(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165268
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】自動販売機システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/18 20120101AFI20241121BHJP
G07F 9/10 20060101ALI20241121BHJP
G06Q 20/32 20120101ALI20241121BHJP
【FI】
G06Q20/18
G07F9/10 F
G06Q20/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081310
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇梶 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】古賀 恒治
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠
【テーマコード(参考)】
3E044
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044DC01
3E044DE01
5L020AA38
5L020AA64
5L055AA38
5L055AA64
(57)【要約】
【課題】自動販売機と管理サーバとの間のネットワーク遅延や時刻ずれなどが発生しても、領収書発行開始要求と領収書発行終了要求との間に購入した1以上の商品の販売明細を確実に特定し、該特定した販売明細に対する電子領収書を発行することができる自動販売機システムを提供する。
【解決手段】管理サーバ2は、領収書発行開始要求S102及び領収書発行終了要求S111を受信した場合、自動販売機1から管理サーバ2に送信される一連のメッセージに含まれる一連の順序データであるデータ通番を用いて、領収書発行開始要求S102と領収書発行終了要求S111との間に購入した商品の販売明細を抽出し、抽出した販売明細に対する電子領収書を作成して、携帯端末3に送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を販売する自動販売機と前記自動販売機で販売された商品の電子領収書を発行する管理サーバと前記自動販売機において1以上の商品を購入する商品購入者の携帯端末とが通信接続可能であり、前記携帯端末が商品購入前後に領収書発行開始要求と領収書発行終了要求とを前記管理サーバに送信し、前記自動販売機は購入された商品の販売明細を前記管理サーバに送信し、前記管理サーバが前記領収書発行開始要求と前記領収書発行終了要求との間に購入した商品の販売明細をもとに電子領収書を作成して前記携帯端末に送信する自動販売機システムであって、
前記管理サーバは、前記領収書発行開始要求及び前記領収書発行終了要求を受信した場合、前記自動販売機から前記管理サーバに送信される一連のメッセージに含まれる一連の順序データを用いて、前記領収書発行開始要求と前記領収書発行終了要求との間に購入した商品の販売明細を抽出し、抽出した販売明細に対する電子領収書を作成して前記携帯端末に送信することを特徴とする自動販売機システム。
【請求項2】
前記自動販売機は、前記順序データとして、前記管理サーバに送信するメッセージの全てに一連のデータ通番を付し、
前記管理サーバは、前記領収書発行開始要求及び前記領収書発行終了要求を受信した場合、接続確認を前記自動販売機に送信して前記自動販売機から接続確認応答を受信し、前記領収書発行開始要求及び前記領収書発行終了要求に対する各接続確認応答のデータ通番の間のデータ通番を有する販売明細を抽出し、抽出した販売明細に対する電子領収書を作成して前記携帯端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機システム。
【請求項3】
前記順序データは、前記販売明細に含まれる取引通番であり、
前記管理サーバは、前記領収書発行開始要求及び前記領収書発行終了要求を受信した場合、最終の取引通番をインクリメントした取引通番を指定取引通番とする販売明細再送要求を前記自動販売機に送信して指定販売明細なし通知を受信し、各指定販売明細なし通知の間の取引通番を有する販売明細を抽出し、抽出した販売明細に対する電子領収書を作成して前記携帯端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記領収書発行開始要求を受信した場合、前記領収書発行開始要求を登録し、その後、他の前記領収書発行開始要求を受信した場合、先に受信した領収書発行開始要求の登録を破棄して無効にし、後に受信した他の前記領収書発行開始要求を登録して有効にすることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の自動販売機システム。
【請求項5】
前記管理サーバは、前記領収書発行開始要求を受信した場合、前記自動販売機に領収書発行開始要求受付通知を送信し、
前記自動販売機は、前記領収書発行開始要求受付通知を受信した場合、領収書発行要求受付中である旨を表示するとともに現在の領収書要求受付中の領収書発行開始要求のキャンセル操作を行う表示操作部を備え、前記表示操作部によるキャンセル操作が発生した場合、現在の領収書発行開始要求をキャンセルするキャンセル要求を前記管理サーバに通知し、
前記管理サーバは、前記領収書発行開始要求を受信した場合、前記領収書発行開始要求を登録し、前記領収書発行開始要求の受信後に前記キャンセル要求を受信した場合、前記領収書発行開始要求の登録をキャンセルし、新たな前記領収書発行開始要求の登録を許容し、前記キャンセル要求を受信しない限り、他の領収書発行開始要求を破棄することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の自動販売機システム。
【請求項6】
前記管理サーバは、1つの自動販売機に対して1つの領収書発行開始要求のみを受け付けて登録し、現在の領収書要求受付中の領収書発行開始要求を行った前記携帯端末の識別情報と異なる識別情報をもつ領収書発行終了要求を受信した場合、該領収書発行終了要求を破棄することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の自動販売機システム。
【請求項7】
前記管理サーバは、前記領収書発行開始要求の受付後、所定の領収書発行有効時間内に、受け付けた前記領収書発行開始要求に対応する前記領収書発行終了要求の受信、あるいは受け付けた前記領収書発行開始要求をキャンセルするキャンセル要求の受信がない場合、受け付けた前記領収書発行開始要求を破棄して無効にすることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の自動販売機システム。
【請求項8】
