IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特開-ターボチャージャ用軸受構造 図1
  • 特開-ターボチャージャ用軸受構造 図2
  • 特開-ターボチャージャ用軸受構造 図3
  • 特開-ターボチャージャ用軸受構造 図4
  • 特開-ターボチャージャ用軸受構造 図5
  • 特開-ターボチャージャ用軸受構造 図6
  • 特開-ターボチャージャ用軸受構造 図7
  • 特開-ターボチャージャ用軸受構造 図8
  • 特開-ターボチャージャ用軸受構造 図9
  • 特開-ターボチャージャ用軸受構造 図10
  • 特開-ターボチャージャ用軸受構造 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165272
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ターボチャージャ用軸受構造
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/66 20060101AFI20241121BHJP
   F02B 39/00 20060101ALI20241121BHJP
   F16N 7/36 20060101ALI20241121BHJP
   F16N 7/18 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F16C33/66 Z
F02B39/00 J
F02B39/00 L
F16N7/36
F16N7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081321
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】山道 智裕
(72)【発明者】
【氏名】照井 大輔
【テーマコード(参考)】
3G005
3J701
【Fターム(参考)】
3G005FA05
3G005FA13
3G005FA31
3G005GB39
3G005GB55
3G005GB59
3J701AA03
3J701AA32
3J701AA42
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA77
3J701CA08
3J701CA13
3J701CA22
3J701EA67
3J701FA32
3J701GA26
(57)【要約】
【課題】機械損失を低減するとともに信頼性を担保し得るターボチャージャ用軸受構造を提供する。
【解決手段】ターボチャージャ用軸受構造は、タービン軸を支持する第1および第2軸受を有する軸受アッセンブリと、軸受アッセンブリを収容し、軸受アッセンブリへの油路が形成されたハウジングとを備える。軸受アッセンブリとハウジングとの間には、オイルが流れる隙間がある。軸受アッセンブリは、タービン軸に対して第1軸受から第2軸受へ向かう第1方向に荷重が加わると、第1方向に移動する。第1軸受と第2軸受とは、軸受アッセンブリの第1方向への移動がハウジングによって規制された状態においてタービン軸に第1方向に荷重が加わると、第1軸受に第2軸受よりも大きなスラスト荷重が加わる構造である。ハウジングは、第1軸受に対向する対向領域を有し、対向領域にオイルを第1軸受の方向に導く突起部が形成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間して対向し、かつ各々がタービン軸を回動自在に支持する第1および第2の軸受を有する軸受アッセンブリと、
前記軸受アッセンブリを収容し、かつ、外部から前記軸受アッセンブリに向かう油路が形成されたハウジングとを備え、
前記軸受アッセンブリは、前記タービン軸の軸方向における第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の第2の端部とを有し、
前記第1の軸受は、前記第1の端部側に固定され、
前記第2の軸受は、前記第2の端部側に固定され、
前記軸受アッセンブリと前記ハウジングとの間には、前記油路から供給されたオイルが流れる隙間が設けられ、
前記軸受アッセンブリは、前記タービン軸に対して前記第1の軸受から前記第2の軸受へ向かう第1の方向に荷重が加わると、前記ハウジング内において前記第1の方向に移動し、
前記第1の軸受と前記第2の軸受とは、前記軸受アッセンブリの前記第1の方向への移動が前記ハウジングによって規制された第1の状態において前記タービン軸に対して前記第1の方向に荷重が加わると、前記第1の軸受に前記第2の軸受よりも大きなスラスト荷重が加わる構造を有し、
前記ハウジングは、前記第1の軸受に対向する第1の対向領域を有し、
前記第1の対向領域に、前記オイルを前記第1の軸受の方向に導く第1の突起部が形成されている、ターボチャージャ用軸受構造。
【請求項2】
前記軸受アッセンブリは、前記タービン軸に対して前記第2の軸受から前記第1の軸受へ向かう第2の方向に荷重が加わると、前記ハウジング内において前記第2の方向に移動し、
前記第1の軸受と前記第2の軸受とは、前記軸受アッセンブリの前記第2の方向への移動が前記ハウジングによって規制された第2の状態において前記タービン軸に対して前記第2の方向に荷重が加わると、前記第2の軸受に前記第1の軸受よりも大きなスラスト荷重が加わる構造を有し、
