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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024165290
(43)【公開日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ミキサドラムの制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/16 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B60P3/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081369
(22)【出願日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 久栄
(72)【発明者】
【氏名】栗原 隆輔
(57)【要約】
【課題】ミキサドラム内に積載された水の不正廃棄を防止する。
【解決手段】コントローラ20は、ミキサ車1に搭載されたミキサドラム2の制御を行うミキサドラム2の制御装置であって、ミキサドラム2が、生コンが無積載とみなされる状態を含む生コン無積載状態の場合であっても、ミキサ車1が生コンプラント又は生コンプラント付近にいない場合は、ミキサドラム2の洗浄動作及び排出動作を禁止する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミキサ車に搭載されたミキサドラムの制御を行うミキサドラムの制御装置であって、
前記ミキサドラムが、生コンクリートが無積載とみなされる状態を含む生コンクリート無積載状態の場合であっても、前記ミキサ車が前記ミキサドラムに積載された水の廃棄場又はその付近にいない場合は、前記ミキサドラムの排出動作及び洗浄動作のうち少なくとも一方を禁止する、
ことを特徴とするミキサドラムの制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミキサドラムの制御装置であって、
前記ミキサドラムに積載された生コンクリートの排出先の現場の位置情報を記憶する記憶部と、
前記ミキサ車の位置情報を取得する位置取得装置と、
前記ミキサドラムが前記生コンクリート無積載状態であることを検出可能な積載センサと、をさらに含み、
前記記憶部に記憶された前記排出先の現場の位置情報と前記位置取得装置が取得した前記ミキサ車の位置情報とに基づき、前記ミキサ車が前記排出先の現場にいることを検出するとともに、前記積載センサからの信号又は前記ミキサドラムに逆転を指示するための回転スイッチからの信号に基づき、前記ミキサドラムに積載された生コンクリートが前記排出先の現場で排出されたことを検出し、且つ、前記積載センサからの信号に基づき、前記ミキサ車が前記廃棄場に到着する前に前記ミキサドラムが前記生コン無積載状態になったことを検出した場合に、前記ミキサドラムの前記排出動作及び前記洗浄動作のうち少なくとも一方を禁止する、
ことを特徴とするミキサドラムの制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のミキサドラムの制御装置であって、
前記廃棄場は、当該廃棄場内に通信エリアを有する無線通信機器を備え、
前記無線通信機器との間で行う無線通信での通信結果に基づき、前記ミキサ車が前記廃棄場又はその付近にいることを確認する、
ことを特徴とするミキサドラムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミキサドラムの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、残水の検知開始指示や検知結果を利活用し、ドラムに生コンクリートを積込む作業とも連動可能なコンクリートミキサー車のシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-100407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ミキサ車は、現場で生コンクリートを排出した後に、固化防止のためにミキサドラム内に水が入れられた状態になることや、洗浄で用いた水が排出されずにミキサドラム内に残された状態になることがある。このようにしてミキサドラム内に積載された水は産業廃棄物扱いとなり、生コンクリートプラント等の認可された廃棄場での排出が求められる。
【0005】
