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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165277
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】配線器具
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/70 20060101AFI20241121BHJP
   H01R 13/502 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
H01R13/70
H01R13/502 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081329
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明義
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021MA04
5E021MB01
5E021MB03
5E087EE02
5E087EE10
5E087FF06
5E087HH01
5E087PP08
5E087QQ03
5E087RR06
5E087RR26
5E087RR43
(57)【要約】
【課題】栓刃に接触して異常を検出するセンサの摩耗を抑制し、異常を適切に検出できる配線器具を提供する。
【解決手段】
配線器具は、電源プラグに設けられる栓刃が挿入されることで電源プラグを電路に接続可能なプラグ接続部と、プラグ接続部に挿入される栓刃と接触し、プラグ接続部における異常状態を検出する少なくとも1つのセンサを有する検出部と、を備え、検出部の少なくとも一部が電源プラグに当接することで、少なくとも1つのセンサが栓刃の挿入方向に交差する交差方向に移動する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源プラグに設けられる栓刃が挿入されることで前記電源プラグを電路に接続可能なプラグ接続部と、
前記プラグ接続部に挿入される前記栓刃と接触し、前記プラグ接続部における異常状態を検出する少なくとも1つのセンサを有する検出部と、
を備え、
前記検出部の少なくとも一部が前記電源プラグに当接することで、前記少なくとも1つのセンサが前記栓刃の挿入方向に交差する交差方向に移動する、
配線器具。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサは、前記栓刃と前記プラグ接続部との接続異常を検出する、請求項1に記載の配線器具。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサは、前記栓刃における電流の異常を検出する、請求項1又は2に記載の配線器具。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサは、前記プラグ接続部における温度異常を検出する、請求項1又は2に記載の配線器具。
【請求項5】
前記検出部は、前記栓刃の挿入方向に交差する交差方向に延在する回動軸を中心に回動可能な第1回動部を有し、
前記少なくとも1つのセンサは、前記第1回動部に設けられている、請求項1又は2に記載の配線器具。
【請求項6】
前記栓刃を挿入可能な差込口が設けられる筐体をさらに備え、
前記電源プラグは、前記栓刃の基端部が接続される本体部を有し、
前記筐体は、前記本体部が当接可能な壁部を有し、
前記検出部は、前記壁部から突出可能であって、前記第1回動部と共に前記回動軸を中心に回動可能な第2回動部を有し、
前記第2回動部は、前記本体部が当接することで前記第1回動部と共に前記栓刃に向けて回転し、
前記少なくとも1つのセンサは、前記第1回動部の回転により前記栓刃に接触する、請求項5に記載の配線器具。
【請求項7】
前記栓刃を挿入可能な差込口が設けられる筐体をさらに備え、
前記第1回動部は、前記差込口と前記プラグ接続部との間に設けられ、
前記少なくとも1つのセンサ及び前記第1回動部の少なくとも一方が前記栓刃に当接することで、前記第1回動部は前記回動軸を中心に回転し、
前記少なくとも1つのセンサは、少なくとも前記第1回動部の回転後に前記栓刃に接触する、請求項5に記載の配線器具。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサは、前記第1回動部に対して回動可能に設けられており、前記栓刃に当接しながら前記第1回動部に対して回動して前記栓刃の外面に沿って移動する、請求項7に記載の配線器具。
【請求項9】
前記検出部は、前記第1回動部を前記栓刃から離間する方向に付勢する弾性部材を有する、請求項5に記載の配線器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、温度上昇等の異常を検出する配線器具が知られている。特許文献1に記載の配線器具は、温度検出部と、制御部とを備える。温度検出部は、配線器具における電力の給電路に対応する温度を検出する。制御部は、検出した温度に基づき、給電路の遮断及び温度に関する通知のうち少なくとも一方を行う。特許文献1に記載の温度検出部は、2つの温度センサを有し、それぞれ差込式の速結端子と、栓刃が差し込まれる刃受部材とに熱的に結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-054098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線器具において、異常を検出するセンサは、電源プラグと電気的に接続するプラグ接続部に固定されている場合がある。例えば、特許文献1に記載の配線器具では、温度センサが電源プラグと電気的に接続する部材に対して固定されている。特許文献1に記載の配線器具のように、センサが設けられている位置が電源プラグの栓刃から離間している場合、栓刃を有する電源プラグの異常を検出することが難しい場合がある。電源プラグの異常を検出するとき、センサを栓刃に接触させることが考えられるが、プラグ接続部に挿入された栓刃に接触する位置にセンサが固定されている場合には、電源プラグの抜き差しに伴ってセンサに対して摩擦力が働くため、センサが摩耗する可能性がある。
【0005】
本開示は、栓刃に接触して異常を検出するセンサの摩耗を抑制し、異常を適切に検出できる配線器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る配線器具は、電源プラグに設けられる栓刃が挿入されることで電源プラグを電路に接続可能なプラグ接続部と、プラグ接続部に挿入される栓刃と接触し、プラグ接続部における異常状態を検出する少なくとも1つのセンサを有する検出部と、を備え、検出部の少なくとも一部が電源プラグに当接することで、少なくとも1つのセンサが栓刃の挿入方向に交差する交差方向に移動する。
【0007】
この配線器具において、少なくとも1つのセンサは、プラグ接続部に挿入されている栓刃と接触する。この場合、栓刃が設けられる電源プラグの異常を検出できる。また、例えば、栓刃が電路に接続されている場合には、配線器具の異常も検出できる。さらに、検出部の少なくとも一部が電源プラグに当接することで、少なくとも1つのセンサが交差方向に移動する。このため、少なくとも1つのセンサがプラグ接続部に対して固定されている場合に比べて、少なくとも1つのセンサは、栓刃の挿入方向への力を交差方向に受け流すことができ、差込口に対する電源プラグの抜き差しによる摩耗を抑制できる。よって、この配線器具は、栓刃に接触して異常を検出するセンサの摩耗を抑制し、異常を適切に検出できる。
【0008】
一実施形態に係る配線器具において、少なくとも1つのセンサは、栓刃とプラグ接続部との接続異常を検出してもよい。この場合、少なくとも1つのセンサが交差方向に移動し、栓刃に接触することで、栓刃とプラグ接続部との接続異常を検出できる。
【0009】
一実施形態に係る配線器具において、少なくとも1つのセンサは、栓刃における電流の異常を検出してもよい。この場合、栓刃がプラグ接続部に適切に挿入されている場合には、栓刃が電路に接続され、電流が流れる。このため、少なくとも1つのセンサは、栓刃における電流によって、電源プラグ及び配線器具の少なくとも一方の異常を検出できる。
【0010】
一実施形態に係る配線器具において、少なくとも1つのセンサは、プラグ接続部における温度異常を検出してもよい。この場合、少なくとも1つのセンサは、栓刃がプラグ接続部に適切に挿入されていない場合等に生じる温度異常を検出できる。
【0011】
一実施形態に係る配線器具において、検出部は、栓刃の挿入方向に交差する交差方向に延在する回動軸を中心に回動可能な第1回動部を有し、少なくとも1つのセンサは、第1回動部に設けられていてもよい。この場合、少なくとも1つのセンサは、回動軸を中心とした第1回動部の回動に合わせて移動し、栓刃に接触することができる。
【0012】