前記ハウジングは、前記第2の軸受に対向する第2の対向領域を有し、
前記第2の対向領域に、前記オイルを前記第2の軸受の方向に導く第2の突起部が形成されている、請求項1に記載のターボチャージャ用軸受構造。
【請求項3】
前記第1の軸受は、複数の転動体と、前記複数の転動体を転動可能に支持する内輪および外輪とを含み、
前記第1の突起部は、前記軸方向視において、前記内輪の外側かつ前記外輪の外周面の内側となる位置に設けられている、請求項1に記載のターボチャージャ用軸受構造。
【請求項4】
前記第1の突起部は、前記軸方向視において、前記外輪の内周面の内側となる位置に設けられている、請求項3に記載のターボチャージャ用軸受構造。
【請求項5】
前記第1の突起部は、前記軸方向視において、各前記転動体の中心の外側となる位置に設けられている、請求項4に記載のターボチャージャ用軸受構造。
【請求項6】
前記第1の突起部は、前記軸方向視において、円弧状を有し、
前記第1の突起部の下端の位置は、前記軸方向視における前記タービン軸の中心点と同じ高さ、または、前記中心点よりも高い、請求項3から5のいずれか1項に記載のターボチャージャ用軸受構造。
【請求項7】
前記第1の状態において、前記第2の軸受と前記第2の突起部とは前記軸方向に離間しており、
前記第2の状態において、前記第1の軸受と前記第1の突起部とは前記軸方向に離間している、請求項2に記載のターボチャージャ用軸受構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ターボチャージャ用軸受構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの出力を向上させるターボチャージャ装置が知られている。ターボチャージャ装置は、タービンホイールと、コンプレッサホイールと、タービンホイールおよびコンプレッサホイールが取り付けられたタービン軸と、軸受構造とを備える。軸受構造は、タービン軸用の軸受アッセンブリ(ユニット)と、軸受アッセンブリを収容するハウジングとを備える。
【0003】
軸受アッセンブリに含まれる軸受に対しては、潤滑と冷却との目的でオイルが供給される。たとえば、特開2016-37987号公報に開示されているように、軸受への給油の方法として、軸受の転動体に向けてオイルを噴射するジェット給油が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-37987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したジェット給油を行うと、オイルが摺動抵抗となる。このため、ターボチャージャ装置の機械損失が増大する。
【0006】
本開示は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、ターボチャージャ装置の機械損失を低減するとともに信頼性を担保し得るターボチャージャ用軸受構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従うと、ターボチャージャ用軸受構造は、互いに離間して対向し、かつ各々がタービン軸を回動自在に支持する第1および第2の軸受を有する軸受アッセンブリと、軸受アッセンブリを収容し、かつ、外部から軸受アッセンブリに向かう油路が形成されたハウジングとを備える。軸受アッセンブリは、タービン軸の軸方向における第1の端部と、第1の端部とは反対側の第2の端部とを有する。第1の軸受は、第1の端部側に固定されている。第2の軸受は、第2の端部側に固定されている。軸受アッセンブリとハウジングとの間には、油路から供給されたオイルが流れる隙間が設けられている。軸受アッセンブリは、タービン軸に対して第1の軸受から第2の軸受へ向かう第1の方向に荷重が加わると、ハウジング内において第1の方向に移動する。第1の軸受と第2の軸受とは、軸受アッセンブリの第1の方向への移動がハウジングによって規制された第1の状態においてタービン軸に対して第1の方向に荷重が加わると、第1の軸受に第2の軸受よりも大きなスラスト荷重が加わる構造を有する。ハウジングは、第1の軸受に対向する第1の対向領域を有する。第1の対向領域に、オイルを第1の軸受の方向に導く第1の突起部が形成されている。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、ターボチャージャ装置の機械損失を低減するとともに信頼性を担保し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ターボチャージャ装置を示した図である。
図2】軸受構造の軸受アッセンブリの断面図である。
図3】ハウジングの突起部の形状を説明するための斜視図である。
図4図1のIV-IV線矢視図である。
図5図1の要部拡大図である。
図6】コンプレッサホイールの背面の空気圧が高くなった状態を示している。
図7】タービンホイールの背面の空気圧が高くなった状態を示している。
図8】突起部の第1の変形例を示した図である。
図9】突起部の第2の変形例を示した図である。
図10】突起部の第3の変形例を説明するための図である。
図11】軸受アッセンブリの変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
