(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165257
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/60 20060101AFI20241121BHJP
H04N 1/46 20060101ALI20241121BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20241121BHJP
H04N 9/64 20230101ALI20241121BHJP
G01J 3/46 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H04N1/60
H04N1/46
G06T1/00 510
H04N9/64 A
G01J3/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081293
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】武井 智彦
【テーマコード(参考)】
2G020
5B057
5C066
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA14
2G020DA34
2G020DA35
2G020DA43
2G020DA63
5B057AA11
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC01
5B057CE17
5B057CE18
5B057DA17
5B057DC25
5C066AA05
5C066BA20
5C066CA08
(57)【要約】
【課題】ディスプレイに表示される印刷物の画像の色味を単一の計算手法を用いて再現する場合に比して、標準照明より低い色温度の照明下で印刷物の画像を観察する場合における色味の再現性を高める。
【解決手段】1又は複数のプロセッサを有し、1又は複数のプロセッサは、観察地の照明から第1色情報を取得し、印刷に使用する用紙について第2色情報を取得し、照明の下で観察される特定色の色空間上における目標値の計算に使用する計算手法を、第1色情報に応じて切り替え、切り替え後の計算手法と第2色情報とに基づいて、特定色の色空間上における目標値を計算する、画像処理システムを提供する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のプロセッサを有し、
前記1又は複数のプロセッサは、
観察地の照明から第1色情報を取得し、
印刷に使用する用紙について第2色情報を取得し、
前記照明の下で観察される特定色の色空間上における目標値の計算に使用する計算手法を、前記第1色情報に応じて切り替え、
切り替え後の前記計算手法と前記第2色情報とに基づいて、前記特定色の色空間上における目標値を計算する、
画像処理システム。
【請求項2】
前記1又は複数のプロセッサは、
ディスプレイ上の特定色の表示に用いる画素値を前記目標値に応じて決定する、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記1又は複数のプロセッサは、
ディスプレイ上における特定色の見え方が前記目標値で定めた色味に一致するように前記画素値を決定する、
請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記1又は複数のプロセッサは、
前記第1色情報を前記照明の測色を通じて取得する、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記1又は複数のプロセッサは、
前記第2色情報として用紙から測色された値を使用する、
請求項4に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記特定色は白である、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記1又は複数のプロセッサは、
前記第1色情報に対応する色温度が標準照明の色温度の下限よりも小さい場合には第1計算手法を使用し、
前記第1色情報に対応する色温度が標準照明の色温度の下限よりも大きい場合には第2計算手法を使用する、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記1又は複数のプロセッサは、
前記第1色情報に対応する色温度が白色、温白色、電球色、又は昼光色の場合には前記目標値の計算に第1計算手法を使用し、
前記第1色情報に対応する色温度が昼白色の場合には前記目標値の計算に第2計算手法を使用する、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項9】
コンピュータに、
観察地の照明から第1色情報を取得する機能と、
印刷に使用する用紙について第2色情報を取得する機能と、
前記照明の下で観察される特定色の色空間上における目標値の計算に使用する計算手法を、前記第1色情報に応じて切り替える機能と、
切り替え後の前記計算手法と前記第2色情報とに基づいて、前記特定色の色空間上における目標値を計算する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷業界では、色の再現性が重要である。このため、用紙物を印刷する前には、担当者による「色校正」が行われている。色校正には、「標準照明」と呼ばれる昼白色の照明が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リモートワークの普及等に伴い、標準照明が使えない環境下におけるデジタル色校正を支援する技術が求められている。しかし、観察地で使用される照明の色温度は様々である。