一実施形態に係る配線器具は、栓刃を挿入可能な差込口が設けられる筐体をさらに備え、電源プラグは、栓刃の基端部が接続される本体部を有し、筐体は、本体部が当接可能な壁部を有し、検出部は、壁部から突出可能であって、第1回動部と共に回動軸を中心に回動可能な第2回動部を有し、第2回動部は、本体部が当接することで第1回動部と共に栓刃に向けて回転し、少なくとも1つのセンサは、第1回動部の回転により栓刃に接触してもよい。この場合、電源プラグの本体部が検出部の第2回動部に当接することで、第2回動部が第1回動部と共に栓刃に向けて回転する。これにより、電源プラグの栓刃が差込口に挿入されて電路に接続するのに合わせて、第1回動部に設けられた少なくとも1つのセンサが栓刃に接触できる。よって、少なくとも1つのセンサは、挿入される栓刃から摩擦力を受けにくくなり、摩耗を抑制できる。
【0013】
一実施形態に係る配線器具は、栓刃を挿入可能な差込口が設けられる筐体をさらに備え、第1回動部は、差込口とプラグ接続部との間に設けられ、少なくとも1つのセンサ及び第1回動部の少なくとも一方が栓刃に当接することで、第1回動部は回動軸を中心に回転し、少なくとも1つのセンサは、少なくとも第1回動部の回転後に栓刃に接触してもよい。この場合、電源プラグの栓刃が少なくとも一つのセンサ及び第1回動部に当接することで、第1回動部が回動軸を中心に回転する。これにより、第1回動部は、差込口とプラグ接続部とを結ぶ方向に沿って移動する栓刃から受ける力を、回動軸を中心とした円周方向に受け流すことができる。このため、検出部は、栓刃から摩擦力を受けにくくなり、摩耗を抑制できる。
【0014】
一実施形態に係る配線器具において、少なくとも1つのセンサは、第1回動部に対して回動可能に設けられており、栓刃に当接しながら第1回動部に対して回動して栓刃の外面に沿って移動してもよい。この場合、第1回動部が回動軸を中心に回転可能な状態で、少なくとも一つのセンサが第1回動部に対して回動可能に設けられている。これにより、この少なくとも一つのセンサは、差込口とプラグ接続部とを結ぶ方向に沿って移動する栓刃から受ける力の向きを、回動軸を中心とした第1回動部の回動方向、及び、第1回動部に対する少なくとも一つのセンサの回転方向の少なくとも一方向に受け流すことができる。このため、少なくとも1つのセンサは、栓刃から摩擦力を受けにくくなり、摩耗を抑制できる。
【0015】
一実施形態に係る配線器具において、検出部は、第1回動部を栓刃から離間する方向に付勢する弾性部材を有してもよい。この場合、電源プラグの本体部が壁部に当接しているときは、第2回動部は、弾性部材によって第1回動部が栓刃から離間する方向に付勢されても、電源プラグの本体部により回転が抑制される。電源プラグがプラグ接続部から脱離される場合、本体部が壁部から離間するため、第2回動部は、壁部から突出する方向に回転可能となる。第1回動部は、第2回動部と共に回転するため、弾性部材により栓刃から離間する方向に回転可能となる。よって、少なくとも1つのセンサは、脱離される栓刃から摩擦力を受けにくくなり、摩耗を抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係る配線器具によれば、栓刃に接触して異常を検出するセンサの摩耗を抑制し、異常を適切に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る配線器具及び電源プラグの一例を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る配線器具の一例を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る配線器具の内部の一例を示す上面図である。
図4】実施形態に係る配線器具の一例を示す斜視拡大図である。
図5図4のV-V線に沿った配線器具の部分断面図である。
図6】実施形態に係る配線器具の内部及び電源プラグの栓刃の一例を示す上面図である。
図7】実施形態に係る配線器具の内部の一例を示す正面図である。
図8】実施形態に係る配線器具の一例を示す斜視拡大図である。
図9図8のIX-IX線に沿った配線器具の部分断面図である。
図10】変形例に係る配線器具の一例を示す斜視拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「背」等の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0019】
図1は、実施形態に係る配線器具及び電源プラグの一例を示す斜視図である。図中のX軸方向及びY軸方向が水平方向であり、Z方向が垂直方向である。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、3次元空間の直交座標系における互いに直交する軸方向である。以下では、XY平面に沿った方向を水平方向、Z軸方向を上下方向ともいう。図2は、実施形態に係る配線器具の一例を示すブロック図である。
【0020】
配線器具1は、不図示の負荷装置の電源プラグ90が接続可能なコンセントである。本実施形態に係る配線器具1は、負荷装置の電源プラグ90が接続されることで負荷装置に電力を供給する。配線器具1は、商用電源等の電源からの電力を取り出す機器であればよく、例えば、テーブルタップ、延長コードセット等でもよい。負荷装置は、例えば、電子機器である。負荷装置は、例えば、乾燥機、電子レンジ、ドライヤー、掃除機、テレビ、充電器等である。配線器具1は、例えば、建物の室内の壁等に設けられる。
【0021】
電源プラグ90は、複数の栓刃と、当該複数の栓刃の基端部が接続される本体部92とを有する。電源プラグ90は、例えば、一対の栓刃91A,91Bと、一対の栓刃91A,91Bの基端部が接続される本体部92とを有する。図1に示す例では、一対の栓刃91A,91Bは、それぞれ本体部92からX軸の正方向(前側)に向かってX軸に沿って延在している。一対の栓刃91A,91Bは、Y軸に沿って並んで配置され、離間している。すなわち、電源プラグ90は、Y軸の負方向(左側)に設けられた栓刃91Aと、Y軸の正方向(右側)に設けられた栓刃91Bと、を有する。栓刃91A,91Bは、板状の金属部材である。本体部92は、一対の栓刃91A,91Bが設けられる当接面92aを有する。当接面92aは、Y軸及びZ軸に沿って延在する面である。一対の栓刃91A,91Bは、例えば、本体部92の当接面92aに直交している。当接面92aは、例えば、一対の栓刃91A,91Bより外側に延在している。すなわち、当接面92aは、栓刃91AよりY軸の負方向に延在し、栓刃91BよりY軸の正方向に延在している。当接面92aは、一対の栓刃91A,91Bより上下方向に延在していてもよい。
【0022】
配線器具1は、例えば、2つの電源プラグ90を同時に接続可能な2個口タイプのコンセントである。本実施形態の配線器具1は、プラグ接続部10と、一対の検出部20A,20Bとを備える。配線器具1は、筐体2と、制御部50と、遮断レバー61と、表示部62と、音源部63とをさらに備える。
【0023】
筐体2は、プラグ接続部10、一対の検出部20A,20B、制御部50、遮断レバー61、表示部62、及び音源部63とを収容する。収容される各構成は、その一部が筐体2の外部に突出していてもよい。図1に示す例では、筐体2には、2つの電源プラグ90に対応するように、2つの差込口3が設けられている。各差込口3に電源プラグ90が差し込まれることで、電源プラグ90と電路とが接続可能に構成されている。ここでの接続可能とは、通電可能であることを含む。
【0024】
配線器具1の筐体2は、壁部4を有する。壁部4は、筐体2のX軸の負方向(背後側)に設けられている。壁部4は、Y軸及びZ軸に沿って延在する板状の部位である。2つの差込口3のそれぞれは、壁部4において上下方向に沿って並んで配置されている。例えば、2つの差込口3は、交流100V用の2極接地極付きコンセントである。
【0025】
本実施形態の2つの差込口3のそれぞれは、1つの電源プラグ90が挿入可能な3つの開口3aを有する。一対の栓刃91A,91Bを有する電源プラグ90がプラグ接続部10に接続される場合、各差込口3においてY軸に沿って並んだ2つの開口3aに一対の栓刃91A,91Bが挿入される。以下では、各差込口3においてY軸に沿って並んだ2つの開口3aを、一対の開口3a,3aと記載する。開口3aは、X軸に沿って壁部4を貫通している。Y軸方向及びZ軸方向において、当該一対の開口3a,3aのそれぞれの形状は、例えば、矩形状である。当該一対の開口3a,3aのそれぞれは、Y軸に沿った方向の長さより、Z軸に沿った方向の長さが長い。Y軸方向及びZ軸方向において、各差込口3の一対の開口3a,3aは、一対の栓刃91A,91Bが挿通可能な大きさに開口している。
【0026】
壁部4は、電源プラグ90の本体部92が当接可能な壁面4aを有する。壁面4aは、Y軸及びZ軸に沿って延在する面である。電源プラグ90がプラグ接続部10に接続される場合、壁部4の壁面4aは、電源プラグ90の本体部92の当接面92aと接触する。
【0027】
