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特開2024-165267予混合装置およびこれを備えた燃焼装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165267
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】予混合装置およびこれを備えた燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/62 20060101AFI20241121BHJP
   F23N 1/02 20060101ALI20241121BHJP
   F23N 5/18 20060101ALI20241121BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F23D14/62
F23N1/02 104Z
F23N5/18 101J
F23K5/00 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081309
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】蓬莱 岳登
(72)【発明者】
【氏名】永井 逸夫
(72)【発明者】
【氏名】宮川 晴徳
【テーマコード(参考)】
3K003
3K017
3K068
【Fターム(参考)】
3K003AB01
3K003AB06
3K003BB01
3K003BC01
3K003CA06
3K003CB03
3K003CB05
3K003CC01
3K003DA03
3K017CA04
3K017CB08
3K017CC01
3K017CD03
3K017CE01
3K017CF03
3K068AA01
3K068BB02
3K068BB13
3K068BB24
(57)【要約】
【課題】気体流路の空気圧を燃料ガスの圧力調整弁用の正確なシグナル圧として利用可能であり、かつ空気と燃料ガスを十分に攪拌混合させ得る予混合装置を提供する。
【解決手段】ファン5の吐出側に接続され、かつ気体流路19および燃料ガス流出口23が設けられている予混合装置本体部Aと、燃料ガス供給圧を制御する圧力調整弁Vと、気体流路19内の空気圧を受ける凹部開口状の受圧部32aを有する受圧部形成部32と、その支持部31と、受圧部32aにおいて受けた空気圧をシグナル圧として圧力調整弁Vに伝達するシグナル圧伝達路SPと、を備えている、予混合装置PRであって、支持部31として、気体流路19の周方向に互いに間隔を隔てた配置の複数の支持部31を備え、それらの少なくとも1つの内部に連通路35が設けられ、受圧部32aよりも空気流れ方向下流側の部位に設けられ、かつ到来した空気流を旋回流または乱流にし得るバッフル部33をさらに備えている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンと、
このファンの吐出側に接続され、かつ前記ファンの駆動により空気が流通する気体流路を内部に形成しており、前記気体流路内に燃料ガスを流出させて前記空気に混合させることが可能に燃料ガス供給路の終端の燃料ガス流出口が設けられている予混合装置本体部と、
前記燃料ガス供給路に設けられ、かつ燃料ガス供給圧をシグナル圧に対応した圧力に制御する圧力調整弁と、
前記気体流路の内周壁部から前記気体流路の中央寄り領域に向けて突出するように設けられた支持部と、
この支持部に支持されて前記気体流路内に設けられ、かつ前記燃料ガス流出口よりも空気流れ方向上流位置において空気圧を受ける凹部開口状の受圧部を有する受圧部形成部と、
前記受圧部において受けた前記空気圧を前記シグナル圧として前記圧力調整弁に伝達するシグナル圧伝達路と、
を備えている、予混合装置であって、
前記支持部として、前記気体流路の周方向に互いに間隔を隔てた配置に設けられた複数の支持部を備え、かつこれら複数の支持部のうち、少なくとも1つの支持部の内部には、前記受圧部に連通する連通路が設けられて、前記シグナル圧伝達路は、前記連通路を含んで構成されており、
前記受圧部よりも空気流れ方向下流側の部位に設けられ、かつ到来した空気流を旋回流または乱流にすることが可能なバッフル部を、さらに備えていることを特徴とする、予混合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の予混合装置であって、
