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特開2024-165248積層体、電子部品および積層体の製造方法
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  • 特開-積層体、電子部品および積層体の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165248
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】積層体、電子部品および積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/40 20060101AFI20241121BHJP
   G03F 7/037 20060101ALI20241121BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20241121BHJP
   B32B 7/14 20060101ALI20241121BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20241121BHJP
   B32B 27/16 20060101ALI20241121BHJP
   B32B 27/26 20060101ALI20241121BHJP
   C09J 4/00 20060101ALI20241121BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20241121BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20241121BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241121BHJP
   C09J 179/08 20060101ALI20241121BHJP
   B32B 27/00 20060101ALN20241121BHJP
【FI】
G03F7/40
G03F7/037 501
G03F7/004 501
B32B7/14
B32B27/34
B32B27/16 101
B32B27/26
C09J4/00
C09J11/06
C09J5/00
G03F7/20 501
G03F7/20 521
C09J179/08 Z
B32B27/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081278
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤原 健典
(72)【発明者】
【氏名】桂田 悠基
(72)【発明者】
【氏名】松村 和行
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
2H225
4F100
4J040
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA05
2H196BA06
2H196EA02
2H196GA08
2H196JA04
2H197CA05
2H197CE01
2H197HA03
2H197HA10
2H225AC23
2H225AC36
2H225AC63
2H225AD06
2H225AE15P
2H225AM76P
2H225AN11P
2H225AN22P
2H225AN33P
2H225AN44P
2H225AN57P
2H225BA01P
2H225BA05P
2H225BA09P
2H225BA22P
2H225CA12
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
4F100AA01B
4F100AB11B
4F100AB11C
4F100AG00B
4F100AG00C
4F100AK01B
4F100AK49A
4F100AT00B
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4F100BA03
4F100CA02A
4F100CA30A
4F100EH46A
4F100EJ172
4F100EJ30A
4F100EJ422
4F100EJ52A
4F100GB41
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4F100JA05A
4F100JB14A
4F100JN17A
4J040EC062
4J040EH031
4J040FA012
4J040FA132
4J040JB02
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4J040LA02
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4J040MA05
4J040NA20
4J040PA00
4J040PA30
4J040PA32
(57)【要約】
【課題】
本発明は、高い接合性、低い脱ガス性を有する積層体を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明は、可溶性ポリイミド系樹脂(a)、不飽和結合含有化合物(b)または熱架橋性化合物(c)、および光重合開始剤(d)を含有する感光性樹脂組成物の膜を、基板1および基板2の少なくともいずれか一方の上に形成または積層後、フォトリソグラフィーの手法によってパターン樹脂膜とし、その後、前記パターン樹脂膜を介して、基板1と基板2とを接合してなり、基板1は素子を含有する有機もしくは無機基板である、積層体である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶性ポリイミド系樹脂(a)、不飽和結合含有化合物(b)または熱架橋性化合物(c)、および光重合開始剤(d)を含有する感光性樹脂組成物の膜を、基板1および基板2の少なくともいずれか一方の上に形成または積層後、フォトリソグラフィーの手法によってパターン樹脂膜とし、その後、前記パターン樹脂膜を介して、基板1と基板2とを接合してなり、基板1は素子を含有する有機もしくは無機基板である、積層体。
【請求項2】
前記パターン樹脂膜により基板1および基板2の間に空間を有する、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
不飽和結合含有化合物(b)または熱架橋性化合物(c)の少なくともいずれか一方の硬化開始温度が120℃以上250℃以下である、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
基板1および基板2が、Si基板、ガラス基板、または化合物半導体基板を含む、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項5】
基板1または基板2のいずれか一方がMEMSデバイスである、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項6】
基板1および基板2のいずれもがデバイスである、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項7】
前記パターン樹脂膜のガラス転移温度が250℃以下である、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項8】
請求項1または2に記載の積層体を用いた電子部品。
【請求項9】
請求項1または2に記載の積層体を製造する方法であって、
前記感光性樹脂組成物の膜にパターン露光をする露光工程、
現像により前記パターン樹脂膜を現出させる現像工程、
および前記パターン樹脂膜を介して、基板1および基板2を接合する接合工程
を有する、積層体の製造方法。
【請求項10】
前記接合工程における接合温度が120℃以上250℃以下である、請求項9に記載の積層体の製造方法。
【請求項11】
基板1および基板2の接合後に、接合温度よりも高い温度で加熱する、請求項9に記載の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、電子部品および積層体の製造方法に関する。より詳しくは、基板上に形成したフォト加工パターン膜を接着層として介して、対向基板と接合した積層体およびその製造方法、ならびに電子部品に関する。更に詳しくは、中空構造を形成した本発明の積層体を用いたMEMS(Micro Electro Mechanical System)等の電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
感光性樹脂組成物のフォト加工パターン膜を基板上に形成するだけではなく、前記フォト加工パターン膜を介して、対向基板と接合させる目的で使用する方法が提案されている。その例として、集積回路素子に形成された電極パットの接続方法(特許文献1)、回路基板の接着方法(特許文献2)、半導体パッケージの製造方法(特許文献3)などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3050345号
【特許文献2】特許第2660943号
【特許文献3】特開2003-347357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来公知の感光性樹脂組成物を前記接着用途で使用する場合には、接合性能に課題が残ると指摘されている。さらに、半導体・MEMSパッケージ用途において、接着層からの脱ガスの付着により素子に悪影響を及ぼしている。また、素子機能面と基板の間に必要な中空構造を設けることに注力し、今後の電子部品に対する技術トレンドである小面積化に対する考慮に欠けている。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高い接合性、低い脱ガス性を有する積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明およびその好ましい態様は、以下の構成を有する。
(1) 可溶性ポリイミド系樹脂(a)、不飽和結合含有化合物(b)または熱架橋性化合物(c)、および光重合開始剤(d)を含有する感光性樹脂組成物の膜を、基板1および基板2の少なくともいずれか一方の上に形成または積層後、フォトリソグラフィーの手法によって、パターン樹脂膜とし、その後、前記パターン樹脂膜を介して、基板1と基板2とを接合してなり、基板1は素子を含有する有機もしくは無機基板である、積層体。
(2) 前記パターン樹脂膜により基板1および基板2の間に空間を有する、上記(1)に記載の積層体。
(3) 不飽和結合含有化合物(b)または熱架橋性化合物(c)のいずれか1つの硬化開始温度が120℃以上250℃以下である、上記(1)または(2)に記載の積層体。
(4) 基板1および基板2が、Si基板、ガラス基板、または化合物半導体基板を含む、上記(1)~(3)のいずれかに記載の積層体。
(5) 基板1または基板2のいずれか一方がMEMSデバイスである、上記(1)~(4)のいずれかに記載の積層体。
(6) 基板1および基板2のいずれもデバイスである、上記(1)~(5)のいずれかに記載の積層体。
(7) 前記パターン樹脂膜のガラス転移温度が250℃以下である、上記(1)~(6)のいずれかに記載の積層体。
(8) 上記(1)~(7)のいずれかに記載の積層体を用いた電子部品。
(9) 上記(1)~(7)に記載の積層体を製造する方法であって、