図3は、実施形態に係る配線器具の内部の一例を示す上面図である。図3に示すプラグ接続部10は、電源プラグ90に設けられる一対の栓刃91A,91Bが挿入されることで電源プラグ90を電路に接続する(図6参照)。プラグ接続部10は、一対の刃受け部材15A,15Bを有する。各差込口3につき、互いに異極性となる一対の刃受け部材15A,15Bが設けられてる。一対の刃受け部材15A,15Bは、一対の刃受け部材15A,15Bのそれぞれから同距離にあって、X軸及びZ軸に沿って延在する仮想平面RLを境界として、左右対称の構成を有し、同様の作用効果を有する。
【0028】
電源プラグ90の一対の栓刃91A,91Bが差込口3の一対の刃受け部材15A,15Bに挿入され、X軸の正方向(前側)に移動することで、刃受け部材15Aには、栓刃91Aが接続され、刃受け部材15Bには、栓刃91Bが接続される。以下、一例として、刃受け部材15Aについて説明する。刃受け部材15Aは、Y軸の両側から栓刃91Aを挟持可能な構造を有する。刃受け部材15Aは、例えば、金属で構成された弾性体である。刃受け部材15Aは、略C字状を呈する。刃受け部材15Aに栓刃91Aが挿入される前において、刃受け部材15Aは、Y軸方向において閉じている。栓刃91Aが刃受け部材15Aに当接しながら前側に向かって移動することで、刃受け部材15Aは、Y軸に沿って押し広げられて開口し、栓刃91Aを挟持する。刃受け部材15Aは、電路と接続されている。電路は、不図示の電源に接続され、当該電源からの通電が可能である。
【0029】
図1を再び参照する。壁部4は、例えば、差込口3の開口3aに対して、一対の検出部20A,20Bの一部が突出可能な一対の収容部5A,5Bを有する。一対の収容部5A,5Bと、一対の検出部20A,20Bとは、それぞれ、仮想平面RLを境界として、左右対称の構成を有し、同様の作用効果を有する。以下、収容部5A及び検出部20Aについて説明する。
【0030】
図4は、実施形態に係る配線器具の一例を示す斜視拡大図である。図4に示す例では、説明のため、筐体2の内部に収容された検出部20Aを実線、壁部4に設けられた収容部5Aのうち壁部4に覆われた部分を二点鎖線で表している。なお、図4に示す例では、説明のため、壁面4aにおける差込口3の開口3aの縁及び収容部5の縁を実線で表している。図5は、図4のV-V線に沿った配線器具の部分断面図である。図4及び図5に示すように、検出部20Aは、収容部5Aに収容されている。
【0031】
まず、検出部20Aの構成について説明する。検出部20Aは、例えば、差込口3の左側の開口3aより外側に設けられている。外側とは、一対の開口3aのうち、左側に設けられた開口3aより左側、及び、一対の開口3aのうち、右側に設けられた開口3aより右側の少なくとも一方を意味する。図3及び図4に示す例では、収容部5A及び検出部20Aは、一対の開口3aのうち、左側に設けられた開口3aより左側に設けられている。なお、収容部5B及び検出部20Bは、一対の開口3aのうち、右側に設けられた開口3aより右側に設けられている。以下、外側の反対側を内側という場合がある。
【0032】
検出部20Aは、プラグ接続部10に挿入される栓刃91Aと接触し、プラグ接続部10における異常状態を検出する少なくとも1つのセンサを有する。異常状態を検出するとは、異常状態を示す値を取得可能であることを含む。すなわち、検出部20Aは、プラグ接続部10における電源プラグ90との接続状態が異常状態か否かに限定されず、プラグ接続部10においてセンサが示す値及び信号を取得可能である。
【0033】
検出部20Aは、センサ部21と、回動軸30と、第1回動部31と、第2回動部35と、少なくとも1つの弾性部材40とを備える。本実施形態の検出部20Aは、2つの弾性部材40を有する。
【0034】
回動軸30は、栓刃91Aの挿入方向(X軸方向)に交差する交差方向に延在する。回動軸30は、例えば、Z軸に沿って延在する。回動軸30は、水平方向に沿って第1回転方向R1及び第2回転方向R2に回動自在に回動する。回動軸30は、第1回動部31及び第2回動部35を筐体2に対して第1回転方向R1及び第2回転方向R2に回動可能に支持する。第1回転方向R1は、例えば、電源プラグ90によって付勢される一方向であって、第1回動部31及び第2回動部35の回動周方向のうち、栓刃91Aとセンサ部21とが接触する(近接する)方向である。第2回転方向R2は、弾性部材40によって付勢される一方向であって、第1回動部31及び第2回動部35の回動周方向のうち第1回転方向R1とは反対方向である。なお、図3図9における第1回転方向R1及び第2回転方向R2は、検出部20Aにおける方向を示している。このため、図3,6,7においては、検出部20Bにおける第1回転方向R1と第2回転方向R2とはそれぞれ反対の方向を示す。
【0035】
回動可能とは、第1回動部31及び第2回動部35を第1回転方向R1及び第2回転方向R2に回動させる場合には、回動軸30が第1回動部31及び第2回動部35を支持しつつも第1回転方向R1及び第2回転方向R2に回動するという機能を発揮することで第1回動部31及び第2回動部35を回動させることを含む。本実施形態の回動軸30は、筐体2に対して移動不能に固定されている。回動軸30は、その延在方向に沿って脱離不能、かつ、第1回転方向R1及び第2回転方向R2に回動可能に筐体2の後述の軸受部6に嵌合する。
【0036】
センサ部21は、少なくとも1つのセンサを有する。センサ部21は、プラグ接続部10に挿入される栓刃91Aと接触し、プラグ接続部10における異常状態を検出する。プラグ接続部10における異常状態とは、プラグ接続部10及びプラグ接続部10の周辺の構造における異常状態を含む。例えば、プラグ接続部10における異常状態とは、プラグ接続部10に挿入される一対の栓刃91A,91Bの異常状態を含む。センサ部21は、例えば、異常状態に関する検出値を測定する。センサ部21は、各センサで検出対象とする異常状態に関する検出値を測定した後、当該検出値を制御部50に出力する。
【0037】
図2及び図4に示すように、本実施形態のセンサ部21は、接続検出センサ22、電流検出センサ23及び温度検出センサ24を有する。接続検出センサ22は、異常状態として、栓刃91Aとプラグ接続部10との接続異常を検出する。接続異常とは、栓刃91Aとプラグ接続部10の刃受け部材15Aとの接続不足及び接触不良を含む。接続検出センサは、例えば、メカニカルスイッチ等である。接続検出センサ22における検出値は、例えば、圧力である。
【0038】
電流検出センサ23は、異常状態として、栓刃91Aにおける電流の異常を検出する。栓刃91Aにおける電流の異常とは、電源プラグ90又はプラグ接続部10の劣化、及び、過電流を含む。電流検出センサ23は、例えば、電流の測定器等である。電流検出センサ23における検出値は、例えば、電流値である。
【0039】
温度検出センサ24は、異常状態として、プラグ接続部における温度異常を検出する。温度異常とは、プラグ接続部10における過熱状態を含む。温度検出センサ24は、例えば、サーミスタ又は熱電対等である。温度検出センサ24における検出値は、例えば、温度である。
【0040】
なお、配線器具1には、センサ部21とは別にトラッキングを検出するセンサであるトラッキング検出センサが設けられていてもよい。トラッキング検出センサは、例えば、フォトカプラ、CT又はホール素子等である。例えば、トラッキング検出センサは、筐体2の内部であって、2つの差込口3の間に設けられていてもよい。
【0041】
図4及び図5に示すように、センサ部21は、第1回動部31に設けられている。第1回動部31は、回動軸30を中心に回動可能である。第1回動部31は、栓刃当接部32と、第1延在部33とを備える。栓刃当接部32は、センサ部21が設けられる部位である。栓刃当接部32は、センサ部21が設けられるセンサ面32aと、背面32bと、を有する。センサ面32a及び背面32bは、例えば、平面である。センサ面32aは、栓刃当接部32の内側(右側)の面である。センサ面32aは、栓刃91Aが刃受け部材15Aに挿入されているときにX軸及びZ軸に沿って延在している(図7参照)。接続検出センサ22、電流検出センサ23及び温度検出センサ24は、センサ面32aから栓刃91Aに向かって突出している。接続検出センサ22、電流検出センサ23及び温度検出センサ24は、栓刃91Aが差込口3に挿入されているときにセンサ面32aからY軸に沿って栓刃91Aに向かって突出している。すなわち、接続検出センサ22、電流検出センサ23及び温度検出センサ24は、栓刃91Aが刃受け部材15Aに挿入されているときに栓刃91Aに直交する向きに突出している。背面32bは、Z軸に沿って延在している栓刃当接部32の背後側の面である。背面32bは、栓刃91Aが刃受け部材15Aに挿入されているときにY軸及びZ軸に沿って延在している(図8及び図9参照)。
【0042】
第1延在部33は、その一端部において栓刃当接部32と接続し、その他端部において回動軸30と接続する部位である。第1延在部33は、回動軸30から、回動軸30の回転径方向の外側に突出している。回転径方向とは、回動軸30を中心にした円の径方向を指す。回転径方向の外側とは、回動軸30の回転径方向において、回動軸30から見て遠ざかる側を指す。第1延在部33は、回動軸30を中心に第1回転方向R1及び第2回転方向R2に回動可能である。栓刃当接部32は、第1延在部33の延在長さを回転半径として、回動軸30を中心に第1回転方向R1及び第2回転方向R2に回動可能である。