【0005】
本発明は、ディスプレイに表示される印刷物の画像の色味を単一の計算手法を用いて再現する場合に比して、標準照明より低い色温度の照明下で印刷物の画像を観察する場合における色味の再現性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、1又は複数のプロセッサを有し、前記1又は複数のプロセッサは、観察地の照明から第1色情報を取得し、印刷に使用する用紙について第2色情報を取得し、前記照明の下で観察される特定色の色空間上における目標値の計算に使用する計算手法を、前記第1色情報に応じて切り替え、切り替え後の前記計算手法と前記第2色情報とに基づいて、前記特定色の色空間上における目標値を計算する、画像処理システムである。
請求項2に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、ディスプレイ上の特定色の表示に用いる画素値を前記目標値に応じて決定する、請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項3に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、ディスプレイ上における特定色の見え方が前記目標値で定めた色味に一致するように前記画素値を決定する、請求項2に記載の画像処理システムである。
請求項4に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、前記第1色情報を前記照明の測色を通じて取得する、請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項5に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、前記第2色情報として用紙から測色された値を使用する、請求項4に記載の画像処理システムである。
請求項6に記載の発明は、前記特定色は白である、請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項7に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、前記第1色情報に対応する色温度が標準照明の色温度の下限よりも小さい場合には前記目標値の計算に第1計算手法を使用し、前記第1色情報に対応する色温度が標準照明の色温度の下限よりも大きい場合には前記目標値の計算に第2計算手法を使用する、請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項8に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、前記第1色情報に対応する色温度が白色、温白色、電球色、又は昼光色の場合には第1計算手法を使用し、前記第1色情報に対応する色温度が昼白色の場合には第2計算手法を使用する、請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項9に記載の発明は、コンピュータに、観察地の照明から第1色情報を取得する機能と、印刷に使用する用紙について第2色情報を取得する機能と、前記照明の下で観察される特定色の色空間上における目標値の計算に使用する計算手法を、前記第1色情報に応じて切り替える機能と、切り替え後の前記計算手法と前記第2色情報とに基づいて、前記特定色の色空間上における目標値を計算する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、ディスプレイに表示される印刷物の画像の色味を単一の計算手法を用いて再現する場合に比して、標準照明より低い色温度の照明下で印刷物の画像を観察する場合における色味の再現性を高めることができる。
請求項2記載の発明によれば、ディスプレイ上における色の見え方を標準照明下の色の見え方に近づけることができる。
請求項3記載の発明によれば、ディスプレイ上における色の見え方を標準照明下の色の見え方に近づけることができる。
請求項4記載の発明によれば、どのような照明を用いる場合でもディスプレイ上における色の見え方を標準照明下の色の見え方に近づけることができる。
請求項5記載の発明によれば、どのような用紙を用いる場合でもディスプレイ上における色の見え方を標準照明下の色の見え方に近づけることができる。
請求項6記載の発明によれば、色の見え方の再現性を高めることができる。
請求項7記載の発明によれば、標準照明より低い色温度の照明下で観察される印刷物の画像の色味の再現性を高くできる。
請求項8記載の発明によれば、標準照明よりも低い色温度の照明下で観察される印刷物の画像の色味の再現性を高くできる。
請求項9記載の発明によれば、ディスプレイに表示される印刷物の画像の色味を単一の計算手法を用いて再現する場合に比して、標準照明より低い色温度の照明下で印刷物の画像を観察する場合における色味の再現性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施の形態1で想定する情報処理システムの構成例を説明する図である。
【
図3】サーバのハードウェア構成の一例を説明する図である。
