布の算出の詳細は後述する。
【0034】
図3では、グラフ32において、グループ目標難易度分布32-1を、グループ1のグループ目標難易度分布とする。グループ目標難易度分布32-1は、グループ1に含まれる各作業者の第一の目標難易度分布を積算したものである。具体的には、グループ目標難易度分布32-1は、第一の目標難易度分布31A、第一の目標難易度分布31B、第一の目標難易度分布31Cを積算したものである。
【0035】
続いて、割り当て処理部140は、グループ毎のグループ目標難易度分布に近づけるように、各グループにタスク群を割り当てる(ステップS14)。
【0036】
図3に示すグラフ33-1は、グループ目標難易度分布32-1に近づけるように、グループ1に対して割り当てた割り当て結果であり、グループ1に対して割り当てられたタスク群の難易度の分布を示す。また、
図3に示すグラフ33-2は、グループ2のグループ目標難易度分布に近づけるように、グループ2に対して割り当てた割り当て結果であり、グループ2に対して割り当てられたタスクの難易度の分布を示す。
【0037】
本実施形態では、以上にようにして、グループ毎に割り当てられたタスクの難易度の分布を、割り当て結果難易度分布と呼ぶ。
【0038】
次に、割り当て処理部140は、第二の割り当て処理を行う。第二の割り当て処理は、グループ毎に実行される処理である。
【0039】
割り当て処理部140は、作業者の第一の目標難易度分布と、作業者が所属するグループの割り当て結果難易度分布とに基づき、作業者毎の第二の目標難易度分布を算出する(ステップS21)。
【0040】
具体的には、割り当て処理部140は、グループの割り当て結果難易度分布から、難易度毎のタスク数をグループに含まれる作業者の人数で等分した分布を算出する。ここで算出される作業者毎の分布は、作業者へタスクを等分に割り当てるための目標難易度分布である。以下の説明では、作業者へタスクを等分に割り当てるための目標難易度分布を、等分用の目標難易度分布と呼ぶ。
【0041】
割り当て処理部140は、等分用の目標難易度分布が作業者の習熟度に応じた分布となるように調整し、調整後の等分用の目標難易度分布を作業者の第二の目標難易度分布とする。
【0042】
ここで、作業者A、B、Cの習熟度は、作業者Aの第一の目標難易度分布31A、作業者Bの第一の目標難易度分布31B、作業者Cの第一の目標難易度分布31Cに反映されており、作業者C、作業者B、作業者Aの順に習熟度が高いことがわかる。
【0043】
したがって、割り当て処理部140は、グループ目標難易度分布をグループに含まれる作業者の人数で等分した分布を、作業者の習熟度に応じてずらす。言い換えれば、割り当て処理部140は、グループ目標難易度分布における難易度毎のタスク数をグループに含まれる作業者の人数で等分した分布を作成し、作成した分布を作業者の習熟度に応じてシフトさせる。
【0044】
その結果、グラフ34に示すように、作業者Aの第二の目標難易度分布34Aでは、タスク数が最大となる難易度は、作業者Bの第二の目標難易度分布34B、作業者Cの第二の目標難易度分布34Cにおけるタスク数が最大となる難易度よりも低くなる。
【0045】
また、作業者Bの第二の目標難易度分布34Bにおいてタスク数が最大となる難易度は、作業者Cの第二の目標難易度分布34Cよりも低くなる。
【0046】
このように、第二の目標難易度分布34A、34B、34Cには、作業者A、B、Cの習熟度が反映される。
【0047】
また、
図3のグラフ34-2に示す第二の目標難易度分布34Fと、第二の目標難易度分布34Gは、グループ2に含まれる作業者F、作業者Gのそれぞれの第二の目標難易度分布を示す。
【0048】
作業者Fの第二の目標難易度分布34Fにおいて、タスク数が最大となる難易度は、作業者Gの第二の目標難易度分布34Gにおいてタスク数が最大となる難易度よりも低く、グループ2において、作業者Gは、作業者Fよりも習熟度が高いことがわかる。
【0049】
続いて、割り当て処理部140は、グループに含まれる作業者毎の第二の目標難易度分布に基づき、グループに対して割り当てられたタスク群を割り当てる(ステップS22)。
【0050】
以下に、
図4を参照して、
図2、3に示すようにタスクの割り当てを行った結果の例を示す。
図4は、第一の実施形態のタスク割り当ての概要について説明する第三の図である。
【0051】
図4では、30件のタスクを5人の作業者に割り当てる場合を示す。より具体的には、30件のタスクは、難易度が低いタスク、難易度が中程度のタスク、難易度が高いタスクのそれぞれを10ずつ含む。また、5人の作業者は、習熟度が低い作業者のグループ1、習熟度が中程度の作業者のグループ2、習熟度が高い作業者のグループ3にグループ化されており、グループ1は作業者A、B、Cを含み、グループ2は作業者Fを含み、グループ3は作業者Gを含む。