図1は、ターボチャージャ装置を示した図である。図1に示されるように、ターボチャージャ装置100は、タービン軸1と、軸受構造2と、コンプレッサホイール3と、タービンホイール4とを備える。軸受構造2は、軸受アッセンブリ20と、ハウジング30とを有する。なお、図1では、軸受構造2については断面を示している。
【0012】
タービン軸1には、コンプレッサホイール3と、タービンホイール4とが取り付けられている。タービン軸1は、軸受構造2により、回動自在に支持される。ターボチャージャ装置100では、タービンホイール4に排ガスが当たると、タービンホイール4と、タービン軸1と、コンプレッサホイール3とが回転する。コンプレッサホイール3の回転によって、空気が圧縮される。圧縮された空気は、エンジン(図示せず)に供給される。
【0013】
コンプレッサホイール3は、背面31を有する。背面31と軸受構造2との間には隙間が形成されている。タービンホイール4は、背面41を有する。背面41と軸受構造2との間には隙間が形成されている。
【0014】
軸受構造2に含まれる軸受アッセンブリ20は、ホルダ210と、スペーサ220と、軸受230と、軸受240とを有する。軸受230と軸受240とは、タービン軸1の軸方向に、互いに離間して対向している。軸受230は、コンプレッサホイール3側の軸受である。軸受240は、タービンホイール4側の軸受である。軸受230と軸受240とは、各々がタービン軸1を回動自在に支持する。
【0015】
本例では、軸受230および軸受240として、各々、アンギュラ玉軸受を用いている。よって、軸受230と軸受240とに含まれる各転動体は、玉で構成される。なお、これに限定されず、各転動体をコロで構成してもよい。
【0016】
ホルダ210は、軸受230と軸受240とを保持する。ホルダ210は、外壁面270を有する。ホルダ210は、本例では、筒状である。ホルダ210には、ホルダ210の外周に沿って、2つの溝271,272が形成されている。なお、溝271は、溝272よりも軸受230側に設けられている。各溝271、272には、後述する油路301からオイルが供給される。
【0017】
ホルダ210は、軸受230と軸受240とを、内部に収容している。ホルダ210は、軸受230の外輪の外周面と、軸受240の外輪の外周面とに当接している。ホルダ210の下端部には、ホルダ210内のオイルを排出する油路211が形成されている。なお、軸受230の外輪と軸受240の外輪とを一体として形成することにより、軸受アッセンブリ20を、ホルダ210を用いない構成としてもよい。
【0018】
スペーサ220は、軸受230と軸受240との位置決めに用いられている。スペーサ220は、軸受230の内輪と、軸受240の内輪とに当接している。スペーサ220は、筒状である。スペーサ220の内径は、タービン軸1の外径よりも大きい。スペーサ220内において、タービン軸1が回転自在に配置される。なお、軸受230の内輪と軸受240の内輪とを一体として形成することにより、軸受アッセンブリ20を、スペーサ220を用いない構成としてもよい。
【0019】
軸受構造2のハウジング30は、軸受アッセンブリ20を収容する。ハウジング30は、油路301と、油路302と、内壁面303とを備える。内壁面303は、対向領域310と、対向領域320とを有する。
【0020】
対向領域310には突起部311が形成されている。対向領域320には、突起部321が形成されている。対向領域310,320は、タービン軸1の軸方向において、軸受アッセンブリ20に対向する領域(面)である。詳細については後述するが、突起部311,321は、オイルを所定の向きに流すガイド機能を有する。突起部311,321の構造および機能については、後述する。
【0021】
油路301は、外部から軸受アッセンブリ20に向かうように形成された、オイルの流路である。具体的には、エンジン(図示せず)から供給されたオイル(詳しくは、エンジンオイル)が油路301を流れる。当該オイルは、軸受アッセンブリ20に供給される。
【0022】
油路302は、排油用の流路である。油路301から供給されたオイルは、軸受アッセンブリ20内を流れた後、油路302から軸受構造2の外へと排出される。
【0023】
具体的には、ハウジング30の内壁面303と、軸受アッセンブリ20の外壁面270との間には隙間Sが形成されている。隙間Sは、対向領域310,320側に続いている。隙間Sは、数十μmである。軸受アッセンブリ20は、ハウジング30内において、油膜で浮いた状態となっている。エンジンから供給されたオイルが、隙間Sを流れる。これにより、軸受230,240(詳しくは、内部の転動体)にオイルが供給される。
【0024】
詳細については後述するが、隙間Sにより、軸受アッセンブリ20は、ハウジング30内においてタービン軸1の軸方向(X軸正方向およびX軸負方向)に移動する。軸受アッセンブリ20は、ハウジング30内での図のX軸方向の位置(相対位置)を変化させる。
【0025】
図2は、軸受構造2の軸受アッセンブリ20の断面図である。なお、図2には、軸軸受アッセンブリ20のみを示しているため、タービン軸1は示していない。図2に示されるように、軸受アッセンブリ20は、上述した、ホルダ210と、スペーサ220と、軸受230と、軸受240とに加え、コンプレッサホイール3側の端部251と、タービンホイール4側の端部252とをさらに有する。このように、軸受アッセンブリ20は、タービン軸1の軸方向における両端部251,252を有する。本例では、端部251,252は、リング状である。
