(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165281
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】車両制御装置、制御方法および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20241121BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20241121BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G06T7/70 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081348
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 夏軌
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL09
5L096BA04
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA67
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】車両の利便性を損なうことなく容易に降車することができる車両制御装置、制御方法および制御プログラムを提供すること。
【解決手段】本願に係る車両制御装置は、コントローラを備える。コントローラは、走行中に乗員の降車が可能な無人運転車両を制御する。コントローラは、乗員に関するセンサ情報に基づき乗員が降車意思を示していると判断した場合、降車意思を確認するための報知指示信号を報知装置に出力し、報知装置による報知後も乗員に関するセンサ情報により乗員が降車意思を示していると判断した場合、無人運転車両を減速する制御信号を無人運転車両の駆動装置に出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中に乗員の降車が可能な無人運転車両を制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記乗員に関するセンサ情報に基づき前記乗員が降車意思を示していると判断した場合、前記降車意思を確認するための報知指示信号を報知装置に出力し、前記報知装置による報知後も前記乗員に関するセンサ情報により前記乗員が降車意思を示していると判断した場合、前記無人運転車両を減速する制御信号を前記無人運転車両の駆動装置に出力する
車両制御装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記乗員の位置情報に基づいて前記降車意思を示していると判断する
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記乗員の体の向きの情報に基づいて前記降車意思を示していると判断する
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記乗員の姿勢に基づいて前記降車意思を示していると判断する
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記降車意思が第1時間継続して示されている場合に前記降車意思を確認するための報知指示信号を前記報知装置に出力し、前記報知装置による報知後から前記降車意思が第2時間継続して示されている場合に前記無人運転車両を減速する制御信号を前記無人運転車両の駆動装置に出力する
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
走行速度を0よりも大きい一定値まで低下させる間に前記降車意思が解消された場合、前記無人運転車両を加速する制御信号を前記無人運転車両の駆動装置に出力する
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記走行速度が前記一定値となった後に、前記降車意思が継続していると判断した場合、前記走行速度を0にする制御信号を前記無人運転車両の駆動装置に出力する
請求項6に記載の車両制御装置。
【請求項8】
無人運転車両を制御するコントローラを備えた車両制御装置であって、
前記コントローラは、
前記無人運転車両の乗員が降車可能な第1の走行速度で走行中に、センサによって前記乗員による特定の動作が検出された場合、当該特定の動作を検出した旨を知らせる報知指示信号を報知装置に出力するとともに、前記特定の動作が、検出開始時から第1時間継続して検出されている場合、前記第1の走行速度より低速の第2の走行速度に変更する制御信号を駆動装置に出力する
車両制御装置。
【請求項9】
コントローラが実行する、走行中に乗員の降車が可能な無人運転車両の制御方法であって、
前記乗員に関するセンサ情報に基づき前記乗員が降車意思を示していると判断した場合、前記降車意思を確認するための報知指示信号を報知装置に出力し、前記報知装置による報知後も前記乗員に関するセンサ情報により前記乗員が降車意思を示していると判断した場合、前記無人運転車両を減速する制御信号を前記無人運転車両の駆動装置に出力する
制御方法。
【請求項10】
コンピュータに実行させる、走行中に乗員の降車が可能な無人運転車両の制御プログラムであって、