前記連通路として、前記複数の支持部のそれぞれの内部に設けられた複数の連通路を備えている、予混合装置。
【請求項3】
請求項1に記載の予混合装置であって、
前記受圧部形成部および前記複数の支持部は、前記気体流路の軸長方向視における幅よりも前記気体流路の軸長方向の幅の方が大きい形態とされており、
前記受圧部は、前記受圧部形成部のうちの空気流れ方向上流側部分に形成されており、
前記バッフル部は、前記複数の支持部および/または前記受圧部形成部のうちの空気流れ方向下流側部分に設けられている、予混合装置。
【請求項4】
請求項3に記載の予混合装置であって、
前記バッフル部は、前記気体流路の軸長方向視において前記複数の支持部の相互間に位置し、かつ前記受圧部形成部の後部寄り領域から前記受圧部形成部の半径方向外方側に突出する複数の凸状の部位として構成され、または前記受圧部形成部の後部寄り領域よりも外径が大きい円板状の部位として構成されている、予混合装置。
【請求項5】
請求項4に記載の予混合装置であって、
前記バッフル部のうち、前記気体流路の空気流れ方向上流側を向く部分は、到来した空気流を旋回流にすることが可能なように前記気体流路の軸長方向に対して傾斜している、予混合装置。
【請求項6】
請求項1に記載の予混合装置であって、
前記バッフル部は、前記燃料ガス流出口よりも空気流れ方向上流側に位置している、予混合装置。
【請求項7】
請求項1に記載の予混合装置であって、
前記複数の支持部は、前記気体流路の周方向に等間隔で設けられ、
前記燃料ガス流出口としては、前記気体流路の軸長方向視において、前記複数の支持部の相互間に位置して前記周方向に等間隔の配列で設けられた複数の燃料ガス流出口を備えている、予混合装置。
【請求項8】
空気と燃料ガスを混合させた混合気を生成する予混合装置と、
この予混合装置から前記混合気の供給を受けて前記燃料ガスを燃焼させるバーナ部と、
を備えている、燃焼装置であって、
前記予混合装置として、請求項1ないし7のいずれかに記載の予混合装置が用いられていることを特徴とする、燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予混合装置およびこれを備えた燃焼装置に関する。
ここで、「予混合」とは、予混合燃焼(Premixing combustion)を行なうことを目的として、空気と燃料ガスを予め混合させ、可燃混合気を生成する処理である。
【背景技術】
【0002】
予混合装置の一例として、特許文献1に記載のものがある。
同文献に記載の予混合装置においては、ファンの吸気側に予混合装置本体部が接続されている。予混合装置本体部は、ファンの駆動により空気が流通する気体流路を内部に形成し、かつこの気体流路に面して燃料ガス流出口が設けられた構成である。このことにより、空気と燃料ガスとの混合気を生成可能である。また、予混合装置本体部には、気体流路内の空気圧を感知するためのプローブが具備されている。このプローブの先端部は、空気圧を受ける凹部開口状の受圧部であり、この受圧部において受けられた空気圧は、燃料ガス供給路に設けられた圧力調整弁のシグナル圧として用いられる。
このような構成によれば、圧力調整弁の2次圧としての燃料ガス供給圧を、気体流路における空気圧に対応した圧力に制御し、空燃比の一定化を図ることが可能である。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
第1に、特許文献1に記載されたプローブは、側面視略L字状の1本の管体であり、その取付けは、プローブの一部が気体流路の周壁部を貫通した態様、いわゆる片もち支持の態様で行なわれている。このため、プローブの先端部に位置する受圧部は、空気流れの影響を受けて振動し易い。ここで、受圧部が振動すると、受圧部において受けられた空気圧を圧力調整弁のシグナル圧として利用するに際し、このシグナル圧は、振動に起因する誤差を含んだ不適切なものとなる。これでは、空燃比の一定化を図る制御を高精度で行なうことは困難となる。
【0005】
第2に、予混合装置において生成される混合気(可燃混合気)は、空気と燃料ガスが十分に攪拌混合されたものであることも望まれる。ここで、特許文献1においては、予混合装置本体部がファンの吸気側に設けられているため、空気と燃料ガスとの混合気は、ファンを通過する段階で十分に攪拌混合される。ところが、特許文献1において、予混合装置本体部がファンの吐出側に設けられ、混合気がファンを通過しない構成とされた場合には、空気と燃料ガスを積極的に攪拌混合させることは困難となり、混合気の燃焼性が低くなる虞がある。