前記携帯端末は、前記領収書発行開始要求と前記領収書発行終了要求との間に購入した商品を確認する商品確認機能を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の自動販売機システム。
【請求項9】
前記携帯端末は、前記領収書発行終了要求の後に、前記管理サーバに領収書ダウンロード要求を送信し、
前記管理サーバは、前記領収書ダウンロード要求を受信した場合に、順序データを用いて、前記領収書発行開始要求と前記領収書発行終了要求との間に購入した商品の販売明細を抽出し、抽出した販売明細に対する電子領収書を作成して前記携帯端末に送信することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の自動販売機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機と管理サーバとの間のネットワーク遅延や時刻ずれなどが発生しても、領収書発行開始要求と領収書発行終了要求との間に購入した1以上の商品の販売明細を確実に特定し、該特定した販売明細に対する電子領収書を発行することができる自動販売機システム自動販売機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機は無人販売機であるが、自動販売機で購入した1以上の商品の領収書を1つの領収書として発行できることが望まれる。このため、特許文献1では、自動販売機と領収書発行サーバと商品購入者の携帯端末とを通信接続可能にし、携帯端末は、商品の購入を行う前に領収書発行開始要求を領収書発行サーバに通知し、商品の購入後に領収書発行終了要求を領収書発行サーバに通知し、領収書発行サーバは、携帯端末から領収書発行終了要求を受け付けると、領収書発光開始要求から領収書発行終了要求までの間に利用者が購入した商品の販売明細、及び、自販機マスタ7が保持する自販機ID、発行者名、発行者住所などを用いて、利用者の領収書を発行し、領収書を、利用者の携帯端末に送信する自動販売機システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のシステムでは、商品購入者自身が購入した商品の範囲(どの商品からどの商品までか)を確定するために、購入前後に携帯端末から管理サーバ(領収書発行サーバ)に領収書発行開始要求及び領収書発行終了要求を行い、管理サーバは領収書発行開始要求と領収書発行終了要求とを受けた時間内に自動販売機から受け取った販売明細を対象に領収書を発行するようにしている。この領収書は、1以上の販売明細の金額を1枚にまとめた電子領収書(PDFファイルなどの電子媒体)として発行される。
【0005】
ここで、販売明細の発生時刻を管理サーバが受信した時刻(サーバ受信時刻)としているため、ネットワーク遅延のなどにより、購入者が購入する前に他の購入者が購入した商品の販売明細が購入者の領収書に含められてしまう場合があるとともに、購入者自身が購入した商品の販売明細の領収書に反映されない場合があるという問題がある。
【0006】
また、自動販売機が発行する販売明細上の販売時刻を用いて商品購入時刻を特定すると、管理サーバの時刻と自動販売機の時刻とにずれが発生する場合があり、ネットワーク遅延などにより生じる上記の問題が同様に発生する可能性がある。なお、この自動販売機の時刻ずれは、例えば、商品補充などを行うルートマンがハンディ―ターミナルなどのPOS端末を接続して作業する際に、時刻がずれたPOS端末の時刻が自動販売機の時刻に反映してしまう場合に生じる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、自動販売機と管理サーバとの間のネットワーク遅延や時刻ずれなどが発生しても、領収書発行開始要求と領収書発行終了要求との間に購入した1以上の商品の販売明細を確実に特定し、該特定した販売明細に対する電子領収書を発行することができる自動販売機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、商品を販売する自動販売機と前記自動販売機で販売された商品の電子領収書を発行する管理サーバと前記自動販売機において1以上の商品を購入する商品購入者の携帯端末とが通信接続可能であり、前記携帯端末が商品購入前後に領収書発行開始要求と領収書発行終了要求とを前記管理サーバに送信し、前記自動販売機は購入された商品の販売明細を前記管理サーバに送信し、前記管理サーバが前記領収書発行開始要求と前記領収書発行終了要求との間に購入した商品の販売明細をもとに電子領収書を作成して前記携帯端末に送信する自動販売機システムであって、前記管理サーバは、前記領収書発行開始要求及び前記領収書発行終了要求を受信した場合、前記自動販売機から前記管理サーバに送信される一連のメッセージに含まれる一連の順序データを用いて、前記領収書発行開始要求と前記領収書発行終了要求との間に購入した商品の販売明細を抽出し、抽出した販売明細に対する電子領収書を作成して前記携帯端末に送信することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、前記自動販売機は、前記順序データとして、前記管理サーバに送信するメッセージの全てに一連のデータ通番を付し、前記管理サーバは、前記領収書発行開始要求及び前記領収書発行終了要求を受信した場合、接続確認を前記自動販売機に送信して前記自動販売機から接続確認応答を受信し、前記領収書発行開始要求及び前記領収書発行終了要求に対する各接続確認応答のデータ通番の間のデータ通番を有する販売明細を抽出し、抽出した販売明細に対する電子領収書を作成して前記携帯端末に送信することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記順序データは、前記販売明細に含まれる取引通番であり、前記管理サーバは、前記領収書発行開始要求及び前記領収書発行終了要求を受信した場合、最終の取引通番をインクリメントした取引通番を指定取引通番とする販売明細再送要求を前記自動販売機に送信して指定販売明細なし通知を受信し、各指定販売明細なし通知の間の取引通番を有する販売明細を抽出し、抽出した販売明細に対する電子領収書を作成して前記携帯端末に送信することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記管理サーバは、前記領収書発行開始要求を受信した場合、前記領収書発行開始要求を登録し、その後、他の前記領収書発行開始要求を受信した場合、先に受信した領収書発行開始要求の登録を破棄して無効にし、後に受信した他の前記領収書発行開始要求を登録して有効にすることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記管理サーバは、前記領収書発行開始要求を受信した場合、前記自動販売機に領収書発行開始要求受付通知を送信し、前記自動販売機は、前記領収書発行開始要求受付通知を受信した場合、領収書発行要求受付中である旨を表示するとともに現在の領収書要求受付中の領収書発行開始要求のキャンセル操作を行う表示操作部を備え、前記表示操作部によるキャンセル操作が発生した場合、現在の領収書発行開始要求をキャンセルするキャンセル