【
図4】サーバの機能構成の一例を説明する図である。
【
図6】代表的な色温度と各係数の関係を記録した係数表の一例を説明する図表である。
【
図7】照明の色温度が3700Kの場合に対応する係数表である。
【
図8】ディスプレイのプロファイル設定画面の一例を説明する図である。
【
図9】照明測色値取得部、補正式決定部、用紙測色値取得部及び目標値演算部による処理動作を説明するフローチャートである。
【
図10】ディスプレイ測色値取得部、設定値演算モデル作成部、設定値演算部及びディスプレイ設定部による処理動作を説明するフローチャートである。
【
図11】白色の調整前後における階調補正曲線の変化を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
<実施の形態>
<色温度>
図1は、色温度を説明する図である。色温度の数値が高い(すなわち右側)ほど青みを帯びた白色となり、色温度の数値が低い(すなわち左側)ほど赤みを帯びた色となる。
前述したように、印刷会社等における色校正には、5000K前後の標準照明が使用される。標準照明は、「昼白色」とも呼ばれる。
図1では、昼白色を、概略4750K~5250Kの範囲とする。もっとも、この区分は一例である。
【0010】
図1には、他の色区分も示されている。例えば4000K前後の「白色」、3500K前後の「温白色」、2800K前後の「電球色」、6500K前後の「昼光色」である。
白色は、一般家庭やオフィスで使用される蛍光灯の色として知られている。温白色は、電球色と白色との中間色である。昼光色は、倉庫やショッピングモールで使用される。
以下では、標準照明以外の色温度の照明光下でも、正確なデジタル色校正を可能とする技術について説明する。
【0011】
<システム構成>
図2は、実施の形態1で想定する情報処理システム1の構成例を説明する図である。
図2に示す情報処理システム1は、サーバ10と、ネットワークNと、リモートワーカーWの自宅20とで構成されている。
ネットワークNは、例えばインターネット、無線LAN(=Local area network)、4G、5Gその他の移動通信システムである。
図2におけるサーバ10は、例えばリモートワーカーWが勤務する印刷会社が運営している。もっとも、サーバ10は、デジタル色校正サービスを提供する事業者が運営してもよい。
【0012】
図2では、リモートワーカーWの自宅20を例示しているが、デジタル色校正に使用する場所であれば任意である。例えばレンタルブースや飲食店も含まれる。これらの場所は、観察地の一例である。
図2においては説明の都合上、リモートワーカーWが1人の場合を表しているが、実際には複数名のリモートワーカーWがいてもよい。
図2に示す自宅20の天井には照明21が設置されており、リモートワーカーWが作業するデスク上にはユーザ端末30とデジタル色校正の対象である印刷物の印刷に使用する用紙Pが配置されている。
【0013】
ユーザ端末30は、ディスプレイとコンピュータ本体で構成され、ディスプレイにはデジタル色校正の対象である印刷物の画像が表示される。このように、ディスプレイに表示された画像を用いて色校正することをデジタル色校正という。
図2の場合、ユーザ端末30は、サーバ10に対する入出力装置として使用される。すなわち、リモートワーカーWによるユーザ端末30に対する操作は、ユーザ端末30からネットワークN経由でサーバ10に送信され、サーバ10における処理結果がネットワークN経由でユーザ端末30に送信される。
なお、ユーザ端末30は、例えばデスクトップ型のコンピュータ、ノート型のコンピュータ、タブレット型のコンピュータ、スマートフォンのいずれでもよい。
【0014】
<サーバのハードウェア構成>
図3は、サーバ10のハードウェア構成の一例を説明する図である。
図3に示すサーバ10は、プロセッサ11と、BIOS(=Basic Input Output System)等が記憶されたROM(=Read Only Memory)12と、プロセッサ11のワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)13と、補助記憶装置14と、通信インタフェース15と、を有している。各デバイスは、バスその他の信号線16を通じて接続されている。
【0015】
プロセッサ11は、プログラムの実行を通じて各種の機能を実現するデバイスである。
プロセッサ11、ROM12、RAM13は、コンピュータとして機能する。
補助記憶装置14は、例えばハードディスク装置や半導体ストレージで構成される。補助記憶装置14には、プログラムや各種のデータが記憶される。ここでのプログラムは、OS(=Operating System)やアプリケーションプログラムの総称として使用する。アプリケーションプログラムの1つにリモートワーカーWによるデジタル色校正を支援するプログラムがある。
【0016】
通信インタフェース15は、ネットワークNを通じてユーザ端末30(
図2参照)と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース15は、各種の通信規格に対応する。ここでの通信規格には、例えばイーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、移動体通信システムがある。
【0017】
<ユーザ端末のハードウェア構成>