低炭素社会の実現手段の1つとして、燃料ガスとして、水素または水素含有ガスを用いることが考えられる。ただし、これらは発火し易いため、燃料ガスが水素または水素含有ガスとされる場合には、安全性の観点からファンの吐出側に予混合装置本体部(空気と燃料ガスとの混合部)を配置することが望まれる。これに対し、特許文献1の予混合装置は、そのような態様での使用には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6673863号公報
【特許文献2】特開2010-107174号公報
【特許文献3】特公昭58-43655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、気体流路の空気圧を燃料ガスの圧力調整弁用の正確なシグナル圧として利用できるようにして空燃比を一定化にする制御を高精度に行なうことが可能であるとともに、予混合装置本体部がファンの吐出側に接続されているにも拘わらず、空気と燃料ガスを十分に攪拌混合させることが可能な予混合装置、およびこれを備えた燃焼装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明の第1の側面により提供される予混合装置は、ファンと、このファンの吐出側に接続され、かつ前記ファンの駆動により空気が流通する気体流路を内部に形成しており、前記気体流路内に燃料ガスを流出させて前記空気に混合させることが可能に燃料ガス供給路の終端の燃料ガス流出口が設けられている予混合装置本体部と、前記燃料ガス供給路に設けられ、かつ2次圧としての燃料ガス供給圧をシグナル圧に対応した圧力に制御する圧力調整弁と、前記気体流路の内周壁部から前記気体流路の中央寄り領域に向けて突出するように設けられた支持部と、この支持部に支持されて前記気体流路内に設けられ、かつ前記燃料ガス流出口よりも空気流れ方向上流位置において空気圧を受ける凹部開口状の受圧部を有する受圧部形成部と、前記受圧部において受けた前記空気圧を前記シグナル圧として前記圧力調整弁に伝達するシグナル圧伝達路と、を備えている、予混合装置であって、前記支持部として、前記気体流路の周方向に互いに間隔を隔てた配置に設けられた複数の支持部を備え、かつこれら複数の支持部のうち、少なくとも1つの支持部の内部には、前記受圧部に連通する連通路が設けられて、前記シグナル圧伝達路は、前記連通路を含んで構成されており、前記受圧部よりも空気流れ方向下流側の部位に設けられ、かつ到来した空気流を旋回流または乱流にすることが可能なバッフル部を、さらに備えていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、受圧部形成部は、気体流路の周方向に間隔を隔てた複数の支持部に支持されているため、単なる1本の管体であった特許文献1のプローブと比較すると、受圧部の支持強度を高くし、空気流れの影響によって受圧部が容易に振動しないようにすることが可能である。したがって、受圧部において受けられた空気圧を、圧力調整弁用のシグナル圧として利用する場合には、このシグナル圧については振動に起因する誤差を含まない正確なものとすることが可能である。その結果、特許文献1よりも空燃比の一定化を適切かつ高精度に図ることができる。
第2に、受圧部よりも空気流れ方向下流側の部位には、バッフル部が設けられており、この部分に空気流が到来すると、空気流れを旋回流または乱流にすることが可能である。このため、空気と燃料ガスの攪拌混合を促進し、混合ガスの燃焼性をよくすることができる。予混合装置本体部が、ファンの吐出側に設けられている場合には、ファンの吸気側に設けられている場合とは異なり、ファンを通過する際に混合気が攪拌混合される作用は得られないものの、本発明によればバッフル部の作用により攪拌混合を促進し、混合気の燃焼性を良好なものとすることが可能である。
第3に、バッフル部は、受圧部形成部と同じく複数の支持部によって支持された状態に設け、このことにより空気流れに起因して容易に振動しないように構成することも可能である。したがって、バッフル部の振動に連鎖して受圧部が不当に振動する不具合も生じないようにすることが可能である。複数の支持部については、受圧部形成部に加え、バッフル部をも適切かつ頑丈に支持する部位として役立たせることも可能である。
第4に、複数の支持部のうち、少なくとも1つの支持部の内部には、受圧部に連通し、シグナル圧伝達路を構成する連通路が設けられているため、構成の簡素化・合理化を図る