要求を前記管理サーバに通知し、前記管理サーバは、前記領収書発行開始要求を受信した場合、前記領収書発行開始要求を登録し、前記領収書発行開始要求の受信後に前記キャンセル要求を受信した場合、前記領収書発行開始要求の登録をキャンセルし、新たな前記領収書発行開始要求の登録を許容し、前記キャンセル要求を受信しない限り、他の領収書発行開始要求を破棄することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記管理サーバは、1つの自動販売機に対して1つの領収書発行開始要求のみを受け付けて登録し、現在の領収書要求受付中の領収書発行開始要求を行った前記携帯端末の識別情報と異なる識別情報をもつ領収書発行終了要求を受信した場合、該領収書発行終了要求を破棄することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記管理サーバは、前記領収書発行開始要求の受付後、所定の領収書発行有効時間内に、受け付けた前記領収書発行開始要求に対応する前記領収書発行終了要求の受信、あるいは受け付けた前記領収書発行開始要求をキャンセルするキャンセル要求の受信がない場合、受け付けた前記領収書発行開始要求を破棄して無効にすることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記の発明において、前記携帯端末は、前記領収書発行開始要求と前記領収書発行終了要求との間に購入した商品を確認する商品確認機能を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記携帯端末は、前記領収書発行終了要求の後に、前記管理サーバに領収書ダウンロード要求を送信し、前記管理サーバは、前記領収書ダウンロード要求を受信した場合に、順序データを用いて、前記領収書発行開始要求と前記領収書発行終了要求との間に購入した商品の販売明細を抽出し、抽出した販売明細に対する電子領収書を作成して前記携帯端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、自動販売機と管理サーバとの間のネットワーク遅延や時刻ずれなどが発生しても、領収書発行開始要求と領収書発行終了要求との間に購入した1以上の商品の販売明細を確実に特定し、該特定した販売明細に対する電子領収書を発行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である自動販売機システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態による自動販売機システムにおける領収書発行処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図3】
図3は、データ通番が付された販売明細のデータフォーマットの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図2に示したシーケンスにおいてネットワーク遅延が生じた場合における領収書発行処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、自動販売機システムの詳細構成及び処理フローを示す図である。
【
図6】
図6は、管理サーバのデータベーステーブルの参照関係を示す図である。
【
図7】
図7は、領収書発行アプリの起動の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、領収書発行アプリの一連の操作を説明する説明図である。
【
図9】
図9は、領収書発行アプリにより作成された電子領収書の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、販売明細再送要求とこれに対する応答の内容を示すシーケンス図である。
【
図11】
図11は、本実施の形態の変形例1による自動販売機システムにおける領収書発行処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図12】
図12は、
図2に示した自動販売機システムの領収書発行処理において複数の領収書発行開始要求があった場合に先の領収書発行開始要求を有効にする一例を示すシーケンス図である。
【
図13】
図13は、本実施の形態の変形例2による自動販売機システムにおける領収書発行処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図14】
図14は、本実施の形態の変形例3による自動販売機システムにおける領収書発行処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図15】
図15は、本実施の形態の変形例4による領収書発行開始要求受付後の無効処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0020】
<自動販売機システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態である自動販売機システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、自動販売機1と管理サーバ2とは、インターネットなどのネットワークNを介して接続される。管理サーバ2は、複数の自動販売機1と通信接続され、各自動販売機1の販売明細などのデータをリアルタイムで取得するとともに、各自動販売機1に対する商品の価格設定や商品配置設定などの設定データを各自動販売機1に送信する。また、携帯端末3は、自動販売機1により販売される商品を購入する商品購入者が所有し、自動販売機1に対しては、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの近距離通信によって通信接続が可能であるとともに、LTEなどの通信方式によりネットワークNを介して管理サーバ2と通信接続が可能である。なお、管理サーバ2は、クラウド上のサーバであってもよい。
【0021】
この自動販売機システムは、電子領収書発行機能を有する。携帯端末3は商品購入前後に領収書発行開始要求と領収書発行終了要求とを管理サーバ2に送信する。自動販売機1は購入された商品の販売明細を管理サーバ2に逐次送信し、管理サーバ2は領収書発行開始要求と領収書発行終了要求との間に購入した商品の販売明細をもとに電子領収書を作成して携帯端末3に送信する。
【0022】
ここで、管理サーバ2は、領収書発行開始要求及び領収書発行終了要求を受信した場合、自動販売機1から管理サーバ2に送信される一連のメッセージに含まれる一連の順序データを用いて、領収書発行開始要求と領収書発行終了要求との間に購入した商品の販売明細を抽出し、抽出した販売明細に対する電子領収書を作成して携帯端末3に送信する。そして、本実施の形態では、自動販売機1が、順序データとして、管理サーバ2に送信するメッセージの全てに一連のデータ通番を付し、管理サーバ2は、領収書発行開始要求及び領収書発行終了要求を受信した場合、接続確認を自動販売機1に送信して自動販売機1から接続確認応答を受信し、領収書発行開始要求及び領収書発行終了要求に対する各接続確認応答のデータ通番の間のデータ通番を有する販売明細を抽出し、抽出した販売明細に対する電子領収書を作成して携帯端末3に送信するようにしている。