前記感光性樹脂組成物の膜にパターン露光をする露光工程、
現像により前記パターン樹脂膜を現出させる現像工程、
および前記パターン樹脂膜を介して、基板1および基板2を接合する接合工程
を有する、積層体の製造方法。
(10) 前記接合工程における接合温度が120℃以上250℃以下である、上記(9)に記載の積層体の製造方法。
(11) 基板1および基板2の接合後に、接合温度よりも高い温度で加熱する、上記(9)または(10)に記載の積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高い接合力と低脱ガス性に優れた積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、積層体の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定して解釈されるものではない。
【0010】
数値範囲の「~」は、その前後の数値を含む範囲であり、例えば、「0~100」は、0以上であり、かつ、100以下である範囲を意味する。
【0011】
また、例えば「炭素数1~20の1価の炭化水素基」とは、炭素数が1~20である1価の炭化水素基を意味する。炭素数を規定している他の基およびラジカルについても、これと同様である。
【0012】
本発明の積層体は、感光性樹脂組成物の膜を、基板1または基板2の少なくともいずれか一方の上に形成後、フォトリソグラフィーの手法によって、パターン樹脂膜とし、その後、前記パターン樹脂膜を介して、基板1と基板2とを接合してなる。
【0013】
<感光性樹脂組成物>
前記感光性樹脂組成物は、可溶性ポリイミド系樹脂(a)、不飽和結合含有化合物(b)または熱架橋性化合物(c)、および光重合開始剤(d)を含有する。このことにより、露光前にはアルカリまたは有機の現像液に容易に溶解するが、露光後には前記現像液に不溶になるネガ型のパターンを形成することが可能な樹脂組成物となる。
【0014】
(可溶性ポリイミド系樹脂(a))
本発明において、可溶性ポリイミド系樹脂(a)とは、2.38質量%のテトラメチルアンモニウム水溶液等のアルカリ水溶液、または、シクロヘキサノン等の有機溶剤の現像液への溶解度が、温度23℃において0.1g/100g以上であるポリイミドを指す。
【0015】
可溶性ポリイミド系樹脂(a)は、既閉環のポリイミドを含有することが好ましい。既閉環ポリイミドを含有することにより、ポリイミド前駆体を含有する樹脂組成物と異なり、加熱硬化処理によりポリイミド前駆体を閉環させてポリイミドに転換する必要がない。そのため、前記感光性樹脂組成物は、高温における加熱硬化処理を必要とすることがなく、さらに、イミド閉環反応による硬化収縮起因のストレスを低減することができる。
【0016】
可溶性ポリイミド系樹脂(a)は、ポリマー鎖末端に、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基のうち少なくとも一つを有することが好ましい。この構成により、可溶性ポリイミド系樹脂(a)の可溶性を向上させることができるからである。半導体業界で一般的に用いられるアルカリ現像液に対する実用性を考慮すると、可溶性ポリイミド系樹脂(a)は、ポリマー末端に、フェノール性水酸基またはチオール基を有することが好ましい。
【0017】
なお、ポリマー末端へのカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基またはチオール基の導入は、これらの基を有する末端封止剤を用いることにより行うことができる。このポリマー末端を封止することにより、可溶性ポリイミド系樹脂(a)の繰り返し単位数が適度に小さくなる。このため、可溶性ポリイミド系樹脂(a)を含有する感光性樹脂組成物の微細パターンの加工性を向上させることができる。
【0018】
ポリマー末端に、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基のうち少なくとも一つを有する可溶性ポリイミド系樹脂(a)としては例えば、下記一般式(1)または下記一般式(2)で表される構造を有するものが好ましい。
【0019】
【化1】
【0020】
一般式(1)、(2)中、Xは、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、エステル基およびチオール基のうち少なくとも一つを有する1価の有機基を表す。Yは、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、エステル基およびチオール基のうち少なくとも一つを有する2価の有機基を表す。XおよびYは、フェノール性水酸基またはチオール基、エステル基を有することが好ましく、フェノール性水酸基を有することが特に好ましい。
【0021】
また、Rは4~14価の有機基を表し、Rは2~12価の有機基を表す。RおよびRは、それぞれ独立にカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基またはチオール基を表す。RおよびRは、フェノール性水酸基またはチオール基であることが好ましく、フェノール性水酸基であることが特に好ましい。
【0022】
また、αおよびβは、それぞれ独立に0~10の範囲の整数を表す。また、α+βが1以上であることが好ましい。nは、ポリマーの構造単位の繰り返し数を表す。このnの範囲は、3~200である。nが3以上であれば、感光性樹脂組成物の厚膜加工性をより向上させることができる。この厚膜加工性の向上という観点から、nは5以上であることが好ましい。一方、nが200以下であれば、現像液に対する可溶性ポリイミド系樹脂(a)の溶解性を向上させることができる。この溶解性の向上という観点から、nは100以下であることが好ましい。なお、各ポリマー鎖において、nは整数となるが、可溶性ポリイミド系樹脂(a)から分析によって求められるnは整数にならない場合がある。
【0023】
上記一般式(1)、(2)において、Rは、テトラカルボン酸二無水物由来の構造を有する4~14価の有機基である。このようなRは、芳香族基または環状脂肪族基を含有する炭素数5~40の有機基であることが好ましい。
【0024】
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂肪族のテトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9-ビス{4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などが挙げられる。脂肪族のテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
【0025】
また、テトラカルボン酸二無水物としては、下記に示す構造を有する酸二無水物を挙げることができる。本実施形態では、テトラカルボン酸二無水物として、上述した芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂肪族のテトラカルボン酸二無水物、および下記に示す構造を有する酸二無水物のうちの2種類以上を用いてもよい。
【0026】
【化2】
【0027】
上記構造の酸二無水物を表す一般式において、Rは、酸素原子、-C(CF-、-C(CH-または-SO-を表す。RおよびR10は、それぞれ独立に、水酸基またはチオール基を表す。
【0028】
また、上記一般式(1)、(2)において、Rは、ジアミン由来の構造を有する2~12価の有機基である。このようなRは、芳香族基または環状脂肪族基を含有する炭素数5~40の有機基であることが好ましい。
【0029】
ジアミンとしては、例えば、ヒドロキシル基含有ジアミン、チオール基含有ジアミン、芳香族ジアミン、これらの芳香族環の水素原子のうち少なくとも一部をアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物、脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
【0030】
ヒドロキシル基含有ジアミンとしては、例えば、ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ)ビフェニル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられる。チオール基含有ジアミンとしては、例えば、ジメルカプトフェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0031】
芳香族ジアミンとしては、例えば、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、1,5-ナフタレンジアミン、2,6-ナフタレンジアミン、ビス(4-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジ(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレンなどが挙げられる。脂肪族ジアミンとしては、例えば、シクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
【0032】
また、ジアミンとしては、例えば、下記に示す構造を有するジアミンが挙げられる。本実施形態では、ジアミンとして、上述したヒドロキシル基含有ジアミン、チオール基含有ジアミン、芳香族ジアミン、これらの芳香族環の水素原子のうち少なくとも一部をアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物、脂肪族ジアミン、および下記に示す構造を有するジアミンのうちの2種類以上を用いてもよい。
【0033】
【化3】
【0034】
上記構造のジアミンを表す一般式において、Rは、酸素原子、-C(CF-、-C(CH-、または-SO-を表す。R~R12は、それぞれ独立に、水酸基またはチオール基を表す。
【0035】
上述したジアミンのうち、ビス-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ)ビフェニル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレンおよび下記に示す構造を有するジアミンが好ましい。
【0036】
【化4】
【0037】
また、上記一般式(1)、(2)において、RおよびRは、上述したように、それぞれ独立にカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基またはチオール基を表す。これらのRおよびRの現像液への可溶性基の量を調整することにより、現像液への可溶性ポリイミド系樹脂(a)の現像液に対する溶解速度が変化するため、所望の溶解速度を有する感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0038】