しかしながら、ミキサドラムからの排出がユーザの一存でできてしまうと、ミキサドラム内に積載された水を認可された廃棄場以外で捨てるなど、不正廃棄に繋がる虞がある。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、ミキサドラム内に積載された水の不正廃棄を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ミキサ車に搭載されたミキサドラムの制御を行うミキサドラムの制御装置であって、ミキサドラムが、生コンクリートが無積載とみなされる状態を含む生コンクリート無積載状態の場合であっても、ミキサ車が前記ミキサドラムに積載された水の廃棄場又はその付近にいない場合は、ミキサドラムの排出動作及び洗浄動作のうち少なくとも一方を禁止することを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、ミキサドラムが生コンクリート無積載状態の場合であっても、ミキサ車が廃棄場又はその付近にいない場合は、ミキサドラムの排出動作及び洗浄動作が禁止される。このため、現場で生コンクリートを使い切った後にミキサドラム内に水が入れられた場合でも、排出動作を禁止でき、これによりミキサドラム内の水が不正廃棄されることを防止できる。また、洗浄機能が有効なままだと、廃棄場以外の場所でミキサドラム内を洗浄した後、廃棄場に辿り着くまでの途中で洗浄後の水が不正廃棄され得るが、洗浄動作を禁止すれば、洗浄後に水が不正廃棄され得ることに事前に備えるかたちで、水の不正廃棄を未然に防止できる。
【0009】
また、本発明は、ミキサドラムに積載された生コンクリートの排出先の現場の位置情報を記憶する記憶部と、ミキサ車の位置情報を取得する位置取得装置と、ミキサドラムが生コンクリート無積載状態であることを検出可能な積載センサと、をさらに含み、記憶部に記憶された排出先の現場の位置情報と位置取得装置が取得したミキサ車の位置情報とに基づき、ミキサ車が排出先の現場にいることを検出するとともに、積載センサからの信号又はミキサドラムに逆転を指示するための回転スイッチからの信号に基づき、ミキサドラムに積載された生コンクリートが排出先の現場で排出されたことを検出し、且つ、積載センサからの信号に基づき、ミキサ車が廃棄場に到着する前にミキサドラムが生コン無積載状態になったことを検出した場合に、ミキサドラムの排出動作及び洗浄動作のうち少なくとも一方を禁止することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、生コンクリートが現場で排出され、さらに現場で生コンクリートが排出され切るか、或いは余った生コンクリートが水の廃棄場とは異なる生コンクリートの廃棄場で排出されることで、ミキサドラムが生コンクリート無積載状態になった後にミキサドラムの排出動作及び洗浄動作のうち少なくとも一方を禁止する。このため、現場での生コンクリートの排出作業や余った生コンクリートの排出作業に支障を生じさせることなく、水の不正廃棄を防止できる。
【0011】
また、本発明は、廃棄場は当該廃棄場内に通信エリアを有する無線通信機器を備え、無線通信機器との間で行う無線通信での通信結果に基づき、ミキサ車が廃棄場又はその付近にいることを確認することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、ミキサ車が廃棄場又はその付近にいることを直接的に確認するだけでなく、設定上の廃棄場又はその付近を他の場所に不正に設定、変更するといったことが困難になる。このため、ミキサ車が廃棄場又はその付近にいることがより確実になる結果、水の不正廃棄をより確実に防止できる。
【発明の効果】
【0013】
これらの発明によれば、ミキサドラム内に積載された水の不正廃棄を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本発明の実施形態に係るミキサ車を上方から見た平面図である。
図1B】本発明の実施形態に係るミキサ車を後方から見た背面図である。
図2】本発明の実施形態に係るミキサ車の要部を示す構成図である。
図3】本発明の実施形態に係る禁止制御の一例をフローチャートで示す図である。
図4】変形例に係るミキサ車の要部を示す構成図である。
図5】変形例に係る禁止制御の一例をフローチャートで示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1A,Bに示すように、ミキサ車1は、架装物であるミキサドラム2内に投入されたモルタルやレディミクストコンクリート等の生コンクリート(以下、「生コン」と称する。)を運搬する車両であり、運転室11と架台3とを備える。以下の説明では、ミキサ車1が積載物として生コンを積載する場合について説明する。
【0017】
ミキサ車1は、車両上に回転自在に搭載されたミキサドラム2と、ミキサドラム2の駆動を制御し、ミキサドラム2の制御装置を構成するコントローラ20と、を備える。
【0018】
ミキサドラム2は、架台3に回転可能に搭載される有底円筒形の容器であり、その後端には生コンの投入と排出とが行われる開口部2aが設けられる。ミキサドラム2は、その回転軸Oが車両の前部から後部に向かって徐々に高くなるように傾斜して搭載される。ミキサドラム2内には、図示しないドラムブレードがドラム内壁面に沿って螺旋状に配設されており、ミキサドラム2とともにドラムブレードが回転することによって、ミキサドラム2内に積載された生コンの攪拌等が行われる。
【0019】
ミキサドラム2の開口部2aの後方上部には、ホッパ16が設けられる。生コンプラントにおいてミキサ車1に投入される生コンは、ホッパ16によって開口部2aへと導かれる。ミキサドラム2の開口部2aの後方下部には、フローガイド17及びシュート18が設けられる。開口部2aから排出される生コンは、フローガイド17によってシュート18に導かれ、シュート18によって所定の方向に排出される。