ユーザ端末30のハードウェア構成は、サーバ10と概略同じである。ただし、ユーザインタフェースとしてのディスプレイ、マウス、キーボードなどが追加される。因みに、ユーザ端末30が、ノート型のコンピュータ、タブレット型のコンピュータ、スマートフォンの場合には、ディスプレイに表示された画像の視認を妨げない透過性を有する静電容量式のタッチセンサが取り付けられる。この種のタッチセンサとディスプレイを組み合わせたデバイスはタッチパネルと呼ばれる。
【0018】
<サーバの機能構成>
図4は、サーバ10の機能構成の一例を説明する図である。なお、
図4に示す機能構成は、プロセッサ11(
図3参照)によるプログラムの実行を通じて実現される。
図4に示す機能部は、プログラムの実行を通じて実現される機能のうち、デジタル色校正に使用するディスプレイの表示色を照明光の色温度に応じて調整するための機能に対応する。
【0019】
図4に示すサーバ10は、照明測色値取得部101と、補正式決定部102と、用紙測色値取得部103と、目標値演算部104と、ディスプレイ測色値取得部105と、設定値演算モデル作成部106と、設定値演算部107と、ディスプレイ設定部108とで構成される。
本実施の形態におけるサーバ10は、照明21の下でディスプレイに表示される白色の見え方が、標準照明下における白色の見え方と一致するように、色空間上における白色の目標値を決定する。
【0020】
白色の見え方に着目するのは、人は白と黒を基準に色を見るという知見による。
この知見によると、デジタル色校正で使用するディスプレイ上の白の見え方が標準照明下における白の見え方と異なる場合、ディスプレイ上で観察される画像の色味が標準照明下で観察される色味と異なって見えることになる。すなわち、デジタル色校正で観察する画像の色味の再現が不正確になる。
そこで、本実施の形態では、デジタル色校正のための特定色として白色を使用する。
【0021】
照明測色値取得部101は、リモートワーカーWが作業する環境の照明21(
図2参照)の色を取得する機能部である。なお、照明21の色の測定には、不図示の測色計を使用する。本実施の形態の場合、リモートワーカーWが測色計を用いて照明21の色を測定する。
図4の場合、照明21の色を表す測色値は、ユーザ端末30を通じて照明測色値取得部101にアップロードされる。この照明21から測定される測色値は第1色情報の一例である。
本実施の形態の場合、測色値は、XYZ表色系のx値とy値で与えられる。x値は、XYZ表色系におけるX値とY値とZ値の合計に対するX値の割合であり、y値は、XYZ表色系におけるX値とY値とZ値の合計に対するY値の割合である。
【0022】
補正式決定部102は、取得された測色値に応じて白色の目標値の算出に使用する補正式を決定する機能部である。本実施の形態の場合、補正式の計算手法は2種類である。
図5は、2種類の計算手法を説明する図である。横軸は照明21の色温度であり、縦軸は補正値である。
ここでの補正値は、紙面における白の見え方とディスプレイ上の白の見え方を一致させるために必要な紙面上の測色値とディスプレイ上の測色値との差分の大きさに相当する。
【0023】
すなわち、
図5に示す補正値を満たすようにディスプレイ上の白色を与える色空間上のx値とy値を定めれば、照明21の下でディスプレイに表示される白色の見え方が標準照明下における紙面の白色の見え方と一致するようになる。
つまり、ディスプレイに表示される印刷物の画像の色味の再現性が高くなる。その結果、任意の照明下における正確なデジタル色校正が可能になる。
【0024】
本実施の形態の場合、計算手法1は、照明21の測色値に対応する色温度が4000K以下の場合に使用され、計算手法2は、照明21の測色値に対応する色温度が4000Kより大きい場合に使用される。
ここでの計算手法1と計算手法2の違いは、色温度の変化に対する補正値の変化の現れ方による。なお、計算手法1は第1計算手法の一例であり、計算手法2は第2計算手法の一例である。
【0025】
例えば計算手法1で決定した補正式により算出される補正値は、照明21の色温度によらずほぼ一定となる。
一方、計算手法2で決定した補正式により算出される補正値は、照明21の色温度が高くなるのに伴って低下する。なお、
図5では色温度の上昇に逆比例するように補正値が線形に低下しているが、非線形に低下してもよい。
【0026】
因みに計算手法1で決定される補正式と計算手法2で決定される補正式は、いずれも用紙Pの測色値を変数とする次式で表現される。
目標値x=a×用紙の測色値+b …式1
目標値y=c×用紙の測色値+d …式2
ここでの目標値x、yは、ディスプレイに表示する白色の色空間上のx値とy値の目標値である。
【0027】
なお、係数a、cは各補正式の傾きを与え、係数b、dは各補正式の切片を与える。
因みに、計算手法1で決定される補正式の係数a、b、c、dは、色温度の違いによらず補正値が一定となるように定められる。
一方、計算手法2で決定される補正式の係数a、b、c、dは、色温度が高くなるにつれて補正値が線形に減少するように定められている。
【0028】
各色温度に応じた係数a、b、c、dの値は、代表的な色温度について用意された係数表に基づいて決定される。なお、照明21の測色値に応じた係数a、b、c、dが決定されると、白色の目標値の算出に使用する補正式が決定される。
図6は、代表的な色温度と各係数の関係を記録した係数表の一例を説明する図表である。
図6に示す係数表は、例えば補助記憶装置14(
図3参照)に記録されている。
【0029】