さらに、上記一般式(1)、(2)で表される構造を有する可溶性ポリイミド系樹脂(a)においては、耐熱性を低下させない範囲でRにシロキサン構造を有する脂肪族化合物を共重合してもよい。シロキサン構造を有する脂肪族化合物を共重合することにより、可溶性ポリイミド系樹脂(a)の透明性を向上させること、可溶性ポリイミド系樹脂(a)と基板との接着性を向上させること、可溶性ポリイミド系樹脂(a)を感光性樹脂組成物フィルムで使用した場合にラミネートを容易にすることができる。シロキサン構造を有する脂肪族化合物としては、例えば、ジアミンの場合、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(p-アミノ-フェニル)オクタメチルペンタシロキサン、プロピルアミン末端のシロキサンジアミンである、LP-7100、KF-8010、KF-8012、X22-161A(信越化学工業株式会社製)などのシロキサンジアミン残基が挙げられる。また、これら2種以上のジアミン残基を組み合わせて用いてもよい。これらを可溶性ポリイミド系樹脂(a)の全ジアミン中に1~10モル%共重合することが、他の特性を損なうことなく、接着性を高めることから好ましい。
【0039】
また、一般式(1)において、Xは、末端封止剤である1級モノアミンに由来する。この末端封止剤である1級モノアミンとしては、例えば、5-アミノ-8-ヒドロキシキノリン、1-ヒドロキシ-7-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-6-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-5-アミノナフタレン、1-ヒドロキシ-4-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-7-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-6-アミノナフタレン、2-ヒドロキシ-5-アミノナフタレン、1-カルボキシ-7-アミノナフタレン、1-カルボキシ-6-アミノナフタレン、1-カルボキシ-5-アミノナフタレン、2-カルボキシ-7-アミノナフタレン、2-カルボキシ-6-アミノナフタレン、2-カルボキシ-5-アミノナフタレン、2-アミノ安息香酸、3-アミノ安息香酸、4-アミノ安息香酸、4-アミノサリチル酸、5-アミノサリチル酸、6-アミノサリチル酸、2-アミノベンゼンスルホン酸、3-アミノベンゼンスルホン酸、4-アミノベンゼンスルホン酸、3-アミノ-4,6-ジヒドロキシピリミジン、2-アミノフェノール、3-アミノフェノール、4-アミノフェノール、2-アミノチオフェノール、3-アミノチオフェノール、4-アミノチオフェノールなどが好ましい。このような末端封止材としては、これらの1級アミンのうちの2種以上を用いてもよい。
【0040】
また、一般式(2)において、Yは、末端封止剤であるジカルボン酸無水物に由来する。この末端封止剤であるジカルボン酸無水物としては、例えば、4-カルボキシフタル酸無水物、3-ヒドロキシフタル酸無水物、シス-アコニット酸無水物などが好ましい。このような末端封止材としては、これらのジカルボン酸無水物のうちの2種以上を用いてもよい。
【0041】
一般式(1)または一般式(2)で表される構造を有する可溶性ポリイミド系樹脂の、可溶性ポリイミド系樹脂(a)全体の質量に対する含有量は30質量%以上であることが好ましい。当該含有量が30質量%以上、より好ましくは60質量%以上であることにより、可溶性ポリイミド系樹脂(a)の熱硬化時の収縮を抑えることができ、感光性樹脂組成物の厚膜加工にとってより好適である。
【0042】
本発明における可溶性ポリイミド系樹脂(a)は、一般式(1)または一般式(2)で表される構造を有するもの以外の可溶性ポリイミド系樹脂を含有してもよい。一般式(1)または一般式(2)で表される構造以外の構造を有する可溶性ポリイミド系樹脂の種類および可溶性ポリイミド系樹脂(a)中の含有量は、最終加熱処理によって得られる可溶性ポリイミド系樹脂(a)の耐熱性および現像液に対する溶解性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
【0043】
可溶性ポリイミド系樹脂(a)は、ジアミンの一部を末端封止剤であるモノアミンに置き換えて、または、テトラカルボン酸二無水物を、末端封止剤であるジカルボン酸無水物に置き換えて、任意の方法を利用して合成することができる。例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とモノアミンとを反応させる第1の方法、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジカルボン酸無水物とジアミン化合物とを反応させる第2の方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得て、その後、このジエステルとジアミンとモノアミンとを縮合剤の存在下で反応させるなどの方法を利用して、ポリイミド前駆体を得た後、得られたポリイミド前駆体を、任意のイミド化反応法を用いて完全イミド化させる第3の方法などにより、可溶性ポリイミド系樹脂(a)を合成することができる。
【0044】
本発明において、可溶性ポリイミド系樹脂(a)のイミド化率は、ポリイミドの電気特性、機械特性、耐熱性、耐湿性および残膜率をより向上させるという観点から、70%以上であることが好ましい。より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。可溶性ポリイミド系樹脂(a)のイミド化率を上記範囲にする方法としては、例えば、イミド化反応を、乾燥窒素気流下において、反応温度160℃以上、反応時間2時間以上とする方法などが挙げられる。
【0045】
本発明における可溶性ポリイミド系樹脂(a)のイミド化率は、以下の方法により求めることができる。まず、可溶性ポリイミド系樹脂(a)の赤外吸収スペクトルを測定し、イミド構造由来の吸収ピークである1377cm-1付近のピーク強度P1を求める。次に、その可溶性ポリイミド系樹脂(a)を350℃で1時間熱処理した後、再度、赤外吸収スペクトルを測定し、1377cm-1付近のピーク強度P2を求める。得られたピーク強度P1、P2を用い、下記式に基づいて、可溶性ポリイミド系樹脂(a)のイミド化率を求めることができる。
イミド化率[%]=(ピーク強度P1÷ピーク強度P2)×100 。
【0046】
また、本発明における可溶性ポリイミド系樹脂(a)は、側鎖に、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基のうち少なくとも一つを有していてもよい。中でも、可溶性ポリイミド系樹脂(a)は、側鎖に、フェノール性水酸基を有することが、環境にやさしく、安価な2.38%TMAHによるアルカリ水溶液現像ができることから好ましい。
【0047】
また、本発明における可溶性ポリイミド系樹脂(a)は、シロキサンジアミンの残基を有するポリイミドであってもよい。この場合、シロキサンジアミンの残基は、可溶性ポリイミ(a)の全ジアミン残基中に1モル%以上10モル%以下含まれることが好ましい。
【0048】
一方、可溶性ポリイミド系樹脂(a)に導入された末端封止剤は、以下の方法により検出できる。例えば、末端封止剤が導入された可溶性ポリイミド系樹脂(a)を、酸性溶液に溶解して、ポリイミドの構成単位であるアミン成分とカルボン酸無水物成分とに分解する。続いて、これらのアミン成分およびカルボン酸無水物成分をガスクロマトグラフィー(GC)やNMRによって分析することにより、可溶性ポリイミド系樹脂(a)の末端封止剤を検出することができる。また、末端封止剤が導入された可溶性ポリイミド系樹脂(a)を直接、熱分解ガスクロマトグラフィー(PGC)や赤外スペクトルおよび13CNMRスペクトルを用いて分析することによっても、可溶性ポリイミド系樹脂(a)の末端封止剤を検出することができる。
【0049】
(不飽和結合含有化合物(b))
本発明の感光性樹脂組成物は、不飽和結合含有化合物(b)を含有することができる。不飽和結合含有化合物(b)における不飽和結合含有基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの不飽和二重結合含有基、プロパギル基などの不飽和三重結合含有基などが挙げられる。不飽和結合含有化合物(b)は、これらの不飽和結合含有基を2種以上含有してもよい。これらの中でも、共役型のビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が、重合性の面で好ましい。また、重合反応による過剰な架橋点に起因するパターンのクラックを抑制するという観点から、不飽和結合含有化合物(b)の不飽和結合の数は、1~6が好ましい。
【0050】
不飽和結合含有化合物(b)としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、1,2-ジヒドロナフタレン、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-ビニルナフタレン、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3-ジアクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパン、1,3-ジメタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルアクリレート、N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルメタクリレート、N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAメタクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、ジビニルジメトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、ジアリルジメトキシシランなどが挙げられる。不飽和結合含有化合物(b)は、これらを2種以上含有してもよい。
【0051】
これらのうち、不飽和結合含有化合物(b)としては、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルアクリレート、N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルメタクリレート、N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAメタクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、ジビニルジメトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、ジアリルジメトキシシランが好ましい。中でも、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAメタクリレート、ジビニルジメトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、ジアリルジメトキシシランがさらに好ましい。
【0052】
本発明の感光性樹脂組成物における不飽和結合含有化合物(b)の含有量は、現像後の残膜率を向上させるという観点から、可溶性ポリイミド系樹脂(a)の100質量部に対して、40質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましい。一方、不飽和結合含有化合物(b)の含有量は、硬化膜の耐熱性を向上させるという観点から、可溶性ポリイミド系樹脂(a)の100質量部に対して、150質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であることがより好ましい。
【0053】
(熱架橋性化合物(c))