【0020】
ミキサドラム2は、ミキサ車1に搭載された走行用のエンジン10を駆動源として、駆動装置4を介して回転駆動される。駆動装置4は、エンジン10の回転によって駆動され、作動流体の流体圧によってミキサドラム2を回転駆動する流体圧装置である。
【0021】
図2はミキサ車1の要部を示す構成図であり、図2では要部としてミキサドラム2や駆動装置4等とともにコントローラ20を示す。図2に示すように、エンジン10は、エンジン10の出力及び回転数を調整するためのスロットル弁10aを有する。スロットル弁10aの開度は、エンジン10によって駆動装置4を駆動させる際に図示しないアクチュエータを介してコントローラ20により制御される。また、エンジン10には、エンジン10の回転速度を検出し、検出された回転速度に応じた信号をコントローラ20へ出力する回転センサ10bが設けられる。
【0022】
駆動装置4を駆動する際のエンジン10の回転数は、回転センサ10bによって検出された回転速度が所定の大きさとなるように、スロットル弁10aを介してコントローラ20により制御される。なお、回転センサ10bは、駆動装置4の入力軸である後述のPTO軸9やドライブシャフト8の回転速度を検出するものであってもよいし、後述の油圧ポンプ5の回転速度を検出するものであってもよい。
【0023】
エンジン10の回転は、エンジン10から常時動力を取り出すPTO軸9(PTO:Power take-off)と、PTO軸9と駆動装置4とを連結するドライブシャフト8と、を介して駆動装置4に伝達される。
【0024】
駆動装置4は、エンジン10によって駆動され作動流体としての作動油を吐出する油圧ポンプ5と、油圧ポンプ5から供給される作動油によって作動しミキサドラム2を回転駆動する油圧モータ6と、油圧ポンプ5から油圧モータ6に供給される作動油の流れを制御する電磁比例弁31と、を有する。なお、駆動装置4では、作動流体として作動油ではなく、他の非圧縮性流体が用いられてもよい。
【0025】
油圧ポンプ5は、PTO軸9を介してエンジン10から常時取り出される動力によって回転駆動される。油圧ポンプ5を回転駆動させる駆動源は、走行用のエンジン10に限定されず、走行に用いられない補機用のエンジンや電動モータであってもよい。
【0026】
油圧ポンプ5は、容量が可変な斜板型アキシャルピストンポンプである。油圧ポンプ5から吐出された作動油は油圧モータ6に供給され、油圧モータ6が回転する。油圧モータ6の回転は、減速機7を介してミキサドラム2に伝達される。油圧ポンプ5は、ポンプ吐出圧が導かれるアクチュエータ(図示省略)の作動により、アクチュエータに導かれるポンプ吐出圧が上昇するほど、斜板を付勢する傾転スプリングに抗してポンプ吐出量が小さくなるように制御される。アクチュエータに導かれるポンプ吐出圧は、ロードセンシング弁(図示省略)によって調整される。ロードセンシング弁は、油圧ポンプ5の吐出圧と油圧モータ6に供給される圧力(負荷圧)との差圧が所定値となるようにアクチュエータに導かれるポンプ吐出圧を調整する。
【0027】
油圧ポンプ5によってミキサドラム2が正転運転されるときには、ミキサドラム2内の生コンが攪拌される。一方、油圧ポンプ5によってミキサドラム2が逆転運転されるときには、ミキサドラム2内の生コンが後端の開口部2aからフローガイド17及びシュート18を介して外部へと排出される。
【0028】
油圧モータ6は、容量が可変な斜板型アキシャルピストンモータである。油圧モータ6は、油圧ポンプ5から吐出された作動油の供給を受けて回転駆動される。油圧モータ6は、コントローラ20からの二速切換信号を受信して斜板(図示省略)の傾転角を調整する電磁弁(図示省略)を備える。油圧モータ6の容量は、電磁弁が切り換えられることによって、高速回転用の小容量(2速)と通常回転用の大容量(1速)との二段階に切り換えられる。油圧モータ6は、容量が無段階で切り換えられるものであってもよい。
【0029】
油圧モータ6には、回転数検知器としての回転センサ6aと圧力検知器としての圧力センサ6bとが設けられる。回転センサ6aは、油圧モータ6の出力軸の回転方向と回転数を検知し、コントローラ20に回転方向信号と回転数信号とを出力する。圧力センサ6bは、油圧によるミキサドラム2の駆動圧を検出する。圧力センサ6bは油圧ポンプ5に設けられ駆動圧として吐出圧を検出してもよい。
【0030】
油圧ポンプ5と油圧モータ6の間には、閉回路Lが設けられ、この閉回路Lを作動油が循環するようになっている。この閉回路L中に電磁比例弁31が設けられる。電磁比例弁31は、油圧ポンプ5が吐出した作動油をミキサドラム2を正回転させるように油圧モータ6に導く正転位置31Aと、油圧ポンプ5が吐出した作動油をミキサドラム2を逆回転させるように油圧モータ6に導く逆転位置31Bと、油圧ポンプ5から油圧モータ6への間の作動油の流れを遮断する中立位置31Cと、を備える。
【0031】
電磁比例弁31は、一対のソレノイド32a,32b及び一対のリターンスプリング33a,33bを有する。一対のソレノイド32a,32bは、コントローラ20から出力される制御信号によって作動する。制御信号とは、具体的には電流値である。この電流値を調整することで、電磁比例弁31は、正転位置31A、中立位置31C、及び逆転位置31Bによりそのポジションが無段階に切り換えられる。