ことができる。また、連通路が空気流れなどを阻害しないようにすることも可能である。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記連通路として、前記複数の支持部のそれぞれの内部に設けられた複数の連通路を備えている。
【0012】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、シグナル圧伝達路を構成する連通路が複数設けられているため、たとえば詰まりなどが発生して、1つの連通路がシグナル圧伝達路として適切に機能しなくなったとしても、他の連通路を利用してシグナル圧伝達を適切に図ることが可能である。したがって、シグナル圧を利用した燃料ガス供給圧制御の信頼性が高められる。複数の連通路が、複数の支持部の内部に設けられているため、全体構成の簡素化や軽量化などが一層適切に図られる。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記受圧部形成部および前記複数の支持部は、前記気体流路の軸長方向視における幅よりも前記気体流路の軸長方向の幅の方が大きい形態とされており、前記受圧部は、前記受圧部形成部のうちの空気流れ方向上流側部分に形成されており、前記バッフル部は、前記複数の支持部および/または前記受圧部形成部のうちの空気流れ方向下流側部分に設けられている。
【0014】
このような構成によれば、受圧部形成部および複数の支持部について、空気流れに対する抵抗を小さくしつつ、それらの強度を十分に確保することが可能である。また、バッフル部によって発生される空気の旋回流または乱流が、受圧部に及ばないようにすることも可能となる。したがって、受圧部において、非旋回流・非乱流状態の空気圧を適切に受けることでき、正確なシグナル圧を得る上でより好ましい。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記バッフル部は、前記気体流路の軸長方向視において前記複数の支持部の相互間に位置し、かつ前記受圧部形成部の後部寄り領域から前記受圧部形成部の半径方向外方側に突出する複数の凸状の部位として構成され、または前記受圧部形成部の後部寄り領域よりも外径が大きい円板状の部位として構成されている。
【0016】
このような構成によれば、バッフル部を含む受圧部形成部および複数の支持部の全体構成を簡易にしつつ、バッフル部に向けて空気を円滑に進行させ、旋回流または乱流を十分なボリュームで発生させることが可能である。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記バッフル部のうち、前記気体流路の空気流れ方向上流側を向く部分は、到来した空気流を旋回流にすることが可能なように前記気体流路の軸長方向に対して傾斜している。
【0018】
このような構成によれば、バッフル部の構成を簡易にしつつ、空気の旋回流を適切に発生させることが可能である。バッフル部の気体流路の空気流れ方向上流側を向く部分は、傾斜面であるため、気体流路における空気流れの抵抗を小さくすることも可能である。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記バッフル部は、前記燃料ガス流出口よりも空気流れ方向上流側に位置している。
【0020】
このような構成によれば、バッフル部を利用して発生された空気の旋回流または乱流に対して、燃料ガスを燃料ガス流出口から直接的に流れ込ませることが可能となる。したがって、混合気の攪拌混合をより促進することができる。
【0021】
本発明において、好ましくは、前記複数の支持部は、前記気体流路の周方向に等間隔で
設けられ、前記燃料ガス流出口としては、前記気体流路の軸長方向視において、前記複数の支持部の相互間に位置して前記周方向に等間隔の配列で設けられた複数の燃料ガス流出口を備えている。
【0022】
このような構成によれば、気体流路のうち、複数の支持部の相互間領域に対し、複数の燃料ガス流出口が個々に対応した配置とされるため、気体流路を流れる空気全体に対し、燃料ガスを均等に混合させる上で好ましいものとなる。多くの空気が気体流路の一部分のみに大きく偏った状態で流れることや、空気流れに対して燃料ガスが大きく偏った配置から供給されるなどの不当な現象を抑制することが可能である。
【0023】