【0023】
なお、自動販売機1は、商品を販売する装置の一例であり、例えば、生鮮品やお弁当などの商品を販売する自動販売機であるが、缶入り飲料、ビン入り飲料、ペットボトル入り飲料などの商品を販売する自動販売機であってもよい。
【0024】
<領収書発行処理>
図2は、本実施の形態による自動販売機システムにおける領収書発行処理の一例を示すシーケンス図である。
図2に示すように、まず、領収書発行を希望しない購入者Xに対して自動販売機1が商品を販売する(ステップS100)と、自動販売機1は、管理サーバ2に対してデータ通番=1000の販売明細を送信する(ステップS101)。このデータ通番は、上記のように、自動販売機1から管理サーバ2に送信される全てのメッセージに付される一連の通番である。
【0025】
図3は、データ通番が付された販売明細のデータフォーマットの一例を示す図である。
図3に示すように、ヘッダー部にデータ通番DSと電文種類(=販売明細)とが含まれ、データ部には、自販機コード、商品コード、コラムNo.、販売金額、取引通番、販売時刻が含まれる。このデータ通番は、ヘッダー部に新たに追加されるものである。
【0026】
図2に戻り、その後、電子領収書の発行を希望する購入者Aは、携帯端末3から管理サーバ2に対して領収書発行開始要求を送信する(ステップS102)。この領収書発行開始要求は携帯端末3から送信されるため、データ通番が付されていないので、管理サーバ2は、自動販売機1に対して接続確認を行い(ステップS103)、自動販売機1から返信される接続確認応答を受信する(ステップS104)。この接続確認応答は、自動販売機1から送信されるメッセージであるため、前回のデータ通番をインクリメントしたデータ通番=1001が付されている。
【0027】
その後、購入者Aは順次、自動販売機1から商品購入を行い(ステップS105,S107,S109)、自動販売機1は、それぞれ販売明細を管理サーバ2に送信する(ステップS106,S108,S110)。この際、ステップS106,S108,S110の各販売明細には、それぞれインクリメントされたデータ通番=1002,1003,1004)が付されている。
【0028】
その後、購入者Aは、商品購入を終了し、携帯端末3から管理サーバ2に対して領収書発行終了要求を送信する(ステップS111)。この領収書発行終了要求は携帯端末3から送信されるため、データ通番が付されていないので、管理サーバ2は、自動販売機1に対して接続確認を行い(ステップS112)、自動販売機1から返信される接続確認応答を受信する(ステップS113)。この接続確認応答は、自動販売機1から送信されるメッセージであるため、前回のデータ通番をインクリメントしたデータ通番=1005が付されている。
【0029】
その後、購入者Aは、電子領収書を取得するため、携帯端末3から領収書ダウンロード要求を管理サーバ2に送信する(ステップS114)。この領収書ダウンロード要求を受信した管理サーバ2は、購入者Aによる領収書発行開始要求(接続確認応答のデータ通番=1001)と領収書発行終了要求(接続確認応答のデータ通番1005)との間の一連のデータ通番=1002~1004の販売明細を抽出して電子領収書を作成する(ステップS115)。そして、管理サーバ2は、作成した電子領収書を購入者Aの携帯端末3に送信する(ステップS116)。なお、携帯端末3は、領収書ダウンロード要求内に記載された電子領収書の送付先であるが、電子領収書の送付先は携帯端末以外であってもよい。例えば、異なるメールアドレス先であってもよい。
【0030】
図4は、
図2に示したシーケンスにおいてネットワーク遅延が生じた場合における領収書発行処理の一例を示すシーケンス図である。
図4に示すように、他の購入者Xの商品販売に対して自動販売機1が送信した販売明細(データ通番=1000)がネットワーク遅延すると、例えば、データ通番=1002,1003の間の時刻に管理サーバ2に到達する(ステップS101´)。従来は、販売明細の受信時刻をもとに電子領収書を作成していたので、このデータ通番=1000の販売明細が電子領収書に含まれてしまっていたが、本実施の形態は、受信時刻ではなく、データ通番をもとに領収書発行開始要求(データ通番=1001)と領収書発行終了要求(データ通番=1005)との間の販売明細を抽出しているので、このデータ通番=1000の販売明細は、購入者Aの電子領収書には含まれず、正しい電子領収書が作成されることになる。
【0031】
同様に、購入者Aの商品販売に対して自動販売機1が送信した販売明細(データ通番=1004)がネットワーク遅延すると、例えば、領収書発行終了要求に対する接続確認応答(データ通番=1005)より、後の時刻に管理サーバ2に到達する(ステップS110´)。従来は、販売明細の受信時刻をもとに電子領収書を作成していたので、このデータ通番=1004の販売明細は電子領収書に含まれることはなかったが、本実施の形態は、受信時刻ではなく、データ通番をもとに領収書発行開始要求(データ通番=1001)と領収書発行終了要求(データ通番=1005)との間の販売明細を抽出しているので、このデータ通番=1004の販売明細は、購入者Aの電子領収書に確実に含まれることになる。
【0032】
また、管理サーバ2の受信時刻と自動販売機の販売明細の送信時刻とが時刻ずれしている場合であっても、本実施の形態では、自動販売機が付する一連のデータ通番を用いて領収書発行開始要求(データ通番=1001)と領収書発行終了要求(データ通番=1005)との間の販売明細を抽出しているので、常に正しい電子領収書を作成することができる。
【0033】
なお、携帯端末3は、領収書発行開始要求と領収書発行終了要求との間に購入した商品を逐次、確認する商品確認機能を有する(
図8参照)。
図4に示すように、データ通番=1004の販売明細の到達が遅延した場合、携帯端末3は、領収書発行終了要求前にデータ通番=1004の販売明細を確認できないが、領収書ダウンロード要求時に更新ボタンB10を押下することにより、遅延したデータ通番=1004の販売明細が表示されて確認することができる。
【0034】
<詳細構成及び処理フロー>
図5は、自動販売機システムの詳細構成及び処理フローを示す図である。また、
図6は、管理サーバ2のデータベーステーブルの参照関係を示す図である。
図5に示すように自動販売機1は、販売機構部10、主制御部11、及び通信制御部12を有する。販売機構部10は、商品購入者が商品購入の操作を行うための機能をもつ。主制御部11は、自動販売機1全体を制御する制御部であり、販売機構部10からの商品の払出し要求を受けて商品を払い出す制御を行う。また、払い出した商品の販売明細(商品コード、販売時刻、取引通番、データ通番、販売金額)を一定数保持する。さらに、主制御部11は、販売明細を通信制御部12に受け渡し、受け渡した販売明細を破棄する。通信制御部12は、主制御部11から販売明細を一定数保持する。そして、販売明細は発生都度、管理サーバ2に送信する。そして、送信した販売明細は破棄する。また、管理サーバ2からの接続確認を受け、管理サーバ2に接続確認応答を送信する。