【0052】
図4に示す割り当て結果41は、割り当て処理部140による第一の割り当て処理において算出された各グループのグループ目標難易度分布に基づき、各グループにタスクを割り当てた結果を示す。
【0053】
割り当て結果41は、第一の割り当て処理において、グループ1~3のグループ目標難易度分布に基づきグループ1~3にタスク群30に含まれるタスクを割り当てた結果を示す。
【0054】
割り当て結果41では、グループ1に対して難易度が低いタスクが8件割り当てられ、グループ2に対して難易度が低いタスクが2件、難易度が中程度のタスクが2件、難易度が高いタスクが1件割り当てられ、グループ3に対して難易度が中程度のタスクが8件、難易度が高いタスクが9件割り当てられている。このように、割り当て結果41では、習熟度が低い作業者のグループには低難度のタスクが割り当てられ、習熟度が高い作業者のグループには高難度のタスクが割り当てられていることが分かる。
【0055】
図4に示す作業者毎の目標難易度分布42は、グループ毎の割り当て結果から得られる割り当て結果難易度分布における難易度毎のタスク数を、グループに含まれる作業者の人数で等分した分布を示す。割り当て処理部140は、作業者毎の目標難易度分布42を、作業者毎の習熟度に応じてシフトさせた作業者毎の第二の目標難易度分布に基づき、各グループに割り当てられたタスクを、作業者毎に割り当てる。
【0056】
図4に示す割り当て結果43は、割り当て処理部140が、第二の割り当て処理において、作業者毎にタスクを割り当てた結果を示す。
【0057】
この結果は、30件のタスクを5人の作業者に割り当てる処理を一括して行った場合と同様の結果である。
【0058】
本実施形態では、このように、タスクの割り当て処理を、グループ毎に割り当て、次に、グループに対して割り当てられたタスクを、グループに含まれる作業者毎に割り当てることで、割り当て処理の処理時間を短縮しつつ、最適化の精度を向上させることができる。
【0059】
次に、
図5乃至
図9を参照して、本実施形態のタスク割り当て装置100について説明する。
図5は、第一の実施形態のタスク割り当て装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0060】
本実施形態のタスク割り当て装置100は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置11、出力装置12、ドライブ装置13、補助記憶装置14、メモリ装置15、演算処理装置16及びインターフェース装置17を含むコンピュータである。
【0061】
入力装置11は、各種の情報の入力を行うための装置であり、例えばキーボードやポインティングデバイス等により実現される。出力装置12は、各種の情報の出力を行うためものであり、例えばディスプレイ等により実現される。インターフェース装置17は、LANカード等を含み、ネットワークに接続するために用いられる。
【0062】
タスク割り当て装置100が有する割り当て処理部140等を実現させるプログラムは、タスク割り当て装置100を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。プログラムは、例えば、記録媒体18の配布やネットワークからのダウンロード等によって提供される。プログラムを記録した記録媒体18は、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0063】
記録媒体18に記録されたプログラムは、プログラムを記録した記録媒体18がドライブ装置13にセットされると、記録媒体18からドライブ装置13を介して補助記憶装置14にインストールされる。ネットワークからダウンロードされたプログラムは、インターフェース装置17を介して補助記憶装置14にインストールされる。
【0064】
補助記憶装置14は、作業者習熟度データベース110、タスク難易度データベース120、生産性データベース130等を実現するものであり、タスク割り当て装置100にインストールされたプログラムを格納すると共に、タスク割り当て装置100による各種の必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置15は、タスク割り当て装置100の起動時に補助記憶装置14からプログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置16はメモリ装置15に格納されたプログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0065】