前記乗員に関するセンサ情報に基づき前記乗員が降車意思を示していると判断した場合、前記降車意思を確認するための報知指示信号を報知装置に出力し、前記報知装置による報知後も前記乗員に関するセンサ情報により前記乗員が降車意思を示していると判断した場合、前記無人運転車両を減速する制御信号を前記無人運転車両の駆動装置に出力する
制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ショッピングモール内の予め定められた経路を低速走行する車両において、走行しながら利用者による乗降が可能な車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、乗客が降車する際に押しボタン等の操作部を操作することで車両が減速する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、走行中の操作が困難な高齢者等にとっては操作部への操作の負担が大きい。また、操作部を誤って操作することにより不必要に減速が行われた場合、経路の移動時間が嵩んでしまうため、車両の利便性が損なわれるおそれがあった。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、車両の利便性を損なうことなく容易に降車することができる車両制御装置、制御方法および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る車両制御装置は、コントローラを備える。前記コントローラは、走行中に乗員の降車が可能な無人運転車両を制御する。前記コントローラは、前記乗員に関するセンサ情報に基づき前記乗員が降車意思を示していると判断した場合、前記降車意思を確認するための報知指示信号を報知装置に出力し、前記報知装置による報知後も前記乗員に関するセンサ情報により前記乗員が降車意思を示していると判断した場合、前記無人運転車両を減速する制御信号を前記無人運転車両の駆動装置に出力する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、車両の利便性を損なうことなく容易に降車することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、施形態に係る車両制御方法の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車両制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、降車意思状態の検出方法を説明する図である。
【
図4】
図4は、降車意思状態の検出方法を説明する図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る車両制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、車両制御装置、制御方法および制御プログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、
図1を用いて、実施形態に係る車両制御方法の概要について説明する。
図1は、実施形態に係る車両制御方法の概要を示す図である。
図1に示すように、実施形態に係る車両制御方法は、車両Cに搭載された車両制御装置1によって実行される。
【0011】
ここで、車両Cは、スローモビリティであり、例えば、ショッピングモールや、空港、駅、テーマパーク、公園等の施設において予め定められた経路を低速(例えば、3km/h等の人が歩く速度程度)で自動運転により走行する車両である。また、車両Cは、乗降位置にドア等が無く、利用者による乗降が走行しながら自由に行うことができる車両である。つまり、本開示における車両Cは、走行しながら乗降可能であるため、通常では乗降のための停車は行われない。また、車両Cの乗車可能人数は、1人に限らず、複数人であってもよい。係る場合、車両Cは、複数人が乗車可能な乗車スペースを有する。また、車両Cの乗降位置は、車両Cの側方の片側に限らず両側であってもよく、車両Cの後方や前方であってもよい。また、車両Cは、運転者が搭乗しない無人運転が可能である。なお、自動運転(無人運転)とは、人工知能を搭載し、自己決定と自己制御と自己調整が可能な自律運転、センサやソフトウェアを利用して、人間の運転操作を代替する自動走行運転、人間の操作が最小限に抑えられた自動化運転を指す。また、車両Cは、遠隔操作により制御される車両である。また、車両Cは、予め決められた経路を運行する車両である。
【0012】
本開示では、車両制御装置1は、車両Cの走行速度を制御するとともに、乗員から特定の状態を検出した場合に減速を行って降車を支援する。
【0013】
具体的には、車両制御装置1は、まず、乗員の降車意思を示す降車意思状態を検出する(ステップS1)。例えば、車両制御装置1は、不図示のカメラによって撮像された画像に基づいて、乗員の位置や向き、姿勢が特定の状態である場合に降車意思状態を検出する。なお、降車意思状態の詳細な検出方法については、
図3および
図4で後述する。
【0014】
つづいて、車両制御装置1は、降車意思状態を検出した乗員に対して報知を行う(ステップS2)。例えば、車両制御装置1は、所定時間後に減速を行うことを示す報知を行う。また、車両制御装置1は、降車意思が無い乗員から降車意思状態を検出した場合を考慮して、降車意思状態の解消を要求(例えば、
図3の降車ラインよりも内側への移動を要求)する報知を併せて行ってもよい。