本発明の感光性樹脂組成物は、熱架橋性化合物(c)を含有することができる。熱架橋性化合物(c)としては、例えば、アルコキシメチル基、メチロール基、グリシジル基、およびオキセタニル基、のうち少なくとも1つを含有する化合物が好ましく、またこれらのうち少なくとも2つを有する化合物がより好ましい。熱架橋性化合物(c)は、これらの基のうち少なくとも2つを有することにより、可溶性ポリイミド系樹脂(a)と熱架橋性化合物(c)との反応や、熱架橋性化合物(c)同士の反応によって架橋構造体を形成する。このため、熱架橋性化合物(c)を加熱処理した後の硬化膜の機械特性や耐薬品性を向上させることができる。
【0054】
アルコキシメチル基またはメチロール基を有する熱架橋性化合物(c)としては、例えば、46DMOC、46DMOEP(以上、商品名、旭有機材工業社製)、DML-PC、DML-PEP、DML-OC、DML-OEP、DML-34X、DML-PTBP、DML-PCHP、DML-OCHP、DML-PFP、DML-PSBP、DML-POP、DML-MBOC、DML-MBPC、DML-MTrisPC、DML-BisOC-Z、DML-BisOCHP-Z、DML-BPC、DMLBisOC-P、DMOM-PC、DMOM-PTBP、DMOM-MBPC、TriML-P、TriML-35XL、TML-HQ、TML-BP、TML-pp-BPF、TML-BPE、TML-BPA、TML-BPAF、TML-BPAP、TMOM-BP、TMOM-BPE、TMOM-BPA、TMOM-BPAF、TMOM-BPAP、HML-TPPHBA、HML-TPHAP、HMOM-TPPHBA、HMOM-TPHAP(以上、商品名、本州化学工業社製)、“NIKALAC(登録商標)”MX-290、“NIKALAC(登録商標)”MX-280、“NIKALAC(登録商標)”MX-270、“NIKALAC(登録商標)”MX-279、“NIKALAC(登録商標)”MW-100LM、“NIKALAC(登録商標)”MX-750LM(以上、商品名、三和ケミカル社製)などが挙げられる。
【0055】
グリシジル基を有する熱架橋性化合物(c)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリメチル(グリシジロキシプロピル)、エポキシ基含有シリコーンなどが挙げられる。具体的には、“エピクロン(登録商標)”850-S、“エピクロン(登録商標)”HP-4032、“エピクロン(登録商標)”HP-7200、“エピクロン(登録商標)”HP-820、“エピクロン(登録商標)”HP-4700、“エピクロン(登録商標)”EXA-4710、“エピクロン(登録商標)”HP-4770、“エピクロン(登録商標)”EXA-859CRP、“エピクロン(登録商標)”EXA-1514、“エピクロン(登録商標)”EXA-4880、“エピクロン(登録商標)”EXA-4850-150、“エピクロン(登録商標)”EXA-4850-1000、“エピクロン(登録商標)”EXA-4816、“エピクロン(登録商標)”EXA-4822(以上、商品名、大日本インキ化学工業社製)、“リカレジン(登録商標)”BEO-60E、“リカレジン(登録商標)”BPO-20E、“リカレジン(登録商標)”HBE-100、“リカレジン(登録商標)”DME-100(以上、商品名、新日本理化社製)、EP-4003S、EP-4000S(以上、商品名、ADEKA社製)、PG-100、CG-500、EG-200(以上、商品名、大阪ガスケミカル社製)、NC-3000、NC-6000(以上、商品名、日本化薬社製)、“EPOX(登録商標)”-MKR508、“EPOX(登録商標)”-MKR540、“EPOX(登録商標)”-MKR710、“EPOX(登録商標)”-MKR1710、VG3101L、VG3101M80(以上、商品名、プリンテック社製)、“セロキサイド(登録商標)”2021P、“セロキサイド(登録商標)”2081、“セロキサイド(登録商標)”2083、“セロキサイド(登録商標)”2085(以上、商品名、ダイセル化学工業社製)などが挙げられる。
【0056】
オキセタニル基を含有する熱架橋性化合物(c)としては、例えば、“ETERNACOLL(登録商標)”EHO、同OXBP、同OXTP若しくは同OXMA(以上、何れも宇部興産(株)製)又はオキセタン化フェノールノボラックが挙げられる。熱架橋性化合物(c)は、これらを2種以上含有してもよい。
【0057】
熱架橋性化合物(c)としては、フルオレン基を含むエポキシ樹脂も好ましい。その市販品としては例えば、“オグソール(登録商標)”PG100,EG200、CG500、EG280、CG400(以上商品名、大阪ガスケミカル(株)製)を挙げることができる。
【0058】
本発明の感光性樹脂組成物における熱架橋性化合物(c)の含有量は、硬化膜の耐熱性を向上させるという観点から、可溶性ポリイミド系樹脂(a)の100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましい。一方、熱架橋性化合物(c)の含有量は、現像後の残膜率を向上させるという観点から、可溶性ポリイミド系樹脂(a)の100質量部に対して、70質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であることがより好ましい。
【0059】
不飽和結合含有化合物(b)または熱架橋性化合物(c)の硬化開始温度は120℃以上250℃以下であることが好ましい。不飽和結合含有化合物(b)または熱架橋性化合物(c)の硬化開始温度が120℃以上250℃以下であることで、現像後のパターン樹脂膜に不飽和結合含有化合物(b)または熱架橋性化合物(c)の未硬化化合物が残留しており、後述する接合後硬化を実施することにより、前記未硬化化合物を硬化させることで、前記パターン樹脂膜を介して接合した基板1と基板2との接合力を高めることができる。また、パターン樹脂が完全硬化することにより、次工程での樹脂封止工程での封止樹脂が中空構造に侵入することを抑制することができる(以後、封止樹脂耐性ともいう)。
【0060】
硬化開始温度が120℃以上250℃以下である不飽和結合含有化合物(b)または熱架橋性化合物(c)を下記に記す。硬化開始温度は、示差走査熱量測定(DSC)にて、10℃/分で試料を昇温した時のDSC曲線を測定し、硬化開始温度を検出することで測定できる。
【0061】
(光重合開始剤(d))
光重合開始剤(d)としては、光照射により重合を開始せしめる機能化合物が制限なく使用でき、例えば、光ラジカル発生型、光酸発生型、光塩基発生型のものを用いることができる。重合方式は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、付加重合などの反応方式を取ることができこれらに限定されない。
【0062】
光ラジカル開始型の光重合開始剤(d)としては、例えば、オキシム類、ベンゾフェノン類、ベンジリデン類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾイン類、チオキサントン類、メルカプト類、グリシン類オキシム類、ベンジルジメチルケタール類、α-ヒドロキシアルキルフェノン類、α-アミノアルキルフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾールなどが挙げられる。具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエ-テル、ベンゾインエチルエ-テル、ベンゾインプロピルエ-テル、ベンゾインイソブチルエ-テル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-フェニルプロパン-1-オン、ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシンクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モリフォリン-4-イルフェニル)ブタン-1-オン等のアセトフェノン類;2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフエノンジメチルケタ-ル、ベンジルジメチルケタ-ル等のケタ-ル類;ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、4,4’-ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類等が挙げられる。これらの中で市販品として、例えば、イルガキュア907(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)が挙げられるが、特に、下記一般式(5)で表される構造を有する化合物が光退色性を示し、感光性樹脂組成物の深部まで十分に光硬化することが可能ため、感光性樹脂組成物の厚膜のパターン形状を矩形に加工することができる観点から好ましい。
【0063】
【化5】
【0064】
一般式(5)中、R~Rは、それぞれ独立にハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、-NR1314、炭素数1~20の1価の炭化水素基、炭素数1~20のアシル基または炭素数1~20のアルコキシ基を表す。R13およびR14は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~10のアルキル基を表す。ただし、上記した炭化水素基、アシル基およびアルコキシ基の水素原子のうち少なくとも一部は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、または-NR1314によって置換されていてもよい。上記した炭化水素基中およびアルコキシ基中の炭化水素基は、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合またはウレタン結合により中断されていてもよい。R15は、炭素数1~5のアルキル基を表す。aは0~5の整数を表し、bは0~4の整数を表す。Aは、-C(=O)-または直接結合を表す。
【0065】
光酸発生型の光重合開始剤(d)としては例えば、発生する酸がパーフルオロアルキルスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などの強酸であることが好ましい。
【0066】
光酸発生型の光重合開始剤(d)の具体例としては、イオン性化合物と非イオン性化合物がある。
【0067】
前記イオン性化合物としては、重金属、ハロゲンイオンを含まないものがよく、トリオルガノスルホニウム塩系化合物が好ましい。具体的には、トリフェニルスルホニウムの、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、や1-ジメチルチオナフタレンのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、1-ジメチルチオ-4-ヒドロキシナフタレンの、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、1-ジメチルチオ-4、7-ジヒドロキシナフタレンの、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ジフェニルヨードニウムのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などが挙げられる。
【0068】