図6は、第一の実施形態の作業者習熟度データベースの一例を示す図である。本実施形態の作業者習熟度データベース110は、情報の項目として、作業者IDと習熟度とを有し、両者を対応付けた習熟度情報が格納される。項目「作業者ID」の値は、作業者を特定する識別情報である。項目「習熟度」は、作業者の習熟度を示す指標値である。
【0066】
図7は、第一の実施形態のタスク難易度データベースの一例を示す図である。本実施形態のタスク難易度データベース120は、情報の項目として、案件グループIDと難易度レベルとを含み、両者を対応付けた難易度情報が格納される。
【0067】
項目「案件グループID」の値は、タスクのグループを識別するための識別情報である。以下の説明では、案件グループIDで特定されるタスクのグループを、案件グループと表現する場合がある。
【0068】
項目「難易度」の値は、案件グループIDが示すタスクのグループの難易度を示す。なお、本実施形態では、タスクのグループに対して案件グループIDと難易度とを付与するものとしたが、これに限定されない。タスク難易度データベース120では、個々のタスクを特定する識別情報と、個々のタスクの難易度とが対応付けられていてもよい。
【0069】
図8は、第一の実施形態の生産性データベースの一例を示す図である。本実施形態の生産性データベース130は、タスクの難易度と作業者の習熟度と生産性の指標値とを対応付けた生産性情報が格納される。なお、生産性の指標値は、タスクの内容に応じて決められる値であってよく、作業者の作業効率の指標となる値である。
【0070】
具体的には、生産性の指標値とは、例えば、タスクを実行するにあたり作業者が行う問い合わせの回数等を用いてもよい。
【0071】
図8の例では、案件グループIDで特定される案件グループの難易度が「1.0」であり、且つ、習熟度が低い作業者の場合、生産性を示す指標値は「4」となる。これに対し、案件グループIDで特定される案件グループの難易度が「1.0」であり、且つ、習熟度が高い作業者の場合、生産性を示す指標値は「2」となる。
【0072】
図9は、第一の実施形態の割り当て処理部の機能構成を説明する図である。本実施形態のタスク割り当て装置100の有する割り当て処理部140は、入力受付部150、第一処理部160、第二処理部170、出力部180を含む。
【0073】
入力受付部150は、タスク割り当て装置100に対する各種の入力を受け付ける。具体的には、例えば、入力受付部150は、端末装置300から習熟度情報、難易度情報、生産性情報の入力を受け付けてよい。
【0074】
第一処理部160は、第一の割り当て処理を実行する。第一処理部160は、グループ作成部161、第一分布算出部162、グループ分布算出部163、グループ割り当て部164を含む。
【0075】
グループ作成部161は、作業者習熟度データベース110を参照して、習熟度が同等の作業者同士のグループを作成する。第一分布算出部162は、作業者習熟度データベース110に基づき、作業者毎の第一の目標難易度分布を算出する。グループ分布算出部163は、作業者毎の第一の目標難易度分布に基づき、作業者のグループ毎のグループ目標難易度分布を算出する。グループ割り当て部164は、グループ毎のグループ目標難易度分布に応じて、タスク難易度データベース120の案件グループIDで特定される案件グループを各グループに割り当てる。
【0076】
第二処理部170は、第二の割り当て処理を実行する。第二処理部170は、第二分布算出部171、作業者割り当て部172を有する。
【0077】
第二分布算出部171は、第一処理部160による各グループへのタスクの割り当ての結果が示す割り当て結果難易度分布と、第一の目標難易度分布とから、第二の目標難易度分布を算出する。
【0078】
作業者割り当て部172は、各グループに対して割り当てられたタスクを、第二の目標難易度分布に基づいて、グループに含まれる作業者毎に割り当てる。
【0079】
出力部180は、第二処理部170による作業者毎の割り当て結果を端末装置300等に出力する。なお、出力部180は、第一処理部160によるグループ毎のタスクの割り当て結果を出力してもよい。また、出力部180による割り当て結果の出力先は、端末装置300以外であってもよく、出力先は、例えば、タスク割り当て装置100が有する出力装置であってもよい。
【0080】
次に、
図10を参照して、本実施形態のタスク割り当て装置100の処理について説明する。
図10は、第一の実施形態のタスク割り当て装置の処理を説明する第一のフローチャートである。
【0081】
本実施形態のタスク割り当て装置100の割り当て処理部140は、入力受付部150により、習熟度情報、難易度情報、生産性情報の入力を受け付けて、作業者習熟度データベース110、タスク難易度データベース120、生産性データベース130のそれぞれに格納する(ステップS1001)。
【0082】