本発明の第2の側面により提供される燃焼装置は、空気と燃料ガスを混合させた混合気を生成する予混合装置と、この予混合装置から前記混合気の供給を受けて前記燃料ガスを燃焼させるバーナと、を備えている、燃焼装置であって、前記予混合装置として、本発明の第1の側面により提供される予混合装置が用いられていることを特徴としている。
【0024】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される予混合装置について述べたのと同様な効果が得られる。
【0025】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る予混合装置を備えた燃焼装置、およびこれを含む温水装置の一例を示す概略説明図である。
図2】(a)は、図1に示す予混合装置の要部を示す概略斜視図であり、(b)は、(a)の矢視IIbの正面図である。
図3】(a)は、図2(b)のIIIa-IIIa断面図であり、(b)は、図2(b)のIIIb-IIIb断面図である。
図4図3(a)のIV-IV断面図である。
図5図2(a)の分解概略斜視図である。
図6】(a)は、図5に示す第3の部材の背面斜視図であり、(b)は、(a)に示す第3の部材のバッフル部を省略した参考図としての背面斜視図である。
図7】(a)は、図5および図6(a)に示す第3の部材の正面図であり、(b)は、その背面図であり、(c)は、その平面図であり、(d)は、その左側面図であり、(e)は、(a)のVIIe-VIIe断面図であり、(f)は、(a)のVIIf-VIIf断面図であり、(g)は、(a)のVIIg-VIIg断面図である。
図8図6(a)のVIII-VIII断面図である。
図9】(a),(b)は、図8との対比例1,2(ただし、本発明の内容に相当)を示す断面図である。
図10】(a)は、本発明の他の例を示す背面斜視図であり、(b)は、その側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0028】
図1は温水装置WHを示しており、この温水装置WHは、予混合装置PRおよびバーナ部Bを有する燃焼装置Cに、熱交換器8が具備された給湯装置として構成とされている。
【0029】
バーナ部Bは、予混合装置PRから燃料ガスと空気との混合気の供給を受け、かつその燃料ガスを燃焼させるための部位であり、複数の炎孔40aを有する炎孔プレート40が
、バーナケース41内に配された構成である。燃料ガスは、たとえば水素または水素含有ガスである。バーナケース41の上部開口部41aから前記混合気が供給されると、この混合気は炎孔プレート40の複数の炎孔40aを下向きに通過する。このような混合気に対し、不図示の点火装置によって点火がなされる。バーナ部Bによって発生された燃焼ガスは、バーナ部Bの下面の燃焼領域から下向きに進行し、熱交換器8に作用する。
【0030】
熱交換器8は、燃焼ガスから熱回収を行なうためのものであり、缶体85,86内に位置する顕熱回収用および潜熱回収用の熱交換部81,82を有している。入水口83に供給された湯水は、熱交換部82および熱交換部81を順次通過する過程において前記燃焼ガスによって加熱され、出湯口84から出湯し、所定の給湯先に供給される。
【0031】
予混合装置PRは、予混合装置本体部A、ファン5、および圧力調整弁Vを備えている。
【0032】
ファン5は、燃焼用の空気の供給用であり、たとえばシロッコファンやターボファンであり、不図示のモータにより駆動される。ただし、ファン5の具体的な種類は問わない。
【0033】
圧力調整弁Vは、予混合装置本体部Aに燃料ガスを供給するための燃料ガス供給路FPの途中箇所に設けられており、燃料ガス供給路FPのうち、この圧力調整弁Vの上流側の1次圧P1の変動の影響を受けることなく、下流側の2次圧P2を、ポート60に入力するシグナル圧Psに対応した値とする機能を有している。シグナル圧Psが高いほど、弁体61の開度は大きくなり、バーナ部Bに向けての燃料供給圧は高くなる。この作用により、予混合装置PRによって生成される混合気の空燃比の一定化を図ることが可能である。圧力調整弁Vの構造自体は、従来既知のものと同様にすることが可能であり、その詳細な説明は省略する。
ポート60は、後述するように、予混合装置本体部Aの受圧部32aとシグナル圧伝達路SPを介して繋がっている。
【0034】