【0032】
電磁比例弁31は、一方のソレノイド32aへ通電されることで、その通電量に応じた開度で正転位置31Aに切り換えられる。これにより、油圧モータ6には、電磁比例弁31の開度に応じた流量の作動油が、ミキサドラム2を正転方向に回転させるように供給される。
【0033】
反対に、電磁比例弁31は、他方のソレノイド32bへ通電されることで、その通電量に応じた開度で逆転位置31Bに切り換えられる。これにより、油圧モータ6には、電磁比例弁31の開度に応じた流量の作動油が、ミキサドラム2を逆転方向に回転させるように供給される。なお、電磁比例弁31は、ソレノイド32a,32bへの通電量が大きいほど、開度が大きくなり多くの流量が油圧モータ6に導かれる。
【0034】
電磁比例弁31は、一対のソレノイド32a,32bへの通電が遮断されると、一対のリターンスプリング33a,33bの付勢力によって中立位置31Cに切り換えられる。中立位置31Cでは、油圧モータ6への作動油の供給が遮断されるため、油圧モータ6は回転駆動されない。
【0035】
上記構成の駆動装置4では、油圧ポンプ5から吐出された作動油が油圧モータ6に供給されることで油圧モータ6が回転し、供給される作動油の流れの向き、流量や油圧モータ6の斜板の傾転角に応じて、油圧モータ6の回転速度及び回転方向が変更される。
【0036】
駆動装置4の出力軸、すなわち油圧モータ6の出力軸は、減速機7を介してミキサドラム2の回転軸Oに連結される。このため、油圧モータ6の回転速度を増減することによって、ミキサドラム2の回転速度を増減させることが可能であり、油圧モータ6の回転方向を切り換えることによって、ミキサドラム2の回転方向を正回転方向である投入方向と逆回転方向である排出方向とに切り換えることが可能である。
【0037】
このように、ミキサドラム2の回転数及び回転方向は、油圧モータ6の回転数及び回転方向に相関することから、油圧モータ6の回転センサ6aの検出値からミキサドラム2の回転数及び回転方向を把握することが可能である。なお、回転センサ6aは、油圧モータ6に代えて、ミキサドラム2の回転数及び回転方向を検出するものであってもよい。
【0038】
ミキサドラム2が投入方向に回転駆動されると、ミキサドラム2内の生コンはドラムブレードにより攪拌されながら前方へと移動する。一方、ミキサドラム2が排出方向に回転駆動されると、ミキサドラム2内の生コンはドラムブレードにより攪拌されながら後方へと移動する。
【0039】
このようにミキサドラム2を投入方向とは反対の方向である排出方向に回転させることで、ミキサドラム2の開口部2aから生コンを排出できる。ミキサドラム2から排出された生コンは、フローガイド17及びシュート18を介して所定位置に誘導される。
【0040】
なお、ホッパ16を介して、ミキサドラム2内へ生コンを投入する場合には、攪拌時よりもミキサドラム2を高速で投入方向に回転させることで、投入された生コンを速やかにミキサドラム2の前方へと移動させる。
【0041】
コントローラ20は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)等を備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラム等を予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。CPUやRAM等をROMに格納されたプログラムに従って動作させることによって、駆動装置4の作動が制御される。
【0042】
コントローラ20は、少なくとも、本実施形態や変形例に係る制御を実行するために必要な処理を実行可能となるようにプログラムされている。なお、コントローラ20は、複数のマイクロコンピュータで構成されてもよい。また、コントローラ20は一つの装置として構成されていても良いし、複数の装置に分けられ、本実施形態における各制御を当該複数の装置で分散処理するように構成されていてもよい。
【0043】
コントローラ20には上記のように、油圧モータ6の回転センサ6a及び圧力センサ6bと、エンジン10の回転センサ10bと、が接続され、これらのセンサ類で検出された検出値が入力される。また、コントローラ20には、上記のように電磁比例弁31とエンジン10のスロットル弁10aとが接続され、これらを作動させる指令値がコントローラ20から出力される。
【0044】
コントローラ20にはさらに、ミキサ車1の位置を検出するGNSS(Global Navigation Satelite System)モジュール21と、ミキサドラム2の動作を指示するための操作部を構成する回転SW(スイッチ)22及び自動洗浄SW23と、が接続される。
【0045】