言い換えれば、入力受付部150は、タスクを割り当てる作業者の数、作業者の習熟度、割り当てるタスクの数、タスクの難易度と、作業者の習熟度とタスクの難易度と対応する生産性の指標値の入力を受け付ける。なお、ステップS1001の処理は、ステップS1002以降の処理が実行されるタイミングと独立したタイミングで行われてよい。つまり、作業者習熟度データベース110、タスク難易度データベース120、生産性データベース130には、予め習熟度情報、難易度情報、生産性情報が格納されていてよい。
【0083】
続いて、割り当て処理部140は、第一処理部160のグループ作成部161により、作業者習熟度データベース110を参照して、習熟度が同等の作業者のグループを作成し、作成したグループの数と、グループに含まれる作業者の数とを取得する(ステップS1002)。
【0084】
なお、以下の説明では、ステップS1002の処理で作成された作業者のグループの個数をDmaxとし、第div番目のグループに含まれる作業者数をPnum(div)とする。ステップS1002の詳細は後述する。
【0085】
続いて、割り当て処理部140は、第一処理部160の第一分布算出部162により、正規分布の確率密度関数の平均μ、標準偏差σを設定し、作業者毎の第一の目標難易度分布を算出する(ステップS1003)。
【0086】
本実施形態では、第一の目標難易度分布を、作業者の習熟度に応じて、生産性と習熟度向上の観点から決定する。
【0087】
生産性の観点で、作業者に割り当てるタスクの目標難易度分布を決定する場合、作業者の習熟度と対応するタスクの難易度を、タスクの難易度分布の中心値とすればよい。
【0088】
一方で、作業者の習熟度の向上の度合いは、作業者に対し、正解率が85%となる問題を与えたときに最大となることが、近年の研究で明らかにされている。
【0089】
そこで、本実施形態では、作業者に対して、作業者の習熟度よりもやや難易度の高いタスクが与えられるように、作業者の第一の目標難易度分布を算出する。
【0090】
具体的には、第一分布算出部162は、作業者の現在の習熟度と対応するタスクの難易度に対し、適当な値を加えた値が中心値となる正規分布を、その作業者の第一の目標難易度分布とする。
【0091】
本実施形態において、作業者習熟度データベース110に格納された習熟度情報における習熟度の最大値と最小値との差は、2.0程度である。したがって、本実施形態では、習熟度の最大値と最小値との差の1/10の値である0.2を適当な値とし、作業者の現在の習熟度と対応するタスクの難易度に、0.2を加えた値を中心値とする正規分布を、作業者の第一の目標難易度分布とする。なお、正規分布の中心値、分布形状は、タスクの性質に応じて異なる値や分布とされてもよい。
【0092】
作業者の第一の目標難易度分布である正規分布の確率密度関数を式1で表す。ただし、αは確率変数、μは平均、σは標準偏差である。
【数1】
ここで、本実施形態では、作業者pの第一の目標難易度分布の比率は、上記の式1を用いて、式2で与えられる。
【数2】
ただし、作業者pの習熟度はtheta(p)であり、案件グループID(r)で特定される案件グループの難易度は、level(r)で与えられ、案件グループIDで特定される案件グループはR個有るものとする。
【0093】
次に、第一処理部160は、グループ分布算出部163により、グループ毎のグループ目標難易度分布を算出する(ステップS1004)。具体的には、グループ分布算出部163は、第div番目の作業者グループDdivのグループ目標難易度分布を、同グループの作業者毎の第一の目標難易度分布の積算から求める。
【0094】
グループ毎のグループ目標難易度分布は、作業者pの第一の目標難易度分布の比率NormrateP(p,r)を用いると、以下の式3で与えられる。
【数3】
続いて、第一処理部160は、グループ割り当て部164により、グループ毎のグループ目標難易度分布が示す比率を、グループ毎のタスク数の目標難易度分布s(div,r)に換算する(ステップS1005)。
【0095】
本実施形態では、線形計画法によって第div番目のグループに割り当てられたタスクを次のように表す。
【0096】
案件グループrの第q番目のタスクが割当られた場合 x(div,q,r)=1
案件グループrの第q番目のタスクが未割当の場合 x(div,q,r)=0
このとき、第div番目のグループに割り当てられたタスクの総数は、以下の式4となる。
【数4】
また、第div番目のグループのタスク数の目標難易度分布s(div,r)は、グループ目標難易度分布の比率NormrateD(div,r)を用いて、以下の式5で与えられる。
【数5】
続いて、第一処理部160は、グループ割り当て部164により、案件グループを作業者のグループへ割り当てる線形計画問題を表現する目的関数と制約条件を設定する(ステップS1006)。
【0097】