前記非イオン性化合物としては、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物、リン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物、スルホンベンゾトリアゾール化合物、ジアゾケトン化合物等を用いることができる。
【0069】
前記ハロゲン含有化合物の具体例としては、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物等が挙げられる。好ましいハロゲン含有化合物としては、1,1-ビス(4-クロロフェニル)-2,2,2-トリクロロエタン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ナフチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等が挙げられる。
【0070】
前記ジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4-キシリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル-p-トルエンスルホニルジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル(1,1-ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1-ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル(ベンゾイル)ジアゾメタン等が挙げられる。
【0071】
前記スルホン化合物の具体例としては、β-ケトスルホン化合物、β-スルホニルスルホン化合物、ジアリールジスルホン化合物等が挙げられる。好ましいスルホン化合物としては、4-トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、4-クロロフェニル―4―メチルフェニルジスルホン化合物等が挙げられる。
【0072】
前記スルホン酸エステル化合物の具体例としては、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等が挙げられる。好ましい具体例として、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、ニトロベンジル-9,10-ジエトキシアントラセン-2-スルホネート、2,6-ジニトロベンジルベンゼンスルホネート等が挙げられる。
【0073】
前記イミノスルホネートの具体例として、ベンジルモノオキシムトシレート、ベンジルモノオキシム-p-ドデシルベンゼンスルホネート、ベンジルモノオキシムヘキサデカンスルホネート、4-ニトロアセトフェノンオキシムトシレート、4,4’-ジメチルベンジルモノオキシムトシレート、4,4’-ジメチルベンジルモノオキシム-p-ドデシルベンゼンスルホネート、ジベンジルケトンオキシムトシレート、エチル-α-トリルオキシイミノ-シアノアセテート、フリルモノオキシム-4-アセトアミドベンゼンスルホネート、アセトンオキシム-p-ベンゾイルベンゼンスルホネート、3-ベンジルスルホニルオキシイミノ-アセチルアセトン、ビス(ベンジルモノオキサイド)ジオクチルナフタレンジスルホネート、α-(p-トルエンスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド、α-(p-トルエンスルホニルオキシイミノ)-4-メトキシベンジルシアニド(PAI-101(みどり化学(株)製))、α-(カンファー-10-スルホニルオキシイミノ)-4-メトキシベンジルシアニド(PAI-106(みどり化学(株)製))、(5-(4-メチルフェニル)スルホニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル(CGI-1311(チバスペシャリティケミカルズ(株)製))が挙げられる。
【0074】
前記カルボン酸エステル化合物としては、カルボン酸o-ニトロベンジルエステルが挙げられる。
【0075】
前記スルホンイミド化合物の具体例としては、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(カンファスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(2-トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(4-フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(カンファスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(2-トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド等が挙げられる。
【0076】
前記ジアゾケトン化合物の具体例としては、1,3-ジケト-2-ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等が挙げられる。好ましいジアゾケトン化合物は、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸または1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸と2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノンとのエステル、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸または1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸と1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタンとのエステル等が挙げられる。なお、これらの化合物は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0077】
また、光酸発生型の光重合開始剤(d)と熱酸発生型の架橋促進剤を併用して架橋促進剤として用いることも可能である。これらを合計した架橋促進剤の添加量は、可溶性ポリイミド系樹脂(a)100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下が好ましい。当該添加量が上記の好ましい範囲内であると、架橋促進効果が十分で、一方、プリベーク時には望まない架橋反応を抑えることができる。
【0078】
好ましい光塩基発生剤の具体例として、遷移金属錯体、オルトニトロベンジルカルバメート類、α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルカルバメート類、アシルオキシイミノ類、ビグニアド化合物を挙げることができる。中でも、ラジカルも発生して、硬化効率の高いピグニアド化合物が特に好ましい。
【0079】
遷移金属錯体としては、ブロモペンタアンモニアコバルト過塩素酸塩、ブロモペンタメチルアミンコバルト過塩素酸塩、ブロモペンタプロピルアミンコバルト過塩素酸塩、ヘキサアンモニアコバルト過塩素酸塩、ヘキサメチルアミンコバルト過塩素酸塩、ヘキサプロピルアミンコバルト過塩素酸塩などが挙げられる。
【0080】
オルトニトロベンジルカルバメート類としては、[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]メチルアミン、[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]プロピルアミン、[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキシルアミン、[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]アニリン、[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペリジン、ビス[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]フェニレンジアミン、ビス[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]トルエンジアミン、ビス[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ジアミノジフェニルメタン、ビス[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジン、[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]メチルアミン、[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]プロピルアミン、[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキシルアミン、[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]アニリン、[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペリジン、ビス[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]フェニレンジアミン、ビス[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]トルエンジアミン、ビス[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ジアミノジフェニルメタン、ビス[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジンなどが挙げられる。
【0081】
α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルカルバメート類としては、[[(α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]メチルアミン、(α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]プロピルアミン、[[(α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキシルアミン、[[(α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]アニリン、[[(α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ピペリジン、ビス[[(α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]フェニレンジアミン、ビス[[(α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]トルエンジアミン、ビス[[(α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ジアミノジフェニルメタン、ビス[[(α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジンなどが挙げられる。