【0035】
管理サーバ2は、販売明細収集機能部21、販売明細管理部22、販売セッション管理機能部23、販売セッション管理部24、領収書作成機能部25を有する。販売明細収集機能部21は、自動販売機1から受信した販売明細を販売明細管理部22の販売明細テーブルD3に保存する。販売明細管理部22の販売明細テーブルD3は、
図6に示すように自販機マスタD1、商品マスタD2に対して参照関係を有し、販売明細番号、自販機コード、商品コード、コラムNo.、販売金額、データ通番、取引通番、販売時刻、受信時刻を保存する。
【0036】
販売セッション管理機能部23は、携帯端末3からの領収書発行開始要求、領収書発行終了要求を受け付け、自動販売機1に接続確認を行い、自動販売機1からの接続確認応答のメッセージからデータ通番を取得し、販売セッション管理部24にセッションの開始データ通番、終了データ通番を保存する。販売セッション管理部24は、販売セッション管理テーブルD5を有し、セッション管理番号、開始データ通番、開始時刻、終了データ通番、終了時刻を保存する。領収書作成機能部25は、領収書管理テーブルD4を有し、携帯端末3からの領収書ダウンロード要求を受け付け、この領収書管理テーブルD4と販売明細テーブルD3とから領収書明細テーブルD6を生成して、電子領収書を作成する。そして、作成して電子領収書を携帯端末3に送信する。
【0037】
携帯端末3は、領収書発行アプリ30を有する。領収書発行アプリ30は、商品購入者の領収書発行開始操作により、管理サーバ2に対して領収書発行開始要求を行う。また、商品購入者の領収書発行終了操作により、管理サーバ2に対して領収書発行終了要求を行う。また、商品購入者の領収書ダウンロード操作により、管理サーバ2からPDF形式の電子領収書をダウンロードする。
【0038】
ここで、一連の電子領収書発行フローについて説明する。まず、携帯端末3が領収書発行開始操作を受けると(ステップS1)、領収書発行アプリ30は、管理サーバ2に領収書発行開始要求を送信する(ステップS2)。販売セッション管理機能部23は、領収書発行開始要求を受けて自動販売機1に対して接続確認を送信する(ステップS3)。これに対して、自動販売機1は、インクリメントしたデータ通番を付した接続確認応答を管理サーバ2に送信する(ステップS4)。接続確認応答を受けた販売セッション管理機能部23は、開始データ通番を販売セッション管理部24に保存する(ステップS5)。
【0039】
その後、領収書発行開始要求を行った商品購入者に対して商品販売が行われると(ステップS6)、通信制御部12は主制御部11が作成した販売明細を取得し(ステップS7)、管理サーバ2に送信する(ステップS8)。販売明細を受けた販売明細収集機能部21は、販売明細を販売明細管理部22に保存する(ステップS9)。
【0040】
その後、携帯端末3が領収書発行終了操作を受けると(ステップS10)、領収書発行アプリ30は、管理サーバ2に領収書発行終了要求を送信する(ステップS11)。販売セッション管理機能部23は、領収書発行終了要求を受けて自動販売機1に対して接続確認を送信する(ステップS12)。これに対して、自動販売機1は、インクリメントしたデータ通番を付した接続確認応答を管理サーバ2に送信する(ステップS13)。接続確認応答を受けた販売セッション管理機能部23は、開始データ通番を販売セッション管理部24に保存する(ステップS14)。
【0041】
その後、携帯端末3が領収書ダウンロード操作を受けると(ステップS15)、領収書発行アプリ30は、管理サーバ2に領収書ダウンロード要求を送信する(ステップS16)。領収書ダウンロード要求を受けた領収書作成機能部25は、領収書発行開始要求があったデータ通番と領収書発行終了要求があったデータ通番との間のデータ通番を有する販売明細を取得して電子領収書を作成し、携帯端末3にダウンロードし(ステップS17)、一連の領収書発行処理を終了する。
【0042】
<領収書発行アプリ>
次に、領収書発行アプリ30の一連の操作の一例について説明する。
図7は、領収書発行アプリ30の起動の一例を示す図である。
図8は、領収書発行アプリ30の一連の操作を説明する説明図である。また、
図9は、領収書発行アプリ30により作成された電子領収書の一例を示す図である。
【0043】
図7に示すように、自動販売機1の前面には、領収書発行アプリ30のURLが記載された二次元バーコードなどの図形化コードDDが表示された表示部4が設けられている。携帯端末3は、この図形化コードDDを読み取ることにより、領収書発行アプリ30のURLにアクセスすることができる。なお、図形化コードDDに限らず、NFC機能を有する携帯端末3に対応して、自動販売機1の前面にNFC対応機能を設けるようにしてもよい。このNFC通信により、領収書発行アプリ30のURLを取得して領収書発行アプリ30を取得するようにしてもよい。
【0044】
そして、このアクセスにより、
図8(a)に示すような領収書発行アプリ30の初期画面が表示される。ここで、購入開始ボタンB1をタッチすることにより、携帯端末3から領収書発行開始要求が管理サーバ2に送信される。
【0045】
その後、
図8(b)に示すように、領収書発行アプリ30の表示画面には、商品購入を促すメッセージが表示される。ここで、商品購入は、現金決済でもよいし、非接触カードによるカード決済でもよいし、携帯端末3のアプリを用いたキャッシュレス決済でもよい。キャッシュレス決済の場合は、領収書発行アプリ30上にキャッシュレスアプリを連携させるGUIやアイコンを設けるとよい。ここで、
図8(c)に示すように、更新ボタンB10をタッチすることにより、購入した商品の販売明細が表示される。
【0046】
その後、商品購入を終了した場合、
図8(d)に示すように、購入終了ボタンB2をタッチすることにより、領収書発行終了要求が管理サーバ2に送信される。その後、
図8(e)に示す画面が表示され、送るボタンB3にタッチすることにより、管理サーバ2に対して領収書ダウンロード要求が送信され、電子領収書が指定したメールアドレスに送付される。この画面では、電子領収書の内容に対する設定を行うことができる。そして、
図9に示した電子領収書D20がダウンロードされる。
【0047】
<変形例1>
上記の実施の形態では、自動販売機1から管理サーバ2に送信される全てのメッセージにデータ通番を付加し、このデータ通番を用いて電子領収書を作成するようにしていた。これに対し、本変形例1では、販売明細に予め含まれる取引通番を利用して電子領収書を作成するようにしている。
【0048】
ここで、管理サーバ2は、領収書発行開始要求時及び領収書発行終了要求時には、自動販売機1から送られる販売明細の取引通番を知ることができないため、管理サーバ2と自動販売機1との間で用いる販売明細再送要求とこれに対する応答を用いて、領収書発行開始要求時及び領収書発行終了要求時の取引通番を取得するようにしている。