本実施形態では、グループに割り当てられるタスク数の目標難易度分布と、実際のタスク数の難易度分布との差がゼロであれば、生産性と習熟度の向上の2つの観点から、最適なタスクが割り当てられたと考えることができる。
【0098】
そこで、グループ割り当て部164は、グループのタスク数の目標難易度分布と、実際のタスク数の難易度分布の差を最小とする目的関数を設定する。最適化する変数をzと置くと、目的関数は、以下の式6で与えられる。
【数6】
また、本実施形態では、分布の差が正負のいずれの場合であっても対応するための制約条件を以下の式7のように設定する。
【数7】
また、本実施形態では、以下の(1)~(5)に示す制約条件を設定する。
【0099】
(1)1タスクを1グループが担当する(複数グループでは担当しない)
(2)生産性は目標とする閾値以上とする。
【0100】
(3)各グループ内の作業者数に合わせて作業工数を分担(作業工数を人数比に合わせて均等に割り振る)
(4)全タスクを割り当てる(未割り当てのタスク数はゼロとなる)
(5)1つのグループで最低1案件以上担当する。
【0101】
制約条件(1)は、以下の式8で表現される。
【0102】
x(div,q,r)≦0,1 式8
制約条件(2)は、以下の式9で表現される。なお、ここで、kthは、生産性の指標値の閾値である。L(div,r)は、第div番目のグループの作業者が、案件グループrを担当したときの生産性の指標値の期待値である。
【数8】
制約条件(3)は、以下の式10で表現される。
【数9】
なお、式10において、P
maxは、全作業者数であり、pnum
divは、第div番目のグループの作業者数であり、work(div)は、作業の確認に要する時間である。Rangenは、制約を緩和するために設定される値であり、Range1=0.9、Range2=1.1等のように設定される。
【0103】
制約条件(4)は、以下の式11で表現される。
【数10】
制約条件(5)は、以下の式12で表現される。
【数11】
続いて、第一処理部160のグループ割り当て部164は、ステップS1006で定式化した線形計画問題を解くことで、各グループへ割り当てるタスク数を算出する(ステップS1007)。
【0104】
以上が、割り当て処理部140の第一処理部160による第一の割り当て処理である。
【0105】
続いて、割り当て処理部140は、第二処理部170の第二分布算出部171により、第一の割り当て処理の結果を基に、各グループに含まれる作業者へ案件グループを等分に割り当てるための目標難易度分布Gdiv(p,r)を算出する(ステップS1008)。
【0106】
言い換えれば、作業者割り当て部172は、グループ毎に割り当てられたタスクの難易度の分布を示す割り当て結果難易度分布に基づき、作業者へタスクを等分に割り当てるための等分用の目標難易度分布Gdiv(p,r)を算出する。
【0107】
等分用の目標難易度分布G
div(p,r)は、以下の式13で算出される。なお、式13において、pnum
divは、第div番目のグループの作業者数を表す。
【数12】
続いて、作業者割り当て部172は、等分用の目標難易度分布G
div(p,r)を、作業者毎の習熟度に応じたシフト量sft(p)だけシフトさせ、作業者の習熟度を反映した第二の目標難易度分布S
div(p,r)を算出する(ステップS1009)。
【0108】
本実施形態において、このときのシフト量sft(p)は、各作業者について設定した正規分布の確率密度関数f(α,μ,σ)内のμを用いて算出する。ある作業者pのμを、μ(p)で与えたとき、シフト量sft(p)は、以下の式14で与えられる。なお、式14において、μ
ave(div)は、第div番目のグループ内の全作業者のμの平均を示す。
【数13】
作業者割り当て部172は、シフト量sft(p)に対応して、案件グループrのタスク数を調整することで、第二の目標難易度分布S
div(p,r)を算出する。
【0109】
続いて、第二処理部170の作業者割り当て部172は、タスクを各グループに含まれる作業者へ割り当てる線形計画問題を表現する目的関数と制約条件を設定する(ステップS1010)。
【0110】
ステップS1010では、
図10のステップS1006の処理と同様に、線形計画法の目的関数を、作業者毎の第二の目標難易度分布と、実際のタスク数の難易度の分布の差が最小になるように設定する。作業者毎の第二の目標難易度分布と、実際のタスク数の難易度の分布の差がゼロであれば、生産性と習熟度の向上の2つの観点から、最適なタスクが割り当てられたと考えることができる。
【0111】
最適化する変数をzと置くと、目的関数は、以下の式15で与えられる。なお、式15において、Pmaxは、着目しているグループ内の作業者数であり、Rは案件グループの数であり、pはp番目の作業者であることを示す。
【数14】
また、本実施形態では、分布の差が正負のいずれの場合であっても対応するための制約条件を以下の式16のように設定する。