【0026】
軸受230は、軸受アッセンブリ20において端部251側に固定されている。本例では、軸受230は、端部251よりも内側(X軸正方向側)に配置されている。軸受240は、軸受アッセンブリ20において端部252側に固定されている。本例では、軸受240は、端部252よりも内側(X軸負方向側)に配置されている。
【0027】
軸受230は、複数の玉231と、内輪232と、外輪233と、保持器234とを有する。内輪232と外輪233とにより、複数の玉231を転動可能に支持する。保持器234は、内輪232と、外輪233との間に位置する。保持器234は、複数の玉231を一定間隔で保持する。
【0028】
軸受240は、複数の玉241と、内輪242と、外輪243と、保持器244とを有する。内輪242と外輪243とにより、複数の玉241を転動可能に支持する。保持器244は、内輪242と、外輪243との間に位置する。保持器244は、複数の玉241を一定間隔で保持する。
【0029】
外輪233と玉231との接点P11と、内輪232と玉231との接点P12とを結ぶ直線L1は、ラジアル方向(Y軸方向)に対して角度θ(接触角θ)を有する。アンギュラ玉軸受の場合、接触角θは、典型的には、10°から45°の間の値である。
【0030】
外輪243と玉241との接点P21と、内輪242と玉241との接点P22とを結ぶ直線L2も、ラジアル方向(Y軸方向)に対して接触角θを有する。なお、直線L1,L2は、荷重の作用線とも称される。
【0031】
図3は、ハウジング30の突起部311,312の形状を説明するための斜視図である。詳しくは、図3は、突起部311,312を下方から視た図である。図3に示されるように、突起部311は、円弧状に湾曲した形状を有する。突起部311は、XY平面に水平な底面3111と、XY平面に対して傾斜した傾斜面3112と、2つの端面3113と、底面3111と傾斜面3112との境界である稜線3114とを有する。
【0032】
突起部311は、軸受アッセンブリ20の端部251に対向する対向領域310(図1参照)に形成されている。詳しくは、稜線3114が端部251に最も近くなるように、突起部311が対向領域310に形成されている。より詳しくは、対向領域310に垂直、かつ上記円弧を含む円の中心を通る仮想平面(以下、「仮想平面V1」とも称する)による、突起部311の断面の形状は、本例では、直角三角形となっている。各端面3113も直角三角形である。
【0033】
同様に、突起部321も、円弧状に湾曲した形状を有する。突起部321は、XY平面に水平な底面3211と、XY平面に対して傾斜した傾斜面3212と、2つの端面3213と、底面3211と傾斜面3212との境界である稜線3214とを有する。
【0034】
突起部321は、軸受アッセンブリ20の端部252に対向する対向領域320(図1参照)に形成されている。詳しくは、稜線3214が端部252に最も近くなるように、突起部321が対向領域320に形成されている。より詳しくは、対向領域320に垂直、かつ上記円弧を含む円の中心を通る仮想平面(以下、「仮想平面V2」とも称する)による、突起部321の断面の形状は、本例では、直角三角形となっている。各端面3213も直角三角形である。
【0035】
図4は、図1のIV-IV線矢視図である。なお、図4では、便宜上、軸受アッセンブリ20およびハウジング30(ただし、突起部321を除く)を図示していない。図4に示されるように、軸受240の外輪243は、外周面2431と、内周面2432とを有する。内輪242は、外周面2421と、内周面(図示せず)とを有する。保持器244は、外輪243の内周面2432と、内輪242の外周面2421との間に位置する。
【0036】
本例では、突起部321は、外輪243の内周面2432と、保持器244との間に位置する。詳しくは、ハウジング30の対向領域320において、外輪243の内周面2432と、保持器244との間に位置するように、突起部321が形成されている。なお、突起部321は、X軸方向において、軸受240と離間している。図4では、突起部321は、軸受240の手前に位置する。
【0037】
突起部321の鉛直方向の下端の位置は、タービン軸1の軸方向視におけるタービン軸1の中心点1cよりも高い。なお、当該下端の位置は、タービン軸1の中心点1cと同じであってもよい。すなわち、突起部321は、タービン軸1の軸方向視において、180°の円弧に沿った形状であってもよい。
【0038】
突起部321と同様な位置に、突起部311も形成されている。すなわち、タービン軸1の軸方向(詳しくは、X軸正方向)に視て、突起部321は、ハウジング30の対向領域310において、外輪233の内周面(図示せず)と保持器234との間に位置するように形成されている。本例では、突起部311は、軸受230と軸受240との中間に位置し、かつYZ平面に平行な仮想平面に関し、突起部321と面対称である。
【0039】
図5は、図1の要部拡大図である。図5に示されるように、突起部321は、外輪243の外周面2431と、内輪242の外周面2421との間に位置している。突起部321は、矢印Aの方向(X軸負方向)に視て、リング状の領域R1内に位置している。このように、突起部321は、タービン軸1の軸方向視において、内輪242の外側かつ外輪243の外周面2431の内側となる位置に設けられている。