【0043】
第1延在部33は、例えば、直方体状を呈する。第1延在部33は、第1側面33a及び第2側面33bを有する。第1側面33a及び第2側面33bは、回転径方向及びZ軸に沿って延在している平面である。第1側面33aは、第1延在部33の外側(左側)の面である。第2側面33bは、第1延在部33の内側(右側)の面である。第1側面33a及び第2側面33bは、栓刃91Aが刃受け部材15Aに挿入されているときにX軸及びZ軸に沿って延在している(図8及び図9参照)。
【0044】
第2回動部35は、壁部4から突出可能であって、第1回動部31と共に回動軸30を中心に回動可能である。第2回動部35は、第2延在部36と、突出部37とを備える。第2延在部36は、その一端部において突出部37と接続し、その他端部において回動軸30と接続する部位である。第2延在部36は、回動軸30から、回動軸30の回転径方向の外側に向かって突出している。第2延在部36は、回動軸30及び第1延在部33と交差する方向に延在している。第2延在部36は、例えば、回動軸30及び第1延在部33とそれぞれ直交する方向に延在している。第1延在部33及び第2延在部36は、例えば、回動軸30に対して固定されている。第2延在部36は、栓刃91Aが刃受け部材15Aに挿入されているときにY軸に沿って延在する。第2延在部36は、回動軸30を中心に第1回転方向R1及び第2回転方向R2に回動可能である。
【0045】
第2延在部36は、例えば、直方体状を呈する。第2延在部36は、前面36aを有する。前面36aは、第2延在部36の前側の面である。前面36aは、回転径方向及びZ軸に沿って延在している平面である。前面36aは、栓刃91Aが刃受け部材15Aに挿入されているときにY軸及びZ軸に沿って延在している(図8及び図9参照)。
【0046】
突出部37は、第2延在部36の一端部から背後側に延在している部位である。突出部37は、例えば、栓刃91Aが刃受け部材15Aに挿入されているときに第2延在部36の一端部からX軸に沿って背後側に延在している部位である。突出部37は、栓刃91Aが刃受け部材15Aに挿入されていないときに壁部4から背後側に向けて突出している。回動軸30を中心として、壁部4から突出している第1初期位置の突出部37の端部から壁部4の壁面4aまでの角度は、第1初期位置のセンサ部21が刃受け部材15Aに挿入された栓刃91Aに当接する位置までの角度である。第1初期位置については、後述する。突出部37は、背後側に向かって突出して湾曲している。突出部37は、第2延在部36の延在長さを回転半径として、回動軸30を中心に第1回転方向R1及び第2回転方向R2に回動可能である。
【0047】
各弾性部材40は、第1回動部31及び第2回動部35を栓刃91Aから離間する方向(第2回転方向R2)に付勢する。各弾性部材40は、回動軸30の上部及び下部に設けられる。各弾性部材40は、第1回動部31及び第2回動部35の移動を制限する。各弾性部材40は、第1回動部31及び第2回動部35の第1初期位置からの第1回転方向R1への移動量が所定の範囲に収まるように付勢する。言い換えれば、各弾性部材40は、第1回動部31及び第2回動部35が第1初期位置に戻るように第2回転方向R2に向かって第1回動部31及び第2回動部35を付勢する弾性力を発揮する。
【0048】
第1初期位置とは、例えば、第1回動部31に設けられたセンサ部21が栓刃91AからY軸において左側(外側)に離間している位置であって、第2回動部35の突出部37が電源プラグ90の本体部92に当接しておらず、壁部4から背後側に向けて突出している位置である。第1回動部31及び第2回動部35は、例えば、栓刃91Aが刃受け部材15Aに挿入されていない場合に各弾性部材40によって第1初期位置に位置する。第1回動部31及び第2回動部35は、例えば、栓刃91Aが刃受け部材15Aに挿入され、電源プラグ90の本体部92が第2回動部35の突出部37に当接するまで第1初期位置に位置する。
【0049】
各弾性部材40が第1回動部31及び第2回動部35を第2回転方向R2に付勢することで、作業者が電源プラグ90の本体部92を前側に向かって、壁部4の壁面4aに接触させるように押圧した場合であっても、第1回動部31及び第2回動部35の第1回転方向R1への回転移動量が所定の範囲で収まる。作業者が電源プラグ90の本体部92を背後側に向かって、壁部4の壁面4aから離間させるように引っ張った場合には、各弾性部材40は、第1回動部31及び第2回動部35を第2回転方向R2へ回転させ、第1初期位置に移動させる。この場合、各弾性部材40は、第1回動部31及び第2回動部35を第1初期位置から第2回転方向R2へさらに回転しないように規制する。
【0050】
次に、筐体2の収容部5Aの構成について説明する。収容部5Aは、検出部20Aを収容する。収容部5Aは、軸受部6と、第1収容部7と、第2収容部8と、第3収容部9とを有する。軸受部6は、回動軸30及び各弾性部材40を収容する。軸受部6は、回動軸30を回動可能に支持する。軸受部6は、各弾性部材40を固定して支持する。
【0051】
第1収容部7は、第1回動部31のうち栓刃当接部32の少なくとも一部を収容する。第1収容部7は、栓刃当接部32を収容可能な空間を有する。第1収容部7は、栓刃当接部32の背面32bと対向している対向面7aを有する。対向面7aは、例えば、平面である。対向面7aは、例えば、Z軸に沿って延在し、Y軸の左側(外側)に向かうにつれて背後側に傾斜している。対向面7aは、栓刃当接部32の背面32bに当接可能に設けられていてもよい。この場合、対向面7aは、第1回動部31の第2回転方向R2への回転を規制してもよい。
【0052】
第2収容部8は、第1回動部31のうち第1延在部33の少なくとも一部を収容する。第2収容部8は、第1延在部33を収容可能な空間を有する。第2収容部8は、第1規制面8a及び第2規制面8bを有する。第1規制面8aは、第1延在部33の第1側面33aと当接可能な平面である。第1規制面8aは、例えば、Z軸に沿って延在し、Y軸の左側(外側)に向かうにつれて前側に傾斜している。第2規制面8bは、第1延在部33の第2側面33bと当接可能な平面である。第2規制面8bは、例えば、X軸及びZ軸に沿って延在している平面である。
【0053】
第3収容部9は、第2回動部35の少なくとも一部を収容する。第3収容部9は、第2延在部36及び突出部37を収容可能な空間を有する。第3収容部9は、第2延在部36の前面36aと対向している対向面9aを有する。対向面9aは、例えば、Y軸及びZ軸に沿って延在している平面である。対向面9aは、第2延在部36の前面36aに当接可能に設けられていてもよい。この場合、対向面7aは、第1回動部31の第2回転方向R2への回転を規制してもよい。
【0054】
再び図2を参照する。制御部50は、CPU(CentralProcessing Unit)などのプロセッサと、RAM(Random AccessMemory)及びROM(Read Only Memory)などのメモリと、タッチパネル、マウス、キーボード、ディスプレイなどの入出力装置と、ネットワークカードなどの通信装置とを含むコンピュータシステムである。制御部50は、メモリに記憶されているコンピュータプログラムに基づくプロセッサの制御の下で各ハードウェアを動作させることにより、制御部50の機能を実現する。
【0055】
制御部50は、一対の検出部20A,20Bから入力された検出値が異常であるかどうかを判定して異常である場合に信号(以下、出力信号と記載)を出力する。制御部50は、取得部51、記憶部52、判定部53及び報知部54を有する。
【0056】
取得部51は、センサ部21により検出された検出値を取得する。記憶部52は、判定部53の判定において用いられる閾値を記憶している。閾値は、例えば、圧力に関する閾値として所定の圧力閾値、電流値から算出可能な電路の抵抗値に関する閾値として抵抗閾値、及び、温度に関する閾値である温度閾値を含む。温度閾値は、プラグ接続部10と電源プラグ90との接続によって生じる過熱状態と、他の要因によるプラグ接続部10における過熱状態とをそれぞれ区別して、それぞれの過熱状態に対して所定の温度が温度閾値として設定されてもよい。
【0057】
判定部53は、センサ部21で検出対象とされる異常状態に関する検出値、及び、当該検出値に対してそれぞれ設定された閾値に基づいて異常状態か否かを判定する。判定部53は、接続検出センサ22における検出値と圧力閾値とに基づく判定、電流検出センサ23における検出値から算出可能な電路の抵抗値と抵抗閾値とに基づく判定、及び、温度検出センサ24における検出値と温度閾値とに基づく判定の少なくとも1つの判定において、異常状態が検出されるか否かを判定する。
【0058】