【0082】
アシルオキシイミノ類としては、プロピオニルアセトフェノンオキシム、プロピオニルベンゾフェノンオキシム、プロピオニルアセトンオキシム、ブチリルアセトフェノンオキシム、ブチリルベンゾフェノンオキシム、ブチリルアセトンオキシム、アジポイルアセトフェノンオキシム、アジポイルベンゾフェノンオキシム、アジポイルアセトンオキシム、アクロイルアセトフェノンオキシム、アクロイルベンゾフェノンオキシム、アクロイルアセトンオキシムなどがあげられる。上記の光塩基発生剤の中でも特に好ましいものとしては、[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
【0083】
ビグニアド化合物としては、WPG-266、WPBG-345、WPBG-300(富士フィルム和光純薬株式会社)が挙げられる。
これらは、単独または2種以上を組み合わせて使用することが出来る。
【0084】
光重合開始剤(d)の、可溶性ポリイミド系樹脂(a)、不飽和結合含有化合物(b)、熱架橋性化合物(c)および光重合開始剤(d)の合計量100質量%中に占める割合としては、0.5質量%~30質量%が好ましく、特に好ましくは1質量%~10質量%である。
【0085】
露光時の不飽和結合含有化合物(b)の光硬化反応を効果的に進める、または、熱架橋性化合物(c)の光硬化反応を進めるという観点から、光重合開始剤(d)の含有量は、可溶性ポリイミド系樹脂(a)の100質量部に対しては、1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは4質量部以上、さらに好ましくは7質量部以上である。一方、感光性樹脂組成物の透過率をより向上させ、厚膜における矩形パターンの形成をより容易にするという観点、および過度な重合反応を抑制するという観点から、光重合開始剤(d)の含有量は、可溶性ポリイミド系樹脂(a)の100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、より好ましくは20質量部以下、さらにより好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
【0086】
(その他の含有物)
光重合開始剤(d)と併せて、アミン系化合物、アルコキシアントラセン系化合物、チオキサントン系化合物等の光重合開始助剤(増感剤)や、連鎖移動剤、酸増殖剤等を併用することも可能である。
【0087】
前記増感剤としては、露光感度を向上させるものを適用することが好ましい。前記増感剤の好ましい例として、3,3´-カルボニルビス(ジエチルアミノクマリン)などのクマリン、9,10-アントラキノンなどのアントラキノン、ベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、アセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、ベンズアルデヒド、などの芳香族ケトン、ビフェニル、1,4-ジメチルナフタレン、9-フルオレノン、フルオレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、アントラセン、9-フェニルアントラセン、9-メトキシアントラセン、9,10-ジフェニルアントラセン、9,10-ビス(4-メトキシフェニル)アントラセン、9,10-ビス(トリフェニルシリル)アントラセン、9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジペンタオキシアントラセン、2―t-ブチル-9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ビス(トリメチルシリルエチニル)アントラセンなどの縮合芳香族などが挙げられる。さらに、好ましい前記増感剤は、光照射によって退色する化合物である。光退色することにより、膜の深部まで光が届き、矩形のパターン形成が可能になり、高解像度のパターンが得られる。さらに好ましくは、光照射によって退色する化合物は、光照射によって二量化する化合物である。光照射によって二量化することによって、分子量が増大して不溶化するので、耐薬品性向上、耐熱性向上(デガス低減)、硬化膜からの抽出物の低減という効果が得られる。
【0088】
また、前記増感剤は高感度を達成できるという点に加えて、光照射によって二量化して退色するという点から、アントラセン系化合物が好ましく、また、9,10-二置換アントラセン系化合物が熱に安定であるので、より好ましい。さらに、前記増感剤の溶解性の向上と光二量化反応の反応性の観点から、9,10-ジアルコキシアントラセン系化合物がさらに好ましい。
【0089】
光照射によって退色する前記増感剤の具体例としては、3,3’-カルボニルビス(ジエチルアミノクマリン)などのクマリン、9,10-アントラキノンなどのアントラキノン、ベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、アセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、ベンズアルデヒドなどの芳香族ケトン、ビフェニル、1,4-ジメチルナフタレン、9-フルオレノン、フルオレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、アントラセン、9-フェニルアントラセン、9-メトキシアントラセン、9,10-ジフェニルアントラセン、9,10-ビス(4-メトキシフェニル)アントラセン、9,10-ビス(トリフェニルシリル)アントラセン、9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジペンタオキシアントラセン、2-t-ブチル-9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ビス(トリメチルシリルエチニル)アントラセンなどの縮合芳香族などが挙げられる。
【0090】
また、前記感光性樹脂組成物は、必要に応じて、重合禁止剤、着色剤、界面活性剤、シランカップリング剤、チタンキレート剤、光酸発生型の光重合開始剤(d)と熱酸発生型の架橋促進剤の併用によるもの以外の架橋促進剤、溶解調整剤、安定剤、消泡剤、フィラーなどの添加剤、有機溶剤をさらに含有してもよい。
【0091】
前記重合禁止剤により、励起子の濃度が調節されるため、過度な光応答性を抑制し、露光マージンを広くすることができる。
【0092】
前記界面活性剤、前記シランカップリング剤、前記チタンキレート剤などを含有することにより、基板との密着性を向上させることができる。
【0093】
前記有機溶剤としては、感光性樹脂組成物を溶解するものが好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、エーテル類、アセテート類、ケトン類、芳香族炭化水素類、N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトンなどが挙げられる。本発明の感光性樹脂組成物は、有機溶剤として、これらを2種以上含有してもよい。上記有機溶剤は、有機現像液としても適用可能である。
【0094】
前記エーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテルなどが挙げられる。前記アセテート類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどが挙げられる。前記ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2-ヘプタノンなどが挙げられる。前記芳香族炭化水素類としては、例えば、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
【0095】
<感光性樹脂組成物の作製方法>
前記感光性樹脂組成物は例えば、可溶性ポリイミド系樹脂(a)、不飽和結合含有化合物(b)または、熱架橋性化合物(c)、光重合開始剤(d)および必要に応じてその他の添加物を混合し、溶解させることにより得ることができる。また、前記感光性樹脂組成物は、必要に応じて、各成分を有機溶剤に溶解させ、固形分濃度が20~70質量%程度の溶液にすることができる。
【0096】
また、前記感光性樹脂組成物は、濾紙やフィルターを用いて濾過してもよい。この濾過方法は、特に限定されないが、保留粒子径0.4μm~10μmのフィルターを用いて加圧濾過により濾過する方法が好ましい。
【0097】
<基板1、基板2>
本発明で用いる基板1は、素子を含有する有機もしくは無機基板である。前記素子としては例えば、半導体デバイス、MEMSデバイスなどが挙げられる。前記半導体デバイスとしては例えば、スイッチング、ローノイズアアンプ、パワーマネージメントIC、制御ICなどが挙げられ、MEMSデバイスとしては例えば、ジャイロセンサ―、圧力センサー、磁気センサー、マイクロフォン、超音波センサー、ガスセンサー、タイミングデバイス、RFノイズフィルターなどが挙げられる。
【0098】
前記有機基板としては、ガラス布・エポキシ銅張積層板などのガラス基材銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板などのコンポジット銅張積層板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板などの耐熱・熱可塑性基板、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板が挙げられる。さらに、これらの基板に回路の構成材料が配置された有機系回路基板が挙げられる。
【0099】
前記無機基板としては、Si基板、ガラス基板、セラミック基板または化合物半導体などが挙げられる。化合物半導体の具体例として、炭化ケイ素、窒化ガリウム、ガリウムヒ素、リン化インジウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等が好ましい。セラミック基板として、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板などが挙げられる。また、アルミニウムベース基板、鉄ベース基板などの金属系基板であってもよい。さらに、これらの基板に回路の構成材料が配置された無機系回路基板が挙げられる。
【0100】
前記回路の構成材料の例としては、銀、金、銅などの金属を含有する導体、無機系酸化物などを含有する抵抗体、ガラス系材料および樹脂のうち少なくとも1つの材料などを含有する低誘電体、樹脂や高誘電率無機粒子などを含有する高誘電体、ガラス系材料などを含有する絶縁体などが挙げられる。
【0101】
本発明で用いる基板2は、基板1と同様に、上記と同様の無機基板または有機基板であることが好ましい。また、基板1と同様に、基板2にも素子を含むことが好ましい。基板1および基板2が、無機基板または有機基板であることが好ましい。
【0102】
<感光性樹脂組成物の膜の形成または積層>
前記感光性樹脂組成物の膜を基板1または基板2の少なくともいずれか一方の上に形成または積層する方法としては例えば、前記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物フィルムを作製して、前記感光性樹脂組成物フィルムを基板1または基板2の少なくともいずれか一方の上に積層する方法を挙げることができる。前記感光性樹脂組成物フィルムは、例えば、前記感光性樹脂組成物のコーティング液を支持体上に塗布し、次いで、これを必要に応じて乾燥することにより得ることができる。