【0015】
つづいて、車両制御装置1は、ステップS2の報知後に降車意思状態が継続しているか否かを検出し(ステップS3)、継続している場合、車両の走行速度を低下(減速)させる(ステップS4)。具体的には、車両制御装置1は、減速または加速を指示する制御信号を車両Cに備えられた不図示の駆動装置に出力する。なお、車両制御装置1は、ブレーキ等の制動手段で減速や停止を実現してもよい。また、ブレーキの種類は、ディスクブレーキ、ドラムブレーキ等の機械式ブレーキであってもよく、モーターの回転を制止するために、電気の力を利用してブレーキ力を発生させる電磁ブレーキでもよい。さらに、ブレーキによる制動手段は遠隔操作で制御を行うことが可能である。
【0016】
このように、本開示では、カメラ等のセンサによって乗員の降車意思状態を検出するため、降車意思を示すために操作部への操作等は必要なくなる。さらに、車両制御装置1は、降車意思状態を検出して一旦報知してから減速を行うため、乗員が誤って降車意思状態を示したとしても報知により降車意思状態を解消でき減速も行わないようにできる。従って、実施形態に係る車両制御装置1によれば、車両の利便性を損なうことなく容易に降車することができる。
【0017】
なお、本開示では、車両Cに取り付けられたセンサ(カメラ等)を利用する場合に限らず、例えば、周辺施設のインフラ設備や、周辺車両が有するセンサの情報を取得して乗員の降車意志状態を検出してもよい。つまり、車両制御装置1は、車両室内または車両室外に設けられたセンサを利用する。
【0018】
また、本開示において、車両制御装置1は、車両Cに設けられた操作部(降車スイッチ等)が操作された場合に減速を行うようにしてもよい。これにより、乗員が降車のためにすぐに車両Cを減速させたい場合に、操作部を操作することで減速させることができる。
【0019】
次に、
図2を用いて、実施形態に係る車両制御装置1の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る車両制御装置1の構成例を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、車両制御装置1は、コントローラ2と、記憶部3とを備える。また、車両制御装置1は、車両Cに搭載されたセンサ100が接続される。
【0020】
センサ100は、車両Cに乗車した乗員の状態を検出センサであり、例えば、カメラ、赤外線センサ、重量センサ等を採用可能である。
【0021】
記憶部3は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部3には、各種プログラムなどのコントローラ2の処理に必要な情報が記憶される。
【0022】
コントローラ2は、検出部21と、報知部22と、速度制御部23とを備える。コントローラ2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0023】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、コントローラ2の検出部21、報知部22および速度制御部23として機能する。また、コントローラ2の検出部21、報知部22および速度制御部23の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0024】
検出部21は、車両Cの乗員の降車意思を示す降車意思状態を検出する。具体的には、検出部21は、センサ100の検出結果に基づいて降車意思状態を検出する。例えば、検出部21は、センサ100であるカメラの画像に基づいて検出される乗員の位置や乗員の向き、姿勢に基づいて降車意思状態を検出する。ここで、
図3および
図4を用いて、降車意思状態の検出方法について説明する。
【0025】
図3および
図4は、降車意思状態の検出方法を説明する図である。なお、
図3および
図4では、センサ100がカメラである場合を例に挙げて説明する。また、
図3は、車両Cを上方から見た図であり、
図4は、車両Cを後方(または前方)から見た図である。また、
図3および
図4は、乗員が車両Cの床面Fに立った状態で、車両Cの側方から降車しようとする降車意志を示した図である。なお、
図3および
図4では、車両Cの構造を簡略化して示している。
【0026】
図3に示すように、例えば、検出部21は、カメラの画像に基づいて、乗員の位置が降車ラインよりも外側に位置するか否かを検出し、乗員が降車ラインよりも外側に位置する場合に、降車意思状態を検出する。具体的には、検出部21は、降車ラインと車両Cの端部(降車口)との距離が閾値距離以下(例えば車幅の1/3以下)で、当該降車ラインと車両Cの端部との間にある領域に乗員の体の一部が存在していると、乗員は降車ラインの外側に存在すると定義する。また、検出部21は、当該領域に乗員の一部が含まれない場合、乗員は降車ラインの外側に存在しない(内側に存在する)ことを検出する。
【0027】
降車ラインは、例えば、車両Cの端部(降車口)から所定距離内側にあるラインである。なお、降車ラインは、カメラの画像で検出可能な実際の線であってもよく、車両Cの端部から所定距離内側に仮想的に存在する線であってもよい。
【0028】
また、
図3に示すように、検出部21は、降車ラインよりも外側に位置する乗員が外側を向いている場合に、降車意思状態を検出してもよい。つまり、検出部21は、乗員の向きが降車する方向(降車口の方向)を向いている場合に降車意思状態を検出する。