報知部54は、判定部53における少なくとも1つの判定において異常状態であると判定された場合、外部に対して異常を報知する。報知部54は、判定部53において異常状態であると判定された場合、出力信号を遮断レバー61、表示部62及び音源部63に出力する。
【0059】
報知部54は、判定部53において異常状態であると判定された場合、不図示の遮断スイッチに出力信号を出力し、遮断スイッチにおいて電路を開状態にすることで、電路における電力の供給を遮断する。このように、配線器具1は、異常状態を検出した場合に、適切にプラグ接続部10及び電源プラグ90への電力の供給を遮断することができる。上述の遮断スイッチによって電力の供給が遮断された場合、遮断レバー61の一端部(図1では上部)が突出する。例えば、作業者によって配線器具1の異常状態が解消された場合、作業者は手動で遮断レバー61の他端部(図1では下部)が突出するよう操作することができる。
【0060】
表示部62は、例えば、ランプである。報知部54は、表示部62に出力信号を出力して、異常であることを視覚的に表示させる。当該出力信号が表示部62に入力された場合、表示部62は、例えば、赤く点灯又は点滅する。音源部63は、例えば、ブザーである。報知部54は、音源部63に出力信号を出力して、異常であることを示す音又は音声を発させる。当該出力信号が表示部62に入力された場合、音源部63は、例えば、異常を知らせる音を発する。作業者は、ボタンを操作することで音源部63から発される音を停止することができる。
【0061】
図1に示す例では、報知部54によって遮断レバー61、表示部62及び音源部63とを組み合わせて用い、機械式の表示、光及び音による報知を行う構造を示しているが、例えば、別の態様による報知であってもよい。また、音源部63だけで報知を行う等、報知機器の種類及び数について限定はない。判定部53により判定された異常状態の種類に応じて、表示部62は、互いに異なる点灯態様で点灯してもよく、音源部63は、互いに異なる音又は音声で報知してもよい。
【0062】
以下、配線器具1におけるプラグ接続部10と電源プラグ90との接続について説明する。以下の説明でも、検出部20Aに関する説明を行う。図1に示すように、電源プラグ90の一対の栓刃91A,91Bが一対の刃受け部材15A,15Bに接続されていない場合、検出部20Aは、初期位置に位置する。この場合、電源プラグ90の本体部92の当接面92aは、壁部4の壁面4a及び検出部20Aの第2回動部35の突出部37に当接していない。
【0063】
図3及び図4に示すように、第1初期位置における検出部20Aのセンサ部21は、各開口3aから外側(第2回転方向R2)に離間している。第1初期位置において、検出部20Aの栓刃当接部32のセンサ面32aは、Z軸に沿って延在し、Y軸の左側(外側)に向かうにつれて前側に傾斜している。また、第1初期位置において、検出部20Aの第1延在部33の第1側面33aが第2収容部8の第1規制面8aに当接している。
【0064】
図6は、実施形態に係る配線器具の内部及び電源プラグの栓刃の一例を示す上面図である。図6に示すように、電源プラグ90の一対の栓刃91A,91Bが一対の刃受け部材15A,15Bに接続される場合、検出部20Aは、プラグ接続部10に挿入される栓刃91Aと接触する。以下、このときの検出部20A,20Bの位置を検出位置という場合がある。図7は、実施形態に係る配線器具の内部の一例を示す正面図である。図8は、実施形態に係る配線器具の一例を示す斜視拡大図である。図9は、図8のIX-IX線に沿った配線器具の部分断面図である。以下、図7図9を参照して、検出部20Aの移動について説明する。
【0065】
検出部20Aの少なくとも一部が電源プラグ90に当接することで、検出部20Aが初期位置から検出位置に向かって移動する。この場合、センサ部21が栓刃91Aの挿入方向(X方向)に交差する交差方向(内側、又は、第1回転方向R1)に移動する。電源プラグ90の本体部92の当接面92aは、検出部20Aの第2回動部35の突出部37に当接する。電源プラグ90の一対の栓刃91A,91Bが、プラグ接続部10の一対の刃受け部材15A,15Bに挿入されるとき、電源プラグ90は、前側に移動する。当該移動に伴い、電源プラグ90の本体部92は、初期位置において壁部4から背後側に突出している第2回動部35の突出部37に当接し、当該突出部37を前側に押圧する。
【0066】
突出部37が前側に押圧されることで、第2回動部35は、回動軸30を中心に第1回転方向R1に沿って回転する。第1回動部31及び第2回動部35は、回動軸30に固定されているため、第1回動部31は、第2回動部35の回転に伴って、第1回転方向R1に沿って回転する。第1回動部31が第1回転方向R1に回転することで、第1回動部31の栓刃当接部32のセンサ面32aに設けられたセンサ部21は、栓刃91Aに当接する。これにより、接続検出センサ22、電流検出センサ23及び温度検出センサ24は、プラグ接続部10に挿入される栓刃91Aと接触し、プラグ接続部10における異常状態を検出する。
【0067】
各弾性部材40は、第1回動部31及び第2回動部35の第1回転方向R1への回転移動量が所定の範囲で収まるように付勢する。検出部20Aが検出位置に位置するとき、電源プラグ90の本体部92の当接面92aは、壁部4の壁面4aに当接する。検出部20Aが検出位置に位置するとき、第1延在部33の第2側面33bは、第2収容部8の第2規制面8bに当接している。これにより、栓刃91Aが検出部20Aに接触するとき、第1延在部33に掛かる曲げ負荷を所定の負荷より抑えるることができる。また、検出部20Aが検出位置に位置するとき、第2延在部36の前面36aは、第3収容部9の対向面9aに対向している。さらに、検出部20Aが検出位置に位置するとき、第2回動部35の突出部37が収容部5の第3収容部9に収容され、壁部4から背後側に突出していない。これにより、電源プラグ90の本体部92は、壁部4の壁面4aに密着するように当接できる。なお、検出部20Aが検出位置に位置するとき、突出部37は、電源プラグ90の本体部92と接触した状態で第3収容部9に収容されている。
【0068】
検出部20Aが検出位置から初期位置に向かって移動する場合、電源プラグ90の本体部92の当接面92aは、壁部4の壁面4aから離間するように背後側に移動する。検出部20Aの第2回動部35の突出部37は、各弾性部材89の付勢により、電源プラグ90の本体部92の当接面92aに当接しながら、当該本体部92の移動に合わせて回動軸30を中心に第2回転方向R2に回転する。これにより、回動軸30に固定されている第1回動部31が回動軸30を中心に第2回転方向R2に回転する。これにより、センサ部21は、栓刃91Aから離間するように第2回転方向R2に回転する。
【0069】
図4及び図5に示すように、電源プラグ90の本体部92が壁部4の壁面4a及び突出部37から離間するように背後側に移動するとき、各弾性部材40により、第1回動部31及び第2回動部35が初期位置より第2回転方向R2に移動することが規制される。また、検出部20Aが初期位置に位置するとき、第1延在部33の第1側面33aは、第2収容部8の第1規制面8aに当接していることで、第1回動部31及び第2回動部35が初期位置より第2回転方向R2に移動することが規制される。また、検出部20Aの栓刃当接部32の背面32bが第1収容部7の対向面7aに対向している。
【0070】
次に、本実施形態に係る配線器具1の作用・効果について説明する。
【0071】
本実施形態に係る配線器具1において、センサ部21に含まれる接続検出センサ22、電流検出センサ23及び温度検出センサ24の少なくとも1つは、プラグ接続部10に挿入されている一対の栓刃91A,91Bと接触する。この場合、一対の栓刃91A,91Bが設けられる電源プラグ90の異常を検出できる。また、例えば、一対の栓刃91A,91Bが電路に接続されている場合には、配線器具1の異常も検出できる。さらに、一対の検出部20A,20Bの少なくとも一部が電源プラグ90に当接することで、センサ部21が交差方向(本実施形態では内側、又は、第1回転方向R1)に移動する。このため、センサ部21がプラグ接続部10に対して固定されている場合に比べて、センサ部21は、一対の栓刃91A,91Bの挿入方向(X方向)への力を交差方向(本実施形態では外側、又は、第2回転方向R2)に受け流すことができ、差込口3に対する電源プラグ90の抜き差しによる摩耗を抑制できる。よって、この配線器具1は、一対の栓刃91A,91Bに接触して異常を検出するセンサ部21に含まれるセンサの摩耗を抑制し、異常を適切に検出できる。
【0072】
また、配線器具1において、少なくとも1つのセンサである接続検出センサ22は、一対の栓刃91A,91Bとプラグ接続部10との接続異常を検出する。この場合、接続検出センサ22が交差方向に移動し、一対の栓刃91A,91Bに接触することで、一対の栓刃91A,91Bとプラグ接続部10との接続異常を検出できる。
【0073】