【0040】
詳しくは、突起部321は、外輪243の内周面2432と、内輪242の外周面2421との間に位置している。突起部321は、矢印Aの方向に視て、リング状の領域R2内に位置している。このように、突起部321は、タービン軸1の軸方向視において、内輪242の外側かつ外輪243の内周面2432の内側となる位置に設けられている。
【0041】
より詳しくは、突起部321は、外輪243の内周面2432と、複数の玉241の中心点241cを結ぶことにより得られる円(すなわち、軌道)との間に位置している。突起部321は、矢印Aの方向(X軸負方向)に視て、リング状の領域R3内に位置している。このように、突起部321は、タービン軸1の軸方向視において、各玉241の中心の外側かつ外輪243の内周面2432の内側となる位置に設けられている。
【0042】
本例では、上記のように、突起部321は、タービン軸1の軸方向視において領域R3内に収まっているが、これに限定されない。突起部321が、図5に示した位置から、下方または上方にズレていてもよい。突起部321は、領域R2内あるいは領域R1内に収まっていればよい。すなわち、突起部321の一部が、領域R2または領域R1のうち領域R3と重複しない領域に位置してもよい。
【0043】
ただし、後述するオイルの供給の観点からは、突起部321は、タービン軸1の軸方向視において領域R3内に収まっていることが好ましい。すなわち、突起部321は、タービン軸1の軸方向視において、各玉241の中心の外側かつ外輪243の内周面2432の内側となる位置に設けられていることが好ましい。
【0044】
突起部321の大きさも、領域R3に収まるものに限定されない。たとえば、図4を参照して、突起部321の一部が、タービン軸1の軸方向視において、外輪243および/または保持器244と重なっていてもよい。
【0045】
図6は、コンプレッサホイール3の背面31の空気圧が高くなった状態を示している。この場合、図6に示すように、タービン軸1に矢印F1の方向(X軸負方向)に力が加わり、タービン軸1とともに軸受アッセンブリ20がX軸負方向に移動する。すなわち、タービン軸1に対して軸受240から軸受230へ向かう方向に荷重が加わると、軸受アッセンブリ20は、ハウジング30内において当該方向に移動する。
【0046】
その後、図6に示すように、軸受アッセンブリ20の端部251がハウジング30の対向領域310(図1)に接触する。厳密には、端部251と対向領域310との間にはオイルの膜が介在している。
【0047】
このような状態においては、軸受240と突起部321と離間距離は、図1の状態よりも長い。さらに、軸受230と突起部311とについても、軸方向に離間している。なお、軸受230と突起部311との離間距離は、図1の状態よりも短い。このように軸受230と突起部311とが離間しているため、軸受アッセンブリ20のX軸負方向に移動しても、軸受230が突起部311に衝突することはない。
【0048】
ところで、軸受230と軸受240とは、図2に示したような接触角θを持つ。それゆえ、軸受アッセンブリ20の矢印F1の方向への移動がハウジング30によって規制された状態(図6の状態)においてタービン軸1に対して矢印F1の方向に荷重が加わると、軸受240に軸受230よりも大きなスラスト荷重(タービン軸1の軸方向の荷重)が加わる。すなわち、軸受アッセンブリ20の端部251がハウジング30に接触した状態において、タービン軸1に対して矢印F1の方向にさらに荷重が加わると、軸受240に軸受230よりも大きなスラスト荷重が加わる。この点に関し、詳しく説明すると、以下のとおりである。
【0049】
軸受230の各玉231と外輪233との接点P11は、図6のような、軸受アッセンブリ20の側面視において、軸受230の各玉231と内輪232との接点P12よりもX軸正方向寄りである。
【0050】
軸受240の各玉241と外輪243との接点P21は、軸受アッセンブリ20の側面視において、軸受240の各玉241と内輪242との接点P22よりもX軸負方向(矢印F1の方向)寄りである。
【0051】
軸受アッセンブリ20のハウジング30内での移動が規制された後も、タービン軸1に対して矢印F1の方向に力が加わると、軸受230の内輪232と軸受240の内輪242とに対して矢印F1の方向への力が加わる。これにより、軸受240の外輪243に対して、各玉241を介して、矢印F1の方向の力(荷重)が加わる。
【0052】
このため、軸受240側の接点P21,P22には、軸受230側の接点P11,P12よりも大きな力が加わる。軸受240に対して、接点P21と接点P22とがX軸方向に近づこうとする力が加わり、軸受230に対して、接点P11と接点P12とがX軸方向に離間しようとする力が加わるためである。
【0053】
このように、軸受240に軸受230よりも大きなスラスト荷重が加わった状態では、軸受230よりも軸受240に多くのオイルを供給することが好ましい。本例では、軸受アッセンブリ20がハウジング30内で矢印F1の方向に移動しているため、ハウジング30の対向領域320と軸受アッセンブリ20の端部252との隙間Sが広がる。その一方、ハウジング30の対向領域310と軸受アッセンブリ20の端部251との隙間Sが狭まる。
【0054】