GNSSモジュール21は、GNSS受信機と、地図データベースと、ナビゲーション装置とを含む。GNSS受信機は、測位衛星からの電波を受信し、電波の発信時刻と受信時刻との差に基づき測位衛星までの距離を算出するとともに、測位衛星までの距離と測位衛星の位置とに基づきミキサ車1の現在位置を検出する。地図データベースは、地図情報を格納したデータベースである。ナビゲーション装置は、ユーザの操作によってミキサ車1の走行ルートを設定可能であり、走行ルートの設定にはGNSS受信機が検出したミキサ車1の現在位置や地図データベースの地図情報が用いられる。GNSSモジュール21が検出したミキサ車1の現在位置は、位置情報としてコントローラ20に入力される。GNSSモジュール21はミキサ車1の位置情報を取得する位置取得装置に相当する。
【0046】
回転SW22と自動洗浄SW23とは、例えばミキサ車1の運転室11外に設置される。回転SW22は、ミキサドラム2に正転又は逆転を指示するために用いられ、自動洗浄SW23はミキサドラム2に自動洗浄動作の実行を指示するために用いられる。自動洗浄SW23をONにすることで、コントローラ20を介してミキサドラム2の自動洗浄動作が行われる。自動洗浄動作では、ミキサドラム2を短時間に繰り返し正逆回転させるミキサドラム2の洗浄動作が自動で行われる。
【0047】
コントローラ20は、GNSSモジュール21からミキサ車1の現在位置や地図情報を含むミキサ車1の位置情報や各種の設定情報等を取得する情報取得部20aと、情報取得部20aが取得した情報と回転SW22からの信号とに基づき、ミキサドラム2に積載していた生コンを排出先の現場で排出したか否かを判定する状態判別部20bと、圧力センサ6bの検出値Pに基づき、ミキサドラム2が後述する生コン無積載状態か否かを判定する第1判定部20cと、情報取得部20aが所得した情報に基づき、ミキサ車1が生コンプラントにいるか否かを判定する第2判定部20dと、状態判別部20bと第1判定部20cと第2判定部20dとの判定結果に基づき、ミキサドラム2の排出動作及び洗浄動作を許可、禁止する許可禁止部20eと、を有する。
【0048】
なお、これら情報取得部20a等は、コントローラ20の各機能を仮想的なユニットとして示したものであり、物理的に存在することを意味するものではない。また、上記機能はコントローラ20が実行する制御の一部であり、コントローラ20ではこれら以外の機能に関連する制御も随時実行される。
【0049】
次に、図2に示すコントローラ20の各構成について更なる説明を適宜行いつつ、ミキサドラム2の制御装置としてのコントローラ20が行う禁止制御を図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0050】
図3は、禁止制御の一例をフローチャートで示す図である。図3に示すフローチャートの処理は、コントローラ20とGNSSモジュール21とにより構成されたミキサドラム2の制御装置によって行われてもよく、以下で説明するようにミキサ車1が現場にいることを検出(判定)するといった処理をGNSSモジュール21で行ってもよい。この点、本実施形態では、ミキサドラム2の制御装置はGNSSモジュール21と圧力センサ6bとをさらに含む構成とされる。図3に示すフローチャートの処理は、所定周期毎に繰り返し実行することができる。
【0051】
ステップS1では、ミキサ車1の位置情報とGNSSモジュール21の記憶部に記憶された排出先の現場の位置情報と回転SW22からの信号に基づき、ミキサ車1が生コンの排出先の現場で生コンを排出したか否かが判定される。排出先の現場の位置情報は、GNSSモジュール21のナビゲーション装置を用いて予め設定され、GNSSモジュール21の記憶部に記憶される。つまり、位置取得装置としてのGNSSモジュール21は、排出先の現場の位置情報を設定情報として記憶する記憶部をさらに含む。ミキサ車1が排出先の現場にいるか否かは、ミキサ車1の位置情報と排出先の現場の位置情報とに基づき判定される。排出先の現場は、現在位置の検出精度や設定エリアの指定方法等に応じて、排出先の現場そのもののエリアに対し余裕を持って設定されてよい。記憶部は例えば、位置取得装置としてのGNSSモジュール21から情報を取得する情報取得部20aで記憶部を兼ねさせるなど、コントローラ20で実現されてもよい。回転SW22からの信号は、ミキサドラム2の逆転操作が行われたか否かを判定することで、生コンが排出されたか否かを判定するのに用いられる。生コンが排出されたか否かは、ミキサドラム2の積載量に基づき、積載量が減少したか否かにより判定されてもよい。ミキサドラム2の積載量は例えば、ミキサドラム2の重量を検出する重量センサの検出値に基づき検出できる。
【0052】
ステップS1は状態判別部20bに対応する。ステップS1で否定判定であれば、本フローチャートの処理は一旦終了する。ステップS1で肯定判定であれば、ミキサ車1が排出先の現場にいること、及びミキサ車1が生コンの排出先の現場で生コンを排出したことが判定(検出)され、処理はステップS2に進む。
【0053】
ステップS2では、圧力センサ6bの検出値Pに基づき、ミキサドラム2が生コン無積載状態か否かが判定される。生コン無積載状態は生コンを積載していない状態であり、生コン排出後のミキサドラム2内に付着している生コンが残っているなど、無積載状態とみなされるみなし無積載状態を含む。
【0054】
ステップS2では、圧力センサ6bの検出値Pが所定値P1以下か否かを判定することで、ミキサドラム2が生コン無積載状態か否かが判定される。所定値P1はミキサドラム2が生コン無積載状態か否かを判定するための判定値として予め設定される。