予混合装置本体部Aは、その前部側(空気流れ方向上流側(図2図3図5の右側であり、以下同様)がファン5の吐出側に直接接続され、または適当な接続部材98を介して間接的に接続されている。予混合装置本体部Aの内部には、ファン5から吐出される空気が流通する気体流路19が形成され、また後述する燃料ガス流出口23が設けられており、予混合装置本体部A内において空気と燃料ガスとの混合気が生成される。予混合装置本体部Aの後部側(空気流れ方向下流側)は、バーナケース41の上部開口部41aに直接または間接的に接続され、予混合装置本体部Aからバーナケース41内への混合気の供給が可能となっている。
【0035】
図2図5に示すように、予混合装置本体部Aは、第1ないし第3の部材1~3が組み合わされて、これらの内側に気体流路19が一連に形成された構成である。第1ないし第3の部材1~3は、たとえば金属製の切削加工品、あるいは樹脂成形品などである。
【0036】
第1の部材1は、管状部材であり、その前部と後部側部に、他部材との接続を図るためのフランジ部10a,10bが設けられた構成である。第1の部材1の周壁部12には、燃料ガス導入口13が設けられており、この部分に燃料ガスが供給される。
【0037】
第2の部材2は、略矩形の枠状部20を前部に有し、かつ枠状部20の後側には、複数の燃料ガス流出口23を有する略円筒状の筒状部21が連設された構成である。また、第1のフランジ部10aとの接続を図るためのフランジ部28も備えている。
筒状部21は、第1の部材1の前寄り領域に嵌入しており、この筒状部21と第1の部材1の周壁部12との相互間には、燃料ガス導入口13を複数の燃料ガス流出口23に連
通させる空隙部24が形成されている。このことにより、燃料ガス導入口13に供給された燃料ガスは、空隙部24を通過して複数の燃料ガス流出口23に到達し、気体流路19に流出し、空気と混合される。燃料ガス供給路FPは、燃料ガス導入口13や空隙部24を含んでおり、複数の燃料ガス流出口23は、燃料ガス供給路FPの終端である。
【0038】
図5図7によく表われているように、第3の部材3は、正面視円環状の環状部30、複数の支持部31、受圧部形成部32、および複数のバッフル部33を備えている。なお、図6(b)には、複数のバッフル部33を省略した構成が示されており、支持部31の構成などについては、同図を適宜参照されたい。
第3の部材3は、第2の部材2の枠状部20の中央部に形成されている開口部25に環状部30が嵌入された状態で第2の部材2への組み付けが図られている。環状部30の内側の空間領域は、気体流路19の一部である。
【0039】
受圧部形成部32は、たとえばその全体の基本形状がノーズコーン状またはこれに類する形状であって、全体の概略形状は略円柱状である一方、後部寄り領域の外径は後側ほど徐々に減少する円錐台状である。この受圧部形成部32の空気流れ方向上流を向く前面部には、凹部開口状の受圧部32aが形成されている。
【0040】
複数の支持部31は、受圧部形成部32を気体流路19の中央に配置させて支持するための部分であり、環状部30の内周壁部(本発明でいう気体流路の内周壁部に相当)から気体流路19の中央寄り領域に向けて突出するプレート状である。
複数の支持部31および受圧部形成部32は、気体流路19の軸長方向視の幅Wc,Wdよりも気体流路19の軸長方向の幅Wa,Weの方が大きい形態とされている(図7(a),(e)を参照)。このことにより、複数の支持部31および受圧部形成部32を、空気流れに対する抵抗が小さいものとしつつ、それらの強度(振動を生じ難くする強度)を高めることが可能である。
【0041】
本実施形態においては、複数の支持部31として、たとえば3つの支持部31が気体流路19の周方向に等間隔で設けられている。これに対し、図2(b)に示すように、複数の燃料ガス流出口23は、気体流路19の軸長方向視において、複数の支持部31の相互間の位置、好ましくは相互間の中央に位置し、気体流路19の周方向に等間隔の配列で設けられている。このような構成によれば、気体流路19の前部側に供給された空気は、複数の支持部31の相互間の領域を通過するため、多くの空気が気体流路19の一部分のみに大きく偏った状態で流れることが防止される。また、そのような空気流れに対し、燃料ガスが大きく偏った配置で供給・混合されることも回避され、空気と燃料ガスとの混合を十分に図る上で好ましい。
【0042】
複数の支持部31は、好ましくは、環状部30寄り領域の幅Waよりも受圧部形成部32寄り領域の幅Wbの方が大きくされており、幅Wbと受圧部形成部32の前後幅とは略同一に揃えられている(図7(e)参照)。支持部31のうち、受圧部形成部32寄り領域の断面形状は、図8に示すように、後部寄り領域の厚みtが、後側ほど徐々に減少する形状とされている。これは、支持部31の後方に空気の渦流が発生することを抑制し、気体流路19における空気流れの抵抗を減少させる上で好ましい。