【0029】
このように、検出部21は、乗員の位置および向きに基づいて降車意思状態を検出することで、降車意思状態を高精度に検出することができる。
【0030】
なお、
図3において、検出部21は、カメラを用いて降車意思状態を検出する場合に限らず、例えば、降車ラインに沿って赤外線センサを設置することで、乗員が降車ラインを超えたか否かを検出してもよい。また、検出部21は、降車ラインよりも外側の領域に重量センサを配置して、降車ラインよりも外側に乗員が存在するか否かを検出してもよい。
【0031】
また、
図4に示すように、検出部21は、カメラの画像に基づいて検出した乗員の姿勢に基づいて降車意思状態を検出してもよい。具体的には、検出部21は、カメラの画像に基づいて乗員の骨格を検出し、検出した骨格に基づいて姿勢を検出する。
【0032】
例えば、検出部21は、検出した姿勢が車両Cの外側に身を乗り出している姿勢である場合に降車意思状態として検出する。具体的には、検出部21は、乗員の体の一部が車両Cの端部よりも外側に位置している場合に降車意思状態を検出する。
【0033】
より具体的には、検出部21は、
図4に示すように、乗員の姿勢がお辞儀をする姿勢で、かつ、乗員の頭部が車両Cの端部よりも外側に位置している場合に降車意思状態を検出する。このように、検出部21は、乗員の姿勢に基づいて降車意思状態を検出することで、降車意思状態を高精度に検出することができる。
【0034】
なお、検出部21は、
図3および
図4で示したような乗員の状態が検出されて即座に降車意思状態と検出してもよく、あるいは、上記状態が所定時間(例えば、10秒)以上継続した場合に、降車意思状態を検出してもよい。なお、所定時間は第1時間の一例である。
【0035】
なお、
図3および
図4では、乗員の体が降車位置である車両Cの側方を向いた例を示しているが、乗員の体が降車位置の方向以外の方向(車両Cの前方や後方)を向いている場合であっても降車意思状態を検出してもよい。つまり、検出部21は、乗員の体が車両Cの前方を向いた状態で降車ラインを超えた場合であっても降車意志状態を検出する。
【0036】
また、検出部21は、例えば、乗員のつま先の向きに基づいて降車意志状態を検出してもよい。例えば、検出部21は、乗員のつま先が車両Cの側方(降車位置の方向)を向いた状態で降車ラインを超えた場合に降車意志状態を検出してもよい。
【0037】
また、検出部21は、乗員の手荷物(例えば傘やカバン)が車両Cの外側にはみ出しており、かつ、乗員が降車ラインを超えている場合に降車意思状態を検出してもよい。また、検出部21は、乗員が降車ラインを超えているか否かによらず、乗員の手荷物が車外にでているか否かで降車意思状態を検出してもよい。また、検出部21は、手荷物が車外に出ているかと乗員の体の向きの両方で降車意思状態を確認できたときに降車意思状態を検出してもよい。
【0038】
また、検出部21は、検出した骨格を
図4の骨格線BLのように簡略したもので表すことができ、当該骨格線BLに基づいて降車意思状態を検出してもよい。
【0039】
報知部22は、検出部21によって降車意思状態が検出された乗員に対して報知を行う。つまり、報知部22は、乗員が降車意思を示していると判断した場合、降車意思を確認するための報知指示信号を不図示の報知装置(スピーカやディスプレイ等)に出力する。具体的には、報知部22は、降車意思状態が所定時間(例えば、10秒:第1時間の一例)継続している場合に報知を行う。このように、報知部22は、降車意思状態が所定時間継続している場合に報知を行うことで、誤って降車意思を示した場合に報知が行われてしまうことを防ぐことができる。
【0040】
報知部22による報知内容は、例えば、所定時間後に減速を行うことを示す内容や、降車意思が無い乗員から降車意思状態を検出した場合を考慮して、降車意思状態の解消を要求する内容である。なお、報知は、スピーカを介して音声出力で行ってもよく、ディスプレイを介して画面表示で行ってもよい。
【0041】
なお、報知部22は、車両Cに取り付けられた機器(スピーカやディスプレイ)により報知を行う場合に限らず、例えばインフラ設備に取り付けられた通信可能な機器の報知手段を利用して報知してもよい。言い換えれば、報知部22は、車両室内または車両室外に備えられた報知手段を利用して報知する。
【0042】
また、報知部22は、車両Cに乗車しているユーザの所有しているスマートフォンなどの通信端末機器に備えられた報知手段を利用して報知をおこなってもよい。
【0043】
速度制御部23は、報知部22による報知後に降車意思状態が継続している場合に、車両Cの走行速度を低下させる。具体的には、速度制御部23は、報知した後に所定時間(例えば、2秒:第2時間の一例)継続して降車意思状態が検出された場合に、車両Cの走行速度を一定値まで低下させる。このように、速度制御部23は、報知後に第2時間待って減速を行うことで、報知により乗員が降車意思状態を解消する時間を作ることができる。
【0044】
速度制御部23は、一定値まで減速している途中で降車意思状態が解消された場合(降車もしくは乗った状態で解消)、走行速度を上昇(加速)させて通常速度(例えば、3km/h)まで復帰させる。
【0045】
これにより、速度制御部23は、車両Cを停車させることなく通常速度まで復帰させることができる。なお、速度制御部23は、減速と加速とで速度の変化量を変えてもよい。例えば、速度制御部23は、加速の変化量を減速の変化量よりも小さくする。これにより、加速時に乗員が車内でふらつくことを防止できる。