【0055】
圧力センサ6bの検出値Pはミキサドラム2の駆動負荷を指標する。従って、ステップS2では換言すれば、検出値Pが所定値P1以下を判定することで、ミキサドラム2の駆動負荷が低負荷か否かが判定される。
【0056】
現場で生コンを使い切った後には、ミキサドラム2内に付着した生コンの固化を防ぐために水が入れられる場合がある。水と生コンとでは粘性が異なり、生コンはミキサドラム2内に付着することから、水を積載している場合は生コンを積載している場合と比べ、ミキサドラム2の駆動負荷は十分な有意差が得られる程度に低くなる。
【0057】
このため、圧力センサ6bの検出値Pに基づくステップS2の判定では、ミキサドラム2に水が積載された状態も、生コン無積載状態として判定される。つまり、生コン無積載状態は、ミキサドラム2に水が積載された状態を含む。圧力センサ6bは、ミキサドラム2が生コン無積載状態であることを検出可能な積載センサに相当する。ミキサドラム2の重量を検出する重量センサも積載センサを構成することができる。つまり、積載センサは圧力センサ6bと重量センサとを含む。重量センサであっても、例えばステップS1において、現場に到着したミキサ車1のミキサドラム2からの生コン排出に応じてミキサドラム2の積載量が減少し、そのまま生コン無積載状態に対応する閾値を下回った場合は、ミキサドラム2が生コン無積載状態であることを検出できる。
【0058】
ステップS2は第1判定部20cに対応する。ミキサドラム2内に水が入れられた場合を含め、現場で生コンが排出され切った場合、ステップS2で肯定判定され、処理はステップS3Aに進む。
【0059】
ステップS3Aでは、ミキサ車1の位置情報と排出先の現場の位置情報とに基づきミキサ車1が生コンプラントにいるか否かが判定される。生コンプラントは、ミキサドラム2に積載された水の廃棄場として認可された認可廃棄場所であり、生コンプラントの位置情報は、GNSSモジュール21のナビゲーション装置を用いて予め設定され、GNSSモジュール21の記憶部に記憶される。
【0060】
ステップS3Aは第2判定部20dに対応する。ステップS3Aで否定判定であった場合、ミキサ車1が生コンプラントにいないと判定される。この場合、処理はステップS5に進む。
【0061】
ステップS5では、ミキサドラム2の排出動作及び洗浄動作が禁止される。排出動作の禁止は回転SW22の信号を無効にすることで行うことができ、洗浄動作の禁止は回転SW22及び自動洗浄SW23の信号を無効にすることで行うことができる。回転SW22の信号を無効にすることで、マニュアル操作でのミキサドラム2内の洗浄を禁止できる。
【0062】
ステップS5では、排出動作を禁止することで、固化防止のために現場でミキサドラム2内に入れられた水が不正廃棄されることを防止できる。また、洗浄動作を禁止することで、生コンプラント又は生コンプラント付近以外の場所でミキサドラム2内の洗浄を行い、洗浄後の水を生コンプラント又は生コンプラント付近以外の場所で不正廃棄する行為を未然に防止できる。ステップS5では、排出動作又は洗浄動作のいずれかが禁止されてもよい。この場合でも、それぞれの動作禁止に応じた上記のような効果が得られる。ステップS5の後には、本フローチャートの処理は一旦終了する。
【0063】
その後のルーチンでは、ミキサ車1が生コンプラントに到着するまではステップS1,S2,S3A,S5の処理が繰り返し実行される。そして、ミキサ車1が生コンプラントに到着すると、ステップS3Aで肯定判定され、ミキサ車1が生コンプラントにいることが判定(検出)される。この場合、処理はステップS4に進む。
【0064】
ステップS4では、ミキサドラム2の排出動作及び洗浄動作の禁止を解除することで、これらの動作が許可される(禁止なし)。結果、排出動作及び洗浄動作が可能になる。排出動作及び洗浄動作を可能にすることは、排出動作及び洗浄動作が禁止されている場合に禁止を解除することと、排出動作及び洗浄動作が禁止されていない場合に禁止されていない状態を維持することとを含む。ステップS4,S5は許可禁止部20eに対応する。
【0065】
ステップS2で否定判定の場合は、ミキサドラム2が生コン積載状態であると判定され、本フローチャートの処理は一旦終了する。この場合、GNSSモジュール21に設定された生コンプラントや、当該生コンプラントとは異なる生コンの廃棄場で生コンを排出することができる。生コンプラントで生コンが排出された場合、その後のルーチンにおいてステップS2で肯定判定され、ステップS3A,S4の順に処理が進む。結果、排出動作及び洗浄動作が可能になる。この場合、ステップS4では排出動作及び洗浄動作が特に禁止されないまま、これらの動作が可能とされる。生コンプラント以外の生コンの廃棄場で生コンが排出された場合、その後のルーチンにおいてステップS2で肯定判定され、ステップS3A、ステップS5の順に処理が進む。結果、ミキサ車1が生コンプラントに到着する前にミキサドラム2が生コン無積載状態になったことが検出され、排出動作及び洗浄動作が禁止される。ステップS4の後には、本フローチャートの処理は終了する。