【0103】
前記支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。前記支持体と前記感光性樹脂組成物フィルムとの接合面には、これらの密着性および剥離性を向上させるために、シリコーン、シランカップリング剤、アルミキレート剤、ポリ尿素などによる表面処理を施してもよい。また、前記支持体の厚みは、特に限定されないが、作業性の観点から、10~100μmであることが好ましい。
【0104】
前記感光性樹脂組成物のコーティング液を前記支持体に塗布する方法としては、例えば、スピンナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーター、ロールコーター、コンマロールコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スリットダイコーターなどの方法が挙げられる。
【0105】
また、前記感光性樹脂組成物の塗布膜厚は、塗布手法、塗布する前記コーティング液の固形分濃度、粘度などによって異なるが、塗布した前記感光性樹脂組成物の乾燥後の膜厚が0.5μm以上100μm以下となるように調整されることが好ましい。
【0106】
塗布した前記感光性樹脂組成物を乾燥するための乾燥装置としては、例えば、オーブン、ホットプレート、赤外線などが挙げられる。乾燥温度および乾燥時間は、有機溶媒を揮発させることが可能な範囲であればよく、感光性樹脂組成物フィルムが未硬化または半硬化状態となるような範囲を適宜設定することが好ましい。具体的には、乾燥温度は40℃~120℃の範囲内であることが好ましく、乾燥時間は1分間~数十分間の範囲内であることが好ましい。また、乾燥温度は、この範囲内の温度を組み合わせて段階的に昇温してもよい。例えば、感光性樹脂組成物を乾燥する際、50℃、60℃、70℃で各1分間ずつ感光性樹脂組成物を加熱してもよい。
【0107】
前記感光性樹脂組成物フィルムは、基板1または基板2に積層させるまでの間、前記感光性樹脂組成物フィルムを保護するための保護フィルムを有してもよい。前記保護フィルムにより、大気中のゴミやチリなどの汚染物質から前記感光性樹脂組成物フィルムの表面を保護することができる。
【0108】
前記保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエステルフィルム、ポリビニルアルコールフィルムなどが挙げられる。前記保護フィルムは、前記感光性樹脂組成物フィルムと前記保護フィルムとが容易に剥離しない程度の剥離力を有することが好ましい。
【0109】
前記感光性樹脂組成物フィルムが前記保護フィルムを有する場合にはこれを剥離した上で、前記感光性樹脂組成物フィルムと、例えば基板1を、互いに対向するように配置して熱圧着により貼り合わせる。この熱圧着方法としては、例えば、熱プレス処理、熱ラミネート処理、熱真空ラミネート処理などが挙げられる。熱圧着温度は、感光性樹脂組成物フィルムの基板への密着性、埋め込み性を向上させるという観点から、40℃以上であることが好ましい。一方、熱圧着時の感光性樹脂組成物フィルムの過度の硬化を抑制し、後の工程での基板2との接着性を担保する(完全硬化して粘着性を損なわないようにする)という観点から、熱圧着温度は、120℃以下であることが好ましい。
【0110】
<積層体の製造方法>
本発明の積層体の製造方法は、前記感光性樹脂の膜にパターン露光をする露光工程、現像により前記パターン樹脂膜を現出させる現像工程、および前記パターン樹脂膜を介して、基板1および基板2を接合する接合工程を有する。
【0111】
<露光工程>
基板1または基板2の上に形成または積層された感光性樹脂組成物膜の上に、所望のパターンを有するフォトマスクを設置し、このフォトマスクを通して前記感光性樹脂組成物膜に化学線を照射し、前記感光性樹脂組成物膜をパターン状に露光する。露光に用いられる化学線としては、紫外線、可視光線、電子線、X線などが挙げられる。本発明においては、水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、またはg線(436nm)を用いることが好ましい。前記感光性樹脂組成物フィルムにおいて、前記支持体がこれらの光線に対して透明な材質である場合は、前記感光性樹脂組成物フィルムから支持体を剥離せずに露光を行ってもよい。
【0112】
<プリベーク工程>
前記現像工程の前に、現像時間、露光量に関する現像条件の許容幅の拡大や解像度を向上させる目的で、前記感光性樹脂組成物膜をベーク処理するプリベーク工程を取り入れてもよい。前記ベーク処理において、ベーク温度は、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。一方、ベーク温度は、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。ベーク時間は、5秒~数時間であることが好ましい。
【0113】
<現像工程>
上記感光性樹脂組成物フィルムの露光後、現像工程において、現像液を用いて上記感光性樹脂組成物フィルムの未露光部を除去し、上記感光性樹脂組成物フィルムにパターンを現出させる。
【0114】
前記現像液としては例えば、テトラメチルアンモニウムの水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液、もしくは、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類等の有機溶剤が好ましい。必要に応じて、これらのアルカリ水溶液と有機溶剤とを混合してもよい。
【0115】
前記現像工程における現像方法としては例えば、上記の現像液を被膜面にスプレーする方法、現像液中に被膜面を浸漬する方法、現像液中に被膜面を浸漬しながら超音波をかける方法、基板を回転させながら現像液をスプレーする方法などが挙げられる。ここでいう「被膜面」は、基板面のうちパターン状の感光性樹脂組成物膜、すなわちパターン樹脂膜によって被覆された基板側の面である。現像時間や現像液の温度などの条件は、感光性樹脂組成物フィルムの未露光部が除去される範囲で設定することができる。高解像度のパターン樹脂膜や、未露光部である樹脂膜パターン間の残渣を基板全体で完全に除去するために、未露光部の大部分が除去された後も、さらに現像を行ってもよい。
【0116】
現像後、前記パターン樹脂膜付きの基板に対してリンス処理を行ってもよい。前記リンス処理に用いられるリンス液としては、水または、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などが好ましい。水とアルコール類やエステル類を混合してもよい。
【0117】
現像後のパターン樹脂膜のガラス転移温度は250℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が250℃以下であることで、250℃以下でパターン樹脂膜を介して基板1と基板2を接合することができ、効果的に良好な接合力を得ることができる。
【0118】
<接合工程>
接合工程において、前記パターン樹脂膜を介して、基板1と基板2とを接合する。例えば、基板1上に上述のようにパターン樹脂膜を形成し、基板2を、パターン樹脂膜を介して基板1と接合するように対向させ、基板1と基板2とが中空構造を形成すように接合することで実施できる。つまり、基板1と基板2およびパターン樹脂膜を含んで密閉空間を形成することができたり、一部開放部分を含んだ中空構造を形成したりすることで、デバイスを形成することができる。また、前記開放部分を封止樹脂で封止し、完全密閉空間を形成することもできる。
【0119】
接合工程における接合温度は、120℃以上250℃以下であることが好ましい。接合温度が120℃以上、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは140℃以上であると、粘着性が良好でより効果的に高い接合力を得ることができる。また、接合温度が250℃以下、より好ましくは220℃以下、さらに好ましくは200℃以下であると、熱架橋性化合物(c)の完全硬化を回避できより効果的に良好な接着力を担保できる。
【0120】
接合工程における接合圧力は、0.05MPa~5MPaであることが好ましい。接合圧力が0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPaであることで、所望の接着力をより効果的に得ることができる。また、接合圧力が、5MPa以下、より好ましくは3MPa以下、さらに好ましくは1MPa以下であると、中空構造の破壊を効果的に防ぐことができる。
【0121】
接合工程における接合時間は、1秒~10分が好ましい。接合時間が1秒以上であると、より効果的に所望の接着力が得られる。また、接合時間が10分以下、より好ましくは3分以下であると、量産時の工程時間の観点から、経済的に好ましい。
【0122】
接合工程における接合方法としては、例えば、熱プレス処理、熱ラミネート処理、熱真空ラミネート処理などが挙げられる。基板1と基板2は、chipでもよいし、ウエハでもよいが、どちらか一方がウエハであることが好ましい。ウエハを適用することにより工程を簡略化できる。基板1も基板2もウエハである場合は、ウエハ同士を接合するウエハボンダーを用いた熱プレスによる接合方法を適用でき、さらに工程を簡略化できる。
【0123】
(硬化工程)
接合工程の後、さらに、接合温度よりも高い温度で積層体を加熱することも、パターン樹脂膜を完全硬化させ、接合力をより効果的に高めることができるため好ましい。また、パターン樹脂膜が完全硬化することにより、次工程での樹脂封止工程での封止樹脂が中空構造に侵入することを抑制することができる。
【0124】
硬化工程における加熱温度としては、160℃~400℃が好ましく、より好ましくは180℃以上300℃以下、さらに好ましくは250℃以下である。加熱処理時間は、5分間~5時間であることが好ましい。この加熱硬化処理は、段階的に昇温してもよいし、ある温度範囲を選び連続的に昇温してもよい。この加熱硬化処理の一例としては、130℃、200℃で各30分間ずつ加熱処理する方法や、室温から250℃まで2時間かけて直線的に昇温する方法などが挙げられる。
【0125】
上述した硬化工程によって得られるパターン樹脂膜の硬化膜は、耐熱性の観点から、ガラス転移温度が高いことが好ましい。当該ガラス転移温度は、180℃以上であることが好ましく、220℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。
【0126】
パターン樹脂膜の硬化膜は0.1μm~200μmであることが、デバイスの中空構造形成の点から好ましい。0.1μm以上だと基板1と基板2が接触する可能性を回避でき、200μm以下だとデバイスのパッケージ総厚みが厚くなってしまう懸念がない。
【0127】
また、上述した厚膜のパターンを得るためには、キュア後の残膜率が高いことが好ましい。残膜率は、70%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。ここで、残膜率は、感光性樹脂組成物の露光現像前の膜厚に対する加熱処理後の膜厚の百分率を指し、下記の式より算出することができる。
残膜率[%]=(キュア後の膜厚÷露光現像前の膜厚)×100
上述した硬化膜の材料として前記感光性樹脂組成物を用いることにより、残膜率を上記範囲にすることができる。
【0128】
<積層体、電子部品>
