(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165278
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】歯車研削盤
(51)【国際特許分類】
B23F 23/10 20060101AFI20241121BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20241121BHJP
B24B 45/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B23F23/10
B23Q11/00 B
B24B45/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081345
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】布村 一洋
(72)【発明者】
【氏名】境 信之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】石田 敏晶
【テーマコード(参考)】
3C034
【Fターム(参考)】
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB01
3C034BB52
3C034BB63
(57)【要約】 (修正有)
【課題】オートバランサおよびオートクランプの両方を搭載することができ、回転砥石の交換工程およびバランス調整工程に要する作業員の負担を大幅に軽減することが可能な歯車研削盤を提供する。
【解決手段】本発明にかかる歯車研削盤の構成は、歯車の歯面を回転砥石110によって研削する歯車研削盤100であって、回転砥石110を回転させる砥石スピンドル120と、砥石スピンドル120に収容され回転砥石110を支持するオートクランプと、砥石スピンドル120の反対側で回転砥石を支持するサポートスピンドル150と、サポートスピンドル150に収容されたオートバランサ160と、サポートスピンドル150を砥石スピンドル120に対して離接方向に移動させるサポートテーブル170と、砥石スピンドル120およびサポートスピンドル150を鉛直面内で回転させる旋回テーブル180と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯車の歯面を回転砥石によって研削する歯車研削盤であって、
前記回転砥石を回転させる砥石スピンドルと、
前記砥石スピンドルに収容され前記回転砥石を支持するオートクランプと、
前記砥石スピンドルの反対側で前記回転砥石を支持するサポートスピンドルと、
前記サポートスピンドルに収容されたオートバランサと、
前記サポートスピンドルを前記砥石スピンドルに対して離接方向に移動させるサポートテーブルと、
前記砥石スピンドルおよび前記サポートスピンドルを鉛直面内で回転させる旋回テーブルと、
を備えたことを特徴とする歯車研削盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車の歯面を回転砥石によって研削する歯車研削盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯車の歯面を研磨する装置として、回転砥石を用いる歯車研削盤が知られている。歯車研削盤としては例えば特許文献1に、「回転頭の回転軸に、中央部に嵌合用円筒状空洞を有する砥石をフランジにより垂直に固定した研削装置」が開示されている。
【0003】
特許文献1の研削装置は、「回転軸の軸芯と同一軸芯上の主軸端の空洞間に内蔵したモーターにより回転可能な一対のバランスピースを有する部材を具備する前オートバランサと、同じく前記主軸端の空洞間に内蔵したモーターにより回転可能な一対のバランスピースを有する部材を具備する後オートバランサとからなるオートバランサー組」と、「オートバランサー組を、前記砥石の嵌合用円筒状空洞間に位置するように、かつ、前記回転軸の主軸端の空間部分を該砥石の厚み方向幅が前オートバランサと後オートバランサとで2分するようにそれぞれ独立して設けられたバランサ補正サブ機構」とを具備している。特許文献1によれば、「砥石を研削装置の回転軸に付けたままツルーイング、ドレッシング後の砥石を備える回転軸のアンバランスを自動的に補正することができる」としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
歯車研削盤に用いられる砥石(以下、回転砥石と称する)は、重量が非常に重い。このため、回転砥石の交換工程において取付および取り外しを手作業で行うと作業者の負担となる。そこで砥石交換を自動化するために歯車研削盤にオートクランプを搭載することを検討した。
【0006】
オートクランプの搭載箇所としては、回転砥石を回転可能に保持する砥石スピンドルに内蔵することが最適であった。しかし、砥石の内部にオートクランプに把持されるスリーブを収容すると、オートバランサを収容するスペースが確保できなくなる。すると、回転砥石の自動交換は可能となるものの、オートバランサが搭載できなくなるため、回転砥石のバランス調整が困難になってしまう。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、オートバランサおよびオートクランプの両方を搭載することができ、回転砥石の交換工程およびバランス調整工程に要する作業員の負担を大幅に軽減することが可能な歯車研削盤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかる歯車研削盤の構成は、歯車の歯面を回転砥石によって研削する歯車研削盤であって、回転砥石を回転させる砥石スピンドルと、砥石スピンドルに収容され回転砥石を支持するオートクランプと、砥石スピンドルの反対側で回転砥石を支持するサポートスピンドルと、サポートスピンドルに収容されたオートバランサと、サポートスピンドルを砥石スピンドルに対して離接方向に移動させるサポートテーブルと、砥石スピンドルおよびサポートスピンドルを鉛直面内で回転させる旋回テーブルと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オートバランサおよびオートクランプの両方を搭載することができ、回転砥石の交換工程およびバランス調整工程に要する作業員の負担を大幅に軽減することが可能な歯車研削盤を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態にかかる歯車研削盤を説明する図である。