【0066】
ステップS3Aでは、生コンプラント付近にミキサ車1がいるか否かが判定されてもよい。生コンプラント付近としてのエリアは、現在位置の検出精度や設定エリアの指定方法等に応じて、生コンプラントそのもののエリアに対し余裕を持って設定できる。
【0067】
ミキサドラム2内の積載物の排出はミキサドラム2の逆転動作により行われ、ミキサドラム2の洗浄動作はミキサドラム2の逆転動作を含むかたちで行われる。このため、ミキサドラム2の排出動作及び洗浄動作は、ミキサドラム2の逆転動作そのものを禁止することで禁止されてもよい。ミキサドラム2の逆転動作そのものは例えば、逆転動作のためのコントローラ20の内部指令を無効にすることで禁止できる。
【0068】
所定値P1はミキサドラム2が生コン無積載状態であって、且つミキサドラム2内に水が積載されているか、又はみなし無積載状態を含む無積載状態かを判定するための判定値として設定されてもよい。
【0069】
この場合、検出値Pが所定値P1以下、つまりステップS2で否定判定であれば、ミキサドラム2は無積載状態で水が入れられていないことがわかる。このためこの場合は、ステップ5に処理を進めるとともに、ステップS5で洗浄動作を禁止する一方、排出動作を特段禁止しないこと(排出動作及び洗浄動作のうち少なくとも洗浄動作を禁止すること)もできる。
【0070】
またこの場合は、ステップS2で肯定判定であれば、ミキサドラム2内に水が積載されていることがわかる。このためこの場合は、ステップS3Aで否定判定されれば、ステップS5で排出動作を禁止する一方、洗浄動作を特段禁止しないこと(排出動作及び洗浄動作のうち少なくとも排出動作を禁止すること)もできる。生コン無積載状態のミキサドラム2内に水が積載されているか、又は生コン無積載状態のミキサドラム2が無積載状態かは、ミキサドラム2の積載量に基づき判定されてもよい。
【0071】
ステップS5では、ミキサドラム2内から水を排出できない範囲内でミキサドラム2の逆転を許可してもよい。このためには例えば、ミキサドラム2の逆転操作が行われた場合に所定時間が経過すると、ミキサドラム2の回転速度を制限することができる。所定時間は、逆転操作時のミキサドラム2の回転速度で、逆転により水が排出され始める時間より短い時間に予め設定できる。所定時間は、現場でのミキサドラム2内の予洗いで使用される量としての所定量(例えば、予洗いで使用が想定される最大量)の水がミキサドラム2内に積載された状態を基準に設定できる。回転速度は、ミキサドラム2の逆転を継続しても、水が排出されることがない回転速度に制限できる。
【0072】
つまり、上記によれば所定時間が経過するまではミキサドラム2内から水が排出されることがないので、逆転操作に応じて通常通り逆転を行う一方、所定時間経過後はそのままでは水が排出されてしまう恐れがあるので、回転速度を制限する。これにより、水の不正廃棄を防止しつつも、現場でミキサドラム2をマニュアル操作により正逆回転させることで、ミキサドラム2内を予洗いすることが可能になる。
【0073】
(変形例)
コントローラ20は、以下で説明するようにミキサドラム2の排出動作及び洗浄動作の禁止を行うように構成されてもよい。
【0074】
図4は、ミキサ車1の変形例であるミキサ車1Aの要部を示す構成図である。ミキサ車1Aは、コントローラ20の変形例であるコントローラ20Aを備える点で、図2に示す構成のミキサ車1と異なる。コントローラ20Aは、第2判定部20dを有しない点と、生コンプラントが備える無線通信機器50との間で行う無線通信での通信結果(認証結果)に基づき、ミキサ車1が生コンプラントにいることを確認する通信部20fを有する点と、許可禁止部20eの変形例である許可禁止部20eAが、第2判定部20dの判定結果の代わりに通信部20fからの通信結果に基づき、許可、禁止を行うように構成される点で、図2に示す構成のコントローラ20と異なる。
【0075】
次に、図4に示すコントローラ20Aの各構成について更なる説明を適宜行いつつ、コントローラ20Aが行う制御を図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0076】
図5は、禁止制御の変形例をフローチャートで示す図である。図5に示すフローチャートは、ステップS3Aの代わりにステップS3Bが設けられている点以外、図3に示すフローチャートと同じである。このため、以下では主にステップS3Bについて説明する。
【0077】
ステップS3Bでは、無線通信機器50との間で行う無線通信での通信結果に基づき、ミキサ車1Aが生コンプラントにいるか否かが確認される。無線通信の通信結果は、ペアリングされたミキサ車1A(コントローラ20A)と生コンプラント(無線通信機器50)とで接続が確立したか否かであり、無線通信機器50は生コンプラント内に通信エリアを有する。
【0078】
このため、接続が確立しない場合は、ミキサ車1Aが生コンプラントにいないことが確認され、ステップS3Bで否定判定される。一方、接続が確立した場合はミキサ車1が生コンプラントにいることが確認され、ステップS3Bで肯定判定される。
【0079】