このような状態で、さらに、突起部321(詳しくは、図3および図5に示した傾斜面3212)によって、オイルを軸受240の方向に導くことができる。したがって、軸受構造2によれば、軸受230よりも多くのオイルを軸受240に効率よく供給することができる。すなわち、負荷の大きい軸受240への給油量を増やすことが可能となる。それゆえ、ターボチャージャ装置100の信頼性を担保し得る。その一方、軸受230に導かれるオイルの量(給油量)は減少する。それゆえ、ターボチャージャ装置100の機械損失を低減し得る。
【0055】
図7は、タービンホイール4の背面41の空気圧が高くなった状態を示している。この場合、図7に示すように、タービン軸1に矢印F2の方向(X軸正方向)に力が加わり、タービン軸1とともに軸受アッセンブリ20がX軸正方向に移動する。すなわち、タービン軸1に対して軸受230から軸受240へ向かう方向に荷重が加わると、軸受アッセンブリ20は、ハウジング30内において当該方向に移動する。
【0056】
その後、図7に示すように、軸受アッセンブリ20の端部252がハウジング30の対向領域320(図1)に接触する。厳密には、端部252と対向領域320との間にはオイルの膜が介在している。
【0057】
このような状態においては、軸受230と突起部311と離間距離は、図1の状態よりも長い。さらに、軸受240と突起部321とについても、軸方向に離間している。なお、軸受240と突起部321との離間距離は、図1の状態よりも短い。このように軸受240と突起部321とが離間しているため、軸受アッセンブリ20のX軸正方向に移動しても、軸受240が突起部321に衝突することはない。
【0058】
ところで、軸受230と軸受240とは上述した接触角θを持つため、軸受アッセンブリ20の矢印F2の方向への移動がハウジング30によって規制された状態(図7の状態)においてタービン軸1に対して矢印F2の方向に荷重が加わると、軸受230に軸受240よりも大きなスラスト荷重が加わる。この点に関し、詳しく説明すると、以下のとおりである。
【0059】
軸受アッセンブリ20のハウジング30内での移動が規制された後も、タービン軸1に対して矢印F2の方向に力が加わると、軸受230の内輪232と軸受240の内輪242とに対して矢印F2の方向への力が加わる。これにより、軸受230の外輪233に対して、各玉231を介して、矢印F2の方向の力が加わる。
【0060】
このため、軸受230側の接点P11,P12には、軸受240側の接点P21,P22よりも大きな力が加わる。軸受230に対して、接点P11と接点P12とがX軸方向に近づこうとする力が加わり、軸受240に対して、接点P21と接点P22とがX軸方向に離間しようとする力が加わるためである。
【0061】
このように、軸受230に軸受240よりも大きなスラスト荷重が加わった状態では、軸受240よりも軸受230に多くのオイルを供給することが好ましい。本例では、軸受アッセンブリ20がハウジング30内で矢印F2の方向に移動しているため、ハウジング30の対向領域310と軸受アッセンブリ20の端部251との隙間Sが広がる。その一方、ハウジング30の対向領域320と軸受アッセンブリ20の端部252との隙間Sが狭まる。
【0062】
このような状態で、さらに、突起部311(詳しくは、図3に示した傾斜面3112)によって、オイルを軸受230の方向に導くことができる。したがって、軸受構造2によれば、軸受240よりも多くのオイルを軸受230に効率よく供給することができる。すなわち、負荷の大きい軸受230への給油量を増やすことが可能となる。それゆえ、ターボチャージャ装置100の信頼性を担保し得る。その一方、軸受240に導かれるオイルの量(給油量)は減少する。それゆえ、ターボチャージャ装置100の機械損失を低減し得る。
【0063】
以上のように、軸受構造2によれば、軸受230と軸受240とに関し、他方の軸受よりも大きなスラスト荷重が加わっている一方の軸受に対し、他方の軸受よりも多くのオイルを供給できる。このため、負荷の大きい軸受への給油量を増やし、負荷の小さい軸受への給油量を減らせる。負荷の大きい軸受への給油量を増やすことにより、ターボチャージャ装置100の信頼性を担保し得る。負荷の小さい軸受への給油量を減らすことにより、ターボチャージャ装置100の機械損失を低減し得る。このように、ターボチャージャ装置100に軸受構造2を用いることにより、ターボチャージャ装置100の機械損失を低減するとともに信頼性を担保し得る。
【0064】
<小括>
軸受構造2は、互いに離間して対向し、かつ各々がタービン軸1を回動自在に支持する軸受230,240を有する軸受アッセンブリ20と、軸受アッセンブリ20を収容し、かつ、外部から軸受アッセンブリ20に向かう油路301が形成されたハウジング30とを備える。
【0065】
軸受アッセンブリ20は、タービン軸1の軸方向における端部251と、端部251とは反対側の端部252とを有する。軸受230は、端部251側に固定されている。軸受240は、端部252側に固定されている。軸受アッセンブリ20とハウジング30との間には、油路301から供給されたオイルが流れる隙間Sが設けられている。
【0066】