また、配線器具1において、少なくとも1つのセンサである電流検出センサ23は、一対の栓刃91A,91Bにおける電流の異常を検出する。この場合、一対の栓刃91A,91Bがプラグ接続部10に適切に挿入されている場合には、一対の栓刃91A,91Bが電路に接続され、電流が流れる。このため、電流検出センサ23は、一対の栓刃91A,91Bにおける電流によって、電源プラグ90及び配線器具1の少なくとも一方の異常を検出できる。
【0074】
また、配線器具1において、少なくとも1つのセンサである温度検出センサ24は、プラグ接続部10における温度異常を検出する。この場合、温度検出センサ24は、一対の栓刃91A,91Bがプラグ接続部10に適切に挿入されていない場合等に生じる温度異常を検出できる。
【0075】
また、配線器具1において、一対の検出部20A,20Bは、交差方向(Z方向)に延在する回動軸30を中心に回動可能な第1回動部31を有し、センサ部21は、第1回動部31に設けられている。この場合、センサ部21は、回動軸30を中心とした第1回動部31の回動に合わせて移動し、一対の栓刃91A,91Bに接触することができる。
【0076】
また、配線器具1は、一対の栓刃91A,91Bを挿入可能な差込口3が設けられる筐体2をさらに備え、電源プラグ90は、一対の栓刃91A,91Bの基端部が接続される本体部92を有し、筐体2は、本体部92が当接可能な壁部4を有し、一対の検出部20A,20Bは、壁部4から突出可能であって、第1回動部31,31と共に回動軸30,30を中心に回動可能な第2回動部35,35を有し、第2回動部35,35は、本体部92が当接することで第1回動部31,31と共に一対の栓刃91A,91Bに向けて回転し、センサ部21,21は、第1回動部31,31の回転により一対の栓刃91A,91Bに接触する。この場合、電源プラグ90の本体部92が一対の検出部20A,20Bの第2回動部35,35に当接することで、第2回動部35,35が第1回動部31,31と共に一対の栓刃91A,91Bに向けて回転する。これにより、電源プラグ90の一対の栓刃91A,91Bが差込口3に挿入されて電路に接続するのに合わせて、第1回動部31,31に設けられたセンサ部21,21が一対の栓刃91A,91Bに接触できる。上述の実施形態では、一対の栓刃91A,91Bが差込口3に挿入されており、かつ、一対の刃受け部材15A,15Bに接続していない場合には、第1回動部31,31に設けられたセンサ部21,21が一対の栓刃91A,91Bに接触しない。一対の栓刃91A,91Bが差込口3に挿入されており、かつ、一対の刃受け部材15A,15Bに接続している場合には、第1回動部31,31に設けられたセンサ部21,21が一対の栓刃91A,91Bに接触する。よって、センサ部21,21は、挿入される一対の栓刃91A,91Bから摩擦力を受けにくくなり、摩耗を抑制できる。
【0077】
また、配線器具1において、一対の検出部20A,20Bは、第1回動部31,31を一対の栓刃91A,91Bから離間する方向(第2回転方向R2)に付勢する弾性部材を有する。この場合、電源プラグ90の本体部92が壁部4に当接しているときは、第2回動部35,35は、弾性部材40,40によって第1回動部31,31が一対の栓刃91A,91Bから離間する方向(第2回転方向R2)に付勢されても、電源プラグ90の本体部92により回転が抑制される。電源プラグ90がプラグ接続部10から脱離される場合、本体部92が壁部4から離間するため、第2回動部35,35は、壁部4から突出する方向(第2回転方向R2)に回転可能となる。このとき、第2回動部35,35は、弾性部材40,40の付勢力により、第2回転方向R2に回転する。第1回動部31,31は、第2回動部35,35と共に回転するため、弾性部材40,40により一対の栓刃91A,91Bから離間する方向(第2回転方向R2)に回転可能となる。よって、センサ部21,21は、脱離される一対の栓刃91A,91Bから摩擦力を受けにくくなり、摩耗を抑制できる。
【0078】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、本開示は、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。
【0079】
配線器具1は、1つ又は3つ以上の差込口3を備えていてもよい。差込口3は、一対の開口3a,3aを有していてもよい。配線器具1は、1つ又は3つ以上の検出部20Aを備えていてもよい。一対の検出部20A,20Bの少なくとも一方は、差込口3の開口3a,3aの内側に設けられていてもよい。一対の検出部20A,20Bの少なくとも一方は、差込口3の開口3a,3aの上側又は下側に設けられていてもよい。この場合、回動軸30は、Y軸に沿って延在している。
【0080】
センサ部21が栓刃91A,91Bに接触しているとき、第2回動部35の突出部37は、第3収容部9から背後側に突出していてもよい。検出部20A,20Bが初期位置から検出位置に移動するとき、突出部37は、回動軸30を中心に第1回転方向R1に少なくとも所定の角度だけ回転すればよい。
【0081】
配線器具1において、1つの検出部20Aに対して1又は3以上の弾性部材40が設けられてもよい。配線器具1は、弾性部材40を備えなくてもよい。弾性部材40が設けられない場合であっても、第2回動部35の突出部37が電源プラグ90の本体部92に当接することで、検出部20A,20Bのセンサ部21は、栓刃91A,91Bにそれぞれ当接することができる。また、栓刃91Aが刃受け部材15Aから脱離される場合に、検出部20Aが栓刃91Aから摩擦力を受けた場合に第2回転方向R2にずれることで、力を受け流し、更に摩擦力を受けることを抑制できる。
【0082】
一対の検出部20A,20Bの少なくとも一方は、第1回動部31及び第2回動部35を有さなくてもよい。この場合、例えば、一対の栓刃91A,91Bが一対の刃受け部材15A,15Bに挿入されるときに、一対の刃受け部材15A,15BがそれぞれY軸方向に押し広げられる力を利用してセンサ部21が移動する構成を設けてもよい。
【0083】
一対の検出部20A,20Bの少なくとも一方は、第2回動部35を有さなくてもよい。以下、図10を参照して、別の配線器具について説明する。図10は、変形例に係る配線器具の一例を示す斜視拡大図である。図10に示す配線器具100は、検出部70A及び収容部80Aが検出部20A及び収容部5Aの代わりに設けられている点で配線器具1と相違している。なお、図10には示されていないが、配線器具100の差込口3に対して、一対の検出部のそれぞれを収容可能な一対の収容部を有する。一対の収容部と、一対の検出部とは、それぞれ左右対称の構成を有し、同様の作用効果を有する。以下、一対の検出部のうちY軸の左側に設けられている検出部70A、及び、一対の検出部のうちY軸の左側に設けられている収容部80Aについて説明する。配線器具1の構成と重複する内容は適宜省略する。
【0084】
検出部70Aは、例えば、差込口3の左側の開口3aより外側に設けられている。検出部70Aは、プラグ接続部10に挿入される栓刃91Aと接触し、プラグ接続部10における異常状態を検出する少なくとも1つのセンサを有する。検出部70Aは、回動軸71と、第1回動部72と、センサ部75と、少なくとも1つの弾性部材89とを備える。センサ部75は、少なくとも1つのセンサを有する。センサ部75は、少なくとも1つのセンサとして、接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78を有する。センサ部75の各センサは、第1回動部72に設けられている。本実施形態の検出部70Aは、2つの弾性部材89を有する。
【0085】
回動軸71は、栓刃91Aの挿入方向(X軸方向)に交差する交差方向に延在する。回動軸71は、例えば、Z軸に沿って延在する。回動軸71は、水平方向に沿って第1回転方向R1及び第2回転方向R2に回動可能である。ここでの回動可能とは、第1回動部72を第1回転方向R1及び第2回転方向R2に回動させる場合には、回動軸71が第1回動部72を支持しつつも第1回転方向R1及び第2回転方向R2に回動するという機能を発揮することで第1回動部72を回動させることを含む。本実施形態の回動軸71は、筐体2に対して移動不能に固定されている。回動軸71は、その延在方向に沿って脱離不能、かつ、第1回転方向R1及び第2回転方向R2に回動可能に筐体2の収容部80Aの後述の軸受部81に嵌合する。
【0086】
第1回動部72は、差込口3とプラグ接続部10との間に設けられる。第1回動部72は、回動軸71を中心に回動可能である。第1回動部72は、延在部73と、センサ支持部74とを有する。延在部73は、その一端部においてセンサ支持部74と接続し、その他端部において回動軸71と接続する部位である。延在部73は、回動軸71から、回動軸71の回転径方向の外側に突出している。延在部73は、回動軸71を中心に第1回転方向R1及び第2回転方向R2に回動可能である。延在部73は、例えば、直方体状を呈する。延在部73は、前面73a及び背面73bを有する。前面73a及び背面73bは、回転径方向及びZ軸に沿って延在している平面である。前面73aは、延在部73の前側の面である。背面73bは、延在部73の背後側の面である。
【0087】