【
図2】
図1の歯車研削盤の内部構造を例示する断面図である。
【
図3】本実施形態の歯車研削盤における回転砥石の取り外し動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示または説明を省略する。
【0012】
図1は本実施形態にかかる歯車研削盤100を説明する図であって、
図1(a)は全体斜視図、
図1(b)は要部拡大図である。
図2は、
図1の歯車研削盤100の内部構造を例示する断面図である。本実施形態の歯車研削盤100は、歯車の歯面(不図示)を回転砥石110によって研削する。
【0013】
図1(a)に示す本実施形態の歯車研削盤100では、回転砥石110は、砥石フランジ112によって保持されていて、砥石スピンドル120およびサポートスピンドル150によって両側が支持されている。砥石スピンドル120が駆動側であり、サポートスピンドル150が従動側である。
図2に示すように砥石スピンドル120の内部にはスピンドル回転軸122が収容されていて、スピンドル回転軸122にはモータ130が収容されている(ビルトインモータ)。これにより、モータ130を駆動源としてスピンドル回転軸122が回転し、回転砥石110が回転する。
【0014】
砥石スピンドル120のスピンドル回転軸122にはオートクランプ140が連結されている。一方、回転砥石110は内部にスリーブ124を備えていて、オートクランプ140によってスリーブ124と噛み合わせることによって回転砥石110を把持する。オートクランプ140は、油圧やスプリングの圧力によって回転砥石110のクランプまたはアンクランプを自動(機械制御)で行う装置である。
【0015】
サポートスピンドル150は、回転砥石110に対して砥石スピンドル120とは反対側に配置されていて、内部にオートバランサ160が収容されている。オートバランサ160は、回転中の回転砥石110のバランスを制御する装置である。オートバランサ160にはいくつかの方式があるが、例えば2つのウエイトを内蔵し、ウエイトの位置(角度)をモータで調節して回転砥石110のアンバランスを解消する。
【0016】
サポートスピンドル150は、換言すればテールストック(心押し)である。そして従来は回転砥石110の内部にオートバランサを取り付けていたところ、本実施形態の構成ではサポートスピンドル150にオートバランサ160を内蔵させている。これにより従来と同様に回転砥石110のバランス取りができると共に、回転砥石110の中にはスリーブ124を取り付けるスペースを得ることができ、オートクランプ140による把持が可能となっている。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の歯車研削盤100は更に、サポートテーブル170を備えている。サポートテーブル170はサポートスピンドル150を支持していて、シリンダ172によって工具軸方向Taに移動可能である。これによりサポートスピンドル150および回転砥石110を、砥石スピンドル120に対して離接方向に移動させることができる。
【0018】
また砥石スピンドル120およびサポートテーブル170はY軸テーブル190上に取り付けられ、Y軸テーブル190は旋回テーブル180に取り付けられている。旋回テーブル180はベース102に取り付けられている。ベース102はフレーム104に対して前後方向(X軸方向)に移動可能である。旋回テーブル180はベース102に対して、上下方向(Z軸方向)の移動、およびX軸を中心とする鉛直面内での回転(A軸旋回)が可能である。
【0019】
Y軸テーブル190は旋回テーブル180に対して、水平方向(Y軸方向)に移動可能である。なおY軸テーブル190の移動方向は、原位置の姿勢(
図1(a)の姿勢)では水平方向であるが、旋回テーブル180が回転するとこれに伴ってY軸テーブル190の移動方向も角度が変化する。
【0020】
図3は、本実施形態の歯車研削盤100における回転砥石110の取り外し動作を説明する図である。回転砥石110が取り外される前の原位置(加工時の姿勢)では、
図3(a)に示すように歯車研削盤100においてサポートスピンドル150、回転砥石110および砥石スピンドル120は水平方向に並んで配置されている。このとき回転砥石110は、サポートスピンドル150および砥石スピンドル120によって支持されている。
【0021】
回転砥石110を取り外す際には、まず
図3(b)に示すように回転砥石110が砥石スピンドル120の下方に位置するように旋回テーブル180を回転させる(本実施形態では反時計回りに90°)。これにより、サポートスピンドル150、回転砥石110および砥石スピンドル120は垂直方向に並んで配置された状態となる。
【0022】
続いてオートクランプ140による回転砥石110のクランプを解除し(アンクランプし)、
図3(c)に示すようにサポートテーブル170をY軸テーブル190上で移動させる(本実施形態では下方向に移動)。これにより、回転砥石110が砥石スピンドル120から離間し、その上面が開放される。この状態では回転砥石110はサポートスピンドル150に乗っているだけであるから、ツールチェンジャーやロボット(不図示)を用いて回転砥石110を交換することが可能となる。
【0023】
上記説明したように本実施形態の歯車研削盤100によれば、砥石スピンドル120に収容されたオートクランプ140により、回転砥石110を取り外す際の人的作業を減らすことができる。またオートバランサ160をサポートスピンドル150に収容したことにより、回転砥石110のバランス調整を自動で行うことができる。このように本実施形態の歯車研削盤100ではオートバランサ160およびオートクランプの両方を搭載することができるため、回転砥石の交換工程およびバランス調整工程に要する作業員の負担を大幅に軽減することが可能となる。
【0024】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、歯車の歯面を回転砥石によって研削する歯車研削盤に利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
100…歯車研削盤、102…ベース、104…フレーム、110…回転砥石、112…砥石フランジ、120…砥石スピンドル、122…スピンドル回転軸、124…スリーブ、130…モータ、140…オートクランプ、150…サポートスピンドル、160…オートバランサ、170…サポートテーブル、172…シリンダ、180…旋回テーブル、190…Y軸テーブル