【0049】
図10は、販売明細再送要求とこれに対する応答の内容を示すシーケンス図である。
図10に示すように、管理サーバ2が指定取引通番、例えば1003を指定した販売明細再送要求を自動販売機1に送信すると(ステップS201)、自動販売機1は、指定取引通番がある場合には、この指定取引通番(=1003)の販売明細を管理サーバ2に再送し(ステップS202)、あるいは指定取引通番の販売明細がない場合には、指定販売明細なし通知を管理サーバ2に返信する(ステップS203)。本変形例では、このシーケンスを利用する。
【0050】
図11は、本実施の形態の変形例1による自動販売機システムにおける領収書発行処理の一例を示すシーケンス図である。
図11に示すように、まず、領収書発行を希望しない購入者Xに対して自動販売機1が商品を販売する(ステップS301)と、自動販売機1は、管理サーバ2に対して取引通番=1000の販売明細を送信する(ステップS302)。この取引通番は、上記のように、自動販売機1から管理サーバ2に送信される販売明細に含まれている。
【0051】
その後、電子領収書の発行を希望する購入者Aは、携帯端末3から管理サーバ2に対して領収書発行開始要求を送信する(ステップS303)。この領収書発行開始要求は携帯端末3から送信されるため、取引通番がないので、管理サーバ2は、自動販売機1に対して最終の取引通番をインクリメントした取引通番(=1001)を指定取引通番として販売明細再送要求を行う(ステップS304)。これに対し、自動販売機1は、指定取引通番の販売明細がないため、指定販売明細なし通知を管理サーバ2に送信する(ステップS305)。
【0052】
その後、購入者Aは順次、自動販売機1から商品購入を行い(ステップS306,S308,S310)、自動販売機1は、それぞれ取引通番を有する販売明細を管理サーバ2に送信する(ステップS307,S309,S311)。この際、ステップS307,S309,S311の各販売明細には、それぞれインクリメントされた取引通番=1001,1002,1003)が含まれる。
【0053】
その後、購入者Aは、商品購入を終了し、携帯端末3から管理サーバ2に対して領収書発行終了要求を送信する(ステップS312)。この領収書発行終了要求は携帯端末3から送信されるため、取引通番がないので、管理サーバ2は、自動販売機1に対して最終の取引通番をインクリメントした取引通番(=1004)を指定取引通番として販売明細再送要求を行う(ステップS313)。これに対し、自動販売機1は、指定取引通番の販売明細がないため、指定販売明細なし通知を管理サーバ2に送信する(ステップS314)。
【0054】
その後、購入者Aは、電子領収書を取得するため、携帯端末3から領収書ダウンロード要求を管理サーバ2に送信する(ステップS315)。この領収書ダウンロード要求を受信した管理サーバ2は、購入者Aによる領収書発行開始要求(指定販売明細なし通知)と領収書発行終了要求(指定販売明細なし通知)との間の一連の取引通番=1001~1003の販売明細を抽出して電子領収書を作成する(ステップS316)。そして、管理サーバ2は、作成した電子領収書を購入者Aの携帯端末3に送信する(ステップS317)。
【0055】
これにより、販売明細に含まれる取引通番を用いて、領収書発行開始要求(指定販売明細なし通知)と領収書発行終了要求(指定販売明細なし通知)との間の取引明細を正しく抽出した電子領収書を作成することができる。
【0056】
<変形例2>
ところで、上記の実施の形態では、管理サーバ2が、1つの自動販売機1に対し、時系列的に1つの領収書発行開始要求のみを受け付けて登録し、領収書発行終了要求を受信するまで先に登録した領収書発行開始要求を有効に設定することを前提としている。すなわち、後に受信した異なる識別情報をもつ領収書発行開始要求は破棄され、先に受信した領収書発行開始要求を有効に設定するようにしている。
【0057】
ここで、先に領収書発行開始要求を行った購入者が一時的に自動販売機の前から離れる場合、あるいは先の購入者が誤操作により領収書発行開始要求を行った場合、さらには、先の購入者が商品購入をやめた場合などでは、先の購入者の領収書発行開始要求は有効になっており、後の購入者の領収書発行開始要求は受け付けられず、後の購入者は、領収書発行を行うことができないことになる。すなわち、後の購入者は、領収書発行開始要求が受け付けられたものとして商品購入してしまい、領収書発行終了要求を行っても識別情報が同じ領収書発行開始要求が登録されていないため、この領収書発行終了要求は破棄され、領収書を得ることができない。
【0058】
具体的に、
図12は、
図2に示した自動販売機システムの領収書発行処理において複数の領収書発行開始要求があった場合に先の領収書発行開始要求を有効にする一例を示すシーケンス図である。
図12に示すように、管理サーバ2は、購入者Xによる領収書発行開始要求を受信すると(ステップS401)、この領収書発行開始要求を受け付けて有効にする。そして、接続確認(ステップS402)に対する接続確認応答(データ通番=1001)を受ける(ステップS403)。
【0059】
ここで、例えば購入者Xが自動販売機1の前から離れている場合、購入者Aは管理サーバ2に領収書発行開始要求を送信する(ステップS404)が、管理サーバ2は、購入者Xによる先の領収書発行開始要求を有効として維持し、購入者Aによる後の領収書発行開始要求を破棄して無効にする。その後、購入者Aは、領収書発行開始要求が有効であると認識して、商品購入を行い(ステップS413,S415)、自動販売機1はそれぞれ販売明細(データ通番=1002,1003)を管理サーバ2に送信する(ステップS414,S416)。
【0060】
その後、購入者Xが、例えば悪意をもって領収書発行終了要求を管理サーバ2に対して行うと(ステップS420)、購入者Xの領収書発行開始要求は有効であるため、受け付けられる。そして、管理サーバ2は、接続確認(ステップS421)に対する接続確認応答(データ通番=1004)を受ける(ステップS422)。この結果、購入者Xは、領収書ダウンロード要求を行って(ステップS440)、管理サーバ2が作成した(ステップS441)領収書を購入者Xの携帯端末3にダウンロードしてしまう(ステップS442)。この領収書には、購入者Xが購入していないデータ通番=1002,1003の販売明細が含まれる。一方、購入者Aは、自分が購入したデータ通番=1002,1003の販売明細の領収書を取得するため、領収書発行終了要求を管理サーバ2に対して送信する(ステップS450)が、この要求は有効でないため、受付拒否され、領収書を取得することができない。
【0061】
そこで、本変形例2では、管理サーバ2が領収書開始要求を受信した場合、管理サーバ2はこの領収書発行開始要求を登録し、その後、他の領収書発行開始要求を受信した場合、先に受信した領収書発行開始要求の登録を破棄して無効にし、後に受信した他の領収書発行開始要求を登録して有効にするようにしている。すなわち、後に受信した領収書発行開始要求を優先して有効にし、先に受信した領収書発行開始要求を破棄して無効にする。
【0062】