センサ支持部74は、延在部73の延在長さを回転半径として、回動軸71を中心に第1回転方向R1及び第2回転方向R2に回動可能である。センサ支持部74は、接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78が設けられる部位である。センサ支持部74は、例えば、接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78をそれぞれ回動可能に支持する。接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78は、それぞれセンサ支持部74に対して水平方向に回動する。センサ支持部74は、接続検出センサ76を第1回転方向R1及び第2回転方向R2へ回動可能なように上下方向から挟持する第1支持部74aを有する。センサ支持部74は、電流検出センサ77を第1回転方向R1及び第2回転方向R2へ回動可能なように上下方向から挟持する第2支持部74bを有する。センサ支持部74は、温度検出センサ78を第1回転方向R1及び第2回転方向R2へ回動可能なように上下方向から挟持する第3支持部74cを有する。例えば、第1支持部74a、第2支持部74b及び第3支持部74cは、それぞれ接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78に挿通可能な回動軸を有する。接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78の各センサは、この回動軸に対して回動自在に、かつ、上下方向及び水平方向への移動ができないように支持されている。
【0088】
接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78は、第1回動部72に対して回動可能に設けられている。接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78は、Z軸に沿って下方に向かって順に配置されている。接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78は、水平方向に回動可能な形状を呈する。例えば、接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78は、それぞれ円盤状を呈する。例えば、接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78は、それぞれ周面がZ軸に沿うようにセンサ支持部74に設けられる。接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78は、例えば、その中央部にZ軸に沿って貫通している開口をそれぞれ有する。接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78は、それぞれこの開口に回動軸が挿通されていることによってセンサ支持部74に軸支されている。なお、接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78は、それぞれ球状を呈していてもよい。また、接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78の各機能は、接続検出センサ22、電流検出センサ23及び温度検出センサ24の各機能と同一である。
【0089】
各弾性部材89は、第1回動部72を栓刃91Aに接近する方向(第1回転方向R1)に付勢する。各弾性部材89は、回動軸71の上部及び下部に設けられる。各弾性部材89は、第1回動部72の移動を制限する。各弾性部材89は、第1回動部72の第2初期位置からの第2回転方向R2への移動量が所定の範囲に収まるように付勢する。言い換えれば、各弾性部材89は、第1回動部72が第2初期位置に戻るように第1回転方向R1に向かって第1回動部72を付勢する弾性力を発揮する。
【0090】
第2初期位置とは、例えば、第1回動部72のセンサ支持部74と、第1回動部72に設けられたセンサ部75とが位置する、差込口3とプラグ接続部10との間の位置である。具体的には、第2初期位置は、例えば、第1回動部72のセンサ支持部74と、第1回動部72に設けられたセンサ部75とが位置する、差込口3の開口3aとプラグ接続部10の刃受け部材15Aとの間の位置である。第1回動部72及びセンサ部75は、例えば、栓刃91Aが刃受け部材15Aに挿入されていない場合に各弾性部材89によって第2初期位置に位置する。第1回動部31及び第2回動部35は、例えば、栓刃91Aが差込口3の開口3aに挿入され、栓刃91Aが第1回動部72又はセンサ部75に当接するまで第2初期位置に位置する。
【0091】
次に、筐体2の収容部80Aの構成について説明する。収容部80Aは、検出部70Aを収容する。収容部80Aは、検出部70A及び各弾性部材89を収容する。収容部80Aは、軸受部81を有する。軸受部81は、回動軸71を回動可能に支持する。軸受部81は、各弾性部材89を固定して支持する。
【0092】
収容部80Aは、第1回動部72のうち延在部73の少なくとも一部を収容する。収容部80Aは、延在部73を収容可能な空間を有する。収容部80Aは、第3規制面82及び第4規制面83を有する。第3規制面82は、延在部73の背面73bと当接可能な平面である。第3規制面82は、例えば、Y軸及びZ軸に沿って延在している。本実施形態の延在部73の前面73a及びセンサ部75は、第4規制面83に当接することなく、第4規制面83に近接した位置において対向する位置に移動可能である。第4規制面83は、延在部73の前面73a又はセンサ部75と当接可能な平面であってもよい。第4規制面83は、例えば、X軸及びZ軸に沿って延在している平面である。
【0093】
以下、配線器具100におけるプラグ接続部10と電源プラグ90との接続について説明する。以下の説明でも、検出部70Aに関する説明を行う。電源プラグ90の一対の栓刃91Aが刃受け部材15Aに接触していない場合、検出部70Aは、第2初期位置に位置する。第2初期位置における検出部70Aのセンサ部75は、開口3aと刃受け部材15Aとを結ぶ直線上に位置する。第2初期位置において、検出部70Aの延在部73の前面73aは、Z軸に沿って延在し、Y軸の左側(外側)に向かうにつれて背後側に傾斜している。また、第2初期位置において、検出部70Aの延在部73の背面73bが収容部80Aの第3規制面82に当接している。
【0094】
電源プラグ90の一対の栓刃91A,91Bが差込口3の開口3aに挿入し、一対の刃受け部材15A,15Bに向かって前側に移動する場合、検出部70Aは、プラグ接続部10に挿入される栓刃91Aと接触する。栓刃91Aの前端部は、第1回動部72又はセンサ部75の何れかに当接する。
【0095】
第1回動部72は、回動軸71に固定されている。このため、栓刃91Aが前側に向かって移動するとき、栓刃91Aの前端部により押圧されることで、第1回動部72及びセンサ部75は、栓刃91Aの挿入方向(X方向)に交差する交差方向に移動する。ここでの交差方向とは、例えば、第2回転方向R2である。
【0096】
例えば、センサ部75は、初期位置において栓刃91Aの前端面に当接した後、栓刃91Aの前側への移動に伴い、回動軸71を中心に第2回転方向R2に回転することで、初期位置から第2回転方向R2に沿って移動する。このとき、センサ部75に含まれる接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78は、第1回動部72に対して回動可能に設けられているため、栓刃91Aの前端面及び外側の側面の少なくとも一方に接触しつつ回転しながら、栓刃91Aに対して相対的に外側かつ背後側に移動する。これにより、センサ部75は、栓刃91Aの外側の側面に接触する状態となる。以下、この状態の検出部70Aの位置を検出位置という場合がある。検出位置に位置する第1回動部72は、例えば、初期位置に位置する第1回動部72に比べて、Y軸の左側(外側)に向かうにつれてさらに背後側に傾斜している状態となる。なお、センサ部75は、栓刃91Aの前端面に当接しなくてもよく、第1回動部72が栓刃91Aの前端面に当接してもよい。このとき、第1回動部72が回動軸71を中心に第2回転方向R2に回転した後に、センサ部75は、栓刃91Aの外側の側面に接触してもよい。
【0097】
センサ部75が栓刃91Aの外側の側面に接触しているとき、センサ部75が栓刃91Aの外側の側面に接触しているとき、栓刃91Aの前側への移動に伴い、接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78は、センサ支持部74に設けられた回動軸を中心に回転する。このとき、各弾性部材89が、第1回動部72を第1回転方向R1に向けて付勢しているため、第1回動部72は、回動軸71を中心に回動することなく、センサ部75を栓刃91Aの外側の側面に接触させ続けることができる。これにより、接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78は、プラグ接続部10に挿入される栓刃91Aと接触し、プラグ接続部10における異常状態を検出することができる。