図6に示す係数表には、代表的な色温度として「3300K」と、「4200K」と、「5000K」と、「6700K」の4つが示されている。もっとも、代表的な色温度の数値は一例である。また、記録する色温度の数は4つに限らず、例えば3つでも、5つ以上でもよい。
本実施の形態の場合、代表的な色温度に応じた係数a、b、c、dは、例えば以下の手順により決定される。
【0030】
まず、複数種類の色温度の照明と1種類以上の色の用紙を用意する。
次に、各色温度で紙面上の白色点の見た目とディスプレイ上の白色点の見た目が一致した場合における紙面上の白色点の測色値(すなわちx値、y値)とディスプレイ上の白色点の測色値(すなわちx値、y値)との差(以下「測色値差」という。)を算出する。
測色値差は、例えば2つのx値の差Δxと2つのy値の差Δyの二乗和として計算する。因みに、ここでの差Δxが前述した補正式の目標値xを与え、差Δyが前述した補正式の目標値yを与える。
【0031】
計算された測色値差を縦軸、色温度を横軸とする2軸グラフ上にマッピングすると、
図5とほぼ同形状に変化する特性図が得られる。換言すると、
図5に示す折線図は、この特性図に対応する。
例えば「3300K」に対応する係数a、b、c、dは、標準照明下で観察される紙面上の白色点の測色値と3300Kの照明下で表示されるディスプレイ上の白色点の測色値との差Δx、Δyが
図5に示す補正値を満たすように導出される。
【0032】
因みに、
図6に示す係数表には、目標値xを与える補正式の傾き(すなわち係数a)として3.11E-06が記録され、切片(すなわち係数b)として0.021が記録されている。同様に、目標値yを与える補正式の傾き(すなわち係数c)として3.80E-05が記録され、切片(すなわち係数d)として-0.049が記録されている。
図6に示す係数表には、「4200K」、「5000K」、「6700K」についても、対応する係数a、b、c、dが記録されている。
【0033】
もっとも、照明21の色温度は、
図6の係数表に用意した4つの色温度と一致するとは限らない。
そこで、補正式決定部102は、照明21の色温度に対応する補正式を決定するための係数a、b、c、dを
図6に示す係数表から決定する。例えば線形補間や多項式近似等を用いて、各色温度に応じた補正式を決定する。
例えば照明21の色温度が3700Kで使用する係数aは、3300Kの係数aと4200Kで使用する係数aの線形補間として導出が可能である。係数b、c、dについても同様である。
【0034】
具体的には、次式として算出が可能である。
a =3.11E-06 + (1.71E-05 - 3.11E-06) * (3700 - 3300) / (4200 - 3200) …式3
b =0.021 + (-0.028 - 0.021) * (3700 - 3300) / (4200 - 3200) …式4
c =3.80E-05 + (1.80E-05 - 3.80E-05) * (3700 - 3300) / (4200 - 3200) …式5
d =-0.049 + (-0.082 - 0.049) * (3700 - 3300) / (4200 - 3200) …式6
【0035】
図7は、照明21の色温度が3700Kの場合に対応する係数表である。
図7の場合、係数aは1.5E-05であり、係数bは-0.024であり、係数cは2.67E-05であり、係数dは-0.08である。
この場合、補正式は次式となる。
目標値x=1.50E-05×用紙の測色値-0.024 …式7
目標値y=2.67E-05×用紙の測色値-0.080 …式8
このような手順により、補正式決定部102(
図4参照)は、リモートワーカーWがデジタル色校正を行う場所の照明21の色温度に応じた補正式を決定する。
【0036】
用紙測色値取得部103は、デジタル色校正の対象である印刷物の用紙Pの色を測定する機能部である。用紙Pの色の測定にも測色計が使用される。本実施の形態の場合、リモートワーカーWが測色計を用いて用紙Pの色を測定する。
図4の場合、用紙Pの色を表す測色値は、ユーザ端末30を通じて用紙測色値取得部103にアップロードされる。この用紙Pから測定される測色値は第2色情報の一例である。
【0037】
目標値演算部104は、照明21の測色値に応じて決定された補正式と、用紙Pの測色値を用いて目標値を演算する機能部である。なお、用紙Pの測色値が与えられない場合には、例えばOSコート紙などの標準紙について事前に測定された色温度が用いられる。
例えば照明21の色温度が3700Kであり、用紙Pの色温度が3655Kの場合、目標値x、yは次式として算出される。
目標値x = 1.50E-05 * 3655 - 0.024 …式9
目標値y = 2.67E-05 * 3655 - 0.080 …式10
【0038】
ディスプレイ測色値取得部105は、リモートワーカーWがデジタル色校正に使用するディスプレイの色を取得する機能である。ディスプレイの表示色の測定にも測色計が使用される。本実施の形態の場合、リモートワーカーWが測色計を用いてディスプレイ上の白色を測定する。
図4の場合、ディスプレイ上の白色点に対応する測色値は、ユーザ端末30を通じて用紙測色値取得部103にアップロードされる。
設定値演算モデル作成部106は、ディスプレイに白色点を出力させるRGB値と測色値とを対応付けた設定値モデルを作成する機能部である。作成された設定値モデルは、設定値演算部107に与えられる。
【0039】