【数15】
また、本実施形態では、以下の(1)~(4)に示す制約条件を設定する。
【0112】
(1)1つのタスクを一人の作業者が担当する(複数の作業者では担当しない)
(2)各グループ内の作業者の平均作業工数を、全作業者の平均作業工数と同等にする。
【0113】
(3)各グループ内の作業者の作業工数を、グループ内の作業者の平均工数と同等にする
(4)全タスクを割り当てる(未割り当てのタスク数はゼロとなる)
制約条件(1)は、以下の式17で表現される。
【0114】
x(p,q,r)≦0,1 式17
【数16】
制約条件(2)は、以下の式18で表現される。なお、式18において、Avg
allは、全作業者の平均作業工数であり、pnum
divは、第div番目のグループの作業者数であり、work(p)は、作業者が作業の確認に要する時間である。Rangenは、制約を緩和するために設定される値であり、Range1=0.9、Range2=1.1等のように設定される。
【0115】
制約条件(3)は、以下の式19で表現される。
【数17】
制約条件(3)は、以下の式20で表現される。
【数18】
続いて、作業者割り当て部172は、ステップS1010で定式化した線形計画問題を解くことで、作業者へ割り当てるタスク数を算出する(ステップS1011)。
【0116】
以上が、割り当て処理部140の第二処理部170による第二の割り当て処理である。
【0117】
次に、
図11を参照して、第一処理部160のグループ作成部161の処理について説明類する。
図11は、第一の実施形態のタスク割り当て装置の処理を説明する第二のフローチャートである。
図11では、
図10のステップS1002の詳細を示す。
【0118】
本実施形態において、第一処理部160のグループ作成部161は、作業者習熟度データベース110を参照し(ステップS1101)、習熟度の最大値と最小値とを取得する(ステップS1102)。
【0119】
続いて、グループ作成部161は、div=2とする(ステップS1103)。divは、グループの数を示す。
【0120】
続いて、グループ作成部161は、習熟度の最大値と最小値との差分をdiv個に分割し、作業者のグループを作成する(ステップS1104)。
【0121】
続いて、グループ作成部161は、グループ内の作業者の人数が所定人数以下であるか否かを判定する(ステップS1105)。なお、
図11の例では、所定人数を10名としている。所定人数は、予め設定されていてよい。
【0122】
ステップS1105において、グループ内の作業者の人数が所定人数以下でない場合、つまり、グループ内の人数が所定人数より多い場合、グループ作成部161は、div=div+1とし(ステップS1106)、ステップS1104へ戻る。
【0123】
ステップS1105において、グループ内の作業者の人数が所定人数以下である場合、グループ作成部161は、処理を終了する。
【0124】
本実施形態では、このように、グループ内の作業者の習熟度が同等となるように、作業者のグループを作成する。このため、本実施形態によれば、各グループへのタスクの割り当ての際に、グループに含まれる作業者の習熟度を反映させることができ、タスクに適したグループ目標難易度分布を生成することができる。
【0125】
また、本実施形態では、第一の割り当て処理において、グループに割り当てるタスクのグループ目標難易度分布を算出し、実際にグループに対して割り当てられたタスクの難易度分布を、グループ目標難易度分布に近づけるように、各グループにタスクを割り当てる。
【0126】
次に、本実施形態では、第二の割り当て処理において、実際にグループに対して割り当てられたタスクの難易度分布から、作業者の習熟度を反映させた作業者の第二の目標難易度分布を算出する。そして、本実施形態では、実際に作業者に対して割り当てられたタスクの難易度分布を、第二の目標難易度分布に近づけるように、各作業者にタスクを割り当てる。
【0127】
つまり、本実施形態では、作業者の習熟度とタスクの難易度とを考慮したグループ毎のグループ目標難易度分布に基づき、各グループへのタスクの割り当てを行った後に、各グループに含まれる作業者毎に、作業者の習熟度を考慮した第二の目標難易度分布を再度生成する。
【0128】
このため、本実施形態によれば、第二の目標難易度分布を、作業者に対するタスクの割り当て結果におけるタスクの難易度の分布に近づけることができる。言い換えれば、本実施形態では、第二の目標難易度分布と、最終的な割り当て結果が示す難易度分布とを近づけることができる。したがって、本実施形態によれば、最適化のための全体の処理時間を短縮することができる、且つ、最適化の精度を向上させることができる。