軸受アッセンブリ20は、タービン軸1に対して軸受230から軸受240へ向かう方向(すなわち、図7の矢印F2の方向,X軸正方向)に荷重が加わると、ハウジング30内において矢印F2の方向に移動する(図7)。軸受アッセンブリ20は、タービン軸1に対して軸受240から軸受230へ向かう方向(すなわち、図6の矢印F1の方向,X軸負方向)に荷重が加わると、ハウジング30内において矢印F1の方向に移動する(図6)。
【0067】
軸受230と軸受240とは、軸受アッセンブリ20の矢印F2の方向への移動がハウジング30によって規制された状態においてタービン軸1に対して矢印F2の方向に荷重が加わると、軸受230に軸受240よりも大きなスラスト荷重が加わる構造を有する。さらに、軸受230と軸受240とは、軸受アッセンブリ20の矢印F1の方向への移動がハウジング30によって規制された状態においてタービン軸1に対して矢印F1の方向に荷重が加わると、軸受240に軸受230よりも大きなスラスト荷重が加わる構造を有する。
【0068】
ハウジング30は、軸受230に対向する対向領域310を有する。ハウジング30は、軸受240に対向する対向領域320を有する。対向領域310に、オイルを軸受230の方向に導く突起部311が形成されている。対向領域320に、オイルを軸受240の方向に導く突起部321が形成されている。
【0069】
それゆえ、軸受構造2によれば、上述したように、軸受230と軸受240とのうち、他方よりも大きなスラスト荷重が加わっている軸受に対し、他方よりも多くのオイルを供給できる。このため、負荷の大きい軸受への給油量を増やし、負荷の小さい軸受への給油量を減らせる。負荷の大きい軸受への給油量を増やすことにより、ターボチャージャ装置100の信頼性を担保し得る。負荷の小さい軸受への給油量を減らすことにより、ターボチャージャ装置100の機械損失を低減し得る。このように、ターボチャージャ装置100に軸受構造2を用いることにより、ターボチャージャ装置100の機械損失を低減するとともに信頼性を担保し得る。
【0070】
<変形例>
(1)図3においては、突起部311,321の上述した断面の形状が直角三角形である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。当該断面の形状は、直角三角形に限らず、傾斜面3112,3212が形成されるような三角形であればよい。また、断面の形状は、三角形に限定されるものではない。断面の形状が三角形とは異なる例について、図8および図9に基づいて説明する。
【0071】
図8は、突起部311,321の第1の変形例を示した図である。詳しくは、図8は、突起部311,321の第1の変形例を下方から視た図である。図8に示されるように、突起部311の変形例である突起部311Aと、突起部321の変形例である突起部321Aとは、突起部311,321と同様に円弧状を有する。
【0072】
上述した仮想平面V1による突起部311Aの断面の形状は、略蒲鉾型である。同様に、仮想平面V2による突起部321Aの断面の形状も、略蒲鉾型である。このような形状であっても、突起部311A,321Aの表面を介して、オイルを軸受230,240に効率よく供給することが可能となる。
【0073】
図9は、突起部311,321の第2の変形例を示した図である。詳しくは、図9は、突起部311,321の第2の変形例を下方から視た図である。図9に示されるように、突起部311の変形例である突起部311Bと、突起部321の変形例である突起部321Bとは、突起部311,321と同様に円弧状を有する。
【0074】
上述した仮想平面V1による突起部311Bの断面の形状は、矩形である。同様に、仮想平面V2による突起部321Bの断面の形状も、矩形である。このような形状であっても、突起部311B,321Bの表面を介して、オイルを軸受230,240に効率よく供給することが可能となる。
【0075】
図10は、突起部311,321の第3の変形例を説明するための図である。図10は、図4と同様の方向から、突起部321の変形例である突起部321Cを視た図である。突起部321Cは、タービン軸1の軸方向視において、直線状である。なお、XZ平面に平行な仮想平面による突起部321Cの断面の形状は、突起部321と同様に、直角三角形である。突起部311Cも突起部321Cと同様の形状を有する。
【0076】
このような形状であっても、突起部311C,321Cの表面を介して、オイルを軸受230,240に効率よく供給することが可能となる。突起部321Cの断面の形状は、上述したように、蒲鉾型、矩形としてもよい。
【0077】
(2)図11は、軸受アッセンブリ20の変形例である軸受アッセンブリ20Aを説明するための図である。図11に示すように、軸受アッセンブリ20Aは、ホルダ210Aを備える点において、ホルダ210を備える軸受アッセンブリ20(図2)とは異なる。
【0078】
ホルダ210Aは、端部251の上端に溝291が形成され、かつ端部252の上端に溝292が形成されている点において、ホルダ210と異なる。溝291,292は、それぞれ、端部251,252の外周から内周に向かって形成されている。ホルダ210Aは、ホルダ210の端部251,252の上端を切欠いたような形状を有する。
【0079】
軸受アッセンブリ20Aは、溝291により、軸受アッセンブリ20よりも軸受230にオイルを効率よく供給できる。同様に、軸受アッセンブリ20Aは、溝292により、軸受アッセンブリ20よりも軸受240にオイルを効率よく供給できる。なお、軸受アッセンブリ20Aは、溝291と溝292とのうちの少なくとも一方を備える構成であってもよい。