【0043】
図9(a),(b)には、図8に示した本実施形態との対比例1,2が示されている。対比例1の支持部31は、図8とは前後逆形状であり、対比例2の支持部31は、各所の厚みが一定とされている。本発明者による試験およびシミュレーションによれば、対比例1,2と比較して、図8に示した本実施形態の構成の方が、支持部31の後方に発生する空気の渦流を小さくし得ることが確認された。
【0044】
複数の支持部31のそれぞれの内部には、受圧部32aに一端が連通した小径トンネル状の連通路35が設けられている。これら複数の連通路35は、シグナル圧伝達路SPの一部を構成する部位であり、これらの他端は、環状部30の外周に形成された凹溝部36内に連通している。
図3(a)によく表われているように、凹溝部36は、第2の部材2に設けられたポート29に連通しており、このポート29は圧力調整弁Vのポート60と適当なチューブ(不図示)を介して接続されている。シグナル圧伝達路SPは、前記チューブ、ポート29、凹溝部36、および複数の連通路35が一連に繋がった構成である。
【0045】
複数のバッフル部33は、空気流を旋回流にすることが可能な部分である。複数のバッフル部33は、気体流路19の軸長方向視において、複数の支持部31の相互間に位置し、かつ受圧部形成部32の後部寄り領域から受圧部形成部32の半径方向外方側に突出する複数(本実施形態では、3つ)の凸状部位として構成されている。
図7(g)に示すように、各バッフル部33の前面部33aは、気体流路19の軸長方向に対して傾斜した傾斜面部とされており、このことによりこの前面部33aに到来した空気流は旋回流となる。同図においては、前面部33aが適当な曲率Rの曲面状であるが、これに代えて、たとえば平面状にすることも可能である。
各バッフル部33は、受圧部32aよりも空気流れ方向下流側であり、かつ燃料ガス流出口23よりも空気流れ方向上流側に位置している。
【0046】
次に、前記した予混合装置PRを備えた燃焼装置C、および温水装置WHの作用について説明する。
【0047】
まず、図1において、燃焼装置Cを駆動させる際には、ファン5から予混合装置本体部Aの気体流路19に向けて空気を吐出させる。その一方、燃料ガスを燃料ガス供給路FPを介して予混合装置本体部Aに向けて供給し、複数の燃料ガス流出口23から気体流路19内に流出させる。このことにより、空気と燃料ガスとの混合気が生成されてバーナ部Bに供給され、バーナ部Bにおいて燃料ガスを燃焼させることが可能である。このような動作時において、予混合装置本体部Aの受圧部32aにおいては、気体流路19を流れる空気の空気圧が受けられ、この空気圧はシグナル圧伝達路SPを介して圧力調整弁Vのポート60にシグナル圧Psとして伝達される。このことにより、圧力調整弁Vは、燃料ガスの2次圧を前記空気圧(シグナル圧Ps)に対応する圧力に制御する。
【0048】
ここで、受圧部形成部32は、複数の支持部31に支持されているため、その支持強度を高くし、空気流れの影響により容易に振動しないようにすることが可能である。各支持部31は、その前後幅が大きくされているため、前記支持強度を高めて振動を抑制する上で、より好ましいものとなっている。受圧部形成部32が振動すると、受圧部32aにおいて受けられた空気圧を圧力調整弁Vのシグナル圧として利用する場合に、このシグナル圧が振動に起因する誤差を含むものとなり、好ましくない。これに対し、本実施形態によれば、そのような不具合を適切に抑制することが可能である。
【0049】
一方、バッフル部33の位置に空気が進行すると、その空気流れは旋回流とされる。このことにより、空気と燃料ガスとの攪拌混合を促進し、混合ガスの燃焼性をよくすることが可能である。予混合装置本体部Aは、ファン5の吐出側に設けられているため、混合気がファン5を通過して攪拌されることはなく、予混合装置本体部Aにおいて生成された混合気は、バーナ部Bに即座に供給される。ただし、前記したバッフル部33の攪拌混合促進作用により、十分に攪拌混合された混合気をバーナ部Bに供給することが可能であり、予混合装置本体部Aがファン5の吐出側に設けられていることによるデメリットは生じないようにすることが可能である。なお、既述したように、予混合装置本体部Aがファン5の吐出側に設けられていれば、燃料ガスとして、発火し易い水素または水素含有ガスが用