【0129】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して、第二の実施形態について説明する。本実施形態の第二の実施形態では、作業者のグループに階層を設け、グループの階層に応じて、割り当て処理を分割する点が、第一の実施形態と相違する。以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0130】
図12は、第二の実施形態のタスク割り当て装置の処理を説明するフローチャートである。
【0131】
図12のステップS1201とステップS1202は、
図11のステップS1101とステップS1102と同様であるから、説明を省略する。
【0132】
本実施形態の第一処理部160のグループ作成部161は、
図12のステップS1202に続いて、グループ数が所定の上限値を超えたか否かを判定する(ステップS1203)。
【0133】
ステップS1203において、グループの総数が上限値を超えた場合、グループ作成部161は、習熟度が同等の上位グループを作成し(ステップS1204)、ステップS1203へ戻る。本実施形態では、例えば、上限値を10としてもよい。
【0134】
ステップS1203において、グループの総数が上限値を超えない場合、グループ作成部161は、処理を終了する。
【0135】
以下に、
図13を参照して、本実施形態のグループの作成についてさらに説明する。
図13は、第二の実施形態のグループ作成について説明する図である。
【0136】
図13では、例えば、500名の作業者を、1グループが10名のグループにグループ化する場合を示す。この場合、作業者のグループの数は50個となり、上位グループ数は5個となる。
【0137】
この場合、割り当て処理部140は、始めに、上位グループ131に含まれる各グループに対してタスクを割り当てる処理を行う。次に、割り当て処理部140は、上位グループ131に含まれる各グループに対する割り当て結果を用いて、下位グループ132に含まれる各グループに対してタスクを割り当てる処理を行う。
【0138】
そして、割り当て処理部140は、下位グループ132に含まれる各グループに対する割り当て結果を用いて、下位グループ132に含まれる各グループに含まれる作業者に対してタスクの割り当て処理を行う。
【0139】
以下の説明では、上位グループに対するタスクの割り当て処理を、上位割り当て処理と呼び、下位グループに対するタスクの割り当て処理を、下位割り当て処理と呼ぶ。上位割り当て処理と下位割り当て処理は、何れも第一の割り当て処理に含まれる処理である。
【0140】
以下に、上述したように第一の割り当て処理を2つの分割した場合の割り当て処理部140の処理について説明する。
【0141】
第一処理部160は、グループ分布算出部163において、上位グループ毎に上位グループ目標難易度分布を算出する。上位グループのグループ目標難易度分布は、上位グループの配下のグループに含まれる全ての作業者の第一の目標難易度分布を積算することで得られる。
【0142】
具体的には、上位グループのグループ目標難易度分布は、作業者pの第一の目標難易度分布の比率NormrateP(p,r)を用いると、以下の式21で与えられる。
【数19】
次に、第一処理部160は、グループ割り当て部164により、上位グループ毎の上位グループ目標難易度分布が示す比率を、上位グループ毎のタスク数の目標難易度分布s(div,r)に換算する。
【0143】
本実施形態では、線形計画法によって第div番目のグループに割り当てられたタスクの総数は式4で示される。
【0144】
また、第div番目の上位グループのタスク数の目標難易度分布s(div,r)は、上位グループ目標難易度分布の比率NormrateH(div,r)を用いて、以下の式22で与えられる。
【数20】
続いて、第一処理部160は、グループ割り当て部164により、案件グループを上位グループへ割り当てる。上位グループに対する案件グループの割り当ては、第一の実施形態と同様に目的関数と制約条件を設定して線形計画問題を解き、割り当て結果を得る。
【0145】
次に、第一処理部160による下位割り当て処理について説明する。下位割り当て処理では、上位割り当て処理における、上位グループに対するタスクの割り当て結果を用いて、下位グループの下位グループ目標難易度分布を算出する。
【0146】
下位割り当て処理において、第div番目の上位グループに含まれる下位グループの下位グループ目標難易度分布S
Ddiv(p,r)は、以下の式23で与えられる。なお、式23において、pnum
Hdivは、第div番目の上位グループの要素数を表す。
【数21】
続いて、第一処理部160は、グループ割り当て部164により、下位グループ目標難易度分布S
Ddiv(p,r)を用いて、案件グループ(タスクのグループ)を下位グループへ割り当てる。下位グループに対する案件グループの割り当ても、上位グループに対する案件グループの割り当てと同様である。