【0098】
検出部70Aが検出位置に位置するとき、延在部73の前面73a及びセンサ部75は、収容部80Aの第4規制面83に近接した位置で対向している。これにより、仮に電源プラグ90の栓刃91Aの揺動が生じるような場合であっても、第1回動部72及びセンサ部75と収容部80Aとの間で摩擦が発生することを抑えることができる。
【0099】
検出部70Aが検出位置から初期位置に向かって移動する場合、電源プラグ90の栓刃91Aは、刃受け部材15Aから離間するように背後側に移動する。検出部70Aのセンサ部75は、栓刃91Aの外側の側面に当接しながら、栓刃91Aの移動に合わせてセンサ支持部74に設けられた回動軸を中心に回転する。栓刃91Aの前端部が延在部73の背面73b又はセンサ部75に接触した後、背後側に移動することで、各弾性部材89の付勢により、回動軸71に固定されている第1回動部72が回動軸71を中心に第1回転方向R1に回転する。第1回転方向R1に回転する第1回動部72は、その背面73bが収容部80Aの第3規制面82に当接することで、第1回動部72及びセンサ部75が初期位置より第1回転方向R1へさらに回転することが規制される。これにより、センサ部75は、背後側に移動する栓刃91Aから相対的に離間する。
【0100】
以上のように変形例に係る配線器具100は、栓刃91Aを挿入可能な差込口3が設けられる筐体2をさらに備え、第1回動部72は、差込口3とプラグ接続部10との間に設けられ、センサ部75及び第1回動部72の少なくとも一方が栓刃91Aに当接することで、第1回動部72は回動軸71を中心に回転し、センサ部75は、少なくとも第1回動部55の回転後に栓刃91Aに接触してもよい。すなわち、栓刃91Aが差込口3に挿入され、プラグ接続部10に向けて移動するとき、センサ部75及び第1回動部72の少なくとも一方が栓刃91Aに当接することで、第1回動部72は、栓刃91Aの移動に合わせて回動軸71を中心に第2回転方向R2に回転し、センサ部75は、少なくとも第1回動部55の回転後に栓刃91Aに接触してもよい。また、栓刃91Aがプラグ接続部10から脱離され、差込口3から抜かれるように移動するとき、センサ部75及び第1回動部72の少なくとも一方が栓刃91Aに当接することで、第1回動部72は、栓刃91Aの移動に合わせて回動軸71を中心に第1回転方向R1に回転してもよい。この場合、電源プラグ90の栓刃91Aがセンサ部75及び第1回動部72に当接することで、第1回動部72が回動軸71を中心に回転する。これにより、第1回動部72は、差込口3とプラグ接続部10とを結ぶ方向に沿って移動する栓刃91Aから受ける力を、回動軸71を中心とした円周方向に受け流すことができる。このため、検出部70Aは、栓刃から摩擦力を受けにくくなり、摩耗を抑制できる。
【0101】
また、配線器具100において、センサ部75の接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78は、第1回動部72に対して回動可能に設けられており、栓刃91Aに当接しながら第1回動部72に対して回動して栓刃91Aの外面に沿って移動する。この場合、第1回動部72が回動軸71を中心に回転可能な状態で、センサ部75の各センサが第1回動部72に対して回動可能に設けられている。これにより、このセンサ部75の各センサは、差込口3とプラグ接続部10とを結ぶ方向に沿って移動する栓刃91Aから受ける力の向きを、回動軸71を中心とした第1回動部72の回動方向(第1回転方向R1又は第2回転方向R2)、及び、第1回動部72に対するセンサ部75の各センサの回転方向の少なくとも一方向に受け流すことができる。このため、センサ部75の各センサは、栓刃91Aから摩擦力を受けにくくなり、摩耗を抑制できる。
【0102】
また、上述の変形例に係る配線器具100において、栓刃91Aがプラグ接続部10において接続される前であって、開口3aへの挿入後に栓刃91Aと当接することができる。このため、配線器具100は、刃受け部材15Aを介して栓刃91Aに電流が流れる前に、栓刃91を介して電源プラグ90の異常状態を検出することができる。
【0103】
なお、図10では、配線器具100において、接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78が第1回動部72に対して回動可能に設けられている例を示したが、接続検出センサ76、電流検出センサ77及び温度検出センサ78の少なくとも1つが第1回動部72に対して回動可能に設けられていなくてもよい。
【0104】
なお、上述の実施形態の配線器具1のセンサ部21は、上述の変形例に係る配線器具100において、栓刃91Aの開口3aへの挿入時から栓刃91Aと当接しているセンサ部75と異なり、栓刃91Aが刃受け部材15Aと接続しているときに接触する。このため、制御部50がセンサ部21に含まれる各センサからの検出値を取得することで、電源プラグ90がプラグ接続部10に適切に挿入されているか否か、及び、電源プラグ90の栓刃91Aが適切に刃受け部材15Aと接続されているか否かを判定することができる。すなわち、例えば、制御部50がセンサ部21に含まれる接続検出センサ22及び電流検出センサ23からの検出値が異常であるときは、接続検出センサ22及び電流検出センサ23が適切に接触していない状態、及び、栓刃91Aが適切にプラグ接続部10に挿入されていない状態の何れかであると判定できる。
【0105】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[形態1]~[形態9]に記載する。
【0106】
[形態1]
電源プラグに設けられる栓刃が挿入されて前記電源プラグを電路に接続可能なプラグ接続部と、
前記プラグ接続部に挿入される前記栓刃と接触し、前記プラグ接続部における異常状態を検出する少なくとも1つのセンサを有する検出部と、
を備え、
前記検出部の少なくとも一部が前記電源プラグに当接することで、前記少なくとも1つのセンサが前記栓刃の挿入方向に交差する交差方向に移動する、
配線器具。
[形態2]
前記少なくとも1つのセンサは、前記栓刃と前記プラグ接続部との接続異常を検出する、[形態1]に記載の配線器具。
[形態3]
前記少なくとも1つのセンサは、前記栓刃における電流の異常を検出する、[形態1]又は[形態2]に記載の配線器具。
[形態4]
前記少なくとも1つのセンサは、前記プラグ接続部における温度異常を検出する、[形態1]~[形態3]の何れか一つに記載の配線器具。
[形態5]
前記検出部は、栓刃の挿入方向に交差する交差方向に延在する回動軸を中心に回動可能な第1回動部を有し、
前記少なくとも1つのセンサは、前記第1回動部に設けられている、[形態1]~[形態4]の何れか一つに記載の配線器具。
[形態6]
前記栓刃を挿入可能な差込口が設けられる筐体をさらに備え
前記電源プラグは、前記栓刃の基端部が接続される本体部を有し、
前記筐体は、前記本体部が当接可能な壁部を有し、
前記検出部は、前記壁部から突出可能であって、前記第1回動部と共に前記回動軸を中心に回動可能な第2回動部を有し、
前記第2回動部は、前記本体部が当接することで前記第1回動部と共に前記栓刃に向けて回転し、
前記少なくとも1つのセンサは、前記第1回動部の回転により前記栓刃に接触する、[形態5]に記載の配線器具。
[形態7]
前記栓刃を挿入可能な差込口が設けられる筐体をさらに備え、
前記第1回動部は、前記差込口と前記プラグ接続部との間に設けられ、
前記少なくとも1つのセンサ及び前記第1回動部の少なくとも一方が前記栓刃に当接することで、前記第1回動部は前記回動軸を中心に回転し、
前記少なくとも1つのセンサは、少なくとも前記第1回動部の回転後に前記栓刃に接触する、[形態5]に記載の配線器具。
[形態8]
前記少なくとも1つのセンサは、前記第1回動部に対して回動可能に設けられており、前記栓刃に当接しながら前記第1回動部に対して回動して前記栓刃の外面に沿って移動する、[形態5]又は[形態7]に記載の配線器具。
[形態9]
前記検出部は、前記第1回動部を前記栓刃から離間する方向に付勢する弾性部材を有する、[形態5]又は[形態6]に記載の配線器具。
【符号の説明】
【0107】
1,100…配線器具、2…筐体、3…差込口、4…壁部、4a…壁面、5A,5B…収容部、6…軸受部、7…第1収容部、8…第2収容部、9…第3収容部、10…プラグ接続部、15A,15B…刃受け部材、20A,20B,70A…検出部、21,75…センサ部、22,76…接続検出センサ、23,77…電流検出センサ、24,78…温度検出センサ、30,71…回動軸、31,72…第1回動部、35…第2回動部、37…突出部、40,89…弾性部材、50…制御部、51…取得部、52…記憶部、53…判定部、54…報知部、61…遮断レバー、62…表示部、63…音源部、90…電源プラグ、91A,91B…栓刃、92…本体部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10