いられた際の安全性を高めることが可能である。
【0050】
複数の支持部31のそれぞれの内部には、連通路35が設けられており、複数の連通路35が受圧部32aと凹溝部36とを繋ぐように設けられている。このため、それら複数の連通路35のう1つに詰まりが生じたとしても、他の連通路35を利用してシグナル圧伝達が可能である。したがって、シグナル圧Psを利用した燃料ガス供給圧制御の信頼性が高められる。また、シグナル圧伝達路SPを構成する複数の連通路35が、複数の支持部31の内部に設けられているため、全体構成の簡素化ならびに軽量化なども適切に図ることができる。
【0051】
バッフル部33は、受圧部32aよりも空気流れ方向下流側に位置しているため、受圧部32aに旋回流が作用しないようにし、正確な空気圧(シグナル圧Ps)を得る上で好ましい。一方、バッフル部33は、複数の燃料ガス流出口23よりも空気流れ方向上流側に位置しているため、バッフル部33を利用して発生された空気の旋回流に対して、燃料ガス流出口23から燃料ガスを直接的に流れ込ませることが可能となる。したがって、混合気の攪拌混合をより促進することができる。
【0052】
バッフル部33は、既述したように、空気の旋回流を生じさせるが、その前面部33aは傾斜面部とされているため、このバッフル部33の存在に起因して気体流路19における空気流れの抵抗がさほど大きくならないようにすることも可能である。また、バッフル部33は、複数の支持部31の相互間に位置し、気体流路19の周方向に等間隔で設けられているため、バッフル部33の前面部33aに空気が衝突する作用をバランスよく生じさせることも可能である。
【0053】
図10は、本発明の他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0054】
図10に示す第3の部材3Aにおいては、バッフル部33Aが円板状に形成されている。このバッフル部33Aは、受圧部形成部32の後部寄り領域よりも外径が大きく、複数の支持部31の後端に繋がっている。
本実施形態によれば、バッフル部33Aの前面部33bに空気が衝突することにより、空気の乱流を発生させることが可能である。この乱流を利用して、空気と燃料ガスとの攪拌混合を促進することが可能である。
本実施形態から理解されるように、本発明においては、バッフル部を利用して旋回流を生じさせる構成に代えて、または加えて、空気と燃料ガスとの攪拌混合を促進する非旋回流としての乱流を生じさせる構成とすることも可能である。
【0055】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る予混合装置、および燃焼装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0056】
受圧部は、気体流路における空気圧を受けることが可能な凹部開口状であればよく、その具体的な形状やサイズなどは限定されない。受圧部形成部は、受圧部を有していればよく、その全体形状は、ノーズコーン状などに限定されない。
受圧部形成部を支持する支持部は、気体流路の周方向に間隔を隔てて複数設けられていればよく、その数は3つに限定されない。支持部が2つのみ設けられた構成、あるいは4以上設けられた構成とすることができる。
連通路は、複数の支持部のすべてに必ずしも設けられていなくてもよい。
【0057】
バッフル部は、空気と燃料ガスとの攪拌混合を促進可能な旋回流または乱流を生じさせ
得るものであればよいことは既に述べたとおりである。したがって、バッフル部の具体的な形状は限定されない。また、バッフル部の数や配置も種々に変更可能である。また、上述の実施形態においては、バッフル部が、支持部および受圧部形成部の双方に跨がるように設けられているが、これに代えて、たとえば支持部または受圧部形成部の一方に設けられた構成とされていてもよい。
本発明に係る予混合装置は、燃料ガスとして、水素または水素含有ガスが用いられる場合に適するが、これに限定されず、他の種類のガスを用いることができる。
【符号の説明】
【0058】
A 予混合装置本体部
PR 予混合装置
B バーナ部
C 燃焼装置
FP 燃料ガス供給路
SP シグナル圧伝達路
V 圧力調整弁
Ps シグナル圧
19 気体流路
23 燃料ガス流出口
31 支持部
32 受圧部形成部
32a 受圧部
33,33A バッフル部
35 連通路
5 ファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10