【0046】
また、速度制御部23は、一定値まで減速後も降車意思状態が継続して検出される場合には、一定値からさらに減速して車両Cを停車する。これにより、例えば、減速後の一定値の速度でも降車が困難な乗員であっても容易に降車することができる。
【0047】
なお、この際、報知部22は、停車後に降車を要求する報知や、降車意思状態の解消を要求する報知を行ってもよい。また、報知部22は、報知後も降車意思状態が継続する場合には、車両Cの管理者へ状況を確認する指示の通知や、例えば、会話装置(スピーカおよびマイクを備えた)により乗員と管理者等との会話を行ってもよい。
【0048】
なお、速度制御部23は、車両Cの旋回中に乗員の降車意志状態が解消された場合、旋回が完了するまでは直進時の加速と異なる加速条件で加速する。例えば、速度制御部23は、旋回時は直進時よりも緩やかに加速する。
【0049】
また、速度制御部23は、停車直前の路面状態をセンサにより検出し、停車位置を決定してもよい。例えば、速度制御部23は、停車予定位置付近の路面が水たまり等により降車に適さない状態である場合、停車直前の速度を保ちながら水たまりを通過し、停車位置に水たまりがないと判断したときにさらに減速して停車する。
【0050】
次に、
図5を参照し、実施形態に係る車両制御装置1のコントローラ2が実行する処理について説明する。
図5は、実施形態に係る車両制御装置のコントローラ2が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図5に示すフローチャートは、車両Cが起動後、停止(電源オフ)するまで繰り返し実行される。
【0051】
コントローラ2は、まず、センサ100の検出結果に基づいて降車意思状態を検出する(ステップS101)。具体的には、コントローラ2は、乗員の位置、向きおよび姿勢等に基づいて降車意思状態を検出する。なお、コントローラ2は、降車意思状態を検出しない場合(ステップS101:No)、処理を終了する。
【0052】
コントローラ2は、降車意思状態を検出した場合(ステップS101:Yes)、降車意思状態が第1時間以上継続したか否かを判定する(ステップS102)。なお、コントローラ2は、降車意思状態が第1時間以上継続していない場合(ステップS102:No)、すなわち、降車意思状態が第1時間未満で解消した場合、処理を終了する。
【0053】
また、コントローラ2は、降車意思状態が第1時間以上継続した場合(ステップS102:Yes)、乗員に対して報知を行う(ステップS103)。例えば、コントローラ2は、所定時間後に減速を行うことを示す報知や、降車意思状態の解消を要求する報知を行う。
【0054】
つづいて、コントローラ2は、報知後に降車意思状態が第2時間以上継続しているか否かを検出する(ステップS104)。コントローラ2は、降車意思状態が第2時間未満で解消した場合(ステップS104:No)、処理を終了する。
【0055】
また、コントローラ2は、報知後に降車意思状態が第2時間以上継続している場合(ステップS104:Yes)、一定値まで減速を行う(ステップS105)。
【0056】
つづいて、コントローラ2は、乗員が降車した(あるいは降車意思状態を解消した)か否かを判定する(ステップS106)。コントローラ2は、乗員が降車した(あるいは降車意思状態を解消した)場合(ステップS106:Yes)、加速して通常速度に復帰し(ステップS107)、処理を終了する。
【0057】
また、コントローラ2は、乗員が降車しなかった(あるいは降車意思状態を解消しなかった)場合(ステップS106:No)、一定値からさらに減速して停車し(ステップS108)、処理を終了する。
【0058】
上述したように、実施形態に係る車両制御装置1は、コントローラ2を備える。コントローラ2は、自動運転により走行する車両Cの走行速度を制御する。コントローラ2は、降車意思を示す降車意思状態をセンサにより検出した乗員に対して報知を行い、報知後に降車意思状態が継続している場合、車両Cの前記走行速度を低下させる。
【0059】
これにより、車両制御装置1は、カメラ等のセンサによって乗員の降車意思状態を検出するため、降車意思を示すために操作部への操作等は必要なくなる。さらに、車両制御装置1は、降車意思状態を検出して一旦報知してから減速を行うため、乗員が誤って降車意思状態を示したとしても報知により降車意思状態を解消でき減速も行わないようにできる。従って、実施形態に係る車両制御装置1によれば、車両の利便性を損なうことなく容易に降車することができる。
【0060】
なお、上述した実施形態では、車両制御装置1が車両Cに搭載されて車両Cを制御する例を示したが、例えば、サーバ装置により車両Cが制御されてもよい。例えば、サーバ装置は、車両Cに設けられたセンサで取得したセンサ情報を受信し、受信したセンサ情報に基づいて降車意志の判定や、車両Cの速度制御等を行う。
【0061】
また、本開示において、車両Cの自動運転に関する制御(速度制御等)と、降車意志の判定に関する制御とが別々のコンピュータ(コントローラ)で行われてもよい。
【0062】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 車両制御装置
2 コントローラ
3 記憶部
21 検出部
22 報知部
23 速度制御部
100 センサ
C 車両