図13は、本実施の形態の変形例2による自動販売機システムにおける領収書発行処理の一例を示すシーケンス図である。
図3に示すように、まず、購入者Xは、購入者Xの携帯端末3から管理サーバ2に対して領収書発行開始要求を送信する(ステップS401)。これに対し、管理サーバ2は、現在有効となっている領収書発行開始要求がないため、受信した領収書発行開始要求を受け付け、自動販売機1に対して接続確認を行い(ステップS402)、自動販売機1から返信される接続確認応答(データ通番=1001)を受信する(ステップS403)。
【0063】
この状態で自動販売機1に来た購入者Aは、自動販売機1の近傍に購入者Xが居ないため、管理サーバ2に対して領収書発行開始要求を送信する(ステップS404)。管理サーバ2は、後に受信した購入者Aの領収書発行開始要求を受け付け、先に登録されている購入者Xの領収書発行開始要求を強制的に破棄する(ステップS410)。これにより、購入者Xの領収書発行開始要求は無効になる。なお、管理サーバ2は、購入者Aの領収書発行開始要求を受け付けると、自動販売機1に対して接続確認を行い(ステップS411)、自動販売機1から返信される接続確認応答(データ通番=1002)を受信する(ステップS412)。
【0064】
その後、購入者Aは、商品購入を行い(ステップS413,S415)、自動販売機1はそれぞれ販売明細(データ通番=1003,1004)を管理サーバ2に送信する(ステップS414,S416)。この状態で、購入者Xが管理サーバ2に対して領収書発行終了要求を送信しても(ステップS420)、購入者Xの領収書発行開始要求は登録されていないため、受付が拒否される。一方、購入者Aが管理サーバ2に対して領収書発行終了要求を送信すると(ステップS450)、購入者Aの領収書発行開始要求は登録されて有効であるため、受け付けられる。そして、管理サーバ2は、自動販売機1に対して接続確認を送信し(ステップS451)、自動販売機1から接続確認応答(でエータ通番=1005)を受信する。
【0065】
その後、購入者Aは、電子領収書を取得するため、携帯端末3から領収書ダウンロード要求を管理サーバ2に送信する(ステップS460)。この領収書ダウンロード要求を受信した管理サーバ2は、購入者Aによる領収書発行開始要求(接続確認応答のデータ通番=1002)と領収書発行終了要求(接続確認応答のデータ通番1005)との間の一連のデータ通番=1003,1004の販売明細を抽出して電子領収書を作成する(ステップS461)。そして、管理サーバ2は、作成した電子領収書を購入者Aの携帯端末3に送信する(ステップS462)。
【0066】
本変形例2では、自動販売機1の前にいて正に商品を購入しようとしている購入者による領収書発行開始要求を有効にし、現在、自動販売機1の前に居ない購入者による領収書発行開始要求を破棄することにより、商品購入と領収書発行開始要求との対応付けが正しくなるようにしている。
【0067】
<変形例3>
ところで、変形例2では、先に受信した領収書発行開始要求を破棄し、後に受信した領収書発行開始要求を有効に設定していた。この場合、先に購入者が領収書発行開始要求を行い、その後、自動販売機1の近くに居る不正な利用者が領収書発行要求を行った場合、先に領収書発行開始要求を行った購入者が領収書発行終了要求を行っても、識別情報が同じ領収書発行開始要求が登録されていないため、この領収書発行終了要求は破棄され、領収書を得ることができない場合がある。また、不正な利用者が、先に領収書発行開始要求を行った購入者が購入した商品の領収書を不正に入手できてしまう場合がある。
【0068】
そこで、本変形例3では、管理サーバ2が領収書発行開始要求を受信した場合、自動販売機1に領収書発行開始要求受付通知を送信する。そして、自動販売機1は、領収書発行開始要求受付通知を受信した場合、領収書発行要求受付中である旨を表示するとともに現在の領収書要求受付中の領収書発行開始要求のキャンセル操作を行う表示操作部を備え、表示操作部によるキャンセル操作が発生した場合、現在の領収書発行開始要求をキャンセルするキャンセル要求を管理サーバ2に通知する。そして、管理サーバ2は、領収書発行開始要求を受信した場合、この領収書発行開始要求を登録し、この領収書発行開始要求の受信後にキャンセル要求を受信した場合、領収書発行開始要求の登録をキャンセルし、新たな領収書発行開始要求の登録を許容し、キャンセル要求を受信しない限り、他の領収書発行開始要求を破棄するようにしている。
【0069】
なお、管理サーバ2は、上記のように、1つの自動販売機1に対して1つの領収書発行開始要求のみを受け付けて登録し、現在の領収書要求受付中の領収書発行開始要求を行った携帯端末3の識別情報と異なる識別情報をもつ領収書発行終了要求を受信した場合、該領収書発行終了要求を破棄する。この識別情報は、例えば、各携帯端末3のIPアドレスなどの通信用アドレスや携帯端末3自体がもつ固有番号などである。
【0070】
これにより、管理サーバ2が領収書発行開始要求を受け付けた場合、自動販売機1の表示操作部に「領収書要求受付中」と表示され、この自動販売機1にその後来た別の購入者は、この「領収書要求受付中」の表示をみて、現在の領収書要求受付中の領収書発行開始要求をキャンセルし、この別の購入者は領収書発行開始要求を送信して該領収書発行開始要求を有効にし、その後購入した商品の領収書を確実に得ることができる。なお、領収書発行開始要求のキャンセルは、本人が送信した領収書発行開始要求を取りやめる場合にも適用することができる。また、表示操作部は、自動販売機1に既に搭載された表示操作機能を兼用するようにしてもよいし、新たに配置するようにしてもよい。さらに、「領収書要求受付中」の表示は、点滅表示などによって強調表示することが好ましい。
【0071】
図14は、本実施の形態の変形例3による自動販売機システムにおける領収書発行処理の一例を示すシーケンス図である。
図14に示すように、まず、購入者Xは、購入者Xの携帯端末3から管理サーバ2に対して領収書発行開始要求を送信する(ステップS501)。これに対し、管理サーバ2は、自動販売機1に対して接続確認を行い(ステップS502)、自動販売機1から返信される接続確認応答(データ通番=1000)を受信する(ステップS503)。その後、管理サーバ2は、領収書要求受付通知を自動販売機1に通知する(ステップS504)。このとき、領収書要求受付通知を受信した自動販売機1は、表示操作部に「領収書要求受付中」と表示する。
【0072】
この状態で自動販売機1に来た購入者Aは、自動販売機1の近傍に購入者Xが居ないため、表示操作部のキャンセル操作を行う。このキャンセル操作を受けた(ステップS505)自動販売機1は、管理サーバ2に対してキャンセル要求を行う(ステップS506)。キャンセル要求を受けた管理サーバ2は、現在登録されている領収書発行開始要求をキャンセルし、自動販売機1に対して、キャンセル受付通知を送信する(ステップS507)。このキャンセル受付通知を受信した自動販売機1は、「領収書要求受付中」の表示を消す。なお、管理サーバ2は、領収書発行開始要求の登録がされている場合、他の領収書発行開始要求は破棄される。