前記感光性樹脂組成物から形成したパターン樹脂膜を介して、基板1、基板2を接合することで、中空構造を形成する積層体の製造方法は、従来の無機膜での中空構造形成方法を用いた製造方法と比較し簡便である。また、基板1、基板2の両方に素子を形成することで、従来平置きで並べていた手法と比較して、大幅にフットプリントを低減できるものである。
【0129】
本発明の電子部品は、上述した感光性樹脂組成物または感光性樹脂組成物フィルムのパターン樹脂膜の効果膜を備えるものである。特に、本発明の効果膜は、基板1上に高解像度のパターンが形成でき、かつ、現像後のパターン樹脂膜を介して基板2を接合することにより、半導体やMEMSパッケージ用途において必要な中空構造を形成することが可能である。その後加熱硬化処理を実施することで、パターン樹脂膜を介して、基板1と基板2を強固に接合することができる。本発明では、感光性樹脂組成物として、可溶性ポリイミド系樹脂(a)を適用しているため、キュア時の収縮が少なく、かつ、デガスが少ないため半導体デバイスやMEMSデバイスへのデガス由来の付着物が少なく、デバイスの特性を損なう可能性が低いという特徴を有する。特に、可溶性ポリイミド系樹脂(a)として、既閉環ポリイミドを適用した際に本特徴が最大限に発揮される。
【0130】
また、例えば、基板1に半導体デバイス、基板2にMEMSデバイスを適用した場合、フットプリントを縮小、つまり、高密度実装することができ、スマートフォンなどの小型化に貢献する。
【実施例0131】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明が下記の実施例のみに限定されるものではない。
【0132】
[測定方法]
(1)ガラス転移温度
感光性樹脂組成物の膜の積層において、感光性樹脂組成物フィルムの積層対象には、デバイスが形成されていないシリコンウエハを用いた。露光工程において、フォトマスクを使用せず、全面露光した。また、接合工程は経ず、同工程と同じ温度での加熱のみ行った。これら以外は対象の実施例と同様にして、加熱硬化処理まで行い、現像、リンス処理、乾燥後の膜(以下、現像後膜)および硬化膜をそれぞれ作製した。得られた現像後膜と硬化膜をそれぞれシリコンウエハから剥離し、単膜とした。現像後膜と硬化膜の単膜のガラス転移温度を動的粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、DMS6100)により測定した。なお、この測定は、試験モード:引張り、試験温度:室温(25℃)~350℃、昇温速度:5℃/分、試験周波数:1Hz、チャック間距離:10mm、サンプル幅:5mmの条件にて実施した。
【0133】
(2)耐熱性(5%熱重量減少温度)
TGAを用いて、上記(1)で得た硬化膜の熱重量が5%減少した温度を、窒素気流下、昇温速度5℃/分で測定を行った。
【0134】
(3)接合力
感光性樹脂組成物の膜の積層において、感光性樹脂組成物フィルムの積層対象には、デバイスが形成されていないシリコンウエハを用いた。露光工程において、フォトマスクを使用せず、全面露光した。また、接合工程において、制御ICを有するシリコンウエハに替えて2mm×2mmのSi小片またはガラス小片を用いた。これら以外は対象の実施例と同様にして、加熱硬化処理まで行った。次に、ダイシェア強度試験機(DAGE社製、シリーズ4000)を用いて、ロードセル100kg、テストスピード200μm/sの条件で、Siおよびガラスのそれぞれとの接合力を測定した。一般的に、20MPaを超えると接合力としては十分と言われている。
【0135】
下記の実施例で用いた可溶性ポリイミド系樹脂(a)は、以下の方法により合成した。
【0136】
[合成例1] 可溶性ポリイミド系樹脂(a)であるポリイミドA1の合成
乾燥窒素気流下、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(32.78g(0.0895モル))および1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(1.24g(0.005モル))を、N-メチル-2-ピロリドン(100g)に溶解させて溶液とした。以下、「N-メチル-2-ピロリドン」は、「NMP」と称する。この溶液に、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(31.02g(0.10モル))をNMP(30g)とともに加えて、20℃で1時間撹拌し、次いで50℃で4時間撹拌した。この攪拌後の溶液に、3-アミノフェノール(1.09g(0.01モル))を加え、50℃で2時間撹拌し、さらに180℃で5時間撹拌して樹脂溶液を得た。次に、この樹脂溶液を水(3L)に投入して、白色沈殿を生成させた。この白色沈殿を、濾過で集めて水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。この結果、一般式(1)で表される構造を有する可溶性ポリイミド系樹脂(ポリイミドA1)の粉末が得られた。
【0137】
得られたポリイミドA1のイミド化率は、94%であった。また、23℃のテトラメチルアンモニウム水溶液(2.38質量%)に対するポリイミドA1の溶解度は、0.5g/100g以上であった。
【0138】
(その他の材料)
下記の実施例で用いたその他の各材料は、以下に示すとおりである。
【0139】
不飽和結合含有化合物(b)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:DPE-6A(共栄社化学社製)
下記式で表される化学構造を有するエトキシ化ペンタエリストールテトラアクリレート:ATM-35E(新中村化学工業株式会社製)
【0140】
【化6】
【0141】
上記式において、Rは-CHCHO-であり、a、b、c、dは合計で約35である。
【0142】
熱架橋性化合物(c)
ビニルトリメトキシシラン:KBM-1003(信越化学工業社製)
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:KBM-403(信越化学工業)
ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂:“jER(登録商標)”YL980(三菱ケミカル株式会社)。
【0143】
光重合開始剤(d)
NCI-831(ADEKA社製)。
【0144】
重合禁止剤
4-メトキシ-1-ナフトール:QS-30(川崎化成工業社製)。
【0145】
[実施例1]
(感光性樹脂組成物コーティング液)
可溶性ポリイミド系樹脂(a)ポリイミドA1を43.2g、不飽和結合含有化合物(b)としてDPE-6Aを10.8gおよびATM-35を7.5g、熱架橋性化合物(c)としてKBM―403を0.6g、KBM-1003を0.6gおよび“jER(登録商標)”YL980を17.3g、光重合開始剤(d)としてNCI-831を1.5g、ならびに重合禁止剤としてQS-30を0.17g、ジアセトンアルコール/乳酸エチルの質量比が40/60である混合溶媒に溶解して溶液とした。この混合溶媒の添加量は、溶媒以外の添加物を固形分とし、固形分濃度が45質量%となるように調整した。得られた溶液を、保留粒子径2μmのフィルターを用いて加圧濾過し、これにより、感光性樹脂組成物コーティング液Zを得た。
【0146】
(感光性樹脂組成物フィルム)
感光性樹脂組成物コーティング液Zを、コンマロールコーターを用いて、厚さ50μmのPETフィルムである支持体フィルムの上に塗布し、85℃で13分間乾燥を行い、厚みが10μmの感光性樹脂組成物フィルムZ1を得た。その後、保護フィルムとして、厚さ50μmのPPフィルムをラミネートした。
【0147】
(感光性樹脂組成物の膜の積層)
感光性樹脂組成物フィルムZ1から保護フィルムを剥離し、ラミネート装置(タカトリ社製、VTM-200M)を用いて、ステージ温度80℃、ロール温度80℃、真空度150Pa、貼付速度5mm/秒、貼付圧力0.3MPaの条件で、感光性樹脂組成物フィルムZ1の剥離面を4インチのMEMSデバイスが形成されたシリコンウエハ上にラミネートし、感光性樹脂組成物膜付の基板を得た。
【0148】
(露光工程)
感光性樹脂組成物膜から支持体フィルムを剥離し、その後、露光装置(清和光学製作所社製、SME-150GA-TRJ)に、ロの字(hollow square)型で、ラインの幅(L)/内部スペースの幅(S)=5/5、10/10、15/15、20/20、25/25、30/30、35/35、40/40、45/45、50/50、60/60、70/70、80/80、90/90、100/100μmのパターンを有するフォトマスクを、露光ギャップが10μmになるようにセットし、超高圧水銀灯のLU0385フィルター透過光を感光性樹脂組成物膜に露光した。この透過光の露光量は、h線換算で800mJ/cmとした。露光の際、100μm/100μmのロの字の内部スペース中にMEMSデバイスが入るようにアライメントを調整した。
【0149】
(露光後加熱)
露光後、感光性樹脂組成物膜付の基板を100℃のホットプレートで5分間加熱した。
【0150】
(現像工程)
次に、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38質量%水溶液を用いて感光性樹脂組成物膜付の基板に対してパドル現像を行い、これにより、感光性樹脂組成物層の未露光部を除去し、ロの字型のパターンを有するパターン樹脂膜付の基板を得た。このパドル現像の実行時間は180秒間とした。
【0151】
(リンス処理・乾燥)
続いて、パターン樹脂膜付の基板に対して、水によりリンス処理を60秒間行った。その後、パターン樹脂膜付の基板に対してスピン乾燥を行った。
【0152】
(接合工程)
その後、上記のパターン樹脂膜付の基板および制御ICを有するシリコンウエハを、パターン樹脂膜付の基板のパターン樹脂膜側の面と、制御ICを有するシリコンウエハのデバイス面とが対向するように真空ラミネーターに配置し、接合を行い、中空構造を有する積層体を得た。この時の接合条件は、圧力は0.3MPa、温度は150℃、時間は120秒とした。この接合の際、制御ICとMEMSデバイスとの位置合わせを行った。
【0153】
(加熱硬化処理)
その後、イナートオーブンを用いて、窒素気流下(酸素濃度20ppm以下)、60℃から200℃まで1時間で昇温し、200℃で1時間、この樹脂パターンの加熱硬化処理を行った。キュア後の感光性樹脂組成物層の温度が50℃以下になったところで前記積層体をイナートオーブンから取り出し、ダイシング装置を用い、MEMSデバイスと制御ICを接合している樹脂パターンの外周部分を切断し、中空構造を有する積層体から形成された電子部品を得た。樹脂パターン側面にクラックやボイドは形成されておらず、中空構造が形成されていた。前記積層体を割断し、断面を観察したところ、樹脂パターンは矩形形状で、中空密閉構造ができていることを確認できた。また、樹脂パターンの厚みは8.8μmであった。
【0154】
前記ウエハ積層体を割断し、各ライン(L)/内部スペース(S)での断面写真を観察した。スペースが15μmまで開口していることを確認した。
【0155】
実施例1における現像後膜のガラス転移は70℃、硬化膜のガラス転移温度は223℃であった。硬化膜の5%熱重量減少温度は374℃と非常に高い温度であった。残膜率は88%であった。Siおよびガラスとの接合力は、それぞれ、72MPa、60MPaと、非常に高い接合力を得た。
【符号の説明】
【0156】
1:基板1
2:基板2
3:MEMS素子
4:半導体素子
5:パターン樹脂膜
図1