設定値演算部107は、目標値演算部104で算出された白色の目標値と、設定値演算モデル作成部106から与えられた設定値モデルとに基づいて、目標値として与えられたx値とy値を再現するRGB値を決定する機能部である。
ディスプレイ設定部108は、リモートワーカーWが使用するユーザ端末30に対し、ディスプレイ上の白色点の出力に使用するRGB値を設定する機能部である。
【0040】
ユーザ端末30は、例えば設定されたRGB値に基づいてディスプレイの階調補正曲線を調整する。なお、白色の調整は、例えばOSの機能による調整、ディスプレイドライバによる調整、ディスプレイのカラープロファイルの調整によっても可能である。
【0041】
<ユーザインタフェース画面>
図8は、ディスプレイのプロファイル設定画面200の一例を説明する図である。
図8に示すプロファイル設定画面200には、プロファイル名の設定欄201と、作成条件の設定欄202と、輝度の設定欄203と、白色点の設定欄204と、ディスプレイ測色データの設定欄205と、観察照明測色データの設定欄206と、用紙測色データ207の設定欄と、「作成」ボタン208と、「閉じる」ボタン209が設けられている。
【0042】
図8の場合、白色点の設定欄204における「紙白補正」欄の下方には、「色温度指定」、「紙白補正(D50)」、「補正しない」、「観察照明下の紙白補正」がプルダウン表示されている。
図8では、「観察照明下の紙白補正」が選択状態にある。「観察照明下の紙白補正」が選択された場合、照明21(
図2参照)の色温度に応じたディスプレイ上の白色点の調整が実行される。なお、D50は、標準照明のことである。
【0043】
ディスプレイ測色データの設定欄205には、「新しく測色する」と、「測色データを使用する」の2つのラジオボタンが用意されている。
図8では、「新しく測色する」のラジオボタンにチェックが入れられている。なお、「測色データを使用する」のラジオボタンにチェックが入れられている場合、補助記憶装置14に記憶されている測色データが読み出される。
【0044】
観察照明測色データの設定欄206には、「新しく測色する」と、「測色データを使用する」の2つのラジオボタンが用意されている。なお、「測色データを使用する」に対応するラジオボタンの近くには、既存の測色結果が格納されたファイル名が表示されている。
図8では、既存の測色結果を使用するため、「測色データを使用する」のラジオボタンにチェックが入れられている。
【0045】
用紙測色データの設定欄207には、「新しく測色する」、「測色データを使用する」、「使用しない」の3つのラジオボタンが用意されている。
図8では、「使用しない」のラジオボタンにチェックが入れられている。
なお、「作成」ボタン208が操作されると、リモートワーカーWが設定したプロファイルが作成される。
一方、「閉じる」ボタン209が操作されると、プロファイルは作成されない。なお、リモートワーカーWが設定した項目がある場合には全てキャンセルされる。
【0046】
<ディスプレイに表示される白色点の調整処理>
以下では、ディスプレイのプロファイル設定画面200(
図8参照)において、「観察照明下の紙白補正」が選択された場合にプロセッサ11(
図3参照)が実行する処理動作について説明する。
図9は、照明測色値取得部101(
図4参照)、補正式決定部102(
図4参照)、用紙測色値取得部103(
図4参照)及び目標値演算部104(
図4参照)による処理動作を説明するフローチャートである。なお、図中に示す記号のSはステップを表している。
【0047】
まず、プロセッサ11は、照明21(
図2参照)の測色値を取得する(ステップ1)。照明の測色値は、照明測色値取得部101によって取得される。
なお、測色計により新たに測定する場合、照明測色値取得部101は、測色計の測色値をユーザ端末30(
図2参照)から入力する。これに対し、既存の測色値を使用する場合、照明測色値取得部101は、補助記憶装置14(
図3参照)から測色データを読み出す。
【0048】
次に、プロセッサ11は、取得した測色値に基づいて補正式を決定する(ステップ2)。この決定処理は、補正式決定部102が実行する。前述したように、補正式決定部102は、照明21の色温度が4000K以下の場合、計算手法1によって補正式を決定し、照明21の色温度が4000Kより大きい場合、計算手法2によって補正式を決定する。
【0049】
続いて、プロセッサ11は、用紙の測色値による補正を行うか否かを判定する(ステップ3)。ここでの判定は、ディスプレイのプロファイル設定画面200に対する設定に依存する。
ステップ3で肯定結果が得られた場合、プロセッサ11は、用紙の測色値を取得する(ステップ4)。用紙の測色値の取得は、用紙測色値取得部103が実行する。
【0050】
なお、新たに測色する場合、用紙測色値取得部103は、測色計の測色値をユーザ端末30(
図2参照)から入力する。実際に印刷に使用する用紙Pの測色値を取得することにより、ディスプレイ上に表示される画像の色味の再現性を、標準照明下で印刷物を観察する場合の見え方により正確に近づけることが可能になる。
これに対し、既存の測色値を使用する場合、用紙測色値取得部103は、補助記憶装置14(
図3参照)から測色データを読み出す。
【0051】
次に、プロセッサ11は、用紙の測色値を補正式に代入し、白色点の目標値を算出する(ステップ5)。この処理は、目標値演算部104が実行する。具体的には、目標値演算部104は、式1及び式2に基づいて、目標値xと目標値yを算出する。
これに対し、ステップ3で否定結果が得られた場合、プロセッサ11は、固定値を補正式に代入し、白色点の目標値を算出する(ステップ6)。