無線通信機器50は例えば、生コンプラントへの入口付近に設置できる。無線通信機器50が生コンプラント内に有する通信エリアは、無線通信機器50の設置場所等に応じて一部が生コンプラント外にはみ出すかたちになってもよい。この場合、ステップS3Bではミキサ車1Aが生コンプラント付近にいるか否かが確認される。
【0080】
このようにしてミキサ車1Aが生コンプラント又は生コンプラント付近にいるか否かを確認することでも、ミキサ車1Aが生コンプラント又は生コンプラント付近にいない場合に、ミキサドラム2の洗浄動作及び排出動作を禁止できる。
【0081】
またこの場合は、ミキサ車1Aが生コンプラント又は生コンプラント付近にいることを直接的に確認するだけでなく、設定上の生コンプラント又は生コンプラント付近を他の場所に不正に設定、変更するといったことが困難になる。このためこの場合は、ミキサ車1が生コンプラント又は生コンプラント付近にいることがより確実になる。結果、水の不正廃棄をより確実に防止できる。
【0082】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0083】
コントローラ20は、ミキサ車1に搭載されたミキサドラム2の制御を行うミキサドラム2の制御装置であって、ミキサドラム2が、生コンが無積載とみなされる状態を含む生コン無積載状態の場合であっても、ミキサ車1がミキサドラム2に積載された水の廃棄場である生コンプラント又はその付近にいない場合は、ミキサドラム2の逆転動作に対応する排出動作及び洗浄動作を禁止する。
【0084】
この構成によれば、ミキサドラム2が生コン無積載状態の場合であっても、ミキサ車1が生コンプラント又は生コンプラント付近にいない場合は、ミキサドラム2の排出動作及び洗浄動作が禁止される。このため、現場で生コンを使い切った後にミキサドラム2内に水が入れられた場合でも、排出動作を禁止することでミキサドラム2内に積載された水が不正廃棄されることを防止できる。また、洗浄機能が有効なままだと、生コンプラント以外の場所でミキサドラム2内を洗浄した後、生コンプラントに辿り着くまでの途中で水が不正廃棄され得るが、洗浄動作を禁止すれば、洗浄後に水が不正廃棄され得ることに事前に備えるかたちで、水の不正廃棄を未然に防止できる。
【0085】
ミキサドラム2の制御装置は、ミキサドラム2に積載された生コンの排出先の現場を記憶する記憶部としての情報取得部20aと、ミキサ車1の位置情報を取得する位置取得装置としてのGNSSモジュール21と、ミキサドラム2が生コン無積載状態であることを検出可能な積載センサとしての圧力センサ6bとをさらに含む。コントローラ20は、GNSSモジュール21の記憶部に記憶された排出先の現場の位置情報とGNSSモジュール21が取得したミキサ車1の位置情報とに基づき、ミキサ車1が排出先の現場にいることを検出するとともに、ミキサドラム2に逆転を指示するための回転SW22からの信号に基づき、ミキサドラム2に積載された生コンが排出先の現場で排出されたことを検出し、且つ、圧力センサ6bからの信号に基づき、ミキサ車1が生コンプラントに到着する前にミキサドラム2が生コン無積載状態になったことを検出した場合に、ミキサドラム2の排出動作及び洗浄動作を禁止する。
【0086】
この構成によれば、生コンが現場で排出され、さらに現場で生コンが排出され切るか、或いは余った生コンがGNSSモジュール21に設定された生コンプラントと異なる生コンの廃棄場で排出されることで、ミキサドラム2が生コン無積載状態になった後にミキサドラム2の排出動作及び洗浄動作を禁止する。このため、現場での生コンの排出作業や余った生コンの排出作業に支障を生じさせることなく、水の不正廃棄を防止できる。
【0087】
生コンプラントは、当該生コンプラント内に通信エリアを有する無線通信機器50を備える。コントローラ20は無線通信機器50との間で行う無線通信での通信結果として、ペアリングされたコントローラ20と無線通信機器50との接続が確立したか否かに基づき、ミキサ車1が生コンプラント又は生コンプラント付近にいることを確認する。
【0088】
この構成によれば、ミキサ車1が生コンプラント又は生コンプラント付近にいることを直接的に確認するだけでなく、設定上の生コンプラント又は生コンプラント付近を不正に設定、変更するといったことが困難になる。このため、ミキサ車1が生コンプラント又は生コンプラント付近にいることがより確実になり、これにより水の不正廃棄をより確実に防止できる。
【0089】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0090】
例えば、無線通信機器50との間で行う無線通信では、ペアリングに基づく認証(確認)以外の認証が行われてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1,1A・・・ミキサ車、2・・・ミキサドラム、6b・・・圧力センサ(積載センサ、制御装置)、20,20A・・・コントローラ(制御装置)、21・・・GNSSモジュール(位置取得装置、記憶部、制御装置)、22・・・回転SW、23・・・自動洗浄SW、50・・・通信機器、P・・・検出値、P1・・・所定値
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5