【0147】
続いて、割り当て処理部140は、第二処理部170の第二分布算出部171により、下位グループに対する案件グループの割り当て結果を基に、各グループに含まれる作業者へ案件グループを等分に割り当てるための等分用の目標難易度分布S
pdiv(p,r)を算出する。等分用の目標難易度分布S
pdiv(p,r)は、以下の式24で与えられる。なお、式24において、pnum
Ddivは、第div番目の下位グループの作業者を表す。
【数22】
続いて、作業者割り当て部172は、等分用の目標難易度分布S
pdiv(p,r)を、作業者毎の習熟度に応じたシフト量sft(p)だけシフトさせ、作業者の習熟度を反映した第二の目標難易度分布Sdiv(p,r)を算出する。
【0148】
続いて、作業者割り当て部172は、作業者毎の第二の目標難易度分布Sdiv(p,r)を用いて、作業者へタスクを割り当てる。作業者に対するタスクの割り当て処理は、第一の実施形態と同様である。
【0149】
このように、本実施形態では、作業者のグループに階層を設けることで、割り当て処理の分割数を増やすことができ、最適化の精度を保ちつつ、処理時間を短縮することができる。なお、本実施形態では、グループの階層の数は任意の数であってよい。
開示の技術では、以下に記載する付記のような形態が考えられる。
(付記1)
コンピュータによるタスク割り当て方法であって、前記コンピュータが、
作業者を複数のグループにグルーピングし、
前記複数のグループについて、各グループに含まれる作業者の第一の目標難易度分布を合成してグループ目標難易度分布を生成し、
前記グループに対し、タスクの難易度の分布が前記グループ目標難易度分布に近づくように、複数のタスクを割り当て、
前記グループに対して割り当てられた前記複数のタスクの難易度の分布と、前記作業者の前記第一の目標難易度分布とに基づき、前記作業者の第二の目標難易度分布を生成し、
前記グループに含まれる作業者毎に、タスクの難易度の分布が前記第二の目標難易度分布に近づくように、前記複数のタスクを割り当てる、タスク割り当て方法。
(付記2)
前記複数のグループは、前記作業者毎の前記タスクに対する習熟度を示す習熟度情報に基づき、前記作業者のタスクに対する習熟度毎にグルーピングされる、付記1記載のタスク割り当て方法。
(付記3)
前記第二の目標難易度分布は、
前記グループに対して割り当てられた前記複数のタスクの難易度の分布を、前記グループに含まれる各作業者に均等に分配し、
分配された前記分布を、前記第一の目標難易度分布が示す前記作業者の習熟度に応じてシフトさせることで、生成される、付記1又は2記載のタスク割り当て方法。
(付記4)
前記第一の目標難易度分布は、作業者毎のタスクに対する習熟度を示す習熟度情報と、タスクの難易度を示す難易度情報とを参照して生成される、付記1乃至3の何れか一項に記載のタスク割り当て方法。
(付記5)
前記複数のグループは、上位グループと下位グループとの階層を有し、
前記上位グループ毎に、前記上位グループに含まれる作業者の第一の目標難易度分布を合成して上位グループ目標難易度分布を生成し、
前記上位グループに対し、タスクの難易度の分布が前記上位グループ目標難易度分布に近づくように、前記複数のタスクを割り当て、
前記上位グループの割り当て結果を用いて、
前記下位グループ毎の下位グループ目標難易度分布を生成し、
前記下位グループに対し、タスクの難易度の分布が前記下位グループ目標難易度分布に近づくように、前記複数のタスクを割り当てる、付記1乃至4の何れか一項に記載のタスク割り当て方法。
(付記6)
作業者を複数のグループにグルーピングし、
前記複数のグループについて、各グループに含まれる作業者の第一の目標難易度分布を合成してグループ目標難易度分布を生成し、
前記グループに対し、タスクの難易度の分布が前記グループ目標難易度分布に近づくように、複数のタスクを割り当て、
前記グループに対して割り当てられた前記複数のタスクの難易度の分布と、前記作業者の前記第一の目標難易度分布とに基づき、前記作業者の第二の目標難易度分布を生成し、
前記グループに含まれる作業者毎に、タスクの難易度の分布が前記第二の目標難易度分布に近づくように、前記複数のタスクを割り当てる、処理をコンピュータに実行させるタスク割り当てプログラム。
本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0150】
100 タスク割り当て装置
110 作業者習熟度データベース
120 タスク難易度データベース
130 生産性データベース
140 割り当て処理部
160 第一処理部
161 グループ作成部
162 第一分布算出部
163 グループ分布算出部
164 グループ割り当て部
170 第二処理部
171 第二分布算出部
172 作業者割り当て部