ここでの固定値は、例えばOSコート紙などの標準紙について事前に測定された色温度であり、補助記憶装置14に予め登録されている。
以上により、目標値の設定が完了する。
【0052】
次に、プロセッサ11は、ディスプレイの色調整を実行する。
図10は、ディスプレイ測色値取得部105(
図4参照)、設定値演算モデル作成部106(
図4参照)、設定値演算部107(
図4参照)及びディスプレイ設定部108(
図4参照)による処理動作を説明するフローチャートである。
【0053】
まず、プロセッサ11は、ディスプレイの測色値を取得する(ステップ11)。ディスプレイの測色値は、ディスプレイ測色値取得部105によって取得される。
なお、測色計により新たに取得する場合、ディスプレイ測色値取得部105は、測色計の測色値をユーザ端末30(
図2参照)から入力する。
これに対し、既存の測色値を使用する場合、ディスプレイ測色値取得部105は、補助記憶装置14(
図3参照)から測色データを読み出す。
【0054】
次に、プロセッサ11は、ディスプレイのRGB値と測色値を対応付けた演算モデルを作成する(ステップ12)。具体的には、測色された位置の色のRGB値が対応付けられれる。この作成処理は、設定値演算モデル作成部106が実行する。
次に、プロセッサ11は、照明の色温度に応じて定められた白色の目標値x、yをディスプレイ上で再現するRGB値を設定する(ステップ13)。この処理は、設定値演算部107が実行する。
【0055】
次に、プロセッサ11は、ディスプレイを調整する(ステップ14)。具体的には、ディスプレイのホワイトバランスが調整される。この処理は、ディスプレイ設定部108が実行する。その結果、ディスプレイに表示される画像の色味の再現性を、標準照明下で印刷物を観察する場合の色味に近づけることができる。
【0056】
図11は、白色の調整前後における階調補正曲線の変化を説明する図である。調整前の階調補正曲線は、255階調の画像データの入力を255階調の画像データとして出力とする。これに対し、調整後の階調補正曲線は、255階調の画像データの入力を240階調の画像データとして出力している。
【0057】
この調整の結果、照明21の色温度が標準照明と異なる場合でも、ディスプレイ上における白色点の見え方は標準照明下で観察する場合と同様になる。前述したように、人による色の見え方は白の見え方が影響する。従って、前述した処理動作の実行により、リモートワーク中も、標準照明下で印刷物を観察する場合と同様の色味をディスプレイ上で再現することが可能になる。その結果、デジタル色校正の正確性を高めることが可能になる。
【0058】
<他の実施の形態>
(1)以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。前述した実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0059】
(2)前述の実施の形態の場合、測色値をXYZ表色系のx値とy値で与えているが、XYZ表色系のXYZ値で与えてもよいし、Lab表色系のab値で与えてもよいし、他の表色系で表現される値で与えてもよい。
【0060】
(3)前述の実施の形態では、特定色の一例として白色を使用したが、赤や青その他の色を特定色としてもよい。
【0061】
(4)前述の実施の形態では、照明21の色温度が4000K以下の場合には計算手法1を使用し、照明21の色温度が4000Kより大きい場合には計算手法2を使用しているが、4000Kに代えて3500Kを使用してもよく、3750Kを使用してもよく、4750Kを使用してもよい。なお、照明21の色温度が5250K以上の場合にも計算手法1を使用してもよい。
【0062】
(5)前述の実施の形態では、照明21の色温度が4000K以下の場合には計算手法1を使用し、照明21の色温度が4000Kより大きい場合には計算手法2を使用しているが、照明21の色温度が標準照明の色温度の下限値よりも小さい場合と標準照明の色温度の上限値より大きい場合には計算手法1を使用し、照明21の色温度が標準照明の色温度を満たす場合には計算手法2を使用してもよい。
【0063】
(6)前述の実施の形態では、照明21の色温度が4000K以下の場合には計算手法1を使用し、照明21の色温度が4000Kより大きい場合には計算手法2を使用しているが、照明21の色温度が白色、温白色、電球色、又は昼光色の場合には計算手法1を使用し、照明21の色温度が昼白色の場合には計算手法2を使用してもよい。
【0064】
(7)前述した実施の形態では、リモートワークにおけるデジタル色校正を前提として説明したが、客先などの外出先でデジタル色校正を行う場合にも活用が可能である。また、勤務先におけるデジタル色校正にも活用が可能である。
【0065】
(8)前述した実施の形態におけるプロセッサは、広義的な意味でのプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU(=Central Processing Unit))の他、専用的なプロセッサ(例えばGPU(=Graphical Processing Unit)、ASIC(=Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(=Field Programmable Gate Array)、プログラム論理デバイス等)を含む。