【0073】
その後、「領収書要求受付中」の表示が消された状態で、購入者Aから管理サーバ2に対して領収書発行開始要求を送信する(ステップS508)。これに対し、管理サーバ2は、自動販売機1に対して接続確認を行い(ステップS509)、自動販売機1から返信される接続確認応答(データ通番=1001)を受信する(ステップS510)。その後、管理サーバ2は、領収書要求受付通知を自動販売機1に通知する(ステップS511)。このとき、領収書要求受付通知を受信した自動販売機1は、表示操作部に「領収書要求受付中」と表示する。
【0074】
その後、購入者Aは順次、自動販売機1から商品購入を行い(ステップS512,S514)、自動販売機1は、それぞれ販売明細を管理サーバ2に送信する(ステップS513,S515)。この際、ステップS513,S515の各販売明細には、それぞれインクリメントされたデータ通番=1002,1003)が付されている。
【0075】
ここで、購入者Xの携帯端末3から領収書発行終了要求が管理サーバ2に送信されても(ステップS516)、現在登録されている領収書発行開始要求を行った携帯端末3の識別情報と今回受信した領収書発行終了要求を行った携帯端末3の識別情報が異なるため、この領収書発行終了要求は受付が拒否され、破棄される。
【0076】
その後、購入者Aは、商品購入を終了し、携帯端末3から管理サーバ2に対して領収書発行終了要求を送信する(ステップS517)。これに対し、管理サーバ2は、自動販売機1に対して接続確認を行い(ステップS518)、自動販売機1から返信される接続確認応答(データ通番=1004)を受信する(ステップS519)。その後、管理サーバ2は、領収書要求受付終了通知を自動販売機1に通知する(ステップS520)。このとき、領収書要求受付終了通知を受信した自動販売機1は、表示操作部に表示された「領収書要求受付中」の表示を消す。
【0077】
その後、購入者Aは、電子領収書を取得するため、携帯端末3から領収書ダウンロード要求を管理サーバ2に送信する(ステップS521)。この領収書ダウンロード要求を受信した管理サーバ2は、購入者Aによる領収書発行開始要求(接続確認応答のデータ通番=1001)と領収書発行終了要求(接続確認応答のデータ通番1004)との間の一連のデータ通番=1002,1003の販売明細を抽出して電子領収書を作成する(ステップS522)。そして、管理サーバ2は、作成した電子領収書を購入者Aの携帯端末3に送信する(ステップS523)。
【0078】
本変形例3では、この「領収書要求受付中」の表示により、購入者Aによる電子領収書の取得が可能であるか否かを判断できるとともに、キャンセル操作により、電子領収書の取得が可能になる。そして、購入者A自身が購入した商品の電子領収書を確実に得ることができるとともに、他の購入者による、購入者A自身が購入した商品の電子領収書の入手を防止することができる。
【0079】
<変形例4>
ところで、上記の実施の形態及び変形例では、領収書発行終了要求を受信しない限り、あるいは、キャンセル要求を受信しない限り、領収書発行開始要求は有効のままとなる。そこで、本変形例4では、領収書発行開始要求の受付後、所定の領収書発行有効時間内、例えば15分内に、受け付けた領収書発行開始要求に対応する領収書発行終了要求の受信、あるいは受け付けた領収書発行開始要求をキャンセルするキャンセル要求の受信がない場合、受け付けた領収書発行開始要求を破棄して無効にするようにしている。
【0080】
図15は、本実施の形態の変形例4による領収書発行開始要求受付後の無効処理手順を示すフローチャートである。
図15に示すように、管理サーバ2は、領収書発行開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS601)。なお、領収書発行開始要求の受付とは、領収書発行開始要求を有効にすることである。領収書発行開始要求を受け付けていない場合(ステップS601:No)、本判定処理を繰り返す。
【0081】
一方、領収書発行開始要求を受け付けた場合(ステップS601:Yes)、さらに管理サーバ2は、領収書発行開始要求の受付から所定の領収書発行有効期間が経過したか否かを判定する(ステップS602)。所定の領収書発行有効期間が経過していない場合(ステップS602:No)、本判定処理を繰り返す。
【0082】
所定の領収書発行有効期間が経過した場合(ステップS602:Yes)、さらに、キャンセル要求、または、領収書発行終了要求の受付があったか否かを判定する(ステップS603)。キャンセル要求、または、領収書発行終了要求の受付がない(ステップS603:No)には、現在有効になっている領収書発行開始要求を破棄して無効に(キャンセル)し(ステップS604)、本処理を終了する。一方、キャンセル要求、または、領収書発行終了要求の受付があった場合(ステップS603:Yes)、有効になっている領収書発行開始要求はないため、そのまま本処理を終了する。
【0083】
本変形例4では、領収書発行開始要求を受け付けたものの、領収書発行終了要求もなく、キャンセル要求もなく、何時間も何日も領収書発行開始要求が有効状態のまま放置されることがなくなるため、電子領収書発行の機会が得られないという事態を排除することができる。特に、変形例3のように、「領収書要求受付中」の点滅表示を行う場合、点滅表示がなされたままとなり、次の購入者は、他の購入者が商品購入中であると認識して他の自動販売機に移動して商品購入を行うことになるが、所定の領収発行有効期間を超えることがないため、販売機会の損失や電力消費の無駄をなくすことができる。
【0084】
なお、本実施の形態及び変形例では、発行された電子領収書に、購入した商品の一部が含まれていないという状況や購入していない商品が含まれていたという状況が発生しないため、クレーム発生による証跡調査などの販売側の作業の増大を防止することができる。また、自動販売機であっても領収書発行の義務を遵守化することができる。
【0085】
また、有人店舗やECサイトなどでは、複数の商品を一括決済しており、領収書に含める対象の商品は必然的に確定する。これに対して、自動販売機のような無人で単品決済の場合においても、本実施の形態又は変形例を適用することによって有人店舗やECサイトなどのような一括決済を正しく行うことができる。
【0086】
なお、上記の実施の形態及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 自動販売機
2 管理サーバ
3 携帯端末
4 表示部
10 販売機構部
11 主制御部
12 通信制御部
21 販売明細収集機能部
22 販売明細管理部
23 販売セッション管理機能部
24 販売セッション管理部
25 領収書作成機能部
30 領収書発行アプリ
B1 購入開始ボタン
B2 購入終了ボタン
B3 送るボタン
B10 更新ボタン
D1 自販機マスタ
D2 商品マスタ
D3 販売明細テーブル
D4 領収書管理テーブル
D5 販売セッション管理テーブル
D6 領収書明細テーブル
D20 電子領収書
DD 図形化コード
DS データ通番
N ネットワーク