【0080】
(3)上記においては、ハウジング30が2つの突起部311,321を備える構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。突起部311,321のうちのいずれか一方のみをハウジング30が備える構成であってもよい。
【0081】
(4)上記においては、突起部311が、YZ平面に平行な仮想平面に関し、突起部321と面対称である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。突起部311の形状は、必ずしも、突起部321と面対称でなくてもよい。
【0082】
<付記>
〔項目1〕
互いに離間して対向し、かつ各々がタービン軸を回動自在に支持する第1および第2の軸受を有する軸受アッセンブリと、
前記軸受アッセンブリを収容し、かつ、外部から前記軸受アッセンブリに向かう油路が形成されたハウジングとを備え、
前記軸受アッセンブリは、前記タービン軸の軸方向における第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の第2の端部とを有し、
前記第1の軸受は、前記第1の端部側に固定され、
前記第2の軸受は、前記第2の端部側に固定され、
前記軸受アッセンブリと前記ハウジングとの間には、前記油路から供給されたオイルが流れる隙間が設けられ、
前記軸受アッセンブリは、前記タービン軸に対して前記第1の軸受から前記第2の軸受へ向かう第1の方向に荷重が加わると、前記ハウジング内において前記第1の方向に移動し、
前記第1の軸受と前記第2の軸受とは、前記軸受アッセンブリの前記第1の方向への移動が前記ハウジングによって規制された第1の状態において前記タービン軸に対して前記第1の方向に荷重が加わると、前記第1の軸受に前記第2の軸受よりも大きなスラスト荷重が加わる構造を有し、
前記ハウジングは、前記第1の軸受に対向する第1の対向領域を有し、
前記第1の対向領域に、前記オイルを前記第1の軸受の方向に導く第1の突起部が形成されている、ターボチャージャ用軸受構造。
【0083】
〔項目2〕
前記軸受アッセンブリは、前記タービン軸に対して前記第2の軸受から前記第1の軸受へ向かう第2の方向に荷重が加わると、前記ハウジング内において前記第2の方向に移動し、
前記第1の軸受と前記第2の軸受とは、前記軸受アッセンブリの前記第2の方向への移動が前記ハウジングによって規制された第2の状態において前記タービン軸に対して前記第2の方向に荷重が加わると、前記第2の軸受に前記第1の軸受よりも大きなスラスト荷重が加わる構造を有し、
前記ハウジングは、前記第2の軸受に対向する第2の対向領域を有し、
前記第2の対向領域に、前記オイルを前記第2の軸受の方向に導く第2の突起部が形成されている、項目1に記載のターボチャージャ用軸受構造。
【0084】
〔項目3〕
前記第1の軸受は、複数の転動体と、前記複数の転動体を転動可能に支持する内輪および外輪とを含み、
前記第1の突起部は、前記軸方向視において、前記内輪の外側かつ前記外輪の外周面の内側となる位置に設けられている、項目1または2に記載のターボチャージャ用軸受構造。
【0085】
〔項目4〕
前記第1の突起部は、前記軸方向視において、前記外輪の内周面の内側となる位置に設けられている、項目3に記載のターボチャージャ用軸受構造。
【0086】
〔項目5〕
前記第1の突起部は、前記軸方向視において、各前記転動体の中心の外側となる位置に設けられている、項目4に記載のターボチャージャ用軸受構造。
【0087】
〔項目6〕
前記第1の突起部は、前記軸方向視において、円弧状を有し、
前記第1の突起部の下端の位置は、前記軸方向視における前記タービン軸の中心点と同じ高さ、または、前記中心点よりも高い、項目3から5のいずれか1項に記載のターボチャージャ用軸受構造。
【0088】
〔項目7〕
前記第1の状態において、前記第2の軸受と前記第2の突起部とは前記軸方向に離間しており、
前記第2の状態において、前記第1の軸受と前記第1の突起部とは前記軸方向に離間している、項目2に記載のターボチャージャ用軸受構造。
【0089】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0090】
1 タービン軸、1c,241c 中心点、2 軸受構造、3 コンプレッサホイール、4 タービンホイール、20,20A センブリ、30 ハウジング、31,41 背面、100 ターボチャージャ装置、210,210A ホルダ、220 スペーサ、230,240 軸受、231,241 玉、232,242 内輪、233,243 外輪、234,244 保持器、251,252 端部、270 外壁面、271,272,291,292 溝、301,302 油路、303 内壁面、310,320 対向領域、311,311A,311B,311C,312,321,321A,321B,321C 突起部、2421,2431 外周面、2432 内周面、3111,3211 底面、3112,3212 傾斜面、3114,3214 稜線、A,F1,F2 矢印、L1,L2 直線、P11,P12,P21,P22 接点、R1,R2,R3 領域、S 隙間、V1,V2 仮想平面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11