また、前述した各実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサが単独で実行してもよいが、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して実行してもよい。また、プロセッサにおける各動作の実行の順番は、前述した各実施の形態に記載した順番のみに限定されるものでなく、個別に変更してもよい。
【0066】
(9)前述の実施の形態では、サーバ10(
図2参照)において、デジタル色校正を行う場所に設けられている照明21(
図2参照)の色温度に応じてディスプレイ上の白色点の目標値x、yを算出し、ディスプレイの色調整を実行する処理の全てを実行しているが、対応する処理の全部をユーザ端末30(
図2参照)で実行してもよい。また、同処理をサーバ10とユーザ端末30の連携により実行してもよい。すなわち、複数のプロセッサの連携により、前述した処理動作を実現してもよい。
【0067】
<付記>
(((1)))
1又は複数のプロセッサを有し、前記1又は複数のプロセッサは、観察地の照明から第1色情報を取得し、印刷に使用する用紙について第2色情報を取得し、前記照明の下で観察される特定色の色空間上における目標値の計算に使用する計算手法を、前記第1色情報に応じて切り替え、切り替え後の前記計算手法と前記第2色情報とに基づいて、前記特定色の色空間上における目標値を計算する、画像処理システム。
(((2)))
前記1又は複数のプロセッサは、ディスプレイ上の特定色の表示に用いる画素値を前記目標値に応じて決定する、(((1)))に記載の画像処理システム。
(((3)))
前記1又は複数のプロセッサは、ディスプレイ上における特定色の見え方が前記目標値で定めた色味に一致するように前記画素値を決定する、(((2)))に記載の画像処理システム。
(((4)))
前記1又は複数のプロセッサは、前記第1色情報を前記照明の測色を通じて取得する、(((1)))~(((3)))のいずれか1つに記載の画像処理システム。
(((5)))
前記1又は複数のプロセッサは、前記第2色情報として用紙から測色された値を使用する、(((4)))に記載の画像処理システム。
(((6)))
前記特定色は白である、(((1)))~(((5)))のいずれか1つに記載の画像処理システム。
(((7)))
前記1又は複数のプロセッサは、前記第1色情報に対応する色温度が標準照明の色温度の下限よりも小さい場合には前記目標値の計算に第1計算手法を使用し、前記第1色情報に対応する色温度が標準照明の色温度の下限よりも大きい場合には前記目標値の計算に第2計算手法を使用する、(((1)))~(((6)))のいずれか1つに記載の画像処理システム。
(((8)))
前記1又は複数のプロセッサは、前記第1色情報に対応する色温度が白色、温白色、電球色、又は昼光色の場合には第1計算手法を使用し、前記第1色情報に対応する色温度が昼白色の場合には第2計算手法を使用する、(((1)))~(((7)))のいずれか1つに記載の画像処理システム。
(((9)))
コンピュータに、観察地の照明から第1色情報を取得する機能と、印刷に使用する用紙について第2色情報を取得する機能と、前記照明の下で観察される特定色の色空間上における目標値の計算に使用する計算手法を、前記第1色情報に応じて切り替える機能と、切り替え後の前記計算手法と前記第2色情報とに基づいて、前記特定色の色空間上における目標値を計算する機能と、を実現させるためのプログラム。
【0068】
(((1)))に係る画像処理システムによれば、ディスプレイに表示される印刷物の画像の色味を単一の計算手法を用いて再現する場合に比して、標準照明より低い色温度の照明下で印刷物の画像を観察する場合における色味の再現性を高めることができる。
(((2)))に係る画像処理システムによれば、ディスプレイ上における色の見え方を標準照明下の色の見え方に近づけることができる。
(((3)))に係る画像処理システムによれば、ディスプレイ上における色の見え方を標準照明下の色の見え方に近づけることができる。
(((4)))に係る画像処理システムによれば、どのような照明を用いる場合でもディスプレイ上における色の見え方を標準照明下の色の見え方に近づけることができる。
(((5)))に係る画像処理システムによれば、どのような用紙を用いる場合でもディスプレイ上における色の見え方を標準照明下の色の見え方に近づけることができる。
(((6)))に係る画像処理システムによれば、色の見え方の再現性を高めることができる。
(((7)))に係る画像処理システムによれば、標準照明より低い色温度の照明下で観察される画像の色味の再現性を高くできる。
(((8)))に係る画像処理システムによれば、標準照明よりも低い色温度の照明下で観察される画像の色味の再現性を高くできる。
(((9)))に係るプログラムによれば、ディスプレイに表示される印刷物の画像の色味を単一の計算手法を用いて再現する場合に比して、標準照明より低い色温度の照明下で印刷物の画像を観察する場合における色味の再現性を高めることができる。
【符号の説明】
【0069】
1…情報処理システム、10…サーバ、11…プロセッサ、12…ROM、13…RAM、14…主記憶装置、15…通信インタフェース、16…信号線、20…自宅、21…照明、30…ユーザ端末、101…照明測色値取得部、102…補正式決定部、103…用紙測色値取得部、104…目標値演算部、105…ディスプレイ測色値取得部、106…設定値演算モデル作成部、107…設定値演算部、108…ディスプレイ設定部